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  • 特許-バレルおよび玩具銃 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-13
(45)【発行日】2024-06-21
(54)【発明の名称】バレルおよび玩具銃
(51)【国際特許分類】
   F41A 21/48 20060101AFI20240614BHJP
   A63H 33/18 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
F41A21/48
A63H33/18 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019173576
(22)【出願日】2019-09-24
(65)【公開番号】P2021050855
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】592153584
【氏名又は名称】株式会社東京マルイ
(74)【代理人】
【識別番号】100134430
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 卓士
(72)【発明者】
【氏名】岩澤 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】岩澤 茂
【審査官】山本 賢明
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3214264(JP,U)
【文献】米国特許第10322355(US,B1)
【文献】特表2007-518046(JP,A)
【文献】特開2018-009751(JP,A)
【文献】中国実用新案第206930216(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第107462107(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F41A 21/48
A63H 33/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
玩具銃のバレル接続部に対して着脱可能なバレルであり、
前記バレル接続部から前方に発射された弾丸が内部を通過する筒状のインナーエクステンションと、
前記インナーエクステンションの外周面に接触しつつ、前記インナーエクステンションを内部に収容する筒状のアウターバレルと、
前記インナーエクステンションを、前記バレル接続部に接続するためのバレルジョイントと、
を備え、
前記インナーエクステンションは、前記インナーエクステンションの後端面が露出した状態で、前記バレルジョイントと固定され一体化しており、
前記アウターバレルを前記バレル接続部に接続した際に、前記バレルジョイントおよび前記インナーエクステンションの後端面を、前記バレル接続部側に付勢する付勢手段をさらに備えたバレル。
【請求項2】
前記アウターバレルを後端側で前記バレル接続部と接続するバレルエンドをさらに備え、
前記付勢手段は、前記バレルエンドと前記バレルジョイントとの間に設けられた弾性部材である請求項1に記載のバレル。
【請求項3】
前記インナーエクステンションの先端の外径と、前記アウターバレルの内径とのクリアランスを0.2mm以下にした請求項1または2に記載のバレル。
【請求項4】
前記バレル接続部は、前記インナーエクステンションと連結するインナーバレルを有しており、
前記バレルジョイントの内径と前記インナーバレルの外径のクリアランスを直径0.1mm以下にした請求項1または2に記載のバレル。
【請求項5】
前記インナーエクステンションの後端面と前記インナーバレルの前端面とを、圧力を付与しつつ面接触させる請求項に記載のバレル。
【請求項6】
前記インナーエクステンションが、前記アウターバレル内で前後方向にスライド可能に保持されつつ、前記アウターバレルから抜け落ちることを防止する抜け落ち防止手段を備えた請求項1乃至5のいずれか1項に記載のバレル。
【請求項7】
前記インナーエクステンションの後端内壁面は、後方に向けて径大となるように形成されている請求項1乃至6のいずれか1項に記載のバレル。
【請求項8】
発射された弾丸が内部を通過する筒状のインナーエクステンションと、
前記インナーエクステンションの外周面に接触しつつ、前記インナーエクステンションを内部に収容する筒状のアウターバレルと、
を含むバレルと、
前記インナーエクステンションと連結するインナーバレルを含み、前記バレルを着脱自在に接続するバレル接続部と、
を備えた玩具銃であって、
前記バレルは、前記インナーエクステンションを、前記バレル接続部に接続するためのバレルジョイントを更に備え、
前記インナーエクステンションは、前記インナーエクステンションの後端面が露出した状態で、前記バレルジョイントと固定され一体化しており、
