(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-13
(45)【発行日】2024-06-21
(54)【発明の名称】リセットリリースシーケンスモニタリング方法、記録媒体及び電子装置
(51)【国際特許分類】
B60W 50/00 20060101AFI20240614BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20240614BHJP
B60W 60/00 20200101ALI20240614BHJP
【FI】
B60W50/00
B60R16/02 650Z
B60W60/00
(21)【出願番号】P 2022529416
(86)(22)【出願日】2020-07-20
(86)【国際出願番号】 KR2020009507
(87)【国際公開番号】W WO2021101013
(87)【国際公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-05-19
(31)【優先権主張番号】10-2019-0150127
(32)【優先日】2019-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521471349
【氏名又は名称】株式会社ネクストチップ
【氏名又は名称原語表記】NEXTCHIP CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】チョン,イ ウー
(72)【発明者】
【氏名】ジョ,ス ヒュン
【審査官】戸田 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-006535(JP,A)
【文献】特開2009-252104(JP,A)
【文献】特開2017-107273(JP,A)
【文献】特表2017-504116(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0117779(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 50/00
B60R 16/02
B60W 60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
順次受信されるローカルリセットをリリースするリリース信号に応じて、車両に搭載される電子装置によって実行される、前記車両のシステムのリセットリリースシーケンスモニタリング方法は、
前記電子装置が、ローカルリセットが正常にリリースされたか否かを
ロー状態及びハイ状態を用いて表す第1チェッカ
ー及び第2チェッカー
夫々の状態の組み合わせに基づいて前記ローカルリセットのリリース状態をモニタリングするステップを含み、
前記モニタリングするステップは、
前記電子装置の外部の装置からリセットルートを受信するステップと、
前記リセットルートを受信した場合、前記第1チェッカー及び前記第2チェッカーの状態を予め設定された状態にトグルするステップと、
一のリリース
信号を受信した場合、前記システムのクロック
を用いて得られる、直前のローカルリセットのリリースと前記一のリリース信号に応じた一のローカルリセットのリリースとの時差に基づいて前記
一のローカルリセットが正常にリリースされたか否か
の決定
を行うステップと、
前記
一のローカルリセットが正常にリリースされていない
と決定した場合、前記第2チェッカーの状態をトグルするステップと、
前記決定は受信した各リリース信号に応じて行われ、最後のローカルリセットが正常にリリースされた
と決定した場合、前記第1チェッカーの状態をトグルするステップと、
前記ローカルリセットのリリース毎に前記第1チェッカーの状態及び前記第2チェッカーの状態を出力するステップと、
を有する、リセットリリースシーケンスモニタリング方法。
【請求項2】
前記リセットルートを受信した場合、第1チェッカー及び第2チェッカーの状態を予め設定された状態にトグルするステップは、前記第1チェッカーの状態をロー(low)状態にトグルし、前記第2チェッカーの状態をロー状態にトグルするステップを有する、請求項1に記載のリセットリリースシーケンスモニタリング方法。
【請求項3】
前記最後のローカルリセットが正常にリリースされた
と決定した場合、前記第1チェッカーの状態をトグルするステップは、前記第1チェッカーの状態をハイ(high)状態にトグルするステップを有する、請求項2に記載のリセットリリースシーケンスモニタリング方法。
【請求項4】
前記
一のローカルリセットが正常にリリースされたか否か
の決定
を行うステップは、
前記システムのクロックに基づいて
直前ローカルリセットがリリースされた時点及び
前記一のローカルリセットがリリースされた時点との間の差を算出するステップと、
前記差に基づいて前記
一のローカルリセットが正常にリリースされたか否かを決定するステップと、
を有する、請求項1に記載のリセットリリースシーケンスモニタリング方法。
【請求項5】
前記
一のローカルリセットが正常にリリースされたか否か
の決定
を行うステップは、
前記一のローカルリセットがリリースされた順序が正常であるか否かを判断するステップを有する、請求項1に記載のリセットリリースシーケンスモニタリング方法。
