特許 7503840 飛沫防止シールド

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2024-06-13

(45)【発行日】2024-06-21

(54)【発明の名称】飛沫防止シールド

(51)【国際特許分類】

   A41D 13/11 20060101AFI20240614BHJP

   A62B 18/02 20060101ALI20240614BHJP

【ＦＩ】

A41D13/11 Z

A62B18/02 A

【請求項の数】 5

(21)【出願番号】P 2020201442

(22)【出願日】2020-12-04

(65)【公開番号】P2022089229

(43)【公開日】2022-06-16

【審査請求日】2023-09-29

(73)【特許権者】

【識別番号】597008533

【氏名又は名称】フレックスジャパン株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】110000512

【氏名又は名称】弁理士法人山田特許事務所

(72)【発明者】

【氏名】矢島 隆生

【審査官】須賀 仁美

(56)【参考文献】

【文献】国際公開第２０２１／２６０９５７（ＷＯ，Ａ１）

【文献】特開２０２２－０１７０６１（ＪＰ，Ａ）

【文献】登録実用新案第３２３０２３３（ＪＰ，Ｕ）

【文献】米国特許出願公開第２０１３／０２５５６９８（ＵＳ，Ａ１）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ａ４１Ｄ１３／１１

Ａ６２Ｂ１８／０２

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

少なくとも鼻下から顎下までの範囲を前方に対し遮蔽し得る大きさを有し且つ幅方向両側上部に上方に張り出す舌片部を形成した透明シート本体と、該透明シート本体の幅方向両側下部の相互間を連結して顔の下部形状に沿うよう円弧状に撓ませた状態に保持し且つ着用時に下顎に掛止されるようにした顎紐と、前記透明シート本体の左右の舌片部外側に両端を夫々傾動自在に枢着されて前記各舌片部間の隙間を塞ぐ横長の帯状に形成され且つその中間部上端に鼻筋を収容する窪み部を形成した透明シート帯と、前記透明シート本体の幅方向両側に装着された耳掛け紐とを備えたことを特徴とする飛沫防止シールド。

【請求項2】

透明シート本体の幅方向両側下部に対する顎紐の連結箇所に耳掛け紐の一端が一緒に装着され、前記透明シート本体の幅方向両側上部の各舌片部に対する透明シート帯の枢着箇所に前記耳掛け紐の他端が一緒に装着されていることを特徴とする請求項１に記載の飛沫防止シールド。

【請求項3】

透明シート帯の幅方向における適宜位置にＵ字形の切れ込みが形成され、該切れ込みにより囲まれた部位が透明シート本体上端に掛止可能な掛止片として内側に切り起こされるように構成されていることを特徴とする請求項１又は２に記載の飛沫防止シールド。

【請求項4】

顎紐が弾性伸縮自在な樹脂ストラップで構成されていることを特徴とする請求項１、２又は３に記載の飛沫防止シールド。

【請求項5】

耳掛け紐が弾性伸縮自在なゴム紐で構成されていることを特徴とする請求項１、２、３又は４に記載の飛沫防止シールド。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、感染予防対策として用いられる飛沫防止シールドに関するものである。

【背景技術】

【0002】

２０２０年における新型コロナウイルスの世界的な感染拡大に見られるように、感染症の大規模な流行時にあっては、外出時にマスクを着用することが社会的に求められ、マスクを着用せずに外出してしまうと、感染対策に無頓着で非協力的な人物であるかのような悪い印象を周囲に与えかねない。

【0003】

ただし、従来における一般的なマスクは、ガーゼや不織布などからなるマスク本体と、その両側に装備された耳掛け紐とで構成されており、着用者の口と鼻を直接覆うようになっていたため、話し声が籠もってしまって聞き取り難くなる上、表情や口元の動きも確認できないことから意思の疎通が難しくなるという弊害があり、特に聴覚障害のある人にとって意思の疎通に及ぼす弊害は顕著である。

【0004】

そこで、マスクに代わる感染予防対策として、図８に示す如き飛沫防止シールドａが提案されており、この種の飛沫防止シールドａでは、円弧状に形成されたフレームｂ上に透明シートｃを撓ませて組み付け、前記フレームｂの両端に耳掛け用のつる部ｄを傾動自在に枢着すると共に、前記フレームｂの中央部内側に顎当て部ｅを設置した構造となっているので、前記顎当て部ｅに顎を宛がいながら前記つる部ｄを耳に掛けて着用し、着用者の口と鼻を空間を挟んで間接的に透明シートｃで遮蔽することができる。

