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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-13
(45)【発行日】2024-06-21
(54)【発明の名称】植木鉢
(51)【国際特許分類】
   A01G 9/02 20180101AFI20240614BHJP
【FI】
A01G9/02 D
A01G9/02 101N
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2024506576
(86)(22)【出願日】2023-07-06
(86)【国際出願番号】 JP2023025076
(87)【国際公開番号】W WO2024014384
(87)【国際公開日】2024-01-18
【審査請求日】2024-02-01
(31)【優先権主張番号】P 2022112319
(32)【優先日】2022-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】506190005
【氏名又は名称】株式会社安震
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉田 規久男
【審査官】磯田 真美
(56)【参考文献】
【文献】実開昭53-100463(JP,U)
【文献】特表2017-521996(JP,A)
【文献】登録実用新案第3217627(JP,U)
【文献】特開昭55-131327(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0029195(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 9/00 - 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用時に外側面が外部に露出される側面部に通気部を備えた植木鉢であって
前記通気部は、前記植木鉢の外側に向けて開口する第1開口部と、前記植木鉢の内側に向けて開口する第2開口部と、を有し、
前記第1開口部の開口面積は、前記第2開口部の開口面積よりも大きく、
前記通気部は、前記側面部を貫通する通気穴、および、前記植木鉢の底面部に向けて広がる三角形状に前記側面部に形成されたスリットのうち少なくとも一方である
植木鉢。
【請求項2】
前記側面部の外側面に凹部を備え、
前記凹部は、前記第1開口部の縁部から前記植木鉢の底面部に向けて形成されている、
請求項1に記載の植木鉢。
【請求項3】
前記通気穴は、前記第1開口部から前記第2開口部に向けて窄まるテーパ部を含む、
請求項1または請求項2に記載の植木鉢。
【請求項4】
前記通気穴は、さらに、前記第2開口部と同等径の筒状部を含む、
請求項または請求項に記載の植木鉢。
【請求項5】
前記スリットは、前記側面部の外側から内側に向けてスリット幅が狭まるように形成されている、
請求項または請求項に記載の植木鉢。
【請求項6】
前記側面部は、外方に膨らんでおり、
前記側面部の内側面は、前記植木鉢の上部開口部から前記植木鉢の底面部に向けて窄まるテーパ状に形成されている、
請求項1または請求項2に記載の植木鉢。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2022年7月13日に出願された日本出願番号2022-112319号に基づくもので、ここにその記載内容を援用する。
【技術分野】
【0002】
本開示は、植木鉢に関する。
【背景技術】
【0003】
従来、植木鉢を使った植物の育成において、根腐れを防止するため、排水性および通気性を改善した植木鉢の技術が知られている。例えば、特許文献1には、側面に風通し用の穴を設けた植木鉢が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開昭61-100963号公報
【発明の概要】
【0005】
特許文献1の植木鉢は、穴が円筒状、つまり、断面形状が一定かつ真っ直ぐに形成されているため、植木鉢外部の空気を植木鉢内部に効率よく取り込めないという問題がある。
