(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-13
(45)【発行日】2024-06-21
(54)【発明の名称】X線CT装置、及びデータ転送方法
(51)【国際特許分類】
A61B 6/03 20060101AFI20240614BHJP
【FI】
A61B6/03 530Z
(21)【出願番号】P 2020145782
(22)【出願日】2020-08-31
【審査請求日】2023-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西島 輝
【審査官】遠藤 直恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-230315(JP,A)
【文献】特開2005-204258(JP,A)
【文献】特開2016-097088(JP,A)
【文献】特開平05-089006(JP,A)
【文献】特開2016-051017(JP,A)
【文献】特開平04-186482(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0228511(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00-6/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線検出器により検出されたデータを一時保存するバッファと、
スキャンプランに示されたスキャンを実行する前の前記バッファの残量に関する情報を取得する取得部と、
前記スキャンプランと、前記バッファの残量に関する情報とに基づいて、前記バッファから記憶部へのデータの転送タイミングを決定する決定部と、
前記スキャンプランに示されたスキャンを実行した場合の前記バッファの残量と、前記バッファが保存可能なデータ量とに基づいて、当該スキャンプランに示されたスキャンにより取得されるデータ量を減らす代替案を出力する出力部と、
を備えるX線CT装置。
【請求項2】
前記スキャンプランを識別するための第1識別子と、当該スキャンプラン内の各スキャンを識別するための第2識別子とが付与された前記データを、前記バッファから前記記憶部へ転送する転送部を更に備える、
請求項1に記載のX線CT装置。
【請求項3】
前記出力部は、前記スキャンプランに示されたスキャン間の時間の間隔を長くする前記代替案を出力する、
請求項
1又は2に記載のX線CT装置。
【請求項4】
前記バッファの残量に関する情報を通知する通知部を更に備える、
請求項1から請求項
3の何れか一項に記載のX線CT装置。
【請求項5】
前記通知部は、前記バッファに書き込まれるデータ量と、前記バッファから読み出されるデータ量との監視結果に基づいて、前記バッファの残量に関する情報を通知する、
請求項
4に記載のX線CT装置。
【請求項6】
前記通知部は、前記スキャンプランと、前記データのそれぞれの前記転送タイミングとの算出結果に基づいて、前記バッファの残量に関する情報を通知する、
請求項
4に記載のX線CT装置。
【請求項7】
前記スキャンプランと、前記バッファの残量に関する情報と、前記バッファから前記記憶部への前記データの転送速度とに基づいて、前記転送タイミングが示された転送プランを生成する生成部を更に備え、
前記決定部は、前記生成部が生成した前記転送プランに基づいて、前記転送タイミングを決定する、
請求項1から請求項
6の何れか一項に記載のX線CT装置。
【請求項8】
前記生成部は、前記スキャンプランに示されたスキャン順とは異なる順番で前記データを転送する前記転送プランを生成する、
請求項
7に記載のX線CT装置。
【請求項9】
前記生成部は、複数の前記スキャンプランのうち、後に実行する前記スキャンプランにより取得されるデータのデータ量が、前記バッファの空き容量よりも少ないことを条件に、後に実行した前記スキャンプランにより取得された前記データを転送した後に、先に実行した前記スキャンプランのデータを転送する前記転送プランを生成する、
請求項
8に記載のX線CT装置。
【請求項10】
前記決定部は、前記スキャンプランの割り込みが指示された場合に、当該スキャンプランにより取得されるデータの転送後に、転送の再開を決定する、
請求項
8に記載のX線CT装置。
【請求項11】
X線検出器により検出されたデータを一時保存するバッファに記憶させ、
スキャンプランに示されたスキャンを実行する前の前記バッファの残量に関する情報を取得し、
前記スキャンプランと、前記バッファの残量に関する情報とに基づいて、前記バッファから記憶部へのデータの転送タイミングを決定
し、
前記スキャンプランに示されたスキャンを実行した場合の前記バッファの残量と、前記バッファが保存可能なデータ量とに基づいて、当該スキャンプランに示されたスキャンにより取得されるデータ量を減らす代替案を出力する、
ことを含むデータ転送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、X線CT装置、及びデータ転送方法に関する。
【0002】
近年、X線CT(Computed Tomography)装置が一度の撮像で取得するデータ量が増加している。そして、データの取得速度と、取得したデータの転送速度との間に差異がある場合、差異を補うためにバッファを配置する必要がある。ところが、バッファのサイズが大きくなると消費電力が増大するなどの不都合がある。そのため、バッファの保存容量が大きくなってしまうことを抑制する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、バッファの保存容量が大きくなってしまうことを抑制しつつ、被検体をスキャンすることである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係るX線CT装置は、バッファと、取得部と、決定部と、出力部とを備える。前記バッファは、X線検出器により検出されたデータを一時保存する。前記取得部は、スキャンプランに示されたスキャンを実行する前の前記バッファの残量に関する情報を取得する。前記決定部は、前記スキャンプランと、前記バッファの残量に関する情報とに基づいて、前記バッファから記憶部へのデータの転送タイミングを決定する。前記出力部は、前記スキャンプランに示されたスキャンを実行した場合の前記バッファの残量と、前記バッファが保存可能なデータ量とに基づいて、当該スキャンプランに示されたスキャンにより取得されるデータ量を減らす代替案を出力する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、第1の実施形態にかかるX線CT装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、スキャンプラン及び転送プランの一例を示すタイミングチャートである。
【
図3】
図3は、第1の実施形態にかかるDASの構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係るX線CT装置が実行する転送処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、第2の実施形態にかかるX線CT装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、第2の実施形態にかかる中継装置の構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら、本実施形態に関するX線CT装置、及びデータ転送方法について説明する。以下の実施形態では、同一の参照符号を付した部分は同様の動作をおこなうものとして、重複する説明を適宜省略する。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態にかかるX線CT装置1の構成の一例を示すブロック図である。X線CT装置1は、解像度の高いX線検出器12を有し、高精細な画像を取得する画像診断装置である。X線CT装置1は、架台装置10と、寝台装置30と、コンソール装置40とを有する。架台装置10は、被検体Pをスキャンすることで取得したデータを、コンソール装置40に転送する。そして、コンソール装置40は、架台装置10から受信したデータを再構成することでCT画像データを生成する。
