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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-13
(45)【発行日】2024-06-21
(54)【発明の名称】燃料電池装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04302 20160101AFI20240614BHJP
   H01M 8/04858 20160101ALI20240614BHJP
   H01M 8/0432 20160101ALI20240614BHJP
   H01M 8/04746 20160101ALI20240614BHJP
【FI】
H01M8/04302
H01M8/04858
H01M8/0432
H01M8/04746
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019159869
(22)【出願日】2019-09-02
(65)【公開番号】P2021039878
(43)【公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000109026
【氏名又は名称】ダイニチ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075557
【弁理士】
【氏名又は名称】西教 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】白石 晋平
(72)【発明者】
【氏名】山内 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】大隣 一典
(72)【発明者】
【氏名】小黒 裕希
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 浩之
【審査官】加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-095611(JP,A)
【文献】特開2014-026982(JP,A)
【文献】特開2014-216168(JP,A)
【文献】特開2017-039627(JP,A)
【文献】再公表特許第2016/084372(JP,A1)
【文献】特開2015-157746(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/00-8/2495
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガスと酸素含有ガスとを用いて発電を行う燃料電池を備えるモジュールと、
原燃料を改質して前記燃料電池に供給する燃料ガスを生成する改質器と、
前記燃料電池を動作させるための複数の補機と、
複数の補機の動作を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、燃料電池が停止中であり、稼働を開始するにあたり、前記モジュールおよび前記改質器の少なくとも一方の温度が所定温度以上の場合に、前記複数の補機の一部を動作させないよう制御し、
前記複数の補機は、前記改質器に水を供給するための水ポンプ、前記改質器に原燃料を
供給する燃料ポンプ、および前記燃料電池に酸素含有ガスを供給するブロワを含む第1補
機を有し、
前記制御装置は、前記モジュールの温度が第1所定温度以上であるか否か、および前記
改質器の温度が前記第1所定温度以上であるか否かを判定する、燃料電池装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記モジュールおよび前記改質器の少なくとも一方の温度が前記第1所定温度以上の場合に、前記第1補機を動作させないよう制御する請求項に記載の燃料電池装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記モジュールの温度が前記第1所定温度よりも低く設定された第2所定温度以上であるか否か、および前記改質器の温度が前記第2所定温度以上であるか否かを判定し、
前記制御装置は、前記モジュールおよび前記改質器の温度が前記第1所定温度未満、かつ前記モジュールおよび前記改質器の少なくとも一方の温度が、前記第2所定温度以上の場合に、前記第1補機のうち、前記燃料ポンプおよびブロワを動作させないよう制御する請求項に記載の燃料電池装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、燃料電池装置に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料ガスと酸素含有ガスとを用いて発電を行なう燃料電池を含むモジュール、および燃料電池に供給する燃料ガスを改質によって生成する改質器を備えた燃料電池装置が種々提案されている。
【0003】
