IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ リンナイ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-加熱調理システム 図1
  • 特許-加熱調理システム 図2
  • 特許-加熱調理システム 図3
  • 特許-加熱調理システム 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-13
(45)【発行日】2024-06-21
(54)【発明の名称】加熱調理システム
(51)【国際特許分類】
   F24C 3/12 20060101AFI20240614BHJP
   F24C 7/04 20210101ALI20240614BHJP
   H05B 6/12 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
F24C3/12 K
F24C3/12 V
F24C7/04 301A
F24C7/04 301Z
H05B6/12 304
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020130065
(22)【出願日】2020-07-31
(65)【公開番号】P2022026531
(43)【公開日】2022-02-10
【審査請求日】2023-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 裕康
(72)【発明者】
【氏名】水野 達彦
(72)【発明者】
【氏名】土橋 洋樹
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-022127(JP,A)
【文献】特開2015-230154(JP,A)
【文献】特開2006-029710(JP,A)
【文献】米国特許第05717188(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 3/12、7/04、15/00
H05B 6/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱調理器とシンクとを含むキッチン設備を備える加熱調理システムであって、
前記加熱調理器及び前記シンクのそれぞれの手前の領域を少なくとも含むように前記キッチン設備の周辺に設定された監視対象領域に人が存在するか否かを検知可能であると共に、該監視対象領域に存在する人が、該監視対象領域のうちの前記加熱調理器の周辺の領域である加熱調理器周辺領域に存在するのか、該加熱調理器周辺領域以外の領域に存在するのかを区別して該人の存在を検知可能な人検知部と、
前記加熱調理器の加熱部の作動中に、前記監視対象領域に人の存在が検知されない状態である第1状態が第1の所定時間、継続した場合、又は、前記監視対象領域のうちの前記加熱調理器周辺領域以外の領域に人の存在が検知されると共に該加熱調理器周辺領域に人の存在が検知されない状態である第2状態が第2の所定時間、継続した場合に、前記加熱部の加熱量を低下させ、又は所定値以下の加熱量に制限する加熱量制限処理部とを備え
前記第2の所定時間は、前記第1の所定時間よりも長い時間に設定されていることを特徴とする加熱調理システム。
【請求項2】
加熱調理器とシンクとを含むキッチン設備を備える加熱調理システムであって、
前記加熱調理器及び前記シンクのそれぞれの手前の領域を少なくとも含むように前記キッチン設備の周辺に設定された監視対象領域に人が存在するか否かを検知可能であると共に、該監視対象領域に存在する人が、該監視対象領域のうちの前記加熱調理器の周辺の領域である加熱調理器周辺領域に存在するのか、該加熱調理器周辺領域以外の領域に存在するのかを区別して該人の存在を検知可能な人検知部と、
前記加熱調理器の加熱部の作動中に、前記監視対象領域に人の存在が検知されない状態である第1状態が第1の所定時間、継続した場合、又は、前記監視対象領域のうちの前記加熱調理器周辺領域以外の領域に人の存在が検知されると共に該加熱調理器周辺領域に人の存在が検知されない状態である第2状態が第2の所定時間、継続した場合に、前記加熱部の加熱量を低下させ、又は所定値以下の加熱量に制限する加熱量制限処理部とを備え
前記加熱量制限処理部は、前記加熱調理器の加熱部の作動中に、前記第1状態が前記第1の所定時間、継続した後の該第1状態の継続中には、前記加熱部の加熱量を所定の加熱量以上の範囲内で徐々に低下させるとともに、前記加熱調理器の加熱部の作動中に、前記第2状態が前記第2の所定時間、継続した後の該第2状態の継続中には、前記加熱部の加熱量を所定の加熱量以上の範囲内で徐々に低下させるように構成され、
前記第2状態における加熱部の加熱量の単位時間当たりの低下量は、前記第1状態における加熱部の加熱量の単位時間当たりの低下量よりも小さいことを特徴とする加熱調理システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の加熱調理システムにおいて、
前記加熱量制限処理部は、前記第2状態が前記第2の所定時間、継続した後、前記加熱部の加熱量を低下させ、又は所定値以下の加熱量に制限した状態で、前記加熱調理器周辺領域での人の存在が検知された場合には、前記加熱部の加熱量を、前記第2状態が前記第2の所定時間、継続する前の加熱量に復帰させるように構成されていることを特徴とする加熱調理システム。
