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  • 特許-エスカレーター安全装置点検用ステップ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-13
(45)【発行日】2024-06-21
(54)【発明の名称】エスカレーター安全装置点検用ステップ
(51)【国際特許分類】
   B66B 31/00 20060101AFI20240614BHJP
   B66B 23/12 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
B66B31/00 D
B66B23/12 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020097327
(22)【出願日】2020-06-04
(65)【公開番号】P2021187659
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-05-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】西塚 治也
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開昭58-47785(JP,A)
【文献】特開2015-48231(JP,A)
【文献】実開昭57-16843(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2001/0025764(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 21/00-31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
押付部材が下向きに挿入される貫通孔が形成された踏板と、
前記踏板の下方に配置され、前記押付部材によって加えられる下向きの第1の押付力を、前記踏板の側方に配置されるスカートガードパネルに向かう第2の押付力に変換する変換機構と、
を備えるエスカレーター安全装置点検用ステップ。
【請求項2】
前記変換機構は、曲管と、前記曲管に進退自在に挿入されたワイヤーと、を有しており、
前記曲管の一端部は、前記踏板の下面における前記貫通孔の開口端に上向きに接続されており、
前記曲管の他端部は、前記踏板の側方を向いている請求項1に記載のエスカレーター安全装置点検用ステップ。
【請求項3】
前記踏板の前後方向一端に設けられたライザーをさらに備え、
前記ライザーには、上向きの引張力を前記ライザーに加える引張部材が引っ掛けられる切欠きが形成されている請求項1又は請求項2に記載のエスカレーター安全装置点検用ステップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エスカレーターの安全装置を点検する際に用いられる点検用ステップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、乗客コンベアの安全装置が記載されている。この安全装置は、スカートガードパネルの裏面側に配置されるとともに乗客コンベアのフレームに対して固定されたマイクロスイッチと、マイクロスイッチの筐体から突出して設けられた検出子と、を有している。安全装置は、スカートガードパネルが検出子に接触すると、乗客コンベアの運転を停止させるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-48231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような安全装置の点検を行う場合、点検作業者は、荷重測定器の押付力測定軸をスカートガードパネルの表面に押し当てて規定範囲の押付力をスカートガードパネルに加え、安全装置が作動するか否かを確認する。このとき、押付力の測定誤差を小さくするためには、荷重測定器の押付力測定軸をスカートガードパネルに対して垂直に押し当てる必要がある。
【0005】
しかしながら、スカートガードパネルの表面は、一般に鉛直面であり、かつステップ上に立った点検作業者の足元の高さに位置している。このため、荷重測定器の押付力測定軸をスカートガードパネルに対して正確に垂直に押し当てるのは、点検作業者にとって困難である。したがって、安全装置の点検作業において、スカートガードパネルに加えられる押付力の測定誤差が大きくなりやすいという課題があった。
【0006】
