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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-13
(45)【発行日】2024-06-21
(54)【発明の名称】作業機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/00 20060101AFI20240614BHJP
   F01N 3/28 20060101ALI20240614BHJP
   B60K 13/04 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
E02F9/00 D
F01N3/28 301V
B60K13/04 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020149376
(22)【出願日】2020-09-04
(65)【公開番号】P2022043881
(43)【公開日】2022-03-16
【審査請求日】2023-08-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内山 公
(72)【発明者】
【氏名】島田 嘉明
(72)【発明者】
【氏名】西山 渉
【審査官】高橋 雅明
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-098791(JP,A)
【文献】特開2020-054241(JP,A)
【文献】特開2016-138370(JP,A)
【文献】特開2016-094168(JP,A)
【文献】特開2012-030736(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/00
F01N 3/28
B60K 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、
前記エンジンから排出された排気中の、粒子状物質、窒素酸化物、一酸化炭素および炭化水素の少なくともいずれか1つの濃度を低下させる処理をする第1排気処理装置と、
前記第1排気処理装置を経た排気中の、粒子状物質、窒素酸化物、一酸化炭素および炭化水素の少なくともいずれか1つの濃度を低下させる処理をする第2排気処理装置とを備え、
前記第1排気処理装置の長手方向は、前後方向および左右方向に対して傾斜しており、かつ、前記第2排気処理装置の長手方向に対して傾斜している、作業機械。
【請求項2】
前記第1排気処理装置は前記第2排気処理装置の上方に配置され、
平面視において、前記第1排気処理装置と前記第2排気処理装置とが交差している、請求項1に記載の作業機械。
【請求項3】
前記エンジンから排出された排気を前記第1排気処理装置に導く導入管をさらに備え、
前記導入管は、前記第2排気処理装置の側方を通り上下方向に延び、前記第1排気処理装置の下面に接続されている、請求項2に記載の作業機械。
【請求項4】
前記第1排気処理装置を経た排気を前記第2排気処理装置に導く中継管をさらに備え、
前記中継管は、前記第1排気処理装置の下面に接続され、前記第2排気処理装置の側面に接続されている、請求項2または請求項3に記載の作業機械。
【請求項5】
前記第2排気処理装置を経た排気が流れる排気管をさらに備え、
前記排気管は、排気を大気中に排出する排気口を有し、
前記排気口は、前記第1排気処理装置の側方で、前記作業機械の後方に向いて開口している、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の作業機械。
【請求項6】
前記エンジンを収容するエンジン室と、
前記エンジン室を覆う車体カバーとをさらに備え、
前記第1排気処理装置は、前記車体カバーの天板よりも上方に配置されており、
前記天板に取り付けられ、前記第1排気処理装置を覆う排気処理カバーをさらに備え、
前記排気処理カバーに複数の換気孔が形成されている、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の作業機械。
【請求項7】
前記エンジンを支持する旋回フレームをさらに備え、
前記旋回フレームの後縁は、平面視において円弧形状に形成されており、
前記第1排気処理装置は、その長手方向が前記後縁に沿うように配置されている、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開2016/002973号(特許文献1)には、ディーゼル微粒子捕集フィルター装置と選択触媒還元装置とを有する排気処理ユニットを備える、後方超小旋回型油圧ショベルが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開2016/002973号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
排ガス規制を遵守するために複数の排気処理装置を備える作業機械においては、これら複数の排気処理装置を限られた面積の車体フレーム上に適切に配置することが求められている。
【0005】
