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特許7503850シャペロン介在性オートファジー調節剤として有用なベンゾオキサゾールおよび関連化合物
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  • 特許-シャペロン介在性オートファジー調節剤として有用なベンゾオキサゾールおよび関連化合物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-13
(45)【発行日】2024-06-21
(54)【発明の名称】シャペロン介在性オートファジー調節剤として有用なベンゾオキサゾールおよび関連化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 263/57 20060101AFI20240614BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240614BHJP
   A61P 39/02 20060101ALI20240614BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20240614BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20240614BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20240614BHJP
   A61P 21/02 20060101ALI20240614BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20240614BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20240614BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20240614BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20240614BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20240614BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20240614BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240614BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20240614BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20240614BHJP
   A61K 31/423 20060101ALI20240614BHJP
   A61K 9/72 20060101ALI20240614BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
C07D263/57 CSP
A61P43/00 111
A61P39/02
A61P25/16
A61P25/14
A61P25/28
A61P21/02
A61P27/02
A61P3/10
A61P1/16
A61P13/12
A61P11/00
A61P21/00
A61P25/00
A61P9/00
A61P37/04
A61K31/423
A61K9/72
A61K9/08
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021519763
(86)(22)【出願日】2019-10-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-13
(86)【国際出願番号】 US2019055493
(87)【国際公開番号】W WO2020077024
(87)【国際公開日】2020-04-16
【審査請求日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】62/743,920
(32)【優先日】2018-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520426357
【氏名又は名称】アルベルト・アインシュタイン・カレッジ・オブ・メディシン
【氏名又は名称原語表記】ALBERT EINSTEIN COLLEGE OF MEDICINE
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】アナ・マリア・クエルボ
(72)【発明者】
【氏名】エヴリピディス・ガヴァシオティス
【審査官】谷尾 忍
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-526034(JP,A)
【文献】RN 1116042-38-6 REGISTRY,DATABASE REGISTRY [ONLINE] Retrieved from STN,2009年03月05日,検索日:14 AUG 2023
【文献】RN 1115950-78-1 REGISTRY,DATABASE REGISTRY [ONLINE] Retrieved from STN,2009年03月05日,検索日:14 AUG 2023
【文献】RN 1115890-50-0 REGISTRY,DATABASE REGISTRY [ONLINE] Retrieved from STN,2009年03月05日,検索日:14 AUG 2023
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 263/57
A61K 31/423
A61K 9/72
A61K 9/08
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
(式中、
Yが、Nであり、Xが、OまたはSであり、
、R、R、R、R、R、およびRが、水素であり、
が、クロロであり、
が、
(i)ヒドロキシル、ハロゲン、C~Cハロアルキル、およびC~Cハロアルコキシから独立して選択される1つ以上の置換基で任意選択的に置換される、フェニルであるか;
(ii)-NR20COR21および-NR20SO21から選択される1つの置換基で置換されるフェニルであり、
20が、水素であり、
21が、C~C直鎖、分岐鎖または環状のアルキル、またはC~Cハロアルキルから選択されるか;
(iii)-NR20COR21または-NR20SO21であり、
20が、水素であり、
21が、C~C直鎖、分岐鎖または環状のアルキル、C~Cハロアルキル、およびフェニルから選択され、これらのフェニルの各々が、1つ以上のハロゲンで任意選択的に置換される)
の化合物またはその薬学的に許容される塩であって、
ただし、化合物は、
N-(4-(6-クロロベンゾ[d]オキサゾール-2-イル)フェニル)イソブチルアミド、
N-(4-(6-クロロベンゾ[d]オキサゾール-2-イル)フェニル)アセトアミド、
N-[4-(6-クロロ-2-ベンゾチアゾリル)フェニル]メタンスルホンアミド、
N-[4-(6-クロロ-2-ベンゾチアゾリル)フェニル]-1-ブタンスルホンアミド、および
N-[4-(6-クロロ-2-ベンゾチアゾリル)フェニル]-4-フルオロ-ベンゼンスルホンアミド
ではない、
化合物または塩。
【請求項2】
が、(i)ヒドロキシル、ハロゲン、C~Cハロアルキル、およびC~Cハロアルコキシから独立して選択される1つ以上の置換基で任意選択的に置換される、フェニルである、請求項1に記載の化合物または塩。
【請求項3】
が、(ii)-NR20COR21および-NR20SO21から選択される1つの置換基で置換されるフェニルであり、
20が、水素であり、
21が、C~C直鎖、分岐鎖または環状のアルキル、またはC~Cハロアルキルから選択される、請求項1に記載の化合物または塩。
【請求項4】
が、(iii)-NR20COR21または-NR20SO21であり、
20が、水素であり、
21が、C~C直鎖、分岐鎖または環状のアルキル、C~Cハロアルキル、およびフェニルから選択され、これらのフェニルの各々が、1つ以上のハロゲンで任意選択的に置換される、請求項1に記載の化合物または塩。
【請求項5】
前記化合物が、
2-([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-6-クロロベンゾ[d]オキサゾール、
N-(4-(6-クロロベンゾ[d]オキサゾール-2-イル)フェニル)-2,2,2-トリフルオロアセトアミド、
N-(4-(6-クロロベンゾ[d]オキサゾール-2-イル)フェニル)-3-メチルブタンアミド、
N-(4-(6-クロロベンゾ[d]オキサゾール-2-イル)フェニル)-4-フルオロベンズアミド、
N-(4-(6-クロロベンゾ[d]オキサゾール-2-イル)フェニル)-4-フルオロベンゼンスルホンアミド、
N-(4-(6-クロロベンゾ[d]オキサゾール-2-イル)フェニル)-1,1,1-トリフルオロメタンスルホンアミド、
6-クロロ-2-(4’-フルオロ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)ベンゾ[d]オキサゾール、
6-クロロ-2-(4’-トリフルオロアセトアミド-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)ベンゾ[d]オキサゾール、
6-クロロ-2-(4’-イソブチルアミド-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)ベンゾ[d]オキサゾール、
N-(4’-(6-クロロベンゾ[d]オキサゾール-2-イル)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-3-メチルブタンアミド
-(4-(6-クロロベンゾ[d]オキサゾール-2-イル)フェニル)シクロプロパンカルボキサミド
N-(4-(6-クロロベンゾ[d]オキサゾール-2-イル)フェニル)-2,4-ジフルオロベンズアミド、または
4’-(6-クロロベンゾ[d]オキサゾール-2-イル)-[1,1’-ビフェニル]-3,4-ジオール
である、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
前記化合物が、下式の化合物
【化2】
である、請求項1に記載の化合物または塩。
【請求項7】
前記化合物が、下式の化合物
【化3】
である、請求項1に記載の化合物または塩。
【請求項8】
薬学的に許容される担体と共に、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物または塩を含む、薬学的組成物。
【請求項9】
前記組成物が、経口的、局所的、非経口的、スプレー吸入、舌下、経皮的、頬側、直腸的、点眼液、または硝子体内製剤である、請求項8に記載の薬学的組成物。
【請求項10】
対象におけるシャペロン介在性オートファジーの選択的な活性化に使用するための、薬剤を含む薬学的組成物であって、
薬剤が、
(i)請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩;または
(ii)N-(4-(6-クロロベンゾ[d]オキサゾール-2-イル)フェニル)イソブチルアミド、
N-(4-(6-クロロベンゾ[d]オキサゾール-2-イル)フェニル)アセトアミド、
N-[4-(6-クロロ-2-ベンゾチアゾリル)フェニル]メタンスルホンアミド、
N-[4-(6-クロロ-2-ベンゾチアゾリル)フェニル]-1-ブタンスルホンアミド、
N-[4-(6-クロロ-2-ベンゾチアゾリル)フェニル]-4-フルオロ-ベンゼンスルホンアミド、
またはその薬学的に許容される塩
である、薬学的組成物。
【請求項11】
対象におけるパーキンソン病、ハンチントン病、アルツハイマー病、前頭側頭型認知症、プリオン病、筋萎縮性側索硬化症、網膜および黄斑変性、レーバー先天性黒内障、糖尿病、急性肝不、NASH、肝脂肪症、アルコール性脂肪肝、腎不全および慢性腎臓病、肺気腫、孤発性封入体筋炎、脊髄損傷、外傷性脳損傷、リソソーム蓄積障害、心血管疾患、または免疫老化を治療するための、薬剤を含む薬学的組成物であって、
薬剤が、
(i)請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩;または