【0009】
X線CT装置1は、解像度の高いX線検出器12を有しているため、取得するデータのデータ量も増大する。データ量の増大に伴い、X線CT装置1は、単位時間あたりに取得するデータの取得レートが、データの転送レートを超えてしまう場合がある。しかし、転送レートに合わせて取得レートを下げると、X線CT装置1は、被検体Pのスキャンに長時間かかってしまう。そこで、X線CT装置1は、取得したデータを一時的にバッファに保存し、バッファに保存したデータを転送する。これにより、X線CT装置1は、取得レートを下げることなく、取得されたデータを転送することができる。
【0010】
ここで、X線CT装置1には、様々な撮像プロトコルがある。取得されるデータ量は、撮像プロトコルに応じて異なっている。そして、データ量が最も多くなる撮像プロトコルで取得されたデータを全て保存しようとすると、X線CT装置1は、大きな保存容量を有するバッファを備えなければならない。一方、発熱、消費電力、実装面積、製造コストなどの理由により、バッファの保存容量は小さくしたいとの要望がある。
【0011】
ところが、バッファの保存容量を小さくするとバッファの保存容量が足りなくなってしまうことがある。バッファの保存容量が足りなくなると、X線CT装置1は、データが上書きされてしまうことを防止するために被検体Pのスキャンを停止しなければならない。しかしながら、X線CT装置1は、被検体Pのスキャンを停止することができない場合がある。例えば、造影剤を注入して被検体Pをスキャンする場合に、被検体Pのスキャンを停止すると、X線CT装置1は、造影剤が流れてしまうために意図した撮像ができなくなってしまう。そこで、バッファの保存容量が大きくなってしまうことを抑制しつつ、被検体Pをスキャンすることが可能な技術が求められている。
【0012】
なお、第1の実施形態では、高精細な画像を取得するX線CT装置1に適用した場合を例に説明する。しかし、X線CT装置1は、PC(Photon Counting)方式によりデータを取得するものであってもよいし、他の形式によりデータを取得するものであってもよい。
【0013】
また、第1の実施形態では、非チルト状態での回転フレーム13の回転軸又は寝台装置30の天板33の長手方向をZ軸方向、Z軸方向に直交し、床面に対して水平である軸方向をX軸方向、Z軸方向に直交し、床面に対し垂直である軸方向をY軸方向とそれぞれ定義するものとする。
【0014】
架台装置10は、診断に用いられる医用画像を撮像するための撮像系を有する。すなわち、架台装置10は、被検体PにX線を照射し、被検体Pを透過したX線の検出データから投影データを収集する撮像系を有する装置であり、X線管11と、ウェッジ16と、コリメータ17と、X線検出器12と、X線高電圧装置14と、DAS(Data Acquisition System)18と、回転フレーム13と、制御装置15と、寝台装置30とを有する。
【0015】
X線管11は、X線高電圧装置14からの高電圧の印加により、陰極(フィラメント)から陽極(ターゲット)に向けて熱電子を照射する真空管である。
【0016】
ウェッジ16は、X線管11から照射されたX線のX線量を調節するためのフィルタである。具体的には、ウェッジ16は、X線管11から被検体Pへ照射されるX線が、予め定められた分布になるように、X線管11から照射されたX線を透過して減衰するフィルタである。
【0017】
ウェッジ16は、例えばウェッジフィルタ(wedge filter)またはボウタイフィルタ(bow-tie filter)であり、所定のターゲット角度や所定の厚みとなるようにアルミニウムを加工したフィルタである。
【0018】
コリメータ17は、ウェッジ16を透過したX線の照射範囲を絞り込むための鉛板等であり、複数の鉛板等の組み合わせによってスリットを形成する。
【0019】
X線検出器12は、X線管11から照射され、被検体Pを通過したX線を検出し、当該X線量に対応した電気信号をデータ収集装置(DAS18)へと出力する。X線検出器12は、例えば、X線管11の焦点を中心として1つの円弧に沿ってチャネル方向に複数のX線検出素子が配列された複数のX線検出素子列を有する。X線検出器12は、例えば、X線管11の焦点を中心として一つの円弧に沿ってチャネル方向に複数のX線検出素子が配列された複数のX線検出素子列を有する。X線検出器12は、例えば、チャネル方向に複数のX線検出素子が配列されたX線検出素子列がスライス方向(体軸方向、列方向とも呼ばれる)に複数配列された構造を有する。
【0020】
また、X線検出器12は、例えば、グリッドと、シンチレータアレイと、光センサアレイとを有する間接変換型の検出器である。シンチレータアレイは、複数のシンチレータを有し、シンチレータは入射X線量に応じた光子量の光を出力するシンチレータ結晶を有する。グリッドは、シンチレータアレイのX線入射側の面に配置され、散乱X線を吸収する機能を有するX線遮蔽版を有する。光センサアレイは、シンチレータからの光量に応じた電気信号に変換する機能を有し、例えば、光電子増倍管(PMT)等の光センサを有する。なお、X線検出器12は、入射したX線を電気信号に変換する半導体素子を有する直接変換型の検出器であっても構わない。
【0021】
X線高電圧装置14は、変圧器(トランス)及び整流器などの電気回路を有し、X線管11に印加する高電圧を発生する機能を有する高電圧発生装置と、X線管11が照射するX線に応じた出力電圧の制御を行うX線制御装置とを有する。高電圧発生装置は、変圧器方式であってもよいし、インバータ方式であっても構わない。なお、X線高電圧装置14は、回転フレーム13に設けられてもよいし、架台装置10の固定フレーム(図示しない)側に設けられても構わない。なお、固定フレームは、回転フレーム13を回転可能に支持するフレームである。
【0022】
DAS18は、X線検出器12の各X線検出素子から出力される電気信号に基づいて、検出データを取得する。DAS18が取得した検出データは、コンソール装置40へと転送される。なお、
図3において、DAS18の詳細な構成について説明する。
【0023】
ここで、検出データとは、X線検出器12から出力される電気信号に基づいてDAS18が取得したデータの総称である。ここで、検出データにおいて、同一のスキャンプランに含まれる1以上のスキャンデータの集合をスキャンデータセットと称する。スキャンプランとは、撮像プロトコルにより指定された被検体Pに対するスキャンの計画であり、一以上のスキャンを含む。また、本実施形態におけるスキャンとは、X線照射とX線検出とを連続した投影位置(ビュー番号)で繰り返し実行する一連の動作を意味する。従って、ビュー番号がリセットされ、X線照射とX線検出とを連続した新たなビュー番号により繰り返し実行する場合には、別のスキャンとなる。また、スキャンデータは、例えば、投影位置を示すビュー番号において連続した番号が付与される一連のスキャンで取得されるデータの集合である。なお、スキャンデータは、スキャン単位の分類のほか、例えば、スキャンデータセットを複数の任意のデータに分割した中の一群のデータとすることもできる。
【0024】