本開示では、複数の排気処理装置を適切に配置できる作業機械が提案される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に従うと、エンジンと、エンジンから排出された排気を処理する第1排気処理装置と、第1排気処理装置を経た排気を処理する第2排気処理装置とを備える、作業機械が提案される。第1排気処理装置の長手方向は、前後方向および左右方向に対して傾斜しており、かつ、第2排気処理装置の長手方向に対して傾斜している。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る作業機械によれば、複数の排気処理装置を適切に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に基づく油圧ショベルの構成を概略的に示す左側面図である。
図2図1に示される油圧ショベルの、車体右後部を拡大して示す平面図である。
図3図2に示される矢印III方向から見た、油圧ショベル車体右後部の背面図である。
図4図2に示される矢印IV方向から見た、油圧ショベル車体右後部の右側面図である。
図5】エンジンフードおよび排気処理カバーを取り外した油圧ショベルの車体右後部の平面図である。
図6図5に示される矢印VI方向から見た、油圧ショベル車体右後部の背面図である。
図7】排気処理装置の支持構造の背面図である。
図8】排気処理装置の支持構造の右側面図である。
図9】支持フレームに搭載された排気処理装置を示す斜視図である。
図10】支持フレームの斜視図である。
図11】還元剤の経路およびエンジンの排気の経路を模式的に示す機能図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について図面に基づいて説明する。以下の説明では、同一部品には、同一の符号を付している。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0010】
実施形態においては、作業機械の一例として、後方超小旋回型の油圧ショベルについて説明する。後方超小旋回型の油圧ショベルとは、旋回時に車体後方の安全を確保できるよう、旋回体の後端旋回半径が走行体全幅の120%以内で全旋回できるが、フロント最小旋回半径の全旋回は走行体全幅の120%を越えるものである(日本工業規格による定義(JIS A 8340-4))。他の種類の作業機械に実施形態の思想を適用することも可能である。
【0011】
図1は、実施形態に基づく油圧ショベル1の構成を概略的に示す左側面図である。図1に示されるように、本実施形態の油圧ショベル1は、走行体2と、旋回体3と、作業機4とを主に備えている。走行体2と旋回体3とにより、油圧ショベル1の車体が構成されている。
【0012】
走行体2は、左右一対の履帯を有している。左右一対の履帯が回転駆動することにより、油圧ショベル1が自走可能に構成されている。旋回体3は、走行体2上に搭載されている。旋回体3は、スイングサークル部を介して、走行体2に対して旋回自在に設置されている。
【0013】
旋回体3は、キャブ10を有している。キャブ10は、旋回体3の左前部(車両前部)に配置されている。キャブ10は、油圧ショベル1の車体に載置されている。キャブ10の内部に、運転室が形成されている。運転室は、オペレータが油圧ショベル1を操作するための空間である。運転室内には、オペレータが着座するための運転席が配置されている。
【0014】
作業機4は、土砂の掘削などの作業を行うためのものである。作業機4は、ブーム4A、アーム4B、バケット4C、油圧シリンダ4Dなどを有している。ブーム4Aの基端部は、ブームピンを中心として旋回体3に対して両方向に回転可能に、旋回体3に取り付けられている。アーム4Bの基端部は、アームピンを中心としてブーム4Aに対して両方向に回転可能に、ブーム4Aの先端部に取り付けられている。バケット4Cは、バケットピンを中心としてアーム4Bに対して両方向に回転可能に、アーム4Bの先端部に取り付けられている。ブーム4A、アーム4Bおよびバケット4Cの各々が油圧シリンダ4Dによって駆動されることにより、作業機4は駆動可能である。
【0015】
本実施形態においては、作業機4を基準として、油圧ショベル1の各部の位置関係について説明する。
【0016】
作業機4のブーム4Aは、旋回体3に対して、ブームピンを中心に回転移動する。旋回体3に対して回動するブーム4Aの特定の部分、たとえばブーム4Aの先端部が移動する軌跡は円弧状であり、その円弧を含む平面が特定される。油圧ショベル1を平面視した場合に、当該平面は直線として表される。この直線の延びる方向が、車両本体の前後方向、または旋回体3の前後方向であり、以下では単に前後方向ともいう。車両本体の左右方向(車幅方向)、または旋回体3の左右方向とは、平面視において前後方向と直交する方向であり、以下では単に左右方向ともいう。左右方向とは、ブームピンの延びる方向をいう。車両本体の上下方向、または旋回体3の上下方向とは、前後方向および左右方向によって定められる平面に直交する方向であり、以下では単に上下方向ともいう。
【0017】
前後方向において、車両本体から作業機4が突き出している側が前方向であり、前方向と反対方向が後方向である。前方向を視て左右方向の右側、左側がそれぞれ右方向、左方向である。上下方向において地面のある側が下側、空のある側が上側である。
【0018】