燃料電池装置のメンテナンス等を行うために、燃料電池装置の発電運転を一時的に停止することがある。燃料電池装置は、メンテナンス等が終了した後に再起動される。例えば特許文献1は、再起動時にモジュール、改質器等の温度が所定温度以上である場合、通常起動時の動作シーケンスの一部をスキップし、再起動時の起動時間を短縮する燃料電池装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-191585号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の燃料電池装置は、再起動時に燃料電池装置の耐久性を低下させてしまうことがあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の燃料電池装置は、燃料ガスと酸素含有ガスとを用いて発電を行う燃料電池を備えるモジュールと、
原燃料を改質して前記燃料電池に供給する燃料ガスを生成する改質器と、
前記燃料電池を動作させるための補機と、
該補機の動作を制御する制御装置と、を備える。前記制御装置は、発電運転を停止しており、かつ前記モジュールおよび前記改質器の少なくとも一方の温度が所定温度以上の場合に、前記補機の少なくとも一部を動作させないよう制御する。
【発明の効果】
【0007】
本開示の燃料電池装置によれば、再起動等による燃料電池装置の耐久性の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態の燃料電池装置の概略構成図である。
図2】外装ケース内の燃料電池装置の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本開示の実施形態に係る燃料電池装置について説明する。
【0010】
図1は、実施形態の燃料電池装置の概略構成図であり、図2は、外装ケース内の燃料電池装置の構成を示す斜視図である。
【0011】
実施形態の燃料電池装置100は、収納容器10内に収容された燃料電池11を含むモジュール1を備える。燃料電池11は、燃料ガスと酸素含有ガスとで発電を行なうものであればよい。燃料電池11は、例えば、複数の燃料電池セルが配列されてなるセルスタック構造を有していてもよい。セルスタック構造の燃料電池11は、例えば、各燃料電池セルの下端を、ガラスシール材等の絶縁性接合材を用いて、マニホールドに固定することによって構成されていてもよい。
【0012】
燃料電池装置100は、燃料電池11に供給する燃料ガスを生成する改質器12を有する。改質器12は、天然ガス、LPガス等の原燃料ガスを水蒸気改質し、燃料ガスを生成する。例えば図1に示すように、改質器12は、燃料電池11と同様に、収納容器10内に収容されている。
【0013】
燃料電池装置100は、モジュール1の温度を測定する第1温度測定部TC1を有する。第1温度測定部TC1としては、熱電対等の公知の測定装置を用いることができる。実施形態では、モジュール1の温度として、燃料電池11の中心位置における温度を熱電対で測定している。
【0014】
燃料電池装置100は、改質器12の温度を測定する第2温度測定部TC2を有する。第2温度測定部TC2としては、熱電対等の公知の測定装置を用いることができる。実施形態では、改質器12の温度として、改質器12の入口における温度を熱電対で測定している。改質器12は、水蒸気を発生させる気化部、および気化部で発生した水蒸気を原燃料ガスと反応させて改質ガスを生成する改質部を内部に有する。改質器12の入口とは、気化部における改質部に接続する部分を指す。
【0015】
燃料電池装置100は、モジュール1からの排ガス(排熱)と熱媒との熱交換を行う第1熱交換器2、および熱媒を貯留する蓄熱タンク3を備える。蓄熱タンク3には水位センサWLが設けられている。水位センサWLは、蓄熱タンク3内の水位が所定水位以上である場合に水位を検知し、蓄熱タンク3内の水位が所定水位未満である場合に水位を検知しないように構成されている。所定水位は、例えば、蓄熱タンク3の容量の60~80%の水量に対応する水位であってもよい。水位センサWLとしては、フロートセンサ等の公知の水位センサを用いることができる。
【0016】
燃料電池装置100は、第1熱交換器2、蓄熱タンク3、熱媒ポンプP1およびこれらを繋ぐ配管を含む第1の熱循環系HC1を備える。燃料電池装置100は、第2熱交換器5、蓄熱タンク3から熱媒を循環させる与熱ポンプP2およびこれらを繋ぐ配管を含む第2の熱循環系HC2を備えていてもよい。燃料電池装置100は、蓄熱タンク3に貯留された高温の熱媒を用いて、外部から供給流路Kinを介して供給された水道水等の水を第2熱交換器5で加温し、加温された水を外部の給湯器等の再加熱装置に向けて送給流路Koutを介して送給する構成であってもよい。燃料電池装置100は、外部への温水供給を行わない、いわゆるモノジェネレーションシステムであってもよい。
【0017】
燃料電池装置100は、酸素含有ガス流路Fを有する酸素含有ガス供給装置14、燃料ガス流路Gを有する燃料ガス供給装置15および改質水流路Rを有する改質水供給装置16を備える。酸素含有ガス流路F、燃料ガス流路Gおよび改質水流路Rには、燃料電池装置100を動作させるための補機が設けられている。酸素含有ガス流路Fには、空気流量計FM2、ブロワB2等の補機が設けられている。燃料ガス流路Gには、第1電磁弁V1、圧力センサPS、燃料ポンプB1、ガス流量計FM1、第2電磁弁V2等の補機が設けられている。改質水流路Rには、水ポンプP3等の補機が設けられている。
