(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-13
(45)【発行日】2024-06-21
(54)【発明の名称】取出具付き容器
(51)【国際特許分類】
B65D 51/24 20060101AFI20240614BHJP
【FI】
B65D51/24
(21)【出願番号】P 2020080602
(22)【出願日】2020-04-30
【審査請求日】2022-11-01
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】上村 英夫
【審査官】森本 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-067411(JP,A)
【文献】特開2009-149319(JP,A)
【文献】特開2020-050429(JP,A)
【文献】実開昭59-139206(JP,U)
【文献】特開2017-081641(JP,A)
【文献】国際公開第2015/144271(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0307521(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 51/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容される容器本体と、
前記容器本体の口部に着脱可能に装着された内蓋体と、
前記内蓋体に対して容器軸を中心として相対回転可能に装着された外蓋体と、
前記容器本体から前記内容物を取り出すための取出具と、
を備え、
前記外蓋体は前記内蓋体とともに前記口部に対して着脱され、
前記内蓋体と前記外蓋体との間に、前記取出具が着脱可能に収容される収容部が設けられ、
前記内蓋体および前記外蓋体の少なくとも一方に、前記外蓋体が前記内蓋体に対して相対回転した際に前記取出具を押圧し、前記取出具の少なくとも一部を前記外蓋体の外側に突出させる取出具押圧用凸部が設けられた、取出具付き容器。
【請求項2】
前記内蓋体は、前記口部を外側から覆うとともに前記口部に係合する係合筒部を有し、
前記取出具の全長は、前記係合筒部の内径よりも長い、請求項1に記載の取出具付き容器。
【請求項3】
前記取出具は、
取出具本体と、
前記取出具本体の後端に設けられ、前記取出具本体の幅よりも広い幅を有する把持片と、を有する、請求項1または請求項2に記載の取出具付き容器。
【請求項4】
前記把持片の外周面は、前記外蓋体の外周面上で外部に露出している、請求項3に記載の取出具付き容器。
【請求項5】
前記内蓋体は、前記口部に対して前記容器軸を中心として相対回転することにより着脱可能とされ、
前記内蓋体および前記外蓋体に、前記内蓋体の前記口部に対する係合が緩む方向への前記外蓋体の相対回転を所定の回転角において規制する規制部が設けられた、請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の取出具付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取出具付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧料、食品等の内容物を収容するための容器として、内容物を適量取り出すための取出具、例えばスパチュラ等の取出具を付帯する取出具付き容器が、従来から提供されている。下記の特許文献1に、容器本体内の充填空間を密封する中蓋と、中蓋を覆う外蓋と、中蓋の上面に設けられた係止片と、を備える化粧料容器が開示されている。この化粧料容器において、取出具は、中蓋の上面に設けられた係止片により中蓋に着脱可能に保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1の容器においては、使用者は、取出具を取り出すために、最初に外蓋を取り外し、その後、中蓋上面の係止片から取出具を取り外す操作が必要となる。次に、内容物を取り出すために、容器本体から中蓋を取り外す操作が必要となる。このように、特許文献1の容器では、取出具を用いて容器本体から内容物を取り出すまでの手間が掛かるおそれがあった。
