(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-13
(45)【発行日】2024-06-21
(54)【発明の名称】ポンプディスペンサ及び吐出容器
(51)【国際特許分類】
B05B 11/00 20230101AFI20240614BHJP
B65D 83/00 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
B05B11/00 101G
B65D83/00 K
B05B11/00 101Z
(21)【出願番号】P 2020153338
(22)【出願日】2020-09-11
【審査請求日】2023-04-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】久保田 遼
(72)【発明者】
【氏名】八島 昇
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 文人
(72)【発明者】
【氏名】當麻 徹
【審査官】大塚 美咲
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-022466(JP,A)
【文献】特開2004-067237(JP,A)
【文献】特表2014-532013(JP,A)
【文献】特開2010-006418(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 11/00
B65D 83/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体内の液体を吐出するためのポンプディスペンサであって、
吐出筒部材及びシリンダを有し前記容器本体の口部に一体に取り付けられるディスペンサ本体と、
前記ディスペンサ本体に揺動可能に支持される操作レバーと、
前記シリンダとの間にポンプ室を形成し、前記操作レバーによって反力に抗して前記シリンダの軸方向に押し下げられることで前記シリンダの内周面上及び前記吐出筒部材の基端部上を摺動し、それにより前記ポンプ室の容積を減少させるピストン部材と、
前記反力を与えるために前記液体の流路の外側で前記ディスペンサ本体と前記ピストン部材との間に配置される圧縮バネとを備え
、
前記ピストン部材が、前記圧縮バネの上端部に取り付けられるリングと、それぞれ、上下方向に延び、前記リングを係止する掛け爪を内周面に有し、前記操作レバーから押し下げ力を受ける一対の押し下げアームとを備え、前記一対の押し下げアームが、前記掛け爪が前記リングを係止していない組立前の状態では弾性変形により径方向外側に揺動可能であるが、前記掛け爪が前記リングを係止した組立後の状態では径方向外側への揺動が前記リングによって阻止されることを特徴とするポンプディスペンサ。
【請求項2】
請求項
1に記載のポンプディスペンサと、前記ポンプディスペンサが取り付けられ、液体を収容可能な容器本体とを備えることを特徴とする吐出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプディスペンサ及び吐出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
容器本体内の液体を吐出するためのポンプディスペンサとして、例えば特許文献1に記載されるように、吐出筒部材及びシリンダを有し容器本体の口部に一体に取り付けられるディスペンサ本体と、ディスペンサ本体に揺動可能に支持される操作レバーと、シリンダとの間にポンプ室を形成し、操作レバーによって反力に抗してシリンダの軸方向に押し下げられることでシリンダの内周面上及び吐出筒部材の基端部上を摺動し、それによりポンプ室の容積を減少させるピストン部材とを備えるポンプディスペンサが知られている。
【0003】
