(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-13
(45)【発行日】2024-06-21
(54)【発明の名称】車両用照明装置
(51)【国際特許分類】
B60Q 3/64 20170101AFI20240614BHJP
B60Q 3/74 20170101ALI20240614BHJP
B60Q 3/217 20170101ALI20240614BHJP
B60Q 3/14 20170101ALI20240614BHJP
F21V 7/04 20060101ALI20240614BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20240614BHJP
F21V 7/00 20060101ALI20240614BHJP
F21W 106/00 20180101ALN20240614BHJP
F21Y 101/00 20160101ALN20240614BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240614BHJP
【FI】
B60Q3/64
B60Q3/74
B60Q3/217
B60Q3/14
F21V7/04 120
F21S2/00 438
F21V7/00 530
F21W106:00
F21Y101:00 100
F21Y101:00 300
F21Y115:10 500
F21Y115:10 100
(21)【出願番号】P 2020168153
(22)【出願日】2020-10-05
【審査請求日】2023-08-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000251060
【氏名又は名称】林テレンプ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096703
【氏名又は名称】横井 俊之
(74)【代理人】
【識別番号】100124958
【氏名又は名称】池田 建志
(72)【発明者】
【氏名】小島 鉄温
【審査官】當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-026462(JP,A)
【文献】特開2010-050008(JP,A)
【文献】特開2020-135918(JP,A)
【文献】特開2006-051901(JP,A)
【文献】特開2018-146788(JP,A)
【文献】特開2012-059661(JP,A)
【文献】特開2009-101841(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 3/64
B60Q 3/74
B60Q 3/217
B60Q 3/14
F21V 7/04
F21S 2/00
F21V 7/00
F21W 106/00
F21Y 101/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の内装に設けられる車両用照明装置において、
第一照射部と、
該第一照射部からの光が入射する入射部、及び、該入射部から入射した光を
前記車両の室内に放出する放光面を有する光透過部材と、
該光透過部材の前において前記第一照射部を隠す前面部を含む外面部材と、
前記光透過部材の背後に配置され、前記光透過部材に対向する対向面を有する背面部材と、
前記光透過部材と前記対向面との間の空間において前記対向面に沿って光を照射する第二照射部と、を備え、
前記対向面は、第一の段差、及び、前記第二照射部を起点として前記第一の段差よりも遠い第二の段差を含み、
前記背面部材は、前記第一の段差において前記第二照射部からの光が当たる第一の段差面、及び、前記第二の段差において前記第二照射部からの光が当たる第二の段差面を有し、
前記第二照射部からの光が前記第一の段差面及び前記第二の段差面で反射して前記光透過部材を通り抜け
て前記室内に放出される、車両用照明装置。
【請求項2】
前記第二照射部は、
光源と、
該光源からの光が入射する光源光入射部、及び、該光源光入射部から入射した光を前記対向面に沿って照射する出射部を有する導光部材と、を備え、
前記前面部は、前記導光部材の前にあり、前記出射部を隠している、請求項1に記載の車両用照明装置。
【請求項3】
第一照射部と、
該第一照射部からの光が入射する入射部、及び、該入射部から入射した光を放出する放光面を有する光透過部材と、
該光透過部材の前において前記第一照射部を隠す前面部を含む外面部材と、
前記光透過部材の背後に配置され、前記光透過部材に対向する対向面を有する背面部材と、
前記光透過部材と前記対向面との間の空間において前記対向面に沿って光を照射する第二照射部と、を備え、
前記対向面は、第一の段差、及び、前記第二照射部を起点として前記第一の段差よりも遠い第二の段差を含み、
前記背面部材は、前記第一の段差において前記第二照射部からの光が当たる第一の段差面、及び、前記第二の段差において前記第二照射部からの光が当たる第二の段差面を有し、
前記第二照射部からの光が前記第一の段差面及び前記第二の段差面で反射して前記光透過部材を通り抜け、
前記第一の段差及び前記第二の段差は、車両において後側が前側よりも前記第一の段差と前記第二の段差との間隔が広くなるように車両前後方向に延びている
、車両用照明装置。
【請求項4】
前記第一の段差の高さは、0.2~1.5mmであり、
前記対向面に対する前記第一の段差面の傾きは、45~90°である、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の車両用照明装置。
【請求項5】
前記対向面は、加飾としての柄を有し、
前記第一の段差及び前記第二の段差は、前記柄に合わせて前記対向面に配置されている、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の車両用照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光で意匠を演出する車両用照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用照明装置として、光を放出することにより意匠を演出する照明装置が知られている。例えば、自動車の天井に設けられた照明装置は、室内を照らす機能、及び、室内に良好な意匠を付与する機能を発揮する。
