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  • 特許-出力装置および出力方法 図1A
  • 特許-出力装置および出力方法 図1B
  • 特許-出力装置および出力方法 図2
  • 特許-出力装置および出力方法 図3
  • 特許-出力装置および出力方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-13
(45)【発行日】2024-06-21
(54)【発明の名称】出力装置および出力方法
(51)【国際特許分類】
   B60R 11/02 20060101AFI20240614BHJP
   H04R 3/12 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
B60R11/02 S
B60R11/02 C
H04R3/12 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020171956
(22)【出願日】2020-10-12
(65)【公開番号】P2022063611
(43)【公開日】2022-04-22
【審査請求日】2023-07-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松濤 寛
【審査官】浅野 麻木
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-144916(JP,A)
【文献】特開2020-048194(JP,A)
【文献】中国実用新案第209479490(CN,U)
【文献】特開2009-214819(JP,A)
【文献】特開2020-120290(JP,A)
【文献】特開平07-304397(JP,A)
【文献】実開平05-068197(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2009/0119720(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第19852535(DE,A1)
【文献】中国実用新案第208867965(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 11/02
H04R 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内に設置されたディスプレイを振動させることで前記ディスプレイから音を出力する場合において、前記ディスプレイに所定のコンテンツが表示中であるか否かを判定する判定部と、
前記判定部によって前記ディスプレイに前記コンテンツが表示中でないと判定された場合、車室内に設置された他のスピーカから出力中の音に関するスピーカ音を前記ディスプレイから出力し、前記判定部によって前記ディスプレイに前記コンテンツが表示中であると判定された場合、前記コンテンツに付随するコンテンツ音を前記ディスプレイから出力し、前記ディスプレイから出力された音とは異なる音を前記スピーカから出力する出力部と
を備えることを特徴とする出力装置。
【請求項2】
前記出力部は、
前記ディスプレイに前記コンテンツが表示中であると判定された場合、前記コンテンツに付随するコンテンツ音を出力し、前記ディスプレイに前記コンテンツが表示中でないと判定された場合、前記コンテンツ音とは音響特性が異なる前記スピーカ音を出力すること
を特徴とする請求項1に記載の出力装置。
【請求項3】
前記出力部は、
前記ディスプレイに前記コンテンツが表示中でないと判定された場合、前記他のスピーカが出力可能な周波数帯域以外の周波数帯域の前記スピーカ音を出力すること
を特徴とする請求項1または2に記載の出力装置。
【請求項4】
前記ディスプレイは、車両の天井部において開閉可能に配置され、
前記判定部は、
前記ディスプレイが閉じた状態である場合に、前記ディスプレイに前記コンテンツが表示中でないと判定すること
を特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の出力装置。
【請求項5】
車室内において開閉可能に設置されたディスプレイを振動させることで前記ディスプレイから音を出力する場合において、前記ディスプレイの開閉状態を判定する判定部と、
前記判定部によって前記ディスプレイが閉じた状態であると判定された場合、車室内に設置された他のスピーカから出力中の音に関するスピーカ音を前記ディスプレイから出力し、前記判定部によって前記ディスプレイが開いた状態であると判定された場合、前記ディスプレイで表示中のコンテンツに付随するコンテンツ音を前記ディスプレイから出力し、前記ディスプレイから出力された音とは異なる音を前記スピーカから出力する出力部と
を備えることを特徴とする出力装置。
