(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-13
(45)【発行日】2024-06-21
(54)【発明の名称】透視性釣具用ケース
(51)【国際特許分類】
A01K 97/06 20060101AFI20240614BHJP
A01K 97/00 20060101ALI20240614BHJP
B65D 5/50 20060101ALI20240614BHJP
B65D 5/66 20060101ALI20240614BHJP
B65D 5/52 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
A01K97/06
A01K97/00 Z
B65D5/50 B
B65D5/50 C
B65D5/66 311G
B65D5/52 H
(21)【出願番号】P 2020161157
(22)【出願日】2020-09-25
【審査請求日】2023-07-28
(73)【特許権者】
【識別番号】597176393
【氏名又は名称】新光化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【氏名又は名称】清原 義博
(74)【復代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大川 裕也
【審査官】星野 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-139311(JP,A)
【文献】特開2019-137424(JP,A)
【文献】特開2000-189025(JP,A)
【文献】特開平09-023798(JP,A)
【文献】特開2009-240302(JP,A)
【文献】実開昭57-003677(JP,U)
【文献】特開平11-208755(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 97/06
A01K 97/00
B65D 5/50
B65D 5/66
B65D 5/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透視性のある合成樹脂製の展開図より形成され、上面、4側面、底面の少なくとも六面からなるケースを用い、前記ケース内部に針を付随する釣具を収容した透視性釣具用ケースであって、
前記針は、前記釣具の1ヶ所だけに設けられており、
前記六面の何れかの面から前記透視性釣具用ケース内部へ延出させて形成した釣具支持面を有し、前記釣具支持面に前記釣具を係止する係止部が設けられて
おり、
前記釣具支持面が、前記4側面の長手方向のケース長さよりも大きい長手方向の長さを有しており、前記釣具支持面を前記ケース内に収容したときの前記釣具支持面のケース長手方向の曲面の部分に前記係止部を設けたことを特徴とする、透視性釣具用ケース。
【請求項2】
前記釣具支持面を前記4側面の側辺、上辺又は下辺の少なくとも一つの辺から延出してあることを特徴とする、請求項1に記載の透視性釣具用ケース。
【請求項3】
前記係止部が、前記釣具の針を引っ掛けて前記
透視性釣具用ケース内での動きを抑制するように係止することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の透視性釣具用ケース。
【請求項4】
前記係止部が、前記釣具の針位置に対応して、前記釣具支持面に設けられた少なくとも一つの開口で形成してあることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の透視性釣具用ケース。
【請求項5】
前記4側面の側辺、上辺又は下辺の少なくとも一つの辺から延出した嵌合部を有し、前記4側面に切り欠き部を設け、嵌めあわせるように構成されることを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれか一つに記載の透視性釣具用ケース。
【請求項6】
前記透視性釣具用ケースを吊り下げる吊り下げ面を前記4側面の上方から延出させたことを特徴とする、請求項1から請求項
5のいずれか一つに記載の透視性釣具用ケース。
【請求項7】
前記釣具支持面が、前記透視性釣具用ケース内で前記4側面の長手方向に延びるように形成され、
前記長手方向に延びる前記釣具支持面の前記底面側に連接された折り畳み面が設けられており、