【請求項4】
請求項1~のいずれか1項に記載の加熱調理システムにおいて
前記加熱量制限処理部は、前記加熱調理器の加熱部の作動中に、前記第1状態が前記第1の所定時間、継続した後、さらに該第1状態が第3の所定時間、継続した場合には、前記加熱部の作動を停止させるように構成されていることを特徴とする加熱調理システム。
【請求項5】
請求項1~のいずれか1項に記載の加熱調理システムにおいて、
前記加熱部の作動制御が自動的に行われる自動調理モードでの該加熱部の作動時には、前記加熱量制限処理部の処理を実行しないように構成されていることを特徴とする加熱調理システム。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱調理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に見られるように、燃焼装置としてのコンロの消し忘れを防止する機能を有するシステムが知られている。このシステムでは、コンロとユーザが所持するスマートフォン等の携帯端末との間でBluetooth(登録商標)による通信接続を行い得る。そして、コンロの加熱部の作動中(燃焼運転中)に、コンロ側で検知される携帯端末との通信の信号強度が閾値未満である状態が所定時間継続すると、消し忘れ状態が発生したことが,コンロから外部のサーバを介してユーザの携帯端末に通知される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-22127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に見られるシステムでは、ユーザが自身の携帯端末をコンロの近辺に置いたまま、コンロから離れてしまったような場合には、コンロの近辺にユーザが存在するものと認識されてしまう。ひいては、消し忘れ防止機能が有効に機能しないことになってしまう。
【0005】
また、ユーザが、コンロの加熱部の作動中に、コンロの側方の調理台やシンクを利用して、調理具材の仕込み作業等を行っているときに、加熱中の調理物の状態を確認することや、調理物に対する所用の操作(攪拌等)を実行することを、比較的長い時間にわたって失念してしまう場合もある。このような場合には、特許文献1に見られるシステムでは、ユーザに対する通知等は行われないため、調理物の過加熱や、吹きこぼれ、焦げ付き等が生じやすい。ひいては、ユーザが慌てて行動することになりやすい。
【0006】
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、加熱調理器やシンクを含むキッチン設備の周辺でのユーザの存在状況に応じて的確に加熱調理器の加熱部の作動制御を行うことができる加熱調理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の加熱調理システムは、加熱調理器とシンクとを含むキッチン設備を備える加熱調理システムであって、
前記加熱調理器及び前記シンクのそれぞれの手前の領域を少なくとも含むように前記キッチン設備の周辺に設定された監視対象領域に人が存在するか否かを検知可能であると共に、該監視対象領域に存在する人が、該監視対象領域のうちの前記加熱調理器の周辺の領域である加熱調理器周辺領域に存在するのか、該加熱調理器周辺領域以外の領域に存在するのかを区別して該人の存在を検知可能な人検知部と、
前記加熱調理器の加熱部の作動中に、前記監視対象領域に人の存在が検知されない状態が第1の所定時間、継続した場合、又は、前記監視対象領域のうちの前記加熱調理器周辺領域以外の領域に人の存在が検知されると共に該加熱調理器周辺領域に人の存在が検知されない状態が第2の所定時間、継続した場合に、前記加熱部の加熱量を低下させ、又は所定値以下の加熱量に制限する加熱量制限処理部とを備えることを特徴とする(第1発明)。
【0008】
かかる本発明によれば、熱調理器の加熱部の作動中に、監視対象領域に人の存在が検知されない状態(第1状態)が第1の所定時間、継続した場合に、加熱部の加熱量が低下され、又は所定値以下の加熱量に制限されるので、ユーザがキッチン設備の周辺の監視対象領域から離脱した後、加熱物の作動による加熱調理の実行中であることを失念した場合でも、調理物の過加熱、吹きこぼれ、焦げ付き等が早期に生じるのを防止できる。
【0009】
また、熱調理器の加熱部の作動中に、監視対象領域のうちの加熱調理器周辺領域以外の領域に人の存在が検知されると共に該加熱調理器周辺領域に人の存在が検知されない状態(第2状態)が第2の所定時間、継続した場合にも、加熱部の加熱量が低下され、又は所定値以下の加熱量に制限される。このため、ユーザが監視対象領域のうちの加熱調理器周辺領域以外の領域で調理具材の仕込み作業等を行っているときに、加熱中の調理物の状態確認や該調理物に対する所用の操作(攪拌等)をユーザが実行するタイミングが多少遅れても、調理物の過加熱、吹きこぼれ、焦げ付き等が早期に生じるのを防止できる。
【0010】
また、上記第1状態又は第2状態が継続する場合でも、前記第1の所定時間又は第2の所定時間が経過するまでは、加熱部の加熱量の低下又は制限は行われないので、調理物の加熱調理の進行が必要以上に遅れてしまうのを防止できる。
【0011】
よって、第1発明によれば、加熱調理器やシンクを含むキッチン設備の周辺でのユーザの存在状況に応じて的確に加熱調理器の加熱部の作動制御を行うことができる。