(ii)N-(4-(6-クロロベンゾ[d]オキサゾール-2-イル)フェニル)イソブチルアミド、
N-(4-(6-クロロベンゾ[d]オキサゾール-2-イル)フェニル)アセトアミド、
N-[4-(6-クロロ-2-ベンゾチアゾリル)フェニル]メタンスルホンアミド、
N-[4-(6-クロロ-2-ベンゾチアゾリル)フェニル]-1-ブタンスルホンアミド、
N-[4-(6-クロロ-2-ベンゾチアゾリル)フェニル]-4-フルオロ-ベンゼンスルホンアミド、
またはその薬学的に許容される塩
である、薬学的組成物。
【請求項12】
前記リソソーム蓄積障害が、シスチン症、ガラクトシアリドーシス、またはムコ多糖症である、請求項11に記載の薬学的組成物。
【請求項13】
前記薬学的組成物が、経口的に、局所的に、非経口的に、スプレー吸入、舌下に、経皮的に、頬側的に、直腸的に、局所的点眼液として、または硝子体内注射として投与される、請求項11または12に記載の薬学的組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2018年10月10日に出願された、米国仮特許出願第62/743,920号の優先権を主張する。
【0002】
本開示は、CMA調節剤としてのベンゾオキサゾールおよび関連化合物と、これらの化合物を含有する薬学的組成物と、に関する。
【背景技術】
【0003】
オートファジーは、サイトゾル中に存在する不要なタンパク質または機能不全のタンパク質がリソソーム内腔で分解されるプロセスである。シャペロン介在性オートファジー(CMA)では、タンパク質は、膜を直接通過することによって、サイトゾルからリソソーム内腔に個別に選択され標的化される。CMAは、損傷または異常なタンパク質および多タンパク質複合体の余剰サブユニットの除去を促進することによって、細胞品質管理に関与する。CMAは、活性化されると、タンパク質を分解して、長期の飢餓中に燃料のためのアミノ酸を提供し、酸化ストレス中に酸化されたタンパク質を除去し、および有害化学曝露後に損傷したタンパク質を除去するように機能する。CMAはまた、これらのプロセスの各々に関与する主要タンパク質の分解を通じて、他の細胞プロセス(すなわち、解糖、脂質生成、脂質分解、細胞周期、DNA修復など)の活性を調節することができるので、細胞内の調節機能を有する。
【0004】
CMAは、多段階のプロセスである。シャペロン、熱ショック同族タンパク質70(Hsc70)は、分解されるタンパク質基質のペンタペプチドモチーフ(例えば、KFERQ)を認識し、結合する。Hsc70に結合すると、タンパク質基質は、膜結合リソソーム関連膜タンパク質2A(LAMP-2A)受容体の単量体型のサイトゾル側末端と相互作用するリソソームの表面を標的とする。Hsc70-タンパク質基質複合体がLAMP-2受容体に結合すると、LAMP-2Aを誘発し、関連するリソソームタンパク質と多量体複合体(「転座複合体」)を形成する。タンパク質基質がサイトゾルからリソソームに膜を通過できるのは、転座複合体の形成後にのみである。タンパク質基質がリソソーム内腔に転座されると、LAMP-2Aは転座複合体から離脱し、タンパク質基質は分解を受ける。
【0005】
CMA活性の減少および増強の両方は、ヒト疾患と関連している。特に、転座複合体の機能における問題は、疾患病状の発症に寄与する。例えば、CMA活性の減少は、神経変性疾患、例えば、タウオパチー(前頭側頭型認知症、アルツハイマー病)、パーキンソン病、ハンチントン病、プリオン病、筋萎縮性側索硬化症、網膜および黄斑変性、レーバー先天性黒内障、糖尿病、急性肝不全、NASH、肝脂肪症、アルコール性脂肪肝、腎不全および慢性腎臓病、肺気腫、孤発性封入体筋炎、脊髄損傷、外傷性脳損傷、リソソーム蓄積障害(これに限定されないが、シスチン症、ガラクトシアリドーシス、ムコ多糖症)、心血管疾患、または免疫老化に関連する。代替的に、CMA活性の増加は、癌細胞の生存および増殖に関連付けられ、例えば、ループスでも生じる。しかし、CMAを調節する既知の小分子は非特異的であり、他の細胞品質管理機構の活性に影響を及ぼす。したがって、CMA活性の増加または減少に関連する疾患および状態の治療のためのCMA活性を調節する化合物が必要である。
【発明の概要】
【0006】
本発明者らは、CMAを調節する式Iの化合物および塩の種類を発見した。ある特定の式Iの化合物はまた、RARおよびRAR受容体を調節する(活性化するか、または阻害するかのいずれか)。
【0007】
レチノイン酸受容体(RAR)は、転写因子として機能し、細胞分裂、細胞成長および細胞死を調節する核内ホルモン受容体である。哺乳動物において同定された、異なる遺伝子によってコードされる3つの型(RARα、RARβ、およびRARγ)のRARが存在する。RARβおよびRARγの発現は組織依存的であり、一方、RARαは偏在して発現される。RARの天然リガンドは、オールトランスレチノイン酸(ATRA)および9-シスレチノイン酸(9-シスRA)である。
【0008】
RARαシグナル伝達は、LAMP-2A転写および他のCMA遺伝子の発現を阻害する。RARαアゴニスト(例えば、ATRA、9-シスRAまたはその誘導体)の結合時にRARαが活性化されると、LAMP-2Aの転写が減少し、CMAに関与するために存在するLAMP-2A受容体が少なくなる。代替的に、RARαに結合するアンタゴニストは、LAMP-2Aの転写の阻害を遮断する可能性があり、CMAに関与するためにより多くのLAMP-2A受容体が存在することになる。
【0009】
本開示は、式Iの化合物
【化1】
またはその薬学的に許容される塩を含む。式I内の可変基、例えば、R~R、X、およびYは、以下に記載の値を有する。
【0010】
Xは、O、C(R1011)、C=O、N(R12)、S、またはS=Oである。
【0011】
Yは、CR10またはNである。
【0012】
、R、R、およびRは、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、C~Cアルキル、およびC~Cアルコキシから独立して選択される。
【0013】
、R、R、およびRは、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、C~Cアルキル、およびC~Cアルコキシから独立して選択される。
【0014】
は、-NR20COR21または-NR20SO21であるか、あるいはRは、フェニル、ナチル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、チエニル、チアゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、トリアゾリル、キノリニル、またはイソキノリニル基であり、これらの各々は、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、-CHO、-COOH、アミノ、およびC~Cアルキル(任意の炭素-炭素単結合が、炭素-炭素二重または三重結合によって任意選択的に置き換えられ、任意のメチレン基が、O、S、またはNR22によって任意選択的に置き換えられ、かつハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、アミノ、およびオキソから独立して選択される1つ以上の置換基で任意選択的に置換される)から独立して選択される1つ以上の置換基で任意選択的に置換され、これらの各々は、-N(R20)COR21および-N(R20)SO21から選択される1つの置換基で任意選択的に置換される。
【0015】
10およびR11は、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、(C~Cシクロアルキル)C~Cアルキル、C~Cハロアルキル、およびC~Cハロアルコキシから独立して選択される。
【0016】
12は、水素、C~Cアルキル、または(C~Cシクロアルキル)C~Cアルキルである。
【0017】
20は、水素またはC~Cアルキルである。
【0018】
21は、各出現時に水素、C~Cアルキル、C~Cハロアルキル、単環式アリール、およびヘテロアリールから独立して選択され、その単環式アリールおよびヘテロアリールの各々は、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルキル、およびC~Cハロアルコキシから独立して選択される1つ以上の置換基で任意選択的に置換され、R22は、水素、C~Cアルキル、または(C~Cシクロアルキル)C~Cアルキルであり、但し、化合物がN-(4-(6-クロロベンゾ[d]オキサゾール-2-イル)フェニル)イソブチルアミドではないことを条件とする。
【0019】
薬学的に許容される担体と共に、式Iの化合物または塩を含む薬学的組成物が開示される。
【0020】
本開示は、薬学的に許容される担体と共に、式Iの化合物、または式Iの薬学的に許容される塩を、含む薬学的組成物を提供する。
【0021】
本開示は、シャペロン介在性オートファジーの選択的な活性化を必要とする対象において、治療有効量の式Iの化合物またはその塩を対象に投与することによって、シャペロン介在性オートファジーを選択的に活性化する方法をさらに提供する。本開示は、シャペロン介在性オートファジーの選択的な活性化を必要とする対象においてシャペロン介在性オートファジーを活性化するための式Iの化合物またはその塩の使用を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】CMAに対する化合物Aおよび化合物1の効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
化学的説明および用語
本発明を詳細に記載する前に、本開示で使用されるある特定の用語の定義を提供することが有用であり得る。化合物は、標準的な命名法を使用して記載される。別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。文脈によって明確に禁忌を示されない限り、各化合物名は、化合物の遊離酸または遊離塩基の形態、ならびに化合物のすべての薬学的に許容される塩を含む。
【0024】
「式Iの化合物」という用語は、任意の鏡像異性体、ラセミ体、および立体異性体、ならびにそのような化合物のすべての薬学的に許容される塩を含む、式Iを満たすすべての化合物を包含する。2つの文字または記号の間にないダッシュ(”-”)は、置換基の結合点を示すために使用される。
【0025】
「a」および「an」という用語は、数量の制限を示すものではなく、むしろ、参照されるアイテムのうちの少なくとも1つの存在を示す。「または」という用語は、「および/または」を意味する。「含む」というオープンエンド移行句は、「から本質的になる」という中間移行句および「からなる」というクローズエンド句を包含する。これらの3つの移行句のうちの1つを列挙すること、または「含有する」または「含む」などの代替の移行句を用いて、文脈または技術によって明確に排除されない限り、任意の他の移行句と共に書き込むことができる。値の範囲の列挙は、本明細書に別段の指示がない限り、範囲内にある各別個の値を個別に参照する簡単な方法としての役割を果たすことのみを意図し、各別個の値は、本明細書に個別に列挙されるかのように本明細書に組み込まれる。すべての範囲のエンドポイントは、範囲内に含まれ、独立して組み合わせ可能である。本明細書に記載されるすべての方法は、本明細書に別段の指示がない限り、または文脈によって明確に矛盾しない限り、任意の好適な順序で実行することができる。ありとあらゆる実施例、または例示的な言語(例えば、「など」)の使用は、単に本発明をより良く例示することを意図しており、別途特許請求されない限り、本発明の範囲に制限をもたらさない。本明細書のいかなる言語も、本明細書で使用される本発明の実施に不可欠であるいかなる非特許請求の要素を示すものとして解釈されてはならない。別段の定義がない限り、本明細書で使用される技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。
【0026】
2つの文字または記号の間にないダッシュ(「-」)は、置換基の結合点を示すために使用される。例えば、-(C=O)OHは、ケト(C=O)基の炭素を介して結合される。
【0027】
実線および破線の組み合わせによって表される結合、すなわち、
【化2】
は、単結合または二重結合のいずれかであり得る。
【0028】
