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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-13
(45)【発行日】2024-06-21
(54)【発明の名称】付着物除去装置および付着物除去方法
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/56 20060101AFI20240614BHJP
   B60S 1/54 20060101ALI20240614BHJP
   G03B 17/56 20210101ALI20240614BHJP
   H04N 23/52 20230101ALI20240614BHJP
   G03B 15/00 20210101ALN20240614BHJP
【FI】
B60S1/56 100
B60S1/54 Z
G03B17/56 Z
H04N23/52
G03B15/00 V
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020168499
(22)【出願日】2020-10-05
(65)【公開番号】P2022060804
(43)【公開日】2022-04-15
【審査請求日】2023-07-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古石 朋久
【審査官】上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/174835(WO,A1)
【文献】登録実用新案第3051752(JP,U)
【文献】特開2005-329823(JP,A)
【文献】特開2019-018837(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0114881(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 1/60
B60S 1/54
G03B 17/56
H04N 23/52
G03B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を蓄圧するチャンバと、
ペダルと、
前記ペダルのストロークで作動することによって流体を前記チャンバへ送出するように設けられたポンプと、
記チャンバで蓄圧された流体をセンサの検知面へ向けて噴射するノズルと
を備える付着物除去装置。
【請求項2】
前記チャンバは、
内部の圧力が所定の圧力以上となった場合に、蓄圧された流体を外部へ送出する
求項1に記載の付着物除去装置。
【請求項3】
前記チャンバの内部の圧力を測定する圧力センサ
をさらに備え、
前記チャンバは、
前記圧力センサによって測定された圧力が所定の圧力以上となった場合に、内部に蓄圧された流体を前記ノズルへ向けて送出する
求項2に記載の付着物除去装置。
【請求項4】
前記チャンバに接続されるリリーフバルブ
をさらに備え、
前記リリーフバルブは、
前記チャンバの内部の圧力が所定の圧力以上となった場合に、前記チャンバの内部に蓄圧された流体を前記チャンバの外部へ排気する
求項2に記載の付着物除去装置。
【請求項5】
前記ペダルと前記ポンプを連結するように設けられ、前記ペダルのストロークの初期動作の間のみ前記ポンプが流体を送出するように形成されたカムリンク機構
をさらに備える請求項1~4のいずれか一つに記載の付着物除去装置。
【請求項6】
前記センサは、複数であり、
前記ポンプおよび前記チャンバは、それぞれ一つであって、
前記センサのそれぞれへ向けて前記チャンバから分岐する複数の流路
を備える請求項1~5のいずれか一つに記載の付着物除去装置。
【請求項7】
前記センサは、複数であり、
前記ポンプは、一つであって、
前記センサのそれぞれに対応する複数の前記チャンバと、
前記チャンバのそれぞれへ前記ポンプから分岐する複数の流路と
を備える、求項1~5のいずれか一つに記載の付着物除去装置。
【請求項8】
流体を蓄圧するチャンバと、ペダルと、を備える付着物除去装置による付着物除去方法であって、
前記ペダルのストロークによって流体を前記チャンバへ送出することと、
チャンバで蓄圧された流体をセンサの検知面へ向けて噴射すること