前記釣具の収容時は、前記折り畳み面を前記底面側で折り畳むことによって、前記釣具支持面の中仕切り支え部として機能させ、
前記釣具の取り出し時は、既に折り畳まれた前記折り畳み面を引き出すように構成したことを特徴とする、請求項1から請求項
6のいずれか一つに記載の透視性釣具用ケース。
【請求項8】
前記展開図の少なくとも一面を印刷面としたことを特徴とする、請求項1から請求項
7のいずれか一つに記載の透視性釣具用ケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣具を収容するケースに関し、特に、透視性ケース内に針が付随する釣具を収容する透視性釣具用ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、釣具ケースとして、多数の疑似餌(ルアーとも称される)をコンパクトに収納できる疑似餌用ケースが知られており、下記特許文献1には、周壁の内側を三角波状の床部材で上下に仕切り、この上下に仕切られた周壁の内部にV溝形状の疑似餌収納部を並列に連設した疑似餌用ケースが開示されている。
この疑似餌用ケースであれば、周壁内部の空間を効率よく活用して、立体的な凹凸を有する疑似餌を、V溝形状の各収納部に多数安定して収納できる効果があると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、疑似餌や仕掛け及び針単体を始めとする、針が付随した釣具を収容するケースを製造、企画する場合に、従来の釣具用ケースでは以下のような課題があった。
まず、釣具用ケースを運んだり、梱包し郵送等した場合に、釣具がケース内で動くことで音を発したり、釣具が破損する可能性があった。また、ほとんどの引掛け針が設けられているため、針が動き回ることによってケース内部が傷いたり、酷い場合は、稀に箱の隙間より釣具の針が露出し、危険な状態になることがあり、更にケースから取り出す際、針部分が固定されていないと誤って怪我を負う恐れがあった。
また、釣具を製造販売する企業からの課題として、多品種で少量生産の場合、ケースの中に釣具の支持台紙やゴム等の固定部材を各釣具の構成に対応して製造し、それぞれのケースに入れる作業が生じており、更に釣具の説明文の印刷や、客の注意を引く彩色を施した広告用紙を釣具の種類毎にケース内に挿入することが必要になり、製造コストが高くなってしまう課題があった。
【0005】
一方、釣具店などの販売側から釣具用ケースの課題を考えた場合、従来、紙箱を用いた釣具用ケースもあり、釣具店の展示スペースが広くない場合に、販売できる釣具の種類を多くすることができないという課題があった。
特に、上記実用新案登録第3087832号公報に例示したような多数の疑似餌を入れる疑似餌用ケースを購入して、海や川へ疑似餌を用いた釣りを楽しみに行く人もいる。しかし、疑似餌を用いた釣りを楽しむ人にとっては、費用をかけず、上記疑似餌専用の釣具ケースを購入しなくても、安定して長期間、個々の疑似餌を収容して持ち運びできる簡易な釣具用ケースが要望されている事情があった。
【0006】
また、昨今釣具店において、内容物である釣具を入れ替えて販売する事例が多発しており、一度ケースに収納すれば開封が困難になり、改ざんを防止できる透視性ケースが要望されていた。
【0007】
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点を解決すべくなされたものであり、上記従来技術の課題を解決することを目的とする。
例えば、本発明の具体的な目的の一例を挙げれば、
(a)ケース内で釣具が動いて、釣具の破損や針によってケースに傷がついたりすることを抑制することができる釣具用ケースを提供すること、
(b)ケース内に釣具とともに宣伝用印刷紙などを収容する製造コストを小さくし、低製造コストで釣具を販売できる釣具用ケースを提供すること、
(c)販売用ケースでありながらも、簡易的な釣具持ち運び用ケースとして使用できる釣具用ケースを提供すること、
などがある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、透視性のある合成樹脂製の展開図より形成され、上面、4側面、底面の少なくとも六面からなるケースを用い、前記ケース内部に針が付随する釣具を収容した透視性疑釣具用ケースであって、
前記針は、前記釣具の1ヶ所だけに設けられており、
前記六面の何れかの面から前記透視性疑似餌用ケース内部へ延出させて形成した釣具支持面を有し、前記釣具支持面に前記釣具を係止する係止部が設けられており、
