(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-13
(45)【発行日】2024-06-21
(54)【発明の名称】電子レンジ用蓋材、電子レンジ用蓋付き容器、及び電子レンジ用蓋材の製造方法
(51)【国際特許分類】
B65D 81/34 20060101AFI20240614BHJP
B32B 27/08 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
B65D81/34 U
B32B27/08
(21)【出願番号】P 2020184238
(22)【出願日】2020-11-04
【審査請求日】2023-08-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000162113
【氏名又は名称】共同印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100145089
【氏名又は名称】野村 恭子
(72)【発明者】
【氏名】▲吉▼村 誠悟
(72)【発明者】
【氏名】柴田 直明
(72)【発明者】
【氏名】小野 栞
(72)【発明者】
【氏名】谷川 遼治
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-246375(JP,A)
【文献】特開2004-083099(JP,A)
【文献】特開2017-124859(JP,A)
【文献】特開2014-024553(JP,A)
【文献】特開2018-058330(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/34
B32B 27/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体の上端開口部を密封するための
電子レンジ用蓋材であって、
前記
電子レンジ用蓋材は、少なくとも、基材層と、熱軟化性接着樹脂層と、ヒートシール層と、がこの順で積層された複合フィルムからなり、
前記
電子レンジ用蓋材は、前記上端開口部のフランジ部を被覆するように、前記ヒートシール層が前記容器本体に熱融着されて、開封可能な接合部を形成するための蓋材本体部と、前記蓋材本体部の外周縁から突出し、前記容器本体から前記蓋材を剥離して容器を開封するための少なくとも1つのタブ部を有し、
前記蓋材は、前記ヒートシール層の側から施され、前記熱軟化性接着樹脂層に到達しているハーフカットを備え、
前記ハーフカットは、前記接合部を通って、前記蓋材本体部から前記タブ部に達するようにして配置されて
おり、
かつ
容器本体に内容物を充填し、前記電子レンジ用蓋材を容器本体に熱融着して蓋付き容器を形成し、前記蓋付き容器を電子レンジにより加熱した場合に、内容物から発生した蒸気が、厚み方向に前記ハーフカットを通過して直接、熱軟化性接着樹脂層まで到達し、前記熱軟化性接着樹脂層が、前記蒸気の熱によって直接的に温められて軟化し、内圧の上昇によって、軟化した前記熱軟化性接着樹脂層と前記ヒートシール層との間で層間剥離が生じ、前記熱軟化性接着樹脂層が前記蒸気の圧力によって蓋付容器の外側に持ち上がり、層間剥離した部分に空間が形成され、それによって、前記蒸気が前記空間を通して、前記蓋付き容器の外部へと排出される、
電子レンジ用蓋材。
【請求項2】
前記ハーフカットは、前記タブ部の前記突出する方向に対して直交する方向に延びる前記蓋材本体部の接線の外側に延在している、請求項1に記載の
電子レンジ用蓋材。
【請求項3】
前記ハーフカットは、直線状であり、かつ前記タブ部の前記突出する方向に対して30~60度の角度で施されている、請求項1又は2に記載の
電子レンジ用蓋材。
【請求項4】
前記ハーフカットは、前記蓋材本体部から前記タブ部を通るように、前記蓋材全体にわたって連続して施されている、請求項1から3のいずれか1項に記載の
電子レンジ用蓋材。
【請求項5】
前記複合フィルムの前記基材層と前記ヒートシール層との間の25℃におけるラミネート強度は、1.5N/15mm以上であり、
前記複合フィルムの前記基材層と前記ヒートシール層との間の70℃におけるラミネート強度は、1.5N/15mm未満である、
請求項1~4のいずれか1項に記載の
電子レンジ用蓋材。
【請求項6】
前記熱軟化性接着樹脂層は、JIS Z0237に準じた粘着強度が、1.0N/25mm以上である、請求項5に記載の
電子レンジ用蓋材。
【請求項7】
容器本体と、
前記容器本体の上端開口部を密封するための、請求項1~
6のいずれか1項に記載の
電子レンジ用蓋材と、
を含む開封可能な
電子レンジ用蓋付き容器であって、
前記容器本体の前記上端開口部は、フランジを有し、
前記ヒートシール層が前記フランジに熱融着されて、開封可能な接合部を形成し、
前記ハーフカットは、前記容器本体の内側から外側まで、前記接合部を横断する、
開封可能な
電子レンジ用蓋付き容器。
【請求項8】
請求項1~
6のいずれか1項に記載の
電子レンジ用蓋材の製造方法であって、
ロータリーダイカッターにより、前記ヒートシール層を含むシートに、前記シートの搬送方向に沿って前記ヒートシール層の厚み方向に貫通するカットを施すこと、
