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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-13
(45)【発行日】2024-06-21
(54)【発明の名称】集塵装置、汚染物の回収方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 46/42 20060101AFI20240614BHJP
   B01D 24/00 20060101ALI20240614BHJP
   B01D 24/44 20060101ALI20240614BHJP
   B01D 29/94 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
B01D46/42 Z
B01D29/08 520A
B01D29/42 520
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020080462
(22)【出願日】2020-04-30
(65)【公開番号】P2021171746
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-04-25
(73)【特許権者】
【識別番号】591059445
【氏名又は名称】ホーコス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】392022374
【氏名又は名称】テックプロジェクトサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101786
【弁理士】
【氏名又は名称】奥村 秀行
(72)【発明者】
【氏名】福島 大治
(72)【発明者】
【氏名】七五三 英樹
【審査官】太田 一平
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-104960(JP,A)
【文献】特開平07-033257(JP,A)
【文献】実開昭57-043816(JP,U)
【文献】特開2013-094735(JP,A)
【文献】実開昭58-043991(JP,U)
【文献】特開昭52-134175(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 46/00 - 46/90
B01D 24/00 - 35/05
B01D 35/10 - 37/05
B04C 1/00 - 11/00
B65B 1/00 - 3/36
B65G 65/30 - 65/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジングの内部に収容された濾材と、
濾過対象の流体を前記ハウジングの内部へ導入する吸込口と、
前記濾材と接触して濾過された流体を吐出する吐出口と、
前記ハウジング内の汚染物を排出する排出口を有する小径管と、
前記小径管を囲むように配置され、汚染物回収用の回収袋が外周面に取り付けられる大径管と、を備え
前記大径管は、前記排出口から、前記汚染物の排出方向と反対の方向へ、所定距離だけ離れて設けられており、
前記小径管および前記大径管は、前記大径管に被せて前記外周面に取り付けられた前記回収袋を、前記大径管に邪魔されずに前記排出口付近で前記小径管に結束できるように配置されている、ことを特徴とする集塵装置。
【請求項2】
前記小径管は、前記排出口が斜め下を向くように、湾曲部を有しており、
前記大径管は、前記排出口と前記湾曲部との間に設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の集塵装置。
【請求項3】
前記大径管は、前記小径管を囲む管体と、前記管体の管軸と直交する隔壁とを備え、
前記小径管は前記隔壁を貫通している、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の集塵装置。
【請求項4】
前記管体の外周面に、周方向に延びるリブが設けられている、ことを特徴とする請求項に記載の集塵装置。
【請求項5】
前記小径管に付設され、前記排出口から排出される汚染物に液体を噴射する第1ノズルをさらに備えた、ことを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれかに記載の集塵装置。
【請求項6】
前記第1ノズルは、前記小径管の管内に設けられていて、前記汚染物の排出方向へ液体を噴射する、ことを特徴とする請求項に記載の集塵装置。
【請求項7】
前記第1ノズルの先端は、前記小径管の前記排出口から突出している、ことを特徴とする請求項に記載の集塵装置。
【請求項8】
前記大径管に付設され、前記回収袋を前記排出口付近で前記小径管に結束した状態で、当該回収袋の内部へ液体を注入する第2ノズルをさらに備えた、ことを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれかに記載の集塵装置。
【請求項9】
前記第2ノズルは、前記大径管の管内に設けられている、ことを特徴とする請求項に記載の集塵装置。
【請求項10】
前記第2ノズルは、前記大径管に管軸と直交するように設けられた隔壁を貫通している、ことを特徴とする請求項に記載の集塵装置。
【請求項11】
ハウジングと、
前記ハウジングの内部に収容された濾材と、