前後方向とは、キャブ10内の運転席に着座したオペレータの前後方向である。左右方向とは、運転席に着座したオペレータの左右方向である。上下方向とは、運転席に着座したオペレータの上下方向である。運転席に着座したオペレータに正対する方向が前方向であり、運転席に着座したオペレータの背後方向が後方向である。運転席に着座したオペレータが正面に正対したときの右側、左側がそれぞれ右方向、左方向である。運転席に着座したオペレータの足元側が下側、頭上側が上側である。
【0019】
図1および以下の図においては、前後方向Xと、左右方向Yと、上下方向Zとを、それぞれ両矢印で示している。
【0020】
作業機4は、旋回体3の前部に取り付けられている。作業機4は、キャブ10に対し右方に配置されている。キャブ10と作業機4との配置はこの例に限られるものではなく、旋回体3の右前部に配置されたキャブ10に対し左方に作業機4が配置されていてもよい。
【0021】
図2は、図1に示される油圧ショベル1の、車体右後部を拡大して示す平面図である。図3は、図2に示される矢印III方向から見た、油圧ショベル1の車体右後部の背面図である。図4は、図2に示される矢印IV方向から見た、油圧ショベル1の車体右後部の右側面図である。
【0022】
図1および図2~4に示されるように、旋回体3は、車体カバー8を有している。車体カバー8は、旋回体3の上面を構成する天板8Aを有している。油圧ショベル1の駆動源であるエンジンは、旋回体3に搭載されている。エンジンを収容するエンジン室は、旋回体3上に設けられている。車体カバー8は、エンジン室の少なくとも上方を覆うエンジンフード8Bを有している。車体カバー8はまた、メンテナンス作業時に作業者が載る足場8Cを有している。
【0023】
図1および図2~4に示されるように、車体カバー8には、右方カメラ91と、後方カメラ92と、左方カメラ93とが取り付けられている。右方カメラ91は、右方を向き、油圧ショベル1の右方の地形および障害物などを撮像する。後方カメラ92は、後方を向き、油圧ショベル1の後方の地形および障害物などを撮像する。左方カメラ93は、左方を向き、油圧ショベル1の左方の地形および障害物などを撮像する。
【0024】
車体カバー8の天板8Aには、排気処理カバー70が取り付けられている。排気処理カバー70は、車体カバー8の天板8Aの上側に配置されている。排気処理カバー70は、車体カバー8の天板8Aから上方に突き出ている。排気処理カバー70は、排ガス規制を遵守するためにエンジンの排気を処理する排気処理装置の、少なくとも上方を覆っている。
【0025】
排気処理カバー70には、排気開口75が形成されている。排気処理装置を経たエンジンの排気が流れる排気管15は、排気を大気中に排出する排気口16を有している。排気口16は、排気開口75を介して排気処理カバー70から露出している。排気開口75は円形の開口であり、排気開口75の上縁には庇部76が設けられている。庇部76によって、排気管15が保護されるとともに、水分が排気口16を経由して排気管15内へ浸入することが抑制されている。排気開口75は、排気処理カバー70の後面に形成されている。排気開口75は、排気処理カバー70の上面の高さ位置よりも低く配置されている。排気口16は、排気処理カバー70の上面の高さ位置よりも低く配置されている。
【0026】
排気処理カバー70には、排気開口75とは別の開口である複数の換気孔71~73が形成されている。換気孔71は右後方に向いて開口している。換気孔72は後方に向いて開口している。換気孔73は左後方に向いて開口している。換気孔71~73は、旋回体3の縁部に向いて開口している。換気孔71~73は、キャブ10に向く方向には開口していない。換気孔71~73は、足場8Cに向く方向には開口していない。
【0027】
図5は、エンジンフード8Bおよび排気処理カバー70を取り外した油圧ショベル1の車体右後部の平面図である。図6は、図5に示される矢印VI方向から見た、油圧ショベル1の車体右後部の背面図である。
【0028】
エンジン7は、走行体2および作業機4を駆動するための動力源である。エンジン7は、エンジンフード8Bの下方のエンジン室に収容されている。エンジン7は、大きい重量を有しているため、作業機4との重量バランスを考慮して、旋回体3の後部に配置されている。
【0029】
エンジン7の排気は、第1排気処理装置12および第2排気処理装置14によって処理される。第1排気処理装置12は、エンジン7から排出された排気を処理するよう構成されている。第2排気処理装置14は、第1排気処理装置12を経た排気を処理するよう構成されている。
【0030】
第1排気処理装置12は、たとえばディーゼル微粒子捕集フィルター装置である。ディーゼル微粒子捕集フィルター装置は、フィルターを主に有している。ディーゼル微粒子捕集フィルター装置は、エンジン7の排気中に含まれる粒子状物質をフィルターによって捕集する。フィルターは、たとえばセラミックよりなっている。このディーゼル微粒子捕集フィルター装置により、排気中の粒子状物質の濃度を低下させることができる。
【0031】
第2排気処理装置14は、たとえば選択触媒還元装置である。選択触媒還元装置は、たとえば還元剤との反応によって排気中に含まれている窒素酸化物を還元し、窒素酸化物を無害な窒素ガスに化学変化して、排気中の窒素酸化物濃度を低下させる。選択触媒還元装置は、エンジン7からの排気を処理する装置であり、還元剤としての尿素水を加水分解して窒素酸化物NOを還元するためのものである。選択触媒還元装置は、原理的には、アンモニア(NH)が窒素酸化物(NO)と化学反応することで窒素(N)と水(HO)とに還元されることを応用したものである。