【0006】
本開示は、通気性を向上できる植木鉢を提供することを目的とする。
【0007】
本開示の一態様は、
使用時に外側面が外部に露出される側面部に通気部を備えた植木鉢であって
前記通気部は、前記植木鉢の外側に向けて開口する第1開口部と、前記植木鉢の内側に向けて開口する第2開口部と、を有し、
前記第1開口部の開口面積は、前記第2開口部の開口面積よりも大きく、
前記通気部は、前記側面部を貫通する通気穴、および、前記植木鉢の底面部に向けて広がる三角形状に前記側面部に形成されたスリットのうち少なくとも一方である
植木鉢にある。
【0008】
本開示の植木鉢は、側面部に通気部を備え、通気部の第1開口部の開口面積が通気部の第2開口部の開口面積よりも大きく形成されているため、植木鉢外部の空気を効率良く植木鉢内部に取り込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態1に係る植木鉢の概要図である。
図2図2は、実施形態1に係る植木鉢の(a)平面図、(b)側面図である。
図3図3は、実施形態1に係る植木鉢の(a)B-B線断面図、(b)A-A線断面図である。
図4図4は、実施形態1に係る植木鉢における通気穴の傾斜状態を示す要部CのA-A線拡大断面模式図である。
図5図5は、実施形態1に係る植木鉢における通気部の作用を示す模式図である。
図6図6は、変形例に係る植木鉢の側面図であって、(a)実施形態2に係る植木鉢の側面図、(b)実施形態3に係る植木鉢の側面図、(c)実施形態4に係る植木鉢の側面図である。
図7図7は、実施形態5に係る植木鉢における通気穴の形状を示す要部CのA-A線拡大断面模式図である。
図8図8は、実施形態6に係る植木鉢の(a)側面図、(b)A-A線断面図である。
図9図9は、実施形態6に係る植木鉢における凹部のバリエーションを示す模式図である。
図10図10は、実施形態7に係る植木鉢の断面図である。
図11図11は、(a)実施形態7に係る植木鉢の変形例の断面図であり、(b)実施形態7に係る植木鉢の他の変形例の断面図である。
図12図12は、(a)比較形態1に係る植木鉢の断面図であり、(b)比較形態2に係る植木鉢の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示の植木鉢は、
使用時に外側面が外部に露出される側面部に通気部を備えた植木鉢であって
通気部は、植木鉢の外側に向けて開口する第1開口部と、植木鉢の内側に向けて開口する第2開口部と、を有し、
第1開口部の開口面積は、第2開口部の開口面積よりも大きい。
【0011】
本開示の植木鉢において、通気部は、側面部を貫通する通気穴、および、側面部に形成されたスリットのうち少なくとも一方である。
【0012】
本開示の植木鉢において、通気穴は、第1開口部から第2開口部に向けて窄まるテーパ部を含む構成とすることができる。通気穴は、さらに、第2開口部と同等径の筒状部を含む構成とすることができる。
【0013】
本開示の植木鉢において、スリットは、植木鉢の底面部に向けて広がる三角形状に形成されている。
【0014】
本開示の植木鉢において、スリットは、側面部の外側から内側に向けてスリット幅が狭まるように形成されている構成とすることができる。
【0015】
本開示の植木鉢は、側面部の外側面に凹部を備え、凹部は、第1開口部の縁部から植木鉢の底面部に向けて形成されている構成とすることができる。
【0016】
本開示の植木鉢において、側面部は、外方に膨らんでおり、側面部の内側面は、植木鉢の上部開口部から植木鉢の底面部に向けて窄まるテーパ状に形成されている構成とすることができる。
【0017】
以下、本開示の植木鉢を具体化した実施形態に係る植木鉢を、図面を用いて詳細に説明する。なお、本開示の植木鉢は、以下の例示によって限定されるものではない。
【0018】
(実施形態1)
実施形態1の植木鉢について、図1図5を用いて説明する。図1図5に例示されるように、実施形態1の植木鉢1は、側面部2と底面部3とを有する。側面部2は、底面部3の外周縁から上方に向かって起立するように設けられている。底面部3には、底面部3まで降りてきた水を排水するための排水穴6が設けられている。
