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特許7503732難溶性薬物を含む金属(水)酸化物複合体、その製造方法、及びそれを含む薬学的組成物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-13
(45)【発行日】2024-06-21
(54)【発明の名称】難溶性薬物を含む金属(水)酸化物複合体、その製造方法、及びそれを含む薬学的組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/167 20060101AFI20240614BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20240614BHJP
   A61K 31/337 20060101ALI20240614BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20240614BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20240614BHJP
   A61K 47/20 20060101ALI20240614BHJP
   A61K 47/24 20060101ALI20240614BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240614BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240614BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20240614BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
A61K31/167
A61K47/02
A61K31/337
A61K47/10
A61K47/14
A61K47/20
A61K47/24
A61K45/00
A61P35/00
A61P31/12
A61P29/00
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022547026
(86)(22)【出願日】2021-09-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-31
(86)【国際出願番号】 KR2021013215
(87)【国際公開番号】W WO2022065975
(87)【国際公開日】2022-03-31
【審査請求日】2022-08-01
(31)【優先権主張番号】63/084,423
(32)【優先日】2020-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/085,605
(32)【優先日】2020-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/125,122
(32)【優先日】2020-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/126,717
(32)【優先日】2020-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/150,235
(32)【優先日】2021-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/153,206
(32)【優先日】2021-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/157,181
(32)【優先日】2021-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】PCT/KR2021/005208
(32)【優先日】2021-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520511169
【氏名又は名称】ウェビオツリー カンパニー,リミティド
(73)【特許権者】
【識別番号】519094260
【氏名又は名称】シーエヌファーム カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CnPharm Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】Science Building B‐455,52,Ewhayeodae‐gil,Seodaemun‐gu,Seoul,03760,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム,ホ チョン
(72)【発明者】
【氏名】ジン,グン ウー
(72)【発明者】
【氏名】キム,キ ヨク
【審査官】伊藤 幸司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0004548(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第104511027(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第101112374(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104922686(CN,A)
【文献】中国特許第103011254(CN,B)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0035514(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属(水)酸化物と、化合物内に少なくとも一つ以上のヒドロキシ基を含む化合物またはその塩と、を含むが、
前記金属(水)酸化物は、下記化学式3乃至5で表される化合物から選択される一種以上であり、
前記化合物内に少なくとも一つ以上のヒドロキシ基を有する化合物は、化学式1または化学式2で表される化合物から選択される一種以上の化合物である、
金属(水)酸化物複合体。
【化1】

(前記化学式1において、
乃至Rは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、エステル基、アシル基、芳香族環、またはニトロ基であり、
前記R乃至Rうち少なくとも一つ以上はヒドロキシ基である。)
【化2】

(前記化学式2において、
Aは窒素原子または酸素原子であり、
は前記Aが窒素原子であれば水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルキル基であり、前記Aが酸素原子であれば置換基を有さず、
乃至R11は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、メトキシ基、エステル基、、アシル基、またはニトロ基であり、
前記R乃至R11うち少なくとも一つ以上はヒドロキシ基である。)
【化3】

(前記化学式3において、
2+はMg2+、Ni2+、Cu2+、Co2+、及びZn2+からなる群より選択される2価の金属陽イオンであり、
3+はAl3+、Fe3+、V3+、Ti3+、Mn3+、及びGa3+からなる群より選択される3価の金属陽イオンであり、
xは0超過0.5以下の範囲を有する数であり、
AはCO 2-、NO 、Br、Cl、SO 2-、HPO 2-、及びFからなる群より選択される陰イオンであり、
nは陰イオンAの電荷数であり、
nは0.5以上2以下の範囲を有する数であり、
zは0以上1以下の範囲を有する数であり、
yは0を超過する正数である。)
【化4】

(前記化学式4において、
2+はMg2+、Ni2+、Cu2+、Co2+、及びZn2+からなる群より選択される2価の金属陽イオンであり、
xは0以上0.4以下の範囲を有する数であり、
AはCO 2-、NO 、Br、Cl、SO 2-、HPO 2-、及びFからなる群より選択される陰イオンであり、
nは陰イオンAの電荷数であり、
nは0以上2以下の範囲を有する数であり、
zは0以上1以下の範囲を有する数であり、
yは0を超過する正数である。)
【化5】

(前記化学式5において、
2+は Mg2+、Ni2+、Cu2+、またはZn2+であり、
xは1以上2未満の数であり、
AはCO 2-、NO 、Br、Cl、SO 2-、HPO 2-、及びFからなる群より選択される陰イオンであり、
nは陰イオンAの電荷数であり、
nは0以上2以下の範囲を有する数であり、
zは0以上1以下の範囲を有する数であり、
yは0を超過する正数である。)
【請求項2】
前記化合物内に少なくとも一つ以上のヒドロキシ基を有する化合物またはその塩は、水に対する溶解度が0.01mM未満である、
請求項1に記載の金属(水)酸化物複合体。
【請求項3】
前記化学式1で表される化合物は、パクリタキセル(Paclitaxel)及びドセタキセル(Docetaxel)から選択される一種以上を含み、
前記化学式2で表される化合物は、ニクロサミド(niclosamide)及びオキシクロザニド(oxyclozanide)から選択される一種以上を含む、
請求項1に記載の金属(水)酸化物複合体。
【請求項4】
前記金属(水)酸化物複合体は、ウイルス性感染疾患、炎症性疾患、及び悪性腫瘍疾患のうちいずれか一つ以上の疾患の予防または治療用である、
請求項1に記載の金属(水)酸化物複合体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、難溶性薬物の分散性を改善して、生体利用率を優秀にする効果を有する難溶性薬物を含む金属(水)酸化物複合体、その製造方法、及びそれを含む薬学的組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
技術の発展によって、人間の寿命が延長されて世界各国で高齢化が深化している。高齢化が深化することで、ウイルスによる疾病、がんによる疾病にかかる患者の数も増えており、それだけでなく生活環境、食習慣、及びストレスによる疾病も増加する傾向にある。そこで、抗ウイルス剤、抗炎症剤、抗がん剤などに効果がある薬物が多数活溌されてきたが、前記薬物は難溶性のためその適用に限界があり、開発された薬物に対する溶解度の改善、及び生体利用率の改善が薬物の開発に大きな課題となってきた。
それだけでなく、最近新型コロナウイルスの流行で治療剤の開発が至急求められている実情である。ところが、新薬の開発には莫大な時間がかかるため、必要な時点に適切な治療剤が開発することは難しいことが現実である。そこで、従来使用されていた薬物を抗ウイルス剤として再創出するための研究が進められてきたが、このような研究はいわゆる「薬物再創出」という方法を利用している。それだけでなく、抗がん剤として効果がある薬物も再創出されている実情である。従来、新型コロナウイルスの候補物質としてニクロサミド、シクレソニドなどの薬物が新型コロナウイルスの治療剤として研究されてきており、抗がん剤としてはドセタキセルがその有力な広報群として研究されている。前記ニクロサミド及びシクレソニドなそれぞれ寄生虫感染症の治療剤、抗炎症剤、抗マラリア剤として開発が許可された薬であって既に市販中の薬物であり、ドセタキセルの場合は抗がん剤としての開発が許可された薬であって既に市販中である。これらの薬物は安全性が既に検証されており、大量生産ができるという長所があるが、難溶性薬物であって体内での溶解率が著しく落ちるため、市販中の製薬の状態では新型コロナウイルスの治療剤及び抗がん剤として適切な効果を発揮することが難しいという問題があった。
前記のような難溶性薬物の場合、体内での抗ウイルス剤及び/または抗がん剤への作用を極大化するためには、分散性が改善されるべきであり、血中で高い濃度を維持すべきという問題を解決しなければ生体利用率(bioavailability)を上げることができない。
しかし、現在までは前記薬物を再創出するための研究で生体利用率を効果的に上げることができないという問題があった。また、従来の難溶性薬物の分散性を上げる方法の場合、特許文献1のように水溶性高分子担体などの分散剤を利用する方法があるが、上述した方法のように単純に分散剤を利用するだけの方法では、難溶性薬物の分散性を生体内で利用可能な程度に溶解度及び分散性を上げることができないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】韓国登録特許 第10-1897995号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は難溶性薬物が有する分散性が落ちるという問題、及び血中濃度維持力が落ちるという問題を改善し、優れた生体利用率効果を有する難溶性薬物を含む金属(水)酸化物複合体を提供することを目的とする。
また、上述した金属(水)酸化物複合体を製造する方法を提供することを目的とする。
また、本発明はより優れた生体利用率を有する上述した金属(水)酸化物複合体を含む薬学的組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本金属(水)酸化物と、化合物内に少なくとも一つ以上のヒドロキシ基を含む化合物またはその塩と、を含むが、
前記金属(水)酸化物は、下記化学式3乃至5で表される化合物から選択される一種以上である、
金属(水)酸化物複合体を提供する。
【0006】
【化3】
【0007】
(前記化学式3において、
2+はMg2+、Ni2+、Cu2+、Co2+、及びZn2+からなる群より選択される2価の金属陽イオンであり、
3+はAl3+、Fe3+、V3+、Ti3+、Mn3+、及びGa3+からなる群より選択される3価の金属陽イオンであり、
xは0超過0.5以下の範囲を有する数であり、
AはCO 2-、NO 、Br、Cl、SO 2-、HPO 2-、及びFからなる群より選択される陰イオンであり、
nは陰イオンAの電荷数であり、
nは0.5以上2以下の範囲を有する数であり、
zは0以上1以下の範囲を有する数であり、
yは0を超過する正数である。)
【0008】
【化4】
【0009】
(前記化学式4において、
2+はMg2+、Ni2+、Cu2+、Co2+、及びZn2+からなる群より選択される2価の金属陽イオンであり、
xは0以上0.4以下の範囲を有する数であり、
AはCO 2-、NO 、Br、Cl、SO 2-、HPO 2-、及びFからなる群より選択される陰イオンであり、
nは陰イオンAの電荷数であり、
nは0以上2以下の範囲を有する数であり、
zは0以上1以下の範囲を有する数であり、
yは0を超過する正数である。)
【0010】
【化5】
【0011】
(前記化学式5において、
2+はMg2+、Ni2+、Cu2+、またはZn2+であり、
xは1以上2未満の数であり、
AはCO 2-、NO 、Br、Cl、SO 2-、HPO 2-、及びFからなる群より選択される陰イオンであり、
nは陰イオンAの電荷数であり、
nは0以上2以下の範囲を有する数であり、
zは0以上1以下の範囲を有する数であり、