前記釣具支持面が、前記4側面の長手方向のケース長さよりも大きい長手方向の長さを有しており、前記釣具支持面を前記ケース内に収容したときの前記釣具支持面のケース長手方向の曲面の部分に前記係止部を設けたことを特徴とする、透視性釣具用ケースに関する。
本明細書において「透視性」とは内部が見える程度に透光性を有していることであり、透明、半透明、着色した面などにおいて内部が見える状態などを言う。
「透視性のある合成樹脂製の展開図」は、その一部が透視性のある合成樹脂で構成されている場合や、その一部が合成樹脂製である場合も含む。
請求項2に係る発明は、前記釣具支持面を前記4側面の側辺、上辺又は下辺の少なくとも一つの辺から延出してあることを特徴とする、透視性釣具用ケースに関する。
【0009】
請求項3に係る発明は、前記係止部が、前記釣具の針を引っ掛けて前記釣具の前記ケース内での動きを抑制するように係止することを特徴とする、透視性釣具用ケースに関する。
請求項4に係る発明は、前記係止部が、前記釣具の針位置に対応して、前記釣具支持面に設けられた少なくとも一つの開口で形成してあることを特徴とする、透視性釣具用ケースに関する。
【0010】
参考実施形態に係る発明は、前記釣具支持面が、前記透視性釣具用ケース内で前記4側面の長手方向に延びるように形成され、前記4側面に対して傾いた面であることを特徴とする、透視性釣具用ケースに関する。
【0012】
請求項5に係る発明は、前記4側面の側辺、上辺又は下辺の少なくとも一つの辺から延出した嵌合部を有し、前記4側面に切り欠き部を設け、嵌めあわせるように構成されることを特徴とする、透視性釣具用ケースに関する。
【0013】
請求項6に係る発明は、前記透視性釣具用ケースを吊り下げる吊り下げ面を前記4側面の上方から延出させたことを特徴とする、透視性釣具用ケースに関する。
【0014】
請求項7に係る発明は、前記釣具支持面が、前記透視性釣具用ケース内で前記4側面の長手方向に延びるように形成され、
前記長手方向に延びる前記釣具支持面の前記底面側に連接された折り畳み面が設けられており、
前記釣具の収容時は、前記折り畳み面を前記底面側で折り畳むことによって、前記釣具支持面の中仕切り支え部として機能させ、
前記釣具の取り出し時は、既に折り畳まれた前記折り畳み面を引き出すように構成したことを特徴とする、透視性釣具用ケースに関する。
【0015】
請求項8に係る発明は、前記展開図の少なくとも一面を印刷面としたことを特徴とする透視性釣具用ケースに関する。
【0016】
別の参考実施形態に係る発明は、透視性のある合成樹脂製の展開図より形成され、上面、側面、底面の少なくとも4面からなるケースを用い、前記ケース内部に針を付随する釣具を収容した透視性釣具用ケースであって、
前記4面の何れかの面から前記透視性釣具用ケース内部へ延出させて形成した前記釣具支持面を有し、前記釣具支持面に前記釣具を係止する係止部が設けられていることを特徴とする、透視性釣具用ケースに関する。
【0017】
さらに別の参考実施形態に係る発明は、ケース内部に針を付随する釣具を収容する透視性釣具用ケースであって、
紙製の展開図より形成された、側面、底面の少なくとも3面からなる中敷きを備え、
前記釣具支持面を底面とし、前記釣具支持面に前記釣具を係止する前記係止部が設けられていることを特徴とする、透視性釣具用ケースに関する。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に係る発明であれば、合成樹脂製のシート面を展開図として六面体のケースを形成することで、各面毎に製造するよりも製造点数が少なくなり、コストを抑えることができる。また、ケース内部に延出させた釣具支持面に釣具の係止部を設けることで、釣具を収納させたときにケース内の動きを抑制できる効果を奏する。また、釣具支持面を4側面の長手方向のケース長さよりも大きい長手方向の長さを有する構成とし、更に長い釣具支持面をケース内部に挿入するという簡単な処理又は作業により、ケース内部に立体的に構成された曲面を容易に形成することができる。しかも、その曲面に係止部を設けることで、ケース内の立体的な内部空間において、釣具の針が係止させやすくなる効果を奏する。
請求項2に係る発明であれば、釣具支持面を4側面の側辺、上辺又は下辺の少なくとも一つの辺から延出してあるので、釣具支持面を形成しやすくなる効果を奏する。特に4側面の側辺から延出させる構成を採用することで、長手方向に長い釣具支持面を形成する場合において良好な安定性を得られる。