本開示は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、エスカレーター安全装置の点検作業において、スカートガードパネルに加えられる押付力の測定誤差を低減できるエスカレーター安全装置点検用ステップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係るエスカレーター安全装置点検用ステップは、押付部材が下向きに挿入される貫通孔が形成された踏板と、前記踏板の下方に配置され、前記押付部材によって加えられる下向きの第1の押付力を、前記踏板の側方に配置されるスカートガードパネルに向かう第2の押付力に変換する変換機構と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、エスカレーター安全装置の点検作業において、スカートガードパネルに加えられる押付力の測定誤差を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係るエスカレーター安全装置点検用ステップが点検時に用いられるエスカレーターの構成を模式的に示す側面図である。
図2】実施の形態1に係るエスカレーター安全装置点検用ステップの構成を示す斜視図である。
図3】実施の形態1に係るエスカレーター安全装置点検用ステップの構成を示す部分断面図である。
図4】実施の形態1に係るエスカレーター安全装置点検用ステップを用いたスカートガード安全装置の点検方法を模式的に示す図である。
図5】実施の形態1に係るエスカレーター安全装置点検用ステップを用いたステップ異常走行検出装置の点検方法を模式的に示す図である。
図6】実施の形態1の変形例に係るエスカレーター安全装置点検用ステップの構成を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
実施の形態1に係るエスカレーター安全装置点検用ステップについて説明する。図1は、本実施の形態に係るエスカレーター安全装置点検用ステップが点検時に用いられるエスカレーター100の構成を模式的に示す側面図である。
【0011】
図1に示すように、エスカレーター100は、上階の床と下階の床との間に架設されたトラス11を有している。トラス11には、複数のステップ12が支持されている。複数のステップ12は、当該複数のステップ12の幅方向両側に配置された一対の無端状のステップチェーン13により、無端状に連結されている。
【0012】
トラス11の上階側の端部には、駆動装置14、一対の上部スプロケット15、駆動チェーン16、制動装置17、及び駆動チェーン破断時用制動装置18が設けられている。駆動装置14は、エスカレーター100を駆動するモーターを備えている。一対の上部スプロケット15は、駆動装置14の駆動力により回転するように構成されている。駆動チェーン16は、駆動装置14の駆動力を上部スプロケット15に伝達するように構成されている。制動装置17は、駆動装置14を制動するように構成されている。駆動チェーン破断時用制動装置18は、駆動チェーン16が破断したときに上部スプロケット15の回転を阻止するように構成されている。トラス11の下階側の端部には、一対の下部スプロケット19が設けられている。一対の上部スプロケット15と一対の下部スプロケット19との間には、ステップチェーン13がそれぞれ巻き掛けされている。
【0013】
トラス11の上方には、複数のステップ12を挟んでそれぞれ対向する一対の欄干20及び一対のスカートガードパネル21が設けられている。一対の欄干20の周縁部には、複数のステップ12と共に移動する一対の無端状の手摺22がそれぞれ設けられている。
【0014】
また、エスカレーター100には、制御装置30が設けられている。制御装置30は、エスカレーター100の全体を制御するように構成されている。さらに、エスカレーター100には、スカートガード安全装置31及びステップ異常走行検出装置32が設けられている。スカートガード安全装置31及びステップ異常走行検出装置32はいずれも、エスカレーター100に備えられる安全装置の一種である。
【0015】
スカートガード安全装置31は、スカートガードパネル21とステップ12との間に物が挟み込まれた場合に作動し、エスカレーター100を停止させるように構成されている。スカートガード安全装置31は、上階乗降口付近及び下階乗降口付近のそれぞれにおいて、一方のスカートガードパネル21の裏面側と他方のスカートガードパネル21の裏面側とに設けられている。
【0016】
