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特許7503822広告表示システム、制御装置、制御プログラム、表示制御方法、及び表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-13
(45)【発行日】2024-06-21
(54)【発明の名称】広告表示システム、制御装置、制御プログラム、表示制御方法、及び表示装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0251 20230101AFI20240614BHJP
   G09F 27/00 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
G06Q30/0251
G09F27/00 G
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020074461
(22)【出願日】2020-04-19
(65)【公開番号】P2021174031
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】516329543
【氏名又は名称】株式会社バカン
(74)【代理人】
【識別番号】110001793
【氏名又は名称】弁理士法人パテントボックス
(72)【発明者】
【氏名】河野 剛進
【審査官】上田 威
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-284101(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0020704(US,A1)
【文献】特開2002-155564(JP,A)
【文献】特開2008-051909(JP,A)
【文献】特開2017-027147(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
G09F 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トイレ個室への広告表示を制御する広告表示システムであって、
前記トイレ個室における利用者の入室を検出する検出手段と、
前記トイレ個室の利用者が閲覧可能な位置に設置された表示手段と、
前記検出手段による利用者の入室状況を示す検出結果に応じて、前記表示手段に対して複数の広告コンテンツの表示を制御する表示制御手段とを有し、
前記表示制御手段は、前記広告コンテンツを前記トイレ個室の性別の属性と前記トイレ個室が設置された施設の属性とに応じた利用平均時間を超えて広告コンテンツを表示しないこと、
を特徴とする広告表示システム。
【請求項2】
前記性別の属性は、男性用又は女性用を示す性別情報であり、
前記表示制御手段は、前記性別の属性が男性用を示す場合、男性用のトイレ個室に設置された前記表示手段に対して、女性用のトイレ個室に設置された前記表示手段よりも、再生表示時間が長い広告コンテンツを表示させること、
を特徴とする請求項1に記載の広告表示システム。
【請求項3】
前記トイレ個室は、平日よりも休日が混雑する施設に設置され、
前記施設の属性は、平日又は休日を示す曜日情報であり、
前記表示制御手段は、前記施設の属性が平日を示す場合、トイレ個室に設置された前記表示手段に対して、休日よりも、再生表示時間が長い広告コンテンツを表示させること、
を特徴とする請求項1又は2に記載の広告表示システム。
【請求項4】
トイレ個室への広告表示を制御する制御装置であって、
前記トイレ個室に設置された検出手段から、前記トイレ個室における利用者の入室状況を示す検出結果を受信する受信手段と、
前記検出結果に応じて、前記トイレ個室の利用者が閲覧可能な位置に設置された表示手段に対して複数の広告コンテンツの表示を制御する表示制御手段とを有し、
前記表示制御手段は、前記広告コンテンツを前記トイレ個室の性別の属性と前記トイレ個室が設置された施設の属性とに応じた利用平均時間を超えて広告コンテンツを表示しないこと、
を特徴とする制御装置。
【請求項5】
コンピュータを、請求項4に記載の制御装置として機能させるための制御プログラム。
【請求項6】
トイレ個室への広告表示を制御する表示制御方法であって、
制御装置が実行する
前記トイレ個室に設置された検出手段から、前記トイレ個室における利用者の入室状況を示す検出結果を受信する受信手順と、
前記検出結果に応じて、前記トイレ個室の利用者が閲覧可能な位置に設置された表示手段に対して複数の広告コンテンツの表示を制御する表示制御手順とを有し、
前記表示制御手順は、前記広告コンテンツを前記トイレ個室の性別の属性と前記トイレ個室が設置された施設の属性とに応じた利用平均時間を超えて広告コンテンツを表示しないこと、