【0019】
請求項3に係る発明であれば、係止部を釣具の針を引っ掛ける構成とすることで釣具の針がケース内で大きく動いてケース内面を傷つけたりすることを抑制できる。また、釣具の針が釣具支持面の係止部に係止されているので、釣具をケースから取り出す際に怪我なく釣具を取り出せる効果を奏する。
請求項4に係る発明であれば、釣具支持面に開口で形成された係止部を設けることで、針を簡単な構成で確実に係止することができ、さらにケース運搬時に針がケース内で動き回るということを抑制できる効果を奏する。
【0020】
参考実施形態に係る発明であれば、釣具支持面が、透視性釣具用ケース内で4側面の長手方向に延びるように形成されているので、一般に魚のように長いルアー等の疑似餌等を好適に支持できる効果を奏する。
また、釣具支持面を4側面に対して傾いた面で構成することで、釣具が収容される空間を狭い空間にすることができ、ケースの移動及び運搬時等において、釣具がケース内で動き回ることを抑制できる効果を奏する。
更に、傾いた面で構成される釣具支持面が存在することで、狭い空間に釣具を収納でき、落下等の衝撃において、特に疑似餌のような釣具の破損を抑え、保護できる効果を奏する。
【0022】
請求項5に係る発明であれば、前記4側面の上辺又は下辺の少なくとも一つの辺から延出した嵌合部を備え、前記4側面に切り欠き部を設け、嵌める構成とすることで、ケースの開封が難しい改ざん防止機構として機能し、昨今、釣具店にて内容物を入れ替える事例が多発していることからも、内容物である釣具の改ざんを防止できる効果を奏する。
【0023】
請求項6に係る発明であれば、透視性釣具用ケースを吊り下げる、吊り下げ面を4側面の上方から延出させることで、容易に、合成樹脂製の展開図を打ち抜き、折り曲げることによって、ケースの上面に吊下げ用のフック等の吊下げ具をケース本体に形成することができる。このような構成であれば、完成されたケースに吊下げ具を形成又は付加する工程が不要になり、製造コストを低減できる効果を奏する。
一般に釣具用ケースには吊り下げ片がないケースも多く、吊下げ用の展示品としては不適であったが、本発明ではコストをかけずに、釣具用ケースにおいて吊下げ用の製品として製造することができる効果を奏する。
また、ケースを吊り下げる吊り下げ面を4側面の上方から延出させたことで、吊り下げ展示による視認作用を期待できる効果を奏する。また、展示スペースが狭い店でも多数のケースを展示することができる利点がある。
【0024】
請求項7に係る発明であれば、釣具の収容時には、前記折り畳み面を前記底面側で折り畳むことによって、釣具支持面の中仕切り支え部として機能させ、釣具を取り出し時には、既に折り畳まれた折り畳み面を引き出すように機能させることができる。即ち、折り畳み面は、釣具の収納時には中仕切りの形態維持手段として機能させることができ、釣具の取り出し時は、釣具をケースから取り出す引き出し具として機能させることができるので、展開図において製造時に形成される折り畳み面を有効に使用できる効果を奏する。
【0025】
請求項8に係る発明であれば、少なくとも一面を印刷面にすることで、ケース製造工程において、印刷を施した各種宣伝用印刷紙等をケースに入れる工程を省略できる効果を奏する。また、合成樹脂製シートの平面的な展開図状態のときに、各釣具に応じて各面に好ましい印刷処理を合成樹脂製シートに施すことで、多種多様な釣具用ケースに応じた構成を、コストをかけずに簡単に製造できる効果を奏する。
【0026】
別の参考実施形態に係る発明であれば、少なくとも4面からなるケースを用いることで、ケースを形成する面数が少なくなり、製造コストを減少させることができる。更に4面からなるケースにより、ケース成形時は、手と接触する箇所が曲面となるため、片手で持ちやすくなる効果を奏する。
【0027】
さらに別の参考実施形態に係る発明であれば、ケース製造工程において、市販されている既往のケースに釣具支持面を有する中敷きをケースに収納することで、釣具用ケースとしての製造が容易となる効果を奏する。更に、中敷きの平面的な展開図状態のときに、各釣具に応じて各面に好ましい印刷処理を施すことも可能であり、多種多様な釣具用ケースに応じた構成を提示できる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の第1
参考実施形態に係る透視性釣具用ケースを形成する展開図である。