ステップ異常走行検出装置32は、ステップ12相互間又はスカートガードパネル21とステップ12との間に物が挟み込まれ、ステップ12のライザー側が浮き上がったときに作動し、エスカレーター100を停止させるように構成されている。ステップ異常走行検出装置32は、上階乗降口付近及び下階乗降口付近のそれぞれにおいて、いずれか一方のスカートガードパネルの裏面側に設けられている。
【0017】
図2は、本実施の形態に係るエスカレーター安全装置点検用ステップ40の構成を示す斜視図である。図3は、本実施の形態に係るエスカレーター安全装置点検用ステップ40の構成を示す部分断面図である。以下の説明では、エスカレーター安全装置点検用ステップのことを単に「点検用ステップ」という場合がある。図3では、点検用ステップ40に加えて、点検用ステップ40の側方に配置されたスカートガードパネル21と、スカートガードパネル21の裏面側に配置されたスカートガード安全装置31のスイッチ31aと、を併せて示している。以下の説明において、点検用ステップ40の上下方向、左右方向及び前後方向は、点検用ステップ40がエスカレーター100に取り付けられたときのものである。便宜上、上昇運転中の進行方向を前方とする場合がある。
【0018】
点検用ステップ40は、スカートガード安全装置31及びステップ異常走行検出装置32を点検する際に用いられる。スカートガード安全装置31及びステップ異常走行検出装置32を点検する際には、複数のステップ12のうちの1つが取り外され、取り外されたステップ12に代えて点検用ステップ40が取り付けられる。
【0019】
図2及び図3に示すように、点検用ステップ40は、他の複数のステップ12と同様に、踏板41、ライザー42、ステップフレーム43、駆動ローラー44及び追従ローラー45を有している。踏板41は、水平に設置される長方形平板状の部材である。踏板41は、乗客を載せる上面41aと、上面41aの裏面となる下面41bと、を有している。ライザー42は、踏板41の後端に設けられている。ステップフレーム43は、踏板41の下方に設けられており、踏板41を支持している。駆動ローラー44は、ステップフレーム43の前部に設けられている。追従ローラー45は、ステップフレーム43の後部に設けられている。
【0020】
踏板41には、2つの貫通孔50が形成されている。一方の貫通孔50は、踏板41の左右方向一端部に配置されている。他方の貫通孔50は、踏板41の左右方向他端部に配置されている。各貫通孔50は、踏板41に対して垂直に延伸しており、踏板41の上面41aから下面41bに貫通している。各貫通孔50は、棒状の押付部材が上面41a側から下向きに挿入されるように構成されている。押付部材としては、例えば、後述する荷重測定器80の押付力測定軸80aが用いられる。
【0021】
踏板41の下方には、2つの変換機構51が設けられている。2つの変換機構51は、2つの貫通孔50のそれぞれ下方に位置している。図2及び図3では、1つの変換機構51のみを示している。各変換機構51は、各貫通孔50に挿入された押付部材によって下向きに加えられる第1の押付力を、踏板41のそれぞれ側方に向かう第2の押付力に変換するように構成されている。
【0022】
本実施の形態では、変換機構51は、曲管52と、曲管52に進退自在に挿入され可撓性を有するワイヤー53と、を有している。曲管52は、互いに垂直に延伸した2つの直管部52a、52bと、直管部52a及び直管部52bの間に設けられた曲げ部52cと、を有している。また、曲管52は、直管部52a側の端部52a1と、直管部52b側の端部52b1と、を有している。
【0023】
曲管52の端部52a1は、踏板41の下面41bにおける貫通孔50の開口端に対し、上向きに接続されている。直管部52aの中心軸は、貫通孔50の中心軸と同軸上に配置されている。直管部52aの延伸方向は、踏板41に対して垂直になっている。曲管52の端部52b1は、踏板41の側方、すなわち左右方向の一方を向いており、間隔を空けてスカートガードパネル21と正対している。直管部52bの延伸方向は、スカートガードパネル21に対して垂直になっている。
【0024】
ワイヤー53の先端部53aは、曲管52の端部52b1と同様に、間隔を空けてスカートガードパネル21と正対している。先端部53aにはキャップが取り付けられていてもよい。
【0025】
ライザー42の左右方向の一部には、切欠き60が形成されている。本実施の形態では、2つの切欠き60が形成されている。切欠き60のそれぞれは、鉤状の引張部材が引っ掛けられるように構成されている。切欠き60内での引張部材のずれを防ぐために、切欠き60は、引張部材が嵌め込まれるような構成であってもよい。鉤状の引張部材としては、例えば、後述する荷重測定器80の引張力測定軸80bが用いられる。なお、切欠き60は省略することもできる。