【0005】

即ち、着用者の口と鼻を空間を挟んで間接的に透明シートｃで遮蔽することができれば、話し声が籠もらなくなると共に、透明シートｃを通して表情や口元の動きを確認し易くなって、マスク着用時よりも意思の疎通を行い易くすることができ、しかも、透明シートｃにより着用者の口から発せられる飛沫を遮断すると共に、話し相手の飛沫から着用者の口や鼻を守ることもできる。

【0006】

尚、この種の飛沫防止シールドに関連した先行技術文献情報としては、例えば下記の特許文献１等がある。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0007】

【文献】実用新案登録第３１８２６８４号

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0008】

しかしながら、斯かる従来の飛沫防止シールドａにあっては、フレームｂ、つる部ｄ、顎当て部ｅといった特殊な形状の成形部品が複数必要となり、夫々の成形部品の組み付けや透明シートｃを撓ませながら組み付ける作業にも手間がかかってしまうため、その製作コストが高くついてしまうという問題がある。

【0009】

即ち、感染予防対策として用いられる飛沫防止シールドａは、その在庫に余裕があれば使い捨てていく方が好ましいのであり、その製作を容易化して急激な需要の高まりにも迅速に対応できるようにしなければならないし、一枚当たりにかかるコストを極力下げて経済的負担を軽減する必要もある。

【0010】

本発明は上述の実情に鑑みてなしたもので、製作が容易で急激な需要の高まりにも迅速に対応することが可能な上、安価なコストで製作することができて経済的負担の少ない飛沫防止シールドを提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0011】

本発明は、少なくとも鼻下から顎下までの範囲を前方に対し遮蔽し得る大きさを有し且つ幅方向両側上部に上方に張り出す舌片部を形成した透明シート本体と、該透明シート本体の幅方向両側下部の相互間を連結して顔の下部形状に沿うよう円弧状に撓ませた状態に保持し且つ着用時に下顎に掛止されるようにした顎紐と、前記透明シート本体の左右の舌片部外側に両端を夫々傾動自在に枢着されて前記各舌片部間の隙間を塞ぐ横長の帯状に形成され且つその中間部上端に鼻筋を収容する窪み部を形成した透明シート帯と、前記透明シート本体の幅方向両側に装着された耳掛け紐とを備えたことを特徴とする飛沫防止シールドに係るものである。

【0012】

而して、このように構成された飛沫防止シールドを使用するにあたり、着用者が顎紐を顎下に掛止させつつ各耳掛け紐を耳に掛け、透明シート帯の傾動位置を調整して窪み部に鼻筋を収容させて掛止させると、着用者の口と鼻が空間を挟んで間接的に透明シート本体及び透明シート帯により遮蔽されることになるため、話し声が籠もらなくなり、表情や口元の動きを確認し易くなって、マスク着用時よりも意思の疎通を行い易くすることが可能となり、着用者の口から発せられる飛沫を遮断し且つ話し相手の飛沫から着用者の口や鼻を守ることも可能となる。

【0013】

しかも、本発明の飛沫防止シールドでは、透明シート本体の幅方向両側下部の相互間を顎紐で連結するだけで透明シート本体を円弧状に撓ませた状態に保持し、この透明シート本体に対する顎紐の連結、透明シート帯の枢着、耳掛け紐の装着といった僅かな工程だけで簡単に製作することが可能となり、従来の飛沫防止シールドの如き特殊な形状の成形部品が全て不要となる。

【0014】

また、従来の飛沫防止シールドでは、その上側部分が開放されてしまっていたため、くしゃみの際に上方から漏れ出る飛沫や、話し相手から降り注ぐ飛沫に対する遮蔽効果が低かったが、本発明の飛沫防止シールドでは、透明シート帯を適切に傾動させることにより、透明シート本体の上側にできる隙間を塞ぐことが可能となるため、従来の飛沫防止シールドよりも良好な飛沫防止効果が得られる。尚、透明シート本体の上側にできる隙間を塞ぐことができれば、この隙間から呼気が漏れ出ることによるメガネの曇りも防止することが可能となる。

【0015】

また、本発明においては、透明シート本体の幅方向両側下部に対する顎紐の連結箇所に耳掛け紐の一端が一緒に装着され、前記透明シート本体の幅方向両側上部の各舌片部に対する透明シート帯の枢着箇所に前記耳掛け紐の他端が一緒に装着されていることが好ましく、このようにすれば、透明シート本体に対する顎紐の連結箇所と透明シート帯の枢着箇所の計四箇所を除いて大半の領域が透明に保持されることになるので、着用者の表情や口元の動きが極めて確認し易くなり、その見た目的にも飛沫防止シールドを着用している違和感が少ない自然な雰囲気となる上、より一層少ない工数で効率良く製作することが可能となる。

