(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-13
(45)【発行日】2024-06-21
(54)【発明の名称】放射領域上に配置された導電性コーティングを含むデバイスおよびそのための方法
(51)【国際特許分類】
H10K 50/822 20230101AFI20240614BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20240614BHJP
H10K 50/826 20230101ALI20240614BHJP
H10K 59/12 20230101ALI20240614BHJP
H10K 59/122 20230101ALI20240614BHJP
H10K 71/60 20230101ALI20240614BHJP
H10K 85/60 20230101ALI20240614BHJP
H10K 102/10 20230101ALN20240614BHJP
H10K 102/20 20230101ALN20240614BHJP
【FI】
H10K50/822
G09F9/30 365
H10K50/826
H10K59/12
H10K59/122
H10K71/60
H10K85/60
H10K102:10
H10K102:20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022012829
(22)【出願日】2022-01-31
(62)【分割の表示】P 2019529538の分割
【原出願日】2017-12-01
【審査請求日】2022-01-31
(32)【優先日】2016-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514259864
【氏名又は名称】オーティーアイ ルミオニクス インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】OTI LUMIONICS INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ヘランダー
(72)【発明者】
【氏名】ジビン ワン
(72)【発明者】
【氏名】イー-ルー チャン
(72)【発明者】
【氏名】チー ワン
(72)【発明者】
【氏名】ジャッキー チウ
【審査官】横川 美穂
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0076456(US,A1)
【文献】特表2016-502734(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0104422(US,A1)
【文献】特開2011-154796(JP,A)
【文献】国際公開第2014/071518(WO,A1)
【文献】特開2006-318910(JP,A)
【文献】特開2007-273261(JP,A)
【文献】特開2008-091323(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 50/00-102/20
G09F 9/30
H05B 33/00-33/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電子デバイスであって、前記光電子デバイスは、
サブピクセル領域であって、前記サブピクセル領域は、
電極と、
前記電極にわたって配置されている有機層と、
前記有機層にわたって配置されている導電性コーティングと
を含む、サブピクセル領域と、
核形成阻害コーティングを含む光透過性領域と
を備え、
前記核形成阻害コーティングは、前記導電性コーティングの部分にわたって配置されており、前記核形成阻害コーティングは、前記核形成阻害コーティングの上に導電性材料が堆積することを阻害し、前記光透過性領域内の前記核形成阻害コーティングの表面
が前記導電性コーティングを実質的に含ま
ないことにより、光が前記光透過性領域を通過することを可能にし、
前記核形成阻害コーティングは、複数の有機分子を含み、前記複数の有機分子のそれぞれは、核部分と、前記核部分に結合されている末端部分とを含み、前記末端部分は、ビフェニリル部分、フェニル部分、フルオレン部分、または、フェニレン部分を含み、
前記末端部分は、
前記ビフェニリル部分、前記フェニル部分、前記フルオレン部分、または、前記フェニレン部分のうちの1つの置換基群として、フッ素、フッ素含有群のうちの少なくとも1つを含む、光電子デバイス。
【請求項2】
前記光透過性領域は、光が前記光電子デバイスを通過することを可能にするために前記導電性コーティングを実質的に欠いている、請求項1に記載の光電子デバイス。
【請求項3】
前記導電性コーティングは、マグネシウムを含む、請求項1に記載の光電子デバイス。
【請求項4】
前記導電性コーティングの厚さは、30nmよりも小さい、請求項3に記載の光電子デバイス。
【請求項5】
前記核形成阻害コーティングは、0.3以内の前記導電性コーティングの材料の初期付着確率を有するものとして特徴付けられている、請求項1に記載の光電子デバイス。
【請求項6】
前記光電子デバイスは、前記電極の縁を覆うピクセル画定層をさらに備え、前記ピクセル画定層は、前記光透過性領域から省略される、請求項1に記載の光電子デバイス。
【請求項7】
前記光電子デバイスは、非放射領域をさらに備え、前記非放射領域は、補助電極を含む、請求項1に記載の光電子デバイス。
【請求項8】
前記補助電極は、前記導電性コーティングと同一の材料を含む、請求項
7に記載の光電子デバイス。
【請求項9】
前記補助電極は、前記サブピクセル領域と前記光透過性領域との間に配置されている、請求項
7に記載の光電子デバイス。
【請求項10】
前記サブピクセル領域は、前記電極と電気的に連絡している薄膜トランジスタをさらに含む、請求項1に記載の光電子デバイス。
【請求項11】
前記サブピクセル領域は、前記導電性コーティングと前記有機層との間に配置されている核形成助長コーティングをさらに含む、請求項1に記載の光電子デバイス。
【請求項12】
前記核形成阻害コーティングは、0.03以内の前記導電性コーティングの材料の初期付着確率を有するものとして特徴付けられている、請求項1に記載の光電子デバイス。
【請求項13】
光電子デバイスであって、前記光電子デバイスは、
サブピクセル領域であって、前記サブピクセル領域は、
電極と、
前記電極にわたって配置されている有機層と、
前記有機層にわたって配置されている第1の導電性コーティングの第1の部分と、
前記第1の導電性コーティングの前記第1の部分にわたって配置されている第2の導電性コーティングと
を含む、サブピクセル領域と、
光透過性領域であって、前記光透過性領域は、
前記第1の導電性コーティングの第2の部分と、
前記第1の導電性コーティングの前記第2の部分にわたって配置されている核形成阻害コーティングと
を含む、光透過性領域と
を備え、
前記核形成阻害コーティングは、前記核形成阻害コーティングの上に導電性材料が堆積することを阻害し、前記光透過性領域内の前記核形成阻害コーティングの表面
が前記第2の導電性コーティングを実質的に含ま
ないことにより、光が前記光透過性領域を通過することを可能にし、
前記第1の導電性コーティングは、イッテルビウムを含み、前記第2の導電性コーティングは、マグネシウムを含み、
前記核形成阻害コーティングは、複数の有機分子を含み、前記複数の有機分子のそれぞれは、核部分と、前記核部分に結合されている末端部分とを含み、前記末端部分は、ビフェニリル部分、フェニル部分、フルオレン部分、または、フェニレン部分を含み、
前記末端部分は、
前記ビフェニリル部分、前記フェニル部分、前記フルオレン部分、または、前記フェニレン部分のうちの1つの置換基群として、フッ素、フッ素含有群のうちの少なくとも1つを含む、光電子デバイス。
【請求項14】
前記第1の導電性コーティングの厚さは、前記第2の導電性コーティングの厚さよりも小さい、請求項
13に記載の光電子デバイス。
【請求項15】
前記第1の導電性コーティングの厚さは、10nmよりも小さい、請求項
14に記載の光電子デバイス。
【請求項16】
前記第2の導電性コーティングの厚さは、30nmよりも小さい、請求項
15に記載の光電子デバイス。
【請求項17】
前記第1の導電性コーティングの厚さは、光透過性である、請求項
13に記載の光電子デバイス。
【請求項18】
前記核形成阻害コーティングは、0.3以内の前記第2の導電性コーティングの材料の初期付着確率を有するものとして特徴付けられている、請求項
13に記載の光電子デバイス。
【請求項19】
前記核形成阻害コーティングは、多環式芳香族化合物を含む、請求項
18に記載の光電子デバイス。
【請求項20】
前記光電子デバイスは、前記電極の縁を覆うピクセル画定層をさらに備え、前記ピクセル画定層は、前記光透過性領域から省略される、請求項
13に記載の光電子デバイス。
【請求項21】
前記光電子デバイスは、非放射領域をさらに備え、前記非放射領域は、補助電極を含む、請求項
13に記載の光電子デバイス。
【請求項22】
前記核形成阻害コーティングは、0.03以内の前記第2の導電性コーティングの材料の初期付着確率を有するものとして特徴付けられている、請求項
13に記載の光電子デバイス。
【請求項23】
光電子デバイスであって、前記光電子デバイスは、
サブピクセル領域であって、前記サブピクセル領域は、
電極と、
前記電極にわたって配置されている有機層と、
前記有機層にわたって配置されている第1の導電性コーティングの第1の部分と、
前記第1の導電性コーティングの前記第1の部分にわたって配置されている第2の導電性コーティングと
を含む、サブピクセル領域と、
光透過性領域であって、前記光透過性領域は、
前記第1の導電性コーティングの第2の部分と、
前記第1の導電性コーティングの前記第2の部分にわたって配置されている核形成阻害コーティングと
を含む、光透過性領域と
を備え、
前記核形成阻害コーティングは、前記核形成阻害コーティングの上に導電性材料が堆積することを阻害し、前記光透過性領域内の前記核形成阻害コーティングの表面
が前記第2の導電性コーティングを実質的に含ま
ないことにより、光が前記光透過性領域を通過することを可能にし、
前記核形成阻害コーティングは、複数の有機分子を含み、前記複数の有機分子のそれぞれは、核部分と、前記核部分に結合されている末端部分とを含み、前記末端部分は、ビフェニリル部分、フェニル部分、フルオレン部分、または、フェニレン部分を含み、
前記末端部分は、
前記ビフェニリル部分、前記フェニル部分、前記フルオレン部分、または、前記フェニレン部分のうちの1つの置換基群として、フッ素、フッ素含有群のうちの少なくとも1つを含む、光電子デバイス。
【請求項24】
前記第1の導電性コーティングの厚さは、前記第2の導電性コーティングの厚さよりも小さい、請求項
23に記載の光電子デバイス。
【請求項25】
前記第1の導電性コーティングの厚さは、10nmよりも小さい、請求項
24に記載の光電子デバイス。
【請求項26】
前記第1の導電性コーティングは、透明な導電性酸化物、マグネシウム、アルミニウム、イッテルビウム、銀、亜鉛、カドミウムから選択される材料を含む、請求項
25に記載の光電子デバイス。
【請求項27】
前記第2の導電性コーティングの厚さは、30nmよりも小さい、請求項
26に記載の光電子デバイス。
【請求項28】
前記第2の導電性コーティングは、マグネシウムを含む、請求項
27に記載の光電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2016年12月2日に出願された米国仮出願番号第62/429,625号に基づく利益および優先権を主張しており、その内容は、その全体が参考として本明細書中に援用される。
【0002】
技術分野
以下は、概して、デバイスの放射領域にわたって配置される導電性コーティングを含む、デバイスと、デバイスの放射領域にわたって導電性材料を堆積させるための方法とに関する。具体的には、本方法は、デバイスの導電性構造を形成するための表面上の導電性材料の選択的堆積に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
有機発光ダイオード(OLED)は、典型的には、有機層のうちの少なくとも1つがエレクトロルミネセント層である、導電性薄膜電極の間に間置される有機材料のうちのいくつかの層を含む。電圧が電極に印加されるとき、正孔および電子が、それぞれ、アノードならびにカソードから注入される。電極によって注入される正孔および電子は、エレクトロルミネセント層に到達するように有機層を通って移動する。正孔および電子が近接近しているとき、それらは、クーロン力に起因して相互に引き付けられる。正孔および電子は、次いで、励起子と称される束縛状態を形成するように合体し得る。励起子は、光子が放出される、放射再結合プロセスを通して減衰し得る。代替として、励起子は、光子が放出されない、非放射再結合プロセスを通しても減衰し得る。本明細書で使用されるように、内部量子効率(IQE)は、放射再結合プロセスを通して減衰する、デバイスの中で生成される全ての電子・正孔対の割合であると理解されるであろうことに留意されたい。
【0004】
放射再結合プロセスは、電子・正孔対(すなわち、励起子)のスピン状態に応じて、蛍光または燐光プロセスとして起こり得る。具体的には、電子・正孔対によって形成される励起子は、一重項または三重項スピン状態を有するものとして特徴付けられ得る。概して、一重項励起子の放射減衰が、蛍光をもたらす一方で、三重項励起子の放射減衰は、燐光をもたらす。
【0005】
ごく最近では、熱的活性化遅延蛍光(TADF)を含む、OLED用の他の発光機構が提案および調査されている。簡潔には、TADF発光は、熱エネルギーを用いた逆システム間交差プロセスを介した、一重項励起子への三重項励起子の変換を通して起こり、その後に、一重項励起子の放射減衰が続く。
【0006】
OLEDデバイスの外部量子効率(EQE)は、デバイスによって放射されるいくつかの光子に対する、OLEDデバイスに提供される電荷担体の比を指し得る。例えば、100%のEQEは、1つの光子がデバイスに注入される電子毎に放射されることを示す。理解されるであろうように、デバイスのEQEは、概して、デバイスのIQEよりも実質的に低い。EQEとIQEとの間の差は、概して、デバイスの種々の構成要素によって引き起こされる光の吸収および反射等のいくつかの要因に起因し得る。
【0007】
OLEDデバイスは、典型的には、光がデバイスから放射される相対方向に応じて、「底面発光」または「上面発光」デバイスのいずれかであるものとして分類されることができる。底面発光デバイスでは、放射再結合プロセスの結果として生成される光が、デバイスのベース基板に向かった方向に放射される一方で、上面発光デバイスでは、光は、ベース基板から離れた方向に放射される。故に、ベース基板の近位にある電極が、概して、底面発光デバイスでは光透過性(例えば、実質的に透明または半透明)であるように作製される一方で、上面発光デバイスでは、ベース基板の遠位にある電極は、概して、光の減衰を低減させるために光透過性であるように作製される。具体的デバイス構造に応じて、アノードまたはカソードのいずれかは、上面発光および底面発光デバイスの中で透過型電極として作用してもよい。
【0008】
OLEDデバイスはまた、ベース基板に対して両方向に光を放射するように構成される、両面発光デバイスであってもよい。例えば、両面発光デバイスは、各ピクセルからの光が両方向に放射されるように、透過型アノードと、透過型カソードとを含んでもよい。別の実施例では、両面発光ディスプレイデバイスは、各ピクセルからの単一の電極が透過型であるように、一方の方向に光を放射するように構成されるピクセルの第1のセットと、他方の方向に光を放射するように構成されるピクセルの第2のセットとを含んでもよい。
【0009】
上記のデバイス構成に加えて、デバイスが、外部光がデバイスを通して透過されることを可能にする透明部分を含む、透明または半透明OLEDデバイスもまた、実装されることができる。例えば、透明OLEDディスプレイデバイスでは、透明部分が、各隣接ピクセルの間の非放射領域中に提供されてもよい。別の実施例では、透明OLED照明パネルが、パネルの放射領域の間に複数の透明領域を提供することによって形成されてもよい。透明または半透明OLEDデバイスは、底面発光、上面発光、または両面発光デバイスであってもよい。
【0010】
カソードまたはアノードのいずれかは、透過型電極として選択されることができるが、典型的上面発光デバイスは、光透過性カソードを含む。典型的には透過型カソードを形成するために使用される材料は、インジウムスズ酸化物(ITO)および酸化亜鉛(ZnO)等の透明導電性酸化物(TCO)、ならびに銀(Ag)、アルミニウム(Al)、または体積比1:9~約9:1に及ぶ組成物を伴うマグネシウム銀(Mg:Ag)合金およびイッテルビウム銀(Yb:Ag)合金等の種々の金属合金の薄い層を堆積させることによって形成されるもの等の薄膜を含む。TCOおよび/または薄い金属膜の2つもしくはそれを上回る層を含む、多層カソードもまた、使用されることができる。
【0011】
特に、薄膜の場合、最大約数十ナノメートルの比較的薄い層の厚さは、OLEDで上面発光電極として使用するための増進した透明度および有利な光学的性質に寄与する。上面発光電極は、複数のピクセルをコーティングする共通電極であってもよい。例えば、そのような共通電極は、デバイスを横断して実質的に一様な厚さを有する、比較的薄い導電性層であってもよい。
【0012】
しかしながら、実質的に一様な厚さを有する共通電極が、OLEDディスプレイデバイスの中で上面発光カソードとして提供されるとき、デバイスの光学的性能は、各サブピクセルと関連付けられる発光スペクトルに従って、容易に微調整されることができない。典型的OLEDディスプレイデバイスでは、赤色、緑色、または青色サブピクセルが、ディスプレイデバイスのピクセルを形成するように提供される。異なるサブピクセル内に配置される有機層の厚さを変動させることによって、各サブピクセル色と関連付けられる光学的微小共振器効果を同調するために努力が行われているが、そのようなアプローチは、少なくともある場合において、光学的微小共振器効果の十分な程度の同調を提供しない場合がある。加えて、そのようなアプローチは、OLEDディスプレイ生産環境内で実装することが困難であり得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
要旨
いくつかの実施形態によると、エレクトロルミネセントデバイスは、(1)第1の放射領域および第2の放射領域であって、第1の放射領域は、第2の放射領域と異なる波長の光を放射するように構成される、第1の放射領域および第2の放射領域と、(2)第1の放射領域および第2の放射領域内に配置される、導電性コーティングであって、導電性コーティングは、第1の放射領域内に配置される第1の部分と、第2の放射領域内に配置される第2の部分とを備え、第1の部分は、第1の厚さを有し、第2の部分は、第2の厚さを有する、導電性コーティングとを備え、第1の厚さは、第2の厚さと異なる。
【0014】
いくつかの実施形態によると、エレクトロルミネセントデバイスは、(1)複数のピクセル領域であって、各ピクセル領域は、第1のサブピクセル領域と、第2のサブピクセル領域とを備え、第1のサブピクセル領域は、第2のサブピクセル領域と異なる波長の光を放射するように構成される、複数のピクセル領域と、(2)複数のピクセル領域にわたって配置される、導電性コーティングであって、導電性コーティングは、ピクセル領域毎に、第1のサブピクセル領域にわたって配置される第1の部分と、第2のサブピクセル領域にわたって配置される第2の部分とを備える、導電性コーティングとを備え、第1の部分の厚さは、第2の部分の厚さと異なる。
【0015】
いくつかの実施形態によると、OLEDデバイスは、(1)複数の薄膜トランジスタを備える、バックプレーンと、(2)バックプレーンにわたって配置される、フロントプレーンであって、フロントプレーンは、複数のピクセルを備え、各ピクセルはさらに、相互に異なる波長の光を放射するように構成される、少なくとも2つのサブピクセルを備え、各サブピクセルは、(i)複数の薄膜トランジスタのうちの1つの薄膜トランジスタに電気的に接続される、第1の電極と、(ii)第1の電極にわたって配置される、有機層と、(iii)有機層にわたって配置される、第2の電極とを備える、フロントプレーンとを備え、ピクセル毎に、1つのサブピクセル内に配置される第2の電極の厚さは、別のサブピクセル内に配置される第2の電極の厚さと異なる。
【0016】
いくつかの実施形態によると、エレクトロルミネセントデバイスを製造するための方法は、(1)第1の放射領域と、第2の放射領域とを備える、基板にわたって、第1の導電性コーティングを堆積させるステップであって、第1の導電性コーティングは、第1の放射領域を被覆する第1の部分と、第2の放射領域を被覆する第2の部分とを備える、ステップと、(2)第1の導電性コーティングの第1の部分にわたって第1の核形成阻害コーティングを堆積させるステップと、(3)第1の導電性コーティングの第2の部分にわたって第2の核形成阻害コーティングを堆積させるステップとを含む。
例えば、本願は以下の項目を提供する。
(項目1)
エレクトロルミネセントデバイスであって、
第1の放射領域および第2の放射領域であって、前記第1の放射領域は、前記第2の放射領域と異なる波長の光を放射するように構成される、第1の放射領域および第2の放射領域と、
前記第1の放射領域および前記第2の放射領域内に配置される、導電性コーティングであって、前記導電性コーティングは、前記第1の放射領域内に配置される第1の部分と、前記第2の放射領域内に配置される第2の部分とを備え、前記第1の部分は、第1の厚さを有し、前記第2の部分は、第2の厚さを有する、導電性コーティングと、
を備え、前記第1の厚さは、前記第2の厚さと異なる、
エレクトロルミネセントデバイス。
(項目2)
前記第1の部分および前記第2の部分は、相互と連続的に形成される、項目1に記載のエレクトロルミネセントデバイス。
(項目3)
前記導電性コーティングは、第1のコーティングと、第2のコーティングを備え、前記第1のコーティングは、前記第1の放射領域および前記第2の放射領域内に配置され、前記第2のコーティングは、前記第2の放射領域内で前記第1のコーティングにわたって配置される、項目2に記載のエレクトロルミネセントデバイス。
