(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-13
(45)【発行日】2024-06-21
(54)【発明の名称】金属粉処理装置および作業用車両
(51)【国際特許分類】
B60S 1/68 20060101AFI20240614BHJP
【FI】
B60S1/68
(21)【出願番号】P 2021016967
(22)【出願日】2021-02-04
【審査請求日】2023-08-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179969
【氏名又は名称】駒井 慎二
(74)【代理人】
【識別番号】100173532
【氏名又は名称】井上 彰文
(72)【発明者】
【氏名】衞藤 晴彦
【審査官】上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】実開昭50-096621(JP,U)
【文献】特開昭63-270276(JP,A)
【文献】特開平10-232125(JP,A)
【文献】特開昭50-109591(JP,A)
【文献】実開昭59-162190(JP,U)
【文献】特開2009-214657(JP,A)
【文献】実開昭58-043890(JP,U)
【文献】特開平01-115765(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 1/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁石を内蔵した車輪を備え、該車輪が回転することにより走行面上を走行可能な車両に装着され、金属粉に対して処理を行う金属粉処理装置であって、
前記車輪への金属粉の付着を防止する付着防止部を備え
、
前記付着防止部は、
前記走行面に接するブラシと、
前記ブラシを回転させる回転駆動部と、
を有し、
前記ブラシの回転方向は、前記車輪の回転方向と反対方向である、
金属粉処理装置。
【請求項2】
磁石を内蔵した車輪を備え、該車輪が回転することにより走行面上を走行可能な車両に装着され、金属粉に対して処理を行う金属粉処理装置であって、
前記車輪への金属粉の付着を防止する付着防止部を備え、
前記付着防止部は、
前記走行面に接するブラシと、
前記ブラシを回転させる回転駆動部と、
を有し、
前記ブラシの回転方向は、前記車輪の回転方向と同方向であり、
前記ブラシの回転数は、前記車輪の回転数と同じ回転数、又は、前記車輪の回転数よりも高い回転数である、
金属粉処理装置。
【請求項3】
前記付着防止部は、前記ブラシに配置される磁石を有する請求項
1又は2に記載の金属粉処理装置。
【請求項4】
前記付着防止部は、前記走行面にガスを噴射する噴射部を有する請求項1~3のいずれか1項に記載の金属粉処理装置。
【請求項5】
前記付着防止部は、前記走行面上の金属粉を吸引する吸引部を有する請求項1~4のいずれか1項に記載の金属粉処理装置。
【請求項6】
前記車輪に付着した金属粉を除去する除去部を備える請求項1~5のいずれか1項に記載の金属粉処理装置。
【請求項7】
磁石を内蔵した車輪を備え、該車輪が回転することにより走行面上を走行可能な車両と、
前記車両に装着される、請求項1~
6のいずれか1項に記載の金属粉処理装置とを備えることを特徴とする作業用車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属粉処理装置および作業用車両に関する。
【背景技術】
【0002】
磁石が内蔵された車輪を備える車両(ゴンドラ)が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の車両は、磁石の磁力によって壁面に吸着することができ、そのまま壁面に沿って移動することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば壁面に対して溶接作業等を行った場合、壁面に鉄粉(金属粉)が付着することがある。この場合、特許文献1に記載の車両では、移動中に、磁石の磁力によって鉄粉が車輪に吸着されてしまう。車輪に吸着される鉄粉の量は、車両の移動距離に応じて増加する。そして、車輪上に鉄粉が存在する分、車輪と壁面との距離が大きくなり、壁面に及ぼす磁石の磁力が減少する。また、車輪と壁面の間の摩擦係数が鉄粉によって変化する。その結果、壁面に沿った車両の安定した移動が困難となる。また、車輪上の鉄粉によって壁面が損傷を受けるという問題もある。
本発明の目的は、金属粉から受ける影響を防止することができる金属粉処理装置および作業用車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の金属粉処理装置の一つの態様は、磁石を内蔵した車輪を備え、該車輪が回転することにより走行面上を走行可能な車両に装着され、金属粉に対して処理を行う金属粉処理装置であって、
