(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-13
(45)【発行日】2024-06-21
(54)【発明の名称】ホイールバランス測定装置
(51)【国際特許分類】
G01M 1/38 20060101AFI20240614BHJP
【FI】
G01M1/38
(21)【出願番号】P 2022201612
(22)【出願日】2022-12-16
【審査請求日】2022-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000185916
【氏名又は名称】小野谷機工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075557
【氏名又は名称】西教 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】牧野 智將
【審査官】中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0191561(US,A1)
【文献】特開2011-047795(JP,A)
【文献】特開2016-095286(JP,A)
【文献】実開平06-046349(JP,U)
【文献】特開2004-109132(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0244919(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0005883(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 1/00 - 1/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、
水平な第1軸線まわりに回転可能に前記本体部に設けられ、タイヤが装着されたホイールを着脱可能に把持するための把持部を有する回転軸と、
前記本体部に設けられ、前記回転軸を前記第1軸線まわりに回転駆動する電動モータと、
前記本体部に設けられる第1計測部であって、第1計測端を有し、前記第1計測端と前記把持部によって把持されたホイールのタイヤの外側の側壁部との間の第1距離を、前記第1軸線に沿って前記外側の側壁部に非接触で計測可能な第1計測部と、
前記本体部に、前記第1軸線に沿って移動可能に設けられる第2計測部であって、第2計測端を有し、前記第2計測端と前記把持部によって把持されたホイールのリム部の内周面との間の第2距離を、前記リム部の内周面に非接触で計測可能な第2計測部と、
前記本体部に設けられ、前記第2計測部を前記第1軸線に沿って移動させる移動部と、
前記本体部に設けられ、前記ホイールの偏心量を前記回転軸の前記第1軸線まわりの回転位置に対応させて計測可能な偏心量計測部と、
表示部と、
種類の異なる複数のホイールの選択画面を、前記表示部に表示させ、前記選択画面で選択されたホイールの種類に対応する制御モードで、前記第1計測部、前記第2計測部および前記偏心量計測部を制御し、前記第1距離、前記第2距離および前記偏心量に基づいて、前記把持部によって把持されたホイールのアンバランス量を前記回転位置に対応させて算出し、算出した前記アンバランス量を前記表示部に表示させるように構成される信号処理部と、を含むことを特徴とするホイールバランス測定装置。
【請求項2】
前記第1計測部は、第1超音波計測器と、前記第1超音波計測器よりも前記第1軸線に関して半径方向に異なる位置に配設された第2超音波計測部と、を含むことを特徴とする請求項1に記載のホイールバランス測定装置。
【請求項3】
前記第2計測部は、
レーザビーム光を出射する出射部と、
前記出射部から照射された前記レーザビーム光の前記把持部によって把持されたホイールの内周面による反射光を受光する受光部と、を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のホイールバランス測定装置。
【請求項4】
前記偏心量計測部は、前記
回転軸の歪み量を検出し、検出した
前記回転軸の歪み量および前記回転位置を表す歪み検出信号を前記信号処理部に出力する歪み検出部を、含むことを特徴とする請求項1または2に記載のホイールバランス測定装置。
【請求項5】
前記信号処理部は、前記回転位置に対応する前記把持部によって把持されたホイールの内周面上の位置に、
検出した
前記回転軸の歪み量の最大値に対応する前記回転位置を表す参照光を前記第2計測部によって照射するように構成されていることを特徴とする請求項
4に記載のホイールバランス測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のタイヤが装着されたホイール(以下、「タイヤ付きホイール」という場合がある)の重心の回転軸線に対する偏心が相殺されるように、バランスウエイトと呼ばれる重錘のホイールへの取付け位置を表示することができるホイールバランス測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術のホイールバランス測定装置は、たとえば特許文献1に記載されている。この特許文献1には、回転主軸の先端部にタイヤが装着されたホイールを装着した状態で回転し、発生する遠心力によるアンバランス量および回転位置を測定するホイールバランス測定装置が記載されている。