回転フレーム13は、X線管11とX線検出器12とを対向支持し、制御装置15によってX線管11とX線検出器12とを回転させる円環状のフレームである。なお、回転フレーム13は、X線管11とX線検出器12に加えて、X線高電圧装置14やDAS18を更に支持してもよい。なお、DAS18が取得した検出データは、一例として、回転フレーム13に設けられた発光ダイオードを有する送信機21から光通信によって、固定フレームの等の架台装置10の非回転部分に設けられた、フォトダイオードを有する受信機22に送信され、コンソール装置40へと転送される。なお、回転フレーム13から架台装置10の非回転部分への検出データの送信方法は、光通信に限らず、非接触型のその他の方式のデータ伝送方法を用いて行ってもよい。
【0025】
制御装置15は、CPU等を有する処理回路と、モータやアクチュエータ等の駆動機構とを有する。制御装置15は、コンソール装置40に取り付けられた入力インターフェース43若しくは架台装置10に取り付けられた入力インターフェースからの入力信号を受けて、架台装置10及び寝台装置30の動作制御を行う機能を有する。また、制御装置15は、入力信号を受けて回転フレーム13を回転させる制御や、架台装置10及び寝台装置30を動作させる制御を行う。
【0026】
例えば、制御装置15は、架台装置10に取り付けられた入力インターフェースによって入力される傾斜角度(チルト角度)情報に基づいて、制御装置15がX軸方向に平行な軸を中心に回転フレーム13を回転させることによって、架台装置10をチルトさせる。
【0027】
寝台装置30は、スキャン対象の被検体Pを載置、移動させる装置であり、基台31と、寝台駆動装置32と、天板33と、支持フレーム34とを備える。基台31は、支持フレーム34を鉛直方向に移動可能に支持する筐体である。寝台駆動装置32は、被検体Pが載置された天板33をその長軸方向(
図1のZ軸方向)に移動させるモータあるいはアクチュエータである。支持フレーム34の上面に設けられた天板33は、被検体Pが載置される板である。なお、寝台駆動装置32は、天板33に加え、支持フレーム34を天板33の長軸方向に移動してもよい。
【0028】
寝台駆動装置32は、制御装置15からの制御信号に従って、基台31を上下方向に移動させる。寝台駆動装置32は、制御装置15からの制御信号に従って、天板33を長軸方向に移動させる。
【0029】
コンソール装置40は、ユーザによるX線CT装置1の操作を受け付けるとともに、架台装置10によって収集された検出データからX線CT画像データを再構成する装置である。コンソール装置40は、メモリ41と、ディスプレイ42と、入力インターフェース43と、処理回路45とを備える。
【0030】
メモリ41は、例えばRAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスクなどにより実現される。メモリ41は、例えば投影データや再構成画像データを記憶する。メモリ41は、DAS18から転送されたスキャンデータを記憶する。メモリ41は、記憶部の一例である。
【0031】
また、メモリ41は、後述する動作制御機能45a、前処理機能45b、再構成処理機能45c、計画機能45d、スキャン機能45e、状態通知機能45f空き容量算出機能45g、空き容量通知機能45h、代替案出力機能45i、保存可否通知機能45j、転送時間通知機能45k、及びデータ特定機能45lを実現するための専用プログラムを格納する。
【0032】
ディスプレイ42は、ユーザが参照するモニタであり、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ42は、処理回路45によって生成された医用画像(CT画像)や、ユーザからの各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)等を出力する。例えば、ディスプレイ42は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイである。
【0033】
入力インターフェース43は、ユーザからの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路45に出力する。例えば、入力インターフェース43は、投影データを収集する際の収集条件や、CT画像を再構成する際の再構成条件、CT画像から後処理画像を生成する際の画像処理条件等をユーザから受け付ける。また、例えば、入力インターフェース43は、マウスやキーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック等により実現される。
【0034】
処理回路45は、X線CT装置1全体の動作を制御する。処理回路45は、例えば、動作制御機能45a、前処理機能45b、再構成処理機能45c、計画機能45d、スキャン機能45e、状態通知機能45f空き容量算出機能45g、空き容量通知機能45h、代替案出力機能45i、保存可否通知機能45j、転送時間通知機能45k、及びデータ特定機能45lを有する。実施形態では、構成要素である動作制御機能45a、前処理機能45b、再構成処理機能45c、計画機能45d、スキャン機能45e、状態通知機能45f、空き容量算出機能45g、空き容量通知機能45h、代替案出力機能45i、保存可否通知機能45j、転送時間通知機能45k、及びデータ特定機能45lにて行われる各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態でメモリ41へ記憶されている。処理回路45は、プログラムをメモリ41から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路45は、
図1の処理回路45内に示された各機能を有することになる。
【0035】
なお、
図1においては単一のプロセッサにて、動作制御機能45a、前処理機能45b、再構成処理機能45c、計画機能45d、スキャン機能45e、状態通知機能45f、空き容量算出機能45g、空き容量通知機能45h、代替案出力機能45i、保存可否通知機能45j、転送時間通知機能45k、及びデータ特定機能45lを実現するものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路45を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。また、
図1においては、メモリ42等の単一の記憶回路が各処理機能に対応するプログラムを記憶するものとして説明したが、複数の記憶回路を分散して配置して、処理回路45は、個別の記憶回路から対応するプログラムを読み出す構成としても構わない。
【0036】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphical Processing Unit)或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD),及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサはメモリ41に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、メモリ41にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。
【0037】
動作制御機能45aは、入力インターフェース43を介してユーザから受け付けた入力操作に基づいて、処理回路45の各種機能を制御する。例えば、動作制御機能45aは、入力インターフェース43を介して、ログインのためのユーザ情報(例えばユーザID等)、被検体情報等の入力を受け付ける。また、動作制御機能45aは、被検体Pに対して実行するスキャン内容である撮像プロトコルの入力を受け付ける。動作制御機能45aは、入力部の一例である。また、処理回路45は、動作制御機能45aにより、位置決め撮像、本撮像等に関する制御を行う。
【0038】
前処理機能45bは、DAS18から出力された検出データに対して対数変換処理やオフセット処理、チャネル間の感度補正処理、ビームハードニング補正などの前処理を施したデータを生成する。なお、前処理前のデータ(検出データ)および前処理後のデータを総称して投影データと称する場合もある。
