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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-13
(45)【発行日】2024-06-21
(54)【発明の名称】食品用包装袋
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/50 20060101AFI20240614BHJP
   B65D 85/36 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
B65D85/50 100
B65D85/36 100
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020120274
(22)【出願日】2020-07-13
(65)【公開番号】P2022017134
(43)【公開日】2022-01-25
【審査請求日】2023-05-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000241186
【氏名又は名称】朋和産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114421
【弁理士】
【氏名又は名称】薬丸 誠一
(72)【発明者】
【氏名】神谷 知毅
【審査官】杉田 剛謙
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-100716(JP,A)
【文献】特開2019-055784(JP,A)
【文献】特開2018-184217(JP,A)
【文献】特開2013-230864(JP,A)
【文献】特開2004-142764(JP,A)
【文献】登録実用新案第3144906(JP,U)
【文献】特開2023-184614(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/50
B65D 30/28
B65D 33/14
B65D 33/00
B65D 85/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向の一端側よりも他端側が幅広となる形状を有する一対のシートが重ね合わせられ、一端側の頂部接合部と両側縁の側部接合部とにより三方が封止されて他端側が開口部となる袋本体と、頂部接合部から突出する各シートの突出片で構成されるヘッダ部とを備える食品用包装袋であって、
一方のシートは、
両端点がシートの他端側に向く形状を有する第1の切込線と、
第1の切込線の形成により形成され、シートの一端側に凸となる開封片と、
シートの内面に配置され、開封片からシートの他端側に延びる開封用条体と、
第1の切込線の各端点に対して設けられる一対の第2の切込線であって、それぞれ、第1の切込線と接続されることなく第1の切込線との間におけるシートが繋がっている状態となるように第1の切込線の端点と所定の間隔をあけて近接し、第1の切込線の端点からの延長線と交わるように配置され、第1の端点がシートの他端側に向きかつ第2の端点が第1方向と直交する第2方向の外方に向く形状を有する一対の第2の切込線とを備える
食品用包装袋。
【請求項2】
頂部接合部は、上縁の一部が下縁側に変位することにより段差凹部を備え、
第2の切込線は、段差凹部又は段差凹部の第1方向の延長領域に配置される
請求項1に記載の食品用包装袋。
【請求項3】
段差凹部の底縁は、第2方向に並ぶ複数の凹状縁で構成され、
第2の切込線は、第1の端点が、凹状縁を基準として第2方向に区画される段差凹部の複数の領域のうちの両端の領域又はこの領域の第1方向の延長領域に位置するように、配置される
請求項2に記載の食品用包装袋。
【請求項4】
第2の切込線は、第1の端点が第1の切込線の端点よりも開封用条体に接近するように、配置される
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の食品用包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品を包装するための食品用包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
側面形状が三角形状(主として直角三角形状)又はこれに類似する形状で、所定の厚み又は幅を有する立体形状に仕上げられたサンドイッチ等の食品がある。この食品を包装するための食品用包装袋は、図12に示すものが一般的であり、新しいものでは、特許文献1に記載されたものが公知である。
【0003】
