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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-13
(45)【発行日】2024-06-21
(54)【発明の名称】庇兼用シャッター装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/11 20060101AFI20240614BHJP
   E06B 9/58 20060101ALI20240614BHJP
   E04F 10/06 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
E06B9/11 D
E06B9/11 Z
E06B9/58 A
E04F10/06
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020179547
(22)【出願日】2020-10-27
(65)【公開番号】P2022070467
(43)【公開日】2022-05-13
【審査請求日】2023-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000252034
【氏名又は名称】株式会社鈴木シャッター
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 圭一
(72)【発明者】
【氏名】真野 慎吾
【審査官】櫻井 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-257354(JP,A)
【文献】特開2001-132368(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0182791(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F10/00-10/10
E06B9/00
9/02
9/06-9/18
9/40-9/50
9/56-9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部上方に設けたシャッターケース内に配設される巻取りドラムと、該巻取りドラムに巻装される昇降自在なシャッターカーテンと、該シャッターカーテンの左右縁部を支持する左右一対のガイドレールとを備えてなるシャッター装置において、前記左右一対のガイドレールをそれぞれ上側ガイドレールと下側ガイドレールとに上下に分割するとともに、左右の上側ガイドレールの上端側をそれぞれ左右のレール枢支部を介して揺動自在に枢支して、上側ガイドレールを、下側ガイドレールと連続状となってシャッターカーテンの昇降ガイドをするシャッター姿勢と、下側ガイドレールから離間して屋外側に張り出す庇姿勢とに変姿揺動自在に構成する一方、前記上側ガイドレールを揺動せしめるレール用駆動装置を、巻取りドラムと並行状に設けられ、駆動手段の駆動に基づいて正逆回動する同期軸と、該同期軸の正逆回動を前記左右のレール枢支部に伝達する伝動装置とを用いて構成するとともに、前記同期軸および伝動装置をシャッターケース内に配設したことを特徴とする庇兼用シャッター装置。
【請求項2】
シャッター装置は、巻取りドラムの左右両端部が支持される左右の支持ブラケットを備えるとともに、該左右の支持ブラケットに、同期軸の左右両端部および左右のレール枢支部を支持せしめたことを特徴とする請求項1記載の庇兼用シャッター装置。
【請求項3】
シャッターケースは、シャッター姿勢の上側ガイドレールの屋外側のシャッターケース底部を覆蓋する底面板を備えるとともに、該底面板は、シャッターケース底部を覆蓋する閉鎖姿勢と開放する開放姿勢とに開閉自在に構成され、底面板が開放姿勢になることで開放されたシャッターケース底部を通って庇姿勢の上側ガイドレールが屋外側に張り出す構成にしたことを特徴とする請求項1または2記載の庇兼用シャッター装置。
【請求項4】
シャッターケースの底面板を閉鎖姿勢側に付勢する付勢手段を設ける一方、底面板は、上側ガイドレールのシャッター姿勢から庇姿勢側への揺動変姿時に該上側ガイドレールに押されることで付勢手段の付勢力に抗して閉鎖姿勢から開放姿勢に変姿する構成であることを特徴とする請求項3記載の庇兼用シャッター装置。
