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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-13
(45)【発行日】2024-06-21
(54)【発明の名称】鞍乗型車両
(51)【国際特許分類】
   B62J 45/42 20200101AFI20240614BHJP
   B62J 50/30 20200101ALI20240614BHJP
   B62J 45/00 20200101ALI20240614BHJP
【FI】
B62J45/42
B62J50/30
B62J45/00
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020212581
(22)【出願日】2020-12-22
(62)【分割の表示】P 2018239352の分割
【原出願日】2018-12-21
(65)【公開番号】P2021041930
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2021-09-08
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521431099
【氏名又は名称】カワサキモータース株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118784
【弁理士】
【氏名又は名称】桂川 直己
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 大輔
(72)【発明者】
【氏名】渡部 寛之
(72)【発明者】
【氏名】中島 健志
【審査官】宇佐美 琴
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-039487(JP,A)
【文献】国際公開第2018/046163(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/083206(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/224961(WO,A1)
【文献】特開2020-100257(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 6/02- 6/03,17/00-17/10,
40/00-40/10,45/00-45/423,99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方を照射するヘッドランプと、
フロントカウルと、
前記フロントカウル内に配置されており、電磁波を前方に送信するレーダ装置と、
エンジンと、
を備え、
前記レーダ装置は、前記ヘッドランプの外部であって、かつ、車幅方向中心位置に配置されており、
前記フロントカウルには、前記レーダ装置が送受信する電磁波が通過する探知孔が形成されており、
前記探知孔は、前記レーダ装置が送受信する電磁波に対して透過性を有する部材で塞がれており、
側面視において、前記レーダ装置と前記ヘッドランプとが重なり、
車両前面には、前記エンジンに供給するための空気を取り込む吸気孔が設けられていることを特徴とする鞍乗型車両。
【請求項2】
請求項に記載の鞍乗型車両であって、
前記ヘッドランプがプロジェクタヘッドランプであることを特徴とする鞍乗型車両。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の鞍乗型車両であって、
前記レーダ装置の車幅方向の両側に前記ヘッドランプが配置されていることを特徴とする鞍乗型車両。
【請求項4】
前方を照射するヘッドランプと、
フロントカウルと、
前記フロントカウル内に配置されており、電磁波を前方に送信するレーダ装置と、
を備え、
前記レーダ装置は、前記ヘッドランプの外部であって、かつ、車幅方向中心位置に配置されており、
前記フロントカウルには、前記レーダ装置が送受信する電磁波が通過する探知孔が形成されており、
前記探知孔は、前記レーダ装置が送受信する電磁波に対して透過性を有する部材で塞がれており、
側面視において、前記レーダ装置と前記ヘッドランプとが重なることを特徴とする鞍乗型車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、レーダ装置を備える鞍乗型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、カメラを備え、当該カメラを用いて前方を撮像する自動二輪車(鞍乗型車両)を開示する。このカメラは、ヘッドランプの内部に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-123840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の主要な目的は、レーダ装置を取り付けた鞍乗型車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0006】
本発明の観点によれば、以下の構成の鞍乗型車両が提供される。即ち、鞍乗型車両は、ヘッドランプと、フロントカウルと、レーダ装置と、エンジンと、を備える。前記ヘッドランプは、前方を照射する。前記レーダ装置は、前記フロントカウル内に配置されており、電磁波を前方に送信する。前記レーダ装置は、前記ヘッドランプの外部であって、かつ、車幅方向中心位置に配置されている。前記フロントカウルには、前記レーダ装置が送受信する電磁波が通過する探知孔が形成されている。前記探知孔は、前記レーダ装置が送受信する電磁波に対して透過性を有する部材で塞がれている。側面視において、前記レーダ装置と前記ヘッドランプとが重なる。車両前面には、前記エンジンに供給するための空気を取り込む吸気孔が設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る自動二輪車の側面図。