【請求項6】
車室内に設置されたディスプレイを振動させることで前記ディスプレイから音を出力する場合において、前記ディスプレイに所定のコンテンツが表示中であるか否かを判定する判定工程と、
前記判定工程によって前記ディスプレイに前記コンテンツが表示中でないと判定された場合、車室内に設置された他のスピーカから出力中の音に関するスピーカ音を前記ディスプレイから出力し、前記判定工程によって前記ディスプレイに前記コンテンツが表示中であると判定された場合、前記コンテンツに付随するコンテンツ音を前記ディスプレイから出力し、前記ディスプレイから出力された音とは異なる音を前記スピーカから出力する出力工程と
を含むことを特徴とする出力方法。
【請求項7】
車室内において開閉可能に設置されたディスプレイを振動させることで前記ディスプレイから音を出力する場合において、前記ディスプレイの開閉状態を判定する判定工程と、
前記判定工程によって前記ディスプレイが閉じた状態であると判定された場合、車室内に設置された他のスピーカから出力中の音に関するスピーカ音を前記ディスプレイから出力し、前記判定工程によって前記ディスプレイが開いた状態であると判定された場合、前記ディスプレイで表示中のコンテンツに付随するコンテンツ音を前記ディスプレイから出力し、前記ディスプレイから出力された音とは異なる音を前記スピーカから出力する出力工程と
を含むことを特徴とする出力方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出力装置および出力方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、後席モニタ等のような車両の天井に設置されたディスプレイで動画等のコンテンツを表示中の場合に、かかるコンテンツに付随する音(動画の音声等)を出力する出力装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-144916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、車室内においてより高質な音響環境を実現する点で改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、車室内においてより高質な音響環境を実現することができる出力装置および出力方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る出力装置は、判定部と、出力部とを備える。前記判定部は、車室内に設置されたディスプレイを振動させることで前記ディスプレイから音を出力する場合において、前記ディスプレイに所定のコンテンツが表示中であるか否かを判定する。前記出力部は、前記判定部によって前記ディスプレイに前記コンテンツが表示中でないと判定された場合、車室内に設置された他のスピーカから出力中の音に関するスピーカ音を前記ディスプレイから出力する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、車室内においてより高質な音響環境を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A図1Aは、実施形態に係る出力方法の概要を示す図である。
図1B図1Bは、実施形態に係る出力方法の概要を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る出力装置の構成例を示すブロック図である。
図3図3は、実施形態に係る出力装置によって実行される処理の処理手順を示すフローチャートである。
図4図4は、実施形態に係る出力装置によって実行される処理の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する出力装置および出力方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0010】
まず、図1Aおよび図1Bを用いて、実施形態に係る出力方法の概要について説明する。図1Aおよび図1Bは、実施形態に係る出力方法の概要を示す図である。実施形態に係る出力方法は、例えば、図1Aに示す車両Cに搭載された出力装置1によって実行される。
【0011】
図1Aに示すように、実施形態に係る出力装置1は、例えば、車両Cの天井部、詳細には、前席および後席の間の天井部に配置され、開閉可能に設けられたディスプレイ5を有する。実施形態に係る出力装置1は、後述するコンテンツ提供装置100(図2参照)から入力される動画等のコンテンツをディスプレイ5で再生する。
【0012】
具体的には、実施形態に係る出力装置1は、ディスプレイ5にコンテンツを表示するとともに、ディスプレイ5を振動させることで、コンテンツに付随する音(以下、コンテンツ音)を出力可能である。これにより、後席の乗員が車室内においてディスプレイ5から出力される映像および音声によりコンテンツを楽しむことができる。
