IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社大川原製作所の特許一覧

<>
  • 特許-熱風・伝導伝熱乾燥機 図1
  • 特許-熱風・伝導伝熱乾燥機 図2
  • 特許-熱風・伝導伝熱乾燥機 図3
  • 特許-熱風・伝導伝熱乾燥機 図4
  • 特許-熱風・伝導伝熱乾燥機 図5
  • 特許-熱風・伝導伝熱乾燥機 図6
  • 特許-熱風・伝導伝熱乾燥機 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-13
(45)【発行日】2024-06-21
(54)【発明の名称】熱風・伝導伝熱乾燥機
(51)【国際特許分類】
   F26B 11/04 20060101AFI20240614BHJP
   F26B 3/04 20060101ALI20240614BHJP
   F26B 3/24 20060101ALI20240614BHJP
   F26B 15/00 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
F26B11/04
F26B3/04
F26B3/24
F26B15/00 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020103773
(22)【出願日】2020-06-16
(65)【公開番号】P2021196124
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-04-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000149310
【氏名又は名称】株式会社大川原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100086438
【弁理士】
【氏名又は名称】東山 喬彦
(74)【代理人】
【識別番号】100217168
【弁理士】
【氏名又は名称】東山 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】福田 寿夫
【審査官】小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-138081(JP,A)
【文献】特開2010-185624(JP,A)
【文献】特開昭60-093282(JP,A)
【文献】特開昭63-242334(JP,A)
【文献】特開昭58-127782(JP,A)
【文献】特開昭61-138082(JP,A)
【文献】米国特許第04612711(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F26B 11/04
F26B 3/04
F26B 3/24
F26B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の回転ドラムを、複数のローラ上に横臥状態に載置し、
この回転ドラム内に投入された被処理物を、ドラム本体の内周部に具えられたリフタによって掻き上げるとともに、回転ドラム内に供給される熱風と接触させることにより乾燥させる装置において、
前記ドラム本体の内周部に具えられたリフタの内側に、加熱媒体を通過させることができる伝熱管が具えられた加熱体が配されるものであり、
この加熱体は、対向する一対の鏡板と閉止板との間を伝熱管により連結して構成されたものであり、且つ回転ドラムと一体化されて回転するものであり、
更に前記ドラム本体内に熱風を供給する機構が具えられ、
回転ドラム内に投入された被処理物に対し、熱風乾燥と伝導伝熱乾燥とを同時に施すことができるように構成され
前記回転ドラムの終端部に可動式の堰板が設けられるものであり、
この堰板には、中心部に円形の溢出部が形成されるとともに、前記加熱体における伝熱管に対応した個所に伝熱管孔が形成されており、この伝熱管孔に対して、伝熱管が挿通状態とされており、
更に回転ドラムの終端部の周面部に形成される流出口の下流側に、前記堰板の退避スペースが形成されていることを特徴とする熱風・伝導伝熱乾燥機。
【請求項2】
前記ドラム本体の周面部及びリフタの一定範囲に通気孔が形成され、この通気孔が形成された部位を風胴によって囲繞し、
この風胴に形成された給気口に供給された熱風を、通気孔を通じてドラム本体内に至らせて被処理物との接触を図り、