yは0を超過する正数である。)
また、本発明は金属(水)酸化物と、化合物内に少なくとも一つ以上のヒドロキシ基を含む化合物またはその塩と、添加剤と、を含むが、
前記金属(水)酸化物は、下記化学式3乃至5で表される化合物のうち一種以上である、薬学的組成物を提供する。
【0012】
【化3】
【0013】
(前記化学式3において、
2+はMg2+、Ni2+、Cu2+、Co2+、及びZn2+からなる群より選択される2価の金属陽イオンであり、
3+はAl3+、Fe3+、V3+、Ti3+、Mn3+、及びGa3+からなる群より選択される3価の金属陽イオンであり、
xは0超過0.5以下の範囲を有する数であり、
AはCO 2-、NO 、Br、Cl、SO 2-、HPO 2-、及びFからなる群より選択される陰イオンであり、
nは陰イオンAの電荷数であり、
nは0.5以上2以下の範囲を有する数であり、
zは0以上1以下の範囲を有する数であり、
yは0を超過する正数である。)
【0014】
【化4】
【0015】
(前記化学式4において、
2+はMg2+、Ni2+、Cu2+、Co2+、及びZn2+からなる群より選択される2価の金属陽イオンであり、
xは0以上0.4以下の範囲を有する数であり、
AはCO 2-、NO 、Br、Cl、SO 2-、HPO 2-、及びFからなる群より選択される陰イオンであり、
nは陰イオンAの電荷数であり、
nは0以上2以下の範囲を有する数であり、
zは0以上1以下の範囲を有する数であり、
yは0を超過する正数である。)
【0016】
【化5】
【0017】
(前記化学式5において、
2+はMg2+、Ni2+、Cu2+、またはZn2+であり、
xは1以上2未満の数であり、
Aは陽イオンであり、
nは陰イオンAの電荷数であり、
nは0以上2以下の範囲を有する数であり、
zは0以上1以下の範囲を有する数であり、
yは0を超過する正数である。)
【発明の効果】
【0018】
本発明は金属(水)酸化物複合体を利用して難溶性薬物の問題点である低い分散性及び血中濃度維持効果を改善し、優れた生体利用率を有する難溶性薬物またはそのプロドラッグを含む金属(水)酸化物複合体を提供する効果を有する。
本発明は難溶性薬物薬物の低い分散性及び低い血液内溶解効果を改善する金属(水)酸化物複合体の製造方法を提供する効果を有する。
また、本発明のか焼された金属(水)酸化物複合体を利用する場合、難溶性薬物だけでなく生体内で容易に分解される薬物を保護して生体利用率を上げる効果も有する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】ニクロサミドのSARS-CoV-2ウイルスに対する抗ウイルスメカニズムに対する概要図である。
図2】(a)はDHT-NIC複合体の製造方法に対する概要図であり、(b)はDHT-NIC複合体の界面活性剤処理した組成物を製造する方法に対する概要図である。
図3】(a)はNIC、(b)はHT、(c)はDHT、(d)はDHT-NIC複合体に対するXRDグラフである。
図4】実施例1-1、実施例1-2、参照例3、参照例4、及びNICに対するXRDグラフである。
図5】MgO、Al、MgO Al grinding及び参照例4に対するXRDグラフである。
図6】実施例1-1、実施例4、参照例5、参照例7、参照例8、及びNICに対するXRDグラフである。
図7】実施例1-1、実施例1-2、参照例、参照例5、参照例6、及びNICに対するXRDグラフである。
図8】実施例1-1、実施例3、参照例4、参照例9、及びNICに対するXRDグラフである。
図9】実施例1-1、実施例1-3、実施例1-4、実施例1-5、参照例4、及びNICに対するXRDグラフである。
図10】参照例3(HT)、参照例10(DHT 250℃)、参照例4(DHT 350℃)に対するXRDグラフである。
図11】参照例12、参照例14、参照例4、参照例10、参照例3(HT)に対するXRDグラフである。
図12】参照例11、参照例12、実施例1-1、参照例4、及びNICに対するXRDグラフである。
図13】実施例12-1、実施例12-2、NIC、Mg(OH)に対するXRDグラフである。
図14】実施例13-1、NIC、MgOに対するXRDグラフである。
図15】実施例14-1、DTX、参照例4、及び参照例3に対するXRDグラフである。
図16】実施例16-1、DTX、MgO(800℃でか焼されたMgO)、及びMgO(か焼されていないMgO)に対するXRDグラフである。
図17】Aは電界放射型走査電子顕微鏡(FE-SEM)画像、BはTEM画像、CはTEM横断面(cross-sectional)画像であり、(a)は参照例3、(b)は参照例4,及び(c)は実施例1-1に対する画像である。
図18】NIC、HT(参照例3)、DHT(参照例4)、及びDHT-NIC複合体(実施例1-1)のフーリエ変換赤外線(FT-IR)スペクトルグラフである。
図19】HT(参照例3)及びDHT(参照例4)のフーリエ変換赤外線(FT-IR)スペクトルグラフである。
図20】NIC及び実施例1-4の繰り返し測定によるフーリエ変換赤外線(FT-IR)スペクトルグラフである。
図21】実施例1-1のDSC-TGAグラフである。
図22】HT(参照例3)、DHT(参照例4)、及びDHT-NIC複合体(実施例1-1)の窒素吸着(adsorption)-脱着(desorption)等温線に対するグラフである。
図23】HT(参照例3)、DHT(参照例4)、及びDHT-NIC複合体(実施例1-1)の電界放射型走査電子顕微鏡(FE-SEM)画像である。
図24】動的光散乱(Dynamic light scattering)分析による結果値であって、(a)はHT(参照例3)、(b)はDHT(参照例4)、及び(c)はDHT-NIC複合体(実施例1-1)の平均粒子サイズ分布に対するグラフである。
図25】乃至
図35】時間による血漿内のNIC濃度に対するグラフである。
図36】ドセタキセル、実施例14、及び実施例16に対するAUC結果値に対するグラフである。
図37】実施例6(D56H)、実施例12-3(Mg(OH))、実施例13-2(MgO)、比較例4(HT)、及び比較例1(Yomesan)の放出率に結果に対するグラフである。
図38】感染対照群、Yomesan、及び実施例11に対するウイルス死滅結果に対するグラフである。
図39】実施例20(NIC:MgO:HPMC6:ポロキサマー(1:0.5:1:1))、実施例21(NIC:MgO:HPMC6:ポロキサマー(1:1:1:1))、実施例22(NIC:MgO:HPMC6:ポロキサマー(1:2:1:1))、及び比較例5(NIC:HPMC6:ポロキサマー(1:1:1))の時間による血漿内のNIC濃度に対するグラフである。
図40】それぞれ実施例23-1、23-2、及び23-3のMgO含量の増加によるAUCの傾向を示すグラフである。
図41】対照群(単純5-FU)及び比較例2(5-FU:MgO:HPMC)の時間による血漿内の薬物濃度に対するグラフである。
図42】対照群(単純リポ酸)及び比較例3(リポ酸:MgO:HPMC)の時間による血漿内の薬物濃度に対するグラフである。
図43】対照群(単純アルテスナート)及び比較例4(アルテスナート:MgO:HPMC)の時間による血漿内の薬物濃度に対するグラフである。
図44】ウイルス感染されていない対照群(NC)、ウイルスに感染された対照群(VC)、ウイルスに感染されたハムスターに実施例24の薬学的組成物をそれぞれ20mg/Kg、40mg/Kg、80mg/Kg、及び比較例5の組成物を80mg/Kg投与した群に対する肉眼的肺炎病変改善率に対する結果を示すグラフである。
図45】ウイルス感染されていない対照群(NC)、ウイルスに感染された対照群(VC)、ウイルスに感染されたハムスターに実施例24の薬学的組成物をそれぞれ20mg/Kg、40mg/Kg、80mg/Kg、及び比較例5の組成物を80mg/Kg投与した群に対する肺組織病理所見に対する結果を示すグラフである。
図46】ウイルス感染された対照群(VC)、ウイルスに感染されたハムスターに実施例24の薬学的組成物をそれぞれ20mg/Kg、40mg/Kg、80mg/Kg、及び比較例5の組成物を80mg/Kg投与した群に対するviral load in lung sampleに対する結果を示すグラフである。
図47】ウイルス感染されていない対照群(NC)、ウイルスに感染された対照群(VC)、ウイルスに感染されたハムスターに実施例24の薬学的組成物をそれぞれ20mg/Kg、40mg/Kg、80mg/Kg、及び比較例5の組成物を80mg/Kg投与した群に対する肺組織病理所見の根拠になる細胞写真である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下では本発明より詳細に説明する。
本発明は分散性、溶解性、及び生体利用率が著しく改善された難溶性薬物を含む金属(水)酸化物複合体を提供する。本発明において、難溶性薬物とは水に対する溶解度が著しく低い薬物であって、化合物内に少なくとも一つ以上のヒドロキシ基を含む化合物を意味する。水に対する溶解度が著しく低いとは、化合物の水に対する溶解度が0.001mM未満であることを意味する。
本発明は、金属(水)酸化物と、化合物内に一つ以上のヒドロキシ基を含む化合物またはその塩と、を含むが、
前記金属(水)酸化物は、下記化学式3乃至5で表される化合物から選択される一種以上である、金属(水)酸化物複合体を提供する。
【0021】
【化3】
【0022】
(前記化学式3において、
2+はMg2+、Ni2+、Cu2+、Co2+、及びZn2+からなる群より選択される2価の金属陽イオンであり、
3+はAl3+、Fe3+、V3+、Ti3+、Mn3+、及びGa3+からなる群より選択される3価の金属陽イオンであり、
xは0超過0.5以下の範囲を有する数であり、
AはCO 2-、NO 、Br、Cl、SO 2-、HPO 2-、及びFからなる群より選択される陰イオンであり、
nは陰イオンAの電荷数であり、
nは0.5以上2以下の範囲を有する数であり、
zは0以上1以下の範囲を有する数であり、
yは0を超過する正数である。)
【0023】
【化4】
【0024】
(前記化学式4において、
2+はMg2+、Ni2+、Cu2+、Co2+、及びZn2+からなる群より選択される2価の金属陽イオンであり、
xは0以上0.4以下の範囲を有する数であり、
AはCO 2-、NO 、Br、Cl、SO 2-、HPO 2-、及びFからなる群より選択される陰イオンであり、
nは陰イオンAの電荷数であり、
nは0以上2以下の範囲を有する数であり、
zは0以上1以下の範囲を有する数であり、
yは0を超過する正数である。)
【0025】
【化5】
【0026】
(前記化学式5において、
2+はMg2+、Ni2+、Cu2+、またはZn2+であり、
xは1以上2未満の数であり、
AはCO 2-、NO 、Br、Cl、SO 2-、HPO 2-、及びFからなる群より選択される陰イオンであり、
nは陰イオンAの電荷数であり、
nは0以上2以下の範囲を有する数であり、
zは0以上1以下の範囲を有する数であり、
yは0を超過する正数である。)
本発明において、前記金属(水)酸化物とは、金属酸化物または金属水酸化物を併せて表現するものである。また、前記化学式3乃至5において、水分子の数を意味するyは0を超過する正数であって、0超過20以下の範囲である。
本発明の前記金属(水)酸化物複合体は、下記化学式6乃至8表される。
【0027】
【化6】
【0028】
(前記化学式6において、
2+はMg2+、Ni2+、Cu2+、Co2+、及びZn2+からなる群より選択される2価の金属陽イオンであり、
xは1以上2以下の範囲を有する数であり、
AはCO 2-、NO 、Br、Cl、SO 2-、HPO 2-、及びFからなる群より選択される陰イオンであり、
Qは化合物内に少なくとも一つ以上のヒドロキシ基を含む化合物またはその塩であり、
nは陰イオンAの電荷数であり、
nは0乃至2の範囲を有する数であり、
zは0乃至1の範囲を有する数であり、
yは0を超過する正数である。)
【0029】
【化7】
【0030】
(前記化学式7において、
2+はMg2+、Ni2+、Cu2+、Co2+、及びZn2+からなる群より選択される2価の金属陽イオンであり、
Qは化合物内に少なくとも一つ以上のヒドロキシ基を含む化合物またはその塩であり、
xは0以上2以下の範囲を有する数であり、
yは0以上1以下の範囲を有する数であり、
x+yは3を超過せず、
x及びyは同時に0の値を有さず、
zは0以上10以下の範囲を有する数である。)
【0031】
【化8】
【0032】
(前記化学式8において、
2+はMg2+、Ni2+、Cu2+、Co2+、及びZn2+からなる群より選択される2価の金属陽イオンであり、
xは0以上0.4以下の範囲を有する数であり、
AはCO 2-、NO 、Br、Cl、SO 2-、HPO 2-、及びFからなる群より選択される陰イオンであり、
Qは化合物内に少なくとも一つ以上のヒドロキシ基を含む化合物またはその塩であり、
nは陰イオンAの電荷数であり、
nは0以上2以下の範囲を有する数であり、
zは0以上1以下の範囲を有する数であり、
yは0を超過する正数である。)
前記化学式6乃至8において、yは水分子の個数を意味し、0を超過する正数であって、好ましくは0超過20以下の範囲における正数である。
本発明において、化合物内に少なくとも一つ以上のヒドロキシ基を含み、水に対する溶解度が0.01mM未満の化合物は、詳しくは、ニクロサミド(niclosamide)、ロペラミド(loperamide)、ペンフルリドール(penfluridol)、シクレソニド(ciclesonide)、オキシクロザニド(oxyclozanide)、ジヒドロガンボギン酸(dihydrogambogic acid)、オサジン(osajin)、ルストロンボパグ(lusutrombopag)、イソオサジン(isoosajin)、イバカフトール(ivacaftor)、トリパラノール(triparanol)、ドロロキシフェン(droloxifene)、ロピナビル(lopinavir)、ドセタキセル(Docetaxel)、ビタミンA(vitamin A)、イデベノン(idebenone)、パクリタキセル(Paclitaxel)、フルベストラント(Fulvestrant)、プロブコール(probucol)、ドキソルビシン(doxorubicin)、ゲムシタビン(gemcitabine)、クェルセチン(quercetin)、シアニジン(cyanidin)、デルフィニジン(delphinidin)、マルビジン(malvidin)、ペラルゴニジン(pelargonidin)、ペツニジン(petunidin)、クルクミン(curcumin)、エピガロカテキンガレート(epigallocatechin-3-gallate)、ゲニステイン(genistein)、レスベラトロール(resveratrol)、エストラジオール(estradiol)、カンプトテシン(camptothecin)、ポドフィロトキシン(podophyllotoxin)、ラロキシフェン(raloxifene)、トポテカン(topotecan)、ボルテゾミブ(bortezomib)、ネチルミシン(netilmicin)、ブラナプラム(branaplam)、及びスピラマイシン(spiramycin)などが挙げられる。