【0016】

更に、本発明においては、透明シート帯の幅方向における適宜位置にＵ字形の切れ込みが形成され、該切れ込みにより囲まれた部位が透明シート本体上端に掛止可能な掛止片として内側に切り起こされるように構成されていることが好ましく、このようにすれば、前記掛止片を内側に切り起こして透明シート本体上端に掛止させることで前記透明シート帯を適切な傾動位置に固定することが可能となる。

【0017】

また、本発明においては、顎紐が弾性伸縮自在な樹脂ストラップで構成されていることが好ましく、このようにすれば、顎下に対し顎紐が食い込んだり緩んだりすることが回避され、しっかりとした顎下への掛止を図りながらもソフトな感触で顎下に当たるようにすることが可能となる。

【0018】

更に、本発明においては、耳掛け紐が弾性伸縮自在なゴム紐で構成されていることが好ましく、このようにすれば、耳掛け紐の弾性力により飛沫防止シールドの安定した着用を維持することが可能となり、顔の大きさの違いによる飛沫防止シールドのずり落ちを防ぐことが可能となる。

【発明の効果】

【0019】

上記した本発明の飛沫防止シールドによれば、下記の如き種々の優れた効果を奏し得る。

【0020】

（Ｉ）本発明の請求項１に記載の発明によれば、透明シート本体の幅方向両側下部の相互間を顎紐で連結するだけで透明シート本体を円弧状に撓ませた状態に保持することができる上、この透明シート本体に対する顎紐の連結、透明シート帯の枢着、耳掛け紐の装着といった僅かな工程だけで飛沫防止シールドを簡単に製作することができ、従来の飛沫防止シールドの如き特殊な形状の成形部品を全て不要とすることもできるので、感染症の大規模な流行時における急激な需要の高まりにも迅速に対応することができ、しかも、安価なコストで製作することができて経済的負担を著しく軽減することができる。

【0021】

（ＩＩ）本発明の請求項１に記載の発明によれば、透明シート帯を適切に傾動させて透明シート本体の上側にできる隙間を塞ぐことができるので、従来の上方が開放された飛沫防止シールドよりも良好な飛沫防止効果を得ることができ、上方の隙間から呼気が漏れ出ないようにしてメガネなどの曇りを防止することもできる。

【0022】

（ＩＩＩ）本発明の請求項２に記載の発明によれば、透明シート本体に対する顎紐の連結箇所と透明シート帯の枢着箇所の計四箇所を除き大半の領域を透明に保持することができるので、着用者の表情や口元の動きを極めて確認し易くすることができると共に、その見た目的にも飛沫防止シールドを着用している違和感が少ない自然な雰囲気とすることができ、更なる工数の削減を図ることもできる。

【0023】

（ＩＶ）本発明の請求項３に記載の発明によれば、透明シート帯の掛止片を内側に切り起こして透明シート本体上端に掛止させることで前記透明シート帯を適切な傾動位置に固定することができ、該透明シート帯を上げ過ぎて前記透明シート本体の上端との間に隙間ができてしまうような事態を未然に回避することができる。

【0024】

（Ｖ）本発明の請求項４に記載の発明によれば、顎下に対し顎紐が食い込んだり緩んだりすることを回避することができ、しっかりとした顎下への掛止を図りながらもソフトな感触で顎下に当たるようにすることができ、長時間に亘る着用でも不快感を感じなくて済むようにすることができる。

【0025】

（ＶＩ）本発明の請求項５に記載の発明によれば、耳掛け紐の弾性力により飛沫防止シールドの安定した着用を維持することができ、顔の大きさの違いによる飛沫防止シールドのずり落ちを防ぐことができる。