【請求項6】
前記モニタリングするステップは、
前記第1チェッカーの状態及び前記第2チェッカーの状態が予め設定された状態に保持されるか否かを決定するステップと、
前記第1チェッカーの状態及び前記第2チェッカーの状態のうち少なくとも1つが予め設定された状態でない場合、リセットエラーを出力するステップと、
を有する、請求項1に記載のリセットリリースシーケンスモニタリング方法。
【請求項7】
前記電子装置は、自律走行車両(autonomous vehicle)又は先進
運転者支援システム(advanced driver assistance system)を備える車両に搭載される、請求項1に記載のリセットリリースシーケンスモニタリング方法。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の方法を行うプログラムを収録したコンピュータで読み出し可能な記録媒体。
【請求項9】
車両に搭載され、
順次受信されるローカルリセットをリリースするリリース信号に応じて、前記車両のシステムのリセットリリースシーケンスをモニタリングする電子装置は、
リセットリリースシーケンスをモニタリングするプログラムが記録されたメモリと、
前記プログラムを行うプロセッサと、
を備え、
前記プログラムは、
前記電子装置が、ローカルリセットが正常にリリースされたか否かを
ロー状態及びハイ状態を用いて表す第1チェッカ
ー及び第2チェッカー
夫々の状態の組み合わせに基づいて前記ローカルリセットのリリース状態をモニタリングするステップを行い、
前記モニタリングするステップは、
前記電子装置の外部の装置からリセットルートを受信するステップと、
前記リセットルートを受信した場合、前記第1チェッカー及び前記第2チェッカーの状態を予め設定された状態にトグルするステップと、
一のリリース
信号を受信した場合、前記システムのクロック
を用いて得られる、直前のローカルリセットのリリースと前記一のリリース信号に応じた一のローカルリセットのリリースとの時差に基づいて前記
一のローカルリセットが正常にリリースされたか否か
の決定
を行うステップと、
前記
一のローカルリセットが正常にリリースされていない
と決定した場合、前記第2チェッカーの状態をトグルするステップと、
前記決定は受信した各リリース信号に応じて行われ、最後のローカルリセットが正常にリリースされた
と決定した場合、前記第1チェッカーの状態をトグルするステップと、
前記ローカルリセットのリリース毎に前記第1チェッカーの状態及び前記第2チェッカーの状態を出力するステップと、
を有する、電子装置。
【請求項10】
前記リセットルートを受信した場合、第1チェッカー及び第2チェッカーの状態を予め設定された状態にトグルするステップは、前記第1チェッカーの状態をロー状態にトグルし、前記第2チェッカーの状態をロー状態にトグルするステップを有する、請求項9に記載の電子装置。
【請求項11】
前記最後のローカルリセットが正常にリリースされた
と決定した場合、前記第1チェッカーの状態をトグルするステップは、前記第1チェッカーの状態をハイ状態にトグルするステップを有する、請求項10に記載の電子装置。
【請求項12】
前記
一のローカルリセットが正常にリリースされたか否か
の決定
を行うステップは、
前記システムのクロックに基づいて、
直前ローカルリセットがリリースされた時点と
前記一のローカルリセットがリリースされた時点との間の差を算出するステップと、
前記差に基づいて前記
一のローカルリセットが正常にリリースされたか否かを決定するステップと、
を有する、請求項9に記載の電子装置。
【請求項13】
前記
一のローカルリセットが正常にリリースされたか否か
の決定
を行うステップは、
前記一のローカルリセットがリリースされた順序が正常であるか否かを判断するステップを有する、請求項9に記載の電子装置。
【請求項14】
前記モニタリングするステップは、
前記第1チェッカーの状態及び前記第2チェッカーの状態が予め設定された状態に保持されるか否かを決定するステップと、
前記第1チェッカーの状態及び前記第2チェッカーの状態のうち少なくとも1つが予め設定された状態でない場合、リセットエラーを出力するステップと、
を有する、請求項9に記載の電子装置。
【請求項15】
前記電子装置は、自律走行車両又は先進運転者支援システムを備える車両に搭載される、請求項9に記載の電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の実施形態は、リセットの機能安全を決定する技術に関し、より詳しくは、リセットのリリースシーケンスをモニタリングすることによってリセットの機能安全を決定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
先進運転者支援システム(Advanced Driver Assistance
Systems:ADAS)又は自律走行車両のための技術が開発され、ISO26262に対する機能が強調されている。ISO26262は、機能安全(functional safety)を実現するための車両機能安全国際規格である。ISO26262は、プロセスモデルと共に求められる活動、有形・無形の証拠物、そして開発と生産に使用される方式を定義する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一実施形態は、リセットの機能安全を決定する方法及びその電子装置を提供することができる。