【0003】
特許文献1のホイールバランス測定装置は、リムのイン側内径、リム幅、およびセンサーからリムのイン側までの距離であるディスタンスを測定するために、レーザー測長センサーが装置本体に設けられ、該レーザー測長センサーはスライド棒の先端に取着され、スライド棒をスライドさせるレーザー移動装置を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の特許文献1に記載される従来技術では、バランスウエイトがホイールの外側および内側のリムフランジに打込まれる場合、両側のリムフランジ間のリム幅を測定する機能を備えていないので、作業者がホイールに明記されている数値を読み取り、手動で入力するか、あるいはリム幅ゲージと呼ばれる専用の測定器具を用いて手作業によってホイールリム幅を測定し、測定値を表示・操作部から装置本体に手動で入力している。
【0006】
したがって、特許文献1に記載される従来技術では、タイヤ付きホイールのアンバランス量および回転位置を得るために、作業者によるリム幅の読取作業または測定作業を行った後、読取値または測定値の入力作業を行わなければならず、手間および時間を要するという課題がある。
【0007】
本発明の目的は、作業者の手間を削減し、作業時間を短縮して、タイヤ付きホイールのアンバランス量および回転位置を得ることができるホイールバランス測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、本体部と、
水平な第1軸線まわりに回転可能に前記本体部に設けられ、タイヤが装着されたホイールを着脱可能に把持するための把持部を有する回転軸と、
前記本体部に設けられ、前記回転軸を前記第1軸線まわりに回転駆動する電動モータと、
前記本体部に設けられる第1計測部であって、第1計測端を有し、前記第1計測端と前記把持部によって把持されたホイールのタイヤの外側の側壁部との間の第1距離を、前記第1軸線に沿って前記外側の側壁部に非接触で計測可能な第1計測部と、
前記本体部に、前記第1軸線に沿って移動可能に設けられる第2計測部であって、第2計測端を有し、前記第2計測端と前記把持部によって把持されたホイールのリム部の内周面との間の第2距離を、前記リム部の内周面に非接触で計測可能な第2計測部と、
前記本体部に設けられ、前記第2計測部を前記第1軸線に沿って移動させる移動部と、
前記本体部に設けられ、前記ホイールの偏心量を前記回転軸の前記第1軸線まわりの回転位置に対応させて計測可能な偏心量計測部と、
表示部と、
種類の異なる複数のホイールの選択画面を、前記表示部に表示させ、前記選択画面で選択されたホイールの種類に対応する制御モードで、前記第1計測部、前記第2計測部および前記偏心量計測部を制御し、前記第1距離、前記第2距離および前記偏心量に基づいて、前記把持部によって把持されたホイールのアンバランス量を前記回転位置に対応させて算出し、算出した前記アンバランス量を前記表示部に表示させるように構成される信号処理部と、を含むことを特徴とするホイールバランス測定装置である。
【0009】
また本発明は、前記第1計測部は、第1超音波計測器と、前記第1超音波計測器よりも前記第1軸線に関して半径方向に異なる位置に配設された第2超音波計測部と、を含むことを特徴とする。
【0010】
また本発明は、前記第2計測部は、
レーザビーム光を出射する出射部と、
前記出射部から照射された前記レーザビーム光の前記把持部によって把持されたホイールの内周面による反射光を受光する受光部と、を含むことを特徴とする。
【0011】
また本発明は、前記偏心量計測部は、前記回転軸の歪み量を検出し、検出した前記回転軸の歪み量および前記回転位置を表す歪み検出信号を前記信号処理部に出力する歪み検出部を、さらに含むことを特徴とする。
【0012】
また本発明は、前記信号処理部は、前記回転位置に対応する前記把持部によって把持されたホイールの内周面上の位置に、検出した前記回転軸の歪み量の最大値に対応する前記回転位置を表す参照光を前記第2計測部によって照射するように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、信号処理部は、選択画面で選択されたホイールの種類に対応する制御モードで第1計測部を制御し、第1計測部に、タイヤのサイドウォールとも呼ばれる外側の側壁部までの第1距離を計測させる。また信号処理部は、選択画面で選択されたホイールの種類に対応する制御モードで第2計測部を制御し、第2計測部に、ホイールのリム部の内周面と第2計測端との間の第2距離を計測させる。さらに信号処理部は、選択画面で選択されたホイールの種類に対応する制御モードで偏心量計測部を制御し、偏心量計測部に回転軸の回転時における偏心量を回転位置に対応させて計測させる。信号処理部は、第1距離、第2距離および偏心量に基づいて、タイヤが装着されたホイールのアンバランス量および回転位置を算出し、算出されたアンバランス量および回転位置を、表示部に表示させる。したがって前記従来技術のように、ホイールのリム幅を作業者が手作業で測定する必要がなくなり、タイヤ付きホイールのアンバランス量および回転位置を短時間で計測することができる。
【0014】