を含む、付着物除去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、付着物除去装置および付着物除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車載カメラのレンズへ向けて噴射口を配置したノズルから圧縮空気等の流体を噴射することで、レンズへ付着した付着物を除去する付着物除去装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-008005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来技術には、ポンプの駆動に必要な電源を不要として省エネ化を図るうえで、更なる改善の余地がある。
【0005】
たとえば、従来の付着物除去装置には、空気を圧縮するポンプを駆動するために、電源が必要な駆動源を用いたものが多くある。
【0006】
実施形態の一態様は、上記に鑑みてなされたものであって、ポンプの駆動に必要な電源を不要として省エネ化を図ることができる付着物除去装置および付着物除去方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の一態様に係る付着物除去装置は、チャンバと、ペダルと、ポンプと、ズルとを備える。前記チャンバは、流体を蓄圧する。前記ポンプは、前記ペダルのストロークで作動することによって流体を前記チャンバへ送出するように設けられる。記ノズルは、前記チャンバで蓄圧された流体をセンサの検知面へ向けて噴射する。
【発明の効果】
【0008】
実施形態の一態様によれば、ポンプの駆動に必要な電源を不要として省エネ化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係る付着物除去装置の概要説明図である。
図2図2は、車載カメラが設けられる車両を示す図である。
図3図3は、図2に示すA-A’線断面図である。
図4図4は、第1の比較例に係る付着物除去装置の噴射機構の構成例を示す図である。
図5図5は、第2の比較例に係る付着物除去装置の噴射機構の構成例を示す図である。
図6図6は、第1の実施形態に係る付着物除去装置の噴射機構の構成例を示す図である。
図7図7は、第2の実施形態に係る付着物除去装置の噴射機構の構成例を示す図である。
図8図8は、第2の実施形態の変形例に係る付着物除去装置の噴射機構の構成例を示す図である。
図9図9は、第3の実施形態に係る付着物除去装置の噴射機構の構成例を示す図である。
図10図10は、第4の実施形態に係る付着物除去装置の噴射機構の構成例を示す図である。
図11図11は、第5の実施形態に係る付着物除去装置の噴射機構の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する付着物除去装置および付着物除去方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
また、以下では、付着物除去装置が取り付けられるカメラが、車両Vに搭載される車載カメラ5である場合を例に挙げて説明を行う。車載カメラ5はたとえば、車両Vの後部に配置され、車両Vの後方を撮影するリアカメラである。
【0012】
まず、実施形態に係る付着物除去装置10の概要から説明する。図1は、実施形態に係る付着物除去装置10の概要説明図である。また、図2は、車載カメラ5が設けられる車両Vを示す図である。また、図3は、図2に示すA-A’線断面図である。
【0013】
図1に示すように、付着物除去装置10は、ノズル11と、噴射機構12とを備える。
【0014】
ノズル11は、噴射機構12に接続され、噴射機構12から送出される流体を車載カメラ5のレンズ5aへ向けて噴射する。ノズル11は、図1に示すように、たとえば樹脂等で車載カメラ5の本体部5b上部の外形に密着可能であり、かつ、低背な形状となるように形成されている。
【0015】
また、ノズル11は、噴射口11aが車載カメラ5のレンズ5aへ向けて側方から流体を噴射可能に配置される。具体的には、ノズル11は、たとえば図1に示すように、噴射口11aがレンズ5aへ向けて下垂する形状に形成されている。そして、ノズル11は、ブラケット7に対し、車載カメラ5と一体的に固定される。
【0016】
噴射機構12は、流体としてたとえば空気を蓄圧し、図示略の検知装置によってレンズ5aへの付着物の付着が検知された場合や、ユーザの手動操作を受け付けた場合等をトリガとして、ノズル11を介し、蓄圧した圧縮空気をレンズ5aへ向けて噴射する。
【0017】
