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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-13
(45)【発行日】2024-06-21
(54)【発明の名称】SPNS2中和抗体
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/18 20060101AFI20240614BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20240614BHJP
   A61K 35/12 20150101ALI20240614BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240614BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20240614BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20240614BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20240614BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20240614BHJP
   C12N 5/10 20060101ALN20240614BHJP
【FI】
C07K16/18
A61K31/7088
A61K35/12
A61K39/395 N
C07K16/46
C12N15/13 ZNA
C12N15/62 Z
C12P21/08
C12N5/10
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2020512340
(86)(22)【出願日】2019-04-05
(86)【国際出願番号】 JP2019015208
(87)【国際公開番号】W WO2019194314
(87)【国際公開日】2019-10-10
【審査請求日】2020-10-01
【審判番号】
【審判請求日】2022-09-06
(31)【優先権主張番号】P 2018073940
(32)【優先日】2018-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】503369495
【氏名又は名称】帝人ファーマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(72)【発明者】
【氏名】日比谷 健太
(72)【発明者】
【氏名】金丸 雄祐
(72)【発明者】
【氏名】加藤 浩嗣
【合議体】
【審判長】上條 肇
【審判官】中根 知大
【審判官】荒木 英則
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-59273(JP,A)
【文献】国際公開第2014/132647(WO,A1)
【文献】J. Immunol., 1999, 162(1), pp.5-88
【文献】Biomed. Res. Int., 2014, 651727
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N15/00-15/90
C07K16/00-19/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
Genbank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脊椎動物のSPNS2に特異的に結合し、スフィンゴシン-1-リン酸(S1P)のトランスポートを阻害する活性を有する、SPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体であって、SPNS2の細胞外ループ1(配列番号3)、細胞外ループ3(配列番号4)又は細胞外ループ5(配列番号5)に結合し、S1Pのトランスポートを阻害するとともに、前記SPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体が、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、
前記SPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体が、
(1)CDR-H1配列として、配列番号98のアミノ酸配列、
CDR-H2配列として、配列番号108又は配列番号111のアミノ酸配列、
CDR-H3配列として、配列番号120又は配列番号123のアミノ酸配列、
CDR-L1配列として、配列番号129又は配列番号132のアミノ酸配列、
CDR-L2配列として、配列番号140のアミノ酸配列、
CDR-L3配列として、配列番号149、配列番号152又は配列番号157のいずれかのアミノ酸配列を含み;
(2)CDR-H1配列として、配列番号101のアミノ酸配列、
CDR-H2配列として、配列番号113のアミノ酸配列、
CDR-H3配列として、配列番号124のアミノ酸配列、
CDR-L1配列として、配列番号134のアミノ酸配列、
CDR-L2配列として、配列番号142のアミノ酸配列、
CDR-L3配列として、配列番号153のアミノ酸配列を含み;
(3)CDR-H1配列として、配列番号103又は配列番号105のアミノ酸配列、
CDR-H2配列として、配列番号115又は配列番号118のアミノ酸配列、
CDR-H3配列として、配列番号126又は配列番号127のアミノ酸配列、
CDR-L1配列として、配列番号136のアミノ酸配列、
CDR-L2配列として、配列番号144、配列番号146又は配列番号147のいずれかのアミノ酸配列、
CDR-L3配列として、配列番号155又は配列番号158のアミノ酸配列を含み;
(4)CDR-H1配列として、配列番号100又は配列番号106のアミノ酸配列、
CDR-H2配列として、配列番号110、配列番号112又は配列番号117のいずれかのアミノ酸配列、
CDR-H3配列として、配列番号122のアミノ酸配列、
CDR-L1配列として、配列番号131、配列番号133又は配列番号138のいずれかのアミノ酸配列、
CDR-L2配列として、配列番号141のアミノ酸配列、
CDR-L3配列として、配列番号151のアミノ酸配列を含み;
(5)CDR-H1配列として、配列番号99のアミノ酸配列、
CDR-H2配列として、配列番号109のアミノ酸配列、
CDR-H3配列として、配列番号121のアミノ酸配列、
CDR-L1配列として、配列番号130のアミノ酸配列、
CDR-L2配列として、配列番号140のアミノ酸配列、
CDR-L3配列として、配列番号150のアミノ酸配列を含み;
(6)CDR-H1配列として、配列番号102のアミノ酸配列、
CDR-H2配列として、配列番号114のアミノ酸配列、
CDR-H3配列として、配列番号125のアミノ酸配列、
CDR-L1配列として、配列番号135のアミノ酸配列、
CDR-L2配列として、配列番号143のアミノ酸配列、
CDR-L3配列として、配列番号154のアミノ酸配列を含み;又は、
(7)CDR-H1配列として、配列番号104のアミノ酸配列、
CDR-H2配列として、配列番号116のアミノ酸配列、
CDR-H3配列として、配列番号122のアミノ酸配列、
CDR-L1配列として、配列番号137のアミノ酸配列、
CDR-L2配列として、配列番号145のアミノ酸配列、
CDR-L3配列として、配列番号156のアミノ酸配列を含む、
こでSPNS2中和抗体又はその断片の誘導体が、定常領域部分に人工的にアミノ酸変異を導入した抗体、定常領域のドメインの構成を改変した抗体、1分子あたり2つ以上のFcを持つ形の抗体、鎖改変抗体、二重特異性抗体、抗体又は抗体の断片化合物や抗体以外のタンパク質と結合させた抗体コンジュゲート、抗体酵素、scFv、タンデムscFv、二重特異性タンデムscFv、及びダイアボディ(Diabody)らなる群より選択される誘導体である、SPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体。
【請求項2】
SPNS2発現細胞を用いたCell-based ELISAにおいて1×10-7M以下のEC50値を有することを特徴とする、請求項1に記載のSPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体。
【請求項3】
SPNS2発現細胞を用いたS1Pのトランスポートを1×10-7M以下のIC50値で阻害することを特徴とする、請求項1又は2に記載のSPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体。
【請求項4】
SPNS2の細胞外ループ1(配列番号3)又は5(配列番号5)に結合し、S1Pのトランスポートを阻害する、請求項1から3のいずれか一項に記載のSPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体。
【請求項5】
SPNS2の細胞外ループ1(配列番号3)の少なくとも部分配列を含む、エピトープ又はその近傍に結合することを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のSPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体。
【請求項6】
SPNS2の細胞外ループ3(配列番号4)の少なくとも部分配列を含む、エピトープ又はその近傍に結合することを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のSPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体。
【請求項7】
SPNS2の細胞外ループ5(配列番号5)の少なくとも部分配列を含む、エピトープ又はその近傍に結合することを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のSPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体。
【請求項8】
前記SPNS2がヒトSPNS2である、請求項1から7のいずれか一項に記載のSPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体。
【請求項9】
脊椎動物に投与されることによって、当該脊椎動物の血中リンパ球の減少を誘導する活性を有する、請求項1から8のいずれか一項に記載のSPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体。
【請求項10】
脊椎動物へ1週間に1回以下の頻度で投与する、請求項1から9のいずれか一項に記載のSPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体。
【請求項11】
前記SPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体が、
(1)CDR-H1配列として、配列番号98のアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号108のアミノ酸配列、CDR-H3配列として、配列番号120のアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号129のアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号140のアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号149のアミノ酸配列を含み;
(2)CDR-H1配列として、配列番号99のアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号109のアミノ酸配列、CDR-H3配列として、配列番号121のアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号130のアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号140のアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号150のアミノ酸配列を含み;
(3)CDR-H1配列として、配列番号100のアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号110のアミノ酸配列、CDR-H3配列として、配列番号122のアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号131のアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号141のアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号151のアミノ酸配列を含み;
(4)CDR-H1配列として、配列番号98のアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号111のアミノ酸配列、CDR-H3配列として、配列番号123のアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号132のアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号140のアミノ酸配列及びCDR-L3配列として、配列番号152のアミノ酸配列を含み;
(5)CDR-H1配列として、配列番号98のアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号108のアミノ酸配列、CDR-H3配列として、配列番号123のアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号129のアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号140のアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号149のアミノ酸配列を含み;
(6)CDR-H1配列として、配列番号100のアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号112のアミノ酸配列、CDR-H3配列として、配列番号122のアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号133のアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号141のアミノ酸配列及びCDR-L3配列として、配列番号151のアミノ酸配列を含み;
(7)CDR-H1配列として、配列番号101のアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号113のアミノ酸配列、CDR-H3配列として、配列番号124のアミノ酸配列含み、CDR-L1配列として、配列番号134のアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号142のアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号153のアミノ酸配列を含み;
(8)CDR-H1配列として、配列番号102のアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号114のアミノ酸配列、CDR-H3配列として、配列番号125のアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号135のアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号143のアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号154のアミノ酸配列を含み;
(9)CDR-H1配列として、配列番号103のアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号115のアミノ酸配列、CDR-H3配列として、配列番号126のアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号136のアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号144のアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号155のアミノ酸配列を含み;
(10)CDR-H1配列として、配列番号104のアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号116のアミノ酸配列、CDR-H3配列として、配列番号122のアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号137のアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号145のアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号156のアミノ酸配列を含み;
(11)CDR-H1配列として、配列番号98のアミノ酸配列、CDR-H2配列として配列番号108のアミノ酸配列、CDR-H3配列として配列番号123のアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号129のアミノ酸配列、CDR-L2配列として配列番号140のアミノ酸配列及びCDR-L3配列として配列番号157のアミノ酸配列を含み;
(12)CDR-H1配列として、配列番号105のアミノ酸配列、CDR-H2配列として配列番号115のアミノ酸配列、CDR-H3配列として配列番号126のアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号136のアミノ酸配列、CDR-L2配列として配列番号146のアミノ酸配列及びCDR-L3配列として配列番号158のアミノ酸配列を含み;
(13)CDR-H1配列として、配列番号106のアミノ酸配列、CDR-H2配列として配列番号117のアミノ酸配列、CDR-H3配列として配列番号122のアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号138のアミノ酸配列、CDR-L2配列として配列番号141のアミノ酸配列及びCDR-L3配列として配列番号151のアミノ酸配列を含み;又は、
(14)CDR-H1配列として、配列番号105のアミノ酸配列、CDR-H2配列として配列番号118のアミノ酸配列、CDR-H3配列として配列番号127のアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号136のアミノ酸配列、CDR-L2配列として配列番号147のアミノ酸配列及びCDR-L3配列として配列番号158のアミノ酸配列を含む、
請求項1から10のいずれか一項に記載のSPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体。
【請求項12】
免疫グロブリンのフレームワーク配列をさらに含む、請求項1から11のいずれか一項に記載のSPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体。
【請求項13】
免疫グロブリンのフレームワーク配列が、ヒト、又はサル、マウスもしくはラットを含む非ヒト動物の免疫グロブリンの各クラスにおけるフレームワーク配列である、請求項12に記載のSPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体。
【請求項14】
前記SPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体が、
(1)重鎖可変領域として、配列番号34のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域として、配列番号66のアミノ酸配列を含み;
(2)重鎖可変領域として、配列番号36のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域として、配列番号68のアミノ酸配列を含み;
(3)重鎖可変領域として、配列番号38のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域として、配列番号70のアミノ酸配列を含み;
(4)重鎖可変領域として、配列番号40のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域として、配列番号72のアミノ酸配列を含み;
(5)重鎖可変領域として、配列番号42のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域として、配列番号74のアミノ酸配列を含み;
(6)重鎖可変領域として、配列番号44のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域として、配列番号76のアミノ酸配列を含み;
(7)重鎖可変領域として、配列番号46のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域として、配列番号78のアミノ酸配列を含み;
(8)重鎖可変領域として、配列番号48のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域として、配列番号80のアミノ酸配列を含み;
(9)重鎖可変領域として、配列番号50のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域として、配列番号82のアミノ酸配列を含み;
(10)重鎖可変領域として、配列番号52のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域として、配列番号84のアミノ酸配列を含み;
(11)重鎖可変領域として、配列番号54のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域として、配列番号86のアミノ酸配列を含み;
(12)重鎖可変領域として、配列番号56のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域として、配列番号88のアミノ酸配列を含み;
(13)重鎖可変領域として、配列番号58のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域として、配列番号90のアミノ酸配列を含み;
(14)重鎖可変領域として、配列番号60のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域として、配列番号92のアミノ酸配列を含み;又は、
(15)重鎖可変領域として、配列番号62のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域として、配列番号94のアミノ酸配列を含む、
請求項1から13のいずれか一項に記載の、SPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体。
【請求項15】
定常領域として、ヒト、又はマウス、ラット、もしくはサルを含む非ヒト動物の免疫グロブリンの各クラスにおける定常領域をさらに含む、請求項1から14のいずれか一項に記載のSPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか一項に記載のSPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体をコードするポリヌクレオチド配列からなる核酸分子。
【請求項17】
請求項16に記載の核酸分子を少なくとも一つ含むクローニングベクター又は発現ベクター。
【請求項18】
宿主細胞に請求項17に記載のベクターが導入された組換え体細胞。
【請求項19】
請求項18に記載の組換え体細胞を培養し、当該SPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体を精製する工程を含む、請求項1から15のいずれか一項に記載のSPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体の製造方法。
【請求項20】
請求項1から15のいずれか一項に記載のSPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体、請求項16に記載の核酸分子、請求項17に記載のベクター、あるいは請求項18に記載の組換え体細胞を含む医薬組成物。
【請求項21】
前記医薬組成物が、脊椎動物のガン又は自己免疫疾患の治療、抑制または予防に用いられる、請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項22】
薬学的に許容される希釈剤及び/又は担体及び/又はその他の添加剤をさらに含む、請求項20または21に記載の医薬組成物。
【請求項23】
請求項1から15のいずれか一項に記載のSPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体、請求項16に記載の核酸分子、請求項17に記載のベクター、あるいは請求項18に記載の組換え体細胞以外の活性成分をさらに含む、請求項20から22のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項24】
活性成分がアゼラスチン、オキサトミド、メキタジン、フェキソフェナジン、エピナスチン、エバスチン、セチリジン、レボセチリジン、ベポタスチン、エメダスチン、オロパタジン、ロラタジン、レボカバスチン、オザグレル、セラトロダスト、ラマトロバン、プランルカスト、モンテルカスト、ザフィルルカスト、スプラタスト、ジフェンヒドラミン、ジメンヒドリナート、ジフェニルピラリン、クレマスチン、クロルフェニラミン、トリプロリジン、プロメタジン、アリメマジン、ヒドロキシジン、ホモクロルシクリジン、シプロヘプタジン、メサラジン、インターフェロンベータ1b、インターフェロンベータ1a、フィンゴリモド塩酸塩、ナタリムマブ、グラチラマー酢酸塩、フマル酸ジメチル、及びアプレミラストからなる群より1つ以上選択される成分を含む、請求項23に記載の医薬組成物。
【請求項25】
活性成分がコルチコステロイド、制吐薬、オンダンセトロン塩酸、グラニセトロン塩酸、メトロクロプラミド(metroclopramide)、ドンペリドン、ハロペリドール、シクリジン、ロラゼパム、プロクロルペラジン、デキサメタゾン、レボメプロマジン、トロピセトロン、癌ワクチン、GM-CSF阻害薬、GM-CSF DNAワクチン、細胞に基づくワクチン、樹状細胞ワクチン、組換えウイルスワクチン、熱ショックタンパク質(HSP)ワクチン、同種腫瘍ワクチン、自己腫瘍ワクチン、鎮痛薬、イブプロフェン、ナプロキセン、トリサリチル酸コリンマグネシウム、オキシコドン塩酸、抗血管形成薬、抗血栓薬、抗PD-1抗体、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、抗PD-L1抗体、アテゾリズマブ、抗CTLA4抗体、イピリムマブ、抗CD20抗体、リツキシマブ、抗HER2抗体、トラスツズマブ、抗CCR4抗体、モガムリズマブ、抗VEGF抗体、ベバシズマブ、抗VEGF受容体抗体、可溶性VEGF受容体断片、抗TWEAK抗体、抗TWEAK受容体抗体、可溶性TWEAK受容体断片、AMG 706、AMG 386、抗増殖薬、ファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害薬、αvβ3阻害薬、αvβ5阻害薬、p53阻害薬、Kit受容体阻害薬、ret受容体阻害薬、PDGFR阻害薬、成長ホルモン分泌阻害薬、アンジオポエチン阻害薬、腫瘍浸潤マクロファージ阻害薬、c-fms阻害薬、抗c-fms抗体、CSF-1阻害薬、抗CSF-1抗体、可溶性c-fms断片、ペグビソマント、ゲムシタビン、パニツムマブ、イリノテカン、及びSN-38からなる群より1つ以上選択される成分を含む、請求項23に記載の医薬組成物。
【請求項26】
SPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体が、Fab、scFv、ダイアボディ(Diabody)もしくは二重特異性抗体ある、請求項1から15のいずれか一項に記載のSPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SPNS2中和抗体に関する。具体的には、脊椎動物のSPNS2に特異的に結合するSPNS2中和抗体に関する。
【背景技術】
【0002】
スフィンゴシン1リン酸(S1P)はリン脂質の一つであり、S1Pの前駆体であるスフィンゴシンは細胞膜構成要素であるセラミドから切り出され生成する。スフィンゴシンがスフィンゴシンリン酸化酵素(SphK1、SphK2)によりリン酸化を受け細胞内でS1Pは産生される(非特許文献1)。S1Pは5種の受容体(S1PR1、S1PR2、S1PR3、S1PR4、S1PR5)を介し細胞内に種々のシグナルを伝達する。S1PR1欠損マウスを用いた解析からS1PR1は血管形成、リンパ球の遊走、心筋細胞の収縮を始めとした多くの生理的作用に関与している(非特許文献2、3、4、5)。S1PR2欠損マウスを用いた解析からS1PR2は神経の興奮、内耳の構造維持、血管形成を始めとした多くの生理的作用に関与している(非特許文献6、7、8)。S1PR3欠損マウスを用いた解析からS1PR3は、心拍リズム、心筋細胞の生存、血管弛緩に関わっている(非特許文献9、10、11)。S1PR4欠損マウスを用いた解析からS1PR4は巨核球の分化、T細胞の分化、活性化に関わっている(非特許文献12、13、14)。S1PR5欠損マウスを用いた解析からS1PR5はオリゴデンドロサイトの生存、NK細胞の遊走に関与している(非特許文献15、16)。
【0003】
血中及びリンパ液中のS1P濃度は100nM~300nMで、一方リンパ組織やその他の組織内では10nM以下と低く保たれている(非特許文献17、18)。リンパ球に発現しているS1PR1は高濃度のS1Pが存在すると受容体が内在化し細胞外S1Pに反応しなくなる(非特許文献19)。血中及びリンパ液中ではリンパ球は高濃度のS1Pに暴露されS1PR1の内在化が起き、その結果、リンパ球がリンパ組織内へ遊走する。リンパ組織内では細胞外S1P濃度は低く保たれている為、時間が経過するとS1PR1の発現が回復する。その結果、リンパ球はリンパ液中に遊走を開始する(非特許文献17、18)。主に赤血球、血小板、血管内皮、リンパ管内皮細胞がS1Pを産生している(非特許文献20)。赤血球、血小板からS1Pが細胞外に輸送される際には、ATP依存性トランスポーターが関与している。一方、血管内皮、リンパ管内皮細胞からS1Pが細胞外に輸送される際には、SLC(Solute Carriers)様トランスポーターSPNS2が関与している(非特許文献21-27、特許文献1)。
【0004】
SPNS2は、SLCファミリーのS1Pの輸送に関わるトランスポーターである。SPNS2は、細胞膜表面に存在し、複数回細胞膜を貫通する領域(膜貫通領域)を有する。しかし、SPNS2の膜貫通ドメインの数は、報告では11回(EMBLアクセッション番号:Q8IVW8)であったり、12回(非特許文献28)である場合があり、SPNS2のアミノ酸配列における膜貫通領域に相当する部位に対応する部分アミノ酸配列の場所やアミノ酸残基数などについても、解析するソフトウエアによって異なる結果となっている。
【0005】
SPNS2は主に血管内皮、リンパ管内皮細胞で発現し、S1Pを細胞内から細胞外に輸送する。SPNS2欠損マウスを用いた解析から、血中リンパ球の減少が見られ、OVA感作によるアレルギー性気道過敏反応を誘導した病態モデルにおいて肺胞洗浄液中の炎症性サイトカインの減少が見られ、メサコリン負荷気道抵抗試験において、気道抵抗値の改善が認められた。オキサゾロン誘導性アトピー性皮膚炎モデルにおいて皮膚の肥厚が抑制された。DSS誘導性腸炎モデルにおいてSPNS2欠損マウスでは体重減少が抑制され、病態スコアも低下した。同様の結果がオキサゾロンを直腸に投与することで起きる腸炎モデルにおいて観察された。実験的自己免疫性脳脊髄炎モデルにおいてSPNS2欠損マウスは病態スコアが低下し小脳での炎症像が減少した。コラーゲン誘導性関節炎モデルにおいて、SPNS2欠損マウスは関節の腫れが軽減し、病態スコアも軽減した(非特許文献29)。悪性黒色腫瘍細胞を始めとした種々の腫瘍細胞を静脈内投与し誘導した実験的肺転移モデルにおいては、SPNS2欠損マウスでは肺に転移する腫瘍数が顕著に低下した(非特許文献30)。S1P受容体シグナルを調節する薬剤フィンゴリモドはS1P受容体のアゴニスト活性を有しS1P受容体の内在化を引き起こす。フィンゴリモド投与によりS1PR1が機能しなくなり、血中リンパ球が低下することで免疫抑制作用を発揮し、多発性硬化症治療薬として用いられている(非特許文献18)。非臨床研究から、関節リウマチ(非特許文献31、32)、自己免疫性腸炎(非特許文献33)、喘息(非特許文献34)、全身性エリテマトーデス(非特許文献35,36、37)、臓器移植時の拒絶反応抑制(非特許文献38)等、種々の免疫疾患に有効であると期待される。S1PR1選択的アゴニストPonesimodの第2相試験において乾癬病態を改善した(非特許文献39)。
【0006】
フィンゴリモドはS1PR2を除くS1P受容体活性化薬であり多発性硬化症治療薬として使用されている(非特許文献40)。フィンゴリモドは臨床上の副作用として徐脈性不整脈を引き起こすことが知られている(非特許文献41,42)。心筋細胞にはS1P受容体が発現し、そのS1P受容体を介してフィンゴリモドはヘテロ3量体Gタンパク質を活性化する。活性化したGβγタンパク質はGタンパク質共役型内向き整流性カリウムチャネル(GIRKs)を活性化することでカリウムイオンが細胞外から細胞内へ移動し、膜の過分極が起きることで心筋細胞の興奮頻度が減少する結果心拍数が低下する(非特許文献43)。上記の副作用発現機序は、フィンゴリモドのクラスエフェクト(同じ作用機序を持つ薬剤間で共通に有する作用)であり、S1PR1を標的とした薬剤では回避する事の出来ない副作用であると想定される。現在までS1Pシグナルを調節する薬剤で、徐脈性不整脈を回避可能な薬剤は存在しない(非特許文献44、45)。
【0007】
悪性腫瘍(がん)は、日本人における主な死亡原因であり、依然として多くのがん種において根治療法が存在しない。がんの初期であれば切除により根治可能の場合もあるが、遠隔転移により、がんが全身に広がってしまった場合には、予後が格段に悪くなり治療法の選択肢も限られる。
【0008】
がん治療には腫瘍細胞に対し、細胞障害や増殖阻害作用のある薬剤や、特定のシグナルを阻害する分子標的薬が使用される(非特許文献46)。腫瘍細胞に直接働きかける以外にも、自己の免疫を活性化することで腫瘍細胞を排除する治療法も使われている。CD8陽性T細胞、NK細胞には腫瘍細胞を除去する機能がある(非特許文献47)。新規抗原に対するキメラT細胞受容体をもったキメラ抗原受容体T細胞はがんの治療に有効であることから、新規抗原に対するCD8陽性T細胞ががん防御に重要な役割を担っていることが分かる(非特許文献48)。NK細胞も腫瘍細胞から自己を守る重要な役割を担っていることが知られている。腫瘍細胞の異常な増殖速度等によるストレスにより、ストレス依存的な分子が膜表面に発現する。このストレス依存性リガンドをNK細胞の受容体が認識し異常細胞を生体内から除去するという役割を担っている。NK細胞を除去したマウスに、腫瘍細胞を移植すると、腫瘍細胞に対する抵抗性が顕著に減少することから、NK細胞も抗腫瘍効果を持つ重要な細胞であると認識されている(非特許文献49)。近年、悪性黒色腫治療には、免疫療法ペムブロリズマブ、ニボルマブが使用可能となり、新しい選択肢が増えたがいずれの治療法も奏功率は50%程度で新たな治療法の確立が必要となっている(非特許文献50、51)。SPNS2欠損マウスを用いた解析から、SPNS2欠損マウスは静脈内より移入した悪性黒色腫の肺や肝臓への定着が顕著に減少する事が報告されている。この報告では、制御性T細胞に対するエフェクターT細胞の割合が増加することにより、T細胞の抗腫瘍効果が発揮されやすくなっていることを示している。CD8陽性T細胞、NK細胞を抗体により除去した実験から、SPNS2欠損マウスの腫瘍転移抑制効果はT細胞、NK細胞により発揮されていることが報告されている。この報告からSPNS2阻害剤は自己免疫疾患だけでなく、がん治療薬として利用可能である事を示しており、さらには既存がん免疫療法の作用を増強するような効果も期待される(非特許文献30)。
【0009】
SPNS2阻害剤は既存情報から自己免疫疾患、がん治療に有効な治療薬となる事が期待できるが、現在までSPNS2阻害剤の報告は無い。既存SLCトランスポーターの阻害剤は主に低分子化合物であるが、低分子化合物阻害剤は標的選択性が低く副作用発現にもつながっている。低分子化合物阻害剤に比べ抗体医薬品は標的特異性が高く、オフターゲットに起因した副作用は少ない(非特許文献52)が、現在までにSLCトランスポーターのリガンド輸送機能を阻害する抗体の存在は報告されていない。また、SPNS2の機能を阻害する抗体(SPNS2中和抗体)を医薬品に応用するためには、当該抗体がSPNS2の構造のうち細胞外に出ている領域(細胞外ループ)を認識し、かつ当該細胞外ループがSPNS2の機能を発揮するために重要な部分である必要がある。しかしながら、従来の技術ではSPNS2の構造に関する情報が乏しく、細胞外ループに相当する部位が特定されておらず、さらに、SPNS2の機能に重要な細胞外ループの部分に関する情報がなかったため、医薬に応用可能なSPNS2中和抗体を取得することは困難であった。
【0010】
一方、抗S1P抗体である、 Sonepcizumabは腎臓がんの治療用途で治験が行われているが、現在のところ十分な効果は報告されていない。また、血液やリンパ液に存在するS1Pを中和するためには大量の抗体が必要になると考えられるが、S1Pを細胞外に輸送するSPNS2の機能を阻害する方が、より少ない抗体で効率的にS1Pの作用を阻害することが可能であると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】日本特許第5885154号公報
【非特許文献】
【0012】
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【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、脊椎動物のSPNS2に特異的に結合してS1Pの輸送を阻害するSPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体を提供することを目的とする。また、本発明は、SPNS2を介したリンパ球の遊走を阻害し、自己免疫疾患、又はがんを治療する抗体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
即ち、本発明は例えば以下に関する。
[1]脊椎動物のSPNS2に特異的に結合し、スフィンゴシン-1-リン酸(S1P)のトランスポートを阻害する活性を有する、SPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体。
[2]SPNS2発現細胞を用いたCell-based ELISAにおいて1×10-7M以下のEC50値を有することを特徴とする、[1]に記載のSPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体。
[3]SPNS2発現細胞を用いたS1Pのトランスポートを1×10-7M以下のIC50値で阻害することを特徴とする、[1]又は[2]に記載のSPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体。
[4]SPNS2の細胞外ループ1(配列番号3)、細胞外ループ3(配列番号4)又は細胞外ループ5(配列番号5)に結合し、S1Pのトランスポートを阻害する、[1]から[3]のいずれかに記載のSPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体。
[5]SPNS2の細胞外ループ1(配列番号3)又は5(配列番号5)に結合し、S1Pのトランスポートを阻害する、[4]に記載のSPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体。
[6]SPNS2の細胞外ループ1(配列番号3)の少なくとも部分配列を含む、エピトープ又はその近傍に結合することを特徴とする、[4]又は[5]に記載のSPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体。
[7]SPNS2の細胞外ループ3(配列番号4)の少なくとも部分配列を含む、エピトープ又はその近傍に結合することを特徴とする、[4]又は[5]に記載のSPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体。
[8]SPNS2の細胞外ループ5(配列番号5)の少なくとも部分配列を含む、エピトープ又はその近傍に結合することを特徴とする、[4]又は[5]に記載のSPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体。
[9]前記SPNS2がヒトSPNS2である、[1]から[8]のいずれかに記載のSPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体。
[10]脊椎動物に投与されることによって、当該脊椎動物の血中リンパ球の減少を誘導する活性を有する、[1]から[9]のいずれかに記載のSPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体。
[11]脊椎動物へ1週間に1回以下の頻度で投与する、[1]から[10]のいずれかに記載のSPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体。
【0015】
[12]前記SPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体が、
(1)CDR-H1配列として、配列番号98のアミノ酸配列又は配列番号98のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号108もしくは配列番号111のアミノ酸配列又は配列番号108もしくは配列番号111のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-H3配列として、配列番号120もしくは配列番号123のアミノ酸配列又は配列番号120もしくは配列番号123のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列を含み;
(2)CDR-H1配列として、配列番号101のアミノ酸配列又は配列番号101のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号113のアミノ酸配列又は配列番号113のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として、配列番号124のアミノ酸配列又は配列番号124のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列を含み;