図2】自動二輪車の平面図。
図3】自動二輪車の正面図。
図4】自動二輪車のフロントカウルの内部構造を示す拡大平面図。
図5】第1変形例の自動二輪車の正面図。
図6】第2変形例の自動二輪車の正面図。
図7】第3変形例の自動二輪車の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の説明では、自動二輪車(鞍乗型車両)1に乗車した運転者から見た方向で、自動二輪車1の左右方向を定義する。従って、前後方向は車長方向に一致し、左右方向は車幅方向に一致する。また、鉛直方向(上下方向)は高さ方向に一致する。
【0010】
初めに、自動二輪車1の概要について、図1から図4を参照して説明する。図1は、自動二輪車1の側面図である。図2は、自動二輪車1の平面図である。図3は、自動二輪車1の正面図である。図4は、自動二輪車1のフロントカウル35の内部構造を示す拡大平面図である。図1に示すように、自動二輪車1は、車体10と、前輪11と、後輪12と、を備える。
【0011】
車体10は、自動二輪車1の骨格となる複数のフレームを含んでいる。これらのフレームには、自動二輪車1を構成する様々な部品が取り付けられている。車体10の車長方向の中央近傍には、エンジン21が設けられている。エンジン21は、自動二輪車1を走行させるための駆動源である。本実施形態のエンジン21はガソリンエンジンである。なお、ガソリンエンジンに代えて又は加えて他の駆動源、例えば走行用の電動モータが設けられていてもよい。また、ガソリンエンジン以外の内燃機関が駆動源として設けられていてもよい。
【0012】
車体10の後部には、スイングアーム22が配置されている。スイングアーム22の後部には、後輪12が回転可能に取り付けられている。エンジン21で発生した動力は、ドライブチェーン23を介して後輪12に伝達される。これにより、自動二輪車1を走行させることができる。
【0013】
車体10の前部には、図略のアッパーブラケット及びロアブラケット等を介してフロントフォーク24が取り付けられている。フロントフォーク24にはスプリングが内蔵されており、路面の凹凸に起因する振動を車体10に伝わりにくくする。フロントフォーク24は、正面視で前輪11を挟むように左右一対で配置されている。フロントフォーク24の上端の近傍にはステアリングハンドル25が配置されている。運転者がステアリングハンドル25を回動させることで、フロントフォーク24が回動するため、自動二輪車1の進行方向を変更することができる。
【0014】
また、前輪11の近傍には、フロントフェンダ26が配置されている。フロントフェンダ26は、フロントフォーク24のスプリングよりも前輪11側に配置されている。フロントフェンダ26は、図3に示すように、前輪11の車幅方向外側と、前輪11の高さ方向上側と、を覆うように配置されている。また、フロントフェンダ26は、正面視でフロントフォーク24と重なるように配置されている。
【0015】
また、ステアリングハンドル25の前方には、サイドミラー27が左右一対で配置されている。なお、サイドミラー27は、別の位置(例えばステアリングハンドル25)に取り付けられていてもよい。また、サイドミラー27には図略のターンランプが設けられている。ステアリングハンドル25の前方であって、車幅方向中心近傍には、メータ装置28が配置されている。メータ装置28は、エンジン回転速度、車速、及びその他の情報を表示することができる。
【0016】
ステアリングハンドル25の後方であって、エンジン21の上方には、エンジン21に供給するための燃料が貯留される燃料タンク29が配置されている。燃料タンク29の後方には、運転者が着座するためのフロントシート30が配置されている。運転者は、フロントシート30に着座した状態で、燃料タンク29及びその下方を、脚の膝部分で挟んで身体を安定させるとともに重心を左右に移動させて操舵操作の一部又は車体傾斜操作を行う。
【0017】
また、燃料タンク29又はフロントシート30の下方であって、自動二輪車1の側面(具体的には左側面)には、サイドスタンド32が配置されている。サイドスタンド32は、自動二輪車1の側面に沿って延びる収容状態と、下方に向かって延びる支持状態との間で切替可能に構成されている。サイドスタンド32を支持状態にすることで、サイドスタンド32が設けられる側に自動二輪車1を傾斜させた状態で、自動二輪車1を自立させることができる。
【0018】
自動二輪車1の外表面にはカウルが配置されている。カウルは樹脂製であってレーダ等で用いられる周波数の電磁波を透過する材料で構成されている。カウルは、自動二輪車1の空気抵抗の低減、自動二輪車1が有する各部品の保護、及び外観の向上等の目的で設けられている。
【0019】
本明細書では、自動二輪車1の前部かつ下部に左右一対で配置されるとともに主として自動二輪車1の側面に配置されるカウルをサイドカウル31と称する。また、自動二輪車1の前部かつ上部(サイドカウル31の上方)に配置され、主として自動二輪車1の正面に配置されるカウルをフロントカウル35と称する。なお、自動二輪車1の前部とは、自動二輪車1の車長方向中心よりも前方の部分であり、例えばフロントシート30よりも前方の部分である。
【0020】
サイドカウル31は、正面視において、前輪11及びフロントフォーク24を挟むように左右一対で離れて配置されている。サイドカウル31は、側面視で例えば前輪11、フロントフォーク24、ラジエータ、及びエンジン21の少なくとも一部ずつを覆うように配置されている。
【0021】