なお、図2に示すように、車載カメラ5はたとえば、車両V後部のライセンスプレート93の上部であり、かつ、車両Vの車幅方向の略中央である位置に設置される。車載カメラ5は、かかる位置から、たとえば車両V後方のバックビュー用画像を撮像する。
【0018】
また、図3に示すように、車両Vの後部においては、金属製の車体パネル91へライセンスプレート93が取り付けられている。また、ライセンスプレート93の上部においては、車体パネル91へたとえば樹脂等で形成されたガーニッシュ92が取り付けられている。
【0019】
車体パネル91とガーニッシュ92との間には、部品等を配置可能な空間94が形成されている。ガーニッシュ92の底面92aは、その平面方向が、たとえば水平方向と略平行となるように設けられている。なお、底面92aには、ガーニッシュ穴92bが開口されている。
【0020】
車載カメラ5は、たとえばブラケット7を介して車体パネル91に対し支持される。ブラケット7は、車体パネル91に開口されたボディ穴91aに被せるように固定されている。車載カメラ5は、かかるブラケット7へ取り付けられ、車両Vの後方が撮像可能となるように光軸方向を鉛直方向に対し傾けた状態でブラケット7により支持される。
【0021】
また、ノズル11は、ブラケット7に対し車載カメラ5と一体的に固定され、噴射機構12から送出される圧縮空気をレンズ5aへ向けて噴射する。
【0022】
ここで、本実施形態の比較例に係る付着物除去装置の噴射機構の構成例について説明する。図4は、第1の比較例に係る付着物除去装置100の噴射機構120の構成例を示す図である。また、図5は、第2の比較例に係る付着物除去装置200の噴射機構220の構成例を示す図である。
【0023】
図4に示すように、第1の比較例に係る付着物除去装置100は、噴射機構120を備える。噴射機構120は、モータと、駆動回路と、ポンプとを備える。ポンプは、シリンダと、ピストンと、バネとを備える。ピストンは、モータの回転角に応じてモータとの係合が周期的に外れるようにモータと連結されている。バネは、ピストンを押す方向に付勢するように設けられている。
【0024】
かかる噴射機構120は、モータの駆動力によりピストンを引き、ポンプのシリンダ内に空気を溜める。また、ピストンが引かれることでバネ荷重が上昇するとともに、モータとピストンとの係合が外れたタイミングでバネがバネ荷重に対する反力によりピストンを押し戻す。そして、ピストンが押し戻されることにより、ピストン内に吸気された空気が排気され、ノズル11から噴射される。
【0025】
また、図5に示すように、第2の比較例に係る付着物除去装置200は、噴射機構220を備える。噴射機構220は、モータと、駆動回路と、ポンプと、逆止弁221と、チャンバ222と、電磁弁223とを備える。
【0026】
ポンプは、シリンダと、ピストンとを備える。ピストンは、モータの回転角に応じて往復するようにモータと連結されている。
【0027】
逆止弁221は、ポンプとノズル11との間で、ポンプの後段およびチャンバ222の前段に設けられる。チャンバ222は、ポンプとノズル11との間で、逆止弁221の後段および電磁弁223の前段に設けられる。電磁弁223は、ポンプとノズル11との間で、チャンバ222の後段およびノズル11の前段に設けられる。
【0028】
かかる噴射機構220は、モータの駆動力によりピストンを往復運動させ、チャンバ222へ空気を送り込む。チャンバ222は、逆止弁221および電磁弁223の閉鎖により、ピストンが1回または繰り返し動作することで空気を蓄圧する。モータは、チャンバ222内の圧力が所定の圧力となったところでポンプの動作を停止させる。
【0029】
そして、たとえば前述のトリガに基づいて制御回路により電磁弁223が開放されると、チャンバ222内に蓄圧された圧縮空気が一斉に排気され、ノズル11から噴射される。
【0030】
しかしながら、図4および図5に示す比較例に係る付着物除去装置100,200はいずれも、ポンプを動作させるために、電源が必要なモータを用いる必要がある。このため、必要電力が嵩んでしまう。また、複数の車載カメラ5に対応するためには、ポンプを複数設置するか、一つのポンプに対し、空気圧と空気量を大きくして、かかる一つのポンプから分岐させる必要がある。このため、装置の大型化を招きやすい。
【0031】
そこで、本実施形態では、ペダルのストロークで作動するポンプを用いてチャンバに空気を蓄圧し、蓄圧された圧縮空気を車載カメラ5のレンズ5aへ向けて噴射することとした。