被処理物と接触した後の熱風を、通気孔を通じてドラム本体外に至らせて、風胴に形成された排気口から外部に排出するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の熱風・伝導伝熱乾燥機。
【請求項3】
前記風胴に形成された排気口に加え、回転ドラムの終端部に連接される排出ダクトに、排気口が形成されていることを特徴とする請求項2記載の熱風・伝導伝熱乾燥機。
【請求項4】
前記回転ドラムの終端部の周面部に形成された流出口は、蓋体によって開口状態を調節自在とされていることを特徴とする請求項1、2または3記載の熱風・伝導伝熱乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は泥状・ケーキ状・粉粒状等の被処理物の乾燥を行う装置に関するものであって、特に単位時間当りの処理量を、既存の装置よりも大幅に増大することのできる熱風・伝導伝熱乾燥機に係るものである。
【背景技術】
【0002】
例えば泥状物、ケーキ状物、粉粒状物等の被処理物を乾燥処理するための装置として、熱風ドラム式乾燥機や、伝導伝熱式乾燥機が広く実用化されている。そして近時、乾燥施設においては、更なる乾燥効率の向上が期待されており、これら乾燥装置の処理量の増大が望まれている。
【0003】
まず前記熱風ドラム式乾燥機の一例として図6に示すように、円筒状の回転ドラム2′を、複数のローラ上に横臥状態に載置し、この回転ドラム2′内に投入された被処理物Wを、ドラム本体20′の内周部に具えられたリフタ3′によって掻き上げるとともに、ドラム本体20′に形成された通気孔からドラム本体20′内に供給される熱風Hと接触させることにより、熱風乾燥を行う装置が、本出願人等により実用化されている(例えば特許文献1参照)。
そしてこのような装置において処理能力を上げようとした場合、回転ドラム2′の大型化を図ることとなるが、ドラム本体20′にはその周面に通気孔が形成されているため、強度の点から大型化には限界があった。
【0004】
一方、前記伝導伝熱式乾燥機は一例として図7に示すように、中空部材であるシェル内に、このシェルの長手方向に沿った軸を中心に回転駆動される加熱体5′が具えられ、この加熱体5′の伝熱面に被処理物Wを接触させてその水分を蒸発させる伝導伝熱乾燥を行う装置が、本出願人等により実用化されている(例えば特許文献2参照)。
そしてこのような装置において処理能力を上げようとした場合、シェル及び加熱装置5′の大型化を図ることとなるが、加熱体5′を軸支するプランマブロックも大型のものが必要となる。しかしながら大型のプランマブロックは非常に高価であり、且つ規格にないものは非常に長い納期(1~2年)を要するものであるため、現実的には採用が困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-053427公報
【文献】特開2019-174044公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はこのような背景からなされたものであって、単位時間当りの処理量を、既存の装置よりも大幅に増大することのできる新規な熱風・伝導伝熱乾燥機の開発を技術課題としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち請求項1記載の熱風・伝導伝熱乾燥機は、円筒状の回転ドラムを、複数のローラ上に横臥状態に載置し、この回転ドラム内に投入された被処理物を、ドラム本体の内周部に具えられたリフタによって掻き上げるとともに、回転ドラム内に供給される熱風と接触させることにより乾燥させる装置において、前記ドラム本体の内周部に具えられたリフタの内側に、加熱媒体を通過させることができる伝熱管が具えられた加熱体が配されるものであり、この加熱体は、対向する一対の鏡板と閉止板との間を伝熱管により連結して構成されたものであり、且つ回転ドラムと一体化されて回転するものであり、更に前記ドラム本体内に熱風を供給する機構が具えられ、回転ドラム内に投入された被処理物に対し、熱風乾燥と伝導伝熱乾燥とを同時に施すことができるように構成され、前記回転ドラムの終端部に可動式の堰板が設けられるものであり、この堰板には、中心部に円形の溢出部が形成されるとともに、前記加熱体における伝熱管に対応した個所に伝熱管孔が形成されており、この伝熱管孔に対して、伝熱管が挿通状態とされており、更に回転ドラムの終端部の周面部に形成される流出口の下流側に、前記堰板の退避スペースが形成されていることを特徴として成るものである。
【0008】