【0012】
上記第1発明では、前記第2の所定時間は、前記第1の所定時間よりも長い時間に設定されていることが好ましい(第2発明)。
【0013】
これによれば、ユーザが加熱調理器周辺領域に存在しない場合でも、該ユーザがキッチンセ設備の周辺の監視対象領域に存在する状況、すなわち、該ユーザが素早く加熱調理器に近づける状況では、加熱部の加熱量の低下や制限が、必要以上に早期に行われてしまうのを防止することができる。ひいては、調理物の加熱調理の進行が遅れてしまうのを極力防止できる。
【0014】
上記第1発明又は第2発明では、前記加熱量制限処理部は、前記加熱調理器の加熱部の作動中に、前記第1状態が前記第1の所定時間、継続した後の該第1状態の継続中には、前記加熱部の加熱量を徐々に低下させるように構成されていることが好ましい(第3発明)。
【0015】
また、第1~第3発明では、前記加熱量制限処理部は、前記加熱調理器の加熱部の作動中に、前記第2状態が前記第2の所定時間、継続した後の該第2状態の継続中には、前記加熱部の加熱量を徐々に低下させるように構成されていることが好ましい(第4発明)。
【0016】
これらの第3発明又は第4発明によれば、前記第1状態が前記第1の所定時間、継続した後の該第1状態の継続中に、あるいは、前記第2状態が前記第2の所定時間、継続した後の該第2状態の継続中に、調理物の加熱調理の進行が遅れるのを極力抑制しつつ、調理物の過加熱、吹きこぼれ、焦げ付き等が早期に生じることを防止することが可能となる。
【0017】
上記第1~第4発明では、前記加熱量制限処理部は、前記第2状態が前記第2の所定時間、継続した後、前記加熱部の加熱量を低下させ、又は所定値以下の加熱量に制限した状態で、前記加熱調理器周辺領域での人の存在が検知された場合には、前記加熱部の加熱量を、前記第2状態が前記第2の所定時間、継続する前の加熱量に復帰させるように構成されていることが好ましい(第5発明)。
【0018】
これによれば、ユーザが、監視対象領域のうちの加熱調理周辺領域以外の領域で、調理具材の仕込み作業等を行っているときに、前記第2状態が第2の所定時間、継続することに応じて加熱部の加熱量が低下され、又は所定値以下の加熱量に制限された場合であっても、該ユーザが加熱調理器周辺領域に戻れば、加熱部の加熱量が、ユーザにによる調整作業を必要とせずに、元の加熱量(前記第2状態が第2の所定時間、継続する前の加熱量)に自動的に復帰する。このため、利便性を高めることができる。
【0019】
上記第1~第5発明では、前記加熱量制限処理部は、前記加熱調理器の加熱部の作動中に、前記第1状態が前記第1の所定時間、継続した後、さらに該第1状態が第3の所定時間、継続した場合には、前記加熱部の作動を停止させるように構成されていることが好ましい(第6発明)。
【0020】
これによれば、加熱調理器の加熱部の作動中に、ユーザが比較的長い時間にわたって、キッチン設備の周辺の監視対象領域から離脱している場合には、前記加熱部の作動が停止されるので、調理物の過加熱、吹きこぼれ、焦げ付き等が生じることを高い確実性で防止することが可能となる。
【0021】
上記第1~第6発明では、前記加熱部の作動制御が自動的に行われる自動調理モードでの該加熱部の作動時には、前記加熱量制限処理部の処理を実行しないように構成されていることが好ましい(第7発明)。
【0022】
これによれば、ユーザがキッチン設備の周辺の監視対象領域に存在するか否かによらずに、調理物の自動調理を適切に完了させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態の加熱調理システムの全体構成を示す図。
図2】実施形態の加熱調理システムの制御に係る構成を示すブロック図。
図3図2に示す制御装置の処理を示すフローチャート。
図4図2に示す制御装置の処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の一実施形態を図1図4を参照して以下に説明する。図1を参照して、本実施形態の加熱調理システム1は、加熱調理器3、調理台11及びシンク12を備えるキッチン設備2と、加熱調理器10の上方に設置された換気装置20に取り付けられたカメラ21とを備える。
【0025】
キッチン設備2は、例えば、加熱調理器3、調理台11及びシンク12を一体に備えるシステムキッチンである。図示例のキッチン設備2では、加熱調理器3、調理台11及びシンク12が一列に並ぶように配列されていると共に、調理台11及びシンク12の背面側にキッチンカウンター13が付設されている。
【0026】
加熱調理器3は、例えばビルトイン型のガスコンロであり、その上面部に加熱部としての複数のコンロバーナ4を備える。各コンロバーナ4の周囲には、調理容器を載せるための五徳5が配置されている。また、図示は省略するが、加熱調理器3の前面には、各コンロバーナ4の点火、消火及び火力調整の操作を行うための操作部と、自動調理モードでの各コンロバーナ4の運転に関する設定操作等を行うための操作部とが備えられている。
【0027】
ここで、上記自動調理モードでのコンロバーナ4の運転は、より具体的には、ユーザにより選定された調理メニューに応じてコンロバーナ4の加熱量の調整(火力調整)や消火を自動的に行う運転、あるいは、ユーザにより指定された時間だけコンロバーナ4の加熱運転(燃焼運転)を行うタイマ運転等である。