食品用包装袋1’は、袋本体10’と、ヘッダ部15’とを備える。袋本体10’は、一端側よりも他端側が幅広となる形状を有する一対のシート2’,3’が重ね合わせられ、一端側の頂部接合部11’と両側縁の側部接合部12’,12’により三方が封止され、他端側が開口部13’となるものである。ヘッダ部15’は、頂部接合部11’から突出する各シート2’,3’の突出片が適宜の箇所で互いに接合され、一体化されるものである。
【0004】
ヘッダ部15’における第2のシート3’には、たとえば逆U字状の切込線32’が形成されるとともに、切込線32’を外形線とする開封片35’が形成される。第2のシート3’の内面には、開封片35’から第2のシート3’の他端側にかけて、カットテープ等の開封用条体36’が接合される。
【0005】
食品用包装袋1’により包装された食品を食する際には、図13(a)に示すように、開封片35’を摘んで引き下ろす。そうすると、開封用条体36’が引っ張られ、開封用条体36’の両側縁に沿って第2のシート3’が破断され、第2のシート3’に分断開放部が形成される。食品は、この分断開放部から取り出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017-171326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
開封片35’は、摘まみやすいよう、ある程度の大きさに形成される必要である。そうすると、切込線32’の端点32a’と開封用条体36’の側縁との距離は大きくなる。しかし、この距離が大きくなると、図13(b)に示すように、第2のシート3’の破断が開封用条体36’の両側縁に沿わず拡開してしまい、開封困難となるおそれがある。
【0008】
そこで、本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、シートの開封手段として開封用条体を用いる場合の開封性に優れた食品用包装袋を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る食品用包装袋は、
第1方向の一端側よりも他端側が幅広となる形状を有する一対のシートが重ね合わせられ、一端側の頂部接合部と両側縁の側部接合部とにより三方が封止されて他端側が開口部となる袋本体と、頂部接合部から突出する各シートの突出片で構成されるヘッダ部とを備える食品用包装袋であって、
一方のシートは、
両端点がシートの他端側に向く形状を有する第1の切込線と、
第1の切込線の形成により形成され、シートの一端側に凸となる開封片と、
シートの内面に配置され、開封片からシートの他端側に延びる開封用条体と、
第1の切込線の各端点に対して設けられる一対の第2の切込線であって、それぞれ、第1の切込線と接続されることなく第1の切込線との間におけるシートが繋がっている状態となるように第1の切込線の端点と所定の間隔をあけて近接し、第1の切込線の端点からの延長線と交わるように配置され、第1の端点がシートの他端側に向きかつ第2の端点が第1方向と直交する第2方向の外方に向く形状を有する一対の第2の切込線とを備える
食品用包装袋である。
【0010】
ここで、本発明に係る食品用包装袋の一態様として、
頂部接合部は、上縁の一部が下縁側に変位することにより段差凹部を備え、
第2の切込線は、段差凹部又は段差凹部の第1方向の延長領域に配置される
との構成を採用することができる。
【0011】
この場合、
段差凹部の底縁は、第2方向に並ぶ複数の凹状縁で構成され、
第2の切込線は、第1の端点が、凹状縁を基準として第2方向に区画される段差凹部の複数の領域のうちの両端の領域又はこの領域の第1方向の延長領域に位置するように、配置される
との構成を採用することができる。
【0012】
また、本発明に係る食品用包装袋の他態様として、
第2の切込線は、第1の端点が第1の切込線の端点よりも開封用条体に接近するように、配置される
との構成を採用することができる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明によれば、開封時、シートの破断は、第1の切込線の端点から始まり、第2の切込線に移行した後、第2の切込線の第1の端点から再び始まる。第2の切込線は、第2の端点から第1の端点に向かうにつれて開封用条体に接近する方向性を有する切込線である。これにより、シートの破断は、開封用条体の両側縁に沿いやすいものとなる。このため、本発明によれば、優れた開封性を得ることができる。
【0014】
また、本発明によれば、第1の切込線及び第2の切込線は、所定の間隔をあけて近接し、接続されていない。すなわち、第1の切込線及び第2の切込線間におけるシートは、繋がっている。不正開封を試みれば、第1の切込線及び第2の切込線間におけるシートが破断され、これが痕跡となって残る。このため、本発明によれば、不正開封されたという事実があったこと又は不正開封された可能性があることを的確に把握することができるとともに、不正開封の未然防止効果を期待することができる。
