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特許7504031微生物バイオマスから不水溶性イソプレノイド化合物を回収するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-13
(45)【発行日】2024-06-21
(54)【発明の名称】微生物バイオマスから不水溶性イソプレノイド化合物を回収するための方法
(51)【国際特許分類】
   C12P 5/02 20060101AFI20240614BHJP
【FI】
C12P5/02
【請求項の数】 33
(21)【出願番号】P 2020570042
(86)(22)【出願日】2019-06-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-04
(86)【国際出願番号】 US2019039536
(87)【国際公開番号】W WO2020006251
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2022-06-22
(31)【優先権主張番号】62/692,536
(32)【優先日】2018-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511289736
【氏名又は名称】アミリス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ヘンリー,ロナルド レイ
(72)【発明者】
【氏名】レン,ジョシュア スティーブン
【審査官】伊達 利奈
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/030073(WO,A1)
【文献】特表2013-534144(JP,A)
【文献】国際公開第2010/115074(WO,A1)
【文献】特表2012-520076(JP,A)
【文献】特表2017-504318(JP,A)
【文献】特表2001-507379(JP,A)
【文献】Trends in biotechnology,2014年,32(4),221-229
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12P 5/02
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
微生物バイオマスから1つ以上の不水溶性化合物を回収するための方法であって、
a.酸性化され、破壊された微生物バイオマスを形成するため、
i.前記微生物バイオマスを酸性化し;且つ
ii.前記微生物バイオマスを破壊する
ことにより前記微生物バイオマスを処理するステップと;
b.加熱、酸性化、破壊された微生物バイオマスを形成するため、前記酸性化され、破壊された微生物バイオマスを加熱するステップと;
c.前記加熱、酸性化、破壊された微生物バイオマスを、ジスルホン化界面活性剤と、前記微生物バイオマスから前記1つ以上の不水溶性化合物の少なくとも30%を放出するのに十分な量で接触させるステップと;
d.前記1つ以上の不水溶性化合物を回収するステップであって、前記1つ以上の不水溶性化合物が、イソプレノイドであり、前記微生物バイオマスが、組換え酵母の培養物であるステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記酸性化するステップが、前記破壊するステップに先行する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記破壊するステップが、前記酸性化するステップに先行する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記破壊するステップ及び前記酸性化するステップが、同時的である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記酸性化するステップが、2~4のpHで実施される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記酸性化するステップが、2.5±0.2のpHで実施される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記破壊するステップが、機械的破壊、超音波処理、凍結/解凍、粉砕、化学的破壊、酵素的破壊、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記破壊するステップが、高圧でホモジナイズすることである、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記破壊するステップが、600バール~1000バールでのホモジナイザーの1回以上の通過を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記破壊するステップが、約900バールでのホモジナイザーの1回以上の通過を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記加熱するステップが、60~80℃で実施される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記加熱するステップが、約70℃で実施される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記ジスルホン化界面活性剤が、ジスルホン化フェニルエーテル洗剤である、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記ジスルホン化界面活性剤が、
【化1】
又はその塩を含む(式中、RはC6-16アルキルである)、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
Rが、C12アルキルである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ジスルホン化界面活性剤が、ラウリルフェニルエーテルジスルホン酸二ナトリウムである、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記加熱、酸性化、破壊された微生物バイオマスが、0.2~1.5%ジスルホン化界面活性剤と接触される、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記加熱、酸性化、破壊された微生物バイオマスが、約1.0%ジスルホン化界面活性剤と接触される、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記回収するステップが、遠心分離、溶媒抽出、クロマトグラフィー、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記微生物バイオマスから前記1つ以上の不水溶性化合物の少なくとも40、50、60、70、又は75%を放出する、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
a.酸性化され、破壊された微生物バイオマスを形成するため、
i.前記微生物バイオマスをpH2.5±0.2まで酸性化し;次いで
ii.前記微生物バイオマスを約900バールでのホモジナイザーで破壊する
ことにより前記微生物バイオマスを処理するステップと;
b.加熱、酸性化、破壊された微生物バイオマスを形成するため、前記酸性化され、破壊された微生物バイオマスを70℃±2.5℃で加熱するステップと;
c.前記加熱、酸性化、破壊された微生物バイオマスを約1%ラウリルフェニルエーテルジスルホン酸二ナトリウムと接触させ、前記微生物バイオマスから前記1つ以上の不水溶性化合物を放出するステップと;
d.前記1つ以上の不水溶性化合物を回収するステップと、
を含む、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
a.酸性化され、破壊された微生物バイオマスを形成するため、
i.前記微生物バイオマスを約900バールでのホモジナイザーで破壊し;次いで
ii.前記微生物バイオマスをpH2.5±0.2まで酸性化させる
ことにより前記微生物バイオマスを処理するステップと;
b.加熱、酸性化、破壊された微生物バイオマスを形成するため、前記酸性化され、破壊された微生物バイオマスを70℃±2.5℃で加熱するステップと;
c.前記加熱、酸性化、破壊された微生物バイオマスを約1%ラウリルフェニルエーテルジスルホン酸二ナトリウムと接触させ、前記微生物バイオマスから前記1つ以上の不水溶性化合物を放出するステップと;
d.前記1つ以上の不水溶性化合物を回収するステップと、
を含む、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記微生物バイオマスが、ステップaに先立ち、脱乳化界面活性剤で脱乳化されている、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記脱乳化界面活性剤が、第二級エーテルポリオールである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記組換え酵母によって消費される界面活性剤の量が、少なくともステップcを欠く同等の方法で使用される前記界面活性剤の量と比較して5~10%増加する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記組換え酵母が、組換え出芽酵母(S.cerevisiae)である、請求項1~2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記微生物バイオマスが、前記1つ以上の不水溶性化合物を生成する酵素を組換え的に発現する微生物細胞を含む、請求項1~2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記イソプレノイドが、C~C40テルペンである、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記イソプレノイドが、C~C20テルペンである、請求項1~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記イソプレノイドが、C15テルペンである、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記イソプレノイドが、アビエタジエン、アモルファジエン、カレン、α-ファルネセン、β-ファルネセン、ファルネソール、ゲラニオール、ゲラニルゲラニオール、イソプレン、リナロール、リモネン、ミルセン、ネロリドール、オシメン、パチョロール、β-ピネン、サビネン、γ-テルピネン、テルピノレン、及びバレンセンである、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記不水溶性化合物が、α-ファルネセンである、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記不水溶性化合物が、β-ファルネセンである、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
[0001] 微生物バイオマスから不水溶性化合物を回収するための化合物、組成物、及び方法が、本明細書に提供される。該化合物、組成物、及び方法は、不水溶性化合物を大規模且つ高効率に生成するために有用である。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
[0002] 合成生物学の到来により、工業規模及び品質での、再生可能な供給源からのバイオ燃料、化学物質、及び生体材料の発酵微生物の生産が見込まれている。例えば、抗マラリア薬アルテミシニンに対する前駆物質(例えば、Martin et al., Nat Biotechnol 21:796-802 (2003)を参照);脂肪酸由来燃料及び化学物質(例えば、脂肪酸エステル、脂肪アルコール及びワックス;例えば、Steen et al., Nature 463:559-562 (2010)を参照);コレステロール降下薬を作成するポリケチド合成酵素(例えば、Ma et al., Science 326:589-592 (2009)を参照);並びにポリケチド(例えば、Kodumal, Proc Natl Acad Sci USA 101:15573-15578 (2004)を参照)を産生するための微生物宿主において、機能的な非天然の生物学的経路が巧みに構築されている。しかし、合成生物学の商業的成功は、再生可能製品の生産コストが、それら各々の非再生可能対応物の生産コストと競合する、又は優位であるようにできるか否かに主に依存することになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
[0003] 不水溶性化合物などの化合物の発酵生産において、炭化水素脂質分子相は、粗不水溶性化合物を回収し、それを培養液の水性画分から分離するために不安定化されなければならない、安定したエマルジョンを形成するため、水相で乳化する。不水溶性化合物ファルネセン、セスキテルペンの微生物産生では、エマルジョンの2つの異なる型が認められている:界面活性剤で容易に不安定化される軽い油中水型エマルジョンと、本明細書で「死細胞層」と称される、より高濃度の固体安定化エマルジョン。この固体安定化エマルジョンは、全細胞及び細胞片に関連する不水溶性化合物の存在によって特徴づけられる。界面活性剤添加、加熱、及びpH調節などの典型的なエマルジョン破壊技術は、高濃度のエマルジョン層を破壊する場合には無効とされている。これにより、水性画分からの不水溶性化合物画分の遠心分離及び分離の間に高濃度のエマルジョンが分配する場合に、廃棄物ストリームに対する生成物の有意な減少がもたらされている。発酵培地の死細胞層から不水溶性化合物を回収する能力がある組成物及び方法が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
概要
[0004] 微生物バイオマスから1つ以上の不水溶性化合物を回収するための組成物及び方法が、本明細書に提供される。該方法は、一般に、微生物バイオマスを、それを酸性化し、それを破壊することにより処理するステップを含む。酸性化及び破壊は、任意の順序で行うことができる。特定の実施形態では、酸性化は、破壊に先行する。特定の実施形態では、破壊は、酸性化に先行する。特定の実施形態では、酸性化及び破壊は、同時に行われるか又は時間的に重なる。酸性化し、破壊するための技術が、本明細書に記載される。次に、得られる酸性化され、破壊された微生物バイオマスは、本明細書に記載の技術に従って加熱される。次に、得られる加熱、酸性化、破壊された微生物バイオマスは、微生物バイオマスからある量の1つ以上の不水溶性化合物を放出し得る界面活性剤と接触される。有用な界面活性剤は、本明細書中に詳述される。次に、1つ以上の不水溶性化合物は、界面活性剤組成物から回収される。
【0005】
[0005] 該方法及び組成物は、発酵による不水溶性化合物の生成にとって有用である。該方法及び組成物における特定の不水溶性化合物は、イソプレノイド、ポリケチド、及び脂肪酸を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図面の簡単な説明
図1A】[0006]本明細書に提供される特定の方法を実施するための例示的システムの模式図を提供する。
図1B】[0006]本明細書に提供される特定の方法を実施するための製造規模システムの模式図を提供する。
図1C】[0006]本明細書に提供される特定の方法を実施するためのパイロット規模システムの模式図を提供する。
図1C2図1Cの続きの模式図を提供する。
図2】[0007]均質化ステップからのサンプルを提供する。
図3】[0008]界面活性剤ステップからのサンプルを提供する。
図4】[0009]有機層内に71%の不水溶性化合物、水層内に21%の不水溶性化合物、及び死細胞層内に残存する正確に8%の不水溶性化合物を伴う、界面活性剤ステップ後のサンプルを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
好ましい実施形態の詳細な説明
定義
[0010] 本明細書に提供される組成物及び方法に言及するとき、以下の用語は、特に指示されない限り、以下の意味を有する。特に定義されない限り、本明細書で用いられるすべての科学技術用語は、当業者によって一般に理解されている意味と同じ意味を有する。本明細書中の用語について複数の定義が存在する場合、特に断りのない限り、このセクション中の定義が優先する。
【0008】
[0011] 用語「アルキル」は、本明細書で用いられるとき、特に指定されない限り、直鎖状又は分岐状飽和炭化水素を指す。特定の実施形態では、アルキル基は、第一級、第二級、又は第三級炭化水素である。特定の実施形態では、アルキル基は、1~10の炭素原子、即ちC~C10アルキルを含む。特定の実施形態では、アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、3-メチルペンチル、2,2-ジメチルブチル、及び2,3-ジメチルブチルからなる群から選択される。特定の実施形態では、アルキル基は、未置換である。
【0009】
[0012] 組成物に関して「~が実質的に存在しない」又は「実質的に~の不在下で」という用語は、該化合物の指定された鏡像異性体の少なくとも85又は90重量%、特定の実施形態では、95重量%、98重量%、99重量%又は100重量%を含む組成物を指す。特定の実施形態では、本明細書に提供される方法及び化合物において、該化合物は、鏡像異性体が実質的に存在しない。
【0010】
[0013] 同様に、組成物に関連する「単離される」という用語は、該化合物の少なくとも85重量%、90重量%、95重量%、98重量%、99重量%~100重量%を含む組成物を指し、残りは他の化学種又は鏡像異性体を含む。
【0011】
[0014] 用語「宿主細胞」は、本明細書で用いられるとき、任意の単細胞又は多細胞生物を指す。特定の実施形態では、宿主細胞は、発酵による成長に適している。特定の実施形態では、宿主細胞は、1つ以上の不水溶性化合物を生成する。特定の実施形態では、宿主細胞は、組換え型であり、1つ以上の不水溶性化合物を生成する能力がある1つ以上の異種酵素を含む。特定の実施形態では、宿主細胞は、組換え型であり、1つの不水溶性化合物を生成する能力がある1つ以上の異種酵素を含む。