前記車輪への金属粉の付着を防止する付着防止部を備えることを特徴とする。
【0006】
本発明の金属粉処理装置の一つの態様は、磁石を内蔵した車輪を備え、該車輪が回転することにより走行面上を走行可能な車両に装着され、金属粉に対して処理を行う金属粉処理装置であって、
前記車輪に付着した金属粉を除去する除去部を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の作業用車両の一つの態様は、磁石を内蔵した車輪を備え、該車輪が回転することにより走行面上を走行可能な車両と、
前記車両に装着される、本発明の金属粉処理装置とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、金属粉処理装置が付着防止部を備える場合には、車両が走行した際、車輪が走行面上の金属粉に至るよりも以前に、この鉄粉を付着防止部で捕捉することができる。これにより、車輪への金属粉の付着を防止することができる。
また、金属粉処理装置が除去部を備える場合には、車両が走行した際、車輪に付着した金属粉を除去部で捕捉することができる。これにより、車輪に付着した金属粉を除去することができる。
このような構成の金属粉処理装置により、例えば、走行面に及ぼす磁力の減少や、金属粉による走行面への損傷等といった金属粉から受ける影響を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1中の矢印A方向から見た図(側面図)である。
【
図3】
図3は、本発明の第2実施形態を示す側面図である。
【
図4】
図4は、本発明の第3実施形態を示す側面図である。
【
図5】
図5は、
図4に示すブラシを清掃している状態を示す図である。
【
図6】
図6は、本発明の第4実施形態を示す側面図である。
【
図7】
図7は、
図6に示すブラシを清掃している状態を示す図である。
【
図8】
図8は、本発明の第5実施形態を示す側面図である。
【
図9】
図9は、本発明の第6実施形態を示す側面図である。
【
図10】
図10は、本発明の第7実施形態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の金属粉処理装置および作業用車両を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。なお、以下では、説明の都合上、
図1~
図10中の上側を「上(または上方)」、下側を「下(または下方)」と言う。
<第1実施形態>
図1および
図2を参照して、本発明の金属粉処理装置および作業用車両の第1実施形態について説明する。
【0011】
図1に示す作業車両10は、水平に設置された鉄製の板材(鋼板)20上を矢印α方向に移動しながら、板材20同士を溶接する溶接ロボットである。溶接後、この板材20は、例えば、床として使用される。
作業車両10は、車体11と、溶接装置12と、4つの車輪18と、各車輪18を回転駆動させる駆動部16とを備える車両である。
【0012】
車体11は、各車輪18(車輪本体)を回転可能に支持する回動支持部(支持部)13を有する。
【0013】
また、各回動支持部13の外側には、駆動部16が固定されている。駆動部16は、例えばギアモータ(ギアードモータ)で構成され、車輪18に連結されている。そして、駆動部16が作動することにより、車輪18を回転させることができる。この回転により、作業車両10は、板材20の表側の面(上面)を走行面201として、走行することができる。
【0014】
車体11上には、溶接装置12が搭載されている。溶接装置12は、溶接トーチ14と、溶接トーチ14を変位可能に支持する変位機構15とを備える。
溶接トーチ14は、アーク放電によりアーク溶接を行うよう構成されている。このアーク溶接により、板材20同士を容易かつ強固に溶接することができる。
【0015】
変位機構15は、第1移動機構151と、第2移動機構152と、第3移動機構153と、回動機構(角度調整機構)154とを有する。
第1移動機構151は、溶接トーチ14を車体11に対して、矢印α方向と平行な方向に移動させる機構である。
【0016】
第1移動機構151には、第2移動機構152が連結されている。第2移動機構152は、溶接トーチ14を車体11に対して、矢印α方向と直交する方向に移動させる機構である。
第2移動機構152には、第3移動機構153が連結されている。第3移動機構153は、溶接トーチ14を車体11に対して、上下方向に移動させる機構である。
【0017】