濾過対象の流体を前記ハウジングの内部へ導入する吸込口と、
前記濾材と接触して濾過された流体を吐出する吐出口と、
前記ハウジング内の汚染物を排出する排出口を有する小径管と、
前記小径管を囲むように配置された大径管と、を備えた集塵装置における汚染物の回収方法であって、
前記大径管に汚染物回収用の回収袋を被せ、当該回収袋を前記大径管に取り付ける工程と、
前記回収袋を、前記排出口付近で前記小径管に結束する工程と、
前記ハウジング内の汚染物を、前記排出口から前記回収袋内へ排出する工程と、
前記回収袋を2箇所で結束した後、各結束部の中間を切断して、前記回収袋を前記大径管に残る残留袋と、汚染物が収納された廃棄袋とに分離する工程と、を含むことを特徴とする汚染物の回収方法。
【請求項12】
ハウジングと、
前記ハウジングの内部に収容された濾材と、
濾過対象の流体を前記ハウジングの内部へ導入する吸込口と、
前記濾材と接触して濾過された流体を吐出する吐出口と、
前記ハウジング内の汚染物を排出する排出口を有する小径管と、
前記小径管を囲むように配置された大径管と、
前記小径管に付設され、前記排出口から排出される汚染物に液体を噴射する第1ノズルと、を備えた集塵装置における汚染物の回収方法であって、
前記大径管に汚染物回収用の回収袋を被せ、当該回収袋を前記大径管に取り付ける工程と、
前記回収袋を、前記排出口付近で前記小径管に結束する工程と、
前記ハウジング内の汚染物を、前記排出口から前記回収袋内へ排出する工程と、
前記排出口から汚染物を排出させながら、当該汚染物に前記第1ノズルから液体を噴射する工程と、
前記回収袋を2箇所で結束した後、各結束部の中間を切断して、前記回収袋を前記大径管に残る残留袋と、汚染物が収納された廃棄袋とに分離する工程と、を含むことを特徴とする汚染物の回収方法。
【請求項13】
汚染物の排出が終了した後、前記回収袋内の汚染物に前記第1ノズルから液体を噴射する工程をさらに含む、ことを特徴とする請求項12に記載の汚染物の回収方法。
【請求項14】
前記回収袋を2箇所で結束した後、各結束部の中間を切断する前に、前記第1ノズルから前記残留袋内に液体を噴射する工程をさらに含む、ことを特徴とする請求項12または請求項13に記載の汚染物の回収方法。
【請求項15】
ハウジングと、
前記ハウジングの内部に収容された濾材と、
濾過対象の流体を前記ハウジングの内部へ導入する吸込口と、
前記濾材と接触して濾過された流体を吐出する吐出口と、
前記ハウジング内の汚染物を排出する排出口を有する小径管と、
前記小径管を囲むように配置された大径管と、
前記大径管に付設され、当該大径管に取り付けられた汚染物回収用の回収袋を、前記排出口付近で前記小径管に結束した状態で、当該回収袋の内部へ液体を注入する第2ノズルと、を備えた集塵装置における汚染物の回収方法であって、
前記大径管に汚染物回収用の回収袋を被せ、当該回収袋を前記大径管に取り付ける工程と、
前記回収袋を、前記排出口付近で前記小径管に結束する工程と、
前記ハウジング内の汚染物を、前記排出口から前記回収袋内へ排出する工程と、
前記第2ノズルから液体を注入して、前記回収袋の結束部を液封する工程と、
前記回収袋を2箇所で結束した後、各結束部の中間を切断して、前記回収袋を前記大径管に残る残留袋と、汚染物が収納された廃棄袋とに分離する工程と、を含むことを特徴とする汚染物の回収方法。
【請求項16】
前記残留袋を覆うように新しい回収袋を前記大径管に取り付け、当該回収袋を前記小径管に結束した後、前記第2ノズルから液体を注入して、前記新しい回収袋の結束部を液封する工程をさらに含む、ことを特徴とする請求項15に記載の汚染物の回収方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体中の粉塵を捕集する集塵装置に関し、また、集塵装置内の汚染物を排出して回収する回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品工場などにおいて、粉塵が飛散する環境にある製造現場では、粉塵を捕集するための集塵装置が設置される。集塵装置には各種のものがあるが、たとえば特許文献1に記載されているような、濾材としてバグフィルタを用いた集塵装置(以下、「バグフィルタ型集塵装置」という。)はよく知られている。この集塵装置では、バグフィルタで捕集された粉塵は、ハウジングの下方に位置するホッパへ落下してここに貯留される。そして、ホッパに溜まった粉塵が一定量に達すると、バルブを開いてホッパ内のダストを排出口から排出し回収するが、この回収時に粉塵が飛散して、作業者がばく露を受けるおそれがある。そこで、このばく露を回避するために、ビニール袋などの回収袋を排出口に取り付けて、粉塵を袋内に回収した後、新しい回収袋を排出口に取り付けて、袋越しに古い回収袋を外して回収する作業が行われる。また、フィルタの交換時においても、回収袋を用いて使用済のフィルタを回収する作業が行われる。
【0003】
一方、濾材としてバグフィルタの替わりに、粒状の充填物を用いた集塵装置(以下、「粒状濾材型集塵装置」という。)も知られている。たとえば、特許文献2には、ハウジングの内部に設けられた網目状の内筒と外筒との間に、多数の粒状物からなる濾材を充填した集塵装置が記載されている。この集塵装置は、バグフィルタ型集塵装置に比べて、濾材を装置内に残したまま洗浄することができ、また、濾材が濡れた状態でも装置を稼動できるという利点を有している。しかし、使用済の粒状濾材を装置から排出して回収する際には、やはり濾材に付着した粉塵の飛散によるばく露の可能性があるため、バグフィルタの場合と同様に、回収袋を用いたばく露対策が必要となる。