特許文献1には、ドア開口部に設けられる車両用照明装置であるが、装飾が施された透明樹脂プレートの背後に面状光源を備える自動車用照明プレートが開示されている。面状光源は、透明樹脂プレートと同じ広さの導光板を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光で意匠を演出する車両用照明装置を軽量化することは、自動車自体の軽量化に繋がる。
尚、車両における照明装置の設置箇所は、天井に限らず、ドアトリム、インストルメントパネル、等も考えられる。
【0005】
本発明は、光で意匠を演出する車両用照明装置を軽量化させる技術を開示するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車両用照明装置は、車両の内装に設けられる車両用照明装置において、
第一照射部と、
該第一照射部からの光が入射する入射部、及び、該入射部から入射した光を前記車両の室内に放出する放光面を有する光透過部材と、
該光透過部材の前において前記第一照射部を隠す前面部を含む外面部材と、
前記光透過部材の背後に配置され、前記光透過部材に対向する対向面を有する背面部材と、
前記光透過部材と前記対向面との間の空間において前記対向面に沿って光を照射する第二照射部と、を備え、
前記対向面は、第一の段差、及び、前記第二照射部を起点として前記第一の段差よりも遠い第二の段差を含み、
前記背面部材は、前記第一の段差において前記第二照射部からの光が当たる第一の段差面、及び、前記第二の段差において前記第二照射部からの光が当たる第二の段差面を有し、
前記第二照射部からの光が前記第一の段差面及び前記第二の段差面で反射して前記光透過部材を通り抜けて前記室内に放出される、態様を有する。
また、本発明の車両用照明装置は、
第一照射部と、
該第一照射部からの光が入射する入射部、及び、該入射部から入射した光を放出する放光面を有する光透過部材と、
該光透過部材の前において前記第一照射部を隠す前面部を含む外面部材と、
前記光透過部材の背後に配置され、前記光透過部材に対向する対向面を有する背面部材と、
前記光透過部材と前記対向面との間の空間において前記対向面に沿って光を照射する第二照射部と、を備え、
前記対向面は、第一の段差、及び、前記第二照射部を起点として前記第一の段差よりも遠い第二の段差を含み、
前記背面部材は、前記第一の段差において前記第二照射部からの光が当たる第一の段差面、及び、前記第二の段差において前記第二照射部からの光が当たる第二の段差面を有し、
前記第二照射部からの光が前記第一の段差面及び前記第二の段差面で反射して前記光透過部材を通り抜け、
前記第一の段差及び前記第二の段差は、車両において後側が前側よりも前記第一の段差と前記第二の段差との間隔が広くなるように車両前後方向に延びている、態様を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、光で意匠を演出する車両用照明装置を軽量化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】車両用照明装置を備える自動車の例を模式的に示す図。
【
図2】車両の室内から見た照明装置の外観の例を模式的に示す図。
【
図3】照明装置を
図2のA1-A1の位置で切断したときの垂直端面の例を模式的に示す図。
【
図4】
図4A~4Cは光透過部材の垂直端面の例を模式的に示す図。
【
図6】照明不使用状態と照明使用状態とで見え方が変わる対向面の意匠の例を模式的に示す図。
【
図7】段差付近における背面部材の要部の例を模式的に示す図。
【
図8】照明装置の制御系の例を模式的に示すブロック図。
【
図9】第二照射部からの光が段差面で反射して光透過部材を通り抜ける様子を模式的に例示する図。
【
図10】光源からの光を対向面に直接照射する照明装置の垂直端面の例を模式的に示す図。
【
図11】光透過部材の末端部が外面部材で覆われた照明装置の垂直端面の例を模式的に示す図。
【
図12】内側ハウジングの意匠面を反射した光を光透過部材に通さない照明装置の垂直端面の例を模式的に示す図。
【
図13】比較例に係る車両用照明装置の垂直端面を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を説明する。むろん、以下の実施形態は本発明を例示するものに過ぎず、実施形態に示す特徴の全てが発明の解決手段に必須になるとは限らない。
【0010】
(1)本発明に含まれる技術の概要:
まず、
図1~13に示される例を参照して本発明に含まれる技術の概要を説明する。尚、本願の図は模式的に例を示す図であり、これらの図に示される各方向の拡大率は異なることがあり、各図は整合していないことがある。むろん、本技術の各要素は、符号で示される具体例に限定されない。
また、本願において、数値範囲「Min~Max」は、最小値Min以上、且つ、最大値Max以下を意味する。
【0011】
[態様1]
本技術の一態様に係る車両用照明装置1は、第一照射部10、光透過部材20、外面部材(例えば外側ハウジング30)、背面部材(例えば内側ハウジング40)、及び、第二照射部50を備える。前記光透過部材20は、前記第一照射部10からの光L1が入射する入射部21、及び、該入射部21から入射した光L1を放出する放光面23を有する。前記外面部材(30)は、前記光透過部材20の前において前記第一照射部10を隠す前面部31を含む。前記背面部材(40)は、前記光透過部材20の背後に配置され、前記光透過部材20に対向する対向面41を有する。前記第二照射部50は、前記光透過部材20と前記対向面41との間の空間SP3において前記対向面41に沿って光L2を照射する。前記対向面41は、第一の段差42a、及び、前記第二照射部50を起点として前記第一の段差42aよりも遠い第二の段差42bを含んでいる。前記背面部材(40)は、前記第一の段差42aにおいて前記第二照射部50からの光L2が当たる第一の段差面45a、及び、前記第二の段差42bにおいて前記第二照射部50からの光L2が当たる第二の段差面45bを有している。本車両用照明装置1において、前記第二照射部50からの光L2は、前記第一の段差面45a及び前記第二の段差面45bで反射して前記光透過部材20を通り抜ける。
【0012】
図4A~4C,10等に例示するように、第一照射部10からの光L1は、入射部21から光透過部材20に入射し、放光面23から放出される。これにより、照明装置1は、周辺を照らすことができる。また、