また請求項2記載の熱風・伝導伝熱乾燥機は、前記要件に加え、前記ドラム本体の周面部及びリフタの一定範囲に通気孔が形成され、この通気孔が形成された部位を風胴によって囲繞し、この風胴に形成された給気口に供給された熱風を、通気孔を通じてドラム本体内に至らせて被処理物との接触を図り、被処理物と接触した後の熱風を、通気孔を通じてドラム本体外に至らせて、風胴に形成された排気口から外部に排出するように構成されていることを特徴として成るものである。
【0009】
更にまた請求項3記載の熱風・伝導伝熱乾燥機は、前記請求項2記載の要件に加え、前記風胴に形成された排気口に加え、回転ドラムの終端部に連接される排出ダクトに、排気口が形成されていることを特徴として成るものである。
【0010】
また請求項4記載の熱風・伝導伝熱乾燥機は、前記請求項1、2または3記載の要件に加え、前記回転ドラムの終端部の周面部に形成された流出口は、蓋体によって開口状態を調節自在とされていることを特徴として成るものである。
そしてこれら各請求項記載の発明の構成を手段として前記課題の解決が図られる。
【発明の効果】
【0011】
まず請求項1記載の発明によれば、被処理物に対し、熱風乾燥と伝導伝熱乾燥とを同時に施すことができるため、乾燥効率を大幅に向上することができる。
また加熱体は回転ドラムと一体化されて回転するものであるため、プランマブロックが不要となり、その大型化を実現することができる。
またドラム本体内の被処理物を全量排出させる場合、あるいは回転ドラム内で被処理物の長時間の滞留を要しない場合には、退避スペースに堰板を位置させた状態とする操作を、円滑に実行することができる。
【0012】
また請求項2記載の発明によれば、ドラム本体における通気孔が形成される部位を、ドラム本体の一定範囲とすることにより、ドラム本体の強度低下を抑制して、回転ドラムの大型化を実現することができる。
【0013】
更にまた請求項3記載の発明によれば、熱風乾燥に用いられた熱風を、被乾燥物から蒸発した水分のキャリアガスとして機能させ、特に回転ドラム内において伝導伝熱乾燥によって蒸発した水分を確実に外部に排出することができる。
【0014】
更にまた請求項4記載の発明によれば、流出口の開口状態を調節することにより、熱風・伝導伝熱乾燥機からの乾燥品の排出量の時間当りの均一化を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の熱風・伝導伝熱乾燥機を一部破断して示す正面図(a)、右側面図(b)、縦断左側面図(c)である。
図2】同上分解斜視図である。
図3】回転ドラムと周辺部材を示す斜視図である。
図4】加熱体を示す斜視図(a)、断面図(b)である。
図5】回転ドラムの終端部に設けられる可動式の堰板及び堰板の退避スペースを示す縦断面図である。
図6】既存の熱風ドラム式乾燥機を示す斜視図(a)、断面図(b)である。
図7】既存の伝導伝熱式乾燥機を一部透視して示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の熱風・伝導伝熱乾燥機並びに熱風・伝導伝熱乾方法の最良の形態は、以下の実施例に示すとおりであるが、これらの実施例に対して本発明の技術的思想の範囲内において適宜変更を加えることも可能である。
【実施例
【0017】
以下、先ず本発明の熱風・伝導伝熱乾燥機1について説明した後、この装置を用いた熱風・伝導伝熱乾方法について説明する。
熱風・伝導伝熱乾燥機1は一例として図1に示すように、円筒状の回転ドラム2を、複数のローラR上に横臥状態に載置し、この回転ドラム2内に投入された被処理物Wを、回転ドラム2の内周部に具えられたリフタ3によって掻き上げるとともに、回転ドラム2内に供給される熱風Hと接触させることにより乾燥させる装置である。
更に前記回転ドラム2内には、内部に加熱媒体を通過させることができる伝熱管51を具えた加熱体5が配されるものであり、加熱体5に接触した被処理物Wに熱を伝導して乾燥が促進される。
このように本発明の熱風・伝導伝熱乾燥機1は、被処理物Wに対し、熱風乾燥と伝導伝熱乾燥とを同時に施すことができるものである。
以下、熱風・伝導伝熱乾燥機1の構成要素について詳しく説明する。
【0018】
まず前記回転ドラム2は図3に示すように、円筒状のドラム本体20に対して、一例として外周部の二個所にタイヤ21が装着されるとともに、スプロケット22が装着されて成るものであり、図1に示すように基台B上に配されたローラR上にタイヤ21が接した横臥状態に載置される。そしてモータMの出力軸に具えられたスプロケットSと、前記スプロケット22との間にチェーンCが巻回されている。
なお回転ドラム2は、被処理物Wの投入側から排出側に向かって下降するように傾斜を付けて設置される。