【0004】
図20は、回収袋を用いて粉塵を回収する場合の一般的な手順を示した模式図である。(a)~(g)の作業内容は以下のとおりである。
(a)集塵装置の排出管50に回収袋51を被せて、固定具52(たとえばゴム製のOリング)で回収袋51を排出管50に取り付ける。
(b)図示しないバルブを開いて、集塵装置の内部の汚染物D(装置内に貯溜された粉塵や、粉塵が付着した粒状濾材)を、排出管50から回収袋51内へ排出する。
(c)汚染物Dの排出が終了する。
(d)A部において、回収袋51を2箇所で結束する。51aは残留袋、51bは廃棄袋となる。
(e)結束部の中間を切断して、残留袋51aと廃棄袋51bを分離し、廃棄袋51bを廃棄処分とする。この後も排出管50から汚染物Dの排出を継続する場合は、(f)へ進む。
(f)残留袋51aを覆うように新しい回収袋61を排出管50に被せ、固定具62(たとえばゴム製のOリング)で回収袋61を排出管50に取り付ける。
(g)回収袋61越しに、残留袋51aを固定具52とともに排出管50から取り外して、回収袋61内に回収する。以後、(e)で汚染物の回収が終了するまで、(b)~(g)の手順を繰り返す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-50821号公報
【文献】国際公開第2018/235686号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
集塵装置において、図21に示す排出管50の管径Zが大きい場合、この管径Zに見合った大きさの回収袋51を排出管50に被せることから、回収袋51の内側の広範囲にわたって汚染物が付着する。すなわち、管径Zが大きいほど、回収袋51内の汚染範囲が広くなる。
【0007】
詳しくは、集塵装置内の汚染物を回収袋に回収した後、結束部の中間を切断した状態(図20(e))では、図21に示したように、残留袋51aの内側の広範囲にわたって粉塵などの汚染物Dが付着しており、この汚染物Dの領域は、排出管50の下端から下側の固定具52までの隙間にも及んでいる。このように汚染範囲が広範囲であると、図20の(f)および(g)のように、残留袋51aの外から新しい回収袋61を被せて、残留袋51aを回収する際に、作業ミスによるばく露のリスクが高くなる。たとえば、回収袋61と排出管50との間に隙間が生じていると、残留袋51aを排出管50から取り外すときに、飛散した汚染物Dがその隙間を通って外部に漏れ、作業者がばく露するおそれがある。
【0008】
本発明は、上記のような問題点に鑑み、汚染物を排出して回収する際のばく露のリスクを最小限にできる集塵装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の集塵装置は、ハウジングと、このハウジングの内部に収容された濾材と、濾過対象の流体をハウジングの内部へ導入する吸込口と、濾材と接触して濾過された流体を吐出する吐出口と、ハウジング内の汚染物を排出する排出口を有する小径管と、この小径管を囲むように配置された大径管とを備えている。
【0010】
図22は、本発明による集塵装置の要部を模式的に示した図である。本発明では、汚染物を排出する排出管は、管径Xを有する小径管7である。そして、この小径管7を囲むように、小径管7の管径Xよりも大きい管径Yを有する大径管8が設けられている。大径管8は、小径管7の排出口7aから、汚染物Dの排出方向と反対の方向へ、所定距離mだけ離れて設けられている。
【0011】
このような小径管7と大径管8の二重管構造によると、大径管8に取り付けた回収袋25を、排出口7a付近で結束具73により隙間なく小径管7に結束しておけば、結束具73より上の領域では、残留袋25aの内面と排出管7の外面に汚染物が付着しないので、新しい回収袋を被せて残留袋25aを回収する際に、固定具72を外しても汚染物が飛散することはない。また、結束具73より下の領域では、汚染物の付着範囲が、小径管7の管径Xに応じた狭い範囲に抑えられるので、残留袋25aの内面に付着している汚染物Dの量は、図21の場合と比べてはるかに少ない。したがって、作業ミスなどによるばく露のリスクを最小限に抑えることができる。さらに、大径管8は排出口7aから距離mだけ離れているので、大径管8に取り付けた回収袋25を排出口7a付近で小径管7に結束する作業を、大径管8に邪魔されずに容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の集塵装置によれば、汚染物を排出して回収する際のばく露のリスクを最小限にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態による集塵装置の正面図である。
図2】同集塵装置の一部断面図である。
図3】同集塵装置の上面図である。
図4図2の要部拡大図である。
図5】第1実施形態における汚染物の回収方法を示した図である。
図6】本発明の第2実施形態による集塵装置の正面図である。
図7】同集塵装置の一部断面図である。
図8図7の要部拡大図である。
図9】第2実施形態における汚染物の回収方法を示した図である。
図10】同回収方法を示した図である。
図11】同回収方法を示した図である。