【0032】
ただしアンモニアを油圧ショベル1に積むのではなく、還元剤タンクとして、たとえば尿素水を入れた還元剤タンクが油圧ショベル1に搭載されている。還元剤としては、たとえば尿素水が好適に用いられるが、これに限られるものではなく、窒素酸化物NOを還元できるものであればよい。
【0033】
なお、本明細書中では、還元剤および還元剤の前駆体を「還元剤」として総称するものとする。また第1排気処理装置12はディーゼル酸化触媒装置であってもよく、また第1排気処理装置12および第2排気処理装置14は、ディーゼル微粒子捕集フィルター装置、ディーゼル酸化触媒装置、および選択触媒還元装置の任意の組み合わせであってもよい。
【0034】
第1排気処理装置12および第2排気処理装置14は、エンジン7の側方、たとえばエンジン7の右方に配置されている。第1排気処理装置12は、中継管13を通じて第2排気処理装置14と接続されている。中継管13は、第1排気処理装置12を経た排気を第2排気処理装置14に導くよう構成されている。
【0035】
第2排気処理装置14には、排気管15が接続されている。排気管15は、第2排気処理装置14の上面に接続されており、第2排気処理装置14から上方へ延びている。排気管15は上下方向Zに延びている。第2排気処理装置14を経た排気は、排気管15内を下から上へ流れる。排気管15は、排気を大気中に排出する排気口16を有している。排気口16は、油圧ショベル1の後方に向いて開口している。このため排気は、排気口16から油圧ショベル1の後方に向かって排出される。
【0036】
排気口16は、排気管15の上端に形成されている。排気口16は、第1排気処理装置12の側方において開口している。上下方向Zにおいて、排気口16は、第1排気処理装置12と重なる位置に配置されている。排気口16は、第1排気処理装置12の上面の高さ位置よりも低い位置に位置している。排気口16は、第2排気処理装置14の上面の高さ位置よりも高い位置に位置している。排気口16は、車体カバー8の天板8Aの高さ位置よりも高い位置に位置している。
【0037】
第1排気処理装置12は、第2排気処理装置14の上方に配置されている。第1排気処理装置12は、車体カバー8の天板8Aよりも上方に配置されている。図2~4を併せて参照して、第1排気処理装置12は、排気処理カバー70によって上方および側方を覆われている。第2排気処理装置14は、車体カバー8の天板8Aよりも下方に配置されている。
【0038】
図5において一点鎖線で示す軸線L1は、第1排気処理装置12の長手方向を示す。第1排気処理装置12は略円筒状の外形を有しており、軸線L1はその円筒の中心線に対応する。
【0039】
軸線L1で示される第1排気処理装置12の長手方向は、油圧ショベル1の前後方向Xおよび左右方向Yに対して傾斜している。第1排気処理装置12内における排気の流れ方向は、前から後に向かう方向である。第1排気処理装置12は、排気流れの上流端が下流端よりも前方にあり、かつ排気流れの上流端が下流端よりも右方にあるように、傾斜して配置されている。
【0040】
図5において一点鎖線で示す軸線L2は、第2排気処理装置14の長手方向を示す。第2排気処理装置14は略円筒状の外形を有しており、軸線L2はその円筒の中心線に対応する。
【0041】
軸線L2で示される第2排気処理装置14の長手方向は、油圧ショベル1の前後方向Xおよび左右方向Yに対して傾斜している。第2排気処理装置14内における排気の流れ方向は、前から後に向かう方向である。第2排気処理装置14は、排気流れの上流端が下流端よりも前方にあり、かつ排気流れの上流端が下流端よりも左方にあるように、傾斜して配置されている。
【0042】
第1排気処理装置12の長手方向は、第2排気処理装置14の長手方向に対して傾斜している。第1排気処理装置12の長手方向と第2排気処理装置14の長手方向とは非平行である。図5に示される平面視において、第1排気処理装置12と第2排気処理装置14とは、交差している。平面視とは、図5に示されるように、上下方向Zに沿って上方から下方に向かって見ることを意味する。平面視において、第1排気処理装置12と第2排気処理装置14とは重なっている。
【0043】
足場8Cは、エンジン7の一部を上方から覆うように配置されている。作業者は、足場8Cに載ってエンジン7にアクセスして、エンジン7のメンテナンス作業を行うことができる。足場8Cは、第1排気処理装置12の側方、具体的には第1排気処理装置12の左方に配置されている。作業者は、足場8Cに載って第1排気処理装置12にアクセスして、たとえばフィルターの清掃または交換などの、第1排気処理装置12のメンテナンス作業を行うことができる。
【0044】
図7は、排気処理装置の支持構造の背面図である。図8は、排気処理装置の支持構造の右側面図である。図7には、後方から見た排気処理装置とその支持構造とが図示されている。図8には、右方から見た排気処理装置とその支持構造とが図示されている。
【0045】
油圧ショベル1は、旋回フレーム31を備えている。エンジン7および排気処理装置は、旋回フレーム31の上方に配置されており、旋回フレーム31により支持されている。平面視した旋回フレーム31の後縁は、旋回体3の旋回中心を中心とした円弧形状に形成されている。旋回フレーム31に搭載されるエンジン7および排気処理装置などの各種の装置が、円弧形状の旋回フレーム31に収まるように配置されていることで、後面の旋回半径を小さくした後方超小旋回型の油圧ショベル1が実現されている。
