IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 藤本貴昭株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-養生材 図1
  • 特許-養生材 図2
  • 特許-養生材 図3
  • 特許-養生材 図4
  • 特許-養生材 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-13
(45)【発行日】2024-06-21
(54)【発明の名称】養生材
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/30 20060101AFI20240614BHJP
【FI】
E04G21/30 Z
E04G21/30 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020099013
(22)【出願日】2020-06-08
(65)【公開番号】P2021193234
(43)【公開日】2021-12-23
【審査請求日】2023-05-16
(73)【特許権者】
【識別番号】521413936
【氏名又は名称】藤本貴昭株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135220
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 祥二
(72)【発明者】
【氏名】藤本 貴昭
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-263288(JP,A)
【文献】登録実用新案第3202994(JP,U)
【文献】実開平03-123577(JP,U)
【文献】特開2005-306909(JP,A)
【文献】特開2011-116919(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/24 -21/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
養生物に被せて前記養生物を養生する基材と、
前記養生物に貼り付けるための貼付け部材と、を備え、
前記基材は、金属イオンを含有する発泡樹脂材から成り、且つ薄肉部分を有する帯状に形成され、
前記貼付け部材は、両面に粘着性を有し、前記基材の外縁に沿って設けられ且つ前記薄肉部分上に配置されている、養生材。
【請求項2】
前記発泡樹脂材は、発泡ポリエチレンであり、
前記金属イオンは、銀イオンである、請求項1に記載の養生材。
【請求項3】
前記薄肉部分は、前記基材の幅方向両側の外縁に沿って夫々形成され、
前記貼付け部材は、前記薄肉部分の各々に設けられている、請求項1又は2に記載の養生材。
【請求項4】
前記基材は、所定方向に延在し、且つ所定方向に所定間隔で切取部が形成されている、請求項1乃至の何れか1つに記載の養生材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、養生物に被せて養生物を養生する養生材に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の手摺及び窓枠、並びに建築現場における足場の柱等の養生物には、養生材が取り付けられる。そして、養生材によって養生物が養生されている。養生材として、例えば特許文献1の保護シートが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-207648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような保護シートは、養生すべく窓枠に長時間取り付けられたままの状態となる。そのため、特許文献1の保護シートは、窓に結露した水分に晒されることがある。また、野外にある手摺や足場の柱等を養生する養生材もまた雨水に晒される。そして、水分や雨水が保護シートや養生材の表面に付着したままになると、そこに細菌が増殖する。それ故、養生材において細菌の増殖が抑えられることが好ましい。
【0005】
そこで本発明は、細菌の増殖を抑えることができる養生材を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の養生材は、養生物に被せて前記養生物を養生する基材を備え、前記基材は、金属イオンを含有する発泡樹脂材から成るものである。
【0007】
本発明に従えば、金属イオンによる抗菌作用によって養生物における細菌の増殖を抑制することができる。
【0008】
上記発明において、前記発泡樹脂材は、発泡ポリエチレンであり、前記金属イオンは、銀イオンであることが好ましい。
【0009】
上記構成に従えば、養生材にとって特に有用である。
【0010】
上記発明において、前記養生物に貼り付けるための貼付け部材を更に備え、前記基材は、薄肉部分を有する帯状に形成され、前記貼付け部材は、前記基材の外縁に沿って設けられ、且つ前記薄肉部分上に配置されていることが好ましい。
【0011】
上記構成に従えば、薄肉部分によって基材の薄肉部分の弾性復帰力を低減させることができる。即ち、薄肉部分で養生シートを折り曲げた際に養生シートが形状復帰しようとする力を抑制することができる。これにより、養生シートが形状復帰することによって貼付け部材が養生物から剥がされることを抑制することができる。
【0012】
上記発明において、前記薄肉部分は、前記基材の幅方向両側の外縁に沿って夫々形成され、前記貼付け部材は、前記薄肉部分の各々に設けられていることが好ましい。
【0013】
上記構成に従えば、基材の幅方向両側の広い部分において薄肉部分が形成されているので、種々の位置にて基材を折り曲げて使用することができる。それ故、養生材は、種々の幅の養生物に対応することができる。