このようなポンプディスペンサと、当該ポンプディスペンサが取り付けられ、液体が収容された容器本体とを備える吐出容器によれば、操作レバーに対する押し下げ操作とその解除を繰り返すことでポンプ室の容積を増減させ、それにより容器本体内の液体を吐出筒部材から吐出することができる。またその際、吐出筒部材が容器本体に一体に取り付けられているので、液体を狙った場所に向けて正確に吐出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記のような構造を有する従来のポンプディスペンサでは、ピストン部材が押し下げられる際に反力を与えるための圧縮バネが、ポンプ室内でディスペンサ本体とピストン部材との間に配置されている。このため、圧縮バネが金属製である場合に液体の種類によっては圧縮バネが錆びるなど、圧縮バネの材質によっては、容器本体に収容できる液体の種類が制限されてしまうという問題点があった。
【0006】
本発明は、このような問題点を解決することを課題とするものであり、その目的は、容器本体に収容できる液体の種類が圧縮バネの材質によって制限されないポンプディスペンサ及び吐出容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のポンプディスペンサは、容器本体内の液体を吐出するためのポンプディスペンサであって、吐出筒部材及びシリンダを有し前記容器本体の口部に一体に取り付けられるディスペンサ本体と、前記ディスペンサ本体に揺動可能に支持される操作レバーと、前記シリンダとの間にポンプ室を形成し、前記操作レバーによって反力に抗して前記シリンダの軸方向に押し下げられることで前記シリンダの内周面上及び前記吐出筒部材の基端部上を摺動し、それにより前記ポンプ室の容積を減少させるピストン部材と、前記反力を与えるために前記液体の流路の外側で前記ディスペンサ本体と前記ピストン部材との間に配置される圧縮バネとを備え、前記ピストン部材が、前記圧縮バネの上端部に取り付けられるリングと、それぞれ、上下方向に延び、前記リングを係止する掛け爪を内周面に有し、前記操作レバーから押し下げ力を受ける一対の押し下げアームとを備え、前記一対の押し下げアームが、前記掛け爪が前記リングを係止していない組立前の状態では弾性変形により径方向外側に揺動可能であるが、前記掛け爪が前記リングを係止した組立後の状態では径方向外側への揺動が前記リングによって阻止されることを特徴とする。
【0009】
本発明の吐出容器は、前記ポンプディスペンサと、前記ポンプディスペンサが取り付けられ、液体を収容可能な容器本体とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、容器本体に収容できる液体の種類が圧縮バネの材質によって制限されないポンプディスペンサ及び吐出容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施の形態である吐出容器を操作レバーに対する押し下げ操作前の状態で示す縦断面図である。
【
図2】
図1に示す吐出容器を操作レバーに対する押し下げ操作時の状態で示す縦断面図である。
【
図3】
図1に示すピストンロッドを示す一部断面側面図である。
【
図4】
図3に示すピストンロッドを周方向に90度ずれた位置から視たときの一部断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ本発明の一実施の形態であるポンプディスペンサ1及び吐出容器2を例示説明する。
【0013】
なお、本明細書において、上下方向はシリンダ22の中心軸線Oに沿う方向、つまりシリンダ22の軸方向を意味し、上方はシリンダ22から吐出筒部材21に向かう方向を意味し、下方はその反対方向を意味し、周方向は中心軸線Oを周回する方向を意味し、径方向は中心軸線Oと直交する直線に沿う方向を意味し、前方は中心軸線Oと直交する直線に沿って中心軸線Oから吐出口24に向かう方向を意味し、後方はその反対方向を意味し、左右方向は前後方向と上下方向の両方に垂直な方向を意味し、縦断面は中心軸線Oを含む断面を意味している。
【0014】
図1に示すように、本発明の一実施の形態であるポンプディスペンサ1は、ポンプディスペンサ1が取り付けられ、液体Lを収容可能な容器本体3とともに、本発明の一実施の形態である吐出容器2を構成している。
【0015】
容器本体3は、円筒状の口部3aと、口部3aの下端に連なる胴部3bと、胴部3bの下端に連なる図示しない底部とを有し、内部に液体Lが収容される収容空間Sを形成している。なお、口部3aは円筒状以外の筒状であってもよい。
【0016】
