(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-13
(45)【発行日】2024-06-21
(54)【発明の名称】配設体設置構造、配設体、および、配設体の設置方法
(51)【国際特許分類】
H02G 3/12 20060101AFI20240614BHJP
F16B 5/07 20060101ALI20240614BHJP
E04B 2/74 20060101ALN20240614BHJP
【FI】
H02G3/12 060
F16B5/07 D
E04B2/74 511A
(21)【出願番号】P 2021028752
(22)【出願日】2021-02-25
【審査請求日】2023-10-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 健太郎
【審査官】岩田 淳
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-8576(JP,A)
【文献】特開昭61-54806(JP,A)
【文献】特開平7-18765(JP,A)
【文献】特開2004-84221(JP,A)
【文献】登録実用新案第3018774(JP,U)
【文献】特開2001-37046(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0092510(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/12
F16B 5/07
E04B 2/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前側に壁表面を有する前壁、前記前壁に離間して対向し、後側に壁表面を有する後壁、前記前壁および前記後壁の間の壁裏空間において間隔をあけて立設される複数の柱材、および、前記壁裏空間の所定位置に配設され、前壁側を向く前面を有する配設体を備える配設体設置構造であって、
前記複数の柱材は、前記前壁の裏面に当接するとともに前記後壁と離れて立設する第1の柱材と、前記後壁の裏面に当接するとともに前記前壁と離れて立設する第2の柱材とを含み、
前記第2の柱材の前面を基準として前記配設体の配設位置を決定する位置合わせ部を備え、前記位置合わせ部によって前記配設体の前面が前記前壁の裏面位置よりも後方へ控えた位置に位置合わせされた状態で、前記配設体が前記基準とした柱材に固定されていることを特徴とする配設体設置構造。
【請求項2】
前側に壁表面を有する前壁の壁裏空間に配置され、前記前壁の裏面に当接する柱材、および、壁裏空間で前記柱材の側方側に配設され、前壁側を向く前面を有する配設体を備える配設体設置構造であって、
前記柱材の後面を基準として前記配設体の配設位置を決定する位置合わせ部を備え、前記位置合わせ部によって前記配設体の前面が前記前壁の裏面位置よりも後方へ控えた位置に位置合わせされた状態で、前記配設体が前記柱材に固定されていることを特徴とする配設体設置構造。
【請求項3】
前記配設体は、配設体本体と、前記配設体本体を支持するとともに前記柱材に固定される支持装置とを備え、
前記前壁の裏面位置と前記配設体本体の前面との間には隙間が形成され、前記配設体本体の前面が前記前壁の裏面位置に到達するまで、前記配設体本体が前側にスライドすることが許容されていることを特徴とする請求項1または2に記載の配設体設置構造。
【請求項4】
前側に壁表面を有する前壁の壁裏空間に配置される柱材の側方に配設される配設体であって、
前壁側を向く前面を有する配設体本体と、
前記配設体本体の側方に形成され、前記柱材の後面を基準として前記柱材に対する前記配設体本体の前後方向の配設位置を決定するための位置合わせ手段と、
前記位置合わせ手段によって前記配設体本体を前記柱材の後面に対して位置合わせした状態で前記配設体本体を前記柱材に支持する支持装置と、を備えることを特徴とする配設体。
【請求項5】
前側に壁表面を有する前壁、前記前壁に離間して対向し、後側に壁表面を有する後壁、前記前壁および前記後壁の間の壁裏空間において前記前壁の裏面に当接するとともに前記後壁と離れて立設する第1の柱材、および、前記壁裏空間において前記後壁の裏面に当接するとともに前記前壁と離れて立設する第2の柱材を備える構造において、前記壁裏空間の所定位置に、前面が前壁側を向くように配設体を設置する方法であって、