【0005】
本発明の一つの態様は、上記の課題を解決するためになされたものであって、取出具を用いて内容物を取り出す際の手間を削減できる取出具付き容器を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明の一つの態様の取出具付き容器は、内容物が収容される容器本体と、前記容器本体の口部に着脱可能に装着された内蓋体と、前記内蓋体に対して容器軸を中心として相対回転可能に装着された外蓋体と、前記容器本体から前記内容物を取り出すための取出具と、を備え、前記外蓋体は前記内蓋体とともに前記口部に対して着脱され、前記内蓋体と前記外蓋体との間に、前記取出具が着脱可能に収容される収容部が設けられ、前記内蓋体および前記外蓋体の少なくとも一方に、前記外蓋体が前記内蓋体に対して相対回転した際に前記取出具を押圧し、前記取出具の少なくとも一部を前記外蓋体の外側に突出させる取出具押圧用凸部が設けられている。
【0007】
この構成によれば、外蓋体を内蓋体に対して容器軸を中心として相対回転させた際に、内蓋体および外蓋体の少なくとも一方に設けられた取出具押圧用凸部が取出具を押圧し、取出具の少なくとも一部を径方向外側に突出させる。このように、外蓋体を内蓋体に対して相対回転させるだけで取出具の少なくとも一部を収容部から突出させることができるため、取出具を容易に取り出しやすく、取出具を取り外す手間を削減することができる。
【0008】
本発明の一つの態様の取出具付き容器において、前記内蓋体は、前記口部を外側から覆うとともに前記口部に係合する係合筒部を有し、前記取出具の全長は、前記係合筒部の内径よりも長くてもよい。
【0009】
この構成によれば、例えば取出具を内蓋体の係合筒部の内側に装着する従来の構成に比べて、取出具の全長を長くすることができる。これにより、使用時の取出具の操作性が向上する。
【0010】
本発明の一つの態様の取出具付き容器において、前記取出具は、取出具本体と、前記取出具本体の後端に設けられ、前記取出具本体の幅よりも広い幅を有する把持片と、を有していてもよい。
【0011】
この構成によれば、使用者は、後端が突出した取出具を容器から取り外す際に、取出具本体よりも幅が広い把持片を把持できるため、取出具の使用性が向上する。
【0012】
本発明の一つの態様の取出具付き容器において、前記把持片の外周面は、前記外蓋体の外周面上で外部に露出していてもよい。
【0013】
この構成によれば、把持片の外周面に例えば各種のロゴやデザイン等を加飾することができる。これにより、製品の高級感を付与しつつ、ブランド性を示すことが可能になる。
【0014】
本発明の一つの態様の取出具付き容器において、前記内蓋体は、前記口部に対して前記容器軸を中心として相対回転することにより着脱可能とされ、前記内蓋体および前記外蓋体に、前記内蓋体の前記口部に対する係合が緩む方向への前記外蓋体の相対回転を所定の回転角において規制する規制部が設けられていてもよい。
【0015】
この構成によれば、外蓋体を内蓋体の口部に対する係合が緩む方向に相対回転させた際に、取出具の後端が外蓋体の外側に突出するとともに、所定の回転角に達した際に規制部により外蓋体の相対回転が規制される。そのため、外蓋体をさらに回転させると、外蓋体と内蓋体とが共回りし、外蓋体と内蓋体とを容器本体から取り外すことができる。このように、外蓋体を一方向に回転させる一連の動作によって、取出具を取り出しやすくするとともに、容器を開蓋状態とすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一つの態様によれば、取出具を用いて内容物を取り出す際の手間を削減可能な取出具付き容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態の取出具付き容器の一部を破断した状態を示す図である。
【
図3】
図2のIII-III線に沿う横断面図である。
【
図5】外蓋体を所定の回転角だけ回転させた後の
図7のV-V線に沿う縦断面図である。
【
図7】
図5のVII-VII線に沿う横断面図である。
【
図8】取出具を仮置きした状態を示す縦断面図である。
【