【0015】
また、本発明によれば、開封用条体によるシートの分断開封後、シートの分断端部には、第2の切込線の第2の端点を含む部分が残る。そして、第2の端点を開封起点とすることにより、分断されたシートを左右に開けて、分断開放部を広げることができる。このため、本発明によれば、極めて容易に食品を取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る食品用包装袋の分解斜視図である。
図2図2は、同食品用包装袋の正面図である。
図3図3は、同食品用包装袋の背面図である。
図4図4(a)は、同食品用包装袋のヘッダ部の背面拡大図である。図4(b)は、図4(a)の開封起点部の拡大図である。
図5図5(a)は、同食品用包装袋により包装された食品包装体の背面側から見た斜視図である。図5(b)は、同食品包装体を開封する様子の斜視図である。
図6図6(a)及び(b)は、同食品包装体をさらに開封する様子の斜視図である。
図7図7(a)は、変更例に係る食品用包装袋のヘッダ部の背面拡大図である。図7(b)は、図7(a)の開封起点部の拡大図である。
図8図8(a)は、別の変更例に係る食品用包装袋のヘッダ部の背面拡大図である。図8(b)は、図8(a)の開封起点部の拡大図である。
図9図9(a)は、他実施形態に係る食品用包装袋のヘッダ部の背面拡大図である。図9(b)は、図9(a)の開封起点部の拡大図である。
図10図10(a)は、別の実施形態に係る食品用包装袋のヘッダ部の背面拡大図である。図10(b)は、図10(a)の開封起点部の拡大図である。
図11図11は、さらに別の実施形態に係る食品用包装袋の背面図である。
図12図12は、従来の食品用包装袋の背面図である。
図13図13(a)は、同食品用包装袋により包装された食品包装体の背面側から見た斜視図であって、同食品包装体を開封する様子の斜視図である。図13(b)は、同食品包装体の開封が失敗した様子の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る食品用包装袋の一実施形態として、サンドイッチの包装に用いられる食品用包装袋について、図1ないし図6を参酌して説明する。
【0018】
図1ないし図3に示すように、本実施形態に係る食品用包装袋1は、袋本体10と、ヘッダ部15とを備える。袋本体10は、一対のシート(第1のシート2、第2のシート3)が重ね合わせられ、接合されるものである。第1のシート2は、表シートともいい、第2のシート3は、裏シートともいう。一対のシートは、互いに直交する方向の一方が他方よりも長い形状を有し、かつ、一端側よりも他端側が幅広となる形状を有する。袋本体10は、一端側の頂部接合部11と、両側部の側部接合部12,12とにより、三方が接合、封止され、他端側が開口部13となるものである。ヘッダ部15は、頂部接合部11から突出する各シート2,3の突出片が適宜の箇所で互いに接合され、一体化されるものである。なお、以下では、上記一方(図2及び図3では、上下方向)を「長手方向」又は「第1方向」といい、上記他方(図2及び図3では、左右方向)を「幅方向」又は「第2方向」という。
【0019】
第1のシート2は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の熱溶着性を有するプラスチックシート(プラスチックフィルム)である。本実施形態においては、第1のシート2は、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)シート(フィルム)である。なお、ポリプロピレンシート(フィルム)とは、純度100%のポリプロピレンシート(フィルム)はもちろんのこと、ポリプロピレンを主成分として、他の成分(たとえばポリエチレンといった他の樹脂成分)を含有するシート(フィルム)も含む概念である(以下、同様)。
【0020】
第1のシート2は、胴部20と、先端部21(上記突出片)とを備える。胴部20は、一端側から他端側に向かって次第に幅広となっていく形状を有する。先端部21は、胴部20の一端から延びる幅狭の形状を有する。
【0021】
第2のシート3は、第1のシート2と同様、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の熱溶着性を有するプラスチックシート(プラスチックフィルム)である。本実施形態においては、第2のシート3は、第1のシート2と同様、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)シート(フィルム)である。これにより、第2のシート3は、長手方向及び幅方向に引き裂き方向性(直線カット性)を有する。