【0028】
なお、キッチン設備2は、システムキッチンに限らず、セパレート型のキッチン設備であってもよい。また、加熱調理器3は、ガスコンロに限らず、例えばIHクッキングヒータであってもよい。また、加熱調理器3は、ビルトイン型のものに限らず、据置型の加熱調理器(例えば、テーブルコンロ)であってもよい。また、キッチン設備2における加熱調理器3、調理台11及びシンク12の配列形態は、一列に並ぶ形態に限らず、例えばL字型に並ぶ形態、あるいはU字型に並ぶ形態であってもよい。
【0029】
換気装置20は、詳細な図示は省略するが、フード付きの換気装置(所謂、レンジフード)である。そして、カメラ21は、キッチン設備2の周辺に以下に説明する如く設定された監視対象領域ARを撮影し得るように換気装置20のフードに取り付けられている。
【0030】
上記監視対象領域ARは、加熱調理器3の後述の作動制御のために、人の存在の有無の検知対象とする領域であり、以降、人検知対象エリアARという。該人検知対象エリアARは、キッチン設備2の周辺領域のうち、調理作業を行うユーザの主たる存在場所とみなし得る領域である。
【0031】
本実施形態では、例えば、キッチン設備2の周辺領域のうち、該キッチン設備2の手前側(正面側)の領域が人検知対象エリアARとして設定(定義)されている。より具体的には、該人検知対象エリアARは、例えば、キッチン設備2を上方から平面視で見たときに、該キッチン設備2の前端面から前方に向かって所定の距離までの領域として設定されている。そして、カメラ21は、その撮影領域に人検知対象エリアARが含まれるように、換気装置20のフードの適所(例えば調理台11寄りの端部)に取り付けられている。
【0032】
また、人検知対象エリアARには、加熱調理器3の周辺の領域(加熱調理器周辺領域)としての加熱調理器周辺エリアar1が設定(定義)されている。該加熱調理器周辺エリアar1は、調理作業を行うユーザが、加熱調理器3、あるいは、該加熱調理器3上に配置される調理物(調理容器を含む)に対して様々な操作(例えば、コンロバーナ4の加熱量の調整、調理物の攪拌等)を行うときの、該ユーザの主たる存在場所とみなし得る領域である。本実施形態では、例えば、人検知対象エリアARのうち、加熱調理器3の正面の領域(図1に点描で示す領域)が加熱調理器周辺エリアar1として設定されている。
【0033】
補足すると、キッチン設備2の側方又は背面側に、調理作業を行うユーザが移動し得るスペースがある場合には、人検知対象エリアARは、キッチン設備2の側方の領域と背面側の領域との一方又は両方を含んでいてもよい。例えば、図1に例示したキッチン設備2の如く、調理台11及びシンク12の背面側に、ダイニングルーム等に臨むキッチンカウンター13を有する対面型のキッチン設備では、キッチンカウンター13の背面側の領域を人検知対象エリアARに含めてもよい。
【0034】
また、人検知対象エリアARが、加熱調理器3の側方又は背面側の領域を含む場合、加熱調理器周辺エリアar1は、加熱調理器3の正面側の領域だけでなく、加熱調理器3の側方又は背面側の領域を含み得る。ただし、調理作業を行うユーザが、加熱調理器3の側方もしくは背面側から、加熱調理器3や、その上方に配置される調理物に対してなんらかの操作を行う状況の発生頻度は、一般には少ないと考えられるので、加熱調理器3の側方の領域及び背面側の領域は、加熱調理器周辺エリアar1から除外してもよい。
【0035】
また、加熱調理器周辺エリアar1は、加熱調理器3を除くキッチン設備2の正面の領域のうち、加熱調理器3寄りの一部の領域(加熱調理器3に近接した領域)を含んでいてもよい。例えば、図1に示すキッチン設備2では、調理台11の正面の領域のうち、加熱調理器3寄りの一部の領域が加熱調理器周辺エリアar1に含まれていてもよい。
【0036】
次に、図2を参照して、加熱調理器3には、その運転制御等を行う機能を有する制御装置7が搭載されている。該制御装置7は、例えばマイクロコンピュータ、メモリ、インターフェース回路等を含む1つ以上の電子回路ユニットにより構成される。
【0037】
この制御装置7は、カメラ21と有線もしくは無線による通信を行うことが可能であり、その通信を通じて、カメラ21の撮影画像(静止画もしくは動画)を適宜取得し得る。また、制御装置7には、加熱調理器3の操作部(図示省略)の操作信号が入力されると共に、加熱調理器3に備えられた複数のセンサ(図示省略)の検出信号が入力される。
【0038】
そして、制御装置7は、実装されたハードウェア構成及びプログラム(ソフトウェア構成)により実現される機能として、各コンロバーナ4の加熱運転(燃焼運転)を制御する運転制御部7aとしての機能と、カメラ21の撮影画像に基づいて、人検知対象エリアARに人が存在するか否かを検知する人検知部7bとしての機能とを含む。
【0039】
詳細な図示は省略するが、運転制御部7aによる各コンロバーナ4の運転制御は、各コンロバーナ4への燃料供給路を開閉する電磁弁、各コンロバーナ4への燃料供給量を調整するための流量制御弁、及び点火装置の作動制御を通じて行われる。該運転制御部7aは、本発明における加熱量制限処理部としての機能を含む。
【0040】
また、人検知部7bは、カメラ21の撮影画像から公知の画像処理によって、人検知対象エリアARに人が存在するか否かを、加熱調理器周辺エリアar1とそれ以外の領域とに区別して検知することが可能である。