またドラム本体20の一定範囲は、後述するように風胴6により囲まれる通気エリア23とされるものであり、この通気エリア23には通気孔23aが所定の間隔で形成されている。なお通気孔23aがドラム本体20の全域ではなく、一部領域の通気エリア23のみに形成されるため、ドラム本体20の強度低下が抑えられ、その分、ドラム本体20大型化が可能になるものである。
またドラム本体20の両開口部には、リフタ3の形状に合わせて内歯車状に形成されたリング体24が挿嵌される。
なお回転ドラム2の構成要素の一つである堰板25については、後ほど回転ドラム2と加熱体5との組み合わせ態様と併せて説明する。
【0019】
また前記リフタ3は、ドラム本体20の内周部に設置されるものであり、図3中に拡大して示すように側面視で掻上面32と通気面33とが山形に形成されたリフタ要素30が、ドラム本体20の長手方向の全域に亘って分散設置されたステー31上に設置される。 またリフタ3の排出側は、ドラム本体20の端部からいくぶんか奥まった内側の部位を終端とするように、ドラム本体20の長さ寸法よりも短く形成されている。
なおリフタ3の両端部は、前記リング体24の内歯車状部に接した状態とされ、ドラム本体20とリフタ要素30との間の空間が閉鎖状態とされる。
またこの実施例では、通気面33にのみ通気孔33aを形成し、回転方向側に面する掻上面32には形成しないようにしたが、もちろん通気孔33aを掻上面32に形成してもよい。
更にこの実施例では、通気孔33aをドラム本体20における通気エリア23に対応する個所にのみ形成するようにしたが、通気エリア23に対応する個所以外の個所に形成してもよい。
【0020】
また前記加熱体5は図4(a)に示すように、対向する鏡板52と閉止板53の間を、内部に加熱媒体を導入可能な伝熱管51により連結して構成されるものであり、この伝熱管51は一例として図4(b)に示すように二重円形状に配列される。
そして外側円の伝熱管群を伝熱管群51A、内側円の伝熱管群を伝熱管群51Bと称し、いずれの管群も鏡板52の内部空間と連通している。またいずれの管群も閉止板53側にて閉止状態とされている。
前記鏡板52は回転ドラム2と一体となり回転するものであり、図5に示すように回転状態の鏡板52の内部に加熱蒸気Vを供給し、且つ、加熱蒸気Vが凝縮して内部に溜まるドレンLを排出するためのロータリージョイント55が接続される。
また、鏡板52内部にはサイホン管56が設置され、このサイホン管56を通じてロータリージョイント55を介してドレンLが外部に排出される。
【0021】
また前記閉止板53には、通常は中央部に開口が設けられ、この開口部には被処理物Wを本体ドラム内に投入するための投入シュート54aが具えられたシールプレート54が挿入される。
なお加熱体5の適宜の個所に送り羽根を設け、加熱体5の回転に伴って被処理物Wを排出側に積極的に移動させるようにすることもできる。
【0022】
そして図2に示すように、前記加熱体5を、回転ドラム2に挿通状態としてこれらを一体化するものであり、このように一体化された状態の回転ドラム2におけるタイヤ21が、図1に示すように複数のローラR上に載置される。
またドラム本体20は一定の範囲が風胴6により囲まれており、風胴6に設けられた受入口60にドラム本体20を挿通する様に配置される。なおタイヤ21やスプロケット22は風胴6の外部に具えられる構成としているが、適宜風胴6に納まる構成とすることも可能である。
また前記シールプレート54、ロータリージョイント55及び後述する排出ダクト7は、適宜の機枠(図示省略)に固定される。
このように本発明の熱風・伝導伝熱乾燥機1における加熱体5は、既存の装置のようにプランマブロックに軸支されるものではないため、設計の自由度が大幅に増すものであり、大型化が可能となるものである。
【0023】
なお図1、2、5に示すように、鏡板52側のドラム本体20を囲繞するように排出ダクト7が設けられる。
この排出ダクト7は、円形の受入口70が形成されたダクト体であり、その下部に排出口72が形成され、上部に排気口73が形成されている。また排出ダクト7の適宜の箇所には、適宜開閉可能とされた点検口74が形成されている。
そして排出ダクト7に囲まれているドラム本体20の円周部には、流出口71が形成されており、詳しくは後述するが乾燥品Dがこの流出口71から排出され、排出ダクト7の排出口72を通じて熱風・伝導伝熱乾燥機1の外部に排出される。