「アルキル」は、指定数の炭素原子、一般に1~約8個の炭素原子を有する、分岐鎖または直鎖または環状の飽和脂肪族炭化水素基である。本明細書で使用する場合、C~Cアルキルという用語は、1、2、3、4、5、または6個の炭素原子を有するアルキル基を示す。他の実施形態は、1~8個の炭素原子、1~4個の炭素原子、または1もしくは2個の炭素原子、例えば、C~CアルキルおよびC~Cアルキルを有するアルキル基を含む。本明細書で、C~Cアルキルを別の基、例えば、-C~Cアルキル(フェニル)と組み合わせて使用する場合、示された基、この場合、フェニルは、単一の共有結合(Cアルキル)によって直接結合するか、または指定数の炭素原子、この場合、1、2、3、または4個の炭素原子を有するアルキル鎖によって結合するかのいずれかである。アルキルは、O-C~Cアルキル(C~Cシクロアルキル)中のように、ヘテロ原子などの他の基を介して結合することもできる。アルキルの例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロプロピルエチル、n-ブチル、シクロブチル、3-メチルブチル、t-ブチル、シクロブチルメチル.n-ペンチル、およびsec-ペンチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
「アルコキシ」は、酸素架橋(-O-)によって置換される基に共有結合した示された炭素原子の数を有する上記で定義されるアルキル基である。アルコキシの例としては、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、i-プロポキシ、シクロプロピルオキシ、シクロプロピルメトキシ、n-ブトキシ、2-ブトキシ、t-ブトキシ、n-ペントキシ、2-ペントキシ、3-ペントキシ、イソペントキシ、ネオペントキシキシ、n-ヘキソキシ、2-ヘキソキシ、3-ヘキソキシ、および3-メチルペントキシが挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
「アリール」は、芳香族環(複数可)中に炭素のみを含有する芳香族基を示す。典型的なアリール基は、1~3個の別個の、縮合した、またはペンダント環、および6~約18個の環原子を含有し、環員としてヘテロ原子は含まない。示された場合、そのようなアリール基は、炭素または非炭素原子または基でさらに置換されてもよい。アリール基として、例えば、フェニル、ナフチル(1-ナフチル、2-ナフチル、およびビフェニルを含む)が挙げられる。
【0031】
「シクロアルキル」は、指定数の炭素原子を有する飽和炭化水素環基である。単環式シクロアルキル基は、典型的には、3~約7個(3、4、5、6、または7個)の炭素環原子を有する。シクロアルキル置換基は、置換窒素原子、置換硫黄原子、置換酸素原子もしくは置換炭素原子からのペンダントであってもよく、または2つの置換基を有し得る置換炭素原子は、スピロ基として結合されるシクロアルキル基を有してもよい。シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、またはシクロヘキシル、ならびにノルボルナンまたはアダマンチンなどの架橋飽和環基またはケージド飽和環基が挙げられる。
【0032】
「ハロアルキル」は、最大許容数のハロゲン原子で1個以上のハロゲン原子で置換された、指定数の炭素原子を有する分岐鎖および直鎖アルキル基の両方を含む。ハロアルキルの例としては、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、2-フルオロエチル、およびペンタフルオロエチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
「ハロアルコキシ」は、酸素架橋(アルコールラジカルの酸素)を介して結合される、本明細書で定義されるハロアルキル基である。
【0034】
「ハロ」または「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードのいずれかを示す。
【0035】
「ヘテロアリール」は、示した数の環原子を有し、N、O、およびSから選択される1~4個のヘテロ原子、あるいはいくつかの実施形態では1~2個のヘテロ原子を含有し、残りの環原子が炭素である、安定した単環式芳香族環であるか、または少なくとも1個の5~7員芳香族環を含有し、N、O、およびSから選択される1~4個のヘテロ原子、あるいはいくつかの実施形態では1~2個のヘテロ原子を含有し、残りの環原子が炭素である、安定した二環系である。単環式ヘテロアリール基は、典型的には、5~7個の環原子を有する。ある特定の実施形態では、ヘテロアリール基は、2個以下のO原子および1個のS原子を有する、N、O、およびSから選択される1、2、3、または4個のヘテロ原子を有する5員または6員のヘテロアリール基である。
【0036】
本明細書で使用される「置換された」という用語は、指定原子または基上の任意の1つ以上の水素が、指定原子の通常の価を超えない限り、示された基からの選択に置き換えられることを意味する。置換基がオキソ(すなわち、=O)である場合、原子上の2個の水素が置き換えられる。オキソ基が芳香族部分を置換する場合、対応する部分不飽和環が芳香族環を置き換える。例えば、オキソによって置換されたピリジル基は、ピリドンである。置換基および/または可変基の組み合わせは、そのような組み合わせが安定した化合物または有用な合成中間体をもたらす場合にのみ許容される。安定した化合物または安定した構造とは、反応混合物からの分離、およびその後の調合を有効な治療薬まで存続させるのに十分に強い化合物を意味する。別段の指定がない限り、置換基はコア構造に命名される。例えば、アミノアルキルが考えられる置換基として列挙される場合、この置換基のコア構造への結合点は、アルキル部分にあることを理解されたい。
【0037】
ある特定の実施形態では、「置換」または「任意選択的に置換」され得る基としては、単環式アリール、例えば、フェニル;単環式ヘテロアリール、例えば、ピロリル、ピラゾリル、チエニル、フラニル、イミダゾリル、チアゾリル、トリアゾリル、ピリジル、ピリミジニル;二環式ヘテロアリール、例えば、ベンズイミダゾリル、イミダゾピリジジニル、インドリル、インダゾリル、キノリニル、イソキノリニル;およびC~Cアルキルが挙げられるが、これらに限定されず、これらは、任意の炭素-炭素単結合が炭素-炭素二重または三重結合によって任意選択的に置き換えられ、任意のメチレン基がO、S、またはNR12によって任意選択的に置き換えられる。
【0038】
「置換」位置または「任意選択的に置換された」位置に存在し得る好適な基としては、ハロゲン;シアノ;CHO;COOH;ヒドロキシル;オキソ;アミノ;1~約6個の炭素原子のアルキル基;1つ以上の酸素結合と、1~約8個もしくは1~約6個の炭素原子と、を有する、アルコキシ基;1つ以上のハロゲンと、1~約8個、1~約6個、もしくは1~約2個の炭素原子と、を有する、ハロアルキル基、および1つ以上の酸素結合と、1つ以上のハロゲンと、1~約8個、1~約6個、もしくは1~約2個の炭素原子と、を有する、ハロアルコキシ基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
「薬学的組成物」は、式Iの化合物または塩などの少なくとも1つの活性剤と、担体などの少なくとも1つの他の物質と、を含む、組成物である。薬学的組成物は、1つ以上の追加の活性剤を任意選択的に含有する。指定された場合、薬学的組成物は、ヒトまたは非ヒト薬物の米国FDAのGMP(良好な製造慣行)基準を満たしている。
【0040】
「薬学的に許容される塩」としては、親化合物が、その無機付加塩および有機付加塩、非毒性付加塩、酸付加塩、または塩基付加塩を作製することによって修飾される、本開示の化合物の誘導体が挙げられる。本化合物の塩は、従来の化学方法によって塩基性部分または酸性部分を含有する親化合物から合成することができる。一般に、そのような塩は、これらの化合物の遊離酸形態を、適切な塩基(Na、Ca、Mg、もしくはK水酸化物、炭酸塩、重炭酸水素塩など)の化学量論量と反応させることによって、またはこれらの化合物の遊離塩基形態を、適切な酸の化学量論量と反応させることによって調製することができる。そのような反応は、典型的には、水中で、または有機溶媒中で、またはこれら2つの混合物中で行われる。一般に、実行可能な場合、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、またはアセトニトリルなどの非水系媒体が好ましい。本化合物の塩は、化合物の溶媒和物および化合物塩の溶媒和物をさらに含む。
【0041】
薬学的に許容される塩の例としては、アミンなどの塩基性残基のミネラル塩または有機酸塩;カルボン酸などの酸性残基のアルカリ塩または有機塩などが挙げられるが、これらに限定されない。薬学的に許容される塩としては、従来の非毒性塩および、例えば、非毒性無機または有機酸から形成される親化合物の第4級アンモニウム塩が挙げられる。例えば、従来の非毒性酸塩としては、無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸などに由来する塩、ならびに有機酸、例えば、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、メシル酸、エシル酸、ベシル酸、スルファニル酸、2-アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸、HOOC-(CH-COOH(式中、nは0~4)などから調製される塩が挙げられる。
【0042】
本開示の薬学的組成物/組み合わせに適用される「担体」という用語は、活性化合物がもたらされる希釈剤、賦形剤、またはビヒクルを指す。薬学的に許容されるには、担体は安全で無毒でなければならず、生物学的にもそうでなければ望ましくない。
【0043】
化学物質の説明
本開示は、式Iの化合物および塩を提供する。「式I」という用語は、文脈によりそうではないと明らかに指示されない限り、式Iの薬学的に許容される塩を含む。ある特定の状況において、式Iの化合物は、化合物が異なる立体異性体型で存在し得るように、立体中心、立体軸などの1つ以上の不斉元素、例えば、不斉炭素原子を含有し得る。これらの化合物は、例えば、ラセミ体または光学活性体であり得る。2つ以上の不斉元素を有する化合物については、これらの化合物はさらに、ジアステレオマーの混合物であり得る。不斉中心を有する化合物については、すべての光学異性体およびそれらの混合物が包含されることが理解されるべきである。加えて、炭素-炭素二重結合を有する化合物は、Z型およびE型で生じ得、化合物のすべての異性体型が本開示に含まれる。これらの状況において、単一の鏡像異性体、すなわち、光学活性体は、非対称合成、光学的に純粋な前駆体からの合成、またはラセミ体の分割によって得ることができる。ラセミ体の分割はまた、例えば、分割剤の存在下での結晶化、またはキラルHPLCカラムを使用するクロマトグラフィーなどの従来の方法によって達成することができる。
【0044】
化合物が種々の互変異性型で存在する場合、本発明は、特異的互変異性体のうちのいずれか1つに限定されず、むしろすべての互変異性型を含む。
【0045】
本開示は、本化合物中に存在する原子のすべての同位体を含む。同位体には、同じ原子数であるが異なる質量数を有する原子が含まれる。一般的な例として、水素の同位体としては、トリチウムおよび重水素が挙げられ、炭素の同位体としては、11C、13C、および14Cが挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
本開示は、可変基、例えば、X、Y、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R20、R21、およびR22が、以下に記載の定義のいずれかを有する式Iの化合物および塩を含む。以下に記載の可変基定義のいずれかは、安定した化合物が得られる限り、他の可変基定義のいずれかと組み合わせることができる。
【化3】
【0047】
化合物Aおよび化合物Bは、比較例として提供され、式Iの範囲内ではない。
【化4】
【0048】
式Iの化合物および塩に加えて、本開示は、以下の下位式のいずれかを有する化合物および塩を提供する。
【表1】
~R可変基
(1)R、R、およびRは、すべて水素である。
(2)R、R、R、およびRは、すべて水素である。
(3)R、R、R、R、R、R、およびRは、水素である。
(4)R、R、およびRは、すべて水素であり、Rは、クロロである。
(5)Rは、クロロである。