前記配設体は、前記第1の柱材の後面を位置合わせの基準面として前記配設体の配設位置を決定する位置合わせ部を備え、または、前記第2の柱材の前面を位置合わせの基準面として前記配設体の配設位置を決定する位置合わせ部を備え、
前記位置合わせ部を前記基準面に対して宛がって、前記配設体の前面を前記前壁の裏面位置よりも後方へ控えた位置に位置合わせする工程と、
前記配設体を前記基準面とした柱材に固定する工程と、を含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
前側に壁表面を有する前壁の壁裏空間に配置され、前記前壁の裏面に当接する柱材の側方側に、前面が前壁側を向くように配設体を設置する方法であって、
前記配設体は、前記柱材の後面を基準面として前記柱材に対する前記配設体の前後方向の配設位置を決定する位置合わせ部を備え、
前記位置合わせ部を前記基準面に対して宛がって、前記配設体の前面を前記前壁の裏面位置よりも後方へ控えた位置に位置合わせする工程と、
前記配設体を前記柱材に固定する工程と、を含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、造営材に対して配設体を設置した配設体設置構造、当該配設体設置構造に用いられる配設体、および、当該配設体の設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、壁裏で配設体を間柱や壁材などの造営材(構造物全般)に対して支持および固定するための種々の設置手段が用いられている。特には、造営材である柱材と、該柱材の前面に固定される壁材と胴縁などで離間している場合、柱材前面と壁材裏面との間の距離を考慮して、配設体の前後方向の配設位置を決定することが行われている。
【0003】
特許文献1は、柱材前面から離隔した位置で該柱材前面に壁材が固定される場合において、柱材の前面を基準として配設体の配設位置を定める配設体の設置構造を開示する。以下、当該段落において、()内に特許文献1の符号を示す。配設体(100)は、筺体状の配設体本体(110)と、該配設体本体(110)を支持する配設体支持具(120)とを備える。配設体支持具(120)は、その基端から先端まで延びる平面視L字形状の長板であり、その基端に位置し、柱材(P)の側面(P1)に当接するように配置される当接部(121)と、当該当接部(121)からその先端(又は柱材(P)の側方)に向けて長手状に延設された支持部(122)とからなる。配設体支持具(120)は、柱材(P)の前面(P2)に当接するように、当接部(121)から側方に選択的に突出可能である突出部(123)を備える。突出部(123)は、ヒンジ部(123b)を軸として支持部(122)と相反する方向に回動し、当接部(121)から側方に略直角に突出可能である。突出部(123)の突出状態において、突出部(123)の当接面(123a)は、支持部(122)の裏面と同一方向を向いており、柱材(P)の前面(P2)に当接可能である。設置構造(10)では、配設体支持具(120)の当接部(121)が柱材(P)の側面(P1)に当接し、且つ、突出部(123)の当接面(123a)が柱材(P)の前面(P2)に当接するように、配設体(100)が柱材(P)に対して配置されている。すなわち、特許文献1の配設体(100)およびその設置構造(10)では、配設体本体(110)の前面部(110)の位置が、柱材(P)の前面(P2)を基準として定められる。
【0004】
また、柱材前面と壁材裏面との間の隙間が形成される構造の一例として、特許文献2は、上下ランナ間に千鳥状配列でスタッドを2列に設け、各列の壁材の前面(または後面)に壁材を固定した間仕切り壁構造が挙げられる。以下、当該段落において、()内に特許文献2の符号を示す。特許文献2の間仕切り壁(1)構造は、上、下ランナ(11,12)と、上、下ランナ(11,12)間に立設した状態で所定間隔をおいて並設される複数本のスタッド(15,16,17)と、これらのスタッド(15,16,17)を内設するように表、裏面に張り付けられる一対の石膏ボード(22,23)とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015- 8576号公報