図12】同回収方法を示した図である。
図13】本発明の第3実施形態による集塵装置の正面図である。
図14】同集塵装置の一部断面図である。
図15図14の要部拡大図である。
図16】第3実施形態における汚染物の回収方法を示した図である。
図17】同回収方法を示した図である。
図18】同回収方法を示した図である。
図19】同回収方法を示した図である。
図20】回収袋を用いて粉塵を回収する場合の一般的な手順を示した模式図である。
図21】従来例を説明する模式図である。
図22】本発明を説明する模式図である。
図23】大径管の他の例を示した模式図である。
図24】大径管の他の例を示した模式図である。
図25】大径管の配置位置の他の例を示した模式図である。
図26】大径管の配置位置の他の例を示した模式図である。
図27】三重管構造の例を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態につき、図面を参照しながら説明する。各図において、同一の部分または対応する部分には、同一の符号を付してある。以下では、本発明を粒状濾材型集塵装置に適用した場合の例を挙げる。
【0015】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態による集塵装置の例を図1図3に示す。図1は集塵装置の正面図、図2は集塵装置の一部断面図、図3は集塵装置の上面図である。図1に示すように、集塵装置100は、本体101と、この本体101を支持する支持台102とから構成される。
【0016】
本体101には、ハウジング1と、このハウジング1の上部開口を覆う蓋体2と、この蓋体2に設けられた含塵気流の導入管3と、後述する粒状濾材が投入される投入口4と、ハウジング1内に収容された粒状濾材により濾過された清浄気流を吐出する吐出口19(図3)とが備わっている。また、本体101の下部には、ホッパ6、小径管(排出管)7、大径管8、バルブ9などを含む排出部が備わっている。この排出部については、後で詳しく説明する。
【0017】
図1に示すように、ハウジング1は、キャッチクリップ(スナップ錠)などの連結具5で連結された3つの中空管体から構成されている。導入管3の上端は開口していて、濾過対象の気流をハウジング1の内部へ導入する吸込口3aとなっている。図3に示すように、吐出口19は、ハウジング1の側方へ開口するように設けられている。
【0018】
支持台102には、本体101が載置される基台10と、この基台10を支持する脚部11と、集塵装置100を移動させる際に手で把持される把持部12と、脚部11の下端に設けられたキャスター13とが備わっている。
【0019】
図2に示すように、ハウジング1の内部には、内筒21と外筒22とが同心状に配置されている。内筒21は、上下端が開放された円筒状の部材であって、濾過対象の気体が通過可能な金属製または樹脂製の網から構成されている。外筒22は、内筒21より大径であって、内筒21を囲むように内筒21の外側に配置される。この外筒22も、上下端が開放された円筒状の部材であって、濾過対象の気体が通過可能な金属製または樹脂製の網から構成されている。なお、図2では、図1の連結具5を簡略化して表している(図4図7等でも同様)。
【0020】
内筒21と外筒22との間には、粒状濾材90を充填するための充填空間23が形成されている。粒状濾材90としては、ポリエチレンなどの樹脂製の球体が用いられるが、樹脂製に限らず、たとえばガラス製の球体を用いてもよい。バルブ9を閉じた状態で、投入口4から粒状濾材90を投入すると、粒状濾材90は内筒21と外筒22の間を流下して、充填空間23に充填される。
【0021】
導入管3の吸込口3aから導入された濾過対象の含塵気流は、内筒21の内部空間24へ流入した後、内筒21の網目を通過して粒状濾材90の充填層に流入する。充填層に流入した含塵気流は、多数の粒状濾材90の隙間を通過しながら粒状濾材90と接触し、この過程で、気流中に含まれている汚染物(たとえば高薬理活性物質)が粒状濾材90に捕集され、含塵気流が濾過される。濾過された気流は、外筒22の網目を通過し、汚染物を含まない清浄気流となって、吐出口19(図3)から吐出される。
【0022】
濾過を繰り返し行うと、粒状濾材90の表面に多量の汚染物が付着して、濾過機能が低下するので、粒状濾材90を集塵装置100から排出して、廃棄または洗浄を行う。この場合、図1のバルブレバー9aを操作してバルブ9を開くと、図2の充填空間23に充填されている粒状濾材90が、ホッパ6と、排出管である小径管7とを通って、排出口7aから排出される。
【0023】
次に、本発明の特徴である排出部の構造について説明する。図4は、図2の排出部近傍を拡大した図である。図4では、図2の粒状濾材90の図示を省略してある。
【0024】
排出管である小径管7は、ホッパ6の下端部に連結されていて、先端に排出口7aを有している。また、小径管7は、排出口7aが斜め下を向くように、湾曲部7bを有している。ホッパ6と小径管7との間に、バルブ9が設けられている。
【0025】
大径管8は、小径管7の排出口7aと湾曲部7bとの間に設けられていて、小径管7を囲むように、小径管7に取り付けられている。大径管8の管軸は、小径管7の管軸と一致している。つまり、大径管8は小径管と同心状に配置されている。また、大径管8は、図22でも述べたように、小径管7の排出口7aから、排出方向(図4では左斜め下の方向)と反対の方向へ、所定距離だけ離れた位置に設けられている。