【0046】
図2を併せて参照して、エンジン7を覆う車体カバー8もまた、後縁が円弧形状に形成されている。また図5を参照して、第1排気処理装置12は、その長手方向が旋回フレーム31の後縁(車体カバー8の後縁)の円弧形状に沿うように配置されている。
【0047】
旋回フレーム31は、一対の縦板34L,34Rを有している。縦板34L,34Rは、旋回フレーム31の、左右方向Yの中央部分に位置している。縦板34L,34Rは、前後方向Xおよび上下方向Zに延び、上方に立ち上がる板材により形成されている。一対の縦板34L,34Rは、左右方向Yに互いに間隔を空けて配置されている。縦板34Lは、縦板34Rの左方に、縦板34Rから離れて配置されている。縦板34Rは、縦板34Lの右方に、縦板34Lから離れて配置されている。作業機4(図1)は、一対の縦板34L,34Rの前端部に、縦板34L,34Rに対して相対回転可能に支持されている。
【0048】
旋回フレーム31は、左右方向Yにおいて一対の縦板34L,34Rの間のセンタフレーム31Cと、左右方向Yにおいて縦板34Lよりも左方の左サイドフレーム31Lと、左右方向Yにおいて縦板34Rよりも右方の右サイドフレーム31Rとを有している。左サイドフレーム31Lは、センタフレーム31Cの左側に配置されている。右サイドフレーム31Rは、センタフレーム31Cの右側に配置されている。センタフレーム31C、左サイドフレーム31Lおよび右サイドフレーム31Rは、一体に形成されている。
【0049】
縦板34L,34Rには、複数のエンジンマウント支持部36が、たとえば溶接などにより一体的に取り付けられている。エンジン7は、エンジンマウント35を介して、エンジンマウント支持部36上に搭載されて、旋回フレーム31に対して支持されている。強度の大きい縦板34L,34Rにエンジンマウント支持部36を設けることにより、重量の大きいエンジン7を旋回フレーム31上に支持することが可能とされている。エンジン7は、縦板34L,34Rの間にほぼ配置されている。
【0050】
エンジン7に対して右方に、油圧ポンプ9が配置されている。油圧ポンプ9は、縦板34Rの右方に配置されている。油圧ポンプ9は、エンジン7の出力軸に連結されており、エンジン7の動力を受けて作動する。油圧ポンプ9は、作業機4を駆動させるための油圧シリンダ4D、走行体2を走行させるための走行モータ、および旋回体3を走行体2に対して旋回させる旋回モータなどの、各種のアクチュエータに作動油を供給する。第1排気処理装置12と第2排気処理装置14とは、油圧ポンプ9の上方に配置されている。
【0051】
第1排気処理装置12および第2排気処理装置14を旋回フレーム31上に支持する支持構造は、3本の柱部材61,62,63と、後述する支持フレーム40とを含んでいる。柱部材61,62,63は、上下方向に延び、その延在方向に圧縮荷重が負荷される柱として機能している。柱部材61,62,63によって、旋回フレーム31に対して3箇所で、第1排気処理装置12と第2排気処理装置14とが支持されている。これにより、重量の大きい第1排気処理装置12と第2排気処理装置14とが、旋回フレーム31上に強固に支持されている。
【0052】
柱部材61は、エンジンマウント支持部36を介して、縦板34Rに支持されている。縦板34Rから左方に突き出るエンジンマウント支持部36が縦板34Rに一体的に形成されており、柱部材61の下端部はそのエンジンマウント支持部36に取り付けられている。柱部材62の下端部は、右サイドフレーム31Rに取り付けられている。柱部材62は、縦板34Rから右方に離れて配置されている。柱部材63の下端部は、縦板34Rの直ぐ左の位置で、センタフレーム31Cに取り付けられている。柱部材63は、一対の縦板34L,34Rの間に配置されており、旋回フレーム31の後縁の近傍に配置されている。
【0053】
前後方向Xにおいて前から後へ、柱部材61、柱部材62および柱部材63が、この順に配置されている。左右方向Yにおいて右から左へ、柱部材62,柱部材61および柱部材63が、この順に配置されている。柱部材61,62,63は、たとえばボルトに代表される締結部材を用いて、旋回フレーム31に固定されている。
【0054】
図9は、支持フレーム40に搭載された第1排気処理装置12および第2排気処理装置14を示す斜視図である。図10は、支持フレーム40の斜視図である。なお図10には、図9から、図9に示される第1排気処理装置12、第2排気処理装置14、導入管11、中継管13および排気管15の図示を省略した状態が図示されている。
【0055】
図7,8および図8,9を参照して、第1排気処理装置12は、導入管11を通じてエンジン7と接続されている。導入管11は、エンジン7から排出された排気を第1排気処理装置12に導くように構成されている。導入管11は、第2排気処理装置14の側方を通り上下方向に延び、第1排気処理装置12の下面に接続されている。エンジン7の排気は、導入管11内を下から上へ流れて、下方から第1排気処理装置12へ流入する。図8に示されるように、導入管11は、第2排気処理装置14よりも旋回フレーム31の右側縁に近く配置されている。
【0056】