【0022】
第2のシート3は、胴部30と、先端部31(上記突出片)とを備える。胴部30は、一端側から他端側に向かって次第に幅広となっていく形状を有する。先端部31は、胴部30の一端から延びる幅狭の形状を有する。
【0023】
本実施形態においては、胴部20,30は、台形状であり、先端部21,31は、矩形状である。このため、胴部20,30の一端(及びこれに一致する先端部21,31の他端)は、長手方向に対して直交する直線状である。言い換えれば、胴部20,30の一端は、幅方向と平行な直線状である。胴部20,30の両側縁は、長手方向に対して傾斜する直線状である。先端部21,31の両側縁は、長手方向と平行な直線状である。ただし、胴部20,30の両側縁の他端側は、切欠部14により欠如している。これにより、胴部20,30の他端側は、切欠部14の分だけ幅狭とされる。
【0024】
頂部接合部11は、胴部20,30の一端に沿って第1及び第2のシート2,3をヒートシールすることにより形成される。側部接合部12は、胴部20,30の側縁(斜辺)及び先端部21,31の側縁(縦辺)をヒートシールすることにより形成される。本実施形態においては、頂部接合部11は、ヒートシールバーを用いた溶着により形成され、長手方向に所定の幅を有する帯状シールである。側部接合部12は、溶断により形成される線シールである。具体的には、頂部接合部11は、数ミリ以上の幅を有する。側部接合部12の幅は、1mm以下である。
【0025】
このようにして構成された袋本体10の内部が食品の収容部となる。袋本体10における第1のシート2の内面には、内シート4が貼着される。内シート4は、たとえば他端部が二箇所でポイントシール等により接合され(接合部40)、一端側が自由端となっている。これにより、収容部内で食品が動いたとしても、内シート4が食品の表面に密着し、その動きに追従する。このため、第1のシート2は、汚れず、外観は損なわれない。
【0026】
図4にも示すように、ヘッダ部15における第2のシート3には、第1の切込線32が形成される。そして、ヘッダ部15における第2のシート3には、第1の切込線32の形成により、開封片35が形成される。第1の切込線32は、両端点32a,32aが第2のシート3の他端側に向く形状を有する。本実施形態においては、第1の切込線32は、端点32aにおける接線が第2のシート3の長手方向と一致する切込線である。すなわち、第1の切込線32は、端点32aにおいて、第2のシート3の長手方向に対して斜めに交差する方向の成分を有さない切込線である。開封片35は、第1の切込線32を外形線とし、両端点間を固定端とし、一端側を自由端とするものである。本実施形態においては、第1の切込線32は、逆U字状に形成される。これにより、開封片35は、第2のシート3の一端側に凸となる舌片(遊離片)である。
【0027】
ヘッダ部15における第2のシート3には、第2の切込線33が形成される。第2の切込線33は、第1の切込線32と同様、第2のシート3を貫通する切込線である。第2の切込線33は、第1の切込線32の各端点32aに対して設けられ、一対設けられる。第2の切込線33は、第1の切込線32の端点32aと所定の間隔をあけて近接する。間隔は、1mmないし2mm程度のミリ単位である。第2の切込線33は、第1の切込線32の端点32aからの延長線と交わるように配置される。より詳しくは、第2の切込線33は、第1の端点33a及び第2の端点33bの中間点にて第1の切込線32の端点32aからの延長線と交わるように配置される。本実施形態においては、第2の切込線33は、中点にて第1の切込線32の端点32aからの延長線と交わるように配置される。
【0028】
第2の切込線33は、第1の端点33aが第2のシート3の他端側に向き、かつ、第2の端点33bが第2のシート3の幅方向の外方に向く形状を有する。本実施形態においては、第2の切込線33は、第1の端点33aにおける接線が第2のシート3の長手方向と一致するとともに、第2の端点33bにおける接線が第2のシート3の幅方向と一致する切込線である。すなわち、第2の切込線33は、第1の端点33aにおいて、第2のシート3の長手方向に対して斜めに交差する方向の成分を有さず、第2の端点33bにおいて、第2のシート3の幅方向に対して斜めに交差する方向の成分を有さない切込線である。
【0029】
第2の切込線33は、第1の切込線32側に凸となる曲線である。本実施形態においては、角度が90度の1/4円弧線である。
【0030】
第2の切込線33の第1の端点33aは、第1の切込線32の端点32aよりも第2のシート3の他端側に位置するとともに、第1の切込線32の端点32aよりも第2のシート3の幅方向の内側に位置する。第2の切込線33の第2の端点33bは、第1の切込線32の端点32aよりも第2のシート3の他端側に位置するとともに、第1の切込線32の端点32aよりも第2のシート3の幅方向の外側に位置する。
