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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-13
(45)【発行日】2024-06-21
(54)【発明の名称】音響システムおよび音響連動システム
(51)【国際特許分類】
   G10L 19/018 20130101AFI20240614BHJP
【FI】
G10L19/018
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020152816
(22)【出願日】2020-09-11
(65)【公開番号】P2022047088
(43)【公開日】2022-03-24
【審査請求日】2022-11-15
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000223182
【氏名又は名称】TOA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100163979
【弁理士】
【氏名又は名称】濱名 哲也
(72)【発明者】
【氏名】兵庫 寿昭
【審査官】菊池 智紀
(56)【参考文献】
【文献】特表2004-514162(JP,A)
【文献】特開2020-078033(JP,A)
【文献】特開2017-038955(JP,A)
【文献】特開2019-129522(JP,A)
【文献】特開2019-191336(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0058065(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10L 19/018
H04B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の動作部と、
複数の前記動作部に対して、識別情報が埋め込まれた透かし音響信号を音として出力する音響装置と、
複数の前記動作部それぞれに設けられるものであって、かつ、少なくとも前記透かし音響信号を収音する収音装置と、
複数の前記動作部それぞれに設けられるものであって、かつ、前記透かし音響信号から前記識別情報を抽出する抽出装置と、
複数の前記動作部それぞれに設けられるものであって、かつ、前記識別情報に対応づけられる制御信号に基づいて前記動作部を動作させる制御装置と、を備え、
複数の前記動作部は、照明装置の照明部、芳香装置の芳香出力ポンプ、芳香装置の調合部、並びに、空調装置における冷媒回路およびファンからなる群のいずれか1種によって構成され、または、前記群において機能が異なる複数種のものによって構成され、
前記透かし音響信号は、前記制御信号に対応づけられる複数の前記識別情報が異なるタイミングで埋め込められる音として構成され、
複数の前記動作部それぞれに設けられる前記制御装置のうちの2つは、それぞれ、第1制御装置と、第2制御装置と定義され、
前記第1制御装置および前記第2制御装置それぞれは、複数の前記制御信号と、前記制御信号に対応づけられる識別情報と、を記憶し、
前記第1制御装置および前記第2制御装置それぞれは、同じ複数の前記制御信号を有し、
前記第1制御装置において前記制御信号と対応づけられる識別情報は、前記第2制御装置において前記制御信号と対応付けられる識別情報と異なる
音響システム。
【請求項2】
請求項1に記載の音響システムと、複数の動作装置とを備え、
複数の前記動作装置のうちの1つは、前記第1制御装置を備える前記動作部を有し、
複数の前記動作装置のうちの他の1つは、前記第2制御装置を備える前記動作部を有する、音響連動システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音響システムおよび音響連動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
音に連動するシステムとして、特許文献1に記載の遊技機が知られている。同文献に記載の遊技機では、音響・動作制御部から出力される演出駆動指令に呼応して遊戯シートを振動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-10591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、映画館などのアミューズメント施設では、所謂4D技術を使って、投影される映像に合わせて光や香り、霧(水滴)などを発生させて、臨場感を出す演出が行われている。このような演出を実現するシステムでは、それぞれの機器を動作させるタイミングが緻密に計算されている。このような演出を行うためには専用の機器が必要であり、このような演出を行うことは困難である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)上記課題を解決する音響システムは、識別情報が埋め込まれた透かし音響信号を音として出力する音響装置と、少なくとも前記透かし音響信号を収音する収音装置と、前記透かし音響信号から前記識別情報を抽出する抽出装置と、前記識別情報に対応づけられる制御信号に基づいて動作部を動作させる制御装置と、を備える。この構成によれば、透かし音響信号で制御装置を介して動作部を制御できる。このように、音響システムは、音によって動作部の動作を制御できるため、音に呼応した演出を簡単に行うことができる。