前記カットを作製した後に、前記ヒートシール層を含むシートに、前記基材層及び/又は前記熱軟化性接着樹脂層を積層して複合フィルムを作製すること、及び
前記複合フィルムから、所望の形状に切り抜くこと、
を含む、蓋材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋材、蓋付き容器、及び蓋材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、意図した位置から蒸気抜き可能な、電子レンジ用パウチが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、パウチの包装材料として、基材層、熱軟化性層、及びヒートシール層が、この順で積層された積層体からなる蓋材が提案されている。そして、蓋材となる積層体のヒートシール層側からハーフカットを施し、電子レンジで加熱調理したときに、ヒートシール層と容器本体のフランジ部とを熱融着させたシール部において、当該ハーフカットを通して蒸気を通過させることで、容器から蒸気抜きするとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された蓋材は、容器本体から蓋材を剥離させて容器を開封したときに、ハーフカットにより切断されたヒートシール層の一方の側が、容器本体のフランジ部に残留する場合があった。
【0006】
本発明は、上記の背景に鑑みてなされたものであり、開封時にヒートシール層が容器本体に残ることを抑制した蓋材、当該蓋材を用いた蓋付き容器、及び蓋材の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を行った。そして、ハーフカットを特定の位置に施した蓋材とすれば、開封時において、ヒートシール層が容器本体のフランジ部に残留することを抑制できることを見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は、以下のとおりである。
【0008】
《態様1》
容器本体の上端開口部を密封するための蓋材であって、
前記蓋材は、少なくとも、基材層と、熱軟化性接着樹脂層と、ヒートシール層と、がこの順で積層された複合フィルムからなり、
前記蓋材は、前記上端開口部のフランジ部を被覆するように、前記ヒートシール層が前記容器本体に熱融着されて、開封可能な接合部を形成するための蓋材本体部と、前記蓋材本体部の外周縁から突出し、前記容器本体から前記蓋材を剥離して容器を開封するための少なくとも1つのタブ部を有し、
前記蓋材は、前記ヒートシール層の側から施され、前記熱軟化性接着樹脂層に到達しているハーフカットを備え、
前記ハーフカットは、前記蓋材本体部から、前記接合部を通って、前記タブ部に達するようにして配置されている、
蓋材。
《態様2》
前記ハーフカットは、前記タブ部の前記突出する方向に対して直交する方向に延びる前記蓋材本体部の接線の外側に延在している、請求項1に記載の蓋材。
《態様3》
前記ハーフカットは、直線状であり、かつ前記タブ部の前記突出する方向に対して30~60度の角度で施されている、請求項1又は2に記載の蓋材。
《態様4》
前記ハーフカットは、前記蓋材本体部から前記タブ部を通るように、前記蓋材全体にわたって連続して施されている、請求項1から3のいずれか一態様に記載の蓋材。
《態様5》
前記複合フィルムの前記基材層と前記ヒートシール層との間の25℃におけるラミネート強度は、1.5N/15mm以上であり、
前記複合フィルムの前記基材層と前記ヒートシール層との間の70℃におけるラミネート強度は、1.5N/15mm未満である、
請求項1~4のいずれか一態様に記載の蓋材。
《態様6》
前記熱軟化性接着樹脂層は、JIS Z0237に準じた粘着強度が、1.0N/25mm以上である、態様5に記載の蓋材。
《態様7》
電子レンジ用である、態様6に記載の蓋材。
《態様8》
容器本体と、
前記容器本体の上端開口部を密封するための、態様1~7のいずれか一態様に記載の蓋材と、
を含む開封可能な蓋付き容器であって、
前記容器本体の前記上端開口部は、フランジを有し、
前記ヒートシール層が前記フランジに熱融着されて、開封可能な接合部を形成し、
前記ハーフカットは、前記容器本体の内側から外側まで、前記接合部を横断する、
開封可能な蓋付き容器。
《態様9》
電子レンジ用である、態様8記載の蓋付き容器。
《態様10》
態様1~7のいずれか一態様に記載の蓋材の製造方法であって、
ロータリーダイカッターにより、前記ヒートシール層を含むシートに、前記シートの搬送方向に沿って前記ヒートシール層の厚み方向に貫通するカットを施すこと、
前記カットを作製した後に、前記ヒートシール層を含むシートに、前記基材層及び/又は前記熱軟化性接着樹脂層を積層して複合フィルムを作製すること、及び
前記複合フィルムから、所望の形状に切り抜くこと、
を含む、蓋材の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明の蓋材によれば、本発明の蓋材を容器本体に熱融着して蓋付き容器を形成し、当該蓋付き容器の容器本体から蓋材を剥離させて容器を開封したときに、ヒートシール層の容器本体への残留を抑制することができる。