容器本体3に収容される液体Lは、例えば洗剤であるが、特に限定されず、液体石鹸、シャンプー、リンス、食品、薬剤等であってもよい。
【0017】
ポンプディスペンサ1は、ディスペンサ本体4、操作レバー5、ピストン部材6、圧縮バネ7、上流側弁8、下流側弁9及びストッパ10を備えている。ディスペンサ本体4は、シリンダ部材11、吸い上げパイプ12、キャップ13、ハウジング14、中間ノズル部材15、先端ノズル部材16及びパッキン17で構成されている。ピストン部材6は、ピストン18、ピストンロッド19及びリング20で構成されている。なお、
図1及び
図2には、ピストンロッド19を周方向に90度ずれた位置から視たときの形状を二点鎖線で示している。
【0018】
シリンダ部材11、吸い上げパイプ12、キャップ13、ハウジング14、中間ノズル部材15、先端ノズル部材16、ピストン18、ピストンロッド19、リング20、上流側弁8、下流側弁9及びストッパ10はそれぞれ、合成樹脂材料の射出成形によって一体成形されている。また、圧縮バネ7は金属製である。なお、圧縮バネ7は樹脂製のものを用いることができる。
【0019】
ディスペンサ本体4は、吐出筒部材21及びシリンダ22を有し容器本体3の口部3aに一体に取り付けられる部材である。
【0020】
シリンダ22は、シリンダ部材11に設けられており、中心軸線Oを中心とする筒状をなす周壁22aと、周壁22aの下端に連なる底壁22bとで構成されている。シリンダ22とピストン部材6のピストン18との間にはポンプ室23が形成されている。つまり、シリンダ22とピストン18とでポンプ室23が区画されている。
【0021】
周壁22aは、延長部11aを介して口部3aの上端面にキャップ13によって固定されている。延長部11aは、周壁22aの上端から上方に延び、中心軸線Oと同軸の筒状をなす上側周壁11bと、上側周壁11bの外周面から突出するフランジ11cとで構成されている。フランジ11cの下面にはパッキン17が配置されている。キャップ13は、口部3aの外周面にねじ部を介して取り付けられる筒壁13aと、筒壁13aの上端から径方向内側に突出する天壁13bとを有している。筒壁13aが口部3aに取り付けられることにより、天壁13bと口部3aの上端面との間にフランジ11cが挟まれ、これにより、シリンダ22が口部3aに固定されている。なお、シリンダ22は、口部3aと同軸状に配置されている。
【0022】
シリンダ22の底壁22bは、中心軸線Oと同軸状に配置された流入口22cを有している。流入口22cには、吸い上げパイプ12が取り付けられている。吸い上げパイプ12は、流入口22cから容器本体3の底部に向けて延びている。また、流入口22cには、弾性弁で構成された上流側弁8が配置されている。上流側弁8は、収容空間Sからポンプ室23に向かう液体Lの流れを許容する一方、ポンプ室23から収容空間Sに向かう液体Lの流れを阻止する逆止弁として機能する。
【0023】
シリンダ部材11の上側周壁11bには、ハウジング14が固定されている。ハウジング14は、中心軸線Oと同軸状に配置された筒状をなす基端ノズル14aを有している。基端ノズル14aの先端部(上端部)には中間ノズル部材15の基端部(下端部)が固定され、中間ノズル部材15の先端部(上端部)には先端ノズル部材16の基端部(下端部)が固定されており、基端ノズル14a、中間ノズル部材15及び先端ノズル部材16で吐出筒部材21が構成されている。吐出筒部材21は長さ方向の中間部に折れ曲がり部を有する略L字形状をなしており、その折れ曲がり部は中間ノズル部材15に設けられている。また、吐出筒部材21の先端(上端)は、液体Lの吐出口24を形成している。
【0024】
基端ノズル14aの内部には、移動弁として構成された下流側弁9が、弁座14bに上方から着座可能に設けられている。また、基端ノズル14aの内部における弁座14bよりも上方に位置する部分には、下流側弁9の外周面との間に液体Lが通過可能な隙間を形成するための複数の縦溝14cが周方向に並べて設けられている。複数の縦溝14cの上端には、下流側弁9の外径よりも小さい内径を有する中間ノズル部材15の基端面によって形成された弁押え部15aが設けられている。下流側弁9は、有底筒状の弁本体9aと、弁本体9aの底部から下方に突出する柱状をなす下側柱部9bと、弁本体9aの底部から上方に突出する柱状をなす上側柱部9cとを有しており、弁本体9aの上端には複数の切欠き部9dが周方向に並べて設けられている。下流側弁9は、弁座14bと弁押え部15aとの間で上下方向に移動可能であり、弁座14bに着座することで液体Lの流れを阻止する一方、弁押え部15aに当接することで、複数の縦溝14c及び複数の切欠き部9dを通して液体Lの流れを許容することができる。