【0005】
一実施形態は、リセットのリリースシーケンスをモニタリングすることによって、リセットの機能安全を決定する、リセットリリースシーケンスモニタリング方法、記録媒体及びその電子装置を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
順次受信されるローカルリセットをリリースするリリース信号に応じて、車両に搭載される電子装置によって実行される、前記車両のシステムのリセットリリースシーケンスモニタリング方法は、前記電子装置が、ローカルリセットが正常にリリースされたか否かをロー状態及びハイ状態を用いて表す第1チェッカー及び第2チェッカー夫々の状態の組み合わせに基づいて前記ローカルリセットのリリース状態をモニタリングするステップを含み、前記モニタリングするステップは、前記電子装置の外部の装置からリセットルートを受信するステップと、前記リセットルートを受信した場合、前記第1チェッカー及び前記第2チェッカーの状態を予め設定された状態にトグルするステップと、一のリリース信号を受信した場合、前記システムのクロックを用いて得られる、直前のローカルリセットのリリースと前記一のリリース信号に応じた一のローカルリセットのリリースとの時差に基づいて前記一のローカルリセットが正常にリリースされたか否かの決定を行うステップと、前記一のローカルリセットが正常にリリースされていないと決定した場合、前記第2チェッカーの状態をトグルするステップと、前記決定は受信した各リリース信号に応じて行われ、最後のローカルリセットが正常にリリースされたと決定した場合、前記第1チェッカーの状態をトグルするステップと、前記ローカルリセットのリリース毎に前記第1チェッカーの状態及び前記第2チェッカーの状態を出力するステップと、を有し、前記第1チェッカーの状態及び前記第2チェッカーの状態に基づいて前記ローカルリセットのリリース状態がモニタリングされる。
【0007】
前記リセットルートを受信した場合、第1チェッカー及び第2チェッカーの状態を予め設定された状態にトグルするステップは、前記第1チェッカーの状態をロー(low)状態にトグルし、前記第2チェッカーの状態をロー状態にトグルするステップを有することができる。
【0008】
前記最後のローカルリセットが正常にリリースされたと決定した場合、前記第1チェッカーの状態をトグルするステップは、前記第1チェッカーの状態をハイ(high)状態にトグルするステップを有することができる。
【0009】
前記一のローカルリセットが正常にリリースされたか否かの決定を行うステップは、前記システムのクロックに基づいて直前ローカルリセットがリリースされた時点及び前記一のローカルリセットがリリースされた時点との間の差を算出するステップと、前記差に基づいて前記一のローカルリセットが正常にリリースされたか否かを決定するステップとを有することができる。
【0010】
前記一のローカルリセットが正常にリリースされたか否かの決定を行うステップは、前記一のローカルリセットがリリースされた順序が正常であるか否かを判断するステップを有することができる。
【0011】
前記モニタリングするステップは、前記第1チェッカーの状態及び前記第2チェッカーの状態が予め設定された状態に保持されるか否かを決定するステップと、前記第1チェッカーの状態及び前記第2チェッカーの状態のうち少なくとも1つが予め設定された状態でない場合、リセットエラーを出力するステップとを有することができる。
【0012】
前記電子装置は、自律走行車両(autonomous vehicle)又は先進運転者支援システム(advanced driver assistance system)を備える車両に搭載されることができる。
【0013】
車両に搭載され、順次受信されるローカルリセットをリリースするリリース信号に応じて、前記車両のシステムのリセットリリースシーケンスをモニタリングする電子装置は、リセットリリースシーケンスをモニタリングするプログラムが記録されたメモリと、前記プログラムを行うプロセッサと、を備え、前記プログラムは、前記電子装置が、ローカルリセットが正常にリリースされたか否かをロー状態及びハイ状態を用いて表す第1チェッカー及び第2チェッカー夫々の状態の組み合わせに基づいて前記ローカルリセットのリリース状態をモニタリングするステップを行い、前記モニタリングするステップは、前記電子装置の外部の装置からリセットルートを受信するステップと、前記リセットルートを受信した場合、前記第1チェッカー及び前記第2チェッカーの状態を予め設定された状態にトグルするステップと、一のリリース信号を受信した場合、前記システムのクロックを用いて得られる、直前のローカルリセットのリリースと前記一のリリース信号に応じた一のローカルリセットのリリースとの時差に基づいて前記一のローカルリセットが正常にリリースされたか否かの決定を行うステップと、前記一のローカルリセットが正常にリリースされていないと決定した場合、前記第2チェッカーの状態をトグルするステップと、前記決定は受信した各リリース信号に応じて行われ、最後のローカルリセットが正常にリリースされたと決定した場合、前記第1チェッカーの状態をトグルするステップと、前記ローカルリセットのリリース毎に前記第1チェッカーの状態及び前記第2チェッカーの状態を出力するステップと行い、前記第1チェッカーの状態及び前記第2チェッカーの状態に基づいて前記ローカルリセットのリリース状態がモニタリングされる。