(3)CDR-H1配列として、配列番号103もしくは配列番号105のアミノ酸配列又は配列番号103もしくは配列番号105のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号115もしくは配列番号118のアミノ酸配列又は配列番号115もしくは配列番号118のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として、配列番号126もしくは配列番号127のアミノ酸配列又は配列番号126もしくは配列番号127のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列を含み;
(4)CDR-H1配列として、配列番号100もしくは配列番号106のアミノ酸配列又は配列番号100もしくは配列番号106のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号110、配列番号112もしくは配列番号117のいずれかのアミノ酸配列又は配列番号110、配列番号112もしくは配列番号117のいずれかのアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として、配列番号122のアミノ酸配列又は配列番号122のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列を含み;
(5)CDR-H1配列として、配列番号99のアミノ酸配列又は配列番号99のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号109のアミノ酸配列又は配列番号109のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として、配列番号121のアミノ酸配列又は配列番号121のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列を含み;
(6)CDR-H1配列として、配列番号102のアミノ酸配列又は配列番号102のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号114のアミノ酸配列又は配列番号114のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として、配列番号125のアミノ酸配列又は配列番号125のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列を含み;又は、
(7)CDR-H1配列として、配列番号104のアミノ酸配列又は配列番号104のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号116のアミノ酸配列又は配列番号116のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として、配列番号122のアミノ酸配列又は配列番号122のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列を含む、
[1]から[11]のいずれかに記載のSPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体。
[13]前記SPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体が、
(1)CDR-H1配列として、配列番号98と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号108もしくは配列番号111と88%以上の相同性を有するアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として、配列番号120もしくは配列番号123と83%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含み;
(2)CDR-H1配列として、配列番号101と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号113と88%以上の相同性を有するアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として、配列番号124と88%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含み;
(3)CDR-H1配列として、配列番号103もしくは配列番号105と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号115もしくは配列番号118と89%以上の相同性を有するアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として、配列番号126もしくは配列番号127と85%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含み;
(4)CDR-H1配列として、配列番号100もしくは配列番号106と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号110、配列番号112もしくは配列番号117のいずれかと88%以上の相同性を有するアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として、配列番号122と83%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含み;
(5)CDR-H1配列として、配列番号99と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号109と88%以上の相同性を有するアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として、配列番号121と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含み;
(6)CDR-H1配列として、配列番号102と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号114と88%以上の相同性を有するアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として、配列番号125と83%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含み;又は、
(7)CDR-H1配列として、配列番号104と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号116と88%以上の相同性を有するアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として、配列番号122と83%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む、
[1]から[12]のいずれかに記載のSPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体。
[14]前記SPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体が、
(1)CDR-H1配列として、配列番号98のアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号108のアミノ酸配列もしくは配列番号108の1番目のアミノ酸残基がThrからSerに置換されたアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として、配列番号123のアミノ酸配列もしくは配列番号123の4番目のアミノ酸残基がSerからThrに置換されたアミノ酸配列を含み;
(2)CDR-H1配列として、配列番号101のアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号113のアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として、配列番号124のアミノ酸配列を含み;
(3)CDR-H1配列として、配列番号105のアミノ酸配列もしくは配列番号105の1番目のアミノ酸残基がAspからGluに置換されたアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号115のアミノ酸配列もしくは配列番号115の9番目のアミノ酸残基がTyrからSerに置換及び/又は17番目のアミノ酸残基がValからIleに置換されているアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として配列番号126のアミノ酸配列もしくは配列番号126の9番目のアミノ酸残基がSerからGlyに置換されているアミノ酸配列を含み;
(4)CDR-H1配列として、配列番号100のアミノ酸配列もしくは配列番号100の1番目のアミノ酸残基がArgからAlaに置換されたアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号110のアミノ酸配列もしくは配列番号110の8番目のアミノ酸残基がThrからSerに置換及び/又は17番目のアミノ酸残基がAsnからLysに置換されているアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として配列番号122のアミノ酸配列を含み;
(5)CDR-H1配列として、配列番号99のアミノ酸配列、CDR-H2配列として配列番号109のアミノ酸配列及びCDR-H3配列として配列番号121のアミノ酸配列を含み;
(6)CDR-H1配列として、配列番号102のアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号114のアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として、配列番号125のアミノ酸配列を含み;又は、
(7)CDR-H1配列として、配列番号104のアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号116のアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として、配列番号122のアミノ酸配列を含む、
[1]から[13]のいずれかに記載のSPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体。
[15]前記SPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体が、
(1)CDR-H1配列として、配列番号98のアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号108のアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として、配列番号120のアミノ酸配列を含み;
(2)CDR-H1配列として、配列番号99のアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号109のアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として、配列番号121のアミノ酸配列を含み;
(3)CDR-H1配列として、配列番号100のアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号110のアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として、配列番号122のアミノ酸配列を含み;
(4)CDR-H1配列として、配列番号98のアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号111のアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として、配列番号123のアミノ酸配列を含み;
(5)CDR-H1配列として、配列番号98のアミノ酸配列、CDR-H2配列として配列番号108のアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として、配列番号123のアミノ酸配列を含み;
(6)CDR-H1配列として、配列番号100のアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号112のアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として、配列番号122のアミノ酸配列を含み;
(7)CDR-H1配列として、配列番号101のアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号113のアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として、配列番号124のアミノ酸配列を含み;
(8)CDR-H1配列として、配列番号102のアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号114のアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として、配列番号125のアミノ酸配列を含み;
(9)CDR-H1配列として、配列番号103のアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号115のアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として、配列番号126のアミノ酸配列を含み;
(10)CDR-H1配列として、配列番号104のアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号116のアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として、配列番号122のアミノ酸配列を含み;
(11)CDR-H1配列として、配列番号105のアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号115のアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として、配列番号126のアミノ酸配列を含み;
(12)CDR-H1配列として、配列番号106のアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号117のアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として、配列番号122のアミノ酸配列を含み;又は、
(13)CDR-H1配列として、配列番号105のアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号118のアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として、配列番号127のアミノ酸配列を含む、
[1]から[14]のいずれかに記載のSPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体。
【0016】
[16]前記SPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体が、
(1)CDR-L1配列として、配列番号129もしくは配列番号132のアミノ酸配列又は配列番号129もしくは配列番号132のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号140のアミノ酸配列又は配列番号140のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-L3配列として、配列番号149、配列番号152もしくは配列番号157のいずれかのアミノ酸配列又は配列番号149、配列番号152もしくは配列番号157のいずれかのアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列を含み;
(2)CDR-L1配列として、配列番号134のアミノ酸配列又は配列番号134のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号142のアミノ酸配列又は配列番号142のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号153のアミノ酸配列又は配列番号153のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列を含み;
(3)CDR-L1配列として、配列番号136のアミノ酸配列又は配列番号136のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号144、配列番号146もしくは配列番号147のいずれかのアミノ酸配列又は配列番号144、配列番号146もしくは配列番号147のいずれかのアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号155もしくは配列番号158のアミノ酸配列又は配列番号155もしくは配列番号158のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列を含み;
(4)CDR-L1配列として、配列番号131、配列番号133もしくは配列番号138のいずれかのアミノ酸配列又は配列番号131、配列番号133もしくは配列番号138のいずれかのアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号141のアミノ酸配列又は配列番号141のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号151のアミノ酸配列又は配列番号151のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列を含み;
(5)CDR-L1配列として、配列番号130のアミノ酸配列又は配列番号130のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号140のアミノ酸配列又は配列番号140のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号150のアミノ酸配列又は配列番号150のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列を含み;
(6)CDR-L1配列として、配列番号135のアミノ酸配列又は配列番号135のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号143のアミノ酸配列又は配列番号143のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号154のアミノ酸配列又は配列番号154のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列を含み;又は、
(7)CDR-L1配列として、配列番号137のアミノ酸配列又は配列番号137のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号145のアミノ酸配列又は配列番号145のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号156のアミノ酸配列又は配列番号156のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列を含む、
[1]から[11]のいずれかに記載のSPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体。
[17]前記SPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体が、
(1)CDR-L1配列として、配列番号129もしくは配列番号132と84%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号140と85%以上の相同性を有するアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号149、配列番号152もしくは配列番号157のいずれかと88%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含み;
(2)CDR-L1配列として、配列番号134と84%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号142と85%以上の相同性を有するアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号153と88%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含み;
(3)CDR-L1配列として、配列番号136と81%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号144、配列番号146もしくは配列番号147のいずれかと85%以上の相同性を有するアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号155もしくは配列番号158と88%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含み;
(4)CDR-L1配列として、配列番号131、配列番号133もしくは配列番号138のいずれかと81%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号141と85%以上の相同性を有するアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号151と88%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含み;
(5)CDR-L1配列として、配列番号130と84%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号140と85%以上の相同性を有するアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号150と88%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含み;
(6)CDR-L1配列として、配列番号135と84%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号143と85%以上の相同性を有するアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号154と88%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含み;又は、
(7)CDR-L1配列として、配列番号137と81%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号145と85%以上の相同性を有するアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号156と88%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む、
[1]から[11]又は[16]のいずれかに記載のSPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体。
[18]前記SPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体が、
(1)CDR-L1配列として、配列番号129のアミノ酸配列もしくは配列番号129の1番目のアミノ酸残基がThrからLysに置換及び/又は4番目のアミノ酸残基がIleからThrに置換されたアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号140のアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号149のアミノ酸配列もしくは配列番号149の5番目のアミノ酸残基がSerからAsnに置換及び/又は7番目のアミノ酸残基がIleからMetに置換されたアミノ酸配列を含み;
(2)CDR-L1配列として、配列番号134のアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号142のアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号153のアミノ酸配列を含み;
(3)CDR-L1配列として、配列番号136のアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号146のアミノ酸配列もしくは配列番号146の6番目のアミノ酸残基がIleからMetに置換及び/又は7番目のアミノ酸残基がSerからAlaに置換されたアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号158のアミノ酸配列もしくは配列番号158の3番目のアミノ酸残基がThrからSerに置換及び/又は5番目のアミノ酸残基がSerからAsnに置換された配列を含み;
(4)CDR-L1配列として、配列番号133のアミノ酸配列もしくは配列番号133の2番目のアミノ酸残基がAlaからProに置換/5番目のアミノ酸残基がAsnからSerに置換/8番目のアミノ酸がSerからAsnから選択されるいずれか一または二以上の置換を含むアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号141のアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号151のアミノ酸配列を含み;
(5)CDR-L1配列として、配列番号130のアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号140のアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号150のアミノ酸配列を含み;
(6)CDR-L1配列として、配列番号135のアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号143のアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号154のアミノ酸配列を含み;又は、
(7)CDR-L1配列として、配列番号137のアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号145のアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号156のアミノ酸配列を含む、
[1]から[11]、[16]又は[17]のいずれかに記載のSPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体。
[19]前記SPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体が、
(1)CDR-L1配列として、配列番号129のアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号140のアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号149のアミノ酸配列を含み;
(2)CDR-L1配列として、配列番号130のアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号140のアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号150のアミノ酸配列を含み;
(3)CDR-L1配列として、配列番号131のアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号141のアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号151のアミノ酸配列を含み;
(4)CDR-L1配列として、配列番号132のアミノ酸配列、CDR-L2配列として配列番号140のアミノ酸配列及びCDR-L3配列として配列番号152のアミノ酸配列を含み;
(5)CDR-L1配列として、配列番号133のアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号141のアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号151のアミノ酸配列を含み;
(6)CDR-L1配列として、配列番号134のアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号142のアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号153のアミノ酸配列を含み;
(7)CDR-L1配列として、配列番号135のアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号143のアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号154のアミノ酸配列を含み;
(8)CDR-L1配列として、配列番号136のアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号144のアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号155のアミノ酸配列を含み;
(9)CDR-L1配列として、配列番号137のアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号145のアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号156のアミノ酸配列を含み;
(10)CDR-L1配列として、配列番号129のアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号140のアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号157のアミノ酸配列を含み;
(11)CDR-L1配列として、配列番号136のアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号146のアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号158のアミノ酸配列を含み;
(12)CDR-L1配列として、配列番号138のアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号141のアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号151のアミノ酸配列を含み;又は、
(13)CDR-L1配列として、配列番号136のアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号147のアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号158のアミノ酸配列を含む、
[1]から[11]、[16]から[18]のいずれかに記載のSPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体。
【0017】
[20]前記SPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体が、
(1)CDR-H1配列として、配列番号98のアミノ酸配列又は配列番号98のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号108もしくは配列番号111のアミノ酸配列又は配列番号108もしくは配列番号111のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-H3配列として、配列番号120もしくは配列番号123のアミノ酸配列又は配列番号120もしくは配列番号123のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号129もしくは配列番号132のアミノ酸配列又は配列番号129もしくは配列番号132のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号140のアミノ酸配列又は配列番号140のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-L3配列として、配列番号149、配列番号152もしくは配列番号157のいずれかのアミノ酸配列又は配列番号149、配列番号152もしくは配列番号157のいずれかのアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列を含み;
(2)CDR-H1配列として、配列番号101のアミノ酸配列又は配列番号101のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号113のアミノ酸配列又は配列番号113のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として、配列番号124のアミノ酸配列又は配列番号124のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号134のアミノ酸配列又は配列番号134のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号142のアミノ酸配列又は配列番号142のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号153のアミノ酸配列又は配列番号153のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列を含み;
(3)CDR-H1配列として、配列番号103もしくは配列番号105のアミノ酸配列又は配列番号103もしくは配列番号105のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号115もしくは配列番号118のアミノ酸配列又は配列番号115もしくは配列番号118のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として、配列番号126もしくは配列番号127のアミノ酸配列又は配列番号126もしくは配列番号127のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号136のアミノ酸配列又は配列番号136のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号144、配列番号146もしくは配列番号147のいずれかのアミノ酸配列又は配列番号144、配列番号146もしくは配列番号147のいずれかのアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号155もしくは配列番号158のアミノ酸配列又は配列番号155もしくは配列番号158のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列を含み;
(4)CDR-H1配列として、配列番号100もしくは配列番号106のアミノ酸配列又は配列番号100もしくは配列番号106のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号110、配列番号112もしくは配列番号117のいずれかのアミノ酸配列又は配列番号110、配列番号112もしくは配列番号117のいずれかのアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として、配列番号122のアミノ酸配列又は配列番号122のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号131、配列番号133もしくは配列番号138のいずれかのアミノ酸配列又は配列番号131、配列番号133もしくは配列番号138のいずれかのアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号141のアミノ酸配列又は配列番号141のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号151のアミノ酸配列又は配列番号151のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列を含み;
(5)CDR-H1配列として、配列番号99のアミノ酸配列又は配列番号99のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号109のアミノ酸配列又は配列番号109のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として、配列番号121のアミノ酸配列又は配列番号121のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号130のアミノ酸配列又は配列番号130のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号140のアミノ酸配列又は配列番号140のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号150のアミノ酸配列又は配列番号150のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列を含み;
(6)CDR-H1配列として、配列番号102のアミノ酸配列又は配列番号102のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号114のアミノ酸配列又は配列番号114のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として、配列番号125のアミノ酸配列又は配列番号125のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号135のアミノ酸配列又は配列番号135のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号143のアミノ酸配列又は配列番号143のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号154のアミノ酸配列又は配列番号154のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列を含み;又は、
(7)CDR-H1配列として、配列番号104のアミノ酸配列又は配列番号104のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号116のアミノ酸配列又は配列番号116のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として、配列番号122のアミノ酸配列又は配列番号122のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号137のアミノ酸配列又は配列番号137のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号145のアミノ酸配列又は配列番号145のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号156のアミノ酸配列又は配列番号156のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列を含む、
[1]から[19]のいずれかに記載のSPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体。
[21]前記SPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体が、
(1)CDR-H1配列として、配列番号98と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号108もしくは配列番号111と88%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-H3配列として、配列番号120もしくは配列番号123と83%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号129もしくは配列番号132と84%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号140と85%以上の相同性を有するアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号149、配列番号152もしくは配列番号157のいずれかと88%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含み;
(2)CDR-H1配列として、配列番号101と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号113と88%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-H3配列として、配列番号124と88%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号134と84%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号142と85%以上の相同性を有するアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号153と88%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含み;
(3)CDR-H1配列として、配列番号103もしくは配列番号105と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号115もしくは配列番号118と89%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-H3配列として、配列番号126もしくは配列番号127と85%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号136と81%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号144、配列番号146もしくは配列番号147のいずれかと85%以上の相同性を有するアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号155もしくは配列番号158と88%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含み;
(4)CDR-H1配列として、配列番号100もしくは配列番号106と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号110、配列番号112もしくは配列番号117のいずれかと88%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-H3配列として、配列番号122と83%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号131、配列番号133もしくは配列番号138のいずれかと81%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号141と85%以上の相同性を有するアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号151と88%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含み;
(5)CDR-H1配列として、配列番号99と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号109と88%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-H3配列として、配列番号121と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号130と84%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号140と85%以上の相同性を有するアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号150と88%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含み;
(6)CDR-H1配列として、配列番号102と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号114と88%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-H3配列として、配列番号125と83%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号135と84%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号143と85%以上の相同性を有するアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号154と88%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含み;又は、
(7)CDR-H1配列として、配列番号104と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号116と88%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-H3配列として、配列番号122と83%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号137と81%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号145と85%以上の相同性を有するアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号156と88%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む、
[1]から[20]のいずれか一項に記載のSPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体。
[22]前記SPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体が、
(1)CDR-H1配列として、配列番号98のアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号108のアミノ酸配列もしくは配列番号108の1番目のアミノ酸残基がThrからSerに置換されたアミノ酸配列、CDR-H3配列として、配列番号123のアミノ酸配列もしくは配列番号123の4番目のアミノ酸残基がSerからThrに置換されたアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号129のアミノ酸配列もしくは配列番号129の1番目のアミノ酸残基がThrからLysに置換及び/又は4番目のアミノ酸残基がIleからThrに置換されたアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号140のアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号149のアミノ酸配列もしくは配列番号149の5番目のアミノ酸残基がSerからAsnに置換及び/又は7番目のアミノ酸残基がIleからMetに置換されたアミノ酸配列を含み;
(2)CDR-H1配列として、配列番号101のアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号113のアミノ酸配列、CDR-H3配列として、配列番号124のアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号134のアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号142のアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号153のアミノ酸配列を含み;
(3)CDR-H1配列として、配列番号105のアミノ酸配列もしくは配列番号105の1番目のアミノ酸残基がAspからGluに置換されたアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号115のアミノ酸配列もしくは配列番号115の9番目のアミノ酸残基がTyrからSerに置換及び/又は17番目のアミノ酸残基がValからIleに置換されているアミノ酸配列、CDR-H3配列として、配列番号126のアミノ酸配列もしくは配列番号126の9番目のアミノ酸残基がSerからGlyに置換されているアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号136のアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号146のアミノ酸配列もしくは配列番号146の6番目のアミノ酸残基がIleからMetに置換及び/又は7番目のアミノ酸残基がSerからAlaに置換されたアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号158のアミノ酸配列もしくは配列番号158の3番目のアミノ酸残基がThrからSerに置換及び/又は5番目のアミノ酸残基がSerからAsnに置換された配列を含み;
(4)CDR-H1配列として、配列番号100のアミノ酸配列もしくは配列番号100の1番目のアミノ酸残基がArgからAlaに置換されたアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号110のアミノ酸配列もしくは配列番号110の8番目のアミノ酸残基がThrからSerに置換及び/又は17番目のアミノ酸残基がAsnからLysに置換されているアミノ酸配列、CDR-H3配列として、配列番号122のアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号133のアミノ酸配列もしくは配列番号133の2番目のアミノ酸残基がAlaからPro/5番目のアミノ酸残基がAsnからSer/8番目のアミノ酸がSerからAsnから選択されるいずれか1か所又は2か所以上でアミノ酸残基が置換されたアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号141のアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号151のアミノ酸配列を含み;
(5)CDR-H1配列として、配列番号99のアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号109のアミノ酸配列、CDR-H3配列として、配列番号121のアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号130のアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号140のアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号150のアミノ酸配列を含み;
(6)CDR-H1配列として、配列番号102のアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号114のアミノ酸配列、CDR-H3配列として、配列番号125のアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号135のアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号143のアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号154のアミノ酸配列を含み;又は
(7)CDR-H1配列として、配列番号104のアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号116のアミノ酸配列、CDR-H3配列として、配列番号122のアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号137のアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号145のアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号156のアミノ酸配列を含む、
[1]から[21]のいずれかに記載のSPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体。
[23]前記SPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体が、
(1)CDR-H1配列として、配列番号98のアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号108のアミノ酸配列、CDR-H3配列として、配列番号120のアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号129のアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号140のアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号149のアミノ酸配列を含み;
(2)CDR-H1配列として、配列番号99のアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号109のアミノ酸配列、CDR-H3配列として、配列番号121のアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号130のアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号140のアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号150のアミノ酸配列を含み;
(3)CDR-H1配列として、配列番号100のアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号110のアミノ酸配列、CDR-H3配列として、配列番号122のアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号131のアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号141のアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号151のアミノ酸配列を含み;
(4)CDR-H1配列として、配列番号98のアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号111のアミノ酸配列、CDR-H3配列として、配列番号123のアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号132のアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号140のアミノ酸配列及びCDR-L3配列として、配列番号152のアミノ酸配列を含み;
(5)CDR-H1配列として、配列番号98のアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号108のアミノ酸配列、CDR-H3配列として、配列番号123のアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号129のアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号140のアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号149のアミノ酸配列を含み;
(6)CDR-H1配列として、配列番号100のアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号112のアミノ酸配列、CDR-H3配列として、配列番号122のアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号133のアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号141のアミノ酸配列及びCDR-L3配列として、配列番号151のアミノ酸配列を含み;
(7)CDR-H1配列として、配列番号101のアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号113のアミノ酸配列、CDR-H3配列として、配列番号124のアミノ酸配列含み、CDR-L1配列として、配列番号134のアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号142のアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号153のアミノ酸配列を含み;
(8)CDR-H1配列として、配列番号102のアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号114のアミノ酸配列、CDR-H3配列として、配列番号125のアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号135のアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号143のアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号154のアミノ酸配列を含み;
(9)CDR-H1配列として、配列番号103のアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号115のアミノ酸配列、CDR-H3配列として、配列番号126のアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号136のアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号144のアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号155のアミノ酸配列を含み;
(10)CDR-H1配列として、配列番号104のアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号116のアミノ酸配列、CDR-H3配列として、配列番号122のアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号137のアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号145のアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号156のアミノ酸配列を含み;
(11)CDR-H1配列として、配列番号98のアミノ酸配列、CDR-H2配列として配列番号108のアミノ酸配列、CDR-H3配列として配列番号123のアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号129のアミノ酸配列、CDR-L2配列として配列番号140のアミノ酸配列及びCDR-L3配列として配列番号157のアミノ酸配列を含み;
(12)CDR-H1配列として、配列番号105のアミノ酸配列、CDR-H2配列として配列番号115のアミノ酸配列、CDR-H3配列として配列番号126のアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号136のアミノ酸配列、CDR-L2配列として配列番号146のアミノ酸配列及びCDR-L3配列として配列番号158のアミノ酸配列を含み;
(13)CDR-H1配列として、配列番号106のアミノ酸配列、CDR-H2配列として配列番号117のアミノ酸配列、CDR-H3配列として配列番号122のアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号138のアミノ酸配列、CDR-L2配列として配列番号141のアミノ酸配列及びCDR-L3配列として配列番号151のアミノ酸配列を含み;又は、
(14)CDR-H1配列として、配列番号105のアミノ酸配列、CDR-H2配列として配列番号118のアミノ酸配列、CDR-H3配列として配列番号127のアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号136のアミノ酸配列、CDR-L2配列として配列番号147のアミノ酸配列及びCDR-L3配列として配列番号158のアミノ酸配列を含む、
[1]から[22]のいずれかに記載のSPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体。
【0018】
[24]免疫グロブリンのフレームワーク配列をさらに含む、[1]から[23]のいずれかに記載のSPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体。
[25]免疫グロブリンのフレームワーク配列が、ヒト、又はサル、マウスもしくはラットを含む非ヒト動物の免疫グロブリンの各クラスにおけるフレームワーク配列である、[24]に記載のSPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体。
[26]前記SPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体が、
重鎖可変領域として、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60及び配列番号62から選択される配列と90%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む、
[1]から[15]、[20]から[25]のいずれか一項に記載のSPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体。
【0019】
[27]前記SPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体が、
重鎖可変領域として、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60及び配列番号62から選択されるいずれかのアミノ酸配列、又は配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60及び配列番号62から選択されるいずれかのアミノ酸配列において1又は数か所におけるアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列を含む、
[1]から[15]、[20]から[26]のいずれかに記載のSPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体。
[28]前記SPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体が、重鎖可変領域として、
(1)配列番号42のアミノ酸配列又は配列番号42の1番目(Kabat番号:H1)のアミノ酸残基がGluからAlaへの置換、6番目(Kabat番号:H6)のアミノ酸残基がGlyからGluへの置換、23番目(Kabat番号:H23)のアミノ酸残基がGluからAlaへの置換、43番目(Kabat番号:H43)のアミノ酸残基がLysからArgへの置換、50番目(Kabat番号:H50)のアミノ酸残基がThrからSerへの置換、75番目(Kabat番号:H74)のアミノ酸残基がAlaからThrへの置換、76番目(Kabat番号:H75)のアミノ酸残基がArgからLysへの置換、78番目(Kabat番号:H77)のアミノ酸残基がThrからIleへの置換、80番目(Kabat番号:H79)のアミノ酸残基がSerからTyrへの置換、97番目(Kabat番号:H93)のアミノ酸残基がAlaからThr、及び102番目(Kabat番号:H98)のアミノ酸残基がSerからThrへの置換からなる群から選ばれる、一又は二以上の置換を含むアミノ酸配列を含み;
(2)配列番号46のアミノ酸配列又は配列番号46の82番目(Kabat番号:H81)のアミノ酸残基がGlnからLysに置換されたアミノ酸配列を含み;
(3)配列番号58のアミノ酸配列又は配列番号58の13番目(Kabat番号:H13)のアミノ酸残基がGlnからArgへの置換、23番目(Kabat番号:H23)のアミノ酸残基がAlaからSerへの置換、31番目(Kabat番号:H31)のアミノ酸残基がAspからGlu、49番目(Kabat番号:H49)のアミノ酸残基がAlaからGlyへの置換、58番目(Kabat番号:H55)のアミノ酸残基がTyrからSerへの置換、66番目(Kabat番号:H63)のアミノ酸残基がValからIleへの置換、79番目(Kabat番号:H76)のアミノ酸残基がArgからSerへの置換、86番目(Kabat番号:H82A)のアミノ酸残基がPheからTyrもしくはAsnへの置換、100番目(Kabat番号:H94)のアミノ酸残基がSerからArgへの置換、109番目(Kabat番号:H100C)のアミノ酸残基がSerからGlyへの置換、及び117番目(Kabat番号:H105)のアミノ酸残基がHisからGlnへの置換からなる群から選ばれる、一又は二以上の置換を含むアミノ酸配列を含み;
(4)配列番号44のアミノ酸配列又は配列番号44の3番目(Kabat番号:H3)のアミノ酸残基がGlnからHisへの置換、10番目(Kabat番号:H10)のアミノ酸残基がGluからAlaもしくはGlyへの置換、16番目(Kabat番号:H16)のアミノ酸残基がThrからAlaへの置換、19番目(Kabat番号:H19)のアミノ酸残基がLysからArgへの置換、24番目(Kabat番号:H24)のアミノ酸残基がValからIleへの置換、30番目(Kabat番号:H30)のアミノ酸残基がThrからSerへの置換、31番目(Kabat番号:H31)のアミノ酸残基がArgからAlaへの置換、57番目(Kabat番号:H56)のアミノ酸残基がThrからSerへの置換、66番目(Kabat番号:H65)のアミノ酸残基がLysからAsnへの置換、67番目(Kabat番号:H66)のアミノ酸残基がLysからArgへの置換、74番目(Kabat番号:H73)のアミノ酸残基がAlaからValへの置換、77番目(Kabat番号:H76)のアミノ酸残基がAsnからAspもしくはSerへの置換、80番目(Kabat番号:H79)のアミノ酸残基がTyrからSerへの置換、83番目(Kabat番号:H82)のアミノ酸残基がPheからLeuへの置換、85番目(Kabat番号:H82B)のアミノ酸残基がGlyからSerへの置換、89番目(Kabat番号:H85)のアミノ酸残基がGluからAspへの置換、及び91番目(Kabat番号:H87)のアミノ酸残基がThrからSerへの置換からなる群から選ばれる、一又は二以上の置換を含むアミノ酸配列を含み;
又は、
(5)配列番号36、配列番号48、又は配列番号52から選択されるアミノ酸配列を含む、
[1]から[15]、[20]から[27]のいずれかに記載のSPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体。
[29]前記SPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体が、
重鎖可変領域として、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60及び配列番号62から選択されるアミノ酸配列を含む、
[1]から[15]、[20]から[28]のいずれかに記載のSPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体。
【0020】
[30]前記SPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体が、
軽鎖可変領域として、配列番号66、配列番号68、配列番号70、配列番号72、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号92、及び配列番号94から選択される配列と90%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む、
[1]から[11]、[16]から[25]のいずれか一項に記載のSPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体。
[31]前記SPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体が、
軽鎖可変領域として、配列番号66、配列番号68、配列番号70、配列番号72、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号92、及び配列番号94から選択されるいずれかのアミノ酸配列、又は配列番号66、配列番号68、配列番号70、配列番号72、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号92、及び配列番号94から選択されるいずれかのアミノ酸配列において1又は数か所におけるアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列を含む、
[1]から[11]、[16]から[25]、又は[30]のいずれかに記載のSPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体。
[32]前記SPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体が、軽鎖可変領域として、
(1)配列番号88のアミノ酸配列又は配列番号88の23番目(Kabat番号:L24)のアミノ酸残基がThrからLysへの置換、26番目(Kabat番号:L27)のアミノ酸残基がIleからThrに置換、38番目(Kabat番号:L37)のアミノ酸残基がLysからGlnに置換、48番目(Kabat番号:L47)のアミノ酸残基がMetからLeuへの置換、80番目(Kabat番号:L77)のアミノ酸残基がAsnからSerへの置換、86番目(Kabat番号:L83)のアミノ酸残基がGluからGlyへの置換、96番目(Kabat番号:L93)のアミノ酸残基がSerからAsnへの置換、98番目(Kabat番号:L95)のアミノ酸残基がMetからIleへの置換、102番目(Kabat番号:L99)のアミノ酸残基がGlyからAlaへの置換、および106番目(Kabat番号:L103)のアミノ酸残基がLysからThrもしくはGlnへの置換からなる群から選ばれる、一又は二以上の置換を含むアミノ酸配列を含み;
(2)配列番号78のアミノ酸配列又は配列番号78の48番目(Kabat番号:L47)のアミノ酸残基がLeuからMetへの置換及び/又は106番目(Kabat番号:L103)のアミノ酸残基がLysからThrに置換されたアミノ酸配列を含み;
(3)配列番号90のアミノ酸配列又は配列番号90の9番目(Kabat番号:L9)のアミノ酸残基がAlaからProへの置換、39番目(Kabat番号:L39)のアミノ酸残基がLysからArgへの置換、42番目(Kabat番号:L42)のアミノ酸残基がGlyからGluへの置換、55番目(Kabat番号:L55)のアミノ酸残基がIleからMetへの置換、56番目(Kabat番号:L56)のアミノ酸残基がSerからAlaへの置換、72番目(Kabat番号:L72)のアミノ酸残基がThrからIleへの置換、74番目(Kabat番号:L74)のアミノ酸残基がArgからSerへの置換、91番目(Kabat番号:L91)のアミノ酸残基がThrからSerへの置換、93番目(Kabat番号:L93)のアミノ酸残基がSerからAsnへの置換、100番目(Kabat番号:L100)のアミノ酸残基がSerからProへの置換、103番目(Kabat番号:L103)のアミノ酸残基がArgからLysへの置換、及び106番目(Kabat番号:L106)のアミノ酸残基がIleからValへの置換からなる群から選ばれる、一又は二以上の置換を含むアミノ酸配列を含み;
(4)配列番号76のアミノ酸配列又は配列番号76の13番目(Kabat番号:L13)のアミノ酸残基がThrからAlaへの置換、22番目(Kabat番号:L22)のアミノ酸残基がArgからSerへの置換、25番目(Kabat番号:L25)のアミノ酸残基がAlaからProへの置換、28番目(Kabat番号:L28)のアミノ酸残基がAsnからSerへの置換、31番目(Kabat番号:L31)のアミノ酸残基がSerからAsnへの置換、69番目(Kabat番号:L69)のアミノ酸残基がThrからSerへの置換、79番目(Kabat番号:L79)のアミノ酸残基がGlnからArgへの置換、及び80番目(Kabat番号:L80)のアミノ酸残基がProからAlaへの置換なる群から選ばれる、一又は二以上の置換又は欠損を含むアミノ酸配列を含み、又は、
(5)配列番号68、配列番号80、又は配列番号84から選択されるアミノ酸配列を含む、
[1]から[11]、[16]から[25]、[30]及び[31]のいずれかに記載のSPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体。
[33]前記SPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体が、
軽鎖可変領域として、配列番号66、配列番号68、配列番号70、配列番号72、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号92、及び配列番号94から選択されるアミノ酸配列を含む、
[1]から[11]、[16]から[25]、[30]から[32]のいずれかに記載のSPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体。
【0021】
[34]前記SPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体が、
重鎖可変領域として、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60及び配列番号62から選択される配列と90%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含み、
軽鎖可変領域として、配列番号66、配列番号68、配列番号70、配列番号72、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号92、及び配列番号94から選択される配列と90%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む、
[1]から[33]のいずれかに記載のSPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体。
[35]前記SPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体が、
重鎖可変領域として、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60及び配列番号62から選択されるいずれかのアミノ酸配列、又は配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60及び配列番号62から選択されるいずれかのアミノ酸配列において1又は数か所におけるアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列を含み、
軽鎖可変領域として、配列番号66、配列番号68、配列番号70、配列番号72、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号92、及び配列番号94から選択されるいずれかのアミノ酸配列、又は配列番号66、配列番号68、配列番号70、配列番号72、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号92、及び配列番号94から選択されるいずれかのアミノ酸配列において1又は数か所におけるアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列を含む、
[1]から[34]のいずれかに記載のSPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体。
[36]前記SPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体が、
(1)重鎖可変領域として、配列番号42のアミノ酸配列又は配列番号42の1番目(Kabat番号:H1)のアミノ酸残基がGluからAlaへの置換、6番目(Kabat番号:H6)のアミノ酸残基がGlyからGluへの置換、23番目(Kabat番号:H23)のアミノ酸残基がGluからAlaへの置換、43番目(Kabat番号:H43)のアミノ酸残基がLysからArgへの置換、50番目(Kabat番号:H50)のアミノ酸残基がThrからSerへの置換、75番目(Kabat番号:H74)のアミノ酸残基がAlaからThrへの置換、76番目(Kabat番号:H75)のアミノ酸残基がArgからLysへの置換、78番目(Kabat番号:H77)のアミノ酸残基がThrからIleへの置換、80番目(Kabat番号:H79)のアミノ酸残基がSerからTyrへの置換、97番目(Kabat番号:H93)のアミノ酸残基がAlaからThr、及び102番目(Kabat番号:H98)のアミノ酸残基がSerからThrへの置換からなる群から選ばれる、一又は二以上の置換を含むアミノ酸配列を含み、
軽鎖可変領域として、配列番号88のアミノ酸配列又は配列番号88の23番目(Kabat番号:L24)のアミノ酸残基がThrからLysへの置換、26番目(Kabat番号:L27)のアミノ酸残基がIleからThrに置換、38番目(Kabat番号:L37)のアミノ酸残基がLysからGlnに置換、48番目(Kabat番号:L47)のアミノ酸残基がMetからLeuへの置換、80番目(Kabat番号:L77)のアミノ酸残基がAsnからSerへの置換、86番目(Kabat番号:L83)のアミノ酸残基がGluからGlyへの置換、96番目(Kabat番号:L93)のアミノ酸残基がSerからAsnへの置換、98番目(Kabat番号:L95)のアミノ酸残基がMetからIleへの置換、102番目(Kabat番号:L99)のアミノ酸残基がGlyからAlaへの置換、および106番目(Kabat番号:L103)のアミノ酸残基がLysからThrもしくはGlnへの置換からなる群から選ばれる、一又は二以上の置換を含むアミノ酸配列を含み;
(2)重鎖可変領域として、配列番号46のアミノ酸配列又は配列番号46の82番目(Kabat番号:H81)のアミノ酸残基がGlnからLysに置換されたアミノ酸配列を含み、
軽鎖可変領域として、配列番号78のアミノ酸配列又は配列番号78の48番目(Kabat番号:L47)のアミノ酸残基がLeuからMetへの置換及び/又は106番目(Kabat番号:L103)のアミノ酸残基がLysからThrに置換されたアミノ酸配列を含み;
(3)重鎖可変領域として、配列番号58のアミノ酸配列又は配列番号58の13番目(Kabat番号:H13)のアミノ酸残基がGlnからArgへの置換、23番目(Kabat番号:H23)のアミノ酸残基がAlaからSerへの置換、31番目(Kabat番号:H31)のアミノ酸残基がAspからGluへの置換、49番目(Kabat番号:H49)のアミノ酸残基がAlaからGlyへの置換、58番目(Kabat番号:H55)のアミノ酸残基がTyrからSerへの置換、66番目(Kabat番号:H63)のアミノ酸残基がValからIleへの置換、79番目(Kabat番号:H76)のアミノ酸残基がArgからSerへの置換、86番目(Kabat番号:H82A)のアミノ酸残基がPheからTyrもしくはAsnへの置換、100番目(Kabat番号:H94)のアミノ酸残基がSerからArgへの置換、109番目(Kabat番号:H100C)のアミノ酸残基がSerからGlyへの置換、及び117番目(Kabat番号:H105)のアミノ酸残基がHisからGlnへの置換からなる群から選ばれる、一又は二以上の置換を含むアミノ酸配列を含み、
軽鎖可変領域として、配列番号90のアミノ酸配列又は配列番号90の9番目(Kabat番号:L9)のアミノ酸残基がAlaからProへの置換、39番目(Kabat番号:L39)のアミノ酸残基がLysからArgへの置換、42番目(Kabat番号:L42)のアミノ酸残基がGlyからGluへの置換、55番目(Kabat番号:L55)のアミノ酸残基がIleからMetへの置換、56番目(Kabat番号:L56)のアミノ酸残基がSerからAlaへの置換、72番目(Kabat番号:L72)のアミノ酸残基がThrからIleへの置換、74番目(Kabat番号:L74)のアミノ酸残基がArgからSerへの置換、91番目(Kabat番号:L91)のアミノ酸残基がThrからSerへの置換、93番目(Kabat番号:L93)のアミノ酸残基がSerからAsnへの置換、100番目(Kabat番号:L100)のアミノ酸残基がSerからProへの置換、103番目(Kabat番号:L103)のアミノ酸残基がArgからLysへの置換、及び106番目(Kabat番号:L106)のアミノ酸残基がIleからValへの置換からなる群から選ばれる、一又は二以上の置換を含むアミノ酸配列を含み;
(4)重鎖可変領域として、配列番号44のアミノ酸配列又は配列番号44の3番目(Kabat番号:H3)のアミノ酸残基がGlnからHisへの置換、10番目(Kabat番号:H10)のアミノ酸残基がGluからAlaもしくはGlyへの置換、16番目(Kabat番号:H16)のアミノ酸残基がThrからAlaへの置換、19番目(Kabat番号:H19)のアミノ酸残基がLysからArgへの置換、24番目(Kabat番号:H24)のアミノ酸残基がValからIleへの置換、30番目(Kabat番号:H30)のアミノ酸残基がThrからSerへの置換、31番目(Kabat番号:H31)のアミノ酸残基がArgからAlaへの置換、57番目(Kabat番号:H56)のアミノ酸残基がThrからSerへの置換、66番目(Kabat番号:H65)のアミノ酸残基がLysからAsnへの置換、67番目(Kabat番号:H66)のアミノ酸残基がLysからArgへの置換、74番目(Kabat番号:H73)のアミノ酸残基がAlaからValへの置換、77番目(Kabat番号:H76)のアミノ酸残基がAsnからAspもしくはSerへの置換、80番目(Kabat番号:H79)のアミノ酸残基がTyrからSerへの置換、83番目(Kabat番号:H82)のアミノ酸残基がPheからLeuへの置換、85番目(Kabat番号:H82B)のアミノ酸残基がGlyからSerへの置換、89番目(Kabat番号:H85)のアミノ酸残基がGluからAspへの置換、及び91番目(Kabat番号:H87)のアミノ酸残基がThrからSerへの置換からなる群から選ばれる、一又は二以上の置換を含むアミノ酸配列を含み、
軽鎖可変領域として、配列番号76のアミノ酸配列又は配列番号76の13番目(Kabat番号:L13)のアミノ酸残基がThrからAlaへの置換、22番目(Kabat番号:L22)のアミノ酸残基がArgからSerへの置換、25番目(Kabat番号:L25)のアミノ酸残基がAlaからProへの置換、28番目(Kabat番号:L28)のアミノ酸残基がAsnからSerへの置換、31番目(Kabat番号:L31)のアミノ酸残基がSerからAsnへの置換、69番目(Kabat番号:L69)のアミノ酸残基がThrからSerへの置換、79番目(Kabat番号:L79)のアミノ酸残基がGlnからArgへの置換、及び80番目(Kabat番号:L80)のアミノ酸残基がProからAlaへの置換、からなる群から選ばれる、一又は二以上の置換又は欠損を含むアミノ酸配列を含み;又は、
(5)重鎖可変領域として、配列番号36、配列番号48、又は配列番号52から選択されるアミノ酸配列を含み、
軽鎖可変領域として、配列番号68、配列番号80、及び配列番号84から選択されるアミノ酸配列を含む、
[1]から[35]のいずれかに記載のSPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体。
【0022】
[37]前記SPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体が、
重鎖可変領域として、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60及び配列番号62から選択されるアミノ酸配列を含み、
軽鎖可変領域として、配列番号66、配列番号68、配列番号70、配列番号72、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号92、及び配列番号94から選択されるアミノ酸配列を含む、