(項目4)
前記第1の放射領域内の第1のコーティングの表面は、前記第2のコーティングを実質的に含まない、項目3に記載のエレクトロルミネセントデバイス。
(項目5)
前記第1の放射領域内で前記第1のコーティングにわたって配置される、有機コーティングをさらに備える、項目3に記載のエレクトロルミネセントデバイス。
(項目6)
前記有機コーティングは、核形成阻害コーティングである、項目5に記載のエレクトロルミネセントデバイス。
(項目7)
前記第2のコーティングは、マグネシウムを含む、項目3に記載のエレクトロルミネセントデバイス。
(項目8)
前記第2のコーティングは、実質的に純粋なマグネシウムを含む、項目7に記載のエレクトロルミネセントデバイス。
(項目9)
前記第1のコーティングは、マグネシウム、アルミニウム、銀、イッテルビウム、亜鉛、もしくはそれらの2つまたはそれを上回るものの任意の組み合わせを含む、項目7に記載のエレクトロルミネセントデバイス。
(項目10)
前記導電性コーティングは、マグネシウムを含む、項目1に記載のエレクトロルミネセントデバイス。
(項目11)
前記第2の厚さは、前記第1の厚さを上回る、項目1に記載のエレクトロルミネセントデバイス。
(項目12)
前記第1の部分および前記第2の部分は、相互から離間される、項目1に記載のエレクトロルミネセントデバイス。
(項目13)
前記第2の部分は、第1のコーティングと、第2のコーティングとを備え、前記第2のコーティングは、前記第1のコーティングにわたって配置される、項目12に記載のエレクトロルミネセントデバイス。
(項目14)
前記第1の部分にわたって配置される核形成阻害コーティングをさらに備える、項目13に記載のエレクトロルミネセントデバイス。
(項目15)
前記第2のコーティングは、マグネシウムを含む、項目13に記載のエレクトロルミネセントデバイス。
(項目16)
前記第2のコーティングは、実質的に純粋なマグネシウムを含む、項目15に記載のエレクトロルミネセントデバイス。
(項目17)
前記第1のコーティングは、マグネシウム、アルミニウム、銀、イッテルビウム、亜鉛、もしくはそれらの2つまたはそれを上回るものの任意の組み合わせを含む、項目15に記載のエレクトロルミネセントデバイス。
(項目18)
前記第2の厚さは、前記第1の厚さを上回る、項目12に記載のエレクトロルミネセントデバイス。
(項目19)
前記核形成阻害コーティングは、0.3以内の前記導電性コーティングの材料の初期付着確率を有するとして特徴付けられる、項目6または14に記載のエレクトロルミネセントデバイス。
(項目20)
前記核形成阻害コーティングは、核部分と、前記核部分に結合された末端部分とをそれぞれ含む、有機分子を含み、前記末端部分は、ビフェニリル部分、フェニル部分、フルオレン部分、またはフェニレン部分を含む、項目6または14に記載のエレクトロルミネセントデバイス。
(項目21)
前記核部分は、複素環部分を含む、項目20に記載のエレクトロルミネセントデバイス。
(項目22)
前記核形成阻害コーティングは、核部分と、前記核部分に結合された複数の末端部分とをそれぞれ含む、有機分子を含み、前記複数の末端部分のうちの第1の末端部分は、ビフェニリル部分、フェニル部分、フルオレン部分、またはフェニレン部分を含み、前記複数の末端部分のうちの各残留末端部分は、前記第1の末端部分の分子量の2倍以内である分子量を有する、項目6または14に記載のエレクトロルミネセントデバイス。
(項目23)
前記導電性コーティングは、光透過性である、項目1に記載のエレクトロルミネセントデバイス。
(項目24)
前記第1の放射領域および前記第2の放射領域内で前記導電性コーティングの下方に配置される、第1の電極と、前記第1の電極と前記導電性コーティングとの間に配置される、少なくとも1つの有機層とをさらに備える、項目1に記載のエレクトロルミネセントデバイス。
(項目25)
前記少なくとも1つの有機層は、エレクトロルミネセント層と、正孔注入層、正孔輸送層、正孔遮断層、電子注入層、電子輸送層、および電子遮断層から成る群から選択される、1つまたはそれを上回る層とを含む、項目24に記載のエレクトロルミネセントデバイス。
(項目26)
基板をさらに備え、前記第1の電極は、前記基板にわたって配置される、項目24に記載のエレクトロルミネセントデバイス。
(項目27)
前記基板は、前記第1の電極に電気的に接続される薄膜トランジスタを含む、項目26に記載のエレクトロルミネセントデバイス。
(項目28)
前記導電性コーティングに電気的に接続される補助電極をさらに備える、項目1に記載のエレクトロルミネセントデバイス。
(項目29)
エレクトロルミネセントデバイスであって、
複数のピクセル領域であって、各ピクセル領域は、第1のサブピクセル領域と、第2のサブピクセル領域とを備え、前記第1のサブピクセル領域は、前記第2のサブピクセル領域と異なる波長の光を放射するように構成される、複数のピクセル領域と、
前記複数のピクセル領域にわたって配置される、導電性コーティングであって、前記導電性コーティングは、ピクセル領域毎に、前記第1のサブピクセル領域にわたって配置される第1の部分と、前記第2のサブピクセル領域にわたって配置される第2の部分とを備える、導電性コーティングと、
を備え、前記第1の部分の厚さは、前記第2の部分の厚さと異なる、
エレクトロルミネセントデバイス。
(項目30)
各ピクセル領域はさらに、第3のサブピクセル領域を備え、前記第3のサブピクセル領域は、前記第1のサブピクセル領域または前記第2のサブピクセル領域と異なる波長の光を放射するように構成される、項目29に記載のエレクトロルミネセントデバイス。
(項目31)
前記導電性コーティングはさらに、ピクセル領域毎に、前記第3のサブピクセル領域にわたって配置される第3の部分を備える、項目30に記載のエレクトロルミネセントデバイス。
(項目32)
前記第3の部分の厚さは、前記第1の部分の厚さまたは前記第2の部分の厚さと異なる、項目31に記載のエレクトロルミネセントデバイス。
(項目33)
前記第3の部分の厚さは、前記第1の部分の厚さまたは前記第2の部分の厚さと実質的に同一である、項目31に記載のエレクトロルミネセントデバイス。
(項目34)
前記エレクトロルミネセントデバイスは、有機発光ダイオードデバイスである、項目1または29に記載のエレクトロルミネセントデバイス。
(項目35)
有機発光ダイオードデバイスであって、
複数の薄膜トランジスタを備える、バックプレーンと、
前記バックプレーンにわたって配置される、フロントプレーンであって、前記フロントプレーンは、複数のピクセルを備え、各ピクセルはさらに、相互に異なる波長の光を放射するように構成される、少なくとも2つのサブピクセルを備え、各サブピクセルは、
前記複数の薄膜トランジスタのうちの1つの薄膜トランジスタに電気的に接続される、第1の電極と、
前記第1の電極にわたって配置される、有機層と、
前記有機層にわたって配置される、第2の電極と、
を備える、フロントプレーンと、
を備え、ピクセル毎に、1つのサブピクセル内に配置される前記第2の電極の厚さは、別のサブピクセル内に配置される前記第2の電極の厚さと異なる、
有機発光ダイオード。
(項目36)
ピクセル毎に、各サブピクセル内に配置される前記第2の電極の厚さは、相互に異なる、項目35に記載の有機発光ダイオード。
(項目37)
相互から前記ピクセルまたはサブピクセルを分離する、ピクセル画定層をさらに備える、項目35または36に記載の有機発光ダイオード。
(項目38)
エレクトロルミネセントデバイスを製造するための方法であって、
第1の放射領域と、第2の放射領域とを備える、基板にわたって、第1の導電性コーティングを堆積させるステップであって、前記第1の導電性コーティングは、前記第1の放射領域を被覆する第1の部分と、前記第2の放射領域を被覆する第2の部分とを備える、ステップと、
前記第1の導電性コーティングの第1の部分にわたって第1の核形成阻害コーティングを堆積させるステップと、
前記第1の導電性コーティングの第2の部分にわたって第2の核形成阻害コーティングを堆積させるステップと、
を含む、方法。
(項目39)
前記第2の導電性コーティングを堆積させるステップは、前記第1の核形成阻害コーティングが前記第2の導電性コーティングによって実質的に被覆されていないままである間に、前記第1の核形成阻害コーティングおよび前記第1の導電性コーティングの第2の部分の両方を処理することであって、前記第2の部分にわたって前記第2の導電性コーティングを堆積させることを含む、項目38に記載の方法。
(項目40)
前記第2の前記導電性コーティングを堆積させるみしは、開放マスクを使用して、またはマスクを使用することなく実施される、項目38に記載の方法。
(項目41)
前記第1の放射領域および前記第2の放射領域は相互に異なる波長の光を放射するように構成される、項目38に記載の方法。
(項目42)
前記第1の放射領域および前記第2の放射領域は、前記エレクトロルミネセンスデバイスのサブピクセル領域に対応する、項目38に記載の方法。
(項目43)
前記基板はさらに、第3の放射領域を備え、前記第1の導電性コーティングは、前記第3の放射領域を被覆する第3の部分を備える、項目38に記載の方法。
(項目44)
前記第2の導電性コーティングを堆積させることは、前記第1の導電性コーティングの第3の部分にわたって前記第2の導電性コーティングを堆積させることを含む、項目43に記載の方法。
(項目45)
前記第2の導電性コーティングを堆積させることは、前記第1の核形成阻害コーティングが前記第2の導電性コーティングによって実質的に被覆されていないままである間に、前記第2の部分および前記第3の部分にわたって前記第2の導電性コーティングを堆積させるために、前記第1の核形成阻害コーティング、前記第1の導電性コーティングの第2の部分、および前記第1の導電性コーティングの第3の部分を処理することを含む、項目44に記載の方法。
(項目46)
前記第1の導電性コーティングの第2の部分にわたって堆積される前記第2の導電性コーティングの一部にわたって、第2の核形成阻害コーティングを堆積させることをさらに含む、項目45に記載の方法。
(項目47)
前記第1の導電性コーティングの第3の部分にわたって堆積される前記第2の導電性コーティングの一部にわたって、第3の導電性コーティングを堆積させることをさらに含む、項目46に記載の方法。
(項目48)
前記第3の導電性コーティングにわたって第3の核形成阻害コーティングを堆積させることをさらに含む、項目47に記載の方法。
(項目49)
前記基板はさらに、非放射領域を備え、前記非放射領域は、前記第1の導電性コーティング、前記第2の導電性コーティング、または前記第3の導電性コーティングのうちの少なくとも1つによって被覆される、項目48に記載の方法。
(項目50)
前記非放射領域は、前記第1の核形成阻害コーティング、前記第2の核形成阻害コーティング、および前記第3の核形成阻害コーティングによって実質的に被覆されていない、項目49に記載の方法。
(項目51)
前記非放射領域にわたって第4の導電性コーティングを堆積させることをさらに含む、項目49に記載の方法。
(項目52)
前記第1の核形成阻害コーティング、前記第2の核形成阻害コーティング、および前記第3の核形成阻害コーティングは、光透過性である、項目48に記載の方法。
(項目53)
前記第1の導電性コーティング、前記第2の導電性コーティング、および前記第3の導電性コーティングは、光透過性である、項目47に記載の方法。
(項目54)
前記第3の放射領域は、前記第1の放射領域または前記第2の放射領域と異なる波長の光を放射するように構成される、項目43に記載の方法。
(項目55)
前記第1の放射領域は、前記第2の放射領域と異なる波長の光を放射するように構成される、項目38に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0017】
いくつかの実施形態が、ここで、添付の図面を参照して、一例として説明される。
【0018】
【
図1】
図1は、一実施形態による、デバイスを製作するための段階を図示するフロー図である。
【
図3】
図3は、別の実施形態による、デバイスである。
【
図4】
図4は、別の実施形態による、デバイスを製作する段階を図示するフロー図である。
【
図6】
図6は、さらなる実施形態による、デバイスを製作するための段階を図示するフロー図である。
【
図8】
図8は、一実施例による、アクティブマトリクスOLED(AMOLED)の回路図を図示する概略図である。
【
図9】
図9は、一実施例による、開放マスクを図示する略図である。
【
図10】
図10は、一実施形態による、AMOLEDデバイスの断面を図示する概略図である。
【
図11】
図11は、別の実施形態による、AMOLEDデバイスの断面を図示する概略図である。
【
図12】
図12は、さらに別の実施形態による、AMOLEDデバイスの断面を図示する概略図である。
【
図13】
図13は、さらに別の実施形態による、AMOLEDデバイスの断面を図示する概略図である。
【
図14】
図14は、さらに別の実施形態による、AMOLEDデバイスの断面を図示する概略図である。
【
図15】
図15は、さらに別の実施形態による、AMOLEDデバイスの断面を図示する概略図である。
【
図16】
図16は、さらに別の実施形態による、AMOLEDデバイスの断面を図示する概略図である。
【
図17】
図17は、一実施形態による、サブピクセル配列の上面図を図示する概略図である。
【
図20A】
図20Aは、別の実施形態による、サブピクセル配列の上面図を図示する概略図である。
【
図21A】
図21Aは、透明ディスプレイデバイスの一実施形態による、サブピクセル配列の上面図を図示する概略図である。
【
図23】
図23は、種々の核形成阻害材料に関する堆積厚さ対平均膜厚さのプロットである。
【
図24】
図24は、種々の核形成阻害材料に関する付着確率対平均膜厚さのプロットである。
【
図28】
図28は、
図25の例示的デバイスの種々の領域から取得される発光スペクトルを示すプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
詳細な説明
図示の簡潔化および明確化のために、適切と見なされるとき、参照番号が、対応または類似する構成要素を示すように図の間で繰り返され得ることを理解されたい。加えて、多数の具体的詳細が、本明細書に説明される例示的実施形態の徹底的な理解を提供するために記載される。しかしながら、本明細書に説明される例示的実施形態は、これらの具体的詳細のうちのいくつかを伴わずに実践され得ることが、当業者によって理解されるであろう。他の場合には、ある方法、手順、および構成要素は、本明細書に説明される例示的実施形態を曖昧にしないように、詳細に説明されていない。
【0020】
本明細書で使用されるように、用語「核形成阻害」は、表面上の導電性材料または補助電極材料の堆積が阻害されるように、導電性材料堆積に向けて比較的低い親和性を呈する表面を有する、材料のコーティングまたは層を指すために使用される一方で、用語「核形成助長」は、表面上の導電性材料の堆積が促進されるように、導電性材料堆積に向けて比較的高い親和性を呈する表面を有する、材料のコーティングまたは層を指すために使用される。表面の核形成阻害または核形成助長性質の1つの尺度は、マグネシウム等の導電性材料の表面の初期付着確率である。例えば、マグネシウムに対する核形成阻害コーティングは、表面上のマグネシウムの堆積が阻害されるように、マグネシウム蒸気の比較的低い初期付着確率を呈する表面を有する、コーティングを指し得る一方で、マグネシウムに対する核形成助長コーティングは、表面上のマグネシウムの堆積が促進されるように、マグネシウム蒸気の比較的高い初期付着確率を呈する表面を有する、コーティングを指し得る。本明細書で使用されるように、用語「付着確率」および「付着係数」は、同義的に使用されてもよい。表面の核形成阻害または核形成助長性質の別の尺度は、両方の表面が導電性材料の蒸発束(flux)を受ける、またはそれに暴露される、別の(参照)表面上の導電性材料の初期堆積率に対する、表面上のマグネシウム等の導電性材料の初期堆積率である。
【0021】
本明細書で使用されるように、用語「蒸発」および「昇華」は、概して、ソース材料が(例えば、加熱によって)蒸気に変換され、例えば、固体状態で標的表面上に堆積される、堆積プロセスを指す。
【0022】
本明細書で使用されるように、材料を「実質的に含まない」または材料によって「実質的に被覆されていない」表面(または表面のある面積)は、表面(または表面のある面積)上の材料の実質的不在を指す。表面上の材料の量の1つの尺度は、材料による被覆率が約10%以内、約8%以内、約5%以内、約3%以内、または約1%以内である場合に、表面が材料を実質的に含まないと見なされ得る場合等の材料による表面の被覆率である。表面被覆は、透過電子顕微鏡法(TEM)、原子間力顕微鏡法(AFM)、または走査電子顕微鏡法(SEM)を使用すること等の撮像技法を使用して、査定されることができる。そのような撮像技法はまた、エネルギー分散型X線分光法(EDX)等の他の分析技法と組み合わせられてもよい。
【0023】
一側面では、デバイスを製造するための方法が、提供される。例えば、本デバイスは、光電子デバイスおよび/またはエレクトロルミネセントデバイスであってもよい。いくつかの実施形態では、本方法は、基板上に第1の導電性コーティングを堆積させるステップを含む。基板は、第1の放射領域と、第2の放射領域とを含んでもよい。基板上に堆積される第1の導電性コーティングは、基板の第1の放射領域をコーティングする第1の部分と、第2の放射領域をコーティングする第2の部分とを含んでもよい。本方法はさらに、第1の導電性コーティングの第1の部分上に第1の核形成阻害コーティングを堆積させるステップと、次いで、第1の導電性コーティングの第2の部分上に第2の導電性コーティングを堆積させるステップとを含んでもよい。
【0024】
図1は、一実施形態による、デバイスを製作する段階を要約するフロー図である。
図2A-2Dは、プロセスの各段階におけるデバイスを図示する概略図である。
【0025】
図2Aに図示されるように、基板102が、提供される。基板102は、第1の放射領域112と、第2の放射領域114を備える。基板102はさらに、1つまたはそれを上回る非放射領域121a、121b、121cを備えてもよい。例えば、第1の放射領域112および第2の放射領域114は、エレクトロルミネセントデバイスのピクセル領域またはサブピクセル領域に対応してもよい。
【0026】
段階12では、第1の導電性コーティング131が、基板にわたって堆積される。
図2Bに図示されるように、第1の導電性コーティング131は、第1の放射領域112、第2の放射領域114、および非放射領域121a-121cをコーティングするように堆積される。第1の導電性コーティング131は、第1の放射領域112をコーティングする部分に対応する第1の部分132と、第2の放射領域114をコーティングする部分に対応する第2の部分133とを含む。例えば、第1の導電性コーティング131は、熱蒸発および電子ビーム蒸発を含む、蒸発によって堆積されてもよい。いくつかの実施形態では、第1の導電性コーティング131は、開放マスクを使用して、またはマスクを用いることなく(例えば、マスクを含まない)堆積されてもよい。第1の導電性コーティング131は、限定されないが、スパッタリング、化学蒸着、印刷(インクまたは蒸気ジェット印刷、リールツーリール印刷、およびミクロ接触転写印刷を含む)、有機気相堆積(OVPD)、レーザ誘起熱撮像(LITI)、およびそれらの組み合わせを含む、他の方法を使用して、堆積されてもよい。
【0027】
段階14では、第1の核形成阻害コーティング141が、第1の導電性コーティング131の一部にわたって選択的に堆積される。
図2Cに図示される実施形態では、第1の核形成阻害コーティング141は、第1の放射領域112に対応する、第1の導電性コーティング131の第1の部分132をコーティングするように堆積される。そのような実施形態では、第2の放射領域114にわたって配置される第1の導電性コーティング131の第2の部分133は、第1の核形成阻害コーティング141を実質的に含まない、またはそこから露出される。いくつかの実施形態では、第1の核形成阻害コーティング141はまた、随意に、1つまたはそれを上回る非放射領域にわたって堆積される第1の導電性コーティング131の部分をコーティングし得る。例えば、第1の核形成阻害コーティング141また、随意に、非放射領域121aおよび/または121b等の第1の放射領域112に隣接する1つまたはそれを上回る非放射領域にわたって堆積される、第1の導電性コーティング131の部分をコーティングし得る。限定されないが、蒸発(熱蒸発および電子ビーム蒸発を含む)、フォトリソグラフィ、印刷(インクまたは蒸気ジェット印刷、リールツーリール印刷、およびミクロ接触転写印刷を含む)、OVPD、LITIパターン化、およびそれらの組み合わせを含む、表面上に材料を選択的に堆積させるための種々のプロセスが、第1の核形成阻害コーティング141を堆積させるために使用されてもよい。
【0028】
いったん第1の核形成阻害コーティング141が第1の導電性コーティング131の表面の領域上に堆積されると、第2の導電性コーティング151が、核形成阻害コーティングが存在しない、表面の残りの被覆されていない領域上に堆積されてもよい。
図2Dを参照すると、段階16では、導電性コーティング源105は、第1の導電性コーティング131および第1の核形成阻害コーティング141の表面に向かって蒸着導電性材料を指向するものとして図示される。
図2Dに図示されるように、導電性コーティング源105は、第1の導電性コーティング131の被覆または処理された面積(すなわち、核形成阻害コーティング141がその上に堆積された第1の導電性コーティング131の領域)および被覆または処理されていない面積の両方に入射するように、蒸着導電性材料を指向してもよい。しかしながら、第1の核形成阻害コーティング141の表面が、第1の導電性コーティング131の被覆されていない表面のものと比較して、相対的に低い初期付着係数を呈するため、第2の導電性コーティング151は、第1の核形成阻害コーティング141が存在しない、第1の導電性コーティング表面の面積上に選択的に堆積する。故に、第2の導電性コーティング151は、第2の放射領域114をコーティングする第1の導電性コーティング131の部分に対応する、第1の導電性コーティング131の第2の部分133をコーティングし得る。