図9,10等に例示するように、第二照射部50からの光L2は、光透過部材20と、背面部材(40)における対向面41と、の間の空間SP3において対向面41に沿って進み、第一及び第二の段差面45a,45bで反射して光透過部材20を通り抜ける。これにより、光の模様を演出するための加工を導光体に行わなくても、第一及び第二の段差42a,42bの位置に応じた光の模様が演出される。従って、本態様は、導光体の少なくとも一部を削減することができ、光で意匠を演出する車両用照明装置を軽量化させることができる。
【0013】
ここで、車両用照明装置の設置箇所には、ルーフトリムといった車両内装の天井、ドアトリムやデッキサイドトリムといった車両内装の側部、インストルメントパネルといった車両内装の前部、等が考えられる。
第一照射部は、光源と導光体の組合せでもよいし、光源自体でもよい。第二照射部も、光源と導光体の組合せでもよいし、光源自体でもよい。
尚、上述した付言は、以下の態様においても適用される。
【0014】
[態様2]
図3,5等に例示するように、前記第二照射部50は、光源(例えば第二光源51)と導光部材52とを備えていてもよい。前記導光部材52は、前記光源(51)からの光L2が入射する光源光入射部53、及び、該光源光入射部53から入射した光L2を前記対向面41に沿って照射する出射部54を有していてもよい。前記前面部31は、前記導光部材52の前にあり、前記出射部54を隠していてもよい。本態様は、第二照射部50の導光部材52の出射部54が外面部材(30)の前面部31により隠されるので、演出する意匠をさらに良好にすることができる。
【0015】
[態様3]
図2,6に例示するように、前記第一の段差42a及び前記第二の段差42bは、車両(例えば自動車100)において後側が前側よりも前記第一の段差42aと前記第二の段差42bとの間隔C0が広くなるように車両前後方向D1に延びていてもよい。この態様は、車両(100)において後側が前側よりも光のライン状模様の間隔C0が広くなるように車両前後方向に延びた複数のライン状模様が演出されるので、車両前後方向の奥行き感を演出することができる。
【0016】
[態様4]
前記第一の段差42aの高さH1(
図7参照)は、0.2~1.5mmでもよい。前記対向面41に対する前記第一の段差面45aの傾きθ1(
図7参照)は、45~90°でもよい。本態様は、光の意匠の見栄えを向上させることができる。
【0017】
[態様5]
図6に例示するように、前記対向面41は、加飾としての柄43を有していてもよい。前記第一の段差42a及び前記第二の段差42bは、前記柄43に合わせて前記対向面41に配置されてもよい。本態様は、段差42a,42bが柄43に合わせられているので、昼間等、照明を使用しない時間帯において段差42a,42bが目立たず、室内SP0から加飾の柄43が光透過部材20を通して見える。また、夜間等、照明を使用する時間帯において、柄43に合わせられた段差42a,42bが光L2の模様で演出される。従って、本態様は、昼夜ともに良好な意匠を認識することができる。
【0018】
(2)車両用照明装置の具体例:
図1は、車両用照明装置1を備える自動車100を模式的に例示する図である。
図2は、自動車100の室内SP0から見た照明装置1の外観を模式的に例示する図である。
図3は、照明装置1を
図2のA1-A1の位置で切断したときの垂直端面を模式的に例示している。これらの図中、FRONT、REAR、UP、DOWN、LEFT、RIGHTは、それぞれ、自動車100から前を見る方向を基準とする場合における前、後、上、下、左、右を示す。また、符号D1は自動車100の車両前後方向を示し、符号D2は自動車100の上下方向を示し、符号D3は自動車100の車幅方向を示し、符号D4は車外から室内SP0に向かう室内方向D4を示し、符号D5は室内SP0から車外に向かう車外方向を示す。室内方向D4は照明装置1の内部1iから室内SP0に向かう方向でもあり、車外方向D5は室内SP0から照明装置1の内部1iに向かう方向でもある。室内方向D4と車外方向D5とは、互いに反対の方向とし、背面部材の対向面41に直交する方向とする。
【0019】
図1に示す自動車100は、道路R1上で使用されるように設計及び装備された路上走行自動車であり、例えば、鋼板製といった金属製の車体パネルが車室SP1及び荷室SP2を囲んで車体を形成している。尚、車室SP1と荷室SP2を室内SP0と総称する。また、
図1に示す自動車100は、後部の荷室SP2が車室SP1と繋がり、2列の座席110(前席と後席)を備えるワゴンタイプの乗用自動車とされている。むろん、本技術を適用可能な自動車には、3列シートタイプといった2列シートタイプ以外の自動車も含まれ、いわゆるステーションワゴンやワンボックスカー等の他、セダンタイプ等の自動車も含まれる。
【0020】
自動車100の車体パネルには、室内SP0側に種々の内装(111~115)が施されている。これらの内装(111~115)には、光L0を放出する車両用照明装置1を設けることが可能である。例えば、室内SP0の天井111には、天井照明装置101を配置することが可能である。車室SP1の側方にあるドアトリム112には、ドアトリム照明装置102を配置することが可能である。荷室SP2の側方にあるデッキサイドトリム113には、デッキサイドトリム照明装置103を配置することが可能である。バックドア(Tailgate)に取り付けられたバックドアトリム114には、バックドアトリム照明装置104を配置することが可能である。車室SP1の前方にあるインストルメントパネル115には、インストルメントパネル照明装置105を配置することが可能である。尚、照明装置1は、照明装置101~105を総称している。図示していないが、ドア開口部等に車両用照明装置1を配置することも可能である。
以下、車両用照明装置の例として、
図2,3等に示す天井照明装置101を説明する。
【0021】
図2,3に示す天井照明装置101は、ハウジング30,40、配線基板35、光L1,L2を出射する照射部10,50、光透過部材20、等を備え、車体パネルの例であるルーフパネル120に取り付けられている。
図1,3に示す光L0は、光L1,L2を総称している。
外側ハウジング30は、照明ユニットとしての天井照明装置101の外形を定め、内側ハウジング40等と協働して照射部10,50、光透過部材20、等を収容している。外側ハウジング30は、遮光性を有し、光透過部材20の前において第一照射部10及び第二照射部50を隠す前面部31を含んでいる。光透過部材20は、前面部31の開口部31oにおいて室内SP0から見えている。外側ハウジング30は、外面部材の例である。