【0041】
補足すると、制御装置7は、カメラ21の撮影画像を、例えば換気装置20の制御装置(図示省略)を介して取得し得るように構成されていてもよい。また、カメラ21は、換気装置20以外の箇所、例えば壁、天井等に設置されていてもよい。また、複数のカメラのそれぞれにより人検知対象エリアARの互いに異なる領域を撮影し得るようにすると共に、それらの撮影画像を制御装置7が取得し得るようにしてもよい。
【0042】
次に、人検知対象エリアARでの人の存在の有無の検知に応じた加熱調理器3の作動制御に関して図3及び図4のフローチャートを参照して説明する。加熱調理器3のいずれかのコンロバーナ4での加熱運転(燃焼運転)が開始されると、制御装置7は、図3及び図4のフローチャートに示す処理を実行する。なお、以降の説明では、「コンロバーナ4」は、特にことわらない限り、加熱運転中(燃焼運転中)のコンロバーナ4である。
【0043】
まず、STEP1において、制御装置7は、コンロバーナ4の加熱運転が自動調理モードでの運転(自動調理運転)であるか否かを判断する。このSTEP1の判断結果が肯定的である場合には、STEP2からの処理が実行される。この処理については、後述する。
【0044】
また、STEP1の判断結果が否定的である場合には、制御装置7は、STEP4からの処理を実行する。このSTEP4では、制御装置7は、人検知部7bにより人検知対象エリアARに人が存在するか否かを検知する処理を開始する。
【0045】
さらに、制御装置7は、STEP5において、コンロバーナ4の加熱運転が終了したか否かを判断し、その判断結果が肯定的である場合には、図3及び図4のフローチャートの処理を終了する。なお、STEP5の判断結果が肯定的となるのは、ユーザがコンロバーナ4の消火操作を行った場合に限らず、加熱調理器3の所定種類の異常の発生に応じて制御装置7が強制的に、コンロバーナ4を消火させた場合もある。
【0046】
STEP5の判断結果が否定的である場合(コンロバーナ4の加熱運転が継続している場合)には、制御装置7は、次にSTEP6において、人検知対象エリアARに人が存在することが人検知部7bにより検知されたか否かを判断する。
【0047】
ここで、コンロバーナ4で加熱中の調理物に対する様々な操作(例えば調理物の攪拌等)、該調理物の状態の確認、調理具材の下拵え等の調理作業を行うユーザは、該調理作業をキッチン設備2の周辺の人検知対象エリアARで実行する。このように調理作業を行うユーザが、人検知対象エリアARに存在する場合には、そのことが人検知部7bによって検知され、ひいては、STEP6の判断結果が肯定的になる。
【0048】
この場合には、制御装置7は、次に図4のSTEP18において、第1タイマ及び第2タイマの計時中であるか否かを判断する。該第1タイマ及び第2タイマは、いずれも、人検知対象エリアARにユーザが存在しない状態の継続時間を計時するタイマであり、後述のSTEP8,15で各々起動されるタイマである。
【0049】
そして、STEP18の判断結果が肯定的である場合には、制御装置7は、STEP19において、第1タイマ及び第2タイマの計時を停止させた後、STEP20からの処理を実行する。また、STEP18の判断結果が否定的である場合には、第1タイマ及び第2タイマの計時を停止させたままでSTEP20からの処理を実行する。
【0050】
STEP20では、制御装置7は、加熱調理器周辺エリアar1に人が存在することが人検知部7bにより検知されるか否かを判断する。ここで、調理作業を行うユーザが、コンロバーナ4の加熱量(火力)を調整する操作を行う場合、あるいは、コンロバーナ4により加熱中の調理物に対して様々な操作を行う場合、あるいは、該調理部の状態を確認する場合等では、該ユーザは加熱調理器周辺エリアar1に存在し、ひいては、STEP20の判断結果が肯定的になる。
【0051】
この場合には、制御装置7は、次にSTEP21において、第3タイマの計時中であるか否かを判断する。該第3タイマは、ユーザが加熱調理器周辺エリアar1に存在しない状態の継続時間を計時するタイマである。
【0052】
そして、STEP21の判断結果が肯定的である場合には、制御装置7は、次にSTEP22において、第3タイマの計時を停止させた後、図3のSTEP5からの処理を再び実行する。また、STEP21の判断結果が否定的である場合には、制御装置7は、第3タイマの計時を停止させたままで、図3のSTEP5からの処理を再び実行する。
【0053】
補足すると、STEP21の判断結果が肯定的である場合において、コンロバーナ4の加熱量が、後述するSTEP26の処理によって、当初の加熱量よりも低下されている場合には、STEP22では、さらに、コンロバーナ4の加熱量を元の加熱量(STEP26の処理を実行する前の加熱量)に復帰させるようにしてもよい。
【0054】
一方、ユーザが加熱調理器周辺エリアar1から、その外側の人検知対象エリアAR(調理台11又はシンク12の正面の領域)に移動した場合には、加熱調理器周辺エリアar1にユーザが存在しなくなるので、前記STEP20の判断結果が否定的になる。この場合には、制御装置7は、次にSTEP23において、第3タイマの計時中であるか否かを判断する。
【0055】