【0013】
また、図1Aに示すように、車両Cには、複数のスピーカ200が搭載される。スピーカ200は、例えば、車両Cのドア部に設置され、上記したコンテンツ提供装置100から入力される音を出力する。これにより、前席および後席の乗員が車室内においてスピーカ200から出力される楽曲等の音を楽しむことができる。
【0014】
また、本開示では、ディスプレイ5およびスピーカ200それぞれで独立した音を出力可能に構成される。例えば、動画コンテンツをディスプレイ5から再生するとともに、動画コンテンツとは無関係の楽曲等のコンテンツをスピーカ200から出力可能である。これにより、前席の乗員は楽曲を楽しむことができ、後席の乗員は動画コンテンツを楽しむことができる。
【0015】
ここで、従来は、例えば、ディスプレイで動画コンテンツを表示しない場合、かかるディスプレイからのコンテンツ音も停止させていた。つまり、車室内では、ディスプレイの表示および音出力の機能を停止させ、スピーカのみから音を出力していた。
【0016】
また、スピーカから音を出力する場合、スピーカの性能や配置上、高音域を出力しづらかったり、音像定位が下方になってしまったりすることで、高質な音響環境を実現することが難しくなるおそれがあった。また、仮に、高質な音響環境を実現するために高性能なスピーカを準備したり、スピーカの数を増やしたりした場合、コストが嵩んでしまうこととなる。
【0017】
そこで、実施形態に係る出力方法では、ディスプレイ5におけるコンテンツの表示の有無に応じて出力する音を変えることで、高質な音響環境を実現することとした。以下、図1Aおよび図1Bを用いて、実施形態に係る出力方法について説明する。
【0018】
実施形態に係る出力方法では、まず、ディスプレイ5にコンテンツが表示中であるか否かを判定する。なお、図1Aでは、ディスプレイ5が開いた状態でコンテンツが表示中である場合を示し、図1Bでは、ディスプレイ5が閉じられることでコンテンツが非表示である(表示中でない)場合を示す。
【0019】
図1Aに示すように、実施形態に係る出力方法では、ディスプレイ5にコンテンツが表示中であるか否かを判定し、例えば、ディスプレイ5にコンテンツが表示中である場合、コンテンツに付随するコンテンツ音を出力する。例えば、ディスプレイ5に動画コンテンツが表示されている場合、動画コンテンツのセリフやBGM(BackGround Music)等のコンテンツ音をディスプレイ5を振動させることで出力する。
【0020】
一方、図1Bに示すように、実施形態に係る出力方法では、ディスプレイ5にコンテンツが表示中でない場合、スピーカ200(他のスピーカの一例)から出力中の音に関するスピーカ音を出力する。
【0021】
スピーカ音は、例えば、スピーカ200で出力される音と同じ位相および振幅の音信号であってもよく、位相および振幅が異なる音信号であってもよい。また、スピーカ音は、スピーカ200の性能上、出力できないような周波数帯域の音信号であってもよい。
【0022】
つまり、実施形態に係る出力方法では、ディスプレイ5でコンテンツを表示しない場合には、スピーカ200の音を補助するスピーカとして機能する。これにより、ドア部に設置されたスピーカ200と、天井部に設置されたディスプレイ5とから音を出力することで、音像を上位に位置できたり、スピーカ200で出力できない周波数帯の音を出力できたりすることができる。
【0023】
すなわち、実施形態に係る出力方法では、車室内において高質な音響環境を実現できる。また、実施形態に係る出力方法によれば、高性能なスピーカ200を準備したり、スピーカ200の数を増やす必要がないため、コスト低減にも寄与することができる。
【0024】
なお、上記した出力方法では、ディスプレイ5にコンテンツが表示中か否かの判定結果によりディスプレイ5からコンテンツ音またはスピーカ音を出力する例を示したが、実施形態に係る出力方法では、コンテンツの表示中の有無に限らず、例えば、ディスプレイ5の開閉状態の判定結果によりディスプレイ5からコンテンツ音またはスピーカ音を出力するようにしてもよい。
【0025】
具体的には、実施形態に係る出力方法では、ディスプレイ5が開いた状態(開け状態)である場合、コンテンツ音を出力する。一方、実施形態に係る出力方法では、コンテンツが表示中であるか否かに関わらず、ディスプレイ5が閉じた状態(閉じ状態)である場合、スピーカ音を出力する。
【0026】
つまり、実施形態に係る出力方法では、コンテンツが表示中であっても、ディスプレイ5が閉じ状態となることで、乗員が表示中のコンテンツを見ないと推定できるため、かかる場合には、スピーカ音を出力する。これにより、ディスプレイ5をスピーカ200を補助するスピーカとして機能させることができるため、車室内において高質な音響環境を実現できる。