【0019】
図1図5に例示されるように、側面部2は通気部を備える。通気部は、植木鉢1の外側の空間と植木鉢1の内側の空間とを通気可能に連通させるものである。通気部は、例えば、側面部2を貫通するように設けられることができる。
【0020】
実施形態1において、通気部は、具体的には、側面部2を貫通する通気穴4(4a,4b)より構成されている。図1図5では、具体的には、側面部2の周方向に複数の通気穴4(4a,4b)が設けられている例が示されている。複数の通気穴4は、底面部3を基準高さ位置としたときに、底面部3からの高さが異なる複数の高さ位置において側面部2の周方向に形成されることができる。図1図5では、より具体的には、複数の通気穴4は、底面部3を基準高さ位置としたときに、底面部3からの高さが所定高さ位置において側面部2の周方向に形成された複数の第1の通気穴4aと、複数の第1の通気穴4aが形成されている所定高さ位置よりも底面部3に近い所定高さ位置において側面部2の周方向に形成された複数の第2の通気穴4bとを含んでいる。なお、図1図5では、複数の通気穴4が複数段となるように配置されている例が示されているが、複数の通気穴4は一段となるように側面部2の周方向に配置されていてもよい。
【0021】
底面部3からの高さが異なる複数の高さ位置において側面部2の周方向に複数の通気穴4が形成されている場合に、側面部2の周方向における通気穴4の数は、底面部3に向かうほど多くなる構成とすることができる。図1図5では、第1の通気穴4aよりも底面部3に近い位置において側面部2の周方向に配置されている第2の通気穴4bの数が、第2の通気穴4bよりも底面部3から遠い位置において側面部2の周方向に配置されている第1の通気穴4aの数よりも多い例が示されている。これらの構成によれば、底面部3に近い通気穴4の数が底面部3から遠い通気穴4の数よりも多いため、底面部3に向かうほど、通気性を向上させることができる。
【0022】
通気部としての通気穴4は、植木鉢1の外側に向けて開口する第1開口部41と、植木鉢1の内側に向けて開口する第2開口部42とを有している。つまり、通気部としての通気穴4は、側面部2の外側面において開口する第1開口部41と、側面部2の内側面において開口する第2開口部42とを有しているということができる。第1開口部41の開口面積S1は、第2開口部42の開口面積S2よりも大きく形成されている。
【0023】
実施形態1の植木鉢1は、側面部2に通気部としての通気穴4を備え、通気穴4の第1開口部41の開口面積が通気穴4の第2開口部42の開口面積よりも大きく形成されているため、植木鉢1の外部の空気を効率よく植木鉢1の内部に取り込むことができる。
【0024】
実施形態1の植木鉢1において、通気穴4は、第1開口部41から第2開口部42に向けて窄まるテーパ部43を含む構成とすることができる。この構成によれば、図5に示すように、植木鉢1の外部の空気を集めて気流を強め、植木鉢1の内部に効率よく空気を送り込むことができる。送り込まれた空気は、植木鉢1の内部の土の湿気を吸収し、排水穴6等を通じて植木鉢1の外部に排出される。
【0025】
この場合、通気穴4は、さらに、第2開口部42と同等径の筒状部44を含んでいるとよい。この構成によれば、テーパ部43によって強められた空気の気流を、筒状部44を通じて植木鉢1の内部により効率よく送り込むことができる。なお、テーパ部43は第1開口部41側に設けられ、筒状部44は第2開口部42側に設けられる。また、テーパ部43の先細り側の端部は、筒状部44における第1開口部41側の端部に連通している。また、図2図5では、側面部2の厚み方向に沿う断面視で、通気穴4が全体として漏斗形状に形成されている例が示されている。
【0026】