【文献】特開2004-84221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の配設体は、配設体支持具の突出部を柱材前面に当接させることにより、配設体本体の位置決めを行ったものである。しかしながら、従来技術では、柱材の前面側に既に壁材が固定されている構造に対して、配設体を設置する際、突出部を用いて柱面の前面を基準として位置合わせすることが困難であることが課題として挙げられる。また、特許文献2のような前後に2以上の柱材を有する間仕切り壁構造において配設体を配設する場合においても同様に、特許文献1の配設体では、柱材の前面を基準として位置決めすることから、その位置決めを行うことが困難であることが課題として挙げられる。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、配設体の前後方向の位置決めをより容易に行うことを可能にした配設体設置構造、当該配設体設置構造に用いられる配設体、当該配設体の設置方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の配設体設置構造は、前側に壁表面を有する前壁、前記前壁に離間して対向し、後側に壁表面を有する後壁、前記前壁および前記後壁の間の壁裏空間において間隔をあけて立設される複数の柱材、および、前記壁裏空間の所定位置に配設され、前壁側を向く前面を有する配設体を備える配設体設置構造であって、
前記複数の柱材は、前記前壁の裏面に当接するとともに、前記後壁と離れて立設する第1の柱材と、前記後壁の裏面に当接するとともに前記前壁と離れて立設する第2の柱材とを含み、
前記第2の柱材の前面を基準として前記配設体の配設位置を決定する位置合わせ部を備え、前記位置合わせ部によって前記配設体の前面が前記前壁の裏面位置よりも後方へ控えた位置に位置合わせされた状態で、前記配設体が前記基準とした柱材に固定されていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の配設体設置構造は、前側に壁表面を有する前壁の壁裏空間に配置され、前記前壁の裏面に当接する柱材、および、壁裏空間で前記柱材の側方側に配設され、前壁側を向く前面を有する配設体を備える配設体設置構造であって、
前記柱材の後面を基準として前記配設体の配設位置を決定する位置合わせ部を備え、前記位置合わせ部によって前記配設体の前面が前記前壁の裏面位置よりも後方へ控えた位置に位置合わせされた状態で、前記配設体が前記柱材に固定されていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の配設体設置構造は、請求項1または2に記載の配設体設置構造において、前記配設体は、配設体本体と、前記配設体本体を支持するとともに前記柱材に固定される支持装置とを備え、
前記前壁の裏面位置と前記配設体本体の前面との間には隙間が形成され、前記配設体本体の前面が前記前壁の裏面位置に到達するまで、前記配設体本体が前側にスライドすることが許容されていることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の配設体は、前側に壁表面を有する前壁の壁裏空間に配置される柱材の側方に配設される配設体であって、
前壁側を向く前面を有する配設体本体と、
前記配設体本体の側方に形成され、前記柱材の後面を基準として前記柱材に対する前記配設体本体の前後方向の配設位置を決定するための位置合わせ手段と、
前記位置合わせ手段によって前記配設体本体を前記柱材の後面に対して位置合わせした状態で前記配設体本体を前記柱材に支持する支持装置と、を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の方法は、前側に壁表面を有する前壁、前記前壁に離間して対向し、後側に壁表面を有する後壁、前記前壁および前記後壁の間の壁裏空間において前記前壁の裏面に当接するとともに前記後壁と離れて立設する第1の柱材、および、前記壁裏空間において前記後壁の裏面に当接するとともに前記前壁と離れて立設する第2の柱材を備える構造において、前記壁裏空間の所定位置に、前面が前壁側を向くように配設体を設置する方法であって、
前記配設体は、前記第1の柱材の後面を位置合わせの基準面として前記配設体の配設位置を決定する位置合わせ部を備え、または、前記第2の柱材の前面を位置合わせの基準面として前記配設体の配設位置を決定する位置合わせ部を備え、
前記位置合わせ部を前記基準面に対して宛がって、前記配設体の前面を前記前壁の裏面位置よりも後方へ控えた位置に位置合わせする工程と、