そして、STEP23の判断結果が否定的である場合(ユーザが加熱調理周辺エリアar1から、その外側の人検知対象エリアARに移動した直後である場合)には、制御装置7は、STEP24において、第3タイマの計時値をリセット(ゼロに初期化)した上で、該第3タイマを起動する(第3タイマによる計時を開始する)。続いて、制御装置7は、STEP25からの処理を実行する。また、STEP23の判断結果が、肯定的である場合には、制御装置7は、第3タイマの計時を継続したままで、STEP25からの処理を実行する。
【0056】
STEP25では、制御装置7は、第3タイマの計時値が、所定時間T3に達したか否かを判断する。該所定時間T3は、例えば3分であり、本発明における第2の所定時間に相当する。そして、STEP25の判断結果が否定的である場合、すなわち、加熱調理器周辺エリアar1にユーザが存在しない状態の継続時間が、所定時間T3(3分)に満たない場合には、制御装置7は、図3のSTEP5からの処理を再び実行する。
【0057】
また、STEP25の判断結果が肯定的である場合、すなわち、加熱調理器周辺エリアar1にユーザが存在しない状態の継続時間が、所定時間T3(3分)に達した場合には、ユーザが、加熱調理器周辺エリアar1の外側の人検知対象エリアARで調理具材の下拵え等の作業を行いながら、該作業のために即座には加熱調理器3の正面に移動できないか、もしくは、調理物の加熱調理を失念している虞がある。
【0058】
そこで、この場合には、制御装置7は、STEP26において、運転制御部7aにより、コンロバーナ4の加熱量(火力)を1段階低下させるように、コンロバーナ4への燃料供給量を制御する。ただし、コンロバーナ4の加熱量が、その可変範囲の下限値の加熱量になっていた場合には、コンロバーナ4の加熱量は、該下限値の加熱量に維持される。さらに、STEP26では、制御装置7は、STEP24と同様に第3タイマの計時値をリセットした上で、該第3タイマを起動する。続いて、制御装置7は、図3のSTEP5からの処理を再び実行する。
【0059】
なお、STEP26では、ユーザの注意を喚起する報知情報を、警報音、音声、もしくは表示情報等の形態で、加熱調理器3あるいはユーザが所持する携帯端末(スマートフォン等)から出力させるようにしてもよい。
【0060】
図3に戻って、STEP5の判断結果が否定的である場合、すなわち、ユーザが人検知対象エリアARから他の場所(人検知対象エリアARの外側の場所)に移動して、該人検知対象エリアARに人が存在しなくなった場合には、制御装置7は、次にSTEP7において、人検知対象エリアARにユーザが存在しない状態の継続時間を計時するタイマである第1タイマの計時中であるか否かを判断する。
【0061】
そして、STEP7の判断結果が否定的である場合(ユーザが人検知対象エリアARから他の場所に移動した直後である場合)には、制御装置7は、STEP8において、第1タイマの計時値をリセット(ゼロに初期化)した上で、該第1タイマを起動する(第1タイマによる計時を開始する)。続いて、制御装置7は、STEP9からの処理を実行する。また、STEP7の判断結果が肯定的である場合には、制御装置7は、第1タイマの計時を継続したままで、STEP9からの処理を実行する。
【0062】
STEP9では、制御装置7は、第1タイマの計時値が所定時間T1に達したか否かを判断する。該所定時間T1は、前記第3タイマの計時値に関する前記所定時間T3よりも短い時間であり、例えば1分である。該所定時間T1は、本発明における第1の所定時間に相当する。
【0063】
このSTEP9の判断結果が肯定的である場合、すなわち人検知対象エリアARにユーザが存在しない状態の継続時間が所定時間T1(1分)に達した場合には、ユーザが人検知対象エリアARから離脱した後に、調理物の加熱調理の実行中であることを失念している虞がある。
【0064】
そこで、この場合には、制御装置7は、次にSTEP10において、前記STEP26と同様に、運転制御部7aにより、コンロバーナ4の加熱量(火力)を下限値以上の範囲内で1段階低下させるように、コンロバーナ4への燃料供給量を制御する。さらに、STEP10では、制御装置7は、STEP8と同様に第1タイマの計時値をリセットした上で、該第1タイマを起動する。続いて、制御装置7は、STEP14からの処理を実行する。
【0065】
また、STEP9の判断結果が否定的である場合、すなわち人検知対象エリアARにユーザが存在しない状態の継続時間が所定時間T1(1分)に満たない場合には、制御装置7は、次にSTEP11において、前記第3タイマの計時中であるか否かを判断する。
【0066】
ここで、人検知対象エリアARにユーザが存在しない状態は、加熱調理器周辺エリアar1にユーザが存在しない状態でもある。このため、例えば、ユーザが、加熱調理器周辺エリアar1から、その外側の人検知対象エリアARに移動した後、さらに、該人検知対象エリアARの外側に移動したような場合には、STEP11で第3タイマが計時中の状態になって、該STEP11の判断結果が肯定的になる。また、ユーザが加熱調理器周辺エリアar1から、その外側の人検知対象エリアARを経由せずに、人検知対象エリアARの外側の場所に移動した場合には、STEP11の判断結果が否定的になる。
【0067】
そして、STEP11の判断結果が否定的である場合には、制御装置7は、STEP14からの処理を実行する。また、STEP11の判断結果が肯定的である場合には、制御装置7は、次にSTEP12において、該第3タイマの計時値が前記所定時間T3(3分)に達したか否かを判断する処理(前記STEP25と同じ判断処理)を実行する。