前記化合物内に少なくとも一つ以上のヒドロキシ基を含む化合物は、水に対する溶解度が0.01mM未満である。詳しくは、前記前記化合物内に少なくとも一つ以上のヒドロキシ基を含む化合物のうち水に対する溶解度が0.01未満の化合物は、ニクロサミド、ロペラミド、ペンフルリドール、シクレソニド、オキシクロザニド、ジヒドロガンボギン酸、オサジン、ルストロンボパグ、イソオサジン、イバカフトール、トリパラノール、ドロロキシフェン、ロピナビル、ドセタキセル、ビタミンA、イデベノン、パクリタキセル、フルベストラント、及びプロブコールなどが挙げられる。
前記水に対する溶解度が0.01mM未満であって、一つ以上のヒドロキシ基を含む化合物またはその塩は、より詳しくは、下記化学式1または化学式2で表される化合物から選択される一種以上である。
【0033】
【化1】
【0034】
(前記化学式1において、
R1乃至R6は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、エステル基、アシル基、芳香族環、またはニトロ基であり、
前記R1乃至R6のうち少なくとも一つ以上はヒドロキシ基である。)
【0035】
【化2】
【0036】
(前記化学式2において、
Aは窒素原子または酸素原子であり、
R1は前記Aが窒素原子であれば水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルキル基であり、前記Aが酸素原子であれば置換基を有さず、
R2乃至R11は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、エステル基、アシル基、芳香族環、またはニトロ基であり、
前記R1乃至R11のうち少なくとも一つ以上はヒドロキシ基である。)
前記化学式1または化学式2の置換基において、ハロゲン原子はフッ素原子(F)、塩素原子(Cl)、臭素原子(Br)、またはヨウ素原子(I)を意味する。また、アルキル基の場合、炭素数1乃至10の飽和炭化水素または炭素数1乃至10の不飽和炭化水素であり、炭素数1乃至10の飽和炭化水素としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソピロピル基、またはブチル基などを含む。前記化学式1または化学式2の置換基において、アルコキシ基はメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などであり、アシル基はホルミル基またはアセチル基(エタノイル基)、ベンゾイル基などであり、芳香族環は炭素数3乃至20の芳香族環である。
前記化学式1で表される化合物は、より詳しくは、ドセタキセル、パクリタキセルから選択される一種以上の化合物である。
前記化学式2で表される化合物は、より詳しくは、ニクロサミドである。
本発明において、金属酸化物または金属水酸化物と複合体を形成して生体利用率を上げる薬物は水に対する溶解率が0.01未満であり、化合物構造内に少なくとも一つ以上のヒドロキシ基(OH)を含む化合物である。水に対する溶解度が高い化合物の場合、金属酸化物または水酸化物を利用して複合体を形成しても化合物の生体利用率の向上効果が現れない恐れがあり、水に対する溶解度が低くてもヒドロキシ基を含まなければ、金属酸化物または金属水酸化物との複合体の形成過程で金属酸化物及び/または金属水酸化物との反応性が落ちで薬物の溶解度増進に影響を及ぼすことが難しく、また、生体利用率の増加効果も発揮されないことを確認した。
本発明の金属酸化物及び金属水酸化物のうち化合物その塩及び/または薬物の生体利用率を最も上げるものは、最も好ましくは、マグネシウム酸化物(MgO)形態との複合体である。
また、本発明は金属(水)酸化物と、化合物内に少なくとも一つ以上のヒドロキシ基を含む化合物またはその塩と、添加剤と、を含むが、
前記金属(水)酸化物は、上述した化学式3乃至5で表される化合物のうち一種以上である、薬学的組成物を提供する。
また、本発明は、金属(水)酸化物粉末及び難溶性薬物粉末を機械化学的に合成して金属(水)酸化物複合体を形成するステップを含む製造方法を提供する。
加えて、本発明は、金属(水)酸化物粉末及び難溶性薬物粉末を機械化学的に合成するステップを含む製造方法を提供する。前記機械化学的に合成するステップは、物理的力を加えて粉末を引くかミーリング(milling)する方法を意味し、同分野で通常に使用される方法であれば制限なく使用することができる。より詳しくは、固体状態での反応(solid-state reaction)のための機械化学的合成方法(mechanochemic synthesis)にはグラインディング(grinding)、及び/またはミーリング合成を使用する。更に詳しくは、前記ミーリング合成方法としては、グラインディングミル、モルタルグラインダ、ボールミール、ビードミール、ローラーミール、ミックスアンドヒート、超精密グラインディングミル、アトリッションミルなどがあり、このような方法によって粉末材料の粒子サイズを減少させて粉砕及び分散、混合効果が得られる。前記のように機械化学的に合成するステップを含む場合、低い製造コスト及び製造後廃棄物が少なく発生するという長所を有するだけでなく、無溶媒製法でか焼された金属(水)酸化物が更にか焼前の金属(水)酸化物状態に回復されることを最小化することができるという点で好ましい。
また、本発明は、金属(水)酸化物粉末、難溶性薬物粉末、及び界面活性剤粉末を物理的にグラインディングして製造された薬学的組成物を提供する。
本発明において、金属(水)酸化物をか焼する場合、温度条件は200乃至850℃範囲である。より詳しくは、か焼される物質がヒドロタルサイトであれば200乃至800℃の範囲でか焼され、か焼される物質が金属水酸化物、例えば、Mg(OH)であれば200乃至300℃の温度範囲でか焼を行うことが好ましい。
一方、金属酸化物の場合、例えば、MgOの場合はか焼過程がなくても化合物内に少なくとも一つ以上のヒドロキシ基含む化合物及び/または薬物と複合体を形成して効果的に溶解度または生体利用率を上げることができる。
本発明の一実施例は、難溶性薬物をか焼された金属(水)酸化物の形態に含ませることを特徴とする。か焼された金属(水)酸化物の構造(例えば、DHT)がか焼されていない金属(水)酸化物(例えば、HT)の構造に比べ難溶性薬物であるニクロサミドを含み得る表面積がより広くなるため、難溶性薬物の溶解度及び分散性が更に向上される。
本発明において、前記無水有機溶媒は、水を含まない有機溶媒であれば制限なく使用してもよいが、より詳しくは、無水アルコール、アセトン、アセトニトリル、ジクロメテン、テトラヒドロフラン、及びクロロホルムなどである。また、前記無水アルコールは、無水エタノール、無水メタノール、及び無水ブタノールなどである。
また、本発明は、上述した製造方法である金属(水)酸化物をか焼(calcination)してか焼された金属(水)酸化物を製造するステップと、前記か焼された金属(水)酸化物及び難溶性薬物またはそのプロドラッグを無水有機溶媒で反応させるステップと、を含む難溶性薬物またはそのプロドラッグを含む金属(水)酸化物複合体を提供する。
前記反応させるステップでは水和反応が最小化されて、か焼された形態の金属(水)酸化物が更にか焼前の形態に回復されることを最小化することを特徴とする。
上述した方法で製造されれば、金属(水)酸化物複合体はか焼された形態の金属(水)酸化物を含む。詳しくは、前記か焼か焼された形態の金属(水)酸化物内に難溶性薬物が含まれ、後に難溶性薬物が前記か焼された形態の金属(水)酸化物と反応して金属(水)酸化物複合体を形成したら難溶性薬物の分散性及び溶解性を優秀に増加させることができ、それによって難溶性薬物の生体利用率が高くなる効果を有するという点で好ましい。
また、本発明は、金属(水)酸化物粉末、難溶性薬物粉末、及び界面活性剤粉末を物理的にグラインディングして製造された薬学的組成物を提供する。
本発明において、前記無水有機溶媒は、水を含まない有機溶媒であれば制限なく使用してもよいが、より詳しくは、無水アルコール、アセトン、アセトニトリル、ジクロメテン、テトラヒドロフラン、及びクロロホルムなどである。また、前記無水アルコールは、無水エタノール、無水メタノール、及び無水ブタノールなどである。
また、本発明は、上述した製造方法である金属(水)酸化物及び難溶性薬物またはそのプロドラッグを無水有機溶媒で反応させるステップを含む難溶性薬物またはそのプロドラッグを含む金属(水)酸化物複合体を提供する。
前記反応させるステップでは水和反応が最小化されて、か焼された形態の金属(水)酸化物が更にか焼前の形態に回復されることを最小化することを特徴とする。
上述した方法で製造されれば、金属(水)酸化物複合体はか焼された形態の金属(水)酸化物を含む。詳しくは、前記か焼か焼された形態の金属(水)酸化物内に難溶性薬物が含まれ、後に難溶性薬物が前記か焼された形態の金属(水)酸化物と反応して金属(水)酸化物複合体を形成したら難溶性薬物の分散性及び溶解性を優秀に増加させることができ、それによって難溶性薬物の生体利用率が高くなる効果を有するという点で好ましい。
本発明はまた、金属(水)酸化物及び化合物内に少なくとも一つ以上のヒドロキシ基を含む化合物またはその塩を含む金属(水)酸化物複合体と、添加剤と、を含む薬学的組成物を提供する。
前記薬学的組成物は、薬学的組成物総100重量%に対して、金属(水)酸化物を10乃至60重量%、化合物またはその塩を0.1乃至60重量%、及び添加剤を10乃至85重量%で含むが、より詳しくは、化合物またはその塩を10乃至40重量%、金属(水)酸化物を10乃至45重量%、及び添加剤を10乃至80重量%で含む。
上述した内容に加えて、前記薬学的組成物において、金属(水)酸化物及び化合物内に少なくとも一つ以上のヒドロキシ基を含む化合物及びその塩は1:0.1乃至10の割合で含まれる。
前記薬学的組成物に含まれる金属(水)酸化物複合体は、下記化学式6乃至8から選択される一種以上で表される。
【0037】
【化6】
【0038】
(前記化学式6において、
2+はMg2+、Ni2+、Cu2+、Co2+、及びZn2+からなる群より選択される2価の金属陽イオンであり、
xは1以上2以下の範囲を有する数であり、
AはCO 2-、NO 、Br、Cl、SO 2-、HPO 2-、及びFからなる群より選択される陰イオンであり、
Qは化合物内に少なくとも一つ以上のヒドロキシ基を含む化合物であり、
nは陰イオンAの電荷数であり、
nは0乃至2の範囲を有する数であり、
zは0乃至1の範囲を有する数であり、
yは0を超過する正数である。)
【0039】
【化7】
【0040】
(前記化学式7において、
2+はMg2+、Ni2+、Cu2+、Co2+、及びZn2+からなる群より選択される2価の金属陽イオンであり、
Qは化合物内に少なくとも一つ以上のヒドロキシ基を含む化合物であり、
xは0以上2以下の範囲を有する数であり、
yは0以上1以下の範囲を有する数であり、
x+yは3を超過せず、
x及びyは同時に0の値を有さず、
zは0以上10以下の範囲を有する数である。)
【0041】
【化8】
【0042】
(前記化学式8において、
2+はMg2+、Ni2+、Cu2+、Co2+、及びZn2+からなる群より選択される2価の金属陽イオンであり、
xは0以上0.4以下の範囲を有する数であり、
AはCO 2-、NO 、Br、Cl、SO 2-、HPO 2-、及びFからなる群より選択される陰イオンであり、
Qは化合物内に少なくとも一つ以上のヒドロキシ基を含む化合物であり、
nは陰イオンAの電荷数であり、
nは0以上2以下の範囲を有する数であり、
zは0以上1以下の範囲を有する数であり、
yは0を超過する正数である。)
また、前記薬学的組成物は0.1乃至500mg/Kgで投与される。
本発明において、前記添加剤としては界面活性剤が最も好ましく、前記界面活性剤は、セルロース系(cellulose)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル系(polyoxyethylene sorbitan fatty acid esters)、ポロキサマー系(poloxamer)、レシチン系(lecithin)、グリセロール脂肪酸エステル系(glycerol fatty acid esters)、ソルビタン脂肪酸エステル系(sorbitan fatty acid esters)、PEG系、増粘剤(Long chain of sugar)、安定剤系(Gum)、ゲル化剤系(Gelling agent)、増粘多糖類系、及びドデシル硫酸ナトリウムなどである。詳しくは、セルロース系は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(hydroxypropyl methylcellulose;HPMC)、ヒドロキシエチルセルロース(hydroxyethyl cellulose)、ヒドロキシプロピルセルロース(hydroxypropylcellulose;HPC)、カルボキシメチルセルロース(carboxymethylcellulose;CMC)、エチルセルロース(ethylcellulose;EC)、及び酢酸セルロース(cellulose acetate;CA)などであってもよいが、HPMCが最も好ましい。前記ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの場合、市販のTween系界面活性剤が最も代表的であり、脂肪酸とエチレンオキシドがエステル結合された形態を取る。前記ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル系は、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(Polyoxyethylene sorbitan monolaurate;Tween 20)、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン(polyoxyethylene sorbitan monopalmitate;Tween 40)、ポリエチレングリコールソルビタンモノステアラート(polyethylene glycol sorbitan monostearate; Tween 60)、Tween65、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(polyoxyethylene sorbitan monooleate;Tween80)、及びポリオキシエチレンソルビタントリオレアート(polyoxyethylene sorbitan monooleate;Tween80)などである。前記レシチン系はレシチン及びその誘導体あに対する物質であって、リン脂質(phospholipids)、フォスファチジルコリン(phosphatidyl choline)、複合リン脂質(mixed phospholipids)、コール酸ナトリウム(sodium cholate)、ヒドロキシル化リン脂質(hydroxylated phospholipids)、ヒドロキシル化レシチン(hydroxylated lecithin)などである。