(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-13
(45)【発行日】2024-06-21
(54)【発明の名称】海陸接合領域における地下鉄の分離型駅構造及びその施工方法
(51)【国際特許分類】
E02D 29/05 20060101AFI20240614BHJP
E02D 29/055 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
E02D29/05 A
E02D29/05 E
E02D29/055
(21)【出願番号】P 2024000965
(22)【出願日】2024-01-09
【審査請求日】2024-01-09
(31)【優先権主張番号】202310436343.1
(32)【優先日】2023-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518238780
【氏名又は名称】北京城建設計▲発▼展集団股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BEIJING URBAN CONSTRUCTION DESIGN & DEVELOPMENT GROUP CO., LIMITED
【住所又は居所原語表記】No. 5, Fuchengmen Beidajie, Xicheng District, Beijing, CHINA
(73)【特許権者】
【識別番号】523252881
【氏名又は名称】雷 剛
【氏名又は名称原語表記】LEI Gang
【住所又は居所原語表記】No. 5, Fuchengmen Beidajie, Xicheng District, Beijing, CHINA
(73)【特許権者】
【識別番号】523252870
【氏名又は名称】華 福才
【氏名又は名称原語表記】HUA Fucai
【住所又は居所原語表記】No. 5, Fuchengmen Beidajie, Xicheng District, Beijing, CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100216471
【氏名又は名称】瀬戸 麻希
(72)【発明者】
【氏名】雷剛
(72)【発明者】
【氏名】華福才
(72)【発明者】
【氏名】楊沚▲ふぇい▼
(72)【発明者】
【氏名】王凱建
(72)【発明者】
【氏名】祝建業
(72)【発明者】
【氏名】李超
(72)【発明者】
【氏名】張亮
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-193496(JP,A)
【文献】特開2007-284895(JP,A)
【文献】特開昭52-058208(JP,A)
【文献】特開昭52-058213(JP,A)
【文献】特開2002-021098(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0243528(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 29/05
E02D 29/055
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
海陸接合領域における地下鉄の分離型駅構造の施工方法であって、
前記海陸接合領域における地下鉄の分離型駅構造は、開削駅舎、ホーム階、第1換気用シ
ャフトダクト、第2換気用シャフト、上り下り出入り口、バリアフリー出入り口、及び地
下横断歩道を含み、前記ホーム階は、既設区間トンネルを拡削したもので、拡削段の既設
区間トンネルと両側に位置する拡削隣室と、を含み、ホーム階のダブルアーチ構造となり
、前記第1換気用シャフトダクトは、第1換気用シャフトと第1エアダクトで構成され、
第1換気用シャフトは既設海横断区間換気用シャフトであり、第2換気用シャフトは新設
駅換気用シャフトであり、前記上り下り出入り口は、2組設けられており、それぞれ、両
側の待合エリアに位置し、両側の拡削隣室と開削駅舎を接続し、前記バリアフリー出入り
口は、2組設けられており、それぞれ両側の待合エリアに位置し、前記地下横断歩道は、
既設区間トンネルの底板に密着して下方を貫通し、両側の拡削隣室を接続し、
該施工方法は、トンネルファスト、開削と非開削を組み合わせた施工方法であり、駅舎の
開削には開削法、ホーム階には非開削法による施工が採用され、
前記開削法による施工は、
サイトを平らにするステップA1と、
基礎坑底の計画高さに達するまで、基礎坑の土石を下方向に掘削するステップA2と、
逆井戸法(upside-down well method)によって第1換気用シャ
フトの施工を下方へ行い、上方から下方へ土石を段階的に掘削しながら、支保工を行い、
メッシュを吊り下げ、コンクリートを吹き付けて格子鉄骨を設置し、スチール製の支柱を
立てるかアンカーボルトを配置し、ダクトの上段の標準高さまで掘削すると、インゲート
から入ってエアダクトの施工を開始するステップA3と、
防水層を敷いて、換気用シャフトの二次覆工施工を下から上へ行うステップA4と、
基礎坑の水を抜き、防水層を敷いて、駅舎の二次覆工構造を下から上へ正常工法(nor
mal method)により開削するステップA5と、を含み、
前記ステップA3は、さらに、