【
図2】
図2(a)は、透視性釣具用ケースに収納する釣具の一例として、疑似餌を収納した状態を示す模式斜視図、
図2(b)は
図2(a)のb-b線模式縦断面図である。
【
図3】第1
参考実施形態において、釣具を係止させる係止部を開口で構成した例を示す正面図である。
【
図4】本発明の第
1実施形態に係る透視性釣具用ケースを形成する展開図である。
【
図5】
図5(a)は、透視性釣具用ケースに疑似餌を収納した状態を示す模式斜視図、
図5(b)は
図5(a)のb-b線模式縦断面図である。
【
図6】
図6は、本発明の第
2実施形態に係る透視性釣具用ケースを形成する展開図であり、
図6(a)は、本発明の第1
参考実施形態のケースに改ざん防止機構を設けた展開図、
図6(b)は、本発明の第
1実施形態のケースに改ざん防止機構を設けた展開図である。
【
図7】第
1実施形態において、釣具を係止させる係止部を開口で構成した例を示す正面図である。
【
図8】
図8は、本発明の第
3実施形態において係止部に採用可能な構成の一例を示す図であり、
図8(a)はスリット型の係止部を示す平面図、
図8(b)は切り込み型の係止部を示す平面図、
図8(c)は突起型の係止部を示す平面図、
図8(d)は突起型の係止部の側面図である。
【
図9】
図9は、本発明の第
2参考実施形態において、針を複数備える釣具を収納する一例を示す図であり、
図9(a)は疑似餌が複数個の針部を有した構成を示す正面図、
図9(b)はその疑似餌を係止させる係止部を複数個設けた釣具支持面を示した正面図である。
【
図10】
図10は、本発明の第
3参考実施形態に係る釣具支持面を合成樹脂製のシート展開図のどの位置から連接させて構成することができるかを説明するための模式的概念図である。
【
図11】
図11は、本発明の第
4参考実施形態に係る透視性釣具用ケースを形成する展開図である。
【
図12】
図12は、本発明の第
5参考実施形態に係る透視性釣具用ケースを形成する中敷きの展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
[第1
参考実施形態]
以下、
図1-
図3に基づいて本発明に係る透視性釣具用ケースの第1
参考実施形態について説明する。
図1-
図3に示すように、透視性釣具用ケース1は、合成樹脂製の一枚のシート展開図より形成され、上面3、4側面4、底面5の少なくとも六面を組み立てることで構成されるケースである。上面3、4側面4、底面5を組み立てることで形成されるケースは、釣具33(
図2を参照)の長手方向に延びる方向を4側面4の延びる方向と一致させる構成が一般的である。したがって、透視性釣具用ケース1は、横及び高さ方向に比較的薄く、長手方向に長細い長方体形状に構成されることが多い。
【0030】
[透視性疑似餌用ケース1を構成する展開図]
透視性疑似餌用ケース1を作成する合成樹脂は、熱可塑性樹脂等が挙げられるが、好ましくは透明又は半透明のポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)等が使用される。
図1に示すように、透視性釣具用ケース1を構成する展開図は、一枚の箱体形成面2を合成樹脂製のブランクシート(図示せず)を打ち抜いて形成されている。なお、本明細書において「ブランクシート」とは、打ち抜き機によって展開寸法に打ち抜き、折り曲げ用の折線及び切り取り用の切り取り線をつけた各種シートを意味する。また、本明細書において、「面」とは広がりを持った「片」とも解釈できるものである。
なお、透視性釣具用ケース1を構成する場合、箱体形成面2の少なくとも一面を印刷された印刷面として、釣具の説明や広告文などを印刷する。
【0031】
図1に示す箱体形成面2は、
図1において左側から順に、糊付け面8、正面9、第1側面10、背面11、第2側面12、釣具支持面7で構成され、各面はそれぞれ折線で区切られている。
図1においては説明の便宜上、折線を破線で記載している。
上記折線を具体的に説明すると、糊付け面8と正面9の間にはケースの長手方向に延びる折線51が設けられ、正面9と第1側面10の間には折線52が設けられ、第1側面10と背面11の間には折線53が設けられ、背面11と第2側面12の間には折線54が設けられ、第2側面12と釣具支持面7の間には折線55がそれぞれ設けられている。
前記4側面4は、
図1の左側から順に、正面9、第1側面10、背面11、第2側面12で構成される。