【0014】
前記リセットルートを受信した場合、第1チェッカー及び第2チェッカーの状態を予め設定された状態にトグルするステップは、前記第1チェッカーの状態をロー状態にトグルし、前記第2チェッカーの状態をロー状態にトグルするステップを有することができる。
【0015】
前記最後のローカルリセットが正常にリリースされたと決定した場合、前記第1チェッカーの状態をトグルするステップは、前記第1チェッカーの状態をハイ状態にトグルするステップを有することができる。
【0016】
前記一のローカルリセットが正常にリリースされたか否かの決定を行うステップは、前記システムのクロックに基づいて、直前ローカルリセットがリリースされた時点と前記一のローカルリセットがリリースされた時点との間の差を算出するステップと、前記差に基づいて前記一のローカルリセットが正常にリリースされたか否かを決定するステップとを有することができる。
【0017】
前記一のローカルリセットが正常にリリースされたか否かの決定を行うステップは、前記一のローカルリセットがリリースされた順序が正常であるか否かを判断するステップを有することができる。
【0018】
前記モニタリングするステップは、前記第1チェッカーの状態及び前記第2チェッカーの状態が予め設定された状態に保持されるか否かを決定するステップと、前記第1チェッカーの状態及び前記第2チェッカーの状態のうち少なくとも1つが予め設定された状態でない場合、リセットエラーを出力するステップとを有する。
【0019】
前記電子装置は、自律走行車両又は先進運転者支援システムを備える車両に搭載されることができる。
【発明の効果】
【0020】
リセットの機能安全を決定する方法及びその電子装置を提供することができる。
【0021】
リセットのリリースシーケンスをモニタリングすることによって、リセットの機能安全を決定する方法及びその電子装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図2】一例に係るリセットシステムの構成図である。
【
図3】一実施形態に係るリセットリリースシーケンスをモニタリングする電子装置の構成図である。
【
図4】一実施形態に係るリセットリリースシーケンスをモニタリングする方法のフローチャートである。
【
図5】一例に係るクロックに基づいてローカルリセットが正常にリリースされたか否かを決定する方法のフローチャートである。
【
図6】一例に係る第1チェッカー及び第2チェッカーの出力状態に係るローカルリセットの状態及びエラーの有無を判断する表を示す。
【
図7】一例に係るクロック、リセットルート、及びローカルリセットのタイミングチャートを示す。
【
図8】一例に係るリセットルート、最後のローカルリセット、第1チェッカー及び第2チェッカーのタイミングチャートを示す。
【
図9】一例に係る電子装置のモジュールの構成図である。
【
図10】一例に係る電子装置のエラー確認器モジュールの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付の図面を参照して実施形態について詳説する。しかし、本明細書で開示する特定の構造的又は機能的な説明は単に実施形態を説明するための目的として例示したものであり、実施形態は様々な異なる形態で実施され、本発明は本明細書で説明した実施形態に限定されるものではない。実施形態に対するすべての変更、均等物ないし代替物が権利範囲に含まれているものと理解されなければならない。
【0024】
実施形態で用いられる用語は、単に、説明を目的として使用されたものであり、限定しようとする意図として解釈されることはない。単数の表現は、文脈上、明白に異なる意味をもたない限り複数の表現を含む。本明細書において、「含む」又は「有する」等の用語は明細書上に記載した特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものが存在することを示すものであって、1つ又はそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品、又はこれを組み合わせたものなどの存在又は付加の可能性を予め排除しないものとして理解しなければならない。
【0025】
異なるように定義さがれない限り、技術的であるか又は科学的な用語を含むここで用いる全ての用語は、本実施形態が属する技術分野で通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。一般的に用いられる予め定義された用語は、関連技術の文脈上で有する意味と一致する意味を有するものと解釈すべきであって、本明細書で明白に定義しない限り、理想的又は過度に形式的な意味として解釈されることはない。
【0026】