また本発明によれば、第1計測部が第1超音波計測器および第2超音波計測器を含むので、タイヤの外側の側壁部が第1計測端に向かって凸に湾曲した構成であっても、外側の側壁部と第1計測端との間の最短距離を第1距離として正確に計測することができる。これによって、選択画面に表示される複数種類のホイールの計測のアンバランス量および回転位置を短時間で計測することができる。
【0015】
また本発明によれば、ホイールのリム部の内周面のような段差を有する被計測部の形状であっても、出射部から出射されたレーザビーム光を照射し、その反射光を受光部によって受光し、第2計測端とホイールのリム部の内周面との間の距離を第2距離として正確に計測することができる。
【0016】
また本発明によれば、偏心量計測部の検出部によって回転軸の歪み量およびその回転位置を検出して、検出した歪み量および回転位置を歪み検出信号として信号処理部に出力するので、タイヤが装着されたホイールの回転時の歪み量およびその回転位置を得ることができ、車両走行時の歪み量および回転位置を正確に計測することができる。
【0017】
また本発明によれば、ホイールの内周面上に計測によって得られた回転位置を表す参照光が照射されるので、作業者によって計測された歪み量に対応する重錘を容易にかつ正確にホイールの内周面の参照光が照射されている位置に取り付けることができ、作業性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態のホイールバランス測定装置1の一部を切欠いた正面図である。
【
図2】ホイールバランス測定装置1の平面図である。
【
図3】ホイールバランス測定装置1を
図1の右側から見た側面図である。
【
図4】ホイールバランス測定装置1の電気的構成を示すブロック図である。
【
図5A】表示部13に表示されたホイール選択画面を示す図である。
【
図5B】表示部13のPCホイール実行画面を示す図である。
【
図5C】表示部13のLTホイール実行画面を示す図である。
【
図5D】表示部13のTBホイール実行画面を示す図である。
【
図5E】表示部13のCOホイールの実行画面を示す図である。
【
図6】ホイールバランス測定装置1の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図7】ホイールバランスの測定に必要なデータを説明するためのホイールWの断面図である。
【
図8】スケールレバーSLによる測定状態を示す斜視図である。
【
図9】第2計測部8による測定状態を示す斜視図である。
【
図10】第2計測部8による計測距離とホイールWとの関係を示す断面図である。
【
図11】第2計測部8の測定手順を説明するための断面図である。
【
図12】第1計測部7の取付け構造を示す図であり、
図12(a)はタイヤ付きホイールWおよび第1計測部7付近の側面図であり、
図12(b)は
図12(a)の切断面線XIIB-XIIBから見たタイヤ付きホイールWおよび第1計測部7の断面図である。
【
図13】第1計測部7の検出領域と検出距離との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明の一実施形態のホイールバランス測定装置1の一部を切欠いた正面図である。
図2は、ホイールバランス測定装置1の平面図であり、
図3は、ホイールバランス測定装置1を
図1の右側から見た側面図である。
図4はホイールバランス測定装置1の電気的構成を示すブロック図である。本実施形態のホイールバランス測定装置1は、普通自動車、バス、トラックなどの自動車の車輪であるタイヤ付きホイールの重心の偏心量を計測し、偏心量が相殺されるように、ホイールWのリム部W1にバランスウエイトとも呼ばれる回転体平衡用調節重りとしての重錘w1,w2の重さおよびその取付位置を作業者に呈示するために用いられる。ホイールWは、たとえばアルミニウム合金から成り、乗用車(Passenger Car;略称PC)用タイヤホイール、小型トラック(Light Truck;略称LT)用タイヤホイール、トラック・バス(Truck & Bus;略称TB)用タイヤホイール、および超偏平用タイヤホイール(以下、CO(Center Offset)ホイール)という)の種類がある。ホイールの規格は、たとえばJIS D4220に規定されている。
【0020】
ホイールバランス測定装置1は、本体部2と、回転軸4と、電動モータ5と、第1計測部7と、第2計測部8と、移動部9と、偏心量計測部10と、信号処理部11と、表示部13と、を含んで構成される。回転軸4は、水平な第1軸線L1まわりに回転可能に本体部2に設けられ、タイヤTが装着されたホイールWを、着脱可能に把持するための把持部3を有する。電動モータ5は、本体部2に設けられ、回転軸4を第1軸線L1まわりにたとえば90~110rpmの速度範囲で回転駆動させる。
【0021】
第1計測部7は、本体部2から延びるアーム50に設けられる。アーム50は、
図2に示されるように、本体部2に第1軸線L1と平行な軸線まわりに回動可能に連結される第1アーム52と、第1アーム52に一端部が連結される第2アーム53と、第2アーム53の他端部に直角に一端部が湾曲して連なる第3アーム54と、を有する。アーム50には、略円筒体の一部を成すウイング55が取付けられ、回転軸4に装着されたタイヤ付きホイールWを上方から覆うように構成される。