実施形態1の植木鉢1において、通気穴4の中心軸45は、図4(a)に例示されるように、植木鉢1の内側に向けて上昇するように形成されることができる。この構成によれば、例えば、植木鉢1の設置場所を部屋の天井付近(高位置)等とする場合に、上昇する空気の流れを取り込みやすくなる。また、通気穴4の中心軸45は、図4(b)に例示されるように、水平となるように形成されることができる。この構成によれば、例えば、植木鉢1の設置場所を天井と床の中間付近(中位置)等とする場合に、水平な空気の流れを取り込みやすくなる。また、通気穴4の中心軸45は、図4(c)に例示されるように、植木鉢1の内側に向けて下降するように形成されることができる。この構成によれば、例えば、植木鉢1の設置場所を床付近(低位置)等とする場合に、下降する空気の流れを取り込みやすくなる。
【0027】
(実施形態2)
実施形態2の植木鉢について、図6(a)を用いて説明する。なお、実施形態2以降において用いられる符号のうち、既出の実施形態において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、既出の実施形態におけるものと同様の構成要素等を表す。
【0028】
上述した実施形態1の植木鉢1は、同等の大きさを有する複数の通気穴4により通気部を構成した例を示したものである。これに対し、実施形態2の植木鉢1は、図6(a)に例示されるように、異なる大きさを有する複数の通気穴4により通気部を構成した例である。このように複数の通気穴4は、必ずしも同等の大きさとされる必要はなく、異なる大きさであっても、植木鉢1の外部の空気を効率よく植木鉢1の内部に取り込むことができる。
【0029】
実施形態2の植木鉢1において、底面部3からの高さが異なる複数の高さ位置において側面部2の周方向に複数の通気穴4が形成されている場合、側面部2の周方向における通気穴4の大きさは、底面部3に向かうほど大きくなる構成とすることができる。図6(a)では、第1の通気穴4aよりも底面部3に近い位置において側面部2の周方向に配置されている第2の通気穴4bの大きさが、第2の通気穴4bよりも底面部3から遠い位置において側面部2の周方向に配置されている第1の通気穴4aの大きさよりも大きく形成されている例が示されている。これらの構成によれば、底面部3に近い通気穴4の大きさが底面部4から遠い通気穴4の大きさよりも大きく形成されているため、底面部3に向かうほど、通気性を向上させることができる。なお、第2の通気穴4bの大きさを第1の通気穴4aの大きさをよりも大きくする方法としては、例えば、側面部2の厚み方向に沿う断面視で、第2の通気穴4bの断面積または外形を、第1の通気穴4aの断面積または外形よりも大きく形成することなどによって実現することができる。
【0030】
その他の構成および作用効果については、実施形態1と同様であり、また、他の実施形態の植木鉢の説明も適宜参照することができる。
【0031】
(実施形態3)
実施形態3の植木鉢について、図6(b)を用いて説明する。
【0032】
上述した実施形態1、2の植木鉢1は、側面部2を貫通する通気穴4にて通気部を構成した例を示したものである。これに対し、実施形態3の植木鉢1は、図6(b)に例示されるように、側面部2に形成されたスリット5により通気部を構成した例である。図6(b)では、具体的には、側面部2の周方向に複数のスリット5が形成されている例が示されている。
【0033】
通気部としてのスリット5は、植木鉢1の外側に向けて開口する第1開口部と、植木鉢1の内側に向けて開口する第2開口部とを有している。つまり、通気部としてのスリット5は、側面部2の外側面において開口する第1開口部と、側面部2の内側面において開口する第2開口部とを有しているということができる。第1開口部の開口面積は、第2開口部の開口面積よりも大きく形成されている。
【0034】
このように通気部の形態は、必ずしも通気穴4に限られるものではなく、スリット5であっても、植木鉢1の外部の空気を効率よく植木鉢1の内部に取り込むことができる。
【0035】
実施形態3の植木鉢1において、スリット5は、植木鉢1の底面部3に向けて広がる三角形状に形成されている構成とすることができる。なお、スリット5の形状は、植木鉢1の外側から見て判断する。上記構成によれば、底面部3に向かうほど、通気性を向上させることができる。
【0036】