を特徴とする表示制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広告表示システム、制御装置、制御プログラム、表示制御方法、及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トイレ施設の個室等にディスプレイを設置し、利用者が便器に近づくとセンサにより利用者を検知し広告やイベント情報等の画像を表示することで、利用者に対する広告伝達効果を高めようとする広告やイベント情報等の画像を表示する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-155564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の方法によれば、利用者が広告を見るために1人あたりの利用時間が増加してしまい、その結果、施設が混雑してしまうという可能性があった。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑み提案されたものであり、一つの側面では、施設利用者に対する広告伝達効果を確保しつつ、施設利用時間の増加を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明に係る広告表示システムは、トイレ個室への広告表示を制御する広告表示システムであって、前記トイレ個室における利用者の入室を検出する検出手段と、前記トイレ個室の利用者が閲覧可能な位置に設置された表示手段と、前記検出手段による利用者の入室状況を示す検出結果に応じて、前記表示手段に対して複数の広告コンテンツの表示を制御する表示制御手段とを有し、前記表示制御手段は、前記広告コンテンツを前記トイレ個室の性別の属性と前記トイレ個室が設置された施設の属性とに応じた利用平均時間を超えて広告コンテンツを表示しない。
【発明の効果】
【0007】
本発明の実施の形態によれば、施設利用者に対する広告伝達効果を確保しつつ、施設利用時間の増加を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る広告表示システムの構成例を示す図である。
図2】本実施形態に係る広告表示システムのトイレ施設設置例を示す図である。
図3】本実施形態に係る広告管理サーバ及び表示端末のハードウェア構成例を示す図である。
図4】本実施形態に係る広告管理サーバ及び表示端末のソフトウェア構成例を示す図である。
図5】本実施形態に係る個室管理DB及び広告管理DBのデータ例を示す図である。
図6】本実施形態に係る平均利用時間情報のデータ例を示す図である。
図7】本実施形態に係る広告管理サーバの広告コンテンツ表示制御処理を示すフローチャート図である。
図8】本実施形態に係る表示端末の広告コンテンツ表示制御処理を示すフローチャート図である。
図9】本実施形態に係る入退出ログの一例を示す図である。
図10】本変形例に係るトイレ個室の属性情報に応じた平均利用時間情報のデータ例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0010】
<システム構成>
(ネットワーク構成)
図1は、本実施形態に係る広告表示システムの構成例を示す図である。図1の広告表示システム100は、広告管理サーバ10と、空室検知センサ30と、表示端末40とを含み、ネットワーク50を介して接続されている。
【0011】
広告管理サーバ10は、表示端末40に、広告動画やお知らせ広告などをはじめとする広告コンテンツを配信する情報処理装置である。配信された広告コンテンツは、トイレ個室20内にそれぞれ設置された表示端末40のディスプレイ上に表示される。トイレ施設Aは、オフィスビル等の建物内におけるトイレ施設である。トイレ施設A内には、複数のトイレ個室が設置されており、更に各トイレ個室に空室検知センサ30及び表示端末40が設置される。
【0012】
表示端末40は、トイレ施設Aのトイレ個室毎に設置され、利用者がトイレ個室利用中に広告動画などの広告コンテンツを表示する情報表示装置である。例えば表示端末40としてタブレット端末を利用する。
【0013】