第3移動機構153には、回動機構154が連結されている。回動機構154は、溶接トーチ14を車体11に対して水平軸回りに回動させる機構である。
このような構成の変位機構15により、板材20同士の継ぎ目に対する溶接トーチ14の位置および姿勢を適宜変更することができ、その溶接を容易に行うことができる。
【0018】
前述したように、作業車両10は、4つの車輪18を備える。4つの車輪18は、配置箇所が異なること以外は同じ構成であるため、以下、1つの車輪18について代表的に説明する。なお、車輪18の配置数は、本実施形態では4つであるが、これに限定されない。
図2に示すように、車輪18は、車輪本体181と、磁石182とを備える。
【0019】
車輪本体181は、回転体で構成されている。
なお、本実施形態では、車輪本体181は、非磁性材料で構成されている。非磁性材料としては、特に限定されず、例えば、アルミニウムやオーステナイト系ステンレス鋼等を用いることができる。また、車輪本体181は、耐熱性を有する樹脂材料で構成されていてもよい。
また、車輪本体181の外周部には、例えば、帯状の弾性体が巻き付けられていてもよい。この場合、弾性体は、例えば、耐熱性を有するゴム材料で構成されている。
【0020】
車輪本体181には、複数(図示の構成では8つ)の磁石182が設置されている。これらの磁石182は、車輪本体181内に埋め込まれて(埋設されて)おり、車輪本体181の回転中心回りに一定の間隔を置いて配置されている。また、これらの磁石182磁力の向きは、例えば、車輪本体181の回転中心を中心とする放射状である。
【0021】
各磁石182の磁力により、車輪本体181と走行面201(板材20)とを吸着させることができる。そして、車輪本体181が回転すれば、作業車両10は、走行面201上を空回りせずに、すなわち、滑らずに安定して走行することができる。これにより、作業車両10は、移動しながら、溶接装置12で迅速な溶接が可能となる。
また、磁石182は、車輪本体181の回転中心回りに一定の間隔を置いて複数配置されていることにより、車輪本体181が回転しても、その回転角度によらず、車輪本体181と走行面201とを過不足なく吸着させることができる。これにより、作業車両10の安定走行に寄与する。
【0022】
なお、板材20は、
図1、
図2に示す状態では水平に設置されているが、これに限定されず、例えば、水平方向に対して傾斜して設置されていてもよいし、垂直に起立して設置されていてもよい。このような板材20の設置状態、すなわち、姿勢に関わらず、作業車両10は、各磁石182の磁力により、板材20上を安定して走行することができる。
【0023】
磁石182は、永久磁石である。これにより、磁力が一定に維持されて、車輪本体181と走行面201とを過不足なく吸着させることができる。永久磁石としては、例えば、ネオジウム磁石やサマリウムコバルト磁石等が用いられる。
なお、磁石182の配置数は、複数であれば、8つに限定されない。
【0024】
前述したように、板材20は、鉄製である。そのため、例えば板材20の設置環境等の諸条件によっては、板材20から多数の鉄粉(金属粉)Qが生じることがある。この場合、作業用車両10が移動すると、鉄粉Qが磁石182の磁力によって各車輪18(車輪本体181)に付着する。
【0025】
鉄粉Qは、車輪18への付着量にもよるが、例えば、車輪18と板材20とを離間させて、板材20に及ぼす磁石182の磁力を減少させる。また、車輪18と板材20(壁面)の間の摩擦係数が鉄粉Qによって変化する。その結果、板材20上での作業用車両10の安定した移動が困難となるおそれがある。
また、作業用車両10の移動中、車輪18に付着した鉄粉Qによって板材20が損傷を受けるおそれがある。
【0026】
そこで、作業用車両10は、鉄粉Qから受けるこのような影響を防止可能に構成されている。以下、この構成および作用について説明する。
図2に示すように、作業用車両10は、車体11(車両)に装着された金属粉処理装置1を備える。金属粉処理装置1は、鉄粉Qに対して所定の処理を行う装置である。
【0027】
金属粉処理装置1は、各車輪18への鉄粉Qの付着を防止する付着防止部2を備える。
付着防止部2は、各車輪18よりも進行方向(矢印α方向)前方に配置されたブラシ3を有する。すなわち、付着防止部2は、車体11の最前方に配置されたブラシ3を有する。
【0028】
ブラシ3は、走行面201に接するブラシ毛(毛材)31と、ブラシ毛31を上側から支持する支持部材32とで構成されている。このブラシ3は、支持部材32を介して、車体11に対し、固定されている。また、ブラシ3は、例えば、車輪18の幅と同じかまたはそれ以上の長さを有する。
【0029】
そして、