【0027】
次に、図2を用いて、実施形態に係る出力装置1の構成例について説明する。図2は、実施形態に係る出力装置1の構成例を示すブロック図である。図2に示す出力装置1は、コンテンツ提供装置100と、スピーカ200とに接続される。
【0028】
コンテンツ提供装置100は、ディスプレイ5やスピーカ200で出力されるコンテンツを出力装置1およびスピーカ200へ提供する。具体的には、コンテンツ提供装置100は、動画等のコンテンツを出力装置1へ提供し、楽曲等の音源のコンテンツをスピーカ200へ提供する。
【0029】
コンテンツ提供装置100は、例えば、車両Cに搭載されたナビゲーション装置として構成され、CAN(Controller Area Network)等の車載ネットワークを介して接続された出力装置1やスピーカ200へコンテンツを提供する。
【0030】
コンテンツ提供装置100は、例えば、自己の記憶媒体に記憶されたコンテンツを提供してもよく、あるいは、乗員が保持するスマートフォン等の端末装置と近距離無線通信により接続することで、端末装置から取得したコンテンツを提供してもよい。
【0031】
また、コンテンツ提供装置100が上記した端末装置として構成されてもよい。かかる場合、端末装置であるコンテンツ提供装置100と出力装置1とを近距離無線通信により接続することで、端末装置から出力装置1へコンテンツを提供してもよい。
【0032】
スピーカ200は、コンテンツ提供装置100から提供された音源のコンテンツを音信号に変換して出力する。スピーカ200は、例えば、車両Cのドア部に複数配置される。具体的には、スピーカ200は、車両Cの左右のドア部それぞれに配置される。また、スピーカ200は、車両Cのピラー部に配置されてもよい。
【0033】
実施形態に係る出力装置1は、制御部2と、記憶部3と、振動素子4と、ディスプレイ5とを備える。振動素子4は、ディスプレイ5に固定され、制御部2の制御に従って振動することで、ディスプレイ5を振動させる。振動素子4は、例えば、ピエゾ素子によって構成される。
【0034】
ディスプレイ5は、例えば、液晶ディスプレイであり、コンテンツ提供装置100から提供された動画等のコンテンツを表示するとともに、振動素子4の振動によって振動することで、上記したコンテンツ音やスピーカ音等を出力する。
【0035】
ディスプレイ5は、図1Aおよび図1Bで示したように、例えば、車両Cの天井部において開閉可能に設置される。なお、ディスプレイ5は、例えば、車両Cのインスツルメントパネルに設けられたナビゲーション装置の表示ディスプレイ、すなわち、開閉不能に設置されたディスプレイであってもよい。
【0036】
ここで、出力装置1は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ、入出力ポートなどを有するコンピュータや各種の回路を含む。
【0037】
コンピュータのCPUは、たとえば、ROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、制御部2の取得部21、判定部22および出力部23として機能する。
【0038】
また制御部2の取得部21、判定部22および出力部23の少なくともいずれか一つまたは全部をASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成することもできる。
【0039】
また、記憶部3は、RAMやフラッシュメモリに対応する。RAMやフラッシュメモリは、スピーカ情報31や、各種プログラムの情報等を記憶することができる。なお、出力装置1は、有線や無線のネットワークで接続された他のコンピュータや可搬型記録媒体を介して上記したプログラムや各種情報を取得することとしてもよい。
【0040】
記憶部3に記憶されたスピーカ情報31は、スピーカ200の性能に関する情報である。例えば、スピーカ情報31には、スピーカ200が出力可能な周波数帯域に関する情報が含まれる。
【0041】
次に、制御部2の各機能(取得部21、判定部22および出力部23)について詳細に説明する。
【0042】
取得部21は、各種情報を取得する。例えば、取得部21は、コンテンツ提供装置100からディスプレイ5で再生されるコンテンツの情報を取得する。また、取得部21は、コンテンツ提供装置100からスピーカ200へ楽曲等のコンテンツが提供されたか否か、すなわち、スピーカ200でコンテンツが出力中であるか否かの情報を取得する。
【0043】
また、取得部21は、ディスプレイ5の開閉状態に関する情報を取得する。開閉状態とは、ディスプレイ5が開いた状態(開け状態)であるか閉じた状態(閉じ状態)であるかや、開閉角度(開け状態における傾き)等の情報を取得する。開閉状態は、例えば、ディスプレイ5を開閉させる開閉機構に設けられた不図示のセンサにより検出可能である。