【請求項5】
シャッター装置は、巻取りドラムを正逆回動せしめるドラム用電動モータと、同期軸を正逆回動せしめる駆動手段としてのレール用電動モータと、これらドラム用電動モータおよびレール用電動モータの駆動を制御する制御装置とを備えるとともに、該制御装置は、シャッターカーテンを庇として用いる場合に、ドラム用電動モータおよびレール用電動モータを自動制御する庇用自動制御手段を備え、該庇用自動制御手段は、ドラム用電動モータを制御してシャッターカーテンを該シャッターカーテンの下端が上側ガイドレールの範囲内に位置する所定の庇位置まで昇降せしめ、シャッターカーテンが庇位置に位置したことの検出に基づきレール用電動モータを制御して上側ガイドレールを所定の庇姿勢に揺動変姿せしめることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1記載の庇兼用シャッター装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の開口部に建付けられる庇兼用シャッター装置の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、屋外に面した建物の開口部、例えば窓開口部等に建付けられるシャッター装置に、日除けや雨除けのために庇を設けたい場合があり、このような場合には、シャッターケースに金具を用いて後付けで庇を取付けたり、シャターケース内に予め庇が組み入れられた複合シャッター装置を用いたりしている。しかしながらこれらのものは、部品点数が多くなるうえ、納まりが大きくなって意匠性に劣るという問題がある。
そこで、従来、シャッターカーテンの左右縁部を支持するガイドレールを、上側ガイドレールと下側ガイドレールとに上下に分割するとともに、上側ガイドレールを上端に設けた支軸を支点として揺動可能に設けた庇兼用のシャッター装置が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。これらのものでは、揺動せしめた上側ガイドレールに支持されるシャッターカーテンが庇となり、また、上側ガイドレールが庇の左右縁部を支持する支持部材となるため、専用の庇や庇用支持部材を必要とせず、部品点数の削減、納まりのコンパクト化に貢献できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-257354号公報
【文献】特開2001-132368号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献1のものでは、上側ガイドレールを揺動させるための駆動装置として、上側ガイドレールの長手方向中間部に連結されるワイヤーが用いられているとともに、該ワイヤーを掛ける滑車が配設されたアームが、シャッターケースから斜め前方に向けて突設されている。このアームはシャッターケースに取付け固定されるものであって、常時シャッターケースから斜め前方に大きく突出しており、見栄えが悪く意匠性に劣るうえ、上方視界の妨げになったり障害物になったりする。さらに、シャッターカーテンを庇として用いない場合に、上側ガイドレールとアームの滑車間に懸架されたワイヤーも視界の妨げになったり障害物となったりする惧れがある。
一方、特許文献2のものは、上側ガイドレールを揺動させるための駆動装置として、一端が上側ガイドレールの長手方向中間部に連結され、他端が下側ガイドレールが固定される支柱に連結されたシリンダーが用いられているが、このシリンダーは、上側ガイドレールが持ち上げられた状態で、上側ガイドレールと支柱とのあいだに斜めに架設された状態となるため、前述した特許文献1と同様に、意匠性に劣るうえ、視界の妨げになったり障害物になったりする惧れがあり、ここに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、開口部上方に設けたシャッターケース内に配設される巻取りドラムと、該巻取りドラムに巻装される昇降自在なシャッターカーテンと、該シャッターカーテンの左右縁部を支持する左右一対のガイドレールとを備えてなるシャッター装置において、前記左右一対のガイドレールをそれぞれ上側ガイドレールと下側ガイドレールとに上下に分割するとともに、左右の上側ガイドレールの上端側をそれぞれ左右のレール枢支部を介して揺動自在に枢支して、上側ガイドレールを、下側ガイドレールと連続状となってシャッターカーテンの昇降ガイドをするシャッター姿勢と、下側ガイドレールから離間して屋外側に張り出す庇姿勢とに変姿揺動自在に構成する一方、前記上側ガイドレールを揺動せしめるレール用駆動装置を、巻取りドラムと並行状に設けられ、駆動手段の駆動に基づいて正逆回動する同期軸と、該同期軸の正逆回動を前記左右のレール枢支部に伝達する伝動装置とを用いて構成するとともに、前記同期軸および伝動装置をシャッターケース内に配設したことを特徴とする庇兼用シャッター装置である。
請求項2の発明は、シャッター装置は、巻取りドラムの左右両端部が支持される左右の支持ブラケットを備えるとともに、該左右の支持ブラケットに、同期軸の左右両端部および左右のレール枢支部を支持せしめたことを特徴とする請求項1記載の庇兼用シャッター装置である。
請求項3の発明は、シャッターケースは、シャッター姿勢の上側ガイドレールの屋外側のシャッターケース底部を覆蓋する底面板を備えるとともに、該底面板は、シャッターケース底部を覆蓋する閉鎖姿勢と開放する開放姿勢とに開閉自在に構成され、底面板が開放姿勢になることで開放されたシャッターケース底部を通って庇姿勢の上側ガイドレールが屋外側に張り出す構成にしたことを特徴とする請求項1または2記載の庇兼用シャッター装置である。
請求項4の発明は、シャッターケースの底面板を閉鎖姿勢側に付勢する付勢手段を設ける一方、底面板は、上側ガイドレールのシャッター姿勢から庇姿勢側への揺動変姿時に該上側ガイドレールに押されることで付勢手段の付勢力に抗して閉鎖姿勢から開放姿勢に変姿する構成であることを特徴とする請求項3記載の庇兼用シャッター装置である。
請求項5の発明は、シャッター装置は、巻取りドラムを正逆回動せしめるドラム用電動モータと、同期軸を正逆回動せしめる駆動手段としてのレール用電動モータと、これらドラム用電動モータおよびレール用電動モータの駆動を制御する制御装置とを備えるとともに、該制御装置は、シャッターカーテンを庇として用いる場合に、ドラム用電動モータおよびレール用電動モータを自動制御する庇用自動制御手段を備え、該庇用自動制御手段は、ドラム用電動モータを制御してシャッターカーテンを該シャッターカーテンの下端が上側ガイドレールの範囲内に位置する所定の庇位置まで昇降せしめ、シャッターカーテンが庇位置に位置したことの検出に基づきレール用電動モータを制御して上側ガイドレールを所定の庇姿勢に揺動変姿せしめることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1記載の庇兼用シャッター装置である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、レール駆動装置を構成する同期軸および伝動装置はシャッターケース内に配設されていて、外部に露出することがないから、意匠性に優れるうえ、開口部からの視界の妨げになったり障害物となったりすることを確実に回避できる。しかも、左右の上側ガイドレールの揺動を正確に同期させることができて、庇姿勢の上側ガイドレールの揺動角度が左右でずれたり、上側ガイドレールが揺動変姿する際に左右でタイムラグが生じたりすることを確実に回避できる。
請求項2の発明とすることにより、同期軸およびレール枢支部を支持するための部材を別途設ける必要がなく、シャッターケース内に同期軸およびレール枢支部をコンパクトに配設できる。
請求項3の発明とすることにより、上側ガイドレールがシャッター姿勢のときには該上側ガイドレールの屋外側のシャッターケース底部を底面板によって覆蓋できる一方、該底面板が上側ガイドレールの庇姿勢への揺動の邪魔になってしまうことを回避できる。
請求項4の発明とすることにより、底面板を、上側ガイドレールの揺動変姿に連動して自動的に開閉させることができる。
請求項5の発明とすることにより、庇用自動制御手段によって、所定の庇位置までのシャッターカーテンの昇降と、シャッターカーテンが庇位置に位置している状態での所定の庇姿勢までの上側ガイドレールの揺動とが自動的に行われることになって、シャッターカーテンを庇として用いる場合の利便性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】シャッターとして用いた場合の庇兼用窓シャッターの一部切欠き正面図である。