図2に示すように、作業用車両10が矢印α方向に移動した際、ブラシ3は、各車輪18が走行面201上の鉄粉Qに至るよりも以前に、この鉄粉Qをブラシ毛31に絡めて、捕捉することができる。これにより、各車輪18への鉄粉Qの付着を防止することができる。よって、前述した板材20に及ぼす磁力の減少や、鉄粉Qによる板材20への損傷等といった鉄粉Qによる影響を防止することができる。
【0030】
<第2実施形態>
以下、
図3を参照して本発明の金属粉処理装置および作業用車両の第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0031】
図3に示すように、付着防止部2は、ブラシ4と、ブラシ4を回転させる回転駆動部21とを有する。
ブラシ4は、走行面201に接するブラシ毛(毛材)41と、ブラシ毛41を放射状に支持する支持部材42とで構成されている。
【0032】
支持部材42は、回転駆動部21と連結されている。ブラシ4は、回転駆動部21の作動により、車体11の車幅方向に沿った水平な軸回りに回転することができる。ブラシ4の回転方向は、車輪18の回転方向と反対方向が好ましいが、同じ方向であってもよい。また、ブラシ4の回転方向が車輪18の回転方向と同方向である場合、ブラシ4の回転数は、車輪18の回転数と同じであってもよいし、車輪18の回転数よりも高い回転数であってもよい。
なお、回転駆動部21としては、特に限定されず、例えば、ギアモータ等を用いることができる。
【0033】
そして、
図3に示すように、作業用車両10が矢印α方向に移動した際、ブラシ4は、走行面201に接しつつ回転することができる。これにより、ブラシ4は、矢印α方向への移動と、回転とが相まって、走行面201上の鉄粉Qを迅速に捕捉することができる。これにより、各車輪18への鉄粉Qの付着を防止することができる。
【0034】
<第3実施形態>
以下、
図4および
図5を参照して本発明の金属粉処理装置および作業用車両の第3実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0035】
図4に示すように、付着防止部2は、ブラシ3の支持部材32に内蔵、配置された磁石22を有する。磁石22としては、例えば、ネオジウム磁石やサマリウムコバルト磁石等の永久磁石を用いることができる。
そして、この磁石22により、ブラシ毛31に鉄粉Qが捕捉された状態を安定して維持することができ、よって、一旦捕捉された鉄粉Qの脱落を防止することができる。
【0036】
また、
図5に示すように、支持部材32は、磁石22が着脱自在に構成されている。この着脱自在構成としては、特に限定されず、例えば、支持部材32の長手方向または上下方向に磁石22をスライドさせる構造等が挙げられる。
そして、この着脱自在構成により、磁石22を支持部材32から取り外せば、磁石22が鉄粉Qに及ぼす磁力を解除することができる。これにより、例えば鉄粉Qを捕捉したブラシ3を清掃する場合、ブラシ3から鉄粉Qを振るい落として容易に除去することができ、ブラシ3を十分に清掃することができる。
【0037】
<第4実施形態>
以下、
図6および
図7を参照して本発明の金属粉処理装置および作業用車両の第4実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0038】
図6に示すように、付着防止部2は、ブラシ4の支持部材42に内蔵、配置された磁石22を有する。磁石22により、ブラシ毛41に鉄粉Qが捕捉された状態を安定して維持することができ、よって、一旦捕捉された鉄粉Qの脱落を防止することができる。
【0039】
また、
図7に示すように、支持部材42は、磁石22が着脱自在に構成されている。この着脱自在構成としては、特に限定されず、例えば、支持部材42の長手方向に磁石22をスライドさせる構造等が挙げられる。
そして、この着脱自在構成により、磁石22を支持部材42から取り外せば、磁石22が鉄粉Qに及ぼす磁力を解除することができる。これにより、例えば鉄粉Qを捕捉したブラシ4を清掃する場合、ブラシ4から鉄粉Qを振るい落として容易に除去することができ、ブラシ4を十分に清掃することができる。
【0040】
<第5実施形態>
以下、
図8を参照して本発明の金属粉処理装置および作業用車両の第5実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0041】
図8に示すように、付着防止部2は、走行面201に対し、斜め上方からガス(空気)GSを噴射する噴射部5を有する。噴射部5としては、特に限定されず、例えば、ファンが内蔵されたものを用いることができる。
噴射部5の作動により、走行面201上の鉄粉Qを、作業用車両10から離れた前方に吹き飛ばすことができる。これにより、各車輪18への鉄粉Qの付着を防止することができる。