【0018】
燃料電池11の発電に用いられる酸素含有ガスは、酸素含有ガス供給装置14によって燃料電池11に導入される。燃料電池11の発電に用いられる原燃料ガスは、燃料ガス供給装置15によって改質器12に導入される。
【0019】
モジュール1から排出される排ガスは、第1熱交換器2において、第1熱交換器2内を流れる熱媒と熱交換する。この際、排ガスに含まれる水分が結露して凝縮水が生じる。生じた凝縮水は、凝縮水流路Cを経由して回収され、改質水タンク6に貯留される。水分が取り除かれた排ガスは、排ガス流路Eを介して、燃料電池装置100の外に排気される。改質水タンク6に貯留された凝縮水は、改質水供給装置16により改質器12に供給され、改質水として用いられる。
【0020】
燃料電池装置100は、発電運転を補助する補機として、パワーコンディショナ20、制御装置30、表示装置や操作パネルを含む操作基板40等をさらに備える。燃料電池装置100は、例えば、図2に示すような、各フレーム51と各外装パネル52とからなるケース50の中に配設されている。
【0021】
制御装置30は、少なくとも1つのプロセッサおよび記憶装置等を含み、以下に詳細に述べるように、種々の機能を実行するための制御および処理能力を提供する。
【0022】
種々の実施形態によれば、少なくとも1つのプロセッサは、単一の集積回路として、または、複数の通信可能に接続された集積回路および/もしくはディスクリート回路として、実行されてもよい。少なくとも1つのプロセッサは、種々の既知の技術にしたがって実行されることが可能である。
【0023】
1つの実施形態において、プロセッサは、たとえば、関連するメモリに記憶された指示を実行することによって1以上のデータ計算手続または処理を実行するように構成された、1以上の回路またはユニットを含む。他の実施形態において、プロセッサは、1以上のデータ計算手続きまたは処理を実行するように構成された、ファームウェア、たとえばディスクリートロジックコンポーネントであってもよい。
【0024】
種々の実施形態によれば、プロセッサは、1以上のプロセッサ、コントローラ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路、デジタル信号処理部、プログラマブルロジックデバイス、フィールドプログラマブルゲートアレイ、または、これらのデバイスもしくは構成の任意の組み合わせ、または、他の既知のデバイスおよび構成の組み合わせ、を含み、以下に説明される機能を実行してもよい。
【0025】
制御装置30は、記憶装置および表示装置(ともに図示省略)と、燃料電池装置100を構成する各種構成部品および各種センサと接続され、これらの各機能部をはじめとして、燃料電池装置100の全体を制御および管理する。制御装置30は、それに付属する記憶装置に記憶されているプログラムを取得して、このプログラムを実行することにより、燃料電池装置100の各部にかかる、種々の機能を実現する。
【0026】
制御装置30から、他の機能部または装置に制御信号または各種の情報等を送信する場合、制御装置30と他の機能部とは、有線または無線により接続されていればよい。制御装置30が行う、実施形態に特徴的な制御については、後記で説明する。なお、実施形態において、制御装置30は特に、燃料電池装置に繋がる外部装置の指示、指令や、先に述べた各種センサの指示や計測値に基づいて、各種補機を制御する。図では、制御装置30と、燃料電池を構成する各装置および各センサとを結ぶ接続線の図示を、省略している場合がある。
【0027】
図示しない記憶装置は、プログラムおよびデータを記憶できる。記憶装置は、処理結果を一時的に記憶する作業領域としても利用してもよい。記憶装置は、記録媒体を含む。記録媒体は、半導体記憶媒体、および磁気記憶媒体等の任意の非一時的(non-transitory)な記憶媒体を含んでよい。また、記憶装置は、複数の種類の記憶媒体を含んでいてもよい。記憶装置は、メモリカード、光ディスク、または光磁気ディスク等の可搬の記憶媒体と、記憶の読み取り装置との組合せを含んでいてもよい。記憶装置は、RAM(Random Access Memory)等の一時的な記憶領域として利用される記憶デバイスを含んでいてもよい。
【0028】
なお、燃料電池装置の制御装置30および記憶装置は、燃料電池装置100の外部に有する構成として実現することもできる。さらに、本開示に係る制御装置30における特徴的な制御工程を含む制御方法として実現したり、上記工程をコンピュータに実行させるための制御プログラムとして実現したりすることも可能である。
【0029】