【0022】
第1計測部7は、把持部3によってホイールWが把持されたとき、タイヤTの外側に配置されるサイドウォールとも呼ばれる外側の側壁部T1が位置する領域に対向する。第1計測部7は、第1計測端71を有し、第1計測端71と外側の側壁部T1との間の第1距離ZDを、第1軸線L1に沿って外側の側壁部T1に対して非接触で計測可能に構成される。第2計測部8は、本体部2に第1軸線L1に沿って移動可能に設けられる。第2計測部8は、第2計測端81を有し、第2計測端81とホイールWのリム部W1の内周面W1aとの間の第2距離LR1を、リム部W1の内周面W1aに非接触で第1軸線L1に沿って走査して計測することができる。
【0023】
移動部9は、本体部2に設けられ、第2計測部8を第1軸線L1に沿って移動させる。偏心量計測部10は、回転軸4の回転時に該回転軸4の歪み量を検出し、検出した歪み量に基づいて、タイヤTが装着されたホイールWの偏心量を回転軸4の第1軸線L1まわりの回転位置に対応させて測定することができる。信号処理部11は、第1距離ZD、第2距離LR1および偏心量に基づいて、タイヤTが装着されたホイールWのアンバランス量を回転位置に対応させて算出可能に構成される。表示部13は、信号処理部11によって算出されたアンバランス量および回転位置を表す情報を表示することができる。
【0024】
信号処理部11は、コンピュータによって実現される制御手段12に備えられる中央演算処理装置(Central Processing Unit;CPU)から成る。信号処理部11は、種類の異なる複数のホイールWの選択画面を、表示部13に表示させ、選択画面で選択されたホイールWの種類に対応する制御モードで、第1計測部7、第2計測部8および偏心量計測部10の動作を制御し、第1距離、第2距離および偏心量に基づいて、タイヤTが装着されたホイールWのアンバランス量を回転位置に対応させて算出し、算出したアンバランス量を表示部13に表示させる。
【0025】
ホイールバランス測定装置1は、回転軸4を回転駆動する前述の電動モータ5と、回転軸4の回転を制動するための制動装置14と、回転軸4の回転速度を検出する速度検出器15と、回転軸4の位相を検出する位相検出器16と、一対の歪検出器41,42とを含む。また、ホイールバランス測定装置1は、前述の表示部13と、操作部19と、制御手段12によって読込んで実行されるプログラムが格納されるメモリ20と、をさらに含んで構成される。
【0026】
本実施形態において、歪検出器41,42は、歪みゲージを使用して外力荷重を歪み量で検出し電気信号に変換するが、圧電検出は圧電センサーを使用して外力荷重を圧力で検出し電気信号に変換する構成であってもよい。第1計測部7に超音波センサーを使用する場合、歪み量検出による構成であってもよく、圧電検出による構成であってもよい。
【0027】
制御手段12は、速度検出器15からの回転量検出信号および歪検出器41,42からの歪検出信号などに基づいて、タイヤ付きホイールWの偏心量とその回転位置とを演算して求め、求められた偏心量と回転位置とを対応させて表示部13に表示させる。歪検出器41,42は、たとえば歪みゲージから成る。作業者は、このように表示された表示部13の偏心量と回転位置とを確認して、ホイールWのリム部W1上の対応する回転位置に、偏心量に対応するアンバランス量である重量の重錘w1,w2を貼付けて固定する。内側の重錘w1は、リム部W1の内周面W1aにねじ込まれ、外側の重錘w2は粘着剤によって粘着されてもよい。内側重錘w1はホイールWの形状によって使い分けてもよい。内側リム部W1の形状が平坦なフランジ形状であれば重錘を打ち込むが、フランジ部が無い湾曲形状であれば貼付けるようにしてもよい。外側の重錘w2はホイールWの種類によって使い分けてもよい。スチールホイールならば重錘w2が打ち込めるフランジ形状があるので、打込ことができるが、アルミホイールは外側にフランジ部がないのでホイールWの内面に貼り付けるようにしてもよい。
【0028】
本体部2は、たとえばステンレス鋼板などの耐腐食性の高い金属製の筐体2aを有している。筐体2aの上部には、複数の重錘が重量などの種類毎に区分けして収容される複数の凹部21を有する上部パネル体22が装着される。また筐体2aの下部には、基台23が水平な床24に載置され、この基台23によってホイールバランス測定装置1が床24に安定して設置される。
【0029】
このような本体部2の筐体2aは、互いにほぼ直角に連なる4つの側壁と天板とを有し、下方に開放した箱状に形成される。筐体2a内には、制御手段12が収容される。天板には、上部パネル体22が乗載され、上部パネル体22の背後には表示部13が搭載される。表示部13は、液晶表示パネルの表面にタッチシートが貼付けられた液晶タッチパネルによって実現される。
【0030】
偏心量計測部10は、消防法によって防爆構造要求領域として規定される、本体部2内の上部空間に設けられる。この上部空間は、本体部2内の空間のうち、床24から鉛直上方に高さH=600mm以上でかつ上部パネル体22よりも下方の空間である。
【0031】