前記配設体を前記基準面とした柱材に固定する工程と、を含むことを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の方法は、前側に壁表面を有する前壁の壁裏空間に配置され、前記前壁の裏面に当接する柱材の側方側に、前面が前壁側を向くように配設体を設置する方法であって、
前記配設体は、前記柱材の後面を基準面として前記柱材に対する前記配設体の前後方向の配設位置を決定する位置合わせ部を備え、
前記位置合わせ部を前記基準面に対して宛がって、前記配設体の前面を前記前壁の裏面位置よりも後方へ控えた位置に位置合わせする工程と、
前記配設体を前記柱材に固定する工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、位置合わせ部によって、第2の柱材の前面を基準として配設体の前後方向の配設位置を決定し、配設体の前面を前壁の裏面位置よりも後方へ控えた位置に位置合わせすることができる。すなわち、本発明の配設体設置構造は、前壁が当接する第1の柱材の前面を基準に配設体の位置合わせしたものではなく、配設体の前面が向いていない側の後壁が当接する第2の柱材の前面を基準として配設体の位置合わせをしたものであることから、前壁が立設した状態であっても、空隙を利用して配設体の前後の位置決めを容易に行うことを可能とした。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、位置合わせ部によって、柱材の後面を基準として配設体の前後方向の配設位置を決定し、配設体の前面を前壁の裏面位置よりも後方へ控えた位置に位置合わせすることができる。すなわち、本発明の配設体設置構造は、前壁が形成される柱材の前面を基準に配設体の位置合わせしたものではなく、柱材の後面を基準として配設体の位置合わせをしたものであることから、前壁が立設した状態であっても、配設体の前後の位置決めを容易に行うことを可能とした。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1または2の発明の効果に加えて、前壁の裏面位置と配設体本体の前面との間には隙間が形成され、配設体本体の前面が前壁の裏面位置に到達するまで、配設体本体が前側にスライドすることが許容されている。これにより、必要に応じて、配設体を柱材に固定した後であっても、配設体の前後位置を調整し、そして、配設体を前壁裏面に当接させるように配設することが可能である。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、配設体には、配設体本体の側方に形成され、柱材の後面を基準として柱材に対する配設体本体の前後方向の配設位置を決定するための位置合わせ手段が設けられている。当該位置合わせ手段によって、配設体本体を柱材の後面に対して位置合わせした状態で支持装置によって配設体本体を柱材に支持することにより、配設体を容易に位置合わせしつつ、所定位置に設置することが可能である。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、位置合わせ部によって、第1の柱材の後面または第2の柱材の前面を基準面として配設体の配設位置を決定し、配設体の前面が前壁の裏面位置よりも後方へ控えた位置に位置合わせすることができる。すなわち、本発明の設置方法は、前壁が当接する第1の柱材の前面を基準面に配設体の位置合わせするものではなく、第1の柱材の後面を基準面として配設体の位置合わせをするものであり、または、配設体の前面が向いていない側の後壁が当接する第2の柱材を基準面として配設体の位置合わせをするものであることから、前壁が立設した状態であっても、空隙を利用して配設体の前後の位置決めを容易に行うことが可能である。
【0019】
請求項6に記載の発明によれば、位置合わせ部によって、柱材の後面を基準として配設体の配設位置を決定し、配設体の前面が前壁の裏面位置よりも後方へ控えた位置に位置合わせすることができる。すなわち、本発明の設置方法は、前壁が形成される柱材の前面を基準に配設体の位置合わせしたものではなく、柱材の後面を基準として配設体の位置合わせをするものであることから、前壁が立設した状態であっても、配設体の前後の位置決めを容易に行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施形態における配設体を示す分解斜視図。