【0032】
(第1の実施形態)
図6は、第1の実施形態に係る付着物除去装置10の噴射機構12の構成例を示す図である。
【0033】
図6に示すように、第1の実施形態に係る付着物除去装置10の噴射機構12は、ペダルPと、ポンプ12aと、逆止弁12bと、チャンバ12cと、電磁弁12dと、制御回路12eとを備える。
【0034】
ペダルPは、アクセルペダル、ブレーキペダル、クラッチペダル、または、AT(Automatic Transmission)車で左足により踏むことができる専用のペダルである。噴射機構12は、かかるペダルPを踏むことによるストロークでポンプ12aを作動させる。
【0035】
逆止弁12bは、ポンプ12aとノズル11との間で、ポンプ12aの後段およびチャンバ12cの前段に設けられる。チャンバ12cは、ポンプ12aとノズル11との間で、逆止弁12bの後段および電磁弁12dの前段に設けられる。電磁弁12dは、ポンプ12aとノズル11との間で、チャンバ12cの後段およびノズル11の前段に設けられる。制御回路12eは、電磁弁12dの開閉を制御する。
【0036】
かかる噴射機構12は、ペダルPのストロークによりポンプ12aのピストンを往復運動させ、チャンバ12cへ空気を送り込む。チャンバ12cは、逆止弁12bおよび電磁弁12dの閉鎖により、ポンプ12aから送り込まれた空気を蓄圧する。
【0037】
そして、たとえば前述のトリガに基づいて制御回路12eにより電磁弁12dが開放されると、チャンバ12c内に蓄圧された圧縮空気が一斉に排気され、ノズル11から噴射される。
【0038】
このように、第1の実施形態に係る付着物除去装置10は、ペダルPと、ポンプ12aと、チャンバ12cと、ノズル11とを備える。ポンプ12aは、ペダルPのストロークで作動することによって流体を送出するように設けられる。チャンバ12cは、ポンプ12aから送出される流体を蓄圧する。ノズル11は、チャンバ12cで蓄圧された流体を車載カメラ5(「センサ」の一例に相当)のレンズ5a(「検知面」の一例に相当)へ向けて噴射する。
【0039】
したがって、第1の実施形態に係る付着物除去装置10によれば、ポンプ12aの駆動に必要な電源を不要として省エネ化を図ることができる。また、たとえば小型のモータを用いるより大きなポンプ12aの駆動力を得ることができる。
【0040】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。図7は、第2の実施形態に係る付着物除去装置10Aの噴射機構12Aの構成例を示す図である。なお、第2の実施形態では、第1の実施形態と異なる点について主に説明する。
【0041】
したがって、これまで説明済みの構成要素については、説明を簡略するか、説明を省略する場合がある。この点は、後述する第3の実施形態および第4の実施形態についても同様である。
【0042】
図7に示すように、第2の実施形態に係る付着物除去装置10Aの噴射機構12Aは、圧力センサ12fをさらに備える。圧力センサ12fは、チャンバ12c内の圧力を測定する。また、圧力センサ12fは、制御回路12eに接続されており、チャンバ12c内の圧力の測定結果を随時、制御回路12eへ出力する。
【0043】
制御回路12eは、圧力センサ12fによる測定結果を監視する。そして、制御回路12eは、チャンバ12c内の圧力が所定の圧力以上になると、電磁弁12dを開放する。電磁弁12dが開放されると、チャンバ12c内に蓄圧された圧縮空気が一斉に排気され、ノズル11から噴射される。
【0044】
これにより、チャンバ12c内がいわばガス抜きされ、チャンバ12c内が必要以上に過圧されるのを防止することができる。また、チャンバ12c内の圧力が高まることで、ペダルPが必要以上に重くなるのを防止することができる。
【0045】
(第2の実施形態の変形例)
なお、図7では、圧力センサ12fを用いる例を示したが、これに限られるものではない。図8は、第2の実施形態の変形例に係る付着物除去装置10Aの噴射機構12Aの構成例を示す図である。
【0046】
図8に示すように、第2の実施形態の変形例に係る付着物除去装置10Aの噴射機構12Aは、図7に示した圧力センサ12fに代えて、リリーフバルブ12gを備える。
【0047】
リリーフバルブ12gは、チャンバ12cに接続され、チャンバ12c内の圧力が所定の圧力以上になると、その圧力により開放されて、チャンバ12c内に蓄圧された圧縮空気を排気する。