偏心量計測部10は、前述したリム部W1の内径を測定する手段であるスケールレバーSLと、本体部2内の床24から高さHの高さ位置に設けられる支持体30と、支持体30に第1軸線L1と同軸に互いに間隔をあけて固定される一対の軸受31,32と、回転軸4の各軸受31,32間に固定される円環状の遮光板33と、遮光板33の外周部を挟む両側に設けられる図示しない発光部および受光部を有する光検出器36とを備える。
【0032】
光検出器36は、たとえばフォトインタラプタによって実現される。遮光板33は、外周部に複数のスリットが周方向に等間隔に形成される。発光部から遮光板33に照射された光は、遮光板33のスリットを介して受光部に受光される。受光部は、その遮光板33のスリットを介する光を受光する毎に、検出信号をローレベルからハイレベルに切換え、発光部から受光部に向って照射される光が、遮光板33の周方向に隣接する各スリット間の遮光部分によって遮断されると、ハイレベルからローレベルとなるパルス波形の回転検出信号を出力する。
【0033】
各軸受31,32には、歪検出器41,42が取付けられている。各歪検出器41,42は、回転軸4に取付けられたタイヤ付きホイールWの回転によるぶれに起因する回転軸4の歪み量を検出し、その検出した歪み量を歪検出信号としてホイールWの回転位置に対応付けて制御手段12に出力する。制御手段12の信号処理部11は、光検出器36から出力される回転検出信号に同期して、表示部13の表示画面にタイヤ付きホイールWのリム部W1における偏心量および重錘w1,w2の重量を表示するように構成される。
【0034】
第1計測部7は、第1超音波計測器7aおよび第2超音波計測器7bを含む。第1超音波計測器7aおよび第2超音波計測器7bは、たとえばオムロン社製、超音波センサー、E4C-DS30Lによって実現されてもよい。また、第2計測部8は、レーザビーム光を出射する出射部である第2計測端81(
図10を参照)と、第2計測端81を第1軸線L1と平行に移動させる移動部9とを有するレーザー測距装置によって実現される。移動部9は、たとえばステッピングモーターに歯車を取付け、歯車とラックとを噛み合わせ、ステッピングモーターを回転させることでラックが前進後進する構成によって実現されてもよい。
【0035】
第2計測部8は、レーザビーム光を出射する出射部と対象物の反射光を受光する受光部とを有し、出射部からのレーザビーム光の出射光と受光部による反射光の入射光との波長のずれ量から測長するレーザー測距器が用いられてもよい。レーザー測距器としては、たとえばオプテックス株式会社製、型番CD33-250NAを用いることができる。
【0036】
図5Aは、表示部13に表示されたホイール選択画面を示す図であり、
図5Bは、表示部13のPCホイール実行画面を示す図であり、
図5Cは表示部13のLTホイール実行画面を示す図であり、
図5Dは表示部13のTBホイール実行画面を示す図であり、
図5Eは表示部13のCOホイール実行画面を示す図である。表示部13は、前述したように液晶タッチパネルから成り、制御手段12によって、表示画面が制御されるとともに、表示画面のタッチ操作によって機能を選択することができる入力操作面として機能する。
【0037】
表示部13には、
図5Aに示されるように、ホイール選択画面が表示される。ホイール選択画面は、PCホイール、LTホイール、TBホイール、およびCOホイールの全種類が表示されるとともに、画面の下領域に停止ボタンSTOP、開始ボタンSTART、MT(Matching)ボタン、WAS(Weight Analyze System)ボタン、Sp(Specialize)ボタン、FINEボタン、LASERボタンが表示される。
【0038】
MTボタンが選択されたときには、タイヤのアンバランス量および回転位置とホイールのアンバランス量および回転位置とが別途に表示され、タイヤの最大アンバランス量が発生している回転位置がホイールWの最大アンバランス量が発生している回転位置を回避するように、タイヤTのホイールWへの装着位置の変更を案内する画面が表示される。作業者は、タイヤTのホイールWへの装着位置の変更を案内する画面を確認し、タイヤ交換装置を用いてタイヤTのホイールWへの装着位置を調整する作業を実施し、ホイールWの最もアンバランス量が小さくなる位置にタイヤTが装着されるように、タイヤTのホイールWへの装着位置を誘導することができる。
【0039】
WASボタンが選択されたときには、ホイールEのバランス測定後に、重錘w1,w2のホイールWへの取付位置をホイールの形状、たとえばリブの有無を考慮した取付け可能な位置を判断し、適切な位置が表示される。
【0040】
Spボタンが選択されたときには、ホイールWの検査モードを確認するためのメニュー画面が表示部13に表示される。作業者は、表示部13の画面を見て、検査モードが適切であるかどうかなどの確認を行うことができる。
【0041】
FINEボタンが選択されたときには、測定結果をして表示部13に5g単位で表示される重錘w1,w2の重量を、1g単位に切換え、再度FINEボタンが選択されると、1g単位の表示が5g単位の表示に復帰する、精細モード切換えボタンである
【0042】
停止ボタンSTOPが操作されたときには、駆動中の電動モータ5を停止させ、測定動作を中断させる機能停止ボタンである。
【0043】
開始ボタンSTARTは、停止中の電動モータ5を始動させ、測定動作を開始させる機能開始ボタンである。
【0044】