【0039】
再構成処理機能45cは、前処理機能45bにより生成された投影データに対して、再構成条件に従ってフィルタ補正逆投影法や逐次近似再構成法等を用いた再構成処理を行ってCT画像データを生成する。
【0040】
再構成処理機能45cは、入力インターフェース43を介してユーザから受け付けた入力操作に基づいて、再構成されたCT画像データを公知の方法により、任意断面の断層像データや3次元画像データに変換する。
【0041】
計画機能45dは、スキャンプラン、及び転送プランを生成する。転送プランとは、スキャンプランに示されたスキャンにより取得されたスキャンデータを転送する手順が示された情報である。すなわち、転送プランとは、スキャンデータを転送する順番と、各スキャンデータを転送するトリガーとが示されている。
【0042】
更に詳しくは、計画機能45dは、撮像プロトコルと、スキャンプランに示されたスキャンを実行する前のDAS18のメモリ183の残量に関する情報とに基づいて、スキャンプランを生成する。具体的には、計画機能45dは、スキャンプランに示されたスキャンを実行する前のメモリ183の残量に関する情報を取得する。例えば、計画機能45dは、前回のスキャン時に、空き容量通知機能45hが取得したメモリ183の残量に関する情報を記憶しておくことで取得してもよいし、その都度、空き容量算出機能45gや空き容量監視機能184eから取得してもよい。
【0043】
計画機能45dは、撮像プロトコルにより指示されたスキャンの手順を示すスキャンプランを生成する。計画機能45dは、プラン生成部の一例である。しかし、DAS18のメモリ183(
図3参照)は、空き容量を超える量のスキャンデータが取得されるとオーバーフローを起こしてしまう。そこで、計画機能45dは、メモリ183がオーバーフローを起こさないように、スキャンを実行するタイミングを決定する。そして、計画機能45dは、撮像プロトコルにより指定されたスキャン、及びスキャンを実行するトリガーが示されたスキャンプランを生成する。
【0044】
また、計画機能45dは、スキャンプランの割り込みが指定された場合には、割り込み対象の撮像プロトコルに示されたスキャンを先に実行させるスキャンプランを生成する。例えば、スキャンプランの割り込みは、急患が発生した場合に指定される。
【0045】
また、計画機能45dは、メモリ183に記憶されたスキャンデータを、コンソール装置40に転送するプランを示す転送プランを生成する。計画機能45dは、生成部の一例である。更に詳しくは、計画機能45dは、スキャンプランと、メモリ183の残量に関する情報と、DAS18のメモリ183からコンソール装置40のメモリ41へのスキャンデータの転送速度とに基づいて、転送タイミングが示された転送プランを生成する。
【0046】
計画機能45dは、基本的にはスキャンした順番でスキャンデータをコンソール装置40に転送する転送プランを生成する。しかし、スキャン順でスキャンデータを転送すると、ユーザの待ち時間が発生してしまう場合がある。このような場合に、計画機能45dは、スキャンプランに示されたスキャン順とは異なる順番でスキャンデータを転送する転送プランを生成する。例えば、データ量の大きいスキャンデータの次に、データ量の小さいスキャンデータを送信する場合において、次回の転送時間ではデータ量の大きいスキャンデータを転送できない場合に、計画機能45dは、データ量の小さいスキャンデータを先に転送する転送プランを生成する。
【0047】
また、計画機能45dは、同一のスキャンプラン内のスキャンデータに限らず、異なるスキャンプランのスキャンデータであっても順番を変更する。すなわち、計画機能45dは、複数のスキャンプランのうち、後に実行するスキャンプランにより取得されるスキャンデータのデータ量が、DAS18のメモリ183の空き容量よりも少ないことを条件に、後に実行したスキャンプランにより取得されたスキャンデータを転送した後に、先に実行したスキャンプランのスキャンデータを転送する転送プランを生成する。これにより、先に実行したスキャンプランのスキャンデータの転送が長時間かかる場合、計画機能45dは、後に実行したスキャンプランのスキャンデータを先に転送させることで、後に実行したスキャンプランのユーザの待ち時間を減らすことができる。
【0048】
また、計画機能45dは、スキャンプランの割り込みが指定された場合には、割り込み対象の撮像プロトコルを含めて再度転送プランを生成する。例えば、計画機能45dは、割り込み対象のスキャンプランによるスキャンデータの転送完了後に、スキャンデータの転送を再開する転送プランを生成する。
【0049】
ここで、計画機能45dが生成するスキャンプラン及び転送プランについて、一例を挙げて説明する。
図2は、スキャンプラン及び転送プランの一例を示すタイミングチャートである。
図2に示すスキャンプランは、撮像プロトコルにより指定された7つのスキャンを実行するスキャンプランAの後に、撮像プロトコルにより指定された1つのスキャンを実行するスキャンプランBを実行することを示している。また、
図2に示す転送プランは、スキャンプランAの3回目のスキャンが完了したことをトリガーにして、スキャンプランAの1回目のスキャンデータ、2回目のスキャンデータ、3回目のスキャンデータの順番で転送することを示している。また、
図2に示す転送プランは、スキャンプランAの6回目のスキャンが完了したことをトリガーにして、5回目のスキャンデータを転送することを示している。
【0050】
また、
図2に示す転送プランは、スキャンプランAの7回目のスキャンが完了したことをトリガーにして、4回目のスキャンデータ、6回目のスキャンデータを転送することを示している。このように、
図2に示す転送プランは、スキャンプランAの5回目のスキャンデータを転送後に、4回目のスキャンデータを転送することを示している。これは、4回目のスキャンは、スキャン時間が長く、スキャンデータのデータ量が大きい。そのため、X線CT装置1は、6回目のスキャンと、7回目のスキャンとの間の時間に、4回目のスキャンデータの転送を完了することができない。そこで、計画機能45dは、5回目のスキャンデータを転送させることでデータ転送の効率化を行っている。すなわち、計画機能45dは、7回目のスキャン後に転送しなければならないデータ量を削減している。
【0051】
また、
図2に示す転送プランは、スキャンプランBの1回目のスキャンが完了したことをトリガーにして、スキャンプランBの1回目のスキャンデータを転送後に、スキャンプランAの7回目のスキャンデータを転送している。これは、スキャンプランAの7回目のスキャンは、スキャン時間が長く、スキャンデータのデータ量が大きい。そのため、スキャンプランAの7回目のスキャンデータを転送後に、スキャンプランBの1回目のスキャンデータを転送すると、ユーザは、スキャンプランBの被検体Pのデータ量は少ないにも関わらず、長時間待たされることになってしまう。そこで、計画機能45dは、スキャンプランBの1回目のスキャンデータを先に転送することで、ユーザの待ち時間を削減している。
【0052】
スキャン機能45eは、スキャンプランに基づいて、被検体Pのスキャンの実行を指示する。更に詳しくは、スキャン機能45eは、スキャンプランに示された内容のスキャンを、スキャンプランに示されたトリガーに基づいて実行することを架台装置10に指示する。これにより、DAS18は、スキャンデータの収集を実行する。
【0053】
状態通知機能45fは、スキャンの状態をDAS18に通知する。すなわち、状態通知機能45fは、スキャンの開始、及びスキャンの終了を通知する。また、状態通知機能45fは、計画機能45dにより生成されたスキャンプラン及び転送プランを通知する。これにより、何回目のスキャンを実行しているのかをカウントすることで、DAS18は、何れのスキャンプランの何番目のスキャンのスキャンデータを収集しているのかを把握することができる。さらに、DAS18は、転送プランに示されたトリガーに基づいて、スキャンデータを転送することができる。