前記アウターバレルを前記バレル接続部に接続した際に、前記バレルジョイントおよび前記インナーエクステンションの後端面を、前記バレル接続部側に付勢する付勢手段をさらに備えた玩具銃。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バレルおよび玩具銃に関する。
【背景技術】
【0002】
上記技術分野において、特許文献1には、インナーバレルを取り外すことのできる玩具銃が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-9751号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記文献に記載の技術では、バレル全体を容易に着脱することができず、実銃のギミックをリアルに再現したものとはなっていなかった。
【0005】
本発明の目的は、上述の課題を解決する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため本発明にかかるバレルは、
玩具銃のバレル接続部に対して着脱可能なバレルであり、
前記バレル接続部から前方に発射された弾丸が内部を通過する筒状のインナーエクステンションと、
前記インナーエクステンションの外周面に接触しつつ、前記インナーエクステンションを内部に収容する筒状のアウターバレルと、
前記インナーエクステンションを、前記バレル接続部に接続するためのバレルジョイントと、
を備え
前記インナーエクステンションは、前記インナーエクステンションの後端面が露出した状態で、前記バレルジョイントと固定され一体化しており、
前記アウターバレルを前記バレル接続部に接続した際に、前記バレルジョイントおよび前記インナーエクステンションの後端面を、前記バレル接続部側に付勢する付勢手段をさらに備えた
【0007】
上記目的を達成するため本発明にかかる玩具銃は、
発射された弾丸が内部を通過する筒状のインナーエクステンションと、
前記インナーエクステンションの外周面に接触しつつ、前記インナーエクステンションを内部に収容する筒状のアウターバレルと、
を含むバレルと、
前記インナーエクステンションと連結するインナーバレルを含み、前記バレルを着脱自在に接続するバレル接続部と、
を備えた玩具銃であって、
前記バレルは、前記インナーエクステンションを、前記バレル接続部に接続するためのバレルジョイントを更に備え、
前記インナーエクステンションは、前記インナーエクステンションの後端面が露出した状態で、前記バレルジョイントと固定され一体化しており、
前記アウターバレルを前記バレル接続部に接続した際に、前記バレルジョイントおよび前記インナーエクステンションの後端面を、前記バレル接続部側に付勢する付勢手段をさらに備えた玩具銃である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、バレル全体をチャンバーに対して容易に着脱できることにより、実銃のギミックをリアルに再現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係るバレルおよびそのバレルが取り付けられる玩具銃のチャンバーの一部を示す断面図である。
図2】本発明の実施形態に係るバレルが玩具銃のチャンバーに取り付けられた状態を示す断面図である。
図3】本発明の実施形態に係るバレルが玩具銃のチャンバーに取り付けられた状態を示す部分拡大図である。
図4】本発明の実施形態に係るバレルの接続前の拡大図である。
図5】本発明の実施形態に係るバレルの接続後の拡大図である。
図6】本発明の実施形態に係るバレルエンドとチャンバーの詳細構成を示す拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態について例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施の形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、本発明の技術範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0011】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態としてのバレル100について、図1を用いて説明する。図1は、バレル100およびそのバレル100が取り付けられる玩具銃のバレル接続部としてのチャンバー150の一部を示す断面図である。バレル100は、玩具銃のチャンバー150に対して着脱自在に構成されている。
【0012】
バレル100は、いわゆる銃身であり、筒状のインナーエクステンション101とアウターバレル102とを備えており、さらにインナーエクステンション101を、玩具銃のインナーバレル151に接続するためのバレルジョイント103を備えている。
【0013】