[1]から[36]のいずれか一項に記載のSPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体。
[38] 前記SPNS2中和抗体もしくはその断片、またはそれらの誘導体が、
(1)重鎖可変領域として、配列番号34のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域として、
配列番号66のアミノ酸配列を含み;
(2)重鎖可変領域として、配列番号36のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域として、配列番号68のアミノ酸配列を含み;
(3)重鎖可変領域として、配列番号38のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域として、配列番号70のアミノ酸配列を含み;
(4)重鎖可変領域として、配列番号40のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域として、配列番号72のアミノ酸配列を含み;
(5)重鎖可変領域として、配列番号42のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域として、配列番号74のアミノ酸配列を含み;
(6)重鎖可変領域として、配列番号44のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域として、配列番号76のアミノ酸配列を含み;
(7)重鎖可変領域として、配列番号46のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域として、配列番号78のアミノ酸配列を含み;
(8)重鎖可変領域として、配列番号48のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域として、配列番号80のアミノ酸配列を含み;
(9)重鎖可変領域として、配列番号50のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域として、配列番号82のアミノ酸配列を含み;
(10)重鎖可変領域として、配列番号52のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域として、配列番号84のアミノ酸配列を含み;
(11)重鎖可変領域として、配列番号54のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域として、配列番号86のアミノ酸配列を含み;
(12)重鎖可変領域として、配列番号56のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域として、配列番号88のアミノ酸配列を含み;
(13)重鎖可変領域として、配列番号58のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域として、配列番号90のアミノ酸配列を含み;
(14)重鎖可変領域として、配列番号60のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域として、配列番号92のアミノ酸配列を含み;又は、
(15)重鎖可変領域として、配列番号62のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域として、配列番号94のアミノ酸配列を含む、
SPNS2中和抗体もしくはその断片、またはそれらの誘導体のいずれかと、SPNS2との結合において競合結合する、
[1]から[37]のいずれかに記載の、SPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体。
[39]前記SPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体が、
(1)重鎖可変領域として、配列番号34のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域として、配列番号66のアミノ酸配列を含み;
(2)重鎖可変領域として、配列番号36のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域として、配列番号68のアミノ酸配列を含み;
(3)重鎖可変領域として、配列番号38のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域として、配列番号70のアミノ酸配列を含み;
(4)重鎖可変領域として、配列番号40のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域として、配列番号72のアミノ酸配列を含み;
(5)重鎖可変領域として、配列番号42のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域として、配列番号74のアミノ酸配列を含み;
(6)重鎖可変領域として、配列番号44のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域として、配列番号76のアミノ酸配列を含み;
(7)重鎖可変領域として、配列番号46のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域として、配列番号78のアミノ酸配列を含み;
(8)重鎖可変領域として、配列番号48のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域として、配列番号80のアミノ酸配列を含み;
(9)重鎖可変領域として、配列番号50のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域として、配列番号82のアミノ酸配列を含み;
(10)重鎖可変領域として、配列番号52のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域として、配列番号84のアミノ酸配列を含み;
(11)重鎖可変領域として、配列番号54のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域として、配列番号86のアミノ酸配列を含み;
(12)重鎖可変領域として、配列番号56のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域として、配列番号88のアミノ酸配列を含み;
(13)重鎖可変領域として、配列番号58のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域として、配列番号90のアミノ酸配列を含み;
(14)重鎖可変領域として、配列番号60のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域として、配列番号92のアミノ酸配列を含み;又は、
(15)重鎖可変領域として、配列番号62のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域として、配列番号94のアミノ酸配列を含む、
[1]から[38]のいずれかに記載の、SPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体。
【0023】
[40]定常領域として、ヒト、又はマウス、ラット、もしくはサルを含む非ヒト動物の免疫グロブリンの各クラスにおける定常領域をさらに含む、[1]から[39]のいずれかに記載のSPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体。
[41][1]から[40]のいずれかに記載のSPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体をコードするポリヌクレオチド配列からなる核酸分子。
[42][41]に記載の核酸分子を少なくとも一つ含むクローニングベクター又は発現ベクター。
[43]宿主細胞に[42]に記載のベクターが導入された組換え体細胞。
[44][43]に記載の組換え体細胞を培養し、当該SPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体を精製する工程を含む、[1]から[40]のいずれかに記載のSPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体の製造方法。
[45][1]から[40]のいずれか一項に記載のSPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体、[41]に記載の核酸分子、[42]に記載のベクター、あるいは[43]に記載の組換え体細胞を含む医薬組成物。
[46]前記医薬組成物が、脊椎動物のがん又は自己免疫疾患の治療、抑制または予防に用いられる、[45]に記載の医薬組成物。
[47]薬学的に許容される希釈剤又は担体及び/又はその他の添加剤をさらに含む、[45]または[46]に記載の医薬組成物。
[48][1]から[40]のいずれか一項に記載のSPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体、[41]に記載の核酸分子、[42]に記載のベクター、あるいは[43]に記載の組換え体細胞以外の活性成分をさらに含む、[45]から[47]のいずれかに記載の医薬組成物。
[49]活性成分がアゼラスチン、オキサトミド、メキタジン、フェキソフェナジン、エピナスチン、エバスチン、セチリジン、レボセチリジン、ベポタスチン、エメダスチン、オロパタジン、ロラタジン、レボカバスチン、オザグレル、セラトロダスト、ラマトロバン、プランルカスト、モンテルカスト、ザフィルルカスト、スプラタスト、ジフェンヒドラミン、ジメンヒドリナート、ジフェニルピラリン、クレマスチン、クロルフェニラミン、トリプロリジン、プロメタジン、アリメマジン、ヒドロキシジン、ホモクロルシクリジン、シプロヘプタジン、メサラジン、インターフェロンベータ1b、インターフェロンベータ1a、フィンゴリモド塩酸塩、ナタリムマブ、グラチラマー酢酸塩、フマル酸ジメチル、及びアプレミラストからなる群から1つ以上選択される、[48]に記載の医薬組成物。
[50]活性成分がコルチコステロイド、制吐薬、オンダンセトロン塩酸、グラニセトロン塩酸、メトロクロプラミド(metroclopramide)、ドンペリドン、ハロペリドール、シクリジン、ロラゼパム、プロクロルペラジン、デキサメタゾン、レボメプロマジン、トロピセトロン、癌ワクチン、GM-CSF阻害薬、GM-CSF DNAワクチン、細胞に基づくワクチン、樹状細胞ワクチン、組換えウイルスワクチン、熱ショックタンパク質(HSP)ワクチン、同種腫瘍ワクチン、自己腫瘍ワクチン、鎮痛薬、イブプロフェン、ナプロキセン、トリサリチル酸コリンマグネシウム、オキシコドン塩酸、抗血管形成薬、抗血栓薬、抗PD-1抗体、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、抗PD-L1抗体、アテゾリズマブ、抗CTLA4抗体、イピリムマブ、抗CD20抗体、リツキシマブ、抗HER2抗体、トラスツズマブ、抗CCR4抗体、モガムリズマブ、抗VEGF抗体、ベバシズマブ、抗VEGF受容体抗体、可溶性VEGF受容体断片、抗TWEAK抗体、抗TWEAK受容体抗体、可溶性TWEAK受容体断片、AMG 706、AMG 386、抗増殖薬、ファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害薬、αvβ3阻害薬、αvβ5阻害薬、p53阻害薬、Kit受容体阻害薬、ret受容体阻害薬、PDGFR阻害薬、成長ホルモン分泌阻害薬、アンジオポエチン阻害薬、腫瘍浸潤マクロファージ阻害薬、c-fms阻害薬、抗c-fms抗体、CSF-1阻害薬、抗CSF-1抗体、可溶性c-fms断片、ペグビソマント、ゲムシタビン、パニツムマブ、イリノテカン、及びSN-38からなる群より1つ以上選択される成分を含む、[48]に記載の医薬組成物。
[51]SPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体が、Fab、scFv、ダイアボディ(Diabody)もしくは二重特異性抗体、又はそれらの誘導体である、[1]から[40]のいずれかに記載のSPNS2中和抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体。
【発明の効果】
【0024】
本発明のSPNS2中和抗体もしくはその断片又はそれらの誘導体は、脊椎動物のSPNS2に特異的に結合し、自己免疫疾患の改善効果、又は抗がん作用等を有する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】ヒトSPNS2の構造の模式図である。
図2-1】SPNS2のアミノ酸配列を、モルモット、マウス、ラット、サル及びヒトで、比較した結果を示す図である。
図2-2】SPNS2のアミノ酸配列を、モルモット、マウス、ラット、サル及びヒトで、比較した結果を示す図である。
図3】ヒトSPNS2、SphK1二重安定発現細胞株のS1P産生機能を確認した結果を示すグラフである。
図4】N末端、C末端にFLAGを付加したSPNS2発現細胞の免疫染色結果を示す画像である。
図5】SPNS2中和抗体によるヒトSPNS2発現細胞からのS1P産生阻害活性のFLIPR測定結果を示すグラフである。
図6】SPNS2中和抗体によるマウスSPNS2発現細胞からのS1P産生阻害活性のFLIPR測定結果を示すグラフである。
図7】SPNS2中和抗体によるヒトSPNS2発現細胞からのS1P産生阻害活性のLC-MS/MS測定結果を示すグラフである。
図8】SPNS2中和抗体によるマウスSPNS2発現細胞からのS1P産生阻害活性のLC-MS/MS測定結果を示すグラフである。
図9-1】15クローンのSPNS2中和抗体について、重鎖可変領域のアミノ酸配列の間での相同性を解析した結果を示した図である。
図9-2】15クローンのSPNS2中和抗体について、軽鎖可変領域のアミノ酸配列の間での相同性を解析した結果を示した図である。
図10-1】SPNS2中和抗体の重鎖可変領域のアミノ酸配列の系統樹(Phylogenetic Tree)解析の結果を示す図である。
図10-2】SPNS2中和抗体の軽鎖可変領域のアミノ酸配列の系統樹(Phylogenetic Tree)解析の結果を示す図である。
図11-1-1】15クローンのSPNS2中和抗体について、分類したグループ間の抗体における重鎖可変領域のアミノ酸配列を比較し、Kabat番号(Kabat No.)との対比を示した図である。
図11-1-2】15クローンのSPNS2中和抗体について、分類したグループ間の抗体における軽鎖可変領域のアミノ酸配列を比較し、Kabat番号(Kabat No.)との対比を示した図である。
図11-2-1】15クローンのSPNS2中和抗体について、分類したグループ間の抗体における重鎖可変領域のアミノ酸配列を比較し、Kabat番号(Kabat No.)との対比を示した図である。
図11-2-2】15クローンのSPNS2中和抗体について、分類したグループ間の抗体における軽鎖可変領域のアミノ酸配列を比較し、Kabat番号(Kabat No.)との対比を示した図である。
図11-3-1】15クローンのSPNS2中和抗体について、分類したグループ間の抗体における重鎖可変領域のアミノ酸配列を比較し、Kabat番号(Kabat No.)との対比を示した図である。
図11-3-2】15クローンのSPNS2中和抗体について、分類したグループ間の抗体における軽鎖可変領域のアミノ酸配列を比較し、Kabat番号(Kabat No.)との対比を示した図である。
図11-4-1】15クローンのSPNS2中和抗体について、分類したグループ間の抗体における重鎖可変領域のアミノ酸配列を比較し、Kabat番号(Kabat No.)との対比を示した図である。
図11-4-2】15クローンのSPNS2中和抗体について、分類したグループ間の抗体における軽鎖可変領域のアミノ酸配列を比較し、Kabat番号(Kabat No.)との対比を示した図である。
図11-5-1】15クローンのSPNS2中和抗体について、分類したグループ間の抗体における重鎖可変領域のアミノ酸配列を比較し、Kabat番号(Kabat No.)との対比を示した図である。
図11-5-2】15クローンのSPNS2中和抗体について、分類したグループ間の抗体における軽鎖可変領域のアミノ酸配列を比較し、Kabat番号(Kabat No.)との対比を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を具体的な実施形態に基づき説明するが、本発明はこれらの実施形態に何ら限定されない。なお、本明細書において引用する特許公報、特許出願公開公報、及び非特許公報を含む全ての文献は、あらゆる目的において、その全体が援用により本明細書に組み込まれる。
【0027】
[S1P]
S1Pとはスフィンゴシン1リン酸のことをいう。S1Pは、後述のS1P受容体に結合して、細胞内に細胞骨格変化や抗アポトースや増殖のシグナルを入れるアゴニスト活性を有する生体内のリガンドである。S1P受容体は、S1PR1、S1PR2、S1PR3、S1PR4及びS1PR5の5種のサブタイプが知られている。本明細書では、S1PR1を介したS1Pのリンパ球移動に関わる作用を主に扱うが、S1Pを介する作用や疾患等の検討を行う場合には全てのS1P受容体の作用を含めて記載することがある。
【0028】
S1Pはリン脂質の一つであり、多くの種で生理活性脂質として機能していることが知られている。主に赤血球、血小板、血管内皮、リンパ管内皮細胞がS1Pを産生している。赤血球、血小板からS1Pが細胞外に輸送される際には、ATP依存性トランスポーターが関与している。一方、血管内皮、リンパ管内皮細胞からS1Pが細胞外に輸送される際には、SLC様トランスポーターのSPNS2が関与している。
【0029】
S1Pは、細胞膜構成要素であるセラミドからS1Pの前駆体であるスフィンゴシンが切り出され、スフィンゴシンがスフィンゴシンリン酸化酵素(SphK1、SphK2)によりリン酸化を受けることで産生される。
【0030】
[SPNS2]
SPNS2(Spinster homolog 2)は、細胞膜に局在する膜輸送体(トランスポーター)タンパク質であり、配列番号1と85%以上の相同性を有するタンパク質のうちS1Pトランスポーター活性を有するもののことをいう。多くの脊椎動物の種においてSPNS2タンパク質を保有していることが知られており、その例としては、ヒト(配列番号1)、サル(配列番号31)、マウス(配列番号19)、ラット(配列番号33)、およびモルモット(配列番号32)などが挙げられる。また、ヒトやその他の種におけるSPNS2のアミノ酸配列は、NCBIやEMBLなどのデータベースから参照することが可能であり、例えば配列番号1に示すヒトSPNS2タンパク質のアミノ酸配列は、NCBIのアクセッション番号NP_001118230やEMBLのアクセッション番号:Q8IVW8などから参照することができる。本明細書においては「SPNS2」と記載した場合は、特に断りがない限り、SPNS2タンパク質を意味する。SPNS2は複数個の膜貫通ドメインを持つタンパク質で、類縁のトランスポータータンパク質の構造や最近の膜貫通領域の予測プログラムでの解析結果から11回または12回膜貫通型タンパク質であると考えられる。SPNS2の構造を構成する各アミノ酸領域がもつ機能は現在まで明らかになっていないが、培養細胞に過剰発現させることで、培養上清中のS1Pが増加することから細胞内から細胞外へS1Pを輸送するトランスポーターとして同定された。
【0031】
SPNS2はアミノ酸配列の特徴からMajor Facilitator Superfamilyドメインを持つトランスポーターで11回または12回膜貫通型タンパク質であると考えられ、細胞外と細胞内に部分的なポリペプチド鎖が糸の縫い目のように露出する形態をとる。当該細胞外または細胞内に露出したポリペプチド鎖の部分をループ(loop)と呼ぶ。SPNS2のN末端とC末端のポリペプチド鎖が細胞内に存在することは、本明細書の実施例4によって確認された。この結果より、SPNS2タンパク質の膜貫通ドメインは偶数個あると考えられ、12回膜貫通型タンパク質であることが示唆された。12回膜貫通型タンパク質であるとすると、その構造は、N末端側から、N末端細胞内領域-膜貫通領域1―細胞外ループ1(loop1)-膜貫通領域2-細胞内ループ2(loop2)-膜貫通領域3-細胞外ループ3(loop3)-膜貫通領域4-細胞内ループ4(loop4)-膜貫通領域5-細胞外ループ5(loop5)-膜貫通領域6-細胞内ループ6(loop6)-膜貫通領域7-細胞外ループ7(loop7)-膜貫通領域8-細胞内ループ8(loop8)-膜貫通領域9-細胞外ループ9(loop9)-膜貫通領域10-細胞内ループ10(loop10)-膜貫通領域11-細胞外ループ11(loop11)-膜貫通領域12-C末端細胞内領域という部分(ドメイン)によって構成される。(図1
【0032】
各細胞膜貫通領域、細胞内ループ配列、細胞外ループ配列がSPNS2の構造のどのアミノ酸配列部分に相当するのかについては、従来の技術では特定をされていなかった。そのため、本発明においては、実施例4での膜貫通領域の予測に加えて、実施例10において細胞外ループ配列にFLAG配列を挿入したSPNS2に対する本発明における抗SPNS2抗体の結合部位の解析及び実施例11の細胞外ループ配列における各アミノ酸をアラニン(Ala)またはフェニルアラニン(Phe)に置き換えての抗SPNS2抗体のエピトープ決定の検討を行い、細胞外ループ配列の構造を解析した。その結果、本発明において、ヒトSPNS2の細胞外ループ1配列としては、配列番号1の少なくともN末端から127番目のロイシン(Leu又はL)から139番目のグリシン(Gly又はG)を含むアミノ酸配列、細胞外ループ3配列としては、配列番号1のN末端から190番目のグルタミン(Gln又はQ)から200番のアルギニン(Arg又はR)、細胞外ループ5配列としては、配列番号1のN末端から252番目のバリン(Val又はV)から260番目のヒスチジン(His又はH)を含むアミノ酸配列に相当することを解明した。また、ヒト以外の種においても図2に示すようにSPNS2のアミノ酸配列は種間での保存性が高く、特に細胞外ループ1、細胞外ループ3及び細胞外ループ5においてはヒト、サル、マウス、ラット、モルモットのSPNS2の間で同一の配列を有している。
【0033】
SPNS2は主に血管内皮、リンパ管内皮で発現していることが知られており、S1Pの細胞外輸送を介したリンパ球の移動に関わっている。S1P輸送機能は、SPNS2を過剰発現させた培養細胞の培養上清中S1P量を指標として評価可能である。当該SPNS2発現細胞は抗体の結合性の解析やS1P輸送機能の検討に用いることができる。
【0034】
[SPNS2中和抗体]
抗体とは、ジスルフィド結合により相互結合された少なくとも2つの重(H)鎖及び2つの軽(L)鎖を含む糖タンパク質である。それぞれの重鎖は、重鎖可変領域(VHと略される)及び重鎖定常領域を含み、重鎖定常領域は、3つのドメイン、CH1、CH2及びCH3を含む。それぞれの軽鎖は、軽鎖可変領域(VLと略される)及び軽鎖定常領域を含む。軽鎖定常領域は、1つのドメイン、CLを含む。軽鎖の定常領域にはλ鎖及びκ鎖と呼ばれる2種類が存在する。重鎖の定常領域にはγ鎖、μ鎖、α鎖、δ鎖及びε鎖が存在し、その重鎖の違いによって、それぞれIgG、IgM、IgA、IgD及びIgEという抗体のアイソタイプが存在する。VH及びVL領域は、さらにフレームワーク領域(FR)と称される、より保存されている4つの領域(FR-1、FR-2、FR-3、FR-4)と、相補性決定領域(CDR)と称される超可変性の3つの領域(CDR-1、CDR-2、CDR-3)に細分される。VHは、アミノ末端からカルボキシ末端へ、FR-1、CDR-1(CDR-H1)、FR-2、CDR-2(CDR-H2)、FR-3、CDR-3(CDR-H3)、FR4の順番で配列された3つのCDR及び4つのFRを含む。VLはアミノ末端からカルボキシ末端へ、FR-1、CDR-1(CDR-L1)、FR-2、CDR-2(CDR-L2)、FR-3、CDR-3(CDR-L3)、FR4の順番で配列された3つのCDR及び4つのFRを含む。重鎖及び軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。
【0035】
本発明における抗体は、抗体の断片及び/又は誘導体であってもよい。抗体の断片としては、F(ab’)2、Fab、Fv等が挙げられる。抗体の誘導体としては、定常領域部分に人工的にアミノ酸変異を導入した抗体、定常領域のドメインの構成を改変した抗体、1分子あたり2つ以上のFcを持つ形の抗体、重鎖のみ又は軽鎖のみで構成される抗体、糖鎖改変抗体、二重特異性抗体、抗体又は抗体の断片化合物や抗体以外のタンパク質と結合させた抗体コンジュゲート、抗体酵素、ナノボディ、タンデムscFv、二重特異性タンデムscFv、ダイアボディ(Diabody)、VHH等が挙げられる。なお、本発明において単に「抗体」という場合には、別途明記しない限り、抗体の断片及び/又は誘導体も含むものとする。
【0036】
また、モノクローナル抗体とは、古典的には単一の抗体産生細胞に由来するクローンから得られた抗体分子をいうが、特定のアミノ酸配列からなるVHとVLの組み合わせを含む単一種類の抗体分子のことをいう。モノクローナル抗体は、その抗体のタンパク質のアミノ酸をコードする遺伝子配列を有する核酸分子を得ることも可能であり、そのような核酸分子を用いて遺伝子工学的に抗体を作製することも可能である。また、H鎖、L鎖、それらの可変領域やCDR配列等の遺伝子情報を用いて抗体の結合性や特異性の向上のための改変等を行うことや、マウス等の動物の抗体からヒト型抗体に改変することによって治療剤に用いるために適した構造の抗体を作製することは、この分野での当業者にはよく知られた技術である。また、抗原を感作する動物として、ヒト抗体遺伝子が導入されたトランスジェニック動物を用いることによって、ヒトのモノクローナル抗体を取得することも可能である。それ以外にも、動物への感作を必要としない方法として、ヒト抗体の抗原結合領域又はその一部を発現するファージライブラリー(ヒト抗体ファージディスプレイ)を用いて、対応する抗原と特異的に結合する抗体や特定のアミノ酸配列からなるファージクローンを取得し、その情報からヒト抗体を作製する技術も当業者であれば適宜行うことができる(例えば、Taketo Tanaka等、Keio J. Med.、 60巻、p37-46のレビュー等を参照。)。また、ヒト以外の動物に投与する抗体をデザインする場合には、ヒト化の技術と同様に、適宜CDRや可変領域のアミノ酸配列情報を用いて、当業者であればデザインすることが可能である。
【0037】
抗体の特異性とは、抗体がある抗原に対して高い抗原抗体反応が起こることをいう。抗原抗体反応の測定は、当業者であれば固相又は液相の系での結合測定を適宜選択して行うことが可能である。そのような方法としては、酵素結合免疫吸着法(enzyme-linked immunosorbent assay:ELISA)、酵素免疫測定法(enzyme immunoassay:EIA)、表面プラズモン共鳴法(surface plasmon resonance:SPR)、蛍光共鳴エネルギー移動法(fluorescence resonance energy transfer:FRET)、発光共鳴エネルギー移動法(luminescence resonance energy transfer:LRET)等が挙げられるが、それらに限定されるものではない。また、そのような抗原抗体結合を測定する際に、抗体及び/又は抗原を酵素、蛍光物質、発光物質、放射性同位元素等で標識を行い、その標識した物質の物理的及び/又は化学的特性に適した測定方法を用いて抗原抗体反応を検出することも可能である。
【0038】
本発明のSPNS2中和抗体は、SPNS2のS1P輸送阻害作用を有する。本発明における、SPNS2の特異的なドメインに強力に結合するSPNS2中和抗体は、in vitroでSPNS2のS1P輸送阻害作用を有する。具体的には実施例12、13に記載したようにSPNS2発現細胞にSPNS2中和抗体を添加し、培養上清中のS1P濃度を測定することでSPNS2中和抗体のS1P輸送阻害活性を測定することができる。
【0039】
S1P受容体アゴニストのフィンゴリモドは、徐脈性不整脈を起こすが、本発明のSPNS2中和抗体は、S1PR1アゴニスト活性を有さないと想定されるため徐脈性不整脈を起こさないと期待される。
【0040】
SPNS2欠損マウスを用いた解析から、静脈内より移入した悪性黒色腫の肺や肝臓への定着が顕著に減少する事が報告されている。この報告からSPNS2中和抗体は自己免疫疾患だけでなく、がんの治療薬として利用可能である事を示しており、さらには既存がん免疫療法の作用を増強するような効果も期待される。
【0041】
以上のことから、本発明のSPNS2中和抗体は、S1P受容体シグナルが関連する種々の疾患の治療薬、抑制薬又は予防薬となる可能性を有し、S1P受容体アゴニストの問題点である、徐脈性不整脈を克服し、血中半減期を長期化することが可能である。SPNS2は12回膜貫通型のタンパク質で、N末端側から、細胞外ループ1配列(配列番号3)、細胞外ループ3配列(配列番号4)、細胞外ループ5配列(配列番号5)、細胞外ループ7配列(配列番号6)、細胞外ループ9配列(配列番号7)および細胞外ループ11配列(配列番号8)として解析を進めた。細胞外ループ1、3、5、7、9及び11にFLAG配列を挿入した6種の変異体遺伝子(配列番号161、163、165、167、169、171)を構築した。この変異体遺伝子を挿入した発現プラスミドを細胞に導入することで細胞外ループ1変異体(配列番号160)、細胞外ループ3変異体(配列番号162)細胞外ループ5変異体(配列番号164)、細胞外ループ7変異体(配列番号166)、細胞外ループ9変異体(配列番号168)および細胞外ループ11変異体(配列番号170)を、実施例10に記載のように一過性に発現する細胞を作製し、フローサイトメトリー法で抗体の反応性を確認した。なお、各細胞外ループ変異体の発現細胞について、FLAG配列を認識する抗体を用いフローサイトメトリーで解析したところ、細胞外ループ3変異体及び細胞外ループ9変異体は染色されなかった。その他の変異体は細胞外に露出していることが示された。その結果、表7に示す結合反応性を示したことから、それぞれの抗SPNS2抗体の結合部位を決定した(実施例10)。
【0042】
SPNS2中和抗体は細胞外ループ1及び5に結合する抗体であったことから、より結合部位を限定する為に、細胞外ループ1、5及びFLAG配列挿入変異体で発現の見られなかった細胞外ループ3についてアミノ酸を置換した変異体を作製した。細胞外ループ1のアラニン変異体(配列番号1の配列の127番目ロイシン置換体L127A(配列番号172)、128番目アスパラギン酸置換体D128A(配列番号173)、129番目イソロイシン置換体I129A(配列番号174)、130番目グルタミン置換体Q130A(配列番号175)、131番目グルタミン置換体Q131A(配列番号176)、132番目ヒスチジン置換体H132A(配列番号177)、133番目フェニルアラニン置換体F133A(配列番号178)、134番目グリシン置換体G134A(配列番号179)、135番目バリン置換体V135A(配列番号180)、136番目リジン置換体K136A(配列番号181)、137番目アスパラギン酸置換体D137A(配列番号182)、138番目アルギニン置換体R138A(配列番号183)、139番目グリシン置換体G139A(配列番号184))、細胞外ループ3のアラニン変異体(配列番号1の配列の189番目プロリン置換体P189A(配列番号185)、190番目グルタミン置換体Q190A(配列番号186)、191番目グルタミン置換体Q191A(配列番号187)、192番目チロシン置換体Y192A(配列番号188)、193番目フェニルアラニン置換体F193A(配列番号189)、194番目トリプトファン置換体W194A(配列番号190)、195番目ロイシン置換体L195A(配列番号191)、196番目ロイシン置換体L196A(配列番号192)、197番目バリン置換体V197A(配列番号193)、198番目ロイシン置換体L198A(配列番号194)、199番目セリン置換体S199A(配列番号195)、200番目アルギニン置換体R200A(配列番号196)、201番目グリシン置換体G201A(配列番号197)、202番目ロイシン置換体L202A(配列番号198))、細胞外ループ5のアラニンまたはフェニルアラニン変異体(配列番号1の配列の252番目バリン置換体V252A(配列番号199)、253番目リジン置換体K253A(配列番号200)、254番目グルタミン置換体Q254A(配列番号201)、255番目アラニン置換体A255F(配列番号206)、256番目アラニン置換体A256F(配列番号207)、257番目グリシン置換体G257A(配列番号202)、258番目アスパラギン酸置換体D258A(配列番号203)、259番目トリプトファン置換体W259A(配列番号204)、260番目ヒスチジン置換体H260A(配列番号205))を用い、実施例11に記載のようにして発現細胞を作製し、SPNS2中和抗体の抗原抗体反応に重要なアミノ酸を決定した。この結果から、細胞外ループ1では配列番号1の配列の127番目のロイシンから139番目のグリシンまでのそれぞれの置換体において結合能の低下が観察された。細胞外ループ3では配列番号1の配列の190番目のグルタミンから200番目のアルギニンまでのそれぞれの置換体において結合能の低下が観察された。細胞外ループ5では配列番号1の配列の252番目のバリンから260番目のヒスチジンまでのそれぞれの置換体において結合能の低下が観察された。
【0043】
実施例5および6において作製した抗体のうち、SPNS2に結合性を示し、かつ細胞のS1P産生抑制活性を有する抗体15クローンは、細胞外ループ1、細胞外ループ3および細胞外ループ5のいずれかに結合することが示された。従って、細胞外ループ1、細胞外ループ3および細胞外ループ5のうちの少なくとも一部の配列は細胞外に露出していることが示され、特に細胞外ループ1は少なくとも配列番号3のN末端から1番目のLeu(配列番号1の127番目のLeu)から13番目のGly(配列番号1の139番目のGly)を含む配列であり、細胞外ループ3は少なくとも配列番号4のN末端から2番目のGln(配列番号1の190番目のGln)から12番目のArg(配列番号1の200番目のArg)を含む配列であり、細胞外ループ5は少なくとも配列番号5のN末端から、1番目のVal(配列番号1の252番目のVal)から9番目のHis(配列番号1の260番目のHis)を含む配列であることが示された。また、SPNS2のS1P輸送を阻害する抗体は細胞外ループ1、細胞外ループ3または細胞外ループ5に結合することでS1P輸送に必要な構造変化を阻害していると考えられる。
【0044】
したがって、本発明のSPNS2中和抗体は、SPNS2の細胞外ループにおけるアミノ酸配列をエピトープとする抗体である。特に、本発明のSPNS2中和抗体は、SPNS2の細胞外ループ1、細胞外ループ3または細胞外ループ5に結合する抗体が好ましい。また、本発明のSPNS2中和抗体は、好ましくは、配列番号3のN末端から1番目から13番目までのアミノ酸配列もしくはその部分配列、配列番号4のN末端から2番目から12番目までのアミノ酸配列もしくはその部分配列、または配列番号5のN末端から1番目から9番目までのアミノ酸配列もしくはその部分配列に結合する抗体である。
【0045】
本発明のSPNS2中和抗体は、脊椎動物のSPNS2に特異的に結合し、SPNS2のS1P輸送機能阻害を有するものであれば、配列は特に限定されない。
【0046】
本発明のSPNS2中和抗体の態様としては、各CDR配列として、特定のアミノ酸配列を有することが好ましい。具体的には以下のとおりである。なお、本発明においてアミノ酸配列の「同一性」(identity)とは、一致するアミノ酸残基の割合を意味し、相同性(similarity)とは、一致又は類似するアミノ酸残基の割合を意味する。相同性及び同一性は、例えばBLAST法(NCBIのPBLASTのデフォルト条件)により決定することができる。また、例えば「80%以上の相同性」と表現するときには、「80%以上の同一性」の場合を含んでいる(更には、「100%の相同性」及び「100%の同一性」も含んでいる)ことは明らかである。
【0047】
ここで「類似するアミノ酸残基」とは、同様の化学的特質(例えば、電荷又は疎水性)を持つ側鎖を有するアミノ酸残基を意味する。類似するアミノ酸残基としては、例えば以下の組合せが挙げられる。
1)脂肪族側鎖を有するアミノ酸残基:グリシン(GlyまたはG)、アラニン(AlaまたはA)、バリン(ValまたはV)、ロイシン(LeuまたはL)、及びイソロイシン(IleまたはI)残基。
2)脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸残基:セリン(SerまたはS)及びトレオニン(ThrまたはT)残基。
3)アミド含有側鎖を有するアミノ酸残基:アスパラギン(AsnまたはN)及びグルタミン(GlnまたはQ)残基。
4)芳香族側鎖を有するアミノ酸残基:フェニルアラニン(PheまたはF)、チロシン(TyrまたはY)、及びトリプトファン(TrpまたはW)残基。
5)塩基性側鎖を有するアミノ酸残基:リジン(LysまたK)、アルギニン(ArgまたはR)、及びヒスチジン(HisまたはH)残基。
6)酸性側鎖を有するアミノ酸残基:アスパラギン酸(AspまたはD)及びグルタミン酸(GluまたはE)残基。
7)硫黄含有側鎖を有するアミノ酸残基:システイン(CysまたはC)及びメチオニン(MetまたはM)残基。
【0048】
本発明におけるSPNS2中和抗体の一つの態様としては、以下の(1)から(3)のいずれかの特徴を有する重鎖可変領域を含む抗体である。
(1)CDR-H1配列として、配列番号98、配列番号99、配列番号100、配列番号101、配列番号102、配列番号103、配列番号104、配列番号105または配列番号106から選択されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む。
(2)CDR-H2配列として、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112、配列番号113、配列番号114、配列番号115、配列番号116、配列番号117または配列番号118から選択されるアミノ酸と88%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む。
(3)CDR-H3配列として、配列番号120、配列番号121、配列番号122、配列番号123、配列番号124、配列番号125、配列番号126または配列番号127から選択さるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む。
【0049】
前記の態様におけるSPNS2中和抗体は、好ましくは重鎖可変領域のCDR1、2および3が以下の(1)から(7)のいずれかの特徴を有する。
(1)CDR-H1配列として、配列番号98と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号108もしくは配列番号111と88%以上の相同性を有するアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として、配列番号120もしくは配列番号123と83%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む。
(2)CDR-H1配列として、配列番号101と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号113と88%以上の相同性を有するアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として、配列番号124と88%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む。
(3)CDR-H1配列として、配列番号103もしくは配列番号105と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号115もしくは配列番号118と89%以上の相同性を有するアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として、配列番号126もしくは配列番号127と85%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む。
(4)CDR-H1配列として、配列番号100もしくは配列番号106と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号110、配列番号112もしくは配列番号117のいずれかと88%以上の相同性を有するアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として、配列番号122と83%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む。
(5)CDR-H1配列として、配列番号104と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号116と88%以上の相同性を有するアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として、配列番号122と83%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む。
(6)CDR-H1配列として、配列番号99と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号109と88%以上の相同性を有するアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として、配列番号121と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む。
(7)CDR-H1配列として、配列番号102と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号114と88%以上の相同性を有するアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として、配列番号125と83%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む。
【0050】
本発明におけるSPNS2中和抗体の他の一つの態様としては、以下の(1)から(7)のいずれかの特徴を有する重鎖可変領域を含む抗体である。
(1)CDR-H1配列として、配列番号98のアミノ酸配列又は配列番号98のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号108もしくは配列番号111のアミノ酸配列又は配列番号108もしくは配列番号111のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-H3配列として、配列番号120もしくは配列番号123のアミノ酸配列又は配列番号120もしくは配列番号123のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列を含む。