【0054】
また、状態通知機能45fは、スキャンプランに変えて、何れのスキャンプランの何番目のスキャンを実行しているかをDAS18に通知してもよい。この通知により、DAS18は、何れのスキャンプランの何番目のスキャンであるかを特定することができる。さらに、状態通知機能45fは、転送プランに変えて、何れのスキャンプランの何番目のスキャンを転送するのかをDAS18に通知してもよい。これにより、DAS18は、転送プランに示された転送タイミングで、指定されたスキャンデータを転送することができる。
【0055】
また、状態通知機能45fは、スキャンプランの割り込みが指定された場合、現在転送途中のスキャンデータの転送の中断をDAS18に通知してもよい。これにより、DAS18は、割り込み対象のスキャンプランによるスキャンデータを先に転送することが可能となる。
【0056】
空き容量算出機能45gは、スキャンプラン及び転送プランに基づいて、DAS18のメモリ183にスキャンデータを保存させることが可能な残量を算出する。ここで、スキャンプランには、被検体Pに対して実行するスキャンの手順が示されている。言い換えると、スキャンプランには、被検体Pに対して実行するスキャンの内容、及びDAS18のメモリ183にスキャンデータが保存されるタイミングが示されている。そこで、空き容量算出機能45gは、スキャンプランが示すスキャンを実行した場合に取得されるデータ量を算出する。空き容量算出機能45gは、算出部の一例である。
【0057】
また、転送プランには、DAS18のメモリ183からスキャンデータを転送するタイミングが示されている。言い換えると、転送プランには、DAS18のメモリ183からスキャンデータが読み出されるタイミングが示されている。よって、空き容量算出機能45gは、各タイミングにおけるメモリ183のスキャンデータを保存可能な残量を算出する。
【0058】
空き容量算出機能45gは、DAS18のメモリ183におけるスキャンデータを保存させることが可能な全容量から、保存されているデータ量を減算することで、メモリ41に保存させることが可能な残量を算出することができる。そして、空き容量算出機能45gは、スキャンプランに示されたスキャンを実行する前に残量を算出することで、スキャンプランに示されたスキャンを実行する前のメモリ41の残量に関する情報を取得することができる。
【0059】
空き容量通知機能45hは、スキャンプランに示されたスキャンを実行する前のDAS18のメモリ183の残量に関する情報を取得する。そして、空き容量通知機能45hは、メモリ183の残量に関する情報を通知する。空き容量通知機能45hは、取得部及び通知部の一例である。
【0060】
例えば、空き容量通知機能45hは、スキャンプランと、スキャンデータのそれぞれの転送タイミングとの算出結果に基づいて、メモリ183の残量に関する情報を通知する。更に詳しくは、空き容量通知機能45hは、空き容量算出機能45gが算出した算出結果を取得する。これにより、空き容量通知機能45hは、メモリ183の残量に関する情報を通知する。
【0061】
また、空き容量通知機能45hは、算出に限らず、メモリ183の監視結果によりメモリ183の残量に関する情報を取得してもよい。例えば、空き容量通知機能45hは、DAS18の空き容量監視機能184e(
図3参照)が取得した監視結果に基づいて、メモリ183の残量に関する情報を通知する。更に詳しくは、空き容量通知機能45hは、DAS18の空き容量監視機能184eからメモリ183の残量に関する情報を取得する。そして、空き容量通知機能45hは、取得したメモリ183の残量に関する情報を通知する。
【0062】
代替案出力機能45iは、スキャンプランに示されたスキャンを実行した場合に、DAS18のメモリ183の残量が足りなくなることを条件に、メモリ183が保存可能なデータ量となるスキャンプランの代替案を出力する。代替案出力機能45iは、出力部の一例である。すなわち、代替案出力機能45iは、空き容量通知機能45hによりメモリ183の空き容量が足りないと判定された場合に、スキャンプランの代替案を出力する。
【0063】
例えば、代替案出力機能45iは、スキャンプランに示されたスキャンにより取得されるデータ量を減らす代替案を出力する。具体的には、代替案出力機能45iは、スライス厚、体軸方向のスキャン範囲、X線検出器12の一回転あたりの投影位置の割合を示すView Rate、チャネル方向のスキャン範囲を示すFOV(Field of View)などの設定を変更した代替案を出力する。なお、代替案出力機能45iは、これら設定は一例であって、他の設定を変更した代替案を出力してもよい。例えば、X線CT装置1がPC(Photon Counting)方式の場合、代替案出力機能45iは、エネルギービン数を変更した代替案を出力してもよい。これにより、DAS18により取得されるデータ量が減るため、代替案出力機能45iは、DAS18のメモリ183の空き容量が足りなくなってしまうことを防止することができる。
【0064】
または、代替案出力機能45iは、スキャンプランに示されたスキャン間の時間の間隔を長くする代替案を出力する。これにより、DAS18は、次回のスキャンが実行されるまでに、より多くのスキャンデータをコンソール装置40に転送することが可能となる。よって、代替案出力機能45iは、DAS18のメモリ183の空き容量が足りなくなってしまうことを防止することができる。
【0065】
さらに、代替案出力機能45iは、スキャンにより取得されるデータ量を減らし、且つスキャン間の時間の間隔を長くする代替案を出力してもよい。X線CT装置1は、各スキャンの時間の間隔を長くすることで、より多くのスキャンデータを転送した後に、次のスキャンを実行することができる。よって、X線CT装置1は、メモリ183の空き容量が少なくてもオーバーフローを起こすことなく、スキャンを実行することができる。なお、代替案出力機能45iの出力方法は、限定しない。例えば、代替案出力機能45iは、コンソール装置40のディスプレイ42に表示させることで出力してもよいし、音声などにより出力してもよいし、印刷により出力してもよいし、ネットワークを介して接続された情報処理装置に送信することにより出力してもよい。
【0066】
保存可否通知機能45jは、スキャンプランが示すスキャンを実行した場合に、DAS18のメモリ183が保存可能なデータ量を超えることを通知する。保存可否通知機能45jは、通知部の一例である。更に詳しくは、保存可否通知機能45jは、スキャンプランが示すスキャンを実行した場合に取得されるスキャンデータのデータ量と、空き容量通知機能45hが取得したメモリ183の残量に関する情報とに基づいて、メモリ183が保存可能なデータ量を超えるか否かを判定する。そして、保存可否通知機能45jは、メモリ183が保存可能なデータ量を超える場合に、メモリ183が保存可能なデータ量を超えることを通知する。なお、保存可否通知機能45jの通知方法は、限定しない。例えば、保存可否通知機能45jは、コンソール装置40のディスプレイ42に表示させることで通知してもよいし、音声などにより通知してもよいし、ネットワークを介して接続された情報処理装置に送信することにより通知してもよい。
【0067】
転送時間通知機能45kは、スキャンプランが示すスキャンを実行した場合に取得されるデータ量と、DAS18のメモリ183からコンソール装置40のメモリ41までのデータの転送速度とに基づいて、スキャンデータの転送時間を通知する。転送時間通知機能45kは、時間通知部の一例である。ここで、データの転送速度は、DAS18のインターフェースや、DAS18とコンソール装置40とを接続する通信回線や、コンソール装置40のインターフェースなどの仕様により決定される。転送時間通知機能45kは、スキャンプランが示すスキャンを実行した場合に取得されるスキャンデータのデータ量に、転送速度を乗算することで、転送時間を算出する。これにより、転送時間通知機能45kは、スキャンプランが示すスキャンを実行した場合に取得されるスキャンデータの転送時間を通知する。