【0025】
したがって、下流側弁9は、ポンプ室23から吐出口24に向かう液体Lの流れを許容する一方、吐出口24からポンプ室23に向かう液体Lの流れを阻止する逆止弁として機能する。また、下流側弁9は、液体Lの吐出後に下方に移動することで吐出口24から液体Lを吐出筒部材21の内部に引き込み、それにより液垂れを抑制するサックバック機能を有している。
【0026】
また、ハウジング14は、吐出口24を露出させつつ吐出筒部材21を前方と左右方向から覆うカバー14dを有している。カバー14dは、上端で連なる二重筒状をなす嵌合固定部14eに連なっている。嵌合固定部14eは、シリンダ部材11の上側周壁11bの上端部に嵌合によって固定されている。嵌合固定部14eの内周面における前部と、基端ノズル14aの上下方向中間部の外周面における前部とは、前後方向に延びるrによって連なっている。また、嵌合固定部14eの内周面における後部と、基端ノズル14aの上下方向中間部の外周面における後部とは、前後方向に延びる後方壁14gによって連なっている。
【0027】
また、ハウジング14は、カバー14dの後端に連なるハンドル14hを有している。ハンドル14hは、カバー14dの後端から後方に延びる前後方向延在部14iと、前後方向延在部14iの後端から下方に延びる上下方向延在部14jとで構成される略逆L字形状をなしている。
【0028】
操作レバー5は、ディスペンサ本体4に揺動可能に支持される部材である。操作レバー5は吐出筒部材21を上方から覆っており、操作レバー5の前端部は、ハウジング14のカバー14dの前端部に、左右方向に延びる揺動軸線Xを中心に揺動可能に取り付けられている。また、操作レバー5は、ハンドル14hの真上に位置し、親指により押し下げ操作を受ける押し下げ操作部5aを後端部に有している。操作レバー5の前後方向中間部における下面には、一対の押し下げリブ5bが左右方向に並べて設けられている。各々の押し下げリブ5bは、左右方向に垂直な板状をなしており、下端に逆U字状の切り欠き部5cを有している。
【0029】
ピストン部材6は、シリンダ22との間にポンプ室23を形成し、操作レバー5によって反力に抗してシリンダ22の軸方向に押し下げられることでシリンダ22の内周面上及び吐出筒部材21の基端部上を摺動し、それによりポンプ室23の容積を減少させる部材である。
【0030】
ピストン部材6のピストン18は、シリンダ22の内周面に密接した状態で当該内周面上を上下方向に摺動する筒状をなす外側摺動部18aと、基端ノズル14aの内周面に密接した状態で当該内周面上を上下方向に摺動する筒状をなす内側摺動部18bと、外側摺動部18aと内側摺動部18bの間を閉塞する隔壁18cと、内側摺動部18bの内周面に連なるとともに中心軸線Oと同軸状の有頂筒状をなす当接壁18dと、隔壁18cから上方に突出する中心軸線Oと同軸状の嵌合筒18eとを有している。
【0031】
当接壁18dは、弁座14bの下端から垂下する垂下筒14kの下端に当接壁18dの上端部が当接することにより、垂下筒14kを閉塞するとともに、ピストン18の上昇を停止させる機能を有している。当接壁18dの下端部には複数(4つ)の貫通穴18fが周方向に並べて設けられている。なお、貫通穴18fの数は適宜変更可能である。
【0032】
嵌合筒18eには、ピストンロッド19の下端部を構成する下筒19aが嵌合により固定されている。ピストンロッド19の下筒19aは、中心軸線Oと同軸状に配置されている。下筒19aの上端には、左右方向に並べて設けられた一対の押し下げアーム19bの下端が連なっている。
【0033】
下筒19aは、ピストン部材6が上方のストローク端位置にあるときにおいても、前述した前方壁14fと後方壁14gよりも下方に位置する。また、前方壁14fと後方壁14gは、周方向において一対の押し下げアーム19bの間に配置されている。