【0014】
上記発明において、前記基材は、所定方向に延在し、且つ所定方向に所定間隔で切取部が形成されていることが好ましい。
【0015】
上記構成に従えば、容易に所定の長さに切ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、細菌の増殖を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1の発明の養生シートを示す斜視図である。
図2図1の養生シートの断面を示す断面図である。
図3図1の養生シートによって窓枠を養生している状態を示す概略図である。
図4】第2の発明の養生シートによって窓枠を養生している状態を示す概略図である。
図5】別の発明の養生材を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る第1及び第2実施形態の養生シート1,1Aについて前述する図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明で用いる方向の概念は、説明する上で便宜上使用するものであって、発明の構成の向き等をその方向に限定するものではない。また、以下に説明する養生シート1,1Aは、本発明の一実施形態に過ぎない。従って、本発明は実施形態に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲で追加、削除、変更が可能である。
【0019】
<第1実施形態>
建物の手摺及び窓枠、並びに建築現場における足場の柱等の養生物には、養生材、例えば図1に示すような養生シート1が被せられる。そして、養生シート1によって養生物を養生し、養生物に建材、道具、家具等が当たって損傷することを防いでいる。このような機能を有する養生シート1は、例えば帯状に形成されて、養生物に被せて貼り付けられている。更に詳細に説明すると、養生シート1は、基材11と一対の粘着テープ12,12とを有している。本実施形態において、養生シート1は、ロール状に巻き取られてロール2を形成している。
【0020】
基材11は、帯状に形成されており、基材11の幅は、例えば30mm~250mmとなっている。なお、基材11の幅は、一例であり、前述する幅より小さくても大きくてもよい。また、基材11は、金属イオンを含有する発泡樹脂材から成る。本実施形態において、基材11は、銀イオンを含有する発泡ポリエチレンから成る。即ち、基材11は、銀イオンを含有する発泡ポリエチレンを押出発泡成形することによって帯状に形成されている。また、基材11は、図2に示すように幅方向両側に薄肉部分11aを有している。
【0021】
薄肉部分11aは、基材11の外縁に沿って長手方向に延在している。更に詳細に説明すると、薄肉部分11aは、外縁から幅w1で形成されている。幅w1は、基材11の幅Wの40%以下であり、本実施形態において30%である。また、薄肉部分11aは、基材11の中央部分11bより薄く形成されている。例えば、中央部分11bの厚みh1は、例えば1mm以上2mm以下である。本実施形態において、中央部分11bの厚みh1は、1.3mm以上1.5mm以下が好ましい。他方、薄肉部分11aの厚みh2は、中央部分11bの厚みh1の40%以上70%以下である。本実施形態において、薄肉部分11aの厚みh2は、中央部分11bの厚みh1の60%である。そして、薄肉部分11aは、圧縮加工や熱加工等の二次加工を施すことによって形成される。これにより、薄肉部分11aの弾性復帰力を低減させることができる。
【0022】
一対の粘着テープ12,12もまた、帯状に形成されている。そして、粘着テープ12は、基材11の厚み方向一方側の面(以下、「一方の面」という)の幅方向両側部分に夫々設けられている。本実施形態において、粘着テープ12は、各薄肉部分11aに設けられている。更に詳細に説明すると、一対の粘着テープ12,12の幅w2は、薄肉部分11aの幅w1より小さくなっている。そして、粘着テープ12は、その全体が各薄肉部分11a上に位置するように基材11に配置されている。更に詳細に説明すると、粘着テープ12は、基材11の外縁から幅方向に所定の距離Lだけ離し且つ外縁に並行するように薄肉部分11a上に配置されている。そして、距離Lは、L<w1―w2を満たすように配置されている。これにより、粘着テープ12は、全体が各薄肉部分11a上に位置するように基材11に配置される。また、粘着テープ12は、その両面に粘着性を有している。そして、粘着テープ12において一方の面は薄肉部分11aに貼り付けられている。また、他方の面は、被せられる養生物に貼り付けられる。これにより、養生シート1は、養生物に貼り付けられ、そして養生物を養生することができる。
【0023】
このように構成される養生シート1は、例えば図3に示すような窓枠21を養生することができる。窓枠21は、例えば壁22に形成される開口22aに嵌め込むように配置されている。本実施形態において、窓枠21は、矩形状に形成されている。そして、窓枠21の中には窓23が嵌め込まれている。更に詳細に説明すると、窓枠21は、複数の板材21aによって構成されている。本実施形態では、窓枠21は、4つの板材21aによって構成されている。そして、4つの板材21aは、矩形の四辺に夫々配置され、各々の主面21bを互いに対向させている。これにより窓枠21は、開口22aに嵌め込まれ且つその中に嵌め込まれた窓23の全周を囲むように配置される。そして、窓枠21の内側は、建築作業及び引越し作業等において主面21bが損傷することを防ぐべく養生シート1によって養生されている。
【0024】