燃料電池装置100は、補機の点検、交換等のメンテナンスを行うために、発電運転(単に、運転ともいう)停止中に補機のうちの特定の補機を動作させること(補機単独運転ともいう)が可能である。制御装置30は、運転停止中に特定の補機を動作させる旨の指示(単独運転指示ともいう)を受信した場合、その特定の補機を動作させることが可能である。特定の補機は、補機のうちの単一の補機であってもよく、複数の補機であってもよい。単独運転指示は、メンテナンス作業者が操作基板40を操作することによって、制御装置30に送信される。
【0030】
制御装置30は、燃料電池装置100の耐久性の低下を抑制するための補機動作制限制御を実行する。補機動作制限制御について以下に説明する。
【0031】
制御装置30は、運転停止中に燃料電池装置100の再起動を行う旨の指示(再起動指示ともいう)、燃料電池装置100の試運転を行う旨の指示(試運転指示ともいう)または単独運転指示を受信した場合、補機動作制限制御を開始する。再起動指示は、ユーザまたはメンテナンス業者がリモコン(図示省略)を操作することによって、制御装置30に送信される。試運転指示は、メンテナンス作業者が操作基板40を操作することによって、制御装置30に送信される。
【0032】
制御装置30は、補機動作制限制御を開始すると、モジュール1の温度および改質器12の温度の監視を始める。補機動作制限制御において、制御装置30は、モジュール1の温度が所定温度T0以上であるか否か、および改質器12の温度が所定温度T0以上であるか否かを判定する。モジュール1の温度は、第1温度測定部TC1によって測定される、モジュール1の中心温度である。改質器12の温度は、第2温度測定部TC2によって測定される、改質器12の入口温度である。所定温度T0は、例えば60~300℃の範囲で適宜設定することができる。
【0033】
制御装置30は、モジュール1および改質器12の少なくとも一方の温度(測定温度ともいう)Tが所定温度T0以上である場合、補機の少なくとも一部を動作させないように制御する。運転停止中であり、かつ測定温度Tが所定温度T0以上である場合に補機を動作させると、例えば、燃料電池セルの体積が変化して燃料電池セルにクラックを発生させたり、改質器内の触媒が劣化したりするなど、燃料電池装置100に悪影響を及ぼすことがある。補機動作制限制御によれば、運転停止中であり、かつ測定温度Tが所定温度T0以上である場合の補機の動作が燃料電池装置100に及ぼす悪影響を軽減することができる。ひいては、再起動、試運転、補機単独運転等による燃料電池装置100の耐久性の低下を抑制することが可能となる。なお、補機単独運転については、後に詳述する。
【0034】
補機は、第1補機を有する。第1補機は、水ポンプP3、燃料ポンプB1およびブロワB2を少なくとも含む。なお、第1補機として、燃料電池装置30の操作を行う機能を備えるリモコンや操作基板を含めることもできる。この場合、補機動作制限制御とは、リモコンや操作基板の全体ではなく、その機能の少なくとも一部とすることができる。
【0035】
制御装置30は、モジュール1の温度が第1所定温度T1以上であるか否か、および改質器12の温度が第1所定温度T1以上であるか否かを判定してもよい。第1所定温度T1は、例えば200℃~300℃である。
【0036】
制御装置30は、測定温度Tが第1所定温度T1以上である場合に、第1補機を動作させないように制御してもよい。換言すると、補機動作制限制御における所定温度T0が第1所定温度T1であり、動作が制限される補機の少なくとも一部が第1補機であってもよい。
【0037】
例えば、第1補機として、燃料ポンプB1の動作を制限することで、改質器12内の改質触媒が炭素析出により劣化することを抑制できる。また第1補機として、ブロワB2の動作を制限することで、高温の排ガスが排出されることを抑制でき、作業員等の安全性を確保することができる。また、第1補機として、水ポンプP3の動作を制限することで、改質器12自体にダメージが生じることを抑制できる。
【0038】
以上のように、運転停止中であり、かつ測定温度Tが第1所定温度T1以上である場合に、第1補機を動作させないように制御することで、燃料電池装置100に及ぼす悪影響を軽減することができる。ひいては、再起動、試運転、補機単独運転等による燃料電池装置100の耐久性の低下を抑制することが可能となる。
【0039】
なお、リモコンや操作基板における水抜き制御を対象として、第1補機とすることもできる。この場合には、高温のお湯が排出されることを抑制でき、作業員等の安全性を確保することができる。
【0040】
制御装置30は、モジュール1の温度が第2所定温度T2以上であるか否か、および改質器12の温度が第2所定温度T2以上であるか否かをさらに判定してもよい。第2所定温度T2は、第1所定温度T1よりも低く設定された温度であり、例えば80℃~120℃である。制御装置30は、モジュール1の温度が第3所定温度T3以上であるか否かをさらに判定してもよい。第3所定温度T3は、第2所定温度T2よりも低く設定された温度であり、例えば60℃~100℃である。本制御においては、第1補機として、リモコンを含むことができる。
【0041】