第1換気用シャフトを第1エアダクトの上段の位置まで開削すると、エアダクトの超前支
保を行い、環状プレグラウチングパイプをアーチ部に配置するステップA3.1と、
縦坑にインゲートを設置して、エアダクトに入って施工を行い、縦坑の初期支保体を取り
除き、入口に鉄骨を立てて補強するステップA3.2と、
ベンチカット法によって第1エアダクトを掘り、第1エアダクトを高さに応じて3層に分
けて掘削と支保を行い、1サイクルあたりの掘削量を1m以内、上下段の切羽の間隔を4
m以上にし、掘削の各サイクル後、鉄骨を速やかに組み立て切羽をシールするステップA
3.3と、
エアダクトと縦坑の交差部には、坑に入って掘削した後、防水層を敷き、二次覆工施工を
行うステップA3.4と、
防水層を敷いて、エアダクトの覆工施工を下から上へ行うステップA3.5と、を含み、
前記非開削法による施工は、
既設区間トンネル内に施工用仮設鉄骨を立て、100kNのプレストレスを付与し、仮設
鉄骨を立てた後、隙間を微膨張C20細石コンクリートで埋めるステップB1と、
乗客が車両に乗降するためのポータルの位置を決定し、既設区間トンネルの両側の側壁の
対応する位置において、トンネルの二次覆工構造を軸方向にずらして取り除くステップB
2と、
型枠を立ててポータルの補強リングビームを打設し、ポータルコンクリートを間隔をあけ
て取り除き、既設区間トンネルの両側のポータルを同時に取り除かないようにし、ポータ
ルの補強リングビームが設計強度に達すると、周辺のポータルの施工を行うステップB3
と、
既設二次覆工を取り除いた後、ポータルの断面の周辺において衝撃吸収穴の軸線に沿って
衝撃吸収穴を1周して設置し、次に、両側の隣室を徐々に上方へ拡削し、1回の掘削量を
0.5mにし、アーチ部のアンカーボルト配置及び吹き付けコンクリートによる支保を速
やかに実施し、アーチ部の初期支保体であるスチールメッシュを既設区間トンネルの初期
支保体であるスチールメッシュに溶接し、一体化するステップB4と、
ベンチカット法によって両側の隣室の断面を掘削し、発破方法には静的破砕と制御発破を
組み合わせた方法を採用するステップB5と、
防水排水システムの施工を行い、ジャンプフォーム工法によって二次覆工を段階的に施工
するステップB6と、
両側の隣室の施工がすべて完了するまで前記ステップ
B1乃至ステップB6を繰り返し、
二次覆工構造が設計強度に達すると仮サポートを取り外すステップB7と、
中隔壁及びレール上部エアダクトの内部構造を建築するステップB8と、を含む、ことを
特徴とする海陸接合領域における地下鉄の分離型駅構造の施工方法。
【請求項2】
前記ステップA2では、基礎坑にソイルネイル擁壁支保が使用され、傾斜面がC25コン
クリートで保護され、表面層の厚さが100mmであり、スチールメッシュにはφ8@1
50mmx150mmのものが使用され、ソイルネイルに沿って縦横に補強リブが設置さ
れ、ソイルネイルと補強リブが溶接される、ことを特徴とする請求項1に記載の海陸接合
領域における地下鉄の分離型駅構造の施工方法。
【請求項3】
前記ステップB3では、防水ロールを敷くこと、グラウト管及び節水ボックスを配置する
こと、リングビームの上部に縦DN100排水管を配置し、縦排水ブラインドパイプを介
して区間トンネルの初期支保体の逆濾過層に排出し、区間排水システムによって排水溝に
排出することを含む防水処理を新旧コンクリート界面に施す、ことを特徴とする請求項1
に記載の海陸接合領域における地下鉄の分離型駅構造の施工方法。
【請求項4】
前記ステップB2は、
工事測量を行い、コンクリートの吊り上げ及び施工を容易にするために吊り上げアンカー
ボルトを配置するステップB2.1と、
施工吊り上げツーリングに応じて切断領域のサイズを決定し、ウォータドリルによる切断
領域をそれぞれマークしてから、ウォータドリルを用いてコンクリートを切断するステッ
プB2.2と、
ウォータドリルによるカットエッジに沿ってポータルの補強リングビームの位置における
コンクリートを手動で掘り出し、既存の鉄筋を残すステップB2.3と、を含む、ことを
特徴とする請求項1に記載の海陸接合領域における地下鉄の分離型駅構造の施工方法。
【請求項5】
鉄筋はポータルの補強リングビーの高さより50mm以上長くし、ウォータドリルによる
切断領域エッジは、ポータルの補強リングビームの内側エッジから内部へ100mmずれ
たもいのである、ことを特徴とする請求項4に記載の海陸接合領域における地下鉄の分離
型駅構造の施工方法。
【請求項6】
前記ステップB5は、
φ100mm@300mmx300mmで千鳥状に配置するように、側辺に3列、頂部に
2列、底部に1列のように、既設区間トンネル構造の半断面に接近して衝撃吸収穴を設け
、穴内にφ90PE管を設けるステップB5.1と、
静的破砕によって既設区間トンネルに近い上段領域を掘削し、掘削後、コンクリートを5
0mm吹き付けて、切羽をシールするステップB5.2と、
制御発破方法によって既設区間トンネルから離れた上段領域を掘削し、掘削後、コンクリ
ートを50mm吹き付けて、切羽をシールするステップB5.3と、
静的破砕によって既設区間トンネルに近い下段領域を掘削し、上段と下段の間隔を4~6
mにするステップB5.4と、
制御発破によって既設区間トンネルから離れた下段領域を掘削し、上段と下段の間隔を4