【0006】
(2)上記音響システムにおいて、前記制御装置は、前記制御信号として、前記動作部のオンとオフとを切り替える切替制御信号を有し、前記音響装置は、前記動作部の前記切替制御信号に対応する識別情報が埋め込められた透かし音響信号を、所定タイミングで出力し、前記抽出装置は、前記透かし音響信号から前記識別情報を抽出する抽出処理によって前記透かし音響信号に前記識別情報が含まれているか否かを判定し、前記制御装置は、前記透かし音響信号に前記識別情報が含まれる場合、前記切替制御信号を出力することによって、前記動作部の動作態様を切り替える。
【0007】
この構成によれば、識別情報が含まれているか否かの判定によって、動作部の動作態様を切り替えることが出来る。この場合、単一の識別情報によって動作部の動作態様が切り替えることができる。
【0008】
(3)上記音響システムにおいて、前記制御装置は、複数の前記制御信号を記憶し、前記透かし音響信号は、前記制御信号に対応づけられる複数の識別情報が異なるタイミングで埋め込められる音として構成される。この構成によれば、音と動作部の動作とを連動させることができる。
【0009】
(4)上記音響システムにおいて、複数の動作部に対応して設けられる制御装置として、第1制御装置と、第2制御装置とを有し、前記第1制御装置において制御信号と対応づけられる識別情報は、前記第2制御装置において前記制御信号と対応付けられる識別情報と異なる。この構成によれば、透かし音響信号によって、複数の動作部を異なる態様で動作させることができる。
【0010】
(5)上記課題を解決する音響連動システムは、いずれか1つの上記音響システムと、前記動作部を含む動作装置を備える。この構成によれば、音によって動作部の動作を制御できるため、音に呼応した演出を簡単に行うことができる。
【発明の効果】
【0011】
上記音響システムおよび音響連動システムは、専用の設備がなくとも、音が流れるタイミングで感覚に作用させる一体感がある演出を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態について、音響システムおよび照明システムの模式図。
図2】識別情報と、制御信号との関係を示すテーブル。
図3】透かし音響信号と、識別情報と、原音信号との関係を示すテーブル。
図4】時間軸において、透かし音響信号と、識別情報と、照明装置の制御信号との関係を示すチャート。
図5】第2実施形態について、透かし音響信号と、識別情報と、原音信号との関係を示すテーブル。
図6】第3実施形態について、音響システムおよび照明システムの模式図。
図7】第1制御装置について、識別情報と制御信号との関係を示すテーブル。
図8】第2制御装置について、識別情報と制御信号との関係を示すテーブル。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<第1実施形態>
図1図4を参照して、音響連動システムを説明する。
音響連動システムは、透かし音響信号を音として出力する音響システム1と、動作装置とを備える。動作装置は、透かし音響信号に基づいて動作する動作部を有する。動作部は、音響システム1から出力される透かし音響信号に連動する。音響連動システムの例として、照明システム、芳香システム、振動システム、空調システム、ミストシステム、またはこれらシステムのうちの2個以上のシステムを含む複合システムが挙げられる。以下では、音響連動システムの一例として、照明システムについて説明する。
【0014】
照明システム2は、室内や室外を光で演出する。一例では、照明システム2は、リビングやダイニングに設置される。照明システム2は、工場、学校、オフィス、各種の店舗、イベント会場に設置されてもよい。
【0015】
図1に示されるように、照明システム2は、音響システム1を含む。本実施形態では、照明システム2は、音響システム1と、上述の動作装置としての照明装置3とを備える。照明装置3は、動作部としての照明部3aを含む。照明部3aは、蛍光灯、電球、LED(light emitting diode)、有機エレクトロルミネッセンス、および無機エレクトロルミネッセンスの少なくとも1つを備える。照明システム2の照明部3aは、制御装置13(後述参照)によって制御される。照明システム2は、制御装置13による制御に加えて、リモコンによって制御されてもよい。