また、添付図面を参照して説明することにおいて、図面符号に関係なく、同じ構成要素は同じ参照符号を付与し、これに対する重複する説明は省略することにする。実施形態の説明において、関連する公知技術に対する具体的な説明が実施形態の要旨を不要に曖昧にするものと判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0027】
【0028】
一側面に係る車両100は、運転者からの入力がほんとんどなかったり、又は全くない状況でも認知された走行環境に応じて自律モード(autonomous mode)で走行することができる。走行環境は、車両100に付着又は設置された1つ以上のセンサを介して認知され得る。例えば、1つ以上のセンサは、カメラ、LIDAR、RADAR、及び音声認識センサを含んでもよく、記載された例に制限されない。走行環境は、道路、道路の状態、車線の種類、周辺車両の有無、近接した車両との距離、天気、障害物の有無などを含んでもよく、記載された例に制限されない。
【0029】
車両100は、走行環境を認識し、走行環境に適する自律走行経路を生成する。自律走行経路に沿って行くように自律走行車両は、内外部の機械的な要素を制御する。車両100は、自律走行経路を周期的に生成することができる。
【0030】
異なること側面に係る車両100は、先進運転者支援システム(Advanced Driver Assistance Systems:ADAS)を用いて運転者の運転を補助することができる。ADASは、衝突危険時に運転者が制動装置を踏まなくても自らスピードを下げたり止める自動緊急制動システム(Autonomous Emergency Braking:AEB)、車線離脱時に走行方向を調節して車線を保持する走行操向補助システム(Lane Keep Assist System:LKAS)、予め決定された速度で走りながら前の車両と間隔を保持するアドバンスドスマートクルーズコントロール(Advanced Smart Cruise Control:ASCC)、死角地帯の衝突危険を検出して安全な車道変更を補助する後側方衝突回避支援システム(Active Blind Spot Detection:ABSD)、車両の周辺状況を視覚的に見せるアラウンドビューモニターシステム(AroundView Monitor:AVM)などを含んでもよい。
【0031】
車両100に含まれている電子装置110は、車両100の機械的装置を制御し、自律走行したり運転者の運転を補助することができ、記載された実施形態以外のECU及び様々な種類のコントローラやセンサなどに使用されてもよい。電子装置110が自動的に機械的な要素を制御することから、制御の正確性が極めて重要である。例えば、リセットの機能エラーによって電子装置110の意図とは異なるタイミングに制御のリセットが実行される場合事故につながることがある。例えば、速度を減速する制御が正確なタイミングでない、遅れたタイミングに実行される場合は事故につながる。
【0032】
そのため、機械的な要素を制御する前に、リセットの機能が正常であるか否かを判断する方法が実行されなければならない。前記の内容についてISO26262又は自動車機能安全性国際標準に関わっている。ISO26262は、車両100に搭載されるE/E
(Electric & Electronic)システムのエラーによる事故防止のために、ISOで制定した自動車機能安全国際規格である。ISO26262は、プロセスモデルと共に求められる活動、有形・無形の証拠物、そして開発及び生産に使用される方式を定義する。
【0033】
リセットの機能安全を決定する方法について、以下では
図2~
図10を参照して詳細に説明される。
【0034】
図2は、一例に係るリセットシステムの構成図である。
【0035】
リセットは、一般にロー(low)状態の初期化状態から始まってハイ(high)状態にトグル(リセットリリース)されながら正常に機能する。システムによって様々な種類のリセットが使用され得るが、このような場合、複数のリセットそれぞれがリリースされたタイミングシーケンスが予め決定されてもよい。複数のリセットのそれぞれはローカルリセットに命名し、例えば、複数のローカルリセットが実行されるタイミング及びシーケンスが予め決定されてもよい。複数のローカルリセットがリリースされたタイミングシーケンスが所定のシーケンスに従わない場合、システムに問題が発生する恐れがある。
【0036】
このような問題を防止するために、リセット生成器230により生成されるローカルリセットをモニタリングするモニタリング装置240が考慮される。
【0037】
システム220は、リセット生成器230及びモニタリング装置240を含む。システム220は、外部装置210からリセットルート(reset root)を受信し、リセット生成器230を介してローカルリセットを生成し、モニタリング装置240を介して複数のローカルリセットがリリースされたタイミングシーケンスをモニタリングする。ローカルリセットが出力されるシーケンスが誤ったり、タイミングが誤った場合にエラーが出力される。以下では、リセットリリースシーケンスをモニタリングする方法について、
図3~
図10を参照して詳細に説明される。
【0038】
図3は、一実施形態に係るリセットリリースシーケンスをモニタリングする電子装置の構成図である。
【0039】