【0026】
さらに、大径管8は、小径管7を囲む円筒状の管体8aと、この管体8aの管軸と直交する円盤状の隔壁8bとを備えている。隔壁8bは、溶接などにより管体8aに固定されている。小径管7は隔壁8bを貫通している。大径管8は、隔壁8bにおける小径管7の貫通部分において、溶接などにより小径管7に固定されている。大径管8の断面形状は、図22にも示されているように、H字状となっている。
【0027】
大径管8の管体8aは、排出口7a側と湾曲部7b側とがそれぞれ開口している。管体8aの外周面には、Oリングなどの固定具を位置決めするための複数のリブ8cが設けられている。各リブ8cは、周方向に延びて管体8aの外周面を一周している。
【0028】
次に、上述した集塵装置100における汚染物の回収方法について、図5を参照しながら説明する。なお、以下の例では、回収対象となる汚染物は、濾過によって粉塵等が付着した粒状濾材90(図2)である。
【0029】
図5において、最初に(a)のように、大径管8に汚染物回収用の回収袋25(ビニール袋など)を被せ、図22に示した固定具72を用いて、回収袋25を大径管8に取り付ける。固定具72は、たとえば弾性部材からなるOリングであり、大径管8に装着する際に、管体8aの外周面のリブ8c(図4)に沿って位置決めされる。固定具72としては、Oリングの代わりにゴムバンドなどを用いてもよい。回収袋25を大径管8の外周面に取り付けた後、回収袋25の下部を作業台26の上に載置する。
【0030】
次に、(b)のように、回収袋25を、排出口7a付近で小径管7に結束する。そして、この状態でバルブ9を開いて、ハウジング1内の汚染物D(粒状濾材)を排出口7aから回収袋25内へ排出する。
【0031】
回収袋25内の汚染物Dが一定量になると、バルブ9を閉じて汚染物Dの排出を停止し、(c)のように、回収袋25を2箇所で結束する(結束部K参照)。
【0032】
次に、(d)のように、結束した2箇所の中間を切断して、(e)のように、回収袋25を大径管8に残る残留袋25aと、汚染物Dが収納された廃棄袋25bとに分離する。そして、(f)のように、廃棄袋25bを別の場所へ移して、作業台26の上を空ける。
【0033】
この時点で、汚染物Dの排出が完了した場合は、後述する(L)の工程へ移る。一方、汚染物Dの排出が完了しておらず、排出を継続する場合は、次の(g)の工程へ移る。
【0034】
(g)では、新しい回収袋27を、大径管8に残っている残留袋25aを覆うように大径管8に被せ、前記と同様の固定具により、回収袋27を大径管8に取り付ける。回収袋27の下部は、作業台26の上に載置される。
【0035】
次に、(h)のように、新しい回収袋27の袋越しに、残留袋25aを大径管8から取り外した後、(i)のように、新しい回収袋27(27a、27b)を排出口7a付近で小径管7に結束する。そして、(j)のように、新しい回収袋27(27b)の袋越しに、残留袋25aを回収袋27内に回収する。
【0036】
その後は、ハウジング1内の汚染物Dが全部排出されるまで、(b)~(j)と同様の手順を繰り返す。そして、(k)のように、ハウジング1内の汚染物Dが全部排出されると、(c)~(e)と同じ要領で、新しい回収袋27を、残留袋と廃棄袋とに分離し、汚染物Dが収納された廃棄袋を別の場所へ移す。その後、(L)の工程へ移る。
【0037】
(L)では、ハウジング1の内部に液体P(水など)を充満させた後、液体Pを機外に排出するウェットダウン処理を行う。詳しくは、バルブ9を閉じてハウジング1内へ注水した後、バルブ9を少しだけ開いて、ハウジング1内の液体Pを小径管7へ導き、小径管7を濡れた状態にする。その後バルブ9を閉じ、残留袋27aを外して、バルブ9から小径管7の先端までの液体Pをバケツなどに排水する。このようなウェットダウン処理により、ハウジング1と小径管7の内部の湿潤や洗浄が行われる結果、ばく露のリスクを無しにすることができる。
【0038】
上述した第1実施形態によると、図22でも説明したように、回収袋25を結束具73により小径管7に隙間なく堅固に結束しておくことで、結束具73より上の領域では、残留袋25aの内面と排出管7の外面に汚染物が付着せず、結束具73より下の領域でも、残留袋25aの内面に付着した汚染物Dの量は少ない。このため、残留袋25aを大径管8から外して回収する際に、汚染物Dの飛散によるばく露のリスクを最小限に抑えることができる。
【0039】
また、図22に示されているように、大径管8が、排出口7aから汚染物の排出方向と反対の方向へ、距離mだけ離れて設けられているので、回収袋25を固定具72で大径管8に取り付けた後、回収袋25を結束具73で小径管7に結束する作業を、大径管8に邪魔されずに容易に行うことができる。
【0040】
また、図2に示されているように、小径管7は湾曲部7bを有していて、排出口7aが斜め下を向くような構造となっているので、ハウジング1内の汚染物Dを斜め下方向に排出することができ(図5(b))、回収袋25内に汚染物Dを回収する作業がしやすくなる。
【0041】
また、図4に示されているように、大径管8は、管体8aの管軸と直交する隔壁8bを備えており、この隔壁8bによって、小径管7の排出口7a側と湾曲部7b側とが隔離されている。このため、排出口7aから排出される汚染物Dが、小径管7の湾曲部7b側の外面に付着するのを、隔壁8bにより阻止することができ、ばく露のリスクをより一層低減することができる。