【0012】
[0015] 本明細書で用いられるとき、用語「不水溶性化合物」は、水と混合されるときに溶液を形成しない目的の化合物を指す。不水溶性化合物は、水との第2の層、又は水とのエマルジョン、又はそれらの組み合わせを形成することがある。特定の実施形態では、不水溶性化合物は、宿主細胞によって生成される不水溶性化合物である。
【0013】
[0016] 本明細書で用いられるとき、用語「天然」又は「内因性」は、宿主細胞内で天然に生じ得る物質又はプロセスを指す。
【0014】
[0017] 本明細書で用いられるとき、用語「遺伝子組換え」は、異種ヌクレオチド配列を含む宿主細胞を表す。
【0015】
[0018] 本明細書で用いられるとき、用語「異種」は、通常は天然に見出されないものを指す。例えば、用語「異種」は、核酸(DNA若しくはRNA)又はタンパク質に関して用いられるとき、それが存在する生物、細胞、ゲノム、又はDNA若しくはRNA配列の一部として天然に存在しないか、又は、天然に見出される場合と異なる細胞又はゲノム若しくはDNA若しくはRNA配列における1つ若しくは複数の位置に見出される、核酸又はタンパク質を指す。用語「異種」はまた、核酸(DNA)に関して用いられるとき、内因性プロモーター以外のプロモーターに作動可能に連結された核酸を指し得る。用語「異種化合物」は、ある化合物の、通常は該化合物を生成しない細胞による生成、又はある化合物の、通常は該細胞により生成されないレベルでの生成を指す。
【0016】
[0019] 本明細書で用いられるとき、語句「異種酵素」は、通常は天然に所与の細胞内で見出されない酵素を指す。該用語は、(a)所与の細胞に対して外因性である(即ち、宿主細胞において天然に存在しない又は宿主細胞における所与の状況下で天然に存在しないヌクレオチド配列によってコードされる)酵素;及び(b)宿主細胞において天然に見出されるが、宿主細胞において非天然の(例えば、天然に見出される量より多い又は少ない)量で生成される酵素(例えば、該酵素は該細胞に対して内因性であるヌクレオチド配列によってコードされる)を包含する。
【0017】
[0020] 用語「天然に存在する」は、本明細書で用いられるとき、天然に見出されるものを指す。逆に、用語「天然に存在しない」は、本明細書で用いられるとき、天然に見出されないが、ヒト介入により作出されるものを指す。
【0018】
[0021] 用語「アミノ酸配列」、「ペプチド」、「オリゴペプチド」、「ポリペプチド」及び「タンパク質」は、ここで互換可能に用いられ、化学的又は生化学的修飾であってもなくてもよい任意の長さのアミノ酸の高分子形態を指す。
【0019】
[0022] 用語「ポリヌクレオチド」及び「核酸」は、ここで互換可能に用いられ、リボヌクレオチド及びデオキシリボヌクレオチド双方の任意の長さの高分子形態を指す。
【0020】
[0023] 用語「単離された核酸」は、DNAに適用されるとき、その起源となった生物の天然に存在するゲノムにおけるそれが直に隣接する配列から分離されるDNA分子を指す。「単離された核酸」はまた、cDNA又は他の天然に存在しない核酸分子などの非ゲノム核酸を含む。
【0021】
[0024] 用語「cDNA」は、細胞から得られるスプライスされた成熟mRNA分子からの逆転写により調製され得るDNA分子として本明細書で定義される。cDNAは、通常は対応するゲノムDNA中に存在するイントロン配列を欠いている。
【0022】
[0025] 本明細書で用いられるとき、語句「作動可能に連結される」は、連結されたプロモーター及び/又は調節領域がコード配列の発現を機能的に制御するような核酸配列間の機能的結合を指す。
【0023】
[0026] 本明細書で用いられるとき、用語「生産量」は、一般に本明細書に提供される遺伝子組換え宿主細胞によって生成される不水溶性化合物の量を指す。いくつかの実施形態では、生成は、宿主細胞による不水溶性化合物の収率として表される。他の実施形態では、生成は、不水溶性化合物を生成する場合の宿主細胞の生産性として表される。
【0024】
[0027] 用語「収率」は、重量による、宿主細胞によって消費される炭素源の量あたりの生成される不水溶性化合物の量として表される、宿主細胞による不水溶性化合物の生成を指す。いくつかの実施形態では、用語「収率」は、発酵槽容器又はフラスコに添加される全還元糖の量あたりの生成される不水溶性化合物の量を指す(即ち、生成される非異化のグラムを添加される全還元糖のグラムで除して、百分率で表される)。全還元糖は、グラムでの糖の測定単位である。還元糖は、遊離アルデヒド基又は遊離ケトン基を有することから、還元剤として作用し得る任意の糖である。すべての単糖、例えばガラクトース、グルコース、及びフルクトースが、還元糖である。例えば、宿主細胞に100グラムのグルコース(即ち100グラムの還元糖)を与えることにより、10グラムの不水溶性化合物が生成される場合、還元糖あたりの生成物の収率は、10%である。
【0025】
[0028] 本明細書で用いられるとき、用語「生産性」は、宿主細胞が経時的に(1時間あたり)培養される発酵培養液の(体積による)量あたり生成される不水溶性化合物の(重量による)量として表される、宿主細胞による不水溶性化合物の生成を指す。
【0026】
[0029] 用語「発酵」は、所望される生成物を生成するためのエネルギー源として、炭素源、例えば糖を利用する宿主細胞を培養することを指すように用いられる。
【0027】
[0030] 用語「培地」は、細胞バイオマスの成長及び宿主細胞からの代謝産物の生成を可能にする培地を指す。それは、炭素の供給源を含有し、窒素の供給源、リンの供給源、ビタミンの供給源、ミネラルの供給源などをさらに含有してもよい。
【0028】
[0031] 本明細書で用いられるとき、用語「発酵培地」は、「培地」と同義的に用いられてもよい。一般に、用語「発酵培地」は、所望される化合物を生成するため、延長期間にわたり宿主細胞を培養することに適した培地を指すように用いられてもよい。
【0029】
[0032] 用語「培地(medium)」は、培地(culture medium)及び/又は発酵培地を指す。「培地(medium)」は、液体又は半流動であり得る。所与の培地(medium)は、培地(culture medium)と発酵培地の双方であってもよい。
【0030】
[0033] 用語「全細胞培養液」は、容器(例えば、フラスコ、プレート、発酵槽など)の全内容物、例えば、細胞、水相、炭化水素相において生成される化合物、及び/又はエマルジョンを指す。したがって、全細胞培養液は、水、炭素源(例えば糖)、ミネラル、ビタミン、他の溶解又は懸濁材料、微生物、宿主細胞によって生成される代謝産物及び化合物、並びに不水溶性化合物が宿主細胞によって作成されつつある容器内で保持される材料の他のすべての成分を含む培地の混合物を含む。
【0031】
[0034] 用語「発酵組成物」は、「全細胞培養液」と互換可能に用いられる。発酵組成物はまた、オーバーレイを、それが発酵中に容器に添加される場合に含み得る。
【0032】
[0035] 用語「生合成経路」は、1つの化学種を別の化学種に変化させ、分子の生合成をもたらすための同化又は異化生化学反応のセットを伴う経路を指す。遺伝子産物は、それらが、並列的に又は連続的に、同じ基質に対して作用するか、同じ生成物を生成するか、又は同じ基質と代謝最終生成物との間の代謝中間体(例えば代謝産物)に対して作用するか若しくはそれを生成する場合、同じ「生合成経路」に属する。
【0033】
[0036] 本明細書で用いられるとき、用語「プロモーター」は、DNAコード配列の発現をもたらす、活性化する、又は増強する能力がある合成又は天然に由来する核酸を指す。プロモーターは、発現をさらに増強し、及び/又はコード配列の空間的発現及び/又は時間的発現を改変するための1つ以上の特定の転写制御配列を含んでもよい。プロモーターは、コード配列の5’側(上流)にその制御下で位置づけられてもよい。プロモーターと発現対象のコード配列との間の距離は、そのプロモーターとそれが制御する天然核酸配列との間の距離とほぼ同じであってもよい。当該技術分野で公知の通り、この距離におけるバリエーションは、プロモーター機能が低下しない条件で許容されてもよい。
【0034】
[0037] 語句「株安定性」は、一般に本明細書に記載の遺伝子組換え宿主細胞による発酵の長期間にわたる異種化合物生成の安定性を指す。特に、安定性は、長期培養期間、例えば約3~20日にわたる、非異化性発酵生成物の好ましい生成特性(即ち、高収率(基質1グラムあたりの化合物のグラム)及び/又は生産性(1時間あたりの発酵培養液1リットルあたりのグラム))を維持する微生物の能力を指す。産生微生物集団の、経時的な生成物の産生に関連する遺伝子の意図される対立遺伝子頻度の変更をほとんど有しない傾向である遺伝的安定性は、生成物の持続的な生成量において主要な役割を担う。
【0035】
[0038] 特に指示のない限り、培地又は溶液中の不水溶性化合物又は他の成分の濃度単位は、重量/体積パーセントである。それは溶質濃度(w/v%)=(溶質の重量(g)/溶液の体積(mL))×100と定義される。
【0036】
[0039] 用語「転写制御因子」は、遺伝子発現を制御するタンパク質を指す。
【0037】
[0040] 用語「転写活性化因子」は、遺伝子の発現を活性化する又は正に制御する転写制御因子を指す。
【0038】
[0041] 用語「転写抑制因子」は、遺伝子の発現を抑制する又は負に制御する転写制御因子を指す。
【0039】
[0042] 用語「細胞成長に影響する遺伝子」又は「細胞成長に影響するタンパク質をコードする核酸」は、細胞の細胞成長(例えば、成長速度又は細胞バイオマス)に影響するタンパク質をコードする核酸を指す。
【0040】
[0043] 用語「必須遺伝子」は、すべての栄養素が利用可能な場合の最適条件下で生命を維持するのに絶対に必要とされる遺伝子を指す。
【0041】
[0044] 用語「条件付き必須遺伝子」は、特定の環境又は成長条件下に限って必須である遺伝子を指す。
【0042】
[0045] 用語「レギュロン」は、同じ調節タンパク質(例えば転写制御因子)によって調節される遺伝子群又は核酸群を指す。レギュロンの遺伝子は、共通の転写制御因子によって調節される制御結合部位又はプロモーターを有する。レギュロンを含む遺伝子群又は核酸群は、宿主細胞のゲノム中で近接的又は非近接的に位置づけられ得る。
【0043】
[0046] 用語「誘導性プロモーター」は、それが制御する遺伝子の転写を誘導するための誘導物質によって活性化されるプロモーターを指す。
【0044】
[0047] 語句「構成的プロモーター」は、それが制御する遺伝子の転写を誘導するための誘導物質の存在を必要としないプロモーターを指す。
【0045】
[0048] 用語「発現」は、別段の指示がない限り、関連遺伝子の転写によるmRNAの生成、及び/又は、遺伝子転写とそれに続くmRNA翻訳を介するタンパク質の生成を指す。
【0046】
[0049] 用語「異化」は、本明細書で用いられるとき、大きい分子のより小さい分子への分子破壊又は分解のプロセスを指す。
【0047】
[0050] 用語「非異化」は、分子をより小さい単位から構築するプロセスを指し、これらの反応は、典型的にはエネルギーを必要とする。用語「不水溶性化合物」は、非異化プロセスによって生成される化合物を指す。
【0048】
[0051] 用語「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は、文脈上明らかに別の意味を示していない限り、「少なくとも1つ」を意味する。
【0049】
方法及び組成物
[0052] 微生物バイオマスから1つ以上の不水溶性化合物を回収するための組成物及び方法が、本明細書に提供される。特定の実施形態では、該方法は、微生物バイオマスを酸性化するステップと、得られる組成物を破壊するステップと、得られる組成物を加熱するステップと、得られる組成物を、微生物バイオマスから1つ以上の不水溶性化合物を放出し得る界面活性剤と接触させるステップと、1つ以上の不水溶性化合物を回収するステップと、を含む。
【0050】
[0053] 微生物バイオマスから1つ以上の不水溶性化合物を回収するための組成物及び方法が、本明細書に提供される。特定の実施形態では、該方法は、微生物バイオマスを破壊するステップと、得られる組成物を酸性化するステップと、得られる組成物を加熱するステップと、得られる組成物を、微生物バイオマスから1つ以上の不水溶性化合物を放出し得る界面活性剤と接触させるステップと、1つ以上の不水溶性化合物を回収するステップと、を含む。
【0051】
[0054] 特定の実施形態では、微生物バイオマスは、当業者によって好適と思われた脱乳化界面活性剤(de-emulsifying surfactant)で脱乳化される。いくつかの実施形態では、脱乳化界面活性剤は、非イオン界面活性剤である。いくつかの実施形態では、脱乳化界面活性剤は、第二級エーテルポリオールである。いくつかの実施形態では、脱乳化界面活性剤は、TERGITOL L-62 (Dow Chemical Company)である。いくつかの実施形態では、脱乳化界面活性剤の量は、発酵培養液若しくは微生物バイオマス、又は両方からエマルジョンを除去するのに十分である。特定の実施形態では、微生物バイオマスは、0.1~2.0%の脱乳化界面活性剤で脱乳化される。特定の実施形態では、微生物バイオマスは、0.2~1.0%の脱乳化界面活性剤で脱乳化される。特定の実施形態では、微生物バイオマスは、0.3~1.0%の脱乳化界面活性剤で脱乳化される。特定の実施形態では、微生物バイオマスは、0.25~0.75%の脱乳化界面活性剤で脱乳化される。特定の実施形態では、微生物バイオマスは、約0.6%の脱乳化界面活性剤で脱乳化される。特定の実施形態では、微生物バイオマスは、0.6±0.1%の脱乳化界面活性剤で脱乳化される。特定の実施形態では、微生物バイオマスは、0.6%の脱乳化界面活性剤で脱乳化される。
【0052】
[0055] 特定の実施形態では、該方法は、微生物バイオマスを酸性化及び破壊するステップと、得られる組成物を加熱するステップと、得られる組成物を、微生物バイオマスから1つ以上の不水溶性化合物を放出し得る界面活性剤と接触させるステップと、1つ以上の不水溶性化合物を回収するステップと、を含む。
【0053】
[0056] 微生物バイオマスは、当業者によって好適と思われた任意の技術により入手可能である。典型的な実施形態では、微生物バイオマスは、発酵培地から得られる。例示的な発酵技術は、下のセクションに記載される。特定の実施形態では、1つ以上の不水溶性化合物を生成する細胞は、発酵培地中で培養される。特定の実施形態では、水性培地は、例えば遠心分離又は濾過により、微生物バイオマスから分離される。1つ以上の不水溶性化合物のある部分は、水性発酵培地で乳化し得る。1つ以上の不水溶性化合物の別の部分は、微生物バイオマスで維持し得る。本明細書に提供される方法及び組成物は、この部分から1つ以上の不水溶性化合物を回収し得る。微生物バイオマスは、典型的には細胞及び細胞片を含む。特定の実施形態では、微生物バイオマスは、発酵培地をさらに含む。
【0054】
[0057] 該方法では、微生物バイオマスは、酸性化及び破壊することにより処理される。これらのステップは任意の順序で実施可能である、又はそれらは組み合わされ得る。特定の実施形態では、微生物バイオマスは、酸性化され、次いで破壊される。特定の実施形態では、微生物バイオマスは、破壊され、次いで酸性化される。特定の実施形態では、微生物バイオマスは、同時に酸性化及び破壊される。同時酸性化及び破壊は、各ステップが時間で他方と重複するとき、達成され得る。
【0055】
[0058] 微生物バイオマスは、当業者にとって明白な任意の技術により酸性化され得る。特定の実施形態では、微生物バイオマスは、1~4のpHに酸性化される。特定の実施形態では、微生物バイオマスは、1.5~4のpHに酸性化される。特定の実施形態では、微生物バイオマスは、2~4のpHに酸性化される。特定の実施形態では、微生物バイオマスは、2~3.5のpHに酸性化される。特定の実施形態では、微生物バイオマスは、2~3のpHに酸性化される。特定の実施形態では、微生物バイオマスは、約2.5のpHに酸性化される。特定の実施形態では、微生物バイオマスは、2.5±0.2のpHに酸性化される。特定の実施形態では、微生物バイオマスは、2.5±0.1のpHに酸性化される。特定の実施形態では、微生物バイオマスは、約2.5のpHに酸性化される。特定の実施形態では、微生物バイオマスは、約2.5のpHに酸性化される。
【0056】
[0059] pHは、任意のpH調整剤で調節され得る。特定の実施形態では、pH調整剤は、無機酸である。特定の実施形態では、pH調整剤は、塩酸、硝酸、硫酸、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。特定の実施形態では、pH調整剤は、塩酸である。特定の実施形態では、pH調整剤は、硝酸である。特定の実施形態では、pH調整剤は、硫酸である。
【0057】
[0060] 微生物バイオマスは、当業者にとって明白な任意の技術により議論され得る。有用な技術は、機械的破壊、超音波処理、凍結及び解凍、粉砕、化学的破壊、酵素的破壊、並びにそれらの組み合わせを含む。特定の実施形態では、微生物バイオマスは、ガラスビーズ、例えばビードミルで撹拌される。特定の実施形態では、微生物バイオマスは、例えば液体窒素で凍結され、微粉砕される。特定の実施形態では、微生物バイオマスは、例えばヒューズプレス又はフレンチプレスで押圧される。特定の実施形態では、微生物バイオマスは、大気圧下又は水圧下で、物理的な細胞破壊剤で破壊される。特定の実施形態では、微生物バイオマスは、圧力循環技術により破壊される。特定の実施形態では、微生物バイオマスは、マイクロフルイダイザーで破壊される。特定の実施形態では、微生物バイオマスは、超音波により破壊される。特定の実施形態では、微生物バイオマスは、熱分解により破壊される。特定の実施形態では、微生物バイオマスは、除圧により破壊される。特定の実施形態では、微生物バイオマスは、浸透圧ショックにより破壊される。特定の実施形態では、微生物バイオマスは、化学的破壊により破壊される。有用な化学物質は、尿素、ブタノール、及びイソペンタノールを含む。特定の実施形態では、破壊は、酵素的破壊による。有用な酵素は、リゾチーム、ラビアーゼ、アクロモペプチダーゼ、セルラーゼ、スナイラーゼ(snailase)、グルカナーゼ、マンナナーゼ、及びキトナーゼ(chitnase)を含む。