【0016】
照明部3aは、複数の照明態様を有する。照明態様を変化させる事項として、照明の強弱、照射角度、照明の色、点滅パターン、部分的点灯、等が挙げられる。本実施形態では、照明部3aは、照明態様として、2つの点灯状態と、点滅状態と、消灯状態とを有する(図2参照)。具体的には、照明部3aは、第1の明るさで点灯する状態と、第1の明るさよりも明るい第2の明るさで点灯する状態と、点滅状態と、消灯状態とを有する。照明部3aは、照明態様のそれぞれに対応づけられる制御信号を有する。制御信号は、照明部3aを照明態様で動作させるための指令信号である。照明部3aは、制御信号を受けることによって、制御信号に対応する照明態様で動作する。
【0017】
図1に示されるように、音響システム1は、音響装置10と、収音装置11と、抽出装置12と、制御装置13とを備える。音響装置10は、識別情報が埋め込まれた透かし音響信号を音として出力する。
【0018】
収音装置11は、少なくとも透かし音響信号に基づく音を収音する。収音装置11は、音を収音できるものとして構成される。例えば、収音装置11は、マイクロホンによって構成される。収音装置11は、照明部3aの近くに配置されてもよく、照明部3aから離れた場所に配置されてもよい。収音装置11は、少なくとも音響装置10から出される音を受音できる場所に配置される。収音装置11は、収音した音を抽出装置12に出力する。
【0019】
抽出装置12は、透かし音響信号から識別情報を抽出する。抽出装置12は、埋め込み方法に対応する方法によって透かし音響信号から識別情報を抽出する。抽出装置12は、識別情報を抽出するとき、埋め込み時に使用される拡散符号と同じ拡散符号を使用する。拡散符号は、公開されてもよいし、秘匿管理されてもよい。拡散符号は、抽出装置12の記憶部に記憶されていることが好ましい。抽出装置12は、透かし音響信号のデータから識別情報を抽出する計算プログラムと、計算プログラムを実行するプロセッサと、計算プログラムおよび拡散符号を記憶する記憶媒体とによって構成される。例えば、プロセッサは、MPU(Micro-Processing Unit)またはCPU(Central Processing Unit)である。抽出装置12は、識別情報の抽出に特化した回路によって構成されてもよい。抽出装置12は、識別情報を抽出するとき、抽出した識別情報を制御装置13に出力する。
【0020】
制御装置13は、識別情報に対応づけられる制御信号に基づいて照明部3aを動作させる。制御装置13は、複数の制御信号を記憶する。制御信号は、制御装置13の制御対象である照明部3aに所定動作を行わせるための信号である。
【0021】
図2に示されるように、複数の制御信号それぞれは、識別情報に対応付けられる。制御装置13は、複数の制御信号と識別情報とが対応付けされたテーブルを記憶する。テーブルは、変更可能であることが好ましい。一例では、制御装置13に接続されるPC(パーソナルコンピュータ)によってテーブルは変更される。制御装置13は、抽出装置12から識別情報を受け取ると、テーブルを参照して、受け取った識別情報に対応する制御信号を特定する。制御装置13は、特定した制御信号を照明部3aに出力する。このように、制御装置13は、識別情報に対応する制御信号に基づいて照明部3aを動作させる。
【0022】
音響装置10は、放音部10aと、透かし音響信号を管理する管理装置10bとを備える。放音部10aは、室内に置かれる。放音部10aは、スピーカーによって構成される。放音部10aは、照明部3aが設けられる部屋の天井または壁に設けられてもよい。
【0023】
音響装置10は、複数の透かし音響信号それぞれを、所定タイミングで出力する。所定タイミングは、時刻、または、起動時に対する相対的時間を示す。本実施形態では、音響装置10は、所定タイミングで、所定の透かし音響信号を音として出力する。
【0024】
透かし音響信号は、照明部3aの照明態様を変更させるための音である。本実施形態では、透かし音響信号は、所定タイミングにおいて照明態様で照明部3aを動作させるように構成される。
【0025】
透かし音響信号は、識別情報を有する。識別情報は、制御信号に対応付けされる。具体的には、透かし音響信号は、原音信号と、原音信号に埋め込められる識別情報とによって形成される。
【0026】