【0022】
内側ハウジング40は、遮光性を有し、光透過部材20に対向する対向面41に第二照射部50からの光L2が当たると光L2を反射させる。内側ハウジング40は、外側ハウジング30に組み込まれている。
図3に示す内側ハウジング40の末端部44は、天井111に配置された内装材であるルーフトリム121において室内SP0に面する意匠面を押さえている。内側ハウジング40は、背面部材の例である。
【0023】
図3に示す対向面41は、階段状であり、複数の段差42を含んでいる。段差42は、対向面41が水平であると仮定した場合に対向面41に高低の差が生じている箇所を意味する。
図3に示す複数の段差42は、第二照射部50から遠くなる順に、段差42a、段差42b、段差42c、及び、段差42dを含んでいる。対向面41は、第一の段差、及び、第二照射部50を起点として第一の段差よりも遠い第二の段差を含んでいる。例えば、第二照射部50に最も近い段差42aを第一の段差に当てはめると、段差42b,42c,42dのいずれかが第二の段差に当てはまる。段差42bを第一の段差に当てはめると、段差42c,42dのいずれかが第二の段差に当てはまる。段差42cを第一の段差に当てはめると、段差42dのいずれかが第二の段差に当てはまる。このように、第一の段差及び第二の段差は、複数の段差42から相対的に決まる。本明細書において、段差42aを第一の段差42aと呼び、段差42bを第二の段差42bと呼ぶことがある。
【0024】
内側ハウジング40は、各段差42において第二照射部50からの光L2が当たる段差面45を有している。段差面45は、対向面41の向きとは異なる向きを有し、第二照射部50の方を向いている。
図3に示す複数の段差面45は、段差42aにおいて光L2が当たる段差面45a、段差42bにおいて光L2が当たる段差面45b、段差42cにおいて光L2が当たる段差面45c、段差42dにおいて光L2が当たる段差面45dを含んでいる。ここで、複数の段差42の内、第一の段差において光L2が当たる段差面が第一の段差面に当てはまり、第二の段差において光L2が当たる段差面が第二の段差面に当てはまる。本明細書において、段差面45aを第一の段差面45aと呼び、段差面45bを第二の段差面45bと呼ぶことがある。内側ハウジング40に複数の段差面45があることにより、
図3に示す対向面41は、第二照射部50から遠くなるほど高くなる階段状に形成されている。
対向面41及び段差面45には、
図6に例示するような柄43を有する加飾が施されてもよい。これにより、昼間等、照明を使用しない時間帯において、室内SP0から加飾の柄43が光透過部材20を通して見え、照明装置1に良好な意匠を付与する。
【0025】
基板35には、第一照射部10を構成する複数の第一光源11、及び、第二照射部50に含まれる複数の第二光源51が実装されている。第一光源11は、光透過部材20の入射部21に光L1を入射させる第一照射部10の例である。第一光源11からの光L1の向きは、設計上、室内方向D4である。各第一光源11は、第二光源51よりも明るく、放光面23から室内SP0に放出させる光L1により室内SP0を照らす比較的明るい室内照明を実現させる。第二光源51は、第二照射部50の一部であり、導光部材52の光源光入射部53に光L2を入射させる。第二光源51からの光L2の向きは、設計上、室内方向D4である。各第二光源51は、第一光源11よりも暗く、光透過部材20を通り抜けて室内SP0に放出させる光L2の模様を演出させる。
【0026】
図2に示すように、複数の第一光源11は外側ハウジング30の前面部31の背後において車両前後方向D1へ並べられ、複数の第二光源51も外側ハウジング30の前面部31の背後において車両前後方向D1へ並べられている。第二光源51の並びは、第一光源11の並びに並行している。室内SP0から見て、光源11,51は前面部31で隠されている。これにより、光源11,51からの光L1,L2による良好な室内照明が実現される。
尚、照明装置1に着目した前後関係は、照明装置1の内部1iから室内SP0を見る室内方向D4(
図3参照)を基準とする。この基準において、例えば、光透過部材20の前に前面部31があり、前面部31の背後に第一照射部10及び第二照射部50がある。
【0027】
第一光源11と第二光源51との間には、遮光性を有する仕切り部材60が配置されている。仕切り部材60は、第一光源11からの光L1が導光部材52の光源光入射部53に入射することを抑制し、第二光源51からの光L2が光透過部材20の入射部21に入射することを抑制する。基板35は、
図8に例示するような通電回路85,86を有し、外側ハウジング30に組み込まれている。
【0028】
ハウジング30,40及び仕切り部材60には、遮光性を有する樹脂材料を射出成形といった公知の方法により成形した樹脂成形品等を用いることができる。前記樹脂材料には、着色剤や充填剤といった遮光材料が添加されたアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂、遮光材料が添加されたポリプロピレン(PP)樹脂といったポリオレフィン樹脂、これらの何れかの樹脂に無機繊維といった添加剤が添加された改質樹脂、等を用いることができる。
【0029】
光源11,51には、LED(発光ダイオード)、白熱電球、ハロゲン電球、蛍光ランプ、放電ランプ、等を用いることができる。
図3には表面実装型LEDが光源11,51として示されているが、LEDに砲弾型LEDを用いることも可能である。光源11,51の発光色には、白色、赤色、緑色、黄色、青色、等が考えられる。発光させる色の成分を変更することが可能な光源11,51を使用することも可能である。
【0030】
第一照射部10は、光透過部材20の入射部21に光L1を入射させる。第二照射部50は、第二光源51と導光部材52とを含み、光透過部材20と対向面41との間の空間SP3において対向面41に沿って光L2を照射する。尚、対向面41に沿った光L2は、厳密に対向面41に平行な光線という意味ではなく、導光部材52の出射部54から出射する光L2の設計上の向きが対向面41の向きから30°以下、好ましくは15°以下のずれしかないことを意味する。
【0031】
導光部材52は、第二光源51からの光L2が入射する光源光入射部53、及び、光源光入射部53から入射した光L2を対向面41に沿って照射する出射部54を有している。出射部54からの光L2の照射方向は、設計上、室内方向D4と交差する方向であり、