【0034】
図1~
図6に示すように、各々の押し下げアーム19bは、上下方向に延び、リング20を係止する掛け爪19cを有し、操作レバー5から押し下げ力を受けることができる。各々の押し下げアーム19bの上下方向中間部における内周面には、掛け爪19cが設けられている。
図1に示すように、リング20は、中心軸線Oと同軸状に配置される円筒状の外筒20aと、外筒20aの上端から径方向内側に突出する円環状の上壁20bとを有しており、中心軸線Oと同軸状に配置されるコイル状をなす圧縮バネ7の上端部に嵌合により取り付けられている。圧縮バネ7の下端部は、前方壁14fと後方壁14gによって下方から支持されており、基端ノズル14aの外周面によって径方向内側から支持されている。各々の掛け爪19cは、リング20の上壁20bの上端面と内周面に引っ掛かることによってリング20を係止する爪形状をなしている。つまり、各々の掛け爪19cは、
図3~
図6に示すように、上下方向に延び、上端部に後述する受け部19dを有するアーム本体19eの内周面から径方向内側に延びる頂壁19fと、頂壁19fの内周縁から垂下する内周壁19gとで構成されている。頂壁19fの上面とアーム本体19eの内周面との間には、これらを架け渡す縦リブ状の補強リブ19hが周方向に間隔を開けて複数(5個)設けられている。なお、補強リブ19hの数、形状及び配置は適宜変更が可能である。また、補強リブ19hを設けない構成としてもよい。
【0035】
各々の押し下げアーム19bは、掛け爪19cがリング20を係止していない組立前の状態では下筒19aの上端を中心に弾性変形により径方向に揺動可能であるが、
図1に示すように掛け爪19cがリング20を係止した組立後の状態では径方向への揺動がリング20によって阻止されている。
【0036】
図1~
図6に示すように、各々の押し下げアーム19bの上端部における外周面には、径方向に突出する横向き円柱状の受け部19dが設けられている。各々の受け部19dは、操作レバー5の押し下げリブ5bの切り欠き部5c内に受け入れられており、操作レバー5の押し下げ操作により、押し下げリブ5bから押し下げ力を受けることができる。
【0037】
図1に示すように、操作レバー5とディスペンサ本体4との間には、これらの間に挟まれることで操作レバー5が下方に揺動することを阻止するストッパ10が配置されている。ストッパ10は、中心軸線Oと同軸状に配置される前方が開放された略C字形状の装着部10aと、装着部10aの後端部から後方に延びる摘み部10bとを有している。装着部10aは、一対の押し下げアーム19bの外周面に弾性変形により着脱可能に装着されている。
【0038】
したがって、吐出容器2は、
図1に示す状態からストッパ10の摘み部10bを摘んでストッパ10を取り外し、ハンドル14hを把持して親指で操作レバー5の押し下げ操作部5aを押し下げ操作することにより、
図2に示すように、操作レバー5でピストン部材6を圧縮バネ7が与える反力に抗して押し下げ、それによりポンプ室23の容積を減少させ、ポンプ室23内の液体Lを吐出筒部材21の吐出口24から吐出することができる。またその際、吐出筒部材21が容器本体3に一体に取り付けられている(つまり、容器本体3に対して動かない)ので、液体Lを狙った場所に向けて正確に吐出することができる。また、押し下げ操作の解除により、圧縮バネ7が与える反力によってピストン部材6と操作レバー5を上方に復帰させ、それによりポンプ室23の容積を増加させ、収容空間S内の液体Lをポンプ室23内に吸い上げることができる。
【0039】
このように、本実施の形態では、ピストン部材6が押し下げられる際に反力を与えるための圧縮バネ7が、吸い上げパイプ12の内部、ポンプ室23、及び吐出筒部材21の内部(つまり、基端ノズル14aの内部、中間ノズル部材15の内部、及び先端ノズル部材16の内部)で形成される液体Lの流路の外側で、ディスペンサ本体4とピストン部材6との間に配置されている。したがって、容器本体3に収容できる液体Lの種類が圧縮バネ7の材質によって制限されることがない。
【0040】