【0058】
[0061] 特定の実施形態では、破壊は、高圧ホモジナイザーでなされる。特定の実施形態では、ホモジナイザーの圧力は、600バール~1000バールである。特定の実施形態では、ホモジナイザーの圧力は、700バール~1000バールである。特定の実施形態では、ホモジナイザーの圧力は、800バール~1000バールである。特定の実施形態では、ホモジナイザーの圧力は、800バール~900バールである。特定の実施形態では、ホモジナイザーの圧力は、900±50バールである。特定の実施形態では、ホモジナイザーの圧力は、900±25バールである。特定の実施形態では、ホモジナイザーの圧力は、約900である。特定の実施形態では、ホモジナイザーの圧力は、900バールである。
【0059】
[0062] 該方法では、酸性化され、破壊された微生物バイオマスは、次に加熱される。加熱は、当業者にとって明白な任意の技術によってなされ得る。特定の実施形態では、熱は微生物バイオマスに適用される。特定の実施形態では、微生物バイオマスは、55~80℃まで加熱される。特定の実施形態では、微生物バイオマスは、60~80℃まで加熱される。特定の実施形態では、微生物バイオマスは、55~75℃まで加熱される。特定の実施形態では、微生物バイオマスは、65~75℃まで加熱される。特定の実施形態では、微生物バイオマスは、約70℃まで加熱される。特定の実施形態では、微生物バイオマスは、約70±2.5℃まで加熱される。
【0060】
[0063] 加熱された微生物バイオマスは、界面活性剤と接触される。界面活性剤は、微生物バイオマスからある量の1つ以上の不水溶性化合物を放出することが可能な界面活性剤である。特定の実施形態では、該方法により、微生物バイオマスから少なくとも10%の不水溶性化合物が放出される。特定の実施形態では、該方法により、微生物バイオマスから少なくとも20%の不水溶性化合物が放出される。特定の実施形態では、該方法により、微生物バイオマスから少なくとも25%の不水溶性化合物が放出される。特定の実施形態では、該方法により、微生物バイオマスから少なくとも30%の不水溶性化合物が放出される。特定の実施形態では、該方法により、微生物バイオマスから少なくとも40%の不水溶性化合物が放出される。特定の実施形態では、該方法により、微生物バイオマスから少なくとも50%の不水溶性化合物が放出される。特定の実施形態では、該方法により、微生物バイオマスから少なくとも60%の不水溶性化合物が放出される。特定の実施形態では、該方法により、微生物バイオマスから少なくとも70%の不水溶性化合物が放出される。特定の実施形態では、該方法により、微生物バイオマスから少なくとも75%の不水溶性化合物が放出される。
【0061】
[0064] 界面活性剤は、当業者によって好適と思われた任意の界面活性剤であり得る。特定の実施形態では、界面活性剤は、イオン界面活性剤である。特定の実施形態では、界面活性剤は、アニオン界面活性剤である。特定の実施形態では、界面活性剤は、ポリアニオン界面活性剤である。特定の実施形態では、界面活性剤は、スルホン化界面活性剤である。特定の実施形態では、界面活性剤は、スルホン化フェニルエーテル界面活性剤である。特定の実施形態では、界面活性剤は、ジスルホン化フェニルエーテル界面活性剤である。特定の実施形態では、界面活性剤は:
【化1】

又はその塩である(式中、RはC6~16アルキルである)。特定の実施形態では、界面活性剤は、DOWFAX C6L、DOWFAX 3B2、DOWFAX C10L、DOWFAX 2A1、DOWFAX 8390、及びDOWFAX 30599からなる群から選択される。特定の実施形態では、界面活性剤は、上の式に従う(式中、RはC12アルキルである)。特定の実施形態では、界面活性剤は、上の式に従う(式中、Rは分岐C12アルキルである)。特定の実施形態では、塩は、ナトリウム塩である。特定の実施形態では、界面活性剤は、DOWFAX 2A1である。
【0062】
[0065] 特定の実施形態では、界面活性剤は、1wt%活性、25℃、pH7又は12.5で30~40ダイン/cmの表面張力を有する。特定の実施形態では、界面活性剤は、1wt%活性、25℃、及びpH7、初期時間で、高さ120~160mmのロスマイルスフォームを有する。特定の実施形態では、界面活性剤は、1wt%活性、25℃、pH7、5分で、高さ120~160mmのロスマイルスフォームを有する。特定の実施形態では、界面活性剤は、1wt%活性、25℃、及びpH12.5、初期時間で、高さ130~150mmのロスマイルスフォームを有する。特定の実施形態では、界面活性剤は、1wt%活性、25℃、pH12.5、5分で、高さ110~150mmのロスマイルスフォームを有する。
【0063】
[0066] 界面活性剤は、ある量の1つ以上の不水溶性化合物を放出するのに十分な量で微生物バイオマスと接触される。特定の実施形態では、微生物バイオマスは、0.02~2.0%の界面活性剤と接触される。特定の実施形態では、微生物バイオマスは、0.05~2.0%の界面活性剤と接触される。特定の実施形態では、微生物バイオマスは、0.1~2.0%の界面活性剤と接触される。特定の実施形態では、微生物バイオマスは、0.2~2.0%の界面活性剤と接触される。特定の実施形態では、微生物バイオマスは、0.2~1.8%の界面活性剤と接触される。特定の実施形態では、微生物バイオマスは、0.2~1.7%の界面活性剤と接触される。特定の実施形態では、微生物バイオマスは、0.2~1.6%の界面活性剤と接触される。特定の実施形態では、微生物バイオマスは、0.2~1.5%の界面活性剤と接触される。特定の実施形態では、微生物バイオマスは、0.2~1.4%の界面活性剤と接触される。特定の実施形態では、微生物バイオマスは、0.2~1.3%の界面活性剤と接触される。特定の実施形態では、微生物バイオマスは、0.2~1.2%の界面活性剤と接触される。特定の実施形態では、微生物バイオマスは、0.4~1.2%の界面活性剤と接触される。特定の実施形態では、微生物バイオマスは、0.6~1.2%の界面活性剤と接触される。特定の実施形態では、微生物バイオマスは、0.8~1.2%の界面活性剤と接触される。特定の実施形態では、微生物バイオマスは、約1.0%の界面活性剤と接触される。特定の実施形態では、微生物バイオマスは、1.0±0.1%の界面活性剤と接触される。
【0064】
[0067] 一旦1つ以上の不水溶性化合物が微生物バイオマスから放出されると、その後の使用のため、当該技術分野で公知の任意の好適な分離及び精製方法を用いてそれは回収又は単離されてもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の不水溶性化合物を含む有機相は、遠心分離により発酵から分離される。他の実施形態では、1つ以上の不水溶性化合物を含む有機相は、自発的に発酵から分離される。他の実施形態では、1つ以上の不水溶性化合物を含む有機相は、脱乳化剤及び/又は核形成剤を発酵反応に添加することにより、発酵から分離される。脱乳化剤の実例として、凝集剤及び凝固剤が挙げられる。核形成剤の実例として、液滴の不水溶性化合物自体並びに有機溶媒、例えばドデカン、ミリスチン酸イソプロピル、及びオレイン酸メチルが挙げられる。
【0065】
[0068] いくつかの実施形態では、1つ以上の不水溶性化合物は、有機相中に存在してもよい他の生成物から分離される。いくつかの実施形態では、分離は、吸着、蒸留、気体-液体抽出(ストリッピング)、液体-液体抽出(溶媒抽出)、限外濾過、及び標準クロマトグラフィー技術を用いて実施される。
【0066】
[0069] 特定の実施形態では、該方法により、微生物バイオマスから不水溶性化合物の少なくとも10%が回収される。特定の実施形態では、該方法により、微生物バイオマスから不水溶性化合物の少なくとも20%が回収される。特定の実施形態では、該方法により、微生物バイオマスから不水溶性化合物の少なくとも25%が回収される。特定の実施形態では、該方法により、微生物バイオマスから不水溶性化合物の少なくとも30%が回収される。特定の実施形態では、該方法により、微生物バイオマスから不水溶性化合物の少なくとも40%が回収される。特定の実施形態では、該方法により、微生物バイオマスから不水溶性化合物の少なくとも50%が回収される。特定の実施形態では、該方法により、微生物バイオマスから不水溶性化合物の少なくとも60%が回収される。特定の実施形態では、該方法により、微生物バイオマスから不水溶性化合物の少なくとも70%が回収される。特定の実施形態では、該方法により、微生物バイオマスから不水溶性化合物の少なくとも75%が回収される。
【0067】
[0070] いくつかの実施形態では、少なくとも1つの不水溶性化合物は純粋であり、例えば、少なくとも約40%純粋であり、少なくとも約50%純粋であり、少なくとも約60%純粋であり、少なくとも約70%純粋であり、少なくとも約80%純粋であり、少なくとも約90%純粋であり、少なくとも約95%純粋であり、少なくとも約98%純粋であり、又は98%を超えて純粋であり、ここで「純粋」は、不水溶性化合物との関連では、他の不水溶性化合物及び/又は汚染物質を含まない不水溶性化合物を指す。
【0068】
[0071] 特定の実施形態では、微生物バイオマスから不水溶性化合物を回収するための方法であって、微生物バイオマスを約pH2.5まで酸性化し、次いで微生物バイオマスを約900バールのホモジナイザーで破壊し、酸性化され、破壊された微生物バイオマスを形成するステップと;酸性化され、破壊された微生物バイオマスを約70℃で加熱し、加熱、酸性化、破壊された微生物バイオマスを形成するステップと;加熱、酸性化、破壊された微生物バイオマスを約1%DOWFAX 2A1と接触させ、微生物バイオマスから1つ以上の不水溶性化合物を放出するステップと;1つ以上の不水溶性化合物を回収するステップと、を含む方法が、本明細書に提供される。
【0069】
[0072] 特定の実施形態では、微生物バイオマスから不水溶性化合物を回収するための方法であって、微生物バイオマスを約900バールのホモジナイザーで破壊し、次いで微生物バイオマスを約pH2.5まで酸性化し、酸性化され、破壊された微生物バイオマスを形成するステップと;酸性化され、破壊された微生物バイオマスを約70℃で加熱し、加熱、酸性化、破壊された微生物バイオマスを形成するステップと;加熱、酸性化、破壊された微生物バイオマスを約1%DOWFAX 2A1と接触させ、微生物バイオマスから1つ以上の不水溶性化合物を放出するステップと;1つ以上の不水溶性化合物を回収するステップと、を含む方法が、本明細書に提供される。
【0070】
[0073] 特定の実施形態では、消費される界面活性剤の総量は、本明細書に提供されるステップの1つ以上を欠く同等の方法と比べて増加する。特定の実施形態では、第2の界面活性剤(例えば、DOWFAX 2A1)の添加により、総界面活性剤消費が増加する。特定の実施形態では、総界面活性剤消費は、少なくとも5%増加する。特定の実施形態では、総界面活性剤消費は、5~10%増加する。特定の実施形態では、総界面活性剤消費は、約7%増加する。
【0071】
宿主細胞、細胞培養、及び発酵
[0074] 微生物バイオマスは、当業者にとって明白な任意の発酵技術により取得されてもよい。特定の実施形態では、1つ以上の宿主細胞の集団は、炭素源を含む培地中で成長される。特定の実施形態では、培養ステップは、少なくとも約12、24、36、48、60、72、84、96時間又は96時間超の期間にわたる。特定の実施形態では、培養ステップは、集団が約0.01~400の間の細胞密度(OD600)に達するのに十分な期間にわたる。特定の実施形態では、宿主細胞の集団又は亜集団は、約3~20日間にわたり培養される。
【0072】
[0075] 宿主細胞は、当業者によって好適と思われた任意の宿主細胞であり得る。特定の実施形態では、宿主細胞は、天然に存在する。特定の実施形態では、宿主細胞は、遺伝子組換えが施される。特定の実施形態では、宿主細胞は、不水溶性化合物を生成するように修飾される。特定の実施形態では、不水溶性化合物は、イソプレノイド、ポリケチド、及び脂肪酸、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0073】
[0076] いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、1つ以上の不水溶性化合物を、発酵培養液の1kgあたり約1、5、10、25、50、又は100グラムを超える量で生成するのに十分である。いくつかの実施形態では、組換え的に生成される不水溶性化合物は、培養液の1キログラムあたり、約1~250グラム、約1~200グラム、約1~150グラム、約1~100グラム、約50~250グラム、約50~200グラム、約50~150グラム、約100グラム超、又は約150グラム超の量で生成される。いくつかの実施形態では、組換え的に生成される不水溶性化合物は、培養液の1キログラムあたり約160グラムの量で生成される。
【0074】
[0077] いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、1つ以上の不水溶性化合物を、乾燥細胞重量の1gあたり約3グラムを超える量で生成するのに十分である。いくつかの実施形態では、組換え的に生成される不水溶性化合物は、乾燥細胞重量の1gあたり、約0.01~約10グラム、約0.1~約10グラム、約0.5~約5グラム、約1~約5グラム、約0.2グラム超、約0.3グラム超、約0.4グラム超、約0.5グラム超、約1グラム超、約2グラム超、又は約3グラム超の量で生成される。
【0075】
[0078] 特定の実施形態では、微生物バイオマスは、1つ以上の遺伝子組換え宿主細胞を含む。特定の実施形態では、遺伝子組換え宿主細胞は、異種核酸を含む微生物(例えば、遺伝子組換え出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)細胞)である。
【0076】
[0079] 特定の実施形態に従う遺伝子組換え宿主細胞は、異種不水溶性化合物(例えば、アセチルCo-A由来化合物)を生成するように修飾されてもよい。例えば、遺伝子組換え宿主細胞は、不水溶性化合物を生成するための生合成経路の1つ以上の酵素をコードする異種ヌクレオチド配列をさらに含んでもよい。これらの実施形態では、遺伝子組換え宿主細胞は、アセチルCoAから生合成される1つ以上の化合物を、本明細書に記載の遺伝子修飾を欠いている親宿主細胞と比べて多い量で生成する。
【0077】
[0080] 特定の実施形態では、異種不水溶性化合物の生成を安定化させるための安定化構築物を含む遺伝子組換え宿主細胞が、本明細書に提供される。特定の実施形態では、本明細書に提供される遺伝子組換え宿主細胞は、異種不水溶性化合物を生成するための生合成経路の1つ以上の酵素をコードする1つ以上の異種核酸、及び1つ以上の細胞成長に影響するタンパク質をコードする1つ以上の異種核酸を含み、ここで異種核酸の各々は、共通の調節プロモーターに作動可能に連結される。
【0078】
[0081] 特定の実施形態では、不水溶性化合物を生成するための生合成酵素をコードする異種核酸の発現を安定化させるため、本明細書に記載の核酸及び構築物の様々な組み合わせ及び部分的組み合わせが遺伝子組換え宿主細胞に導入されてもよい。例えば、異種不水溶性化合物を生成する宿主細胞は、本明細書に記載の安定化構築物及び融合タンパク質を含むようにさらに修飾され得る。
【0079】
[0082] 本明細書に記載の異種核酸は、本明細書に記載の任意の好適なベクター又は当該技術分野で公知のものを用いて、宿主細胞に導入されてもよい。発現ベクター又は染色体組込み構築物を用いて宿主細胞を遺伝子改変し、例えば宿主細胞内での1つ以上の不水溶性化合物の生成増加をもたらすための方法は、当該技術分野で周知である。例えば、Sherman, F., et al., Methods Yeast Genetics, Cold Spring Harbor Laboratory, N.Y. (1978);Guthrie, C., et al. (Eds.) Guide To Yeast Genetics and Molecular Biology Vol. 194, Academic Press, San Diego (1991);Sambrook et al., 2001, Molecular Cloning -- A Laboratory Manual, 3rd edition, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY;及びAusubel et al., eds., Current Edition, Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing Associates and Wiley Interscience, NY(それらの開示内容は参照により本明細書中に援用される)を参照されたし。さらに、例えば細胞内での1つ以上の不水溶性化合物の生成増加をもたらす、遺伝子発現の阻害は、欠失、突然変異、及び/又は遺伝子再構成によって達成されてもよい。それはまた、アンチセンスRNA、siRNA、miRNA、リボザイム、三重鎖DNA、及び転写及び/又は翻訳阻害剤の使用とともに実施され得る。さらに、遺伝子発現を破壊するため、トランスポゾンが、例えば、それをプロモーターとコード領域との間に挿入するか、又は2つの隣接遺伝子間に挿入し、一方若しくは双方の遺伝子を不活化することにより、利用可能である。
【0080】