前記グリセロール脂肪酸エステルは、ポリグリセロール脂肪酸エステル(polyglycerol fatty acid esters)、ポリリシノール酸ポリグリセロール(polyglycerol polyricinoleate)、トリリシノール酸ポリオキシエチレングリセロール(polyglycerol polyricinoleate)、クレモフォールEL(cremophor EL)などである。前記ソルビタン脂肪酸エステルは、ソルビタンモノラウラート(sorbitan monolaurate;Span 20)、ソルビタンモノオレアート(sorbitan monooleate;Span 80)などである。PEG系は、PEG200、PEG300、PEG400、PEG500、PEG1000、PEG1500、mPEG550などである。ポロキサマー系は、ポロキサマー101、ポロキサマー105、ポロキサマー108、ポロキサマー122、ポロキサマー123、ポロキサマー124、ポロキサマー181、ポロキサマー182、ポロキサマー183、ポロキサマー184、ポロキサマー185、ポロキサマー188、ポロキサマー212、ポロキサマー215、ポロキサマー217、ポロキサマー231、ポロキサマー234、ポロキサマー235、ポロキサマー237、ポロキサマー238、ポロキサマー282、ポロキサマー284、ポロキサマー288、ポロキサマー331、ポロキサマー333、ポロキサマー334、ポロキサマー335、ポロキサマー338、ポロキサマー401、ポロキサマー402、ポロキサマー403、及びポロキサマー407などである。前記増粘剤、安定剤系、ゲル化剤系、増粘多糖類系は、詳しくは、マイクロファイバーセルロース(Microfibrous cellulose)、CMC(Carboxy Methyl Cellulose)、ニトロセルロース(Nitrocellulose)、ヒドロキシプロピルグアー(Hydroxypropyl guar)、変性デンプン(Modified starches)、キサンタンガム、ゼラチン、グアーガム、アラビアガム、セルロースガム、ローカストビーンガム、タマリンドガム、タラガム、グルコマンナン、ポリクォート(Polyquat)、カーボポールプレゲル、ハイセル、ポリステアリン酸、アルギン酸、カラギニン、寒天、アガー(Agar)、ファーセレラン(Furcellaran)、トラガカントガム(Gum tracanth)、カラヤガム(Karaya gum)、ゲランガム(Gellan gum)、ラムザンガム(Rhamsan gum)、ウェランガム(Welan gum)、クインスシードガム(Quince seed Gum)、デキストラン(Dextran)、ヒアルロン酸、カーボポール941、カーボポール934、及びカーボポール940、陽イオン性ポリマー(Polyquaternium-10)、ポリビニルアルコール(Polyvinyl alcohol)、中鎖脂肪酸、フマル酸ステアリル上述した界面活性剤を利用すれば、難溶性薬物を含む金属(水)酸化物複合体の溶解度及び分散性を向上させることができ、それによって難溶性薬物の生体利用率を上げることができるという点でより好ましい。
また、本発明による薬学的組成物は、上述した添加剤以外に当分野で通常的に使用される添加剤であれば制限なく更に含んでもよく、その種類は限らない。より詳しくは、前記添加剤は、柔軟性、作業性を付与するために樹脂に添加する可塑剤(plasticizer)と、前記薬学的組成物が製剤として利用されるのに適切な酸度に調整するためのpH調節剤と、賦形剤と、半固形及び固体相に物質の溶解度を増加させるための可溶化剤(solubilizing agent)と、甘味剤(ssweetener agent)と、ゲル化剤(gelling agent)と、混合物に吸着、固化、一貫性を付与(高温での水分吸収)するための結合剤(bonding agent)と、硬質カプセル基剤と、硬化剤(hardener)と、上述したセルロース系及びTween系以外の界面活性剤(surfactant)と、湿気を吸収するか固化を防止するために使用する固結防止剤(anticaking agent)と、光沢剤(brightener)光沢剤と、本来の味、香りを極大化または調律するための矯味剤(flavors enhancer)と、活性医薬品の媒介体として使用される不活性成分の基剤(base)と、急速加熱による急激な蒸発で小さい隙間を多く有する構造を形成する多孔化剤と、糖衣剤(sugar coating agent)と、凍結保護剤(bulking agent for freeze-drying)と、等張剤(isotonic agent)と、ライナーと、毛髪柔軟剤と、無光剤と、無痛化剤と、粘着テープの粘着面を保護し、使用時に容易に剥離されるようにする紙の役割をする半透過性膜と、発泡剤(effervescent agent)と、防腐剤と、放射能保護剤と、防水剤(desiccant)と、放出調節剤(release-modifying agent)と、培地(culture medium)と、変性剤と、保存剤(antimicrobial preservative)と、付着防止剤(anti-adherent)と、40.6℃で14.7lb/sqより高い蒸気圧で液化された気体である噴射剤(aerosol propellant)と、分散剤(dispersing agent)と、不透明化剤不透明化剤と、崩壊剤(disintegrant)と、電子を除去する物質である酸性化剤(acidifying Agent)と、酸化剤(oxidizer)と、浸透圧の原理を利用して薬物の放出速度を調節する浸透圧調節剤(osmotic regulator)と、徐放化剤(sustained release modifying agent)と、洗浄剤(cleanser)と、消泡剤(antifoaming Agent)と、湿潤剤(humectant)と、安定化剤(stabilizing Agent)と、アルカリ化剤(alkalizing agent)と、薬物貯蔵層薬物を貯蔵するマットレスと、軟質カプセル基剤と、皮膚を柔らかくするクリームのような物質である軟化剤(emollient)と、水素イオン指数が大きく変化することを予防する緩衝材(buffering agent)と、溶剤(solvent)と、溶解補助剤(emulsifying agent)と、活性のある医薬品の結合または溶融に関して移用される運搬剤と、柔軟剤(softner)と、乳化剤(emulsifier)と、凝固防止剤(blood coagulation inhibitor)と、刺激緩和剤(anit-allergenic)と、腸溶性被覆剤(enteric coating agent)と、増粘剤(viscosity-increasing agent)と、粘着剤(complexing agent)と、粘着性のある支持体粘着剤/支持体(adhesive)と、除去膜と、支持体と、遮光剤(UV protector)と、医薬品の不快な味または臭いを除去可能な遮蔽剤(masking agent)と、着色剤(color)と、着香剤(flavors and perfumes)と、医薬品の容器内に入っていて薬物投与の際に補助的に使用可能な添付物と、溶液になるように溶質を助け、薬物投与の際に使用する添付溶剤と、清涼化剤(refreshing agent)と、容量または重量を増加させるために他の物質に添加する充填剤(air displacement)と、薬液の浸透を円滑にするために使用される浸透基剤(penetration enhancer)と、コーティング剤(coating agent)と、キレート化剤(chelating Agent)と、脱色剤(discolor)と、脱脂剤と、表示剤(labelling agent)と、被覆体と、抗酸化剤(antioxidant)と、懸濁化剤(suspending agent)と、希釈剤または緩和剤と同じ容量で製品に添加するための拡張剤と、還元剤と、丸剤の相互粘着、カビの発生、水分蒸散の防止を目的とする粉末である丸衣剤と、皮膚に適用するが呑み込みやすくなるように摩擦を減少させるための滑沢剤(glidant Agent)と、揮発抑制剤(volatile restrainer)と、揮発促進剤と、気体と液体を吸収する吸収剤と、表面で気体、液体、または溶質を吸着させるための吸着剤と、希釈剤(humectant)液相剤と、温感を与える物質である温感剤と、オイドラギットなどのようなpH依存性、膨潤挙動調節作用を有する腸溶性コーティング剤などである。
本発明において、前記薬学的組成物は細菌性またはウイルス性感染疾患、炎症性疾患、及び悪性腫瘍疾患のうちいずれか一つ以上の疾患の予防または治療用である。より詳しくは、本発明の薬学的組成物は、新型コロナウイルスの予防または治療用であり、抗がん用である。
前記細菌性またはウイルス性感染疾患は、マラリア感染またはエプスタインバールウイルス(Epstein Barr Virus; EBV)、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、HIV、HTLV1、水痘帯状疱疹ウイルス(Varicella-Zoster Virus; VZV)、及びヒト乳頭腫ウイルス(Human Papilloma Virus; HPV)を含むウイルス性疾患、SARS-CoV及び/またはSARS-CoV2などのコロナウイルス(Corona virus)によるウイルス感染症、その他レトロウイルス(retrovirus)感染症などの疾患である。
前記炎症性疾患は、血管再狭窄(vascular restenosis)と、自己免疫疾患、膵臓炎、糸球体腎炎(glomerulonephritis)、心筋梗塞(myocardial infarction)、及び乾癬を含む炎症性疾患と、アレルギー性喘息、アトピー性皮膚炎(湿疹)、及びアレルギー性鼻炎(Rhinitis)を含むアトピー性疾患(Atopy)と、アレルギー性接触性皮膚炎(Allergic Contact Dermatitis)及び過敏性肺炎(Hypersensitivity Pneumonitis)を含む細胞媒介性過敏症(Cell Mediated Hypersensitivity)と、全身性エリテマトーデス(Systemic Lupus Erythematosus; SLE)、関節リウマチ、若年性関節炎(Juvenile Arthritis)、シェーグレン症候群(Sjogren’s Syndrome)、硬化症(Scleroderma)、多発性筋炎(Polymyositis)、強直性脊椎炎(Ankylosing Spondylitis)、及び乾癬性関節炎(Psoriatic Arthritis)を含むリウマチ性疾患と、糖尿病と、自己免疫性甲状腺疾患と、認知症、パーキンソン病、アルツハイマー病を含む脳疾患と、その他自己免疫性疾患及び関節炎などを含む退行性疾患などの疾患である。
前記悪性腫瘍疾患は、線維肉腫(fibrosarcoma)、粘液肉腫(myxosarcoma)、脂肪肉腫(liposarcoma)、軟骨肉腫(chondrosarcoma)、骨肉腫(osteogenic sarcoma)、骨肉腫(chordoma)、脈管肉腫(angiosarcoma)、内皮肉腫(endotheliosarcoma)、リンパ管肉腫(lymphangiosarcoma)、リンパ管内皮肉腫(lymphangioendotheliosarcoma)、滑膜腫(synovioma)、中皮腫(mesothelioma)、ユーイング肉腫(Ewing’s tumor)、平滑筋肉腫(leiomyosarcoma)、横紋筋肉腫(rhabdomyosarcoma)、大腸がん種(colon carcinoma)、膵臓がん(pancreatic cancer)、乳がん(breast cancer)、卵巣がん(ovarian cancer)、前立腺がん(prostate cancer)、扁平上皮がん種(squamous cell carcinoma)、基底細胞がん種(basal cell carcinoma)、腺がん種(adenocarcinoma)、汗腺がん種(sweat gland carcinoma)、脂腺がん種(sebaceous gland carcinoma)、乳頭がん種(papillary carcinoma)、乳頭腺がん種(papillary adenocarcinoma)、嚢胞腺がん種(cystadenocarcinoma)、髄様がん種(medullary carcinoma)、気管支原性がん種(bronchogenic carcinoma)、腎細胞がん種(renal cell carcinoma)、肝がん(hepatoma)、胆管がん種(bile duct carcinoma)、絨毛がん種(choriocarcinoma)、精上皮腫(seminoma)、胎児性がん種(embryonal carcinoma)、ウィルムス腫瘍(Wilms tumor)、子宮頸がん(cervical cancer)、精巣腫瘍(testicular tumor)、肺がん種(lung carcinoma)、小細胞肺がん種(small cell lung carcinoma)、膀胱がん種(bladder carcinoma)、上皮性がん種(epithelial carcinoma)、神経膠腫(glioma)、星状細胞腫(astrocytoma)、髄芽腫(medulloblastoma)、頭蓋咽頭腫(craniopharyngioma)、上衣腫(ependymoma)、松果体腫瘍(pinealoma)、血管芽腫(hemangioblastoma)、聴神経腫瘍(acoustic neuroma)、乏突起膠腫(oligodendroglioma)、髄膜腫(meningioma)、黒色腫(melanoma)、神経芽細胞腫(neuroblastoma)、及び網膜芽細胞腫(retinoblastoma)を含むがん、及び乳房、前立腺、腎臓、膀胱、または結腸組織から生成されたがん種(carcinoma)と、脂肪細胞腫瘍、例えば、脂肪種(lipoma)、線維脂肪腫(fibrolipoma)、脂肪芽腫(lipoblastoma)、脂肪種症(lipomatosis)、褐色脂肪腫(hibemoma)、血管腫(hemangioma)、及び/または脂肪肉腫(liposarcoma)のような脂肪組織で現される腫瘍性疾患などである。
本発明による薬学的組成物は、経口剤、注射剤、粘膜剤、吸入剤、外用剤、経皮吸収製剤(軟膏剤、クリーム剤など)などの形態であるが、これに限らず、経口剤の形が好ましい。
本発明において、前記pH調節剤は当分野で通常に使用されるものを使用するが、好ましくはクエン酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸、グリコール酸、酢酸、塩酸、臭化水素酸、硫酸などを使用する。
本明細書において、前記賦形剤は、ポリビニルピロリドン、グルコース、ホスファチド、多価アルコール(polyhydric alcohol)、及びスクロース、トレハロース、マンニトール、ラクトース、クエン酸、マンニトール、デキストロースを含む単糖類、二糖類、三糖類などの医薬品に使用可能な一つ以上を使用する。