【0010】
さらに、熱軟化性樹脂層として、基材層とヒートシール層との間の特定温度におけるラミネート強度が、特定の範囲となるものを適用した場合には、基材層とヒートシール層との間に、熱軟化性を有する樹脂層の1層のみを配置した簡易な構成であっても、従来と同等の蒸気抜き性能を有する蓋材とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係る蓋材を構成する複合フィルムの断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る蓋材を示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る蓋材の蒸気抜き時の概略図である。
【
図4】本発明の実施例及び比較例で作製した蓋材を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
《蓋材》
本発明の蓋材は、容器本体の上端開口部を密封するための蓋材であって、少なくとも、基材層と、熱軟化性接着樹脂層と、ヒートシール層と、がこの順で積層された複合フィルムからなる。
【0013】
そして、本発明の蓋材は、容器本体の上端開口部のフランジ部を被覆するように、ヒートシール層が容器本体に熱融着されて、開封可能な接合部を形成するための蓋材本体部と、蓋材本体部の外周縁から突出し、容器本体から蓋材を剥離して容器を開封するために用いられる、少なくとも1つのタブ部を備えている。
【0014】
本発明の蓋材は、ヒートシール層の側から施され、熱軟化性接着樹脂層に到達しているハーフカットを有し、当該ハーフカットは、蓋材本体部から、ヒートシール層と容器本体との接合部を通って、タブ部に達するように配置されている。
【0015】
本発明の蓋材は、上記のように特定配置のハーフカットを備えることにより、容器本体から蓋材を剥離させて容器を開封するときに、ハーフカットの両側のヒートシール層を引き上げることができ、それによって、ヒートシール層の容器本体への残留を抑制することができる。
【0016】
<ハーフカット>
本発明の蓋材が備えるハーフカットとは、蓋材を構成する複合フィルムの厚さ方向に形成され、複合フィルムの厚さ方向に貫通しない切れ目をいう。本発明の蓋材が備えるハーフカットは、ヒートシール層の側から施され、熱軟化性接着樹脂層に到達している。
【0017】
本発明の蓋材は、必要となる箇所にハーフカットを備えさせることによって、本発明の蓋材を容器本体に熱融着して蓋付き容器を形成し、当該蓋付き容器を電子レンジ等により加熱した場合に、意図した位置から蒸気抜きを実施することが可能となる。
【0018】
本発明の蓋材を容器本体に熱融着して蓋付き容器を形成したときは、蓋材を構成するヒートシール層が蓋付き容器の内側となる。したがって、加熱によって蓋付き容器に充填された内容物から発生する蒸気は、ヒートシール層の側から施されたハーフカットを通して、蓋材を構成する複合フィルムの厚み方向に入り込んでいくこととなる。
【0019】
このとき、ハーフカットが熱軟化性接着樹脂層に到達していることで、内容物から発生した蒸気は、厚み方向にハーフカットを通過して直接、熱軟化性接着樹脂層まで到達することとなる。その結果、熱軟化性接着樹脂層は、蒸気の熱によって直接的に温められる。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態に係る蓋材を構成する複合フィルムの断面図である。
図1に示される複合フィルム10は、基材層1と、基材層1の内側に積層配置された熱軟化性接着樹脂層2と、熱軟化性接着樹脂層2の内側に積層配置されたヒートシール層3と、を備える。
【0021】
図1に示される複合フィルム10は、ハーフカットC1を備えており、ハーフカットC1は、ヒートシール層3の側から設けられ、熱軟化性接着樹脂層2の表面に到達している。
【0022】
なお、本発明の蓋材において、ハーフカットの深さは、熱軟化性接着樹脂層の表面までであっても、あるいは、熱軟化性接着樹脂層の内部まで施されていても、更には、熱軟化性接着樹脂層を貫通していても、いずれであってもよい。
【0023】
ただし、ハーフカットは、複合フィルムの最外層となる基材層に到達しない深さであることが好ましい。ハーフカットが基材層に到達すると、蓋材の強度が低下する場合がある。
【0024】
特には、ハーフカットは、ヒートシール層のみに施されていることが好ましい。ヒートシール層のみにハーフカットを施すことができれば、複合フィルムから得られる蓋材の強度が最も高くなる。
【0025】
本発明の蓋材におけるハーフカットは、蓋材本体部から、ヒートシール層が容器本体に熱融着されたときに形成される接合部を通って、タブ部に達するように配置される。すなわち、本発明の蓋材を容器本体に熱融着して蓋付き容器を形成したときに、容器本体の内側から接合部を通って、タブ部において容器本体の外側に達するように配置される。
【0026】
また、ハーフカットは、蓋材本体部から、ヒートシール層と容器本体との接合部を通って、タブ部に達するものであれば、その長さは特に限定されるものではない。蒸気抜きを実施したい箇所のみに備えさせる長さであってもよいし、蓋材全体を通過するように設けられていてもよい。
