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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-13
(45)【発行日】2024-06-21
(54)【発明の名称】衣類乾燥機
(51)【国際特許分類】
   D06F 58/34 20200101AFI20240614BHJP
   D06F 103/32 20200101ALN20240614BHJP
   D06F 103/38 20200101ALN20240614BHJP
【FI】
D06F58/34
D06F103:32
D06F103:38
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020041430
(22)【出願日】2020-03-11
(65)【公開番号】P2021141998
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2022-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】青山 陽一
【審査官】遠藤 邦喜
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-071096(JP,A)
【文献】特開2016-049160(JP,A)
【文献】特開2004-344594(JP,A)
【文献】特開2015-210063(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0139402(US,A1)
【文献】国際公開第2020/054475(WO,A1)
【文献】特開平07-204399(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 58/34
D06F 103/32
D06F 103/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣類を収容する乾燥室と、外気を加熱して熱風を生成する熱源と、前記乾燥室内に熱風を貫流させるファンとを備え、前記乾燥室に供給される前記熱源からの熱風を前記ファンにより貫流させることにより、前記乾燥室に収容された衣類を乾燥する衣類乾燥機であって、
前記乾燥室に熱風を導入する導入口と、
前記乾燥室から熱風を排出する排出路と、
該排出路に設けられて前記乾燥室内の衣類から出る塵埃を捕捉するフィルタと、
前記導入口及び前記排出路を含む排気流路における熱風の流動低下を検出する検出手段と、
乾燥運転の開始から該乾燥運転の終了までの乾燥運転時間を計時して記憶する計時手段と、
メンテナンスの必要性を報知する報知手段と、
を備え、
前記検出手段は、前記排気流路における熱風の流動低下に基づいて前記フィルタの閉塞を検出し、
前記計時手段は、前記検出手段が前記フィルタの閉塞を検出し前記乾燥運転が終了した後に前記フィルタの閉塞が解除された場合、前記フィルタの閉塞が解除され前記乾燥運転が開始した時点から前記検出手段が次に前記フィルタの閉塞を検出して前記乾燥運転が終了されるまでの前記乾燥運転時間を累積した第2累積運転時間を計時し、
前記報知手段は、前記第2累積運転時間が予め設定された判定時間よりも短くなったとき、メンテナンスの必要性を報知することを特徴とする衣類乾燥機。
【請求項2】
前記計時手段は、衣類乾燥機設置後初期に行われる前記乾燥運転の開始から前記検出手段が前記フィルタの閉塞を検出して該乾燥運転が終了されるまでの前記乾燥運転時間を累積した第1累積運転時間を計時し、
前記判定時間は、少なくとも前記計時手段が計時した前記第1累積運転時間を用いて設定されていることを特徴とする請求項記載の衣類乾燥機。
【請求項3】
前記計時手段は、前記報知手段が前記判定時間と比較した前記第2累積運転時間を自動的にリセットすることを特徴とする請求項1又は2項記載の衣類乾燥機。
【請求項4】
前記計時手段は、前記第2累積運転時間をリセットした後、前記検出手段が前記フィルタの閉塞を検出した状態での前記乾燥運転時間を累積した累積運転時間を他の累積運転時間として計時し、