透かし音響信号の原音信号は、原音信号に埋め込められる識別情報に関係付けされてもよいし、関係付けされなくてもよい。具体的には、原音信号は、原音信号に埋め込められる識別情報に対応する制御信号および照明態様に関連する音であってもよい。原音信号は、原音信号に埋め込められる識別情報に対応する制御信号および照明態様に関連しない音であってもよい。例えば、原音信号に、薄暗くする照明態様の制御信号に対応する識別情報が埋め込められる場合、原音信号は、薄暗さを感じさせるヒーリング音楽であってもよいし、薄暗さと関連しない警報音であってもよい。原音信号は、音声、音楽、警報音、または、これらの組み合わせによって構成されてもよい。
【0027】
識別情報の埋め込み方法は限定されない。例えば、エコー拡散、またはスペクトラム拡散によって、拡散符号を使用して識別情報が原音信号に埋め込まれる。透かし音響信号は、予めに管理装置10bに記憶されていてもよい。透かし音響信号は、音声作成装置によって作成されてもよい。一例では、透かし音響信号は、管理装置10bに接続される音声作成装置によって作成される。音声作成装置の一例は、PC(パーソナルコンピュータ)である。
【0028】
管理装置10bは、少なくとも1つの透かし音響信号を管理する。管理装置10bは、識別情報が埋め込まれていない非透かし音響信号を管理してもよい。例えば、非透かし音響信号は、音声、音楽、警告音、等である。非透かし音響信号は、照明部3aの照明態様を変更させない。
【0029】
管理装置10bは、目的に応じた透かし音響信号を記憶媒体に記憶する。目的の例として、癒すこと、気分を高揚させること、気分を落ち着かせること、気分を安定させること、睡眠に導くこと等が挙げられる。図3および図4を参照して、癒しを演出する音響および照明の例を説明する。この例では、木洩れ日のように光強度が揺らめく照明を演出する。
【0030】
図3を参照して、透かし音響信号の例を説明する。透かし音響信号(A1)は、癒しに関する原音信号としての音楽(M01)を含む。透かし音響信号(A1)は、照明態様(C11)に対応付けされた識別情報(001)を有する。本実施形態では、照明態様(C11)は、第1の明るさで点灯することである。
【0031】
透かし音響信号(A2)は、癒しに関する原音信号としての音楽(M02)を含む。透かし音響信号(A2)は、照明態様(C12)に対応付けされた識別情報(002)を有する。本実施形態では、照明態様(C12)は、第2の明るさで点灯することである。
【0032】
透かし音響信号(A3)は、癒しに関する原音信号としての音楽(M03)を含む。透かし音響信号(A3)は、照明態様(C11)に対応付けされた識別情報(001)を有する。本実施形態では、照明態様(C11)は、第1の明るさで点灯することである。
【0033】
透かし音響信号(A4)は、癒しに関する原音信号としての音楽(M04)を含む。透かし音響信号(A4)は、照明態様(C12)に対応付けされた識別情報(002)を有する。本実施形態では、照明態様(C12)は、第2の明るさで点灯することである。
【0034】
透かし音響信号(A5)は、癒しに関する原音信号としての音楽(M05)を含む。透かし音響信号(A5)は、照明態様(C14)に対応付けされた識別情報(004)を有する。本実施形態では、照明態様(C14)は、消灯することである。
【0035】
音楽(M01)~音楽(M05)のそれぞれは、音楽(M01)~音楽(M05)のうちの他の透かし音響信号を同じ音であってもよいし、異なる音であってもよい。
【0036】
図4を参照して、音響システム1の動作の一例を説明する。
音響装置10は、音響システム1の起動時を基準時刻として時刻t1に、識別情報(001)を含む透かし音響信号(A1)を音として出力する。抽出装置12は、識別情報(001)を抽出し、制御装置13に抽出した識別情報(001)を出力する。制御装置13は、識別情報(001)に対応する制御信号(C11)を照明部3aに出力する。照明部3aは、制御信号(C11)に基づいて動作する。具体的には、照明部3aは、第1の明るさで点灯する。
【0037】
音響装置10は、音響システム1の起動時を基準時刻として時刻t2に、識別情報(002)を含む透かし音響信号(A2)を音として出力する。抽出装置12は、識別情報(002)を抽出し、制御装置13に抽出した識別情報(002)を出力する。制御装置13は、識別情報(002)に対応する制御信号(C12)を照明部3aに出力する。照明部3aは、制御信号(C12)に基づいて動作する。具体的には、照明部3aは、第2の明るさで点灯する。
【0038】
音響装置10は、音響システム1の起動時を基準時刻として時刻t3に、識別情報(001)を含む透かし音響信号(A3)を音として出力する。抽出装置12は、識別情報(001)を抽出し、制御装置13に抽出した識別情報(001)を出力する。制御装置13は、識別情報(001)に対応する制御信号(C11)を照明部3aに出力する。照明部3aは、制御信号(C11)に基づいて動作する。具体的には、照明部3aは、第1の明るさで点灯する。
【0039】