【0031】
第2の切込線33,33は、頂部接合部11の幅方向中央部に形成された段差凹部11eに配置される。段差凹部11eは、頂部接合部11の上縁11bの一部が下縁11a側に変位することにより形成され、底縁11c及び左右の側縁11d,11dを備える。底縁11cは、下縁11a及び上縁11bに沿った縁であり、側縁11dは、下縁11a及び上縁11bと直交する縁である。これにより、段差凹部11eは、矩形状を有する。
【0032】
底縁11cは、頂部接合部11の幅方向に並ぶ複数の凹状縁11c1,11c2で構成される。本実施形態においては、凹状縁11c1,11c2は、4つ並び、それぞれ円弧状の縁である。なお、凹状の形状は、V字状、U字状等の他の形状であってもよい。
【0033】
第1の切込線32及び第2の切込線33,33は、段差凹部11e及び段差凹部11eの上方領域に跨って配置される。より詳しくは、第1の切込線32及び第2の切込線33,33は、第1の切込線32の端点32a,32a、第2の切込線33,33の第1の端点33a,33a及び第2の端点33b,33bが、凹状縁11c1,11c2を基準として頂部接合部11の幅方向に区画される段差凹部11eの複数の領域のうちの両端の領域(両端の底縁11c1,11c1に係る領域)に位置するように、配置される。これにより、第2の切込線33は、第1の端点33aが底縁11c1と対向しかつ第2の端点33bが側縁11dと対向するように、配置される。
【0034】
第2のシート3は、開封手段として、開封用条体36を備える。開封用条体36は、第2のシート3の内面に、開封片35から第2のシート3の他端側にかけて設けられる。開封用条体36は、たとえば、第2のシート3の幅方向中央部にて長手方向に沿って設けられる。開封用条体36は、第2のシート3の内面に、ヒートシール、接着等により接合される。一例として、開封用条体36は、この内面(第2のシート3との対向面)にコート剤を塗布した上で、熱接着や自己粘着により、第2のシート3の内面に接合される。開封用条体36は、たとえば、カットテープや糸等である。本実施形態においては、開封用条体36は、幅が18mm程度の帯状のカットテープである。カットテープは、二軸延伸ポリエステル又はポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、2軸延伸ポリプロピレン(OPP)等の熱溶着性を有するプラスチックシートを細くカットしたものである。
【0035】
食品の包装に際しては、開口部13が開かれ、サンドイッチが袋本体10内に挿入された後、開口部13の余分なシート片(サンドイッチの底面からはみ出るシート片)が適宜折り畳まれ、開口部13が閉塞され、ラベル又はテープが貼着され、開口部13が封止される。これにより、図5(a)に示すように、食品包装体6が完成する。食品包装体6は、頂部接合部11、一対の側部接合部12,12、及び封緘された開口部13の閉塞部(底面部)によって気密状態に維持される。このため、外気等が内部に侵入することはなく、包装されたサンドイッチは、所期の品質が維持される。
【0036】
サンドイッチを食する際には、図5(b)に示すように、開封片35を摘んで引き下ろす。開封片35は、開封用条体36の一端部と接合されている。このため、開封片35を摘んで引き下ろすと、開封用条体36が引っ張られ、開封用条体36の両側縁に沿って第2のシート3が破断され、第2のシート3に分断開放部が形成される。サンドイッチは、この分断開放部から取り出すことができる。
【0037】
食品包装体をさらに大きく開封したい場合は、第2段階の開封操作として、図6に示すように、分断された第2のシート3を分断端部37から左右に開くようにする。分断された第2のシート3の分断端部37を摘まんで、幅方向外方に引っ張れば、第2のシート3が幅方向に引き裂き方向性を有することと相まって、第2のシート3は、第2の切込線33の第2の端点33bを開封起点として、頂部接合部11に沿って破断される。これにより、分断開放部を大きく開いて食品を大きく露出させることができる。なお、開封は、図6(a)に示すように、一方側だけを開封してもよいし、図6(b)に示すように、他方側だけを開封してもよい。もちろん、両方を観音開きのように開封してもよい。
【0038】
以上のとおり、本実施形態に係る食品用包装袋1によれば、開封時、第2のシート3の破断は、第1の切込線32の両端点32a,32aから始まり、左右の第2の切込線33,33に移行した後、第2の切込線33,33の第1の端点33a,33aから再び始まる。第2の切込線33は、第2の端点33bから第1の端点33aに向かうにつれて開封用条体36に接近する方向性を有する切込線である。これにより、第2のシート3の破断は、開封用条体36の両側縁に沿いやすいものとなる。このため、本実施形態に係る食品用包装袋1によれば、優れた開封性を得ることができる。