(6)Rは、-NR20COR21または-NR20SO21である。
【0049】
(7)Rは、フェニル、ナチル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、チエニル、チアゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、トリアゾリル、キノリニル、またはイソキノリニル基であり、これらの各々は、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、-CHO、-COOH、アミノ、およびC~Cアルキル(任意の炭素-炭素単結合が、炭素-炭素二重または三重結合によって任意選択的に置き換えられ、任意のメチレン基が、O、S、またはNR22によって任意選択的に置き換えられ、かつハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、アミノ、およびオキソから独立して選択される1つ以上の置換基で任意選択的に置換される)で任意選択的に置換され、-N(R20)COR21および-N(R20)SO21から選択される1つの置換基で任意選択的に置換される。
【0050】
(8)Rは、フェニルであって、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、-CHO、-COOH、アミノ、およびC~Cアルキル(任意の炭素-炭素単結合が炭素-炭素二重または三重結合によって任意選択的に置き換えられ、任意のメチレン基がO、S、またはNR22によって任意選択的に置き換えられ、かつハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、アミノ、およびオキソから独立して選択される1つ以上の置換基で任意選択的に置換される)から独立して選択される1つ以上の置換基で任意選択的に置換され、-N(R20COR21および-N(R20)SO21から選択される1つの置換基で任意選択的に置換される、フェニルである。
【0051】
(7)Rは、-NR20COR21またはNR20SO21であり、R20は、水素またはメチルであり、
21は、C~CアルキルまたはCFである。
【0052】
(8)Rは、ヒドロキシルおよびC~Cアルコキシから独立して選択される1つ以上の置換基で任意選択的に置換される、フェニルである。
【0053】
(89)Rは、ハロゲン、-NR20COR21、またはNR20SO21で任意選択的に置換される、フェニルである。
【0054】
(10)Rは、4-フルオロフェニルである。
【0055】
(11)Rは、ハロゲン、ヒドロキシル、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、トリフルオロメチル、およびトリフルオロメトキシから独立して選択される1つ以上の置換基で任意選択的に置換され、-NR20COR21および-NR20SO21から選択される1つの置換基で任意選択的に置換される、フェニルである。
【0056】
(11)Rは、-NR10COR11である。
【0057】
(12)Rは、-NR10SO11である。
20およびR21可変基
【0058】
上記の実施形態のうちのある特定の実施形態では、R20およびR21は、存在する場合、以下の定義を有する。
【0059】
ある特定の実施形態では、R21は、各出現時に、水素、C~Cアルキル、C~Cハロアルキル、C~Cシクロアルキル、フェニル、およびピリジルから独立して選択され、そのフェニルおよびピリジルの各々は、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルキル、およびC~Cハロアルコキシから独立して選択される1つ以上の置換基で任意選択的に置換される。
【0060】
特定の実施形態
本開示はまた、式Iの化合物および塩、ならびに可変基が以下の定義の組み合わせを有するその下位式のいずれかを含む。式I-AおよびI-Bは、本開示に含まれる特定の実施形態である。
【0061】
(1)R、R、R、R、R、およびRは、水素であり、
は、クロロであり、
は、ハロゲン、ヒドロキシル、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、トリフルオロメチル、およびトリフルオロメトキシから独立して選択される1つ以上の置換基で任意選択的に置換され、-NR20COR21および-NR20SO21から選択される1つの置換基で任意選択的に置換される、フェニルであり、
20は、水素またはメチルであり、
21は、C~CアルキルまたはCFである。
【0062】
(2)R、R、R、R、R、およびRは、水素であり、
は、クロロであり、
は、ヒドロキシル、ハロゲン、C~Cハロアルキル、およびC~Cハロアルコキシから独立して選択される1つ以上の置換基で任意選択的に置換される、フェニルである。
【0063】
(3)R、R、R、R、R、R、およびRは、水素であり、
は、クロロであり、
は、-NR20COR21および-NR20SO21から選択される1つの置換基で置換される、フェニルであり、
20は、水素であり、R21は、C~Cアルキル、またはC~Cハロアルキルから選択される。
【0064】
(4)R、R、R、R、R、およびRは、水素であり、
は、クロロであり、
は、-NR20COR21または-NR20SO21であり、
20は、水素であり、R21は、C~Cアルキル、C~Cハロアルキル、およびフェニルから選択され、これらのフェニルの各々は、1つ以上のハロゲンで任意選択的に置換される。
【0065】
(13)R10は、各出現時に、水素およびC~Cアルキルから独立して選択される。
【0066】
(14)R10は、水素またはメチルである。
【0067】
(15)R10は、水素である。
【0068】
(16)R11は、各出現時に、水素、C~Cアルキル、C~Cハロアルキル、C~Cシクロアルキル、単環式アリール、およびヘテロアリールから独立して選択され、その単環式アリールおよびヘテロアリールの各々は、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルキル、およびC~Cハロアルコキシから独立して選択される1つ以上の置換基で任意選択的に置換される。
【0069】
(17)R11は、各出現時に、水素、C~Cアルキル、C~Cハロアルキル、C~Cシクロアルキル、フェニル、およびピリジルから独立して選択され、そのフェニルおよびピリジルの各々は、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルキル、およびC~Cハロアルコキシから独立して選択される1つ以上の置換基で任意選択的に置換される。
【0070】
(18)R11は、C~Cアルキル、C~Cハロアルキル、およびフェニルから選択され、これらのフェニルの各々は、1つ以上のハロゲンで任意選択的に置換される。
【0071】
(19)R11は、-C~Cアルキルまたは-CFである。
【0072】
(20)R11は、-CH、CF、-CH(CH、-(CHCH、または4-フルオロフェニルである。
【0073】
(21)R12は、水素、C~Cアルキル、またはC~Cシクロアルキルである。
【0074】
ある特定の実施形態では、Rは、以下の基のうちの1つから選択される:
【化5】
【0075】
本開示のある特定の化合物は、バイオアベイラビリティなどの改善された薬学的特性を含む、比較化合物AおよびBに対する利点を有する。
【0076】
中間体化合物
本開示は、式Iの化合物を調製するのに有用な中間体化合物を含む。そのような中間体は、式II
【化6】
の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、
X、Y、R~RおよびR~Rは、式Iの化合物およびその下位式について記載される定義のいずれかを有するが、好ましくは、水素またはC~Cアルキルである。
は、アミノもしくはブロモであるか、または
は、フェニル、ナチル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、チエニル、チアゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、トリアゾリル、キノリニル、もしくはイソキノリニル基であり、これらの各々は、1つのアミノ置換基もしくはブロモ置換基で置換される。
【0077】
薬学的調製物
本明細書に開示される化合物は、適切な化学物質として投与されることができるが、好ましくは薬学的組成物として投与される。したがって、本開示は、式Iの化合物などのCMA調節剤の化合物または薬学的に許容される塩と、少なくとも1つの薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成物を提供する。ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、約0.1mg~約2000mg、約10mg~約1000mg、約100mg~約800mg、または約200mg~約600mgの式Iの化合物、および任意選択的に約0.1mg~約2000mg、約10mg~約1000mg、約100mg~約800mg、または約200mg~約600mgの追加の活性剤を単位剤形で含有する剤形にある。
【0078】
本明細書に開示の化合物は、経口的に、局所的に、非経口的に、吸入またはスプレーによって、舌下に、経皮的に、頬側投与を介して、直腸的に、点眼液として、硝子体内注射によって、または他の手段によって、従来の薬学的に許容される担体を含有する単位剤形製剤で投与され得る。薬学的組成物は、例えば、エアゾール剤、クリーム剤、ゲル剤、丸薬、カプセル剤、錠剤、シロップ剤、経皮パッチ、または局所もしくは硝子体内注射のための点眼液として、任意の薬学的に有用な形態として製剤化され得る。錠剤およびカプセル剤などのいくつかの剤形は、適切な量の活性成分、例えば、所望の目的を達成するための有効量を含有する好適な大きさの単位用量に細分化される。
【0079】
担体は、賦形剤および希釈剤を含み、それらを治療される患者への投与に好適なものとするために、十分に高い純度および十分に低い毒性のものでなければならない。担体は、不活性であってもよく、またはそれ自体の薬学的利点を有し得る。化合物と併せて用いられる担体の量は、化合物の単位用量当たりの投与のための実用量の材料を提供するのに十分である。
【0080】
担体の種類としては、結合剤、緩衝剤、着色剤、希釈剤、崩壊剤、乳化剤、香料、流動促進剤、潤滑剤、保存料、安定剤、界面活性剤、錠剤化剤、および湿潤剤が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの担体は、複数の種類に列挙されてもよく、例えば、植物油は、いくつかの製剤において潤滑剤として使用されてもよく、他の製剤において希釈剤として使用されてもよい。例示的な薬学的に許容される担体としては、糖、デンプン、セルロース、粉末トラガカント、麦芽、ゼラチン、タルク、および植物油が挙げられる。任意選択的な活性剤は、本開示の化合物の活性を実質的に妨げない薬学的組成物に含まれてもよい。
【0081】
薬学的組成物/組み合わせは、経口投与のために製剤化することができる。これらの組成物は、0.1~99重量%の式Iの化合物を含有し、通常、少なくとも約5重量%の式Iの化合物を含有する。いくつかの実施形態は、約25重量%~約50重量%または約5重量%~約75重量%の式の化合物を含有する。
【0082】
治療方法
本開示はまた、シャペロン介在性オートファジー(CMA)の選択的な活性化を必要とする対象においてそれを行う方法であって、対象においてCMAを活性化するのに有効な量の式Iの化合物を対象に投与することを含む方法を提供する。
【0083】
対象は、例えば、タウオパチー、(前頭側頭型認知症、アルツハイマー病)、パーキンソン病、ハンチントン病、プリオン病、筋萎縮性側索硬化症、網膜変性(乾性または湿性黄斑変性、網膜炎色素変性症、糖尿病性網膜症、緑内障、レーバー先天性黒内障)、糖尿病、急性肝不全、アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、肝脂肪症、アルコール性脂肪肝、腎不全および慢性腎臓病、肺気腫、孤発性封入体筋炎、脊髄損傷、外傷性脳損傷、線維症(肝臓、腎臓、または肺)、リソソーム蓄積障害、心血管疾患、および免疫老化などの、神経変性疾患を有し得る。リソソーム蓄積障害としては、シスチン症、ガラクトシアリドーシス、およびムコリピドーシスが挙げられるが、これらに限定されない。対象はまた、CMAが癌またはループスなどを増加させる疾患または状態を有し得る。対象は、化合物を投与する前に、正常対象と比較して減少したCMAを有し得る。好ましくは、化合物は、マクロオートファジーまたは他のオートファジー経路に影響を及ぼさない。マクロオートファジーでは、タンパク質および細胞小器官を二重膜小胞に隔離し、分解のためにリソソームに送達する。CMAでは、タンパク質基質は、サイトゾルシャペロンとの相互作用を介して、選択的に同定され、リソソームを標的とし、転座複合体を介して、リソソーム膜を通過する。