図2図1の縦断面図である。
図3】庇として用いた場合の庇兼用窓シャッターの一部切欠き正面図である。
図4図3の縦断面図である。
図5図4の要部拡大図である。
図6】制御装置の入出力を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。1は本発明の庇兼用シャッター装置の一例である庇兼用窓シャッターであって、該庇兼用窓シャッター1は、開口部(窓開口部)の上方に設けられるシャッターケース2、開口部の左右両側に設けられる左右の縦枠3、シャッターケース2内の左右両側に配され、開口部上方の躯体側に固定される左右の支持ブラケット4、左右の支持ブラケット4に左右両端部が回動自在に支持される巻取りドラム5、巻取りドラム5に巻取り、巻戻し自在に巻装されるシャッターカーテン6、該シャッターカーテン6の左右縁部を支持する左右一対のガイドレール7、巻取りドラム5に連結連動されるシャッター開閉機(本発明のドラム用電動モータを含んで構成される)9、後述する同期軸10、レール用電動モータ11等を備えて構成されている。尚、本実施の形態において、前記シャッターカーテン6は、左右方向に長い長尺状の複数のスラット6aを上下方向に屈曲自在に連綴して形成されているとともに、シャッターカーテン6の下端には座板6bが設けられている。
【0009】
前記左右一対のガイドレール7は、それぞれ上側ガイドレール12と下側ガイドレール13とに上下に分割されている。これら上側ガイドレール12および下側ガイドレール13は、左右内方側が開口したガイド溝12a、13aを有しており、該ガイド溝12a、13aにシャッターカーテン6の左右縁部が移動自在に嵌合支持されるようになっているが、左右の下側ガイドレール13は、前記開口部の左右両側に設けられた左右の縦枠3にそれぞれ固定されている。一方、左右の上側ガイドレール12は、上端部にそれぞれ左右の揺動ブラケット14が一体的に設けられているとともに、該左右の揺動ブラケット14は、各揺動ブラケット14にそれぞれ固定された左右の枢支軸15を介して前記シャッターケース2内の左右の支持ブラケット4に揺動自在に枢支されている。そして、後述するように同期軸10の正逆回動に伴い左右の枢支軸15が同期して正逆回動することで、左右の上側ガイドレール12は、それぞれ左右の枢支軸15を軸として、左右の下側ガイドレール13と連続状となってシャッターカーテン6の昇降ガイドをするシャッター姿勢と、左右の下側ガイドレール13から離間して屋外側に張り出す庇姿勢とに揺動変姿自在に構成されている。尚、前記枢支軸15は、本発明のレール枢支部を構成する。
【0010】
前記同期軸10は、左右両端部が前記左右の支持ブラケット4に回動自在に軸承されているとともにレール用電動モータ11に連動連結されており、該レール用電動モータ11の正逆駆動に基づいて正逆回動するようになっている。さらに同期軸10の左右両側部位には、同期軸側スプロケット17a、チェン17b、枢支軸側スプロケット17cからなる伝動装置17を介して前記左右の枢支軸15が連動連結されている。これにより、レール用電動モータ11の正逆駆動に基づいて同期軸10が正逆回動することで左右の枢支軸15が同期して正逆回動し、これに伴い左右の上側ガイドレール12が同期してシャッター姿勢と庇姿勢とに揺動変姿するようになっている。尚、前記レール用電動モータ11は、本発明の駆動手段に相当する。また、レール用電動モータ11および伝動装置17は、本発明のレール用駆動装置を構成する。
【0011】
ここで、前記同期軸10は、前述したように左右両端部が左右の支持ブラケット4に回動自在に軸承されているが、この場合に、同期軸10は、巻取りドラム5と並行状となるように設けられているとともに、巻取りドラム5および左右の枢支軸15に対して屋内外何れか一方側(本実施の形態では屋外側)に偏位し、且つ、左右の枢支軸15よりも上方に位置するように配されている。これにより、同期軸10が、巻取りドラム5から左右の上側ガイドレール12に至るシャッターカーテン6や、庇姿勢の上側ガイドレール12に干渉してしまうことを回避できるようになっている。