【0042】
また、図4に示されているように、大径管8の管体8aの外周面には、周方向に延びるリブ8cが設けられているので、大径管8に回収袋25を取り付ける際に、固定具72(図22)をリブ8cによって容易に位置決めすることができる。
【0043】
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態による集塵装置の例を図6図8に示す。図6は集塵装置の正面図、図7は集塵装置の一部断面図である。なお、集塵装置の上面図は、図3と同じであるので図示を省略する。図8図7の要部拡大図である。
【0044】
図6図8のように、第2実施形態の集塵装置200においては、第1実施形態の集塵装置100の構成に、第1ノズル30が付加されている。その他の構成は第1実施形態と同じであるので、第1実施形態と共通する部分の説明は省略し、以下では第1ノズル30を中心に説明する。
【0045】
図8に示すように、第1ノズル30は、小径管7の管内に設けられていて、その先端30aは、小径管7の排出口7aから突出している。この第1ノズル30は、排出口7aから排出される汚染物に、液体(たとえば水)を噴射するものである。第1ノズル30の後端側には、バルブ15が設けられており、このバルブ15を開くことで、第1ノズル30の先端30aから液体が噴射される。第1ノズル30は、小径管7の湾曲部7b付近において、溶接などにより小径管7に固定されている。
【0046】
このような第1ノズル30を設けた主な理由は3つある。1つは、汚染物の静電気対策である。回収袋25内の汚染物が静電気を帯びていると、その電位が着火エネルギーとなって、粉塵爆発を起こす可能性がある。そこで、排出口7aから排出される汚染物に、第1ノズル30から液体を噴射して、汚染物の静電気の電位を下げることにより、粉塵爆発を抑制することができる。
【0047】
2つ目の理由は、汚染物の発塵(舞い上がり)対策である。人為的なミスにより、回収袋25の結束状態が不十分であると、作業中に回収袋25内で舞い上がった汚染物が袋外へ飛散し、ばく露のリスクが増大する。そこで、排出口7aから排出される汚染物に、第1ノズル30から液体を噴射して、汚染物を湿潤させることにより、発塵を抑制して作業者の安全を確保することができる。
【0048】
3つ目の理由は、回収袋25における2箇所の結束部の間を予め湿潤させ、または洗浄するためである。結束部間の距離は、カッターや鋏などの切断工具の刃の厚みであることが理想である。しかしながら、2箇所の結束部の間には、切断するために切断工具の刃を当てる隙間が必要であるため、結束部間を切断した後は、わずかに汚染部が露出することになる。そこで、第1ノズル30から液体を噴射して、各結束部の間を予め湿潤させまたは洗浄することで、切断後に露出する汚染部は濡れた状態となり、汚染物の飛散によるばく露をより確実に抑制することができる。
【0049】
次に、第2実施形態の集塵装置200における汚染物の回収方法につき、図9図12を参照しながら説明する。なお、必要に応じて図5も参照する。
【0050】
まず、図5(a)で示したように、大径管8に回収袋25を取り付け、(b)のように、回収袋25を排出口7a付近で小径管7に結束した後、バルブ9を開いて、ハウジング1内の汚染物Dを排出口7aから回収袋25内へ排出する。
【0051】
このとき、バルブ15(図6)を開いて、図9に示すように、第1ノズル30から液体Wを噴射する。二点鎖線は、液体Wの噴射領域を示している。噴射された液体Wは、排出口7aから排出される汚染物Dに降りかかり、汚染物Dを湿潤させる。バルブ15を開くタイミングは、汚染物Dの排出前、排出と同時、排出直後のいずれであってもよいが、汚染物Dの排出前(バルブ9を開く前)であることが好ましい。これは、排出に先立って液体Wを噴射することで、排出直後の汚染物Dを速やかに湿潤状態にして、汚染物Dが乾燥摩擦により静電気を帯びるのを抑制できるとともに、汚染物Dの飛散を抑制することができ、また、回収袋25の内面もあらかじめ湿潤状態にして、袋内に回収された汚染物Dの飛散をより効果的に抑制できるからである。
【0052】
回収袋25内の汚染物Dが一定量になると、図10に示すように、バルブ9を閉じて汚染物Dの排出を停止する。これと同時に、第1ノズル30からの液体Wの噴射を停止させてもよいが、本例では、液体Wの噴射を一定時間継続させる。これにより、回収袋25の内面および汚染物Dの湿潤化がさらに進み、汚染物Dの飛散によるばく露を一層効果的に抑制することができる。
【0053】
次に、図11に示すように、回収袋25を2箇所で結束した後、各結束部の中間を切断して、回収袋25を残留袋25aと廃棄袋25bとに分離する。廃棄袋25bは、別の場所へ移され廃棄される。その後は、図5(f)~(L)と同じ手順に従って作業が行われる。
【0054】
なお、図11において、回収袋25の2箇所の結束部の中間を切断する前に、第1ノズル30から少量の液体を噴射して、残留袋25a内に貯溜しておくのが好ましい。このようにすると、回収袋25の切断後、図12に示すように、残留袋25a内の液体Wにより残留袋25aの結束部が液封されるので、残留袋25a内の汚染物が外部に漏れるのを抑制することができる。
【0055】