図9】取出具付き容器の使用状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態に係る取出具付き容器10について、
図1~
図9を参照して説明する。以下、取出具付き容器10を、単に容器10と記載する。
【0019】
図1に示すように、本実施形態の容器10は、内容物Cが収容される容器本体11と、容器本体11に装着された内蓋体12と、内蓋体12に装着された外蓋体13と、容器本体11から内容物Cを取り出すための取出具14と、容器本体11の口部を覆うシール部材16と、を備えている。以下の説明では、内蓋体12と外蓋体13とを合わせて、蓋部材15と称することもある。本実施形態の容器10は、例えばクリーム状または半固形状の化粧品、食品等の内容物Cを収容する。
【0020】
なお、容器本体11の中心軸と蓋部材15の中心軸とは、共通軸上に位置している。以下、この共通軸を容器軸Oと称し、容器軸Oに沿う方向であって、蓋部材15が位置する側を上側と称し、容器本体11の底部が位置する側を下側と称する。ただし、本明細書における上下方向は、説明の便宜上での方向であり、容器10の使用時および流通時の姿勢を限定するものではない。
また、上下方向から見て、容器軸Oに交差する方向を径方向と称し、容器軸O周りに周回する方向を周方向と称する。
【0021】
容器本体11は、上部に開口する口部17を有する有底筒状の形状を有する。本実施形態の場合、容器本体11は、口部17を有する内容器18と、内容器18の外周面および底面を覆う外容器19と、から構成されている。なお、容器本体11は、必ずしも内容器18と外容器19とからなる2重構造を有していなくてもよく、その形状についても適宜変更が可能である。
【0022】
内容器18は、上方が開口した有底筒状の内容物収容部21と、上端が内容物収容部21と一体に連結され、内容物収容部21の外周面を覆うように下方に延びる外筒部22と、外筒部22の上部から周方向外側に突出するフランジ部23と、内容物収容部21の底面から下方に延びる筒状の支持筒部24と、を有する。内容物収容部21の上端は、口部17となっており、口部17の外周面には雄ねじ部25が形成されている。蓋部材15は、雄ねじ部25が後述する雌ねじ部35と螺合することにより、容器本体11に装着される構成となっている。
【0023】
外容器19は、上方が開口した有底筒状の内容器収容部27と、内容器収容部27の底面から上方に突出する固定筒部28と、を有する。内容器18は、外筒部22と支持筒部24とが固定筒部28を挟持するとともに、フランジ部23が内容器収容部27の上端の段部27aに当接することにより、外容器19の内部に固定されている。
【0024】
内蓋体12は、容器軸Oを中心として筒状に形成された係合筒部30と、係合筒部30の上部を閉塞する内天板部31と、係合筒部30の下部に形成された規制当接部32と、内天板部31の上面に形成された取出具押圧用凸部33と、を有する。
【0025】
係合筒部30の内周面には、口部17の外周面に形成された雄ねじ部25と螺合する雌ねじ部35が形成されている。これにより、内蓋体12は、容器本体11の口部17に着脱可能に装着される。このようにして、蓋部材15は、容器本体11の口部17を上方から閉塞する。使用者は、容器本体11から内容物Cを取り出す際に、容器本体11から蓋部材15を取り外して口部17を解放させる。
【0026】
図3に示すように、規制当接部32は、容器軸O方向から見て、係合筒部30の径方向外側における周方向の一部に、周方向に延びるように円弧状に形成され、その両端が係合筒部30と一体に連結されている。規制当接部32は、容器軸Oを挟んで径方向に対向する2箇所に形成されている。また、
図1に示すように、規制当接部32には、径方向外側に突出し、後述する外蓋体13の嵌合凹部とアンダーカット嵌合する嵌合凸部37が形成されている。
【0027】
図5に示すように、内天板部31の上面には、上方に突出する取出具押圧用凸部33が形成されている。