空室検知センサ30は、トイレ施設Aのトイレ個室毎に設置され、トイレ個室20の空室情報(空室状況)を検知するための監視機器である。空室検知センサ30は、監視対象となる個室毎に設置される。空室検知センサ30は、トイレ個室20における利用者の入退出を検出する。空室検知センサ30としては、例えばトイレ個室20の扉の開閉を検知する磁気センサやトイレ個室20内の利用者の人感を検知する人感センサなどを用いることができる。トイレ個室20が常開式である場合、磁気センサがトイレ個室20の扉(又は鍵)が閉まったことを検知したときに、トイレ個室20に利用者が入室したと判定することができる。また、磁気センサがトイレ個室20の扉(又は鍵)が開いたことを検知したときに、トイレ個室20に利用者が退出したと判定することができる。磁気センサは、例えば開閉状態が変化した場合や、数秒毎などの一定時間が経過した場合などに検知信号を出力する。本実施形態では空室検知センサ30として磁気センサを用いるものとするため、空室検知センサ30は扉(又は鍵)が閉まっている場合には検知信号1を、扉(又は鍵)が開いている場合には検知信号0を、施設ID及びセンサIDとともに広告管理サーバ10に出力する。
【0014】
ネットワーク50は、有線、無線を含む通信ネットワークである。ネットワーク50は、例えば、インターネット、公衆回線網、WiFi(登録商標)などを含む。
【0015】
(設置例)
図2は、本実施形態に係る広告表示システムのトイレ施設設置例を示す図である。空室検知センサ30は、トイレ個室20の空室情報(空室状況)を監視するため、各トイレ個室20内の所定の場所に設置される。図2のトイレ施設の場合には、合計5つの個室が設けられているため、トイレ個室20毎に、合計5台の空室検知センサ30が設置される。空室検知センサ30は、トイレ施設内の無線又は有線ネットワーク(非図示)を介して広告管理サーバ10と通信可能に接続される。
【0016】
上述したように、空室検知センサ30は、例えばトイレ個室20の扉の開閉を検知する磁気センサなどを用いることができる。よって空室検知センサ30に磁気センサを用いた場合、空室検知センサ30はトイレ個室20の扉に設置されうる。
【0017】
表示端末40は、各トイレ個室20内の所定の場所に設置される。図2のトイレ施設の場合には、合計5つの個室が設けられているため、トイレ個室20毎に、合計5台の表示端末40が設置される。表示端末40は、トイレ施設内の無線又は有線ネットワークを介して広告管理サーバ10と通信可能に接続される。なお、表示端末40は、トイレ個室20内の利用者が閲覧しやすい位置・高さにおいて設置されるとよい。
【0018】
(ハードウェア構成)
図3は、本実施形態に係る広告管理サーバ及び表示端末のハードウェア構成例を示す図である。図3(A)に示されるように、広告管理サーバ10は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、HDD(Hard Disk Drive)14、及び通信装置15を有する。
【0019】
CPU11は、各種プログラムの実行や演算処理を行う。ROM12は、起動時に必要なプログラムなどが記憶されている。RAM13は、CPU11での処理を一時的に記憶したり、データを記憶したりする作業エリアである。HDD14は、各種データ及びプログラムを格納する。通信装置15は、ネットワーク50を介して他装置との通信を行う。
【0020】
図3(B)に示されるように、表示端末40は、CPU41、ROM42、RAM43、通信装置44、メモリ45、及びディスプレイ装置46を有する。
【0021】
CPU41は、各種プログラムの実行や演算処理を行う。ROM42は、起動時に必要なプログラムなどが記憶されている。RAM43は、CPU41での処理を一時的に記憶したり、データを記憶したりする作業エリアである。通信装置44は、ネットワーク50を介して広告管理サーバ10との通信を行う。メモリ45は、広告管理サーバ10から配信された広告コンテンツデータを格納し保存する。ディスプレイ装置46は、メモリ45に格納された広告コンテンツを表示する。
【0022】
(ソフトウェア構成)
図4は、本実施形態に係る広告管理サーバ及び表示端末のソフトウェア構成例を示す図である。図4(A)に示されるように、広告管理サーバ10は、主な機能部として、配信部101、受信部102、表示制御部103、及び記憶部104を有する。
【0023】
配信部101は、トイレ個室20内に設置された表示端末40に、複数の広告コンテンツを配信する。本実施形態において配信部101は、トイレ施設Aが設置された建物がクローズしている夜間に広告コンテンツを配信する。
【0024】
受信部(検出部)102は、空室検知センサ30から検出結果としての検知信号を、空トイレ施設の施設IDと空室検知センサ30のセンサIDとともに受信することで、トイレ個室20における利用者の入室状況(利用者の有無)を検出する。例えば、受信部102は、検知信号が1を示す場合に検出結果として当該トイレ個室は利用者が入室した(利用者あり)と検出し、検知信号が0を示す場合に検出結果として当該トイレ個室は利用者が退出した(利用者なし)と検出する。
【0025】