【0084】
本開示はまた、酸化ストレス、低酸素症、タンパク質毒性、遺伝毒性傷害もしくは障害、および/または脂肪毒性から細胞を保護することを必要とする対象において、酸化ストレス、低酸素症、タンパク質毒性、遺伝毒性傷害もしくは障害、および/または脂肪毒性から細胞を保護するのに有効な量で、本明細書に開示される化合物のうちのいずれか、または式Iの化合物の組み合わせを対象に投与することを含む、酸化ストレス、低酸素症、タンパク質毒性、遺伝毒性傷害もしくは障害、および/または脂肪毒性から細胞を保護する方法を提供する。対象は、例えば、酸化ストレスおよび酸化の増加、ならびにタンパク質毒性の傾向の背景に関連する慢性状態のうちの1つ以上を有し得る。保護される細胞は、例えば、心臓細胞、腎臓および肝臓細胞、ニューロンおよび膠細胞、筋細胞、線維芽細胞、および/または免疫細胞を含み得る。化合物は、例えば、シャペロン介在性オートファジー(CMA)を選択的に活性化することができる。一実施形態では、化合物は、マクロオートファジーに影響を及ぼさない。
【0085】
ある実施形態では、対象は、哺乳動物である。ある特定の実施形態では、対象は、ヒト、例えば、治療中のヒト患者である。対象はまた、非ヒト哺乳動物、例えば、コンパニオン動物、例えば、ネコおよびイヌ、または家畜動物のコンパニオンなどであってもよい。
【0086】
診断または研究用途のために、様々な哺乳動物は、げっ歯類(例えば、マウス、ラット、ハムスター)、ウサギ、霊長類、および近交系ブタなどのブタを含む好適な対象である。加えて、インビトロ診断および研究用途などのインビトロ用途のために、上記対象の体液(例えば、血液、血漿、血清、細胞間質液、脳脊髄液、唾液、糞便、および尿)ならびに細胞および組織試料は、使用に好適である。
【0087】
薬学的組成物の有効量は、疾患または障害の進行を阻害する、疾患または障害の退行を引き起こす、疾患または障害の症状を軽減する、または疾患または障害のマーカーのレベルを大幅に変化させるのに十分な量であり得る。例えば、ドーパミントランスポーター(DAT)および小胞モノアミントランスポーター2(VMAT2)のレベルは、前駆期および診断時にパーキンソン病患者の脳において共に減少し、脳撮像による疾患進行をモニターするためにも使用され得る。したがって、式Iの化合物の治療有効量は、脳撮像によって観察されるように、脳DATレベルまたはVMAT2レベルの減少を遅らせる効果がある量を含む。前頭側頭型認知症患者の脳におけるタウタンパク質の蓄積は、PETイメージングによって観察されているため、式Iの化合物の治療有効量は、タウ脳沈着物を減少させるか、またはタウ脳沈着速度を遅らせるのに十分な量を含む。NASH、肝脂肪症、およびアルコール性脂肪肝の有効な治療のためのマーカーとしては、肝生検における脂質含有量および線維症の減少が挙げられる。癌の有効な治療のためのマーカーとしては、例えば、MRIによって観察される腫瘍の大きさの減少、転移の数または大きさの減少が挙げられる。肺気腫の効果的な治療のためのマーカーには、スパイロメトリーにおける容積測定パラメータおよび速度パラメータの改善が挙げられる。免疫老化の効果的な治療のためのマーカーとしては、インビトロでT細胞活性化を回復することが挙げられる。腎機能不全の効果的な治療のためのマーカーとしては、血漿クレアチンレベルの正常化および血漿対尿クレアチン比が挙げられる。
【0088】
本明細書に記載の化合物または薬学的組成物の有効量も、対象に投与した場合、式Iの化合物の十分な濃度をもたらす。十分な濃度は、式Iの化合物が有効であるCMA媒介性疾患もしくは障害または他の疾患もしくは障害を予防または防止するために必要な患者の体内における式Iの化合物の濃度である。そのような量は、実験的には、例えば、化合物の血中濃度をアッセイすることによって、または理論的には、バイオアベイラビリティを計算することによって確認することができる。
【0089】
治療方法は、式Iの化合物のある特定の投与量を対象または患者に提供することを含む。体重1kg当たり約0.1mg~約140mg/日の各化合物の投与量レベルは、上記の状態の治療おいて有用である(患者1人当たり約0.5mg~約7g/日)。単一剤形を生成するために担体材料と組み合わせることができる化合物の量は、治療される患者および特定の投与方法に応じて変化することになる。単位剤形は、一般に、約1mg~約500mgの各活性化合物を含有する。ある特定の実施形態では、25mg~500mg、または25mg~200mgの式Iの化合物が患者に毎日提供される。投与頻度は、使用する化合物および治療する特定の疾患に応じて変動し得る。しかし、ほとんどの疾患および障害の治療のために、1日4回以下の投与計画を用いることができ、ある特定の実施形態では、1日1回または2回の投与計画が用いられる。
【0090】
しかし、任意の特定の患者に対する特定の用量レベルは、用いられる特定の化合物の活性、年齢、体重、全般的な健康、性別、食生活、投与時間、投与経路、および排泄速度、薬物の組み合わせ、ならびに治療を受ける特定の疾患の重症度を含む種々の要因に依存することが理解されるであろう。
【0091】
ある実施形態では、本発明は、リソソーム蓄積障害の治療を必要とすると特定された患者においてリソソーム蓄積障害を治療する方法を提供し、本方法は、患者に有効量の式Iの化合物を提供することを含む。本明細書に提供される式Iの化合物は、単独で唯一の活性剤として、または1つ以上の他の活性剤と組み合わせて投与され得る。
本発明は、次の態様を含む。
[項1]
式I
[化1]
の化合物またはその薬学的に許容される塩であって、式中、
Xが、O、C(R 10 11 )、C=O、N(R 12 )、S、またはS=Oであり、
Yが、CR 10 またはNであり、
、R 、R 、およびR が、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、C ~C アルキル、およびC ~C アルコキシから独立して選択され、
、R 、R 、またはR が、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、C ~C アルキル、およびC ~C アルコキシから独立して選択され、
が、-NR 20 COR 21 または-NR 20 SO 21 であるか、あるいは、
が、フェニル、ナプチル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、チエニル、チアゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、トリアゾリル、キノリニル、またはイソキノリニル基であり、
これらの各々が、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、-CHO、-COOH、アミノ、およびC ~C アルキル(任意の炭素-炭素単結合が炭素-炭素二重または三重結合によって任意選択的に置き換えられ、任意のメチレン基がO、S、またはNR 22 によって任意選択的に置き換えられ、かつハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、アミノ、およびオキソから独立して選択される1つ以上の置換基で任意選択的に置換される) から独立して選択される1つ以上の置換基で任意選択的に置換され、これらの各々が、-N(R 20 COR 21 および-N(R 20 )SO 21 から選択される1つの置換基で任意選択的に置換され、
10 およびR 11 が、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、C ~C アルキル、C ~C アルコキシ、(C ~C シクロアルキル)C ~C アルキル、C ~C ハロアルキル、およびC ~C ハロアルコキシから独立して選択され、
12 が、水素、C ~C アルキル、または(C ~C シクロアルキル)C ~C アルキルであり、
20 が、水素またはC ~C アルキルであり、
21 が、各出現時に水素、C ~C アルキル、C ~C ハロアルキル、単環式アリール、およびヘテロアリールから独立して選択され、その単環式アリールおよびヘテロアリールの各々が、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、C ~C アルキル、C ~C アルコキシ、C ~C ハロアルキル、およびC ~C ハロアルコキシから独立して選択される1つ以上の置換基で任意選択的に置換され、
22 が、水素、C ~C アルキル、または(C ~C シクロアルキル)C ~C アルキルであり、但し、前記化合物が、N-(4-(6-クロロベンゾ[d]オキサゾール-2-イル)フェニル)イソブチルアミドではないことを条件とする、式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩。
[項2]
、R 、およびR が、すべて水素である、項1に記載の化合物または塩。
[項3]
が、クロロである、項1または2に記載の化合物または塩。
[項4]
、R 、およびR が、すべて水素であり、R が、クロロである、項1に記載の化合物または塩。
[項5]
、R 、R およびR が、すべて水素である、項1~4のいずれかに記載の化合物または塩。
[項6]
Yが、Nであり、Xが、Oである、項1~5のいずれか一項に記載の化合物または塩。
[項7]
Yが、Nであり、Xが、Sである、項1~5のいずれか一項に記載の化合物または塩。
[項8]
が、-NR 20 COR 21 または-NR 20 SO 21 である、項1~7のいずれかに記載の化合物または塩。
[項9]
が、-NR 20 COR 21 またはNR 20 SO 21 であり、
20 が、水素またはメチルであり、
21 が、C ~C アルキルまたはCF である、項1~7のいずれか一項に記載の化合物または塩。
[項10]
が、フェニル、ナプチル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、チエニル、チアゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、トリアゾリル、キノリニル、またはイソキノリニル基であり、これらの各々が、
ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、-CHO、-COOH、アミノ、およびC ~C アルキル(任意の炭素-炭素単結合が炭素-炭素二重または三重結合によって任意選択的に置き換えられ、任意のメチレン基がO、S、またはNR 22 によって任意選択的に置き換えられ、かつハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、アミノ、およびオキソから独立して選択される1つ以上の置換基で任意選択的に置換される)で任意選択的に置換され、
-N(R 20 )COR 21 および-N(R 20 )SO 21 から選択される1つの置換基で任意選択的に置換される、項1~7のいずれかに記載の化合物または塩。
[項11]
が、フェニルであって、
ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、-CHO、-COOH、アミノ、およびC ~C アルキル(任意の炭素-炭素単結合が炭素-炭素二重または三重結合によって任意選択的に置き換えられ、任意のメチレン基がO、S、またはNR 22 によって任意選択的に置き換えられ、かつハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、アミノ、およびオキソから独立して選択される1つ以上の置換基で任意選択的に置換される)から独立して選択される1つ以上の置換基で任意選択的に置換され、
-N(R 20 )COR 21 および-N(R 20 )SO 21 から選択される1つの置換基で任意選択的に置換される、フェニルである、項1~7のいずれか一項に記載の化合物または塩。
[項12]