導入管11は、第1排気処理装置12の長手方向の一端部に接続されている。導入管11は、排気の流れ方向における第1排気処理装置12の上流端部に接続されている。第1排気処理装置12の長手方向は前後方向Xおよび左右方向Yに対して傾斜しているので、導入管11は、前後方向Xにおける第1排気処理装置12の前端部に接続されており、左右方向Yにおける第1排気処理装置12の右端部に接続されている。
【0057】
第1排気処理装置12を経た排気を第2排気処理装置14に導く中継管13は、第1排気処理装置12の下面に接続され、第2排気処理装置14の側面に接続されている。
【0058】
中継管13は、第1排気処理装置12の長手方向の他端部に接続されている。中継管13は、排気の流れ方向における第1排気処理装置12の下流端部に接続されている。第1排気処理装置12の長手方向は前後方向Xおよび左右方向Yに対して傾斜しているので、中継管13は、前後方向Xにおける第1排気処理装置12の後端部に接続されており、左右方向Yにおける第1排気処理装置12の左端部に接続されている。
【0059】
中継管13は、第1排気処理装置12から下方に延びる縦管部と、縦管部の下端から折れ曲がり第2排気処理装置14に沿って延びる横管部とを有している。横管部の長手方向は、第2排気処理装置14の長手方向と略同一の方向である。図5を併せて参照して、中継管13は、第2排気処理装置14の左方に配置されている。中継管13は、第2排気処理装置14よりもエンジン7に近く配置されている。中継管13は、第2排気処理装置14よりも旋回フレーム31の右側縁から離れて配置されている。
【0060】
横管部は、排気流れの上流端の近傍に、中継管13の径が拡大した大径部13Aを有している。大径部13Aには、インジェクタ27が取り付けられている。インジェクタ27は、中継管13内に還元剤を噴射する。中継管13は、排気中に還元剤を噴射して混合するミキシング配管としての機能を有している。インジェクタ27が中継管13の上流側に接続されているので、中継管13内に供給された還元剤は、第2排気処理装置14に到達するまでに排気と混合される。
【0061】
中継管13は、第2排気処理装置14の長手方向の一端部に接続されている。中継管13は、排気の流れ方向における第2排気処理装置14の上流端部に接続されている。第2排気処理装置14の長手方向は前後方向Xおよび左右方向Yに対して傾斜しているので、中継管13は、前後方向Xにおける第2排気処理装置14の前端部に接続されており、左右方向Yにおける第2排気処理装置14の左端部に接続されている。中継管13は、第2排気処理装置14の左面に接続されている。
【0062】
第2排気処理装置14の長手方向の他端部に、排気管15が接続されている。排気管15は、排気の流れ方向における第2排気処理装置14の下流端部に接続されている。第2排気処理装置14の長手方向は前後方向Xおよび左右方向Yに対して傾斜しているので、排気管15は、前後方向Xにおける第2排気処理装置14の後端部に接続されており、左右方向Yにおける第2排気処理装置14の右端部に接続されている。図5,6を併せて参照して、排気管15は、第1排気処理装置12の右方に配置されており、第1排気処理装置12の後方に配置されている。排気管15は、第1排気処理装置12よりも旋回フレーム31の縁部に近く配置されている。
【0063】
図10に示される支持フレーム40は、図7,8を参照して説明した3本の柱部材61,62,63上に搭載されており、柱部材61,62,63の上端に固定されている。支持フレーム40は、柱部材61,62,63によって支持されている。第1排気処理装置12および第2排気処理装置14は、支持フレーム40により支持されている。第1排気処理装置12および第2排気処理装置14は、支持フレーム40を介して柱部材61,62,63に支持されている。支持フレーム40は、柱部材61,62,63を介して、旋回フレーム31に支持されている。第1排気処理装置12および第2排気処理装置14は、支持フレーム40と柱部材61,62,63とを含む支持構造によって、旋回フレーム31上に支持されている。
【0064】
支持フレーム40は、第1床部41と、梁部46,47と、第2床部51と、壁部材57,58と、中継管支持部66とを主に有している。
【0065】
第1床部41は、支持フレーム40の1階部分をなす。第1床部41は、油圧ポンプ9の上方に配置されている。第1排気処理装置12と第2排気処理装置14とのうち、下方に配置される第2排気処理装置14が、第1床部41に搭載される。第1床部41は、平板状の概略形状を有しており、略水平に延びている。図6を参照して、第1床部41は、車体カバー8の天板8Aよりも低い位置に配置されている。
【0066】
第1床部41の上面に、一対の支持ブラケット42,43が取り付けられている。支持ブラケット42,43は、第2排気処理装置14の長手方向に並び、間隔を空けて配置されている。支持ブラケット42には取付具44が取り付けられ、支持ブラケット43には取付具45が取り付けられる。取付具44,45は、たとえばU字ボルトである。
【0067】
図9に示されるように、第2排気処理装置14は一対の支持ブラケット42,43上に搭載される。この状態で、略U字状の取付具44が円筒状の第2排気処理装置14の上面および側面を取り囲んで、取付具44の両端が支持ブラケット42に固定され、略U字状の取付具45が第2排気処理装置14の上面および側面を取り囲んで、取付具44の両端が支持ブラケット43に固定される。このようにして、第2排気処理装置14が、第1床部41上に載置され、第1床部41によって下方から支持される。