図2Dに図示されるように、第2の導電性コーティング151はまた、非放射領域121a、121b、および121cをコーティングする部分を含む、第1の導電性コーティング131の他の部分または領域をコーティングし得る。第2の導電性コーティング151は、例えば、純粋または実質的に純粋なマグネシウムを含んでもよい。いくつかの実施例では、第2の導電性コーティング151は、第1の導電性コーティング131を形成するために使用されるものと同じである材料を使用して、形成されてもよい。第2の導電性コーティング151は、開放マスクを使用して、またはマスクを用いることなく(例えば、マスクを含まない堆積プロセス)堆積されてもよい。
【0029】
いくつかの実施形態では、本方法はさらに、段階16に続いて、付加的段階を含んでもよい。そのような付加的段階は、例えば、1つまたはそれを上回る付加的核形成阻害コーティングを堆積させるステップ、1つまたはそれを上回る付加的導電性コーティングを堆積させるステップ、補助電極を堆積させるステップ、アウトカップリングコーティングを堆積させるステップ、および/またはデバイスのカプセル化を含んでもよい。
【0030】
図3に図示される別の実施形態では、基板102は、第1の放射領域112および第2の放射領域114に加えて、第3の放射領域116を備える。基板102はさらに、放射領域に隣接して配置される非放射領域121a-121dを備えてもよい。
図3に図示されるデバイス100は、上記で説明されるような
図1の実質的に同一のプロセスを使用して、生産されてもよい。故に、
図3のデバイス100を生産するために着手される各段階の詳細は、省略される。簡潔に述べると、デバイス100は、第1の放射領域112、第2の放射領域114、第3の放射領域116、および非放射領域121a-121dをコーティングする、第1の導電性コーティング131を備える。第1の放射領域112にわたって配置される第1の導電性コーティング131の一部は、第1の核形成阻害コーティング141でコーティングされ、第2の放射領域114、第3の放射領域116、および非放射領域121a-121dをコーティングする部分を含む、第1の導電性コーティング131の残りの部分は、第2の導電性コーティング151によってコーティングされる。
【0031】
図4は、基板102が第3の放射領域を備える、一実施形態による、デバイスを製造する付加的段階を要約するフロー図である。
図5Aおよび
図5Bは、プロセスの各段階におけるデバイスを図示する概略図である。
【0032】
段階22では、第2の核形成阻害コーティング161が、第2の導電性コーティング151の一部にわたって選択的に堆積される。
図5Aに図示される実施形態では、第2の核形成阻害コーティング161は、第2の放射領域114にわたって配置される第2の導電性コーティング151の一部をコーティングするように堆積される。そのような実施形態では、第3の放射領域116にわたって配置される第2の導電性コーティング151の一部は、第1の核形成阻害コーティング141または第2の核形成阻害コーティング161を実質的に含まない、もしくはそこから露出される。いくつかの実施形態では、第2の核形成阻害コーティング161はまた、随意に、1つまたはそれを上回る非放射領域にわたって堆積される第2の導電性コーティング151の部分をコーティングし得る。例えば、第2の核形成阻害コーティング161はまた、随意に、非放射領域121aおよび/または121b等の第1の放射領域112に隣接する1つまたはそれを上回る非放射領域、ならびに/もしくは非放射領域121bおよび/または121c等の第2の放射領域114に隣接するものにわたって堆積される、第2の導電性コーティング151の部分をコーティングし得る。限定されないが、蒸発(熱蒸発および電子ビーム蒸発を含む)、フォトリソグラフィ、印刷(インクまたは蒸気ジェット印刷、リールツーリール印刷、およびミクロ接触転写印刷を含む)、OVPD、LITIパターン化、およびそれらの組み合わせを含む、表面上に材料を選択的に堆積させるための種々のプロセスが、第2の核形成阻害コーティング161を堆積させるために使用されてもよい。
【0033】
いったん第2の核形成阻害コーティング161が第2の導電性コーティング151の表面の領域上に堆積されると、第3の導電性コーティング171が、核形成阻害コーティングが存在しない、表面の残りの被覆されていない領域上に堆積されてもよい。
図5Bを参照すると、段階24では、導電性コーティング源106は、第2の導電性コーティング151、第1の核形成阻害コーティング141、および第2の核形成阻害コーティング161の表面に向かって蒸着導電性材料を指向するものとして図示される。
図5Bに図示されるように、導電性コーティング源106は、第2の導電性コーティング151の被覆または処理された面積(すなわち、核形成阻害コーティング141および第2の核形成阻害コーティング161がその上に堆積される領域)および被覆または処理されていない面積の両方に入射するように、蒸着導電性材料を指向してもよい。しかしながら、第1の核形成阻害コーティング141および第2の核形成阻害コーティング161の表面が、第2の導電性コーティング151の被覆されていない表面のものと比較して、相対的に低い初期付着係数を呈するため、第3の導電性コーティング171は、第1の核形成阻害コーティング141および第2の核形成阻害コーティング161が存在しない面積上に選択的に堆積する。故に、第3の導電性コーティング171は、第3の放射領域116にわたって配置される第2の導電性コーティング151の部分をコーティングし得る。
図5Bに図示されるように、第3の導電性コーティング171はまた、非放射領域121a、121b、121c、および121dをコーティングする部分を含む、第2の導電性コーティング151の他の部分または領域をコーティングし得る。第3の導電性コーティング171は、例えば、純粋または実質的に純粋なマグネシウムを含んでもよい。例えば、第3の導電性コーティング171は、第1の導電性コーティング131および/または第2の導電性コーティング151を形成するために使用されるものと同じである材料を使用して、形成されてもよい。第3の導電性コーティング171は、開放マスクを使用して、またはマスクを用いることなく(例えば、マスクを含まない堆積プロセス)堆積されてもよい。
【0034】
さらなる実施形態では、段階24に続いて、付加的コーティングが、デバイス上に堆積されてもよい。
図6は、1つのそのようなさらなる実施形態による、付加的コーティング段階を要約するフロー図である。
図7Aおよび7Bは、プロセスの各段階におけるデバイスを図示する概略図である。
【0035】
段階32では、第3の核形成阻害コーティング181が、第3の導電性コーティング171の一部の上に選択的に堆積される。具体的には、
図7Aに図示される実施形態では、第3の核形成阻害コーティング181は、第3の放射領域116にわたって配置される第3の導電性コーティング171の部分をコーティングするように堆積される。いくつかの実施形態では、第3の核形成阻害コーティング181はまた、随意に、1つまたはそれを上回る非放射領域にわたって堆積される第3の導電性コーティング171の部分をコーティングし得る。例えば、第3の核形成阻害コーティング181はまた、随意に、1つまたはそれを上回る非放射領域121a-dにわたって堆積される第3の導電性コーティング171の部分をコーティングし得る。限定されないが、蒸発(熱蒸発および電子ビーム蒸発を含む)、フォトリソグラフィ、印刷(インクまたは蒸気ジェット印刷、リールツーリール印刷、およびミクロ接触転写印刷を含む)、OVPD、LITIパターン化、およびそれらの組み合わせを含む、表面上に材料を選択的に堆積させるための種々のプロセスが、第3の核形成阻害コーティング181を堆積させるために使用されてもよい。
【0036】
段階34では、源107は、第3の導電性コーティング171、第1の核形成阻害コーティング141、第2の核形成阻害コーティング161、および第3の核形成阻害コーティング181の表面に向かって蒸着導電性材料を指向し、補助電極201を堆積させるものとして図示される。
図7Bに図示されるように、導電性コーティング源107は、第3の導電性コーティング171の被覆または処理された面積(すなわち、第1の核形成阻害コーティング141、第2の核形成阻害コーティング161、および第3の核形成阻害コーティング181が存在する領域)および被覆または処理されていない面積の両方に入射するように、蒸着導電性材料を指向してもよい。しかしながら、第1の核形成阻害コーティング141、第2の核形成阻害コーティング161、および第3の核形成阻害コーティング181の表面が、第3の導電性コーティング171の被覆されていない表面のものと比較して、相対的に低い初期付着係数を呈するため、補助電極201は、第1の核形成阻害コーティング141、第2の核形成阻害コーティング161、および第3の核形成阻害コーティング181が存在しない場所の面積上に選択的に堆積する。故に、補助電極201は、非放射領域121a、121b、121c、および121dに対応する、第3の導電性コーティング171の部分をコーティングし得る。補助電極201は、例えば、純粋または実質的に純粋なマグネシウムを含んでもよい。例えば、補助電極201は、第1の導電性コーティング131、第2の導電性コーティング151、および/または第3の導電性コーティング171を形成するために使用されるものと同じである材料を使用して、形成されてもよい。補助電極201は、開放マスクを使用して、またはマスクを用いることなく(例えば、マスクを含まない堆積プロセス)堆積されてもよい。他の実施形態では、1つまたはそれを上回る非放射領域121a、121b、121c、および/または121dは、その上の第2の導電性コーティングおよび/または第3の導電性コーティングの堆積が実質的に防止されるように、第1の核形成阻害コーティングでコーティングされてもよい。
【0037】
導電性コーティングがデバイスの光透過性電極を形成する場合において、補助電極を提供することが、特に有利であり得る。特に、そのような光透過性電極は、光の透過を可能にするように低い厚さを有してもよい。しかしながら、透過型電極の厚さの低減は、そのシート抵抗の増加を伴う。高いシート抵抗を伴う電極は、概して、OLEDの性能および効率にとって有害である、デバイスが使用中であるときの大電流抵抗(IR)降下を生成するため、OLED等のデバイスで使用するためには望ましくない。IR降下は、電力供給レベルを増加させることによって、ある程度補償されることができるが、しかしながら、電力供給レベルが1つのピクセルのために増加させられるとき、他の構成要素に供給される電圧もまた、デバイスの適切な動作を維持するように増加させられ、したがって、不利である。
【0038】
上面発光OLEDデバイスのための電力供給仕様を低減させるために、解決策が、デバイス上に母線構造または補助電極を形成するために提案されている。例えば、そのような補助電極は、OLEDデバイスの透過型電極と電気通信する導電性コーティングを堆積させることによって形成されてもよい。そのような補助電極は、透過型電極のシート抵抗および関連付けられるIR降下を低下させることによって、電流がデバイスの種々の領域により効果的に運搬されることを可能にし得る。
【0039】
電極シート抵抗の効果が、ここで、p型薄膜トランジスタ(TFT)を伴う上面発光アクティブマトリクスOLED(AMOLED)ピクセルの回路図の実施例を示す、
図8を参照して解説されるであろう。
図8では、回路800は、電力供給(VDD)ライン812と、制御ライン814と、ゲートライン816と、データライン818とを含む。第1のTFT831と、第2のTFT833と、蓄電コンデンサ841とを含む、駆動回路が、提供され、駆動回路構成要素は、図に図示される様式で、データライン818、ゲートライン816、およびVDDライン812に接続される。概して、TFT831および833の製造差異または経時的な劣化によって引き起こされる、トランジスタ性質の任意の偏差を補償するように作用する、補償回路843も、提供される。
【0040】
OLEDピクセルまたはサブピクセル850、および回路図内で抵抗器として表されるカソード852は、第2のTFT833(「駆動トランジスタ」とも称される)と直列に接続される。駆動トランジスタ833は、OLEDピクセル850が所望の輝度を出力するように、蓄電コンデンサ841の中に貯蔵される電荷の電圧に従って、OLEDピクセル850を通過させられる電流を調整する。蓄電コンデンサ841の電圧は、第1のTFT831(「スイッチトランジスタ」とも称される)を介して蓄電コンデンサ841をデータライン818に接続することによって設定される。
【0041】
OLEDピクセルまたはサブピクセル850およびカソード852を通した電流が、駆動トランジスタ833のゲート電圧とソース電圧との間の電位差に基づいて調整されるため、カソード852のシート抵抗の増加は、電力供給(VDD)を増加させることによって補償される、より大きいIR降下をもたらす。しかしながら、VDDが増加されるとき、TFT833およびOLEDピクセル850に供給される他の電圧もまた、適切な動作を維持するように増加され、したがって、好ましくない。
【0042】
図8を参照すると、補助電極854が、カソード852に並列に接続された抵抗器として図示される。補助電極854の抵抗がカソード852のものよりも実質的に低いため、補助電極854およびカソード852の複合有効抵抗は、カソード852単独のものよりも低い。故に、VDDの増加は、補助電極854の存在によって軽減されることができる。
【0043】
補助電極が、典型的には、アノードと、1つまたはそれを上回る有機層と、カソードとを含む、OLEDスタックの上に提供されるため、補助電極のパターン化は、伝統的に、例えば、物理蒸着(PVD)プロセスによって、それを通して導電性コーティングが選択的に堆積させられる、マスク開口を伴うシャドウマスクを使用して達成される。しかしながら、マスクが、典型的には、金属マスクであるため、それらは、高温堆積プロセス中に撓み、それによって、マスク開口および結果として生じる堆積パターンを歪ませる傾向を有する。さらに、マスクは、典型的には、導電性コーティングがマスクに付着し、マスクの特徴を曖昧にするにつれて、連続的堆積を通して劣化させられる。その結果として、そのようなマスクは、時間のかかる高価なプロセスを使用して清掃されるべきであるか、またはいったんマスクが所望のパターンを生成することに無効であると見なされると処分されるべきかのいずれかであり、それによって、そのようなプロセスを高度に費用がかかり、複雑なものにする。故に、シャドウマスクを使用して、導電性コーティングを堆積させるためのプロセスは、OLEDデバイスの大量生産のためには商業的に実行可能ではない場合がある。また、大型金属マスクが、典型的には、シャドウマスク堆積プロセス中に伸張されるため、シャドウマスクプロセスを使用して生成されることができる特徴のアスペクト比は、典型的には、陰影効果および金属マスクの機械的(例えば、引張)強度に起因して制約される。
【0044】
シャドウマスクを通して表面上に導電性コーティングをパターン化することの別の課題は、全てではないが、あるパターンが、単一のマスクを使用して達成され得ることである。マスクの各部分が物理的に支持されると、全てのパターンが単一の処理段階で可能であるわけではない。例えば、パターンが単離された特徴を規定する場合、単一のマスク処理段階は、典型的には、所望のパターンを達成するために使用されることができない。加えて、デバイス表面全体を横断して拡散される反復構造(例えば、母線構造または補助電極)を生産するために使用されるマスクは、マスク上に形成される多数の穿孔または開口を含む。しかしながら、マスク上に多数の開口を形成することは、マスクの構造完全性を損ない、したがって、堆積させられた構造のパターンを歪ませ得る、処理中のマスクの有意な撓みまたは変形につながり得る。
【0045】
上記に説明されるプロセス、特に、
図6、7A、および7Bを参照して説明されるプロセスを使用して、補助電極201は、補助電極堆積ステップ中に微細金属マスクを使用することなく、デバイスの非放射領域上に選択的に堆積され得る。さらに、第2の導電性コーティングおよび/または第3の導電性コーティングの選択的堆積を行うために使用される核形成阻害層が、デバイスの放射領域内の補助電極201の堆積を実質的に阻害するために使用されてもよいため、補助電極201の堆積が、さらに促進される。
【0046】
第1の導電性コーティング131、第2の導電性コーティング151、および第3の導電性コーティング171は、電磁スペクトルの可視波長範囲の少なくとも一部では光透過性または実質的に透明であり得る。さらに明確にするために、第1の導電性コーティング131、第2の導電性コーティング151、および第3の導電性コーティング171はそれぞれ、電磁スペクトルの可視波長範囲の少なくとも一部では光透過性または実質的に透明であり得る。したがって、第2の導電性コーティングおよび/または第3の導電性コーティングが、マルチコーティング電極を形成するように第1の導電性コーティングの上に配置されるとき、そのような電極もまた、電磁スペクトルの可視波長部分では光透過性または実質的に透明であり得る。例えば、第1の導電性コーティング131、第2の導電性コーティング151、第3の導電性コーティング171、および/またはマルチコーティング電極の光透過率は、電磁スペクトルの可視部分では、約30%を上回る、約40%を上回る、約45%を上回る、約50%を上回る、約60%を上回る、70%を上回る、約75%を上回る、または約80%を上回り得る。少なくともある場合には、第1の導電性コーティング131、第2の導電性コーティング151、第3の導電性コーティング171、および/またはマルチコーティング電極が、(例えば、約390nm~約700nmの波長範囲内で)電磁スペクトルの可視部分にわたって比較的高い光透過率を呈することが、特に好ましくあり得る。
【0047】
いくつかの実施形態では、第1の導電性コーティング131、第2の導電性コーティング151、および第3の導電性コーティング171の厚さは、比較的高い光透過率を維持するように、比較的薄く作製されてもよい。例えば、第1の導電性コーティング131の厚さは、約5~30nm、約8~25nm、または約10~20nmであってもよい。第2の導電性コーティング151の厚さは、例えば、約1~25nm、約1~20nm、約1~15nm、約1~10nm、または約3~6nmであってもよい。第3の導電性コーティング171の厚さは、例えば、約1~25nm、約1~20nm、約1~15nm、約1~10nm、または約3~6nmであってもよい。故に、第1の導電性コーティング131ならびに第2の導電性コーティング151および/または第3の導電性コーティング171の組み合わせによって形成される、マルチコーティング電極の厚さは、例えば、約6~35nm、約10~30nm、または約10~25nm、もしくは約12~18nmであってもよい。
【0048】
補助電極201の厚さは、第1の導電性コーティング131、第2の導電性コーティング151、第3の導電性コーティング、および/またはマルチコーティング電極の厚さを実質的に上回り得る。例えば、補助電極201の厚さは、約50nmを上回る、約80nmを上回る、約100nmを上回る、約150nmを上回る、約200nmを上回る、約300nmを上回る、約400nmを上回る、約500nmを上回る、約700nmを上回る、約800nmを上回る、約1μmを上回る、約1.2μmを上回る、約1.5μmを上回る、約2μmを上回る、約2.5μmを上回る、または約3μmを上回り得る。いくつかの実施形態では、補助電極201は、実質的に非透明または不透明であり得る。しかしながら、補助電極201が、概して、デバイスの非放射領域内に提供されるため、補助電極201は、有意な光学干渉を引き起こし得ない。例えば、補助電極201の光透過率は、電磁スペクトルの可視部分では、約50%未満、約70%未満、約80%未満、約85%未満、約90%未満、または約95%未満であり得る。いくつかの実施形態では、補助電極201は、電磁スペクトルの可視波長範囲の少なくとも一部で光を吸収してもよい。
【0049】
第1の放射領域112、第2の放射領域114、および/または第3の放射領域116は、いくつかの実施形態では、OLEDディスプレイデバイスのサブピクセル領域に対応してもよい。故に、種々のコーティングが堆積される基板102は、前述の実施形態に具体的に図示または説明されていない、1つまたはそれを上回る付加的有機および/または無機層を含み得ることを理解されたい。例えば、OLEDディスプレイデバイスは、アクティブマトリクスOLED(AMOLED)ディスプレイデバイスであってもよい。そのような実施形態では、基板102は、電極と、第1の導電性コーティング131が少なくとも1つの有機層にわたって堆積され得るように、各放射領域(例えば、サブピクセル)内で電極にわたって堆積される、少なくとも1つの有機層とを備えてもよい。例えば、電極は、アノードであってもよく、第1の導電性コーティング131は、単独で、もしくは第2の導電性コーティング151、第3の導電性コーティング171、および/または任意の付加的導電性コーティングとの組み合わせのいずれかで、カソードを形成してもよい。少なくとも1つの有機層は、エミッタ層を備えてもよい。少なくとも1つの有機層はさらに、正孔注入層、正孔輸送層、電子遮断層、正孔遮断層、電子輸送層、電子注入層、および/または任意の付加的層を備えてもよい。基板102はさらに、複数のTFTを備えてもよい。デバイス内で提供される各アノードは、少なくとも1つのTFTに電気的に接続されてもよい。例えば、基板100は、1つまたはそれを上回る上面ゲートTFT、1つまたはそれを上回る底面ゲートTFT、および/または他のTFT構造を含んでもよい。TFTは、n型TFTまたはp型TFTであってもよい。TFT構造の実施例は、非晶質シリコン(a-Si)、インジウムガリウム亜鉛酸化物(IGZO)、および低温多結晶シリコン(LTPS)を含むものを含む。
【0050】
基板102はまた、上記で識別される付加的有機および/または無機層を支持するためのベース基板を含んでもよい。例えば、ベース基板は、可撓性または剛性基板であってもよい。ベース基板は、例えば、シリコン、ガラス、金属、ポリマー(例えば、ポリイミド)、サファイア、またはベース基板として使用するために好適な他の材料を含んでもよい。
【0051】