(2)CDR-H1配列として、配列番号101のアミノ酸配列又は配列番号101のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号113のアミノ酸配列又は配列番号113のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として、配列番号124のアミノ酸配列又は配列番号124のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列を含む。
(3)CDR-H1配列として、配列番号103もしくは配列番号105のアミノ酸配列又は配列番号103もしくは配列番号105のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号115もしくは配列番号118のアミノ酸配列又は配列番号115もしくは配列番号118のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として、配列番号126もしくは配列番号127のアミノ酸配列又は配列番号126もしくは配列番号127のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列を含む。
(4)CDR-H1配列として、配列番号100もしくは配列番号106のアミノ酸配列又は配列番号100もしくは配列番号106のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号110、配列番号112もしくは配列番号117のいずれかのアミノ酸配列又は配列番号110、配列番号112もしくは配列番号117のいずれかのアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として、配列番号122のアミノ酸配列又は配列番号122のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列を含む。
(5)CDR-H1配列として、配列番号99のアミノ酸配列又は配列番号99のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号109のアミノ酸配列又は配列番号109のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として、配列番号121のアミノ酸配列又は配列番号121のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列を含む。
(6)CDR-H1配列として、配列番号102のアミノ酸配列又は配列番号102のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号114のアミノ酸配列又は配列番号114のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として、配列番号125のアミノ酸配列又は配列番号125のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列を含む。
(7)CDR-H1配列として、配列番号104のアミノ酸配列又は配列番号104のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号116のアミノ酸配列又は配列番号116のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として、配列番号122のアミノ酸配列又は配列番号122のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列を含む。
【0051】
また、前記の態様におけるSPNS2中和抗体は、より好ましくは重鎖可変領域のCDR1、2および3が以下の(1)から(7)のいずれかの特徴を有する。
(1)CDR-H1配列として、配列番号98のアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号108のアミノ酸配列もしくは配列番号108の1番目のアミノ酸残基がThrからSerに置換されたアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として、配列番号123のアミノ酸配列もしくは配列番号123の4番目のアミノ酸残基がSerからThrに置換されたアミノ酸配列を含む。
(2)CDR-H1配列として、配列番号101のアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号113のアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として、配列番号124のアミノ酸配列を含む。
(3)CDR-H1配列として、配列番号105のアミノ酸配列もしくは配列番号105の1番目のアミノ酸残基がAspからGluに置換されたアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号115のアミノ酸配列もしくは配列番号115の9番目のアミノ酸残基がTyrからSerに置換及び/又は17番目のアミノ酸残基がValからIleに置換されているアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として配列番号126のアミノ酸配列もしくは配列番号126の9番目のアミノ酸残基がSerからGlyに置換されているアミノ酸配列を含む。
(4)CDR-H1配列として、配列番号100のアミノ酸配列もしくは配列番号100の1番目のアミノ酸残基がArgからAlaに置換されたアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号110のアミノ酸配列もしくは配列番号110の8番目のアミノ酸残基がTyrからSerに置換及び/又は17番目のアミノ酸残基がAsnからLysに置換されているアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として配列番号122のアミノ酸配列を含む。
(5)CDR-H1配列として、配列番号104のアミノ酸配列、CDR-H2配列として配列番号116のアミノ酸配列及びCDR-H3配列として配列番号122のアミノ酸配列を含む。
(6)CDR-H1配列として、配列番号99のアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号109のアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として、配列番号121のアミノ酸配列を含み;又は、
(7)CDR-H1配列として、配列番号102のアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号114のアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として、配列番号125のアミノ酸配列を含む。
【0052】
前記の態様におけるSPNS2中和抗体は、さらに好ましくは重鎖可変領域のCDR1、2および3が以下の(1)から(13)のいずれかの特徴を有する。
(1)CDR-H1配列として、配列番号98のアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号108のアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として、配列番号120のアミノ酸配列を含む。
(2)CDR-H1配列として、配列番号99のアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号109のアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として、配列番号121のアミノ酸配列を含む。
(3)CDR-H1配列として、配列番号100のアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号110のアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として、配列番号122のアミノ酸配列を含む。
(4)CDR-H1配列として、配列番号98のアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号111のアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として、配列番号123のアミノ酸配列を含む。
(5)CDR-H1配列として、配列番号98のアミノ酸配列、CDR-H2配列として配列番号108のアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として、配列番号123のアミノ酸配列を含む。
(6)CDR-H1配列として、配列番号100のアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号112のアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として、配列番号122のアミノ酸配列を含む。
(7)CDR-H1配列として、配列番号101のアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号113のアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として、配列番号124のアミノ酸配列を含む。
(8)CDR-H1配列として、配列番号102のアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号114のアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として、配列番号125のアミノ酸配列を含む。
(9)CDR-H1配列として、配列番号103のアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号115のアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として、配列番号126のアミノ酸配列を含む。
(10)CDR-H1配列として、配列番号104のアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号116のアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として、配列番号122のアミノ酸配列を含む。
(11)CDR-H1配列として、配列番号105のアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号115のアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として、配列番号126のアミノ酸配列を含む。
(12)CDR-H1配列として、配列番号106のアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号117のアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として、配列番号122のアミノ酸配列を含む。
(13)CDR-H1配列として、配列番号105のアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号118のアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として、配列番号127のアミノ酸配列を含む。
【0053】
本発明におけるSPNS2中和抗体の一つの態様としては、以下の(1)から(3)のいずれかの特徴を有する軽鎖可変領域を含む抗体である。
(1)CDR-L1配列として、配列番号129、配列番号130、配列番号131、配列番号132、配列番号133、配列番号134、配列番号135、配列番号136、配列番号137または配列番号138から選択されるアミノ酸配列と81%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む。
(2)CDR-L2配列として、配列番号140、配列番号141、配列番号142、配列番号143、配列番号144、配列番号145、配列番号146、または配列番号147から選択されるアミノ酸配列と85%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む。
(3)CDR-L3配列として配列番号149、配列番号150、配列番号151、配列番号152、配列番号153、配列番号154、配列番号155、配列番号156、配列番号157または配列番号158から選択されるアミノ酸配列と88%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む。
【0054】
前記の態様における抗SPNS2抗体は、好ましくは軽鎖可変領域のCDR1、2および3が以下の(1)から(7)のいずれかの特徴を有する。
(1)CDR-L1配列として、配列番号129もしくは配列番号132と84%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号140と85%以上の相同性を有するアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号149、配列番号152もしくは配列番号157のいずれかと88%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む。
(2)CDR-L1配列として、配列番号134と84%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号142と85%以上の相同性を有するアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号153と88%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む。
(3)CDR-L1配列として、配列番号136と81%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号144、配列番号146もしくは配列番号147のいずれかと85%以上の相同性を有するアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号155もしくは配列番号158と88%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む。
(4)CDR-L1配列として、配列番号131、配列番号133もしくは配列番号138のいずれかと81%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号141と85%以上の相同性を有するアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号151と88%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む。
(5)CDR-L1配列として、配列番号137と81%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号145と85%以上の相同性を有するアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号156と88%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む。
(6)CDR-L1配列として、配列番号130と84%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号140と85%以上の相同性を有するアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号150と88%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む。
(7)CDR-L1配列として、配列番号135と84%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号143と85%以上の相同性を有するアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号154と88%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む。
【0055】
本発明におけるSPNS2中和抗体の別の一つの態様としては、以下の(1)から(7)のいずれかの特徴を有する軽鎖可変領域を含む抗体である。
(1)CDR-L1配列として、配列番号129もしくは配列番号132のアミノ酸配列又は配列番号129もしくは配列番号132のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号140のアミノ酸配列又は配列番号140のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-L3配列として、配列番号149、配列番号152もしくは配列番号157のいずれかのアミノ酸配列又は配列番号149、配列番号152もしくは配列番号157のいずれかのアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列を含む。
(2)CDR-L1配列として、配列番号134のアミノ酸配列又は配列番号134のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号142のアミノ酸配列又は配列番号142のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号153のアミノ酸配列又は配列番号153のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列を含む。
(3)CDR-L1配列として、配列番号136のアミノ酸配列又は配列番号136のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号144、配列番号146もしくは配列番号147のいずれかのアミノ酸配列又は配列番号144、配列番号146もしくは配列番号147のいずれかのアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号155もしくは配列番号158のアミノ酸配列又は配列番号155もしくは配列番号158のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列を含む。
(4)CDR-L1配列として、配列番号131、配列番号133もしくは配列番号138のいずれかのアミノ酸配列又は配列番号131、配列番号133もしくは配列番号138のいずれかのアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号141のアミノ酸配列又は配列番号141のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号151のアミノ酸配列又は配列番号151のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列を含む。
(5)CDR-L1配列として、配列番号130のアミノ酸配列又は配列番号130のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号140のアミノ酸配列又は配列番号140のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号150のアミノ酸配列又は配列番号150のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列を含む。
(6)CDR-L1配列として、配列番号135のアミノ酸配列又は配列番号135のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号143のアミノ酸配列又は配列番号143のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号154のアミノ酸配列又は配列番号154のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列を含む。
(7)CDR-L1配列として、配列番号137のアミノ酸配列又は配列番号137のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号145のアミノ酸配列又は配列番号145のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号156のアミノ酸配列又は配列番号156のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列を含む。
【0056】
前記の態様におけるSPNS2中和抗体は、より好ましくは軽鎖可変領域のCDR1、2および3が以下の(1)から(7)のいずれかの特徴を有する。
(1)CDR-L1配列として、配列番号129のアミノ酸配列もしくは配列番号129の1番目のアミノ酸残基がThrからLysに置換及び/又は4番目のアミノ酸残基がIleからThrに置換されたアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号140のアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号149のアミノ酸配列もしくは配列番号149の5番目のアミノ酸残基がSerからAsnに置換及び/又は7番目のアミノ酸残基がIleからMetに置換されたアミノ酸配列を含む。
(2)CDR-L1配列として、配列番号134のアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号142のアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号153のアミノ酸配列を含む。
(3)CDR-L1配列として、配列番号136のアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号146のアミノ酸配列もしくは配列番号146の6番目のアミノ酸残基がIleからMetに置換及び/又は7番目のアミノ酸残基がSerからAlaに置換されたアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号158のアミノ酸配列もしくは配列番号158の3番目のアミノ酸残基がThrからSerに置換及び/又は5番目のアミノ酸残基がSerからAsnに置換された配列を含む。
(4)CDR-L1配列として、配列番号133のアミノ酸配列もしくは配列番号133の2番目のアミノ酸残基がAlaからProに置換/5番目のアミノ酸残基がAsnからSerに置換/8番目のアミノ酸がSerからAsnから選択されるいずれか一または二以上の置換を含むアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号141のアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号151のアミノ酸配列を含み;又は、
(5)CDR-L1配列として、配列番号137のアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号145のアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号156のアミノ酸配列を含む。
(6)CDR-L1配列として、配列番号130のアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号140のアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号150のアミノ酸配列を含む。
(7)CDR-L1配列として、配列番号135のアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号143のアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号154のアミノ酸配列を含む。
【0057】
また、前記の態様における抗SPNS2抗体は、さらに好ましくは軽鎖可変領域のCDR1、2および3が以下の(1)から(13)のいずれかの特徴を有する。
前記抗SPNS2抗体もしくはその断片、又はそれらの誘導体が、
(1)CDR-L1配列として、配列番号129のアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号140のアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号149のアミノ酸配列を含む。
(2)CDR-L1配列として、配列番号130のアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号140のアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号150のアミノ酸配列を含む。
(3)CDR-L1配列として、配列番号131のアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号141のアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号151のアミノ酸配列を含む。
(4)CDR-L1配列として、配列番号132のアミノ酸配列、CDR-L2配列として配列番号140のアミノ酸配列及びCDR-L3配列として配列番号152のアミノ酸配列を含む。
(5)CDR-L1配列として、配列番号133のアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号141のアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号151のアミノ酸配列を含む。
(6)CDR-L1配列として、配列番号134のアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号142のアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号153のアミノ酸配列を含む。
(7)CDR-L1配列として、配列番号135のアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号143のアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号154のアミノ酸配列を含む。
(8)CDR-L1配列として、配列番号136のアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号144のアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号155のアミノ酸配列を含む。
(9)CDR-L1配列として、配列番号137のアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号145のアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号156のアミノ酸配列を含む。
(10)CDR-L1配列として、配列番号129のアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号140のアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号157のアミノ酸配列を含む。
(11)CDR-L1配列として、配列番号136のアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号146のアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号158のアミノ酸配列を含む。
(12)CDR-L1配列として、配列番号138のアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号141のアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号151のアミノ酸配列を含む。
(13)CDR-L1配列として、配列番号136のアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号147のアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号158のアミノ酸配列を含む。
【0058】
本発明におけるSPNS2中和抗体の一つの態様としては、以下の(1)から(3)のいずれかの特徴を有する重鎖可変領域および(4)から(6)のいずれかの特徴を有する軽鎖可変領域を含む抗体である。
(1)重鎖可変領域が、CDR-H1配列として、配列番号98、配列番号99、配列番号100、配列番号101、配列番号102、配列番号103、配列番号104、配列番号105または配列番号106から選択されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む。
(2)重鎖可変領域が、CDR-H2配列として、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112、配列番号113、配列番号114、配列番号115、配列番号116、配列番号117または配列番号118から選択されるアミノ酸と88%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む。
(3)重鎖可変領域が、CDR-H3配列として、配列番号120、配列番号121、配列番号122、配列番号123、配列番号124、配列番号125、配列番号126または配列番号127から選択さるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む。
(4)軽鎖可変領域が、CDR-L1配列として、配列番号129、配列番号130、配列番号131、配列番号132、配列番号133、配列番号134、配列番号135、配列番号136、配列番号137または配列番号138から選択されるアミノ酸配列と81%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む。
(5)軽鎖可変領域が、CDR-L2配列として、配列番号140、配列番号141、配列番号142、配列番号143、配列番号144、配列番号145、配列番号146または配列番号147から選択されるアミノ酸配列と85%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む。
(6)軽鎖可変領域が、CDR-L3配列として配列番号149、配列番号150、配列番号151、配列番号152、配列番号153、配列番号154、配列番号155、配列番号156、配列番号157または配列番号158から選択されるアミノ酸配列と88%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む。
【0059】
前記の態様における抗SPNS2抗体は、好ましくは重鎖可変領域のCDR1、2、および3、並びに軽鎖可変領域のCDR1、2および3が以下の(1)から(7)のいずれかの特徴を有する。
(1)CDR-H1配列として、配列番号98と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号108もしくは配列番号111と88%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-H3配列として、配列番号120もしくは配列番号123と83%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号129もしくは配列番号132と84%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号140と85%以上の相同性を有するアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号149、配列番号152もしくは配列番号157のいずれかと88%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む。
(2)CDR-H1配列として、配列番号101と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号113と88%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-H3配列として、配列番号124と88%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号134と84%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号142と85%以上の相同性を有するアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号153と88%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む。
(3)CDR-H1配列として、配列番号103もしくは配列番号105と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号115もしくは配列番号118と89%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-H3配列として、配列番号126もしくは配列番号127と85%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号136と81%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号144、配列番号146もしくは配列番号147のいずれかと85%以上の相同性を有するアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号155もしくは配列番号158と88%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む。
(4)CDR-H1配列として、配列番号100もしくは配列番号106と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号110、配列番号112もしくは配列番号117のいずれかと88%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-H3配列として、配列番号122と83%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号131、配列番号133もしくは配列番号138のいずれかと81%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号141と85%以上の相同性を有するアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号151と88%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む。
(5)CDR-H1配列として、配列番号104と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号116と88%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-H3配列として、配列番号122と83%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号137と81%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号145と85%以上の相同性を有するアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号156と88%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む。
(6)CDR-H1配列として、配列番号99と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号109と88%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-H3配列として、配列番号121と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号130と84%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号140と85%以上の相同性を有するアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号150と88%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む。
(7)CDR-H1配列として、配列番号102と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号114と88%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-H3配列として、配列番号125と83%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号135と84%以上の相同性を有するアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号143と85%以上の相同性を有するアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号154と88%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む。
【0060】
本発明におけるSPNS2中和抗体の別の一つの態様としては、重鎖可変領域のCDR1、2、及び3、並びに軽鎖可変領域のCDR1、2及び3が以下の(1)から(7)のいずれかの特徴を有する抗体である。
(1)CDR-H1配列として、配列番号98のアミノ酸配列又は配列番号98のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号108もしくは配列番号111のアミノ酸配列又は配列番号108もしくは配列番号111のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-H3配列として、配列番号120もしくは配列番号123のアミノ酸配列又は配列番号120もしくは配列番号123のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号129もしくは配列番号132のアミノ酸配列又は配列番号129もしくは配列番号132のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号140のアミノ酸配列又は配列番号140のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-L3配列として、配列番号149、配列番号152もしくは配列番号157のいずれかのアミノ酸配列又は配列番号149、配列番号152もしくは配列番号157のいずれかのアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列を含む。
(2)CDR-H1配列として、配列番号101のアミノ酸配列又は配列番号101のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号113のアミノ酸配列又は配列番号113のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として、配列番号124のアミノ酸配列又は配列番号124のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号134のアミノ酸配列又は配列番号134のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号142のアミノ酸配列又は配列番号142のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号153のアミノ酸配列又は配列番号153のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列を含む。
(3)CDR-H1配列として、配列番号103もしくは配列番号105のアミノ酸配列又は配列番号103もしくは配列番号105のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号115もしくは配列番号118のアミノ酸配列又は配列番号115もしくは配列番号118のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として、配列番号126もしくは配列番号127のアミノ酸配列又は配列番号126もしくは配列番号127のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号136のアミノ酸配列又は配列番号136のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号144、配列番号146もしくは配列番号147のいずれかのアミノ酸配列又は配列番号144、配列番号146もしくは配列番号147のいずれかのアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号155もしくは配列番号158のアミノ酸配列又は配列番号155もしくは配列番号158のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列を含む。
(4)CDR-H1配列として、配列番号100もしくは配列番号106のアミノ酸配列又は配列番号100もしくは配列番号106のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号110、配列番号112もしくは配列番号117のいずれかのアミノ酸配列又は配列番号110、配列番号112もしくは配列番号117のいずれかのアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として、配列番号122のアミノ酸配列又は配列番号122のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号131、配列番号133もしくは配列番号138のいずれかのアミノ酸配列又は配列番号131、配列番号133もしくは配列番号138のいずれかのアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号141のアミノ酸配列又は配列番号141のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号151のアミノ酸配列又は配列番号151のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列を含む。