21 が、各出現時に、水素、C ~C アルキル、C ~C ハロアルキル、C ~C シクロアルキル、フェニル、ピラジニル、ピリジル、およびトリアゾリルから独立して選択され、そのフェニル、ピラジニル、ピリジル、およびトリアゾリルの各々が、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、C ~C アルキル、C ~C アルコキシ、C ~C ハロアルキル、およびC ~C ハロアルコキシから独立して選択される1つ以上の置換基で任意選択的に置換される、項1~8および10~11のいずれか一項に記載の化合物または塩。
[項13]
が、
ハロゲン、ヒドロキシル、C ~C アルキル、C ~C アルコキシ、トリフルオロメチル、およびトリフルオロメトキシから独立して選択される1つ以上の置換基で任意選択的に置換され、
-NR 20 COR 21 および-NR 20 SO 21 から選択される1つの置換基で任意選択的に置換される、フェニルである、項1~7のいずれか一項に記載の化合物または塩。
[項14]
、R 、R 、R 、R 、R 、およびR が、水素であり、
が、クロロであり、
20 が、水素またはメチルであり、
21 が、C ~C アルキルまたはCF である、項13に記載の化合物または塩。
[項15]
Yが、Nであり、Xが、OまたはSであり、
、R 、R 、R 、R 、およびR が、水素であり、
が、クロロであり、
が、ヒドロキシル、ハロゲン、C ~C ハロアルキル、およびC ~C ハロアルコキシから独立して選択される1つ以上の置換基で任意選択的に置換される、フェニルである、項1に記載の化合物または塩。
[項16]
Yが、Nであり、Xが、OまたはSであり、
、R 、R 、R 、R 、R 、およびR が、水素であり、
が、クロロであり、
が、-NR 20 COR 21 および-NR 20 SO 21 から選択される1つの置換基で置換されるフェニルであり、
20 が、水素であり、
21 が、C ~C アルキル、またはC ~C ハロアルキルから選択される、項1に記載の化合物または塩。
[項17]
Yが、Nであり、Xが、OまたはSであり、
、R 、R 、R 、R 、およびR が、水素であり、
が、クロロであり、
が、-NR 20 COR 21 または-NR 20 SO 21 であり、
20 が、水素であり、
21 が、C ~C アルキル、C ~C ハロアルキル、およびフェニルから選択され、これらのフェニルの各々が、1つ以上のハロゲンで任意選択的に置換される、項1に記載の化合物または塩。
[項18]
前記化合物が、
2-([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-6-クロロベンゾ[d]オキサゾール、
N-(4-(6-クロロベンゾ[d]オキサゾール-2-イル)フェニル)アセトアミド、
N-(4-(6-クロロベンゾ[d]オキサゾール-2-イル)フェニル)-2,2,2-トリフルオロアセトアミド、
N-(4-(6-クロロベンゾ[d]オキサゾール-2-イル)フェニル)-3-メチルブタンアミド、
N-(4-(6-クロロベンゾ[d]オキサゾール-2-イル)フェニル)-4-フルオロベンズアミド、
N-(4-(6-クロロベンゾ[d]オキサゾール-2-イル)フェニル)-4-フルオロベンゼンスルホンアミド、
N-(4-(6-クロロベンゾ[d]オキサゾール-2-イル)フェニル)-1,1,1-トリフルオロメタンスルホンアミド、
6-クロロ-2-(4’-フルオロ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)ベンゾ[d]オキサゾール、
6-クロロ-2-(4’-トリフルオロメチル-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)ベンゾ[d]オキサゾール、
6-クロロ-2-(4’-トリフルオロメチル-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)ベンゾ[d]オキサゾール、
N-(4’-(6-クロロベンゾ[d]オキサゾール-2-イル)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-3-メチルブタンアミド、
N-(4-(5-クロロベンゾ[d]オキサゾール-2-イル)フェニル)-2,2,2-トリフルオロアセトアミド、
N-(4’-(5-クロロベンゾ[d]オキサゾール-2-イル)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-2,2,2-トリフルオロアセトアミド、
N-(4-(6-クロロベンゾ[d]オキサゾール-2-イル)フェニル)-2,4-ジフルオロベンズアミド、
4’-(6-クロロベンゾ[d]オキサゾール-2-イル)-[1,1’-ビフェニル]-3,4-ジオール、
N-(4-(6-クロロベンゾ[d]オキサゾール-2-イル)フェニル)ピラジン-2-カルボキサミド、
メチル 4-(6-クロロベンゾ[d]オキサゾール-2-イル)ベンゾエート、
6-クロロ-2-(4-(5-メチル-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)フェニル)ベンゾ[d]オキサゾール、
シクロプロピル 4-(6-クロロベンゾ[d]オキサゾール-2-イル)ベンゾエート、
5-(4-(6-クロロベンゾ[d]オキサゾール-2-イル)フェニル)ピラジン-2,3-ジオール、
N-(5-(4-(6-クロロベンゾ[d]オキサゾール-2-イル)フェニル)ピラジン-2-イル)-2,2,2-トリフルオロアセトアミド、
N-(5-(4-(6-クロロベンゾ[d]オキサゾール-2-イル)フェニル)ピラジン-2-イル)アセトアミド、
-(6-クロロベンゾ[d]オキサゾール-2-イル)-N-(1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)アニリン、または
N-(4-(6-クロロベンゾ[d]オキサゾール-2-イル)フェニル)シクロプロパンカルボキサミドである、項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[項19]
前記化合物が、
[化2]
である、項1に記載の化合物または塩。
[項20]
前記化合物が、
[化3]
である、項1に記載の化合物または塩。
[項21]
薬学的に許容される担体と共に、項1~18のいずれか一項に記載の化合物または塩を含む、薬学的組成物。
[項22]
前記製剤が、経口的、局所的、非経口的、スプレー吸入、舌下、経皮的、頬側、直腸的、点眼液、または硝子体内製剤である、項22に記載の薬学的製剤。
[項23]
シャペロン介在性オートファジーの選択的な活性化を必要とする対象においてそれを行う方法であって、有効量の項1~20のいずれか一項に記載の化合物を前記対象に投与することを含む、方法。
[項24]
対象におけるパーキンソン病、ハンチントン病、アルツハイマー病、前頭側頭型認知症、プリオン病、筋萎縮性側索硬化症、網膜および黄斑変性、レーバー先天性黒内障、糖尿病、急性肝不、NASH、肝脂肪症、アルコール性脂肪肝、腎不全および慢性腎臓病、肺気腫、孤発性封入体筋炎、脊髄損傷、外傷性脳損傷、リソソーム蓄積障害心血管疾患、または免疫老化を治療する方法であって、項1~20のいずれか一項に記載の化合物または塩を前記患者に投与することを含む、方法。
[項25]
前記リソソーム蓄積障害が、シスチン症、ガラクトシアリドーシス、またはムコ多糖症である、項24に記載の方法。
[項26]
前記化合物または塩が、経口的に、局所的に、非経口的に、スプレー吸入、舌下に、経皮的に、頬側的に、直腸的に、局所的点眼液として、または硝子体内注射として投与される、項24または25に記載の方法。
【実施例
【0092】
一般方法
実施例1~14は、代表的な化合物の詳細な合成方法を提供する。本開示の残りの化合物は、有機化学合成の技術分野の当業者には容易に明らかになる出発物質および反応条件の変化を使用して、これらの方法によって作製することができる。別段の指定がない限り、すべての出発物質は、市販されている試薬グレードの化合物である。Hスペクトルは、CDClまたはDMSO中のBruker400MHz NMR分光計で得た。
【0093】
LCMSデータは、LabSolutionVersion5.89を装備したSHIMADZU LCMS-2020で得た。固定相は、Kinetex EVO C18 30×2.1mm、5μmカラム(50℃)であった。移動相は、溶媒A(水中の0.0375%TFA((v/v))および溶媒B(アセトニトリル中の0.01875%TFA(v/v))の混合物であり、流速は1.5mL/分であった。溶媒勾配は、以下の通りであった。5%B(0分)、95%B(0.8分)、95%B(1.20分)、5%B(1.21分)、および5%B(1.55分)。
【0094】
HPLC精製は、LabSolution Version5.87SP 1ソフトウェアを装備したSHIMADZU LC-20ABを使用して行った。固定相は、Kinetex C18 4.6×50mm、5μmカラム(50℃)であった。移動相は、溶媒A(水中の0.0375%TFA((v/v))および溶媒B(アセトニトリル中の0.01875%TFA(v/v))の混合物であり、流速は1.5mL/分であった。溶媒勾配は、以下の通りであった。10%B(0分)、80%B(4.20分)、80%B(5.30分)、10%B(5.31分)、10%B(6.00分)。
【0095】
略語
以下の略語は、実施例および本明細書全体で使用される。
DCM ジクロロメタン
DIPEA N,N-ジイソプロピルエチルアミン
EtOAc 酢酸エチル
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
LCMS 液体クロマトグラフィー質量分析
MTBE メチルtert-ブチルエーテル
NMR 核磁気共鳴
PPA フェニルプロパノールアミン
RT 室温
TEA トリエタノールアミン
TFAA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
TLC 薄層クロマトグラフィー
【0096】
実施例1.2-([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-6-クロロベンゾ[D]オキサゾール(Cmp.1))の合成
化合物1を、以下の合成スキームに従って調製する。追加の式Iの化合物は、以下の合成スキームを介して作製することができる。
【化7】
【0097】
PPA(10.0mL)中の化合物1A(1.0g、6.97mmol)および化合物1B(1.38g、6.97mmol)の混合物を150℃まで加熱し、0.5時間撹拌した。LCMSは、化合物1Bが完全に消費されたことを示した。反応混合物を飽和重炭酸ナトリウム溶液(200mL)にゆっくりと添加し、次いでEtOAc(200mL)で抽出し、有機層をブライン(200mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(SiO、石油エーテル/酢酸エチル=10:1~5:1)によって精製して、精製生成物を得た。Cmp.1(300mg、954μmol、純度:97.1%)を、赤色固体として得た。
【0098】
LCMS:生成物:RT=1.174分、m/z=306.2(M+H)。HPLC:生成物:RT=4.599分純度:97.1%。H NMR:(400MHz、DMSO)δ=8.28(d、J=8.6Hz、2H)、8.03(d、J=2.0Hz、1H)、7.95(d、J=8.6Hz、2H)、7.85(d、J=8.6Hz、1H)、7.83-7.78(m、2H)、7.56-7.45(m、4H)。
【0099】
代替的に、化合物1は、以下の反応スキームに従って調製することができる。
【化8】
【0100】
実施例2.N-(4-(6-クロロベンゾ[D]オキサゾール-2-イル)フェニル)アセトアミド(Cmp.2)の合成
【化9】
THF(10mL)中の化合物2A(500mg、2.04mmol)の溶液に、DIPEA(528mg、4.09mmol)および酢酸アセチル(250mg、2.45mmol)を添加した。混合物を、25℃で0.5時間撹拌した。LCMS(EW14095-6-P1A)は、反応が完了し、所望の化合物MSが検出されたことを示した。反応混合物を、HO50mLで希釈し、EtOAc(100mL×3)で抽出した。合わせた有機層を、ブライン(30mL×2)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、残渣を得た。粗生成物を、MTBE(10mL)で20℃で10分間粉砕した。次いで、混合物を濾過して、ピンク色固体としてCA77.2(307mg、1.07mmol)を得た。