【0027】
ハーフカットの形状は、特に限定されるものではない。例えば、直線状であっても、曲線状であってもよいが、直線状であれば、製造工程を簡易とする観点から好ましい。更に、連続的な線であっても、断続的な線であってもいずれでもよい。また、少なくとも1本が施されていればよく、その数は限定されない。複数本のハーフカットを備えさせる場合には、ハーフカット同士は、略並行であることが好ましい。
【0028】
ハーフカットを形成する方法は、特に限定されるものではなく、例えば、複合フィルムを形成した後に、レーザー等で作製してもよいし、複合フィルムを生産する途中で、ダイカッター等により、ヒートシール層を含むシートのヒートシール層側から作成し、その後に他の層と積層させて複合フィルムとしてもよい。本発明の蓋材は、ハーフカットが施された複合フィルムから、所望の形状に切り抜くことで作製することができる。
【0029】
本発明においては、ロータリーダイカッターを用いて、ヒートシール層を含むシートに、シートの搬送方向に沿ってヒートシール層の厚み方向に貫通するカットを施し、当該カットが作製されたシートに、基材層及び/又は熱軟化性接着樹脂層を積層して複合フィルムを作製してもよい。その後に、複合フィルムから所望の形状に切り抜くことで、蓋材を得ることができる。
【0030】
図2は、本発明の一実施形態に係る蓋材を示す図である。
図2に示される蓋材20は、容器本体の上端開口部のフランジ部を被覆するように、ヒートシール層が容器本体に熱融着されて、開封可能な接合部23を形成することのできる蓋材本体部21と、蓋材本体部21の外周縁から突出し、容器本体から蓋材を剥離して容器を開封するために用いられる、タブ部22とからなっている。なお、図中に示されるG1は、蓋材20の重心である。
【0031】
蓋材20は、断続的な直線状のハーフカットC2を備えており、ハーフカットC2は、蓋材本体部21から、接合部23を通って、タブ部22に達し、タブ部22を通過するように配置されている。
【0032】
このような蓋材20のヒートシール層3が容器本体に熱融着されて形成された蓋付き容器は、容器が加熱され、内部に充填された内容物から蒸気が発生すると、発生した蒸気は、接合部23のハーフカットC2が施された箇所から、蓋付き容器の外部に排出される。
【0033】
以下に、図面を参照しながら、本発明の蓋材の蒸気抜き性能について説明する。
図3は、本発明の一実施形態に係る蓋材が、蓋付き容器の外部に蒸気を排出するときの概略図である。
【0034】
具体的には、
図3は、
図1に示される、蓋材を構成する一実施形態に係る複合フィルム10のZ方向(図示せず)となる断面図であり、複合フィルム10から作製された蓋材が、容器本体に熱融着された蓋付き容器が加熱されて、容器に充填された内容物から蒸気が発生し、発生した蒸気によって、複合フィルム10の熱軟化性接着樹脂層2が温められて軟化した状態が示されている。
【0035】
蓋付き容器の内部で発生した蒸気は、複合フィルム10のヒートシール層3に形成されたハーフカットC1から、複合フィルム10の厚み方向(Z方向)に入り込み、熱軟化性接着樹脂層2に到達すると、直接、熱軟化性接着樹脂層2に熱を与える。これにより、熱軟化性接着樹脂層2は軟化し、柔軟になる。
【0036】
内容物から発生する蒸気の圧力によって、蓋付き容器の内部の圧力は高まり、上昇する。そして、
図3に示されるように、内圧の上昇によって、軟化した熱軟化性接着樹脂層2とヒートシール層3との間で層間剥離が生じ、熱軟化性接着樹脂層2は、蒸気の圧力によって蓋付き容器の外側に持ち上がり、当該剥離部分に空間6が形成される。
【0037】
空間6は、蓋付き容器の容器本体と蓋材との接合部において、ハーフカットC1が形成された領域に発現し、具体的には、接合部において、蓋付き容器の内部から外部へ接合部を横断するように発現する。そして、内容物から発生した蒸気は、形成された空間6を通して、蓋付き容器の内部から外部へと排出される。
【0038】
本発明の蓋材が備えるハーフカットは、タブ部の突出する方向に対して直交する方向に延びる、蓋材本体部の接線の外側に延在しているものであってもよい。ハーフカットが上記の位置に備えられることにより、本発明の蓋材を容器本体に熱融着して蓋付き容器を形成し、当該蓋付き容器の容器本体から蓋材を剥離させて容器を開封したときに、より確実に、ヒートシール層の容器本体への残留を抑制することができる。
【0039】
また、ハーフカットは、直線状であり、かつタブ部の突出する方向に対して30~60度の角度で施されていてもよい。
【0040】
上記の通り、ハーフカットが直線状であれば、製造工程を簡易とすることができ、更に、タブ部の突出する方向に対して30~60度の角度で施されていれば、蓋材の製造過程で、ロール状原反から巻き出された原反の流れる方向と一致させてハーフカットを作成しつつ、原反において効率的に蓋材を取得することができる。すなわち、この態様によれば、原反の流れる方向と一致させてハーフカットを作成しつつ、タブの突出する方向を原反の流れる方向と30~60度異ならせることができる。
【0041】