図4に示すように、取出具押圧用凸部33は、容器軸O方向から見て、取出具14の先端に対向する側の一端が尖った楔状の形状を有する。取出具押圧用凸部33の幅W(径方向に沿った幅)は、取出具14に対向する側の一端から他端に向かって漸次広くなっている。取出具押圧用凸部33の取出具14に対向する側の面33aは、取出具14の先端形状の曲率に合わせて僅かに凹むように湾曲した曲面であることが望ましいが、特に限定されず、平面状であってもよい。
【0028】
図1に示すように、外蓋体13は、容器軸Oを中心として筒状に形成された外筒部39と、外筒部39の上部を閉塞する外天板部40と、外天板部40の下面に形成された取出具収容溝部41と、外筒部39の下部に形成された規制溝部42と、を有する。
【0029】
図4に示すように、外天板部40の下面に、容器軸O方向から見て、径方向に沿って延びる取出具収容溝部41が形成されている。取出具収容溝部41は、後述する取出具本体が収容可能な幅、すなわち、取出具本体の幅よりも僅かに広い幅を有する。取出具収容溝部41の両側面のうち、取出具14の後端側に対応する位置には、後述する取出具14の取出具保持用凸部55と嵌合する取出具保持用凹部44が形成されている。また、取出具14の把持片53に対応する位置には、把持片53が収容される把持片収容凹部45が形成されている。また、取出具収容溝部41のうち、把持片収容凹部45が設けられた側と反対側の端部は、周方向に沿って一方に延び、他の部分よりも幅広に形成されている。この幅広部分には、取出具押圧用凸部33が収容される。
【0030】
図2に示すように、取出具収容溝部41は、外筒部39の上端において、外筒部39を板厚方向に貫通し、外筒部39の外周面に形成された把持片収容凹部45において開口する。
図1に示すように、把持片収容凹部45の高さ方向の寸法は、取出具収容溝部41の深さよりも大きくなっている。外天板部40の下面に取出具収容溝部41が形成されたことにより、内蓋体12の内天板部31と外蓋体13の外天板部40との間に径方向に延びる空間47が形成される。当該空間47は、取出具14を収容するための収容部となるため、以下、収容部47と称する。
【0031】
図3に示すように、外筒部39の内周面のうち、周方向における内蓋体12の規制当接部32に対応する位置には、径方向外側に凹む規制溝部42が形成されている。規制溝部42は、規制当接部32の形成位置に対応して、容器軸Oを挟んで径方向に対向する2箇所に形成されている。規制溝部42の一端から他端までの周方向に沿った長さは、規制当接部32の一端から他端までの周方向に沿った長さよりも長い。これにより、規制当接部32は、規制溝部42の内部を周方向に移動することができる。
【0032】
また、
図1に示すように、規制溝部42の内周面は、規制当接部32の外周面と当接するとともに、径方向外側に凹み、規制当接部32の嵌合凸部37とアンダーカット嵌合する嵌合凹部49が形成されている。後述するように、内蓋体12の規制当接部32と外蓋体13の規制溝部42とは、内蓋体12の口部17に対する係合が緩む方向への外蓋体13の内蓋体12に対する相対回転を所定の回転角θにおいて規制する規制部50として機能する。
【0033】
本実施形態において、取出具14は、例えばクリーム状または半固形状等の内容物Cを掬い取ることが可能なスパチュラから構成されている。取出具14は、薄板状の取出具本体52と、取出具本体52の後端に設けられた把持片53と、を有する。取出具本体52の先端側の両面には、内容物を取出具上に保持しやすいように広浅状の凹部52aが設けられている。本実施形態の場合、凹部52aが取出具本体52の両面に形成されているため、取出具14を表裏反転させても使用が可能である。取出具14は、取出具本体52の中心軸が容器軸O上を通るように収容部47内に収容されている。
【0034】
図4に示すように、取出具本体52の後端側の両側面には、取出具本体52の幅方向に突出し、外蓋体13の取出具収容溝部41に形成された取出具保持用凹部44と嵌合する取出具保持用凸部55が形成されている。また、取出具本体52の取出具保持用凸部55の近傍には、取出具本体52の板厚方向に貫通し、取出具本体52の長手方向に延びる長孔56が設けられている。取出具保持用凸部55の近傍に長孔56が設けられたことにより、取出具本体52のうち、取出具保持用凸部55の近傍が弾性変形しやすくなり、取出具14と外蓋体13との嵌合が外れやすくなる。
【0035】