実施形態3の植木鉢1において、スリット5は、側面部2の外側から内側に向けてスリット幅が狭まるように形成されている構成とすることができる。この構成によれば、植木鉢1の外部の空気を集めて気流を強め、植木鉢1の内部に効率よく空気を送り込むことができる。
【0037】
その他の構成および作用効果については、実施形態1と同様であり、また、他の実施形態の植木鉢の説明も適宜参照することができる。
【0038】
(実施形態4)
実施形態4の植木鉢について、図6(c)を用いて説明する。
【0039】
実施形態4の植木鉢1は、複数の通気穴4の一部を金継ぎ46で塞ぎ、通気穴4を植木鉢1の装飾として用いたものである。つまり、実施形態4の植木鉢1は、複数の通気穴4のうちの一部の通気穴4を塞ぐ金継46を有しているということができる。上記構成によれば、植木鉢1の設置場所に適した通気性を確保しつつ、植木鉢1自体の意匠性を向上させることができる。
【0040】
なお、図示はしないが、実施形態3において示した複数のスリット5のうちの一部を金継ぎ46で塞ぐことも可能である。
【0041】
その他の構成および作用効果については、実施形態1と同様であり、また、他の実施形態の植木鉢の説明も適宜参照することができる。
【0042】
(実施形態5)
実施形態5の植木鉢について、図7を用いて説明する。
【0043】
上述した実施形態1、2の植木鉢1は、通気部としての通気穴4を、第1開口部41と第2開口部42との間において曲がった部分がないように構成した例を示したものである。これに対し、実施形態5の植木鉢1は、図7に例示されるように、第1開口部41と第2開口部42との間において通気穴4に曲がった部分があるように構成した例である。
【0044】
図7(a)、(b)では、通気部としての通気穴4が屈曲部位を有する屈曲状態に設けられている例が示されている。また、図7(c)、(d)では通気部としての通気穴4が明瞭な屈曲部位を有しておらず、湾曲状態に設けられている例が示されている。このような構成によれば、植木鉢1の外部から取り込んだ空気を植木鉢1の内部の所望の方向に導くことができる。
【0045】
例えば、植木鉢1の設置場所が部屋の天井付近(高位置)等である場合には、図7(a)、(c)に示すような通気穴4とすることにより、上昇する空気の流れを取り込んだ後、空気の流れを水平に導くことができる。また、例えば、植木鉢1の設置場所が部屋の床付近(低位置)等である場合には、図7(b)、(d)に示すような通気穴4とすることにより、下降する空気の流れを取り込んだ後、空気の流れを水平に導くことができる。このように、実施形態5の植木鉢1によれば、栽培する植物の種類や設置場所に応じて、通気性を細やかに調整することができる。
【0046】
なお、図7では、図面の簡略化のため、植木鉢1の外側において開口する第1開口部41の開口面積S1と、植木鉢1の内側において開口する第2開口部42の開口面積S2とが同等に描かれているが、実施形態5においても、第1開口部41の開口面積S1は、第2開口部42の開口面積S2よりも大きく形成されている。
【0047】
その他の構成および作用効果については、実施形態1と同様であり、また、他の実施形態の植木鉢の説明も適宜参照することができる。
【0048】
(実施形態6)
実施形態6の植木鉢について、図8および図9を用いて説明する。
【0049】
実施形態6の植木鉢1は、側面部2の外側面に凹部7を備える。凹部7は、側面部2の外面に所定の形状で溝状に形成されたものであるということもできる。凹部7は、第1開口部41の縁部から植木鉢1の底部3に向けて形成されている。図8では、凹部7が、第1開口部41の縁部から側面部2の下端にかけて延びている、あるいは、所定の第1開口部41の縁部から、この第1開口部41よりも底面部3側(下方)にある別の所定の第1開口部41の縁部にかけて延びている例が示されている。
【0050】
従来の植木鉢では、水やりを繰り返すうちに、穴から流出した水成分や土成分により植木鉢表面に石灰化跡や色素沈着が生じ、植木鉢の見栄えが悪くなるという問題があった。これに対し、実施形態6の植木鉢1では、第1開口部41から流出した水成分や土成分が凹部7に導かれ、凹部7の形状に従って石灰化跡や色素沈着が生じる。そのため、実施形態6の植木鉢1によれば、石灰化跡や色素沈着を植木鉢1のデザインとして利用することができ、植木鉢1の見栄えの低下を防止することができる。