前記流出口71は通常は複数(一例として8つ)が形成され、図3に拡大して示すように方形を基本的な開口形状として、その開口状態が調節できるようにスライド式の蓋体71aが設けられる。
また流出口71の開口形状は、方形の他に、一例として三角形状の開口形状としてもよく、この場合、蓋体71aの開き具合を調節することにより、排出口72からの乾燥品Dの排出量の変化を均一化させると共に、広いレンジで変更することが可能となる。
なお蓋体71aの位置設定と固定は、一例として複数箇所に設けられたボルト孔と、これに螺合するボルトを用いて行うようにした。
【0024】
更にこの実施例では、前記回転ドラム2の終端部付近に、可動式の堰板25を設けるものであり、この堰板25は、図5に示すようにドラム本体20の終端部におけるリフタ3が形成されていない部位に嵌まり込む状態で固定されるものであり、回転ドラム2の終端部から排出ダクト7に移動する被処理物Wの移動を制限するための部材である。
具体的には堰板25は図2、3に示すように中心部に円形の溢出部25aが形成された円板状部材であり、前記加熱体5における伝熱管51に対応した個所に形成された伝熱管孔25bに対して、伝熱管51が挿通状態とされるものである。
なお堰板25が回転ドラム2の終端部に嵌まり込むために、前記リング体24は回転ドラム2の終端部から奥まった個所に設置され、この個所がリフタ3の終端部となる。
そして一例として堰板25の外周部の上下二個所に固定板25cを設けるとともに、この固定板25cとドラム本体20とをボルト等により固定するものとする。
このような堰板25が設けられることにより、回転ドラム2の終端部に至った被処理物Wは堰板25に堰き止められ、やがてその高さが溢出部25aに至った時点でここから溢れ出すこととなるものであり、溢出部25aを所望の大きさに設定することにより、回転ドラム2内での被処理物Wの滞留量(滞留時間)を調整することができる。
【0025】
なお上述のように堰板25は、伝熱管孔25bに対して伝熱管51が挿通状態とされているため、これを取り外すとなると、回転ドラム2及び加熱体5を分解しなければならない。
そこで図4、5に示すように、前記流出口71の下流側の部位を退避スペース26とする。このような退避スペース26が設けられることにより、回転ドラム2内での長時間の滞留を要しない被処理物Wを扱う場合、あるいは回転ドラム2内の被処理物Wをすべて排出する場合には、点検口74を開けて、堰板25を退避スペース26に位置させてここに固定しておくことにより、被処理物Wの流れを妨げてしまうことがない。
【0026】
本発明の熱風・伝導伝熱乾燥機1は一例として上述のように構成されるものであり、以下、この装置を用いた熱風・伝導伝熱乾方法について説明する。
【0027】
(1)熱風・伝導伝熱乾燥機の準備
まず被処理物Wの投入に先立って、熱風・伝導伝熱乾燥機1における加熱体5及びドラム本体20を昇温しておくものであり、モータMを起動してドラム本体20及びこれと一体化された加熱体5を回転させた状態で、ロータリージョイント55の蒸気供給口55aにボイラー蒸気等の加熱蒸気Vを供給するとともに、熱風機(図示省略)から給気口61に熱風Hを供給する。
【0028】
前記加熱蒸気Vは高圧の飽和蒸気であり、伝熱管51内に拡散しつつ、伝熱管51自体を加熱昇温するとともに、その周囲にある物体を輻射熱により加熱昇温し、更に伝熱管51に接触する物体は(主には後述する被処理物W)を伝導伝熱により加熱昇温する。
そして加熱により潜熱を失った加熱蒸気VはドレンLとなり、このドレンLは、ドラム本体20の傾斜、すなわち伝熱管51が鏡板52側に向けて下降傾斜していることから、鏡板52内下部に集液され、鏡板52内の高圧蒸気の圧力により、サイホン管56とロータリージョイント55を経由して排液口55bから外部に排出される。
【0029】
一方、給気口61を通じて風胴6内に供給された熱風Hは図1(c)に示すように、ドラム本体20の外面に対して仕切板63と仕切板64とが近接して設置されているため、仕切板63と仕切板64との間のドラム本体20における通気孔23aを通じてドラム本体20内に進入する。次いで熱風Hは、リフタ3における通気面33に形成された通気孔33aを通じてリフタ3の内側、すなわち加熱体5側に進入する。この際、熱風Hはドラム本体20及びリフタ3と接してこれらを昇温する。
次いで熱風Hは、仕切板63と仕切板64よりも排気口62側に位置するリフタ3の通気孔33aを通じてドラム本体20外に流出し、排気口62から風胴6の外部に排出される。
【0030】
(2)被処理物の乾燥
次いで加熱体5及びドラム本体20が十分に昇温された時点で、投入シュート54aからドラム本体20内に被処理物Wが投入される。