第1の放射領域112、第2の放射領域114、および第3の放射領域116は、相互に異なる波長または発光スペクトルの光を放射するように構成されるサブピクセルであってもよい。第1の放射領域112は、第1の波長または第1の発光スペクトルを有する光を放射するように構成されてもよく、第2の放射領域114は、第2の波長または第2の発光スペクトルを有する光を放射するように構成されてもよく、第3の放射領域116は、第3の波長または第3の発光スペクトルを有する光を放射するように構成されてもよい。第1の波長は、第2の波長および/または第3の波長未満もしくはそれを上回り得、第2の波長は、第1の波長および/または第3の波長未満もしくはそれを上回り得、第3の波長は、第1の波長および/または第2の波長未満もしくはそれを上回り得る。例えば、第1の放射領域112は、青色サブピクセルに対応してもよく、第2の放射領域114は、緑色サブピクセルに対応してもよく、第3の放射領域116は、赤色サブピクセルに対応してもよい。他の実施例では、第1の放射領域112、第2の放射領域114、および第3の放射領域116と関連付けられる発光スペクトルまたは発光色は、異なり得る。第2の放射領域114および/または第3の放射領域116と組み合わせた、第1の放射領域112は、ディスプレイデバイスのピクセルを形成してもよい。そのようなディスプレイデバイスは、典型的には、複数のピクセルを含むことを理解されたい。故に、本明細書に説明される種々の実施形態では、複数の第1の放射領域、複数の第2の放射領域、および複数の第3の放射領域が、提供されてもよい。例えば、複数の第1、第2、および/または第3の放射領域を形成する放射領域は、ディスプレイデバイスを横断して分散様式で配列されてもよく、放射領域の各グループは(例えば、第1の放射領域、第2の放射領域、および第3の放射領域はそれぞれ)、特定の発光色またはスペクトルのサブピクセルに対応してもよい。そのような実施例では、各グループに属する放射領域は、同一のグループ内の他の放射領域と実質的に同じ構造および構成を有してもよい。
【0052】
いくつかの実施形態では、第1の核形成阻害コーティング141、第2の核形成阻害コーティング161、および/または第3の核形成阻害コーティング181は、少なくとも1つの有機層を堆積させるために使用される同一のシャドウマスクを使用して、選択的に堆積されてもよい。このように、光学的微小共振器効果は、核形成阻害コーティングを堆積させるための付加的マスク要件が存在しないことに起因して、費用効果的な様式でサブピクセル毎に同調されてもよい。
【0053】
いくつかの実施形態では、本方法はさらに、段階24または段階34に続いて、付加的段階を含んでもよい。そのような付加的段階は、例えば、1つまたはそれを上回る付加的核形成阻害コーティングを堆積させるステップ、1つまたはそれを上回る付加的導電性コーティングを堆積させるステップ、補助電極を堆積させるステップ、アウトカップリングコーティングを堆積させるステップ、および/またはデバイスのカプセル化を含んでもよい。
【0054】
いくつかの実施形態では、アウトカップリングコーティングが、段階12における第1の導電性コーティングの堆積に続いて、堆積されてもよい。例えば、アウトカップリングコーティングは、段階12の後に、かつ段階16における第2の導電性コーティングの堆積の前に、第1の導電性コーティングの表面にわたって堆積されてもよい。別の実施例では、アウトカップリングコーティングは、段階16における第2の導電性コーティングの堆積の後に、かつ段階24における第3の導電性コーティングの堆積の前に、堆積されてもよく、したがって、アウトカップリングコーティングが第1の導電性コーティングと第2の導電性コーティングとの間に配置される、デバイスをもたらす。アウトカップリングコーティングは、例えば、小分子有機化合物、ポリマー、有機金属化合物、および/または無機化合物ならびに元素から成ってもよい。アウトカップリングコーティングの厚さは、例えば、約5~60nmであってもよい。アウトカップリングコーティングは、開放マスクまたはマスクを含まない堆積プロセスを使用して、堆積されてもよい。代替として、アウトカップリングコーティングは、限定されないが、蒸発(熱蒸発および電子ビーム蒸発を含む)、フォトリソグラフィ、印刷(インクまたは蒸気ジェット印刷、リールツーリール印刷、およびミクロ接触転写印刷を含む)、OVPD、LITIパターン化、およびそれらの組み合わせを含む、上記に説明される種々のプロセスを使用して、選択的に堆積されてもよい。さらに解説されるであろうように、マグネシウム等のある導電性材料は、少なくともある場合には、特に、アウトカップリングコーティングが有機材料によって形成される場合に、アウトカップリングコーティングの表面上に容易に堆積されない場合がある。故に、いくつかの実施例では、核形成助長コーティングが、導電性コーティングが堆積されるアウトカップリングコーティングの部分にわたって堆積されてもよい。例えば、核形成助長コーティングが、その上で付加的導電性コーティングの堆積を可能にするように、放射領域にわたって堆積されてもよい。
【0055】
また、いくつかの実施形態では、第1の導電性コーティング、第2の導電性コーティング、および/または第3の導電性コーティングが、開放マスクを使用して堆積され得ることも理解されたい。開放マスクは、概して、「覆い隠す」、すなわち、基板のある領域上の材料の堆積を防止する役割を果たす。しかしながら、約数十ミクロンまたはそれよりも小さい特徴サイズを伴う比較的小さい特徴を形成するために使用される、微細金属マスク(FMM)と異なり、開放マスクによって画定される特徴サイズは、概して、製造されているOLEDデバイスのサイズに相当する。例えば、開放マスクは、製造中にディスプレイデバイスの縁を覆い隠してもよく、ディスプレイデバイスのサイズ(例えば、マイクロディスプレイに関して約1インチ、モバイルディスプレイに関して約4~6インチ、ラップトップまたはタブレットディスプレイに関して約8~17インチ等)に近似的に対応する開口を有する、開放マスクをもたらすであろう。例えば、開放マスクの特徴サイズは、約1cmまたはそれを上回り得る。
【0056】
図9は、その中に形成された開口934を有する、または画定する、開放マスク931の実施例を図示する。図示される実施例では、マスク931の開口934は、マスク931が重ねられたときに、マスク931がデバイス921の縁を被覆するように、デバイス921のサイズよりも小さい。具体的には、図示される実施形態では、デバイス921の全てまたは実質的に全ての放射領域もしくはピクセル923が、開口934を通して露出される一方で、露出されていない領域927は、デバイス921の外縁925と開口934との間に形成される。理解されるであろうように、電気接点または他のデバイス構成要素は、これらの構成要素が開放マスク堆積プロセスを通して影響を受けていないままであるように、露出されていない領域927の中に位置してもよい。複数の独立デバイスが、単一の基板上に同時に製作される場合において、開放マスクは、複数の開口を備えてもよく、各開口は、デバイス領域に対応することを理解されたい。
【0057】
いくつかの実施形態による、別の側面では、光電子デバイスが、提供される。光電子デバイスは、エレクトロルミネセントデバイスであってもよい。いくつかの実施形態では、本デバイスは、第1の放射領域と、第2の放射領域とを備える。第1の放射領域は、第2の放射領域と異なる波長の光を放射するように構成されてもよい。換言すると、例えば、第1の放射領域は、第1の波長を有する光を放射するように構成されてもよく、第2の放射領域は、第2の波長を有する光を放射するように構成されてもよい。第1の波長は、第2の波長を上回るまたは下回り得る。例えば、各放射領域によって放射される光の波長は、ピーク波長(例えば、放射発光スペクトルがその最大値にある波長)または主波長(例えば、人間の眼によって知覚される波長)に対応してもよい。本デバイスはさらに、第1の放射領域および第2の放射領域内に配置される、導電性コーティングを備える。導電性コーティングは、第1の放射領域内に配置される第1の部分と、第2の放射領域内に配置される第2の部分とを含んでもよい。第1の部分は、第1の厚さを有してもよく、第2の部分は、第2の厚さを有してもよく、第1の厚さは、第2の厚さと異なる。例えば、第1の厚さは、第2の厚さを上回るまたは下回り得る。例えば、第2の厚さは、第2の厚さが、第1の厚さの少なくとも約1.1倍、少なくとも約1.2倍、少なくとも約1.3倍、少なくとも約1.4倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約1.8倍、または少なくとも約2倍である場合等、第1の厚さを上回り得る。
【0058】
図10は、一実施形態による、AMOLEDデバイス1000の一部を図示する断面概略図である。AMOLEDデバイス1000は、第1の放射領域1031aと、第2の放射領域1031bとを含む。第1の放射領域1031aおよび第2の放射領域1031bは、AMOLEDデバイス1000のサブピクセルであってもよい。
【0059】
デバイス1000は、ベース基板1010と、ベース基板1010の表面にわたって堆積される緩衝層1012とを含む。複数のTFT1008a、1008bが、次いで、緩衝層1012にわたって形成される。TFT1008bを具体的に参照すると、半導体活性面積1014が、緩衝層1012の一部にわたって形成され、ゲート絶縁層1016が、半導体活性面積1014を実質的に被覆するように堆積される。次に、ゲート電極1018が、ゲート絶縁層1016の上に形成され、層間絶縁層1020が、堆積される。ソース電極1024およびドレイン電極1022が、層間絶縁層1020およびゲート絶縁層1016を通して形成される開口部を通して延在し、半導体活性層1014と接触するように、形成される。絶縁層1042が、次いで、TFT1008a、1008bにわたって形成される。第1の電極1044a、1044bが、次いで、それぞれ、絶縁層1042の一部にわたって、第1の放射領域1031aおよび第2の放射領域1031bのそれぞれに形成される。
図10に図示されるように、第1の電極1044a、11044bはそれぞれ、個別のTFT1008a、11008bのドレイン電極1022と電気通信するように、絶縁層1042の開口部を通して延在する。ピクセル画定層(PDL)1046a、1046b、1046cが、次いで、各電極の外縁を含む、第1の電極1044a、1044bの少なくとも一部を被覆するように形成される。例えば、PDL1046a、1046b、1046cは、絶縁有機または無機材料を含んでもよい。有機層1048a、1048bが、次いで、特に、隣接するPDL1046a、1046b、1046cの間の領域内で、個別の第1の電極1044a、1044bにわたって堆積される。第1の導電性コーティング1071が、有機層1048a、1048bおよびPDL1046a、1046b、1046cの両方を実質的に被覆するように堆積される。例えば、第1の導電性コーティング1071は、共通カソードまたはその一部を形成してもよい。第1の核形成阻害コーティング1061が、第1の放射領域1031aにわたって配置される第1の導電性コーティング1071の第1の部分1035aにわたって選択的に堆積される。例えば、第1の核形成阻害コーティング1061は、微細金属マスクまたはシャドウマスクを使用して、選択的に堆積されてもよい。故に、第2の導電性コーティング1072が、開放マスクまたはマスクを含まない堆積プロセスを使用して、第1の導電性コーティング1071の露出表面にわたって選択的に堆積される。さらなる具体性のために、開放マスクを使用して、またはマスクを用いることなく、第2の導電性コーティング1072(例えば、マグネシウムを含む)の熱堆積を行うことによって、第2の導電性コーティング1072は、第2の導電性コーティング1072の材料を実質的に含まない第1の核形成阻害コーティング1061の表面を残しながら、第1の導電性コーティング1071の露出表面にわたって選択的に堆積される。故に、第2の導電性コーティング1072は、第1の導電性コーティング1071の上に直接、またはそれと直接物理的に接触して、堆積され得る。
【0060】
図10に図示されるデバイス1000では、第1の導電性コーティング1071および第2の導電性コーティング1072は、共通カソード1075を集合的に形成する。具体的には、共通カソード1075は、第1の導電性コーティング1071および第2の導電性コーティング1072の組み合わせによって形成されてもよく、第2の導電性コーティング1072は、第1の導電性コーティング1071の少なくとも一部にわたって直接配置される。共通カソード1075は、第1の放射領域1031a内で第1の厚さt
c1と、第2の放射領域1031b内で第2の厚さt
c2とを有する。第1の厚さt
c1は、第1の導電性コーティング1071の厚さに対応してもよく、第2の厚さt
c2は、第1の導電性コーティング1071および第2の導電性コーティング1072の複合厚さに対応してもよい。第1の導電性コーティング1071の第1の部分1035aおよび第2の部分1035bは、単一のモノリシック構造を提供するように、相互と一体的に形成されてもよい、または連続的であり得る。例えば、第1の導電性コーティング1071はさらに、第1の部分1035aと第2の部分1035bとの間に配置される中間部分を備えてもよく、中間部分は、第1の部分1035aおよび第2の部分1035bを接続する。代替として、いくつかの実施形態では、第1の部分1035aおよび第2の部分1035bは、相互から離間される別個の構造として形成されてもよい。例えば、個別の放射領域をコーティングする第1の部分および第2の部分は、第1の導電性コーティングを堆積させることに先立って、第1の部分と第2の部分との間に核形成阻害コーティングを配置することによって、別個の構造として形成されてもよい。例えば、核形成阻害コーティングは、放射領域の間の非放射領域内に配置されてもよい。このように、核形成阻害コーティングでコーティングされる領域内の第1の導電性コーティング材料の堆積は、阻害されてもよく、したがって、第1の部分および第2の部分は、相互から離間される別個の構造として形成されてもよい。代替として、導電性コーティングを選択的に堆積させるための他の方法も、第1の部分および第2の部分を別個の構造として形成するために使用されてもよい。
【0061】
いくつかの実施形態では、第1の核形成阻害コーティング1061は、有機層1048aを選択的に堆積させるために使用される同一のシャドウマスクを使用して、第1の導電性コーティング1071の少なくとも第1の部分1035aをコーティングするように選択的に堆積されてもよい。
【0062】
いくつかの実施形態では、第1の核形成阻害コーティング1061は、光学アウトカップリングコーティングであってもよい。理解されるであろうように、光学アウトカップリングコーティングは、デバイスのアウトカップリング効率を増進させるように提供されてもよい。故に、核形成阻害コーティングは、例えば、比較的高い屈折率を呈する材料によって形成されてもよい。他の実施形態では、第1の核形成阻害コーティング1061から分離しているアウトカップリングコーティングが、提供されてもよい。
【0063】
図11は、
図10のデバイス1000がさらに、アウトカップリングコーティング1110を含む、実施形態を図示する。図示されるように、アウトカップリングコーティング1110は、第1の放射領域1031aおよび第2の放射領域1031bをコーティングするように堆積されてもよい。アウトカップリングコーティング1110はさらに、例えば、アウトカップリングコーティング1110が開放マスクまたはマスクを含まない堆積プロセスを使用して堆積される場合において、デバイスの非放射領域をコーティングしてもよい。アウトカップリングコーティング1110は、第1の核形成阻害コーティング1061と同一の材料組成から成ってもよい。代替として、アウトカップリングコーティング1110は、第1の核形成阻害コーティング1061と異なる材料組成を有してもよい。
【0064】
図12は、
図10のデバイス1000がさらに、補助電極1131を含む、別の実施形態を図示する。補助電極1131は、デバイス1000の非放射部分内に提供されてもよい。
図12の実施形態では、補助電極1131は、PDL1046a-cが存在する領域に対応する、放射領域1031a、1031bに隣接する領域内に配置される。例えば、補助電極1131は、開放マスクまたはマスクを含まない堆積プロセスを使用して、堆積されてもよい。第1の放射領域1031aおよび第2の放射領域1031b内に補助電極1131を形成するために使用される材料の堆積は、それぞれ、第1の核形成阻害コーティング1061および第2の核形成阻害コーティング1062の存在によって実質的に防止され得る。いくつかの実施形態では、補助電極1131は、第1の導電性コーティング1071および/または第2の導電性コーティング1072と同一の材料を使用して形成されてもよい。例えば、補助電極1131は、マグネシウムを含んでもよい。例えば、補助電極1131は、実質的に純粋なマグネシウムから成ってもよい。
【0065】
図12の実施形態では、第1の核形成阻害コーティング1061の厚さおよび第2の核形成阻害コーティング1062の厚さは、実質的に同一であり得る。代替として、第1の核形成阻害コーティング1061の厚さは、いくつかの実施形態では、第2の核形成阻害コーティング1062の厚さを下回る、または上回り得る。例えば、核形成阻害コーティングがアウトカップリングコーティングとしても機能する場合において、デバイスの異なる放射領域またはサブピクセルにわたって堆積される核形成阻害コーティングの厚さを変動させることが特に有利であり得る。異なるサブピクセルの間の共通カソードの厚さに加えて、核形成阻害コーティング(したがって、アウトカップリングコーティング)の厚さを調節することによって、光学的微小共振器効果は、サブピクセル間スケールで変調されてもよい。他の実施形態では、
図12のデバイス1000はさらに、核形成阻害コーティング、随意に、補助電極にわたって堆積される、付加的アウトカップリングコーティングを備えてもよい。
【0066】
図13は、AMOLEDデバイス1300の一部を図示する概略断面図である。簡単にするために、TFT1308a、1308b、1308cに関するものを含む、バックプレーンのある詳細は、以下の実施形態を説明する際に省略される。
【0067】
図13の実施形態では、デバイス1300は、第1の放射領域1331aと、第2の放射領域1331bと、第3の放射領域1331cとを含む。例えば、放射領域は、デバイス1300のサブピクセルに対応してもよい。デバイス1300では、第1の電極1344a、1344b、1344cが、それぞれ、第1の放射領域1331a、第2の放射領域1331b、および第3の放射領域1331cのそれぞれの中に形成される。
図13に図示されるように、第1の電極1344a、1344b、1344cはそれぞれ、個別のTFT1308a、1308b、1308cと電気通信するように、絶縁層1342の開口部を通して延在する。PDL1346a-dが、次いで、各電極の外縁を含む、第1の電極1344a-cの少なくとも一部を被覆するように形成される。例えば、PDL1346a-dは、絶縁有機または無機材料を含んでもよい。有機層1348a、1348b、1348cが、次いで、特に、隣接するPDL1346a-dの間の領域内で、個別の第1の電極1344a、1344b、1344cにわたって堆積される。第1の導電性コーティング1371が、有機層1348a-dおよびPDL1346a-dの両方を実質的に被覆するように堆積される。例えば、第1の導電性コーティング1371は、共通カソードまたはその一部を形成してもよい。第1の核形成阻害コーティング1361が、第1の放射領域1331aにわたって配置される第1の導電性コーティング1371の一部にわたって選択的に堆積される。例えば、第1の核形成阻害コーティング1361は、微細金属マスクまたはシャドウマスクを使用して、選択的に堆積されてもよい。故に、第2の導電性コーティング1372が、開放マスクまたはマスクを含まない堆積プロセスを使用して、第1の導電性コーティング1371の露出表面にわたって選択的に堆積される。さらなる具体性のために、開放マスクを使用して、またはマスクを用いることなく、第2の導電性コーティング1372(例えば、マグネシウムを含む)の熱堆積を行うことによって、第2の導電性コーティング1372は、第2の導電性コーティング1372の材料を実質的に含まない第1の核形成阻害コーティング1361の表面を残しながら、第1の導電性コーティング1371の露出表面にわたって選択的に堆積される。第2の導電性コーティング1372は、第2の放射領域1331bおよび第3の放射領域1331cにわたって配置される第1の導電性コーティング1371の部分をコーティングするように堆積されてもよい。
【0068】
図13に図示されるデバイス1300では、第1の導電性コーティング1371および第2の導電性コーティング1372は、共通カソード1375を集合的に形成してもよい。具体的には、共通カソード1375は、第1の導電性コーティング1371および第2の導電性コーティング1372の組み合わせによって形成されてもよく、第2の導電性コーティング1372は、第1の導電性コーティング1371の少なくとも一部にわたって直接配置される。共通カソード1375は、第1の放射領域1331a内で第1の厚さt
c1と、第2の放射領域1335bおよび第3の放射領域1335c内で第2の厚さt
c2とを有する。第1の厚さt
c1は、第1の導電性コーティング1371の厚さに対応してもよく、第2の厚さt
c2は、第1の導電性コーティング1371および第2の導電性コーティング1372の複合厚さに対応してもよい。故に、第2の厚さt
c2は、第1の厚さt
c1を上回る。
【0069】
図14は、共通カソード1375がさらに、第3の導電性コーティング1373を備える、デバイス1300のさらなる実施形態を図示する。具体的には、
図14の実施形態では、デバイス1300は、第2の放射領域1331bにわたって提供される第2の導電性コーティング1372の一部にわたって配置される、第2の核形成阻害コーティング1362を備える。第3の導電性コーティング1373が、次いで、第3の放射領域1331cにわたって配置される第2の導電性コーティング1372の部分を含む、第2の導電性コーティング1372の露出または未処理表面にわたって堆積される。このように、第1の放射領域1331a内で第1の厚さt