前記報知手段は、前記計時手段による前記他の累積運転時間が予め設定された他の判定時間を超えたとき、メンテナンスの必要性を報知することを特徴とする請求項記載の衣類乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱源で生成される熱風によって衣類を乾燥させる衣類乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の衣類乾燥機は、衣類を収容する乾燥室と、乾燥室に熱風を導入する導入口と、乾燥室から熱風と共に湿気を排出する排出口と、排出口から排出された熱風と湿気を機外に排出する排気筒とを備えている。排出口の下流側には、ファンが設けられており、ファンによって乾燥室内に強制的に熱風を貫流させることで、乾燥室内の衣類を乾燥させる。
【0003】
また、乾燥室の排出口には、フィルタが設けられている。乾燥運転中に衣類から発生した糸屑等の塵埃は、乾燥室の排出口のフィルタにより捕捉される。捕捉した糸屑等の塵埃によりフィルタが詰まると、排気筒への通気が阻害される。この場合には、使用者がフィルタを掃除することにより、排気筒への通気を回復させる。
【0004】
しかし、排出口のフィルタによって、衣類から発生する糸屑等の塵埃の全てを捕捉することは困難であり、運転回数が多くなると、フィルタを通過した糸屑等の塵埃が、その下流側の排気筒の内面に付着し、排気筒に閉塞が生じる。
【0005】
また、乾燥室への衣類の出し入れ時に開閉する扉のシール部品等は、経年劣化によって気密性が低下することもある。
【0006】
そして、排気筒の閉塞や乾燥室の気密性の低下が生じると、円滑な乾燥運転が行えず、故障による運転停止となるおそれがある。特に、この種の衣類乾燥機を業務用として使用している場合、故障が生じたときに即座に対応が図れないと、業務に支障を与えることになる。
【0007】
そこで従来の衣類乾燥機においては、乾燥運転の回数や時間を含む経年情報を計測して、この経年情報の計測値が、劣化時期間近と考えられる値を超えたときに、報知を行うものが知られている(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開平7-080197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、例えば、乾燥室に投入する衣類等の種類によって、乾燥運転中に発生する塵埃の量が異なる場合があり、衣類乾燥機の設置環境によって、乾燥室の気密性の劣化度合いが異なる場合がある。
【0010】
このため、従来の衣類乾燥機のように、乾燥運転の回数や時間を含む経年情報の値が劣化時期間近と考えられる値を超えた場合に報知するものでは、実際の排気筒の閉塞や乾燥室の気密性の低下を正確に把握することが困難であり、不要な報知がされたり、報知が遅れたりするおそれがある。
【0011】
上記の点に鑑み、本発明は、排気流路の閉塞や気密の低下を比較的正確に把握することができ、乾燥運転中の異常停止等の発生を未然に防ぐ報知を適切なタイミングで行うことができる衣類乾燥機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
かかる目的を達成するために、本発明は、衣類を収容する乾燥室と、外気を加熱して熱風を生成する熱源と、前記乾燥室内に熱風を貫流させるファンとを備え、前記乾燥室に供給される前記熱源からの熱風を前記ファンにより貫流させることにより、前記乾燥室に収容された衣類を乾燥する衣類乾燥機であって、前記乾燥室に熱風を導入する導入口と、前記乾燥室から熱風を排出する排出路と、該排出路に設けられて前記乾燥室内の衣類から出る塵埃を捕捉するフィルタと、前記導入口及び前記排出路を含む排気流路における熱風の流動低下を検出する検出手段と、乾燥運転の開始から該乾燥運転の終了までの乾燥運転時間を計時して記憶する計時手段と、メンテナンスの必要性を報知する報知手段と、を備え、前記検出手段は、前記排気流路における熱風の流動低下に基づいて前記フィルタの閉塞を検出し、前記計時手段は、前記検出手段が前記フィルタの閉塞を検出し前記乾燥運転が終了した後に前記フィルタの閉塞が解除された場合、前記フィルタの閉塞が解除され前記乾燥運転が開始した時点から前記検出手段が次に前記フィルタの閉塞を検出して前記乾燥運転が終了されるまでの前記乾燥運転時間を累積した第2累積運転時間を計時し、前記報知手段は、前記第2累積運転時間が予め設定された判定時間よりも短くなったとき、メンテナンスの必要性を報知することを特徴とする。