~6mにするステップB5.5と、を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の海陸接合
領域における地下鉄の分離型駅構造の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地下工事の技術分野に関し、特に海陸接合領域における地下鉄の分離型駅構造
及びその施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
経済の発展とグリーントラベルコンセプトの推進に伴い、都市軌道交通の運営規模は急速
に増加しており、現在都市軌道交通建設は多くの大都市の交通建設の重点となっている。
一部の海岸都市では、かつては高架線でベイエリアの両岸を結んでいたが、海を跨ぐ高架
橋は天候の影響を大きく受ける一方で、海面の海運や航路などに影響を与えていた。その
ため、近年、海を越えた地下線の建設を検討する海岸都市が増えている。海を渡る地下鉄
トンネルは、通常、海底の岩盤層の中まで深く埋めなければならず、埋設深さは比較的大
きく、両岸の住民の移動を円滑にするために、海を渡る区間の両端近くに地下鉄駅を設置
してしなければならない。このような場合、従来の浅層埋設一体型駅を採用すれば、地下
鉄線路の縦断面の勾配が過度に大きくなり、運転の安全に不利になる。深層埋設一体型駅
を採用すれば、地上掘削法も非開削法も経済性や合理性に欠ける。両岸の駅を遠くに移動
すれば、両岸の開通と線路の縦勾配の要求を満たすことができるが、都市軌道交通の利便
性を低下させることになる。
【0003】
このため、本発明の設計者は、上記の欠点に鑑みて、研究と設計に取り込んでおり、長年
、関連産業に従事してきた経験と成果を総合して、上記の欠点を克服するために、海陸接
合領域における地下鉄の階床式駅構造及びその施工方法を研究・設計した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、従来の一体式駅の埋設深さが線路の埋設深さにより制限されるという欠
点を解決し、海線の縦勾配を小さく確保しつつ、駅舎の浅層埋設による優位性を発揮する
ことができ、施工コストを低下させ、施工効率を高め、運用期間中の火災時の避難のプレ
ッシャーを低減させ、トンネルファストの施工方式によって、全線に亘るトンネル開通を
早期に実現することは、レール開通と電気接続をタイムリーに実現し、できるだけ早く開
通させることに有利であり、また、駅舎に開削、ホールに非開削を用いる施工方法によっ
て、作業面積が小さい、建設期間が長い、コストが高い、難度が高いなど、純粋な露天掘
り又は純粋な非開削法の欠点を効果的に回避する、海陸接合領域における地下鉄の分離型
駅構造及びその施工方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成させるために、本発明は、
開削駅舎、ホーム階、第1換気用シャフトダクト、第2換気用シャフト、上り下り出入り
口、バリアフリー出入り口、及び地下横断歩道を含む、海陸接合領域における地下鉄の分
離型駅構造であって、
前記ホーム階は、既設区間トンネルを拡削したもので、拡削段の既設区間トンネルと両側
に位置する拡削隣室と、を含み、ホーム階のダブルアーチ構造となり、前記第1換気用シ
ャフトダクトは、第1換気用シャフトと第1エアダクトで構成され、第1換気用シャフト
は既設海横断区間換気用シャフトであり、第2換気用シャフトは新設駅換気用シャフトで
あり、前記上り下り出入り口は、2組設けられており、それぞれ、両側の待合エリアに位
置し、両側の拡削隣室と開削駅舎を接続し、前記バリアフリー出入り口は、2組設けられ
ており、それぞれ両側の待合エリアに位置し、前記地下横断歩道は、既設区間トンネルの
底板に密着して下方を貫通し、両側の拡削隣室を接続する、ことを特徴とする地下鉄の分
離型駅構造が開示される。
【0006】
トンネルファスト、開削と非開削を組み合わせた施工方法であり、駅舎の開削には開削法
、ホーム階には非開削法による施工が採用される、前記海陸接合領域における地下鉄の分
離型駅構造の施工方法であって、
前記開削施工は、
サイトを平らにするステップA1と、
基礎坑底の計画高さに達するまで、基礎坑の土石を下方向に掘削するステップA2と、
逆井戸法によって第1換気用シャフトの施工を下方へ行い、上方から下方へ土石を段階的
に掘削しながら、支保工を行い、メッシュを吊り下げ、コンクリートを吹き付けて格子鉄
骨を設置し、スチール製の支柱を立てるかアンカーボルトを配置し、ダクトの上段の標準
高さまで掘削すると、インゲートから入ってエアダクトの施工を開始するステップA3と
、
防水層を敷いて、換気用シャフトの二次覆工施工を下から上へ行うステップA4と、
基礎坑の水を抜き、防水層を敷いて、駅舎の二次覆工構造を下から上へ正常工法により開
削するステップA5と、を含む、ことを特徴とする施工方法も開示される。
前記ステップA2では、基礎坑にソイルネイル擁壁支保が使用され、傾斜面がC25コン
クリートで保護され、表面層の厚さが100mmであり、スチールメッシュにはφ8@1
50mmx150mmのものが使用され、ソイルネイルに沿って縦横に補強リブが設置さ
れ、ソイルネイルと補強リブが溶接される。
前記ステップA3は、さらに、
第1換気用シャフトを第1エアダクトの上段の位置まで開削すると、エアダクトの超前支