図3に示す例では右方向である。光源光入射部53は、第二光源51から出射する光L2の設計上の向きである室内方向D4に直交する面とされている。出射部54は、対向面41に沿った光L2の照射方向(
図3では右方向)に直交する面とされている。出射部54は、照明装置1を室内SP0から車外方向D5に向かって見たときに前面部31の開口部31oから見えず、外側ハウジング30の前面部31で隠れる位置にある。すなわち、前面部31は、導光部材52の前にあり、出射部54を隠している。これにより、第二照射部50からの光L2による良好な模様が演出される。
【0032】
図2,3に示す光透過部材20は、第一光源11からの光L1が入射する入射部21、入射部21から入射した光L1を放出する放光面23、及び、ルーフトリム121において室内SP0に面する意匠面を押さえる末端部22を有している。
図3に示す光透過部材20は、放光面23を有する本体部20a、及び、入射部21を有する誘導部20bを含んでいる。入射部21は、第一光源11から出射する光L1の設計上の向きである室内方向D4に直交する面とされている。誘導部20bは、入射部21から入射した光L1を本体部20aまで室内方向D4へ誘導する。本体部20aまで誘導された光L1は、放光面23から室内SP0へ放出される。本体部20aにおいて放光面23とは反対側の裏面24は、空間SP3を挟んで内側ハウジング40の対向面41に対向している。本体部20aの下部は、末端部22までルーフトリム121の方へ曲がっている。誘導部20b及び第一光源11と、導光部材52及び第二光源51と、の間には、仕切り部材60が配置されている。
【0033】
導光部材52及び光透過部材20には、透明材料を射出成形といった公知の方法により成形した透明の成形品等を用いることができる。前記透明材料には、アクリル(PMMA)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ABS樹脂、シリコーン(SI)樹脂、ポリオレフィン樹脂、といった透明性を有する樹脂材料等を用いることができる。
【0034】
図4A~4Cに例示するように、光透過部材20には、様々な構造が考えられる。
図4Aは、放光面23に粗面23aを有する光透過部材20を備える天井照明装置101を例示している。粗面23aは、放光面23を拡散透過面として機能させる。第一照射部10からの光L1は、入射部21から光透過部材20に入射し、本体部20aにおいて粗面23aである放光面23から室内SP0へ放出される。図示していないが、本体部20aにおいて放光面23の代わりに裏面24を粗面にすることも可能である。この場合、粗面は、裏面24を拡散反射面として機能させる。むろん、本体部20aにおいて放光面23と裏面24の両方を粗面にすることも可能である。
【0035】
尚、内側ハウジング40の段差面45で反射した光L2が本体部20aを通り抜けると、段差42による光L2の意匠にぼやけが生じることがある。このため、本体部20aの粗面は、非点灯時にクリアー感が残るような滑らかな面粗度にすることが好ましい。本体部20aのクリアー感が低すぎる場合は本体部20aの粗面を弱くすれば本体部20aのクリアー感が高くなり、本体部20aのクリアー感が高すぎる場合は本体部20aの粗面を強くすれば本体部20aのクリアー感が低くなる。
【0036】
図4Bは、裏面24に複数の凹部24aを有する光透過部材20を例示している。本体部20aに誘導された光L1は、複数の凹部24aで反射して放光面23から室内SP0に放出される。
尚、内側ハウジング40の段差面45で反射した光L2が本体部20aを通り抜けると、複数の凹部24aにより光L2の意匠にぼやけが生じることがある。段差42による光L2の意匠を凹部24a間の隙間から見えるようにするため、凹部24a同士の間隔を例えば1mm以上にしてもよい。この場合において、放光面23から室内SP0に放出される光L1を強くするためには、各凹部24aの平面サイズを大きくしたり各凹部24aを深くしたりすればよい。
【0037】
図4Cは、多数の光散乱性粒子25を少なくとも本体部20aに含む光透過部材20を例示している。本体部20aに誘導された光L1は、多数の光散乱性粒子25で散乱して放光面23から室内SP0に放出される。光散乱性粒子25には、光散乱ポリマー、金属粒子、酸化金属粒子、等を用いることができる。
尚、内側ハウジング40の段差面45で反射した光L2が本体部20aを通り抜けると、多数の光散乱性粒子25により光L2の意匠にぼやけが生じることがある。このため、本体部20aに混ぜる光散乱性粒子25のHAZE(分散度)は、非点灯時にクリアー感が残る程度にすることが好ましい。本体部20aのクリアー感が低すぎる場合は本体部20aに混ぜる光散乱性粒子25を少なくすれば本体部20aのクリアー感が高くなり、本体部20aのクリアー感が高すぎる場合は本体部20aに混ぜる光散乱性粒子25を多くすれば本体部20aのクリアー感が低くなる。
【0038】
本具体例は、
図3,5に例示するように、内側ハウジング40の対向面41にある複数の段差42により、光の模様を演出するための加工を導光体に行わなくても光の模様を演出することができるという、特徴を有する。
【0039】
図13は、比較例に係る車両用照明装置901の垂直端面を模式的に示している。尚、照明装置901に含まれる複数の要素のうち
図3に示す照明装置1に含まれる要素と実質的に同じ要素については、
図3に示す符号を付して詳しい説明を省略する。
照明装置901は、外側ハウジング30、内側ハウジング940、配線基板35、複数の第一光源11、複数の第二光源51、光透過部材20、導光部材952、等を備え、ルーフパネル120に取り付けられている。内側ハウジング940において光透過部材20に対向する対向面41には、段差が無い。導光部材952は、裏面に複数の凹部955を有する本体部952a、及び、光源光入射部53を有する誘導部952bを含んでいる。誘導部952bは、光源光入射部53から入射した光L2を本体部952aまで室内方向D4へ誘導する。本体部952aまで誘導された光L2は、複数の凹部955で反射し、光透過部材20を通り抜けて室内SP0へ放出される。これにより、複数の凹部955に応じた光L2の模様が演出される。
【0040】
しかし、光L2の模様を演出するために広さを有する導光部材52が必要であり、また、導光部材52の加工が必要である。さらに、広い導光部材52を保持するハウジングが必要でもある。これらは、照明装置901のコストを高くしてしまう。