表示制御部103は、受信部(検出部)102が受信した検出結果に応じて、表示端末40における表示を制御する。具体的に、表示制御部103は、検知信号が1を示す場合(トイレ個室に利用者ありの場合)、そのトイレ個室の属性情報に基づいて算出された利用平均時間よりも再生表示時間が短い広告コンテンツを、トイレ個室の表示端末40表示させる。
【0026】
記憶部104は、個室管理DB(Data Base)104a、広告管理DB104b、及び平均利用時間情報104cを記憶する。個室管理DB104aは、トイレ施設におけるトイレ個室20の管理情報を管理するためのデータベースである。広告管理DB104bは、トイレ個室20に備えられた表示端末40に表示させるための広告コンテンツを管理するためのデータベースである。平均利用時間情報104cは、利用者の性別毎(男女別)、利用される曜日毎に集計されたトイレ個室の平均利用時間を示す経験データである。
【0027】
図4(B)に示されるように、表示端末40は、主な機能部として、受信部401、記憶部402、及び表示制御部403を有する。受信部401は、広告管理サーバ10の配信部101からの広告コンテンツ及び表示制御部103からの表示制御命令(又は空室検知センサ30からの検出結果)を受信する。記憶部402は、受信部401により受信された広告コンテンツをメモリ45に記憶する。表示制御部403は、広告管理サーバ10からの表示制御部103の表示制御命令(又は空室検知センサ30からの検出結果)に従って、そのトイレ個室の属性情報に基づいて算出された利用平均時間よりも再生表示時間が短い広告コンテンツを、ディスプレイ装置46に表示する。
【0028】
なお、各機能部は、広告管理サーバ10及び表示端末40を構成するコンピュータのCPU、ROM、RAM等のハードウェア資源上で実行されるコンピュータプログラムによって実現されるものである。これらの機能部は、「手段」、「モジュール」、「ユニット」、又は「回路」に読替えてもよい。
【0029】
(個室管理DB及び広告管理DB)
図5は、本実施形態に係る個室管理DB及び広告管理DBのデータ例を示す図である。図5(A)に示されるように、個室管理DB104aは、例えば、「施設ID」、「施設名」、「個室ID/センサID/表示端末ID」などのデータ項目を有する。
【0030】
「施設ID」は、トイレ施設毎に付番される固有の識別子を示す。「施設名」は、トイレ施設の名称を示す。
【0031】
「個室ID/センサID/表示端末ID」は、トイレ個室毎に付番された固有の識別子、当該トイレ個室に設置された空室検知センサ30に付番された固有の識別子、及び、当該トイレ個室に設置された表示端末40に付番された固有の識別子を対応付けて示したものである。図5の場合、トイレ個室20の「個室ID」は、それぞれ1、2、3、4、5に対応し、各トイレ個室20に設置された空室検知センサ30の「センサID」は、s1、s2、s3、s4、s5に対応し、各トイレ個室20に設置された表示端末40の「表示端末ID」は、t1、t2、t3、t4、t5に対応する。つまり例えば「個室ID」1であるトイレ個室20には、「センサID」1の空室検知センサ30、及び「表示端末ID」t1の表示端末40が設置されていることになる。
【0032】
図5(B)に示されるように、広告管理DB104bは、例えば、「広告ID」、「広告主ID」、「広告コンテンツデータ」、「再生時間(秒)」、「対象者属性」などのデータ項目を有する。「広告ID」は、広告毎に付番される固有の識別子を示す。「広告主ID」は、広告を出稿した広告主毎に付番される固有の識別子を示す。
【0033】
「広告コンテンツデータ」は、出稿された広告のコンテンツデータを示す。「広告コンテンツデータ」は、複数の広告コンテンツが用いられるため、後述するように十分な数の広告コンテンツが保持される。
【0034】
「再生時間(秒)」は、広告コンテンツデータの再生時間(表示時間ともいえる)を示す。なお、広告コンテンツデータは、広告動画に限られず、例えば静止画、又は複数ページの静止画からなるスライド動画などでもよい。その場合、「再生時間(秒)」は「表示時間(秒)」ということができる。
【0035】
「対象者属性」は、広告コンテンツデータの対象者の属性として、特に性別を示す。広告コンテンツは広告対象者に応じた指向性がある。具体的に、広告コンテンツ内容毎に男性向け、女性向け、又は両性向けといった広告がある。出稿時に「対象者属性」に男性、女性又は両性の何れかが登録される。
【0036】
(トイレ個室の属性情報に応じた平均利用時間)
図6は、本実施形態に係るトイレ個室の属性情報に応じた平均利用時間情報のデータ例を示す図である。図6に示されるように、平均利用時間情報104cは、トイレ個室20(トイレ施設)の属性情報に応じた平均利用時間を示すものであるため、例えば「利用者属性(性別)」、「曜日属性」、「平均利用時間」などのデータ項目を有する。