【
図2】
図1の配設体を構成するボックスの概略斜視図。
【
図3】
図2のボックスの(a)平面図、(b)正面図、(c)側面図、および(d)背面図。
【
図4】
図3のボックスの(a)A-A断面図および(b)B-B断面図。
【
図5】
図1の配設体を構成する支持装置の概略斜視図。
【
図6】
図5の支持装置の(a)平面図、(b)正面図、および(c)側面図。
【
図7】
図6の支持装置の(a)C-C断面図、(b)C-C部分拡大断面図、および(c)D-D断面図。
【
図8】
図5の支持装置を構成するベース体の(a)前方からの斜視図および(b)後方からの斜視図。
【
図9】
図8のベース体の(a)平面図、(b)正面図、および(c)側面図。
【
図10】
図5の支持装置を構成する支持体の概略斜視図。
【
図11】
図10の支持体の(a)平面図、(b)正面図、および(c)側面図。
【
図12】
図5の支持装置において、ベース体および支持体の連結機構による係合パターンを示す概略図。
【
図13】本発明の一実施形態の配設体を柱材に対して設置した支持構造を示す概略斜視図。
【
図16】本発明の一実施形態の配設体設置構造を模式的に示す平面図。
【
図17】本発明の一実施形態の配設体設置構造の一部を模式的に示す壁表からの正面図。
【
図18】
図16の配設体設置構造を構築する方法であって、(a)後壁側の第2の柱材の前面を基準としてボックスの配設位置を決定し、支持装置を第2の柱材に固定する工程、(b)取付用ビスを壁表から器具の取付孔に貫通させてボックスに対してねじ込む工程、および(c)ボックスおよび器具で壁材を挟持するように取付用ビスを締め付ける工程を示す模式図。
【
図19】
図16の配設体設置構造を構築する方法であって、(a)前壁側の第1の柱材を基準としてボックスの配設位置を決定し、支持装置を第1の柱材に固定する工程、(b)取付用ビスを壁表から器具の取付孔に貫通させてボックスに対してねじ込む工程、および(c)ボックスおよび器具で壁材を挟持するように取付用ビスを締め付ける工程を示す模式図。
【
図20】本発明の一実施形態の支持構造の変形例を示す概略平面図。
【
図21】本発明の一実施形態の支持構造の変形例を示す概略正面図。
【
図22】本発明の一実施形態の支持装置の変形例を示す概略図。
【
図23】
図22の支持装置による配設体設置構造を模式的に示す平面図。
【
図24】本発明の一実施形態の支持装置の変形例を示す概略斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において参照する各図の形状は、好適な形状寸法を説明する上での概念図又は概略図であり、寸法比率等は実際の寸法比率とは必ずしも一致しない。つまり、本発明は、図面における寸法比率に限定されるものではない。また、上下左右方向は、相互に入れ替えて解釈されてもよい。
【0022】
本発明の一実施形態の配設体100は、主に、壁裏の間柱などの造営材に対して配設され、壁材の表面にスイッチやコンセントなどの機器を取着可能とする配設体本体を壁裏空間に設置するものである。本発明における「配設体」は、柱材(造営材)に対して配設されるものであり、本実施形態では、ボックス101および支持装置102の組み合わせを示すが、ボックスを含まない形態(支持装置102のみ)をも含んでいる。また、本実施形態では、「配設体本体」は配線用のボックス101として例示されるが、本発明の配設体本体はボックスに限定されるものではない。本発明の「配設体本体」は、例えば、ケーブルホルダや管クリップなどのボックス以外の部材であってもよい。あるいは、「配設体」がボックスを含まない形態である場合には、「配設体本体」は、ボックスを支持するための支持装置または支持体自体として解釈されてもよい。
【0023】
本発明の一実施形態の配設体100は、機器等を配設するための配設体設置構造10および/または支持構造11を構築するための装置であり、配設体本体であるボックス101と、支持装置102とを備えてなる。
図1は、本発明に係る一実施形態の配設体100(または支持装置102)の分解斜視図である。
図1に示すとおり、配設体100は、壁裏に配置される配設体本体としてのボックス101と、造営材である柱材に固定されるとともにボックス101を支持する支持装置102とを備える。以下、各構成部材について詳細に説明する。