本発明は、金属(水)酸化物をか焼してか焼された金属(水)酸化物を製造するステップと、前記か焼された金属(水)酸化物及び難溶性薬物またはそのプロドラッグを無水有機溶媒で反応させるステップと、を含む難溶性薬物またはそのプロドラッグを含む金属(水)酸化物複合体の製造方法を提供する。
前記無水溶媒で反応させるステップでは、水和反応が行われない。
より詳しくは、前記か焼された金属(水)酸化物を製造するステップにおけるか焼は250℃以上2000℃以下の温度で行われる。
また、本発明は上述した金属(水)酸化物複合体に界面活性剤処理をして金属(水)酸化物複合体をコーティングするステップを更に含むことで、薬学的組成物を製造する方法を提供する。
前記界面活性剤処理をするステップは、有機溶媒に界面活性剤を溶解させて界面活性剤溶媒を製造するステップと、上述した金属(水)酸化物複合体を前記界面活性剤溶媒と混合及び撹拌して混合物を形成するステップと、前記混合物から溶媒を蒸発させるステップと、を含む。
参照例1:か焼されていない金属(水)酸化物-ニクロサミド複合体の合成(HT)
質素環境下、ヒドロタルサイト(Sigma AldrichまたはKwoya Chemical Industry CO., LTD.)6.9gを精製水700mlに懸濁させた後、30分間撹拌する。懸濁液にニクロサミド3.4gにNaOH(0.1M水溶液)を混合してナトリウム塩に置換されたニクロサミドナトリウム塩水溶液を製造した後、このナトリウム塩水溶液をヒドロタルサイト懸濁液に30分間徐々に滴加する。この際、溶液のpHはNaOHを利用して8.5に維持する。滴定した後、常温窒素環境下で18時間撹拌し、懸濁液をfiltered glass(membrane filter)を利用してフィルタリングした後、pHが調節された水溶液を利用して3回洗浄する。最後に、エタノールを利用して2回更に洗浄した後、真空乾燥機(1mbar、40℃)を利用して一日中乾燥して、白色の最終複合体を収率70%(drug base)で収得した。
参照例2:か焼されていない金属(水)酸化物-ニクロサミド複合体の合成(HT)
ニクロサミドをカーボネートイオン(CO 2-)が除去された3次蒸留水に溶解させた溶液を、Zn(NO・HOをカーボネートイオン(CO 2-)が除去された3次蒸留水に溶解させた溶液に溶かした後、0.2M NaOHを使用してpHを6~7程度に滴定して亜鉛塩基性塩沈殿物を得た。前記滴定された溶液を遠心分離機で分離し、洗浄過程を経て未反応塩を除去した。次に、製造された亜鉛塩基性塩沈殿物を得た後、更に遠心分離と洗浄過程を経て、真空乾燥して黄色のパウダーを収得した。
参照例3:HT(MgAl(OH)16CO3.4HO)
参照例4:DHT(350℃)
窒素環境下、ヒドロタルサイト(Sigma AldrichまたはKwoya Chemical Industry CO., LTD.)をそれぞれ粉末3gずつを取り、各反応容器に入れて、350℃条件下で8時間か焼を行い、DHTを収得する。
参照例5:DHT(350℃):NIC=1:0.4-grinding
参照例4のDHTとニクロサミドを0.6:0.4の重量比、DHT0.6g及びニクロサミド0.4gをグラインディングして、参照例5を収得した。
参照例6:DHT(350℃):NIC=0.8:0.2-grinding
参照例4のDHTとニクロサミドを0.8:0.2の重量比、DHT0.8g及びニクロサミド0.2gをグラインディングして、参照例6を収得した。
参照例7:MgO:Al=2:1-grinding
MgOとAl試料を2:1の重量比、MgOパウダー2g、及びAlパウダー1gをグラインディングして、参照例7を収得した。
参照例8:MgO:Al:NIC=2:1:1-grinding
MgOとAlとニクロサミド試料を2:2:1の重量比、MgOパウダー2g、Alパウダー1g、NIC 1gをグラインディングして、参照例8を収得した。
参照例9:HT-NIC(36%)/EtOH
フラスコにヒドロタルサイト(Sigma AldrichまたはKwoya Chemical Industry CO., LTD.)粉末3gと無水エタノール50mlを入れ、超音波処理で10分間粉末をよく分散させる。溶液をrpm700以上で撹拌しながらニクロサミド3gを投入した後、6時間撹拌する。精製のためにfilter membraneを介して余液を除去し、4~5回無水エタノールを利用して洗浄し真空乾燥して、黄色のDHT-NIC合成物パウダーを収得した(含量36%)。フラスコにHPMC0.356gを無水エタノールとジクロロメタン1:1割合の溶液に溶かす。前記HT-NIC2.0gを前記2つの主タンクにそれぞれ入れ、30分間素早く撹拌する。回転蒸発濃縮器を利用して溶媒を蒸発させた後、得られた薬学的組成物(黄色粉末)を乾燥して、図8(青)の薬学的組成物を得た。
参照例10:DHT(250℃)
窒素環境下、ヒドロタルサイト(Sigma AldrichまたはKwoya Chemical Industry CO., LTD.)をそれぞれ粉末3gずつを取り、各反応容器に入れて、250℃条件下で8時間か焼を行い、参照例10のDHTを収得する。
参照例11:DHT(350℃)-NIC/EtOH+H
350℃で焼成されたデヒドロタルサイトとニクロサミドを無水エタノールで合成した後(NIC含量44%)、DHT-NICと無水エタノール溶液に水を添加(4%)し、48時間撹拌した。
参照例12:DHT(350℃)/EtOH+H
350℃で焼成されたデヒドロタルサイトを、無水エタノール溶液に水を添加(4%)してから48時間撹拌した。
参照例13:HT-NIC/HPMC
ヒドロタルサイト(Sigma AldrichまたはKwoya Chemical Industry CO., LTD.)とニクロサミドを無水エタノールで合成及びフィルタリング、洗浄した後、収得した(NIC含量35%)HT-NICをHPMCと共に無水エタノールとジクロロメタン溶液で反応して収得した。
参照例14:DHT(350℃)/EtOH
350℃で焼成されたデヒドロタルサイトを、無水エタノール溶液48時間撹拌した。
実施例1-1及び実施例1-2の合成:か焼された金属(水)酸化物-ニクロサミド複合体の合成(DHT-NIC複合体)
<ステップ1>
ヒドロタルサイト(Sigma AldrichまたはKwoya Chemical Industry CO., LTD.)粉末3gずつをそれぞれ取り、各反応容器に入れて、350℃条件下で8時間か焼を行う。
<ステップ2>
各容器に無水メタノール200mlを入れ、超音波処理で10分間粉末をよく分散させる。各溶液をrpm700以上を撹拌しながら、ニクロサミド3g(実施例1-1)、1.5g(実施例1-2)を投入し、6時間撹拌する。精製のためにfilter membraneを介して余液を除去し、4~5回無水メタノールを使用して洗浄を行って、黄色のパウダーを収得した。最終ニクロサミドの含量は1-1は44%、1-2は22%の含量を示した。
実施例1-3及び実施例1-5の合成:か焼された金属(水)酸化物-ニクロサミド複合体の合成(DHT-NIC複合体)
<ステップ1>
ヒドロタルサイト(Sigma AldrichまたはKwoya Chemical Industry CO., LTD.)をそれぞれ粉末3gずつを取り、3つの各反応容器(実施例1-3、実施例1-4、実施例1-5)に入れて、350℃条件下で8時間か焼を行う。
<ステップ2>
容器にそれぞれ無水エタノール100ml、50ml、25mkを入れ、超音波処理で10分間粉末をよく分散させる。各溶液をrpm700以上で撹拌しながらニクロサミド3gを投入した後、6時間撹拌する。精製のためにfilter membraneを介して余液を除去し、4~5回無水エタノールを利用して洗浄し真空乾燥して、黄色のパウダーを収得した。最終ニクロサミドの含量は1-3は32%、1-4は46%、1-5は31%の含量を示した。
実施例2.か焼された金属(水)酸化物-ニクロサミド複合体の合成(DHT-NIC複合体)
市販のヒドロタルサイト(Sigma AldrichまたはKwoya Chemical Industry CO., LTD.)を250℃以上800℃以下の条件下で50℃間隔でそれぞれ粉末3gずつを取り、各反応容器に入れて8時間か焼を行う。各容器に無水エタノール50mlを入れ、超音波処理で30間粉末をよく分散させる。各溶液をrpm700以上で攪拌しながら無水エタノール50mlとニクロサミド3gを投入し、24時間撹拌する。精製のためにfilter membraneを介して余液を除去し、4~5回無水エタノールを利用して洗浄し真空乾燥して、黄色のパウダーを収得した。
実施例3.か焼された金属(水)酸化物-ニクロサミド複合体の合成(DHT-NIC複合体)
窒素環境下、pristine ZnAl-LDH 6.9gを精製水700mlに懸濁させた後、30分間撹拌する。懸濁液にニクロサミド3.4gにNaOH(0.1M水溶液)を混合してナトリウム塩に置換されたニクロサミドナトリウム塩水溶液を製造した後、このナトリウム塩水溶液をLDH pristine懸濁液に30分間徐々に滴加する。この際、溶液のpHはNaOHを利用して8.5に維持する。滴定した後、常温窒素環境下で18時間撹拌し、懸濁液をfiltered glass(membrane filter)を利用してフィルタリングした後、pHが調節された水溶液を利用して3回洗浄する。最後に、エタノールを利用して2回更に洗浄した後、真空乾燥機(1mbar、40℃)を利用して一日中乾燥して、白色の最終複合体を収率70%(drug base)で収得した。次に、250℃以上800℃以下の条件下で、50℃間隔でそれぞれ粉末3gずつを取り、各反応容器に入れて8時間か焼を行う。各容器に無水エタノール50mlを入れ、超音波処理で30間粉末をよく分散させる。各溶液をrpm700以上で撹拌しながら無水エタノール50mlとニクロサミド3gを投入した後、24時間撹拌する。精製のためにfilter membraneを介して余液を除去し、4~5回アセトン及び無水エタノールを利用して洗浄し真空乾燥して、黄色のパウダーを収得した。
実施例4及び5.か焼された金属(水)酸化物-ニクロサミド複合体を含む薬学的組成物の製造
<ステップ1>
ヒドロタルサイト(Sigma AldrichまたはKwoya Chemical Industry CO., LTD.)粉末3gを取り、アルミナ容器に入れて、炉で350℃の条件下で8時間か焼を行う。
<ステップ2>
各粉末をフラスコに入れて無水エタノール50mlを入れ、超音波処理で10間粉末をよく分散させる。各溶液をrpm700以上で撹拌しながらニクロサミド3gを投入した後、6時間撹拌する。精製のためにfilter membraneを介して余液を除去し、4~5回無水メタノールを利用して洗浄し真空乾燥して、黄色のDHT-NIC合成物パウダーを収得したが、43.3%のニクロサミド含量を示した。前記複合体のFT-IRグラフを図19に示した。
<ステップ3>
2つの主タンクに、それぞれHPMC0.270gまたはTween60 0.540gを無水エタノールとジクロロメタン1:1割合の溶液、または無水エタノールに溶かす。前記DHT-NIC1.350gを前記2つの主タンクにそれぞれ入れ、30分間素早く撹拌する。回転蒸発濃縮器を利用して溶媒を蒸発させた後、得られた薬学的組成物(黄色粉末)を乾燥して、それぞれ実施例4及び5の薬学的組成物を得る。
実施例6及び11.か焼された金属(水)酸化物-ニクロサミド複合体を含む薬学的組成物の製造
<ステップ1>
ヒドロタルサイト(Sigma AldrichまたはKwoya Chemical Industry CO., LTD.)をそれぞれ粉末3gずつを取り、3つの各反応容器に入れて、350℃条件下で8時間か焼を行う。
<ステップ2>
容器にそれぞれ無水エタノール50mlを入れ、超音波処理で10分間粉末をよく分散させる。前記溶液をrpm700以上で撹拌しながらニクロサミド3gを投入した後、6時間撹拌する。精製のためにfilter membraneを介して余液を除去し、4~5回無水エタノールを利用して洗浄し真空乾燥して、黄色のパウダーを収得した。最終ニクロサミド含量は46%の含量を示した。
<ステップ3>
前記ステップ1及び2によって製造されたDHT-NIC複合体に更にニクロサミドとHPMCを無水エタノールとジクロロメタンに溶かした追加溶液を入れて撹拌した後、蒸発(または噴霧乾燥)して、実施例6乃至11の薬学的組成物を製造した。
実施例6乃至11それぞれのステップ3の実施方法は下記のようである。
実施例6のステップ3
主タンクにHPMC0.546gを無水エタノールとジクロロメタン1:1割合の溶液に溶かす。DHT-NIC2.728gを前記の主タンクに入れ、30分間素早く撹拌する。回転蒸発濃縮器を利用して溶媒を蒸発させた後、得られた薬学的組成物(黄色粉末)を乾燥して薬学的組成物を得る。
実施例7のステップ3
主タンクにHPMC0.390gを無水エタノールとジクロロメタン1:1割合の溶液に溶かす。この溶液にニクロサミド0.61gを入れて溶かした後、DHT-NIC1.34gを前記主タンクに入れて30分間素早く撹拌する。回転蒸発濃縮器を利用して溶媒を蒸発させた後、得られた薬学的組成物(黄色粉末)を乾燥して薬学的組成物を得る。
実施例8のステップ3
主タンクにHPMC0.316gを無水エタノールとジクロロメタン1:1割合の溶液に溶かす。この溶液にニクロサミド0.906gを入れて溶かした後、DHT-NIC1.34gを前記主タンクに入れて30分間素早く撹拌する。回転蒸発濃縮器を利用して溶媒を蒸発させた後、得られた薬学的組成物(黄色粉末)を乾燥して薬学的組成物を得る。
上述したステップ3において、前記DHT-NICに更にニクロサミドとTween60を溶かすことを除いては、上述した方法と同じ方法で実施例9乃至11の薬学的組成物を製造した。実施例9乃至11のステップ3の具体的な製法は下記のようである。
実施例9のステップ3
主タンクにTween60 1.092gを無水エタノールに溶かす。DHT-NIC2.728gを前記の主タンクに入れ、30分間素早く撹拌する。回転蒸発濃縮器を利用して溶媒を蒸発させた後、得られた薬学的組成物(黄色粉末)を乾燥して薬学的組成物を得る。
実施例10のステップ3
主タンクにTween60 0.78gを無水エタノールに溶かす。この溶液にニクロサミド0.61gを入れて溶かした後、DHT-NIC1.34gを前記主タンクに入れて30分間素早く撹拌する。回転蒸発濃縮器を利用して溶媒を蒸発させた後、得られた薬学的組成物(黄色粉末)を乾燥して薬学的組成物を得る。
実施例11のステップ3
主タンクにTween60 0.632gを無水エタノールに溶かす。この溶液にニクロサミド0.906gを入れて溶かした後、DHT-NIC1.34gを前記主タンクに入れて30分間素早く撹拌する。回転蒸発濃縮器を利用して溶媒を蒸発させた後、得られた薬学的組成物(黄色粉末)を乾燥して薬学的組成物を得る。
上述した方法によって製造された実施例6乃至11の薬学的組成物の具体的な含量は下記表1及び2のようである。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