フロントカウル35は、前端部から後方に近づくに連れて外形が大きくなるように構成されている。具体的には、フロントカウル35は、前端部から後方に近づくに連れて車幅方向に徐々に広がる。また、フロントカウル35は、前端部から後方に近づくに連れて上下方向に徐々に広がる形状である。また、フロントカウル35は、流線形状に形成されている。具体的には、側面視及び正面視の何れにおいても、フロントカウル35の輪郭線は湾曲するとともに、輪郭線の方向は徐々に変化する。また、フロントカウル35の前端部は、車幅方向中心位置に配置されている。「車幅方向中心位置に配置」とは、平面視において、車幅方向中心を通る仮想線101(図2図4)上に該当の部品が配置されていることである。また、フロントカウル35は、車幅方向中心位置(仮想線101)を対称線として左右対称である。なお、本実施形態のフロントカウル35は、前端部から車幅方向に広がる角度(正面視でのフロントカウル35の左右の輪郭線がなす角度)は、前端部から上下方向に広がる角度(側面視でのフロントカウル35の上下の輪郭線がなす角度)よりも大きい。また、平面視において、フロントカウル35は車幅方向外側に凸となる湾曲形状である。より詳細には、フロントカウル35は、後方に近づくに連れて車幅方向に広がる仮想平面に対して、車幅方向外側でかつ前方寄りの方向に膨らむ凸形状である。また、フロントカウル35の車幅方向外側の2つの輪郭線がなす角度は、前部分が後部分に比べて車幅方向外側に広がる角度が大きくなる。フロントカウル35の車幅方向の外側の輪郭線の後部分は、後方に進むに連れて前後方向に近づくように傾斜角度が変化して、フロントカウル35に隣接するサイドカウル31に沿うように延びて接続される。このように、フロントカウル35を例えば流線型状又は砲弾形状等の湾曲形状にすることで、フロントカウル35内の容積を増加させつつ、空気抵抗の増加を抑制できる。
【0022】
また、フロントカウル35の前部には、ランプ孔35aと、吸気孔35bと、探知孔35cと、が形成されている。吸気孔35b及び探知孔35cは、ランプ孔35aを車幅方向で挟むように形成されている。
【0023】
ランプ孔35aには、ヘッドランプ36が配置される。ヘッドランプ36は少なくとも走行中は常に点灯しており、自動二輪車1(車体10)の前方を照射する。ヘッドランプ36は、自動二輪車1の前部であって、かつ、高さ方向において前輪11より高い位置に配置されている。本実施形態のヘッドランプ36は、車幅方向中心位置に配置されている。詳細には、ヘッドランプ36の照射面36a(ヘッドランプ36の外表面であって、かつ、前方へ照射する光が透過する面、図4を参照)が車幅方向中心位置に重なるように配置されている。
【0024】
ヘッドランプ36は、プロジェクタヘッドランプであり、ハウジング、光源、及びレンズ等を備える。光源は、発光ダイオード(LED)である。また、レンズは、プロジェクタレンズと、保護レンズと、を含む。プロジェクタレンズは、光源から発した光を屈折させることで、所定方向へ光を照射する。保護レンズは、プロジェクタレンズの外側に配置されており、プロジェクタレンズ及び光源等を水及び土等から保護する。
【0025】
なお、ヘッドランプ36の光源は、発光ダイオードに限られず、白熱電球、ハロゲン電球、HID(High-Intensity Discharge)ランプであってもよい。しかし、光源を発光ダイオードにすることで、光源を小型化できるので、フロントカウル35内の空きスペースを大きくすることができる。また、発光ダイオードは発熱量が少ないため、熱に弱い部品であっても、比較的近くに配置することができるので、フロントカウル35内の部品レイアウト(特に熱に弱い電装品等のレイアウト)の設計の自由度を向上させることができる。
【0026】
更に、ヘッドランプ36はプロジェクタヘッドランプなので、リフレクタヘッドランプに比べて、ヘッドランプ36を小型化することができる。そのため、フロントカウル35内の空きスペースを更に大きくすることができる。なお、ヘッドランプ36は、プロジェクタヘッドランプに限られない、ヘッドランプ36は、例えば、光源の後方に複数の反射板が配置され反射板で反射した光を前方に照射する構成のリフレクタヘッドランプであってもよい。
【0027】
また、本実施形態のヘッドランプ36は車幅方向中心位置に1つのみ配置されている一灯式のヘッドランプのため、多灯式のヘッドランプに比べてフロントカウル35内の空きスペースを大きくすることができる。ただし、ヘッドランプ36は、車幅方向中心位置に上下方向に複数並べて配置されていてもよい。また、ヘッドランプ36は、車幅方向中心位置を挟んで左右一対で配置されていてもよい。
【0028】
フロントカウル35の上部には、ウインドシールド37が配置されている。ウインドシールド37は、下端部(基端部)から後ろ斜め上方に延びるように配置されている。この構成により、ウインドシールド37は、走行風の導風を行って、走行風を運転者に当たりにくくする。
【0029】
吸気孔35bは、エンジン21に供給するための走行風を取り込むための孔である。そのため、吸気孔35bには、ゴミ等の進入を防ぐためにメッシュ状(言い換えれば、複数の開口部が並べて形成された形状)である。また、吸気孔35bには、図4に示す吸気ダクト38が接続されている。吸気ダクト38は、吸気孔35bから取り込まれた走行風を図略のエアクリーナ等を介してエンジン21へ供給する経路を構成する。これにより、エンジン21の吸気圧を上昇させることができる。なお、エンジン21に走行風を供給する構造を省略することもできる。
【0030】
探知孔35cは、探知装置60が自動二輪車1(車体10)の前方を探知するために用いる開口部である。探知装置60は、自動二輪車1の前方の物体(障害物及び他の車両等)を探知する。探知装置60は、レーダ装置、ソナー、又はカメラである。レーダ装置は、電磁波(赤外線、ミリ波、又はマイクロ波等)を前方に送信するとともに物体で反射した反射波(電磁波)を取得することで物体が存在する方向及び物体までの距離を検出する。ソナーは、超音波を前方に送信するとともに物体で反射した反射波(超音波)を取得することで物体が存在する方向及び物体までの距離を検出する。カメラは、自動二輪車1の前方の物体の画像を取得する。また、この画像に画像処理を行うことで、前方の物体を探知できる。
【0031】
本実施形態では、探知装置60は、レーダ装置によって実現される。また、探知孔35cは、探知装置60による探知を阻害しない部材で塞がれていることが好ましい。本実施形態では、探知装置60が送受信する電磁波に対して透過性を有する部材で塞がれている。なお、探知孔35cは開放されていてもよい。
【0032】