保を行い、環状プレグラウチングパイプをアーチ部に配置するステップA3.1と、
縦坑にインゲートを設置して、エアダクトに入って施工を行い、縦坑の初期支保体を取り
除き、入口に鉄骨を立てて補強するステップA3.2と、
第2エアダクトをベンチカット法で掘削し、高さに応じてエアダクトを2層に分けて掘削
及び支保を行い、1サイクルあたりの掘削量を1m以内、上下段の切羽の間隔を4m以上
にし、掘削の各サイクル後、鉄骨を速やかに組み立て切羽をシールするステップA3.3
と、
エアダクトと縦坑の交差部には、坑に入って掘削した後、防水層を敷き、二次覆工施工を
行うステップA3.4と、
防水層を敷いて、エアダクトの覆工施工を下から上へ行うステップA3.5と、を含む。
【0007】
前記非開削施工は、
既設区間トンネル内に施工用仮設鉄骨を立て、100kNのプレストレスを付与し、仮設
鉄骨を立てた後、隙間を微膨張C20細石コンクリートで埋めるステップB1と、
乗客が車両に乗降するためのポータルの位置を決定し、既設区間トンネルの両側の側壁の
対応する位置において、トンネルの二次覆工構造を軸方向にずらして取り除くステップB
2と、
型枠を立ててポータルの補強リングビームを打設し、ポータルコンクリートを間隔をあけ
て取り除き、既設区間トンネルの両側のポータルを同時に取り除かないようにし、ポータ
ルの補強リングビームが設計強度に達すると、周辺のポータルの施工を行うステップB3
と、
既設二次覆工を取り除いた後、ポータルの断面の周辺において衝撃吸収穴の軸線に沿って
衝撃吸収穴を1周して設置し、次に、両側の隣室を徐々に上方へ拡削し、1回の掘削量を
0.5mにし、アーチ部のアンカーボルト配置及び吹き付けコンクリートによる支保を速
やかに実施し、アーチ部の初期支保体であるスチールメッシュを既設区間トンネルの初期
支保体であるスチールメッシュに溶接し、一体化するステップB4と、
ベンチカット法によって両側の隣室の断面を掘削し、発破方法には静的破砕と制御発破を
組み合わせた方法を採用するステップB5と、
防水排水システムの施工を行い、ジャンプフォーム工法によって二次覆工を段階的に施工
するステップB6と、
両側の隣室の施工がすべて完了するまで前記ステップを繰り返し、二次覆工構造が設計強
度に達すると仮サポートを取り外すステップB7と、
中隔壁及びレール上部エアダクトの内部構造を建築するステップB8と、を含む。
【0008】
前記ステップB3では、防水ロールを敷くこと、グラウト管及び節水ボックスを配置する
こと、リングビームの上部に縦DN100排水管を配置し、縦排水ブラインドパイプを介
して区間トンネルの初期支保体の逆濾過層に排出し、区間排水システムによって排水溝に
排出することを含む防水処理を新旧コンクリート界面に施す。
【0009】
前記ステップB2は、
工事測量を行い、コンクリートの吊り上げ及び施工を容易にするために吊り上げアンカー
ボルトを配置するステップB2.1と、
施工吊り上げツーリングに応じて切断領域のサイズを決定し、ウォータドリルによる切断
領域をそれぞれマークしてから、ウォータドリルを用いてコンクリートを切断するステッ
プB2.2と、
ウォータドリルによるカットエッジに沿ってポータルの補強リングビームの位置における
コンクリートを手動で掘り出し、既存の鉄筋を残すステップB2.3と、を含む。
【0010】
鉄筋はポータルの補強リングビーの高さより50mm以上長くし、ウォータドリルによる
切断領域エッジは、ポータルの補強リングビームの内側エッジから内部へ100mmずれ
たもいのである。
【0011】
前記ステップB5は、
既設区間トンネル構造の半断面に接近して衝撃吸収穴を設け、φ100mm@300mm
x300mmで千鳥状に配置するように、側辺に3列、頂部に2列、底部に1列のように
、穴内にφ90PE管を設けるステップB5.1と、
静的破砕によって既設区間トンネルに近い上段領域を掘削し、掘削後、コンクリートを5
0mm吹き付けて、切羽をシールするステップB5.2と、
制御発破方法によって既設区間トンネルから離れた上段領域を掘削し、掘削後、コンクリ
ートを50mm吹き付けて、切羽をシールするステップB5.3と、
静的破砕によって既設区間トンネルに近い下段領域を掘削し、上段と下段の間隔を4~6
mにするステップB5.4と、
制御発破によって既設区間トンネル1から離れた下段領域を掘削し、上段と下段の間隔を
4~6mにするステップB5.5と、を含む。
【0012】
静的破砕面積と制御発破面積との比が1:4以上である。
【発明の効果】
【0013】
以上から分かるように、本発明の海陸接合領域における地下鉄の分離型駅構造及びその施
工方法は下記効果を有する。
1.分離型駅のモデルでは、駅全体の埋設深さがレール面の標準高さによる制限を受けず
、駅舎とホームは構造的及び施工的に大体分離している。構造的な分離により、構造断面
が小さくなり、力を受ける形態が最適になり、構造の品質が向上し、施工的な分離により
、作業面が増え、駅舎とホームの工期は比較的独立している。運転の面からは、分離型駅
では、火災が発生した場合、ホームと駅舎が比較的独立しているので、乗客が上り下り出
入り口エリアに入ると、安全範囲に入ることになるので、運転の面では火災避難のプレッ
シャーを軽減することができる。
2.トンネルファストの施工方法は、工期手配の柔軟性を高め、工期のプレッシャーを軽