【0048】
これにより、やはりチャンバ12c内がガス抜きされ、チャンバ12c内が必要以上に過圧されるのを防止することができる。また、電力を浪費しないとのメリットもある。
【0049】
このように、第2の実施形態に係る付着物除去装置10Aは、チャンバ12cが、内部の圧力が所定の圧力以上となった場合に、蓄圧された流体を外部へ送出する。
【0050】
したがって、第2の実施形態に係る付着物除去装置10Aによれば、ポンプ12aの駆動に必要な電源を不要として省エネ化を図ることができるとともに、チャンバ12c内が必要以上に過圧されるのを防止することができる。また、ペダルPの踏力が過大にならず、ペダルPの本来の機能へ影響が及ぶのを抑えることができる。
【0051】
また、第2の実施形態に係る付着物除去装置10Aは、圧力センサ12fをさらに備える。チャンバ12cは、圧力センサ12fによって測定された圧力が所定の圧力以上となった場合に、内部に蓄圧された流体をノズル11へ向けて送出する。
【0052】
したがって、第2の実施形態に係る付着物除去装置10Aによれば、圧力センサ12fを用いて、チャンバ12c内が必要以上に過圧されるのを防止することができる。
【0053】
また、第2の実施形態に係る付着物除去装置10Aは、チャンバ12cに接続されるリリーフバルブ12gをさらに備える。リリーフバルブ12gは、チャンバ12cの内部の圧力が所定の圧力以上となった場合に、チャンバ12cの内部に蓄圧された流体をチャンバ12cの外部へ排気する。
【0054】
したがって、第2の実施形態に係る付着物除去装置10Aによれば、リリーフバルブ12gを用いて、チャンバ12c内が必要以上に過圧されるのを防止することができる。
【0055】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。図9は、第3の実施形態に係る付着物除去装置10Bの噴射機構12Bの構成例を示す図である。なお、第3の実施形態では、第1の実施形態および第2の実施形態と異なる点について主に説明する。
【0056】
図9に示すように、第3の実施形態に係る付着物除去装置10Bの噴射機構12Bは、ペダルPとポンプ12aとの間にカムリンク機構12hを備える。カムリンク機構12hは、ペダルPとポンプ12aのピストンとを連結する。
【0057】
カムリンク機構12hは、カム12haと、リンク12hbとを有する。カム12haは、ポンプ12aのピストンと一体に設けられる。また、カム12haは、カム溝を有する。
【0058】
リンク12hbは、たとえば略扇状に形成され、カム12haとペダルPとを連結する。リンク12hbは、2つのガイド軸を有しており、一方のガイド軸はカム12haのカム溝に、他方のガイド軸はペダルPに設けられたガイド部にそれぞれ係合されている。
【0059】
そして、カム12haのカム溝は、ペダルPのストロークの初期動作の間のみカム12haがピストンを押すように形成されている。これにより、図9に示すように、ポンプ12aのピストンは、ペダルPの初期動作の間のみ、チャンバ12cへ空気を送り込むこととなる。
【0060】
そして、たとえば前述のトリガに基づいて制御回路12eにより電磁弁12dが開放されると、チャンバ12c内に蓄圧された圧縮空気が一斉に排気され、ノズル11から噴射される。
【0061】
このように、第3の実施形態に係る付着物除去装置10Bは、ペダルPとポンプ12aを連結するように設けられ、ペダルPのストロークの初期動作の間のみポンプ12aが流体を送出するように形成されたカムリンク機構12hをさらに備える。
【0062】
したがって、第3の実施形態に係る付着物除去装置10Bによれば、ポンプ12aの駆動に必要な電源を不要として省エネ化を図ることができるとともに、ペダルPのストローク量に対し、ピストンのストローク量を小さくすることができる。また、これにより、ポンプ12aのサイズを小さくすることができる。
【0063】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について説明する。図10は、第4の実施形態に係る付着物除去装置10Cの噴射機構12Cの構成例を示す図である。なお、第4の実施形態では、第1~第3の実施形態と異なる点について主に説明する。
【0064】