【0013】
なお、前記検出手段は、前記排気流路における熱風の流動低下に基づいて前記フィルタより下流側の前記排出路の閉塞又は前記乾燥室の気密低下を推定し、前記報知手段は、前記フィルタより下流側の前記排出路の閉塞又は前記乾燥室の気密低下が推定されたときも、メンテナンスの必要性報知する。
【0014】
前記累積運転時間は、フィルタの閉塞のみである場合には容易に復帰させることができるので比較的長い。しかし、フィルタ以外の、例えば、フィルタより下流側の排出路の閉塞が進行すると、フィルタを掃除しても十分に復帰させることができず、前記累積運転時間は短くなる。
【0015】
本発明の衣類乾燥機は、フィルタの閉塞が解除された時点から次にフィルタが閉塞するまでの累積運転時間が予め設定された判定時間よりも短くなったとき、メンテナンスの必要性を報知するので、実際の排出路の閉塞の進行を早期に報知することができる。よって、乾燥運転中の異常停止等の発生を未然に防ぐ報知を適切なタイミングで行うことができる。
【0016】
また、本発明において、前記計時手段は、衣類乾燥機設置後初期に行われる前記乾燥運転の開始から前記検出手段が前記フィルタの閉塞を検出して該乾燥運転が終了されるまでの前記乾燥運転時間を累積した第1累積運転時間を計時し、前記判定時間は、少なくとも前記計時手段が計時した前記第1累積運転時間を用いて設定されていることを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、衣類乾燥機を設置した初期の状態で計時した累積運転時間を用いて前記判定時間を設定するので、排出路の閉塞が全く、或いは殆どない状態での判定時間を設定することができ、高い精度で報知を行うことができる。
【0018】
また、本発明において、前記計時手段は、前記報知手段が前記判定時間と比較した前記第2累積運転時間を自動的にリセットすることが好ましい。
【0019】
判定時間と比較することにより報知の判断に用いた累積運転時間は、高い判断精度を維持するためにリセットする必要がある。本発明によれば、報知の判断に用いた累積運転時間を自動的にリセットすることにより、使用者やメンテナンス作業者の手間を軽減することができる。
【0020】
そして、前記計時手段は、前記第2累積運転時間をリセットした後、前記検出手段が前記フィルタの閉塞を検出しなかった場合に前記第2累積運転時間の累積を開始することが好ましい。
【0021】
これによれば、フィルタの掃除が行われた、或いは、メンテナンス作業によりフィルタより下流側の排出路の閉塞や乾燥室の気密性低下が解消した場合に累積運転時間の計時が開始されるので、次回も高い精度を維持してメンテナンスの必要性の報知を行うことができる。
【0022】
更に、前記計時手段は、前記第2累積運転時間をリセットした後、前記検出手段が前記フィルタの閉塞を検出した状態での前記乾燥運転時間を累積した累積運転時間を他の累積運転時間として計時し、前記報知手段は、前記計時手段による前記他の累積運転時間が予め設定された他の判定時間を超えたとき、メンテナンスの必要性を報知することが好ましい。
【0023】
メンテナンスが行われ、累積運転時間をリセットした後に、継続して排出路の閉塞や乾燥室の気密性低下が生じていると判断される場合には、再度メンテナンスの必要性を報知する。これにより、故障による不用意な運転停止を一層確実防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施形態の衣類乾燥機の構成を模式的に示す図。
図2】コントローラの構成を示すブロック図。
図3】報知制御部の作動を示すフローチャート。
図4】計時制御部による第1累積運転時間の採取動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態の衣類乾燥機1は、図1に示すように、本体ケース2と、回転ドラム3(乾燥室)とを備えている。本体ケース2の正面側には衣類投入口4が開設されている。衣類投入口4は、片開き式の扉5で覆われており、その衣類投入口4の内側には、回転ドラム3が回動自在な状態で軸支されている。
【0026】