LASERボタンは、第2計測部8による測定動作の選択ボタンである。
【0045】
図6は、ホイールバランス測定装置1の動作を説明するためのフローチャートである。ステップs1で、ホイールバランス測定装置1の電源が投入されると、ホイールWのアンバランス量の測定作業が開始され、測定対象のタイヤ付きホイールWが作業者によって回転軸4に掛止められ、タイヤ付きホイールWが把持部3によって回転軸4に固定される。
【0046】
タイヤ付きホイールWが回転軸4の把持部3に装着されると、ステップs2に移り、作業者によって表示部13の
図5Aに示されるホイール選択画面から、装着したタイヤ付きホイールWに対応する、たとえばPCホイールが選択されると、信号処理部11は選択された種類のホイールWの制御モードに設定される。表示部13には、PCホイールが選択されたことを示すPCホイールの実行画面が
図5Bのように表示される。ホイール選択画面には、各種ホイールWの断面が表示されるので、作業者は視覚的にホイールが測定対象であるか否かを容易かつ明瞭に認識することができ、選択ミスを防止することができる。また、選択されたホイールWの断面が
図5B~
図5Eの実行画面に表示されるので、ホイールWの選択ミスの発生を回避することができる。
【0047】
表示部13に
図5Bに示されるPCホイールの実行画面が表示されると、作業者はホイールの測定動作を実行するために、STARTボタンを操作することによって、STARTボタンの選択による起動信号が制御手段12に出力され、制御手段12は測定開始時における初期状態にリセットされる。リセット後、回転軸4が回転を開始し、この回転軸4に装着されたタイヤ付きホイールが回転駆動され、ステップs3で測定動作が開始される。
【0048】
制御手段12は、速度検出器15および位相検出器16による検出信号に基づいて、回転が開始されたか否かを判断し、回転が開始されたと判断した場合には、ステップs3へ移る。回転が開始されていない場合、たとえば速度検出器15からの検出信号である光検出器36によるパルス信号が変化しない場合には、回転が開始されていないものと判断して、予め定める時間、たとえば3~10secの期間を待機した後、ステップs5で処理を終了する。
【0049】
ステップs3において、制御手段12が回転が開始されたと判断した場合には、制御手段12は速度検出器15および位相検出器16からの検出信号に基づいて、回転軸4の回転位置に対応した偏心量を算出し、表示部13に回転位置とともに偏心量を表示する。回転軸4の回転数は、約90rpm~110rpmであり、第1軸線L1に垂直な右側方から見て、反時計まわりに回転駆動される。このような回転軸4に取付け可能なタイヤ付きホイールWは、ホイール径10~30インチ、ホイール幅が2~15インチ、最大タイヤ外径が900mmである。このようなタイヤ付きホイールWの偏心量の測定が終了すると、ステップs4に移り、制御手段12は制動装置14を動作させて、電動モータ5の回転を制動し、回転軸4を停止させる。制動装置14は、電動モータ5に制動機構が内蔵された、いわゆるブレーキ付モータによって実現されてもよい。制御手段12が、速度検出器15および位相検出器16からの検出信号に基づいて、回転が停止したことを検出すると、ステップs5で処理を終了する。
【0050】
作業者は表示部13の画面に表示されている偏心量に対応する重量δ1,δ2の重錘w1,w2を上部パネル体22から取り出し、ホイールWの該偏心量が生じている回転位置、すなわち距離LD1+B、L3、WRに取付けた後、タイヤ付きホイールWを回転軸4から取外し、ホイールバランス測定作業を終了する。ホイールWへの重錘w1,w2の取り付けは、打込みまたは貼付けのいずれであってもよく、ホイールWの形状に応じて適切に取付けられる。各重錘w1,w2の回転位置は、後述の
図7および
図11に示されるように、タイヤ付きホイールWが停止したときの最上点である。これによって、各重錘w1,w2の回転位置が角度で表示される場合に比べて、作業者が表示された角度位置を測定して位置決めする作業が不要となり、各重錘w1,w2の取付け作業の取付け性を向上することができる。
【0051】
図7は、ホイールバランスの測定に必要なデータを説明するためのホイールWの断面図である。
図7(a)は両側の重錘w1,w2を打込む場合の断面を示し、
図7(b)は内側の重錘w1を打込み、外側の重錘w2を貼付ける場合の断面を示し、
図7(c)は両側の重錘w1,w2を貼付ける場合の断面を示す。各重錘w1,w2は、ホイールWのリム部W1の内周面W1aが平坦な場合には貼付けられ、内周面W1aが湾曲または屈曲している場合には打込まれる。内周面W1aの両側に重錘w1,w2を打込む場合には、
図7(a)に示されるように、第2距離LR1とリム幅LWとが信号処理部11で算出される。
【0052】
また内側の重錘w1を打ち込み、外側の重錘w2を貼付ける場合は、
図7(b)に示されるように、第2距離LR1と内側フランジから外側の重錘w2の取付け位置までの距離L2とが信号処理部11で算出される。さらに内側の重錘w1および外側の重錘w2のどちらも内周面W1aに貼付ける場合は、
図7(c)に示されるように、第2距離LR1と各重錘w1,w2の取付け位置間の距離L3とが信号処理部11で算出される。
【0053】