【0068】
第2床部51は、支持フレーム40の2階部分をなす。第2床部51は、第1床部41の上方に配置されている。第2床部51は、第1床部41に搭載される第2排気処理装置14の上方に配置されている。第1排気処理装置12と第2排気処理装置14とのうち、上方に配置される第1排気処理装置12が、第2床部51に搭載される。第2床部51は、平板状の概略形状を有しており、略水平に延びている。第1床部41と第2床部51とは、略平行に延びている。図6を参照して、第2床部51は、車体カバー8の天板8Aよりも高い位置に配置されている。
【0069】
第2床部51の上面に、一対の支持ブラケット52,53が取り付けられている。支持ブラケット52,53は、第1排気処理装置12の長手方向に並び、間隔を空けて配置されている。支持ブラケット52には取付具54が取り付けられ、支持ブラケット53には取付具55が取り付けられる。取付具54,55は、たとえばU字ボルトである。
【0070】
図9に示されるように、第1排気処理装置12は一対の支持ブラケット52,53上に搭載される。この状態で、略U字状の取付具54が円筒状の第1排気処理装置12の上面および側面を取り囲んで、取付具54の両端が支持ブラケット52に固定され、略U字状の取付具55が第1排気処理装置12の上面および側面を取り囲んで、取付具55の両端が支持ブラケット53に固定される。このようにして、第1排気処理装置12が、第2床部51上に載置され、第2床部51によって下方から支持される。
【0071】
壁部材57,58は、略上下方向に延び、第1床部41と第2床部51とを連結して、第2床部51を第1床部41の上方に支持する。第1床部41に第2排気処理装置14が搭載された状態で、壁部材57と壁部材58との間に第2排気処理装置14が配置され、壁部材57と壁部材58とは第2排気処理装置14の両側に配置される。左右方向Yにおいて、壁部材57は第2排気処理装置14よりも右方に配置され、壁部材58は第2排気処理装置14よりも左方に配置される。第2床部51と壁部材57,58とを含む第1排気処理装置12の支持構造体は、第2排気処理装置14を跨いで配置される。
【0072】
壁部材58は、壁部材57に向く対向面と、対向面と反対側の反対面とを有している。壁部材58の反対面に、中継管支持部66が取り付けられている。中継管支持部66には取付具67が取り付けられる。取付具67は、たとえばU字ボルトである。
【0073】
図9に示されるように、略U字状の取付具67が中継管の上面、下面および一方の側面を取り囲んで、取付具67の両端が中継管支持部66に固定されることにより、中継管13が中継管支持部66によって支持される。
【0074】
梁部46は、第1床部41の上面に固定されている。梁部47は、第1床部41の下面に固定されている。梁部46は、前後方向Xに沿って延びている。梁部46の前端は、柱部材61の上部に固定される。梁部46の後端は、柱部材63の上端に固定される。梁部47は、左右方向Yに沿って延びている。梁部47は、梁部46から右方に延びるように配置されており、梁部47の左端は梁部46の下方にある。梁部47の右端が柱部材62によって支持されている。
【0075】
このような構成を備えている支持フレーム40と、支持フレーム40に搭載される第1排気処理装置12および第2排気処理装置14とが、図7,8に示される3本の柱部材61,62,63によって下方から支持され、柱部材61,62,63を介して旋回フレーム31上に支持されている。
【0076】
図11は、還元剤90の経路およびエンジン7の排気の経路を模式的に示す機能図である。図11に示されるように、エンジン7から排出された排気は、導入管11、第1排気処理装置12、中継管13、第2排気処理装置14、排気管15を順に経て、大気中に排出される。第2排気処理装置14に対して排気の流れの上流側の中継管13に、インジェクタ27が設けられている。インジェクタ27は、噴射ノズル28を有している。
【0077】
還元剤タンク20の内部には、還元剤90が貯留されている。還元剤タンク20の内部には、還元剤タンク20から還元剤90を流出する吸出管24が配置されている。吸出管24の先端には、ストレーナ26が接続されている。吸出管24は、送り配管21に連結されている。還元剤タンク20から吸い出された還元剤90は、還元剤ポンプ22によって移送され、送り配管21および圧送配管25を順に経由して、インジェクタ27へ到達する。排気処理に使用されない還元剤90は、還元剤ポンプ22から戻し配管23を経由して、還元剤タンク20へ戻される。
【0078】
インジェクタ27は、還元剤タンク20から吸い出した還元剤90を第2排気処理装置14に対し排気の上流側の中継管13に供給する。噴射ノズル28により、中継管13内を流れる排気中に還元剤90が噴射される。第2排気処理装置14において、排気中に含有される窒素酸化物が還元剤90と反応することにより、排気中の窒素酸化物の濃度が減少する。還元剤90が尿素水である場合、中継管13内において尿素水は分解してアンモニアへと変化し、窒素酸化物とアンモニアとの反応によって窒素酸化物は無害な窒素および酸素に分解される。窒素酸化物の量が適正値に低下した排気が、排気口16から排出される。
【0079】
上述した説明と一部重複する記載もあるが、本実施形態の特徴的な構成および作用効果についてまとめて記載すると、以下の通りである。
【0080】