回転ドラム3は、回転軸線(図示省略)が水平方向となる姿勢で設けられている。本体ケース2の衣類投入口4側を向く回転ドラム3の端部には、正面開放部6が形成されている。正面開放部6の外周は、リング板7によって回動自在な状態で本体ケース2に支持されている。
【0027】
扉5、リング板7、及び正面開放部6の接触部分には、回転ドラム3内部への外気の流入を防止するために、図示しないシール部材等を用いた密封構造が形成されている。
【0028】
回転ドラム3の奥壁8には排出口9が形成されている。排出口9にはフィルタ10が着脱自在に取り付けられている。
【0029】
回転ドラム3の奥壁8外面の排出口9の外周は、本体ケース2の支持軸11によって回動自在な状態で支持されている。回転ドラム3の排出口9の下流には、排気を機外へ排出する連通口33が設けられている。連通口33には、回転ドラム3内の空気を本体ケース2の外部(屋外等)へ導く排気ダクト12(排気筒)が接続されている。そして、排出口9から排気ダクト12までが排出路34となっている。
【0030】
排出路34には、ファン13が設けられている。ファン13は、その回転により回転ドラム3内の空気を排出すると共に、回転ドラム3内に熱風を引き込む気流を発生させる。
【0031】
即ち、ファン13が回転すると、外気が本体ケース2の底部に形成されている給気口14から本体ケース2の内部へ取り込まれる。本体ケース2の内部へ取り込まれた外気は、後述するガスバーナ15の炎に加熱されて熱風となり、後述する熱風路16を通って導入口17から回転ドラム3内へ送られる。そして、回転ドラム3の内部で衣類Wの湿気を吸収した熱風はフィルタ10を通過して排気ダクト12へ向かい、本体ケース2の外部へ強制的に排出される。
【0032】
本体ケース2内には、回転ドラム3およびファン13を回転させるためのモータ18と、外気を加熱して熱風を生成するガスバーナ15と、熱風を回転ドラム3内へ導く熱風路16とが設けられている。熱風路16の下流端に形成された導入口17により、熱風が回転ドラム3内に導入される。熱風路16の下流端部には、回転ドラム3内に導入される熱風の温度を検知する温度センサ19が設けられている。なお、温度センサ19は、本発明における、導入口17から排気ダクト12の下流端に至る排気流路を流れる熱風の流動低下を検出する検出手段に相当するものである。温度センサ19による流動低下検出については後述する。
【0033】
モータ18は、二つの駆動軸(第1駆動軸20、第2駆動軸21)を備えている。第1駆動軸20の回転力は、第1伝動ベルト22を介して回転ドラム3へ伝達され、回転ドラム3を回転させる。回転ドラム3の回転は、内部に収容されている衣類Wを定位置に止めることなく常に動かすために行われる。第2駆動軸21の回転力は、第2伝動ベルト23を介してファン13へ伝達され、ファン13を回転させる。ファン13の回転により、回転ドラム3内部に熱風が形成される。
【0034】
回転ドラム3の内部に送り込まれた熱風は、回転する回転ドラム3に収容されている衣類Wを乾燥させた後、フィルタ10を通過してファン13に向かう。このとき、衣類Wから発生した糸屑等の塵埃がフィルタ10に捕捉される。
【0035】
本体ケース2の前面には、使用者が操作する操作パネル24が設けられている。使用者は、操作パネル24に設けられたスイッチ類からなる操作部25(図2参照)を操作することにより、乾燥運転モードの選択や各種設置を行う。また、操作パネル24には、ランプや表示器(図示省略)が設けられており、各種報知や各種情報の表示が行えるようになっている。
【0036】
ランプや表示器は、図2において報知装置26として示している。報知装置26は、ランプや表示器以外に、インターネット等のネットワークに接続するための通信部を備えており、外部のサーバを介してメンテナンス作業者等に衣類乾燥機1のエラー等の状態を報知する機能を備えている。
【0037】
乾燥運転時におけるモータ18の駆動、ガスバーナ15の点消火動作、及び報知装置26による報知等の制御は、コントローラ27により行われる。
【0038】
コントローラ27は、図2に模式的に示すように、モータ18を制御するモータ制御部28、ガスバーナ15の燃焼を制御する燃焼制御部29、及び、報知装置26を制御する報知制御部30を機能として備えている。更に、コントローラ27は、計時制御部31や記憶部32を備えている。計時制御部31は、本発明における計時手段に相当し、報知装置26及び報知制御部30は、本発明における報知手段に相当する。