[0083] いくつかの実施形態では、細胞内での不水溶性化合物の生成増加は、特定のタンパク質、例えば上記のような生合成経路に関与するタンパク質を発現するための発現ベクターの使用によりもたらされる。一般に、発現ベクターは、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結された、複製シグナル及び発現調節配列、例えばプロモーター及びターミネーターを含む組換えポリヌクレオチド分子である。ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を発現するのに有用な発現ベクターは、ウイルスベクター(例えば、レトロウイルス、アデノウイルス及びアデノ随伴ウイルス)、プラスミドベクター、並びにコスミドを含む。酵母細胞における使用に適した発現ベクターの実例として、限定はされないが、CEN/ARS及び2μプラスミドが挙げられる。酵母細胞における使用に適したプロモーターの実例として、限定はされないが、K.ラクティス(K.lactis)のTEF1遺伝子のプロモーター、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)のPGK1遺伝子のプロモーター、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)のTDH3遺伝子のプロモーター、抑制可能プロモーター、例えば出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)のCTR3遺伝子のプロモーター、並びに誘導性プロモーター、例えば出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)のガラクトース誘導性プロモーター(例えば、GAL1、GAL7、及びGAL10遺伝子のプロモーター)が挙げられる。
【0081】
[0084] 発現ベクター及び染色体組込み構築物が、限定はされないが、当業者に公知の任意の方法により、宿主細胞に導入され得る。例えば、Hinnen et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 75:1292-3 (1978);Cregg et al., Mol. Cell. Biol. 5:3376-3385 (1985);米国特許第5,272,065号;Goeddel et al., eds, 1990, Methods in Enzymology, vol. 185, Academic Press, Inc., CA;Krieger, 1990, Gene Transfer and Expression -- A Laboratory Manual, Stockton Press, NY;Sambrook et al., 1989, Molecular Cloning -- A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, NY;及びAusubel et al., eds., Current Edition, Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing Associates and Wiley Interscience, NYを参照されたし。例示的な技術として、限定はされないが、スフェロプラスティング、エレクトロポレーション、PEG 1000媒介性形質転換、及び酢酸リチウム又は塩化リチウム媒介性形質転換が挙げられる。
【0082】
[0085] 本明細書に提供される方法及び組成物において有用な細胞は、融合タンパク質を生成する能力がある任意の細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞は、不水溶性化合物、例えば、イソプレノイド、ポリケチド、脂肪酸などを天然に又は組換え的に生成する能力がある。いくつかの実施形態では、該細胞は、原核細胞である。いくつかの実施形態では、該細胞は、細菌細胞である。いくつかの実施形態では、該細胞は、大腸菌(Escherichia coli)細胞である。いくつかの実施形態では、該細胞は、真核細胞である。いくつかの実施形態では、該細胞は、酵母細胞である。いくつかの実施形態では、該細胞は、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)細胞である。いくつかの実施形態では、該細胞は、哺乳動物細胞である。いくつかの実施形態では、該細胞は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、COS-7細胞、マウス線維芽細胞、マウス胚性癌腫細胞、又はマウス胚性幹細胞である。いくつかの実施形態では、該細胞は、昆虫細胞である。いくつかの実施形態では、該細胞は、S2細胞、シュナイダー細胞、S12細胞、5B1-4細胞、Tn5細胞、又はSf9細胞である。いくつかの実施形態では、該細胞は、単細胞性真核生物細胞、例えば微生物細胞である。
【0083】
[0086] いくつかの実施形態では、該細胞は、菌糸状細菌細胞である。いくつかの実施形態では、菌糸状細菌細胞は、放線菌クラスに属する。特定の実施形態では、菌糸状細菌細胞は、ストレプトマイセス(Streptomyces)属、例えば、ストレプトマイセス・アンボファシエンス(Streptomyces ambofaciens)、ストレプトマイセス・アベルミチリス(Streptomyces avermitilis)、ストレプトマイセス・アズレウス(Streptomyces azureus)、ストレプトマイセス・シンナモネンシス(Streptomyces cinnamonensis)、ストレプトマイセス・セリカラー(Streptomyces coelicolor)、ストレプトマイセス・クラコイ(Streptomyces curacoi)、ストレプトマイセス・エリスレウス(Streptomyces erythraeus)、ストレプトマイセス・フラディアエ(Streptomyces fradiae)、ストレプトマイセス・ガリラエウス(Streptomyces galilaeus)、ストレプトマイセス・グラウセセンス(Streptomyces glaucescens)、ストレプトマイセス・ハイグロスコピカス(Streptomyces hygroscopicus)、ストレプトマイセス・リビダンス(Streptomyces lividans)、ストレプトマイセス・パルブルス(Streptomyces parvulus)、ストレプトマイセス・ピウセチウス(Streptomyces peucetius)、ストレプトマイセス・リモサス(Streptomyces rimosus)、ストレプトマイセス・ロゼオフルバス(Streptomyces roseofulvus)、ストレプトマイセス・サーモトレランス(Streptomyces thermotolerans)、ストレプトマイセス・ビオラセオルバー(Streptomyces violaceoruber)に属する。
【0084】
[0087] 別の実施形態では、該細胞は、真菌細胞である。より特定の実施形態では、該細胞は、酵母細胞である。本明細書に提供される方法及び組成物において有用な酵母は、微生物保管所(例えば、IFO、ATCCなど)に寄託されている酵母を含み、特に、アシクロコニジウム(Aciculoconidium)属、アムブロシオジマ(Ambrosiozyma)属、アルスロアスカス(Arthroascus)属、アルキシオジマ(Arxiozyma)属、アシュビア(Ashbya)属、バブジェビア(Babjevia)属、ベンシングトニア(Bensingtonia)属、ボトリオアスカス(Botryoascus)属、ボツリオザイマ(Botryozyma)属、ブレタノマイセス(Brettanomyces)属、ブレラ(Bullera)属、ブレロマイセス(Bulleromyces)属、カンジダ(Candida)属、シテロマイセス(Citeromyces)属、クラビスポラ(Clavispora)属、クリプトコッカス(Cryptococcus)属、シストフィロバシディウム(Cystofilobasidium)属、デバリオマイセス(Debaryomyces)属、デッカラ(Dekkara)属、ディポダスコプシス(Dipodascopsis)属、ディポダスカス(Dipodascus)属、エニエラ(Eeniella)属、エンドマイコプセラ(Endomycopsella)属、エレマスカス(Eremascus)属、エレモテシウム(Eremothecium)属、エリスロバシディウム(Erythrobasidium)属、フェロマイセス(Fellomyces)属、フィロバシディウム(Filobasidium)属、ガラクトミセス(Galactomyces)属、ゲオトリクム(Geotrichum)属、ガイラーモンデラ(Guilliermondella)属、ハンセニアスポラ(Hanseniaspora)属、ハンゼヌラ(Hansenula)属、ハセガワエア(Hasegawaea)属、ホルターマニア(Holtermannia)属、ホルモアスカス(Hormoascus)属、ハイフォピキア(Hyphopichia)属、イッサトチェンキア(Issatchenkia)属、クロエケラ(Kloeckera)属、クロエケラスポラ(Kloeckeraspora)属、クルイベロマイセス(Kluyveromyces)属、コンドア(Kondoa)属、クライシア(Kuraishia)属、クルツマノマイセス(Kurtzmanomyces)属、ロイコスポリジウム(Leucosporidium)属、リポマイセス(Lipomyces)属、ロッデロマイセス(Lodderomyces)属、マラセジア(Malassezia)属、メチニコビア(Metschnikowia)属、ムラキア(Mrakia)属、ミキソザイマ(Myxozyma)属、ナドソニア(Nadsonia)属、ナカザワエワ(Nakazawaea)属、ネマトスポラ(Nematospora)属、オガタエア(Ogataea)属、オースポリディウム(Oosporidium)属、パキソレン(Pachysolen)属、ファチコスポラ(Phachytichospora)属、ファフィア(Phaffia)属、ピキア(Pichia)属、ロドスポリジウム(Rhodosporidium)属、ロドトルラ(Rhodotorula)属、サッカロマイセス(Saccharomyces)属、サッカロマイコーデス(Saccharomycodes)属、サッカロマイコプシス(Saccharomycopsis)属、サイトエラ(Saitoella)属、サカグチア(Sakaguchia)属、サターノスポラ(Saturnospora)属、シゾブラストスポリオン(Schizoblastosporion)属、シゾサッカロミセス(SchizoSaccharomyces)属、シュワンニオマイセス(Schwanniomyces)属、スポリジオボルス(Sporidiobolus)属、スポロボロマイセス(Sporobolomyces)属、スポロパキデルミア(Sporopachydermia)属、ステファノアスカス(Stephanoascus)属、ステリグマトマイセス(Sterigmatomyces)属、ステリグマトスポリジウム(Sterigmatosporidium)属、シンビオタフリナ(Symbiotaphrina)属、シンポディオマイセス(Sympodiomyces)属、シンポディオマイコプシス(Sympodiomycopsis)属、トルラスポラ(Torulaspora)属、トリコスポリエラ(Trichosporiella)属、トリコスポロン(Trichosporon)属、トリゴノプシス(Trigonopsis)属、ツチヤエア(Tsuchiyaea)属、ウデニオマイセス(Udeniomyces)属、ワルトマイセス(Waltomyces)属、ヴィッカーハミア(Wickerhamia)属、ヴィッケルハミエラ(Wickerhamiella)属、ウィリオプシス(Williopsis)属、ヤマダザイマ(Yamadazyma)属、ヤロウィア(Yarrowia)属、ジゴアスカス(Zygoascus)属、チゴサッカロミセス(ZygoSaccharomyces)属、ザイゴウィリオプシス(Zygowilliopsis)属、及びジゴジマ(Zygozyma)属に属する。
【0085】
[0088] 特定の実施形態では、本明細書に提供される方法及び組成物において有用な酵母は、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、分裂酵母(Schizosaccharomyces pombe)、デッケラ・ブルクセレンシス(Dekkera bruxellensis)、クリベロマイセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis)(以前はサッカロマイセス・ラクティス(Saccharomyces lactis)と称された)、クルベロマイセス・マルキシアヌス(Kluveromyces marxianus)、アルクスラ・アデニニボランス(Arxula adeninivorans)、又はハンセヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)(現在はピキア・アングスタ(Pichia angusta)として公知)を含む。いくつかの実施形態では、微生物は、カンジダ(Candida)属の株、例えばカンジダ・リポリチカ(Candida lipolytica)、カンジダ・ギリエルモンディ(Candida guilliermondii)、カンジダ・クルセイ(Candida krusei)、カンジダ・シュードトロピカリス(Candida pseudotropicalis)、又はトルラ酵母(Candida utilis)である。
【0086】
[0089] 特定の実施形態では、該細胞は、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)細胞である。いくつかの実施形態では、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)細胞の株は、パン酵母、CBS 7959、CBS 7960、CBS 7961、CBS 7962、CBS 7963、CBS 7964、IZ-1904、TA、BG-1、CR-1、SA-1、M-26、Y-904、PE-2、PE-5、VR-1、BR-1、BR-2、ME-2、VR-2、MA-3、MA-4、CAT-1、CB-1、NR-1、BT-1、及びAL-1からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)の株は、PE-2、CAT-1、VR-1、BG-1、CR-1、及びSA-1からなる群から選択される。特定の実施形態では、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)の株は、PE-2である。別の特定の実施形態では、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)の株は、CAT-1である。別の特定の実施形態では、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)の株は、BG-1である。
【0087】
[0090] いくつかの実施形態では、該細胞は、一倍体微生物細胞である。他の実施形態では、該細胞は、二倍体微生物細胞である。いくつかの実施形態では、該細胞は、ヘテロ接合性である。他の実施形態では、該細胞は、その交配型対立遺伝子の場合以外はホモ接合性である(即ち、該細胞が胞子形成する必要がある場合、得られる4つの一倍体微生物細胞が、それらの交配型対立遺伝子の場合以外は遺伝的に同一となり、2つの一倍体細胞においては交配型aとなり、それ以外の2つの一倍体細胞においては交配型αとなる)。
【0088】
[0091] いくつかの実施形態では、該細胞は、工業的発酵、例えばバイオエタノール発酵に適した細胞である。特定の実施形態では、該細胞は、工業的発酵環境の認識されたストレス条件である、高い溶媒濃度、高温、基質利用の拡大、栄養素制限、浸透圧ストレス、酸性度、亜硫酸及び細菌汚染、又はそれらの組み合わせの下で生存するように条件づけられる。
【0089】
[0092] 例示的な不水溶性化合物を生成する細胞、例えば、イソプレノイド、ポリケチド、及び脂肪酸を組換え的に生成する細胞、並びにかかる細胞を作製するための方法が、以下に提供される。
【0090】
[0093] 特定の実施形態では、本方法に提供される遺伝子組換え宿主細胞は、異種イソプレノイドを生成する能力があり、(a)アセチル-補酵素Aの2分子を縮合させ、アセトアセチルCoAを形成する酵素;(b)アセトアセチルCoAをアセチルCoAのもう一方の分子と縮合させ、3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル-CoA(HMG-CoA)を形成する酵素;(c)HMG-CoAをメバロン酸に変換する酵素;(d)メバロン酸をメバロン酸5-リン酸に変換する酵素;(e)メバロン酸5-リン酸をメバロン酸5-ピロリン酸に変換する酵素;(f)メバロン酸5-ピロリン酸をIPPに変換する酵素;(g)IPPをDMAPPに変換する酵素;(h)IPP及び/又はDMAPP分子を縮合させ、6つ以上の炭素を有するポリプレニル化合物を形成し得るポリプレニル合成酵素;(i)IPPをDMAPPと縮合させ、GPPを形成する酵素;(j)IPPの2分子をDMAPPの1分子と縮合させる酵素;(k)IPPをGPPと縮合させ、FPPを形成する酵素;(l)IPP及びDMAPPを縮合させ、GGPPを形成する酵素;並びに(m)IPP及びFPPを縮合させ、GGPPを形成する酵素、からなる群から選択されるイソプレノイド経路酵素をコードする少なくとも1つの異種核酸を含む。
【0091】
[0094] 特定の実施形態では、宿主細胞は、ゲラニオール合成酵素、リナロール合成酵素、リモネン合成酵素、ミルセン合成酵素、オシメン合成酵素、α-ピネン合成酵素、β-ピネン合成酵素、サビネン合成酵素、γ-テルピネン合成酵素、テルピノレン合成酵素、アモルファジエン合成酵素、α-ファルネセン合成酵素、β-ファルネセン合成酵素、ファルネソール合成酵素、ネロリドール合成酵素、パチョロール合成酵素、ノートカトン合成酵素、及びアビエタジエン合成酵素からなる群から選択される、ポリプレニルを修飾する酵素をコードする異種核酸をさらに含む。
【0092】
[0095] 特定の実施形態では、宿主細胞は、メバロン酸経路のすべての酵素をコードする複数の異種核酸を含む。いくつかの実施形態では、イソプレノイドは、ヘミテルペン、モノテルペン、ジテルペン、トリテルペン、テトラテルペン、及びポリテルペンからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、イソプレノイドは、C~C20イソプレノイドである。いくつかの実施形態では、イソプレノイドは、セスキテルペンである。いくつかの実施形態では、イソプレノイドは、アビエタジエン、アモルファジエン、カレン、α-ファルネセン、β-ファルネセン、ファルネソール、ゲラニオール、ゲラニルゲラニオール、イソプレン、リナロール、リモネン、ミルセン、ネロリドール、オシメン、パチョロール、β-ピネン、サビネン、γ-テルピネン、テルピノレン、及びバレンセンからなる群から選択される。
