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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-13
(45)【発行日】2024-06-21
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/50 20230101AFI20240614BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20240614BHJP
   G03B 17/02 20210101ALI20240614BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20240614BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20240614BHJP
   H04N 23/52 20230101ALI20240614BHJP
   G03B 30/00 20210101ALI20240614BHJP
【FI】
H04N23/50
H05K7/20 F
G03B17/02
G03B15/00 V
B60R11/02 C
H04N23/52
G03B30/00
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020057630
(22)【出願日】2020-03-27
(65)【公開番号】P2021158555
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-01-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000001225
【氏名又は名称】ニデックプレシジョン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】万代 晴彦
【審査官】越河 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-270234(JP,A)
【文献】特開2010-074665(JP,A)
【文献】特開2019-208190(JP,A)
【文献】特開2013-109188(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/50
H05K 7/20
G03B 17/02
G03B 15/00
B60R 11/02
H04N 23/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズユニットが支持される筐体と、
前記筐体内に支持され、レンズユニットの結像面を受光面とするイメージセンサが実装されている第1基板と、
前記筐体内で、周縁部付近に設けた基板対基板コネクタで前記第1基板に接続されている第2基板と、
前記筐体内で、少なくとも前記第2基板の周囲を取り巻くように配置される金属板とを備え、
前記金属板は、前記第2基板の前記第1基板に対面する側の面を支持するように、前記基板対基板コネクタから離れた位置で、前記金属板の一部を内側に向けて折り曲げられた支持片を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記第1基板と前記第2基板の間には、前記第1基板と前記第2基板に取り付けられている電子部品が接する放熱シートが配備されており、
前記放熱シートの端部が前記支持片と前記第2基板との間に挟まれて支持されていることを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記第2基板は、平面視多角形状であり、
前記金属板は、前記第2基板の周縁角部に対応した屈折部を有する複数の辺を有し、
前記支持片は、対向する辺に一対設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の撮像装置。
【請求項4】
前記金属板は、周囲の筐体に弾性的に接触する接触片を有することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項記載の撮像装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載された撮像装置を備えた車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、イメージセンサの性能向上に伴って、様々な分野で撮像装置が用いられている。特に、車載用の撮像装置は、安全対策やセキュリティー対策のための社内外画像の取得(ドライブレコーダなど)だけでなく、デジタルミラー用カメラや認証用カメラなどで、高性能の撮像装置が用いられている。
【0003】
画素数の多い高性能のイメージセンサを用いた撮像装置は、必然的に消費電力が大きくなり、電子部品の発熱量も大きくなるが、撮像装置の小型化によって、放熱面積が小さくなるので、イメージセンサの性能を維持するためには、駆動用電子部品の放熱対策が不可欠になる。特に、車載用の撮像装置は、小型化の要求が高い上に、高温環境での使用が余儀なくされているので、前述した放熱対策が特に重要になる。
【0004】
撮像装置における電子部品の放熱対策としては、イメージセンサが実装された基板と、動作時の発熱量が大きい電子部品(例えば、FPGA: Field-Programmable Gate Arrayなど)が固定された基板を別基板にし、各基板を空間的に分離した状態で対面配置することが行われている。
【0005】