c1と、第2の放射領域1331b内で第2の厚さt
c2と、第3の放射領域1331c内で第3の厚さt
c3とを有する、共通カソード1375が、提供されてもよい。理解されるであろうように、第1の厚さt
c1は、第1の導電性コーティング1371の厚さに対応し、第2の厚さt
c2は、第1の導電性コーティング1371および第2の導電性コーティング1372の複合厚さに対応し、第3の厚さt
c3は、第1の導電性コーティング1371、第2の導電性コーティング1372、および第3の導電性コーティング1373の複合厚さに対応する。故に、第1の厚さt
c1は、概して、第2の厚さt
c2を下回り、第3の厚さt
c3は、概して、第2の厚さt
c2を上回る。
【0070】
図15に図示されるさらに別の実施形態では、デバイス1300はさらに、第3の放射領域1331cにわたって配置される第3の核形成阻害コーティング1363を備える。具体的には、第3の核形成阻害コーティング1363は、第3の放射領域1331cに対応するデバイスの一部をコーティングする、第3の導電性コーティング1373の一部にわたって堆積されるものとして図示される。
【0071】
図16に図示されるさらに別の実施形態では、デバイス1300はさらに、デバイス1300の非放射領域内に配置される補助電極1381を備える。例えば、補助電極1381は、第2の導電性コーティング1372および/または第3の導電性コーティング1373を堆積させるために使用されるものと実質的に同一のプロセスを使用して、形成されてもよい。補助電極1381は、デバイス1300の非放射領域に対応する、PDL1346a-1346dにわたって堆積されるものとして図示される。補助電極1381は、放射領域1331a-cにわたって形成されないように実質的に阻害され得、したがって、放射領域1331a-cは、補助電極1381を形成するために使用される材料を実質的に含まなくてもよい。
【0072】
第1の導電性コーティング1371、第2の導電性コーティング1372、および第3の導電性コーティング1373は、電磁スペクトルの可視波長部分では光透過性または実質的に透明であり得る。さらに明確するために、第1の導電性コーティング1371、第2の導電性コーティング1372、および第3の導電性コーティング1373はそれぞれ、電磁スペクトルの可視波長範囲の少なくとも一部では光透過性または実質的に透明であり得る。したがって、第2の導電性コーティングおよび/または第3の導電性コーティングが、共通カソード1375を形成するように第1の導電性コーティングの上に配置されるとき、そのような電極はまた、電磁スペクトルの可視波長部分では光透過性または実質的に透明であり得る。例えば、第1の導電性コーティング1371、第2の導電性コーティング1372、第3の導電性コーティング1373、および/または共通カソード1375の光透過率は、電磁スペクトルの可視部分では、約30%を上回る、約40%を上回る、約45%を上回る、約50%を上回る、約60%を上回る、70%を上回る、約75%を上回る、または約80%を上回り得る。
【0073】
いくつかの実施形態では、第1の導電性コーティング1371、第2の導電性コーティング1372、および第3の導電性コーティング1373の厚さは、比較的高い光透過率を維持するように、比較的薄く作製されてもよい。例えば、第1の導電性コーティング1371の厚さは、約5~30nm、約8~25nm、または約10~20nmであってもよい。第2の導電性コーティング1372の厚さは、例えば、約1~25nm、約1~20nm、約1~15nm、約1~10nm、または約3~6nmであってもよい。第3の導電性コーティング1373の厚さは、例えば、約1~25nm、約1~20nm、約1~15nm、約1~10nm、または約3~6nmであってもよい。故に、第1の導電性コーティング1371ならびに第2の導電性コーティング1372および/または第3の導電性コーティング1373の組み合わせによって形成される、共通カソード1375の厚さは、例えば、約6~35nm、約10~30nm、または約10~25nm、もしくは約12~18nmであってもよい。
【0074】
補助電極1381の厚さは、第1の導電性コーティング1371、第2の導電性コーティング1372、第3の導電性コーティング1373、および/または共通カソード1375の厚さを実質的に上回り得る。例えば、補助電極1381の厚さは、約50nmを上回る、約80nmを上回る、約100nmを上回る、約150nmを上回る、約200nmを上回る、約300nmを上回る、約400nmを上回る、約500nmを上回る、約700nmを上回る、約800nmを上回る、約1μmを上回る、約1.2μmを上回る、約1.5μmを上回る、約2μmを上回る、約2.5μmを上回る、または約3μmを上回り得る。いくつかの実施形態では、補助電極1375は、実質的に非透明または不透明であり得る。しかしながら、補助電極1375が、概して、デバイスの非放射領域内に提供されるため、補助電極1375は、有意な光学干渉を引き起こし得ない。例えば、補助電極1375の光透過率は、電磁スペクトルの可視部分では、約50%未満、約70%未満、約80%未満、約85%未満、約90%未満、または約95%未満であり得る。いくつかの実施形態では、補助電極1375は、電磁スペクトルの可視波長範囲の少なくとも一部で光を吸収してもよい。
【0075】
第1の導電性コーティング1371は、光透過性導電性層またはコーティングを形成するために使用される種々の材料から成ってもよい。例えば、第1の導電性コーティング1371は、透明導電性酸化物(TCO)、金属または非金属薄膜、およびそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。第1の導電性コーティング1371はさらに、2つまたはそれを上回る層もしくはコーティングを備えてもよい。例えば、そのような層またはコーティングは、相互の上に配置される明確に異なる層またはコーティングであってもよい。第1の導電性コーティング1371は、例えば、インジウムスズ酸化物(ITO)、フッ素スズ酸化物(FTO)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、イッテルビウム(Yb)、銀(Ag)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、および前述の材料のうちのいずれかを含有する合金を含む、それらの任意の組み合わせを含む、種々の材料から成ってもよい。例えば、第1の導電性コーティング1371は、Mg:Ag合金、Mg:Yb合金、またはそれらの組み合わせから成ってもよい。Mg:Ag合金またはMg:Yb合金に関して、合金組成は、約1:9~約9:1体積比に及んでもよい。他の実施例では、第1の導電性コーティング1371は、Yb/Agbi層コーティングを備えてもよい。例えば、そのような二層コーティングは、銀コーティングが後に続く、イッテルビウムコーティングを堆積させることによって、形成されてもよい。銀コーティングの厚さは、イッテルビウムコーティングの厚さを上回り得る、またはその逆も同様である。さらに別の実施例では、第1の導電性コーティング1371は、フラーレンおよびマグネシウムから成ってもよい。例えば、そのようなコーティングは、マグネシウムコーティングが後に続く、フラーレンコーティングを堆積させることによって、形成されてもよい。別の実施例では、フラーレンが、フラーレン含有マグネシウム合金コーティングを形成するようにマグネシウムコーティング内に分散されてもよい。そのようなコーティングの実施例は、米国特許出願公開第US2015/0287846号(2015年10月8日公開)およびPCT出願第PCT/IB2017/054970号(2017年8月15日出願)でさらに説明されている。
【0076】
第2の導電性コーティング1372および第3の導電性コーティング1373は、イッテルビウム(Yb)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、およびマグネシウム(Mg)等の高蒸気圧材料から成ってもよい。いくつかの実施形態では、第2の導電性コーティング1372および第3の導電性コーティング1373は、純粋または実質的に純粋なマグネシウムから成ってもよい。
【0077】
補助電極1381は、第2の導電性コーティング1372および/または第3の導電性コーティング1373と実質的に同一の材料から成ってもよい。いくつかの実施形態では、補助電極1381は、マグネシウムを含んでもよい。例えば、補助電極1381は、純粋または実質的に純粋なマグネシウムから成ってもよい。他の実施例では、補助電極1381は、Yb、Cd、および/またはZnから成ってもよい。
【0078】
いくつかの実施形態では、放射領域1331a、1331b、1331c内に配置される核形成阻害コーティング1361、1362、1363の厚さは、各放射領域によって放射される光の色または発光スペクトルに従って変動され得る。
図15および16に図示されるように、第1の核形成阻害コーティング1361は、第1の核形成阻害コーティング厚さt
n1を有してもよく、第2の核形成阻害コーティング1362は、第2の核形成阻害コーティング厚さt
n2を有してもよく、第3の核形成阻害コーティング1363は、第3の核形成阻害コーティング厚さt
n3を有してもよい。第1の核形成阻害コーティング厚さt
n1、第2の核形成阻害コーティング厚さt
n2、および/または第3の核形成阻害コーティング厚さt
n3は、相互と実質的に同一であり得る。代替として、第1の核形成阻害コーティング厚さt
n1、第2の核形成阻害コーティング厚さt
n2、および/または第3の核形成阻害コーティング厚さt
n3は、相互と異なり得る。
【0079】
相互から独立して、各放射領域またはサブピクセル内に配置される核形成阻害コーティングの厚さを変調することによって、各放射領域またはサブピクセル内の光学的微小共振器効果が、さらに制御されることができる。例えば、青色サブピクセルにわたって配置される核形成阻害コーティングの厚さは、緑色サブピクセルにわたって配置される核形成阻害コーティングの厚さを下回り得、緑色サブピクセルにわたって配置される核形成阻害コーティングの厚さは、赤色サブピクセルにわたって配置される核形成阻害コーティングの厚さを下回り得る。理解されるであろうように、各放射領域またはサブピクセル内の光学的微小共振器効果は、他の放射領域またはサブピクセルから独立して、放射領域またはサブピクセル毎に核形成阻害コーティング厚さおよび導電性コーティング厚さの両方を変調することによって、さらに大きい程度に制御されてもよい。
【0080】
光学的微小共振器効果は、OLED等の光電子デバイスを構築するために使用される、異なる屈折率を伴う多数の薄膜層およびコーティングによって作成される光学インターフェースの存在に起因して生じる。デバイスにおいて観察される光学的微小共振器効果に影響を及ぼす、いくつかの要因は、全経路長(例えば、それを通してデバイスから放射される光がアウトカップリングされる前に進行しなければならない、デバイスの全厚)と、種々の層およびコーティングの屈折率とを含む。現在、放射領域(例えば、サブピクセル)内のカソードの厚さを変調させることによって、放射領域内の光学的微小共振器効果が変動され得ることが、見出されている。そのような効果は、概して、全光学経路長の変化に起因し得る。本発明者らは、特に、薄いコーティングによって形成される光透過性カソードの場合に、カソード厚さの変化がまた、全光学経路長に加えて、カソードの屈折率も変化させ得ることを、さらに仮定している。さらに、光学経路長、したがって、光学的微小共振器効果はまた、放射領域内に配置される核形成阻害コーティングの厚さを変化させることによって、変調されてもよい。
【0081】
光学的微小共振器効果を変調させることによって影響を受け得る、デバイスの光学的性質は、発光スペクトルと、強度(例えば、発光強度)と、出力光の輝度および色偏移の角度依存性を含む、出力光の角度分布を含む。
【0082】
種々の実施形態が、2または3つの放射領域もしくはサブピクセルを用いて説明されているが、デバイスは、任意の数の放射領域またはサブピクセルを備え得ることを理解されたい。例えば、デバイスは、複数のピクセルを備えてもよく、各ピクセルは、2つ、3つ、またはそれを上回るサブピクセルを備える。さらに、他のピクセルまたはサブピクセルに対するピクセルまたはサブピクセルの具体的配列は、デバイス設計に応じて変動され得る。
【0083】
いくつかの用途では、導電性コーティングが容易に堆積させられることができない基板表面上に、具体的材料性質を有する導電性コーティングを堆積させることが望ましくあり得る。例えば、純粋または実質的に純粋なマグネシウムは、典型的には、種々の有機表面上のマグネシウムの低い付着係数に起因して、有機表面上に容易に堆積させられることができない。故に、いくつかの実施形態では、第1の導電性コーティング、第2の導電性コーティング、第3の導電性コーティング、および/または補助電極が堆積される表面はさらに、マグネシウムを含むもの等の導電性コーティングを堆積させることに先立って、その上に核形成助長コーティングを堆積させることによって処理されてもよい。
【0084】
所見および実験観察に基づいて、フラーレンならびに他の核形成助長材料は、本明細書でさらに解説されるであろうように、マグネシウムを含む導電性コーティングの堆積のための核形成部位として作用することが仮定される。例えば、マグネシウムが、フラーレン処理表面上に蒸発プロセスを使用して堆積させられる場合において、フラーレン分子は、マグネシウム堆積のための安定した核の形成を助長する核形成部位として作用する。フラーレンまたは他の核形成助長材料の単分子未満の層が、ある場合には、マグネシウムの堆積のための核形成部位として作用するように、処理された表面上に提供されてもよい。理解されるであろうように、核形成助長材料のいくつかの単分子層を堆積させることによって表面を処理することは、より多数の核形成部位、したがって、より高い初期付着確率をもたらし得る。
【0085】
また、表面上に堆積されるフラーレンまたは他の材料(核形成助長コーティングとして作用し得る)の量は、1つを上回る、または1つ未満の単分子層であり得ることも理解されたい。例えば、表面は、核形成助長材料の0.1の単分子層、1つの単分子層、10の単分子層、またはそれを上回るものを堆積させることによって処理されてもよい。核形成阻害コーティングを形成するように表面上に堆積される核形成阻害材料の量は、概して、約1つの単分子層またはそれを上回るであろう。本明細書で使用されるように、材料の1つの単分子層を堆積させることは、材料の構成分子または原子の単一の層で表面の所望の面積を被覆する材料の量を指す。同様に、本明細書で使用されるように、材料の0.1の単分子層を堆積させることは、材料の構成分子または原子の単一の層で表面の所望の面積の10%を被覆する材料の量を指す。例えば、分子または原子の可能性として考えられる積層もしくはクラスタ化に起因して、堆積した材料の実際の厚さは、非一様であり得る。例えば、材料の1つの単分子層を堆積させることが、材料によって被覆されていない表面のいくつかの領域をもたらし得る一方で、表面の他の領域は、その上に堆積させられた複数の原子または分子層を有してもよい。
【0086】
本明細書で使用されるように、「フラーレン」という用語は、炭素分子を含む材料を指す。フラーレン分子の実施例は、閉鎖シェルを形成し、形状が球形または半球形であり得る、複数の炭素原子を含む、3次元骨格を含む、炭素ケージ分子を含む。フラーレン分子は、nが、フラーレン分子の炭素骨格に含まれる炭素原子の数に対応する整数である、Cnとして指定されることができる。フラーレン分子の実施例は、nが、C60、C70、C72、C74、C76、C78、C80、C82、およびC84等の50~250の範囲内である、Cnを含む。フラーレン分子の付加的実施例は、単一壁炭素ナノチューブおよび多重壁炭素ナノチューブ等の管または円筒形の炭素分子を含む。
【0087】
限定されないが、蒸発(熱蒸発および電子ビーム蒸発を含む)、フォトリソグラフィ、印刷(インクまたは蒸気ジェット印刷、リールツーリール印刷、およびミクロ接触転写印刷を含む)、OVPD、LITIパターン化、およびそれらの組み合わせを含む、表面上に材料を選択的に堆積させるための種々のプロセスが、核形成助長コーティングを堆積させるために使用されてもよい。
【0088】
例えば、
図1および2A-2Cの実施形態を参照すると、核形成助長コーティングを堆積させる付加的ステップが、段階12に先立って行われてもよい。具体的には、基板102の表面は、第1の導電性コーティング131を堆積させることに先立って、核形成助長コーティングでコーティングされてもよい。他の実施形態では、第1の導電性コーティング131にわたって核形成助長コーティングを選択的に堆積させる付加的ステップが、段階16において第2の導電性コーティングを堆積させることに先立って、含まれてもよい。例えば、そのような付加的ステップは、段階14における第1の核形成阻害コーティングの選択的堆積の前、かつ段階12における第1の導電性コーティングの堆積の後に、または段階14における第1の核形成阻害コーティングの選択的堆積の後、かつ段階16における第2の導電性コーティングの堆積の前に、含まれてもよい。例えば、そのような核形成助長コーティングは、処理されてない、または第1の核形成阻害コーティング141から露出される、第1の導電性コーティング131の部分にわたって配置されてもよい。例えば、核形成助長コーティングは、非放射領域121a、121b、121c、および第2の放射領域114にわたって提供される導電性コーティングの部分内で、第1の導電性コーティング131と第2の導電性コーティング151との間の界面に配置されてもよい。
【0089】
別の実施例では、
図13-16に図示されるデバイス1300の種々の実施形態を参照すると、第1の核形成助長コーティングが、有機層1348a、1348b、1348cと第1の導電性コーティング1371との間の界面に配置されてもよい。代替として、またはそれに加えて、さらなる核形成助長コーティングが、第1の導電性コーティング1371と第2の導電性コーティング1372との間の界面に、および/または第2の導電性コーティング1372と第3の導電性コーティング1373との間の界面に配置されてもよい。所望される場合、そのような核形成助長コーティングは、開放マスクまたはマスクを含まない堆積プロセスを使用して、堆積されてもよい。故に、いくつかの実施例では、核形成助長コーティングは、第1の核形成阻害コーティング1361、第2の核形成阻害コーティング1362、および第3の核形成阻害コーティング1363と、核形成阻害コーティングのそれぞれの下に位置する個別の導電性コーティングまたは表面との間の界面に配置されてもよい。
【0090】
ベース基板1010、1310は、可撓性または剛性基板であってもよい。ベース基板は、例えば、シリコン、ガラス、金属、ポリマー(例えば、ポリイミド)、サファイア、またはベース基板として使用するために好適な他の材料を含んでもよい。
【0091】
有機層は、エレクトロルミネセント層を含む。エレクトロルミネセント層は、例えば、エミッタ材料でホスト材料をドープすることによって、形成されてもよい。エミッタ材料は、例えば、蛍光エミッタ、リン光エミッタ、またはTADFエミッタであってもよい。複数のエミッタ材料もまた、エレクトロルミネセント層を形成するようにホスト材料の中へドープされてもよい。
【0092】
前述の実施形態のうちのいくつかは、OLEDに関連して説明されているが、そのようなプロセスおよびプロセスの結果として形成される導電性コーティングは、活性層材料として量子ドットを含む、光電子デバイスを形成するために使用され得ることを理解されたい。例えば、そのようなデバイスは、量子ドットを含む活性層を伴う一対の電極の間に配置される、活性層を含んでもよい。本デバイスは、例えば、光が、電極によって提供される電流の結果として、量子ドット活性層から放射される、エレクトロルミネセント量子ドットディスプレイデバイスであってもよい。導電性コーティングは、そのようなデバイス用の電極を形成してもよい。
【0093】
上記の実施形態によると、導電性コーティングが、核形成阻害コーティングまたは核形成阻害および核形成助長コーティングの組み合わせの使用を通して、開放マスクまたはマスクを含まない堆積プロセスを使用して、標的領域(例えば、放射領域またはサブピクセル領域)上に選択的に堆積させられてもよい。対照的に、開放マスクまたはマスクを含まない堆積プロセスにおける十分な選択性の欠如は、標的領域を越えて、かつ非放射領域または隣接する放射領域もしくはサブピクセル領域にわたって、導電性材料の堆積をもたらし、これは、隣接する放射領域またはサブピクセル領域にわたるそのような材料の堆積が、これらの領域内のデバイスの光学的性質の減少に寄与し得るため、望ましくない。また、標的領域上に導電性コーティングを堆積させることの高い選択性を提供することによって、導電性コーティングは、異なるサブピクセル領域の間で変動する厚さを伴う電極としての役割を果たし、OLEDデバイスにおいて所望の光学的および電気的性能を達成することができる。例えば、上記の実施形態によって提供される高い選択性は、変動する厚さを有する共通カソードの堆積を可能にし、サブピクセル毎の光学的微小共振器効果およびそれと関連付けられる発光色スペクトルを同調または変調させる。
【0094】
基板の表面上の蒸着中の薄膜の形成は、核形成および成長のプロセスを伴う。膜形成の初期段階中に、十分な数の蒸気モノマー(例えば、原子または分子)が、典型的には、表面上に初期核を形成するように気相から凝縮する。蒸気モノマーが表面に衝突し続けると、これらの初期核のサイズおよび密度は、小さいクラスタまたは島を形成するように増加する。飽和島密度に達した後、隣接する島が、典型的には、合体し始め、島密度を減少させながら、平均島サイズを増大させる。隣接する島の合体は、実質的に閉鎖された膜が形成されるまで継続する。
【0095】
薄膜の形成のための3つの基本的成長モード、すなわち、1)島(フォルマー・ウェーバー)、2)層毎(フランク・ファン・デル・メルヴェ)、および3)ストランスキー・クラスタノフが存在し得る。島成長は、典型的には、モノマーの安定したクラスタが、表面上で核となり、離散島を形成するように成長するときに起こる。本成長モードは、モノマーの間の相互作用が、モノマーと表面との間のものよりも強いときに起こる。
【0096】