【0093】
[0096] 特定の実施形態では、宿主細胞は、ポリケチドを生成する能力があり、ポリケチド合成酵素をコードする少なくとも1つの異種核酸を含み、ここでポリケチド合成酵素は、(a)アセチルCoA及びマロニルCoAの少なくとも1つをアシル担体タンパク質と縮合させる酵素;(b)アセチルCoA及びマロニルCoAからなる群から選択される第1の反応物をマロニルCoA又はメチルマロニルCoAからなる群から選択される第2の反応物と縮合させ、ポリケチド生成物を形成する酵素;(c)ポリケチド化合物上のβ-ケト化学基をβ-ヒドロキシ基に還元する酵素;(d)ポリケチド化合物中のアルカン化学基を脱水させ、α-β-不飽和アルケンを生成する酵素;(e)ポリケチド化合物中のα-β-二重結合を飽和アルカンに還元する酵素;並びに(f)アシル担体タンパク質からポリケチド化合物を加水分解する酵素、からなる群から選択される。
【0094】
[0097] 特定の実施形態では、ポリケチドは、抗生物質、抗真菌、及び抗腫瘍活性の少なくとも1つを有する脂質である。いくつかの実施形態では、ポリケチドは、マクロライド、抗生物質、抗真菌、細胞分裂停止化合物、抗コレステロール化合物、抗寄生虫化合物、抗コクシジウム化合物、動物成長プロモーター及び殺虫剤からなる群から選択される。
【0095】
[0098] 特定の実施形態では、宿主細胞は、脂肪酸を生成する能力があり、脂肪酸合成酵素をコードする少なくとも1つの異種核酸を含み、ここで脂肪酸合成酵素は、(a)アセチルCoA及びマロニルCoAの少なくとも1つをアシル担体タンパク質(ACP)に共有結合させる酵素;(b)アセチル-ACP及びマロニル-ACPを縮合させ、アセトアセチル-ACPを形成する酵素;(c)アセトアセチル-ACP中の二重結合をNADPHで還元し、D-3-ヒドロキシブチリルヒドロキシラーゼ-ACP中にヒドロキシル基を形成する酵素;(d)D-3-ヒドロキシブチリルヒドロキシラーゼ-ACPを脱水させ、β-及びγ-炭素間に二重結合を作出し、クロトニル-ACPを形成する酵素;(e)クロトニルACPをNADPHで還元し、ブチリル-ACPを形成する酵素;並びに(f)アシル担体タンパク質からC16アシル化合物を加水分解し、パルミチン酸塩を形成する酵素、からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、脂肪酸は、パルミチン酸塩、パルミトイルCoA、パルミトオレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、リノール酸、α-リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、エルカ酸、及びドコサヘキサエン酸からなる群から選択される。
【0096】
[0099] いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、1つ以上の不水溶性化合物を、発酵培地1リットルあたり約10グラム超の量で生成するのに十分である。いくつかのかかる実施形態では、不水溶性化合物は、細胞培養液1リットルあたり約10~約50グラム、約15グラム超、約20グラム超、約25グラム超、又は約30グラム超の量で生成される。
【0097】
イソプレノイド化合物
[00100] いくつかの実施形態では、不水溶性化合物は、イソプレノイドである。イソプレノイドは、メバロン酸依存性(「MEV」)経路又は1-デオキシ-D-キシルロース5-二リン酸(「DXP」)経路の酵素により生合成され得る、イソペンテニルピロリン酸(IPP)から誘導される。
【0098】
MEV経路
[00101] 本明細書に提供される方法のいくつかの実施形態では、遺伝子組換え微生物は、遺伝的に修飾されていない親細胞と比べて、1つ以上のイソプレノイド化合物の生成増加をもたらす、MEV経路の1つ以上の酵素をコードする1つ以上の異種ヌクレオチド配列を含む。
【0099】
[00102] いくつかの実施形態では、イソプレノイドを生成する細胞は、アセチル-補酵素Aの2分子を縮合させ、アセトアセチルCoAを形成し得る酵素、例えばアセチルCoAチオラーゼをコードする異種ヌクレオチド配列を含む。かかる酵素をコードするヌクレオチド配列の実例として、限定はされないが、(NC_000913領域:2324131.2325315;大腸菌(Escherichia coli))、(D49362;パラコッカス・デニトリフィカンス(Paracoccus denitrificans))、及び(L20428;出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae))が挙げられる。
【0100】
[00103] いくつかの実施形態では、イソプレノイドを生成する細胞は、アセトアセチルCoAをアセチルCoAの別の分子と縮合させ、3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル-CoA(HMG-CoA)を形成し得る酵素、例えばHMG-CoA合成酵素をコードする異種ヌクレオチド配列を含む。かかる酵素をコードするヌクレオチド配列の実例として、限定はされないが、(NC_001145.相補体19061.20536;出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae))、(X96617;出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae))、(X83882;シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana))、(AB037907;キタサトスポラ・グリセオラ(Kitasatospora griseola))、(BT007302;ヒト(Homo sapiens))、及び(NC_002758、遺伝子座タグSAV2546、遺伝子ID 1122571;黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus))が挙げられる。
【0101】
[00104] いくつかの実施形態では、イソプレノイドを生成する細胞は、HMG-CoAをメバロン酸に変換し得る酵素、例えばHMG-CoAレダクターゼをコードする異種ヌクレオチド配列を含む。かかる酵素をコードするヌクレオチド配列の実例として、限定はされないが、(NM_206548;キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster))、(NC_002758、遺伝子座タグSAV2545、遺伝子ID 1122570;黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus))、(NM_204485;ニワトリ(Gallus gallus))、(AB015627;ストレプトマイセスsp.((Streptomyces sp.)KO 3988)、(AF542543;ニコチアナ・アテヌアタ(Nicotiana attenuata))、(AB037907;キタサトスポラ・グリセオラ(Kitasatospora griseola))、(AX128213、切断されたHMGRをコードする配列を提供する;出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae))、及び(NC_001145:相補体(115734.118898;出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae))が挙げられる。
【0102】
[00105] いくつかの実施形態では、イソプレノイドを生成する細胞は、メバロン酸をメバロン酸5-リン酸に変換し得る酵素、例えばメバロン酸キナーゼをコードする異種ヌクレオチド配列を含む。かかる酵素をコードするヌクレオチド配列の実例として、限定はされないが、(L77688;シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana))、及び(X55875;出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae))が挙げられる。
【0103】
[00106] いくつかの実施形態では、イソプレノイドを生成する細胞は、メバロン酸5-リン酸をメバロン酸5-ピロリン酸に変換し得る酵素、例えばホスホメバロン酸キナーゼをコードする異種ヌクレオチド配列を含む。かかる酵素をコードするヌクレオチド配列の実例として、限定はされないが、(AF429385;パラゴムノキ(Hevea brasiliensis))、(NM_006556;ヒト(Homo sapiens))、及び(NC_001145.相補体712315.713670;出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae))が挙げられる。
【0104】
[00107] いくつかの実施形態では、イソプレノイドを生成する細胞は、メバロン酸5-ピロリン酸をIPPに変換し得る酵素、例えばメバロン酸ピロリン酸デカルボキシラーゼをコードする異種ヌクレオチド配列を含む。かかる酵素をコードするヌクレオチド配列の実例として、限定はされないが、(X97557;出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae))、(AF290095;エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium))、及び(U49260;ヒト(Homo sapiens))が挙げられる。
【0105】
[00108] いくつかの実施形態では、イソプレノイドを生成する細胞は、MEV経路の2つ以上の酵素をコードする1つ以上の異種ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、イソプレノイドを生成する細胞は、MEV経路の2つの酵素をコードする1つ以上の異種ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、イソプレノイドを生成する細胞は、HMG-CoAをメバロン酸に変換し得る酵素及びメバロン酸をメバロン酸5-リン酸に変換し得る酵素をコードする1つ以上の異種ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、イソプレノイドを生成する細胞は、MEV経路の3つの酵素をコードする1つ以上の異種ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、イソプレノイドを生成する細胞は、MEV経路の4つの酵素をコードする1つ以上の異種ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、イソプレノイドを生成する細胞は、MEV経路の5つの酵素をコードする1つ以上の異種ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、イソプレノイドを生成する細胞は、MEV経路の6つの酵素をコードする1つ以上の異種ヌクレオチド配列を含む。
【0106】
[00109] いくつかの実施形態では、イソプレノイドを生成する細胞は、MEV経路を介して生成されたIPPをその異性体、ジメチルアリルピロリン酸(「DMAPP」)に変換し得る酵素をコードする異種ヌクレオチド配列をさらに含む。DMAPPは、様々な追加的な酵素の作用を通じて縮合及び修飾され、単純なイソプレノイド及びより複雑なイソプレノイドを形成し得る(図2)。
【0107】
DXP経路
[00110] 本明細書に提供される方法のいくつかの実施形態では、イソプレノイドを生成する細胞は、遺伝的に修飾されていない親細胞と比べて、1つ以上のイソプレノイド化合物の生成増加をもたらす、DXP経路の1つ以上の酵素をコードする1つ以上の異種ヌクレオチド配列を含む。
【0108】
[00111] いくつかの実施形態では、イソプレノイドを生成する細胞は、アセチル-補酵素Aの2分子を縮合させ、アセトアセチルCoAを形成し得る酵素、例えばアセチルCoAチオラーゼをコードする異種ヌクレオチド配列を含む。かかる酵素をコードするヌクレオチド配列の実例として、限定はされないが、(NC_000913領域:2324131.2325315;大腸菌(Escherichia coli))、(D49362;パラコッカス・デニトリフィカンス(Paracoccus denitrificans))、及び(L20428;出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae))が挙げられる。
【0109】
[00112] いくつかの実施形態では、イソプレノイドを生成する細胞は、ピルビン酸をD-グリセルアルデヒド3-リン酸と縮合させ、1-デオキシ-D-キシルロース-5-リン酸を作成し得る酵素、例えば1-デオキシ-D-キシルロース-5-リン酸合成酵素をコードする異種ヌクレオチド配列を含む。かかる酵素をコードするヌクレオチド配列の実例として、限定はされないが、(AF035440;大腸菌(Escherichia coli))、(NC_002947、遺伝子座タグPP0527;プチダ菌(Pseudomonas putida)KT2440)、(CP000026、遺伝子座タグSPA2301;パラチフス菌(Salmonella enterica Paratyphi)、ATCC 9150参照)、(NC_007493、遺伝子座タグRSP_0254;ロドバクター・スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)2.4.1)、(NC_005296、遺伝子座タグRPA0952;ロドシュードモナス・パルストリス(Rhodopseudomonas palustris)CGA009)、(NC_004556、遺伝子座タグPD1293;ピアス病菌(Xylella fastidiosa Temecula1)、及び(NC_003076、遺伝子座タグAT5G11380;シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana))が挙げられる。
【0110】
[00113] いくつかの実施形態では、イソプレノイドを生成する細胞は、1-デオキシ-D-キシルロース-5-リン酸を2C-メチル-D-エリスリトール-4-リン酸に変換し得る酵素、例えば1-デオキシ-D-キシルロース-5-リン酸レダクトイソメラーゼをコードする異種ヌクレオチド配列を含む。ヌクレオチド配列の実例として、限定はされないが、(AB013300;大腸菌(Escherichia coli))、(AF148852;シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana))、(NC_002947、遺伝子座タグPP1597;プチダ菌(Pseudomonas putida)KT2440)、(AL939124、遺伝子座タグSCO5694;ストレプトマイセス・セリカラー(Streptomyces coelicolor)A3(2))、(NC_007493、遺伝子座タグRSP_2709;ロドバクター・スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)2.4.1)、及び(NC_007492、遺伝子座タグPfl_1107;蛍光菌(Pseudomonas fluorescens)PfO-1)が挙げられる。
【0111】
[00114] いくつかの実施形態では、イソプレノイドを生成する細胞は、2C-メチル-D-エリスリトール-4-リン酸を4-ジホスホシチジル-2C-メチル-D-エリスリトールに変換し得る酵素、例えば、4-ジホスホシチジル-2C-メチル-D-エリスリトール合成酵素をコードする異種ヌクレオチド配列を含む。ヌクレオチド配列の実例として、限定はされないが、(AF230736;大腸菌(Escherichia coli))、(NC_007493、遺伝子座タグRSP_2835;ロドバクター・スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)2.4.1)、(NC_003071、遺伝子座タグAT2G02500;シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana))、及び(NC_002947、遺伝子座タグPP1614;プチダ菌(Pseudomonas putida)KT2440)が挙げられる。
【0112】
[00115] いくつかの実施形態では、イソプレノイドを生成する細胞は、4-ジホスホシチジル-2C-メチル-D-エリスリトールを4-ジホスホシチジル-2C-メチル-D-エリスリトール-2-リン酸に変換し得る酵素、例えば4-ジホスホシチジル-2C-メチル-D-エリスリトールキナーゼをコードする異種ヌクレオチド配列を含む。ヌクレオチド配列の実例として、限定はされないが、(AF216300;大腸菌(Escherichia coli))及び(NC_007493、遺伝子座タグRSP_1779;ロドバクター・スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)2.4.1)が挙げられる。
【0113】
[00116] いくつかの実施形態では、イソプレノイドを生成する細胞は、4-ジホスホシチジル-2C-メチル-D-エリスリトール-2-リン酸を2C-メチル-D-エリスリトール2,4-シクロ二リン酸に変換し得る酵素、2C-メチル-D-エリスリトール2,4-シクロ二リン酸合成酵素をコードする異種ヌクレオチド配列を含む。ヌクレオチド配列の実例として、限定はされないが、(AF230738;大腸菌(Escherichia coli))、(NC_007493、遺伝子座タグRSP_6071;ロドバクター・スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)2.4.1)、及び(NC_002947、遺伝子座タグPP1618;プチダ菌(Pseudomonas putida)KT2440)が挙げられる。