【0039】
報知制御部30は、温度センサ19によって検知した温度の上昇度合いにより回転ドラム3へ供給される熱風の流動低下を検出する。そして、熱風の流動低下が検出された場合は、フィルタ10の詰まり、又は、排出路34の閉塞、又は、回転ドラム3の気密低下が発生したことが推定できるので、これらを報知装置26を作動させて報知する。
【0040】
次に、コントローラ27の機能である報知制御部30及び計時制御部31による報知に関する作動について詳しく説明する。
【0041】
先ず図3を参照して説明すると、STEP1で使用者の操作等により乾燥運転が開始され、STEP2で3回分の第1累積運転時間A1が採取されると、STEP3へ進む。
【0042】
第1累積運転時間A1は、衣類乾燥機1を設置して初期に行われる乾燥運転からフィルタ10の詰まりが検出されるまで累積した乾燥運転時間である。第1累積運転時間A1は3回採取され、1回ごとに別々に記憶される。
【0043】
そして、3つの第1累積運転時間A1は、後述する第1判定時間の設定に用いられる。STEP2で第1累積運転時間A1が3回分採取されていない場合には、第1累積運転時間A1を採取する動作を行うが、これについては後述する。
【0044】
STEP3へ進むと、第2累積運転時間A2が更新中(A2>0)であるか否かを判断する。第2累積運転時間A2が更新中(A2>0)である場合はSTEP6へ進み、更新中でない場合は、STEP4へ進む。
【0045】
第2累積運転時間A2の更新中とは、即ち、乾燥運転開始から終了までの乾燥運転時間を累積している(毎回の運転時間を加算して記憶する)状態である。STEP4へ進む場合には、第2累積運転時間A2が採取されていない(A2=0)か、後述のSTEP11で第2累積運転時間A2がリセットされた後の状態である。なお、第2累積運転時間A2は本発明における累積運転時間に相当する。
【0046】
STEP4へ進み、温度センサ19の検知温度が予め定められた閾値以下で乾燥運転が終了した場合には、STEP5へ進んで第2累積運転時間A2の更新を開始する。
【0047】
STEP4で使用する閾値(温度の値)は、フィルタ10の詰まりを検出するための温度、又は、フィルタ10の詰まりを検出するための温度の値よりも高い温度に設定されている。この閾値より温度センサ19の検知温度が低ければ、排出路34の閉塞がなく、乾燥ドラムの気密性低下が生じていないことが確認できる。
【0048】
次の運転では、STEP3で第2累積運転時間A2が更新中であるため、STEP6へ進み、STEP6でフィルタ10の詰まりが検出されて乾燥運転が停止するまで、第2累積運転時間A2が更新(乾燥運転の時間が累積)される。
【0049】
STEP6でフィルタ10の詰まりが検出された状態で乾燥運転が終了(停止)した場合には、STEP7へ進んで第2累積運転時間A2を確定させ、運転時間を加算して記憶する動作を終了させる。
【0050】
なお、STEP6でフィルタ10の詰まりが検出されて乾燥運転が終了した場合には、報知装置26のうちの例えば、ランプを点灯させて、使用者にフィルタ10の掃除を促すことが行われる。使用者は、ランプの報知に促されてフィルタ10の掃除を行って復帰させる。このとき、フィルタ10の自動掃除機能を備えている場合は、報知せずに自動復帰させる。
【0051】
次いで、STEP8へ進み、第2累積運転時間A2が、第1判定時間より短いか否かを判断する。本実施形態で採用する第1判定時間は、「3つの第1累積運転時間A1の平均の1/2の時間」である。なお、この第1判定時間は、本発明における判定時間の一例であり、衣類乾燥機1の乾燥能力や設置環境等で適宜設定することができる。
【0052】
STEP8で、第2累積運転時間A2が、3つの第1累積運転時間A1の平均の1/2の時間より短くなければ、STEP11へ進んで第2累積運転時間A2をリセットする。
【0053】
一方、STEP8で、第2累積運転時間A2が、3つの第1累積運転時間A1の平均の1/2の時間より短い場合には、フィルタ10の詰まりではなく、排出路34の閉塞が進行している、或いは、乾燥ドラムの気密性が低下して大量の外気が回転ドラム3内に入り込んでいるおそれがある。そして、排出路34の閉塞が進行している場合や、乾燥ドラムの気密性が低下している場合は、放置しておくと、故障停止等のおそれがある。