【0012】
一方、前記シャッターケース2は、前述した左右の支持ブラケット4、巻取りドラム5、シャッター開閉機9、同期軸10,レール用電動モータ11、左右の枢支軸15、伝動装置17等が内装される箱状のものであって、上面板2a、正面板(屋外側面板)2b、左右の側面板2c、底面板2d等を備えて形成されているが、該底面板2dは、基端縁部が正面板2bの下端縁部にバネ蝶番(本発明の付勢手段に相当する)18を介して揺動自在に支持されていて、シャッター姿勢の上側ガイドレール12の屋外側のシャッターケース2底部を覆蓋する閉鎖姿勢と、シャッターケース2底部を開放する開放姿勢とに開閉自在に構成されている。
さらに、前記シャッターケース2の底面板2dは、バネ蝶番18によって常時閉鎖姿勢側に付勢されているとともに、底面板2dの先端縁部には、上側ガイドレール12に屋外側から当接する当接片2eが設けられている。そして、上側ガイドレール12がシャッター姿勢の状態では、底面板2dはバネ蝶番18の付勢力によって閉鎖姿勢になっているとともに、上側ガイドレール12に屋外側から当接する当接片2eによって屋外側マグサが形成されている。この状態から、上側ガイドレール12が庇姿勢側に揺動変姿すると、該上側ガイドレール12が底面板2dの当接片2eを押し上げることで底面板2dが開放姿勢側に揺動してシャッターケース2底部を開放する。つまり、上側ガイドレール12が庇姿勢となることに連動して底面板2dが開放姿勢になるとともに、底面板2dが開放姿勢になることで開放されたシャッターケース2底部を通って、庇姿勢の上側ガイドレール12が屋外側に張り出す構成になっている。
【0013】
一方、20はシャッター開閉機9およびレール用電動モータ11の駆動を制御する制御装置であって、前記シャッターケース2に内装されている(図1図5には図示せず)が、該制御装置20は、図6のブロック図に示す如く、操作盤21等から入力される各種操作信号や、シャッターカーテン6の位置を検出するシャッターカーテン位置検出手段(例えば、巻取りドラム5の回転数を測定する回転センサや、シャッターカーテン6側の部材が突き当たるリミットスイッチ等)22、上側ガイドレール12の揺動位置を検出する上側ガイドレール位置検出手段(例えば、同期軸10や枢支軸15の回転角度を検出する角度センサや、上側ガイドレール12側の部材が突き当たるリミットスイッチ等)23等の各種検出手段から入力される検出信号に基づいて、シャッター開閉機9およびレール用電動モータ11に制御信号を出力するように構成されているとともに、後述する庇用自動制御手段24を備えている。
【0014】
ここで、前記操作盤21には、シャッターカーテン6を昇降、停止するべく操作される開、閉、停止の操作スイッチ25、上側ガイドレール12を庇姿勢側、あるいはシャッター姿勢側に揺動させるべく操作されるレール用スイッチ26、庇兼用窓シャッター1をシャッターとして用いる場合のモード(シャッターモード)と庇として用いる場合のモード(庇モード)とを切換えるべく操作されるモード切換スイッチ27、庇モードにおいてシャッターカーテン6の昇降および上側ガイドレール12の揺動を自動的に行うときに操作される庇用自動スイッチ28等の各種操作スイッチ類が配設されている。
【0015】
そして、庇兼用窓シャッター1をシャッターとして用いる場合には、前記モード切換スイッチ27をシャッターモードに切換え、また、庇として用いる場合にはモード切換スイッチ27を庇モードに切換えるが、シャッターモードの場合、制御装置20は、開、閉、停止の操作スイッチ25の操作に基づいて、シャッター開閉機9に正逆駆動、停止の制御指令を出力する。これにより、巻取りドラム5が正逆回動してシャッターカーテン6を巻取り巻戻すことで、シャッターカーテン6が左右縁部をガイドレール7(上側ガイドレール12および下側ガイドレール13)にガイドされながら昇降して開口部の開閉が行われる。尚、前記シャッターモードでの操作スイッチ25の操作に基づくシャッターカーテン6の昇降は、上側ガイドレール位置検出手段23により上側ガイドレール12がシャッター姿勢であることが検出されている場合のみ行われるようになっており、上側ガイドレール12がシャッター姿勢でないと検出された場合には、操作スイッチ25を操作してもシャッターカーテン6の昇降は行われないようになっている。この場合には、レール用スイッチ26を操作して上側ガイドレール12をシャッター姿勢にすることで、操作スイッチ25の操作によるシャッターカーテン6の昇降が許容される。