本具体例は、
図3,5に示す複数の段差42を内側ハウジング40の対向面41に形成することにより、
図13に示す導光部材952のうち本体部952aを削減することを可能にさせている。これにより、本体部952aの加工が不要となり、光L2で意匠を演出する照明装置1を軽量化させることができ、照明装置1のコストを低減させることができる。
【0041】
図5は、内側ハウジング40の垂直端面を模式的に例示している。内側ハウジング40の対向面41は、第二照射部50から遠くなる順に高くなる対向面41a,41b,41c,41d,41eを含んでいる。対向面41a,41b,41c,41d,41eは、段差42において高さが変わっている。第二照射部50は、光透過部材20と対向面41との間の空間SP3において出射部54から対向面41に沿って光L2を照射する。この光L2が各段差面45で反射し光透過部材20(
図3参照)を通り抜けて室内SP0に出る。
【0042】
内側ハウジング40における段差面45の光反射率は、光L2の模様を明瞭に演出する点から、5%以上が好ましく、10%以上がより好ましい。ここで、光反射率は、物体(例えば内側ハウジング40)への入射光強度に対する物体(例えば内側ハウジング40)の反射光強度の比とする。段差面45付近の内側ハウジング40には、黒色材料及び透明材料以外の材料を用いることが好ましく、白色材料、黄色材料、赤色材料、緑色材料、青色材料、といった様々な色の材料を用いることができる。
【0043】
内側ハウジング40における段差面45の60度鏡面光沢度は、導光部材52のプリズムパターンを抑制し、且つ、第二照射部50からの光L2の指向性により視認領域が狭まることを抑制する点から、50%以下が好ましく、40%以下がより好ましい。ここで、60度鏡面光沢度は、JIS(日本工業規格)Z8741:1997(鏡面光沢度-測定方法)に規定された鏡面光沢度測定方法の方法3による60度鏡面光沢度とする。
【0044】
図6は、照明不使用状態ST1と照明使用状態ST2とで見え方が変わる対向面41の意匠を模式的に例示している。
図6の上部は、昼間等、照明を使用しない時間帯において照射部10,50から光L1,L2を出射していない照明不使用状態ST1における対向面41の見た目を示している。
図6の下部は、夜間等、照明を使用する時間帯において第二照射部50から光L2を出射している照明使用状態ST2における対向面41の見た目を示している。
図6の上部に示すように、内側ハウジング40の対向面41は、加飾としての柄43を有している。第一及び第二の段差42a,42bを含む複数の段差42は、柄43に合わせて対向面41に配置されている。複数の段差42が柄43に合わせられているので、
図6の上部に示すように、照明を使用しない時間帯において段差42が目立たず、室内SP0から加飾の柄43が光透過部材20を通して見える。また、
図6の下部に示すように、照明を使用する時間帯において、柄43に合わせられた段差42が光L2の模様で演出される。従って、室内SP0にいる乗員は、昼夜ともに良好な意匠を認識することができる。
【0045】
図7は、段差42付近における内側ハウジング40の要部を模式的に例示している。分かり易く示すため、内側ハウジング40の断面を示すハッチングを省略している。
第一及び第二の段差42a,42bを含む段差42の高さH1は、照明装置1に含まれる各部材の組み付け精度や、段差42の加工ばらつきによる光L2のラインの蛇行を抑制するため、0.2mm以上が好ましい。また、段差42の高さH1は、光L2のラインが太すぎて見栄えが低下することを抑制するため、1.5mm以下が好ましい。ここで、段差42の高さH1は、
図5に示す例では、対向面41aからの対向面41bの高さ、対向面41bからの対向面41cの高さ、対向面41cからの対向面41dの高さ、及び、対向面41dからの対向面41eの高さである。対向面41の加飾の柄43に合わせて高さ1.5mm以下の段差42を付けることにより、昼間等、照明を使用しない時間帯において光透過部材20を通して良好な意匠の加飾を認識することができる。むろん、夜間等、照明を使用する時間帯において柄43に合わせられた段差42が光L2の模様で演出されるので、昼夜ともに良好な意匠を認識することができる。
【0046】
対向面41に対する段差面45の傾きθ1は、光L2の模様を明瞭に演出する点から、45°以上、90°以下が好ましい。むろん、段差面45は、第一及び第二の段差面45a,45bを含む。
段差面45の頂部は、光L2の模様の視認領域を広げる点から、面取り状であることが好ましい。段差面45の頂部にある面取り部46の曲率半径r1は、段差42の加工ばらつきによる光L2のラインの蛇行を抑制するため、0.2mm以上が好ましい。また、面取り部46の曲率半径r1は、光L2のラインが太すぎて見栄えが低下することを抑制するため、0.5mm以下が好ましい。
【0047】
尚、光L2の模様を長いライン状にする場合、第二照射部50に導光棒を使用してもよい。この場合、段差面45に向かう光L2が増えるように導光棒の断面形状を丸形等に最適化することにより、照明効率を向上させることができる。
【0048】
図2に示すように、内側ハウジング40の複数の段差42は、自動車100において後側が前側よりも段差42同士の間隔C0が広くなるように車両前後方向D1に延びていてもよい。この場合、第一及び第二の段差42a,42bは、自動車100において後側が前側よりも第一の段差42aと第二の段差42bとの間隔C0が広くなるように車両前後方向D1に延びている。例えば、車両前後方向D1において、段差42の中間位置よりも前側の位置における段差42同士の間隔C0をC1とし、段差42の中間位置よりも後側の位置における段差42同士の間隔C0をC2とする。自動車100において後側が前側よりも段差42同士の間隔C0が広いとは、間隔C2が間隔C1よりも広いことを意味する。
C2>C1であることにより、自動車100において後側が前側よりも光L2のライン状模様の間隔C0が広くなるように車両前後方向D1に延びた複数のライン状模様が演出されるので、車両前後方向D1の奥行き感が演出される。
【0049】