各重錘w1,w2を取付ける位置は、ホイールWの内側の平坦な場所と外側の平坦な場所に貼付ける場合は、信号処理部11で第2計測部8のレーザー走査にてリム部W1の形状を読み取り、平坦な位置がどこかであるかを解析して求めている。解析した結果、各重錘w1,w2の位置が決まり、リム幅LWが判明する。また、スケール入力の場合、重錘w1,w2を付ける位置は作業者が判断するので、打込みをする場合には打ち込むフランジ部にスケールを当てて測定距離を入力し、貼り付けるならば、平坦な部分にスケールを当てて測定距離を入力することによって、各重錘w1,w2を付ける位置を決定することができる。
【0054】
図8は、スケールレバーSLによる測定状態を示す斜視図であり、
図9は第2計測部8による測定状態を示す斜視図である。ホイールバランス測定装置1の回転軸4にホイールWを装着して高速回転するが、スケールレバーSLによって測定に先立って一方の重錘w1が取付けられるリム内側の直径、他方の重錘w2が取付けられる外側と内側との間の距離(リム幅LW)が測定され、第2計測部8によってホイールWの内周面W1に仮想線で示されるようにレーザー光を照射して、内側重錘w1が取付けられるリムイン側までの距離の測定が行われる。スケールレバーSLは、たとえばレバーの角変位量をロータリエンコーダによって読取る構成であってもよい。
【0055】
図10は、第2計測部8による計測距離とホイールWとの関係を示す断面図である。同図において水平方向をX方向で示し、鉛直方向をY方向で示す。第2計測部8は、本体部2の一側部2bよりも内側に退避した待機位置からX方向に平行な第1軸線L1に沿って一側部2bから突出した計測開始位置までの距離LDだけ移動部9によって移動される。この計測開始位置は、内側の重錘w1を検出した位置に対応し、第2計測部8は移動部9によって、計測開始位置から外側の重錘w2の検出位置までX方向に移動され、
図11に示すホイール幅WBを計測する。
【0056】
図11は、第2計測部8の測定手順を説明するための断面図である。第1計測部7によるタイヤTの外側に位置する一方の側壁部T1と第1計測部7の第1計測端71との間の第1距離をZD、計測開始位置にある第1計測部7の第1計測端71と第2計測部8の第2計測端81との間の距離をC、第2距離をLR1、フランジ部の直径線方向の幅A1、フランジから内側重錘w1の取付け位置までの第1軸線L1に沿う距離をB、およびタイヤTの形状による固定値をDとしたとき、信号処理部11は、各重錘w1,w2を両面打ち込みの場合、ホイール直径WRは、
【0057】
WR=LR1+A1+A1 …(1)
によって求められ、第2計測部8の第2計測端81から内側重錘w1の取付け位置までの第1軸線L1に沿う距離LD1は、第2計測部8の内側重錘w1の取付け位置までの第1軸線L1に沿う移動量をLDとしたとき、
【0058】
LD1=LD-B …(2)
によって算出され、ホイール幅WBは、
【0059】
WB=C-LD1-ZD-D …(3)
によって算出される。
【0060】
図12は、第1計測部7の取付け構造を示す図であり、
図13は第1計測部7の検出領域と検出距離との関係を示すグラフである。なお、
図12(a)は、タイヤ付きホイールWおよび第1計測部7の側面図であり、
図12(b)は、
図12(a)の切断面線XIIB-XIIBから見たタイヤ付きホイールWおよび第1計測部7の断面図である。上記の式1~式3は、メモリ20に記憶され、第1計測部7は、たとえば超音波計測器である超音波センサーによって実現されてもよい。超音波センサーとしては、たとえばオムロン社製、型番E4C-DS30Lを商業的に容易に入手することができる。第1計測部7に超音波センサーを用いることによって、測定範囲がある程度広い範囲を測定でき、測定環境による外部からの影響(日光や電灯)を受けずに、タイヤTの外側の側壁部T1が側方に凸に湾曲した形状であっても、正確に距離を計測することができる。
【0061】
第1計測部7は、平面視において、本体部2から回転軸4の先端部4aを超えて突出する略U字状のアーム50にブラケット51によって取付けられており、第1超音波計測器7aは、超音波の送受信部である第1計測端71aを有する。第2超音波計測器7bは、超音波の送受信部である第1計測端71bを有する。各第1計測端71a,71bは、距離を測定する起点となる位置に選ばれる。
【0062】
1つの超音波計測器による計測範囲は、
図12(b)の参照符Mで示されるように狭い範囲であるので、本実施形態では第1超音波計測器7aおよび第2超音波計測器7bの2つの超音波計測器を用いて計測範囲を広げた構成とする。第1超音波計測器7aおよび第2超音波計測器7bは、タイヤ付きホイールWの形態が相違しても、タイヤTの外側の側壁部に超音波を、
図13のラインL11,L12で示されるように、2つの検出可能な上限域および下限域に発信し、その受信波を受信することによって、1つの超音波計測器による計測範囲Mよりも広い計測範囲Cが得られ、直径の異なる複数種類のホイールWに対して、第1超音波計測器7aおよび第2超音波計測器7bの第1計測端71a,71bおよび外側の側壁部の間の第1距離ZDを確実に計測することができる。
【0063】