【0039】
また、本実施形態に係る食品用包装袋1によれば、第1の切込線32及び第2の切込線33,33は、所定の間隔をあけて近接し、接続されていない。すなわち、第1の切込線32及び第2の切込線33,33間におけるシート3は、繋がっている。不正開封を試みれば、第1の切込線32及び第2の切込線33,33間におけるシート3が破断され、これが痕跡となって残る。このため、本実施形態に係る食品用包装袋1によれば、不正開封されたという事実があったこと又は不正開封された可能性があることを的確に把握することができるとともに、不正開封の未然防止効果を期待することができる。
【0040】
また、本実施形態に係る食品用包装袋1によれば、開封用条体36による第2のシート3の分断開封後、第2のシート3の左右の各分断端部37には、第2の切込線33の第2の端点33bを含む部分が残る。そして、第2の端点33bを開封起点とすることにより、分断された第2のシート3を左右に開けて、分断開放部を広げることができる。このため、本実施形態に係る食品用包装袋1によれば、極めて容易に食品を取り出すことができる。
【0041】
また、本実施形態に係る食品用包装袋1によれば、第2の切込線33,33は、段差凹部11eに配置される。これにより、開封時、第2のシート3の破断は、頂部接合部11のうち、段差凹部11eによって接合部が細くなる部分を横断することとなり、頂部接合部11を横断する際の抵抗が軽減される。抵抗が少ないということは、第2のシート3の破断が頂部接合部11を横断しても開封用条体36の側縁に沿う正しい方向に進み、意図しない方向(特に拡開してしまう方向)に進むという事態が生じにくくなることを意味する。このため、本実施形態に係る食品用包装袋1によれば、優れた開封性を得ることができる。そして、この効果は、第2の切込線33の第1の端点33aが段差凹部11eの底縁11c1に係る領域に位置することで、より顕著となる。
【0042】
また、本実施形態に係る食品用包装袋1によれば、第2の切込線33は、第1の端点33aが第1の切込線32の端点32aよりも開封用条体36に接近するように、配置される。これにより、第1の切込線32の端点32aと開封用条体36の側縁との距離が大きくても、第2の切込線33によって距離が縮められ、第2のシート3の破断は、開封用条体36の両側縁に沿いやすいものとなる。このため、本実施形態に係る食品用包装袋1によれば、優れた開封性を維持しつつ、開封片35を摘まみやすい大きさに形成することができる。
【0043】
しかも、第2の切込線33の長さを長くする、すなわち、第2の切込線33の第1の端点33aの位置をより内側に延ばすことにより、幅が狭い開封用条体36を用いることができる。このため、本実施形態に係る食品用包装袋1によれば、開封用条体36に掛かる材料コストを低減することができる。
【0044】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、切込線の配置、形状、形態は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0045】
たとえば、図7に示す例は、上記実施形態に比べ、第1の切込線32及び第2の切込線33,33の配置が第1方向の他端側にシフトし、第2の切込線33,33の第1の端点33a,33aが底縁11cを超えて頂部接合部11(のうち、段差凹部11eによって接合部が細くなる部分)に入り込んだ例である。図8に示す例は、上記実施形態に比べ、第1の切込線32及び第2の切込線33,33の配置が第1方向の一端側にシフトし、第1の切込線32及び第2の切込線33,33の第2の端点33b,33b側の部分が段差凹部11eから外れ、段差凹部11eの上方領域に移った例である。
【0046】
また、図9図10に示すように、第1の切込線32の各端点32aに対して設けられる一対の第3の切込線34,34であって、それぞれ、第1の切込線32の端点32aと所定の間隔をあけて近接し、第1の端点34aにて第2の切込線33と鋭角状(V字状)に接続され、第2の端点34bと第2の切込線33の第2の端点33bとの間に第1の切込線32の端点32aが位置するように配置される一対の第3の切込線34,34を備えることができる。なお、図9に示す例は、第3の切込線34の第1の端点34aが第2の切込線33の第1の端点33aに接続される例である。図10に示す例は、第3の切込線34の第1の端点34aが第2の切込線33の中間点に接続される例である。
【0047】