更に、ハーフカットは、蓋材本体部からタブ部を通るように、蓋材全体にわたって連続して施されていてもよい。
【0042】
蓋材本体からタブ部を通るように、蓋材全体にわたって連続して施されるハーフカットは、蓋材の製造過程で、ロール原反から巻き出された原反の流れる方向と一致させて、連続的にハーフカットを作製することができる。このため、より簡易的にハーフカットを作製することができ、蓋材の生産性に寄与することができる。
【0043】
図2に示される本発明の一実施形態に係る蓋材20においては、ハーフカットC2は、断続的な直線状に形成されており、蓋材本体部21の外縁から、接合部23を通過して、タブ部22の外縁まで、蓋材全体にわたって連続して施されている。
【0044】
また、
図2に示される本発明の一実施形態に係る蓋材20においては、ハーフカットC2は、タブ部22の突出する方向D1に対して直交する方向に延びる、蓋材本体部の接線T1の外側に延在している。
【0045】
更に、
図2に示される本発明の一実施形態に係る蓋材20においては、ハーフカットC2は、タブ部22の突出する方向D1に対して、45度の角度で施されている。
【0046】
<複合フィルム>
本発明の蓋材を構成する複合フィルムは、少なくとも、基材層と、熱軟化性接着樹脂層と、ヒートシール層と、がこの順で積層された複合フィルムである。
【0047】
本発明の蓋材を構成する複合フィルムは、基材層と、熱軟化性接着樹脂層と、ヒートシール層と、を必須の構成として含み、これらがこの順で積層されている。本発明においては、基材層、熱軟化性接着樹脂層、及びヒートシール層以外に、任意の層を備えていてもよく、任意の層としては、例えば、バリア性を付与するためのバリア層や、強度を補強するための補強層、あるいは、層と層との間を接着するための接着層等が挙げられる。
【0048】
図1に示される、本発明の一実施形態に係る蓋材を構成する複合フィルム10は、必須の構成である、基材層1、熱軟化性接着樹脂層2、及びヒートシール層3のみを備える態様であるが、例えば、基材層1、熱軟化性接着樹脂層2、ヒートシール層3との間や、これらの層を含む積層体の外側に、これら以外の層が存在していてもよい。
【0049】
本発明の蓋材を構成する複合フィルムを構成するそれぞれの層の厚み等は、蓋材に要求される性能に応じて、適宜決定することができる。
【0050】
(基材層)
基材層は、本発明の蓋材を構成する複合フィルムにおいて、必須の構成層である。
【0051】
本発明の蓋材を構成する複合フィルムは、基材層、熱軟化性接着樹脂層、及びヒートシール層が、この順で積層されているため、基材層は、蓋材の外層となる。このため、基材層は、最内層となるヒートシール層を熱融着して、蓋付き容器を形成する時の保護層となりうる。また、内容物の表示等のための印刷が施される印刷層ともなりうる。
【0052】
基材層を構成する材料としては、樹脂等、特に保護層となり、印刷が可能となる樹脂等であれば、特に限定されるものではない。一般的に用いられている樹脂を用いることができ、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレ-ト(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)等のポリオレフィン、ナイロン-6、ナイロン-66等のポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)等が挙げられる。
【0053】
基材層を構成する樹脂等は、1種のみならず、2種以上がブレンドされていてもよく、必要に応じて、機能性等を付与するための添加剤等が配合されていてもよい。
【0054】
なお、基材層は、予め成形されたフィルムから作製されることが好ましい。基材層となるフィルムは、上記の樹脂等から形成されたフィルムであればよく、未延伸であっても、一軸又は二軸延伸が施されていてもよい。中では、二軸延伸フィルムであることが好ましい。
【0055】
また、基材層となるフィルムには、アルミニウム等の金属や、酸化珪素、酸化アルミニウム等の酸化物が蒸着されていてもよい。
【0056】
更に、基材層となるフィルムは、単層であっても、複層からなる積層体となっていてもよい。
【0057】
(熱軟化性接着樹脂層)
熱軟化性接着樹脂層は、本発明の蓋材を構成する複合フィルムにおいて、必須の構成層である。熱軟化性接着樹脂層は、基材層とヒートシール層との間に配置される。
【0058】
本発明の蓋材を構成する複合フィルムは、基材層とヒートシール層との間に、熱軟化性接着樹脂層のみを配置し、接着層等が配置されない構成とした場合には、複合フィルムの製造工程を簡易なものとすることができる。このため、生産能力及び生産コストに寄与することができる。
【0059】
熱軟化性接着樹脂層の材料となる熱軟化性接着樹脂としては、特に限定されるものではなく、基材層とヒートシール層とを接着するとともに、熱により軟化する性質を有する樹脂であればよい。
【0060】
例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリアミド、ポリ乳酸、熱可塑性エラストマー等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0061】