【0101】
LCMS:生成物:RT=0.900分、m/z=287.0(M+H)。HPLC:EW14267-1-P1A、生成物:RT=2.262分純度:99.1%。H NMR:(400MHz、DMSO)δ=10.32(s、1H)、8.10(d、J=8.8Hz、2H)、7.92(s、1H)、7.81(d、J=8.8Hz、2H)、7.76(d、J=8.4Hz、1H)、7.43(d、J=1.6Hz、1H)、2.10(s、3H)。
【0102】
実施例3.N-(4-(6-クロロベンゾ[D]オキサゾール-2-イル)フェニル)-2,2,2-トリフルオロアセトアミド(Cmp.3)の合成
ステップ1.4-(6-クロロベンゾ[d]オキサゾール-2-イル)アニリンの合成
【化10】
【0103】
PPA(30mL)中の化合物3A(5.00g、34.8mmol)の溶液に、化合物3B(4.78g、34.8mmol)を添加した。混合物を、150℃で0.5時間撹拌した。TLC(石油エーテル:酢酸エチル=2:1)は、反応が完了し、新しい主スポットが形成されたことを示し、LCMS(EW12631-7-P1A)は、反応が完了し、所望の化合物MSが検出されたことを示した。反応混合物を、HO200mLで希釈し、混合物のpHを、2N・NaOHで8に調整し、次いで、混合物を、DCM(300mL×3)で抽出した。合わせた有機層を、ブライン(100mL×2)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、残渣を得た。残渣を、カラムクロマトグラフィー(SiO、石油エーテル/酢酸エチル=50/1~10:1)によって精製して、化合物3C(4.50g、17.6mmol)を赤色固体として得た。
【0104】
LCMS:生成物:RT=0.943分、m/z=244.9(M+H)。H NMR:(400MHz、DMSO)δ=7.86-7.84(m、3H)、7.66(d、J=8.0Hz、1H)、7.39-7.36(m、1H)、7.60(d、J=8.0Hz、1H)、6.05(s、1H)
【0105】
ステップ2.N-(4-(6-クロロベンゾ[d]オキサゾール-2-イル)フェニル)-2,2,2-トリフルオロアセトアミド(Cmp.3)の合成
【化11】
【0106】
THF(10mL)中の化合物3C(0.50g、2.04mmol)の溶液に、DIPEA(527mg、4.08mmol)および化合物3D(514mg、2.45mmol)を添加した。混合物を、25℃で0.5時間撹拌した。LCMSは、反応が完了し、所望の化合物MSが検出されたことを示した。反応混合物を、HO(50mL)で希釈し、EtOAc(100mL×3)で抽出した。合わせた有機層を、ブライン(30mL×2)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、残渣を得た。粗生成物を、MTBE(10mL)で20℃で10分間粉砕した。次いで、混合物を濾過して、最終化合物Cmp.3(304mg、857μmol、42.0%収率)を褐色固体として得た。
【0107】
LCMS:生成物:RT=0.997分、m/z=340.9(M+H)。HPLC:生成物:RT=2.592分純度:95.3%。H NMR:(400MHz、DMSO)δ=11.58(s、1H)8.23-8.20(m、2H)、7.98-7.95(m、1H)、7.94-7.93(m、2H)7.82-7.80(m、1H)、7.47-7.45(m、1H)。
【0108】
実施例4.N-(4-(6-クロロベンゾ[D]オキサゾール-2-イル)フェニル)イソブチルアミド(Cmp.4)の合成
【化12】
THF(10mL)中の化合物3C(500mg、2.04mmol)の溶液に、DIPEA(527mg、4.08mmol)および化合物4A(191mg、2.04mmol)を添加する。混合物を、25℃で0.5時間撹拌する。LCMSを使用して、反応完了および予想生成物を示す。反応混合物を、HO(50mL)で希釈し、EtOAc(100mL×3)で抽出する。合わせた有機層を、ブライン(50mL×2)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、残渣を得た。粗生成物を25℃で10分間石油エーテルで粉砕し、濾過して化合物4を得た。
【0109】
実施例5.N-(4-(6-クロロベンゾ[D]オキサゾール-2-イル)フェニル)-3-メチルブタンアミド(Cmp.5)の合成
【化13】
THF(10mL)中の化合物3C(500mg、2.04mmol)の溶液に、DIPEA(527mg、4.08mmol)および化合物2C(246mg、2.04mmol)を添加した。混合物を、25℃で0.5時間撹拌した。LCMSは、反応が完了し、所望の化合物MSが検出されたことを示した。反応混合物を、HO(50mL)で希釈し、EtOAc(100mL×3)で抽出した。合わせた有機層を、ブライン(50mL×2)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、残渣を得た。粗生成物を、石油エーテルで25℃で10分間粉砕した。混合物を濾過して、最終化合物(Cmp.5)(288mg、878μmol)を薄茶色固体として得た。
【0110】
LCMS:生成物:RT=1.052分、m/z=329.0(M+H)。HPLC:生成物:RT=3.673分純度:99.4%。H NMR:(400MHz、CDCl)δ=8.19(d、J=8.8Hz 1H)、7.72(d、J=8.4Hz 1H)、7.65(d、J=8.4Hz 1H)、7.98-7.95(m、1H)、7.94-7.93(m、2H)7.82-7.80(m、1H)、7.47-7.45(m、1H)。
【0111】
実施例6.N-(4-(6-クロロベンゾ[D]オキサゾール-2-イル)フェニル)-4-フルオロベンズアミド(Cmp.6)の合成
【化14】
THF(10mL)中の化合物7(400mg、1.63mmol)の溶液に、DIPEA(422mg、3.27mmol)および化合物2F(311mg、1.96mmol)を添加した。混合物を、25℃で0.5時間撹拌した。LCMSは、反応が完了し、所望の化合物MSが検出されたことを示した。反応混合物を、HO(50mL)で希釈し、EtOAc(100mL×3)で抽出した。合わせた有機層を、ブライン(30mL×2)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、残渣を得た。粗生成物を、MTBE(10mL)で20℃で10分間粉砕した。次いで、混合物を濾過して、最終化合物(Cmp.6)(280mg、724μmol)を灰色固体として得た。
【0112】
LCMS:生成物:RT=1.020分、m/z=367.0(M+H)。HPLC:生成物:RT=2.678分純度:94.9%。H NMR:(400MHz、DMSO)δ=10.69(s、1H)、8.18-8.16(m、2H)、8.10-8.05(m、4H)、7.96(s、1H)、7.79(d、J=8.4Hz 1H)、7.41-7.39(m、3H)。
【0113】
実施例7.N-(4-(6-クロロベンゾ[D]オキサゾール-2-イル)フェニル)-4-フルオロベンゼンスルホンアミド(Cmp.7)の合成
【化15】
DCM(4mL)中の化合物3C(300mg、1.23mmol)の溶液に、ピリジン(194mg、2.45mmol)および化合物7A(286mg、1.47mmol)を添加した。混合物を、25℃で0.5時間撹拌した。LCMS(EW14095-8-P1A))は、反応が完了し、所望の化合物MSが検出されたことを示した。反応混合物を、HO(50mL)で希釈し、EtOAc(100mL×3)で抽出した。合わせた有機層を、ブライン(30mL×2)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、残渣を得た。粗生成物を、MTBE(10mL)で20℃で10分間粉砕した。次いで、混合物を濾過して、最終化合物(Cmp.7)(295mg、706μmol)を赤色固体として得た。
【0114】
LCMS:生成物:RT=1.004分、m/z=402.9(M+H)。HPLC:生成物:RT=2.678分純度:96.5%。H NMR:(400MHz、DMSO)δ=10.92(s、1H)、8.05(d、J=8.8Hz、2H)、7.92-7.91(m、3H)、7.75(d、J=8.4Hz、1H)、7.43-7.34(m、3H)、7.33(d、J=8.8Hz 2H)。
【0115】
実施例8.N-(4-(6-クロロベンゾ[D]オキサゾール-2-イル)フェニル)-1,1,1-トリフルオロメタンスルホンアミド(Cmp.8)の合成
【化16】
THF(10mL)中の化合物3C(700mg、2.86mmol)の溶液を-78℃まで冷却し、次いでTEA(579mg、5.72mmol)を混合物中に添加し、次いで化合物8A(1.21g、4.29mmol)を混合物中に液滴した。混合物を、-78℃で0.5時間撹拌した。反応混合物を、HO(50mL)で希釈し、DCM(50mL×3)で抽出した。合わせた有機層を、ブライン(30mL×2)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、残渣を得た。残渣を、分取HPLC(ACSWH-GX-M、Waters Xbridge150×25mm、5μm(0.05%水酸化アンモニウムv/v)-ACN)によって精製して、最終化合物(Cmp.8)((225mg、597μmol)を、灰色固体として得た。
【0116】
LCMS生成物:RT=0.827分、m/z=377.0(M+H)。HPLC:生成物:RT=1.901分純度:99.6%。H NMR:(400MHz、DMSO)δ=8.21-8.19(m、2H)、7.98(s、1H)、7.81(d、J=8.4Hz、1H)、7.49-7.44(m、3H)。
【0117】
実施例9.6-クロロ-2-(4’-フルオロ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)ベンゾ[D]オキサゾール(Cmp.9)の合成
実施例1に記載の方法によって化合物9を調製する。
【化17】
【0118】
PPA(10.0mL)中の化合物9A(6.97mmol)および化合物1B(1.38g、6.97mmol)の混合物を150℃まで加熱し、0.5時間撹拌する。反応混合物を飽和重炭酸ナトリウム溶液(200mL)にゆっくりと添加し、次いでEtOAc(200mL)で抽出し、有機層をブライン(200mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して、粗生成物を得る。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(SiO2、石油エーテル/酢酸エチル=10:1~5:1)によって精製して、精製生成物、化合物9を得る。
【0119】
実施例10.6-クロロ-2-(4’-トリフルオロアセトアミド-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)ベンゾ[D]オキサゾール(Cmp.10)の合成
【化18】
THF(5.00mL)中の化合物10A(400mg、1.25mmol)およびTEA(378mg、3.74mmol)の溶液に、TFAA(393mg、1.87mmol)を0℃で添加し、次いで0℃で0.5時間撹拌した。LCMSは、化合物11が完全に消費されたことを示した。反応混合物を水(20.0mL)でクエンチし、次いでEtOAc(20.0mL)で抽出し、有機層をブライン(20.0mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物を、石油エーテル(10.0mL)で25℃で10分間粉砕した。次いで濾過して、Cmp.10(257mg、純度:99.4%、収率:49.13%)を、赤色固体として得た。
【0120】
LCMS:生成物:RT=1.140分、m/z=416.9(M+H)。HPLC:生成物:RT=3.938分純度:99.4%。H NMR:(400MHz、DMSO)δ=11.41(s、1H)、8.26(d、J=8.3Hz、2H)、8.02(d、J=2.0Hz、1H)、7.96(d、J=8.4Hz、2H)、7.91-7.75(m、5H)、7.48(dd、J=2.0、8.4Hz、1H)。
【0121】