核形成率は、単位時間につき表面上に形成する臨界サイズの核の数を説明する。膜形成の初期段階中に、核の密度が低く、したがって、核が表面の比較的小さい部分を被覆する(例えば、隣接する核の間に大きい間隙/空間がある)ため、核が表面上のモノマーの直接衝突から成長するであろう可能性は低い。したがって、臨界核が成長する速度は、典型的には、表面上の吸着されたモノマー(例えば、吸着原子)が移動し、近くの核に付着する速度に依存する。
【0097】
表面上の吸着原子の吸着後、吸着原子は、表面から脱着し得るか、または脱着すること、小さいクラスタを形成するように他の吸着原子と相互作用すること、もしくは成長する核に付着することのいずれかの前に、表面上である距離を移動し得るかのいずれかである。吸着原子が初期吸着後に表面上に残留する平均時間量は、以下によって求められる。
【数1】
【0098】
上記の方程式では、vは、表面上の吸着原子の振動周波数であり、kは、ボルツマン定数であり、Tは、温度であり、E
desは、表面から吸着原子を脱着するために関与するエネルギーである。本方程式から、E
desの値が低いほど、吸着原子が表面から脱着することが容易であり、故に、吸着原子が表面上に残留するであろう時間が短いことに留意されたい。吸着原子が拡散することができる平均距離は、以下によって求められる。
【数2】
式中、a
0は、格子定数であり、E
sは、表面拡散のための活性化エネルギーである。E
desの低い値および/またはE
sの高い値に関して、吸着原子は、脱着前に、より短い距離で拡散し、故に、成長する核に付着する、または別の吸着原子もしくは吸着原子のクラスタと相互作用する可能性が低い。
【0099】
膜形成の初期段階中に、吸着された吸着原子は、クラスタを形成するように相互作用してもよく、単位面積あたりのクラスタの臨界濃度は、以下によって求められ、
【数3】
式中、E
iは、i個の吸着原子を含有する臨界クラスタを別個の吸着原子に解離するために関与するエネルギーであり、n
0は、吸着部位の総密度であり、N
1は、以下によって求められるモノマー密度である。
【数4】
式中、
【数5】
は、蒸気衝突速度である。典型的には、iは、堆積させられている材料の結晶構造に依存し、安定した核を形成する臨界クラスタサイズを判定するであろう。
【0100】
成長するクラスタの臨界モノマー供給速度は、蒸気衝突速度と、脱着前にそれを覆って吸着原子が拡散することができる平均面積とによって求められる。
【数6】
【0101】
臨界核形成速度は、したがって、上記の方程式の組み合わせによって求められる。
【数7】
【0102】
上記の方程式から、臨界核形成速度は、吸着された吸着原子のための低い脱着エネルギーと、吸着原子の拡散のための高い活性化エネルギーとを有する、高温である、または低い蒸気衝突速度を受ける表面のために抑制されるであろうことに留意されたい。
【0103】
欠陥、レッジ、またはステップ縁等の基板の不均一性部位は、Edesを増加させ、そのような部位で観察される核のより高い密度につながり得る。また、表面上の不純物または汚染もまた、Edesを増加させ、核のより高い密度につながり得る。高真空条件下で行われる蒸着プロセスに関して、表面上の汚染物質のタイプおよび密度は、真空圧力ならびにその圧力を構成する残留ガスの組成による影響を受ける。
【0104】
高真空条件下で、(cm
2・秒あたりの)表面に衝突する分子の流束は、以下によって求められる。
【数8】
式中、Pは、圧力であり、Mは、分子量である。したがって、H
2O等の反応性ガスのより高い分圧は、E
desの増加、故に、核のより高い密度につながる、蒸着中の表面上の汚染のより高い密度につながり得る。
【0105】
薄膜の核形成および成長を特徴付けるための有用なパラメータは、以下によって求められる付着確率である。
【数9】
式中、N
adsは、表面上に残留する(例えば、膜に組み込まれる)吸着されたモノマーの数であり、N
totalは、表面上の衝突するモノマーの総数である。1に等しい付着確率は、表面に衝突する全てのモノマーが吸着され、続いて、成長する膜に組み込まれることを示す。0に等しい付着確率は、表面に衝突する全てのモノマーが吸着され、続いて、いかなる膜も表面上に形成されないことを示す。種々の表面上の金属の付着確率は、Walker et al., J. Phys. Chem. C2007, 111,
765(2006年)によって、および以下の実施例の節で説明されるような二重水晶微量天秤(QCM)技法等の付着確率を測定する種々の技法を使用して、評価されることができる。
【0106】
島の密度が増加する(例えば、平均膜厚さを増加させる)と、付着確率が変化し得る。例えば、低い初期付着確率は、増加する平均膜厚さとともに増加し得る。これは、島がない表面(裸の基板)の面積と高密度の島を伴う面積との間の付着確率の差に基づいて、理解されることができる。例えば、島の表面に衝突するモノマーは、1に近い付着確率を有してもよい。
【0107】
初期付着確率S
0は、したがって、任意の有意数の臨界核の形成に先立った、表面の付着確率として規定されることができる。初期付着確率の1つの尺度は、表面を横断する堆積させられた材料の平均厚さが閾値である、またはそれを下回る、材料の堆積の初期段階中の材料の表面の付着確率を伴うことができる。いくつかの実施形態の説明では、初期付着確率の閾値は、1nmとして規定されることができる。平均付着確率は、次いで、以下によって求められる。
【数10】
式中、S
nucは、島によって被覆される面積の付着確率であり、A
nucは、島によって被覆される基板表面の面積の割合である。
【0108】
核形成阻害コーティングを形成するように使用するための好適な材料は、約0.3(または30%)以内または未満、もしくは約0.2以内または未満、もしくは約0.1以内または未満、もしくは約0.05以内または未満、より具体的には、約0.03以内または未満、約0.02以内または未満、約0.01以内または未満、約0.08以内または未満、約0.005以内または未満、約0.003以内または未満、約0.001以内または未満、約0.0008以内または未満、約0.0005以内または未満、もしくは約0.0001以内または未満の導電性コーティングの材料の初期付着確率を呈する、または有するものとして特徴付けられるものを含む。特に、核形成阻害コーティングが受ける、蒸着導電性コーティング材料(第1の導電性コーティング、第2の導電性コーティング、第3の導電性コーティング、および/または補助電極を形成するために使用される材料を含む)の全流束が、例えば、約50nm未満または約30nm未満の全平均厚さを有する、比較的薄い導電性コーティングを形成するための量と同等である、実施形態では、核形成阻害コーティングの初期付着確率は、比較的高くあり得る(例えば、約0.3未満の初期付着確率)。しかしながら、核形成阻害コーティングが受ける、蒸着導電性コーティング材料の全流束が、例えば、約50nmを上回る、約80nmを上回る、約100nmを上回る、または約300nmを上回る全平均厚さを有する、比較的厚い導電性コーティングを形成するための量と同等である、実施形態では、核形成阻害コーティングの初期付着確率は、比較的低くあり得る(例えば、約0.1未満、約0.05未満、または約0.03未満の初期付着確率)。例えば、第1の核形成阻害コーティング、第2の核形成阻害コーティング、および/または第3の核形成阻害コーティングを形成するように使用するための好適な材料は、TAZ、BAlq、およびそれらの任意の混合物を含む。
【0109】
核形成助長コーティングを形成するように使用するための好適な材料は、少なくとも約0.6(もしくは60%)、少なくとも約0.7、少なくとも約0.75、少なくとも約0.8、少なくとも約0.9、少なくとも約0.93、少なくとも約0.95、少なくとも約0.98、または少なくとも約0.99の導電性コーティングの材料の初期付着確率を呈する、または有するものとして特徴付けられるものを含む。
【0110】
好適な核形成阻害材料は、小分子有機材料および有機ポリマー等の有機材料を含む。好適な有機材料の実施例は、随意に、窒素(N)、硫黄(S)、酸素(O)、リン(P)、およびアルミニウム(Al)等の1つまたはそれを上回るヘテロ原子を含み得る、有機分子を含む多環式芳香族化合物を含む。いくつかの実施形態では、多環式芳香族化合物は、核部分と、核部分に結合された少なくとも1つの末端部分とをそれぞれ含む、有機分子を含む。末端部分の数は、1またはそれを上回る、2またはそれを上回る、3またはそれを上回る、もしくは4またはそれを上回ってもよい。2つまたはそれを上回る末端部分の場合、末端部分は、同一もしくは異なり得る、または末端部分のサブセットは、同一であり得るが、少なくとも1つの残留末端部分と異なり得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの末端部分は、以下のような化学構造(I-a)、(I-b)、および(Ic)のうちの1つによって表される、ビフェニリル部分である、またはそれを含む。
【化1】
点線は、ビフェニリル部分と核部分との間に形成される結合を示す。一般に、(I-a)、(I-b)、および(I-c)によって表されるビフェニリル部分は、非置換であり得る、またはその水素原子のうちの1つもしくはそれを上回るものを1つまたはそれを上回る置換基によって置換させることによって置換されてもよい。(I-a)、(I-b)、および(I-c)によって表される部分では、R
aおよびR
bは、1つまたはそれを上回る置換基の随意の存在を独立して表し、R
aは、一、二、三、または四置換を表してもよく、R
bは、一、二、三、四、または五置換を表してもよい。例えば、1つまたはそれを上回る置換基R
aおよびR
bは、ジュウテロ、フルオロ、C
1-C
4アルキル、シクロアルキル、アリールアルキル、シリル、アリール、ヘテロアリール、フルオロアルキルを含む、アルキル、およびそれらの任意の組み合わせから独立して選択されてもよい。具体的には、1つまたはそれを上回る置換基R
aおよびR
bは、メチル、エチル、t-ブチル、トリフルオロメチル、フェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、t-ブチルフェニル、ビフェニリル、メチルビフェニリル、ジメチルビフェニリル、トリメチルビフェニリル、t-ブチルビフェニリル、フルオロフェニル、ジフルオロフェニル、トリフルオロフェニル、ポリフルオロフェニル、フルオロビフェニリル、ジフルオロビフェニリル、トリフルオロビフェニリル、およびポリフルオロビフェニリルから独立して選択されてもよい。特定の理論によって拘束されることを所望するわけではないが、表面上の露出したビフェニリル部分の存在は、マグネシウム等の導電性材料の堆積に向けた表面の親和性を低下させるように、表面エネルギー(例えば、脱着エネルギー)を調節または同調する役割を果たしてもよい。マグネシウムの堆積を阻害する表面エネルギーの類似同調を生じる、他の部分および材料が、核形成阻害コーティングを形成するために使用されてもよい。
【0111】
別の実施形態では、少なくとも1つの末端部分は、以下のような構造(I-d)によって表されるフェニル部分である、またはそれを含む。
【化2】
点線は、フェニル部分と核部分との間に形成される結合を示す。一般に、(I-d)によって表されるフェニル部分は、非置換であり得る、またはその水素原子のうちの1つもしくはそれを上回るものを1つまたはそれを上回る置換基によって置換させることによって置換されてもよい。(I-d)によって表される部分では、R
cは、1つまたはそれを上回る置換基の随意の存在を表し、R
cは、一、二、三、四、または五置換を表してもよい。1つまたはそれを上回る置換基R
cは、ジュウテロ、フルオロ、C
1-C
4アルキル、シクロアルキル、シリル、フルオロアルキルを含む、アルキル、およびそれらの任意の組み合わせから独立して選択されてもよい。具体的には、1つまたはそれを上回る置換基R
cは、メチル、エチル、t-ブチル、フルオロメチル、ビフルオロメチル、トリフルオロメチル、フルオロエチル、ポリフルオロエチルから独立して選択されてもよい。
【0112】
さらに別の実施形態では、少なくとも1つの末端部分は、フルオレン部分またはフェニレン部分(複数の(例えば、3つ、4つ、またはそれを上回る)縮合ベンゼン環を含有するものを含む)等の縮合環構造を含む、多環式芳香族部分である、もしくはそれを含む。そのような部分の実施例は、スピロビフルオレン部分、トリフェニレン部分、ジフフェニルフルオレン部分、ジメチルフルオレン部分、ジフルオロフルオレン部分、およびそれらの任意の組み合わせを含む。
【0113】
いくつかの実施形態では、多環式芳香族化合物は、以下のような化学構造(II)、(III)、および(IV)のうちの少なくとも1つによって表される有機分子を含む。
【化3】
【0114】
(II)、(III)、および(IV)では、Cは、核部分を表し、T1、T2、およびT3は、核部分に結合された末端部分を表す。1つ、2つ、および3つの末端部分が、(II)、(III)、ならびに(IV)で描写されているが、3つを上回る末端部分も含まれ得ることを理解されたい。
【0115】
いくつかの実施形態では、Cは、実施例がトリアゾール部分である、1つまたはそれを上回る窒素原子を含む複素環部分等の複素環部分である、もしくはそれを含む。いくつかの実施形態では、Cは、アルミニウム原子、銅原子、イリジウム原子、および/または白金原子等の金属原子(遷移および遷移後原子を含む)である、もしくはそれを含む。いくつかの実施形態では、Cは、窒素原子、酸素原子、および/またはリン原子である、もしくはそれを含む。いくつかの実施形態では、Cは、芳香族であり得る、環状炭化水素部分である、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、Cは、分岐または非分岐であり得る、置換もしくは非置換アルキル、シクロアルキニル(1~7個の炭素原子を含有するものを含む)、アルケニル、アルキニル、アリール(フェニル、ナフチル、チエニル、およびインドリルを含む)、アリールアルキル、複素環部分(モルホリノ、ピペリジノ、およびピロリジノ等の環状アミンを含む)、環状エーテル部分(テトラヒドロフランおよびテトラヒドロピラン部分等)、ヘテロアリール(ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、多環式複素芳香族部分、およびジベンジルチオフェニルを含む)、フルオレン部分、シリル、およびそれらの任意の組み合わせである、またはそれを含む。
【0116】
(II)、(III)、および(IV)では、T1は、(I-a)、(I-b)、(I-c)、または(I-d)によって表される部分、もしくは上記で説明されるような縮合環構造を含む多環式芳香族部分である、またはそれを含む。部分T1は、核部分に直接結合されてもよい、またはリンカ部分を介して核部分に結合されてもよい。リンカ部分の実施例は、-O-(Oは酸素原子を表す)、-S-(Sは硫黄原子を表す)、および1つ、2つ、3つ、4つ、またはそれを上回る炭素原子を含み、非置換もしくは置換であり得、随意に、1つまたはそれを上回るヘテロ原子を含み得る、環状もしくは非環状炭化水素部分を含む。核部分と1つまたはそれを上回る末端部分との間の結合は、共有結合、もしくは特に有機金属化合物の場合、金属要素と有機要素との間に形成される結合であってもよい。
【0117】
(III)では、T1およびT2は、少なくともT1が、(I-a)、(I-b)、(I-c)、または(I-d)によって表される部分、もしくは上記で説明されるような縮合環構造を含む多環式芳香族部分である、またはそれを含む限り、同一であり得る、もしくは異なり得る。例えば、T1およびT2はそれぞれ、(I-a)、(I-b)、(I-c)、または(I-d)によって表される部分、もしくは上記で説明されるような縮合環構造を含む多環式芳香族部分であってもよい、またはそれを含んでもよい。別の実施例として、T1が、(I-a)、(I-b)、(I-c)、または(I-d)によって表される部分、もしくは上記で説明されるような縮合環構造を含む多環式芳香族部分である、またはそれを含む一方で、T2は、そのような部分が欠けていてもよい。いくつかの実施形態では、T2は、芳香族であり得る、単環構造を含み得る、または多環式であり得る、置換または非置換であり得る、かつ核部分に直接結合され得る、またはリンカ部分を介して核部分に結合され得る、環状炭化水素部分である、もしくはそれを含む。いくつかの実施形態では、T2は、単環構造を含み得る、または多環式であり得る、置換または非置換であり得る、かつ核部分に直接結合され得る、またはリンカ部分を介して核部分に結合され得る、1つまたはそれを上回る窒素原子を含む複素環部分等の複素環部分である、もしくはそれを含む。いくつかの実施形態では、T2は、置換または非置換であり得る、随意に、1つまたはそれを上回るヘテロ原子を含み得る、かつ核部分に直接結合され得る、またはリンカ部分を介して核部分に結合され得る、環状炭化水素部分である、もしくはそれを含む。T1およびT2が異なる、いくつかの実施形態では、T2は、T1と同等のサイズを有する部分から選択されてもよい。具体的には、T2は、T1の分子量の約2倍以内、約1.9倍以内、約1.7倍以内、約1.5倍以内、約1.2倍以内、または約1.1倍以内の分子量を有する、上記に列挙された部分から選択されてもよい。特定の理論によって拘束されることを所望するわけではないが、(I-a)、(I-b)、(I-c)、または(I-d)によって表される部分、もしくは上記で説明されるような縮合環構造を含む多環式芳香族部分と異なる、またはそれが欠けている、末端部分T2が含まれるとき、T1に対するT2の同等のサイズは、分子積層、立体障害、またはそのような効果の組み合わせに起因して、T1の暴露を妨げ得る大型末端基とは対照的に、表面上のT1の暴露を助長し得ることが仮定される。
【0118】
(IV)では、T1、T2、およびT3は、少なくともT1が、(I-a)、(I-b)、(I-c)、または(I-d)によって表される部分、もしくは上記で説明されるような縮合環構造を含む多環式芳香族部分である、またはそれを含む限り、同一であり得る、もしくは異なり得る。例えば、T1、T2、およびT3はそれぞれ、(I-a)、(I-b)、(I-c)、または(I-d)によって表される部分、もしくは上記で説明されるような縮合環構造を含む多環式芳香族部分であってもよい、またはそれを含んでもよい。別の実施例として、T1およびT2がそれぞれ、(I-a)、(I-b)、(I-c)、または(I-d)によって表される部分、もしくは上記で説明されるような縮合環構造を含む多環式芳香族部分であってもよい、またはそれを含んでもよい一方で、T3は、そのような部分が欠けていてもよい。別の実施例として、T1およびT3がそれぞれ、(I-a)、(I-b)、(I-c)、または(I-d)によって表される部分、もしくは上記で説明されるような縮合環構造を含む多環式芳香族部分であってもよい、またはそれを含んでもよい一方で、T2は、そのような部分が欠けていてもよい。さらなる実施例として、T1が、(I-a)、(I-b)、(I-c)、または(I-d)によって表される部分、もしくは上記で説明されるような縮合環構造を含む多環式芳香族部分である、またはそれを含む一方で、T2およびT3は両方とも、そのような部分が欠けていてもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのT2およびT3は、芳香族であり得る、単環構造を含み得る、または多環式であり得る、置換または非置換であり得る、かつ核部分に直接結合され得る、またはリンカ部分を介して核部分に結合され得る、環状炭化水素部分である、もしくはそれを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのT2およびT3は、単環構造を含み得る、または多環式であり得る、置換または非置換であり得る、かつ核部分に直接結合され得る、またはリンカ部分を介して核部分に結合され得る、1つまたはそれを上回る窒素原子を含む複素環部分等の複素環部分である、もしくはそれを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのT2およびT3は、置換または非置換であり得る、随意に、1つまたはそれを上回るヘテロ原子を含み得る、かつ核部分に直接結合され得る、またはリンカ部分を介して核部分に結合され得る、非環状炭化水素部分である、もしくはそれを含む。T1、T2、およびT3が異なる、いくつかの実施形態では、T2およびT3は、T1と同等のサイズを有する部分から選択されてもよい。具体的には、T2およびT3は、T1の分子量の約2倍以内、約1.9倍以内、約1.7倍以内、約1.5倍以内、約1.2倍以内、または約1.1倍以内の分子量を有する、上記に列挙された部分から選択されてもよい。特定の理論によって拘束されることを所望するわけではないが、(I-a)、(I-b)、(I-c)、または(I-d)によって表される部分、もしくは上記で説明されるような縮合環構造を含む多環式芳香族部分と異なる、またはそれが欠けている、末端部分T2およびT3が含まれるとき、T1に対するT2およびT3の同等のサイズは、分子積層、立体障害、またはそのような効果の組み合わせに起因して、T1の暴露を妨げ得る大型末端基とは対照的に、表面上のT1の暴露を助長し得ることが仮定される。
【0119】
好適な核形成阻害材料は、ポリマー材料を含む。そのようなポリマー材料の実施例は、ペルフルオロ化ポリマーおよびポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリビニリビフェニル、ポリビニルカルバゾール(PVK)、ならびに上記で説明されるような複数の多環式芳香族化合物を重合することによって形成されるポリマーを含むが、それらに限定されない、フッ素重合体を含む。別の実施例では、ポリマー材料は、複数のモノマーを重合することによって形成されるポリマーを含み、モノマーのうちの少なくとも1つは、(I-a)、(I-b)、(I-c)、または(I-d)によって表される部分、もしくは上記で説明されるような縮合環構造を含む多環式芳香族部分である、もしくはそれを含む、末端部分を含む。
【0120】
さらに明確するために、前述の核形成阻害材料のうちのいずれかは、第1の核形成阻害コーティング、第2の核形成阻害コーティング、第3の核形成阻害コーティング、および/または任意の他の核形成阻害コーティングを形成するために使用されてもよい。
【0121】