インナーエクステンション101は、筒状に形成されており、チャンバー150に設けられたインナーバレル151から前方に発射された弾丸が内部を通過する。
【0014】
インナーバレル151は、内部を弾丸(BB弾)が通過する円筒状の部材であり不図示のノズルおよびシリンダヘッドと一体的に形成される。インナーバレル151の後方に設けられるメカボックス等は、従来から存在する玩具銃の構成と同様であるため、ここでは詳述しない。インナーバレル151の先端外周には、バレルジョイント103と連結した際にエア漏れが起こらないように密閉性を確保するためのOリング152が装着されている。
【0015】
アウターバレル102は、筒状に構成され、インナーエクステンション101を内部に収容する。アウターバレル102には、消炎器104や照星(フロントサイト)105や不図示のハンドガードなどを取り付け可能である。
さらに例えば、不図示のハンドガード内にバッテリーを収容する構成の場合にはバレル100を離脱させてバッテリーを取り出すことができる。
インナーエクステンション101の先端の外径と、アウターバレル102の内径とのクリアランスを0.2mm以下にすることで、インナーエクステンション101とアウターバレル102の芯出しをしている。
【0016】
インナーエクステンション101は、インナーエクステンション101の後端面が露出した状態で、バレルジョイント103と固定され一体化している。具体的には、インナーエクステンション101の後端外周面およびバレルジョイント103の前端内周面に切られたネジ131が締結されることにより、インナーエクステンション101とバレルジョイント103は芯だしされつつ一体化されている。
【0017】
アウターバレル102後端側には、チャンバー150と接続するアウターバレル基部としてのバレルエンド106が延設されている。アウターバレル102とバレルエンド106とは、外側下方から挿入されたネジ107で締結されている。しかし、アウターバレル102とバレルエンド106との固定方法はこれに限定されるものではなく、ねじ込み式または接着などでもよい。
【0018】
また、アウターバレル102をチャンバー150に接続した際に、バレルジョイント103およびインナーエクステンション101の後端面を、チャンバー150側に付勢する付勢手段としてのスプリング108が設けられている。具体的には、スプリング108は、ゴムなど他の弾性部材でもよく、バレルエンド106とバレルジョイント103との間に設けられている。
【0019】
バレルエンド106は、その内壁面にスプリング108を収容するための凹部161を有しており、スプリング108の前端が、その凹部161の端面に当接し、さらにスプリング108の後端が、バレルジョイント103の前端面に当接している。
【0020】
インナーエクステンション101は、その中ほどの外周にOリング121が取り付けられている。Oリング121がバレルエンド106とアウターバレル102との間に設けられた空間162に収まり、インナーエクステンション101の前後方向位置が所定幅に規定される。また、インナーエクステンション101が、アウターバレル102内で前後方向にスライド可能に保持されつつ、アウターバレル102から簡単に後方に抜けないようにOリング121が抜け落ち防止手段になっている。
【0021】
インナーエクステンション101の先端の芯出しとは異なり、バレルジョイント103の外周面と、バレルエンド106の内周面との間にはクリアランス163を設けている。あえてバレルジョイント103(インナーエクステンション101の後端)の位置をフリー(可動)にするセッティングとなっている。これによりバレルの連結がスムーズに行なわれるようになる。
【0022】
図2は、バレル100が玩具銃のチャンバー150に取り付けられた状態を示す断面図である。図2に示すとおり、インナーバレル151は、バレルジョイント103内部に挿入され、Oリング152がそれらの密閉性を確保している。
また、バレルジョイント103の内径とインナーバレル151外径のクリアランスを半径0.05mm(直径0.1mm)以下にすることで芯出しを行なっている。
【0023】
さらにインナーエクステンション101の後端面を、スプリング108の弾性力によりインナーバレル151の前端面に対して圧力を付与して付勢しつつ面接触させている。これにより、インナーエクステンション101とインナーバレル151との平行を出しており、インナーバレル151から発射されたBB弾がまっすぐにインナーエクステンション101の中心を通過できるようになっている。すなわち、インナーエクステンション101とインナーバレル151の平行度を高度に維持することで、BB弾の経路が全体として一体の状態になるように近づけており、高い集弾性を実現している。
【0024】