また第2計測部8によって、上記のようにレーザビーム光によってホイールWの各距離を測定するので、ホイールWのリム部W1の内周面W1aのような段差を有する対象物の形状であっても、出射部から出射されたレーザビーム光を照射し、その反射光を受光部によって受光し、第2計測端81とホイールWのリム部W1の内周面W1aとの間の距離を第2距離LR1として正確に計測することができる。またバランス測定が終了した後に、重錘を取付ける位置を作業者に教えることになるので、レーザビーム光であればピンポイントで位置を指示することができる。
【0064】
以上のように本実施形態によれば、信号処理部11は、選択画面で選択されたホイールWの種類に対応する制御モードで第1計測部7を制御し、タイヤTのサイドウォールとも呼ばれる外側の側壁部T1までの第1距離ZDが、第1計測部7に計測させる。また信号処理部11は、選択画面で選択されたホイールの種類に対応する制御モードで第2計測部8を制御し、第2計測部8にホイールWのリム部W1の内周面W1aの第2距離LR1が、第2計測部8によって第1軸線L1に沿って走査して計測させる。さらに信号処理部11は、選択画面で選択されたホイールの種類に対応する制御モードで偏心量計測部10を制御し、偏心量計測部10に回転軸4の回転時における偏心量が回転位置に対応させて計測させる。信号処理部11は、第1距離ZD、第2距離LR1および偏心量に基づいて、タイヤTが装着されたホイールWのアンバランス量を各重錘w1,w2の重量として算出し、回転位置をホイールWの回転角度位置によって算出し、算出されたアンバランス量および回転位置は、表示部13によって表示される。したがって前記従来技術のように、ホイールWのリム幅LWを作業者が手作業で測定する必要がなくなり、タイヤT付きホイールWのアンバランス量および回転位置を短時間で計測することができる。
【0065】
また、第1計測部7が第1超音波計測器7aおよび第2超音波計測器7bを含むので、タイヤTの外側の側壁部T1が第1計測端71に向かって凸に湾曲した構成であっても、外側の側壁部T1と第1計測端71との間の最短距離を第1距離ZDとして正確に計測することができる。
【0066】
また、ホイールWのリム部W1の内周面W1aのような段差を有する形状であっても、出射部から出射されたレーザビーム光を照射し、その反射光を受光部によって受光し、第2計測端81とホイールWのリム部W1の内周面W1aとの間の距離を第2距離LR1として正確に計測することができる。
【0067】
また、偏心量計測部10の検出部によって回転軸4の歪み量およびその回転位置を検出して、検出した歪み量および回転位置を歪み検出信号として信号処理部11に出力するので、タイヤTが装着されたホイールWの回転時の歪み量およびその回転位置を得ることができ、車両走行時の歪み量および回転位置を正確に計測することができる。
【0068】
また、ホイールWの内周面上に、計測によって得られた歪み量の最大値に対応する回転位置を表す可視光の参照光が照射されるので、作業者によって計測された歪み量に対応する重錘w1,w2を容易にかつ正確にホイールWの内周面の参照光が照射されている位置に取り付けることができ、作業性を向上することができる。
【0069】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、また、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更、改良等が可能である。上記各実施形態をそれぞれ構成する全部または一部を、適宜、矛盾しない範囲で組み合わせ可能であることは、言うまでもない。
【符号の説明】
【0070】
1 ホイールバランス測定装置
2 本体部
2a 一側部
3 把持部
4 回転軸
5 電動モータ
7 第1計測部
8 第2計測部
9 移動部
10 偏心量計測部
11 信号処理部
13 表示部
12 制御手段
14 制動装置
15 速度検出器
16 位相検出器
19 操作部
20 メモリ
21 凹部
22 上部パネル体
23 基台
24 床
30 支持体
31,32 軸受
33 遮光板
36 光検出器
41,42 歪検出器
71 第1計測端
81 第2計測端
A1 幅
B 距離
C 距離
D 固定値
H 高さ
L1 第1軸線
L2,L3 距離
LD 距離
LR1 第2距離
SL スケールレバー
T タイヤ
T1 側壁部
W ホイール
W1 リム部
W1a 内周面
w1,w2 重錘
WB ホイール幅
WR ホイール直径
ZD 第1距離
【要約】
【課題】 ホイールバランス測定装置を提供する。
【解決手段】 ホイールバランス測定装置は、本体部2と、回転軸4と、回転軸4を第1軸線L1まわりに回転駆動する電動モータ5と、第1計測端71を有し、第1計測端71と外側の側壁部T1との間の第1距離ZDを、第1軸線L1に沿って外側の側壁部T1に非接触で計測する第1計測部7と、第2計測端81とホイールWのリム部W1の内周面W1aとの間の第2距離LR1を、リム部W1の内周面W1aに非接触で計測する第2計測部8と、第2計測部8を第1軸線L1に沿って移動させる移動部9と、ホイールWの偏心量を回転軸4の第1軸線L1まわりの回転位置に対応させて計測する偏心量計測部10と、表示部13と、種類の異なる複数のホイールWの選択画面を、表示部13に表示させ、算出したアンバランス量を表示部13に表示させる信号処理部11と、を含む。
【選択図】
図1