いくつかの実施形態では、製作プロセス中に堆積される種々の核形成阻害コーティングは、例えば、導電性コーティングが堆積された後に、溶媒またはプラズマエッチングを使用することによって、除去されてもよい。故に、いくつかの実施形態では、本デバイスは、第1の放射領域および第2の放射領域と、第1および第2の放射領域にわたって配置される導電性コーティングとを備えてもよく、導電性コーティングは、第1の放射領域内で第1の厚さと、第2の放射領域内で第2の厚さとを有する。第1の厚さは、第2の厚さを下回るまたは上回り得る。第1の放射領域および第2の放射領域は、相互に異なる波長または発光スペクトルを有する光を放射するように構成されてもよい。例えば、第1の放射領域および第2の放射領域は、エレクトロルミネセントディスプレイデバイスのサブピクセル領域に対応してもよい。
【0122】
上記の実施形態のうちの少なくともいくつかは、蒸発プロセスを使用して形成されている、第1、第2、および第3の核形成阻害コーティング、1つまたはそれを上回る核形成助長コーティング、第1、第2、および第3の導電性コーティング、ならびに補助電極を含む、種々の層またはコーティングを参照して説明されている。理解されるであろうように、蒸発プロセスは、1つまたはそれを上回るソース材料が、低圧(例えば、真空)環境下で蒸発もしくは昇華され、1つまたはそれを上回る蒸発したソース材料の凝結を通して標的表面上に堆積させられる、PVDプロセスのタイプである。種々の異なる蒸発ソースが、ソース材料を加熱するために使用されてもよく、したがって、ソース材料は、種々の方法で加熱され得ることが理解されるであろう。例えば、ソース材料は、電気フィラメント、電子ビーム、誘導加熱によって、または抵抗加熱によって、加熱されてもよい。加えて、そのような層またはコーティングは、フォトリソグラフィ、印刷、OVPD、LITIパターン化、およびそれらの組み合わせを含む、他の好適なプロセスを使用して、堆積および/またはパターン化されてもよい。これらのプロセスはまた、種々のパターンを達成するために、シャドウマスクと組み合わせて使用されてもよい。
【0123】
例えば、マグネシウムが、毎秒約10~30nmまたはそれを上回る等のより高い堆積速度を達成するように、最大約600℃のソース温度で堆積させられてもよい。以下の表1を参照すると、約1nmのフラーレン処理有機表面上に実質的に純粋なマグネシウムを堆積させるために、クヌーセンセルソースを使用して測定された種々の堆積速度が提供されている。限定されないが、ソースと基板との間の距離、基板の特性、基板上の核形成助長コーティングの存在、使用されるソースのタイプ、およびソースから蒸発させられる材料の流束の形状を含む、他の要因もまた、堆積速度に影響を及ぼし得ることが理解されるであろう。
【表1】
【0124】
使用される特定の処理条件は、堆積を行うために使用されている機器に応じて変動し得ることが、当業者によって理解されるであろう。また、より高い堆積速度が、概して、より高いソース温度で達成されることも理解されるであろう。しかしながら、例えば、堆積ソースのより近くに基板を設置することによって等、他の堆積条件も選択されることができる。
【0125】
導電性コーティングを堆積させるために使用される堆積ソース材料は、混合物または化合物であってもよく、いくつかの実施形態では、混合物または化合物のうちの少なくとも1つの成分は、堆積中に基板上に堆積させられない(もしくは、例えば、マグネシウムと比較して比較的少量で堆積させられる)。いくつかの実施形態では、ソース材料は、銅・マグネシウム(Cu-Mg)混合物またはCu-Mg化合物であってもよい。いくつかの実施形態では、マグネシウム堆積ソースのためのソース材料は、マグネシウムと、例えば、Cu等のマグネシウムよりも低い蒸気圧を伴う材料とを含む。他の実施形態では、マグネシウム堆積ソースのためのソース材料は、実質的に純粋なマグネシウムである。具体的には、実質的に純粋なマグネシウムは、純粋なマグネシウム(99.99%およびそれより高い純度のマグネシウム)と比較して、実質的に類似する性質(例えば、核形成阻害および助長コーティング上の初期付着確率)を呈することができる。例えば、核形成阻害コーティング上の実質的に純粋なマグネシウムの初期付着確率は、核形成阻害コーティング上の99.99%純度マグネシウムの初期付着確率の±10%以内または±5%以内であることができる。マグネシウムの純度は、約95%またはそれより高く、約98%またはそれより高く、約99%またはそれより高く、もしくは約99.9%またはそれより高くあり得る。導電性コーティングを堆積させるために使用される堆積ソース材料は、マグネシウムの代わりに、またはそれと組み合わせて、他の金属を含んでもよい。例えば、ソース材料は、イッテルビウム(Yb)、カドミウム(Cd)、亜鉛(Zn)、またはそれらの任意の組み合わせ等の高い蒸気圧材料を含んでもよい。
【0126】
方法および上記で説明されるようなそのような方法を使用して形成される電極の種々の実施形態は、種々のピクセルおよびサブピクセル配列を有するデバイスと併せて使用されてもよい。例えば、本デバイスは、RGBデバイスであってもよく、本デバイスは、複数のピクセルを備え、各ピクセルは、赤色サブピクセルと、緑色サブピクセルと、青色サブピクセルとを備える。他の例示的サブピクセル配列が、
図17-21に図示される。
【0127】
図17は、一実施形態による、菱形ピクセル配列を有する、OLEDデバイス1700の概略図である。OLEDデバイス1700は、複数のピクセル画定層1730と、隣接するPDL1730の間に配置される放射領域1712a-c(サブピクセル)とを含む。放射領域1712a-cは、例えば、緑色サブピクセルに対応し得る、第1のサブピクセル1712aと、例えば、青色サブピクセルに対応し得る、第2のサブピクセル1712bと、例えば、赤色サブピクセルに対応し得る、第3のサブピクセル1712cとを含む。
【0128】
図18は、
図17に示される線A-Aに沿って得られたOLEDデバイス1700の概略図である。
図18でより明確に図示されるように。デバイス1700は、基板1703と、ベース基板1703の表面上に形成される複数のアノードユニット1721とを含む。基板1703はさらに、明確にするために図から省略されている、複数のトランジスタと、ベース基板とを含んでもよい。有機層1715が、隣接するPDL1730の間の領域内で各アノードユニット1721の上に提供され、共通カソード1742が、第1のサブピクセル1712aを形成するように、有機層1715およびPDL1730にわたって提供される。上記で説明されるように、共通カソード1745の厚さは、異なるサブピクセルの間で変動され得る。有機層1715は、複数の有機および/または無機層を含んでもよい。例えば、そのような層は、正孔輸送層、正孔注入層、エレクトロルミネセンス層、電子注入層、および/または電子輸送層を含んでもよい。核形成阻害コーティング1745が、第1のサブピクセル1712aに対応する共通カソード1742の領域にわたって提供される。補助電極1751が、核形成阻害コーティング1745によって露出される、またはコーティングされていない領域にわたって配置されてもよい。例えば、そのような領域は、PDL1730の実質的に平面的な領域に対応する共通カソード1742の部分を含んでもよい。核形成阻害コーティング1745はまた、屈折率整合コーティングとして作用してもよい。薄膜カプセル化層1761が、随意に、デバイス1700をカプセル化するように提供されてもよい。核形成阻害コーティング1745の厚さはまた、サブピクセル毎に光学的微小共振器効果を同調するように、異なるサブピクセルの間で変動され得る。
【0129】
図19は、
図17に示される線B-Bに沿って得られたOLEDデバイス1700の概略図を示す。デバイス1700は、基板1703の表面上に形成される複数のアノードユニット1721と、隣接するPDL1730の間の領域中で各アノードユニット1721の上に提供される有機層1716または1717とを含む。共通カソード1742は、それぞれ、第2のサブピクセル1712bおよび第3のサブピクセル1712cを形成するように、有機層1716および1717ならびにPDL1730を覆って提供される。核形成阻害コーティング1745は、PDL1730の実質的に平面的な領域に対応する、共通カソード1742の被覆されていない領域を覆って、補助電極1751の選択的堆積を可能にするように、サブピクセル1712bおよび1712cに対応する共通カソード1742の領域を覆って提供される。補助電極1751は、被覆されていない、または核形成阻害コーティング1745から露出されている共通カソード1742の領域にわたって配置される。例えば、これらの領域は、PDL1730の実質的に平面的な領域をコーティングする領域に対応してもよい。核形成阻害コーティング1745はまた、指数合致コーティングとして作用してもよい。薄膜カプセル化層1761が、随意に、デバイス1700をカプセル化するように提供されてもよい。
【0130】
図20Aは、別の実施形態による、ピクセル配列を伴うOLEDデバイス2000の概略図である。具体的には、デバイス2000は、放射領域2012a-c(サブピクセル)を分離する、複数のPDL2030を含む。例えば、第1のサブピクセル2012aは、緑色サブピクセルに対応してもよく、第2のサブピクセル2012bは、青色サブピクセルに対応してもよく、第3のサブピクセル2012cは、赤色サブピクセルに対応してもよい。
図20Bは、
図20Aの実施形態による、ピクセル配列を伴うOLEDデバイスの画像である。示されていないが、デバイス2000はさらに、放射領域内で変動する厚さを伴う共通カソード、および/またはデバイス2000の非放射領域にわたって提供される補助電極を含んでもよい。例えば、補助電極は、PDL2030の実質的に平面的な部分に対応する、共通カソードの領域を覆って配置されてもよい。
【0131】
図21Aは、AMOLEDデバイス4300が複数の光透過性領域を含む、さらに別の実施形態による、AMOLEDデバイス4300の一部を図示する。図示されるように、AMOLEDデバイス4300は、複数のピクセル4321を含む。各ピクセル4321は、複数のサブピクセル4333、4335、4337をさらに含む、サブピクセル領域4331と、光透過性領域4351とを含む。例えば、サブピクセル4333は、赤色サブピクセルに対応してもよく、サブピクセル4335は、緑色サブピクセルに対応してもよく、サブピクセル4337は、青色サブピクセルに対応してもよい。解説されるであろうように、光透過性領域4351は、光がデバイス4300を通過することを可能にするように実質的に透明である。
【0132】
図21Bは、一実施形態による、線A-Aに沿って得られたデバイス4300の断面図を図示する。デバイス4300は、ベース基板4310と、TFT4308と、絶縁層4342と、絶縁層4342の上に形成され、TFT4308と電気通信するアノード4344とを含む。第1のPDL4346aおよび第2のPDL4346bが、絶縁層4342を覆って形成され、アノード4344の縁を被覆する。1つまたはそれを上回る有機層4348が、アノード4344の露出領域およびPDL4346a、4346bの一部を被覆するように堆積させられる。第1の導電性コーティング4350が、次いで、1つまたはそれを上回る有機層4348にわたって堆積される。図示される実施形態では、第1の導電性コーティング4350は、サブピクセル領域4331および光透過性領域4351の両方にわたって配置される。そのような実施形態では、第1の導電性コーティング4350は、実質的に透明または光透過性であり得る。例えば、第1の導電性コーティング4350の厚さは、第1の導電性コーティング4350の存在が、光透過性領域4351を通した光の透過を実質的に減衰させないように、比較的薄くあり得る。第1の導電性コーティング4350は、例えば、開放マスクまたはマスクを含まない堆積プロセスを使用して、堆積されてもよい。次に、核形成阻害コーティング4362が、光透過性領域4351に対応するデバイス4300の部分を被覆するように堆積される。デバイス表面全体が、次いで、第2の導電性コーティング4352を形成するために材料の蒸気束に暴露され、したがって、第1の導電性コーティング4350のコーティングされていない領域にわたって第2の導電性コーティング4352の選択的堆積を引き起こす。具体的には、第2の導電性コーティング4352は、サブピクセル領域4331に対応するデバイス4300の一部にわたって配置される。このように、デバイス4300用のカソードが、第1の導電性コーティング4350および第2の導電性コーティング4352の組み合わせによって形成される。
【0133】
いくつかの実施形態では、第1の導電性コーティング4350の厚さは、第2の導電性コーティング4352の厚さを下回る。このように、比較的高い光透過率が、光透過性領域4351内で維持されてもよい。例えば、第1の導電性コーティング4350の厚さは、例えば、約30nm未満、約25nm未満、約20nm未満、約15nm未満、約10nm未満、約8nm未満、または約5nm未満であり得、第2の導電性コーティング4352の厚さは、例えば、約30nm未満、約25nm未満、約20nm未満、約15nm未満、約10nm未満、または約8nm未満であり得る。他の実施形態では、第1の導電性コーティング4350の厚さは、第2の導電性コーティング4352の厚さを上回る。さらに別の実施形態では、第1の導電性コーティング4350の厚さおよび第2の導電性コーティング4352の厚さは、実質的にほぼ同一であり得る。
【0134】
第1の導電性コーティング4350および第2の導電性コーティング4352を形成するために使用され得る材料は、それぞれ、第1の導電性コーティング1371および第2の導電性コーティング1372を形成するために使用されるものと実質的に同一であり得る。そのような材料は、他の実施形態に関連して上記で説明されているため、これらの材料の説明は、簡潔にするために省略される。
【0135】
デバイス4300では、光透過性領域4351は、それを通る光の透過に実質的に影響を及ぼし得る、いかなる材料も実質的に含まない。具体的には、TFT4308、アノード4344、および補助電極は全て、これらの構成要素が光透過性領域4351を通して透過されている光を減衰または妨害しないように、サブピクセル領域4331内に位置付けられる。そのような配列は、ピクセルがオフである、または発光していないときに、典型的視認距離からデバイス4300を視認する視認者がデバイス4300を通して見ることを可能にし、したがって、透明AMOLEDディスプレイを作成する。
【0136】
図21Cは、第1の導電性コーティング4350’が、サブピクセル領域4331内に選択的に配置され、光透過性領域4351が、第1の導電性コーティング4350’を形成するために使用される材料を実質的に含まない、またはそれから露出される、別の実施形態による、デバイス4300’の断面を図示する。例えば、デバイス4300’の製作中に、核形成阻害コーティング4362は、第1の導電性コーティング4350’を堆積させることに先立って、光透過性領域4351内に堆積されてもよい。このように、第1の導電性コーティング4350’は、開放マスクまたはマスクを含まない堆積プロセスを使用して、サブピクセル領域4331内で選択的に堆積されてもよい。上記で解説されるように、第1の導電性コーティング4350’を形成するために使用される材料は、概して、核形成阻害コーティング4362の表面上に堆積されることに向けて比較的不良な親和性(例えば、低い初期付着確率)を呈する。例えば、第1の導電性コーティング4350’は、イッテルビウム(Yb)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、およびマグネシウム(Mg)等の高蒸気圧材料から成ってもよい。いくつかの実施形態では、第1の導電性コーティング4350’は、純粋または実質的に純粋なマグネシウムから成ってもよい。第1の導電性コーティング4350’を含まない、または実質的に含まない光透過性領域4351を提供することによって、そのような領域内の光透過率は、ある場合には、例えば、
図21Bのデバイス4300と比較して、有利に増進され得る。
【0137】
示されていないが、
図21BのAMOLEDデバイス4300および
図21CのAMOLEDデバイス4300’はそれぞれ、第1の導電性コーティング4350または4350’と下層表面(例えば、有機層4348)との間に配置される核形成助長コーティングを含んでもよい。そのような形成助長コーティングはまた、核形成阻害コーティング4362と下層表面(例えば、PDL4346a-b)との間に配置されてもよい。
【0138】
いくつかの実施形態では、核形成阻害コーティング4362は、有機層4348のうちの少なくとも1つと同時に形成されてもよい。例えば、核形成阻害コーティング4362を形成するための材料はまた、有機層4348のうちの少なくとも1つを形成するために使用されてもよい。このように、デバイス4300または4300’を製作するための段階の数が、削減され得る。
【0139】
いくつかの実施形態では、上記の他の実施形態に関連して説明されている、第2の導電性コーティングおよび第3の導電性コーティングを含む、付加的導電性コーティングもまた、サブピクセル4333、4335、および4337にわたって提供されてもよい。加えて、いくつかの実施形態では、補助電極もまた、デバイス4300、4300’の非放射領域内に提供されてもよい。例えば、そのような補助電極は、サブピクセル領域4331または光透過性領域4351内の光透過率に実質的に影響を及ぼさないように、隣接するピクセル4321の間の領域内に提供されてもよい。補助電極はまた、サブピクセル領域4331と光透過性領域4351との間の領域内に提供される、および/または所望される場合、隣接するピクセルの間に提供されてもよい。
【0140】
いくつかの実施形態では、有機層4348を含む、種々の層またはコーティングは、そのような層またはコーティングが実質的に透明である場合、光透過性領域4351の一部を被覆してもよい。代替として、PDL4346a、4346bは、所望である場合、光透過性領域4351から省略されてもよい。
【0141】
図21Aおよび
図21Bに図示される配列以外のピクセルおよびサブピクセル配列も使用され得ることを理解されたい。
【0142】
障壁コーティング(図示せず)が、AMOLEDディスプレイデバイスを描写する前述の実施形態に図示されるデバイスをカプセル化するように提供されてもよい。理解されるであろうように、そのような障壁コーティングは、有機層と、酸化する傾向があり得る有機層およびカソードとを含む、種々のデバイス層が、湿気および周囲空気に暴露されないように阻止してもよい。例えば、障壁コーティングは、印刷、CVD、スパッタリング、ALD、前述の任意の組み合わせによって、または任意の他の好適な方法によって形成される、薄膜カプセル化であってもよい。障壁コーティングはまた、接着剤を使用して、デバイス上に事前形成された障壁膜を積層製作することによって提供されてもよい。例えば、障壁コーティングは、有機材料、無機材料、または両方の組み合わせを備える、多層コーティングであってもよい。障壁コーティングはさらに、いくつかの実施形態では、ゲッタ材料および/または乾燥剤を備えてもよい。
【0143】
理解されるであろうように、TFT(例えば、
図21Bに示されるTFT4308)を含む、バックプレーンの種々の層および部分が、種々の好適な材料ならびにプロセスを使用して製作されてもよい。例えば、TFTは、CVD、PECVD、レーザ焼鈍、およびPVD(スパッタリングを含む)等の技法を使用して、堆積および/または処理され得る、有機もしくは無機材料を使用して製作されてもよい。理解されるであろうように、そのような層は、下層デバイス層を被覆するフォトレジストの選択的部分を紫外線に暴露するためにフォトマスクを使用する、フォトリソグラフィを使用してパターン化されてもよい。使用されるフォトレジストのタイプに応じて、フォトマスクの露出部分または露出されていない部分が、次いで、下層デバイス層の所望の部分を見せるように洗い落とされてもよい。パターン化された表面が、次いで、デバイス層の露出部分を効果的に除去するように、化学的または物理的にエッチングされてもよい。
【0144】
さらに、上面ゲートTFTが、上記のある実施形態で図示および説明されているが、他のTFT構造も使用され得ることが理解されるであろう。例えば、TFTは、底面ゲートTFTであってもよい。TFTは、n型TFTまたはp型TFTであってもよい。TFT構造の実施例は、非晶質シリコン(a-Si)、インジウムガリウム亜鉛酸化物(IGZO)、および低温多結晶シリコン(LTPS)を利用するものを含む。
【0145】
電極と、1つまたはそれを上回る有機層と、ピクセル画定層と、キャッピング層とを含む、フロントプレーンの種々の層および部分が、熱蒸発ならびに/もしくは印刷を含む、任意の好適な堆積プロセスを使用して堆積させられてもよい。例えば、シャドウマスクが、そのような材料を堆積させるときに、所望のパターンを生成するために適宜使用され得、種々のエッチングおよび選択的堆積プロセスもまた、種々の層をパターン化するために使用され得ることが理解されるであろう。そのような方法の実施例は、フォトリソグラフィ、印刷(インクまたは蒸気ジェット印刷およびリールツーリール印刷を含む)、CVD、PVD(スパッタリングを含む)、OVPD、およびLITIパターン化を含むが、それらに限定されない。
(実施例)
【0146】
いくつかの実施形態の側面が、ここで、いかようにも本開示の範囲を限定することを意図していない、以下の実施例を参照して図示および説明されるであろう。
【0147】
本明細書の実施例で使用されるように、材料の層厚さという言及は、参照される層厚さを有する材料の一様に厚い層で標的表面を被覆する材料の量に対応する、標的表面(または選択的堆積の場合、表面の標的領域)上に堆積させられる材料の量を指す。一例として、10nmの層厚さを堆積させることは、厚さ10nmである材料の一様に厚い層を形成する材料の量に対応する、表面上に堆積させられる材料の量を示す。例えば、分子または原子の可能性として考えられる積層もしくはクラスタ化に起因して、堆積した材料の実際の厚さは、非一様であり得ることが理解されるであろう。例えば、10nmの層厚さを堆積させることは、10nmを上回る実際の厚さを有する堆積した材料のいくつかの部分、または10nm未満の実際の厚さを有する堆積した材料の他の部分を生じてもよい。表面上に堆積させられる材料のある層厚さは、表面を横断する堆積した材料の平均厚さに対応することができる。