電子装置300は、通信部310、プロセッサ320、及びメモリ330を含む。例えば、電子装置300は、
図1を参照して上述した電子装置110に対応したり、
図2を参照して上述したモニタリング装置240に対応する。
【0040】
通信簿310は、プロセッサ320及びメモリ330に接続されてデータを送受信する。通信簿310は、外部の他の装置と接続されてデータを送受信することができる。以下、「A」を送受信するという表現は、「Aを示す情報(information)又はデータ」を送受信することを意味する。
【0041】
通信部310は、電子装置300内の回路網(circuitry)に実現されてもよい。例えば、通信部310は、内部バス(internal bus)及び外部バス(external bus)を含む。異なる例として、通信部310は、電子装置300と外部の装置を接続する要素であってもよい。通信部310は、インターフェースであってもよい。通信部310は、外部の装置からデータを受信し、プロセッサ320及びメモリ330にデータを送信する。
【0042】
プロセッサ320は、通信部310が受信したデータ及びメモリ330に格納されたデータを処理する。「プロセッサ」は、目的とする動作を実行させるための物理的な構造を有する回路を有するハードウェアで具現されたデータ処理装置であってもよい。例えば、目的とする動作は、プログラムに含まれているコード又は命令を含む。例えば、ハードウェアで具現されたデータ処理装置は、マイクロプロセッサー(microprocessor)、中央処理装置(central processing unit)、プロセッサコア(processor core)、マルチコアプロセッサ(multi-core processor)、マルチプロセッサ(multiprocessor)、ASIC(Application-Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)を含む。
【0043】
プロセッサ320は、メモリ(例えば、メモリ330)に格納されたコンピュータで読出し可能なコード(例えば、ソフトウェア)及びプロセッサ320によって誘発された命令を実行する。
【0044】
メモリ330は、通信部310が受信したデータ及びプロセッサ320が処理したデータを格納する。例えば、メモリ330は、プログラム(又は、アプリケーション、ソフトウェア)を格納する。格納されるプログラムは、リセットリリースシーケンスをモニタリングするようコーディングされてプロセッサ320により実行可能なシンタックス(syntax)の集合であってもよい。
【0045】
一態様によれば、メモリ330は、1つ以上の揮発性メモリ、不揮発性メモリ及びRAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ及び光学ディスクドライブを含む。
【0046】
メモリ330は、電子装置300を動作させる命令語セット(例えば、ソフトウェア)を格納する。電子装置300を動作させる命令語セットは、プロセッサ320によって実行される。
【0047】
通信部310、プロセッサ320及びメモリ330について、以下で
図4~
図10を参照して詳細に説明される。
【0048】
図4は、一実施形態に係るリセットリリースシーケンスをモニタリングする方法のフローチャートである。
【0049】
以下のステップ410~470は、
図3を参照して上述した電子装置300によって実行される。
【0050】
ステップ410において、電子装置300は、外部装置からリセットルートを受信する。例えば、リセットルートは、外部の電源又は外部のリセット生成ブロックによって生成されてもよい。
図7を参照した時点701の以前、又は、
図8を参照した時点801の以前にリセットルートが受信されてもよい。
【0051】
再び
図4を参照すると、ステップ420において、電子装置300は、リセットルートを受信した場合、第1チェッカー(first checker)及び第2チェッカー(second checker)の状態を予め設定された状態にトグルする。第1チェッカー及び第2チェッカーは、2つの状態有する。例えば、状態は、ロー状態又はハイ状態であってもよい。異なる例として、状態は、ビット0又はビット1であってもよい。第1チェッカーに予め設定された状態はロー状態であり、第2チェッカーに予め設定された状態はロー状態であってもよい。
【0052】
例えば、
図8を参照すると、時点801において、第1チェッカーの状態がハイ状態からロー状態にトグルされ、第2チェッカーの状態がハイ状態からロー状態にトグルされる。
【0053】
再び
図4を参照すると、ステップ430において、電子装置300は、少なくとも1つのローカルリセットのリリース信号を受信する。例えば、
図2を参照して上述したリセット生成器220からターゲットローカルリセットのリリース信号を受信してもよい。リリースされたターゲットローカルリセットは、第1ローカルリセット~第Nローカルリセットのいずれか1つであってもよい。リセット生成器220は、リセットルートに基づいて予め設定されたタイミング及びシーケンスにターゲットローカルリセットをリリースする信号を生成することができる。
【0054】