(5)CDR-H1配列として、配列番号99のアミノ酸配列又は配列番号99のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号109のアミノ酸配列又は配列番号109のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として、配列番号121のアミノ酸配列又は配列番号121のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号130のアミノ酸配列又は配列番号130のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号140のアミノ酸配列又は配列番号140のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号150のアミノ酸配列又は配列番号150のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列を含む。
(6)CDR-H1配列として、配列番号102のアミノ酸配列又は配列番号102のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号114のアミノ酸配列又は配列番号114のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として、配列番号125のアミノ酸配列又は配列番号125のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号135のアミノ酸配列又は配列番号135のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号143のアミノ酸配列又は配列番号143のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号154のアミノ酸配列又は配列番号154のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列を含む。
(7)CDR-H1配列として、配列番号104のアミノ酸配列又は配列番号104のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号116のアミノ酸配列又は配列番号116のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、及びCDR-H3配列として、配列番号122のアミノ酸配列又は配列番号122のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号137のアミノ酸配列又は配列番号137のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号145のアミノ酸配列又は配列番号145のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号156のアミノ酸配列又は配列番号156のアミノ酸配列において1又は2個のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列を含む。
【0061】
前記の態様におけるSPNS2中和抗体は、より好ましくは重鎖可変領域のCDR1、2、及び3、並びに軽鎖可変領域のCDR1、2及び3が以下の(1)から(7)のいずれかの特徴を有する。
(1)CDR-H1配列として、配列番号98のアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号108のアミノ酸配列もしくは配列番号108の1番目のアミノ酸残基がThrからSerに置換されたアミノ酸配列、CDR-H3配列として、配列番号123のアミノ酸配列もしくは配列番号123の4番目のアミノ酸残基がSerからThrに置換されたアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号129のアミノ酸配列もしくは配列番号129の1番目のアミノ酸残基がThrからLysに置換及び/又は4番目のアミノ酸残基がIleからThrに置換されたアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号140のアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号149のアミノ酸配列もしくは配列番号149の5番目のアミノ酸残基がSerからAsnに置換及び/又は7番目のアミノ酸残基がIleからMetに置換されたアミノ酸配列を含む。
(2)CDR-H1配列として、配列番号101のアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号113のアミノ酸配列、CDR-H3配列として、配列番号124のアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号134のアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号142のアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号153のアミノ酸配列を含む。
(3)CDR-H1配列として、配列番号105のアミノ酸配列もしくは配列番号105の1番目のアミノ酸残基がAspからGluに置換されたアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号115のアミノ酸配列もしくは配列番号115の9番目のアミノ酸残基がTyrからSerに置換及び/又は17番目のアミノ酸残基がValからIleに置換されているアミノ酸配列、CDR-H3配列として、配列番号126のアミノ酸配列もしくは配列番号126の9番目のアミノ酸残基がSerからGlyに置換されているアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号136のアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号146のアミノ酸配列もしくは配列番号146の6番目のアミノ酸残基がIleからMetに置換及び/又は7番目のアミノ酸残基がSerからAlaに置換されたアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号158のアミノ酸配列もしくは配列番号158の3番目のアミノ酸残基がThrからSerに置換及び/又は5番目のアミノ酸残基がSerからAsnに置換された配列を含む。
(4)CDR-H1配列として、配列番号100のアミノ酸配列もしくは配列番号100の1番目のアミノ酸残基がArgからAlaに置換されたアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号110のアミノ酸配列もしくは配列番号110の8番目のアミノ酸残基がThrからSerに置換及び/又は17番目のアミノ酸残基がAsnからLysに置換されているアミノ酸配列、CDR-H3配列として、配列番号122のアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号133のアミノ酸配列もしくは配列番号133の2番目のアミノ酸残基がAlaからPro/5番目のアミノ酸残基がAsnからSer/8番目のアミノ酸残基がSerからAsnから選択されるいずれか1か所又は2か所以上でアミノ酸残基が置換されたアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号141のアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号151のアミノ酸配列を含む。
(5)CDR-H1配列として、配列番号104のアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号116のアミノ酸配列、CDR-H3配列として、配列番号122のアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号137のアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号145のアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号156のアミノ酸配列を含む。
(6)CDR-H1配列として、配列番号99のアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号109のアミノ酸配列、CDR-H3配列として、配列番号121のアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号130のアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号140のアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号150のアミノ酸配列を含む。
(7)CDR-H1配列として、配列番号102のアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号114のアミノ酸配列、CDR-H3配列として、配列番号125のアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号135のアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号143のアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号154のアミノ酸配列を含む。
【0062】
また、前記の態様における抗SPNS2中和抗体は、さらに好ましくは重鎖可変領域のCDR1、2、及び3、並びに軽鎖可変領域のCDR1、2及び3が以下の(1)から(14)のいずれかの特徴を有する。
(1)CDR-H1配列として、配列番号98のアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号108のアミノ酸配列、CDR-H3配列として、配列番号120のアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号129のアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号140のアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号149のアミノ酸配列を含む。
(2)CDR-H1配列として、配列番号99のアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号109のアミノ酸配列、CDR-H3配列として、配列番号121のアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号130のアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号140のアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号150のアミノ酸配列を含む。
(3)CDR-H1配列として、配列番号100のアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号110のアミノ酸配列、CDR-H3配列として、配列番号122のアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号131のアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号141のアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号151のアミノ酸配列を含む。
(4)CDR-H1配列として、配列番号98のアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号111のアミノ酸配列、CDR-H3配列として、配列番号123のアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号132のアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号140のアミノ酸配列及びCDR-L3配列として、配列番号152のアミノ酸配列を含み; 又は、
(5)CDR-H1配列として、配列番号98のアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号108のアミノ酸配列、CDR-H3配列として、配列番号123のアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号129のアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号140のアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号149のアミノ酸配列を含む。
(6)CDR-H1配列として、配列番号100のアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号112のアミノ酸配列、CDR-H3配列として、配列番号122のアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号133のアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号141のアミノ酸配列及びCDR-L3配列として、配列番号151のアミノ酸配列を含む。
(7)CDR-H1配列として、配列番号101のアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号113のアミノ酸配列、CDR-H3配列として、配列番号124のアミノ酸配列含み、CDR-L1配列として、配列番号134のアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号142のアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号153のアミノ酸配列を含む。
(8)CDR-H1配列として、配列番号102のアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号114のアミノ酸配列、CDR-H3配列として、配列番号125のアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号135のアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号143のアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号154のアミノ酸配列を含む。
(9)CDR-H1配列として、配列番号103のアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号115のアミノ酸配列、CDR-H3配列として、配列番号126のアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号136のアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号144のアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号155のアミノ酸配列を含む。
(10)CDR-H1配列として、配列番号104のアミノ酸配列、CDR-H2配列として、配列番号116のアミノ酸配列、CDR-H3配列として、配列番号122のアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号137のアミノ酸配列、CDR-L2配列として、配列番号145のアミノ酸配列、及びCDR-L3配列として、配列番号156のアミノ酸配列を含む。
(11)CDR-H1配列として、配列番号98のアミノ酸配列、CDR-H2配列として配列番号108のアミノ酸配列、CDR-H3配列として配列番号123のアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号129のアミノ酸配列、CDR-L2配列として配列番号140のアミノ酸配列及びCDR-L3配列として配列番号157のアミノ酸配列を含む。
(12)CDR-H1配列として、配列番号105のアミノ酸配列、CDR-H2配列として配列番号115のアミノ酸配列、CDR-H3配列として配列番号126のアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号136のアミノ酸配列、CDR-L2配列として配列番号146のアミノ酸配列及びCDR-L3配列として配列番号158のアミノ酸配列を含む。
(13)CDR-H1配列として、配列番号106のアミノ酸配列、CDR-H2配列として配列番号117のアミノ酸配列、CDR-H3配列として配列番号122のアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号138のアミノ酸配列、CDR-L2配列として配列番号141のアミノ酸配列及びCDR-L3配列として配列番号151のアミノ酸配列を含む。
(14)CDR-H1配列として、配列番号105のアミノ酸配列、CDR-H2配列として配列番号118のアミノ酸配列、CDR-H3配列として配列番号127のアミノ酸配列、CDR-L1配列として、配列番号136のアミノ酸配列、CDR-L2配列として配列番号147のアミノ酸配列及びCDR-L3配列として配列番号158のアミノ酸配列を含む。
【0063】
また、本発明におけるSPNS2中和抗体の一つの態様としては、重鎖可変領域として、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60及び配列番号62から選択される配列と80%以上、好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む、抗体である。
【0064】
本発明におけるSPNS2中和抗体の別の一つの態様としては、重鎖可変領域として、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60又は配列番号62から選択されるいずれかのアミノ酸配列、又は配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60又は配列番号62から選択されるいずれかのアミノ酸配列において1又は2個以上のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、好ましくは斯かる配列の1番目から17番目までの箇所における1又は2個以上のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列を含む、抗体である。
【0065】
前記の態様におけるSPNS2中和抗体は、好ましくは重鎖可変領域として、以下の(1)から(5)のいずれかの特徴を有する。
(1)配列番号42のアミノ酸配列、又は配列番号42の1番目(Kabat番号:H1)のアミノ酸残基がGlu以外のアミノ酸残基への置換、6番目(Kabat番号:H6)のアミノ酸残基がGly以外のアミノ酸残基への置換、23番目(Kabat番号:H23)のアミノ酸残基がGlu以外のアミノ酸残基への置換、43番目(Kabat番号:H43)のアミノ酸残基がLys以外のアミノ酸残基への置換、50番目(Kabat番号:H50)のアミノ酸残基がThr以外のアミノ酸残基への置換、75番目(Kabat番号:H74)のアミノ酸残基がAla以外のアミノ酸残基への置換、76番目(Kabat番号:H75)のアミノ酸残基がArg以外のアミノ酸残基への置換、78番目(Kabat番号:H77)のアミノ酸残基がThr以外のアミノ酸残基に置換、80番目(Kabat番号:H79)のアミノ酸残基がSer以外のアミノ酸残基への置換、97番目(Kabat番号:H93)のアミノ酸残基がAla以外のアミノ酸残基への置換、および102番目(Kabat番号:H98)のアミノ酸残基がSer以外のアミノ酸残基への置換からなる群から選ばれる、一又は二以上の置換を含む配列番号42のアミノ酸配列を含む。
(2)配列番号46のアミノ酸配列又は配列番号46の82番目(Kabat番号:H81)のアミノ酸残基がGln以外のアミノ酸残基に置換されたアミノ酸配列を含む。
(3)配列番号58のアミノ酸配列もしくは配列番号58の13番目(Kabat番号:H13)のアミノ酸残基がGln以外のアミノ酸残基への置換、23番目(Kabat番号:H23)のアミノ酸残基がAla以外のアミノ酸残基への置換、31番目(Kabat番号:H31)のアミノ酸残基がAsp以外のアミノ酸残基への置換、49番目(Kabat番号:H49)のアミノ酸残基がAla以外のアミノ酸残基への置換、58番目(Kabat番号:H55)のアミノ酸残基がTyr以外のアミノ酸残基への置換、66番目(Kabat番号:H63)のアミノ酸残基がVal以外のアミノ酸残基への置換、79番目(Kabat番号:H76)のアミノ酸残基がArg以外のアミノ酸残基への置換、86番目(Kabat番号:H82A)のアミノ酸残基がPhe以外のアミノ酸残基への置換、100番目(Kabat番号:H94)のアミノ酸残基がSer以外のアミノ酸残基への置換、109番目(Kabat番号:H100C)のアミノ酸残基がSer以外のアミノ酸残基への置換、及び117番目(Kabat番号:H105)のアミノ酸残基がHis以外のアミノ酸残基への置換からなる群から選ばれる、一又は二以上の置換を含むアミノ酸配列を含む。
(4)配列番号44のアミノ酸配列又は配列番号44の3番目(Kabat番号:H3)のアミノ酸残基がGln以外のアミノ酸残基への置換、10番目(Kabat番号:H10)のアミノ酸残基がGlu以外のアミノ酸残基への置換、16番目(Kabat番号:H16)のアミノ酸残基がThr以外のアミノ酸残基への置換、19番目(Kabat番号:H19)のアミノ酸残基がLys以外のアミノ酸残基への置換、24番目(Kabat番号:H24)のアミノ酸残基がVal以外のアミノ酸残基への置換、30番目(Kabat番号:H30)のアミノ酸残基がThr以外のアミノ酸残基への置換、31番目(Kabat番号:H31)のアミノ酸残基がArg以外のアミノ酸残基への置換、57番目(Kabat番号:H56)のアミノ酸残基がThr以外のアミノ酸残基への置換、66番目(Kabat番号:H65)のアミノ酸残基がLys以外のアミノ酸残基への置換、67番目(Kabat番号:H66)のアミノ酸残基がLys以外のアミノ酸残基への置換、74番目(Kabat番号:H73)のアミノ酸残基がAla以外のアミノ酸残基への置換、77番目(Kabat番号:H76)のアミノ酸残基がAsn以外のアミノ酸残基への置換、80番目(Kabat番号:H79)のアミノ酸残基がTyr以外のアミノ酸残基への置換、83番目(Kabat番号:H82)のアミノ酸残基がPhe以外のアミノ酸残基への置換、85番目(Kabat番号:H82B)のアミノ酸残基がGly以外のアミノ酸残基への置換、89番目(Kabat番号:H85)のアミノ酸残基がGlu以外のアミノ酸残基への置換、及び91番目(Kabat番号:H87)のアミノ酸残基がThr以外のアミノ酸残基への置換からなる群から選ばれる、一又は二以上の置換を含むアミノ酸配列を含む。
(5)配列番号52、配列番号36、又は配列番号48から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0066】
前記の態様におけるSPNS2中和抗体は、より好ましくは重鎖可変領域として、以下の(1)から(5)のいずれかの特徴を有する。
(1)配列番号42のアミノ酸配列又は配列番号42の1番目(Kabat番号:H1)のアミノ酸残基がGluからAlaへの置換、6番目(Kabat番号:H6)のアミノ酸残基がGlyからGluへの置換、23番目(Kabat番号:H23)のアミノ酸残基がGluからAlaへの置換、43番目(Kabat番号:H43)のアミノ酸残基がLysからArgへの置換、50番目(Kabat番号:H50)のアミノ酸残基がThrからSerへの置換、75番目(Kabat番号:H74)のアミノ酸残基がAlaからThrへの置換、76番目(Kabat番号:H75)のアミノ酸残基がArgからLysへの置換、78番目(Kabat番号:H77)のアミノ酸残基がThrからIleへの置換、80番目(Kabat番号:H79)のアミノ酸残基がSerからTyrへの置換、97番目(Kabat番号:H93)のアミノ酸残基がAlaからThr、及び102番目(Kabat番号:H98)のアミノ酸残基がSerからThrへの置換からなる群から選ばれる、一又は二以上の置換を含むアミノ酸配列を含む。
(2)配列番号46のアミノ酸配列又は配列番号46の82番目(Kabat番号:H81)のアミノ酸残基がGlnからLysに置換されたアミノ酸配列を含む。
(3)配列番号58のアミノ酸配列もしくは配列番号58の13番目(Kabat番号:H13)のアミノ酸残基がGlnからArgへの置換、23番目(Kabat番号:H23)のアミノ酸残基がAlaからSerへの置換、31番目(Kabat番号:H31)のアミノ酸残基がAspからGlu、49番目(Kabat番号:H49)のアミノ酸残基がAlaからGlyへの置換、58番目(Kabat番号:H55)のアミノ酸残基がTyrからSerへの置換、66番目(Kabat番号:H63)のアミノ酸残基がValからIleへの置換、79番目(Kabat番号:H76)のアミノ酸残基がArgからSerへの置換、86番目(Kabat番号:H82A)のアミノ酸残基がPheからTyrもしくはAsnへの置換、100番目(Kabat番号:H94)のアミノ酸残基がSerからArgへの置換、109番目(Kabat番号:H100C)のアミノ酸残基がSerからGlyへの置換、及び117番目(Kabat番号:H105)のアミノ酸残基がHisからGlnへの置換からなる群から選ばれる、一又は二以上の置換を含むアミノ酸配列を含む。
(4)配列番号44のアミノ酸配列又は配列番号44の3番目(Kabat番号:H3)のアミノ酸残基がGlnからHisへの置換、10番目(Kabat番号:H10)のアミノ酸残基がGluからAlaもしくはGlyへの置換、16番目(Kabat番号:H16)のアミノ酸残基がThrからAlaへの置換、19番目(Kabat番号:H19)のアミノ酸残基がLysからArgへの置換、24番目(Kabat番号:H24)のアミノ酸残基がValからIleへの置換、30番目(Kabat番号:H30)のアミノ酸残基がThrからSerへの置換、31番目(Kabat番号:H31)のアミノ酸残基がArgからAlaへの置換、57番目(Kabat番号:H56)のアミノ酸残基がThrからSerへの置換、66番目(Kabat番号:H65)のアミノ酸残基がLysからAsnへの置換、67番目(Kabat番号:H66)のアミノ酸残基がLysからArgへの置換、74番目(Kabat番号:H73)のアミノ酸残基がAlaからValへの置換、77番目(Kabat番号:H76)のアミノ酸残基がAsnからAspもしくはSerへの置換、80番目(Kabat番号:H79)のアミノ酸残基がTyrからSerへの置換、83番目(Kabat番号:H82)のアミノ酸残基がPheからLeuへの置換、85番目(Kabat番号:H82B)のアミノ酸残基がGlyからSerへの置換、89番目(Kabat番号:H85)のアミノ酸残基がGluからAspへの置換、及び91番目(Kabat番号:H87)のアミノ酸残基がThrからSerへの置換からなる群から選ばれる、一又は二以上の置換を含むアミノ酸配列を含む。
(5)配列番号52、配列番号36、又は配列番号48から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0067】
また、前記の態様におけるSPNS2中和抗体は、さらに好ましくは重鎖可変領域として、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60又は配列番号62から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0068】
本発明におけるSPNS2中和抗体の一つの態様としては、軽鎖可変領域として、配列番号66、配列番号68、配列番号70、配列番号72、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号92、又は配列番号94から選択される配列と80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む、抗体である。
【0069】
本発明におけるSPNS2中和抗体の別の一つの態様としては、軽鎖可変領域として、配列番号66、配列番号68、配列番号70、配列番号72、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号92、及び配列番号94から選択されるいずれかのアミノ酸配列、又は配列番号66、配列番号68、配列番号70、配列番号72、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号92、及び配列番号94から選択されるいずれかのアミノ酸配列において1又は2以上のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、好ましくは斯かる配列の1番目から12番目までの箇所における1又は2以上のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列を含む、抗体である。
【0070】
前記の態様におけるSPNS2中和抗体は、好ましくは軽鎖可変領域として、以下の(1)から(5)のいずれかの特徴を有する。
(1)配列番号88のアミノ酸配列又は配列番号88の23番目(Kabat番号:L24)のアミノ酸残基がThr以外のアミノ酸残基への置換、26番目(Kabat番号:L27)のアミノ酸残基がIle以外のアミノ酸残基への置換、38番目(Kabat番号:L37)のアミノ酸残基がLys以外のアミノ酸残基への置換、48番目(Kabat番号:L47)のアミノ酸残基がMet以外のアミノ酸残基への置換、80番目(Kabat番号:L77)のアミノ酸残基がAsn以外のアミノ酸残基への置換、86番目(Kabat番号:L83)のアミノ酸残基がGlu以外のアミノ酸残基への置換、96番目(Kabat番号:L93)のアミノ酸残基がSer以外のアミノ酸残基への置換、98番目(Kabat番号:L95)のアミノ酸残基がMet以外のアミノ酸残基への置換、102番目(Kabat番号:L99)のアミノ酸残基がGly以外のアミノ酸残基への置換、および106番目(Kabat番号:L103)のアミノ酸残基がLys以外のアミノ酸残基への置換からなる群から選ばれる、一又は二以上の置換を含むアミノ酸配列を含む。
(2)配列番号78のアミノ酸配列又は配列番号78の48番目(Kabat番号:L47)のアミノ酸残基がLeu以外のアミノ酸残基への置換及び/又は106番目(Kabat番号:L103)のアミノ酸残基がLys以外のアミノ酸残基への置換されたアミノ酸配列を含む。
(3)配列番号90のアミノ酸配列又は配列番号90の9番目(Kabat番号:L9)のアミノ酸残基がAla以外のアミノ酸残基への置換、39番目(Kabat番号:L39)のアミノ酸残基がLys以外のアミノ酸残基への置換、42番目(Kabat番号:L42)のアミノ酸残基がGly以外のアミノ酸残基への置換、55番目(Kabat番号:L55)のアミノ酸残基がIle以外のアミノ酸残基への置換、56番目(Kabat番号:L56)のアミノ酸残基がSer以外のアミノ酸残基への置換、72番目(Kabat番号:L72)のアミノ酸残基がThr以外のアミノ酸残基への置換、74番目(Kabat番号:L74)のアミノ酸残基がArg以外のアミノ酸残基への置換、91番目(Kabat番号:L91)のアミノ酸残基がThr以外のアミノ酸残基への置換、93番目(Kabat番号:L93)のアミノ酸残基がSer以外のアミノ酸残基への置換、100番目(Kabat番号:L100)のアミノ酸残基がSer以外のアミノ酸残基への置換、103番目(Kabat番号:L103)のアミノ酸残基がArg以外のアミノ酸残基への置換、及び106番目(Kabat番号:L106)のアミノ酸残基がIle以外のアミノ酸残基への置換からなる群から選ばれる、一又は二以上の置換を含むアミノ酸配列を含む。
(4)配列番号76のアミノ酸配列又は配列番号76の13番目(Kabat番号:L13)のアミノ酸残基がThr以外のアミノ酸残基への置換、22番目(Kabat番号:L22)のアミノ酸残基がArg以外のアミノ酸残基への置換、25番目(Kabat番号:L25)のアミノ酸残基がAla以外のアミノ酸残基への置換、28番目(Kabat番号:L28)のアミノ酸残基がAsn以外のアミノ酸残基への置換、31番目(Kabat番号:L31)のアミノ酸残基がSer以外のアミノ酸残基への置換、69番目(Kabat番号:L69)のアミノ酸残基がThr以外のアミノ酸残基への置換、79番目(Kabat番号:L79)のアミノ酸残基がGln以外のアミノ酸残基への置換、及び80番目(Kabat番号:L80)のアミノ酸残基がPro以外のアミノ酸残基への置換からなる群から選ばれる、一又は二以上の置換又は欠損を含むアミノ酸配列を含む。
(5)配列番号84、配列番号68、及び配列番号80から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0071】
前記の態様におけるSPNS2中和抗体は、より好ましくは軽鎖可変領域として、以下の(1)から(5)のいずれかの特徴を有する。
(1)配列番号88のアミノ酸配列又は配列番号88の23番目(Kabat番号:L24)のアミノ酸残基がThrからLysへの置換、26番目(Kabat番号:L27)のアミノ酸残基がIleからThrに置換、38番目(Kabat番号:L37)のアミノ酸残基がLysからGlnに置換、48番目(Kabat番号:L47)のアミノ酸残基がMetからLeuへの置換、80番目(Kabat番号:L77)のアミノ酸残基がAsnからSerへの置換、86番目(Kabat番号:L83)のアミノ酸残基がGluからGlyへの置換、96番目(Kabat番号:L93)のアミノ酸残基がSerからAsnへの置換、98番目(Kabat番号:L95)のアミノ酸残基がMetからIleへの置換、102番目(Kabat番号:L99)のアミノ酸残基がGlyからAlaへの置換、および106番目(Kabat番号:L103)のアミノ酸残基がLysからThrもしくはGlnへの置換からなる群から選ばれる、一又は二以上の置換を含むアミノ酸配列を含む。
(2)配列番号78のアミノ酸配列又は配列番号78の48番目(Kabat番号:L47)のアミノ酸残基がLeuからMetへの置換及び/又は106番目(Kabat番号:L103)のアミノ酸残基がLysからThrに置換されたアミノ酸配列を含む。
(3)配列番号90のアミノ酸配列もしくは配列番号90の9番目(Kabat番号:L9)のアミノ酸残基がAlaからProへの置換、39番目(Kabat番号:L39)のアミノ酸残基がLysからArgへの置換、42番目(Kabat番号:L42)のアミノ酸残基がGlyからGluへの置換、55番目(Kabat番号:L55)のアミノ酸残基がIleからMetへの置換、56番目(Kabat番号:L56)のアミノ酸残基がSerからAlaへの置換、72番目(Kabat番号:L72)のアミノ酸残基がThrからIleへの置換、74番目(Kabat番号:L74)のアミノ酸残基がArgからSerへの置換、91番目(Kabat番号:L91)のアミノ酸残基がThrからSerへの置換、93番目(Kabat番号:L93)のアミノ酸残基がSerからAsnへの置換、100番目(Kabat番号:L100)のアミノ酸残基がSerからProへの置換、103番目(Kabat番号:L103)のアミノ酸残基がArgからLysへの置換、及び106番目(Kabat番号:L106)のアミノ酸残基がIleからValへの置換からなる群から選ばれる、一又は二以上の置換を含むアミノ酸配列を含む。
(4)配列番号76のアミノ酸配列又は配列番号76の13番目(Kabat番号:L13)のアミノ酸残基がThrからAlaへの置換、22番目(Kabat番号:L22)のアミノ酸残基がArgからSerへの置換、25番目(Kabat番号:L25)のアミノ酸残基がAlaからProへの置換、28番目(Kabat番号:L28)のアミノ酸残基がAsnからSerへの置換、31番目(Kabat番号:L31)のアミノ酸残基がSerからAsnへの置換、69番目(Kabat番号:L69)のアミノ酸残基がThrからSerへの置換、79番目(Kabat番号:L79)のアミノ酸残基がGlnからArgへの置換、及び80番目(Kabat番号:L80)のアミノ酸残基がProからAlaへの置換からなる群から選ばれる、一又は二以上の置換又は欠損を含むアミノ酸配列を含む。
(5)配列番号84、配列番号68、又は配列番号80から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0072】
前記の態様におけるSPNS2中和抗体は、さらに好ましくは軽鎖可変領域として、配列番号66、配列番号68、配列番号70、配列番号72、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号92、及び配列番号94から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0073】
本発明におけるSPNS2中和抗体の一つの態様としては、重鎖可変領域として、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60及び配列番号62から選択される配列と80%以上、好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域として、配列番号66、配列番号68、配列番号70、配列番号72、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号92、及び配列番号94から選択される配列と80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む、抗体である。
【0074】
本発明におけるSPNS2中和抗体の別の一つの態様としては、重鎖可変領域として、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60及び配列番号62から選択されるいずれかのアミノ酸配列、又は配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60及び配列番号62から選択されるいずれかのアミノ酸配列において1又は2個以上のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、好ましくは斯かる配列の1番目から17番目までの箇所における1又は2個以上のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列を含み、
【0075】
軽鎖可変領域として、配列番号66、配列番号68、配列番号70、配列番号72、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号92、及び配列番号94から選択されるいずれかのアミノ酸配列、又は配列番号66、配列番号68、配列番号70、配列番号72、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号92、及び配列番号94から選択されるいずれかのアミノ酸配列において1又は2個以上のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列、好ましくは斯かる配列の1番目から12番目までの箇所における1又は2個以上のアミノ酸残基が置換、欠失、もしくは付加されたアミノ酸配列を含む、抗体である。
【0076】
前記の態様におけるSPNS2中和抗体は、好ましくは重鎖可変領域および軽鎖可変領域として、以下の(1)から(5)のいずれかの特徴を有する。
(1)重鎖可変領域として、配列番号42のアミノ酸配列又は配列番号42の1番目(Kabat番号:H1)のアミノ酸残基がGlu以外のアミノ酸残基への置換、6番目(Kabat番号:H6)のアミノ酸残基がGly以外のアミノ酸残基への置換、23番目(Kabat番号:H23)のアミノ酸残基がGlu以外のアミノ酸残基への置換、43番目(Kabat番号:H43)のアミノ酸残基がLys以外のアミノ酸残基への置換、50番目(Kabat番号:H50)のアミノ酸残基がThr以外のアミノ酸残基への置換、75番目(Kabat番号:H74)のアミノ酸残基がAla以外のアミノ酸残基への置換、76番目(Kabat番号:H75)のアミノ酸残基がArg以外のアミノ酸残基への置換、78番目(Kabat番号:H77)のアミノ酸残基がThr以外のアミノ酸残基への置換、80番目(Kabat番号:H79)のアミノ酸残基がSer以外のアミノ酸残基への置換、97番目(Kabat番号:H93)のアミノ酸残基がAla以外のアミノ酸残基への置換、及び102番目(Kabat番号:H98)のアミノ酸残基がSer以外のアミノ酸残基への置換からなる群から選ばれる、一又は二以上の置換を含むアミノ酸配列を含み、
軽鎖可変領域として、配列番号88のアミノ酸配列又は配列番号88の23番目(Kabat番号:L24)のアミノ酸残基がThr以外のアミノ酸残基への置換、26番目(Kabat番号:L27)のアミノ酸残基がIle以外のアミノ酸残基への置換、38番目(Kabat番号:L37)のアミノ酸残基がLys以外のアミノ酸残基への置換、48番目(Kabat番号:L47)のアミノ酸残基がMet以外のアミノ酸残基への置換、80番目(Kabat番号:L77)のアミノ酸残基がAsnからSerへの置換、86番目(Kabat番号:L83)のアミノ酸残基がGlu以外のアミノ酸残基への置換、96番目(Kabat番号:L93)のアミノ酸残基がSer以外のアミノ酸残基への置換、98番目(Kabat番号:L95)のアミノ酸残基がMet以外のアミノ酸残基への置換、102番目(Kabat番号:L99)のアミノ酸残基がGly以外のアミノ酸残基への置換、および106番目(Kabat番号:L103)のアミノ酸残基がLys以外のアミノ酸残基への置換からなる群から選ばれる、一又は二以上の置換を含むアミノ酸配列を含む。
(2)重鎖可変領域として、配列番号46のアミノ酸配列もしくは配列番号46の82番目(Kabat番号:H81)のアミノ酸残基がGln以外のアミノ酸残基への置換されたアミノ酸配列を含み、
軽鎖可変領域として、配列番号78のアミノ酸配列又は配列番号78の48番目(Kabat番号:L47)のアミノ酸残基がLeu以外のアミノ酸残基に置換及び/又は106番目(Kabat番号:L103)のアミノ酸残基がLys以外のアミノ酸残基に置換されたアミノ酸配列を含む。