【0016】
一方、庇モードの場合、制御装置20は、開、閉、停止の操作スイッチ25の操作に基づいて、シャッターカーテン6を昇降させる。これにより、全開状態、全閉状態、あるいは任意の位置で停止しているシャッターカーテン6を、上側ガイドレール12の範囲内の任意の庇位置まで昇降させることができる。このシャッターカーテン6の昇降は、上側ガイドレール12がシャッター姿勢であることが検出された場合のみ許容される。さらに、制御装置20は、シャッターカーテン位置検出手段22によりシャッターカーテン6の下端が上側ガイドレール12の範囲内に位置していることが検出されている場合に、レール用スイッチ26の操作に基づいてレール用電動モータ11に制御指令を出力して、上側ガイドレール12を庇姿勢側に揺動させる。この場合、レール用スイッチ26が操作されている間のみレール用電動モータ11が駆動するが、該レール用電動モータ11の駆動は、上側ガイドレール12が予め設定された上限揺動位置に達した場合にはレール用スイッチ26の操作にかかわらず停止する。これにより、上側ガイドレール12を任意の揺動角度の庇姿勢とすることができ、該庇姿勢の上側ガイドレール12に左右両端部が支持されたシャッターカーテン6を庇として利用することができる。
【0017】
さらに、庇モードにおいて、庇用自動スイッチ28が操作された場合には、制御装置20は、庇用自動制御手段24によってシャッター開閉機9およびレール用電動モータ11を自動制御する。この場合、庇用自動制御手段24は、まず、シャッター開閉機9に制御指令を出力して、シャッターカーテン6の下端が上側ガイドレール12の範囲内の所定の庇位置に達するまでシャッターカーテン6を昇降させる。そして、シャッターカーテン6が所定の庇位置に位置したことがシャッターカーテン位置検出手段22により検出されると、続けて、レール用電動モータ11に制御指令を出力して、上側ガイドレール12を所定の庇姿勢となるまで揺動させる。これにより、シャッターカーテン6を庇として用いる場合のシャッターカーテン6の庇位置までの昇降および上側ガイドレール12の庇姿勢までの揺動を、自動で行うことができる。尚、前記庇用自動制御手段24による制御は、上側ガイドレール12がシャッター姿勢であることが検出された場合のみスタートするようになっている。また、前述した庇用自動制御手段24によってシャッター開閉機9およびレール用電動モータ11を自動制御する場合において、シャッターカーテン6の所定の庇位置、上側ガイドレール12の所定の庇姿勢を任意に設定する設定手段(図示せず)を設けて、庇位置および庇姿勢を任意に設定(変更)できる構成にしてもよい。
【0018】
叙述の如く構成された本実施の形態において、庇兼用窓シャッター1は、開口部上方に設けたシャッターケース2内に配設される巻取りドラム5と、該巻取りドラム5に巻装される昇降動自在なシャッターカーテン6と、該シャッターカーテン6の左右縁部を支持する左右一対のガイドレール7とを備えているが、該左右一対のガイドレール7は、それぞれ上側ガイドレール12と下側ガイドレール13とに上下に分割されているとともに、左右の上側ガイドレール12は、上端側がそれぞれ左右の枢支軸15を介して揺動自在に枢支されていて、下側ガイドレール13と連続状となってシャッターカーテン6の昇降ガイドをするシャッター姿勢と、下側ガイドレール13から離間して屋外側に張り出す庇姿勢とに変姿揺動自在に構成されている。これにより、庇姿勢の上側ガイドレール12に左右縁部が支持されたシャッターカーテン6を庇として用いることができることになるが、このものにおいて、上側ガイドレール12を揺動せしめるレール駆動装置は、巻取りドラム5と並行状に設けられ、レール用電動モータ11の駆動に基づいて正逆回動する同期軸10と、該同期軸10の正逆回動を前記左右の枢支軸15に伝達する伝動装置17とを用いて構成されているとともに、これら同期軸10および伝動装置17は、シャッターケース2内に配設されることになる。
【0019】