図7を参照した時点701において第1ローカルリセットのリリース信号を受信し、時点702において第2ローカルリセットのリリース信号を受信し、時点703において第Nローカルリセットのリリース信号を受信する。第Nローカルリセットのリリース信号は、最後のローカルリセット信号である。
【0055】
再び
図4を参照すると、ステップ440において、電子装置300は、少なくとも1つのローカルリセットのうちターゲットローカルリセットのリリースを受信した場合、システムのクロックに基づいてターゲットローカルリセットが正常にリリースされたか否かを決定する。例えば、ターゲットローカルリセットが予め設定されたタイミングにリリースされたか決定されることができる。異なる例として、ターゲットローカルリセットがリリースされた順序が正常であるか否かが判断されることができる。
【0056】
図5を参照すると、ステップ440は、以下のステップ510及び520を含む。
【0057】
ステップ510において、電子装置300は、システムのクロックに基づいて以前ローカルリセットが活性化した時点とターゲットローカルリセットがリリースされた時点との間の差を算出する。例えば、
図7を参照すると、第1ローカルリセットが活性化した時点である時点701と、第2ローカルリセットが活性化した時点である時点702との間の差が、システムのクロックに基づいて算出されることができる。
【0058】
ステップ520において、電子装置300は、算出された差に基づいてターゲットローカルリセットが正常にリリースされたか否かを決定する。
【0059】
再び
図4を参照すると、ステップ450において、電子装置300は、ターゲットローカルリセットが正常にリリースされていない場合、第2チェッカーの状態をトグルする。例えば、第2チェッカーの状態がロー状態からハイ状態にトグルされてもよい。第1チェッカーの状態はトグルされない。
【0060】
ターゲットローカルリセットが最後のローカルリセットでない場合、ステップ430~440が再度実行される。ステップ440が実行された後、第1チェッカーの状態及び第2チェッカーの状態が出力される。例えば、ターゲットローカルリセットが正常に動作した場合、出力される第1チェッカーの状態はロー状態であり、第2チェッカーの状態はロー状態であってもよい。
【0061】
ステップ460において、電子装置300は、最後のローカルリセットが正常にリリースされた場合、第1チェッカーの状態をトグルする。例えば、第1チェッカーの状態がロー状態であった場合、第1チェッカーの状態がハイ状態にトグルされる。第2チェッカーの状態はトグルされない。
【0062】
図8を参照すると、最後のローカルリセットがリリースされた時点802で第1チェッカーがハイ状態にトグルされる。
【0063】
再び
図4を参照すると、ステップ470において、電子装置300は、第1チェッカー及び第2チェッカーの状態を出力する。例えば、電子装置300の外部装置に第1チェッカー及び第2チェッカーの状態が出力されてもよい。外部装置は、第1チェッカー及び第2チェッカーの状態に基づいてローカルリセットのリリース状態をモニタリングする。異なる例として、電子装置300は、出力された第1チェッカー及び第2チェッカーの状態に基づいてローカルリセットのリリース状態をモニタリングしてもよい。ローカルリセットがリリースされて活性化した期間の間に、第1チェッカーの状態及び第2チェッカーの状態がモニタリングされることでリセットの機能安全がモニタリングされることができる。
【0064】
図6を参照すると、第1チェッカーの状態及び第2チェッカーの状態に基づいて、リセットの状態がどのような状態にあるかが決定される。例えば、第1チェッカーの状態及び第2チェッカーの状態に対応するリセット状態が、初期状態、ローカルリセット進行状態、ローカルリセット終了状態、及びエラー状態のいずれか1つに決定される。
【0065】
ここで、エラーの有無を1つの信号を用いて出力せず2つのチェッカーを全て出力する理由は、出力される信号がスタク(stuck)されたり、フローティング(floating)されても、外部装置がリセットの異常事態の発生を把握可能にするためである。
【0066】
図8を参照すると、リセットルートが受信された時点801の以後で第1チェッカーの状態及び第2チェッカーの状態がロー状態に保持され、最後のローカルリセットが受信された時点802の以後に第1チェッカーがハイ状態に保持され、第2チェッカーがロー状態に保持されることがモニタリングされる。
【0067】
電子装置300又は第1チェッカーの状態及び第2チェッカーの状態を受信した外部装置は、第1チェッカーの状態及び第2チェッカーの状態のうち少なくとも1つが予め設定された状態でない場合にリセットエラーを出力する。ローカルリセットが意図しないように活性化又は不活性化された場合、第1チェッカーの状態及び第2チェッカーの状態のうち少なくとも1つが変化する。第1チェッカーの状態及び第2チェッカーの状態のうち少なくとも1つが予め設定された状態でない場合(例えば、第1チェッカーの状態がロー状態、第2チェッカーの状態がハイ状態)、リセットが異常に動作しないものと決定することができる。
【0068】
図9は、一例に係る電子装置のモジュールの構成図である。
【0069】