【0026】
次に、点検用ステップ40を用いたスカートガード安全装置31の点検方法について説明する。図4は、本実施の形態に係る点検用ステップ40を用いたスカートガード安全装置31の点検方法を模式的に示す図である。スカートガード安全装置31の点検を行う場合には、まず、複数のステップ12のうちの1つを取り外して点検用ステップ40を取り付け、駆動装置14の駆動力により点検用ステップ40をスカートガード安全装置31の設置位置に移動させる。
【0027】
次に、図4に示すように、点検作業者は、荷重測定器80の押付力測定軸80aを貫通孔50に挿入し、押付力測定軸80aを介してワイヤー53に下向きの第1の押付力F1を加える。第1の押付力F1は、荷重測定器80によって測定される。
【0028】
第1の押付力F1が加えられたワイヤー53は、先端部53aがスカートガードパネル21に接触するまで曲管52に沿って移動する。先端部53aがスカートガードパネル21に接触すると、スカートガードパネル21には、スカートガードパネル21と垂直な向きの第2の押付力F2が加えられる。第2の押付力F2の大きさは、第1の押付力F1の大きさと実質的に同一となる。第2の押付力F2によってスカートガードパネル21に撓みが生じ、スカートガードパネル21がスイッチ31aに接触すると、スカートガード安全装置31が作動する。
【0029】
このように、本実施の形態では、点検作業者がワイヤー53に対して下向きの第1の押付力F1を加えることにより、スカートガードパネル21と垂直な向きの第2の押付力F2をスカートガードパネル21に加えることができる。第2の押付力F2の向きがスカートガードパネル21と垂直になるため、スカートガードパネル21に加えられる押付力の測定誤差を低減することができる。仮に、第1の押付力F1の向きを正確に調整する必要があったとしても、第1の押付力F1の向きは下向きであるため、第1の押付力F1の向きを正確に調整するのは点検作業者にとって容易である。
【0030】
次に、点検用ステップ40を用いたステップ異常走行検出装置32の点検方法について説明する。図5は、本実施の形態に係る点検用ステップ40を用いたステップ異常走行検出装置32の点検方法を模式的に示す図である。図5では、追従ローラー45を案内する追従レール90の上面と、追従ローラー45が追従レール90から浮き上がった場合に追従ローラー45によって押し上げられる作動レール91の下面と、を破線で示している。ステップ異常走行検出装置32は、作動レール91が押し上げられたときに作動するように構成されている。通常、ステップ異常走行検出装置32の点検を行う場合には、作動レール91の入口部及び出口部をそれぞれ規定の荷重で持ち上げたときにステップ異常走行検出装置32が作動するか否かが確認される。
【0031】
本実施の形態において、ステップ異常走行検出装置32の点検を行う場合には、まず、複数のステップ12のうちの1つを取り外して点検用ステップ40を取り付ける。点検用ステップ40が既に取り付けられている場合には、点検用ステップ40がそのまま用いられる。次に、駆動装置14の駆動力により、点検用ステップ40をステップ異常走行検出装置32の設置位置に移動させる。次に、図5に示すように、点検作業者は、点検用ステップ40のライザー42に形成された切欠き60に、荷重測定器80の引張力測定軸80bを引っ掛け、荷重測定器80を介してライザー42に上向きの引張力F3を加える。引張力F3は、荷重測定器80によって測定される。
【0032】
上向きの引張力F3がライザー42に加えられることにより、点検用ステップ40は、駆動ローラー44を支点として、ライザー42側が持ち上げられるように回転する。これにより、追従ローラー45が追従レール90から浮き上がり、浮き上がった追従レール90によって作動レール91が上方に押し上げられ、ステップ異常走行検出装置32が作動する。このとき、駆動ローラー44を支点として点検用ステップ40のライザー42側を持ち上げるのに要する引張力を引張力F3から減じることにより、作動レール91に作用する引張力を求めることができる。これにより、点検用ステップ40を用いて、ステップ異常走行検出装置32の点検を行うことが可能となる。
【0033】
本実施の形態の点検用ステップ40は、スカートガード安全装置31の点検とステップ異常走行検出装置32の点検との双方に用いることができる。したがって、本実施の形態によれば、複数種類の安全装置の点検が可能となる多機能な点検用ステップ40を実現できる。
【0034】