市販の材料をそのまま適用することも可能であり、例えば、LX-500(DIC株式会社)、エリーテル(登録商標)XP-1648-45EA(ユニチカ株式会社)、TM-396(東洋モートン株式会社)等が挙げられる。
【0062】
熱軟化性接着樹脂層は、JIS Z0237に準じた粘着強度が、1.0N/25mm以上であることが好ましい。
【0063】
熱軟化性接着樹脂層は、JIS Z0237に準じた粘着強度が、1.0N/25mm以上であれば、隣接する層との十分な接着性を有するため、本発明の蓋材を構成する複合フィルムから形成された構造体の保管時、及び取り扱い時において、剥離等の問題を回避することができる。
【0064】
また、基材層とヒートシール層との間に、熱軟化性接着樹脂層以外に、接着層を存在させる必要がなくなるため、複合フィルムの製造工程を簡易なものとすることができ、生産能力及び生産コストに寄与することができる
【0065】
熱軟化性接着樹脂層のJIS Z0237に準じた粘着強度は、1.5N/25mm以上、2.0N/25mm以上、2.5N/25mm以上、3.0N/25mm以上、3.5N/25mm以上、4.0N/25mm以上、又は4.5N/25mm以上であってよい。
【0066】
一方で、熱軟化性接着樹脂層のJIS Z0237に準じた粘着強度は、10.0N/25mm以下、9.0N/25mm以下、8.0N/25mm以下、7.0N/25mm以下、6.0/25mm以下、5.0/25mm以下、又は4.0N/25mm以下であってよい。
【0067】
(ラミネート強度)
本発明の蓋材を構成する複合フィルムは、基材層とヒートシール層との間の25℃におけるラミネート強度が、1.5N/15mm以上であり、基材層とヒートシール層との間の70℃におけるラミネート強度が、1.5N/15mm未満であってもよい。
【0068】
基材層とヒートシール層との間の25℃におけるラミネート強度が、1.5N/15mm以上であれば、本発明の蓋材は、常温付近で十分な強度を有し、保管及び取り扱いに際して基材層とヒートシール層との間での剥離等が発生しない。
【0069】
基材層とヒートシール層との間の25℃におけるラミネート強度は、1.8N/15mm以上、2.0N/15mm以上、2.4N/15mm以上、2.8N/15mm以上、又は3.0N/15mm以上であってよい。
【0070】
一方で、基材層とヒートシール層との間の25℃におけるラミネート強度は、6.0N/15mm以下、5.0N/15mm以下、4.5N/15mm以下、4.0N/15mm以下、3.5N/15mm以下、又は3.0N/15mm以下であってよい。
【0071】
また、基材層とヒートシール層との間の70℃におけるラミネート強度が、1.5N/15mm未満であれば、本発明の蓋材を容器本体に熱融着して蓋付き容器を形成し、当該蓋付き容器を電子レンジ等により加熱した場合に、熱軟化性接着樹脂層の中に空間が形成され易くなり、当該空間を通して蒸気を移動させることで、従来と同等の蒸気抜き性能を発揮させることができる。
【0072】
基材層とヒートシール層との間の70℃におけるラミネート強度は、1.2N/15mm以下、1.0N/15mm以下、0.8N/15mm以下、0.5N/15mm以下、0.2/15mm以下、0.1/15mm以下、又は0.05N/15mm以下であってよい。
【0073】
一方で、基材層とヒートシール層との間の70℃におけるラミネート強度は、0.01N/15mm以上、0.05N/15mm以上、0.1N/15mm以上、0.2N/15mm以上、0.3N/15mm以上、0.4N/15mm以上、又は0.5N/15mm以上であってよい。
【0074】
本発明の蓋材を構成する複合フィルムは、基材層とヒートシール層との間の25℃におけるラミネート強度が、70℃におけるラミネート強度より大きいものなっている。すなわち、本発明の蓋材を構成する複合フィルムが電子レンジ等で加熱されると、基材層とヒートシール層との間のラミネート強度は小さくなる。したがって、電子レンジ等による加熱によって、熱軟化性接着樹脂層内に空間を形成し易く、形成した空間を通して蒸気を移動させることができるようになる。
【0075】
(ヒートシール層)
ヒートシール層は、本発明の蓋材を構成する複合フィルムにおいて、必須の構成層である。ヒートシール層は、本発明の蓋材を容器本体に熱融着して蓋付き容器を形成する際に、熱融着に使用される層となる。このため、ヒートシール層は、本発明の蓋材を構成する複合フィルムの最内層となる。
【0076】
ヒートシール層を構成する材料としては、熱接着が可能であり、成形された構造体に十分なシール強度を付与できるものであれば、特に限定されるものではない。公知の材料を適用することができ、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン-プロピレン共重合体(EP)、エチレン-アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)、アイオノマー樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)等が挙げられる。
【0077】