【0032】
糊付け面8は、正面9の左側方に位置している。また、糊付け面8が延出された4側面4の左側方とは反対側にある第2側面12の右側方に釣具支持面7を設けている。
上面3は、ケースの上面部となる上平面17とケース内部に差し込まれる上差込面18とを有している。上差込面18をケース上開口19(
図2参照)に差し込むことで上面3がケース上開口19を塞ぐ状態になる。
【0033】
吊り下げ面20は、吊り下げ用開口21をそれぞれ備えた第1立設面22と第2立設面23と、上差込面24とを背面11の上辺11aから延出させた構成になっている。そして、吊下折線25において第2立設面23を第1立設面22に重ねるように曲げて、上差込面24をケース上開口19の上面に差し込むことで、吊り下げ面具35を構成する。
なお、
図2においては、吊り下げ面具35は省略している。
底面5も同様に下底面26と下差込面27からなり、下差込面27を、ケース下開口28を塞ぐようにして底面5とする。
また、第1側面10、第2側面12の上辺10a,12aに上天フラップ29、30がそれぞれ形成され、第1側面10、第2側面12の底辺10b,12bに下底フラップ31、32がそれぞれ形成される。
【0034】
[展開図からケース1への組立]
まず、糊付け面8、正面9、第1側面10、背面11、第2側面12、釣具支持面7の折線を折って、長手方向に延びる四角形の筒体を構成し、糊付け面8に接着剤を塗布して、第2側面12の上面に接着する。この時、釣具支持面7を所定角度で折り曲げるとともに四角形の筒体の内部空間に位置させるようにする。
釣具支持面7をケース1内で傾斜させる角度は疑似餌を始めとする釣具33の大きさや、釣具支持面7における支持形態を考慮して適時、設定される。なお、一例としては、釣具支持面7はケース1内で対角線状に2分する形態を取り得る。また、傾斜角度は、予め、ケース1を構成する箱体形成面2に折線55の想定する折り曲げ角度を設定することで実現できる。
また、上天フラップ29、30及び下底フラップ31、32をそれぞれのケース上開口19、ケース下開口28に向けて折り曲げるとともに、上面3と底面5を閉じて、ケース1を構成する。また、前記したようにケース上開口19において、吊り下げ面具35を組み立てて吊下げ手段を構成する。
【0035】
[釣具支持面7]
以下、本実施形態の特徴構成である釣具支持面7について説明する。
この第1
参考実施形態に係る釣具支持面は、以下の点を特徴としている。
第1の特徴点は、係止部15を釣具支持面7に設けた点である。この第1
参考実施形態では、係止部15は、疑似餌等を始めとする釣具33の針33aが設けられた位置に対応して第1開口42によって構成される。
第1開口42は、傾斜面に沿って移動する方向に対して、針が係止しやすい形状に構成される。針が係止しやすい形状の一例として、疑似餌33は
図2に示す構成において、ケース1内側の曲線43(
図3を参照)の曲率が、ケース1外側の曲線44(
図3を参照)の曲率よりも大きいように形成される。この第1開口42の形状であれば、一度、第1開口42に入った針33aは傾斜面もおいて、ずれるような力がかかっても、曲線43と曲線44の接続部で針33aが引っ掛かりやすくなる。
【0036】
第2の特徴点は、釣具支持面7は、ケース1内で4側面4の長手方向に延びるように形成され、4側面4に対して傾いた面で構成した点である。傾いた面とすることで、狭い空間にすることができ、釣具33が傾いた面と4側面4との間で挟まれる構成にすることができる。
第3の特徴点は、釣具支持面7は、長手方向に延びる釣具支持面7の底面5側に連接された折り畳み面37を設けた点である。
【0037】
この折り畳み面37は、線57でケース1内側に織り込まれる第1折畳面39と、その第1折畳面39に対して逆方向、即ち、ケース1の外側に向くように折線58で折畳まれた第2折畳面40を少なくとも備えている。
この第1折畳面39及び第2折畳面40は、折畳むようにケース1内に挿入する工程と引き出す工程において、第1折畳面39及び第2折畳面40のケース側面に干渉しないように、ケース1内側から外側に向かう方向、即ち、内容物を引き出す方向において、第1折畳面39の横幅に比べて第2折畳面40の横幅が小さくなるような、略先細り形状に構成してある。
また、折線58は、折線57と折線58の距離が4側面4の内側が小さく、外側が大きくなるように、傾いて構成してある。