【0044】
判定部22は、ディスプレイ5でコンテンツを表示中であるか否かを判定する。例えば、判定部22は、ディスプレイ5の電源のオン/オフにより表示中か否かを判定する。具体的には、判定部22は、ディスプレイ5の電源がオンの場合、ディスプレイ5でコンテンツを表示中であると判定し、ディスプレイ5の電源がオフの場合、ディスプレイ5でコンテンツを表示中でないと判定する。
【0045】
なお、判定部22は、取得部21によるコンテンツの取得の有無により表示中か否かを判定してもよい。つまり、判定部22は、ディスプレイ5の電源がオンの場合であっても、取得部21によってコンテンツが取得されていない場合には、ディスプレイ5でコンテンツを表示中でないと判定する。
【0046】
換言すれば、判定部22は、ディスプレイ5の電源がオンの状態で、画面が黒画や白画、青画等の一色画である場合には、ディスプレイ5でコンテンツを表示中でないと判定する。
【0047】
また、判定部22は、取得部21のコンテンツの取得の有無に関わらず、ディスプレイ5の開閉状態によりコンテンツを表示中であるか否かを判定する。具体的には、判定部22は、ディスプレイ5が開け状態である場合、ディスプレイ5でコンテンツを表示中であると判定し、ディスプレイ5が閉じ状態である場合、ディスプレイ5でコンテンツを表示中でないと判定する。
【0048】
また、判定部22は、ディスプレイ5が所定角度以上開いた状態である場合には、ディスプレイ5でコンテンツを表示中であると判定してもよい。つまり、判定部22は、開閉角度が所定値以上の場合、ディスプレイ5でコンテンツを表示中であると判定する。すなわち、判定部22は、ディスプレイ5が閉じた状態である場合には、乗員がコンテンツを見ない意思を示しているといえ、後述の出力部23でコンテンツ音を出力しても乗員が煩わしいと感じるおそれがあるため、コンテンツを表示中でないと判定する。これにより、コンテンツの表示の有無を高精度に判定することができるとともに、乗員が見ていないコンテンツに関するコンテンツ音を出力しないことで、乗員の煩わしさや不快感等を低減することができる。
【0049】
また、判定部22は、コンテンツの表示中か否かを判定結果としたが、これに限らず、ディスプレイ5の開閉状態を判定結果としてもよい。つまり、判定部22は、ディスプレイ5の開閉状態を判定するようにしてもよい。
【0050】
出力部23は、判定部22の判定結果に応じて振動素子4を振動させることで、ディスプレイ5から音を出力する。
【0051】
具体的には、出力部23は、ディスプレイ5でコンテンツが表示中であると判定された場合、コンテンツに付随するコンテンツ音をディスプレイ5から出力する。また、出力部23は、ディスプレイ5でコンテンツが表示中でないと判定された場合、スピーカ200から出力中の音に関するスピーカ音を出力する。
【0052】
あるいは、出力部23は、ディスプレイ5が開き状態であると判定された場合、コンテンツ音をディスプレイ5から出力し、ディスプレイ5が閉じ状態であると判定された場合、スピーカ音を出力する。
【0053】
例えば、出力部23は、コンテンツ音とスピーカ音とで音響特性を異ならせる。具体的には、出力部23は、コンテンツ音として、ディスプレイ5に表示中の動画コンテンツにおけるセリフを出力し、スピーカ音として、スピーカ200から出力中の楽曲を出力する。このように、コンテンツ音とスピーカ音とで音響特性を異ならせることで、より高質な音響環境を実現できる。
【0054】
また、出力部23は、スピーカ音をディスプレイ5で出力する場合、スピーカ200の音よりも大きい(あるいは小さい)音圧レベルのスピーカ音を出力することで音響特性を異ならせてもよい。あるいは、出力部23は、スピーカ200が出力可能な周波数帯域以外の周波数帯域のスピーカ音を出力するようにしてもよい。これにより、車室内においてより高質な音響環境で楽曲等を出力することができる。
【0055】
例えばコンテンツ音をディスプレイ5で出力する場合、表示中の動画コンテンツのセリフが聞き取りやすい音響特性とすることができる。具体的にはセリフ(人の声)に多く含まれる周波数帯域(例200~400Hz)を強調して出力することが出来る。
【0056】
例えばスピーカ音をディスプレイ5で出力する場合、出力中の楽曲の周波数帯域の内、スピーカ200からの出力では不足している帯域(例:2kHz以上)を強調して出力することが出来る。
【0057】
なお、出力部23は、ディスプレイ5でコンテンツが表示中でない場合、または、ディスプレイ5が閉じ状態である場合であっても、スピーカ200から音が出力中でない場合には、ディスプレイ5がスピーカ音を出力しない。
【0058】