探知装置60は、上下方向及び車幅方向の広い範囲を探知可能である。そのため、本実施形態では前方を探知するための探知装置60が1つのみ配置されており、当該1つの探知装置60で、自動二輪車1の左前方から右前方にわたる範囲の物体を探知する。なお、本実施形態では、車幅方向の探知範囲は、上下方向の探知範囲よりも広い。また、探知装置60は、短い時間間隔で前方の探知を行って断続的に探知結果を取得する。
【0033】
次に、自動二輪車1のフロントカウル35内に配置される部品及びそのレイアウトについて説明する。
【0034】
図4に示すように、燃料タンク29の前方に位置するフロントカウル35内には、上述の探知装置60に加え、制御装置61と、ABSユニット62と、リレーボックス63と、レギュレータ64と、が配置されている。
【0035】
制御装置61は、演算装置及び記憶装置等を備えており、主にエンジン21に関する制御(例えばエンジン21の燃料供給量、点火時期、吸気量調整に関する制御)を行うエンジン制御ユニット(ECU)である。また、本実施形態の制御装置61は、エンジン21の制御に加え、探知装置60の探知結果に基づく制御を行う。なお、エンジン21に関する制御を行う制御ユニットと、探知装置60の探知結果に基づく制御を行う制御ユニットは別の装置であってもよい。また、探知装置60と制御装置61は第1ハーネス71で接続されており、探知装置60の探知結果が制御装置61へ出力される。なお、探知装置60は、探知結果を無線で制御装置61へ送信する構成であってもよい。
【0036】
本実施形態では、制御装置61は、エンジン21よりも前方に配置される。また、制御装置61は、エンジン21よりも上方に配置される。具体的には、制御装置61は、ステアリングシャフト又はサイドミラー27の基端部よりも前方に配置されて、ヘッドランプ36よりも車幅方向外側においてフロントカウル35の車幅方向内側に配置される。
【0037】
制御装置61は、探知装置60の探知結果に基づいて、例えば、運転者への通知に関する通知制御、及び、自動二輪車1の走行に関する走行制御の少なくとも一方を行う。通知制御とは、探知装置60の検出結果により得られる情報(例えば、探知装置60が検出した物体までの距離、物体が存在する方向又は車線、及び物体の相対速度等)を運転者に通知するための制御である。運転者への通知方法は、例えばメータ装置28に通知内容を表示したり、サイドミラー27の所定部分を光らせたり、自動二輪車1が備えるスピーカ又は運転者のヘルメットに内蔵のスピーカから音声で通知を行ったりする方法がある。走行制御とは、探知装置60が検出した物体と自動二輪車1との相対距離及び相対速度等に基づいて、自動二輪車1の進行方向を変更したり、自動二輪車1の動力を制御して速度を増減させて前方の車両との間隔を一定に保ったり、自動二輪車1の制動力を制御して速度を減少させて衝突の回避の補助を行ったりする制御である。つまり、走行制御では、自動二輪車1の挙動が制御される。
【0038】
なお、制御装置61は、通知制御及び走行制御に代えて又は加えて、別の制御を行う構成であってもよい。例えば、制御装置61は、探知装置60の探知結果(例えばカメラが取得した画像)を記憶装置に記憶する制御を行ってもよい。この場合、一般的なドライブレコーダ等のように、探知装置60と制御装置61を一体的に構成することもできる。
【0039】
また、制御装置61には、自動二輪車1の各部に配置されたセンサ等の検出結果を制御装置61へ出力するための第2ハーネス72が接続されている。第2ハーネス72は、複数のハーネスが束ねられた構成である。制御装置61とセンサ等は例えばCAN(Controller Area Network)に基づいて通信を行う。
【0040】
ABSユニット62は、ブレーキ作動時の前輪11及び後輪12のロックを防止する。ABSユニット62は、制御基板と、油圧装置と、これらを収容する筐体と、を備える。制御基板は、ホイールセンサ等から入力された情報に基づいて、車輪のスリップ状況を推測する。制御基板は、車輪のスリップ状況に応じて油圧装置を作動させてブレーキオイルの加圧又は減圧を行うことで、前輪11及び後輪12のロックを防止しつつ、自動二輪車1を制動する。また、ABSユニット62には、車輪のスリップ状況をセンサから取得したり、又は、ABSの動作状況を別装置(例えばメータ装置28)へ出力するための第3ハーネス73が接続されている。第3ハーネス73は、第2ハーネス72に合流するように配置されている。本実施形態では、ABSユニット62は、前輪11又は後輪12のロック状況を判断せずとも、制御装置61からの制御信号に応じて、前輪11又は後輪12に対する制動動作を実行できるように構成される制動装置としても機能する。
【0041】
ABSユニット62は、エンジン21よりも前方に配置される。また、ABSユニット62は、エンジン21よりも上方に配置される。具体的には、ABSユニット62は、燃料タンク29よりも前方で、ステアリングシャフトよりも後方に配置されて、車体フレームに固定されて、車体フレームの車幅方向外側で、フロントカウル35又はサイドカウル31の車幅方向内側に配置される。なお、車体フレームとは、後述のフロントフレーム13及びその後方に配置されるフレームを含む、自動二輪車1の骨格構造である。
【0042】
リレーボックス63は、複数のリレーが収容された筐体である。これらのリレーは、外部からの制御信号に基づいて他の電装品に電流を供給するか否かを切り替える。また、リレーによる電流の供給の切替時には電磁ノイズが発生する可能性がある。
【0043】
リレーボックス63は、エンジン21よりも前方に配置される。また、リレーボックス63は、エンジン21よりも上方に配置される。具体的には、リレーボックス63は、燃料タンク29及びステアリングシャフトよりも前方で、探知装置60よりも後方かつ吸気ダクト38よりも上方(更に平面視で吸気ダクト38と重なるように)に配置されている。また、リレーボックス63は、フロントカウル35又はサイドカウル31の車幅方向内側に配置される。
【0044】