耐内容物性を付与したい場合には、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等を用いることが好ましい。
【0078】
ヒートシール層は、上記の材料から予め成形されたフィルムを用いて形成してもよいし、基材層、熱軟化性接着樹脂層、及び必要に応じてその他の層が積層された積層体の表面に、ヒートシール層を形成するための材料を溶融して押出し、冷却固化させて形成してもよい。
【0079】
また、ヒートシール層を構成する樹脂等は、1種のみならず、2種以上がブレンドされていてもよく、必要に応じて、機能性等を付与するための添加剤等が配合されていてもよい。
【0080】
更に、ヒートシール層は、単層であっても、複層からなる構成であっていてもよい。
【0081】
なお、本発明の蓋材を構成する複合フィルムを構成するヒートシール層は、使用の際に接合部の開封が容易となるよう、イージーピール性(易開封性)を有していてもよい。イージーピール性を有するヒートシール層とすれば、本発明の蓋材を容器本体と熱融着させて蓋付き容器を形成した場合に、内容物を取り出すための開封が容易となる。
【0082】
(その他の層)
本発明の蓋材を構成する複合フィルムは、基材層と、熱軟化性接着樹脂層と、ヒートシール層とを、必須の構成層として含んでいれば、これら以外の層が含まれていてもよい。
【0083】
その他の層としては、特に限定されるものではなく、例えば、バリア性を付与するためのバリア層や、強度を補強するための補強層、あるいは、層と層との間を接着するための接着層等が挙げられる。
【0084】
バリア性を付与するためのバリア層としては、例えば、酸素や水蒸気等のガスを遮断する機能を発現する、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ナイロン(NY)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、又はポリアクリロニトリル(PAN)からなる層等が挙げられる。
【0085】
強度を補強するための補強層の材料としては、例えば、紙、合成紙、不織布等が挙げられる。これらには、隣接する層との接着性を付与するための接着剤が塗布されていてもよい。また、上記の基材層を構成する材料による層を、基材層とは別に、補強層として備えさせることも可能である。
【0086】
層と層との間を接着するための接着層としては、例えば、エチレン-アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)、アイオノマーからなる層等が挙げられる。
【0087】
また、その他の層は、層と層とをドライラミネート又はホットメルトラミネートする際に使用する、接着剤からなる層であってもよい。
【0088】
その他の層を構成する樹脂等は、1種のみならず、2種以上がブレンドされていてもよい。また、必要に応じて、機能性等を付与するための添加剤等が配合されていてもよい。
【0089】
《複合フィルムの製造方法》
本発明の蓋材を構成する複合フィルムの製造方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法を採用することができる。例えば、ドライラミネーション法、ホットメルトラミネーション法、エクストルージョンラミネーション法、及びサンドイッチラミネーション方法等が挙げられる。
【0090】
ハーフカットを有する複合フィルムを製造方法する場合には、特に限定されるものではないが、例えば、複合フィルムを製造した後に、レーザー等でハーフカットを作製する方法が挙げられる。
【0091】
あるいは、複合フィルムを生産する途中で、ハーフカットを作製し、ハーフカットを有する層とその他の層とを積層させて、複合フィルムとしてもよい。この場合には、例えば、ロータリーダイカッターを用いて、ヒートシール層を含むシートに、シートの搬送方向に沿ってヒートシール層の厚み方向に貫通させるカットを施し、次いで、カットを作製したヒートシール層を含むシートに、基材層及び/又は熱軟化性接着樹脂層を積層することで、複合フィルムを製造することがきる。
【0092】
《蓋材の製造方法》
本発明の蓋材は、蓋材を構成するための複合フィルムから、所望の形状に切り抜くことによって製造することができる。
【0093】
《蓋材の用途》
本発明の蓋材の用途は、特に限定されるものではない。各種容器本体の上端開口部の密封に用いることができる。
【0094】
本発明の蓋材は、ハーフカットを有する領域にて蒸気抜きする機能を有するため、中では、加熱されて蒸気抜きが必要となる容器に好適に用いることができる。特に、電子レンジ用の蓋材として用いれば、意図した位置から蒸気抜きすることができる。
【0095】
《蓋付き容器》
本発明の蓋材は、容器本体の上端開口部のフランジ部を被覆するように、ヒートシール層を容器本体に熱融着させて開封可能な接合部を形成することで、蓋付き容器を形成することができる。
【0096】
容器の上端開口部がフランジを有する場合には、本発明の蓋材のヒートシール層を、容器本体のフランジに熱融着させて、開封可能な接合部を形成することで、蓋付き容器を形成してもよい。
【0097】