なお、この実施形態では折り畳み面37は2枚で構成したが、3枚以上の複数の面を折畳む構成を採用してもよい。
【0038】
[第
1実施形態]
図4-
図5及び
図7は第
1実施形態を説明するための図であり、第
1参考実施形態と同様の機能を発揮する部材は、第1
参考実施形態と同じ符号を付け説明を省略する。
第
1実施形態が第1
参考実施形態と異なる点は、第1
参考実施形態のように釣具支持面7を斜面で形成するのではなく、ケース1の長手方向の長さよりも長い釣具支持面7を収容することで、ケース1内の高さ方向(第1側面及び第2側面の横幅方向)に曲がった曲面46(
図5を参照)を設け、その曲面46に係止部15を設けたことを特徴としている。
そのために、
図4において示すように、ケース長手方向長さに比べて、底面又は上面側に距離dだけ長い釣具支持面7を形成し、立ち上り面47(
図5を参照)をケース1の内部に設けることで、曲面46を疑似餌等を始めとする釣具33の針33aが引っ掛かりやすい面形状に構成している。
【0039】
[第
2実施形態]
図6は、第
2実施形態を説明するための図であり、第1
参考実施形態及び第
1実施形態と同様の機能を発揮する部材は、各実施形態と同じ符号を付け説明を省略する。
第
2実施形態が第1
参考実施形態及び第
1実施形態と異なる点は、ケースの開封が難しくなる改ざん防止機構を備えた点である。前記4側面4の、上辺又は下辺の少なくとも一つの辺から延出した嵌合部65を備え、前記4側面4の少なくとも1つに切り欠き部66を設けて嵌める構成とし、更にシールで固定することで、ケースが容易に開封されず、内容物の改ざんを防止できることを特徴としている。
なお、
図6(b)は、本発明の第
1実施形態のケースに改ざん防止機構を設けた展開図であるが、開封用切り取り線67(第2鎖線の記載)を設け、ケースを引き抜くことで開封することができ、釣りを楽しむ人にとっては、釣りをする際に容易に釣具を取り出す事ができる。
【0040】
[第
3実施形態]
図8は、係止部15の各種の構成を示す図である。
図8(a)に示す構成は、係止部15をスリット開口で形成した構成を示している。スリットの両端にはそれぞれ丸部59が設けられ、スリットが釣具の針の動きによって裂けて破損しにくいように構成される。
なお、スリット開口はケースの長手方向とは直交するように設けた構成が示してあるが、長手方向と平行な方向や斜め方向にスリット開口を設けても良い。また、スリット開口の幅は線のように細いものでもよい。
【0041】
図8(b)は、係止部15を切り欠きによって形成した構成を示す図である。この構成では釣具支持面7の側面から切り欠かれたスリットと円形の引掛け部61が連接した構成が示される。なお、切り欠きの形状はこの構成以外にも各種、採用できる。
図8(c)、
図8(d)はそれぞれ、係止部15を凸部48で構成した形態の一例を示す図である。この
図8(c)(d)に示す構成では、支持片63となる部分を残して、周囲を略円形に打ち抜いた立ち片49の内部に引っ掛け部となる円形などの開口16を設けている。
また、
図8(d)に示すように、立った状態で開口16に疑似餌等を始めとする釣具33の針33aを引っ掛けるようにした構成である。このような引掛け用の凸部48は、エンボス加工のような方法を用いて、釣具支持面7に形成しても良い。
【0042】
[第
2参考実施形態]
図9は、疑似餌等を始めとする釣具33に複数の針33aが設けられている場合に、その各針33aの位置に対応してそれぞれ係止部15を設けた実施形態の一例を示し、代表例として疑似餌を記載している。
具体的には、
図9(a)に示した疑似餌33は、前方の鰓下部に前側の針33aが設けられており、尾の終端位置に後側の針33aが設けられている。このような疑似餌33の場合は、釣具支持面7に2つの針33a用の2つの係止部15を設けて、疑似餌33の動きを抑制するとともに、針33aによってケース面に傷が付くことを抑制するようにしている。
図9では係止部15として開口16が示されているが、
図8に示すような各種の係止部15を設けることが可能である。
【0043】
[第
3参考実施形態]
図10は釣具支持面7を4側面4の側辺に延出させた構成H、4側面4の上辺又は下辺から延出させた構成I、上面3に延出させた構成J、底面5に延出させた構成Kを有する説明用の展開図を示す図である。