このように、第2実施形態によれば、第1ノズル30から液体Wを噴射し、汚染物Dを湿潤させることで、汚染物Dの静電気に基因する粉塵爆発を抑制できるとともに、汚染物Dの飛散によるばく露のリスクを低減することができる。また、第1ノズル30は、小径管7の管内に設けられていて、先端30aが排出口7から突出しているので(図8)、第1ノズル30からの液体Wの噴射状況を、目視で容易に確認することができるだけでなく、結束部の液封状態(図12)を目視して結束状態が万全かどうかを容易に確認することができる。
【0056】
<第3実施形態>
本発明の第3実施形態による集塵装置の例を図13図15に示す。図13は集塵装置の正面図、図14は集塵装置の一部断面図である。なお、集塵装置の上面図は、図3と同じであるので図示を省略する。図15図14の要部拡大図である。
【0057】
図13図15のように、第3実施形態の集塵装置300においては、第1実施形態の集塵装置100の構成に、第2ノズル40が付加されている。その他の構成は第1実施形態と同じであるので、第1実施形態と共通する部分の説明は省略し、以下では第2ノズル40を中心に説明する。
【0058】
図15に示すように、第2ノズル40は、小径管7の外部にあって、大径管8の隔壁8bを貫通するように、大径管8に付設されている。第2ノズル40の先端40aは、隔壁8bから排出口7a側へ突出している。この第2ノズル40は、大径管8に取り付けられた回収袋を、排出口7a付近で小径管7に結束した状態で、当該回収袋内に液体(たとえば水)を注入するものである。第2ノズル40の後端側には、図示しないバルブが設けられており、このバルブを開くことで、第2ノズル40の先端40aから液体が注入される。第2ノズル40は、隔壁8bを貫通する部分において、溶接などにより大径管8に固定されている。
【0059】
このような第2ノズル40を設けた主な理由は、回収袋と小径管7との結束部を液封して、ばく露のリスクを低減するためである。詳しくは、図22において、結束具73による回収袋25の結束状態が不十分で、回収袋25と小径管7との間に隙間が生じると、結束具73より下にある汚染物Dが、結束部の隙間から侵入して残留袋25aの内面に付着し、残留袋25aを大径管8から取り外す際に、ばく露が発生するおそれがある。そこで、第2ノズル40から注入される液体により残留袋25aの結束部を液封すれば、結束部の隙間が液体でシールされることになるので、この隙間から汚染物Dが侵入するのを阻止できる。このため、残留袋25aの内面に汚染物Dが付着することはなく、ばく露の発生を効果的に抑制することができる。
【0060】
次に、第3実施形態の集塵装置300における汚染物の回収方法につき、図16図19を参照しながら説明する。なお、必要に応じて図5も参照する。
【0061】
まず、図5(a)で示したように、大径管8に回収袋25を取り付け、(b)のように、回収袋25を排出口7a付近で小径管7に結束した後、バルブ9を開いて、ハウジング1内の汚染物Dを排出口7aから回収袋25内へ排出する。
【0062】
なお、バルブ9を開く前に、図示しないバルブを開いて、図16に示すように、第2ノズル40から残留袋25a内へ、液体Wを注入する。これにより、残留袋25aと小径管7との結束部Fが液体Wによって液封される。このため、人為的なミスにより、結束部Fの結束状態が不完全であったとしても、排出される汚染物Dが結束部Fを通って残留袋25a内へ侵入するのを防止することができる。
【0063】
回収袋内の汚染物Dが一定量になると、バルブ9を閉じて汚染物Dの排出を停止させる。そして、図5の(c)、(d)と同じ要領で、回収袋を2箇所で結束した後、各結束部の中間を切断して、回収袋を残留袋25aと廃棄袋25bとに分離する。廃棄袋25bは、別の場所へ移され廃棄される。
【0064】
次に、図17に示すように、残留袋25aを結束具とともに大径管8から取り外して、小径管7の先端付近まで移動させ、残留袋25aを結束具で小径管7に保持する。この場合、残留袋25aの内面は、液封によって汚染物の付着がないクリーンな状態となっているので、大径管8に新しい回収袋を取り付ける前であっても、残留袋25aを大径管8から取り外す作業を安全に行うことができる。
【0065】
次に、図18に示すように、新しい回収袋27を、小径管7に保持されている残留袋25aを覆うように、大径管8に取り付けた後、図19に示すように、新しい回収袋27を排出口7a付近で小径管7に結束する(結束部F参照)。そして、第2ノズル40から液体Wを注入して、回収袋27の結束部Fを液封する。
【0066】
次に、新しい回収袋27越しに残留袋25aを小径管7から外して、回収袋27内に回収した後、バルブ9を開いてハウジング1内の汚染物を回収袋27内に排出する(図示省略)。その後は、第1および第2実施形態と同じ要領で、回収袋27を2箇所で結束した後、各結束部の中間を切断して、回収袋27を残留袋と廃棄袋とに分離する(図示省略)。
【0067】
このように、第3実施形態によれば、大径管8に取り付けた回収袋を小径管7に結束した状態で、第2ノズル40から液体Wを注入することにより、回収袋の結束部Fを液封することができる。このため、回収袋の結束状態が不十分で、回収袋と小径管7との間に隙間が生じても、この隙間は液体Wでシールされているので、残留袋25aの内面に汚染物が付着することはなく、ばく露のリスクを低減することができる。
【0068】
また、図17で説明したように、新しい回収袋を大径管8に取り付ける前に、残留袋25aを大径管8から取り外して小径管7に保持できるので、新しい回収袋越しに残留袋25aを大径管8から取り外す場合に比べて、作業がしやすくなる。