下記特許文献1に記載された従来技術は、撮像装置において、FPGAが固定されたFPGA基板と、外部機器との電気的な接続を行うコネクタが固定されたコネクタ基板と、イメージセンサが実装されたセンサ基板とを、撮像装置の筐体内で対面配置し、FPGA基板とコネクタ基板とを第1フレキシブル基板で接続し、コネクタ基板とセンサ基板とを第2フレキシブル基板で接続して、熱源となるFPGAを筐体の内壁に当接して放熱させることが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2010-74665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述した従来技術によると、対面する基板間の接続にフレキシブル基板を用いているので、フレキシブル基板と対面配置されるリジッド基板との接続を、組立時の作業とは別に行う必要があり、組み立てに付随する作業が繁雑になる問題がある。また、筐体内にフレキシブル基板の取り回しスペースが必要になると共に、フレキシブル基板を介することで対面配置される基板間に比較的大きな空間を設ける必要があるので、筐体内部の必要スペースが大きくなり、撮像装置の小型化に対応し難くなる。
【0008】
これに対しては、基板対基板(Board to Board (B to B))コネクタを用いて、対面配置する基板間の接続を行うことが考えられる。しかしながら、イメージセンサが実装される基板は、イメージセンサが基板の中央部に配置されており、イメージセンサとの接続を考慮して、イメージセンサが実装された基板の裏面側にも中央に大きな面積を専有する電子部品が配置されているので、基板対基板コネクタを基板の周縁近くに配置せざるを得なくなる。
【0009】
基板対基板コネクタを基板の周縁近くに配置する場合、コネクタが設けられた部分から離れた所に力が加わると、基板が傾いて、コネクタの外れが生じ易くなる。これを避けるためには、対面する基板間に外れ防止用のスペーサを介在させることが必要になるが、スペーサを設けると、基板表面における電子部品の実装スペースが削られてしまうと共に、部品の追加でコスト高になる問題が生じる。
【0010】
基板対基板コネクタを用いる場合には、前述した従来技術のようにフレキシブル基板を用いる場合と比較すると省スペース化が可能になるが、対面する基板間の距離が近づくことになるので、これに対して有効な放熱対策が必要になる。
【0011】
本発明は、このような問題に対処するために提案されたものである。すなわち、撮像装置における回路基板構成において、基板対基板コネクタを用いることで、筐体内部の省スペース化・装置の小型化を実現し、対面配置される基板間にスペーサを設けること無く外れ抑止を図りながら、より効果的な放熱対策を実現できるようにすること、などが本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このような課題を解決するために、本発明は、以下の構成を具備するものである。
【0013】
レンズユニットが支持される筐体と、
前記筐体内に支持され、レンズユニットの結像面を受光面とするイメージセンサが実装されている第1基板と、前記筐体内で、周縁部付近に設けた基板対基板コネクタで前記第1基板に接続されている第2基板と、前記筐体内で、少なくとも前記第2基板の周囲を取り巻くように配置される金属板とを備え、前記金属板は、前記第2基板の前記第1基板に対面する側の面を支持するように、前記基板対基板コネクタから離れた位置で、前記金属板の一部を内側に向けて折り曲げられた支持片を有することを特徴とする撮像装置。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】撮像装置の外観斜視図。
図2】撮像装置の分解斜視図(後方視)。
図3】撮像装置の分解斜視図(前方視)。
図4】撮像装置の正面図。
図5図4におけるA-A断面図。
図6図4におけるB-B断面図。
図7】金属板の説明図((a)が平面図、(b)が側面図)。
図8】金属板の接触片を示す説明図。
図9】撮像装置を備えた車両の説明図(平面図)。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の説明で、異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
【0016】
図1図6に示すように、撮像装置1は、レンズユニット2、筐体3、第1基板11、第2基板12、金属板5を少なくとも備えている。
【0017】
レンズユニット2は、第1基板11に実装されるイメージセンサ10の受光面に像を結像させる撮像光学系である。筐体3は、レンズユニット2を支持し、内部に、第1基板11、第2基板12、金属板5を収容する。レンズユニット2は、シールリング8を介して筐体3に取り付けられており、筐体3の後方には、後筐体4がシールリング8を介して結合されている。
【0018】
筐体3内に支持される第1基板11は、レンズユニット2に対向する側の面にイメージセンサ10が実装されている。イメージセンサ10は、第1基板11の中央部分に取り付けられており、レンズユニット2の結像面を受光面とする。第1基板の裏面側は、イメージセンサ10に接続される各種の電子部品が取り付けられている。
【0019】
筐体3内に配備される第2基板12は、イメージセンサ10の駆動回路を構成する電子部品などが取り付けられおり、第1基板11に対面配置されている。第2基板12は、基板対基板コネクタ20で第1基板11に接続されている。なお、「基板対基板コネクタ」は、単に「コネクタ」と言うこともある。
【0020】
基板対基板コネクタ20は、そのメス側端子が第2基板12の周縁付近に取り付けられており、これに接続する雄側のコネクタ端子21が第1基板11の周縁付近に取り付けられている。第2基板12の第1基板11に対面する表面側には、各種の電子部品が取り付けられており、第2基板12の裏面側にも各種の電子部品が取り付けられている。
【0021】
筐体3の内部には、内壁に沿って、少なくとも第2基板12の周囲を取り巻くように金属板5が配備されている。図示の例では、第1基板11と第2基板12の両方を囲むように金属板5が配備されており、シールド板として機能するように構成されている。
【0022】