養生シート1は、その一方の面を板材21aの主面21bに対向させ且つ沿わせるように被せられる。養生シート1は、板材21aの主面21bの幅w3より大きい幅Wを有するものが使用される。それ故、幅方向において主面21b全体を覆うように養生シート1を板材21aに被せることができるので、主面21b全体を養生シート1によって養生することができる。また、養生シート1の幅Wが主面21bの幅w3より大きいので、養生シート1の幅方向両側部分が主面21bから幅方向にはみ出る。そして、養生シート1の幅方向両側部分が板材21aの各々角で折り曲げられる。これにより、養生シート1の幅方向両側部分が板材21aの各々の側面21cに沿うように配置される。そして、養生シート1の幅方向両側にある粘着テープ12,12を各側面21cに貼り付けることによって、養生シート1が窓枠21の板材21aに取り付けられる。
【0025】
なお、養生シート1は、前述の通りロール状に巻き取られてロール2を形成している。それ故、ロール2を巻き戻しながら窓枠21の内側に沿って一周させることによって、養生シート1によって4つの板材21aの主面21b全てを養生することができる。なお、養生シート1は、必ずしもロール状に巻き取られている必要はなく、帯状で形成されていてもよい。この場合、養生シート1は、例えば各板材21aの主面21bに個別に貼り付けられる。
【0026】
このように構成されている養生シート1では、基材11が発泡樹脂材である発泡ポリエチレンに金属イオンである銀イオンを含有させて構成されている。それ故、銀イオンの抗菌作用によって窓枠21等の養生物における細菌の増殖を抑制することができる。また、発泡ポリエチレンに銀イオンを含有させることによって、発泡ポリエチレン単体の場合より伸縮性を向上させることができる。これにより、養生シート1が破断することを抑制することができる。
【0027】
また、本実施形態の養生シート1では、中央部分11bの幅w2が板材21aの主面21bの幅w3より小さくなっている。これにより、養生シート1の各薄肉部分11aが板材21aの両角に夫々掛かる。それ故、養生シート1を薄肉部分11aで折り曲げられることができる。薄肉部分11aは、中央部分11bに比べて弾性復帰力が小さいので、薄肉部分11aで養生シート1を折り曲げた際に養生シート1が形状復帰しようとする力を抑制することができる。それ故、養生シート1が形状復帰することによって粘着テープ12が窓枠21から剥がされることを抑制することができる。また、養生シート1では、基材11の幅方向両側の広い部分において薄肉部分11aが形成されているので、種々の位置にて基材11を折り曲げて使用することができる。それ故、養生シート1は、種々の幅の板材21aに対応することができる。
【0028】
<第2実施形態>
第2実施形態の養生シート1Aは、第1実施形態の養生シート1と構成が類似している。従って、第2実施形態の養生シート1Aの構成については、主に第1実施形態の養生シート1と異なる点について説明し、同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0029】
第2実施形態の養生シート1Aは、図4に示すように所定間隔P毎に切取部、本実施形態においてミシン目13が形成されている。ミシン目13は、養生シート1Aにおいて所定方向に夫々延在している。また、ミシン目13の各切れ目は、基材11及び粘着テープ12を貫通している。これにより、養生シート1Aは、はさみ等の道具を使うことなく、容易に所定の長さに切ることができる。また、養生シート1の幅方向外縁部分1a(図1も参照)は、窓枠21において板材21a同士が繋ぎ合わさる角部分21dにおいて養生シート1Aの幅方向両側部分のミシン目13に沿って切り離すことができる。これにより、窓枠21の角部分21dを養生シート1Aによって容易に養生することができる。
【0030】
その他、第2実施形態の養生シート1Aは、第1実施形態の養生シート1と同様の作用効果を奏する。
【0031】
<その他の実施形態について>
本実施形態の養生シート1,1Aが養生する養生物の一例として窓枠21が挙げられているが、養生物は、床、建物の手摺、及び建築現場における足場の柱等であってもよい。養生物が床の場合、養生材は幅広いシート状に形成されてもよい。また、養生物が手摺の場合、図5に示すような養生材1Bであってもよい。即ち、養生材1Bもまた銀イオンを含有する発泡ポリエチレンから成る。そして、養生材1Bは、所定方向に長尺に形成されている。また、養生材1Bの長手方向に垂直な断面は、例えばルーローの三角形のような形状になっている。そして、養生材1Bは、三角形の1つの頂部に開口1bを有している。開口1bは、養生材1Bにおいて所定方向一端から他端まで延在している。そして、開口1bから手摺25等を差し込むことによって、手摺25等を養生することができる。
【0032】
また、本実施形態の養生シート1,1Aでは、基材11に幅方向両側に薄肉部分11aが形成されているが、必ずしも形成されている必要はない。また、養生シート1,1Aでは貼付け部材として粘着テープ12が用いられているが、貼付け部材は面ファスナーや塗布された粘着剤であってもよい。即ち、貼付け部材は、基材11を窓枠21等の養生物に着脱可能に貼り付けることができるものであればよい。また、発泡樹脂材は、発泡ポリエチレンに限定されず、発泡ポリオレフィン系樹脂であってもよい。また、発泡樹脂材に含有される金属イオンは、銀イオンに限定されず、銅イオン等の他の金属イオンであってもよい。更に、薄肉部分11aは、必ずしも基材11の幅方向外縁部分全体に形成されている必要はない。例えば、薄肉部分11aは、養生物に貼り付ける際に基材11の折り曲げる部分において外縁に沿って夫々形成されていればよい。
【符号の説明】
【0033】
1,1A 養生シート(養生材)
1B 養生材
1a 幅方向外縁部分
11 基材
11a 薄肉部分
12 粘着テープ(貼付け部材)
13 ミシン目(切取部)
21 窓枠(養生物)
23 手摺(養生物)
図1
図2
図3
図4
図5