このように、本実施の形態にあっては、上側ガイドレール12を揺動せしめるためのレール駆動装置を構成する同期軸10および伝動装置17がシャッターケース2内に配設されていて、外部に露出することがないから、意匠性に優れるうえ、開口部からの視界の妨げになったり障害物となったりすることを確実に回避できる。
【0020】
しかも、左右の上側ガイドレール12の揺動は、同期軸10の正逆回動が伝動装置17を介して左右の枢支軸15に伝達されることで行われる構成であるから、左右の上側ガイドレール12の揺動を正確に同期させることができ、よって、庇姿勢の上側ガイドレール12の揺動角度が左右でずれたり、上側ガイドレール12が揺動変姿する際に左右でタイムラグが生じたりすることを確実に回避できる。
【0021】
さらにこのものでは、巻取りドラム5の左右両端部が支持される左右の支持ブラケット4に、同期軸10の左右両端部および左右の上側ガイドレール12の枢支軸15が支持される構成となっているから、同期軸10および枢支軸15を支持するための部材を別途設ける必要がなく、シャッターケース2内に同期軸10および枢支軸15をコンパクトに配設できる。
【0022】
さらに、前記シャッターケース2は、シャッター姿勢の上側ガイドレール12の屋外側のシャッターケース2底部を覆蓋する底面板2dを備えているが、該底面板2dは、シャッターケース2底部を覆蓋する閉鎖姿勢と開放する開放姿勢とに開閉自在に構成されており、底面板2dが開放姿勢になることで開放されたシャッターケース2底部を通って庇姿勢の上側ガイドレール12が屋外側に張り出す構成になっている。これにより、上側ガイドレール12を枢支する枢支軸15がシャッターケース2内に設けられていても、上側ガイドレール12がシャッター姿勢のときには該上側ガイドレール12の屋外側のシャッターケース2底部を底面板2dによって覆蓋できる一方、底面板2dが上側ガイドレール12の庇姿勢への揺動の邪魔になってしまうことを回避できる。
【0023】
さらに、前記シャッターケース2の底面板2dはバネ蝶番18によって閉鎖姿勢側に付勢される一方、底面板2dは、上側ガイドレール12のシャッター姿勢から庇姿勢側への揺動変姿時に該上側ガイドレール12に押されることでバネ蝶番18の付勢力に抗して閉鎖姿勢から開放姿勢に変姿する構成であるから、底面板2dを、何ら操作しなくても、上側ガイドレール12の揺動変姿に連動して自動的に開閉させることができる。
【0024】
さらに、庇兼用窓シャッター1は、巻取りドラム5を正逆回動せしめるシャッター開閉機(ドラム用電動モータ)9と、同期軸10を正逆回動せしめるレール用電動モータ11と、これらシャッター開閉機9およびレール用電動モータ11の駆動を制御する制御装置20とを備えるとともに、該制御装置20は、シャッターカーテン6を庇として用いる場合に、シャッター開閉機9およびレール用電動モータ11を自動制御する庇用自動制御手段24を備えており、該庇用自動制御手段24は、シャッター開閉機9を制御してシャッターカーテン6を該シャッターカーテン6の下端が上側ガイドレール12の範囲内に位置する所定の庇位置まで昇降せしめ、シャッターカーテン6が庇位置に位置したことの検出に基づきレール用電動モータ11を制御して上側ガイドレール12を所定の庇姿勢に揺動変姿せしめることになる。しかして、前記庇用自動制御手段24によって、所定の庇位置までのシャッターカーテン6の昇降と、シャッターカーテン6が庇位置に位置している状態での所定の庇姿勢までの上側ガイドレール12の揺動とが自動的に行われることになって、シャッターカーテン6を庇として用いる場合の利便性に優れる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は、建物の開口部に建付けられるシャッター装置を庇として用いる場合に利用することができる。
【符号の説明】
【0026】
1 庇兼用窓シャッター
2 シャッターケース
2d 底面板
4 支持ブラケット
5 巻取りドラム
6 シャッターカーテン
7 ガイドレール
9 シャッター開閉機
10 同期軸
11 レール用電動モータ
12 上側ガイドレール
13 下側ガイドレール
15 枢支軸
17 伝動装置
18 バネ蝶番
20 制御装置
24 庇用自動制御手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6