実施例11.6-クロロ-2-(4’-イソブチルアミド-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)ベンゾ[D]オキサゾール(Cmp.11)の合成
【化19】
THF(5mL)中の化合物10A(300mg、935μmol)およびTEA(283mg、2.81mmol)の溶液に、化合物11A(149mg、1.40mmol)を0℃で添加し、反応混合物を0℃で0.5時間撹拌した。LCMSは、化合物11が完全に消費されたことを示した。反応混合物を濾過して、粗生成物をピンク色固体として得た。粗生成物を、0.5N HCl(水溶液)(50.0mL)で25℃で30分間粉砕して、TEAを除去し、次いで濾過して、精製生成物を得た。化合物11(275mg、純度:99.4%、収率:74.81%)を、ピンク色固体として得た。
【0122】
LCMS:生成物:RT=.117分、m/z=391.2(M+H)。HPLC:生成物:RT=3.834分純度:99.4%。H NMR:(400MHz、DMSO)δ=9.99(s、1H)、8.24(br d、J=8.1Hz、2H)、8.02(s、1H)、7.92(br d、J=8.1Hz、2H)、7.84(br d、J=8.4Hz、1H)、7.76(s、4H)、7.48(br d、J=8.4Hz、1H)、2.82-2.61(m、1H)、1.13(br d、J=6.7Hz、7H)。
【0123】
実施例12.N-(4’-(6-クロロベンゾ[D]オキサゾール-2-イル)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-3-メチルブタンアミド(Cmp.12)の合成
【化20】
THF(5mL)中の化合物10A(300mg、935μmol)およびTEA(283mg、2.81mmol)の溶液に、化合物12A(167mg、1.40mmol)を0℃で添加し、反応混合物を0℃で0.5時間撹拌する。LCMSは、化合物11が完全に消費されることを示した。反応混合物を濾過して、粗生成物を得る。粗生成物を、0.5N HCl(水溶液)(50.0mL)で25℃で30分間粉砕して、TEAを除去し、次いで濾過して、精製生成物を得る。
【0124】
実施例13.N-(4-(5-クロロベンゾ[D]オキサゾール-2-イル)フェニル)-2,2,2-トリフルオロアセトアミド(Cmp.13)の合成
【化21】
THF(10.0mL)中の化合物3C(500mg、2.04mmol)およびTEA(620mg、6.13mmol)の溶液に、TFAA(643mg、3.07mmol)を0℃で添加し、混合物を25℃で温め、1時間撹拌した。LCMSは、化合物3が完全に消費されたことを示した。混合物を氷水(10.0mL)中に注ぎ、次いでEtOAc(20.0mL)で抽出し、有機層をブライン(20.0mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物を、25℃で30分間石油エーテルで粉砕し、次いで濾過して、精製生成物をピンク色固体として得た。化合物13(351mg、純度:99.9%)を、オフホワイト固体として得た。
【0125】
LCMS:生成物:RT=1.042分、m/z=341.1(M+H)。HPLC:生成物:RT=3.732分純度:99.9%。H NMR:(400MHz、DMSO)δ=11.61(brs、1H)、8.33-8.22(m、2H)、8.03-7.91(m、3H)、7.83(d、J=8.7Hz、1H)、7.47(dd、J=2.2、8.7Hz、1H)
【0126】
実施例14.N-(4’-(5-クロロベンゾ[D]オキサゾール-2-イル)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-2,2,2-トリフルオロアセトアミド(Cmp.14)の合成
ステップ.12-(4-ブロモフェニル)-5-クロロベンゾ[d]オキサゾールの合成
【化22】
【0127】
PPA(20.0mL)中の化合物14A(2.50g、12.4mmol)および化合物3A(1.79g、12.4mmol)の混合物を150℃まで加熱し、1時間撹拌した。LC-MSは、化合物3Aが完全に消費されたことを示した。反応混合物を、NaHCO(水溶液)(500mL)でクエンチし、EtOAc(200mL)で抽出し、有機層を、ブライン(500mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物をさらに精製せずに次のステップで使用した。化合物14B(1.50g、4.58mmol、純度:94.3%、収率:36.8%)を、赤色固体として得た。
【0128】
LCMS:生成物:RT=1.123分、m/z=309.8(M+H)。
ステップ2.4’-(5-クロロベンゾ[d]オキサゾール-2-イル)-[1,1’-ビフェニル]-4-アミンの合成
【化23】
【0129】
ジオキサン(15.0mL)およびHO(3.00mL)中の化合物14B(1.30g、4.21mmol)、化合物14C(1.11g、5.06mmol)、およびKCO(1.75g、12.64mmol)の溶液に、Pd(dppf)Cl(308mg、421μmol)を添加し、反応混合物を120℃まで加熱し、2時間撹拌した。LCMSは、化合物14Bが完全に消費されたことを示した。反応混合物を水(100mL)に注ぎ、EtOAc(100mL)で抽出し、有機層をブライン(200mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物を、石油エーテル:酢酸エチル(10:1~5:1)で溶出されたシリカゲル上でクロマトグラフィーによって精製して、純粋な生成物を得た。化合物14D(690mg、2.07mmol、49.15%収率、96.27%純度)を、黄色固体として得た。
【0130】
LCMS:生成物:RT=0.955分、m/z=320.9(M+H)。
【0131】
ステップ3.N-(4’-(5-クロロベンゾ[d]オキサゾール-2-イル)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-2,2,2-トリフルオロアセトアミドの合成
【化24】
THF(5.00mL)中の化合物14D(500mg、1.56mmol)およびTEA(473mg、4.68mmol)の溶液に、TFAA(491mg、2.34mmol)を0℃で添加し、次いで0℃で1時間撹拌した。TLC(石油エーテル:酢酸エチル=3:1、R=0.5)は、化合物14Dが完全に消費され、1つの新しいスポットが形成されたことを示した。反応混合物を水(100mL)でクエンチし、EtOAc(100mL)で抽出し、有機層をブライン(100mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物を石油エーテル(10.0mL)で25℃で10分間粉砕し、次いで濾過して、化合物14(289mg、682μmol、43.8%収率、98.4%純度)をオレンジ色固体として得た。
【0132】
LCMS:生成物:RT=1.138分、m/z=416.9(M+H)。HPLC:生成物:RT=3.934分純度:98.4%。H NMR:(400MHz、DMSO)。
【0133】
実施例15.追加の化合物
本開示は、当業者の化学者には容易に明らかになる出発物質および反応条件の日常的な変動を使用して、実施例1~14に例示される方法によって調製され得る追加の式Iの化合物を提供する。
【表2-1】
【表2-2】
【0134】
実施例161.インビトロでのCMA活性の測定
光活性化可能なCMAレポーターアッセイは、CMA標的モチーフを有するリボヌクレアーゼAの21個のアミノ酸の配列を、光活性化可能なタンパク質mCherry1または光スイッチ可能なタンパク質Dendra2のN末端マルチクローニング部位に挿入することによって構築した。
【0135】
NIH3T3線維芽細胞を光変換可能なCMAレポーターKFERQ-Dendraで安定に形質導入し、3.5MA(定電流)LED(Norlux、405nm)に10分間曝露し、3%ホルムアルデヒド中に固定された所望の時間で光スイッチを行った。試験細胞を、表示された濃度の化合物に、例えば12時間または24時間曝露する。例えば、ハイコンテント顕微鏡(Operetta、Perkin Elmer)を使用して、またはapotomeならびに63×1.4NA油対物レンズおよび赤色(励起570/30nm、吸収615/30nm)、シアン(励起365/50nmと吸収530/45nm)および緑色(励起475/40nmと吸収535/45nm)のフィルターセット(Chroma)を備えたAxiovert200蛍光顕微鏡(Zeiss)で画像を捕捉することで細胞を画像化する。画像は、apotomeを介して光学セクショニングを行った後、高解像度CCDカメラで取得した。CMA活性は、細胞当たりの蛍光点(CMA活性リソソーム)の平均数として測定される。値は、1の任意の値が割り当てられ、条件ごとにカウントされた>2,500個の細胞の平均である未処理細胞における値と比較して表される。すべての例において、S.D.は<0.01%の平均値であった。表2は、化合物1とその比較例の化合物Aおよび化合物2とその比較例の化合物Bとの比較を提供する。化合物3、5、6、7、8、10、11、13、および14もこのアッセイで試験し、細胞当たりの蛍光点の数に陽性効果を有することが見出された。
【表3】


【0136】
実施例17.薬物動態
すべての動物作業は、Albert Einstein College of Medicine Institutional Animal Care and Use Committeeによって設定されたガイドラインに従って承認され、実行する。
【0137】
ICR(CD-1)雄マウスを少なくとも3時間絶食させ、研究前に水を自由に摂取させる。動物を、制御された環境、標的条件:温度18~29℃、相対湿度30~70%で収容する。温度および相対湿度を毎日モニタリングする。電子時間制御照明システムを使用して、12時間明/12時間暗サイクルを提供した。表示された各時点について3匹のマウスを含む。ICR(CD-1)マウスに、1mg/kgの静脈内投与または30mg/kgの経口投与で化合物を投与した。3匹のマウスを各投与量および時間群に含めた。マウスを屠殺し、投与後例えば、0.083、0.25、0.50、1.0、2.0、4.0、8.0、および24.0時間で血漿および脳を採取し、LC-MS/MSを使用して薬物濃度を決定する。脳を除去し、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)に溶解した低温5%w/vBSA中で組織ホモジナイザーを用いて均質化する。100マイクロリットルアリコートの脳試料をガラス培養チューブに分配し、酢酸エチル(800μl)と混合し、ボルテックスし、遠心分離する。有機層を新鮮な培養チューブに移し、窒素下で乾燥させ、定量化のために移動相で再構成する。薬物動態パラメータを、Phoenix WinNonlin6.3ソフトウェアを使用した標準方法によって決定する。
【0138】
実施例18.ヒト、ラット、およびマウスのミクロソームにおける代謝安定性
ヒト、ラット、およびマウスの肝臓ミクロソームにおけるミクロソーム安定性を決定する。0.5mg/mLのミクロソームタンパク質および1mMのNADPHと共に、3μMの最終濃度での化合物を0、5、15、30、および60分間インキュベートした。陰性対照として、試験化合物を、NADPH不在下でミクロソームと共にインキュベートする。試料をメタノールでクエンチし、2500rpmで25分間遠心分離してタンパク質を沈殿させる。上清をLC-MS/MSによって分析する(N=3)。Inピーク面積比(化合物のピーク面積/内部標準のピーク面積)を時間に対してプロットし、線の勾配は消失速度定数[k=(-1)(傾斜)]を決定する。半減期(分単位のt1/2)、インキュベーション体積(μL/mgタンパク質中のV)およびインビトロ固有クリアランス(μL/分/mgタンパク質中のCLint)を、以下の式に従って算出する。
【数1】
【0139】
表3は、ヒトミクロソームにおける化合物Aおよび化合物1の安定性の比較を提供する。テストステロン、ジクロフェナク、およびプロパフェノンを対照として提供する。Rは、動態定数の決定のための線形回帰の相関係数である。T1/2は半減期であり、CLint(mic)は固有クリアランスである。CLint(肝臓)=CLint(mic)*mgミクロソームタンパク質/g肝臓重量*g肝臓重量/kg体重。肝臓重量/kg体重は、ヒトでは20g/kgである。
【表4】
図1