【0114】
[00117] いくつかの実施形態では、イソプレノイドを生成する細胞は、2C-メチル-D-エリスリトール2,4-シクロ二リン酸を1-ヒドロキシ-2-メチル-2-(E)-ブテニル-4-二リン酸に変換し得る酵素、例えば1-ヒドロキシ-2-メチル-2-(E)-ブテニル-4-二リン酸合成酵素をコードする異種ヌクレオチド配列を含む。ヌクレオチド配列の実例として、限定はされないが、(AY033515;大腸菌(Escherichia coli))、(NC_002947、遺伝子座タグPP0853;プチダ菌(Pseudomonas putida)KT2440)、及び(NC_007493、遺伝子座タグRSP_2982;ロドバクター・スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)2.4.1)が挙げられる。
【0115】
[00118] いくつかの実施形態では、イソプレノイドを生成する細胞は、1-ヒドロキシ-2-メチル-2-(E)-ブテニル-4-二リン酸をIPP又はその異性体、DMAPPのいずれかに変換し得る酵素、例えばイソペンチル/ジメチルアリル二リン酸合成酵素をコードする異種ヌクレオチド配列を含む。ヌクレオチド配列の実例として、限定はされないが、(AY062212;大腸菌(Escherichia coli))及び(NC_002947、遺伝子座タグPP0606;プチダ菌(Pseudomonas putida)KT2440)が挙げられる。
【0116】
[00119] いくつかの実施形態では、イソプレノイドを生成する細胞は、DXP経路の2つ以上の酵素をコードする1つ以上の異種ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、イソプレノイドを生成する細胞は、DXP経路の2つの酵素をコードする1つ以上の異種ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、イソプレノイドを生成する細胞は、DXP経路の3つの酵素をコードする1つ以上の異種ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、イソプレノイドを生成する細胞は、DXP経路の4つの酵素をコードする1つ以上の異種ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、イソプレノイドを生成する細胞は、DXP経路の5つの酵素をコードする1つ以上の異種ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、イソプレノイドを生成する細胞は、DXP経路の6つの酵素をコードする1つ以上の異種ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、イソプレノイドを生成する細胞は、DXP経路の5つの酵素をコードする1つ以上の異種ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、イソプレノイドを生成する細胞は、DXP経路の7つの酵素をコードする1つ以上の異種ヌクレオチド配列を含む。
【0117】
[00120] いくつかの実施形態では、宿主細胞自身の代謝過程とIPPの生成が関与するプロセスとの間の「クロストーク」(又は干渉)は、全体的に最小化又は排除される。例えば、クロストークは、宿主微生物がIPPを合成するためにDXP経路に排他的に依存し、且つ追加的なIPPを提供するためにMEV経路が導入されるとき、全体的に最小化又は排除される。かかる宿主生物の場合、MEV経路酵素の発現を改変するか、又はMEV経路に関連する中間体を処理する能力が備わらないことになる。DXP経路に排他的又は支配的に依存する生物として、例えば大腸菌(Escherichia coli)が挙げられる。
【0118】
[00121] いくつかの実施形態では、宿主細胞は、排他的に又はDXP経路と組み合わせて、MEV経路を介してIPPを生成する。他の実施形態では、宿主細胞が異種性に導入されたMEV経路を通じて排他的にIPPを生成するように、宿主のDXP経路が機能的に無効化される。DXP経路は、遺伝子発現を無効化するか又はDXP経路酵素の1つ以上の機能を不活性化することにより、機能的に無効化され得る。
【0119】
[00122] いくつかの実施形態では、該細胞によって生成されるイソプレノイドは、Cイソプレノイドである。これらの化合物は、1つのイソプレン単位から誘導され、ヘミテルペンとも称される。ヘミテルペンの実例が、イソプレンである。他の実施形態では、イソプレノイドは、C10イソプレノイドである。これらの化合物は、2つのイソプレン単位から誘導され、モノテルペンとも称される。モノテルペンの実例として、リモネン、シトロネロール(citranellol)、ゲラニオール、メントール、ペリリルアルコール、リナロール、ツジョン、及びミルセンが挙げられる。他の実施形態では、イソプレノイドは、C15イソプレノイドである。これらの化合物は、3つのイソプレン単位から誘導され、セスキテルペンとも称される。セスキテルペンの実例として、ペリプラノンB、ギンゴライド(gingkolide)B、アモルファジエン、アルテミシニン、アルテミシン酸、バレンセン、ノートカトン、エピセドロール、エピアリストロケン、ファルネソール、ゴシポール、サノニン、ペリプラノン、フォルスコリン、及びパチョロール(パチョリアルコールとしても公知である)が挙げられる。他の実施形態では、イソプレノイドは、C20イソプレノイドである。これらの化合物は、4つのイソプレン単位から誘導され、ジテルペンとも称される。ジテルペンの実例として、カスベン、エリュテロビン、パクリタキセル、プロストラチン、プソイドプテロシン、及びタキサジエンが挙げられる。さらに他の例では、イソプレノイドは、C20+イソプレノイドである。これらの化合物は、5つ以上のイソプレン単位から誘導され、アルブルシドE、ブルセアンチン、テストステロン、プロゲステロン、コルチソン、ジギトキシン、及びスクアレンなどのトリテルペン(6つのイソプレン単位から誘導されるC30イソプレノイド化合物);β-カロチンなどのテトラテルペン(8つのイソプレノイドから誘導されるC40イソプレノイド化合物);並びにポリイソプレンなどのポリテルペン(9つ以上のイソプレン単位から誘導されるC40+イソプレノイド化合物)を含む。いくつかの実施形態では、イソプレノイドは、アビエタジエン、アモルファジエン、カレン、α-ファルネセン、β-ファルネセン、ファルネソール、ゲラニオール、ゲラニルゲラニオール、イソプレン、リナロール、リモネン、ミルセン、ネロリドール、オシメン、パチョロール、β-ピネン、サビネン、γ-テルピネン、テルピノレン及びバレンセンからなる群から選択される。イソプレノイド化合物はまた、限定はされないが、カロチノイド(リコピン、α-及びβ-カロチン、α-及びβ-クリプトキサンチン、ビキシン、ゼアキサンチン、アスタキサンチン、及びルテインなど)、ステロイド化合物、並びに、混合されたテルペン-アルカロイド、及びコエンザイムQ-10など、他の化学基によって修飾されるイソプレノイドからなる化合物を含む。
【0120】
[00123] いくつかの実施形態では、イソプレノイドを生成する細胞は、MEV経路を介して作成されたIPPをDMAPPに変換し得る酵素、例えばIPPイソメラーゼをコードする異種ヌクレオチド配列をさらに含む。かかる酵素をコードするヌクレオチド配列の実例として、限定はされないが、(NC_000913、3031087.3031635;大腸菌(Escherichia coli))、及び(AF082326;ヘマトコッカス藻(Haematococcus pluvialis))が挙げられる。
【0121】
[00124] いくつかの実施形態では、イソプレノイドを生成する細胞は、IPP及び/又はDMAPP分子を縮合させ、6つ以上の炭素を有するポリプレニル化合物を形成し得るポリプレニル合成酵素をコードする異種ヌクレオチド配列をさらに含む。
【0122】
[00125] いくつかの実施形態では、イソプレノイドを生成する細胞は、IPPの1分子をDMAPPの1分子と縮合させ、ゲラニルピロリン酸(「GPP」)の1分子を形成し得る酵素、例えばGPP合成酵素をコードする異種ヌクレオチド配列を含む。かかる酵素をコードするヌクレオチド配列の実例として、限定はされないが、(AF513111;アメリカオオモミ(Abies grandis))、(AF513112;アメリカオオモミ(Abies grandis))、(AF513113;アメリカオオモミ(Abies grandis))、(AY534686;キンギョソウ(Antirrhinum majus))、(AY534687;キンギョソウ(Antirrhinum majus))、(Y17376;シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana))、(AE016877、遺伝子座AP11092;セレウス菌(Bacillus cereus);ATCC 14579)、(AJ243739;スイートオレンジ(Citrus sinensis))、(AY534745;クラルキア・ブレウェリ(Clarkia breweri))、(AY953508;イプス・ピニ(Ips pini))、(DQ286930;トマト(Lycopersicon esculentum))、(AF182828;ペパーミント(Mentha x piperita))、(AF182827;ペパーミント(Mentha x piperita))、(MPI249453;ペパーミント(Mentha x piperita))、(PZE431697、遺伝子座CAD24425;パラコッカス・ゼアキサンチニファシエンス(Paracoccus zeaxanthinifaciens))、(AY866498;コオウレン(Picrorhiza kurrooa))、(AY351862;ヨーロッパブドウ(Vitis vinifera))、及び(AF203881、遺伝子座AAF12843;ザイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis))が挙げられる。
【0123】
[00126] いくつかの実施形態では、イソプレノイドを生成する細胞は、IPPの2分子をDMAPPの1分子と縮合させる、又はIPPの1分子をGPPの1分子に付加することで、ファルネシルピロリン酸(「FPP」)の1分子を形成し得る酵素、例えばFPP合成酵素をコードする異種ヌクレオチド配列を含む。かかる酵素をコードするヌクレオチド配列の実例として、限定はされないが、(ATU80605;シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana))、(ATHFPS2R;シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana))、(AAU36376;クソニンジン(Artemisia annua))、(AF461050;ウシ(Bos taurus))、(D00694;大腸菌(Escherichia coli)K-12)、(AE009951、遺伝子座AAL95523;フソバクテリウム・ヌクレアタム亜種ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum subsp. nucleatum)ATCC 25586)、(GFFPPSGEN;ジベレラ・フジクロイ(Gibberella fujikuroi))、(CP000009、遺伝子座AAW60034;グルコノバクター・オキシダンス(Gluconobacter oxydans)621H)、(AF019892;ヒマワリ(Helianthus annuus))、(HUMFAPS;ヒト(Homo sapiens))、(KLPFPSQCR;クリベロマイセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis))、(LAU15777;シロバナハウチワマメ(Lupinus albus))、(LAU20771;シロバナハウチワマメ(Lupinus albus))、(AF309508;ムス・ムスクルス(Mus musculus))、(NCFPPSGEN;アカバンカビ(Neurospora crassa))、(PAFPS1;グアユールゴムノキ(Parthenium argentatum))、(PAFPS2;グアユールゴムノキ(Parthenium argentatum))、(RATFAPS;ラット(Rattus norvegicus))、(YSCFPP;出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae))、(D89104;シゾサッカロミセス・ポンベ(SchizoSaccharomyces pombe))、(CP000003、遺伝子座AAT87386;化膿レンサ球菌(Streptococcus pyogenes))、(CP000017、遺伝子座AAZ51849;化膿レンサ球菌(Streptococcus pyogenes))、(NC_008022、遺伝子座YP_598856;化膿レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)MGAS10270)、(NC_008023、遺伝子座YP_600845;化膿レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)MGAS2096)、(NC_008024、遺伝子座YP_602832;化膿レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)MGAS10750)、(MZEFPS;トウモロコシ(Zea mays))、(AE000657、遺伝子座AAC06913;超好熱性真正細菌(Aquifex aeolicus)VF5)、(NM_202836;シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana))、(D84432、遺伝子座BAA12575;枯草菌(Bacillus subtilis))、(U12678、遺伝子座AAC28894;ダイズ根粒菌(Bradyrhizobium japonicum)USDA 110)、(BACFDPS;ゲオバチルス・ステアロサーモフィルス(Geobacillus stearothermophilus))、(NC_002940、遺伝子座NP_873754;軟性下疳菌(Haemophilus ducreyi)35000HP)、(L42023、遺伝子座AAC23087;インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)Rd KW20)、(J05262;ヒト(Homo sapiens))、(YP_395294;ラクトバチルス・サケイ亜種サケイ(Lactobacillus sakei subsp. sakei)23K)、(NC_005823、遺伝子座YP_000273;レプトスピラ・インテロガンス血清型コペンハーゲンstr.(Leptospira interrogans serovar Copenhageni str.)Fiocruz L1-130)、(AB003187;ルテウス菌(Micrococcus luteus))、(NC_002946、遺伝子座YP_208768;淋菌(Neisseria gonorrhoeae)FA 1090)、(U00090、遺伝子座AAB91752;根粒菌(Rhizobium sp.)NGR234)、(J05091;出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae))、(CP000031、遺伝子座AAV93568;シリシバクター・ポメロイ(Silicibacter pomeroyi)DSS-3)、(AE008481、遺伝子座AAK99890;肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)R6)、及び(NC_004556、遺伝子座NP 779706;ピアス病菌(Xylella fastidiosa)Temecula1)が挙げられる。
【0124】
[00127] いくつかの実施形態では、イソプレノイドを生成する細胞は、IPPとDMAPP又はIPPとFPPを結合させ、ゲラニルゲラニルピロリン酸(「GGPP」)を形成し得る酵素をコードする異種ヌクレオチド配列をさらに含む。かかる酵素をコードするヌクレオチド配列の実例として、限定はされないが、(ATHGERPYRS;シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana))、(BT005328;シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana))、(NM_119845;シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana))、(NZ_AAJM01000380、遺伝子座ZP_00743052;バチルス・チューリンゲンシス血清型イスラエレンシス(Bacillus thuringiensis serovar israelensis)、ATCC 35646 sq1563)、(CRGGPPS;ニチニチソウ(Catharanthus roseus))、(NZ_AABF02000074、遺伝子座ZP_00144509;フソバクテリウム・ヌクレアタム亜種ビンセンティ(Fusobacterium nucleatum subsp. vincentii)、ATCC 49256)、(GFGGPPSGN;ジベレラ・フジクロイ(Gibberella fujikuroi))、(AY371321;イチョウ(Ginkgo biloba))、(AB055496;パラゴムノキ(Hevea brasiliensis))、(AB017971;ヒト(Homo sapiens))、(MCI276129;ムコール・シルシネロイデス・エフ・ルシタニコス(Mucor circinelloides f. lusitanicus))、(AB016044;ムス・ムスクルス(Mus musculus))、(AABX01000298、遺伝子座NCU01427;アカバンカビ(Neurospora crassa))、(NCU20940;アカバンカビ(Neurospora crassa))、(NZ_AAKL01000008、遺伝子座ZP_00943566;青枯病菌(Ralstonia solanacearum)UW551)、(AB118238;ラット(Rattus norvegicus))、(SCU31632;出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae))、(AB016095;シネココッカス・エロンガタス(Synechococcus elongates))、(SAGGPS;シロガラシ(Sinapis alba))、(SSOGDS;スルホロブス・アシドカルダリウス(Sulfolobus acidocaldarius))、(NC_007759、遺伝子座YP_461832;シントロファス・アシディトロフィクス(Syntrophus aciditrophicus)SB)、(NC_006840、遺伝子座YP_204095;ビブリオ・フィシェリ(Vibrio fischeri)ES114)、(NM_112315;シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana))、(ERWCRTE;パントエア・アグロメランス(Pantoea agglomerans))、(D90087、遺伝子座BAA14124;パントエア・アナナティス(Pantoea ananatis))、(X52291、遺伝子座CAA36538;ロドバクター・カプスラータ(Rhodobacter capsulatus))、(AF195122、遺伝子座AAF24294;ロドバクター・スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides))、及び(NC_004350、遺伝子座NP_721015;ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)UA159)が挙げられる。