【0069】
<その他の実施形態>
本発明では、以上述べた実施形態以外に、以下のような種々の実施形態を採用することができる。
【0070】
前記の実施形態では、粒状濾材型の集塵装置を例に挙げたが、本発明はバグフィルタ型の集塵装置にも適用が可能である。
【0071】
前記の実施形態では、回収対象となる汚染物Dとして、粉塵が付着した粒状濾材90を例に挙げたが、回収対象となる汚染物Dは、粉塵それ自体であってもよい。また、汚染物Dは、粉塵以外の粉体や粒体であってもよい。
【0072】
前記の実施形態では、第1ノズル30と第2ノズル40とを単独で採用した例を挙げたが、第1ノズル30と第2ノズル40とを併用してもよい。
【0073】
前記の実施形態では、大径管8は、排出口7a側と湾曲部7b側とが開口していて、断面形状がH字状である例を挙げたが、図23に示すように、大径管8は、排出口7a側のみが開口していて、断面形状が逆U字状であってもよい。また、図24に示すように、大径管8は、排出口7aと反対の側のみが開口していて、断面形状がU字状であってもよい。
【0074】
前記の実施形態では、大径管8は、小径管7の排出口7aから排出方向と反対の方向へ、所定距離mだけ離れた位置に設けられている例を挙げたが、図25に示すように、大径管8の下端位置は、排出口7aの位置P1と同じであってもよい。また、図26に示すように、大径管8の下端位置P2は、排出口7aの位置P1からわずかに排出方向側(下方)へ突出していてもよい。
【0075】
前記の実施形態では、大径管8が小径管7に取り付けられている例を挙げたが、大径管8は、小径管7以外の箇所に取り付けられていてもよい。たとえば、ホッパ6や基台10などに設けられた取付部材(図示省略)に、大径管8が取り付けられていてもよい。
【0076】
前記の実施形態では、大径管8が小径管7と同心状に配置されている例を挙げたが、大径管8は小径管7と偏心して配置されていてもよい。
【0077】
前記の実施形態では、大径管8に隔壁8bが設けられている例を挙げたが、隔壁8bの替わりに、小径管7と大径管8とを連結する複数の連結部が、管の周方向に間隔を置いて設けられていてもよい。
【0078】
前記の実施形態では、小径管7が湾曲した形状になっているが、小径管7は湾曲せずにまっすぐな形状であってもよい。
【0079】
前記の実施形態では、小径管7と大径管8による二重管構造を例に挙げたが、図27に示すように、小径管7と大径管8との間に、小径管7より大径で大径管8より小径の中径管18を設けた、三重管構造を採用してもよい。また、管径の異なる中径管を複数設けた、多重管構造を採用してもよい。
【0080】
前記の実施形態では、第1ノズル30および第2ノズル40から噴射・注入される液体Wとして水を例に挙げたが、本発明はこれに限定されない。但し、第1ノズル30については、液体Wは、静電気発生の抑制と発塵の抑制を目的としているので、導電性を有しかつ粘性の低い液体であることが必要であり、導電性がなく粘性の高い流動パラフィンなどは適さない。一方、第2ノズル40については、結束部の液封を目的としているので、液体Wとして流動パラフィンなどを用いることも可能である。なお、静電気の発生を抑制する他の手段として、たとえば、針金などの金属線を回収袋に貫通させ(貫通部はシールする)、袋外で金属線を接地するとともに、袋内で金属線を導電性の液体と接触させるようにしてもよい。
【0081】
前記の実施形態では、第1ノズル30を小径管7の内部に設けた例を挙げたが、第1ノズル30は、小径管7の外部に設けてもよい。同様に、前記の実施形態では、第2ノズル40を大径管8の内部に設けた例を挙げたが、第2ノズル40は、大径管8の外部に設けてもよい。
【0082】
前記の実施形態では、球体からなる粒状濾材90を例に挙げたが、粒状濾材90の形状は球体に限定されず、たとえば楕円体、多面体、円柱体、角柱体などであってもよい。また、粒状濾材90はランダムな形状を有するものであってもよい。
【0083】
前記の実施形態では、内筒21と外筒22を、金属または樹脂の網で構成した例を挙げたが、網の替わりに、多数の孔が打ち抜かれた金属板や樹脂板を円筒状に加工したものを用いてもよい。また、多数の細いスリットが設けられた金属板や樹脂板を用いることも可能である。さらに、内筒21と外筒22は、円筒形に限らず、角形の筒体であってもよい。
【0084】
前記の実施形態では、濾過対象の流体として含塵気流を例に挙げたが、濾過対象は気体に限らず、汚染物を含んだ液体であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明の集塵装置は、高薬理活性物質を取り扱う医薬品工場のほか、高薬理活性物質を取り扱う農薬工場や、その他の化学物質を取り扱う化学製品工場など、ばく露対策が必要な場所において広く利用することができる。
【符号の説明】
【0086】
1 ハウジング
3a 吸込口
7 小径管
7a 排出口
7b 湾曲部
8 大径管
8a 管体
8b 隔壁
8c リブ
19 吐出口
25 回収袋
25a 残留袋
25b 廃棄袋
27 新しい回収袋
30 第1ノズル
30a 第1ノズルの先端
40 第2ノズル
90 粒状濾材
100、200、300 集塵装置
D 汚染物
F、K 結束部
W 液体
m 所定距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27