減することができる。駅の移転や周辺不動産の共同開発等の影響により、駅の工期に影響
が出た場合、トンネルファストの施工方法では、全線に亘るトンネル開通を速やかに実現
でき、トンネル開通後は全線のレール敷設などの作業を速やかに開始でき、線路の早期高
品質開通を推進することができる。特に沿岸都市にとって、両岸の接続を早急に実現する
ことは都市の生活に大きな利便性をもたらす。
3.開削と非開削を組み合わせた施工方法とは、駅舎に開削、ホームに非掘削を適用した
施工方式で、1番目の有益な効果に述べたように、施工的な分離により、作業面が増え、
施工効率が高まり、工期が短縮される。駅舎のみを開削することによって、簡単、効率的
、低コストという開削法の利点を十分に生かすことができる。既設区間トンネルを拡削し
てホームを掘削する非開削法では、非開削の作業面を増やしてホームの工期を効果的に短
縮させ、全線開通までの工期を保証することができる。
【0014】
本発明の詳細な内容は、後述する説明及び図面により得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係る海陸接合領域における地下鉄の分離型駅構造の模式図を示す。
【
図2】本発明に係る駅の縦断面図及び施工順序の模式図を示す。
【
図3】本発明に係るホーム階の正面図及び施工順序の模式図を示す。
【
図4A】本発明における共用換気用シャフトの吸気路の施工順序を示す図である。
【
図4B】本発明における共用換気用シャフトの吸気路の施工順序を示す図である。
【
図4C】本発明における共用換気用シャフトの吸気路の施工順序を示す図である。
【
図4D】本発明における共用換気用シャフトの吸気路の施工順序を示す図である。
【
図4E】本発明における共用換気用シャフトの吸気路の施工順序を示す図である。
【
図5】本発明に係る地下横断歩道での非開削構造の断面図を示す。
【
図7】本発明に係る既設区間トンネルポータルの取り除き工法の模式図を示す。
【
図8A】本発明に係るトンネルファストによるホーム拡削ステップの模式図を示す。
【
図8B】本発明に係るトンネルファストによるホーム拡削ステップの模式図を示す。
【
図8C】本発明に係るトンネルファストによるホーム拡削ステップの模式図を示す。
【
図8D】本発明に係るトンネルファストによるホーム拡削ステップの模式図を示す。
【
図8E】本発明に係るトンネルファストによるホーム拡削ステップの模式図を示す。
【
図8F】本発明に係るトンネルファストによるホーム拡削ステップの模式図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1~
図8Fには、本発明に係る海陸接合領域における地下鉄の分離型駅構造及びその施
工方法が示されている。
【0017】
図1~3及び
図5~6に示すように、本発明に係る海陸接合領域における地下鉄の分離型
駅構造は、開削駅舎7、ホーム階、第1換気用シャフトダクト6、第2換気用シャフト8
、上り下り出入り口5、バリアフリー出入り口3や地下横断歩道4などで構成される。
【0018】
前記ホーム階は、既設区間トンネル1を拡削したもので、拡削段の既設区間トンネル1と
両側に位置する拡削隣室2と、を含み、ホーム階のダブルアーチ構造となり、既設区間ト
ンネル1は、主に線路エリアとして機能し、拡削隣室2は待合エリア及び設備エリアとし
て機能し、そのため、前記ホーム階はサイドプラットフォームである。
【0019】
本発明では、換気用シャフトダクト構造は、第1換気用シャフトダクト6と第2換気用シ
ャフト8で構成され、それぞれ駅の中心からの両端に設けられ、前記第1換気用シャフト
ダクト6は、第1換気用シャフト61と第1エアダクト62で構成され、第1換気用シャ
フト61は、既設海横断区間換気用シャフトであり、すなあち、第1換気用シャフト61
は、駅及び既設区間トンネル1の両方の換気を担当し、第2換気用シャフト8は、新設駅
換気用シャフトであり、このように、本発明では、区間換気用シャフトと駅換気用シャフ
トを同時に建設することによって、工事量を減らし、施工コストを低下させ、工期を短縮
させることができる。
【0020】
前記上り下り出入り口5は、2組設けられており、それぞれ両側の待合エリアに位置し、
両側の拡削隣室2と開削駅舎7を接続し、乗客が駅舎層とホーム階との間で移動すること
に用いられる。
【0021】
前記バリアフリー出入り口3は、2組設けられており、それぞれ、両側の待合エリアに位
置し、両側の拡削隣室と駅舎を接続し、乘客が駅舎とホームとの間で移動することに用い
られる。
【0022】
前記地下横断歩道4は、既設区間トンネル1の底板に密着して下方を貫通し、両側の拡削
隣室2を接続し、サイドプラットフォームの両側にいる乗客が左右の線に乗り換えること
に用いられる。
【0023】
図2~3には、本発明の海陸接合領域における地下鉄の分離型駅構造の施工方法が示され
ており、該施工方法は、トンネルファスト、開削と非開削を組み合わせた施工方法であり
、開削駅舎7には開削法施工、ホーム階には非開削法施工が使用される。特に、非開削ホ
ーム階は、既設区間トンネル1を拡削したもので、開削駅舎7の作業面は地上であるので
、両方の掘削を同期して行うことが可能になり、よって、本発明に係る海陸接合領域にお
ける地下鉄の分離型駅構造の施工方法は、開削施工と非開削施工を同時に行うステップを