【0125】
[00128] いくつかの実施形態では、イソプレノイドを生成する細胞は、ポリプレニルを修飾し、ヘミテルペン、モノテルペン、セスキテルペン、ジテルペン、トリテルペン、テトラテルペン、ポリテルペン、ステロイド化合物、カロチノイド、又は修飾イソプレノイド化合物を形成し得る酵素をコードする異種ヌクレオチド配列をさらに含む。
【0126】
[00129] いくつかの実施形態では、異種ヌクレオチドは、カレン合成酵素をコードする。好適なヌクレオチド配列の実例として、限定はされないが、(AF461460、領域43.1926;オウシュウトウヒ(Picea abies))及び(AF527416、領域:78.1871;サルビア・ステノフィラ(Salvia stenophylla))が挙げられる。
【0127】
[00130] いくつかの実施形態では、異種ヌクレオチドは、ゲラニオール合成酵素をコードする。好適なヌクレオチド配列の実例として、限定はされないが、(AJ457070;シナモン(Cinnamomum tenuipilum))、(AY362553;メボウキ(Ocimum basilicum))、(DQ234300;エゴマ(Perilla frutescens)株1864)、(DQ234299;レモンエゴマ(Perilla citriodora)株1861)、(DQ234298;レモンエゴマ(Perilla citriodora)株4935)、及び(DQ088667;レモンエゴマ(Perilla citriodora))が挙げられる。
【0128】
[00131] いくつかの実施形態では、異種ヌクレオチドは、リナロール合成酵素をコードする。好適なヌクレオチド配列の実例として、限定はされないが、(AF497485;シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana))、(AC002294、遺伝子座AAB71482;シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana))、(AY059757;シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana))、(NM_104793;シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana))、(AF154124;クソニンジン(Artemisia annua))、(AF067603;クラルキア・ブレウェリ(Clarkia breweri))、(AF067602;クラルキア・コンシンネ(Clarkia concinna))、(AF067601;クラルキア・ブレウェリ(Clarkia breweri))、(U58314;クラルキア・ブレウェリ(Clarkia breweri))、(AY840091;トマト(Lycopersicon esculentum))、(DQ263741;真正ラベンダー(Lavandula angustifolia))、(AY083653;ベルガモットミント(Mentha citrate))、(AY693647;メボウキ(Ocimum basilicum))、(XM_463918;アジアイネ(Oryza sativa))、(AP004078、遺伝子座BAD07605;アジアイネ(Oryza sativa))、(XM_463918、遺伝子座XP_463918;アジアイネ(Oryza sativa))、(AY917193;レモンエゴマ(Perilla citriodora))、(AF271259;エゴマ(Perilla frutescens))、(AY473623;オウシュウトウヒ(Picea abies))、(DQ195274;シトカトウヒ(Picea sitchensis))、及び(AF444798;シソ(Perilla frutescens var. crispa)栽培品種No.79)が挙げられる。
【0129】
[00132] いくつかの実施形態では、異種ヌクレオチドは、リモネン合成酵素をコードする。好適なヌクレオチド配列の実例として、限定はされないが、(+)-リモネン合成酵素(AF514287、領域:47.1867;レモン(Citrus limon))及び(AY055214、領域:48.1889;カワミドリ(Agastache rugosa))並びに(-)-リモネン合成酵素(DQ195275、領域:1.1905;シトカトウヒ(Picea sitchensis))、(AF006193、領域:73.1986;アメリカオオモミ(Abies grandis))、及び(MHC4SLSP、領域:29.1828;スペアミント(Mentha spicata))が挙げられる。
【0130】
[00133] いくつかの実施形態では、異種ヌクレオチドは、ミルセン合成酵素をコードする。好適なヌクレオチド配列の実例として、限定はされないが、(U87908;アメリカオオモミ(Abies grandis))、(AY195609;キンギョソウ(Antirrhinum majus))、(AY195608;キンギョソウ(Antirrhinum majus))、(NM_127982;シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)TPS10)、(NM_113485;シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)ATTPS-CIN)、(NM_113483;シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)ATTPS-CIN)、(AF271259;エゴマ(Perilla frutescens))、(AY473626;オウシュウトウヒ(Picea abies))、(AF369919;オウシュウトウヒ(Picea abies))、及び(AJ304839;セイヨウヒイラギガシ(Quercus ilex))が挙げられる。
【0131】
[00134] いくつかの実施形態では、異種ヌクレオチドは、オシメン合成酵素をコードする。好適なヌクレオチド配列の実例として、限定はされないが、(AY195607;キンギョソウ(Antirrhinum majus))、(AY195609;キンギョソウ(Antirrhinum majus))、(AY195608;キンギョソウ(Antirrhinum majus))、(AK221024;シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana))、(NM_113485;シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)ATTPS-CIN)、(NM_113483;シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)ATTPS-CIN)、(NM_117775;シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)ATTPS03)、(NM_001036574;シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)ATTPS03)、(NM_127982;シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)TPS10)、(AB110642;ウンシュウミカン(Citrus unshiu)CitMTSL4)、及び(AY575970;ミヤコグサ(Lotus corniculatus var. japonicus))が挙げられる。
【0132】
[00135] いくつかの実施形態では、異種ヌクレオチドは、α-ピネン合成酵素をコードする。好適なヌクレオチド配列の実例として、限定はされないが、(+)α-ピネン合成酵素(AF543530、領域:1.1887;テーダマツ(Pinus taeda))、(-)α-ピネン合成酵素(AF543527、領域:32.1921;テーダマツ(Pinus taeda))、及び(+)/(-)α-ピネン合成酵素(AGU87909、領域:6111892;アメリカオオモミ(Abies grandis))が挙げられる。
【0133】
[00136] いくつかの実施形態では、異種ヌクレオチドは、β-ピネン合成酵素をコードする。好適なヌクレオチド配列の実例として、限定はされないが、(-)β-ピネン合成酵素(AF276072、領域:1.1749;クソニンジン(Artemisia annua))及び(AF514288、領域:26.1834;レモン(Citrus limon))が挙げられる。
【0134】
[00137] いくつかの実施形態では、異種ヌクレオチドは、サビネン合成酵素をコードする。好適なヌクレオチド配列の実例として、限定はされないが、AF051901、領域:26.1798(セージ(Salvia officinalis)由来)が挙げられる。
【0135】
[00138] いくつかの実施形態では、異種ヌクレオチドは、γ-テルピネン合成酵素をコードする。好適なヌクレオチド配列の実例として、限定はされないが、(AF514286、領域:30.1832、レモン(Citrus limon)由来)及び(AB110640、領域1.1803、ウンシュウミカン(Citrus unshiu)由来)が挙げられる。
【0136】
[00139] いくつかの実施形態では、異種ヌクレオチドは、テルピノレン合成酵素をコードする。好適なヌクレオチド配列の実例として、限定はされないが、(AY693650、メボウキ(Ocimum basilicum)由来)及び(AY906866、領域:10.1887、ベイマツ(Pseudotsuga menziesii)由来)が挙げられる。
【0137】
[00140] いくつかの実施形態では、異種ヌクレオチドは、アモルファジエン合成酵素をコードする。好適なヌクレオチド配列の実例として、米国特許出願公開第2004/0005678号の配列番号37が挙げられる。
【0138】
[00141] いくつかの実施形態では、異種ヌクレオチドは、α-ファルネセン合成酵素をコードする。好適なヌクレオチド配列の実例として、限定はされないが、セイヨウナシ(Pyrus communis)栽培品種d’Anjou由来のDQ309034(セイヨウナシ(pear);遺伝子名AFS1)及びリンゴ(Malus domestica)由来のAY182241(リンゴ(apple);遺伝子AFS1)が挙げられる。Pechouus et al., Planta 219(1):84-94 (2004)。
【0139】
[00142] いくつかの実施形態では、異種ヌクレオチドは、β-ファルネセン合成酵素をコードする。好適なヌクレオチド配列の実例として、限定はされないが、ペパーミント(Mentha x piperita)由来のジェンバンク受入番号AF024615(ペパーミント(peppermint);遺伝子Tspa11)、及びクソニンジン(Artemisia annua)由来のAY835398が挙げられる。Picaud et al., Phytochemistry 66(9): 961-967 (2005)。
【0140】
[00143] いくつかの実施形態では、異種ヌクレオチドは、ファルネソール合成酵素をコードする。好適なヌクレオチド配列の実例として、限定はされないが、トウモロコシ(Zea mays)由来のジェンバンク受入番号AF529266、及び出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)由来のYDR481C(遺伝子Pho8)が挙げられる。Song, L., Applied Biochemistry and Biotechnology 128:149-158 (2006)。
【0141】
[00144] いくつかの実施形態では、異種ヌクレオチドは、ネロリドール合成酵素をコードする。好適なヌクレオチド配列の実例として、限定はされないが、トウモロコシ(Zea mays)由来のAF529266(トウモロコシ(maize);遺伝子tps1)が挙げられる。
【0142】
[00145] いくつかの実施形態では、異種ヌクレオチドは、パチョロール合成酵素をコードする。好適なヌクレオチド配列の実例として、限定はされないが、パチョリ(Pogostemon cablin)由来のAY508730領域:1.1659が挙げられる。
【0143】
[00146] いくつかの実施形態では、異種ヌクレオチドは、ノートカトン合成酵素をコードする。好適なヌクレオチド配列の実例として、限定はされないが、スイートオレンジ(Citrus sinensis)由来のAF441124領域:1.1647及びエゴマ(Perilla frutescens)由来のAY917195領域:1.1653が挙げられる。
【0144】
[00147] いくつかの実施形態では、異種ヌクレオチドは、アビエタジエン合成酵素をコードする。好適なヌクレオチド配列の実例として、限定はされないが、(U50768;アメリカオオモミ(Abies grandis))及び(AY473621;オウシュウトウヒ(Picea abies))が挙げられる。
【0145】
培地及び条件
[00148] 培養物の維持及び成長のための材料及び方法は、微生物学又は発酵科学の当業者にとって周知である(例えば、Bailey et al., Biochemical Engineering Fundamentals, second edition, McGraw Hill, New York, 1986を参照)。宿主細胞、発酵、及びプロセスの具体的要件に応じて、好気性、微好気性、又は嫌気性条件における適切な培地、pH、温度、及び要件に対して検討を行う必要がある。
【0146】
[00149] 本明細書に提供される不水溶性化合物を生成する方法は、限定はされないが、細胞培養プレート、フラスコ、又は発酵槽を含む好適な容器内、好適な培地中で実施されてもよい。さらに、該方法は、微生物製品の工業生産を支持するような任意の規模の当該技術分野で公知の発酵で実施され得る。撹拌タンク発酵槽、エアリフト発酵槽、バブル発酵槽、又はそれらの任意の組み合わせを含む任意の好適な発酵槽が使用されてもよい。宿主細胞として出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)を利用する特定の実施形態では、Kosaric, et al, in Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry, Sixth Edition, Volume 12, pages 398-473, Wiley-VCH Verlag GmbH & Co. KDaA, Weinheim, Germanyで詳述のような発酵槽で株が成長され得る。さらに、該方法は、任意の体積の発酵、例えば、実験室規模(例えば、約10ml~20L)からパイロット規模(例えば、約20L~500L)、さらには工業規模(例えば、約500L~≧500,000L)の発酵で実施され得る。
【0147】
[00150] いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるような不水溶性化合物を生成する方法における使用を意図した培地は、不水溶性化合物を生成する能力がある遺伝子組換え微生物が生存する、即ち成長及び生存度を支持及び維持する可能性がある場合の任意の培地を含む。いくつかの実施形態では、該培地はまた、所望される不水溶性化合物を生成するのに必要な生合成経路を促進する。
【0148】
[00151] いくつかの実施形態では、該培地は、同化可能な炭素、窒素及びリン酸供給源を含む水性培地である。かかる培地はまた、適切な塩、ミネラル、金属及び他の栄養素を含み得る。いくつかの実施形態では、炭素源及び必須細胞栄養素の各々が、発酵培地に増加的に又は継続的に添加され、各必要栄養素は、例えば炭素源をバイオマスに変換する細胞の代謝又は呼吸機能に基づく所定の細胞成長曲線に従い、細胞を成長させることにより、本質的に効率的同化に要求される最低レベルで維持される。
【0149】
[00152] 微生物を培養するための好適な条件及び好適な培地は、当該技術分野で周知である。いくつかの実施形態では、好適な培地は、1つ以上の追加的な薬剤、例えば、誘導物質(例えば、遺伝子産物をコードする1つ以上のヌクレオチド配列が誘導性プロモーターの制御下にあるとき)、抑制因子(例えば、遺伝子産物をコードする1つ以上のヌクレオチド配列が抑制性プロモーターの制御下にあるとき)、又は選択薬剤(例えば、遺伝子修飾を含む微生物について選択するための抗生物質)などが添加される。