図4に示すように、把持片53は、取出具本体52の幅よりも広い幅を有する。また、
図2に示すように、把持片53の上下方向の寸法は、取出具本体52の板厚よりも厚い。これにより、使用者は、把持片53に指を引っ掛けて取出具14を取り出しやすくなっている。
【0036】
また、
図4に示すように、把持片53の外周面53aは、外蓋体13の外周面13aと同じ曲率で湾曲している。そのため、取出具14が収容された状態において、把持片53の外周面53aが外蓋体13の外周面13aと同一曲面上に位置し、把持片53が外蓋体13の外周面13aから突出することがない。このように、把持片53の外周面53aは、外蓋体13の外周面13a上で外部に露出している。把持片53の外周面53aには、各種のロゴやデザイン等が加飾されていてもよい。
【0037】
さらに、取出具14は、取出具14の全長L1(
図4参照)が係合筒部30の内径D1(
図3参照)よりも長くなるように構成されている。
【0038】
シール部材16は、容器軸O方向から見て、円形のシート状の部材で構成されている。シール部材16は、例えばシリコンゴム等の可撓性を有する材料から構成されている。または、シール部材16は、発泡ポリエチレン製のハイシート(登録商標)パッキンで構成されていてもよい。シール部材16は、容器本体11の口部17の上端縁と接触した状態で口部17を覆う。シール部材16は、嵌合、接着等の任意の手段により内蓋体12に保持されている。シール部材16は、容器本体11の口部17の上端縁と内蓋体12の内天板部31との間に挟み込まれることにより、容器本体11と蓋部材15との隙間をシールし、内容物Cが容器10から漏れ出すことを抑制する。
【0039】
以下、上記構成の容器10から内容物Cを取り出す際の手順について説明する。
図2~
図4は、外蓋体13を相対回転させる前の状態を示し、
図5~
図7は、外蓋体13を所定の回転角だけ相対回転させた後の状態を示す。
【0040】
図3に示すように、容器10の閉蓋状態において、内蓋体12の各規制当接部32は、一端が外蓋体13の各規制溝部42の一端に当接し、他端が外蓋体13の各規制溝部42の他端から離間した位置にある。具体的には、
図3において、上側の規制当接部32は、左端が規制溝部42の左端に当接し、右端が規制溝部42の右端から離間した位置にある。下側の規制当接部32は、右端が規制溝部42の右端に当接し、左端が規制溝部42の左端から離間した位置にある。
【0041】
このとき、
図4に示すように、取出具押圧用凸部33は、取出具14の先端から僅かに離間した位置にある。また、取出具14の各取出具保持用凸部55が外蓋体13の各取出具保持用凹部44と嵌合しているため、取出具14が意図せずに収容部47から抜け落ちることが抑制される。取出具14は、先端が収容部47の奥に達するまで収容部47内に完全に収容されており、後端側が外蓋体13から突出することなく、把持片53の外周面53aが外蓋体13の外周面13aと同一曲面上に位置している。
【0042】
以上の状態から容器10を開蓋状態とする際には、使用者は、
図6の矢印Gで示すように、蓋部材15を反時計回りに回転させる。このとき、外蓋体13が内蓋体12に対して相対回転可能に構成されているため、内蓋体12が回転することなく、外蓋体13のみが反時計回りに回転する。
【0043】
外蓋体13が
図3の位置から回転していくと、回転前には互いに離間していた各規制当接部32の端部と各規制溝部42の端部とが当接することになる。具体的には、
図6において、上側の規制当接部32の右端が規制溝部42の右端に当接し、下側の規制当接部32の左端が規制溝部42の左端に当接する。このときの外蓋体13の回転角をθとする。本実施形態において、回転角θは例えば15°に設定されているが、特に15°に限定されるものではない。この状態において、外蓋体13の回転角θを超える反時計回りの相対回転は、規制当接部32と規制溝部42とからなる規制部50によって規制される。
【0044】
ここで、外蓋体13が回転角0°からθに達するまで回転する際、取出具押圧用凸部33が
図4の位置から相対移動し、