一側面に係る電子装置900は、リセットシーケンス確認器910、リセットカウンタ920、及びリセット状態確認器930を含む。電子装置900は、
図3ないし
図8を参照して上述した電子装置300であってもよい。電子装置900の通信部、プロセッサ、及びメモリの資源を用いてリセットシーケンス確認器910、リセットカウンタ920、及びリセット状態確認器930が実現される。
【0070】
リセットシーケンス確認器910は、リセットルート及びローカルリセットのリリースに基づいてリセットシーケンスを確認する。例えば、ターゲットローカルリセットがリリースされた順序が予め設定された順序に対応するかが決定される。ターゲットローカルリセットがリリースされた順序が予め設定された順序に対応しない場合、リセットエラーがあることを結果として出力し、リセット状態確認器930に送信することができる。
【0071】
リセットカウンタ920は、リセットルート及びローカルリセットのリリースに基づいてターゲットローカルリセットのリセットカウンタを算出する。例えば、以前ローカルリセットがリリースされた時点と、ターゲットローカルリセットがリリースされた時点との間のクロック差の個数を算出することができる。算出されたクロック差が予め設定されたクロック差に対応しない場合、リセットエラーがあることを結果として出力し、リセット状態確認器930に送信することができる。
【0072】
リセット状態確認器930は、リセットルート、ローカルリセットのリリース、リセットシーケンス確認器910の結果、及びリセットカウンタ920の結果に基づいて第1チェッカー及び第2チェッカーの状態をトグルし、第1チェッカー及び第2チェッカーの状態を出力することができる。
【0073】
図10を参照すると、リセット状態確認器930は、第1チェッカーの状態及び第2チェッカーの状態をエラー確認器1000に出力し、エラー確認器1000は、第1チェッカーの状態及び第2チェッカーの状態に基づいてリセット状態を決定することができる。例えば、
図6に示す表に基づいてリセット状態が決定されてもよい。
【0074】
一態様によれば、エラー確認器1000は、電子装置900に含まれない別個の装置又は回路であってもよい。
【0075】
他の側面によれば、エラー確認器1000は、電子装置900に含まれる装置又は回路であってもよい。
【0076】
本実施形態による方法は、様々なコンピュータ手段を介して実施されるプログラム命令の形態で具現され、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録される。記録媒体は、プログラム命令、データファイル、データ構造などを単独又は組み合せて含む。記録媒体及びプログラム命令は、本発明の目的のために特別に設計して構成されたものでもよく、コンピュータソフトウェア分野の技術を有する当業者にとって公知のものであり使用可能なものであってもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体の例として、ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク及び磁気テープのような磁気媒体、CD-ROM、DVDのような光記録媒体、フロプティカルディスクのような磁気-光媒体、及びROM、RAM、フラッシュメモリなどのようなプログラム命令を保存して実行するように特別に構成されたハードウェア装置を含む。プログラム命令の例としては、コンパイラによって生成されるような機械語コードだけでなく、インタプリタなどを用いてコンピュータによって実行される高級言語コードを含む。上記で説明したハードウェア装置は、本発明に示す動作を実行するために1つ以上のソフトウェアモジュールとして作動するように構成してもよく、その逆も同様である。
【0077】
ソフトウェアは、コンピュータプログラム、コード、命令、又はそのうちの一つ以上の組合せを含み、希望の通りに動作するよう処理装置を構成したり、独立的又は結合的に処理装置を命令することができる。ソフトウェア及び/又はデータは、処理装置によって解釈されたり処理装置に命令又はデータを提供するために、いずれかの類型の機械、構成要素、物理的装置、仮想装置、コンピュータ格納媒体又は装置、又は送信される信号波に永久的又は一時的に具体化することができる。ソフトウェアはネットワークに連結されたコンピュータシステム上に分散され、分散した方法で格納されたり実行され得る。ソフトウェア及びデータは一つ以上のコンピュータで読出し可能な記録媒体に格納され得る。
【0078】
上述したように実施形態をたとえ限定された図面によって説明したが、当技術分野で通常の知識を有する者であれば、上記の説明に基づいて様々な技術的な修正及び変形を適用することができる。例えば、説明された技術が説明された方法と異なる順で実行されるし、及び/又は説明されたシステム、構造、装置、回路などの構成要素が説明された方法と異なる形態で結合又は組み合わせられてもよいし、他の構成要素又は均等物によって置き換え又は置換されたとしても適切な結果を達成することができる。
【0079】
したがって、他の具現、他の実施形態および特許請求の範囲と均等なものも後述する特許請求範囲の範囲に属する。
【符号の説明】
【0080】
300:電子装置
310:通信部
320:プロセッサ
330:メモリ