(3)重鎖可変領域として、配列番号58のアミノ酸配列又は配列番号58の13番目(Kabat番号:H13)のアミノ酸残基がGln以外のアミノ酸残基への置換、23番目(Kabat番号:H23)のアミノ酸残基がAla以外のアミノ酸残基への置換、31番目(Kabat番号:H31)のアミノ酸残基がAsp以外のアミノ酸残基への置換、49番目(Kabat番号:H49)のアミノ酸残基がAla以外のアミノ酸残基への置換、58番目(Kabat番号:H55)のアミノ酸残基がTyr以外のアミノ酸残基への置換、66番目(Kabat番号:H63)のアミノ酸残基がVal以外のアミノ酸残基への置換、79番目(Kabat番号:H76)のアミノ酸残基がArg以外のアミノ酸残基への置換、86番目(Kabat番号:H82A)のアミノ酸残基がPhe以外のアミノ酸残基への置換、100番目(Kabat番号:H94)のアミノ酸残基がSer以外のアミノ酸残基への置換、109番目(Kabat番号:H100C)のアミノ酸残基がSer以外のアミノ酸残基への置換、及び117番目(Kabat番号:H105)のアミノ酸残基がHis以外のアミノ酸残基への置換からなる群から選ばれる、一又は二以上の置換を含むアミノ酸配列を含み、
軽鎖可変領域として、配列番号90のアミノ酸配列又は配列番号90の9番目(Kabat番号:L9)のアミノ酸残基がAla以外のアミノ酸残基への置換、39番目(Kabat番号:L39)のアミノ酸残基がLys以外のアミノ酸残基への置換、42番目(Kabat番号:L42)のアミノ酸残基がGly以外のアミノ酸残基への置換、55番目(Kabat番号:L55)のアミノ酸残基がIle以外のアミノ酸残基への置換、56番目(Kabat番号:L56)のアミノ酸残基がSer以外のアミノ酸残基への置換、72番目(Kabat番号:L72)のアミノ酸残基がThr以外のアミノ酸残基への置換、74番目(Kabat番号:L74)のアミノ酸残基がArg以外のアミノ酸残基への置換、91番目(Kabat番号:L91)のアミノ酸残基がThr以外のアミノ酸残基への置換、93番目(Kabat番号:L93)のアミノ酸残基がSer以外のアミノ酸残基への置換、100番目(Kabat番号:L100)のアミノ酸残基がSer以外のアミノ酸残基への置換、103番目(Kabat番号:L103)のアミノ酸残基がArg以外のアミノ酸残基への置換、及び106番目(Kabat番号:L106)のアミノ酸残基がIle以外のアミノ酸残基への置換からなる群から選ばれる、一又は二以上の置換を含むアミノ酸配列を含む。
(4)重鎖可変領域として、配列番号44のアミノ酸配列又は配列番号44の3番目(Kabat番号:H3)のアミノ酸残基がGln以外のアミノ酸残基への置換、10番目(Kabat番号:H10)のアミノ酸残基がGlu以外のアミノ酸残基への置換、16番目(Kabat番号:H16)のアミノ酸残基がThr以外のアミノ酸残基への置換、19番目(Kabat番号:H19)のアミノ酸残基がLys以外のアミノ酸残基への置換、24番目(Kabat番号:H24)のアミノ酸残基がVal以外のアミノ酸残基への置換、30番目(Kabat番号:H30)のアミノ酸残基がThr以外のアミノ酸残基への置換、31番目(Kabat番号:H31)のアミノ酸残基がArg以外のアミノ酸残基への置換、57番目(Kabat番号:H56)のアミノ酸残基がThr以外のアミノ酸残基への置換、66番目(Kabat番号:H65)のアミノ酸残基がLys以外のアミノ酸残基への置換、67番目(Kabat番号:H66)のアミノ酸残基がLys以外のアミノ酸残基への置換、74番目(Kabat番号:H73)のアミノ酸残基がAla以外のアミノ酸残基への置換、77番目(Kabat番号:H76)のアミノ酸残基がAsn以外のアミノ酸残基への置換、80番目(Kabat番号:H79)のアミノ酸残基がTyr以外のアミノ酸残基への置換、83番目(Kabat番号:H82)のアミノ酸残基がPhe以外のアミノ酸残基への置換、85番目(Kabat番号:H82B)のアミノ酸残基がGly以外のアミノ酸残基への置換、89番目(Kabat番号:H85)のアミノ酸残基がGlu以外のアミノ酸残基への置換、及び91番目(Kabat番号:H87)のアミノ酸残基がThr以外のアミノ酸残基への置換からなる群から選ばれる、一又は二以上の置換を含むアミノ酸配列を含み、
軽鎖可変領域として、配列番号76のアミノ酸配列又は配列番号76の13番目(Kabat番号:L13)のアミノ酸残基がThr以外のアミノ酸残基への置換、22番目(Kabat番号:L22)のアミノ酸残基がArg以外のアミノ酸残基への置換、25番目(Kabat番号:L25)のアミノ酸残基がAla以外のアミノ酸残基への置換、28番目(Kabat番号:L28)のアミノ酸残基がAsn以外のアミノ酸残基への置換、31番目(Kabat番号:L31)のアミノ酸残基がSer以外のアミノ酸残基への置換、69番目(Kabat番号:L69)のアミノ酸残基がThr以外のアミノ酸残基への置換、79番目(Kabat番号:L79)のアミノ酸残基がGln以外のアミノ酸残基への置換、及び80番目(Kabat番号:L80)のアミノ酸残基がPro以外のアミノ酸残基への置換からなる群から選ばれる、一又は二以上の置換又は欠損を含むアミノ酸配列を含む。
(5)重鎖可変領域として、配列番号52、配列番号36、又は配列番号48から選択されるアミノ酸配列を含み、
軽鎖可変領域として、配列番号84、配列番号68、又は配列番号80から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0077】
前記の態様におけるSPNS2中和抗体は、より好ましくは重鎖可変領域および軽鎖可変領域として、以下の(1)から(5)のいずれかの特徴を有する。
(1)重鎖可変領域として、配列番号42のアミノ酸配列又は配列番号42の1番目(Kabat番号:H1)のアミノ酸残基がGluからAlaへの置換、6番目(Kabat番号:H6)のアミノ酸残基がGlyからGluへの置換、23番目(Kabat番号:H23)のアミノ酸残基がGluからAlaへの置換、43番目(Kabat番号:H43)のアミノ酸残基がLysからArgへの置換、50番目(Kabat番号:H50)のアミノ酸残基がThrからSerへの置換、75番目(Kabat番号:H74)のアミノ酸残基がAlaからThrへの置換、76番目(Kabat番号:H75)のアミノ酸残基がArgからLysへの置換、78番目(Kabat番号:H77)のアミノ酸残基がThrからIleへの置換、80番目(Kabat番号:H79)のアミノ酸残基がSerからTyrへの置換、97番目(Kabat番号:H93)のアミノ酸残基がAlaからThr、及び102番目(Kabat番号:H98)のアミノ酸残基がSerからThrへの置換からなる群のうち、一又は二以上の置換を含むアミノ酸配列を含み、
軽鎖可変領域として、配列番号88のアミノ酸配列もしくは配列番号88の23番目(Kabat番号:L24)のアミノ酸残基がThrからLysへの置換、26番目(Kabat番号:L27)のアミノ酸残基がIleからThrに置換、38番目(Kabat番号:L37)のアミノ酸残基がLysからGlnに置換、48番目(Kabat番号:L47)のアミノ酸残基がMetからLeuへの置換、80番目(Kabat番号:L77)のアミノ酸残基がAsnからSerへの置換、86番目(Kabat番号:L83)のアミノ酸残基がGluからGlyへの置換、96番目(Kabat番号:L93)のアミノ酸残基がSerからAsnへの置換、98番目(Kabat番号:L95)のアミノ酸残基がMetからIleへの置換、102番目(Kabat番号:L99)のアミノ酸残基がGlyからAlaへの置換、および106番目(Kabat番号:L103)のアミノ酸残基がLysからThrもしくはGlnへの置換からなる群から選ばれる、一又は二以上の置換を含むアミノ酸配列を含む。
(2)重鎖可変領域として、配列番号46のアミノ酸配列又は配列番号46の82番目(Kabat番号:H81)のアミノ酸残基がGlnからLysに置換されたアミノ酸配列を含み、
軽鎖可変領域として、配列番号78のアミノ酸配列又は配列番号78の48番目(Kabat番号:L47)のアミノ酸残基がLeuからMetへの置換及び/又は106番目(Kabat番号:L103)のアミノ酸残基がLysからThrに置換されたアミノ酸配列を含む。
(3)重鎖可変領域として、配列番号58のアミノ酸配列又は配列番号58の13番目(Kabat番号:H13)のアミノ酸残基がGlnからArgへの置換、23番目(Kabat番号:H23)のアミノ酸残基がAlaからSerへの置換、31番目(Kabat番号:H31)のアミノ酸残基がAspからGlu、49番目(Kabat番号:H49)のアミノ酸残基がAlaからGlyへの置換、58番目(Kabat番号:H55)のアミノ酸残基がTyrからSerへの置換、66番目(Kabat番号:H63)のアミノ酸残基がValからIleへの置換、79番目(Kabat番号:H76)のアミノ酸残基がArgからSerへの置換、86番目(Kabat番号:H82A)のアミノ酸残基がPheからTyrもしくはAsnへの置換、100番目(Kabat番号:H94)のアミノ酸残基がSerからArgへの置換、109番目(Kabat番号:H100C)のアミノ酸残基がSerからGlyへの置換、及び117番目(Kabat番号:H105)のアミノ酸残基がHisからGlnへの置換からなる群から選ばれる、一又は二以上の置換を含むアミノ酸配列を含み、
軽鎖可変領域として、配列番号90のアミノ酸配列又は配列番号90の9番目(Kabat番号:L9)のアミノ酸残基がAlaからProへの置換、39番目(Kabat番号:L39)のアミノ酸残基がLysからArgへの置換、42番目(Kabat番号:L42)のアミノ酸残基がGlyからGluへの置換、55番目(Kabat番号:L55)のアミノ酸残基がIleからMetへの置換、56番目(Kabat番号:L56)のアミノ酸残基がSerからAlaへの置換、72番目(Kabat番号:L72)のアミノ酸残基がThrからIleへの置換、74番目(Kabat番号:L74)のアミノ酸残基がArgからSerへの置換、91番目(Kabat番号:L91)のアミノ酸残基がThrからSerへの置換、93番目(Kabat番号:L93)のアミノ酸残基がSerからAsnへの置換、100番目(Kabat番号:L100)のアミノ酸残基がSerからProへの置換、103番目(Kabat番号:L103)のアミノ酸残基がArgからLysへの置換、及び106番目(Kabat番号:L106)のアミノ酸残基がIleからValへの置換からなる群から選ばれる、一又は二以上の置換を含むアミノ酸配列を含む。
(4)重鎖可変領域として、配列番号44のアミノ酸配列又は配列番号44の3番目(Kabat番号:H3)のアミノ酸残基がGlnからHisへの置換、10番目(Kabat番号:H10)のアミノ酸残基がGluからAlaもしくはGlyへの置換、16番目(Kabat番号:H16)のアミノ酸残基がThrからAlaへの置換、19番目(Kabat番号:H19)のアミノ酸残基がLysからArgへの置換、24番目(Kabat番号:H24)のアミノ酸残基がValからIleへの置換、30番目(Kabat番号:H30)のアミノ酸残基がThrからSerへの置換、31番目(Kabat番号:H31)のアミノ酸残基がArgからAlaへの置換、57番目(Kabat番号:H56)のアミノ酸残基がThrからSerへの置換、66番目(Kabat番号:H65)のアミノ酸残基がLysからAsnへの置換、67番目(Kabat番号:H66)のアミノ酸残基がLysからArgへの置換、74番目(Kabat番号:H73)のアミノ酸残基がAlaからValへの置換、77番目(Kabat番号:H76)のアミノ酸残基がAsnからAspもしくはSerへの置換、80番目(Kabat番号:H79)のアミノ酸残基がTyrからSerへの置換、83番目(Kabat番号:H82)のアミノ酸残基がPheからLeuへの置換、85番目(Kabat番号:H82B)のアミノ酸残基がGlyからSerへの置換、89番目(Kabat番号:H85)のアミノ酸残基がGluからAspへの置換、及び91番目(Kabat番号:H87)のアミノ酸残基がThrからSerへの置換からなる群から選ばれる、一又は二以上の置換を含むアミノ酸配列を含み、
軽鎖可変領域として、配列番号76のアミノ酸配列又は配列番号76の13番目(Kabat番号:L13)のアミノ酸残基がThrからAlaへの置換、22番目(Kabat番号:L22)のアミノ酸残基がArgからSerへの置換、25番目(Kabat番号:L25)のアミノ酸残基がAlaからProへの置換、28番目(Kabat番号:L28)のアミノ酸残基がAsnからSerへの置換、31番目(Kabat番号:L31)のアミノ酸残基がSerからAsnへの置換、69番目(Kabat番号:L69)のアミノ酸残基がThrからSerへの置換、79番目(Kabat番号:L79)のアミノ酸残基がGlnからArgへの置換、及び80番目(Kabat番号:L80)のアミノ酸残基がProからAlaへの置換からなる群から選ばれる、一又は二以上の置換又は欠損を含むアミノ酸配列を含む。
(5)重鎖可変領域として、配列番号52、配列番号36、又は配列番号48から選択されるアミノ酸配列を含み、
軽鎖可変領域として、配列番号84、配列番号68、又は配列番号80から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0078】
前記の態様におけるSPNS2中和抗体は、さらに好ましくは重鎖可変領域として、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60又は配列番号62から選択されるアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域として、配列番号66、配列番号68、配列番号70、配列番号72、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号92、又は配列番号94から選択されるアミノ酸配列を含む、抗体である。
【0079】
また、本発明におけるSPNS2中和抗体の一つの態様としては、以下の(1)から(15)の重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む抗体である。
(1)重鎖可変領域として、配列番号34のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域として、配列番号66のアミノ酸配列を含む。
(2)重鎖可変領域として、配列番号36のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域として、配列番号68のアミノ酸配列を含む。
(3)重鎖可変領域として、配列番号38のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域として、配列番号70のアミノ酸配列を含む。
(4)重鎖可変領域として、配列番号40のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域として、配列番号72のアミノ酸配列を含む。
(5)重鎖可変領域として、配列番号42のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域として、配列番号74のアミノ酸配列を含む。
(6)重鎖可変領域として、配列番号44のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域として、配列番号76のアミノ酸配列を含む。
(7)重鎖可変領域として、配列番号46のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域として、配列番号78のアミノ酸配列を含む。
(8)重鎖可変領域として、配列番号48のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域として、配列番号80のアミノ酸配列を含む。
(9)重鎖可変領域として、配列番号50のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域として、配列番号82のアミノ酸配列を含む。
(10)重鎖可変領域として、配列番号52のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域として、配列番号84のアミノ酸配列を含む。
(11)重鎖可変領域として、配列番号54のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域として、配列番号86のアミノ酸配列を含む。
(12)重鎖可変領域として、配列番号56のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域として、配列番号88のアミノ酸配列を含む。
(13)重鎖可変領域として、配列番号58のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域として、配列番号90のアミノ酸配列を含む。
(14)重鎖可変領域として、配列番号60のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域として、配列番号92のアミノ酸配列を含む。
(15)重鎖可変領域として、配列番号62のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域として、配列番号94のアミノ酸配列を含む。
【0080】
なお、抗体におけるCDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2、又はCDR-L3の各配列を同定する方法としては、例えばKabat法(Kabat et al.、The Journal of Immunology、1991、Vol.147、No.5、pp.1709-1719)やChothia法(Al-Lazikani et al.、Journal of Molecular Biology、1997、Vol.273、No.4、pp.927-948)が挙げられる。これらの方法は、この分野の当業者にとっては技術常識であるが、たとえばDr. Andrew C.R. Martins Groupのインターネットホームページ(http://www.bioinf.org.uk/abs/)から概要を知ることも可能である。
【0081】
本発明の抗体である免疫グロブリンのフレームワーク配列は、脊椎動物の免疫グロブリンの各クラスにおけるフレームワーク配列であることが好ましい。特に、ヒト、又はマウスもしくはラットを含む非ヒト動物の免疫グロブリンの各クラスにおけるフレームワーク配列であることが好ましい。
【0082】
以上の重鎖及び軽鎖の各CDR及び/又は各可変領域のアミノ酸配列に、ヒト抗体の重鎖及び軽鎖の各フレームワーク領域及び/又は各定常領域のアミノ酸配列を適宜組み合わせることにより、当業者であれば本発明のヒト化SPNS2中和抗体を設計することが可能である。ヒト化抗体の重鎖及び軽鎖の各フレームワーク領域及び/又は各定常領域のアミノ酸配列は、例えばヒトのIgG、IgA、IgM、IgE、IgDの各クラス又はその変異体から選択することが可能である。
【0083】
本発明のSPNS2中和抗体は、好ましくは、本発明の抗体又はその抗原結合フラグメントは、ヒトIgGクラス又はその変異体、好ましくはヒトIgG4サブクラスもしくはヒトIgG1サブクラス又はそれらの変異体である。1つの例では、安定化IgG4定常領域は、Kabatの系により、ヒンジ領域の位置241においてプロリンを含む。この位置は、EU付番方式(Kabat et al.)、免疫学的に関心のあるタンパク質の配列(Washington DC United States Department of Health and Human Services、2001 and Edelman et al.、Proc. Natl. Acad. Sci USA、63、78-85、1969)により、ヒンジ領域の位置228に対応する。ヒトIgG4では、この残基は一般的にセリンであり、セリンのプロリンへの置換で安定化を誘導することができる。1つの例では、IgG1の定常領域にN297A変異を組み入れてFc受容体への結合及び/又は補体を固定する能力をできるだけ抑えることができる。
【0084】
[競合結合]
本発明のSPNS2中和抗体と、SPNS2に対して競合結合する抗体も、本発明の範囲に含まれる。本発明において「競合結合」とは、複数種のモノクローナル抗体が抗原と共存する際に、一方の抗体の抗原への結合が、他方の抗体の抗原への結合により阻害される現象を意味する。一般的には、一定量(濃度)のモノクローナル抗体に対して、別のモノクローナル抗体の量(濃度)を変えて加えていった場合に、前者の一定量のモノクローナル抗体の抗原への結合量が低下する添加量(濃度)を測定することによって測定可能である。その阻害の程度は、IC50又はKiという値で表すことができる。本発明のSPNS2中和抗体と競合結合するモノクローナル抗体とは、例えば本発明のSPNS2中和抗体を10nMで用いて抗原抗体結合を検出した際に、IC50が通常1000nM以下、中でも100nM以下、更には10nM以下の抗体をいう。競合結合の測定を行う場合、用いる抗体を酵素、蛍光物質、発光物質、放射性同位元素等で標識を行い、その標識した物質の物理的及び/又は化学的特性に適した測定方法を用いて検出することでその測定を行うことも可能である。
【0085】
[SPNS2中和抗体の製造方法]
本発明における抗体は、当業者に周知の技法を用いて得ることができる。本発明における抗体は、ポリクローナル抗体、又はモノクローナル抗体(ミルスタイン(Milstein)等、ネイチャー(Nature)(England)1983年10月6日発行、305巻5934号、p.537~540)である。例えば、ポリクローナル抗体は配列番号1のSPNS2の発現細胞、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、または配列番号8を含むペプチドを抗原とすること、または、配列番号2のSPNS2のヌクレオチドを哺乳動物の筋肉、あるいは、皮下に投与して感作動物で抗原を発現させることで感作し、当該動物の血清等から回収することができる。また、ペプチドを抗原として用いる場合には、BSAやKLH等のキャリアタンパク質やポリリジン等に結合させた形態での抗原を用いることができる。
【0086】
当該発明におけるモノクローナル抗体は、配列番号2のSPNS2のヌクレオチドを当該動物に投与して、当該動物の体内で抗原を産生させて、産生された抗原で感作した哺乳動物から免疫細胞を取り出して骨髄腫細胞等と細胞融合させることにより得られたハイブリドーマをクローニングして、その培養物から回収することができる。そのようなモノクローナル抗体の取得方法としては、実施例6に記載されており、それによって得られたモノクローナル抗体としては配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、及び、配列番号62のVHアミノ酸配列、配列番号66、配列番号68、配列番号70、配列番号72、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号92、及び、配列番号94のVLアミノ酸配列を有するモノクローナル抗体が挙げられるが、それらに限定されるものではない。
【0087】
得られたモノクローナル抗体は、その抗体のタンパク質のアミノ酸をコードする遺伝子配列を有する核酸分子を得ることも可能である。そのような遺伝子配列の取得方法としては、実施例8に記載されており、それによって得られたモノクローナル抗体としては配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43、配列番号45、配列番号47、配列番号49、配列番号51、配列番号53、配列番55、配列番号57、配列番号59、配列番号61、及び、配列番号63のVHアミノ酸配列をコードする遺伝子、配列番号67、配列番号69、配列番号71、配列番号73、配列番号75、配列番号77、配列番号79、配列番号81、配列番号83、配列番号85、配列番号87、配列番号89、配列番号91、配列番号93、及び、配列番号95のVLアミノ酸配列をコードする遺伝子が挙げられるが、それらに限定されるものではない。
【0088】
そのような核酸分子を用いて遺伝子工学的に抗体を作製することも可能である。当該抗体の遺伝子情報はH鎖、L鎖、それらの可変領域はCDR配列等の情報を用いて抗体の結合性や特異性の向上のための改変等を行うことや、マウス等の動物の抗体からヒト型抗体に改変することによって治療剤に用いるために適した構造の抗体を作製することは、この分野での当業者にはよく知られた技術である。また、抗原を感作する動物としてヒト抗体遺伝子が導入された非ヒト-トランスジェニック動物を用いることによって、ヒト型のモノクローナル抗体を取得することも可能である。それ以外にも、動物への感作を必要としない方法として、ヒト抗体の可変領域又はその一部を発現するファージライブラリー(ヒト抗体ファージディスプレイ)を用いて、対応する抗原と特異的に結合する抗体や特定のアミノ酸配列からなるファージクローンを取得し、その情報からヒト抗体を作製する技術も当業者であれば適宜行うことができる(例えば、Taketo Tanaka等、Keio J. Med.、60巻、p37-46のレビュー等を参照。)。
【0089】
また、前述のモノクローナル抗体を製造する方法としては、それぞれ取得したい抗体を産生するハイブリドーマを培養し、得られた培養上清から常法によって抗体を精製して取得することができる。また、別の製造方法としては、取得したい抗体を産生するハイブリドーマやヒト抗体ファージディスプレイで得られたファージクローン等から抗体をコードする遺伝子、より詳細には免疫グロブリンの重鎖及び/又は軽鎖をコードする遺伝子を取得して、当該遺伝子を発現するためのベクターを作製し、宿主細胞(哺乳類細胞、昆虫細胞、微生物等)に導入して、当該抗体を産生させることも可能である。このとき、免疫グロブリンの重鎖及び/又は軽鎖をコードする遺伝子について、望む形質を導入するための遺伝子改変を実施すること、免疫グロブリンの重鎖及び/又は軽鎖の可変領域、又はCDR領域の構造情報を用いてヒト型化抗体、抗体キメラタンパク質、低分子抗体やスキャフォールド抗体を作製することは、公知の技術を用いることで当業者であれば実施することができる。また、抗体の性能の向上や副作用の回避を目的に、抗体の定常領域の構造に改変を入れることや、糖鎖の部分での改変を行うことも、当業者によく知られた技術によって適宜行うことができる。
【0090】
本発明のSPNS2中和抗体は、当業者に周知の技法を用いて得ることができる。具体的に、本発明のSPNS2中和抗体は、通常はモノクローナル抗体(Milstein et al.、Nature、1983、Vol.305、No.5934、pp.537-540)であるところ、斯かるモノクローナル抗体は、例えば以下の手法で作製することが可能である。
【0091】
例えば、本発明のSPNS2中和抗体の免疫グロブリンの重鎖及び/又は軽鎖のアミノ酸配列をコードする核酸分子を作製する。ここで、斯かる核酸分子を各種のベクター又はプラスミドに導入することにより、当該核酸分子を含むベクター又はプラスミドを作製してもよい。次いで、前記の核酸分子、ベクター、又はプラスミドで宿主細胞を形質転換する。宿主細胞としては、例えば哺乳動物細胞、昆虫細胞、酵母細胞、若しくは植物細胞等の真核細胞、又は細菌細胞が挙げられる。次に、この形質転換された宿主細胞を、本発明のSPNS2中和抗体を産生するための適切な条件下で培養する。ここで、必要に応じ、得られた本発明のSPNS2中和抗体を宿主細胞から単離してもよい。これらの手順に用いられる各種の手法は、何れも当業者には周知である。
【0092】
また、動物への感作を用いる方法としては、抗原を感作する動物としてヒト抗体遺伝子が導入された非ヒト-トランスジェニック動物を用い、SPNS2及び/又はその部分ペプチド等を感作させ、免疫細胞を取り出して骨髄腫細胞等と細胞融合させることにより得られたハイブリドーマをクローニングして、得られた培養上清から常法によって抗体を精製して回収することにより得ることができる。そのようなモノクローナル抗体の取得方法としては、例えば国際公開第2013/180238号に記載されている。
【0093】
それ以外にも、所望のヒト化抗体の可変領域又はその一部を発現するファージライブラリー(ヒト抗体ファージディスプレイ)を用いて、対応する抗原と特異的に結合する抗体や特定のアミノ酸配列からなるファージクローンを取得し、その情報からヒト化抗体を作製する技術を用いることもできる(例えば、Taketo Tanaka et al.、The Keio Journal of Medicine、Vol.60、pp.37-46のレビュー等を参照)。
【0094】
ここで、免疫グロブリンの重鎖及び/又は軽鎖をコードする遺伝子について、望む形質を導入するための遺伝子改変を行ったり、免疫グロブリンの重鎖及び/又は軽鎖の可変領域又はCDR領域の構造情報を用いたりすることにより、抗体キメラタンパク質、低分子抗体、スキャフォールド抗体等を作製することは、当業者であれば公知の技術を用いて実施可能である。また、抗体の性能の向上や副作用の回避を目的に、抗体の定常領域の構造に改変を入れることや、糖鎖の部分での改変を行うことも、当業者によく知られた技術によって適宜行うことができる。
【0095】
[SPNS2中和抗体を含有する薬]
本発明のSPNS2中和抗体は、S1Pに関連した状態又はS1P受容体への作用に起因する疾患の進行、再発、若しくは転移の抑制薬、治療薬、又は予防薬として利用可能である。具体的には、S1Pに関連した状態又はS1P受容体への作用に起因する疾患としては、自己免疫疾患の病態を示す、多発性硬化症、関節リウマチ、乾癬、潰瘍性大腸炎、クローン病、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、喘息、アトピー性皮膚炎、移植拒絶反応、全身性強直症、1型糖尿病、視神経炎、ブドウ膜炎、脳卒中、統合失調症、筋萎縮性側索硬化症、皮膚筋炎、多発性筋炎、肺繊維症、橋本甲状腺炎、重症筋無力症、自己免疫性甲状腺炎、及びベーチェット病、がん治療薬として期待できる疾患として、神経芽細胞腫、横紋筋肉腫、骨肉腫、小児がん、卵巣がん、膵臓がん、乳がん、前立腺がん、骨がん、肺がん、結腸直腸がん、頚部がん、滑膜肉腫、膀胱がん、胃がん、ウィルムス腫瘍、転移性カルチノイド及び血管作動性腸管ペプチド分泌腫瘍に関連する下痢、ビポーマ、ウェルナー-モリソン症候群、ベックウィズ-ヴィーデマン症候群、腎臓がん、腎細胞がん、移行上皮がん、ユーイング肉腫、白血病、急性リンパ芽球性白血病、脳腫瘍、膠芽腫、非膠芽腫性脳腫瘍、髄膜腫、下垂体腺腫、前庭神経鞘腫、未分化神経外胚葉性腫瘍、髄芽腫、星状細胞腫、乏突起膠腫、脳室上衣腫、及び脈絡叢乳頭腫が挙げられる。特に、本発明のSPNS2中和抗体はがん転移及び/又は多発性硬化症再発の予防又はそれらの抑制薬としての使用が好ましい。また、本発明のSPNS2中和抗体は投与によって心拍の変動を生じさせない点において優れている。
【0096】
本発明のSPNS2中和抗体を含有する薬は、本発明のSPNS2中和抗体の他に、医薬的に許容される担体及び/又はその他の添加剤を含有する、医薬組成物の形態として製剤化してもよい。医薬的に許容される担体及び/又はその他の添加剤を用いての製剤は、例えばUniversity of the Sciences in Philadelphia、“Remington: The Science and Practice of Pharmacy、20th EDITION”, Lippincott Williams & Wilkins、2000に記載の方法で実施することが可能である。このような薬の一つの形態としては、無菌の水性液又は油性液に溶解、懸濁、又は乳化することによって調製された液剤あるいは凍結乾燥剤として供される。このような溶剤又は溶解液として、水性液としては注射用蒸留水、生理食塩水等が挙げられ、それに加えて浸透圧調節剤(例えば、D-グルコース、D-ソルビトール、D-マンニトール、塩化ナトリウム等)が添加される場合、適当な溶解補助剤、例えばアルコール(例えばエタノール)、ポリアルコール(例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤(例えばポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50)等が併用される場合もある。また、溶剤又は溶解液としては油性液が用いられる場合もあり、該油性液の例としてはゴマ油、大豆油等があげられ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベンジルアルコール等が併用される場合もある。このような製剤においては、適宜、緩衝剤(例えば、リン酸塩類緩衝剤、酢酸塩類緩衝剤)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカイン等)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミン、ポリエチレングリコール等)、保存剤(例えば、アスコルビン酸、エリソルビン酸及びそれらの塩等)、着色剤(例えば、銅クロロフィル、β-カロチン、赤色2号、青色1号等)、防腐剤(例えばパラオキシ安息香酸エステル、フェノール、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム等)、増粘剤(例えばヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びそれらの塩等)、安定化剤(例えば人血清アルブミン、マンニトール、ソルビトール等)、矯臭剤(例えばメントール、柑橘香料等)の添加剤が用いられる場合がある。
【0097】
また別の薬の形態としては、散剤、錠剤、顆粒剤、カプセル剤、丸剤、坐剤、トローチ剤等の固形剤があげられる。経口用製剤の形で投与する固形剤の場合には、添加剤として、賦形剤(例えば、結晶性セルロース、ラクトース、デンプン等)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク等)、結合剤(ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マクロゴール等)、崩壊剤(例えば、デンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム等)等が用いられる。また、必要に応じて、防腐剤(例えば、ベンジルアルコール、クロロブタノール、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル等)、抗酸化剤、着色剤、甘味剤等の添加剤を用いることができる。更に別の形態として、粘膜適用薬もあげられ、この製剤においては粘膜への吸着性、滞留性等を付与することを主な目的として、添加剤として粘着剤、粘着増強剤、粘稠剤、粘稠化剤等(例えば、ムチン、カンテン、ゼラチン、ペクチン、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、ローカストビンガム、キサンタンガム、トラガントガム、アラビアゴム、キトサン、プルラン、ワキシースターチ、スクラルフェート、セルロース、及びその誘導体(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリグリセリン脂肪酸エステル、アクリル酸(メタ)アクリル酸アルキル共重合体、又はその塩、ポリグリセリン脂肪酸エステル等)が含有される場合もある。しかしながら、生体に供与される薬の形態及び溶剤や添加剤はこれらに限定されるものではなく、当業者であれば適宜選択できる。
【0098】
本発明のSPNS2中和抗体を含有する薬は、本発明のSPNS2中和抗体の他に、既存の他の薬物(活性成分)を含んでいてもよい。また、本発明のSPNS2中和抗体を含む薬を、既存の他の薬物と組み合わせ、キットの形態としてもよい。SPNS2中和抗体と組み合わせる活性成分として、免疫抑制剤又はそのアナログ、抗がん剤又はそのアナログ、SPNS2中和抗体又はそのアナログ、アゼラスチン、オキサトミド、メキタジン、フェキソフェナジン、エピナスチン、エバスチン、セチリジン、レボセチリジン、ベポタスチン、エメダスチン、オロパタジン、ロラタジン、レボカバスチン、オザグレル、セラトロダスト、ラマトロバン、プランルカスト、モンテルカスト、ザフィルルカスト、スプラタスト、ジフェンヒドラミン、ジメンヒドリナート、ジフェニルピラリン、クレマスチン、クロルフェニラミン、トリプロリジン、プロメタジン、アリメマジン、ヒドロキシジン、ホモクロルシクリジン、シプロヘプタジン、メサラジン、インターフェロンベータ1b、インターフェロンベータ1a、フィンゴリモド塩酸塩、ナタリムマブ、グラチラマー酢酸塩、フマル酸ジメチル、アプレミラストコルチコステロイド、制吐薬、オンダンセトロン塩酸、グラニセトロン塩酸、メトロクロプラミド(metroclopramide)、ドンペリドン、ハロペリドール、シクリジン、ロラゼパム、プロクロルペラジン、デキサメタゾン、レボメプロマジン、トロピセトロン、癌ワクチン、GM-CSF阻害薬、GM-CSF DNAワクチン、細胞に基づくワクチン、樹状細胞ワクチン、組換えウイルスワクチン、熱ショックタンパク質(HSP)ワクチン、同種腫瘍ワクチン、自己腫瘍ワクチン、鎮痛薬、イブプロフェン、ナプロキセン、トリサリチル酸コリンマグネシウム、オキシコドン塩酸、抗血管形成薬、抗血栓薬、抗PD-1抗体、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、アテゾリズマブ、抗CTLA4抗体、イピリムマブ、抗CD20抗体、リツキシマブ、抗HER2抗体、トラスツズマブ、抗CCR4抗体、モガムリズマブ、抗VEGF抗体、ベバシズマブ、抗VEGF受容体抗体、可溶性VEGF受容体断片、抗TWEAK抗体、抗TWEAK受容体抗体、可溶性TWEAK受容体断片、AMG 706、AMG 386、抗増殖薬、ファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害薬、αvβ3阻害薬、αvβ5阻害薬、p53阻害薬、Kit受容体阻害薬、ret受容体阻害薬、PDGFR阻害薬、成長ホルモン分泌阻害薬、アンジオポエチン阻害薬、腫瘍浸潤マクロファージ阻害薬、c-fms阻害薬、抗c-fms抗体、CSF-1阻害薬、抗CSF-1抗体、可溶性c-fms断片、ペグビソマント、ゲムシタビン、パニツムマブ、イリノテカン、及びSN-38が挙げられる。配合されるSPNS2中和抗体以外の薬物の用量としては、通常の治療に用いられる用量で行うことができるが、状況に応じて増減することも可能である。
【0099】
本発明における薬は、症状の改善を目的として、非経口的に投与することができる。非経口投与の場合には、例えば経鼻剤とすることができ、液剤、縣濁剤、固形製剤等を選択できる。また別の非経口投与の形態としては、注射剤とすることができ、注射剤としては、皮下注射剤、静脈注射剤、点滴注射剤、筋肉注射剤、脳室内注射剤又は腹腔内注射剤等を選択することができる。またその他の非経口投与に用いる製剤としては、坐剤、舌下剤、経皮剤、経鼻剤以外の経粘膜投与剤等も挙げられる。更に、ステントや血管内栓塞剤に含有もしくは塗布する態様で、血管内局所投与することもできる。
【0100】
本発明における薬の投与量は、患者の年齢、性別、体重、症状、治療効果、投与方法、処理時間、又は該医薬組成物に含有される活性成分の種類等により異なるが、通常成人1人あたり、1回につき主剤を1mgから1gの範囲で、好ましくは0.1mgから300mgの範囲で、1週から4週間に1回、もしくは1か月から2か月に1回投与することができる。しかし、投与量及び投与回数は種々の条件により変動するため、前記投与量及び回数よりも少ない量及び回数で充分な場合もあり、また前記の範囲を超える投与量及び投与回数が必要な場合もある。また、本発明における薬は、短い投与期間で効果を得ることが可能である。
【実施例
【0101】
[実施例1]遺伝子クローニング
ヒトSPNS2をコードする全長cDNAは、市販のヒトcDNA(Human MTC Panel II Takara Bio、636743)を鋳型とし、KOD -Plus-Ver.2(東洋紡ライフサイエンス、KOD-211)を用いたPCR反応により増幅した。
【0102】
すなわち、1μLの市販のヒトcDNA、1.5μLのセンスプライマー(配列番号9)、1.5μLのアンチセンスプライマー(配列番号10)、5μLの10×PCR Buffer for KOD -Plus、4μLのdNTP mix(2mM)、2μLの25mM MgSO4、1μLのKOD DNA polymeraseを含む50μLの反応液を、98℃で10秒、58℃で30秒、68℃で2分からなるサイクルを30回行った。PCR反応による増幅産物はZero Blunt TOPO PCR Cloning Kit(サーモフィッシャーサイエンティフィック、K280020)を用いてクローニングベクターpCR Blunt II-TOPOに挿入した。ABI3100 DNAシーケンサーを用い配列の確認を行った結果、ヒトSPNS2の全長をコードするcDNAを単離した。配列番号2で表される配列はヒトSPNS2遺伝子の塩基配列を、配列番号1で表される配列はヒトSPNS2タンパク質のアミノ酸配列を示す。
【0103】
ヒトSPNS2のcDNAを含むpCR Blunt II-TOPOをHindIII、NotIで消化した断片を、pcDNA5/FRT(サーモフィッシャーサイエンティフィック、V601020)のマルチクローニングサイトHindIII、NotIサイトに挿入した。
【0104】
ヒトSphK1は、cDNAクローンライブラリー(オープンバイシステム、MHS1010-7507992)を入手し、それを鋳型に用いたKOD-Plus Ver.2(東洋紡ライフサイエンス、KOD-211)を用いたPCR反応により増幅した。
すなわち、1μLの市販のヒトcDNA、1.5μLのセンスプライマー(配列番号11)、1.5μLのアンチセンスプライマー(配列番号12)、5μLの10×PCR Buffer for KOD-Plus、4μLのdNTP mix(2mM)、2μLの25mM MgSO4、1μLのKOD DNA polymeraseを含む50μLの反応液を、98℃で10秒、58℃で30秒、68℃で2分からなるサイクルを30回行った。PCR反応による増幅産物はZero Blunt TOPO PCR Cloning Kitを用いてクローニングベクターpCR Blunt II-TOPOに挿入した。ABI3100 DNAシーケンサーを用い配列の確認を行った結果、ヒトSphK1の全長をコードするcDNAを単離した。配列番号14で表される配列はヒトSphK1遺伝子の塩基配列を、配列番号13で表される配列はヒトSphK1タンパク質のアミノ酸配列を示す。
【0105】
ヒトSphK1のcDNAを含むpCR Blunt II-TOPOをEcoRI、NotIで消化した断片を、pIRESpuro3(タカラバイオ、631619)のマルチクローニングサイトEcoRI、NotIサイトに挿入した。
【0106】
ヒトS1PR3は、市販のヒトcDNA (Human MTC Panel II タカラバイオ、636743)を鋳型とし、KOD-Plus Ver.2(東洋紡ライフサイエンス、KOD-211)を用いたPCR反応により増幅した。
【0107】
すなわち、1μLの市販のヒトcDNA、1.5μLのセンスプライマー(配列番号15)、1.5μLのアンチセンスプライマー(配列番号16)、5μLの10× PCR Buffer for KOD-Plus、4μLのdNTP mix(2mM)、2μLの25mM MgSO4、1μLのKOD DNA polymeraseを含む50μLの反応液を、98℃で10秒、58℃で30秒、68℃で2分からなるサイクルを30回行った。PCR反応による増幅産物はZero Blunt TOPO PCR Cloning Kitを用いてクローニングベクターpCR Blunt II-TOPOに挿入した。ABI3100 DNAシーケンサーを用い配列の確認を行った結果、ヒトS1PR3の全長をコードするcDNAを単離した。配列番号18で表される配列はヒトS1PR3遺伝子の塩基配列を、配列番号17で表される配列はヒトS1PR3タンパク質のアミノ酸配列を示す。
【0108】
ヒトS1PR3のcDNAを含むpCR Blunt II-TOPOをEcoRI、NotIで消化した断片を、pIRESpuro3(タカラバイオ、631619)のマルチクローニングサイトEcoRI、NotIサイトに挿入した。