【0068】
このSTEP12の判断結果が否定的である場合(ユーザが加熱調理器周辺領域ar1に存在しない状態の継続時間が所定時間T3(3分)に達していない場合)には、制御装置7は、STEP14からの処理を実行する。
【0069】
また、STEP12の判断結果が肯定的である場合(ユーザが加熱調理器周辺領域ar1に存在しない状態の継続時間が所定時間T3(3分)に達した場合)には、制御装置7は、次にSTEP13において、前記STEP26と同様に、運転制御部7aにより、コンロバーナ4の加熱量(火力)を下限値以上の範囲内で1段階低下させるように、コンロバーナ4への燃料供給量を制御する。さらに、STEP13では、制御装置7は、第3タイマの計時を停止させる。続いて、制御装置7は、STEP14からの処理を実行する。
【0070】
なお、STEP10又はSTEP13では、前記STEP26の場合と同様に、ユーザの注意を喚起する報知情報を、警報音、音声、もしくは表示情報等の形態で、加熱調理器3あるいはユーザが所持する携帯端末(スマートフォン等)から出力させるようにしてもよい。
【0071】
STEP14では、制御装置7は、人検知対象エリアARにユーザが存在しない状態の継続時間を計時するタイマである第2タイマの計時中であるか否かを判断する。そして、STEP14の判断結果が否定的である場合(ユーザが人検知対象エリアARから他の場所に移動した直後である場合)には、制御装置7は、STEP15において、第2タイマの計時値をリセット(ゼロに初期化)した上で、該第2タイマを起動する(第2タイマによる計時を開始する)。続いて、制御装置7は、STEP16からの処理を実行する。また、STEP14の判断結果が肯定的である場合には、制御装置7は、第2タイマの計時を継続したままで、STEP16からの処理を実行する。
【0072】
STEP16では、制御装置7は、第2タイマの計時値が所定時間T2に達したか否かを判断する。該所定時間T2は、前記第1タイマの計時値に関する所定時間T1(1分)や、前記第3タイマの計時値に関する所定時間T3(3分)よりも長い時間であり、例えば、15分である。該所定時間T2は、本発明における第3の所定時間に相当する。
【0073】
このSTEP16の判断結果が否定的である場合(ユーザが人検知対象エリアARに存在しない状態の継続時間が所定時間T2(15分)に満たない場合)には、制御装置7は、前記STEP4からの処理を再び実行する。
【0074】
また、STEP16の判断結果が肯定的である場合(ユーザが人検知対象エリアARに存在しない状態の継続時間が所定時間T2(15分)に達した場合)には、ユーザが人検知対象エリアARに存在しない状態の継続時間が長いことから、ユーザが調理物の加熱調理の実行中であることを失念している可能性が高い。
【0075】
そこで、この場合には、制御装置7は、次にSTEP17において、運転制御部7aにより、コンロバーナ4への燃料供給路の電磁弁(図示省略)を閉弁制御することで、該コンロバーナ4の加熱運転(燃焼運転)を強制的に停止させる。さらに、STEP17では、制御装置7は、人検知対象エリアARに人が存在しない状態の継続時間が長いことから、コンロバーナ4の加熱運転を強制的に停止させたことを示すエラー報知情報を、警報音、音声、もしくは表示情報等の形態で、加熱調理器3あるいはユーザが所持する携帯端末(スマートフォン等)から出力させる。そして、制御装置7は、図3及び図4のフローチャートの処理を終了する。
【0076】
また、前記STEP1の判断結果が肯定的である場合(コンロバーナ4の加熱運転が自動調理モードでの加熱運転である場合)には、制御装置7は、次にSTEP2において、自動調理モードが終了したか否かの判断処理を実行する。
【0077】
ここで自動調理モードでのコンロバーナ4の加熱運転では、該コンロバーナ4の加熱量(火力)の調整や、加熱運転の停止(消火)は自動的に行われる、このため、自動調理モードでのコンロバーナ4の加熱運転の実行中は、制御装置7は、前記したSTEP6からの処理を実行することなく、STEP2の判断結果が肯定的になるまで(自動調理モードが終了するまで)、STEP2の判断処理を逐次繰り返す。
【0078】
そして、STEP2の判断結果が肯定的になった場合には、制御装置7は、次にSTEP3において、コンロバーナ4の加熱運転が終了したか否か(コンロバーナ4が消火したか否か)を判断する。自動調理モードでのコンロバーナ4の加熱運転が正常に完了した場合には、該コンロバーナ4の加熱運転は自動的に停止されるので、STEP3の判断結果が肯定的になる。この場合には、制御装置7は、図3及び図4のフローチャートの処理を終了する。
【0079】
一方、例えばユーザが自動調理モードでのコンロバーナ4の加熱運転を途中で中止させた場合に、STEP3の判断結果が肯定的になる場合がある。この場合には、コンロバーナ4の通常の加熱運転が行われているので、制御装置7は、前記したSTEP4からの処理を実行する。
【0080】
本実施形態では、以上説明した如く図3及び図4のフローチャートに示す処理が加熱調理器3の制御装置7により実行される。これにより、ユーザが人検知対象エリアARから離脱した状態が、第1タイマの計時値に関する所定時間T1(1分)以上、継続すると、該所定時間T1の経過毎に、コンロバーナ4の加熱量が、下限値以上の範囲内で段階的に低下される。さらに、ユーザが人検知対象エリアARから離脱した状態が、第2タイマの計時値に関する所定時間T2(15分)の期間、継続すると、コンロバーナ4の加熱運転が自動的に停止される(該コンロバーナ4が消火される)。