音響装置10は、音響システム1の起動時を基準時刻として時刻t4に、識別情報(002)を含む透かし音響信号(A4)を音として出力する。抽出装置12は、識別情報(002)を抽出し、制御装置13に抽出した識別情報(002)を出力する。制御装置13は、識別情報(002)に対応する制御信号(C12)を照明部3aに出力する。照明部3aは、制御信号(C12)に基づいて動作する。具体的には、照明部3aは、第2の明るさで点灯する。
【0040】
音響装置10は、音響システム1の起動時を基準時刻として時刻t5に、識別情報(004)を含む透かし音響信号(A5)を音として出力する。抽出装置12は、識別情報(004)を抽出し、制御装置13に抽出した識別情報(004)を出力する。制御装置13は、識別情報(004)に対応する制御信号(C14)を照明部3aに出力する。照明部3aは、制御信号(C14)に基づいて動作する。具体的には、照明部3aは、消灯する。
【0041】
本実施形態の作用を説明する。
透かし音響信号に埋め込まれる識別情報と、動作装置(例えば、照明装置3)を制御する制御信号との対応づけることによって、動作装置を透かし音響信号に連動させることができる。原音信号に識別情報を埋め込むこと、および、識別情報が埋め込まれた複数の原音信号の再生順を定めることによって、透かし音響信号に呼応するように好みにあった態様で照明装置3を動作させることができる。このように、複雑なプログラムを要せず、透かし音響信号と動作装置とを連動させることができるため、一体感がある音および光の演出を簡単に行うことができる。
【0042】
本実施形態の効果を説明する。
(1)音響システム1は、透かし音響信号を音として出力する音響装置10と、収音装置11と、識別情報を抽出する抽出装置12と、識別情報に対応づけられる制御信号に基づいて照明部3aを動作させる制御装置13と、を備える。
【0043】
この構成によれば、透かし音響信号で制御装置13を介して照明部3aを制御できる。このように、音響システムは、音によって照明部3aの動作を制御できるため、音に呼応した演出を簡単に行うことができる。
【0044】
(2)照明システム2は、音響システム1と、照明部3aを含む照明装置3と、を備える。この構成によれば、音によって照明部3aの動作を制御できるため、音に呼応した演出を簡単に行うことができる。なお、照明システム2は、さらに、照明部3aを操作できるリモコンを含んでもよい。
【0045】
<第2実施形態>
図5を参照して、第2実施形態に係る音響システム1について説明する。
本実施形態に係る音響システム1では、識別情報の個数が、第1実施形態と異なる。本実施形態において、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0046】
音響システム1において使用される識別情報の個数は1つでもよい。以下に、1つの識別情報によって照明部3aの照明態様を変更させる例を説明する。
照明部3aは、照明態様としてオンとオフとを有する。照明部3aのオンは、点灯状態である。照明部3aのオフは、消灯状態である。照明部3aは、照明態様を切り替えるためのスイッチ回路を有する。スイッチ回路は、電力供給線と照明部3aとを接続する接続状態と、電力供給線と照明部3aとを切断する切断状態とを有する。照明部3aは、制御信号としての切替制御信号を受信することに基づいて、照明態様を切り替える。具体的には、照明部3aは、照明態様がオンのときに切替制御信号を受信するとき、照明態様をオフに切り替える。照明部3aは、照明態様がオフのときに切替制御信号を受信するとき、照明態様をオンに切り替える。
【0047】
図5に示されるように、音響装置10は、複数の透かし音響信号を有する。
透かし音響信号は、原音信号に、照明部3aの切替制御信号に対応する識別情報が埋め込められた音である。原音信号は、音声、音楽、および、警報音、またはこれらの組み合わせの音である。音響装置10は、透かし音響信号を所定タイミングで音として出力する。図5に示される例では、切替制御信号は、識別情報(01)に対応付けられる。透かし音響信号それぞれは、異なる原音信号を有する。透かし音響信号それぞれは、共通の識別情報(01)を有する。
【0048】
抽出装置12は、透かし音響信号から識別情報を抽出する抽出処理によって透かし音響信号に識別情報が含まれているか否かを判定する。抽出装置12は、透かし音響信号に識別情報が含まれている場合、透かし音響信号に識別情報が含まれていることを示す信号を制御装置13に出力する。
【0049】
制御装置13は、制御信号として、照明部3aのオンとオフとを切り替える切替制御信号を有する。
制御装置13は、透かし音響信号に識別情報が含まれていることを示す信号を抽出装置12から受ける場合、照明部3aに切替制御信号を出力する。具体的には、制御装置13は、抽出装置12から、透かし音響信号に識別情報が含まれていることを示す信号を受信することに基づいて、照明部3aに切替制御信号を出力する。これによって、制御装置13は、照明部3aの照明態様を切り替える。