〔予熱乾燥〕
投入された被処理物Wは、ドラム本体20の傾斜とリフタ3の作用によって、投入側から排出側(閉止板53側から鏡板52側)に移動する。この際、被処理物Wはリフタ3によってカスケードしながら掻き上げられることにより、加熱体5の伝熱管51と効果的に接触し、伝導伝熱を受けて昇温され、水分が蒸発して含水率が低下するものである。
なおドラム本体20における閉止板53から通気エリア23までの部分(風胴6の受入口60から風胴6の外側に突出している部分)を予熱エリア27と呼ぶ。
【0031】
〔熱風・伝導伝熱乾燥〕
やがて被処理物Wが通気エリア23に到達すると、リフタ3によってカスケードしながら掻き上げられる被処理物Wには、通気孔23a、通気孔33aを通じて熱風Hが作用して、これを昇温する。更に被処理物Wは伝熱管51から伝導伝熱を受けて昇温されるものであり、このように通気エリア23において被処理物Wは、熱風・伝導伝熱乾燥が施されることにより水分が蒸発して更に含水率が低下する。
なお熱風Hはキャリアガスとしても機能するものであり、被処理物Wから蒸発した水分は熱風Hに伴われて排気口62から排出される。また熱風Hによって、投入されてからまだ水分が高く分散しづらい状態の被処理物Wの分散が促進され、より乾燥作用を受け易い状態とされる。
このように通気エリア23に到達した被処理物Wは、予熱エリア27において十分に昇温されているため、伝熱管51による伝導伝熱乾燥に加え、熱風Hによる乾燥が行われることにより、一気に水分が蒸発して含水率が低下することとなる。
【0032】
〔伝導伝熱乾燥〕
次いで被処理物Wは、通気エリア23の次段に位置する伝導伝熱エリア28(風胴6の受入口60から風胴6の外側に突出している部分)に到達し、ここでもリフタ3によってカスケードしながら掻き上げられることにより、加熱体5の伝熱管51と効果的に接触し、伝導伝熱を受けて昇温され、水分が蒸発して含水率が低下するものである。
なおこの実施例では、回転ドラム2の終端側の鏡板52にロータリージョイント55を設け、ここに加熱蒸気Vが供給されるため、伝導伝熱エリア28において伝熱管51内に供給される加熱蒸気Vは飽和蒸気であり、恒温状態が維持されているため、通気エリア23において一気に水分が蒸発して含水率が低下した被処理物Wを、追い打ちをかけるように加熱して、更なる含水率の低下を促進することができるものである。
なお伝導伝熱エリア28において被処理物Wから蒸発した水分は、前記熱風Hの一部がキャリアガスとして作用して、排気口73から外部に排出される。
【0033】
〔被処理物の排出〕
次いで回転ドラム2の終端部に至った被処理物Wは乾燥品Dとなり、流出口71から排出ダクト7の排出口72を経て熱風・伝導伝熱乾燥機1の外部に排出される。
この際、溢出部25aを所望の径に設定することにより、ドラム本体20内に滞留する被処理物Wの滞留量を調節可能であり、これにより回転ドラム2内での被処理物Wの滞留時間の調節が可能となるので、乾燥品Dを十分に乾燥が進み、所望の含水率となったものとすることができる。
なお溢出部25aから溢れ出る乾燥品Dが熱風・伝導伝熱乾燥機1外部に排出される乾燥品Dであるが、複数箇所に設けられている流出口71の開度を、蓋体71a位置を調整して調節することにより、回転ドラム2から流出口71を通じて流出する乾燥品Dの時間当りの排出量の均一化を図ることが可能となものである。
【符号の説明】
【0034】
1 熱風・伝導伝熱乾燥機
2 回転ドラム
20 ドラム本体
21 タイヤ
22 スプロケット
23 通気エリア
23a 通気孔
24 リング体
25 堰板
25a 溢出部
25b 伝熱管孔
25c 固定板
26 退避スペース
27 予熱エリア
28 伝導伝熱エリア
3 リフタ
30 リフタ要素
31 ステー
32 掻上面
33 通気面
33a 通気孔
5 加熱体
51 伝熱管
51A 伝熱管群
51B 伝熱管群
52 鏡板
53 閉止板
54 シールプレート
54a 投入シュート
55 ロータリージョイント
55a 蒸気供給口
55b 排液口
56 サイホン管
6 風胴
60 受入口
61 給気口
62 排気口
63 仕切板
64 仕切板
7 排出ダクト
70 受入口
71 流出口
71a 蓋体
72 排出口
73 排気口
74 点検口
B 基台
C チェーン
D 乾燥品
H 熱風
L ドレン
M モータ
R ローラ
S スプロケット
V 加熱蒸気
W 被処理物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7