図7に示すように、取出具14の先端と外筒部39との隙間に進入しつつ、取出具14の先端を押圧する。取出具押圧用凸部33は、進入方向の先端側から後端側に向けて徐々に幅広となる形状を有しているため、取出具14の先端と外筒部39との隙間に円滑に進入することができる。そして、外蓋体13の回転角がθに達したときには、取出具押圧用凸部33による押圧によって、取出具14の取出具保持用凸部55と外蓋体13の取出具保持用凹部44との嵌合が外れるとともに、把持片53が設けられた取出具14の後端側が外蓋体13の外周面13aから径方向外側に突出する。
【0045】
上述したように、外蓋体13の回転角θを超える相対回転が規制部50によって規制されるため、使用者がさらに外蓋体13を反時計回りに回転させると、以降は外蓋体13と内蓋体12とが共回りするようになる。これにより、内蓋体12の雌ねじ部35と口部17の雄ねじ部25との螺合が解除され、容器本体11の口部17から蓋部材15を取り外すことができる。使用者は、蓋部材15から突出した把持片53を把持して取出具14を取り出し、取出具14を用いて容器本体11内から内容物Cを取り出すことができる。
【0046】
以上説明したように、本実施形態の容器10においては、使用者が蓋部材15を回転させた際、外蓋体13が内蓋体12に対して相対回転し、この相対回転に伴って取出具押圧用凸部33が取出具14の先端を押圧し、取出具14の後端を径方向外側に突出させる。また、外蓋体13の相対回転が所定の回転角θに達すると、外蓋体13の相対回転が規制部50によって規制されるため、蓋部材15をさらに回転させると、外蓋体13と内蓋体12とが共回りし、蓋部材15を容器本体から取り外すことができる。
【0047】
上述した特許文献1の容器の場合、外蓋を取り外した後、中蓋の係止片から取出具を取り外し、さらに容器本体から中蓋を取り外すという複数の操作が必要であったのに対し、本実施形態の容器10の場合、蓋部材15を一方向に回転させる一連の動作によって、取出具14を取り出し易くできるとともに、容器10を開蓋状態とすることができる。このように、本実施形態の容器10によれば、使用時に取出具14を用いて内容物Cを取り出す際の手間を削減することができる。
【0048】
また、本実施形態の容器10においては、取出具14が外蓋体13と内蓋体12との間に形成される収容部47に収容されるため、取出具本体52に塵埃等が付着したり、取出具14を紛失したりするおそれを低減することができる。
【0049】
さらに、取出具14の全長L1が内蓋体12の係合筒部30の内径D1よりも長いため、例えば取出具を内蓋体の係合筒部の内側に装着する形態の従来の容器に比べて、取出具14の全長を長くすることができる。これにより、取出具14を使用する際の操作性が向上する。
【0050】
例えば使用時に取出具14を仮置きしたい場合には、
図8に示すように、蓋部材15を上下逆さまに置いた状態で、取出具14を内蓋体12の内側に斜めに立て掛けるように置くことができる。従来の構成の場合、取出具の全長が内蓋体の係合筒部の内径よりも短いため、取出具を
図8のように置くことは難しく、場合によっては取出具が係合筒部の内側に落ち、内蓋体の内面に付着した内容物が取出具に付着する、次に使う際に取出具が取り出しにくい等の不具合が生じるおそれがある。これに対し、本実施形態の構成によれば、上記の不具合は解消され、内容物Cが内蓋体12の内面に付着したとしても取出具14に付着することはなく、次に使う際に取出具14を把持しやすい。
【0051】
また、取出具14を容器本体11内に仮置きしたい場合であっても、
図9に示すように、取出具14を容器本体11の内側に斜めに立て掛けるように置くことができ、この状態でも、取出具14の把持片53は口部17から十分に突出した状態となるため、次に使う際に取出具14を把持しやすい。また、例えば容器本体11の底部に少量残った内容物Cを取り出したいような場合にも、全長が長い取出具14であれば、内容物Cを容易に取り出すことができる。
【0052】
また、取出具14は必ずしも把持片53を備えていなくてもよいが、本実施形態の場合、取出具14が取出具本体52の幅よりも広い幅を有する把持片53を備えているため、使用者が取出具14を収容部47から引き抜く際に把持片53に指を掛けることができ、また、内容物Cを取り出す際にも取出具14を確実に把持できるため、取出具14の使用性が向上する。