【0037】
具体的に、「男性」が「平日」にトイレ個室を利用した場合、その「平均利用時間」は、6:37(6分37秒、以下同様)であることを示す。「女性」が「平日」にトイレ個室を利用した場合、その「平均利用時間」は、2:54であることを示す。図6の「平均利用時間」の比較からいえることは、また出願人が複数のトイレ施設における膨大な実測データから経験的に算出した平均利用時間からいっても、男性の方が女性よりもトイレ個室の利用時間が長い傾向にあることが分かっている。
【0038】
また、「男性」が「休日」にトイレ個室を利用した場合、その「平均利用時間」は、5:30であることを示す。「女性」が「平日」にトイレ個室を利用した場合、その「平均利用時間」は、2:02でることを示す。図6の「平均利用時間」の比較からいえることは、また出願人が複数のトイレ施設における膨大な実測データから経験的に算出した平均利用時間からいっても、男女ともに平日の方が混雑している休日より平均時間の方が長い傾向にあることが分かっている(休日が混雑している商業施設におけるトイレ個室の場合)。
【0039】
なお、平均利用時間情報104cの初期値は、例えば図6に示される平均利用時間(汎用値)としておき、トイレ施設ごとに性別毎、曜日毎における利用時間を一定期間計測・集計し、平均利用時間の実測値を算出することで、初期値を実測された平均利用時間に更新することができる。この点、後述する。
【0040】
<情報処理>
図7は、本実施形態に係る広告管理サーバの広告コンテンツ表示制御処理を示すフローチャート図である。CPU11が図7に示すフローチャートを実現可能なプログラムを読み込んで実行させることで、各ステップ(以下、「S」と表記する)を実現することができる。
【0041】
広告管理サーバ10(配信部101)は、事前設定として非運用稼働時間帯等(例えば深夜時間帯)に、トイレ個室20内に設置された表示端末40に、予め広告管理DB104bに記憶されている広告コンテンツデータを配信する。トイレ施設における表示端末40は、広告管理サーバ10から広告コンテンツデータを受信し、広告コンテンツデータをメモリ45に予め記憶しておく。記憶される広告コンテンツデータには、「再生時間(秒)」、「対象者属性」などの付帯情報を含む。
【0042】
S1:受信部102は、トイレ個室20に設置された空室検知センサ30から出力された検知信号を施設ID及びセンサIDと共に受信する。
【0043】
S2:表示制御部103は、検知信号が利用者の入室を示す1であるか否かを判定する。検知信号が1の場合、S3へ進む。
【0044】
S3:表示制御部103は、本日が平日か休日かの何れを特定するため、現在の日時刻の情報を取得する。現在の日時刻は、広告管理サーバ10の内部時計又は外部のタイムサーバ等から取得する。
【0045】
S4:表示制御部103は、平均利用時間情報104c(例えば図6)を参照し、利用者が入室したトイレ個室20の属性に対応する「平均利用時間」を取得する。
【0046】
具体的にまず表示制御部103は、個室管理DB104aを参照し、S1で受信した施設ID及びセンサIDに基づいて、利用者の入室したトイレ個室20の個室ID及び表示端末IDを特定するとともに、個室IDに対応する「施設名」から、利用者の入室したトイレ個室20の属性情報として、男性用トイレか女性トイレ用かを特定する。また、表示制御部103は、S3で取得した現在の日時刻の情報に基づいて、カレンダー情報等を参照するなどして、利用者の入室したトイレ個室20の属性情報として、本日が平日か又は休日かの何れかを特定する。
【0047】
次いで、表示制御部103は、平均利用時間情報104cを参照し、利用者の入室したトイレ個室20の属性情報と、平均利用時間情報104cの「利用者属性」及び「曜日属性」とに対応する「平均利用時間」を取得する。
【0048】
図6の平均利用時間情報104cによれば、利用者の入室したトイレ個室20が男性トイレ、本日が平日である場合、平均利用時間情報104cから「利用者属性」男性、及び「曜日属性」平日に対応する「平均利用時間」6:37を取得する。同様に、利用者の入室したトイレ個室20が男性トイレ、本日が休日である場合、平均利用時間情報104cから「平均利用時間」5:30を取得する。また、利用者の入室したトイレ個室20が女性トイレ、本日が平日である場合、平均利用時間情報104cから「平均利用時間」2:54を取得する。利用者の入室したトイレ個室20が女性トイレ、本日が休日である場合、平均利用時間情報104cから「平均利用時間」2:02を取得する。
【0049】