実施例12-1及び12-4:か焼された金属(水)酸化物-ニクロサミド複合体を及びそれを含む薬学的組成物の製造
<ステップ1>
Mg(OH)粉末を3gずつ取り、2つの反応容器に入れて、200℃(12-1)及び300℃(12-2)の条件下で6時間か焼を行う。
<ステップ2>
容器にそれぞれ無水エタノール50mlを入れ、超音波処理で10分間粉末をよく分散させる。前記溶液をrpm700以上で撹拌しながらニクロサミド3gを投入した後、4時間撹拌する。精製のためにfilter membraneを介して余液を除去し、4~5回無水エタノールを利用して洗浄し真空乾燥して、黄色のパウダーを収得した。最終ニクロサミドの含量は、200℃で焼成された合成物は35.2%(実施例12-1の金属水酸化物-NIC複合体)、300℃で焼成された合成物は14.5%(実施例12-2の金属水酸化物-NIC複合体)の含量を示した。
<ステップ3>
前記ステップ1及び2によって製造されたそれぞれの金属水酸化物-NIC複合体2gをHPMCが溶かされている無水エタノールとジクロロメタン1:1割合の溶液に入れて撹拌した後、蒸発(または噴霧乾燥)して薬学的組成物を製造した。
上述した方法によって製造された実施例12-3及び12-4の薬学的組成物の具体的な含量は下記表3のようである。
【0046】
【表3】
【0047】
実施例13-1及び13-2:か焼された金属酸化物-ニクロサミド複合体を及びそれを含む薬学的組成物の製造
<ステップ1>
MgO粉末3gを取り、反応容器に入れて、800℃の条件下で6時間か焼を行う。
<ステップ2>
容器にそれぞれ無水エタノール50mlを入れ、超音波処理で10分間粉末をよく分散させる。前記溶液をrpm700以上で撹拌しながらニクロサミド3gを投入した後、4時間撹拌する。精製のためにfilter membraneを介して余液を除去し、4~5回無水エタノールを利用して洗浄し真空乾燥して、黄色のパウダーを収得した。最終ニクロサミドの含量は34.6%(実施例13-1)を示した。
<ステップ3>
前記ステップ1及び2によって製造されたDHT-NIC複合体2gをHPMC0.306gが溶かされている無水エタノールとジクロロメタン1:1割合の溶液に入れて撹拌した後、蒸発(または噴霧乾燥)して実施例13-2の薬学的組成物を製造した。
上述した方法によって製造された実施例13-2の薬学的組成物の具体的な含量は下記表4のようである。
【0048】
【表4】
【0049】
実施例14-1及び14-2:か焼された金属(水)酸化物-ドセタキセル複合体を及びそれを含む薬学的組成物の製造
<ステップ1>
ヒドロタルサイト(Sigma AldrichまたはKwoya Chemical Industry CO., LTD.)粉末3gを取り、反応容器に入れて、350℃条件下で8時間か焼を行う。
<ステップ2>
容器にそれぞれ無水アセトニトリル50mlを入れ、超音波処理で10分間粉末をよく分散させる。前記溶液をrpm700以上で撹拌しながらドセタキセル3gを投入した後、0℃で1時間撹拌する。合成物を真空乾燥して、白色のパウダー(DHT-DTX複合体;実施例14-1)を収得した。
<ステップ3>
前記ステップ1及び2によって製造されたDHT-DTX複合体1gをHPMC0.221gが溶かされている無水エタノールとジクロロメタン1:1割合の溶液に入れて撹拌した後、蒸発(または噴霧乾燥)して実施例14-2の薬学的組成物を製造した。
実施例15-1及び15-2:か焼された金属(水)酸化物-ドセタキセル複合体を及びそれを含む薬学的組成物の製造
<ステップ1>
ヒドロタルサイト(Sigma AldrichまたはKwoya Chemical Industry CO., LTD.)粉末3gを取り、反応容器に入れて、350℃条件下で8時間か焼を行う。
<ステップ2>
容器にそれぞれ無水アセトニトリル50mlを入れ、超音波処理で10分間粉末をよく分散させる。前記溶液をrpm700以上で撹拌しながらドセタキセル3gを投入した後、常温で1時間撹拌する。精製のためにfilter membraneを介して余液を除去し、4~5回無水エタノールを利用して洗浄し真空乾燥して、白色のパウダー(DHT-DTX複合体;実施例15-1)を収得した。
<ステップ3>
前記ステップ1及び2によって製造された前記実施例15-1のDHT-DTX複合体1gをHPMC0.221gが溶かされている無水エタノールとジクロロメタン1:1割合の溶液に入れて撹拌した後、蒸発(または噴霧乾燥)して実施例15-2の薬学的組成物を製造した。
実施例16-1及び16-2:か焼された金属酸化物-ドセタキセル複合体を及びそれを含む薬学的組成物の製造
<ステップ1>
MgO粉末3gを取り、反応容器に入れて、800℃の条件下で6時間か焼を行う。
<ステップ2>
容器にそれぞれ無水アセトニトリル50mlを入れ、超音波処理で10分間粉末をよく分散させる。前記溶液をrpm700以上で撹拌しながらドセタキセル3gを投入した後、0℃で1時間撹拌する。合成物を真空乾燥して、白色のパウダー(MgO-DTX複合体;実施例16-1)を収得した。
<ステップ3>
前記ステップ1及び2によって製造された前記実施例16-1のMgO-DTX複合体1gをHPMC0.221gが溶かされている無水エタノールとジクロロメタン1:1割合の溶液に入れて撹拌した後、蒸発(または噴霧乾燥)して実施例16-2の薬学的組成物を製造した。
実施例17-1及び17-2:か焼された金属酸化物-ドセタキセル複合体を及びそれを含む薬学的組成物の製造
<ステップ1>
MgO粉末3gを取り、反応容器に入れて、800℃の条件下で6時間か焼を行う。
<ステップ2>
容器にそれぞれ無水アセトニトリル50mlを入れ、超音波処理で10分間粉末をよく分散させる。前記溶液をrpm700以上で撹拌しながらドセタキセル3gを投入した後、常温で1時間撹拌する。精製のためにfilter membraneを介して余液を除去し、4~5回無水エタノールを利用して洗浄し真空乾燥して、白色のパウダー(MgO-DTX複合体;実施例17-1)を収得した。
<ステップ3>
前記ステップ1及び2によって製造された前記実施例17-1のMgO-DTX複合体1gをHPMC0.221gが溶かされている無水エタノールとジクロロメタン1:1割合の溶液に入れて撹拌した後、蒸発(または噴霧乾燥)して薬学的組成物を製造した。
実施例18:か焼された金属(水)酸化物-ニクロサミド複合体を含む薬学的組成物の製造(物理的グラインディング方法による製造)
本実施例では、溶媒がなく物理的グラインディングまたはミーリングの簡単な方法によって構成成分を混合し、混合度(homogeneity)及び分散度(dispersion)を増加させてか焼された金属(水)酸化物複合体を含む薬学的組成物を製造した。
<ステップ1>
ヒドロタルサイト(Sigma AldrichまたはKwoya Chemical Industry CO., LTD.)をそれぞれ粉末3gを取り、反応容器に入れて、350℃条件下で8時間か焼を行う。
<ステップ2>
モルタルグラインダまたはビードミル(bead mill)機器の容器にそれぞれDHT0.5gとニクロサミド0.5g及びHPMC0.255gを投入して混合を行った後、実施例18の薬学的組成物である黄色のパウダーを収得した。最終ニクロサミド含量は40%の含量を示した。
上述した方法によって製造された実施例18の薬学的組成物の具体的な含量は下記表5のようである。
【0050】
【表5】
【0051】
実施例19:か焼された金属(水)酸化物-ニクロサミド複合体を含む薬学的組成物の製造
<ステップ1>
ヒドロタルサイト(Sigma AldrichまたはKwoya Chemical Industry CO., LTD.)をそれぞれ粉末3gを取り、反応容器に入れて、350℃条件下で8時間か焼を行う。
<ステップ2>
容器にそれぞれ無水エタノール50mlを入れ、超音波処理で10分間粉末をよく分散させる。前記溶液をrpm700以上で攪拌しながらニクロサミド3gを投入し、6時間撹拌した後、真空乾燥して、黄色のパウダーを収得した。最終ニクロサミド含量は49%の含量を示した。
<ステップ3>
主タンクにHPMC0.394gを無水エタノールとジクロロメタン1:1割合の溶液に溶かす。DHT-NIC2.025gを前記の主タンクに入れ、30分間素早く撹拌する。回転蒸発濃縮器を利用して溶媒を蒸発させた後、得られた実施例19の薬学的組成物(黄色粉末)を乾燥して薬学的組成物を得る。
実施例20:金属酸化物-ニクロサミド複合体を含む薬学的組成物の製造(NIC-MgO-HPMC-ポロキサマー:1:0.5:1:1)
モルタルグラインダまたはビードミル機器の容器にそれぞれニクロサミド0.5g、MgO(常温)0.225g、HPMC0.5g、及びポロキサマー0.5gを投入して混合を行った実施例20の薬学的組成物であるパウダーを収得した。
実施例21:金属酸化物-ニクロサミド複合体を含む薬学的組成物の製造(NIC-MgO-HPMC-ポロキサマー:1:1:1:1)
モルタルグラインダまたはビードミル機器の容器にそれぞれニクロサミド0.5g、MgO0.5g、HPMC0.5g、及びポロキサマー0.5gを投入して混合を行った実施例20の薬学的組成物であるパウダーを収得した。
実施例22:金属酸化物-ニクロサミド複合体を含む薬学的組成物の製造(NIC-MgO-HPMC-ポロキサマー:1:2:1:1)
モルタルグラインダまたはビードミル機器の容器にそれぞれニクロサミド0.5g、MgO1g、HPMC0.5g、及びポロキサマー0.5gを投入して混合を行った実施例20の薬学的組成物であるパウダーを収得した。
実施例23-1及び23-3:金属酸化物-ニクロサミド複合体を含む薬学的組成物の製造(NIC-MgO-HPMC-ポロキサマー:1:2:1:1)
モルタルグラインダまたはビードミル機器の容器にそれぞれニクロサミド、MgO、HPMC、及びポロキサマーを表6の含量で投入して混合を行い、実施例23-1乃至実施例23-3の薬学的組成物であるパウダーを収得した。
【0052】
【表6】
【0053】
実施例24:金属酸化物-ニクロサミド複合体を含む薬学的組成物の製造
容器にそれぞれニクロサミド、MgO(常温)、HPMC、及びポロキサマーを1:2:1:1の重量割合で投入し、エタノールに一様に分散させた後、エタノールを真空乾燥して、実施例24の薬学的組成物であるパウダーを収得した。
実施例25:金属酸化物-ニクロサミド複合体を含む薬学的組成物の製造
ニクロサミド400mgをMgO(常温)280mgと混合し、EtOH溶媒で6時間攪拌した後、EtOHを真空乾燥機によって除去してパウダーを収得した。これをHPMC(6maps)100mgと混合した後、グラインディングしてパウダーを得た。
比較例1:Yomesan
ニクロサミドの市販医薬品であるYomesanを含量のみ調整し、比較例として使用した。
比較例2:水に対する溶解度0.01以上及び/またはOH基を含まない化合物の金属(水)酸化物-複合体及びその薬学的組成物の製造
モルタルグラインダまたはビードミル機器の容器にそれぞれMgO0.5gと5-FU(水に対する溶解度12.2mg/mL)0.5g及びHPMC0.255gを投入して混合を行った後、比較例2の薬学的組成物であるパウダーを収得した。
比較例3:水に対する溶解度0.01以上及び/またはOH基を含まない化合物の金属(水)酸化物-複合体及びその薬学的組成物の製造
モルタルグラインダまたはビードミル機器の容器にそれぞれMgO0.5gとリポ酸(水に対する溶解度0.24mg/mL)0.5g及びHPMC0.255gを投入して混合を行った後、比較例3の薬学的組成物であるパウダーを収得した。
比較例4:水に対する溶解度0.01以上及び/またはOH基を含まない化合物の金属(水)酸化物-複合体及びその薬学的組成物の製造
モルタルグラインダまたはビードミル機器の容器にそれぞれMgO0.5gとアルテスナート(水に対する溶解度0.5/mL)及びHPMC0.255gを投入して混合を行った後、比較例4の薬学的組成物であるパウダーを収得した。
比較例5:ニクロサミドの薬学的組成物の製造
モルタルグラインダまたはビードミル機器の容器にそれぞれニクロサミド0.5g、HPMC0.5g、及びポロキサマー0.5gを投入して混合を行った後、実施例5の薬学的組成物であるパウダーを収得した。
実験例1:HPLC分析
<実験方法及び条件>
ニクロサミドのHPLC分析方法
-final update:2021.04.14
-wavelength:UV 330nm
-column:Poroshell120 C18 2.7um(21×100mm)
-Mobile Phase->A:10mM Ammonium acetate(0.1% Formic acid)、B:ACN
-Gradient method
【0054】
-column temperature:40℃
-injection:5μl
-Runtime:15min
-Bar(pressure):280-300 bar
1)Standard curve sample前処理方法
ニクロサミド(powder)の重量を測定した後、(0.25% TFA)MeOHに70~75ppmの濃度で溶液を作って超音波処理を10分間行い、希釈溶液を順次に作って(最小7point)、10分間撹拌してから分析する。(ニクロサミドの濃度測定はstandard curveで1~70ppmまで可能)。
2)分析パウダーのサンプリング
ニクロサミド剤形サンプル(granule)の重量を測定した後、(0.25% TFA)MeOHに100ppmの濃度で溶液を作って超音波処理を10分間行った後、10分間撹拌してから0.2um PTFEフィルタリングして分析する。(サンプル濃度測定は30~50ppmで測定される)。
3)原料の含量測定及び比較分析
HPLC分析(15min分析)後、integration及び他のRT付近に検出されたpeakがあるのかを確認する。Reportのareaを確認し、従来の標準曲線に代入して含量を求める。
実験例2:Powder X-ray Diffraction(PXRD)分析
機器:Powder X-ray Diffraction (PXRD)
X-ray diffractometer(D/MAXPRINT 2200-Ultima, Rigaku,Japan)
Cu-Kα radiation(λ=1.5418Å)
チューブ電圧(tube voltage)40kV、電流30mA
X-ray diffractometerはRigaku(Japan)社製のD/MAXPRINT 2200-Ultimaを使用して測定した。X線を発生する負極はCu負極を使用しており、Kα線(λ=1.5418Å)で測定される測定範囲は2θ=3~70°、scanning speed:0.02°/0.2sec、divergence slit、scattering slit、そしてreceiving slitはそれぞれ0.1、1、そして1mmで測定した。チューブ電圧は40kV、電流30mAをかけた。
-評価基準
z軸に対するone-dimensional(1D) electron densityは、下記方程式によって計算される。
【方程式1】
【0055】
【0056】