図5に示されるように、軸線L1で示される第1排気処理装置12の長手方向は、油圧ショベル1の前後方向Xおよび左右方向Yに対して傾斜している。かつ、第1排気処理装置12の長手方向は、軸線L2で示される第2排気処理装置14の長手方向に対して傾斜している。
【0081】
このように第1排気処理装置12と第2排気処理装置14とを配置することで、限られた面積の旋回フレーム31上に、複数の排気処理装置を適切に配置することができる。かつ、第1排気処理装置12および第2排気処理装置14に接続される配管の経路を適切に設定することができる。排気処理装置および配管を適切に配置することで、エンジン7および第1排気処理装置12のメンテナンス作業用のスペースとなる足場8Cの必要な面積を確保することができ、メンテナンス作業の作業性の低下を回避することができる。
【0082】
図5に示されるように、第1排気処理装置12は第2排気処理装置14の上方に配置されており、平面視において第1排気処理装置12と第2排気処理装置14とが交差している。第1排気処理装置12と第2排気処理装置14とを上下方向Zに積み重ねて配置することで、第1排気処理装置12と第2排気処理装置14との占める面積が小さくなるので、限られた面積の旋回フレーム31上に、複数の排気処理装置を適切に配置することができる。
【0083】
図8に示されるように、エンジン7から排出された排気を第1排気処理装置12に導く導入管11は、第2排気処理装置14の側方を通り上下方向に延び、第1排気処理装置12の下面に接続されている。第2排気処理装置14の上方に配置されている第1排気処理装置12が、第2排気処理装置14に対して傾斜して配置され、長手方向が交差していることにより、上下方向に延びる導入管11の上端を第1排気処理装置12の下面に接続することが可能になる。導入管11の経路が適切に設定されるので、導入管11の長さを短くできるとともに、導入管11内を流れる排気の流れの圧力損失を低減することができる。
【0084】
図9に示されるように、第1排気処理装置12を経た排気を第2排気処理装置14に導く中継管13は、第1排気処理装置12の下面に接続され、第2排気処理装置14の側面に接続されている。第2排気処理装置14の上方に配置されている第1排気処理装置12が、第2排気処理装置14に対して傾斜して配置され、長手方向が交差していることにより、中継管13の上流端を第1排気処理装置12の下面に接続することが可能になる。中継管13を、第1排気処理装置12と接続される位置の下方から第2排気処理装置14に沿わせて配置することが可能になり、中継管13の経路を適切に設定できるので、中継管13の長さを短くすることができる。
【0085】
図6に示されるように、第2排気処理装置14を経た排気が流れる排気管15は、排気を大気中に排出する排気口16を有している。排気口16は、第1排気処理装置12の側方で、油圧ショベル1の後方に向いて開口している。排気管15の上端の排気口16の高さ位置を第1排気処理装置12の上面よりも低くすることで、排気管15がキャブ10に搭乗したオペレータの視界の妨げとなることを回避でき、油圧ショベル1の右後方の視界性を確保することができる。
【0086】
図2~4に示されるように、第1排気処理装置12は、排気処理カバー70に覆われている。排気処理カバー70を取り外すことで第1排気処理装置12に容易にアクセスが可能であるため、第1排気処理装置12の定期的なメンテナンス作業が容易になる。排気処理カバー70に、複数の換気孔71~73が形成されている。第1排気処理装置12がディーゼル微粒子捕集フィルター装置である場合、フィルターで捕捉された粒子状物質を燃焼再生させるため、熱を発生する。第1排気処理装置12を覆う排気処理カバー70に複数の換気孔71~73が形成されていることで、第1排気処理装置12の収容空間を容易に換気することができ、第1排気処理装置12の収容空間内の温度の上昇を抑制することができる。
【0087】
図5に示されるように、エンジン7を支持する旋回フレーム31の後縁は、平面視において円弧形状に形成されている。第1排気処理装置12は、その長手方向が旋回フレーム31の後縁に沿うように配置されている。複数の排気処理装置および配管を適切に配置することで、旋回フレーム31の面積の小さい後方超小旋回型の油圧ショベル1に、複数の排気処理装置を容易に搭載することができる。
【0088】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0089】
1 油圧ショベル、2 走行体、3 旋回体、4 作業機、7 エンジン、8 車体カバー、8A 天板、8B エンジンフード、8C 足場、10 キャブ、11 導入管、12 第1排気処理装置、13 中継管、13A 大径部、14 第2排気処理装置、15 排気管、16 排気口、27 インジェクタ、31 旋回フレーム、31C センタフレーム、31L 左サイドフレーム、31R 右サイドフレーム、34L,34R 縦板、35 エンジンマウント、40 支持フレーム、41 第1床部、42,43,52,53 支持ブラケット、44,45,54,55,67 取付具、46,47 梁部、51 第2床部、57,58 壁部材、61,62,63 柱部材、66 中継管支持部、70 排気処理カバー、71~73 換気孔、75 排気開口、76 庇部、L1,L2 軸線。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11