【0109】
マウスSPNS2は、遺伝子配列を人工合成した配列をpcDNA5/FRT(サーモフィッシャーサイエンティフィック、V601020)のマルチクローニングサイトHindIII、NotIサイトに挿入した。配列番号20で表される配列はマウスSPNS2遺伝子の塩基配列を、配列番号19で表される配列はマウスSPNS2タンパク質のアミノ酸配列を示す。
【0110】
[実施例2]安定発現細胞の作製
ヒトSphK1安定発現細胞はヒトSphK1遺伝子を組込んだpIRESpuro3発現ベクターをリポフェクション法により導入し、ピューロマイシン含有選択培地で安定発現細胞株を作製した。ヒト及びマウスSPNS2発現細胞はヒトSphK1安定発現Flp-In-293 Cell細胞(サーモフィッシャーサイエンティフィック、 R75007)にリポフェクション法によりヒト及びマウスのSPNS2遺伝子を組込んだpcDNA5/FRT発現ベクターとFlp-Recombinase発現ベクターである pOG44(サーモフィッシャーサイエンティフィック、V600520)を導入し、ハイグロマイシン含有選択培地で安定発現細胞株を作製した。ヒトS1PR3安定発現細胞は、CHO細胞にヒトS1PR3遺伝子を組込んだpIRESpuro3発現ベクターをリポフェクション法により導入し、ピューロマイシン含有選択培地で安定発現細胞株を作製した。ここで作製した安定発現株を、Cell ELISA、S1P産生抑制評価に使用した。
【0111】
[実施例3]安定発現細胞の機能確認
一般的に生体試料中のS1Pの定量にはマススペクトル法が用いられている。ヒトSPNS2、SphK1二重安定発現細胞株またはMockベクター(pcDNA5/FRT)、SphK1二重安定発現細胞株をポリDリジンコート6ウェルプレート(Corning、356413)に2mL/ウェル(8×10cells/ウェル)で播種し一晩培養した。翌日、ヒトSPNS2、SphK1二重安定発現細胞株またはMockベクター(pcDNA5/FRT)、SphK1二重安定発現細胞株の培養上清を除き、1% BSA含有DMEMに培地を交換し、0.5、1、2、4、8、24時間と継時的に200μLの上清を回収した。回収した上清50μLを100nMの内部標準(C17-S1P Avanti Polar Lipids、 860641P)を含有したメタノール150μLで希釈し、ボルテックスミキサーで良く攪拌した後に、12000rpmで5分遠心することで除タンパクを行った。その上清を質量分析計 (島津LCMS-8030)で測定した。測定に際し、S1Pの検出には親イオンm/z380.15, 子イオンm/z264.30、内部標準であるC17-S1Pの検出には親イオンm/z366.20、子イオンm/z250.25を用いた。液体クロマトグラフィーの条件には溶液A(0.1% ギ酸)、溶液B(0.1% ギ酸MeCN/MeOH 3:1)、HPLCカラム(島津LunaC8(2) 3.0μm 30mm×4.60mm, 00A-4248-E0)を用いた。測定条件の詳細を示す。インジェクション量は60μL、サンプルクーラー保温温度は10℃、カラムオーブン保温温度は40℃、流速は1mL/1min、溶媒は60%の溶液Bを2分50秒流した後に、10秒間で98%まで溶媒Bの濃度を上昇させ、その後1分50秒間98%の溶液Bを流した。その後、60%の溶液Bを1分10秒流し、得られた目的ピークのエリア値をシグナルとして検出した。ヒトSPNS2、SphK1二重安定発現細胞株の培養上清にはMockベクター導入細胞と比較しS1Pが多く存在していることが確認できた(図3)。
【0112】
[実施例4]N末端、C末端の局在確認
一般的にSLCトランスポーターは12回膜貫通型タンパク質であるがSPNS2の詳細なドメイン構造は明らかになっていない。膜貫通領域予測プログラムTMHMM(HTTP://www.cbs.dtu.dk/services/TMHMM/)serverを用いた予測では、11個の膜貫通ドメインの存在が予測された。そこで、SPNS2のN末端、C末端にFLAG配列を付加したSPNS2コンストラクトを作製し、N末端、C末端の局在を調べた。pcDNA5/FRTに挿入したヒトSPNS2を鋳型に、PCRでSPNS2のcDNA配列のN末端、C末端にFLAG配列を付加した。PCR条件は1μLのpcDNA5/FRTに挿入したヒトSPNS2、1.5μLのN末端FLAG付加用センスプライマー(配列番号23)、N末端FLAG付加用1.5μLのアンチセンスプライマー(配列番号24)もしくは1.5μLのC末端FLAG付加用センスプライマー(配列番号25)、1.5μLのC末端FLAG付加用アンチセンスプライマー(配列番号26)、5μLの10× PCR Buffer for KOD-Plus、4μLのdNTP mix(2mM)、2μLの25mM MgSO4、1μLのKOD DNA polymeraseを含む50μLの反応液を、98℃で10秒、58℃で30秒、68℃で2分からなるサイクルを30回行った。PCR反応による増幅産物はZero Blunt TOPO PCR Cloning Kitを用いてクローニングベクターpCR Blunt II-TOPOに挿入した。その後制限酵素消化により、FLAGタグ配列を付加したヒトSPNS2cDNA配列を切り出し、pIRESpuro3(タカラバイオ、631619)のマルチクローニングサイトEcoRI、NotIサイトに挿入した。ポリDリジンコート24ウェルプレート(Corning、354470)に0.5mL/ウェル(1×10cells/ウェル)でHEK293T細胞を播種し、翌日FLAG配列を付加したSPNS2遺伝子を組込んだpIRESpuro3発現ベクターをリポフェクション法により導入し、一晩培養した。翌日、膜透過処理もしくは膜透過処理をしない方法で抗FLAG抗体(シグマアルドリッチ、F1804)により染色した。
【0113】
膜透過処理をしない方法の詳細:培地を除きPBSでウェルを洗浄後、3%BSA、0.2%Serumを含むPBSで10μg/mLに希釈した抗FLAG抗体を200μL/ウェルで添加し、室温にて1時間反応させ、PBSでウェルを2回洗浄後、3%BSA、0.2%Serumを含むPBSで1μg/mLに希釈したAlexa488 anti mouse IgG(サーモフィッシャーサイエンティフィック、A-11001)を200μL/ウェルで添加し、室温にて1時間反応させ、PBSでウェルを2回洗浄後、蛍光顕微鏡で観察した。
【0114】
膜透過処理方法の詳細:培地を除きPBSでウェルを洗浄後、4%パラフォルムアルデヒドを添加し、室温にて5分間放置した後に、4%パラフォルムアルデヒドを除き、0.5%TritonX-100を含むPBSを添加し、室温にて15分放置後、溶液を除いた。3%BSA、0.2%Serumを含むPBSで室温にて30分放置し、PBSでウェルを洗浄後、3%BSA、0.2%Serumを含むPBSで10μg/mLに希釈した抗FLAG抗体を200μL/ウェルで添加し、室温にて1時間反応させ、PBSでウェルを2回洗浄後、3%BSA、0.2%Serumを含むPBSで1μg/mLに希釈したAlexa488 anti mouse IgG(サーモフィッシャーサイエンティフィック、A-11001)、2μg/mL Hoechst 33342 solution(同仁化学研究所、346-07951)を200μL/ウェルで添加し、室温にて1時間反応させ、PBSでウェルを2回洗浄後、蛍光顕微鏡で観察した。
【0115】
N末端、C末端共に膜透過処理した条件でのみFLAGのシグナルが検出され、N末端、C末端共に細胞内にある事が分かった(図4)。この結果から、SPNS2の膜貫通ドメインは偶数個あることが想定された。SOUSI(http://harrier.nagahama-i-bio.ac.jp/sosui/)serverを用いた膜貫通領域予測から得られた予測膜貫通領域のうち、TMHMMで膜貫通領域と予測されなかった最もN末端に近い領域を1回目の膜貫通領域として加えたものを推定細胞外領域とした(図1、2)。
【0116】
[実施例5]ラット抗ヒトSPNS2抗体の作製
ヒトSPNS2の遺伝子配列をpIRESpuro3(タカラバイオ、631619)のEcoRI、NotIに組み込みんだ。ヒトSPNS2発現ベクターの大量調製には、EndoFree Plasmid Giga Kit(QIAGEN社)を用いた。
【0117】
免疫にはSLC/wisterラットの雌(日本エスエルシー社)を使用した。まずラット前脛骨筋に、pIRESpuro3にヒトSPNS2を組み込んだ発現ベクターを筋注した。続けて、ECM830(BTX社)を使用し、2ニードル電極を用いて、同部位にインビボエレクトロポレーションを実施した。二週間に一度、同様のインビボエレクトロポレーションを計4回繰り返した後、ヒトSPNS2、SphK1二重安定発現細胞株を腹腔内に投与し、3日後ラットの脾臓を採取し、ハイブリドーマ作製に用いた。
【0118】
[実施例6]ラットモノクローナル抗体産生ハイブリドーマの作製
ラットモノクローナル抗体は、Kohlerら(Nature 256:495-497、1975)のハイブリドーマ法により作製し得る。ラットにヒトSPNS2をDNA plasmid、及び発現細胞で免疫して、ラットから採取したリンパ球とマウスミエローマ細胞株(P3U1)を電気細胞融合法により融合させた。具体的には1.8×10細胞のP3U1と、ラットリンパ球をECF buffer(0.3Mマンニトール、10mM CaCl、10mM MgCl、1mg/mL BSA)700μLに懸濁し、細胞融合装置(ECFG21, ネッパジーン)、2mm間隔電極を使用し交流電圧30V 10秒、直流電圧350V 30μ秒×3回の電圧をかけることで融合させた。融合後の細胞はヒポキサンチン、アミノプテリン、及びチミジンを含有する培地を使用してハイブリドーマを選択した。ハイブリドーマの培養液を用いて、ヒトSPNS2、ヒトSphK1二重安定発現Flp-In-293 Cell細胞を用いたCell ELISAによる結合性評価を実施した。結合性が認められた108クローンの培養上清を用いて、S1P産生抑制能(中和活性)を評価し、中和活性を有する陽性ハイブリドーマ含有ウェルを選択した。この際、結合性のみを有する陰性クローンも1クローン取得した。陽性ウェルに含まれるハイブリドーマを限界希釈法によってシングルクローン化した。このシングルクローン化した陽性ハイブリドーマ培養液中からProtein G Sepharose 4 Fast Flow(GEヘルスケア、17061801)を使用してモノクローナル抗体を精製した。精製抗体はナノドロップ(ND-1000、サーモフィッシャーサイエンティフィック)を用いて、280nmの吸光値を用いて濃度を算出した。このモノクローナル抗体を使用して、SPNS2結合性評価及びS1P産生抑制能を再評価し、15クローンのSPNS2中和抗体を見出した。
【0119】
[実施例7]抗体アイソタイプの決定
抗SPNS2抗体の抗体アイソタイプを決定するために、抗体のアイソタイプに特異的な抗体を用いて、ELISAを実施した。PBSにて1μg/mLに希釈した抗ラットIgG抗体(SouthernBiotech、3051-01)を、50μL/ウェルで96ウェルプレート(Nunc、MaxiSorp)に添加し、4℃で一晩静置した。96ウェルプレートを3%BSA/PBSに置換したものをELISAに使用した。抗SPNS2抗体を3%BSA/PBSで1μg/mLに希釈し、抗ラットIgG抗体を固定化させた96ウェルプレートに30μL/ウェルで添加し、室温にて1時間反応させた。洗浄液(0.05% Tween20含有PBS)にて洗浄した後、ラットIgGの各種アイソタイプに特異的に反応する抗体、抗ラットIgG1抗体-ALPコンジュゲート(SouthernBiotech、3061-04)、抗ラットIgG2a抗体-ALPコンジュゲート(SouthernBiotech、3065-04)、抗ラットIgG2b抗体-ALPコンジュゲート(SouthernBiotech、3070-04)、抗ラットIgG2c抗体-ALPコンジュゲート(SouthernBiotech、3075-04)、抗ラットKappa抗体-ALPコンジュゲート(SouthernBiotech、3090-04)及び抗ラットIgM抗体-ALPコンジュゲート(SouthernBiotech、3090-04)を3%BSA/PBSで1000倍希釈したものを30μL/ウェルで添加し、室温にて1時間反応させた。基質(PNPP)を100μL/ウェルで添加し、室温にて2時間反応させ、吸光度405-550nmを算出した。吸光度405-550nmの値を結合活性として評価した。軽鎖ラムダ鎖に関してはカッパ鎖に反応しない抗体をラムダ鎖と判断した。各抗体のアイソタイプを表1に記載する
【0120】
【表1】
【0121】
[実施例8]抗体の配列の決定
抗SPNS2抗体産生ハイブリドーマからRNeasy Mini Kit (Qiagen、74106)を用いて製品に付属の方法に従ってTotal RNAを抽出した。RNA濃度を吸光度法により定量した後に、Total RNA 1μgからOmniscript RT Kit(Qiagen、205113)を用い、製品に付属の方法に従ってcDNAを作製した。作製したcDNAを鋳型として抗体可変領域をコードする遺伝子をTks Gflex DNA Polymerase(タカラバイオ、R060A)を用いたPCR反応により増幅した。
【0122】
すなわち、1μLの上記で作製したcDNA、12.5μLのプライマーセット (各1μM、表2)、25μLの2×Gflex PCR Buffer(Mg2+, dNTP plus)、1μLのTks Gflex DNA Polymeraseを含む50μLの反応液を、98℃で10秒、55℃で10秒、68℃で30秒からなるサイクルを30回行った。
【0123】
ハイブリドーマクローンの抗体遺伝子決定に用いたプライマーセットに含まれるプライマーの配列を表2に、各ハイブリドーマクローンの抗体遺伝子決定に用いたプライマーの組み合わせは表3に示す。プライマーセットで増幅が無かった、表3に記載の一部クローンに関しては、SMARTer(登録商標) RACE 5’/3’Kit(タカラバイオ、634858)を用いて5’RACE法を行った。Total RNA 1μgを5’-CDS primer A 1μLと混和し、dH2Oで11μLにした後に、72℃で3分、42℃で2分、4℃で2分保温した。その後RNA溶液に5×First Strand Buffer 4μL、DTT(100mM)0.5μL、dNTP(20mM)1μL、SMARTer II Oligonucleotide 1μL、Rnase Inhibitor 0.5μL、SMART Scribe Rtase 2μLを加えたのちに、42℃で90分、70℃で10分間保温したものを、dH2Oで10倍希釈したものを鋳型としてPCRに用いた。5‘RACE PCRは25μLの2×Tks Gflex Buffer、1μLのTks GflexTM DNA Polymerase、5μLの10×UPM、1μLのアンチセンスプライマー(配列番号247)、2.5μLの10倍希釈した5’RACE cDNAに水で計50μLに希釈し、PCR反応条件94℃で10秒、55℃で10秒、68℃で1分のサイクルを25サイクル反応させ、抗体のcDNAを増幅させた。
【0124】
PCR産物をZero Blunt TOPO PCR Cloning Kit(サーモフィッシャーサイエンティフィック、K280020)を用いて製品に添付の方法に従って、クローニングベクターへ挿入した。E. coli DH5α Competent Cells(タカラバイオ、9057)へ形質転換後、カナマイシン含有寒天培地に播種し、クローンを選択した後に、塩基配列決定用プライマー(配列番号21)を用いて、挿入したcDNAの塩基配列を決定した。決定した各抗SPNS2抗体の可変領域の塩基配列およびアミノ酸配列を表4と表5に示す。
【0125】
【表2】
【0126】
【表3】
【0127】
【表4】
【0128】
【表5】
【0129】
[実施例9]SPNS2に対する結合活性(Cell ELISA)
ヒトSPNS2及びマウスSPNS2に対する抗SPNS2抗体の結合活性を検討するために、SPNS2を発現させた細胞を用いてCell ELISAを実施した。
【0130】
ヒト及びマウスSPNS2、ヒトSphK1二重安定発現Flp in293細胞を1×10cells/ウェルでポリDリジンコート96ウェルプレート(Corning、356461)に添加して一晩培養後、培地を捨てた後に0.2%FBS/3%BSA/PBSにて抗SPNS2抗体溶液を20μg/mLに調製し、20μLの抗体希釈液に60μLの0.2%FBS/3%BSA/PBSを添加することにより4倍系列希釈液を7段階分調製した。抗SPNS2抗体の各希釈液を30μL/ウェルで添加して、室温にて約1時間反応させた。抗体溶液を捨て0.05% Tween20含有PBS(PBS-T)にて2回洗浄した後、10%緩衝ホルマリン(Mildform(登録商標)10NM、Wako)を用いて室温にて約10分間固定した。PBS-Tにて1回洗浄した後、0.2%FBS/3%BSA/PBSにて5000倍希釈した抗ラットIgG抗体HRPコンジュゲート(SouthernBiotech、3030-05)溶液を各ウェルに30μL添加して、室温にて約1時間反応させた。PBS-Tにて4回洗浄した後、各ウェルに基質(TMB; 3, 3’, 5, 5’-tetramethylbenzidin)を100μL添加して反応を開始させた。約20分後に各ウェルに100μLの2N硫酸を添加して450及び550nmの吸光度を測定し、吸光度450-550nmを算出した。各抗体の最高濃度時の吸光度に対する50%吸光値を示す濃度の対数値、最高吸光度Emaxとして算出した(表6)。各抗体は、ヒト及びマウスのSPNS2に結合した。
【0131】
【表6】
【0132】
[実施例10]抗SPNS2抗体の結合部位の解析(フローサイトメトリー)
抗SPNS2抗体のSPNS2に対する結合部位を同定するために、ヒトSPNS2の細胞外ループ配列にFLAGタグ配列(配列番号22)を挿入した変異体に対する抗SPNS2抗体の結合性を測定した。
【0133】
具体的には、ヒトSPNS2の細胞外ループ配列にFLAGタグ配列を挿入した、以下の4つの変異体を作製した。
(変異体1)ヒトSPNS2の細胞外ループ1配列(配列番号3)を変異させた変異体1(配列番号160)。
(変異体2)ヒトSPNS2の細胞外ループ5配列(配列番号5)を変異させた変異体2(配列番号164)。
(変異体3)ヒトSPNS2の細胞外ループ7配列(配列番号6)を変異させた変異体3(配列番号166)。
(変異体4)ヒトSPNS2の細胞外ループ11配列(配列番号8)を変異させた変異体4(配列番号170)。
【0134】
HEK293細胞にリポフェクション法により、上記4種のSPNS2の変異体1から4の遺伝子(配列番号161、165、167、171)をそれぞれ組込んだpcDNA5/FRT(サーモフィッシャーサイエンティフィック、V601020)を導入した。リポフェクション後に一晩培養したHEK293細胞を培養皿から回収し、抗FLAG抗体(シグマアルドリッチ、F1804)及び抗SPNS2抗体各20μg/mL含有するCell Staining Buffer(BioLegend、420201)で室温にて30分反応させた。Cell Staining Bufferで一回洗浄した後に、抗FLAG抗体を抗マウスIgG-Alexa647コンジュゲート抗体、抗SPNS2抗体を抗ラットIgG-FITCコンジュゲート抗体で検出し、フローサイトメーターBD LSRFortessa(Becton Dickinson)で測定した。各変異体に対する結合をFITC陽性細胞率/Alexa647陽性細胞率で算出し、その割合が0.1未満であった場合(+)、0.1以上0.5未満であった場合(±)、0.5以上であった場合(-)と表記し、表7に記載した。
【0135】
【表7】
【0136】
各抗体は主に細胞外ループ1配列と細胞外ループ5配列に結合した。SPNS2中和活性を持つ抗体は、主に細胞外ループ1配列と細胞外ループ5配列に結合し、中和活性の無い抗体は細胞外ループ7配列と細胞外ループ11配列に結合したことから、SPNS2中和活性を得る為には細胞外ループ1配列及び細胞外ループ5配列を認識する事が重要であることが分かった。なお、SPNS2阻害活性が認められなかった82-1109AはCDR-H1(配列番号107)、CDR-H2(配列番号119)、CDR-H3(配列番号128)、CDR-L1(配列番号139)、CDR-L2(配列番号148)、CDR-L3(配列番号159)をCDRとして保有し、細胞外ループ1配列、細胞外ループ5配列に結合しなかった。
【0137】
[実施例11]SPNS2中和抗体のエピトープの決定
より詳しく結合部位を限定する為に、SPNS2中和抗体が結合した細胞外ループ1と細胞外ループ5、及びFLAG配列挿入変異体で抗FLAG抗体の反応性が見られなかった細胞外ループ3についてアミノ酸を置換した変異体を作製した。細胞外ループ1のアラニン変異体(配列番号1の配列の127番目ロイシン置換体L127A(配列番号172)、128番目アスパラギン酸置換体D128A(配列番号173)、129番目イソロイシン置換体I129A(配列番号174)、130番目グルタミン置換体Q130A(配列番号175)、131番目グルタミン置換体Q131A(配列番号176)、132番目ヒスチジン置換体H132A(配列番号177)、133番目フェニルアラニン置換体F133A(配列番号178)、134番目グリシン置換体G134A(配列番号179)、135番目バリン置換体V135A(配列番号180)、136番目リジン置換体K136A(配列番号181)、137番目アスパラギン酸置換体D137A(配列番号182)、138番目アルギニン置換体R138A(配列番号183)、139番目グリシン置換体G139A(配列番号184))、細胞外ループ3のアラニン変異体(配列番号1の配列の189番目プロリン置換体P189A(配列番号185)、190番目グルタミン置換体Q190A(配列番号186)、191番目グルタミン置換体Q191A(配列番号187)、192番目チロシン置換体Y192A(配列番号188)、193番目フェニルアラニン置換体F193A(配列番号189)、194番目トリプトファン置換体W194A(配列番号190)、195番目ロイシン置換体L195A(配列番号191)、196番目ロイシン置換体L196A(配列番号192)、197番目バリン置換体V197A(配列番号193)、198番目ロイシン置換体L198A(配列番号194)、199番目セリン置換体S199A(配列番号195)、200番目アルギニン置換体R200A(配列番号196)、201番目グリシン置換体G201A(配列番号197)、202番目ロイシン置換体L202A(配列番号198))、細胞外ループ5のアラニンまたはフェニルアラニン変異体(配列番号1の配列の252番目バリン置換体V252A(配列番号199)、253番目リジン置換体K253A(配列番号200)、254番目グルタミン置換体Q254A(配列番号201)、255番目アラニン置換体A255F(配列番号206)、256番目アラニン置換体A256F(配列番号207)、257番目グリシン置換体G257A(配列番号202)、258番目アスパラギン酸置換体D258A(配列番号203)、259番目トリプトファン置換体W259A(配列番号204)、260番目ヒスチジン置換体H260A(配列番号205))を作製した。L127A変異体の遺伝子(配列番号208)、D128A変異体の遺伝子(配列番号209)、I129A変異体の遺伝子(配列番号210)、Q130A変異体の遺伝子(配列番号211)、Q131A変異体の遺伝子(配列番号212)、H132A変異体の遺伝子(配列番号213)、F133A変異体の遺伝子(配列番号214)、G134A変異体の遺伝子(配列番号215)、V135A変異体の遺伝子(配列番号216)、K136A変異体の遺伝子(配列番号217)、D137A変異体の遺伝子(配列番号218)、R138A変異体の遺伝子(配列番号219)、G139A変異体の遺伝子(配列番号220)、P189A変異体の遺伝子(配列番号221)、Q190A変異体の遺伝子(配列番号222)、Q191A変異体の遺伝子(配列番号223)、Y192A変異体の遺伝子(配列番号224)、F193A変異体の遺伝子(配列番号225)、W194A変異体の遺伝子(配列番号226)、L195A変異体の遺伝子(配列番号227)、L196A変異体の遺伝子(配列番号228)、V197A変異体の遺伝子(配列番号229)、L198A変異体の遺伝子(配列番号230)、S199A変異体の遺伝子(配列番号231)、R200A変異体の遺伝子(配列番号232)、G201A変異体の遺伝子(配列番号233)、L202A変異体の遺伝子(配列番号234)、V252A変異体の遺伝子(配列番号235)、K253A変異体の遺伝子(配列番号236)、Q254A変異体の遺伝子(配列番号237)、A255F変異体の遺伝子(配列番号242)、A256F変異体の遺伝子(配列番号243)、G257A変異体の遺伝子(配列番号238)、D258A変異体の遺伝子(配列番号239)、W259A変異体の遺伝子(配列番号240)、H260A変異体の遺伝子(配列番号241)を人工合成した。HEK293T細胞にリポフェクション法により、上記36種のSPNS2の1アミノ酸変異体の遺伝子を組込んだpcDNA5/FRT (サーモフィッシャーサイエンティフィック、V601020)を導入した。リポフェクション後に一晩培養したHEK293T細胞を培養皿から回収し、抗SPNS2抗体を20μg/mL含有するCell Staining Buffer(BioLegend、420201)に懸濁し室温で30分間反応させた。Cell Staining Bufferで一回洗浄した後に、抗SPNS2抗体を抗ラットIgG-FITCコンジュゲート抗体で検出し、フローサイトメーターBD LSRFortessa (Becton, Dickinson)で測定した。得られたデータは(各変異体に対する各SPNS2中和抗体陽性細胞率/抗SPNS2抗体82-1109A陽性細胞率)/(野生型に対する各SPNS2中和抗体陽性細胞率/抗SPNS2抗体82-1109A陽性細胞率)で算出し、その割合が0.8以上であった場合は結合量変化なし(+)、0.5以上0.8未満であった場合は結合量が減少(±)、0.5未満であった場合は結合量が顕著に減少(-)と表記した(表8)。
【0138】
【表8】
【0139】
SPNS2中和抗体は細胞外ループを跨ってSPNS2との結合に重要なアミノ酸がある事が分かり、この結果からSPNS2中和抗体はSPNS2の立体構造を認識する抗体である事が示唆された。各SPNS2中和抗体に必要なアミノ酸残基を総合して考察すると、細胞外ループ1は少なくとも配列番号3のN末端から1番目のLeu(配列番号1の127番目のLeu)から13番目のGly(配列番号1の139番目のGly)を含む配列であり、細胞外ループ3は少なくとも配列番号4のN末端から2番目のGln(配列番号1の190番目のGln)から12番目のArg(配列番号1の200番目のArg)を含む配列であり、細胞外ループ5は少なくとも配列番号5のN末端から1番のVal(配列番号1の252番目のVal)から9番目のHis(配列番号1の260番目のHis)を含む配列であることが示された。また、SPNS2のS1P輸送を阻害する抗体は細胞外ループ1、細胞外ループ3または細胞外ループ5に結合することでS1P輸送に必要な構造変化を阻害していると考えられた。
【0140】
[実施例12]S1P検出バイオアッセイ法を用いた抗SPNS2抗体によるSPNS2を介したS1P輸送能に及ぼす影響の評価
SPNS2を介したS1P輸送に対する抗SPNS2抗体の阻害作用を検出するために、S1P受容体の下流シグナルの活性化を指標にバイオアッセイ法を構築した。
【0141】
S1Pを産生する細胞として、ヒトまたはマウスのSPNS2、ヒトSphK1遺伝子二重安定発現Flp in 293細胞を使用した。S1Pを検出する細胞として、ヒトS1PR3安定発現CHO細胞を使用した。SPNS2によるS1P輸送能を測定するために、SPNS2、SphK1二重安定発現細胞株の培養上清をS1PR3安定発現細胞株に添加し、その結果から生じるS1PR3下流シグナルであるCa2+の細胞内濃度上昇を、Ca2+蛍光検出試薬(FLIPR Calcium 6 Evaluation Kit)(Molecular Devices、R8191)で検出した。
【0142】
ヒトあるいはマウスSPNS2、ヒトSphK1二重安定発現細胞株をポリDリジンコート96ウェルプレート(Corning、356461)に100μL/ウェル(5×104cells/ウェル)で播種し、S1PR3安定発現細胞株をポリDリジンコート96ウェルプレートBlack/Clear plate(Corning、356640)に血清2%含有、0.8%BSA含有のF12培地で100μL/ウェル(2×10cells/ウェル)で播種し、一晩培養した。翌日、ヒトあるいはマウスSPNS2、ヒトSphK1二重安定発現細胞株の培養上清を除き、1%BSA含有DMEMに20μg/mLの抗SPNS2抗体を含む溶液を用いて、100μLの抗体希釈液に200μLの1%BSA含有DMEMを添加することにより3倍系列希釈液を7段階分調製した各抗体溶液を100μL/ウェルで添加し、37℃で4時間反応させた後、上清を回収した。FLIPR(登録商標)Ca2+蛍光検出試薬(FLIPR Calcium 6 Evaluation Kit)(Molecular Devices、R8191)の製品添付の方法に従って、100倍希釈した培養上清を添加した際のS1PR3安定発現細胞株の細胞内Ca2+上昇を、リアルタイム蛍光モニタリング装置FLIPR Tetra(Molecular Devices)を用いて測定することで、上清中のS1P量を検出した。抗SPNS2抗体による阻害活性は、1% BSA含有DMEMのみを処置した群の活性を100%として算出した。ヒトSPNS2に対する阻害結果を図5、マウスSPNS2に対する阻害結果を図6に示す。また各抗体の50%阻害活性を示す濃度の対数値(pIC50)を算出し、表9に示す。
【0143】
結果として、18-0211B、33-0503E、37-0511F、49-0703G、50-0704C、53-0707E、64-080
7A、65-0810G、80-1104A、83-1110B、84-1111F、89-1207D、93-1310F、94-1311E及び96-1403Fの15クローンの抗体でSPNS2を介したS1P輸送能の阻害活性が認められた。
一方、82-1109Aでは当該阻害活性は認められなかった。
【0144】
【表9】
【0145】
[実施例13]マススペクトルによるS1P検出法を用いた抗SPNS2抗体によるSPNS2を介したS1P輸送能に及ぼす影響の評価
一般的に生体試料中のS1Pの定量にはマススペクトル法が用いられている。
【0146】
ヒトあるいはマウスSPNS2、ヒトSphK1二重安定発現細胞株を、ポリDリジンコート96ウェルプレート(Corning、356461)に100μL/ウェル(5×10cells/ウェル)で播種し、一晩培養した。翌日、ヒトあるいはマウスSPNS2、ヒトSphK1二重安定発現細胞株の培養上清を除き、1%BSA含有DMEMに20μg/mLの抗SPNS2抗体を含む溶液を用いて、100μLの抗体希釈液に200μLの1%BSA含有DMEMを添加することにより3倍系列希釈液を7段階分調製した各抗体溶液を100μL/ウェルで添加し、37℃で4時間反応させた後、上清を回収した。回収した上清50μLを100nMの内部標準(C17-S1P Avanti Polar Lipids、 860641P)を含有したメタノール150μLで希釈し、ボルテックスミキサーで良く攪拌した後に、12000rpmで5分遠心することで除タンパクを行った。その上清を質量分析計 (島津LCMS-8030)で測定した。測定に際し、S1Pの検出には親イオンm/z380.15、子イオンm/z264.30、内部標準であるC17-S1Pの検出には親イオンm/z366.20、子イオンm/z250.25を用いた。液体クロマトグラフィーの条件には溶液A(0.1%ギ酸)、溶液B(0.1%ギ酸MeCN/MeOH 3:1)、HPLCカラム(島津LunaC8(2) 3.0μm 30mm×4.60mm, 00A-4248-E0)を用いた。測定条件の詳細を示す。インジェクション量は60μL、サンプルクーラー保温温度は10℃、カラムオーブン保温温度は40℃、流速は1mL/1min、溶媒は60%の溶液Bを2分50秒流した後に、10秒間で98%まで溶媒Bの濃度を上昇させ、その後、1分50秒間98%の溶液Bを流した。その後、60%の溶液Bを1分10秒流し、得られた目的ピークのエリア値をシグナルとして検出した。抗SPNS2抗体による阻害活性は、1%BSA含有DMEMのみを処置した群の活性を100%として算出した。
【0147】
ヒトSPNS2に対する阻害結果を図7、マウスSPNS2に対する阻害結果を図8に示す。また各抗体の50%阻害活性を示す濃度の対数値(pIC50)を算出し、表10に示す。結果として、18-0211B、33-0503E、37-0511F、49-0703G、50-0704C、53-0707E、64-0807A、65-0810G、80-1104A、83-1110B、84-1111F、89-1207D、93-1310F、94-1311E及び96-1403Fの15クローンの抗体でSPNS2を介したS1P輸送能の阻害活性が認められた。一方、82-1109Aでは当該阻害活性は認められなかった。
【0148】
【表10】
【0149】
[実施例14]SPNS2中和抗体クローン間の相同性解析
実施例12及び13において、18-0211B、33-0503E、37-0511F、49-0703G、50-0704C、53-0707E、64-0807A、65-0810G、80-1104A、83-1110B、84-1111F、89-1207D、93-1310F、94-1311E及び96-1403Fの15クローンの抗体は、SPNS2のS1P輸送能の阻害活性(中和活性)を有することから、SPNS2中和抗体であることが示された。そのため、この15クローンの重鎖(H鎖)可変領域及び軽鎖(L鎖)可変領域について、クローン間の相同性の解析を行った。相同性解析は、各クローンの重鎖(H鎖)可変領域及び軽鎖(L鎖)可変領域のアミノ酸配列(配列番号との対応は表5を参照)に対して、Needleman-Wunsch algorithm(Journal of Molecular Biology, 1970 Vol.48 pp443-453)の方法で、Matrix:EBLOSUM62、Gap open:100、Gap extend:0.5、End Gap Penalty:false、End Gap Open Penalty:100及びEnd Gap Extension Penalty:0.5の条件で行った。また、Phylogenetic Tree解析はPRRN法(http://www.genome.jp/tools-bin/prrn)を用いて行った。各クローンの重鎖(H鎖)可変領域及び軽鎖(L鎖)可変領域のアミノ酸の相同性解析結果を図9-1(重鎖可変領域)及び図9-2(軽鎖可変領域)に示す。図の中で、右上の半分の部分において%で表している値は、対応するアミノ酸配列間における、上から同一性(Identity:完全に一致するアミノ酸残基の割合)、相同性(Similarity:一致又は類似するアミノ酸残基の割合)、ギャップ(Gap:対応する位置でのアミノ酸残基が無い)を表している。また、図中の左下の半分の部分において分数で表しているのは、対応するアミノ酸を並べた(アライメントした)場合の全体の長さ(分母)に対して、上からそれぞれ、同一性、相同性及びギャップでの計算でカウントしたアミノ酸残基数(分子)を表している。
【0150】
得られたホモロジー解析結果から、重鎖可変領域のアミノ酸配列については、18-0211B、33-0503E、49-0703G、50-0704C、64-0807A、65-0810G、84-1111F及び89-1207Dの8クローン、80-1104A、93-1310F及び96-1403Fの3クローン、37-0511F、53-0707E、83-1110B及び94-1311Eの4クローンの抗体間では80%以上の相同性を示し、さらに、18-0211B、49-0703G、50-0704C及び89-1207Dの4クローン、64-0807Aと84-1111Fの2クローン、80-1104A、93-1310F及び96-1403Fの3クローン、37-0511F、53-0707E、及び94-1311Eの3クローンの間の抗体では90%以上の相同性かつ87%以上の同一性を示していることが分かった。軽鎖可変領域のアミノ酸配列については、18-0211B、33-0503E、49-0703G、50-0704C、64-0807A、65-0810G、84-1111F及び89-1207Dの8クローン、80-1104A、93-1310F及び96-1403Fの3クローン、37-0511F、53-0707E、83-1110B及び94-1311Eの4クローンの抗体間では80%以上の相同性を示し、さらに、18-0211B、49-0703G、50-0704C及び89-1207Dの4クローン、64-0807Aと84-1111Fの2クローン、80-1104A、93-1310F及び96-1403Fの3クローン、37-0511F、53-0707E、及び94-1311Eの3クローンの間の抗体では95%以上の相同性かつ90%以上の同一性を示していることが分かった。
【0151】
この重鎖可変領域及び軽鎖可変領域のアミノ酸配列の類似性の結果は、図10-1(重鎖可変領域)及び図10-2(軽鎖可変領域)に示したPhylogenetic Tree解析の結果においても同様に、18-0211B、49-0703G、50-0704C及び89-1207Dの4クローン、64-0807Aと84-1111Fの2クローン、80-1104A、93-1310F及び96-1403Fの3クローン、37-0511F、53-0707E、及び94-1311Eの3クローンの間の抗体はアミノ酸配列が近いことを表している。この結果から、得られた15クローンの抗体を、グループ1:18-0211B、49-0703G、50-0704C及び89-1207Dの4クローン、グループ2:64-0807Aと84-1111Fの2クローン、グループ3:80-1104A、93-1310F及び96-1403Fの3クローン、グループ4:37-0511F、53-0707E、及び94-1311Eの3クローンに分類した。なお、33-0503E、65-0810G及び83-1110Bはグループ1から4に属さない抗体として分類した。図11-1から図11-5に、それぞれ分類したグループ間の抗体における重鎖可変領域及び軽鎖可変領域のアミノ酸配列(一文字記号)を並べて比較するとともに、Kabat番号(Kabat No.)との対比を示した。各クローンの対応の重鎖可変領域又は軽鎖可変領域のアミノ酸配列を縦方向に示し、グループ内での他のクローンと異なるアミノ酸残基の部分を網掛けで示した。
【0152】
[実施例15]SPNS2中和抗体による血中リンパ球の減少作用の評価
SPNS2欠損マウスは、野生型マウスと比較して、血中リンパ球が減少することが知られている。94-1311EのマウスIgG1キメラ抗体を調製し、マウスにSPNS2中和抗体を投与することによりインビボにおける中和抗体の薬効を確認した。
【0153】
94-1311EのマウスIgG1キメラ抗体(重鎖:配列番号345および軽鎖:配列番号346)は、ExpiCHO細胞を用いた一過性発現系により調製した。94-1311Eの重鎖および軽鎖の可変領域をマウスIgG1の重鎖定常領域およびマウス軽鎖κ鎖の定常領域にそれぞれ組込んだ発現ベクター(pcDNA 3.4 TOPO(登録商標) vector)(A14697, Thermo Fisher)を作成した(重鎖:配列番号347および軽鎖:配列番号348)。ExpiCHO細胞に添付のマニュアルのMax titer protocolに従って、各発現ベクターをExpiCHO細胞に導入して約2週間培養した。培養上清中の抗体はAb-Capcher ExTra(登録商標)(P-003, ProteNova)を用いて添付のプロトコールに従って精製した。
【0154】
8週齢のC57BL/6Jマウス(雄性)に94-1311EのマウスIgG1キメラ抗体を3日に1回の頻度で28日間皮下投与した。投与28日後に採血を実施し、血中リンパ球数をフローサイトメーター(BD LSRFortessa, Becton Dickinson)で測定した。
【0155】
ヘパリン処理された25μLの血液に10μLの蛍光標識抗体を添加し、室温にて15分間反応させた。蛍光標識抗体は、Alexa Fluor(登録商標) 488 anti-mouse CD45 Antibody(103122、BioLegend)、Brilliant Violet 421(登録商標) anti-mouse IgD Antibody(405725、BioLegend)、Brilliant Violet 605(登録商標) anti-mouse CD19 Antibody(115540、BioLegend)、PE anti-mouse CD8a Antibody(100708、BioLegend)、PE/Cy7 anti-mouse CD23 Antibody(101614、BioLegend)、Alexa Fluor(登録商標) 700 anti-mouse CD4 Antibody(100430、BioLegend)及びBrilliant Violet 785(登録商標) anti-mouse CD3 Antibody(100232、BioLegend)をCell Staining Buffer(420201、BioLegend)を用いて調製した。反応液に200μLのFACS Lysing Solution(349202、Becton Dickinson)を添加し、遮光して室温にて20分間撹拌した。反応液をマルチスクリーン-メッシュプレート40μm(MANMN4010、Merck)でろ過した。そのろ液をフローサイトメーター(BD LSRFortessa、Becton Dickinson)で測定した。フローサイトメーターによる測定は機器に添付のマニュアルに従って実施した。フローサイトメーターによる測定結果は解析ソフトウェアのFlowJo (Becton Dickinson)を用いて解析した。FSCとSSCによるゲートを作成し、細胞画分とした。細胞画分をAlexa Fluor(登録商標) 488によりゲートを作成し、CD45陽性細胞とした。CD45陽性細胞をBrilliant Violet 605(登録商標)およびBrilliant Violet 785(登録商標)によりそれぞれゲートを作成し、CD19陽性細胞およびCD3陽性細胞とした。CD19陽性細胞をBrilliant Violet 421(登録商標)およびPE/Cy7によりゲートを作成し、IgD陽性及びCD23陽性細胞(B細胞という)とした。CD3陽性細胞をAlexa Fluor(登録商標) 700およびPE によりゲートをそれぞれ作成し、CD4陽性細胞(CD4+ T細胞という)およびCD8陽性細胞(CD8+ T細胞という)とした。各種リンパ球数のCD45陽性細胞数に対する割合を各種リンパ球数として解析した(表11)。
【0156】
【表11】
【0157】
SPNS2中和抗体は血中のCD4+ T細胞およびCD8+ T細胞を溶媒投与群と比較して有意に低下させた。このことからSPNS2中和抗体はインビボにおいて血中リンパ球の減少作用を有することが分かった。
図1
図2-1】
図2-2】
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9-1】
図9-2】
図10-1】
図10-2】
図11-1-1】
図11-1-2】
図11-2-1】
図11-2-2】
図11-3-1】
図11-3-2】
図11-4-1】
図11-4-2】
図11-5-1】
図11-5-2】
【配列表】
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