S5:表示制御部103は、S4で特定した表示端末IDを有する表示端末40に対して、広告コンテンツの再生表示時間がS4で取得した「平均利用時間」以下となるように表示制御を指示する。
【0050】
なお、S2で、検知信号が1でない場合(検知信号が利用者の不在を示す0の場合)、ENDへ進む。この場合、トイレ個室20に利用者がいないことを示すため、表示端末IDに対応する表示端末40に、広告コンテンツが依然再生中であれば、広告コンテンツの再生停止制御(非表示制御)を指示してもよい。さらに、表示制御部103が表示制御を指示した後に、検知信号が1から0に変化したことを検出したら、広告コンテンツの停止を表示端末に指示するようにしてもよい。
【0051】
図8は、本実施形態に係る表示端末の広告コンテンツ表示制御処理を示すフローチャート図である。
【0052】
S11:表示制御部403は、広告管理サーバ10の表示制御部103から、「平均利用時間」及び利用者属性の情報を含む広告コンテンツの表示制御命令を受信する。
【0053】
S12:表示制御部403は、メモリ45に予め記憶された広告コンテンツデータの中から、再生表示時間が「平均利用時間」よりも短くなる広告コンテンツを選択して取得する。具体的に、トイレ個室20に利用者が入室した際に1枠15秒の広告コンテンツ動画を複数再生表示するものとし、トータルの動画再生表示時間を「平均利用時間」以下となるよう選択して再生表示するものとする場合、広告管理サーバ10は、「平均利用時間」が6:37であれば最大26枠、「平均利用時間」が5:30であれば最大22枠、「平均利用時間」が2:54であれば最大11枠、「平均利用時間」が2:02であれば最大8枠の広告コンテンツ動画を選択する。
【0054】
更に、表示制御部403は、広告コンテンツ動画を選択する際、S11で受信した利用者属性(男性又は女性)と、広告コンテンツの「対象者属性」(男性、女性又は両性)とが一致する広告コンテンツ、つまり性別にマッチした広告コンテンツの中から広告コンテンツ動画を選択することも可能である。これにより、閲覧対象者に一層マッチした広告コンテンツを再生表示することができる。
【0055】
S13:表示制御部403は、S12で選択し取得した広告コンテンツを、ディスプレイ装置46に再生表示させる。表示制御部403は、複数枠分の広告コンテンツを取得した場合には、1枠ずつ順次表示させる。なお、表示制御部403が広告コンテンツをディスプレイ装置46に表示させる場合、トイレ個室20において利用者が好適に閲覧可能な態勢及びタイミングが整ってから広告コンテンツを再生表示できるように、利用者の入室が検出されたタイミングから所定時間経過後(例えば3~10秒経過後等)に表示させるとよい。
【0056】
また、このように利用者がトイレ個室20の入室直後や退出準備中には必ずしも広告コンテンツを好適に閲覧し難い時間(広告非閲覧時間という)があることを考慮して、実際には再生表示時間が「平均利用時間」以下の条件を満たす範囲内で広告コンテンツの再生表示時間がもう少し少なくなるよう広告コンテンツを選択することができる。即ち、表示制御部403は、「平均利用時間」が6:37であれば最大26枠の広告コンテンツ動画を選択するものとしたが、この26枠は再生表示時間が「平均利用時間」以下であるとの条件を満たす最大の枠数であって、実際には再生表示時間が「平均利用時間」以下の条件を満たす範囲内で広告コンテンツの再生表示時間がもう少し短くなるように広告コンテンツを選択する。
【0057】
広告非閲覧時間をα秒とする場合、S12において表示制御部403は、再生表示時間が[「平均利用時間」-α秒]よりも短くなる広告コンテンツを選択して取得する。例えば、広告非閲覧時間α=60とした場合、表示制御部403は、「平均利用時間」が6:37であれば5:37となるため最大21枠、「平均利用時間」が5:30であれば4:30となるため最大17枠、「平均利用時間」が2:54であれば1:54となるため最大7枠、「平均利用時間」が2:02であれば1:02となるため最大4枠の広告コンテンツ動画を選択する。
【0058】
また、広告非閲覧時間の補正係数αとする場合、S12において表示制御部403は、再生表示時間が[「平均利用時間」×α(但し、αは0より大きく且つ1より小さい)]よりも短くなる広告コンテンツを選択して取得する。例えば、補正係数α=0.5とした場合、表示制御部403は、「平均利用時間」が6:37であれば3:18.5となるため最大12枠、「平均利用時間」が5:30であれば2:45となるため最大11枠、「平均利用時間」が2:54であれば1:27となるため最大5枠、「平均利用時間」が2:02であれば1:01となるため最大4枠の広告コンテンツ動画を選択する。
【0059】