含む。
【0024】
具体的には、前記開削施工は、ステップA1~ステップA5を含む。
【0025】
ステップA1:サイトを平らにする。本実施例では、サイトが空き地であり、周囲の環境
が単純であるため、整地には斜面掘削を利用することができる。
【0026】
ステップA2:基礎坑底の計画高さに達するまで、基礎坑の土石を下方向に掘削する。基
礎坑にはソイルネイル擁壁支保が使用され、傾斜面がC25コンクリートで保護され、表
面層の厚さが100mmであり、スチールメッシュにはφ8@150mmx150mmの
ものが使用され、ソイルネイルに沿って縦横に補強リブが設置され、ソイルネイルと補強
リブが溶接される。
【0027】
ステップA3:逆井戸法によって第1換気用シャフトの施工を下方へ行う。上方から下方
へ土石を段階的に掘削しながら、支保工を行い、メッシュを適時吊り下げ、コンクリート
を吹き付けて格子鉄骨を設置し、所定の位置にスチール製の支柱を適時立てるかアンカー
ボルトを配置し、ダクトの上段の標準高さまで掘削すると、インゲートから入ってエアダ
クトの施工を開始する。
【0028】
図4A、
図4B、
図4C、及び
図4Eに示すように、前記ステップA3は、さらに、ステ
ップA3.1~ステップA3.5を含んでもよい。
【0029】
ステップA3.1:
図4Aに示すように、第1換気用シャフト61を第1エアダクト62
の上段の位置まで掘削すると、エアダクトの超前支保を行い、環状プレグラウチングパイ
プをアーチ部に配置する。
【0030】
ステップA3.2:
図4Bに示すように、縦坑にインゲートを設置して、エアダクトに入
って施工を行い、縦坑の初期支保体を取り除き、入口に鉄骨を立てて補強する。
【0031】
ステップA3.3:
図4Cに示すように、第1エアダクト62をベンチカット法によって
掘削する。エアダクトを高さに応じて3層に分けて掘削及び支保を行い、1サイクルあた
りの掘削量を1m以内、上下段の切羽の間隔を4m以上にする。掘削の各サイクル後、鉄
骨を速やかに組み立て切羽をシールする。
【0032】
ステップA3.4:
図4C及び
図4Dに示すように、エアダクトと縦坑との交差口の所定
の範囲内で、坑内に入って掘削した後、防水層を適時敷いて、二次覆工施工を行う。
【0033】
ステップA3.5:
図4Eに示すように、防水層を敷いて、エアダクトの覆工施工を下か
ら上へ行う。
【0034】
ステップA4:防水層を敷いて、換気用シャフトの二次覆工施工を下から上へ行う。
【0035】
ステップA5:基礎坑の水を抜き、防水層を敷いて、駅舎の二次覆工構造を下から上へ正
常工法により開削する。
【0036】
上記のステップでは、開削駅舎を基にして、駅舎よりも下へ倒挂井壁によって換気用シャ
フトの施工を行うことで、駅換気用シャフトと区間換気用シャフトとの一体化を可能にす
る。区間換気用シャフトと駅換気用シャフトの共用により、工事量を減らし、施工コスト
を低下させることができる。換気用シャフトは、非開削施工者や設備の仮入口や滓排出口
を提供し、従来の仮縦坑による無駄を回避する。インゲートを開いて坑内に入ってエアダ
クトを構築するとホーム非開削のための新しい作業面を提供し、工期短縮に有利である。
【0037】
図7、
図8A~
図8Fに示すように、前記非開削施工は、ステップB1~ステップB8を
含む。
【0038】
ステップB1:既設区間トンネル1内に施工用仮設鉄骨91を立て、100kNのプレス
トレスを付与する。なお、施工する前に既設断面の寸法を確認し、仮設鉄骨91を立てた
後、隙間を微膨張C20細石コンクリートで埋める。
【0039】
ステップB2:乗客が乗降するポータル21の位置を決定し、既設区間トンネル1の両側
の側壁の対応する位置において、トンネルの二次覆工構造を軸方向にずらして取り除く。
【0040】
図7に示すように、前記ステップB2は、ステップB2.1~ステップB2.3を含んで
もよい。
【0041】
ステップB2.1:工事測量を行い、コンクリートの吊り上げ及び施工を容易にするため
に吊り上げアンカーボルトを配置する。吊り上げアンカーボルトについては、事前に引抜
試験を実施し、吊り上げ荷重の影響を考慮すべきである。
ステップB2.2:施工吊り上げツーリングに応じて切断領域毎のサイズを合理的に設計
し、ウォータドリルによる切断領域をそれぞれマークしてから、ウォータドリルを用いて
コンクリートを切断する。φ100mm@90mmで密に配列して密着し切断することが
好ましい。
【0042】
ステップB2.3:ウォータドリルによるカットエッジ93に沿ってポータルの補強リン
グビーム211の位置におけるコンクリートを手動で掘り出し、
図7の斜線部分の位置を
参照して、既存の鉄筋を残す。
【0043】
特に、鉄筋をアンカーするために、鉄筋はポータルの補強リングビーム211の高さより
も50mm以上残され(ポータルの補強リングビーム211の高さが50mmであれば、
鉄筋は550mm以上残される)、このため、
図7に示すように、好ましくは、ウォータ
ドリルによる切断領域エッジは、ポータルの補強リングビームの内側エッジから内部へ1
00mmずれたもいのである。既設区間トンネル1とポータルの補強リングビームとの接
続には、結合鉄筋方式は適しておらず、元の鉄筋でアンカーしていても、受力の要件が満
たされなければ、補強手段として結合鉄筋を適切に利用することが可能である。