【0050】
本実施形態の音響システム1の動作を説明する。
透かし音響信号(B1~B4)それぞれは、異なる原音信号を有し、かつ、共通の識別情報を有する。
【0051】
透かし音響信号(B1~B4)それぞれは、異なるタイミングで順に出力される。照明部3aがオフであるとき、透かし音響信号(B1)が出力されると、照明部3aは、オンに切り替わる。その後、透かし音響信号(B2)が出力されると、照明部3aは、オフに切り替わる。さらにその後、透かし音響信号(B3)が出力されると、照明部3aは、オンに切り替わる。その後、透かし音響信号(B4)が出力されると、照明部3aは、オフに切り替わる。このように、照明部3aは、透かし音響信号によって、オンとオフとの間で照明態様が切り替えられる。
【0052】
本実施形態の効果を説明する。
制御装置13は、透かし音響信号に識別情報が含まれる場合、切替制御信号を出力し、これによって、照明部3aの照明態様を切り替える。この構成によれば、識別情報が含まれているか否かの判定によって、照明部3aの照明態様を切り替えることが出来る。この場合、単一の識別情報によって照明部3aの照明態様が切り替えることができる。本実施形態では、単一の識別情報には、1つの制御信号が対応づけられる。制御装置13は、複数の識別情報と複数の制御信号とを対応付けるテーブルが省略される。このように、この構成によれば、制御装置13を簡潔な構造にできる。
【0053】
<第3実施形態>
図6図8を参照して、音響システム1および照明システム2について説明する。
本実施形態に係る音響システム1では、制御装置13のテーブルは、第1実施形態に示される制御装置13のテーブルと異なる。本実施形態において、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0054】
照明システム2は、癒しの空間を形成するための装置として用いられる。照明システム2は、音響システム1と、複数の照明部3aとを備える。
音響システム1は、音響装置10と、収音装置11と、抽出装置12と、制御装置13とを備える。収音装置11、抽出装置12、および、制御装置13は、複数の照明部3aそれぞれに設けられる。
【0055】
照明部3aは、複数の照明態様で動作する。本実施形態では、照明部3aは、照明態様として、明るさ大、中、小それぞれの点灯状態と、明るさを漸次増大させる状態と、明るさを漸次減少させる状態と、点灯に色を漸次白に変える状態と、点灯に色を漸次橙に変える状態と、点灯に色を漸次青白に変える状態と、点滅状態と、消灯状態とを有する。
【0056】
照明部3aは、照明態様のそれぞれに対応づけられる制御信号を有する。制御信号は、照明態様に基づいて照明部3aを動作させるための指令信号である。照明部3aは、制御信号を受けることによって、制御信号に対応する照明態様で動作する。
【0057】
音響装置10は、透かし音響信号を音として出力する。透かし音響信号は、制御信号に対応づけられる複数の識別情報が異なるタイミングで埋め込められる音として構成される。識別情報が埋め込められる音の例として、音楽、音声、サイン音などが挙げられる。一例では、透かし音響信号は、原音信号としての音楽と、音楽に異なるタイミングで埋め込まれ複数の識別情報とによって構成される。
【0058】
本実施形態では、音響システム1は、複数の照明部3aに対応して設けられる制御装置13として、第1制御装置13Aと、第2制御装置13Bとを有する。複数の照明部3aは、同じ構造を有する。複数の照明部3aは、共通の制御信号を有する。第1制御装置13Aおよび第2制御装置13Bそれぞれは、識別情報に対応づけられる制御信号を照明部3aに出力することによって、制御信号に対応した照明態様で照明部3aを動作させる。
【0059】
図7および図8に示されるように、第1制御装置13Aおよび第2制御装置13Bそれぞれは、異なるテーブルを有する。図7は、第1制御装置13Aが有するテーブルであり、図8は、第2制御装置13Bが有するテーブルである。テーブルは、識別情報と、制御信号とを対応づける。複数の制御信号のうちの少なくとも1つについて、第1制御装置13Aにおいて制御信号と対応づけられる識別情報は、第2制御装置13Bにおいて制御信号と対応付けられる識別情報と異なる。本実施形態では、制御信号(C11)~制御信号(C13)および制御信号(C16)~制御信号(C18)について、第1制御装置13Aにおいて制御信号と対応づけられる識別情報は、第2制御装置13Bにおいて制御信号と対応付けられる識別情報と異なる。このような構成のため、第1制御装置13Aおよび第2制御装置13Bそれぞれが同じ透かし音響信号を受信する場合でも、第1制御装置13Aに接続される照明部3aと、第2制御装置13Bに接続される照明部3aとは、異なる照明態様で動作する。これによって、複雑な照明空間を形成できる。