【0024】
図2乃至
図4を参照して、一実施形態の配設体100を構成するボックス101について説明する。
図2は、ボックス101の前面からの概略斜視図である。
図3(a)~(d)は、該ボックス101の平面図、正面図、側面図および背面図である。
図4は、該ボックス101のA-AおよびB-B断面図である。
【0025】
図2乃至
図4に示すとおり、ボックス101は、有底箱状をなし、縦横に延在する矩形状の底壁と、該底壁内面から立設した側壁とを備える。ここで、ボックス101の正面視における上下方向(または縦軸方向)が柱材の延設方向に対応し、正面視における左右方向(または横軸方向)が支持腕部132の延設方向に対応する。底壁の反対面である前面には、側壁の先端縁に縁取られた開口部が設けられている。また、側壁の先端には、造営材の前面に構築された前壁(壁材)の裏面に当接するように、開口部から外方に延びるフランジ101aが設けられている。また、開口部の上下両側の縁部端面には、コンセントやスイッチなどの配線器具を取り付けるための一対の孔として器具取付部101bが形成されている。
【0026】
ボックス101は、位置決めの際の基準となる基準位置をその中心101cに有する。ボックス101の中心101c(基準位置)が、前壁の面内におけるボックス101の位置を決定するための指標となる。すなわち、設置構造の設計時に予め設定された高さ方向および水平方向の位置座標に、ボックス101の基準位置が配置される。ここで、この基準位置は、前壁に穿設される壁孔の中心と一致する。また、ボックス101の底壁には、当該ボックス101を支持体130の支持腕部132にビス(またはタッピングビス)で取着するための2つの取着孔101dが穿設されている。つまり、2つの取着孔101dを介して支持腕部132に取着される箇所が取着部位である。これら2つの取着孔101dは、底壁の中心を挟んで横軸方向に並んで配置されている。本実施形態のボックス101では、中心101cおよび取着孔101d(取着部位)が高さ方向において一致する。しかしながら、
図20に例示するように、両者が高さ方向において相違してもよい。
【0027】
また、本実施形態のボックス101は、
図4に示すように、合成樹脂製のボックス本体101eと、遮音性材料からなる遮音カバー101fとにより構成された。つまり、ボックス本体101eの外装には、遮音カバー101fが装着されている。遮音カバー101fは、遮音性を有するように比重2以上の軟質のゴム材料からなり、前面に開口部を有する有底箱状に形成され、合成樹脂製のボックス本体101eを収容して覆っている。フランジ101aは、遮音カバー101fの一部として形成され、後述するように、配設時に壁孔の周縁に密接することで、壁孔を封止するように機能する。
【0028】
なお、本実施形態の配設体本体は、上記実施形態に限定されない。例えば、配設体本体には、耐火性能が付与されてもよい。具体的には、耐火性能を付与すべく、配設体本体の周壁が鋼鉄製であってもよく、または、配設体本体に熱膨張性材料のパテなどの追加部材がさらに設けられてもよい。一般的に、耐火性能や遮音性能が付与された配設体本体は、そうでないものと比較して、より高い重量を有するといえる。
【0029】
次に、
図5乃至
図12を参照して、支持装置102およびその構成要素について説明する。
図5は、支持装置102の概略斜視図である。
図6(a)~(c)は、支持装置102の平面図、正面図、および側面図である。
図7(a)~(c)は、支持装置102のC-CおよびD-D断面図である。
図8(a)、(b)は、ベース体110の前方および後方から見た概略斜視図である。
図9(a)~(c)は、ベース体110の平面図、正面図、および側面図である。
図10は、支持体130の概略斜視図である。
図11(a)~(c)は、支持体130の平面図、正面図、および側面図である。
図12は、ベース体110および支持体130の連結機構による係合パターンを示す模式図である。
【0030】
支持装置102は、造営材である柱材に固定された状態でボックス101を柱材の側方に支持するように長手形状に構成されている。
図5乃至
図7に示すとおり、支持装置102は、柱材に固定される固定部としてのベース体110と、ボックス101を支持するための支持体130とを備える。支持装置102は、連結機構を介してベース体110に支持体130が組み付けられて構成されている。連結機構は、ベース体110および支持体130を可動式に連結する。