また、本実施の形態では、ピストン部材6が、圧縮バネ7の上端部に取り付けられるリング20と、上下方向に延び、リング20を係止する掛け爪19cを有し、操作レバー5から押し下げ力を受ける押し下げアーム19bとを備えている。したがって、圧縮バネ7を、液体Lの流路の外側でディスペンサ本体4とピストン部材6との間に、容易且つ確実に配置することができる。
【0041】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0042】
したがって、前記実施の形態であるポンプディスペンサ1及び吐出容器2は、例えば以下に述べるような種々の変更が可能である。
【0043】
ポンプディスペンサ1は、容器本体3内の液体Lを吐出するためのポンプディスペンサ1であって、ディスペンサ本体4、操作レバー5、ピストン部材6及び圧縮バネ7を備える限り、種々の変更が可能である。ディスペンサ本体4は、吐出筒部材21及びシリンダ22を有し容器本体3の口部3aに一体に取り付けられる限り、種々の変更が可能である。操作レバー5は、ディスペンサ本体4に揺動可能に支持される限り、種々の変更が可能である。ピストン部材6は、シリンダ22との間にポンプ室23を形成し、操作レバー5によって反力に抗してシリンダ22の軸方向に押し下げられることでシリンダ22の内周面上及び吐出筒部材21の基端部上を摺動し、それによりポンプ室23の容積を減少させる限り、種々の変更が可能である。圧縮バネ7は、前記反力を与えるために液体Lの流路の外側でディスペンサ本体4とピストン部材6との間に配置される限り、種々の変更が可能である。
【0044】
しかし、ピストン部材6が、圧縮バネ7の上端部に取り付けられるリング20と、上下方向に延び、リング20を係止する掛け爪19cを有し、操作レバー5から押し下げ力を受ける押し下げアーム19bとを備えるのが好ましい。
【0045】
吐出容器2は、ポンプディスペンサ1と、ポンプディスペンサ1が取り付けられ、液体Lを収容可能な容器本体3とを備える限り、種々の変更が可能である。
【0046】
前記実施の形態では、ディスペンサ本体4は、シリンダ部材11、吸い上げパイプ12、キャップ13、ハウジング14、中間ノズル部材15、先端ノズル部材16及びパッキン17で構成されているが、これに限らない。また、前記実施の形態では、ピストン部材6は、ピストン18、ピストンロッド19及びリング20で構成されているが、これに限らない。
【0047】
前記実施の形態では、上流側弁8は弾性弁で構成されているが、これに限らない。また、前記実施の形態では、下流側弁9は移動弁で構成されているが、これに限らない。
【0048】
前記実施の形態では、ハンドル14hがディスペンサ本体4に設けられているが、これに限らず例えば、容器本体3の胴部3bに一体に形成されてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 ポンプディスペンサ
2 吐出容器
3 容器本体
3a 口部
3b 胴部
4 ディスペンサ本体
5 操作レバー
5a 押し下げ操作部
5b 押し下げリブ
5c 切り欠き部
6 ピストン部材
7 圧縮バネ
8 上流側弁
9 下流側弁
9a 弁本体
9b 下側柱部
9c 上側柱部
9d 切欠き部
10 ストッパ
10a 装着部
10b 摘み部
11 シリンダ部材
11a 延長部
11b 上側周壁
11c フランジ
12 吸い上げパイプ
13 キャップ
13a 筒壁
13b 天壁
14 ハウジング
14a 基端ノズル
14b 弁座
14c 縦溝
14d カバー
14e 嵌合固定部
14f 前方壁
14g 後方壁
14h ハンドル
14i 前後方向延在部
14j 上下方向延在部
14k 垂下筒
15 中間ノズル部材
15a 弁押え部
16 先端ノズル部材
17 パッキン
18 ピストン
18a 外側摺動部
18b 内側摺動部
18c 隔壁
18d 当接壁
18e 嵌合筒
18f 貫通穴
19 ピストンロッド
19a 下筒
19b 押し下げアーム
19c 掛け爪
19d 受け部
19e アーム本体
19f 頂壁
19g 内周壁
19h 補強リブ
20 リング
20a 外筒
20b 上壁
21 吐出筒部材
22 シリンダ
22a 周壁
22b 底壁
22c 流入口
23 ポンプ室
24 吐出口
L 液体
O 中心軸線
S 収容空間
X 揺動軸線