このとき、ヒートシール層がイージーピール性(易開封性)を有するものであれば、形成された密封容器は、開封容易な蓋付き容器となる。
【0098】
蓋付き容器は、蓋材本体部から、接合部を通って、タブ部に達するハーフカットを有する蓋材で構成されるため、蓋付き容器を加熱したときに、当該ハーフカット部分に、蒸気を通過させるための空間が形成される。そして、当該空間から、蓋付き容器の内部で発生した蒸気を、外部に排出することができる。
【0099】
《蓋付き容器の用途》
本発明の蓋材を用いて形成された蓋付き容器は、加熱がなされる蓋付き容器に好適に用いることができ、例えば、電子レンジ用の蓋付き容器として、大変に有益なものとなる。
【実施例】
【0100】
以下、実施例及び比較例等により、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0101】
<材料>
実施例及び比較例においては、層を構成する材料として、以下を準備した。
【0102】
(1)基材層
・PET:PETフィルム(PETB、ユニチカ株式会社、厚み:12μm)
【0103】
(2)熱軟化性接着樹脂
・エリーテル(登録商標)XP-1586-45EA(ユニチカ株式会社)
【0104】
(3)ヒートシール層
・E1901T#50:積層PPフィルム(ディファレン(登録商標)E1901T、DIC株式会社、厚み:50μm)
【0105】
《実施例1~4、比較例1~2》
<蓋材の作製>
図4に示すように、ハーフカットの位置を異ならせた蓋材を作製した。
図4に示される蓋材において、D2はタブ部の突出する方向であり、T2はタブ部の突出する方向D2に対して直交する方向に延びる、蓋材本体部の接線である。また、G2は、蓋材の重心を示す。
【0106】
実施例1~4、及び比較例1~2で作製した蓋材において、ハーフカットは、タブ部の突出する方向D2に対して、45度の角度で施した。
【0107】
実施例1~4で作製した蓋材のハーフカットは、容器本体に熱融着する接合部を通って、蓋材の蓋材本体部からタブ部に達するように作製した。
【0108】
実施例1~3で作製した蓋材のハーフカットは、タブ部の突出する方向D2に対して直交する方向に延びる、蓋材本体部の接線T2の外側に延在している。一方で、実施例4、及び比較例1~2の蓋材のハーフカットは、タブ部の突出する方向D2に対して直交する方向に延びる、蓋材本体部の接線T2の内側に延在している。
【0109】
蓋材は、基材層となるフィルムと、カットを有するヒートシール層となるフィルムとを、熱軟化性接着樹脂によって接着した複合フィルムを作製し、得られた複合フィルムから切り抜くことで作製した。
【0110】
具体的には、
図4に示される実施例1~4、及び比較例1~2の位置となるように、ヒートシール層となるフィルムの厚み方向に貫通させるカットを施し、次いで、カットを施したヒートシール層となるフィルムを、熱軟化性接着樹脂を介して基材層となるフィルムと積層して、ハーフカットを有する複合フィルムを得た。その後、ハーフカットが
図4に示される位置となるように切り抜くことで、実施例1~4、及び比較例1~2の蓋材を作製した。なお、熱軟化性接着樹脂の塗工量は、それぞれ2.0g/m
2とした。
【0111】
<蓋付き容器の作製>
実施例1~4、及び比較例1~2で作製した蓋材を用いて、水5ccを充填したPPカップ(フランジ幅:5mm、開口内径:60mm)のフランジに、加熱したヒートシールバーを用いて熱融着させて、蓋付き容器を作製した。なお、ヒートシール条件は、150℃、圧力3.0kgf/cm2にて、2.5秒とした。
【0112】
<ヒートシール層残り評価>
作製した蓋付き容器に対して、電子レンジ(700W)にて、60秒間のレンジアップを実施した。その後、蓋付き容器を開封し、目視にて、容器本体のフランジ部にヒートシール層の一方の側がが残っていないか確認した。それぞれの容器について、10回ずつ評価を実施し、以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
○:10回すべてにおいて、ヒートシール層残りが確認されなかった。
△:数回、ヒートシール層残りが確認された。
×:10回すべてにおいて、ヒートシール層残りが確認された。
【0113】
<蒸気の通過性評価>
作製した蓋付き容器に対して、電子レンジ(700W)にて、60秒間のレンジアップを実施した。その際、目視にて、接合部から容器の内側の蒸気が排出されたか確認した。それぞれの容器について、10回ずつのレンジアップを実施し、以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
○:10回すべてにおいて、蒸気が排出された。
△:蒸気が排出されない場合があった。
×:10回すべてにおいて、蒸気が排出されなかった。
【0114】
【符号の説明】
【0115】
10 複合フィルム
1 基材層
2 熱軟化性接着樹脂層
3 ヒートシール層
4 シール部
6 空間
20 蓋材
21 蓋材本体
22 タブ部
23 接合部
C1、C2 ハーフカット
D1、D2 タブ部の突出する方向
G1、G2 重心
T1、T2 タブ部の突出する方向に対して直交する方向に延びる蓋材本体部の接線