【0042】
<第6実施形態>
以下、
図9を参照して本発明の金属粉処理装置および作業用車両の第6実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0043】
図9に示すように、付着防止部2は、走行面201上の鉄粉Qを吸引する吸引部6を有する。吸引部6は、前方と下方に向かって開口した吸引口61を有する。また、吸引部6としては、特に限定されず、例えば、吸引口61に吸引力を生じさせるサイクロン式のものを用いることができる。
吸引部6の作動により、走行面201上の鉄粉Qを円滑に吸引することができる。これにより、各車輪18への鉄粉Qの付着を防止することができる。
【0044】
<第7実施形態>
以下、
図10を参照して本発明の金属粉処理装置および作業用車両の第7実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0045】
図10に示すように、金属粉処理装置1は、付着防止部2の他に、さらに、各車輪18の後方に隣り合って配置された除去部7を備える。除去部7は、車輪18に接するブラシ8と、ブラシ8に配置された磁石71とを有する。
ブラシ8は、車輪18の外周面に接するブラシ毛(毛材)81と、ブラシ毛81を支持する支持部材82とで構成されている。このブラシ8は、支持部材82を介して、車体11に対し、固定されている。また、ブラシ8は、例えば、車輪18の車幅と同じかまたはそれ以上の長さを有する。
【0046】
図10に示すように、本実施形態では、仮に付着防止部2で鉄粉Qを捕捉し切れなかった場合、鉄粉Qが車輪18に付着する。しかしながら、除去部7により、車輪18に付着した鉄粉Qをブラシ毛81に絡めて、捕捉することができる。これにより、車輪18に付着した鉄粉Qを除去することができる。よって、前述した板材20に及ぼす磁力の減少や、鉄粉Qによる板材20への損傷等といった鉄粉Qによる影響を防止することができる。
【0047】
磁石71は、ブラシ8の支持部材82に内蔵、配置されている。磁石71としては、例えば、ネオジウム磁石やサマリウムコバルト磁石等の永久磁石を用いることができる。
この磁石71により、ブラシ毛81に鉄粉Qが捕捉された状態を安定して維持することができ、よって、一旦捕捉された鉄粉Qの脱落を防止することができる。
【0048】
また、支持部材82は、磁石71が着脱自在に構成されているのが好ましい。この着脱自在構成としては、特に限定されず、例えば、支持部材82に磁石71をスライドさせる構造等が挙げられる。
この着脱自在構成により、磁石71を支持部材82から取り外せば、磁石71が鉄粉Qに及ぼす磁力を解除することができる。これにより、例えば鉄粉Qを捕捉したブラシ8を清掃する場合、ブラシ8から鉄粉Qを振るい落とすことができ、ブラシ8を十分に清掃することができる。
なお、金属粉処理装置1は、付着防止部2が省略されていてもよい。
また、除去部7は、磁石71が省略されていてもよい。
【0049】
以上、本発明の金属粉処理装置および作業用車両を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、金属粉処理装置および作業用車両を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
また、本発明の金属粉処理装置および作業用車両は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【0050】
また、金属粉処理装置で除去される金属粉としては、磁性を帯びることができる金属粉であれば、鉄粉に限定されない。
また、磁石182は、例えば、リング状(円環状)をなし、車輪本体181の回転中心と同心的に配置されていてもよい。また、磁石182は、車輪の全周にわたって配置されているのではなく、一部のみに配置されていてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 金属粉処理装置
2 付着防止部
21 回転駆動部
22 磁石
3 ブラシ
31 ブラシ毛(毛材)
32 支持部材
4 ブラシ
41 ブラシ毛(毛材)
42 支持部材
5 噴射部
6 吸引部
61 吸引口
7 除去部
71 磁石
8 ブラシ
81 ブラシ毛(毛材)
82 支持部材
10 作業車両
11 車体
12 溶接装置
13 回動支持部(支持部)
14 溶接トーチ
15 変位機構
151 第1移動機構
152 第2移動機構
153 第3移動機構
154 回動機構(角度調整機構)
16 駆動部
18 車輪
181 車輪本体
182 磁石
20 板材(鋼板)
201 走行面
GS ガス(空気)
Q 鉄粉(金属粉)
α 矢印