図8は、照明装置1の制御系を模式的に例示している。照明装置1の照明系統を制御するECU(Electronic Control Unit;電子制御装置)を利用することができる。ECUは、CPU(Central Processing Unit)80a、半導体メモリー80b,80c、タイマー(Timer)80d、I/O(入出力)回路80e、等を有する。各部80a~80eは、互いに情報を入出力可能に接続されている。車両用照明装置1の制御プログラム80pがROM(Read Only Memory)80bに記録される場合、ROM80bは車両用照明装置の制御プログラム80pを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体となる。CPU80aは、RAM(Random Access Memory)80cをワークエリアとして使用しながらROM80bに記録されているプログラム80pを実行することにより、コンピューターを制御部80として機能させ、車両用照明装置1の発光を制御する。制御部80に接続されたスイッチSW1は、照明装置専用の操作スイッチに限定されず、自動車の車幅灯(ポジションランプ)のスイッチ、イグニッションスイッチ、P(Parking)レンジスイッチ、等でもよく、ドアの開閉を検出するセンサーといった検出装置でもよい。
【0050】
例えば、制御部80は、第一光源11を点灯させる操作をスイッチSW1で受け付けると、第一光源11に通電させるように通電回路85を制御する。この時、制御部80は、第二光源51に通電させないように通電回路86を制御してもよい。また、制御部80は、第二光源51を点灯させる操作をスイッチSW1で受け付けると、第二光源51に通電させるように通電回路86を制御する。この時、制御部80は、第一光源11に通電させないように通電回路85を制御してもよい。さらに、制御部80は、両光源11,51を消灯させる操作をスイッチSW1で受け付けると、光源11,51に通電させないように通電回路85,86を制御する。
【0051】
第二光源51が発光させる色の成分を変更することが可能なLEDである場合、制御部80は、第二光源51の発光色を変化させる制御を行ってもよい。例えば、制御部80は、第二光源51の発光色について、R(赤)成分の強さ(Intensity)を変化させ、G(緑)成分の強さを変化させ、B(青)成分の強さを変化させるように、通電回路86が第二光源51に供給する電流を制御してもよい。
【0052】
(3)具体例に係る車両用照明装置の作用、及び、効果:
次に、車両用照明装置の作用、及び、効果を説明する。
夜間等、照明を使用する時間帯において、乗員が第一光源11を点灯させる操作を行うと、
図4Aに示すように、第一照射部10としての第一光源11から光透過部材20の入射部21に光L1が入射する。
図4A~4Cに示すように、光透過部材20に入射した光L1は、放光面23から室内SP0へ放出される。これにより、照明装置1の周辺が照らされ、室内SP0に比較的明るい照明が実現される。
【0053】
図9は、第二照射部50からの光L2が段差面45で反射して光透過部材20を通り抜ける様子を模式的に例示している。
乗員が第一光源11の代わりに第二光源51を点灯させる操作を行うと、
図9に示すように、第二光源51から導光部材52の光源光入射部53に光L2が入射し、この光L2が導光部材52の出射部54から内側ハウジング40の対向面41に沿って出射する。第二照射部50としての出射部54から出射した光L2は、光透過部材20と対向面41との間の空間SP3において対向面41に沿って進み、第一及び第二の段差面45a,45bを含む複数の段差面45で反射して光透過部材20を通り抜ける。室内SP0にいる乗員は、光透過部材20を通り抜けた光L2の模様を見ることができる。このように、光の模様を演出するための加工を導光体に行わなくても、複数の段差42の位置に応じた光L2の模様が演出される。従って、本具体例は、導光体の少なくとも一部を削減することができ、光L2で意匠を演出する照明装置1を軽量化させることができる。
【0054】
また、
図6に示すように対向面41が加飾としての柄43を有する場合、昼間等、照明を使用しない時間帯において、室内SP0から光透過部材20を通して対向面41の加飾の柄43が見える。
図6に示すように複数の段差42が柄43に合わせて対向面41に配置されていると、照明を使用しない時間帯において段差42が目立たない。従って、本具体例は、昼夜ともに良好な意匠を認識可能な車両用照明装置を提供することができる。
【0055】
(4)変形例:
本発明は、種々の変形例が考えられる。
本技術を適用可能な車両用照明装置は、天井照明装置101に限定されず、
図1で示した照明装置102~105でもよいし、ドア開口部に設けられるスカッフプレート照明装置のような装飾用照明装置等でもよい。
車両用照明装置は、文書等を読むのに適した読書灯といった付加的な照明を備えていてもよい。
【0056】
また、車両用照明装置は、
図2に示す複数の第二光源51の代わりに、長手方向を車両前後方向D1へ向けて側面から光を放出する導光棒と、該導光棒の端部から光を入射する光源と、の組合せを備えていてもよい。むろん、車両用照明装置は、
図2に示す複数の第一光源11の代わりに、長手方向を車両前後方向D1へ向けて側面から光を放出する導光棒と、該導光棒の端部から光を入射する光源と、の組合せを備えていてもよい。
背面部材は、内側ハウジング40に限定されず、ルーフトリム121といった内装材等でもよい。
外面部材は、外側ハウジング30に限定されず、ルーフトリム121といった内装材等でもよい。
【0057】
複数の段差42を有する対向面41は、第二照射部50から遠くなるにつれて高くなる階段形状に限定されない。例えば、各対向面41a~41eが第二照射部50から遠くなるにつれて徐々に低くなることにより、対向面41は複数の段差42が第二照射部50から遠くなっても高くならない形状でもよい。
【0058】
さらに、
図10に示すように、照明装置1は、第二光源51からの光L2を対向面41に直接照射してもよい。
図10に示す複数の要素のうち
図3,9に示す要素と実質的に同じか類似する要素については、
図3,9に示す符号を付して詳しい説明を省略する。
図10に示す天井照明装置101は、
図9に示す誘導部20bの無い光透過部材20、
図9とは向きが異なる基板35、
図9に示す導光部材52の無い第二照射部50、及び、
図9とは向きが異なる仕切り部材60を備えている。第二照射部50としての第二光源51は、光透過部材20と対向面41との間の空間SP3において対向面41に沿って光L2を照射する。第一光源11は、光透過部材20の入射部21に光L2の照射方向と並行する方向へ光L1を入射させる。