【0150】
[00153] いくつかの実施形態では、炭素源は、単糖(単糖類)、二糖、多糖、非発酵性炭素源、又はそれらの1つ以上の組み合わせである。好適な単糖の非限定例として、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、リボース、及びそれらの組み合わせが挙げられる。好適な二糖の非限定例として、スクロース、ラクトース、麦芽糖、トレハロース、セロビオース、及びそれらの組み合わせが挙げられる。好適な多糖の非限定例として、デンプン、グリコーゲン、セルロース、キチン、及びそれらの組み合わせが挙げられる。好適な非発酵性炭素源の非限定例として、酢酸塩及びグリセロールが挙げられる。いくつかの実施形態では、炭素源の異なる組み合わせを含むサトウキビシロップが使用されてもよい。
【0151】
[00154] 培地中の炭素源、例えばグルコースの濃度は、細胞成長を促進する必要があるが、使用される微生物の成長を抑制するほど高くない。典型的には、炭素源、例えばグルコースが、(概ね<0.1g/lである検出限界の)検出不能レベルでなく、成長及びバイオマスの所望されるレベルを達成するレベルで添加されることで、培養が行われる。他の実施形態では、培地中の炭素源、例えばグルコースの濃度は、約1g/L超、典型的には約2g/L超、また典型的には約5g/L超である。さらに、培地中の炭素源、例えばグルコースの濃度は、一般に、約100g/L未満、典型的には約50g/L未満、またより典型的には約20g/L未満である。時として、炭素源の濃度は、短期間の間、例えば細胞が最初に発酵槽に添加されるとき、100g/L超であり得る。培養成分濃度への参照が、初期及び/又は進行中の成分濃度の双方を指し得ることは注目されるべきである。場合によっては、培養中、培地を炭素源の枯渇状態にしておくことが望ましいことがある。
【0152】
[00155] 好適な培地中で使用することができる同化可能な窒素の供給源として、限定はされないが、単純窒素源、有機窒素源及び複合窒素源が挙げられる。かかる窒素源は、無水アンモニア、アンモニウム塩及び動物、植物及び/又は微生物起源の物質を含む。好適な窒素源として、限定はされないが、タンパク質加水分解物、微生物バイオマス加水分解物、ペプトン、酵母抽出物、硫酸アンモニウム、尿素、及びアミノ酸が挙げられる。任意の適量の窒素源が培地に添加されてもよい。さらに、場合によっては、培養中、培地を窒素源の枯渇状態にしておくことが望ましいことがある。
【0153】
[00156] 有効な培地は、無機塩類、ビタミン、微量金属又は成長プロモーターなどの他の化合物を含有し得る。かかる他の化合物はまた、有効な培地中の炭素源、窒素源又はミネラル源に存在し得るか、又は培地に特別に添加され得る。
【0154】
[00157] 該培地はまた、好適なリン酸源を含有し得る。かかるリン酸源は、無機及び有機リン酸源の双方を含む。好ましいリン酸源は、限定はされないが、リン酸塩、例えば、一塩基性又は二塩基性のリン酸ナトリウム及びカリウム、リン酸アンモニウム並びにそれらの混合物を含む。リン酸源は、任意の適量で培地に添加されてもよい。
【0155】
[00158] 好適な培地はまた、好ましくは生理学的に許容できる塩の形態で、マグネシウムの供給源、例えば硫酸マグネシウム七水和物を含み得るが、他のマグネシウム源が類似量のマグネシウムに寄与する濃度で使用可能である。マグネシウム源は、任意の適量で培地に添加されてもよい。さらに、場合によっては、培養中、培地をマグネシウム源が枯渇した状態にしておくことが望ましいことがある。
【0156】
[00159] いくつかの実施形態では、該培地はまた、生物学的に許容できるキレート剤、例えばクエン酸三ナトリウムの二水和物を含み得る。キレート剤は、任意の適量で培地に添加されてもよい。
【0157】
[00160] 該培地はまた、培地の所望されるpHを維持するため、生物学的に許容できる酸又は塩基を最初に含み得る。生物学的に許容できる酸は、限定はされないが、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸及びそれらの混合物を含む。生物学的に許容できる塩基は、限定はされないが、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及びそれらの混合物を含む。いくつかの実施形態では、使用される塩基は、水酸化アンモニウムである。
【0158】
[00161] いくつかの実施形態では、該培地はまた、限定はされないが塩化カルシウムを含む、生物学的に許容できるカルシウム源を含み得る。いくつかの実施形態では、該培地はまた、塩化ナトリウムを含み得る。いくつかの実施形態では、該培地はまた、微量金属を含み得る。かかる微量金属は、便宜上、培地の残りとは別に調製され得る保存液として、培地に添加され得る。カルシウム源、塩化ナトリウム、及び微量金属は、任意の適量で培地に添加されてもよい。
【0159】
[00162] 該培地は、他のビタミン、例えば、ビオチン、カルシウム、パントテン酸、イノシトール、ピリドキシン-HCl、及びチアミン-HClを含み得る。かかるビタミンは、便宜上、培地の残りとは別に調製され得る保存液として、培地に添加され得る。しかし、ビタミンの培地への添加は、特定濃度を超えると、微生物の成長にとって有利でない。
【0160】
[00163] 本明細書に記載の発酵方法は、限定はされないが、バッチ、フェドバッチ、細胞リサイクル、連続式及び半連続式を含む、通常の培養方法で実施され得る。いくつかの実施形態では、発酵は、フェドバッチモードで実施される。このような場合、発酵の産生段階の間の培地の成分の一部は、培養中に枯渇される。いくつかの実施形態では、添加が要求される前の一時期、成長及び/又は不水溶性化合物の生成が支持されるように、培養物には、例えば産生段階の開始時に比較的高濃度のかかる成分が添加されてもよい。これら成分の好ましい範囲は、培養によるレベルの枯渇に応じて添加することにより、培養全体を通じて維持される。培地中の成分のレベルは、例えば培地を定期的にサンプリングし、濃度についてアッセイすることにより監視され得る。或いは、一旦標準的培養手順が開発されると、培養全体を通じた特定時点での既知のレベルに対応する時間間隔で添加が実施され得る。当業者によって理解されるように、栄養素の消費速度は、培養中、培地の細胞密度が増加するにつれて増加する。さらに、外来微生物の培地への導入を回避するため、当該技術分野で公知の通り、無菌添加方法を用いて添加が実施される。さらに、培養中、少量の抗発泡剤が添加されてもよい。
【0161】
[00164] 培地の温度は、遺伝子組換え細胞の成長及び/又は不水溶性化合物の生成に適した任意の温度であり得る。例えば、培地への接種材料の接種前、培地は、約20℃~約45℃の範囲内の温度、典型的には約25℃~約40℃の範囲内の温度、より典型的には約28℃~約34℃の範囲内の温度に至らせ、その温度で維持され得る。
【0162】
[00165] 培地のpHは、酸又は塩基の培地への添加により制御され得る。pHを制御するため、アンモニアが使用されるような場合、便宜上、それは培地中の窒素源としても役立つ。好ましくは、pHは、約3.0~約8.0、典型的には約3.5~約7.0、より典型的には約4.0~約6.5で維持される。
【0163】
[00166] いくつかの実施形態では、培地の炭素源濃度、例えばグルコース濃度は、培養中監視される。培地のグルコース濃度は、例えば、上清中のグルコース濃度、例えば培地の無細胞成分を監視するのに使用可能である、グルコースオキシダーゼ酵素試験又は高圧液体クロマトグラフィーなどの公知の技術を用いて監視され得る。前述の通り、炭素源濃度は、細胞成長阻害が生じるレベル未満で維持される必要がある。かかる濃度は生物間で変化することがあるが、炭素源としてのグルコースの場合、細胞成長阻害は、約60g/L超のグルコース濃度で生じることがあり、試験により容易に測定可能である。したがって、グルコースが炭素源として使用されるとき、グルコースは、好ましくは発酵槽に与えられ、検出限界未満で維持される。或いは、培地中のグルコース濃度は、約1g/L~約100g/Lの範囲内、典型的には約2g/L~約50g/Lの範囲内、また時として約5g/L~約20g/Lの範囲内で維持される。炭素源濃度は、例えば実質的に純粋なグルコース溶液の添加により、所望されるレベル以内で維持され得るが、培地の炭素源濃度を元の培地の一定分量の添加により維持することは許容できる。元の培地の一定分量の使用は、培地中の他の栄養素(例えば、窒素源及びリン酸源)の濃度が同時に維持可能であることから、望ましいことがある。同様に、微量金属の濃度は、微量金属溶液の一定分量の添加により、培地中で維持可能である。
【実施例
【0164】
実施例
[00167] 本明細書で用いられるとき、これらのプロセス、スキーム及び例で用いられる記号及び慣習は、特定の略称が具体的に定義されるか否かとは無関係に、現代の科学文献、例えば、Journal of the American Chemical Society or the Journal of Biological Chemistryで用いられるものに一致する。具体的には、限定はされないが、以下の略称は、実施例中、及び明細書全体を通じて使用されてもよい:g(グラム);mg(ミリグラム);mL(ミリリットル);μL(マイクロリットル);mM(ミリモル);μM(マイクロモル);Hz(ヘルツ);MHz(メガヘルツ);mmol(ミリモル);hr.又はhrs.(時間);min(分);MS(質量分析);ESI(エレクトロスプレーイオン化);TLC(薄層クロマトグラフィー);HPLC(高圧液体クロマトグラフィー);THF(テトラヒドロフラン);CDCl(重水素化クロロホルム);AcOH(酢酸);DCM(ジクロロメタン);DMSO(ジメチルスルホキシド);DMSO-d(重水素化ジメチルスルホキシド);EtOAc(酢酸エチル);MeOH(メタノール);及びBOC(t-ブチルオキシカルボニル)。
【0165】
[00168] 以下の実施例のすべてにおいて、当業者に公知の標準的な精査及び精製方法が利用可能である。別段の指示がない限り、すべての温度は、℃(摂氏温度)で表される。すべての反応は、特に断りのない限り、室温で実施される。本明細書中に例示される合成方法は、具体例の使用を通じて適用可能な化学を例証することが意図され、本開示の範囲を示すものではない。
【0166】
実施例1
[00169] 本実施例は、死細胞層からの不水溶性化合物の有効な放出を実証する。
【0167】
[00170] 死細胞層のエマルジョンに対する均質化効率を評価した。Niro Panda高圧ホモジナイザーを900バールで用いて、死細胞層のエマルジョンを均質化した。サンプル1mLを各々の慎重な通過後に抜き取り、遠心分離し、ペレットが形成されているか否かを判定した。900バールで2回通過後、ペレットを観察し、ホモジナイザーがデブリのペレット化を生じさせていることが示された。ペレットのサイズは、2回通過後、有意に増加するように見えなかった。図2を参照されたし。
【0168】
[00171] 得られたスラリーを、50%硝酸溶液を用いてpH2.5まで滴定した。アニオン洗剤Dowfax 2A1を、0.2%体積/体積の増加で最大1%v/v濃度になるまで添加した。一定分量を混合し、8500Gで2分間遠心分離した。図3で分かるように、1%のDowfax 2A1濃度で、遊離した遊離油が上相に存在する一方で、固体が遠心管の底に完全にペレット化する。
【0169】
実施例2
[00172] 4つのベンチ規模の回収を実施し、死細胞層からの粗ファルネセン油の回収収率を測定し、ファルネセンの含量及び純度の観点での異なる相を特徴づけた。
【0170】
[00173] 各試験において、約100mLの死細胞層のスラリーを50%硝酸でpH2.5に滴定し、900バールで2回通過において均質化した。DOWFAX 2A1を1%v/v濃度まで添加し、50mLの遠心管にアリコートした。管を70℃の水槽内で約15分間加熱し、70℃、5000×Gで7分間遠心分離した。遠心分離後、清澄なファルネセン発生(breakout)相が、その直下のラグ層の相、水相及び底部のデブリペレットとともに認められた。図4を参照されたし。
【0171】
[00174] ファルネセン力価のため、清澄な粗製相、及び水相をシリンジにより慎重に採取した。ガスクロマトグラフィー分析により、ファルネセン力価のため、直接的に、デブリペレットをデカンテーションにより単離し、秤量し、採取した。ガスクロマトグラフィーデータを下表に示す。
【0172】
【表1】
【0173】
[00175] 4つの実験の各ステップにおける回収収率を下表に示す。
【0174】
【表2】
【0175】
[00176] 均質化された死細胞層の化学的処理後、平均で約71%の粗ファルネセンの発生が認められた。試験から採取した粗ファルネセンの純度分析を下表に示す。
【0176】
【表3】
【0177】
[00177] 本実施例に示す通り、細胞破壊、低pH、及び界面活性剤の添加とその後の遠心分離の組み合わせを適用することにより、死細胞層のエマルジョンを破壊し、不水溶性化合物を回収することが可能である。
【0178】
実施例3
[00178] 通常のプロセスを用いて、より大きい体積の粗ファルネセンを生成し、続いてファルネセン蒸発条件(<1トル、120℃)を用いて蒸留させた。蒸留したファルネセンを純度についてアッセイし、既存の仕様を満足させることが見出された。結果を下表に示す。
【0179】
【表4】
【0180】
実施例4
[00179] 本実施例は、300Lの発酵槽での実行からの不水溶性化合物の回収を実証する。
【0181】
[00180] ファルネセンを生成する細胞を300Lの発酵槽で培養した。液体-液体重相の全体積に対し、NIRO NS3006L Pantherホモジナイザーを通じて、900バールの圧力で1回通過を実行した。可溶化液を硝酸でpH2.5に酸性化し、界面活性剤(DOWFAX 2A1)を0.6%の濃度まで添加する。処理した可溶化液を70℃まで加熱した。死細胞層の固体が脱落し、液体-液体遠心分離により回収可能な捕捉されたファルネセンを放出した。処理及び加熱した可溶化液に対して、清澄化遠心分離を実施し、死細胞層の固体を完全に清澄化し、放出されたファルネセンを濃縮した。回収した軽相(「清澄化処理可溶化液」又は「CTL」)を、後の抜き取りで回収した清澄化濃縮培養液(「CCB」)に戻し添加した。このようにして、処理した液体-液体重相及びそれに伴う減少分を主要なファルネセン回収プロセスに戻し添加した。製造規模及びパイロット規模プロセスの模式図を図1B及び1Cに示す。
【0182】
[00181] パイロット規模システムでは、ファルネセン産生株を、ケーンシロップフィードを用いて162時間発酵させた。これは2回の抜き取りと1回の収集を可能にした(FAD 0、FAD 1、及びFAD 2)。CCBを70℃、0.6%Tergitol L-62界面活性剤で処理することを通じて、初回抜き取り(FAD 0)での粗製物を得た。液体-液体重相の全体積に対し、900バールでの1回通過において均質化し、次に硝酸を用いてそれをpH2.5まで滴定した。次に、得られた組成物をDOWFAX 2A1界面活性剤と0.6%v/v濃度で混合した。処理した可溶化液を70℃に加熱し、DX-203を用いて遠心分離し、死細胞層の固体を除去した。これはCTL流である。
【0183】
[00182] 次の抜き取り(FAD 1)で回収したCCBを、2つの等しい一定分量に分割した。FAD 0から得られたCTLをFAD 1からのCCBの一定分量の一方に戻し添加し、0.6%のL-62界面活性剤を伴う液体-液体ステップを通過させた。第2の一定分量を対照の液体-液体流として処理した。CTL濃縮条件からの液体-液体重相を上記のように再び処理し、得られたCTLをFAD 2から分割したCCBの一定分量に戻し添加した。これは、この発酵実行における最終抜き取りであった。
【0184】
[00183] 全体として、対照と比べて4%より多い粗ファルネセンを、CCBに戻した液体-液体重相を処理及び再利用することにより捕捉した。興味深いことに、CTLをCCBに戻し添加することにより、エマルジョンを1桁を超えるまで破壊するというL-62の要件が減少したが;0.6%の2A1のプロセスへの添加を考慮するとき、界面活性剤の全消費(L-62+2A1)は7%増加した。
【0185】
[00184] 3回の液体-固体分離(FAD 0、1、2)からの回収収率を下表に提示する。
【0186】
【表5】
【0187】
[00185] FAD 1及びFAD 2からのCCBを2つの等しい一定分量に分割した。一方の一定分量を先行するFADから回収したCTLとともに濃縮し、他方の一定分量を対照として処理した。機器性能の変動を最小化するため、両方の液体-液体単位操作を、同じ遠心機配置及び流速を用いて実行した。初回抜き取りFAD 0における液体-液体の回収収率は、CCBから回収した粗製物の量により測定すると、75%を得た。減少分により測定された回収収率は、専らフィード濃度から差し引いたファルネセンの減少分を考慮するとき、82%であった。
【0188】
【表6】
【0189】
【表7】
【0190】
[00186] CTLのCCBへの添加後、CCBエマルジョンを破壊するというL-62の要件は1桁分減少した。濃縮したCCBとともに、34.44kgの粗不水溶性化合物が回収され、対照における33.23kgの粗製物と比較した。これは粗体積で約4%の増加である。処理したCCBの質量は、濃縮系ではやや小さく、やや高い粗製物/CCB比;22.5%対21.6%が得られた。濃縮系における界面活性剤の総消費(L-62及び2A1)において、約7%の増加が認められた。
【0191】
[00187] 本明細書中に引用されたすべての刊行物及び特許、出願は、あたかも各個別の刊行物又は特許出願が参照により援用されることが具体的且つ個別に示されたかのように、参照により本明細書中に援用される。特許請求される主題が様々な実施形態の観点で説明されている一方で、当業者は、様々な修飾、置換、省略、及び変更がその精神から逸脱することなく行われてもよいことを理解するであろう。したがって、主題の範囲があくまですべての均等物を含む以下の請求項の範囲により限定されることが意図される。
図1A
図1B
図1C
図1C2
図2
図3
図4