【0068】
さらに、転送時間通知機能45kは、算出した転送時間から、転送を開始してからの経過時間を減算することで、転送完了までの残り時間を通知してもよい。なお、転送時間通知機能45kの通知方法は、限定しない。例えば、転送時間通知機能45kは、コンソール装置40のディスプレイ42に表示させることで通知してもよいし、音声などにより通知してもよいし、ネットワークを介して接続された情報処理装置に送信することにより通知してもよい。
【0069】
データ特定機能45lは、メモリ41に記憶されたデータの所属を特定する。データ特定機能45lは、特定部の一例である。更に詳しくは、データ特定機能45lは、複数のスキャンから構成されるスキャンプラン内の各スキャンに対して付与された第1識別子に基づいて、DAS18のメモリ183から転送されたデータが取得されたスキャンを特定する。第1識別子は、スキャンデータを識別するための識別情報である。すなわち、データ特定機能45lは、スキャンデータに関連付けられた第1識別子に基づいて、何れのスキャンにより取得されたスキャンデータであるかを特定する。
【0070】
また、データ特定機能45lは、第2識別子に基づいて、DAS18のメモリ183から転送されたデータが取得されたスキャンが含まれるスキャンプランを特定する。第2識別子は、スキャンプランを識別するための識別情報である。すなわち、データ特定機能45lは、スキャンデータに関連付けられた第2識別子に基づいて、何れのスキャンプランに含まれるスキャンにより取得されたスキャンデータであるかを特定する。これにより、再構成処理機能45cは、同一のスキャンプランにより取得されたスキャンデータを特定し、且つスキャンプランにおけるスキャンデータが取得された順番を特定することができる。
【0071】
次に、DAS18の詳細について説明する。
図3は、第1の実施形態にかかるDAS18の構成の一例を示すブロック図である。
【0072】
DAS18は、増幅器181と、A/D変換器182と、メモリ183と、処理回路184とを備える。
【0073】
増幅器181は、X線検出器12の各X線検出素子から出力される電気信号に対して増幅処理を実行する。これにより、増幅器181は、電気信号を増幅させる。
【0074】
A/D変換器182は、増幅器181により増幅された電気信号をデジタル信号に変換する。例えば、A/D変換器182は、X線検出器12の各X線検出素子から出力される電気信号に対してA/D変換処理を実行することで検出データを取得する。そして、A/D変換器182は、取得した検出データをメモリ183に記憶させる。
【0075】
メモリ183は、例えばRAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスクなどにより実現される。メモリ183は、検出データを記憶する。すなわち、メモリ183は、X線検出器12により検出されたデータを一時保存する。メモリ183は、バッファの一例である。
【0076】
処理回路184は、DAS18全体の動作を制御する。処理回路184は、例えば、計画取得機能184a、付与機能184b、転送タイミング決定機能184c、転送機能184d、及び空き容量監視機能184eを有する。実施形態では、構成要素である計画取得機能184a、付与機能184b、転送タイミング決定機能184c、転送機能184d、及び空き容量監視機能184eにて行われる各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態でメモリ183へ記憶されている。処理回路184は、プログラムをメモリ183から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路184は、
図3の処理回路184内に示された各機能を有することになる。
【0077】
なお、
図3においては単一のプロセッサにて、計画取得機能184a、付与機能184b、転送タイミング決定機能184c、転送機能184d、及び空き容量監視機能184eを実現するものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路184を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。また、
図3においては、メモリ183等の単一の記憶回路が各処理機能に対応するプログラムを記憶するものとして説明したが、複数の記憶回路を分散して配置して、処理回路184は、個別の記憶回路から対応するプログラムを読み出す構成としても構わない。
【0078】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU、GPU或いは、特定用途向け集積回路、プログラマブル論理デバイス、複合プログラマブル論理デバイス,及びフィールドプログラマブルゲートアレイ等の回路を意味する。プロセッサはメモリ183に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、メモリ183にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。
【0079】
計画取得機能184aは、コンソール装置40からスキャン及び転送の指示を取得する。例えば、計画取得機能184aは、スキャンプラン、及び転送プランを取得する。これにより、計画取得機能184aは、スキャンプラン、及び転送プランに示された一連の指示を取得する。
【0080】
または、計画取得機能184aは、スキャンプラン、及び転送プランに示されている指示をその都度取得してもよい。例えば、計画取得機能184aは、転送プランに示されたトリガーが発生した場合に、転送対象を示す第1識別子及び第2識別子を示す情報を取得する。これにより、計画取得機能184aは、転送時期及び転送対象を特定することができる。
【0081】
また、計画取得機能184aは、コンソール装置40から転送の中断を示す通知を取得する。これにより、計画取得機能184aは、スキャンプランの割り込みが発生したことを把握する。
【0082】
付与機能184bは、スキャンプラン内の各スキャンにより取得されたスキャンデータに対して、スキャンを識別するための第1識別子を付与する。さらに、付与機能184bは、スキャンプラン内の各スキャンにより取得されたスキャンデータに対して、スキャンプランを識別するための第2識別子を付与する。更に詳しくは、付与機能184bは、計画取得機能184aが取得したスキャンプランに基づいて、第1識別子を付与する。例えば、付与機能184bは、スキャンプラン内の各スキャンの順番を第1識別子として付与する。なお、第1識別子は、各スキャンの順番に限らず、他の情報を付与してもよい。このように、第1識別子を付与することで、コンソール装置40は、スキャンプランの順番通りにスキャンデータを送信しなくても、何れのスキャンにより取得されたスキャンデータであるかを識別することができる。
【0083】
同様に、付与機能184bは、計画取得機能184aが取得したスキャンプランに基づいて、第2識別子を付与する。例えば、付与機能184bは、スキャンプランが対象にしている被検体Pを識別するための識別情報や、スキャンプランにより実行される検査を識別するための識別情報等の情報を第2識別子として付与する。このように、第2識別子を付与することで、コンソール装置40は、スキャンプランの順番通りにスキャンデータを送信しなくても、何れのスキャンプランのスキャンデータであるかを識別することができる。
【0084】