図10に示すように、第4の実施形態に係る付着物除去装置10Cの噴射機構12Cは、一つのポンプ12aおよび一つのチャンバ12cに対し、複数の車載カメラ5のそれぞれに対応する複数の電磁弁12dと、これら電磁弁12dへチャンバ12cからそれぞれ分岐する複数の流路が設けられる。
【0065】
このように、第4の実施形態に係る付着物除去装置10Cは、車載カメラ5が複数であり、ポンプ12aおよびチャンバ12cがそれぞれ一つであって、車載カメラ5のそれぞれへ向けてチャンバ12cから分岐する複数の流路を備える。
【0066】
したがって、第4の実施形態に係る付着物除去装置10Cによれば、ポンプ12aの駆動に必要な電源を不要として省エネ化を図ることができる。また、ポンプ12aを複数設けず簡素な構成で、複数の車載カメラ5といった複数の付着物の除去対象に対し、選択的に圧縮空気を噴射することができる。
【0067】
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態について説明する。図11は、第5の実施形態に係る付着物除去装置10Dの噴射機構12Dの構成例を示す図である。なお、第4の実施形態では、第4の実施形態と異なる点について主に説明する。
【0068】
図11に示すように、第5の実施形態に係る付着物除去装置10Dの噴射機構12Dは、一つのポンプ12aに対し、複数の車載カメラ5のそれぞれに対応した複数の逆止弁12b、チャンバ12cおよび電磁弁12dと、これらへポンプ12aからそれぞれ分岐する複数の流路が設けられる。
【0069】
このように、第5の実施形態に係る付着物除去装置10Dは、車載カメラ5が複数であり、ポンプ12aが一つであって、車載カメラ5のそれぞれに対応する複数のチャンバ12cと、チャンバ12cのそれぞれへポンプ12aから分岐する複数の流路とを備える。
【0070】
したがって、第5の実施形態に係る付着物除去装置10Dによれば、ポンプ12aの駆動に必要な電源を不要として省エネ化を図ることができる。また、ポンプ12aを複数設けず簡素な構成で、複数の車載カメラ5といった複数の付着物の除去対象に対しそれぞれ独立した制御で、たとえば個別でも同時でも同一の圧力で、圧縮空気を噴射することが可能となる。
【0071】
なお、上述した各実施形態では、ユーザの踏力によるペダルPのストロークでポンプ12aを作動させる例を挙げたが、これに限られるものではなく、ユーザの体重や車両Vの振動によりポンプを作動させてもよい。
【0072】
かかる場合、ポンプは、たとえばペダルPと一体になった鞴(ふいご)状に設けることとしたうえで、シートの下等に配置する。すると、かかるポンプは、シートに着座したユーザの体重でストロークさせることができる。また、走行中は、車両Vの振動による上下動でもストロークさせることができる。
【0073】
これにより、かかるポンプからチャンバ12cへ送り込まれた空気はチャンバ12cで蓄圧され、電磁弁12dが開放されたタイミングでノズル11から噴射されることとなる。なお、シートの座り心地に影響が出ないように、一定以上蓄圧されるとガス抜きされることが好ましい。
【0074】
また、上述した各実施形態では、付着物除去装置10A,10B,10C,10Dによって付着物が除去される対象が車載カメラ5の検知面であるレンズ5aである例を挙げたが、これに限られるものではない。
【0075】
すなわち、たとえばレンズを介して画像を取得したり、車両周辺の物標の情報などを取得したりする光学センサであればよい。具体的には、たとえば車両周辺の物標を検知するレーダ装置等の種々の光学センサの検知面を対象とすることができる。
【0076】
また、付着物除去装置10は、たとえば車両だけでなく、船舶や航空機等に設けられてもよい。また、このような移動する機械だけでなく、一定の場所に設置されて運用される機械の付着物除去装置として設けられてもよい。
【0077】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0078】
5 車載カメラ
5a レンズ
5b 本体部
7 ブラケット
10,10A,10B,10C,10D 付着物除去装置
11 ノズル
11a 噴射口
12,12A,12B,12C,12D 噴射機構
12a ポンプ
12b 逆止弁
12c チャンバ
12d 電磁弁
12e 制御回路
12f 圧力センサ
12g リリーフバルブ
12h カムリンク機構
12ha カム
12hb リンク
P ペダル
V 車両
図1
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