【0044】
ステップB3:型枠を立ててポータルの補強リングビーム211を打設する。ポータルコ
ンクリートを間隔をあけて取り除き、既設区間トンネル1の両側のポータルを同時に取り
除かないようにし、ポータルの補強リングビーム211が設計強度に達すると、周辺のポ
ータルの施工を行うことができる。ポータルの補強リングビームの施工では、新旧コンク
リートの接続が必要となるため、既設コンクリートを掘り出して除去する必要がある。新
旧コンクリートの界面には、防水ロールを敷くこと、グラウト管及び節水ボックスを配置
すること、リングビームの上部に縦DN100排水管を配置し、縦排水ブラインドパイプ
を介して区間トンネルの初期支保体の逆濾過層に排出し、区間排水システムによって排水
溝に排出することを含む特殊な防水処理が施される。
【0045】
ステップB4:
図8Aに示すように、既設二次覆工を取り除いた後、ポータルの断面の周
辺において衝撃吸収穴の軸線92に沿って衝撃吸収穴を1周して設置し、次に、両側の隣
室2を徐々に上方へ拡削し、1回の掘削量を0.5mにし、アーチ部のアンカーボルト配
置及び吹き付けコンクリートによる支保を速やかに実施し、アーチ部の初期支保体である
スチールメッシュを既設区間トンネル1の初期支保体であるスチールメッシュに溶接し、
一体化する。
【0046】
ステップB5:ベンチカット法によって両側の隣室の断面を掘削し、ベンチカット法によ
る施工は発破自由表面を増加させることができる。発破方法には静的破砕と制御発破を組
み合わせた方法を採用する。
【0047】
図8Bに示すように、前記ステップB5は、ステップB5.1~ステップB5.5を含ん
でもよい。
【0048】
ステップB5.1:既設区間トンネル1構造の半断面に接近して衝撃吸収穴94を設ける
。好ましくは、φ100mm@300mmx300mmで千鳥状に配置するように、側辺
に3列、頂部に2列、底部に1列設け、穴内にφ90PE管を設ける。1サイクルあたり
の衝撃吸収穴の長さを20m以上にし、5m残しておき、監視を強化させる。
【0049】
ステップB5.2:静的破砕によって既設区間トンネル1に近い上段領域(
図8Bの(1)
で示される領域)を掘削し、掘削後、コンクリートを50mm吹き付けて、切羽をシール
する。
【0050】
ステップB5.3:制御発破方法によって既設区間トンネル1から離れた上段領域(
図8
Bの(2)で示される領域)を掘削し、掘削後、コンクリートを50mm吹き付けて、切羽
をシールする。
【0051】
ステップB5.4:静的破砕によって既設区間トンネル1に近い下段領域(
図8Bの(3)
で示される領域)を掘削し、上段と下段の間隔を4~6mにする。
【0052】
ステップB5.5:制御発破によって既設区間トンネル1から離れた下段領域(
図8Bの
(4)で示される領域)を掘削し、上段と下段の間隔を4~6mにする。
好ましくは、静的破砕面積と制御発破面積との比が1:4以上である。
【0053】
ステップB6:防水排水システムの施工を行い、ジャンプフォーム工法によって二次覆工
を段階的に施工する。
【0054】
前記ステップB2及びB3のポータルの施工順序は、切羽の位置に応じて決定され、
図8
Cに示すように、ポータルの位置から切羽までの距離は掘削スパンの1.5倍未満にすべ
きである。
【0055】
図8Dに示すように、前記ステップB6においてジャンプフォーム工法によって二次覆工
を段階的に施工することは、開口順序に応じて行われ、前記ポータルの補強リングビーム
211は、既設区間トンネル1構造のポータル箇所での局所的な補強作用に加えて、拡削
隣室2構造のポータルでの局所的な強化作用を果たし、施工継ぎ目の発生を回避し、構造
の防水品質を保証するため、ポータルの補強リングビーム211と同側にある拡削隣室2
の入口での二次覆工とは同期施工を行うべきである。
【0056】
ステップB7:
図8Eに示すように、両側の隣室の施工がすべて完了するまで前記ステッ
プを繰り返し、二次覆工構造が設計強度に達すると仮サポート91を取り外す。
【0057】
ステップB8:
図8Fに示すように、中隔壁及びレール上部エアダクトの内部構造を建築
する。
【0058】
よって、本発明では、既設区間トンネルの拡削站台の施工ステップは、2つの並列タスク
2種に分けられてもよく、1つは、拡削隣室を区間トンネルの方向に沿って掘削すること
であり、もう1つは既設区間トンネル構造を取り除いて、乗客が乗降するためのポータル
を設けることである。拡削隣室を掘削する切羽には2つがあり、1つは、エアダクトから
インゲートを開いて坑に入ることであり、もう1つは、既設トンネルのポータルを取り除
いた後、上方へ隣室断面を拡削することである。前記拡削隣室の掘削・発破はステップB
4~B6に示され、前記ポータルの施工は詳細にB1~B3に示される。この2つの作業
は同時に行われてもよい。
【0059】
以上より、本発明の利点は以下の通りである。
駅舎とホーム構造の分離により、従来の一体型駅全体の埋設深さが線路の埋設深さにより
制限されるという制限性が回避された。区間海横断端の最初の駅として、分離型駅の設計
は、線路設計の要求を満たすだけでなく、土建工事の難易度を効果的に下げ、工期を短縮
させ、構造の品質を高めることができる。また、この場合、駅舎とホームは2つの防火区