転送タイミング決定機能184cは、スキャンプランと、メモリ183の残量に関する情報とに基づいて、DAS18のメモリ183からコンソール装置40のメモリ41へのスキャンデータの転送タイミングを決定する。転送タイミング決定機能184cは、決定部の一例である。ここで、計画機能45dは、スキャンプランと、メモリ183の残量に関する情報と、DAS18のメモリ183からコンソール装置40のメモリ41へのスキャンデータの転送速度とに基づいて、生成プランを生成する。転送タイミング決定機能184cは、計画機能45dが生成した転送プランに基づいて、転送タイミングを決定する。すなわち、転送タイミング決定機能184cは、転送プランに示された転送タイミングにスキャンデータを転送することを決定する。
【0085】
または、転送タイミング決定機能184cは、スキャンデータを転送する度に、コンソール装置40から転送要求を取得する。そして、転送タイミング決定機能184cは、転送要求により特定されるタイミングをスキャンデータの転送タイミングにする。これにより、転送タイミング決定機能184cは、スキャンデータの転送タイミングを決定する。
【0086】
また、転送タイミング決定機能184cは、スキャンプランの割り込みが指示された場合に、スキャンプランにより取得されるデータの転送後に、転送の再開を決定する。これにより、転送タイミング決定機能184cは、割り込み対象のスキャンデータを優先的に転送させる。
【0087】
転送機能184dは、転送タイミング決定機能184cが決定した転送タイミングで、スキャンデータを転送させる。更に詳しくは、転送機能184dは、第1識別子と、第2識別子と、スキャンデータとを関連付けて送信機21に送信させる。
【0088】
ここで、計画取得機能184aは、スキャンプランの割り込みが指定された場合などに、スキャンデータの転送の中断をコンソール装置40に指示される場合がある。転送機能184dは、スキャンデータの転送を中断する通知を受け付けた場合に、転送が完了したスキャンデータを示す第1識別子及び第2識別子をコンソール装置40に通知する。これにより、コンソール装置40は、何れのスキャンデータから転送を再開すればよいかを特定することができる。例えば、転送機能184dがスキャンデータの途中で転送を中断する可能性がある場合、コンソール装置40は、転送されたスキャンデータの途中で中断されたのか、全部が転送されたのか判断できない。このような場合でも、転送が完了したスキャンデータを通知することにより、コンソール装置40は、何れのスキャンデータから転送を再開すればよいかを特定することができる。
【0089】
空き容量監視機能184eは、メモリ183の空き容量を監視する。更に詳しくは、空き容量監視機能184eは、メモリ183に書き込まれるデータ量と、メモリ183から読み出されるデータ量とを監視する。これにより、空き容量監視機能184eは、メモリ183におけるスキャンデータを保存可能な記憶領域のうち空き容量を測定する。そして、空き容量監視機能184eは、測定結果をメモリ183の残量に関する情報としてコンソール装置40に通知する。
【0090】
次に、X線CT装置1が実行する転送処理について説明する。
図3は、第1の実施形態に係るX線CT装置1が実行する転送処理の一例を示すフローチャートである。
【0091】
動作制御機能45aは、撮像プロトコルの入力を受け付ける(ステップS1)。
【0092】
計画機能45dは、受け付けた撮像プロトコルに基づいて、スキャンプラン及び転送プランを生成する(ステップS2)。
【0093】
空き容量算出機能45gは、生成されたスキャンプランにより取得されるスキャンデータのデータ量を算出する(ステップS3)。
【0094】
空き容量通知機能45hは、DAS18のメモリ183の残量に関する情報を空き容量算出機能45gから取得する(ステップS4)。または、空き容量監視機能184eからメモリ183の残量に関する情報を取得する。
【0095】
空き容量通知機能45hは、メモリ183の残量に関する情報に基づいて、メモリ183の残量を通知する(ステップS5)。なお、空き容量通知機能45hは、ステップS5に限らず、他のステップにおいてメモリ183の残量を通知してもよい。
【0096】
保存可否通知機能45jは、メモリ183の残量に関する情報と、スキャンプランにより取得されるスキャンデータのデータ量とに基づいて、スキャンデータをメモリ183に保存可能か否かを判定する(ステップS6)。すなわち、保存可否通知機能45jは、メモリ183の空き容量が不足するか否かを判定する。
【0097】
メモリ183の空き容量の不足のために、スキャンデータを保存することができない場合に(ステップS6;No)、保存可否通知機能45jは、スキャンプランが示すスキャンを実行した場合にメモリ183が保存可能なデータ量を超えることを通知する(ステップS7)。
【0098】
代替案出力機能45iは、メモリ183が保存可能なデータ量となるスキャンプランの代替案を出力する(ステップS8)。そして、動作制御機能45aは、ステップS1に移行して、代替案に示された撮像プロトコルの入力を受け付ける。
【0099】
スキャンデータをメモリ183に保存可能な場合に(ステップS6;Yes)、転送時間通知機能45kは、スキャンデータのデータ量と、DAS18のメモリ183からコンソール装置40のメモリ41までのスキャンデータの転送速度とに基づいて、スキャンデータの転送時間を通知する(ステップS9)。
【0100】
転送機能184dは、スキャンプランによりスキャンされたスキャンデータを転送する転送タイミングになったか否かを判定する(ステップS10)。すなわち、転送機能184dは、スキャンデータの転送要求を受信したか否かを判定する。
【0101】
転送タイミングになっていない場合に(ステップS10;No)、転送機能184dは、スキャンデータの転送を待機する。転送タイミングになった場合に(ステップS10;Yes)、転送機能184dは、スキャンデータと、第1識別子と、第2識別子とを関連付け転送する(ステップS11)。
【0102】
転送機能184dは、転送プランで示された転送が完了したか否かを判定する(ステップS12)。
【0103】
スキャンデータの転送が完了していない場合に(ステップS12;No)、動作制御機能45aは、スキャンプランの割り込みを指示されたか否かを判定する(ステップS13)。すなわち、動作制御機能45aは、スキャンプランの割り込みを指示する撮像プロトコルが入力されたか否かを判定する。
【0104】
スキャンプランの割り込みが指示されていない場合に(ステップS13;No)、X線CT装置1は、ステップS9に移行して、スキャンデータに対する第1識別子及び第2識別子の付与と、スキャンデータの転送とを継続する。
【0105】
スキャンプランの割り込みが指示された場合に(ステップS13;Yes)、計画機能45dは、ステップS2に移行して、割り込み対象の撮像プロトコルを含めてスキャンプラン及び転送プランを生成する。これにより、X線CT装置1は、指示された割り込みを実行した後に、残りの処理を実行する。
【0106】
ステップS5において、スキャンデータの転送が終了した場合に(ステップS12;Yes)、X線CT装置1は、転送処理を終了する。
【0107】
以上のように、第1の実施形態にかかるX線CT装置1は、X線検出器12により検出されたデータを一時保存するメモリ183を備えている。また、コンソール装置40の空き容量通知機能45hは、スキャンプランに示されたスキャンを実行する前のDAS18のメモリ183の残量に関する情報を取得する。転送タイミング決定機能184cは、スキャンプランと、メモリ183の残量に関する情報とに基づいて生成された転送プランによりスキャンデータの転送タイミングを決定する。このように、X線CT装置1は、スキャンプランと、メモリ183の空き容量とに基づいて、スキャンデータの転送タイミングを決定する。言い換えると、X線CT装置1は、今後のスキャンの計画に応じて、バッファのオーバーフローを起こす前にスキャンデータを転送する。すなわち、X線CT装置1は、想定される最大容量のバッファを備えていなくても、オーバーフローを起こすことなくスキャンデータを転送することができる。よって、X線CT装置1は、バッファの保存容量が大きくなってしまうことを抑制しつつ、被検体Pをスキャンすることができる。