また、「対象者属性」女性、「曜日属性」平日の場合、「平均利用時間」が最も短い傾向にあり、2:02であれば広告コンテンツ動画は最大でも4枠となる。よって広告のサイクルを確保するために、つまり再生表示する枠数を増やすため、広告管理DB104bにおいて、「対象者属性」毎に、つまり男性用と女性用の広告コンテンツ毎に1枠あたりの「再生時間(秒)」を異ならせてもよい。例えば女性用の広告コンテンツ動画の「再生時間(秒)」を1枠10秒としうる。逆に男性用の広告コンテンツ動画の「再生時間(秒)」を1枠30秒としうる。
【0060】
本実施形態によれば、トイレ個室20内の表示端末40に再生表示される広告コンテンツの再生表示時間は、当該トイレ個室20の属性(男性用トイレ又は女性用トイレ、平日又は休日等)に応じたトイレ個室の平均利用時間に基づいて決定される。具体的に、トイレ個室20内の表示端末40に再生表示される広告コンテンツの再生表示時間は、当該トイレ個室20における平均利用時間よりも短くなるよう表示制御が実行されるので、適切な広告閲覧時間を確保しつつ、利用者が広告を見ることに伴うトイレ個室20の利用時間の増加を防止し、トイレ施設の混雑を抑制することが可能である。
【0061】
なお、上述のフローチャートのS5において表示制御部103は、S4において取得した平均利用時間以下となるように表示制御を指示するものとした。しかしながら例えば、広告管理サーバ10が表示端末40に配信する広告コンテンツの1枠の長さが固定である場合には、表示制御部103は平均利用時間に応じて表示端末40が表示すべきコンテンツ数を決定し、表示端末40には、1回に表示するコンテンツ数を示す情報を送信してもよい。この場合、表示端末40は事前に配信された広告コンテンツから、指示されたコンテンツ数の広告コンテンツを選択して表示すればよい。
【0062】
また、広告管理サーバ10が事前設定として表示端末40に広告コンテンツを配信する際に、S3及びS4の処理を実行した上で、平均利用時間を考慮した数の広告コンテンツを配信するようにしてもよい。この場合、広告管理サーバ10は、運用稼働時間帯には空室検知センサ30から出力された検知信号に応じて表示するか否かの指示を、対応する表示端末40に行うだけでよい。表示端末40は、日時や時刻、属性に応じた平均利用時間を考慮した数の広告コンテンツが配信されているので、表示指示を受けた場合には事前に配信された広告コンテンツを再生すればよい。
【0063】
<平均利用時間の更新>
図9は、本実施形態に係る入退出ログの一例を示す図である。広告管理サーバ10は、図7のS1において検知信号を施設ID及びセンサIDと共に受信する度に入退出ログを、記憶部104内に記録することができる。
【0064】
入退出ログは、「施設ID」、「個室ID」、「利用者属性(性別)」、「入室日時刻」及び「退室日時刻」を含む。「個室ID」、「利用者属性(性別)」は、図7のS1で受信した施設ID及びセンサIDをキーとして個室管理DB104aを照合することで特定される。「入室日時刻」には検知信号1を受信した日時刻、「退出日時刻」には検知信号1を受信後に検知信号0を受信した日時刻が記録される。
【0065】
広告管理サーバ10は、一定期間記録した入退出ログを集計し、平均利用時間の実測値を算出することで、平均利用時間情報104c(図6)を、実際のトイレ施設毎で実測された平均利用時間に更新(アップデート)することができる。
【0066】
広告管理サーバ10は、所定期間毎(例えば3か月毎)に、「利用者属性(性別)」及び「曜日属性」毎に「平均利用時間」を算出する。より具体的に、広告管理サーバ10は、入退出ログ内から、同一の施設ID(トイレ施設単位)であって、「利用者属性(性別)」が男性、「曜日属性」が平日(「入室日時刻」及び「退室日時刻」に基づいて判定)に該当するレコードを抽出し、全レコードの合計利用時間(「退室日時刻」と「入室日時刻」の差分時間)をレコード数で除算することで、平均利用時間を算出する。そして広告管理サーバ10は、平均利用時間情報104c(図6)において、「利用者属性(性別)」男性、及び「曜日属性」平日に対応する「平均利用時間」を、算出された平均利用時間に更新する。
【0067】
なお、平均利用時間情報104c(図6)の「平均利用時間」の更新は、前回値と、大幅に、つまり所定時間以上の差異がある場合にのみ、平均利用時間を更新するようにしてもよい。
【0068】
また、平均利用時間情報104c(図6)は、個室ID単位(トイレ個室単位)で平均利用時間情報を保持するようにしてもよい。この場合には、平均利用時間情報の更新についても個室ID単位(トイレ個室単位)で実施することができる。
【0069】
[変形例]