【図面の簡単な説明】

【0026】

【図1】本発明を実施する形態の一例を示す斜視図である。

【図2】図１の飛沫防止シールドの内側の状態を斜め上方から見た斜視図である。

【図3】図１の飛沫防止シールドの透明シート本体を単品で示す平面図である。

【図4】図１の飛沫防止シールドの透明シート帯を単品で示す平面図である。

【図5】図１の顎紐の連結箇所における構造の詳細を示す拡大図である。

【図6】図１の透明シート帯の枢着箇所における構造の詳細を示す拡大図である。

【図7】図１の飛沫防止シールドを着用した状態を示す斜視図である。

【図8】従来の飛沫防止シールドの一例を示す斜視図である。

【発明を実施するための形態】

【0027】

以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。

【0028】

図１～図７は本発明を実施する形態の一例を示すもので、図中における符号１は感染予防対策として用いられる飛沫防止シールドを示しており、この飛沫防止シールド１は、少なくとも鼻下から顎下までの範囲を前方に対し遮蔽し得る大きさを有し且つ幅方向両側上部に上方に張り出す舌片部２を形成した透明シート本体３（図３参照）と、該透明シート本体３の幅方向両側下部の相互間を連結して顔の下部形状に沿うよう円弧状に撓ませた状態に保持し且つ着用時には下顎に掛止されるようにした顎紐４と、前記透明シート本体３の左右の舌片部２外側に両端を夫々傾動自在に枢着されて前記各舌片部２間の隙間を塞ぐ横長の帯状に形成され且つその中間部上端に鼻筋を収容する窪み部５を形成した透明シート帯６（図４参照）と、前記透明シート本体３の幅方向両側に装着された耳掛け紐７とを備えた構造となっており、ここに図示している例の場合、前記顎紐４が弾性伸縮自在な樹脂ストラップで構成され、前記耳掛け紐７が弾性伸縮自在なゴム紐で構成されている。

【0029】

ここで、透明シート本体３の幅方向両側下部に対する顎紐４の連結箇所に耳掛け紐７の一端が一緒に装着され、前記透明シート本体３の幅方向両側上部の各舌片部２に対する透明シート帯６の枢着箇所に前記耳掛け紐７の他端が一緒に装着されるようになっており、これら相互の装着については、後述する如き回動スナップ８を介して行われるようになっている。

【0030】

即ち、図５に顎紐４の連結箇所に用いられている回動スナップ８を例に説明すると、この回動スナップ８は、外キャップ９と固定盤１０と可動盤１１と内キャップ１２とを並べて連結した構造となっており、外キャップ９と固定盤１０との間に透明シート本体３と顎紐４の一端とを一緒に挟み付けることで該顎紐４の透明シート本体３に対する連結が成されるようにしてある一方、固定盤１０に対し可動盤１１が回動自在に連結されていて、該可動盤１１と内キャップ１２との間に耳掛け紐７の一端を挟み付けることで該耳掛け紐７の一端の透明シート本体３に対する装着が成されるようにもしてある。

【0031】

また、図６に示す如き透明シート帯６の枢着箇所に用いられている回動スナップ８では、前述と同様に、外キャップ９と固定盤１０と可動盤１１と内キャップ１２とを並べて連結した構造となっているが、外キャップ９と固定盤１０との間に透明シート本体３と透明シート帯６とを一緒に挟み付けることで透明シート帯６の透明シート本体３に対する枢着が成されるようにしてある一方、固定盤１０に対し可動盤１１が回動自在に連結されていて、該可動盤１１と内キャップ１２との間に耳掛け紐７の他端を挟み付けることで該耳掛け紐７の他端の透明シート本体３に対する装着が成されるようにもしてある。

【0032】

更に、本形態例においては、透明シート帯６の幅方向における両側に近い左右二箇所にＵ字形の切れ込み１３が形成され、該切れ込み１３により囲まれた部位が透明シート本体３上端に掛止可能な掛止片１４として内側に切り起こされるように構成されており、透明シート帯６の掛止片１４を内側に切り起こして透明シート本体３上端に掛止させることで前記透明シート帯６を適切な傾動位置に固定することができるようになっている。

【0033】

而して、このように構成された飛沫防止シールド１を使用するにあたり、着用者が顎紐４を顎下に掛止させつつ各耳掛け紐７を耳に掛け、透明シート帯６の傾動位置を調整して窪み部５に鼻筋を収容させて掛止させると、着用者の口と鼻が空間を挟んで間接的に透明シート本体３及び透明シート帯６により遮蔽されることになるため、話し声が籠もらなくなり、表情や口元の動きを確認し易くなって、マスク着用時よりも意思の疎通を行い易くすることが可能となり、着用者の口から発せられる飛沫を遮断し且つ話し相手の飛沫から着用者の口や鼻を守ることも可能となる。

【0034】

しかも、本形態例の飛沫防止シールド１では、透明シート本体３の幅方向両側下部の相互間を顎紐４で連結するだけで透明シート本体３を円弧状に撓ませた状態に保持し、この透明シート本体３に対する顎紐４の連結、透明シート帯６の枢着、耳掛け紐７の装着といった僅かな工程だけで簡単に製作することが可能となり、従来の飛沫防止シールド１の如き特殊な形状の成形部品が全て不要となる。