図10に示す天井照明装置101も、第一光源11から光透過部材20の入射部21に入射した光L1が放光面23から室内SP0に放出される。また、第二光源51から内側ハウジング40の対向面41に沿って照射された光L2が複数の段差面45で反射して光透過部材20を通り抜け、室内SP0にいる乗員の目に光L2の模様として入る。従って、光の模様を演出するための加工を導光体に行わなくても、複数の段差42の位置に応じた光L2の模様が演出される。
【0059】
さらに、
図11に示す照明装置1のように、光透過部材20の末端部22が外側ハウジング30で覆われてもよい。
図11に示す複数の要素のうち
図3に示す要素と実質的に同じか類似する要素については、
図3に示す符号を付して詳しい説明を省略する。
図11に示す天井照明装置101は、ルーフトリム121から連続している外側ハウジング30が光透過部材20の末端部22、及び、内側ハウジング40の末端部44を覆っている。従って、
図11に示す照明装置1は、照明ユニットとして組み立てた状態で車体パネル又は内装に取り付けることができる。
以上説明したように、様々な照明装置1において、導光体の少なくとも一部を削減することができ、光L2で意匠を演出する照明装置1を軽量化させることができる。
【0060】
さらに、
図12に示す車両用照明装置2のように、内側ハウジング40の意匠面241を反射した光L2が光透過部材20を通らない場合にも本技術を適用可能である。
図12に示す複数の要素のうち
図3,9に示す要素と実質的に同じか類似する要素については、
図3,9に示す符号を付して詳しい説明を省略する。
図12に示す内側ハウジング40の意匠面241は、光透過部材20に対向していないものの、段差42a,42bを含む複数の段差42を含んでいる。内側ハウジング40は、各段差42において第二照射部50からの光L2が当たる段差面45を有している。意匠面241は、加飾としての柄43を有している。複数の段差42は、柄43に合わせて意匠面241に配置されている。第二照射部50は、第二光源51と、第二光源51からの光L2が入射する光源光入射部53及び該光源光入射部53から入射した光L2を意匠面241に沿って照射する出射部54を有する導光部材52と、を備えている。外面部材の例である外側ハウジング30の前面部31は、導光部材52の前にあり、出射部54を隠している。第二照射部50からの光L2は、複数の段差面45で室内SP0の方へ反射する。
【0061】
図12に示す照明装置2も、第一光源11から光透過部材20の入射部21に入射した光L1が放光面23から室内SP0に放出される。また、第二光源51から内側ハウジング40の意匠面241に沿って照射された光L2が複数の段差面45で室内SP0の方へ反射し、室内SP0にいる乗員の目に光L2の模様として入る。従って、光の模様を演出するための加工を導光体に行わなくても、複数の段差42の位置に応じた光L2の模様が演出される。また、昼間等、照明を使用しない時間帯において、室内SP0から意匠面241の加飾の柄43が見える。複数の段差42が柄43に合わせて意匠面241に配置されているので、夜間等、照明を使用しない時間帯において段差42が目立たない。従って、
図12に示す照明装置2も、昼夜ともに良好な意匠を認識可能である。
【0062】
以上より、本技術の車両用照明装置2は、
第一照射部10と、
該第一照射部10からの光L1が入射する入射部21、及び、該入射部21から入射した光L1を放出する放光面23を有する光透過部材20と、
該光透過部材20の前において前記第一照射部10を隠す前面部31を含む外面部材(例えば外側ハウジング30)と、
前記放光面23に沿った意匠面241を有する意匠部材(例えば内側ハウジング40)と、
前記意匠面241に沿って光L2を照射する第二照射部50と、を備え、
前記前面部31は、前記第二照射部50の前にあり、前記第二照射部50を隠し、
前記意匠面241は、第一の段差42a、及び、前記第二照射部50を起点として前記第一の段差42aよりも遠い第二の段差42bを含み、
前記意匠部材(40)は、前記第一の段差42aにおいて前記第二照射部50からの光L2が当たる第一の段差面45a、及び、前記第二の段差42bにおいて前記第二照射部50からの光L2が当たる第二の段差面45bを有し、
前記第二照射部50からの光L2が前記第一の段差面45a及び前記第二の段差面45bで反射して光L2の模様を演出する、態様も有する。この態様は、導光体の少なくとも一部を削減することができ、光で意匠を演出する車両用照明装置を軽量化させることができる。
【0063】
尚、対向面41や意匠面241に柄43が無い場合、自動車100において後側が前側よりも段差42a,42bの間隔C0が広くない場合、等も、光で意匠を演出する車両用照明装置を軽量化させる基本的な効果が得られる。
【0064】
(5)結び:
以上説明したように、本発明によると、種々の態様により、光で意匠を演出する車両用照明装置を軽量化させる技術等を提供することができる。むろん、独立請求項(実施形態に記載した態様を含む。)に係る構成要件のみからなる技術でも、上述した基本的な作用、効果が得られる。
また、上述した例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、公知技術及び上述した例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、等も実施可能である。本発明は、これらの構成等も含まれる。
【符号の説明】
【0065】
1,2…照明装置、1i…内部、
10…第一照射部、11…第一光源、
20…光透過部材、21…入射部、22…末端部、23…放光面、24…裏面、
30…外側ハウジング(外面部材の例)、31…前面部、31o…開口部、
35…基板、
40…内側ハウジング(背面部材の例)、41,41a~41e…対向面、
42,42a~42d…段差、
43…柄、44…末端部、
45,45a~45e…段差面、46…面取り部、
50…第二照射部、51…第二光源、
52…導光部材、53…光源光入射部、54…出射部、
100…自動車、101…天井照明装置、111…天井、
120…ルーフパネル、121…ルーフトリム、
241…意匠面、
D1…車両前後方向、D2…上下方向、D3…車幅方向、
D4…室内方向、D5…車外方向、
L0,L1,L2…光、
SP0…室内、SP1…車室、SP2…荷室、SP3…空間、
ST1…照明不使用状態、ST2…照明使用状態。