チャンバー150は、バレル100着脱用のレバー153を備えている。バレルエンド106は、不図示の爪によってチャンバー150に固定されている。レバー153をガチャリと押し込むことにより、爪が解除され、インナーエクステンション101とアウターバレル102とバレルエンド106とが一体的にチャンバー150から、離脱する。バレル100の着脱機構はこれに限定されるものではなく、例えば、ねじ込み式などでもよい。
【0025】
図4図6を用いて、バレルエンド106とチャンバー150との固定方法について説明する。図4は、接続前の拡大図、図5は、接続後の拡大図である。図6は、バレルエンド106とチャンバー150の詳細構成を示す拡大斜視図である。
バレルエンド106の結合部402とチャンバー150の結合部405は、共に同角度のテーパー形状になっていて差し込むと自動的に同心となる構造になっている。この構造もインナーバレル151を接続した際の芯出しに寄与している。
バレルエンド106には固定用の円弧形状401が存在し、レバー153にも勘合する円孔形状404が存在する。この2つの円弧形状401、404はレバー153の軸403と同心円で設定されており、バレルエンド106が特定位置にきたときのみレバー153、601が回転し、固定することができる。レバー153、601には、ばね(不図示)が配置されている。バレルエンド106を挿入すると、レバー153、601の矢印602方向の回転とともにばねが圧縮され、バレルエンド106が所定位置に到達したときに押し戻されてロックがかかる。
【0026】
バレル100着脱時には、アウターバレル102に対して、インナーエクステンション101が、前後左右にある程度自由に動く状態となっている。アウターバレル102とインナーエクステンション101とが、自由度を有しつつ連結しているため、バレル100全体をチャンバー150に対して、容易に着脱できる。かつ、インナーエクステンション101とインナーバレル151との連結精度が高いため何度着脱しても高い集弾性を維持できる。
【0027】
図3は、インナーエクステンション101とインナーバレル151との接続部分を拡大した部分拡大断面図である。図3に示すように、インナーエクステンション101の後端の内壁面301は、後方に向けて径大となるように傾斜が形成されている。
【0028】
つまり、インナーエクステンション101とバレルジョイント103との接続部分において、インナーエクステンション101のBB弾の入り口部分の内壁面301は、後方に向けて外側に広がるようにテーパ(傾斜)が形成されている。
【0029】
インナーバレル151の内径は、6.08mmとなっており、インナーエクステンション101の前方部分内径も同様に6.08mmとなっているが、径大部分だけ内径6.49mmとしている。接合部分に非常に微小な段差(軸心のずれ)が発生しても、径大部分が吸収するため、BB弾がその軸心のズレの影響を受けない。インナーバレルが接がれたことによって発生しうる段差をなくしている。
【0030】
そのため、インナーバレル151から飛び出してきたBB弾が、インナーエクステンション101の入り口の内側を通って前進する際に抵抗が生じない。つまり弾速を下げることなく発射することができる。
【0031】
インナーバレル151の先端部には、段差(径小部)が設けられており、Oリング152に対して挿入可能となっている。バレルジョイント103の後端部にも同様に段差(径大部)が設けられており、Oリング152がその径大部にピタリと密着する。また、インナーバレル151の径小部が、バレルジョイント103の径小部に面接触することによっても、上下左右のズレをできるだけ減らして、高い精度での芯だしおよび機密性を実現している。バレルジョイント103は、Oリング152の前後で、インナーバレル151を抱きかかえる形になる。
【0032】
すなわち、Oリング152とスプリング108による付勢力とインナーバレル151とインナーエクステンション101との間の面接触によって、バレル100を何度脱着しても、高い機密性が確保でき、空気圧の減少を防止でき、弾速を高い値で維持できる。
【0033】
バレル100をチャンバー150に対して抜き差しできることにより、実銃のギミックをリアルに再現することができる。実銃では、連射によってバレルが熱くなり、熱変形して集弾精度が悪くなった場合にバレルを交換できるように構成されている。本願発明では玩具銃において、同様のギミックを再現することで、複数種類のバレルに交換可能になり、ユーザの満足度を向上させることができる。
【0034】
なお、本発明に係る玩具銃は、電動ガンに限定されるものではなく、ガスブローバックでもよい。
【0035】
[他の実施形態]
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明の技術的範囲で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。また、それぞれの実施形態に含まれる別々の特徴を如何様に組み合わせたシステムまたは装置も、本発明の技術的範囲に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6