また、上記実施形態においては、第1の切込線32、開封片35及び第2の切込線33,33は、ヘッダ部15に設けられる。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。図11に示すように、第1の切込線32、開封片35及び第2の切込線33,33は、袋本体10のうち、頂部接合部11に近接した箇所に設けられるようにしてもよい。この場合、第2のシート3の内面側から第1の切込線32、開封片35及び第2の切込線33,33を覆う被覆シート片38を備えることができる。被覆シート片38は、第1の切込線32、開封片35及び第2の切込線33,33を囲むようにヒートシール等により第2のシート3に接合される(接合部39)。これにより、開封起点部に高い密封性を付与することができ、ここから異物等が内部に侵入するのを好適に防止することができ、食品衛生上優れた食品包装体とすることができる。
【0048】
あるいは、第1の切込線、開封片及び第2の切込線は、頂部接合部に近接した箇所に設けられるのではなく、ヘッダ部又は袋本体のうち、頂部接合部から離れた箇所に設けられるようにしてもよい。
【0049】
また、上記実施形態においては、第2の切込線33は、第2の端点33bが段差凹部11eの側縁11dと対向するように、配置される。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。第2の切込線の第2の端点は、側縁を超えて頂部接合部に入り込むようにしてもよい。
【0050】
また、上記実施形態においては、第1の切込線32は、端点32aにおける接線が第1方向と一致する切込線であり、第2の切込線33は、第1の端点33aにおける接線が第1方向と一致するとともに、第2の端点33bにおける接線が第2方向と一致する切込線である。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。第1の切込線及び第2の切込線は、端点における接線が第1方向又は第2方向に対して(小さな角度で)傾斜する切込線であってもよい。
【0051】
また、上記実施形態においては、第2の切込線33は、第2のシート3を貫通する全切り線である。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。第2の切込線は、半切り線(ハーフカット)やミシン目の線であってもよい。
【0052】
また、「台形状」、「三角形状」、「矩形状」、「直線」、「中央部」、「端部」、「側部」、「中点」、「一致」、「平行」、「直交」といった形状、部位又は状態を特定する用語は、本発明において、そのもののほか、それに近いないし類するという意味の「略」の概念も含むものである。
【0053】
また、上記実施形態においては、食品は、サンドイッチである。しかし、包装対象の食品は、食品用包装袋に収容することができる形であれば、ケーキ等の洋菓子、カステラ等の和菓子、パン、おにぎり等の米飯加工食品であってもよく、食品の種類は、特に限定されるものではない。
【0054】
また、食品用包装袋に用いられるシートは、プラスチックシート(プラスチックフィルム)からなるものに限定されない。たとえば、紙又は紙質シート等、その他の材質のシート(フィルム)であってもよい。また、単一の材質のシート(フィルム)ではなく、複数の材質のシート(フィルム)を積層した積層シート(積層フィルム)であってもよい。また、シートは、たとえば、二枚のシート(フィルム)を端部同士を接合して一枚のシートにしたものや、三枚のシート(フィルム)を順次端部同士を接合して一枚のシートにしたもののように、複数枚のシート(フィルム)を用いて一枚のシートに形成したものであってもよい。また、この場合、各シート(フィルム)の材質は、異なるものであってもよい。たとえば、一部のシート(フィルム)には、プラスチックシート(プラスチックフィルム)ではなく、紙又は紙質シートを用いるようにしてもよい。なお、本発明において、シートは、厚みによって定められるものではなく、フィルムを含む概念である。
【符号の説明】
【0055】
1…食品用包装袋、10…袋本体、11…頂部接合部、11a…下縁、11b…上縁、11c…底縁、11c1,11c2…凹状縁、11d…側縁、11e…段差凹部、12…側部接合部、13…開口部、14…切欠部、15…ヘッダ部、2…第1のシート、20…胴部、21…先端部、3…第2のシート、30…胴部、31…先端部、32…第1の切込線、32a…端点、33…第2の切込線、33a…第1の端点、33b…第2の端点、34…第3の切込線、34a…第1の端点、34b…第2の端点、35…開封片、36…開封用条体、37…分断端部、38…被覆シート片、39…接合部、4…内シート、40…接合部、6…食品包装体
図1
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図13