【0051】
図8では、凹部7が、側面部2の外側から見て、第1開口部41から広がる三角形状または菱形状に形成されている例が示されている。凹部7は、水成分や土成分を溢れさせないよう、側面部2の下端まで延びるように形成されたものを含むことが好ましい。また、通気穴4aの下方に通気穴4bが設けられている場合には、通気穴4aの第1開口部41を基端とする凹部7を、通気穴4bの第1開口部41の上側縁部と接続することが好ましい。
【0052】
図9に示すように、凹部7は、様々な形状に形成されることができる。具体的には、凹部7は、第1開口部41から帯状に延びる形状(図9(a))、第1開口部41から帯状に湾曲しつつ延びる形状(図9(b))、第1開口部41から広がる三角形状(図9(c))、第1開口部41から窄まる逆三角形状(図9(d))等の形状に形成されることができる。また、一の植木鉢1において、異なる複数の形状の凹部7を含むように構成したり、異なる複数の長さ・幅・深さの凹部7を含むように構成したりすることも可能である。
【0053】
その他の構成および作用効果については、実施形態1と同様であり、また、他の実施形態の植木鉢の説明も適宜参照することができる。
【0054】
(実施形態7)
実施形態7の植木鉢について、図10図12を用いて説明する。
【0055】
図10に例示されるように、実施形態7の植木鉢1は、側面部2が、外方に膨らんでおり、側面部2の内側面が、植木鉢1の上部開口部から植木鉢1の底面部3に向けて窄まるテーパ状に形成されている。
【0056】
図12(a)に示されるように、比較形態1に係る従来の植木鉢91では、側面部910が外方に膨らんでいるが、側面部91の内側面も外側に膨らんで形成されている。このように、側面部92の内側面は、側面部92の外側面に沿って形成されることが通常であった。これは、例えば、ろくろ成形などの成形法では、側面部910の肉厚が一定とされることが一般的なためである。このような比較形態1の植木鉢91は、植物の植え替え時に、植物の根が張った用土が側面部91の内側面に引っ掛かり、植物の根を痛めるという問題がある。
【0057】
これに対し、実施形態7の植木鉢1は、上記構成を採用したことにより、植物の根が張った用土が側面部2の内側面に引っ掛からないため、植物の根を痛めることなく植物の植え替えを行うことができる。
【0058】
また、実施形態7の植木鉢1によれば、外方に膨らんだ側面部2の外側面と底面部3に向けて窄まるテーパ状の内側面との間が側面部2の肉厚となり、植木鉢1の重量が増加し、植木鉢1の安定性が向上する。そのため、実施形態7の植木鉢1によれば、例えば、塊根植物、多肉植物などのように鉢上の重量が比較的大きな植物を育成する場合でも、植木鉢1の倒れを抑制しつつ植物を育成することができる。
【0059】
なお、図10では、側面部2の全体が、外方に膨らんでいる例を示したが、図11(a)に例示されるように、側面部2の一部に外方に膨らんでいない部分があってもよい。また、図11(b)に例示されるように、側面部2は、段状に外方に膨らんでいてもよい。ここで、図12(b)に示すように、比較形態2の植木鉢92は、一定の肉厚を有する側面部920の外側面に突起部921が突出しているものであるから、側面部2が外方に膨らんでいるとはいえない。側面部2が外方に膨らんでいるかどうかは、植木鉢1の上下方向に沿う断面から判断することができる。
【0060】
その他の構成および作用効果については、実施形態1と同様であり、また、他の実施形態の植木鉢の説明も適宜参照することができる。
【0061】
本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において各部の形状や構成を適宜に変更して実施することも可能である。また、上記実施形態に示される各構成は、それぞれ任意に組み合わせることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12