レギュレータ64は、エンジン21の動力を用いて発電機(オルタネータ)により発電された交流電流を直流電流に変換するとともに、電圧を調整する(電圧が高くなり過ぎないように調整する)。なお、リレーボックス63及びレギュレータ64にもハーネスが接続されているが、図示を省略する。レギュレータ64は、一般的に他の電装品と比較して発熱量が多く、かつ、電磁ノイズが発生し易い。
【0045】
レギュレータ64は、エンジン21よりも前方に配置される。また、レギュレータ64は、エンジン21よりも上方に配置される。具体的には、レギュレータ64は、燃料タンク29よりも前方で、ステアリングシャフト及びリレーボックス63よりも後方かつ吸気ダクト38よりも上方(更に平面視で吸気ダクト38と重なるように)に配置されている。また、レギュレータ64は、フロントカウル35又はサイドカウル31の車幅方向内側に配置される。
【0046】
次に、フロントカウル35内に配置される部品のレイアウト(特に探知装置60のレイアウト)について説明する。なお、本明細書では、「下方に配置」等と記載した場合は、上下方向の位置だけに着目した位置関係を意味し、真上又は真下に位置している場合だけでなく、斜め上又は斜め下に位置している場合も含む。他の方向についても同じである。
【0047】
フロントカウル35内及びその下方には、フロントフレーム13が配置されている。フロントフレーム13は、ステアリングシャフトを挿入するためのヘッドパイプを含んでいる。フロントフレーム13は、ヘッドパイプよりも前方の第1フレーム14と、ヘッドパイプよりも後方に左右一対で配置される第2フレーム15と、を備える。
【0048】
第1フレーム14は、車幅方向中心位置に配置される。第1フレーム14には、例えば別の部材(ロアブラケット)を介してフロントフォーク24が取り付けられる。左右一対の第2フレーム15は、後方に近づくに連れて、車幅方向の間隔が長くなるように(左右に広がるように)配置されている。言い換えれば、フロントフレーム13は、ヘッドパイプよりも後方において左右に分岐するように構成されている。フロントカウル35内に配置される部品は、フロントフレーム13に直接又は他の部材を介して取り付けられている。なお、フロントカウル35内に配置される部品は、フロントカウル35に直接又は他の部材を介して取り付けられていてもよい。
【0049】
初めに、探知装置60と、制御装置61及びABSユニット62と、の位置関係について説明する。制御装置61及びABSユニット62は、車幅方向中心位置から探知装置60と同じ側(右側)に外れた位置に配置されている。言い換えれば、車幅方向中心位置よりも車幅方向の第1側に、探知装置60、制御装置61、及びABSユニット62が配置されている。このように、車幅方向中心に対して探知装置60が配置される側(本実施形態では右側)を「第1側」と称し、その反対側を「第2側」と称する。
【0050】
仮に制御装置61がエンジン21よりも後方(例えばリアシートの下方)に配置されている場合、探知装置60と制御装置61を接続するハーネス(第1ハーネス71が長くなる)。また、仮に探知装置60と制御装置61が車幅方向中心位置を挟んで違う側に分かれて配置されている場合も、第1ハーネス71が長くなる。これに対し、本実施形態では、制御装置61はエンジン21よりも前方(更に言えばステアリングハンドル25よりも前方)に配置されるとともに、探知装置60と制御装置61が同じ側(第1側)に配置されている。そのため、探知装置60と制御装置61を接続する第1ハーネス71を短くすることができる。
【0051】
第1ハーネス71を短くすることで、探知装置60の探知結果を即座に制御装置61に伝達できる。また、第1ハーネス71が短いことにより、第1ハーネス71が電磁ノイズの影響を受ける可能性を低減できるとともに、第1ハーネス71の断線のリスクを低減できる。そのため、上記の通知制御及び走行制御の信頼性を向上させることができる。
【0052】
また、探知装置60の探知結果に基づいて制御装置61が行う制御の1つには自動二輪車1の制動に関する制御が含まれる。一方、ABSユニット62が行う制御にも自動二輪車1の制動に関する制御が含まれる。このように、本実施形態では、フロントカウル35内において、車幅方向中心位置の第1側に、自動二輪車1の制動に関する制御を行う装置を集約して配置できる。
【0053】
次に、探知装置60の車長方向の位置について説明する。フロントカウル35内の第1側に配置される上記の装置は、前方から、探知装置60、制御装置61、及びABSユニット62の順に配置される。フロントフレーム13との位置関係に着目すると、探知装置60は、第1フレーム14よりも前方に配置され、制御装置61は第2フレーム15よりも前方に配置され、ABSユニット62は第1フレーム14と第2フレーム15の境界に配置されている。
【0054】
また、探知装置60による探知の阻害を防止するため、正面視で探知装置60と重なる位置において、当該探知装置60の前方には、探知を阻害する他の部品(例えば電装品)は配置されない。また、仮に正面視で探知装置60と重なっていなくても、探知装置60の探知範囲は左右方向に広がりがあるため、探知装置60の探知範囲と、探知装置60の斜め前方に配置される部品と、が重なる可能性がある。そのため、探知装置60はできる限り前方に配置されることが好ましい。
【0055】
この点、本実施形態の探知装置60は、車幅方向中心位置の第1側に配置されている電装品の中で、ヘッドランプ36を除いて最も前方に配置されている。具体的には、探知装置60の後端は、ヘッドランプ36の後端、制御装置61の前端、サイドミラー27の前端、フロントフォーク24の前端の何れよりも前方に配置されている(探知装置60の前端及び車長方向中心についても同様)。また、探知装置60の車長方向中心は、ヘッドランプ36の車長方向中心よりも前方である。以上により、ヘッドランプ36の探知範囲が他の部品(特にヘッドランプ36、サイドミラー27、フロントフォーク24等)と重なりにくくなる。
【0056】