【0054】
そこで、STEP9で報知装置26を作動させてメンテナンスの必要性を報知する。このときの報知の具体的一例としては、報知装置26の通信部を作動させて、サーバを介してメンテナンス作業者に連絡することが挙げられる。これにより、乾燥運転が可能な状態であるうちに、早期にメンテナンス作業者に連絡でき、乾燥運転中の故障停止が生じるのを未然に防止することができる。
【0055】
そして、メンテナンス作業者による排出路34の閉塞や乾燥ドラムの気密性低下を解消する作業が行われることにより、STEP10においてメンテナンス作業により正常復帰すると、STEP11で第2累積運転時間A2をリセットする。STEP11における第2累積運転時間A2のリセットは、自動で行われることによって使用者やメンテナンス作業者の手間をなくすことができるが、手動でリセット操作を行うようにしてもよい。
【0056】
ここで、STEP2において第1累積運転時間A1が3回分採取されていない場合、即ち初期状態からの、第1累積運転時間A1を採取する動作を、図3及び図4に基づいて説明する。
【0057】
図3におけるSTEP2から、図4のSTEP12へ進むと、STEP12において第1累積運転時間A1が更新中(A1>0)であるか否かを判断する。第1累積運転時間A1が更新中(A1>0)である場合はSTEP15へ進み、更新中でない場合は、STEP13へ進む。
【0058】
STEP13へ進み、温度センサ19の検知温度が予め定められた閾値以下で乾燥運転が終了した場合には、STEP14へ進んで第1累積運転時間A1の更新を開始する。STEP13においても、STEP4と同様の閾値を用いることができる。
【0059】
次の運転でSTEP12へ進んだ場合には、第1累積運転時間A1が更新中であるため、STEP15へ進み、STEP15でフィルタ10の詰まりが検出されて乾燥運転が停止するまで、第1累積運転時間A1が更新(乾燥運転の時間が累積)される。通常であれば、STEP12、STEP15、及びSTEP16が3回繰り返され、採取された3つの第1累積運転時間A1が記憶される。このとき採取された3つの第1累積運転時間A1がSTEP8で用いられる。
【0060】
なお、STEP13において温度センサ19の検知温度が予め定められた閾値より高い温度で乾燥運転が終了した場合には、STEP17へ進み、報知装置26によってメンテナンスの必要性の報知が行われる。この時の報知内容は、前述したSTEP9の報知内容と同様である。その後、STEP18でメンテナンス作業が行われる。これにより、初期段階での故障発生も未然に防ぐことができる。
【0061】
また、図3において、STEP4からSTEP19へ進むことで、メンテナンス作業後の復帰が不十分である場合や必要なメンテナンス作業が行われなかったことを検出することができるようになっている。
【0062】
即ち、STEP19では、第2累積運転時間A2の更新が第2判定時間として設定された3時間を超えても開始されない場合、STEP20へ進んでメンテナンスの必要性を報知し、メンテナンス作業者による排出路34の閉塞や乾燥ドラムの気密性低下を解消する作業が行われてSTEP21で正常復帰される。
【0063】
このように、STEP19~STEP21を設けたことにより、万一、メンテナンス作業後の復帰が不十分である場合や必要なメンテナンス作業が行われなかった場合に、再度メンテナンスの必要性を報知することができ、故障による運転停止の防止を一層確実とすることができる。
【0064】
なお、本実施形態においては、衣類を収容する回転ドラム3を乾燥室として備える衣類乾燥機1を挙げて説明したが、回転ドラム以外の、例えば固定された乾燥室を備える衣類乾燥機であっても本発明を採用して同様の効果を得ることができる。
【0065】
また、本実施形態においては、排気ダクト12が接続されていることにより、排気ダクト12を含めて排出路34としているが、排気ダクト12は接続されていなくてもよい。
【符号の説明】
【0066】
W…衣類、1…衣類乾燥機、3…回転ドラム(乾燥室)、10…フィルタ、12…排気ダクト(排気筒)、13…ファン、17…導入口、19…温度センサ(検出手段)、26…報知装置(報知手段)、30…報知制御部(報知手段)、31…計時制御部(計時手段)、34…排出路。
図1
図2
図3
図4