【0108】
(第2の実施形態)
第1の実施形態にかかるX線CT装置1では、X線検出器12により検出されたスキャンデータを一時保存するバッファをDAS18が備えていると説明した。第2の実施形態にかかるX線CT装置1aは、DAS18に変えて、中継装置50がバッファを備えている。
【0109】
図5は、第2の実施形態にかかるX線CT装置1aの構成の一例を示すブロック図である。中継装置50は、固定フレームの等の架台装置10の非回転部分に設けられた受信機22よりもコンソール装置40側に設置される。これにより、X線CT装置1aは、受信機22よりもコンソール装置40側の転送速度が遅い場合であっても、効率的にデータを転送することができる。
【0110】
次に、中継装置50の詳細について説明する。
図6は、第2の実施形態にかかる中継装置50の構成の一例を示すブロック図である。
【0111】
中継装置50は、メモリ51と、処理回路52とを備える。
【0112】
メモリ51は、例えばRAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスクなどにより実現される。メモリ51は、検出データを記憶する。すなわち、メモリ51は、X線検出器12により検出されたデータを一時保存する。
【0113】
処理回路52は、中継装置50全体の動作を制御する。処理回路52は、例えば、計画取得機能52a、付与機能52b、転送タイミング決定機能52c、転送機能52d、及び空き容量監視機能52eにて行われる各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態でメモリ51へ記憶されている。処理回路52は、プログラムをメモリ51から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路52は、
図6の処理回路52内に示された各機能を有することになる。
【0114】
なお、
図6においては単一のプロセッサにて、計画取得機能52a、付与機能52b、転送タイミング決定機能52c、転送機能52d、及び空き容量監視機能52eを実現するものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路52を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。また、
図6においては、メモリ51等の単一の記憶回路が各処理機能に対応するプログラムを記憶するものとして説明したが、複数の記憶回路を分散して配置して、処理回路52は、個別の記憶回路から対応するプログラムを読み出す構成としても構わない。
【0115】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU、GPU或いは、特定用途向け集積回路、プログラマブル論理デバイス、複合プログラマブル論理デバイス,及びフィールドプログラマブルゲートアレイ等の回路を意味する。プロセッサはメモリ51に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、メモリ51にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。
【0116】
計画取得機能52aは、DAS18の計画取得機能184aと同様の機能を有している。
【0117】
付与機能52bは、DAS18の付与機能184bと同様の機能を有している。
【0118】
転送タイミング決定機能52cは、DAS18の転送タイミング決定機能184cと同様の機能を有している。
【0119】
転送機能52dは、DAS18の転送機能184dと同様の機能を有している。
【0120】
空き容量監視機能52eは、DAS18の空き容量監視機能184eと同様の機能を有している。
【0121】
以上のように、第2の実施形態にかかるX線CT装置1aは、X線検出器12により検出されたデータを一時保存するメモリ51を備えている。また、コンソール装置40の空き容量通知機能45hは、スキャンプランに示されたスキャンを実行する前の中継装置50のメモリ51の残量に関する情報を取得する。転送タイミング決定機能184cは、スキャンプランと、メモリ51の残量に関する情報とに基づいて生成された転送プランによりスキャンデータの転送タイミングを決定する。言い換えると、X線CT装置1aは、今後のスキャンの計画に応じて、バッファのオーバーフローを起こす前にスキャンデータを転送する。よって、X線CT装置1aは、バッファの保存容量が大きくなってしまうことを抑制しつつ、被検体Pをスキャンすることができる。
【0122】
(変形例1)
第2の実施形態では、DAS18に変えて、中継装置50がX線検出器12により検出されたスキャンデータを一時保存するバッファを備えている場合について説明した。なお、X線検出器12により検出されたスキャンデータを一時保存するバッファは、DAS18と、中継装置50との両方に設置されていてもよい。
【0123】
例えば、スキャンデータの取得速度よりもX線検出器12以降の転送速度が遅い場合に、X線CT装置1bは、DAS18にバッファを設けることで、スキャンデータを効率的に転送することができる。さらに、DAS18から受信機22までの転送速度よりも受信機22からコンソール装置40までの転送速度が遅い場合に、X線CT装置1bは、DAS18にバッファを設けることで、スキャンデータを効率的に転送することができる。
【0124】
(変形例2)
また、上記実施形態では、DAS18は、スキャンデータを取得していない時に、コンソール装置40に、スキャンデータを転送すると説明している。しかしながら、DAS18は、スキャンデータの取得時に、コンソール装置40にスキャンデータを転送してもよい。
【0125】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0126】
以上の実施形態に関し、発明の一側面および選択的な特徴として以下の付記を開示する。
(付記1)
X線検出器により検出されたデータを一時保存するバッファと、
撮像プロトコルの入力を受け付ける入力部と、
前記撮像プロトコルにより指示されたスキャンの手順を示すスキャンプランを生成するプラン生成部と、
前記スキャンプランが示すスキャンを実行した場合に、前記バッファが保存可能なデータ量を超えることを通知する超過通知部と、
を備えるX線CT装置。
(付記2)
X線検出器により検出されたデータを一時保存するバッファと、
撮像プロトコルの入力を受け付ける入力部と、
前記撮像プロトコルにより指示されたスキャンの手順を示すスキャンプランを生成するプラン生成部と、
前記スキャンプランが示すスキャンを実行した場合に取得されるデータ量を算出する算出部と、
前記データ量と、前記バッファから記憶部までの前記データの転送速度とに基づいて、前記データの転送時間を通知する時間通知部と、
を備えるX線CT装置。
【符号の説明】
【0127】
1、1a、1b X線CT装置
10 架台装置
18 DAS
21 送信機
22 受信機
30 寝台装置
40 コンソール装置
50 中継装置
41、183、51 メモリ
45a 動作制御機能
45b 前処理機能
45c 再構成処理機能
45d 計画機能
45e スキャン機能
45f 状態通知機能
45g 空き容量算出機能
45h 空き容量通知機能
45i 代替案出力機能
45j 保存可否通知機能
45k 転送時間通知機能
45l データ特定機能
184a、52a 計画取得機能
184b、52b 付与機能
184c、52c 転送タイミング決定機能
184d、52d 転送機能
184e、52e 空き容量監視機能