次に、探知装置60の車幅方向の位置について説明する。探知装置60は、側面視でヘッドランプ36と重なるように配置されているため、探知装置60がヘッドランプ36に近づき過ぎると、探知装置60の第2側の前方(左前方)の探知範囲とヘッドランプ36が重なる可能性がある。しかし、探知装置60をヘッドランプ36から車幅方向外側に離し過ぎると、左右をバランス良く探知できなくなる。以上を考慮して、探知装置60は車幅方向中心位置に対して適切な距離に配置されている。
【0057】
具体的には、探知装置60は、ヘッドランプ36及び第1フレーム14よりは車幅方向の外側の位置であって、正面視でフロントフォーク24と重なる位置に配置されている。なお、探知装置60はフロントフォーク24よりも前方に配置されているため、探知装置60の探知範囲はフロントフォーク24に重ならない。更に、探知装置60は、左右一対で配置されるサイドミラー27(特に支柱を除いたミラー部分)の間に配置されている。
【0058】
また、上述したようにフロントカウル35は、後方に近づくに連れて車幅方向に広がる形状である。一方で、ヘッドランプ36は、後方に近づくに連れて車幅方向に広がらないか、広がるにしてもフロントカウル35よりも広がり量が少ない。そのため、ヘッドランプ36とフロントカウル35の間にはスペースが存在する。また、このスペースはフロントカウル35の前部に存在しており、フロントカウル35の前部は車幅方向のサイズがあまり大きくない。従って、このスペースは、車幅方向中心位置に対して適切な距離に形成されることとなる。従って、ヘッドランプ36とフロントカウル35の形状に起因して形成されたスペースに、当該スペースの特性を活かした探知装置60が配置されていることとなる。
【0059】
また、図1に示すように、フロントフェンダ26の一部は探知装置60より前方に配置されている。更に、図3に示すように、フロントフェンダ26と探知装置60は、車幅方向の位置が重なっている。そのため、フロントフェンダ26が探知装置60の探知範囲に重なることを防止するために、フロントフェンダ26と探知装置60を上下方向に大きく離間させる必要がある。この点、本実施形態では、フロントフェンダ26はフロントフォーク24のスプリングよりも前輪11側に配置されており、フロントカウル35(探知装置60)はフロントフォーク24のスプリングよりも車体10側に配置されている。そのため、スプリングの可動範囲を確保するために、フロントフェンダ26は、フロントカウル35と大きく間隔を空けて配置されている。そのため、探知装置60とフロントフェンダ26が上下方向に大きく離間しているため、フロントフェンダ26が探知装置60の探知範囲に重なりにくい。
【0060】
次に、探知装置60と、車幅方向中心位置の第2側に配置される装置と、の位置関係について説明する。
【0061】
フロントカウル35内において、探知装置60の車幅方向中心位置の第2側には、吸気ダクト38、リレーボックス63、及びレギュレータ64が配置されている。
【0062】
走行風を十分に取り込むためには、吸気孔35bを自動二輪車1の前面に形成する必要がある。また、吸気孔35bの前方に部品が配置されている場合、走行風の取込みが阻害される。上述したように、探知装置60の配置についても同様の条件が要求される。従って、吸気孔35b及び探知孔35cをフロントカウル35の前面に形成することで、適切なレイアウトが実現できる。また、吸気孔35bと探知孔35cは、左右対称となる位置に形成されているため、自動二輪車1の前面の外観を左右対称にする(又は左右対称に近づける)ことができるので、シンプルな外観を実現できる。
【0063】
また、リレーボックス63及びレギュレータ64は、吸気ダクト38の上面に直接又は他の部材を介して取り付けられている。吸気ダクト38の外表面は、導入される走行風の影響で温度が下がる傾向にあるため、リレーボックス63及びレギュレータ64を冷却することができる。特に、レギュレータ64は発熱量が多い傾向にあるため、吸気ダクト38による冷却効果を有効に活用できる。更に、レギュレータ64を探知装置60とは反対側に配置することで、探知装置60がレギュレータ64の熱の影響を受けにくくなる。
【0064】
また、リレーボックス63及びレギュレータ64は、主として、電力供給(電力、電流)状態の供給/停止切替又は変換等の処理を行う部品であり、電磁ノイズが発生し易い傾向にある(特にレギュレータ64)。これに対し、探知装置60、制御装置61、及びABSユニット62は、主として、演算等の処理を行うため、電磁ノイズの影響を受け易い傾向にある。そして、探知装置60、制御装置61、及びABSユニット62に対して、車幅方向中心位置を挟んで反対側に、リレーボックス63及びレギュレータ64を配置することで、探知装置60、制御装置61、及びABSユニット62が電磁ノイズの影響を受けにくくなる。
【0065】
以上に説明したように、自動二輪車1は、ヘッドランプ36と、フロントカウル35と、探知装置60と、を備える。ヘッドランプ36は、車体10の前方を照射する。フロントカウル35は、ヘッドランプ36を収容し、前端部から後方に近づくに連れて車幅方向外側に広がる湾曲形状である。探知装置60は、フロントカウル35内であって、ヘッドランプ36よりも車幅方向外側の領域で、フロントカウル35の前端部よりも後方に収容されており、車体10の前方の物体を探知する。
【0066】
フロントカウル35が湾曲形状であるため空気抵抗を低減でき、その形状に起因して形成されるヘッドランプ36とフロントカウル35の間のスペースを利用して、探知装置60が収容される。これにより、自動二輪車1の外形が大型化することを防ぎつつ、探知装置60を設けることができる。また、ヘッドランプ36の外側に探知装置60が取り付けられるため、ヘッドランプ36の大型化を防止し、ヘッドランプ36に関する設計の自由度の低下を防止できる。
【0067】
また、上記実施形態の自動二輪車1において、ヘッドランプ36は、光を照射する照射面36aが車体10の車幅方向中心位置と重なるように配置される。
【0068】
これにより、車幅方向中心位置に照射面36aが配置されることで、車幅方向中心位置に寄せてヘッドランプ36が配置されるため、ヘッドランプ36の外側に探知装置60を収容可能なスペースを形成し易い。