また、出力部23は、ディスプレイ5でコンテンツ音を出力中に、ディスプレイ5が閉じられた場合には、コンテンツ音を停止(例えば、ミュート)、またはコンテンツ音に重畳させるように、スピーカ音を出力する。
【0059】
なお、出力部23は、コンテンツ音に重畳させてスピーカ音を出力する場合、コンテンツ音とスピーカ音との音圧レベルを揃えるようにしてもよいが、例えば、コンテンツ音よりも大きい音圧レベルのスピーカ音を出力してもよい。
【0060】
かかる方法として、例えば、コンテンツ音の音圧レベルを小さくしてもよく、コンテンツ音の音圧レベルを維持した状態で、かかる音圧レベルよりも大きい音圧レベルのスピーカ音を出力する方法がある。
【0061】
また、出力部23は、例えば、コンテンツ提供装置100から提供されたコンテンツがカラオケに関するコンテンツであった場合には、ディスプレイ5においてカラオケ画像(動画含む)および楽曲のBGMを出力する。
【0062】
具体的には、出力部23は、ディスプレイ5でカラオケ画像を表示中である場合には、ディスプレイ5および/またはスピーカ200でカラオケ画像に付随するBGMを出力する。
【0063】
なお、出力部23は、ディスプレイ5でカラオケ画像を表示中にディスプレイ5が閉じられた場合には、引き続きディスプレイ5および/またはスピーカ200でカラオケ画像に付随するBGMを出力する。
【0064】
次に、図3および図4を用いて、実施形態に係る出力装置1において実行される処理の手順について説明する。図3および図4は、実施形態に係る出力装置1によって実行される処理の処理手順を示すフローチャートである。図3では、ディスプレイ5におけるコンテンツの表示の有無に応じてディスプレイ5から出力する音を切り替える場合の処理手順を示している。また、図5では、ディスプレイ5の開閉状態に応じてディスプレイ5から出力する音を切り替える場合の処理手順を示している。
【0065】
まず、図3を用いて説明する。図3に示すように、まず、判定部22は、ディスプレイ5でコンテンツが表示中であるか否かを判定する(ステップS101)。
【0066】
出力部23は、ディスプレイ5でコンテンツが表示中である場合(ステップS101:Yes)、コンテンツに付随するコンテンツ音をディスプレイ5から出力し(ステップS102)、処理を終了する。
【0067】
一方、判定部22は、ディスプレイ5でコンテンツが表示中でない場合(ステップS101:No)、スピーカ200で音を出力中であるか否かを判定する(ステップS103)。
【0068】
出力部23は、スピーカ200で音を出力中である場合(ステップS103:Yes)、スピーカ200で出力中の音に関するスピーカ音をディスプレイ5から出力し(ステップS104)、処理を終了する。
【0069】
また、出力部23は、スピーカ200で音を出力中でない場合(ステップS103:No)、ディスプレイ5から音を出力せず(ステップS105)、処理を終了する。
【0070】
次に、図4を用いて説明する。図4に示すように、まず、判定部22は、ディスプレイ5が開き状態であるか否かを判定する(ステップS201)。
【0071】
出力部23は、ディスプレイ5が開き状態である場合(ステップS201:Yes)、コンテンツに付随するコンテンツ音をディスプレイ5から出力し(ステップS202)、処理を終了する。
【0072】
一方、判定部22は、ディスプレイ5が閉じ状態である場合(ステップS201:No)、スピーカ200で音を出力中であるか否かを判定する(ステップS203)。
【0073】
出力部23は、スピーカ200で音を出力中である場合(ステップS203:Yes)、スピーカ200で出力中の音に関するスピーカ音をディスプレイ5から出力し(ステップS204)、処理を終了する。
【0074】
また、出力部23は、スピーカ200で音を出力中でない場合(ステップS203:No)、ディスプレイ5から音を出力せず(ステップS205)、処理を終了する。
【0075】
上述してきたように、実施形態に係る出力装置1は、判定部22と、出力部23とを備える。判定部22は、車室内に設置されたディスプレイ5を振動させることでディスプレイ5から音を出力する場合において、ディスプレイ5に所定のコンテンツが表示中であるか否かを判定する。出力部23は、判定部22によってディスプレイ5にコンテンツが表示中でないと判定された場合、車室内に設置された他のスピーカ200から出力中の音に関するスピーカ音をディスプレイ5から出力する。これにより、車室内において高質な音響環境を実現することができる。
【0076】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0077】
1 出力装置
2 制御部
3 記憶部
4 振動素子
5 ディスプレイ
21 取得部
22 判定部
23 出力部
31 スピーカ情報
100 コンテンツ提供装置
200 スピーカ
C 車両
図1A
図1B
図2
図3
図4