合成によって収得したパウダーをXRD回折パターンを介して比較分析し、それによる層間距離をブラッグの式(Bragg’s equation;下記方程式2)によって計算した。最も前に位置するpeakの場合、合成した金属化合物の層と陰イオンが存在する層との距離を含む層間距離を示すものであって、重要層間距離といえる。
【方程式2】
【0057】
【0058】
(λ=X線の波長、d=結晶の格子間隔、θ=入射角)
測定されたXRD patternを図3乃至図12に示した。
図3において、(a)はNIC、(b)はHT、(c)はDHT、(d)はDHT-NIC-複合体に対するXRDグラフである(*はimpurity、▼はpericlase(MgO)を意味する)。詳しくは、図3において、HTの2次元的特性を有するピーク(001)は11.6°(003)及び23.3°(006)でそれぞれ現された。このような特性ピークは、約300℃でか焼された後、pseudo-3Dピークである広いピークに変換される。このような変換は、Al3+イオンを含むMgOの非化学量論的(nonstoichiometric)ペリクレース(periclase)の形成によって現される。DHTとNICをハイブリットした後、DHT-NIC複合体のXRDピークを見たら、DHT及びNICの特徴的なXRDピーク値を示すことを確認した。
無定形(amorphous)及びpseudo-3D構造のような明白な変化は上述したようにPXRD分析から明確に確認したが、このようなXRD値の変化からNIC分子がよりよい溶解度を提供するために効率的にDHTに収容されて保護されるということを確認することができる。このような結果は、今後の研究でin-vitro/in-vivoでの抗ウイルス効能を向上させるのに有用に利用される。
また、図11では参照例3と参照例4、参照例12及び14のXRDグラフの変化を分析した。
図11の参照例12及び5と参照例3によって、350℃にか焼されたDHTとHTは結晶構造が完全に異なるように示されることが分かる。つまり、参照例3のHTは非常に結晶性に優れ、HTを示す11°、23°、35°、38°、46°、60°、62°のピークが非常によく示されているが、参照例4の場合、350℃でか焼する際にMgO結晶が生成されると共にこれらの構造の間にAlが混合されているのように存在して、35°、43°、62°の広い範囲のピーク(broad peak)の特徴を有するようになる(図10を参照)。これは結晶性が非常に低くなったという意味は、結晶学的にc-軸方向の結晶性が減少されたという意味であって、HTの積層構造が減って比表面積が増加するという特徴を有し、このようなことは実験例4の結果から確認することができる。
図11の350℃か焼されたDHT(参照例4)に水を添加する際、更にHT(参照例3)の構造体に結晶構造の再建過程が行われるが、水を添加して反応させた参照例12から確認されるように、35°、43°、62°の広い範囲のピークを有するDHTの構造的特徴が変化されて11°、35°、65°付近の相変化が現れるようになる。
このような現象を図12の実施例1-1から水を添加した参照例11によって確認することができるが、図12の実施例1-1のピークを調べると、DHT構造体にニクロサミドを反応させた複合体の形態を取るため、参照例4のように35°、43°、62°の広い範囲のピークを有するDHTとオリーブ色のグラフであるニクロサミドの特徴的なピークが共に現れるようになる。参照例4のDHT-NIC複合体に水を添加したら更にHTに結晶構造の再建過程が行われるが、実施例1-1の原物質が有するニクロサミド及びDHTのピークで相転移によるHTへの結晶構造の再建過程がピークに反映され、その結果で比較例2の11°、35°、65°付近の層変化及び20-30°でのピークのように広い範囲のピークに変わる特徴を有するようになる。
実験例3:TEM分析
TEM分析によって金属(水)酸化物とか焼された金属(水)酸化物の構造が異なることを確認した。また、TEM分析によってか焼された金属(水)酸化物に難溶性薬物が効果的にローディングされることを確認した。
詳しくは、図17のAはFE-SEM画像、B及びCはTEM画像を示す。図17のAの(a)及びBの(a)は参照例3のHTであって、か焼前のヒドロタルサイトの構造を確認することができる。参照例3のHTは、六角形の単結晶回折パターン(selected-area electron diffraction;SAED)を有する均一な薄い板(lamellar)構造を有する。図17のCの(a)ではHT構造が層間距離が7.6Åであって、(001)(ここで、(001)は結晶学的にc-軸方向への高い結晶性を示す)平面に規則的な格子柄を有することが分かる。このような構造は、図11の参照例3のXRDデータ分析の結果に対応される。
一方、参照例4のDHTの場合、HTのような整列された薄い層構造を有するのではなく、チェーン状(chain-like)またはチャネル状(channel-like)構造を取る。これは参照例3のようなHTがか焼後マグネシウム及びアルミニウム酸化物に変換されたことを示す。図17のBの(b)及びCの(c)で確認されるように、DHTの表面はHTに比べ規則性が減少された分離された(discrete)構造を有する。これは、か焼後HT相から炭酸塩及び水分子が部分的に消失されたためであるとみなされる。参照例4のDHTは、結晶学的c-軸に沿って代替されて形成されたブロックとトンネル構造を介して構造的に形成されるが、図17のBの(b)の赤色ボックスから確認されるように、結晶内(intracrystalline)に斑点(spotty-ring)があるSAEDパターンを示し、多孔性チャネル状(porous channel-like)構造を示す。これは、か焼によるトポタクティック変換(topotactic transformation)と考えられる。
参照例4のDHT構造に比べ、DHT-NIC複合体(実施例1-1)のTEM画像を調べると、図17のBの(c)及びCの(c)のようにDHT構造に比べより柔らかい表面を有し、SAEDパターンの場合より分散された形態の環構造を有することが分かる。これはshort rangeに配列される非定型性原子(atom)の存在を示す。
図17のTEM画像から分子レベルのニクロサミドが成功的にDHTの多孔性チャネル構造に詰められてDHTの表面に均一に蒸着されていることが分かる。
実験例4:Fourier Transform Infrared(FT-IR)分析
FT-IRスペクトルを得るために、Jasco FT/IR-6100 spectrometer(Ja- 325 pan)機器を使用しており、transmission mode(spectral range 4000-400cm-1、326 resolution 1cm-1、40 scans per spectrum)のKBr disk methodを使用した。
The FT-IR spectra were recorded with a Jasco FT/IR-6100 spectrometer(Ja- 325 pan) by the standard KBr disk method in transmission mode(spectral range 4000-400cm-1、326 resolution 1cm-1、40 scans per spectrum)
図18は、それぞれNIC、HT(参照例3)、DHT(参照例4)、及びDHT-NIC複合体(実施例1-1)のフーリエ変換赤外線(FR-IR)スペクトルに関する。NICの特徴的なピークは3577cm-1、3490cm-1、1650cm-1、1517cm-1、及び570cm-1で示されており、それぞれ-OH、-NH、-C=O、-NO、及びC-Cl基に対応する。HTの場合、3400cm-1で広範囲のピークが示され、1630及び1545cm-1でピークを確認することができる(図19を参照)。前記ピークは、水酸化層と層間内の水による(O-H)グループの振動によって示される。一方、-OHだけでなく-CO 2-の特定を有するバンドはか焼ステップの後目立って減少するが、このような現象はTGA及びDTA分析によって確認することができる。詳しくは、図21のTGA及びDTA結果を調べると、350℃で8時間か焼を行う際に物質の重量変化を確認することができるが、256.49℃まで昇温されながら12.72%の重量損失があり、342.95℃まで昇温されながら7.143%の重量損失が加えられる。その後、350℃で8時間か焼が行われながら重量損失が加えられて、総37.61%の重量損失を記録する。各温度上昇区間ごとに変曲点ができてHTの物理的変化が生じることを確認したが、第1変曲点(256.49℃)までは殆どの水分子が消去され、第2変曲点(342.95℃)に進んだら-OHが次第に消去されて-Oの形態に代わり、温度(350℃)が維持されながら次第に-CO 2-が減少されることが分かる。(図21を参照)。HTにおいて、炭酸塩(carbonate)に対応する1360cm-1でのピークはDHTで2つのピークに分けられることが見られるが(図19を参照)、このような現象は上述したHTからDHTへの転換によることである。また、本実験で注目すべき現象は、-OH及び-NHに対応するバンドがDHT-NIC複合体構造で減少される現象であるが、これはNICが成功裏にDHTにロードされたことを確認できることである。
図13は、それぞれ実施例12-1(青)、実施例12-2(赤)、NIC(オリーブ)、及びMg(OH)(灰色)に対するXRDグラフである。
図14は、それぞれ実施例13-1(青)、NIC(オリーブ)、及びMgO(灰色)に対するXRDグラフである。
図15は、それぞれ実施例14-1(ピンク)、DTX(緑)、参照例4(灰色)、及び参照例3(黒)に対するXRDグラフである。
図16は、それぞれ実施例16-1(青)、DTX(緑)、MgO(800℃でか焼されたMgO)(灰色)、及びMgO(か焼されていないMgO)(黒)に対するXRDグラフである。
実験例5:表面積及び空隙率の分析
表面積及び空隙率を分析するために322 BELSORP II mini instrument(Japan)機器を使用しており、77K(ケルビン温度)で実験を行った。
測定のために、HT及びDHTは6時間100℃でガス抜き過程を経ており、NIC-DHT複合体は常温(room temperature)で12時間ガス抜きを行った。
図22にHT(参照例3)、DHT(参照例4)、及びDHT-NIC複合体(実施例1-1)の窒素吸着(adsorption)-脱着(desorption)等温線に対するグラフを示した。
それぞれの表面積(SBET)及び総気孔体積(V)値を、BET方法を利用して図22の吸着等温線から計算して表7に記載した。参照例4のDHTはか焼された形態に当たるため、か焼されていない参照例3のHTに比べ非常に大きい表面積値を有することを確認した。これは、か焼によって表面積が凸凹な(concave-convex)構造を取るためである。よって、総気孔体積がHTからDHTに変化することで0.0061から0.0099に増加した。それに対し、DHT-NIC複合体の表面積値及び総気孔体積値はDHTに比べ低くなったが、これはNIC分子が不均一な表面パターンを有するDHTの表面に付着されたためであると考えられる。
【0059】
【表7】
【0060】
前記表7において、SBETはBET式(BET equation)で補正されて計算された具体的な表面積値であり、VはP/P0=0.99における吸着量から計算された総気孔体積である。
実験例5:FE-SEM分析
FE-SEMを利用したHT、DHT、NIC-DHTの観察のために、Sigma 300(Carl 328 Zeiss、Germany) field-emission scanning electron microscopeを利用した。
図23にHT(参照例3)、DHT(参照例4)、及びDHT-NIC複合体(実施例1-1)の電界放射型走査電子顕微(FE-SEM)画像を示した。HTは滑らかな表面の板状を有し、~300nmの直径を有する。上述した構造は層状物質の最も典型的な形態を意味する。前記HTをか焼した形態であるDHTの形態を調べると、HTの形態の平均粒子サイズは殆ど維持されたが、前記HTの滑らかな表面状態に対しDHTの表面はより粗い形態を示しており、このような表面状態の変化はか焼ステップで発生するHTの脱水(dehydration)及び二酸化炭素の除去(decarbonation)反応によると考えられる。一方、DHT-NIC複合体の形態はDHTの形態を殆ど維持したが、DHTとHTの形態に比べ不均一な表面を有することを確認した。これはNIC粒子の表面吸着によると考えられる。
実験例6:粒子サイズの分析
粒子サイズを分析するためにparticle size analyzer(ELSZ- 330 2000ZS;Otsuka、Japan)を使用しており、99.9%エタノールにHT、DHT、NIC-DHTを分散して測定した。測定は3回繰り返し行った。
動的散乱光(Dynamic light scattering)分析による結果値を図24に示した。HT(参照例3)、DHT(参照例4)、及びDHT-NIC複合体(実施例1-1)の平均粒子サイズはそれぞれ279.9±35.6、268.5±23.8、及び292.7±28.3で互いに類似したサイズを示したが、このような結果は前記実験例5のFE-SEM分析の結果とも一致する。
平均粒子サイズが<300nmの範囲(DLS及びFE-SEM分析による)に当たるため、このような結果から前記分子はいずれも抗ウイルス治療剤として理想的に使用可能であることを確認した。これは、SARS-CoV-2ウイルスは小さい粒子サイズを有するが(50-150nm)、そのため本発明者らが目的とするDHT-NIC複合体もウイルスが感染された細胞の内部に浸透すべきであって、細胞内に浸透して抗ウイルス効果を発現すべきであるためである。
本研究者らは、以前行われた研究からヒドロタルサイトが関連する潜在的飲食作用メカニズム(potential endocytosis mechanism)を確立した。よって、もし薬物が経口的にまたは非経口的に投与される場合、NICのように容易に除去される薬物候補群を保護することが非常に重要であることを確認した。報告された殆どの事例において、NICは経口投与後非常に低い血漿濃度を有することを確認した。よって、経口または非経口投与方法において、NICをか焼された金属(水)酸化物のような理想的なナノ伝達体(nanocarrier)を利用して保護することはNICの治療効果を向上することに役に立つ。
実験例8:金属(水)酸化物-ニクロサミド複合体を含む薬学的組成物の生体内(in-vivo)薬物動態(pharmacokinetic)分析
生体内薬物動態分析は、DHT-NIC複合体またはMgO-NIC複合体を利用して行われた。前記DHT-NIC複合体またはMgO-NIC複合体を利用した薬学的組成物(実施例5乃至11の形態、または実施例20乃至22、及び23-1乃至23-3)をハムスターまたはラット(rat)に単一経口投与する方式で行われており、前記方式で行った後、血漿薬物濃度情報を獲得した。
実施例5の組成物をそれぞれ50mg/Kg及び200mg/Kgの容量で投与して実験を行った。更に高い容量である200mg/Kgの場合、生体内でも使用可能であるように剤形の妥当性を確認して行っており、実施例20乃至22、及び23-1乃至23-3の組成物はそれぞれそれぞれ30mg/Kgの容量でラットに投与して実験を行った。