【0081】
このため、ユーザが、コンロバーナ4の加熱運転による調理の途中で、人検知対象エリアARから他の場所に移動した後、調理物加熱調理の実行中であることを失念した場合であっても、調理物の過加熱、焦げ付き、吹きこぼれ等が生じるのを効果的に防止できる。また、コンロバーナ4の加熱量の低下は、段階的に徐々に行われるので、コンロバーナ4の加熱量が早期に過剰に制限されてしまうのを防止しながら、調理物の加熱調理を進行させることができる。
【0082】
また、ユーザが人検知対象エリアAR内で、加熱調理器周辺エリアar1から離脱した状態(ユーザが加熱調理器周辺エリアar1の外側の人検知対象エリアARに存在する状態)が、第3タイマの計時値に関する所定時間T3(3分)以上、継続した場合には、該所定時間T3の経過毎に、コンロバーナ4の加熱量が、下限値以上の範囲内で段階的に低下される。
【0083】
このため、ユーザが、コンロバーナ4の加熱運転による調理の途中で、調理台11又はシンク12の正面側の領域(加熱調理器周辺領域ar1の外側の人検知対象領域AR)で調理具材の下拵え等の調理作業を行うことに手間取ってしまい、ひいては、ユーザが加熱中の調理物の状態の確認や該調理物に対する所用の操作(調理物の攪拌等)、コンロバーナ4の加熱量の調整を実行することが即座にはできないような場合でも、調理物の過加熱、焦げ付き、吹きこぼれ等が生じるのを防止できる。
【0084】
また、この場合、第3タイマの計時値に関する所定時間T3(3分)は、第1タイマの計時値に関する所定時間T1(1分)よりも長めの時間に設定されているので、第3タイマの計時に応じたコンロバーナ4の加熱量の低下は、第1タイマの計時に応じたコンロバーナ4の加熱量の低下よりも緩やかに(加熱量の単位時間当たりの低下量がより小さくなるように)行われる。このため、ユーザが、加熱調理器3の近く(調理台11又はシンク12の正面側の人検知対象領域AR)で調理具材の下拵え等の作業を行っている間に、調理物の加熱調理の進行が遅れてしまうのを極力防止することができる。
【0085】
また、自動調理モードでのコンロバーナ4の加熱運転時には、人検知対象エリアARでの人の存在の有無の状況に応じてコンロバーナ4の加熱量を低下させる制御は行われないので、ユーザが人検知対象エリアARから離脱した状態であっても、自動調理を正常に完了させることができる。
【0086】
なお、本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態を採用することもできる。例えば、人検知部7bは、カメラ21の撮影画像に基づいて、人の存在の有無を検知するものに限られない。該人検知部7bは、例えば赤外線、超音波、可視光等を利用して人の存在の有無を検知するものであってもよい。また、人検知部7bとしての機能を、加熱調理器3の制御装置7に限らず、カメラ21や換気装置20等、加熱調理器3以外の機器に備えた制御装置で実現してもよい。
【0087】
また、人検知対象エリアARに人の存在が検知されない状態が、前記第1タイマの計時値に関する所定時間T1以上、継続した場合に、該所定時間T1の経過毎に、コンロバーナ4の加熱量を低下させることに代えて、例えば、該所定時間T1と異なる時間の経過毎に、コンロバーナ4の加熱量を低下させるようにしてもよい。
【0088】
また、加熱調理器周辺領域ar1以外の人検知対象エリアARに人の存在が検知されると共に加熱調理器周辺領域ar1で人の存在が検知されない状態が、前記第3タイマの計時値に関する所定時間T3以上、継続した場合に、該所定時間T3の経過毎に、コンロバーナ4の加熱量を低下させることに代えて、例えば、該所定時間T3と異なる時間の経過毎に、コンロバーナ4の加熱量を低下させるようにしてもよい。
【0089】
また、前記実施形態では、検知対象エリアARに人の存在が検知されない状態が、前記第1タイマの計時値に関する所定時間T1以上、継続した場合(以降、第1の場合というう)と、加熱調理器周辺領域ar1以外の人検知対象エリアARに人の存在が検知されると共に加熱調理器周辺領域ar1で人の存在が検知されない状態が、前記第3タイマの計時値に関する所定時間T3以上、継続した場合(以降、第2の場合という)とで、コンロバーナ4の加熱量(火力)を1段低下させるようにしたが、該第1の場合と第2の場合とで、コンロバーナ4の加熱量(火力)の低下量を異ならせてもよい。
【0090】
あるいは、当該第1の場合及び第2の場合の両方又は一方において、コンロバーナ4の加熱量を所定値以下の加熱量(例えば下限値の加熱量、もしくは下限値近辺の加熱量)に制限してもよい。より詳しくは、当該第1の場合及び第2の場合の両方又は一方において、コンロバーナ4の加熱量が所定値よりも大きい場合には、該加熱量を所定値まで低下させ、コンロバーナ4の加熱量が所定値以下である場合には、コンロバーナ4の加熱量を維持するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0091】
1…加熱調理システム、2…キッチン設備、3…加熱調理器、4…コンロバーナ(加熱部)、7a…運転制御部(加熱量制限処理部)、7b…人検知部、12…シンク。
図1
図2
図3
図4