釣具支持面7は、4側面4の最も側方の位置か、正面9の上辺又は下辺か、あるいは背面11の上辺又は下辺のいずれかから延出させて、ケース1内部に入れた状態にする構成が一般的である。4側面4の最も側方位置に釣具支持面7を設けると、長手方向に大きい釣具支持面7を構成する場合に、ケース1内部に釣具支持面7を位置させやすく製造も容易となる利点がある。
これに対して、上面3の上差込み面18や底面5の下差込み面27に釣具支持面7を連設する構成とすると、上面3や底面5として機能させつつ、釣具支持面7をケース1内に挿入させることは少し、面倒な作業になる。
【0044】
[第
4参考実施形態]
図11は、第
4参考実施形態を説明するための展開図であり、第1-第
3実施形態
及び第1参考-第3参考実施形態と同様の機能を発揮する部材は、第1-第
2実施形態
及び第1参考実施形態と同じ符号を付け説明を省略する。
第
4参考実施形態は、第1-第
2実施形態
及び第1参考実施形態と比較して構成点数が少なく、ケースを形成するとピロー形状のケースとなり、形成面が曲面になることから片手で持ちやすく、更に構成点数が少ないので、製造コストも低くすることができる。
【0045】
[第
5参考実施形態]
図12は、中敷きを示す展開図であり、側面4、底面5の少なくとも3面からなる中敷きを備え、釣具支持面7を底面としており、更に釣具支持面7に釣具を係止する係止部15が設けられていることから、市販されているケースに収納することで、釣具用ケースとして機能することができる。
【0046】
本発明は上記実施形態以外にも本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変形を行うことが可能である。
(1)
図10の記載の展開図はあくまで、ケース1を構成する六面のどの辺から釣具支持面7を連設できるかを説明するために便宜的に示した図である。しかし、
図10に示すように複数枚の釣具支持面7に延出させて釣具33を支持する構成もとり得る。例えば、2枚の釣具支持面7に釣具33を挟み込む構成などである。
(2)第
3実施形態及び第
2参考実施形態では釣具33の針33aを係止する係止部15を中心にして、説明したが、前記釣具33の針33a用の係止部15とともに、釣具33の本体の突起部や、疑似餌本体自体を開口等の係止部15で係止するような構成も当然に採用できる。その場合は、疑似餌支持面7に針用の係止部15と疑似餌本体用の係止部15の両方を設けることになる。
【0047】
(3)前記実施形態では、現実の製品を提供する製造コストを下げるために、展開図で構成された一枚の箱体形成面2を合成樹脂製のブランクシートを打ち抜いて形成した場合を実施形態で例示している。しかしながら、一枚の箱体形成面2を2枚の箱体形成面2で構成したり、ケースの一部を合成樹脂以外の素材で構成することや、ケースの一部を透視性のない素材で構成する変形例は、当然に本発明の技術的範囲に含まれるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明に係る透視性釣具用ケースであれば、針を付随する釣具を収容するケースにおいて、ケース内で釣具が動いて、釣具の破損や釣具の針によるケースに傷がついたりすることを抑制することができる釣具用ケースを安価に提供できる。また、ケース内に釣具とともに、宣伝用印刷紙などを収容する製造上の手間をなくし、低コストで釣具を販売できる釣具用ケースを提供できるので、産業上の利用可能性を有することは明らかである。
【符号の説明】
【0049】
1…透視性釣具用ケース
2…箱体形成面
3…上面
4…4側面
5…底面
7…釣具支持面
8…糊付け面
9…正面
10…第1側面
10a…上辺(第1側面)
10b…下辺(第1側面)
11a…上辺(背面)
12a…上辺(第2側面)
12b…下辺(第2側面)
15…係止部
16…開口
17…上平面
18…上差込面
19…上平面
20…吊り下げ面
21…吊り下げ開口
22…第1立接面
23…第2立接面
24…上差込面
25…吊下げ折線
26…下底面
27…下差込面
28…ケース下開口
29、30…上天フラップ
31、32…上天フラップ
33…釣具
33a…釣具の針
35…吊り下げ面具
37…折り畳み面
39(37)…第1折り畳み面
40(37)…第2折り畳み面
40(37)…第2折り畳み面
42…第1開口
43、44…曲線
46…曲面
47…立ち上り面
48…凸部
49…立ち片
50…切込み部
51、52、53、54、55、57、58…折線
59…丸部
61…スリット及び引掛け部
63…支持片
65…嵌合部
66…切り欠き部
67…開封用切り取り線