前記分析において、実施例5の投与結果を図25に示し、実施例20乃至22の投与結果は図39に、実施例23-1及び23-3の投与結果は図40に示した。図25のグラフはラットにおける血漿内NIC濃度を時間によって示している。最も重要な薬物動態パラメータは下記表8に記載した。
【0061】
【表8】
【0062】
DHT-NIC複合体/Tween60製剤のAUC値は1823.83±305.3ng.h/mLで、市販のNICの薬剤であるYomesanに比べ約1.8倍更に高い数値であることを確認した。また、前記DHT-NIC複合体/Tween60製剤のCmax値は約1350.4±614.0ng.h/mLで、経口投与後0.25hが経過した後に示された。よって、前記DHT-NIC複合体/Tween60製剤のTmax値はYomesanに対し約16倍短く、Yomesanの場合Tmax値4hにおけるCmax値が約155.3±39.9ng.h/mLであった。
前記表8のPKプロファイルは、NICとDHTの割合及びNIC-DHT複合体の投与量を変化させることで順次に最適化できることを示唆する。Cmax値は投与量を50mg/Kgから200mg/Kgに増加させた際に著しく向上されることを確認した。また、投与量増加によってAUC値が約4倍増加することを確認した。しかし、NICがIC50値以上に血漿濃度が維持されるのに必要な時間は変化しておらず、約8時間維持されることを確認した。
前記結果値において、Yomesanとの比較値を図26に示した。
また、前記分析において、界面活性剤の種類変化による効果値を図27に記載した。Tween60(実施例9)からHPMC(実施例6)に界面活性剤を入れ替えて組成物を製造する場合、Cmax値が3.9倍、AUC値が4.7倍向上されることを確認した。
図28は、ハムスター及びラットの種間比較に対する結果である。同じ薬物を投与しても動物の種によって血中の薬物の濃度変化が異なるパターンを示すことを確認した。実施例11の組成物を重量を異なるようにしてそれぞれハムスター及びラットに投与した。ラットには200mg/Kgの重量で投与し、ハムスターには100mg/Kgの重量で投与した。ラットでは12時間以上100ng/mLの血中薬物濃度を持続したが、ハムスターでは約6時間程度のみ100ng/mLの血中薬物濃度を持続したことを確認した。
図29は、投与回数による血中薬物濃度変化に対する結果グラフである。実施例11の組成物をハムスターにそれぞれ12時間間隔で2回投与した場合と、12時間間隔で10回投与したグループに分けて測定した。本研究では、投与回数に関係なく血中薬物濃度パターンが類似して形成されることを確認した。
図30は、組成物の容量による血中の薬物濃度パターンに対する結果グラフである。実施例11の組成物をそれぞれ25mg/Kg、50mg/Kg、及び100mg/Kgの容量に区分してハムスターに投与した。図30の結果によると、Cmax及びAUC値が組成物の容量に比例して増減することを確認した。
図31は、本発明の実施例6の組成物をラットに投与し、投与量による血中薬物濃度パターンに対する結果グラフである。図26による場合、本発明の実施例6の組成物はYomesanに対し1/10が小さい容量ではYomesanと類似したAUC値を示したが、Cmax値が約2倍に高く、同じ容量ではAUCが約5倍、Cmax値が約10倍高い効果を有することを確認した。また、実施例6の場合、容量が増加するほどAUC及びCmax値が増加することを確認した。
図32は、Yomesan(NIC)、参照例13、及び実施例12の組成物をラットに100mg/Kgの容量で単一経口投与したことによる血中薬物濃度パターンに対する結果グラフに対する結果である。図32によると、実施例12の組成物がCmax値及びAUC値が著しく高いことを確認したが、実施例12の組成物はYomesanに対しCmax9.3倍、AUC5.8倍高く、単純HT-NIC複合体をHPMCでコーティングした参照例13に対しAUC2.1倍、Cmax5.4倍高いことを確認した。
図33は、DHT以外のか焼された金属(水)酸化物及び金属酸化物とNIC複合体をラットに100mg/Kgの容量で単一経口投与したことによる血中薬物濃度パターンに対する結果グラフに対する結果である。実施例12-1及び13のか焼されたMg(OH)及びMgOとNIC複合体も、か焼過程によって生体内利用率が著しく高くなっていることを確認した。実施例12の場合、Yomesanに対し約11倍のAUC増加率、及び約20.5倍のCmax増加率を示し、実施例13の場合、Yomesanに対し約16.8倍のAUC増加率、及び約25倍のCmax増加率を示すことを確認した。
図34は、無水有機溶媒合成法を利用した実施例19のDHT-NIC複合体を含む薬学的組成物及び機械化学的に合成するステップによって製造されたDHT-NIC複合体を含む薬学的組成物を100mg/Kgで単一経口投与したことによる血中薬物濃度パターンに対する結果グラフに対する結果である。図34で確認されるように、無水有機溶媒合成法及び機械化学的合成法による薬学的組成物は類似した効果を有することを確認した。
図39は、薬学的組成物を製造する際、化合物を金属(水)酸化物複合体に形成して利用するか、化合物自体を界面活性剤などを利用して剤型化した際の生体利用率の変化に関するグラフである。図39で確認されるように、MgOを使用していない比較例5の場合は生体利用率が急減することを確認し、MgOの含量が減るほど生体利用率が多少減少されることを確認した。詳しくは、ニクロサミド、MgO、及び界面活性剤(HPMC6及びポロキサマー)の割合が(1:2:2)の実施例22の生体利用率が最も高いことを確認した。
前記結果から確認される、生体利用率が向上されたNICの素早い全身循環は、SARS-CoV-2ウイルスに対抗して初期症状及び無症状状態で特に効果的な治療戦略になり得ることを示唆する。
本発明らは、金属(水)酸化物-NIC複合体/界面活性剤からなる組成物の投与がシトクロム-P450酵素による素早い腸または肝代謝を回避または変更することで生体理利用率を向上させることができたと仮定している。NICは肝で素早い分解(fast metabolism)が行われ、経口投与されれば殆どのNICがNIC-グルクロン酸に変化されながら除去されるということは既に報告された事実である。
そこで、本研究で行われた金属(水)酸化物にNICを付着して複合体を形成した合理的分子工学戦略は、粘膜癒着を更に改善させて、NICがリンパ系まで維持されることを助け、それによって単一経口投与後も高い血漿濃度を達成することができたが、このような結果は強調されるべきである。本発明者らが知っている限り、現在の研究は8時間NICをIC50を超過する血漿濃度で維持できるNICの経口投与可能な製剤形態の薬物動態を説明する最初の研究である。
また、本発明の上述したか焼された金属(水)酸化物-NIC複合体/界面活性剤からなる組成物の医学的適用を考慮すると、経口投与される殆どの薬物が全身循環系(systemic circulation)に入ると仮定すれば、前記組成物はIC100を超過する最大治療NIC濃度も達成することができた。製作された上述したか焼された金属(水)酸化物-NIC複合体/界面活性剤からなる組成物は、興味深くも血漿で8時間まで治療濃度を維持したことを確認した(図25図39、及びず40を参照)。
実験例9:金属(水)酸化物の含量によるニクロサミド複合体を含む薬学的組成物の生体内薬物動態分析
金属(水)酸化物の含量の生体内薬物動態への影響力を確認するために、MgOの含量によるAUC値の変化を確認する実験を設計した。生体内薬物動態分析はMgO-NIC複合体を利用して行われた。前記MgO-NIC複合体を利用した薬学的組成物(実施例5乃至11の形態または実施例20乃至24)を形成しながら、MgO含量を変化させた実施例を製造した(実施例23-1乃至23-3を参照)。これをハムスターまたはラットに単一経口投与する方式で行われたが、前記方式で行った後、血漿薬物濃度情報を獲得した。
実施例23-1乃至23-3の組成物をそれぞれ30mg/Kgの容量で投与して実験を実施した。
前記分析結果を図40に示した。MgOの含量が大きくなるほどAUC効果が比例して増加することを確認した。これは生体利用率の向上においてMgOが重要な役割をすることを確認する結果であった。
実験例10:金属(水)酸化物-ドセタキセル複合体を含む薬学的組成物の生体内薬物動態分析
生体内薬物動態分析はDHT-ドセタキセル複合体を含む薬学的組成物を利用して行われた。前記DHT-ドセタキセル複合体を含む薬学的組成物をラットに単一経口投与する方式で行われたが、前記方式で行った後、血漿薬物濃度情報を獲得した。前記生体内薬物動態研究は、前記DHT-ドセタキセル複合体を含む薬学的組成物をHPMCでコーティングしてドセタキセル(DTX)を経口投与可能な組成物(実施例14及び16)にして行われた。
また、前記実施例14及び16の組成物をそれぞれ40mg/Kgの容量で100mL/kgの溶液量だけ5%Tween溶液に溶かして単回経口投与し、その結果を図35及び36に示したが、具体的なデータ値は下記表9に記載した。
【0063】
【表9】
【0064】
対照群は追加的な剤形化がないドセタキセルのみを40mg/Kgの容量で投与したものであり、単純にドセタキセルを投与した場合より本願発明の実施例14及び16の薬学的組成物を投与した場合、対照群に比べ生体利用率(bioability)が10倍以上上昇したことを確認した。前記表9の結果値から確認されるように、ドセタキセルは経口投与の場合生体利用率が低い。ラットを使用した経口投与実験でドセタキセルのAUCは47.46、Cmaxは5.25であったが、実施例14、16のように有機・無機ハイブリット技術を適用したら、AUCはそれぞれ12倍、14倍上昇し、Cmaxはそれぞれ51倍、74倍上昇することを確認した。よって、生体利用率が低く経口剤形で開発されることが難しかったドセタキセルも、有機・無機ハイブリット技術を適用して生体利用率が飛躍的に上昇することを確認した。
実験例11:水に対する溶解度0.01以上及び/またはヒドロキシ基を含まない化合物を含む金属(水)酸化物の薬学的組成物の生体内薬物動態分析
生体内薬物動態分析は、化合物自体とそれを金属(水)酸化物複合体に形成して製造された薬学的組成物(比較例2乃至4)を利用して行われた。
5-FU、リポ酸、及びアルテスナートそれぞれと、比較例2、比較例3、及び比較例4の薬学的組成物をハムスターまたはラットに単一経口投与する方式で行われており、前記方式で行った後、血漿薬物濃度情報を獲得した。
また、前記化合物及び比較例2乃至4の薬学的組成物をそれぞれ40mg/Kgの容量で投与して実験を行い、その結果を図41乃至43に示した。
対照群は追加的な剤形化がない5-FU、リポ酸、及びアルテスナートそれぞれを40mg/Kgの容量で投与したものであるが、前記5-FU、リポ酸、及びアルテスナートの化合物の場合、化学構造式またはこれらの水に対する溶解度的特徴のため、MgOを利用して金属(水)酸化物複合体に製造したにもかかわらず、これらの化合物の生体利用率が向上されていないことを確認した。
実験例12:薬物放出実験
薬物放出実験は、2%Tween60を追加した500mLの人工腸液(pH6.8)を利用して37℃条件で行われた。実施例6(D56H)、実施例12-1(Mg(OH))、実施例13(MgO)、参照例13(HT)、及び比較例1(Yomesan)を利用して実験を行った。
図37を参照すると、Yomesanに対し金属(水)酸化物にローディングしたNICの放出率がより高いことが分かり、参照例13に対しか焼された金属(水)酸化物にローディングしたNICの放出率が更に増加することを確認した。
薬物放出結果から、本発明の金属(水)酸化物複合体を利用すれば、難溶性薬物の生体内利用率が更に高くなることを確認した。
実験例13:抗ウイルス効能テスト
試験モデル:golden Syrian hamster
投与薬物:D24T(CP-COV03)
薬物容量:25mg/Kg
投与液量:20mL/kg
実施例11の組成物を新型コロナウイルス(SARS-CoV2)に感染させたハムスターに感染翌日から4時間間隔で経口投与した。ハムスターの感染2日目(投薬一日後)、ハムスターから採血した血液をRT-qPCRで分析した結果、感染対照群(無処置群)に比べ血液中ウイルス濃度(viral RNA concentration)が有意味に(ANOVA、P<0.05)減少したことを確認した(図38を参照)。一方、比較例1のYomesanを25mg/Kg投与した群は、低い生体利用率にのため血液中ウイルス濃度が減少していないことを確認した(図38を参照)。
実験例14:抗ウイルス効能テスト
試験モデル:golden Syrian hamster
投与薬物:実施例24
薬物容量:20、40、及び80mg/Kg
投与液量:20mL/kg
実施例24の組成物の場合は前記それぞれの薬物容量に基づいており、比較例5の組成物の場合は80mg/Kgの投与容量で新型コロナウイルス(SARS-CoV2)に感染させた後、感染6時間後から12時間間隔で薬物を投与し、感染後4日目にモデルを解剖した。ハムスターを解剖した後、肺に対する肉眼観察、肺組織病変度の観察、及びウイルス量の測定などを行い、その結果を図44乃至48に示した。
SARS-CoV2感染によって肺炎が進行したら肺病変が発生するが、感染されていないハムスター対照群(NC;negative control)及び感染されたハムスター対照群(VC;vehicle control)を比較し、感染されていないハムスターの肺病変数値を100、感染されたハムスターの肺病変数値を1に算定した。比較例5の場合、80mg/Kgを投与したにもかかわらず肺病変の回線率が4.1%に過ぎなかった。一方、実施例24の場合、CP-COV03の容量が増加するにつれ肺病変の改善率が増加しており、80mg/Kgの際に肺病変が31.6%改善されたことを確認した(図44を参照)。
また、解剖して摘出した肺組織を固定及び染色し、細部観察及び病理所見による損傷度(injury score)を算出して図45に記載した。感染されたハムスター(VC)の場合は肺の損傷度が1.13であり、比較例5の場合、80mg/Kgを投与しても損傷度が大きく改善されなかった(低くならなかった)(損傷度:1.05)。一方、実施例24の場合、容量が増加することで損傷度が低くなっており、特に80mg/Kgを投与した場合に損傷度が0.86まで低くなって、著しく改善された効果を示すことを確認した(図45を参照)。
最後に、肺組織におけるウイルス数値(ウイルス量)をRT-qPCRで定量し、その結果を図46に記載した。比較例5を投与した投与群のウイルス数値は大きな偏差を示しており、対照群(VC)に比べウイルス数値が低くなったのか否かが不確かであった。一方、実施例24の場合は目立つ抗ウイルス活性を示しており、容量増加によってウイルス数値が低くなることを示した(図46を参照)。
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