【0060】
一例では、部屋に、ヒーリング音楽を原音信号とする透かし音響信号が流される。透かし音響信号を受信する第1制御装置13Aは、第1照明態様でヒーリング音楽に応じて照明部3aを変化させる。透かし音響信号を受信する第2制御装置13Bは、第1照明態様と異なる第2照明態様でヒーリング音楽に応じて照明部3aを変化させる。このようにして、部屋の照明の色や明るさは、ヒーリング音楽とともに部屋空間にわたって揺らめくようになり、非日常の空間が形成される。照明の揺らめきは、明るいところが空間において移動または変化すること、または、色が空間において時間経過で移動または変化することを示す。
【0061】
本実施形態の効果を説明する。
(1)制御装置13は、複数の制御信号を記憶する。透かし音響信号は、制御信号に対応づけられる複数の識別情報が異なるタイミングで埋め込められる音として構成される。この構成によれば、音と照明部3aの動作とを連動させることができる。
【0062】
(2)上記音響システム1において、複数の照明部3aに対応して設けられる制御装置13として、第1制御装置13Aと、第2制御装置13Bとを有する。複数の制御信号のうちの少なくとも1つについて、第1制御装置13Aにおいて制御信号と対応づけられる識別情報は、第2制御装置13Bにおいて制御信号と対応付けられる識別情報と異なる。この構成によれば、透かし音響信号によって、複数の照明部3aを異なる態様で動作させることができる。
【0063】
<その他の実施形態>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0064】
・透かし音響信号を音として出力する放音部10aの態様は限定されない。本実施形態では、透かし音響信号は、室内に設けられる放音部10aから出力される。他の例では、透かし音響信号は、インターホンの放音部10aから出される。具体的には、音響装置10は、インターホンとして構成される。インターホンは、識別情報が埋め込められた透かし音響信号を音として出力するように構成される。抽出装置12および制御装置13の構成は、第1実施形態に示される抽出装置12、および制御装置13の構成と同様である。この場合、照明部3aは、インターホンの透かし音響信号に埋め込まれる識別情報に基づいて照明装置3は点灯する。この構成によれば、留守中にインターホンが鳴ると自動的に照明が点灯することによって、人が居るように演出する。これによって、防犯を向上できる。
【0065】
・本実施形態では、制御装置13は、照明装置3とは別の装置として構成されている。これに対して、照明装置3は、照明部3aと、制御装置13とを備えるように構成されてもよい。
【0066】
・本実施形態では、抽出装置12は、照明装置3とは別の装置として構成されている。これに対して、照明装置3は、照明部3aと、抽出装置12と、制御装置13とを備えるように構成されてもよい。
【0067】
・本実施形態では、収音装置11は、照明装置3とは別の装置として構成されている。これに対して、照明装置3は、照明部3aと、収音装置11と、抽出装置12と、制御装置13とを備えるように構成されてもよい。
【0068】
・本実施形態において、動作装置は、照明装置3に限定されない。例えば、動作装置は、芳香装置であってもよい。芳香装置は、動作部としての芳香出力ポンプを有する。芳香装置は、識別情報に対応づけられる制御信号に基づいて芳香出力ポンプを動作させて、芳香物質(例えば、アロマオイル)を周辺に拡散させる。これによって、音に呼応して芳香が拡散することによって、癒し効果を増大できる。この例において、芳香装置は、動作部としての調合部を有してもよい。調合部は、複数の芳香物質を調合する。調合部は、制御信号に対応する調合比を記憶する。調合部は、制御信号に基づいて、制御信号に対応する調合比で複数の芳香物質を調合する。
【0069】
・本実施形態において、動作装置は、空調装置であってもよい。空調装置は、動作部としての冷媒回路およびファンを有する。空調装置は、識別情報に対応づけられる制御信号に基づいてファンを動作させて、冷風または温風を出力する。これによって、音に呼応して風を感じさせることができ、癒し効果を増大できる。
【0070】
・本実施形態において、動作装置は、機能が異なる複数の装置から構成されてもよい。例えば、動作装置は、照明装置3および芳香装置を含んでもよい。動作装置は、照明装置3、芳香装置、および空調装置を含んでもよい。
【符号の説明】
【0071】
1…音響システム
10…音響装置
11…収音装置
12…抽出装置
13…制御装置
13A…第1制御装置
13B…第2制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8