【0148】
例証的実施例で使用される、ある材料の分子構造が、以下で提供される。
【化4】
【実施例1】
【0149】
実施例1
【0150】
核形成阻害コーティングまたは核形成助長コーティングとして使用するための種々の材料の性質を測定するために、一連の実験が、水晶微量天秤(QCM)のセットを使用して行われた。
【0151】
理解されるであろうように、QCMが、薄膜堆積プロセスにおいて堆積速度を監視するために使用されることができる。簡潔に述べると、そのような監視は、共振器の表面上の材料の追加または除去によって引き起こされる水晶共振器の周波数の変化を測定することによって行われる。
【0152】
図22は、QCMの表面上のマグネシウムの堆積プロファイルを測定するための実験装置を図示する概略図である。図示されるように、蒸発チャンバ2201は、第1の蒸発ソース2210と、第2の蒸発ソース2212とを含む。一対のQCM2231および2241が、QCM2231および2241のそれぞれの共振器表面がソース2210および2212に向かって対面する状態でチャンバ2201の内側に位置付けられる。サンプルシャッタ2221およびソースシャッタ2225が、QCM2231および2241と蒸発ソース2210および2212との間に配置される。サンプルシャッタ2221およびソースシャッタ2225は、それぞれ、QCM2231および2241に入射する蒸気の流束ならびにソース2210および2212から流出する蒸気の流束を制御するように適合される、可動シャッタである。
【0153】
図示される例示的設定では、本明細書では「参照QCM」とも称されるであろう、第1のQCM2231は、本明細書では「サンプルQCM」とも称されるであろう、第2のQCM42241上のマグネシウムの堆積プロファイルが、それに対して比較される、基準としての役割を果たす。LapTech Precision Inc.から入手された、光学的に研磨された水晶(部品番号:XL1252、周波数:6.000MHz、AT1、中心:5.985MHz、直径:13.97mm±3mm、光学的に研磨された)が、各実験で参照QCMおよびサンプルQCMとして使用された。
【0154】
各実験は、以下のように行われた。最初に、参照QCM2231およびサンプルQCM2241が、
図22に図示されるように、蒸発チャンバ2201の内側に位置付けられた。チャンバ2201が、次いで、チャンバ圧力が約10
-5Paを下回るまで送出された。サンプルシャッタ2221が、次いで、参照QCM2231およびサンプルQCM2241の両方の共振器表面が覆い隠されるように作動された。第1の蒸発ソース2210が、次いで、(本明細書では「核形成改質材料」とも称される)核形成助長または阻害材料の蒸発を開始するように起動された。いったん安定した蒸発速度が達成されると、サンプルシャッタ2221は、参照QCM2231の表面を露出されていない状態で保ち、したがって、核形成改質材料がサンプルQCM2241の表面上に堆積させられることを可能にしながら、サンプルQCM2241の共振器表面が蒸気流束に暴露されるように移動された。サンプルQCM2241の表面上に核形成改質材料の所望の層厚さを堆積させることに応じて、ソースシャッタ2225は、第1のソース2210から流出する蒸気流束を遮断し、したがって、さらなる堆積を防止するように作動された。第1のソース2210が、次いで、遮断された。
【0155】
次に、第2の蒸発ソース2212が、マグネシウムの蒸発を開始するように起動された。シャッタ2221は、安定した堆積速度に達するまで、QCM2231および2241を被覆するために使用された。いったん安定した堆積速度に達すると、シャッタ2221は、マグネシウム蒸気がQCM2231および2241の両方の表面に入射するように、サンプルQCM2241の改質された表面および参照QCM2231の表面の両方を被覆しないように作動された。QCM2231および2241の共振周波数が、QCM2231および2241のそれぞれの上のマグネシウムの堆積プロファイルを判定するように監視された。
【0156】
核形成阻害コーティングを形成するために使用されることができるものを含む、種々の核形成改質材料が、その上に核形成改質コーティングを形成するように、サンプルQCM4741の共振器表面上に堆積させられた。核形成改質材料毎に
図22に図示されるチャンバ構成を使用して、上記の実験手順を繰り返すことによって、種々の表面上のマグネシウムの堆積速度が分析された。以下の材料、すなわち、3-(4-ビフェニル)-4-フェニル-5-tert-ブチルフェニル-1,2,4-トリアゾール(TAZ)、アルミニウム(III)ビス(2-メチル-8-キノリナト)-4-フェニルフェノラート(BAlq)、2-(4-(9,10-ジ(ナフタレン-2-イル)アントラセン-2-イル)フェニル)-1-フェニル-1H-ベンゾ-[D]イミダゾール(LG201)、8-ヒドロキシキノリンリチウム(Liq)、およびN(ジフェニル-4-イル)9,9-ジメチル-N-(4(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル)-9H-フルオレン-2-アミン(HT211)が、核形成改質コーティングを形成するために使用された。
【0157】
図23は、サンプルQCM表面上に堆積させられるマグネシウムの層厚さ(サンプル層厚さ、または
図23で標識されるような「平均膜厚さ」)に対して、参照QCM表面上に堆積させられるマグネシウムの層厚さ(参照層厚さ、または
図57で標識されるような「堆積した厚さ」)を示す、対数・対数プロットである。各場合において、参照QCM表面は、実験を行うことに先立って実質的に純粋な銀で事前にコーティングされた。
【0158】
図23のプロットに基づいて、両方のQCM表面上に堆積させられるマグネシウムの層厚さ、したがって、表面を同一のマグネシウム蒸気流束に暴露することの結果としてのマグネシウムの堆積速度が、判定されることができる。具体的には、サンプルQCM表面上のマグネシウムの堆積速度を、サンプルQCM表面上のマグネシウムの比較的薄い層の形成中(すなわち、層厚さが最大1nmまたは10nmの堆積の初期段階中)の参照QCM表面上のものと比較することによって、サンプルQCM表面上に存在するコーティングの核形成阻害性質が判定されてもよい。議論を容易にするために、サンプルQCM表面上に堆積させられるマグネシウムの層厚さは、サンプル層厚さと称され、参照QCM表面上に堆積させられるマグネシウムの層厚さは、参照層厚さと称されるであろう。
【0159】
ある実験に関して、種々のサンプルのための1nmおよび10nmにおけるサンプル層厚さに対応する、参照層厚さが、以下の表2で要約される。具体的には、表2で提供される参照層厚さは、サンプル毎に1nmまたは10nm層厚さがサンプルQCM表面上に堆積させられるための同一時間周期内の参照QCM表面上に堆積させられるマグネシウムの層厚さに対応する。有機材料が、約10
-5Paの真空圧において約1Å/秒の堆積速度で堆積させられた。マグネシウムが、約520~530℃のソース温度および約10
-5Paの真空圧において約2Å/秒の堆積速度で堆積させられた。
【表2】
【0160】
上記に基づいて、1nmのサンプル層厚さに達したときに堆積させられた参照層厚さは、サンプルQCM表面を被覆する核形成改質材料に実質的に応じて、変動したことが分かり得る。1nmの閾値サンプル層厚さが、本実施例では、サンプルQCM表面上の膜形成の初期段階中の相対堆積速度を判定するように選択された。参照QCM表面が銀で事前にコーティングされたため、参照QCM表面上のマグネシウムの堆積速度は比較的一定のままであったことが観察された。
【0161】
TAZでコーティングされたサンプルQCMのために1nmのサンプル層厚さに達する前に、2000nmを超えるマグネシウムの比較的厚いコーティングが、参照QCM上に堆積させられた。BAlqでコーティングされたサンプルQCMのために1nmのサンプル層厚さに達する前に、104nmの参照層厚さが堆積させられた。しかしながら、LG201、Liq、またはHT211でコーティングされたサンプルQCMのために閾値厚さに達する前に、62nm未満の層厚さを伴うマグネシウムの比較的薄いコーティングが、参照QCM上に堆積させられた。
【0162】
理解されるであろうように、より優れた選択性が、概して、比較的高い参照層厚さ、したがって、比較的低い初期堆積速度および付着確率を呈する、核形成改質コーティングを使用することによって、導電性コーティング堆積中に達成されることができる。例えば、高い参照層厚さを呈する核形成改質コーティングは、効果的な核形成阻害コーティングであってもよく、標的表面がマグネシウム蒸気流束に暴露されるときに、マグネシウムが標的表面の被覆されていない領域を覆って選択的に形成し、核形成阻害コーティングの表面がマグネシウムを実質的に含まない、またはそれによって実質的に被覆されていないままであるように、標的表面の領域を被覆するために使用されてもよい。例えば、1nmの閾値サンプル層厚さにおいて少なくとも約80nmまたはそれを上回る参照層厚さを呈する、核形成改質コーティングが、核形成阻害コーティングとして使用されてもよい。例えば、1nm閾値厚さにおいて少なくとも約100nmまたはそれを上回る、少なくとも約200nmまたはそれを上回る、少なくとも約500nmまたはそれを上回る、少なくとも約700nmまたはそれを上回る、少なくとも約1,000nmまたはそれを上回る、少なくとも約1,500nmまたはそれを上回る、少なくとも約1,700nmまたはそれを上回る、もしくは少なくとも約2,000nmまたはそれを上回る参照層厚さを呈する、核形成改質コーティングが、核形成阻害コーティングとして使用されてもよい。換言すると、参照表面上のマグネシウムの初期堆積速度は、核形成阻害コーティングの表面上のマグネシウムの初期堆積速度の少なくとも約80倍またはそれを上回り、少なくとも約100またはそれを上回り、少なくとも約200またはそれを上回り、少なくとも約500またはそれを上回り、少なくとも約700またはそれを上回り、少なくとも約1,000またはそれを上回り、少なくとも約1,500またはそれを上回り、少なくとも約1,700またはそれを上回り、もしくは少なくとも約2,000またはそれを上回り得る。
【0163】
図24は、サンプルQCM表面上に堆積させられたマグネシウムの層厚さと対比した、サンプルQCM表面上のマグネシウム蒸気の付着確率の対数・対数プロットである。
【0164】
付着確率は、以下の方程式に基づいて導出された。
【数11】
式中、N
adsは、サンプルQCMの表面上のマグネシウムコーティングに組み込まれる、吸着されたモノマーの数であり、N
totalは、参照QCM上のマグネシウムの堆積を監視することに基づいて判定された、表面上の衝突するモノマーの総数である。
【0165】
図24のプロットから分かり得るように、着確率は、概して、より多くのマグネシウムが表面上に堆積させられるにつれて増加する。マグネシウムコーティングの選択的堆積を達成する目的のために、比較的低い初期付着確率(例えば、初期堆積段階中の低い付着確率)を呈する核形成阻害コーティングが、望ましくは使用される。より具体的には、本実施例の初期付着確率は、核形成阻害コーティングの表面上の1nmの平均厚さを伴う密集したマグネシウム層を形成することに対応する、マグネシウムの量を堆積させることに応じて測定される、付着確率を指す。種々の核形成阻害コーティング表面上のマグネシウムの1nm層厚さの堆積に応じて測定される付着確率は、以下の表3で要約される。
【表3】
【0166】
実験に基づいて、マグネシウム蒸気に対する約0.3(または30%)以内または未満の初期付着確率を呈するコーティングは、核形成阻害コーティングとして作用してもよい。理解されるであろうように、より低い初期付着確率を伴う核形成阻害コーティングは、マグネシウムコーティングの堆積中により優れた選択性を達成するため等のいくつかの用途のために、より望ましくあり得る。例えば、約0.2以内また未満、約0.1以内また未満、もしくは約0.07以内また未満の初期付着確率を伴うコーティングが、核形成阻害コーティングとして使用されてもよい。例えば、そのような核形成阻害コーティングは、TAZ、BAlq、LG201、Liq、および/またはHT211を堆積させることによって形成されるものを含んでもよい。
【0167】
いくつかの用途では、さらに低い初期付着確率を伴う核形成阻害コーティングが、特に、補助電極として使用するために、比較的厚いマグネシウムコーティングの堆積を達成するため等に、より望ましくあり得る。例えば、約0.03以内または未満、約0.02以内または未満、約0.01以内または未満、約0.08以内または未満、約0.005以内または未満、約0.003以内または未満、約0.001以内または未満、約0.0008以内または未満、約0.0005以内または未満、もしくは約0.0001以内または未満の初期付着確率を伴うコーティングが、核形成阻害コーティングとして使用されてもよい。例えば、そのような核形成阻害コーティングは、BAlqおよび/またはTAZを堆積させることによって形成されるものを含んでもよい。
【実施例2】
【0168】
実施例2
【0169】
カソードの種々の厚さによって引き起こされる光学的微小共振器効果を評価するために、4つのデバイス領域を含む、OLEDデバイスが製作された。
【0170】
図25は、製作されたOLEDデバイス2500の上面図を図示する概略図である。デバイス2500は、第1のデバイス領域2511と、第2のデバイス領域2512と、第3のデバイス領域2513と、第4のデバイス領域2514とを含む。各デバイス領域は、アノードと、有機層と、カソードと、キャッピング層とを備える。デバイス2500の構造は、それぞれ、
図25に示される線A-AおよびB-Bに沿って得られた断面図を図示する、
図26および27にさらに詳述される。デバイス領域の全てに関して、同じアノードおよび有機層が、提供された。
【0171】
OLEDデバイス2500は、以下の様式で製作された。反射アノード2520が、デバイス領域2511、2512、2513、2514のそれぞれの中に堆積された。有機層2530が、次いで、デバイス領域2511、2512、2513、2514のそれぞれの中で反射アノード2520にわたって堆積された。有機層2530は、緑色リン光エミッタを備える、エミッタ層を含んだ。第1の導電性コーティング2551が、次いで、デバイス領域2511、2512、2513、2514のそれぞれの中で有機層2530にわたって堆積された。第1の導電性コーティング2551は、体積で1:4のMg:Ag組成比を有する、マグネシウム・銀合金(Mg:Ag)から成り、第1の導電性コーティングの厚さは、12nmであった。第1の核形成阻害コーティング2561が、次いで、第1のデバイス領域2511内の第1の導電性コーティング2551にわたって堆積された。第1の核形成阻害コーティング2561は、厚さ5nmのTAZコーティングによって形成された。
【0172】
デバイス領域2511、2512、2513、2514は、次いで、第2のデバイス領域2512、第3のデバイス領域2513、および第4のデバイス領域2514内で第2の導電性コーティング2552を堆積させるように、蒸着マグネシウム束に暴露された。核形成阻害コーティング2561が、第1のデバイス領域2511内の第1の導電性コーティング2551にわたって提供されたため、第2の導電性コーティングが、第1のデバイス領域2511内に堆積されなかったことに留意されたい。第2の導電性コーティングは、実質的に純粋なマグネシウム(純度>99.99%)の厚さ6nmのコーティングによって形成された。第2の核形成阻害コーティング2562が、次いで、第2のデバイス領域2512内の第2の導電性コーティング2552にわたって堆積された。
【0173】
デバイス領域2511、2512、2513、2514は、次いで、第3のデバイス領域2513および第4のデバイス領域2514内で第3の導電性コーティング2553を堆積させるように、蒸着マグネシウム束に暴露された。第1の核形成阻害コーティング2561および第2の核形成阻害コーティング2562が、それぞれ、第1のデバイス領域2511および第2のデバイス領域2512にわたって提供されたため、第3の導電性コーティングが、第1のデバイス領域2511または第2のデバイス領域2512にわたって堆積されなかったことに留意されたい。第3の導電性コーティングは、実質的に純粋なマグネシウム(純度>99.99%)の厚さ6nmのコーティングによって形成された。第3の核形成阻害コーティング2563が、次いで、第3のデバイス領域2513内の第3の導電性コーティング2553にわたって堆積された。
【0174】
デバイス領域2511、2512、2513、2514は、次いで、第4のデバイス領域2514内で第4の導電性コーティング2554を堆積させるように、蒸着マグネシウム束に暴露された。第1の核形成阻害コーティング2561、第2の核形成阻害コーティング2562、および第3の核形成阻害コーティング2563が、それぞれ、第1のデバイス領域2511、第2のデバイス領域2512、および第3のデバイス領域2513内で提供されたため、第4の導電性コーティングが、第1のデバイス領域2511、第2のデバイス領域2512、または第3のデバイス領域2513にわたって堆積されなかったことに留意されたい。第4の導電性コーティングは、実質的に純粋なマグネシウム(純度>99.99%)の厚さ6nmのコーティングによって形成された。
【0175】
キャッピング層2570が、次いで、デバイス領域2511、2512、2513、2514にわたって堆積された。キャッピング層2570は、厚さ35nmのTAZコーティングを堆積させることによって形成された。
【0176】
デバイス領域2511、2512、2513、2514のそれぞれからの発光スペクトルが、測定された。
図28は、デバイス領域のそれぞれから測定される発光の正規化された強度を示す、プロットである。
図28のプロットに示される発光スペクトルは、デバイス表面に対して法線である角度において測定された。第1のデバイス領域の発光スペクトルは、S1として標識され、第2のデバイス領域は、S2であり、第3のデバイス領域は、S3であり、第4のデバイス領域は、S4である。
図28のプロットから分かり得るように、発光スペクトルは、概して、より大きいカソード厚さを提供されるデバイス領域に関して、より長い波長に向かって偏移した(例えば、赤方偏移した)。特に、最大カソード厚さを提供された第4のデバイス領域S4が、概して、最大量の赤方偏移を呈し、その後に、第3のデバイス領域S3、次いで、第2のデバイス領域S2が続いたことが観察された。
【0177】
図29は、種々の角度において第1のデバイス領域S1から取得される発光スペクトルのプロットである。具体的には、発光スペクトルは、デバイス表面に対して法線(または垂直)である角度、デバイス表面の法線角から30度の角度、およびデバイス表面の法線角から60度の角度において取得された。発光スペクトルは、
図30-32のプロットを作成するように、同じ角度において第2のデバイス領域S2、第3のデバイス領域S3、および第4のデバイス領域S4から測定された。
【0178】
図29-32のプロットから分かり得るように、デバイス領域S1-S4の全てでは、発光スペクトルは、概して、法線角に対する角度偏差が増加されるにつれて、より短い波長に向かって偏移した(例えば、青方偏移した)。具体的には、最大青方偏移が、全てのデバイス領域S1-S4に関して法線から60度の角度において取得された発光スペクトル、続いて、法線から30度の角度において取得された発光スペクトルで観察された。
【0179】
本明細書で使用されるように、「実質的に」、「実質的な」、「およそ」、および「約」という用語は、わずかな変動を表して構成するために使用される。事象または状況と併せて使用されるとき、用語は、事象または状況が精密に起こる事例、ならびに事象または状況が密接に接近して起こる事例を指すことができる。例えば、数値と併せて使用されるとき、用語は、±5%未満またはそれと等しい、±4%未満またはそれと等しい、±3%未満またはそれと等しい、±2%未満またはそれと等しい、±1%未満またはそれと等しい、±0.5%未満またはそれと等しい、±0.1%未満またはそれと等しい、もしくは±0.05%未満またはそれと等しい等の数値の±10%未満またはそれと等しい変動の範囲を指すことができる。例えば、第1の数値は、第1の数値が、±5%未満またはそれと等しい、±4%未満またはそれと等しい、±3%未満またはそれと等しい、±2%未満またはそれと等しい、±1%未満またはそれと等しい、±0.5%未満またはそれと等しい、±0.1%未満またはそれと等しい、もしくは±0.05%未満またはそれと等しい等の第2の数値の±10%未満またはそれと等しい変動の範囲内である場合に、第2の数値と「実質的に」同一であり得る。
【0180】
いくつかの実施形態の説明では、別の構成要素の「上に」、またはそれを「覆って」提供される、もしくは別の構成要素を「被覆している」または「被覆する」構成要素は、後者の構成要素が前者の構成要素の直接上にある(例えば、物理的に接触する)場合、ならびに1つまたはそれを上回る介在構成要素が前者の構成要素と後者の構成要素との間に位置する場合を包含することができる。
【0181】
加えて、量、比、および他の数値は、ある時は、本明細書では範囲形式で提示される。そのような範囲形式は、便宜上、簡潔にするために使用されることが理解され得るが、範囲の限界として明示的に規定される数値だけでなく、各数値および下位範囲が明示的に規定される場合のように、その範囲内に包含される全ての個々の数値または下位範囲も柔軟に含むことが理解されるべきである。
【0182】
本開示は、ある具体的実施形態を参照して説明されているが、その種々の修正は、当業者に明白であろう。本明細書で提供される任意の実施例は、本開示のある側面を例証する目的のためのみに含まれ、いかようにも本開示を限定することを意図していない。本明細書で提供される任意の図面は、本開示のある側面を例証する目的のためのみのものであり、一定の縮尺で描かれない場合があり、いかようにも本開示を限定しない。本明細書に添付される請求項の範囲は、上記の説明に記載される具体的実施形態によって限定されるべきではないが、全体として本開示に一致する、それらの全範囲を与えられるべきである。本明細書に記載される全ての文書の開示は、参照することによってそれらの全体として本明細書に組み込まれる。