【0069】
また、上記実施形態の自動二輪車1において、探知装置60は、車体10の車幅方向中心位置から車幅方向外側に外れた位置に配置されている。探知装置60は、車体10の前方であって車体10の車幅方向中心位置に対して車幅方向両側の領域を探知可能に構成される。
【0070】
これにより、1つの探知装置60で車幅方向両側の領域を探知可能であるため、部品点数を低減できる。
【0071】
また、上記実施形態の自動二輪車1は、前輪11が回転可能に取り付けられる左右一対のフロントフォーク24を備える。正面視において、探知装置60の少なくとも一部は、何れか一方のフロントフォーク24と重なる。
【0072】
これにより、探知装置60が車幅方向中心寄りに配置されることで、ヘッドランプ36を基準として、探知装置60と車幅方向反対側の前方領域についても、探知し易い。
【0073】
また、上記実施形態の自動二輪車1において、探知装置60は、ヘッドランプ36の後端よりも前方に配置される。
【0074】
これにより、探知装置60が前方寄りに配置されることで、ヘッドランプ36を基準として、探知装置60と車幅方向反対側の前方領域についても、探知し易い。
【0075】
また、上記実施形態の自動二輪車1は、探知装置60によって得られる情報に基づいて、車両制御を行う制御装置61を更に備える。制御装置61は、車体10の車幅方向中心位置から探知装置60と同じ側に外れた位置に配置される。
【0076】
これにより、探知装置60と制御装置61とを接続する第1ハーネス71を短くすることができるので、探知してから制御が実行されるまでの時間を短縮することができる。
【0077】
また、上記実施形態の自動二輪車1において、制御装置61は、車体10を走行させる動力及び車体10の速度を低減させる制動力の少なくとも何れかを制御する。
【0078】
これにより、探知装置60の探知結果に基づいて制御装置61が動力又は制動力を調整するまでに掛かる時間を短くすることができる。従って、例えば前方の物体と車体10の間隔を調整する制御の応答性を高めることができる。
【0079】
また、上記実施形態の自動二輪車1は、動力を発生するエンジン21を備える。制御装置61は、エンジン21よりも前方に配置される。
【0080】
これにより、制御装置61と探知装置60との車長方向の距離を短くすることができるので、応答性を更に高めることができる。
【0081】
また、上記実施形態の自動二輪車1は、以下の構成及び効果を有する。
【0082】
本実施形態の1において、フロントカウル35は、後方に近づくに連れて車幅方向の外形が大きくなる形状である。フロントカウル35には、探知装置60とは異なる複数の他の電装品が配置されている。フロントカウル35内のうち、正面視でヘッドランプ36よりも車幅方向の外側であって、探知装置60が配置されている側(第1側)には、探知装置60よりも前方に電装品が配置されておらず、探知装置60よりも後方に、探知装置60に接続される電装品(制御装置61及びABSユニット62等)が配置されている。言い換えると、複数の電装品のうちで、探知装置60が配置される車幅方向位置において、探知装置60が最も前方に配置される。
【0083】
このように探知装置60をフロントカウル35内の後方に配置する場合、探知範囲が他の部品と重なることを防止するために探知装置60を車幅方向の外側の端部に配置せざるを得ない。この点、フロントカウル35内に配置される電装品の中で探知装置60を最も前方に配置することで、この制約が無くなるため、探知装置60を中央寄りに配置できる。
【0084】
また、本実施形態の自動二輪車1において、フロントカウル35のうち、正面視でヘッドランプ36よりも車幅方向の外側であって、探知装置60が配置されている側の反対側には、エンジン21に供給される空気(走行風)を取り込む吸気孔35bが形成されている。
【0085】
上述のように探知装置60及び吸気孔35bは、前方に別の部材があると適切な機能が発揮できなくなる可能性があるという共通の特性を有しているため、ヘッドランプ36を挟むように両者を配置することで、フロントカウル35の前部分を有効に活用できる。
【0086】
また、本実施形態の自動二輪車1において、フロントカウル35は、後方に近づくに連れて上下方向のサイズが大きくなる形状である。側面視において、探知装置60及び吸気孔35bの両方が、ヘッドランプ36と重なっている。
【0087】
この種のフロントカウル35では、前部分の上下方向のサイズが小さいが、上記のようにヘッドランプ36、探知装置60、及び吸気孔35bの側面視での位置を揃えることで、フロントカウル35の前部に配置したい3つの装置を当該前部に配置できる。
【0088】
また、本実施形態の自動二輪車1において、サイドスタンド32は、上述の第2側に配置されている。従って、探知装置60及びサイドスタンド32は、車幅方向中心位置を挟んで異なる側に配置されている。
【0089】
これにより、サイドスタンド32を用いて自動二輪車1を自立させている状態で自動二輪車1が転倒した場合でも、探知装置60が路面等の障害物に衝突しにくくなるため、探知装置60を破損しにくくすることができる。
【0090】
また、本実施形態の自動二輪車1において、探知装置60は、フロントカウル35内において、ブラケットを介して車体フレームに固定されている。言い換えれば、ステアリングハンドル25(即ちステアリングハンドル)とは一体的に回転しない部分に探知装置60が固定されている。
【0091】
これにより、ステアリングハンドル25を回転させても探知装置60の向きが変化しないため、探知装置60の探知範囲が変化しにくくなり、安定して前方を探知できる。
【0092】
また、本実施形態の自動二輪車1において、探知装置60はウインドシールド37よりも前方であって、かつ、前輪11よりも上方に配置されている。
【0093】
これにより、探知装置60が自動二輪車1の前端部又はそれに近い位置に配置されることとなる。そのため、自車によって探知装置60の探知範囲と自車の一部とが重なりにくくなるため、広い探知範囲を実現できる。