【0035】

また、従来の飛沫防止シールド１では、その上側部分が開放されてしまっていたため、くしゃみの際に上方から漏れ出る飛沫や、話し相手から降り注ぐ飛沫に対する遮蔽効果が低かったが、本発明の飛沫防止シールド１では、透明シート帯６を適切に傾動させることにより、透明シート本体３の上側にできる隙間を塞ぐことが可能となるため、従来の飛沫防止シールド１よりも良好な飛沫防止効果が得られる。尚、透明シート本体３の上側にできる隙間を塞ぐことができれば、この隙間から呼気が漏れ出ることによるメガネの曇りも防止することが可能となる。

【0036】

特に本形態例においては、透明シート本体３の幅方向両側下部に対する顎紐４の連結箇所に耳掛け紐７の一端が一緒に装着され、前記透明シート本体３の幅方向両側上部の各舌片部に対する透明シート帯６の枢着箇所に前記耳掛け紐７の他端が一緒に装着されるようにしてあるので、透明シート本体３に対する顎紐４の連結箇所と透明シート帯６の枢着箇所の計四箇所を除いて大半の領域が透明に保持されることになる結果、着用者の表情や口元の動きが極めて確認し易くなり、その見た目的にも飛沫防止シールド１を着用している違和感が少ない自然な雰囲気となる上、より一層少ない工数で効率良く製作することが可能となる。

【0037】

更に、本形態例においては、透明シート帯６の幅方向における適宜位置にＵ字形の切れ込み１３が形成され、該切れ込み１３により囲まれた部位が透明シート本体３上端に掛止可能な掛止片１４として内側に切り起こされるように構成されているので、前記掛止片１４を内側に切り起こして透明シート本体３上端に掛止させることで前記透明シート帯６を適切な傾動位置に固定することが可能となる。

【0038】

また、顎紐４が弾性伸縮自在な樹脂ストラップで構成されているので、顎下に対し顎紐４が食い込んだり緩んだりすることが回避され、しっかりとした顎下への掛止を図りながらもソフトな感触で顎下に当たるようにすることが可能となると共に、耳掛け紐７が弾性伸縮自在なゴム紐で構成されているので、耳掛け紐７の弾性力により飛沫防止シールド１の安定した着用を維持することが可能となり、顔の大きさの違いによる飛沫防止シールド１のずり落ちを防ぐことが可能となる。

【0039】

従って、上記形態例によれば、透明シート本体３の幅方向両側下部の相互間を顎紐４で連結するだけで透明シート本体３を円弧状に撓ませた状態に保持することができる上、この透明シート本体３に対する顎紐４の連結、透明シート帯６の枢着、耳掛け紐７の装着といった僅かな工程だけで飛沫防止シールド１を簡単に製作することができ、従来の飛沫防止シールド１の如き特殊な形状の成形部品を全て不要とすることもできるので、感染症の大規模な流行時における急激な需要の高まりにも迅速に対応することができ、しかも、安価なコストで製作することができて経済的負担を著しく軽減することができる。

【0040】

また、透明シート帯６を適切に傾動させて透明シート本体３の上側にできる隙間を塞ぐことができるので、従来の上方が開放された飛沫防止シールド１よりも良好な飛沫防止効果を得ることができ、上方の隙間から呼気が漏れ出ないようにしてメガネなどの曇りを防止することもできる。

【0041】

更に、透明シート本体３に対する顎紐４の連結箇所と透明シート帯６の枢着箇所の計四箇所を除き大半の領域を透明に保持することができるので、着用者の表情や口元の動きを極めて確認し易くすることができると共に、その見た目的にも飛沫防止シールド１を着用している違和感が少ない自然な雰囲気とすることができ、更なる工数の削減を図ることもできる。

【0042】

また、特に本形態例においては、透明シート帯６の掛止片１４を内側に切り起こして透明シート本体３上端に掛止させることで前記透明シート帯６を適切な傾動位置に固定することができ、該透明シート帯６を上げ過ぎて前記透明シート本体３の上端との間に隙間ができてしまうような事態を未然に回避することができる。

【0043】

しかも、顎下に対し顎紐４が食い込んだり緩んだりすることを回避することができ、しっかりとした顎下への掛止を図りながらもソフトな感触で顎下に当たるようにすることができ、長時間に亘る着用でも不快感を感じなくて済むようにすることができると共に、耳掛け紐７の弾性力により飛沫防止シールド１の安定した着用を維持することができ、顔の大きさの違いによる飛沫防止シールド１のずり落ちを防ぐことができる。

【0044】

尚、本発明の飛沫防止シールドは、上述の形態例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。

【符号の説明】

【0045】

１ 飛沫防止シールド
２ 舌片部
３ 透明シート本体
４ 顎紐
５ 窪み部
６ 透明シート帯
７ 耳掛け紐
１３ 切れ込み
１４ 掛止片

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】