【0053】
また、本実施形態の容器10においては、取出具14が内蓋体12と外蓋体13との間の収容部47に収容されるため、取出具本体52が外部から見えることがない。一方、把持片53の外周面53aは外蓋体13の外周面13a上で外部に露出しているため、把持片53の外周面53aに例えば各種のロゴやデザイン等を加飾することができる。これにより、製品の高級感を付与しつつ、ブランド性を示すことが可能になる。
【0054】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば上記実施形態では、取出具押圧用凸部が内蓋体に形成されている例を挙げたが、外蓋体が内蓋体に対して相対回転した際に取出具を押圧できるものであれば、取出具押圧用凸部は、外蓋体に形成されていてもよいし、内蓋体および外蓋体の少なくとも一方に形成されていればよい。
【0055】
また、上記実施形態の容器は、内蓋体の口部に対する係合が緩む方向に外蓋体を相対回転させた際に取出具押圧用凸部が取出具の先端を押圧する構成を有するため、外蓋体を一方向、例えば反時計回りに回転させることにより、取出具の後端を突出させるとともに、容器を開蓋状態とすることができる。この構成に代えて、本発明の一つの態様の容器は、内蓋体の口部に対する係合が締め込まれる方向への外蓋体の相対回転を所定の回転角において規制する規制部が設けられ、前記係合が締め込まれる方向に外蓋体を相対回転させた際に、取出具押圧用凸部が取出具の先端を押圧する構成を有していてもよい。この構成の場合、例えば外蓋体を時計回りに回転させることで取出具の後端を突出させた後、外蓋体を反時計回りに回転させることで容器を開蓋状態とすることができる。
【0056】
また、上記実施形態の容器は、取出具押圧用凸部が取出具の先端を押圧し、後端を突出させる構成を有しているが、本発明の一つの態様の容器は、必ずしも取出具の長手方向に押圧、突出させる構成を有していなくてもよい。例えば、取出具押圧用凸部が取出具の幅方向の一方側を押圧し、他方側を突出させる構成であってもよい。また、上記実施形態の容器は、取出具の一部を突出させ、他の部分は収容部内に保持されているため、外蓋体を相対回転させた際に取出具が収容部から落下するおそれが少なく、取出具に塵埃等が付着するおそれが少ない。ただし、本発明の一つの態様の容器は、取出具の全体を外蓋体から突出させる構成を有していてもよい。
【0057】
また、上記実施形態では、取出具として、スパチュラを例示したが、例えばスプーン状またはフォーク状等の形状を有する取出具であってもよい。また、取出具が取出具本体の中心軸が容器軸O上を通るように収容されていたが、取出具は、取出具本体の中心軸が容器軸Oからずれた位置を通るように収容され、容器の径方向からずれた方向に取出具を突出させる構成を有していてもよい。
【0058】
また、上記実施形態では、内蓋体および口部にねじ部が形成され、内蓋体が口部に螺着されている例を挙げたが、この構成に代えて、例えば内蓋体および口部のいずれか一方に凸部を形成するとともに、いずれか他方には前記凸部を周方向に摺動させる横溝部と、横溝部と交差する縦溝部と、を形成し、蓋部材を所定の回転角だけ回転させて凸部が縦溝部の位置に達したときに蓋部材を上方に取り外す構成を有する容器に、本発明を適用してもよい。さらに、本発明の一つの態様の容器は、内蓋体および口部に螺着手段や係合手段を有しておらず、外蓋体を内蓋体に対して相対回転させることで取出具の後端を突出させた後、外蓋体および内蓋体を上方に引き抜く構成を有していてもよい。
【0059】
その他、本発明の一つの態様の容器を構成する各種構成要素の数、形状、配置等の具体的な構成は、上記実施形態に限らず、適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0060】
10 容器(取出具付き容器)
11 容器本体
12 内蓋体
13 外蓋体
13a (外蓋体の)外周面
14 取出具
17 口部
30 係合筒部
33 取出押圧用凸部
47 収容部
50 規制部
52 取出具本体
53 把持片
53a (把持片の)外周面
C 内容物
O 容器軸
θ 回転角