【0094】
次に、図5から図7を参照して、探知装置60の位置を異ならせた変形例について説明する。なお、これらの変形例の説明においては、前述の実施形態と同一又は類似の部材には図面に同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0095】
図5に示す第1変形例では、吸気孔35bが車幅方向中心位置に重なるように形成されている。また、吸気孔35bの車幅方向の第1側に探知装置60が配置されており、車幅方向の第2側にヘッドランプ36が配置されている。言い換えれば、探知装置60及びヘッドランプ36によって、吸気孔35bが車幅方向で挟まれている。なお、第1変形例では、吸気孔35bの右側に探知装置60が配置されているが、左側に探知装置60が配置されていてもよい。第1変形例の構成では、エアクリーナ側の接続口を車幅方向中心位置又はそれに近い位置に形成することで、吸気ダクト38を直線又はそれに近い形状にできる。その結果、フロントカウル35内において吸気ダクト38が占める体積を小さくすることができるので、フロントカウル35内の空きスペースを大きくすることができる。
【0096】
図6に示す第2変形例では、探知装置60が車幅方向中心位置に重なるように配置されている。また、車幅方向において探知装置60を挟むようにヘッドランプ36が左右一対で配置されている。第2変形例の構成では、探知装置60が車幅方向中心位置に重なるため、左右をバランス良く探知できる。また、本実施形態のフロントカウル35の前端部は、車幅方向中心位置にあるため、第1変形例等と比較して探知装置60を更に前方に配置し易くなる。
【0097】
図7に示す第3変形例では、探知装置60が車幅方向中心位置に重なるように配置されている。また、探知装置60の車幅方向の一方側に吸気孔35bが形成されており、車幅方向の他方側にヘッドランプ36が配置されている。言い換えれば、吸気孔35b及びヘッドランプ36によって、探知装置60が車幅方向で挟まれている。なお、第3変形例では、探知装置60の右側にヘッドランプ36が配置されているが、左側にヘッドランプ36が配置されていてもよい。第3変形例の構成では、第2変形例と同様に、探知装置60が左右をバランス良く探知できるとともに、探知装置60を更に前方に配置し易くなる。
【0098】
このように、探知装置60、ヘッドランプ36、及び吸気孔35bのレイアウトは様々であり、第1変形例から第3変形例以外の構成であってもよい。例えば、ヘッドランプ36の上方又は下方に探知装置60が配置されてもよい。この場合、吸気孔35bを、例えば探知装置60及びヘッドランプ36と上下に並べて配置してもよいし、ヘッドランプ36又は探知装置60の車幅方向の一方側に配置してもよい。また、ヘッドランプ36と探知装置60を上下に並べて配置する構成では、ヘッドランプ36は、車幅方向寸法が上下方向寸法よりも長い形状(横長形状)であることが好ましい。また、ヘッドランプ36の寸法を小さくするために、本実施形態と同様にヘッドランプ36がプロジェクタヘッドランプであることが好ましい。
【0099】
なお、ヘッドランプ36の外側に探知装置60が配置される構成(言い換えれば、正面視でヘッドランプ36と重ならない位置に探知装置60が配置される構成)であることが好ましい。また、上記実施形態において説明した特徴は、第1変形例、第2変形例、又は第3変形例にも適用可能である。
【0100】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0101】
上記実施形態では、探知装置60は車幅方向中心位置から外れた位置に配置されているが、車幅方向中心位置に配置されていてもよい。また、探知装置60を複数(例えば左右一対で)配置してもよい。また、本実施形態の探知装置60は、前面(探知装置60がレーダ装置又はソナーの場合は照射面)が車長方向に垂直に配置されるが、前面を僅かに傾斜させて配置してもよい。
【0102】
上記実施形態で説明した探知装置60のレイアウト等に関する特徴は、ネイキッドタイプ、オフロードタイプ、スーパースポーツタイプ、ツアラータイプ、クルーズタイプ、又はスクータータイプ等の様々な種類の自動二輪車に適用できる。また、鞍乗型車両であれば、自動二輪車以外にも本発明を適用できる。自動二輪車以外の例としては、前輪が2つで後輪が1つの車両、前輪が1つで後輪が2つの車両、前輪が2つで後輪が2つの車両にも本発明を適用できる。
【0103】
また、鞍乗型車両とは、車幅方向中心に配置されたシートに運転者が跨って乗るタイプの車両である。鞍乗型車両には、例えば、ニーグリップ部が形成される。ニーグリップ部とは、シートに前方に形成されており、運転者の膝部分によって車幅方向外側から挟むための部分である。上記実施形態の自動二輪車1では、燃料タンク29の後部及びその下方がニーグリップ部に相当する。また、鞍乗型車両には、ニーグリップ部に代えて、ステップフロアが形成されていてもよい。ステップフロアとは、シートの前方に形成されており、運転者の足部を置くための部分である。なお、ステップフロアの上方には、運転者の脚部を位置させる空間が形成されている。
【0104】
上記実施形態で開示した自動二輪車1の前部の構造は一例であり、探知装置60がフロントカウル35内に配置されていれば、例えば以下の構成であってもよい。即ち、第2変形例で示したように自動二輪車1に吸気孔35b及び吸気ダクト38が設けられていなくてもよい。また、自動二輪車1にABSユニット62が設けられていなくてもよい。また、制御装置61及びABSユニット62の少なくとも一方が探知装置60から離れた位置に配置されていてもよい。なお、自動二輪車1の中央部及び後部についても、上記実施形態とは異なる構成であってもよい。
【符号の説明】
【0105】
1 自動二輪車(鞍乗型車両)
21 エンジン(駆動源)
24 フロントフォーク
35 フロントカウル
36 ヘッドランプ
60 探知装置
61 制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7