図示の例では、第1基板11と第2基板12は、共に平面視で多角形状(8角形状)を成しており、その周囲に配置される金属板5は、図7に示すように、第1基板11或いは第2基板12の周縁角部に対応した屈折部5Bを有する帯状の屈折板であり、屈折部5Bの間に複数の辺5Cを有している。
【0023】
このような撮像装置1においては、イメージセンサ10が実装された第1基板11は、イメージセンサ10の受光面がレンズユニット2の結像面になるように、筐体3に位置決めされて支持されている。これに対して、第1基板11に基板対基板コネクタ20を介して接続されている第2基板12は、基板対基板コネクタ20から離れた部分が第1基板11側に近付かないように、金属板5が有する支持片5Aに支持されている。なお、 金属板5は一枚の板を折り曲げることで、平面視で多角形状に形成されている。ただし、他の実施例では、平面視で多角形状となるような筒を形成して、輪切りにすることで金属板5が形成されてもよい。
【0024】
支持片5Aは、第2基板12の第1基板11に対面する側の面を支持するように、基板対基板コネクタ20から離れた位置で、金属板5の一部を内側に向けて折り曲げることで形成されている。支持片5Aは、図7に示した例では、3つの辺5Cに形成されており、支持片5Aが無い辺5Cの近くに基板対基板コネクタ20が位置している。
【0025】
より具体的には、図7に示した例では、支持片5Aは、基板対基板コネクタ20の近くの辺5Cに対向する辺5Cに1つ設けられ、更に、それとは異なる方向で互いに対向する辺5Cに一対の支持片5Aが設けられている。
【0026】
このような支持片5Aを設けることで、第1基板11に対して基板対基板コネクタ20で接続されている第2基板12は、第1基板11に近付くような傾きが抑止されるので、第1基板11と第2基板12の間に外れ防止用のスペーサを設けなくても、基板対基板コネクタ20の外れを抑止することができる。そして、前述した外れ防止用のスペーサを設けないので、第1基板11の裏面側と第2基板12の表面側の面積を有効に使って電子部品を配備することができる。また、スペーサを設けることに換えて、シールド板として機能する金属板5を加工して支持片5Aを形成しているので、部品点数を増やすこと無く、安価に基板対基板コネクタ20の外れを抑止することができる。
【0027】
そして、撮像装置1は、放熱対策として、第1基板11と第2基板12の間に、放熱シート6を配備している。放熱シート6は、弾性を有する放熱性の高い部材(例えば、シリコン樹脂板など)であり、第1基板11と第2基板12を基板対基板コネクタ20で接続することで、第1基板11の裏面側の電子部品と第2基板12の表面側の電子部品がそれぞれ接触するように配備される。また、放熱シート6は、図5に示すように、その端部が、金属板5の支持片5Aと第2基板12との間に挟まれて支持されている。
【0028】
このような放熱シート6を第1基板11と第2基板12の間に配備すると、第1基板11と第2基板12が近接した状態であっても、電子部品が発生する熱を、放熱シート6を介して金属板5に伝えることができ、金属板5を介して筐体3の周囲に放熱することができる。
【0029】
この際、金属板5は、周囲に弾性的に突出するように接触片5Dが設けられており、図8に示すように、この接触片5Dが金属板5の周囲にある筐体3の内壁に、弾性的に押圧された状態で接触する。これによって、効率良く金属板5に伝わった熱を周囲に放熱させることができる。
【0030】
このような撮像装置1は、先ず、回路基板構成として、第1基板11と第2基板12を基板対基板コネクタ20を介して接続しているので、基板間の空間を狭くして省スペース化することで、撮像装置1の小型化を実現することができる。その際に、シールド板として機能する金属板5を活用して、第2基板12を支持することで、基板対基板コネクタ20の外れを抑止しているので、部品点数を増やすこと無く、信頼性の高い電気接続を実現することができる。また、スペーサを介在させないことで、第1基板11と第2基板12の基板面を有効に利用して電子部品を配備することができる。
【0031】
そして、第1基板11と第2基板12の間に放熱シート6を配備して、その端部を金属板5の支持片5Aに接触させているので、基板間のスペースを狭くした場合であっても、有効な放熱効果を得ることができ、更には、この放熱シート6が、実質的には基板間のスペーサとしても機能することになるので、放熱効果を高めることに加えて、基板対基板コネクタ20の接続の信頼性を高めることができる。
【0032】
これによって、本発明の実施形態に係る撮像装置1は、基板対基板コネクタ20を用いることで、筐体3内部の省スペース化・装置の小型化を実現することができ、更には、基板対基板コネクタ20における接続の信頼性を高めながら、より効果的な放熱対策を実現することができる。
【0033】
図9は、前述した撮像装置1をサイドカメラ101やリヤカメラ102として用いる車両100を示している。このような車両100は、高性能で且つ効果的な放熱対策が施されている撮像装置1を用いて車両100の周辺画像を取得することができる。そして、車両100は、撮像装置1を用いることで、高い安全性と良好な運転操作性を担保することができる。
【0034】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。また、上述の各実施の形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0035】
1:撮像装置,2:レンズユニット,3:筐体,4:後筐体,
5:金属板(シールド板),5A:支持片,
5B:屈曲部,5C:辺,5D:接触片,
6:放熱シート,7:結合部材,8:シールリング,
10:イメージセンサ,11:第1基板,12:第2基板,
20:基板対基板コネクタ,21:コネクタ端子,
100:車両,101:サイドカメラ,102:リアカメラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9