制御装置30は、測定温度Tが第2所定温度T2以上である、またはモジュール1の温度が第3所定温度T3以上である場合に、リモコンからの再起動指示および操作基板40からの試運転指示を受け付けず、不許可としてもよい。これにより、各種補機の運転も不許可となることから、例えば、燃料ポンプB1の動作が間接的に不許可となることで、改質器12内の改質触媒が炭素析出により劣化することを抑制できる。また、ブロワB2の動作も間接的に不許可となることで、高温の排ガスが排出されることを抑制でき、作業員等の安全性を確保することができる。それにより、再起動および試運転に伴う補機の動作が不許可となることで、燃料電池装置100に及ぼす悪影響を軽減することができる。ひいては、再起動および試運転による燃料電池装置100の耐久性の低下を抑制することが可能となる。
【0042】
次に、制御装置30が補機単独運転を制限するいくつかの例について説明する。
【0043】
制御装置30は、測定温度Tが第2所定温度T2以上である場合、操作基板40からの、燃料ガス流路Gおよび酸素含有ガス流路Fに設けられた補機に対する単独運転指示を受け付けず、不許可としてもよい。これにより、第1補機として、燃料ガス流路Gに設けられた補機の動作を制限することで、改質器12内の改質触媒が炭素析出により劣化することを抑制できる。また、また第1補機として、酸素含有ガス流路Fに設けられた補機の動作を制限することで、高温の排ガスが排出されることを抑制でき、作業員等の安全性を確保することができる。それにより、補機単独運転による燃料電池装置100の耐久性の低下を抑制することが可能となる。
【0044】
ここで、燃料ガス流路Gに設けられた補機の動作の制限について説明する。例えば図1に示すように、燃料ガス流路Gには、第1電磁弁V1、圧力センサPS、燃料ポンプB1、ガス流量計FM1および第2電磁弁V2が設けられている。圧力センサPSが所定圧力を検知するか否かを確認するためには、第1電磁弁V1を開状態とする必要がある。それゆえ、制御装置30は、圧力センサPSの動作を制限する場合、圧力センサPS自体の動作を制限するのではなく、第1電磁弁V1の動作を制限する。また、ガス流量計FM1が所定流量を検知するか否かを確認するためには、第1電磁弁V1および第2電磁弁V2を開状態とし、かつ燃料ポンプB1を動作させる必要がある。それゆえ、制御装置30は、ガス流量計FM1の動作を制限する場合、ガス流量計FM1自体の動作を制限するのではなく、第1電磁弁V1、第2電磁弁V2および燃料ポンプB1の動作を制限する。
【0045】
図1に示すように、酸素含有ガス流路Fには、空気流量計FM2およびブロワB2が設けられている。空気流量計FM2が所定流量を検知するか否かを確認するためには、ブロワB2を動作させる必要がある。それゆえ、制御装置30は、空気流量計FM2の動作を制限する場合、空気流量計FM2自体の動作を制限するのではなく、ブロワB2の動作を制限する。
【0046】
なお、制御装置30は、モジュール1および改質器12の温度が第1所定温度T1未満であり、かつ測定温度Tが第2所定温度T2以上である場合、第1補機のうちの残りの補機、例えば水ポンプP3の単独運転は許可としてもよい。
【0047】
制御装置30は、測定温度Tが第1所定温度T1以上である場合、燃料ガス流路G、酸素含有ガス流路Fおよび改質水流路Rに設けられた補機に対する単独運転指示を受け付けず、不許可としてもよい。燃料ガス流路Gおよび酸素含有ガス流路Fに設けられた補機については、上述の通りである。なお、改質水流路Rに設けられた補機の動作を制限することで、改質器12自体にダメージが生じることを抑制できる。それにより、燃料ポンプB1、第1電磁弁V1、第2電磁弁V2、ブロワB2、水ポンプP3等の単独運転が燃料電池装置100に及ぼす悪影響を軽減することができる。ひいては、補機単独運転による燃料電池装置100の耐久性の低下を抑制することが可能となる。
【0048】
次に、制御装置30が、第1温度測定部TC1の測定結果および水位センサWLの検知結果に基づく、補機単独運転の制限について説明する。
【0049】
モジュール1の温度が第2所定温度T2以上の場合、燃料ガス流路Gおよび酸素含有ガス流路Fに設けられた補機を駆動することで、モジュール1からの排熱により第1熱交換器2における熱媒が沸騰するおそれがある。
【0050】
しかし、水位センサWLが水位を検知しており、熱媒ポンプP1が駆動可能であるならば、制御装置30は、モジュール1の温度が第2所定温度T2以上の場合でも、燃料ガス流路Gおよび酸素含有ガス流路Fに設けられた補機に対する単独運転指示を許可してもよい。
【0051】
熱媒ポンプP1によって熱媒が流動するため、モジュール1からの排熱による第1熱交換器2における熱媒の沸騰を抑制できるため、燃料ガス流路Gおよび酸素含有ガス流路Fに設けられた補機に対する単独運転指示を受け付けることができる。ひいては、燃料電池装置100の耐久性の低下を抑制しながらも燃料電池装置100の操作性を損なうことがない。
【0052】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更、改良等が可能である。
【符号の説明】
【0053】
1 モジュール
11 燃料電池
12 改質器
B1 燃料ポンプ
B2 ブロワ
P3 水ポンプ
30 制御装置
100 燃料電池装置
図1
図2