図10は、本変形例に係るトイレ個室の属性情報に応じた平均利用時間情報のデータ例を示す図である。図10に示される平均利用時間情報104cには、図6と比較すると、トイレ個室20(トイレ施設)の属性情報として、「時間帯属性」及び「設置フロア属性」が追加されている。
【0070】
例えば午前、昼、午後といったようにトイレ個室20が利用される時間帯によって、トイレ個室20の平均利用時間は異なってくる。具体的に、昼時のトイレ個室20の平均利用時間は、他の時間帯よりも短めとなることが分かっている。
【0071】
また、オフィスフロア、レストランフロアといったようにトイレ個室20が設置されるフロアによって、トイレ個室20の平均利用時間は異なってくる。具体的に、レストランフロアに設置されたトイレ個室20の平均利用時間は、他のフロアよりも短めとなることが分かっている。
【0072】
このように、トイレ個室20内の表示端末40に再生表示される広告コンテンツは、当該トイレ個室20の様々な属性に応じたトイレ個室の平均利用時間に基づいて決定されることが可能である。即ち、トイレ個室20内の表示端末40に再生表示される広告コンテンツは、その再生表示時間が当該トイレ個室20における平均利用時間よりも短くなるものが選択表示されるので、より適切な広告閲覧時間を確保しつつ、利用者が広告を見ることに伴うトイレ個室20の利用時間の増加を防止し、トイレ施設の混雑を抑制することが可能である。
【0073】
なお、本実施形態において以下の形態についても言及する。
【0074】
・本実施形態において表示端末40は、トイレ個室20が多数ある場合などには、リアルタイムに広告管理サーバ10から表示端末40それぞれに動画を配信するのは通信容量の負荷が高くなるため、非運用稼働時間帯等(例えば深夜時間帯)に、広告管理サーバ10から広告コンテンツデータを受信し、受信した広告コンテンツデータをメモリ45に予め記憶しておく。これにより、通信負荷を抑えながら効果的な広告表示を実現することができる。なお、通信帯域に制限がない場合には、表示端末40は広告コンテンツデータをメモリ45に予め記憶せずに、広告管理サーバ10(表示制御部103)が、S3で広告コンテンツの表示制御を実行するに代えて、表示端末40に表示させる広告コンテンツを選択の上、選択した広告コンテンツデータを表示端末40にストリーミング配信してもよい。
【0075】
・本実施形態においては、広告管理サーバ10が空室検知センサ30からの検出結果の受信と検出結果に応じて表示端末40の表示制御を行う方法を例に説明したが、これに限らない。即ち、トイレ個室20に設置された空室検知センサ30と表示端末40とが通信可能に接続されており、空室検知センサ30が利用者の入室を検出したタイミングで表示端末40がメモリ45に予め記憶された広告コンテンツの中から、再生表示時間が当該トイレ個室20における平均利用時間よりも短くなる広告コンテンツを選択の上、表示端末40(表示制御部403)がディスプレイ装置46に広告コンテンツを表示させる制御を行うことも可能である。
【0076】
<総括>
以上のように、本実施形態に係る広告表示システム100において、トイレ個室20内の表示端末40に再生表示される広告コンテンツは、当該トイレ個室20の属性(男性用トイレ又は女性用トイレ、平日又は休日等)に応じたトイレ個室の平均利用時間に基づいて決定される。具体的に、トイレ個室20内の表示端末40に再生表示される広告コンテンツは、その再生表示時間が当該トイレ個室20における平均利用時間よりも短くなるものが選択表示されるので、適切な広告閲覧時間及び広告伝達効果を確保しつつ、利用者が広告を見ることに伴うトイレ個室20の利用時間の増加を防止し、トイレ施設の混雑を抑制することが可能である。
【0077】
なお、本発明の好適な実施の形態により、特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明の広範な趣旨および範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正および変更を加えることができることは明らかである。すなわち、具体例の詳細および添付の図面により本発明が限定されるものと解釈してはならない。
【0078】
なお、本発明は、上述の実施形態の1つ以上の機能を実現するプログラムを、ネットワークまたは記録媒体を介してシステムまたは装置に供給し、そのシステムまたは装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読み出し作動させる処理でも実現可能である。
【符号の説明】
【0079】
102 受信部
103 表示制御部
104 記憶部
401 受信部
402 記憶部
403 表示制御部
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
図9
図10