図6は、本実施の形態の変形例に係るエスカレーター安全装置点検用ステップの構成を示す部分断面図である。図6に示すように、本変形例の点検用ステップ40は、曲管52の内部に設けられた荷重測定器80を有している。荷重測定器80は、ワイヤー53よりも端部52b1側に配置されている。荷重測定器80の測定値を点検作業者が読み取れるように、踏板41には開口部41cが形成されており、曲管52には開口部52dが形成されている。
【0035】
本変形例の点検用ステップ40を用いたスカートガード安全装置31の点検方法では、点検作業者は、棒状の押付部材を貫通孔50に挿入し、ワイヤー53に下向きの第1の押付力F1を加える。第1の押付力F1が加えられたワイヤー53は、曲管52に沿って移動する。これにより、曲管52内の荷重測定器80は、スカートガードパネル21側に向かって押し出される。荷重測定器80の押付力測定軸80aがスカートガードパネル21に接触すると、スカートガードパネル21には、ワイヤー53及び荷重測定器80を介して第2の押付力F2が加えられる。第2の押付力F2は、荷重測定器80によって測定される。第2の押付力F2によってスカートガードパネル21に撓みが生じ、スカートガードパネル21がスイッチ31aに接触すると、スカートガード安全装置31が作動する。
【0036】
以上説明したように、本実施の形態に係るエスカレーター安全装置点検用ステップ40は、踏板41と変換機構51とを備えている。踏板41には、荷重測定器80の押付力測定軸80aが下向きに挿入される貫通孔50が形成されている。変換機構51は、踏板41の下方に配置されている。変換機構51は、押付力測定軸80aによって加えられる下向きの第1の押付力F1を、踏板41の側方に配置されるスカートガードパネル21に向かう第2の押付力F2に変換するように構成されている。
【0037】
この構成によれば、スカートガード安全装置31の点検を行う際、点検作業者が変換機構51に対して下向きの第1の押付力F1を加えることにより、スカートガードパネル21に向かう第2の押付力F2をスカートガードパネル21に加えることができる。このため、スカートガードパネル21に加えられる押付力の向きを、スカートガードパネル21に対して垂直な向きに近づけることができる。したがって、エスカレーター安全装置の点検作業において、スカートガードパネル21に加えられる押付力の測定誤差を低減することができる。
【0038】
本実施の形態に係るエスカレーター安全装置点検用ステップ40において、変換機構51は、曲管52と、曲管52に進退自在に挿入されたワイヤー53と、を有している。曲管52の一方の端部52a1は、踏板41の下面41bにおける貫通孔50の開口端に上向きに接続されている。曲管52の他方の端部52b1は、踏板41の側方を向いている。この構成によれば、簡素な構造によって変換機構51を実現することができる。
【0039】
本実施の形態に係るエスカレーター安全装置点検用ステップ40は、踏板41の前後方向一端に設けられたライザー42をさらに備えている。ライザー42には、上向きの引張力F3をライザー42に加える荷重測定器80の引張力測定軸80bが引っ掛けられる切欠き60が形成されている。この構成によれば、ステップ異常走行検出装置32の点検を行うことも可能となる。したがって、複数種類の安全装置の点検が可能となる多機能な点検用ステップ40を実現できる。
【0040】
本実施の形態の変換機構51は曲管52及びワイヤー53を有しているが、変換機構51は、ギア、リンク等が組み合わされた構成を有していてもよい。
【符号の説明】
【0041】
11 トラス、12 ステップ、13 ステップチェーン、14 駆動装置、15 上部スプロケット、16 駆動チェーン、17 制動装置、18 駆動チェーン破断時用制動装置、19 下部スプロケット、20 欄干、21 スカートガードパネル、22 手摺、30 制御装置、31 スカートガード安全装置、31a スイッチ、32 ステップ異常走行検出装置、40 エスカレーター安全装置点検用ステップ、41 踏板、41a 上面、41b 下面、41c 開口部、42 ライザー、43 ステップフレーム、44 駆動ローラー、45 追従ローラー、50 貫通孔、51 変換機構、52 曲管、52a 直管部、52a1 端部、52b 直管部、52b1 端部、52c 曲げ部、52d 開口部、53 ワイヤー、53a 先端部、60 切欠き、80 荷重測定器、80a 押付力測定軸(押付部材)、80b 引張力測定軸(引張部材)、90 追従レール、91 作動レール、100 エスカレーター、F1 第1の押付力、F2 第2の押付力、F3 引張力。
図1
図2
図3
図4
図5
図6