画となり、一体型駅では、いったん火災が発生すると駅舎とホームはいずれも安全ではな
いが、分離型駅では、火災が発生した場合、ホームと駅舎は比較的独立しているので、乗
客が上り下り出入り口エリアに入ると、安全範囲に入ることになるので、運転の面では火
災避難のプレッシャーを軽減することができる。
2.区間換気用シャフトと駅の換気用シャフトを一体化する。線路の埋設深さが大きく、
ホーム層の埋設深さが区間トンネルの埋設深さに制御されているので、工事用縦坑や斜坑
を仮設構造として利用すると、コストが高すぎて、経済性がない。区間換気用シャフトと
駅の換気用シャフトの共用は、工事量を効果的に減らし、工事コストを下げることができ
る。また、換気用シャフトを一体化してインゲートを開けて、坑に入ってエアダクトを構
築することで、ホームの非開掘のための新しい作業面を提供することができ、工期を短縮
するのに有利である。
3.トンネルファストの施工方法
トンネルファストの施工方式は、全線のトンネル開通を速やかに実現でき、トンネル開通
後は全線のレール敷設などの作業を速やかに開始でき、線路の早期高品質開通を推進する
ことができる。ここで、この点は次の3つの点に分類される。
3.1 ウォータドリルによる切断と手動除去とを組み合わせて既設構造のコンクリート
を取り除く。ウォータドリルによる切断領域の外側エッジは、ポータルの補強リングビー
ムの内側エッジから内側へ100mmずれたものである。ウォータドリルによる切断エッ
ジからポータルの補強リングビームの外側エッジまでは、手動除去によりコンを除去する
ことによって、既設構造の元の鉄筋を有効に保持し、新設リングビームとトンネルとの二
次覆工のアンカーを実現できるだけではなく、施工効率を向上させた。
3.2 隣室拡削には「周辺の衝撃吸収穴と静的破砕と制御発破の組み合わせ」の方式が
採用される。隣室拡削は既設構造に密着して発破・掘削するため、発破衝撃は既設構造と
周囲岩に大きな影響を与えるため、通常の制御発破方法だけを採用すると、既設トンネル
構造の亀裂を招く可能性が高く、軽い場合は、構造の寿命に影響し、重い場合は施工事故
を引き起こす可能性がある。そこで、本発明は、「周辺の衝撃吸収穴と静的破砕と制御発
破の組み合わせ」の隣室鉱山工法による掘進方式を提案し、衝撃吸収穴を設けることによ
り、予割れによる発破の影響を低減する効果を発揮することができ、発破設置区画におい
てはCD法と同様であるが、実際にはベンチカット法である。施工時に既設構造側の上段
静的破砕施工を行った後、上段から遠い側の制御発破を行い、次に、既設構造物側の下段
静的破砕施工を行った後、下段から遠い側の制御発破を行う。このように施工された静的
破砕部は既設区間トンネルと制御発破領域を分離することに相当し、制御発破領域域に完
全な衝撃吸収帯を提供し、発破振動が既設区間トンネルに伝わらないようにし、構造施工
の安全性を保証する。
3.3 ポータルの補強リングビームと拡削隣室の二次覆工の打設の工期は協同する必要
があり、施工継ぎ目の発生を避け、構造の防水品質を保証するためポータルの補強リング
ビームと拡削隣室の二次覆工は同期して施工すべきである。しかし、隣室の非開削では、
施工面は比較的に多いので、構造の強度が弱まることによる切羽の不安定などの施工事故
を防止するために、ポータルの施工は切羽からの距離が掘削スパンの1.5倍より小さく
てはならない。そのため、施工計画を立てる時に隣室の施工速度とポータルの破壊の進度
のバランスをよく考慮すべきである。
【0060】
上記の説明及び記載は単なる例示であって、本発明の開示、適用又は使用を限定するもの
ではないことは明らかである。実施例による説明が行われ、図面で実施例が説明されてい
るが、本発明は、本発明の教示を実施するための最良の形態であると現時点で考えられる
、図面に示され、実施例に記載された特定の例に限定されない。本発明の範囲は、前述の
明細書及び添付の特許請求の範囲に含まれる任意の実施例を含むものとする。
【符号の説明】
【0061】
1、既設区間トンネル;2、拡削隣室;3、バリアフリー出入り口;4、地下横断歩道;
5、上り下り出入り口;6、第1換気用シャフトダクト;7、開削駅舎;8、第2換気用
シャフト;61、第1換気用シャフト;62、第1エアダクト;21、ポータル;211
、ポータルの補強リングビーム;22、站台;91、仮サポート用鉄骨;92、衝撃吸収
穴の軸線;93、ドリルによるカットエッジ;94、衝撃吸収穴
【要約】 (修正有)
【解決手段】海陸接合領域における地下鉄の分離型駅構造及びその施工方法に関する。該構造は、開削駅舎、ホーム階、第1換気用シャフトダクト、第2換気用シャフト、上り下り出入り口、バリアフリー出入り口、及び地下横断歩道を含み、前記ホーム階は、既設区間トンネルを拡削したもので、ホーム階のダブルアーチ構造となり、前記上り下り出入り口は、両側の待合エリアに位置し、両側の拡削隣室と開削駅舎を接続することに用いられ、前記バリアフリー出入り口は、2組設けられており、それぞれ両側の待合エリアに位置し、前記地下横断歩道は、既設の区間トンネルの底板に密着して下方を貫通しており、両側の拡削隣室を接続する。
【効果】海線の縦勾配を小さく確保しつつ、駅舎の浅層埋設による優位性を発揮でき、施工コストを低下させ、施工効率を高め、運用期間中の火災時の避難のプレッシャーを低減させ、純粋な開削法又は純粋な非開削法の欠点を回避する。
【選択図】
図1