【0031】
ベース体110は、
図8および
図9に示すように、平面視L字状に屈折した板片である。ベース体110は、側方(支持体130の延設方向)を向く一方の側面および柱材側を向く他方の側面(または固定面)を有し、後端から前端に延在する基部111と、該基部111の前端から支持体130の延設方向の反対側に折れ曲がって延在する宛がい部112とを備える。
【0032】
基部111は、矩形状の平板からなり、柱材の側面に固定ビスで固定するための複数の固定孔111aを有する。固定孔111aは、基部111の上下に形成された丸孔および長孔からなる。また、基部111には、固定孔111aに隣接して、目盛111bが形成されている。目盛111bは、基部111の前端縁からの距離を表示している。柱材前面と前壁との間に胴縁が設置される場合、目盛111bを用いて胴縁の厚み分、基部111の固定位置を柱材の前側にずらすことが可能である。また、基部111は、被連結部として、固定面とは反対側で支持体130の連結部131が連結されるように構成されている。すなわち、ベース体110において、基部111は、柱材の外側面に固定される固定部、および、支持体130が連結される被連結部として機能する。
【0033】
また、基部111の(支持体130側を向く)一方の側面には、前後に延びる一対のレール115、および、該レール115の延設方向に沿って複数形成された係止片116が設けられている。これらレール115および係止片116は、支持体130をベース体110に連結する連結機構の一部として機能し得る。レール115は、後述するように、配設体100が前壁の裏面位置に到達する(または裏面に当接する)位置まで、支持体130の移動をガイド可能な前後方向の長さを有することが好ましい。一方、基部111の他方の側面は、柱材の外側面に固定される固定面として機能し得る。
【0034】
図9(b)に示すように、一対のレール115は、正面視において基部111平面から略垂直に延び出て互いに対向する方向(上下方向)に屈折するL字形状をなし、基部111の前後方向に延びる突条である。一対のレール115の前後は、板状の連結部131をスライド式に挿入可能に開放されている。基部111の各レール115に対向する側には、切り欠き111cが形成されている。一対のレール115は、後述するように、対向するレール115間に支持体130の連結部131を挿通することで、支持体130をレール115間に保持するとともに、支持体130の前後のスライド移動をガイドするように構成されている。また、
図9(c)に示すように、複数の係止片116が、正面視において各レール115の先端縁に形成されている。各係止片116は、レール115の先端縁に連設された後側の基端部116aと、該基端部116aから前側に延びる細長い爪部116bからなる。基端部116aは基部111平面と略平行に延在し、爪部116bは基部111平面に近接するように傾斜している。また、爪部116bは前方を向く先端に自由端を有する。後述するように、爪部116b先端が連結部131の係止孔133内に挿通され、規制部として係止孔133の端面に係止される。本実施形態では、基部111の前側から順に、4つの第1係止片1161,第2係止片1162,第3係止片1163,第4係止片1164が形成された。第1係止片1161および第3係止片1163が上側のレール115に形成され、第2係止片1162および第4係止片1164が下側のレール115に形成された。
【0035】
宛がい部112は、固定先の柱材(造営材)の外側面に宛がわれ、ベース体110の取着を補助するものである。特には、宛がい部112は、支持腕部132(または配設体本体)が延在する方向とは異なる柱材の面(前面または後面)に宛がわれるものである。また、宛がい部112が任意に選択された柱材の基準面が宛がわれることにより、配設される配設体100の前面の位置が、前壁の裏面位置から後方へ控えた位置に位置合わせされ得る(
図14参照)。つまり、宛がい部112は、ベース体110を柱材に対して仮保持するとともに、柱材の外側面を基準として配設体100の配設位置を決定する位置合わせ部としても機能し得る。また、宛がい部112は、配設体本体であるボックス101の上下幅の範囲内に収まる上下幅でコンパクトに設計されている。
【0036】
宛がい部112は、基部111の前端縁から支持体130の延設方向とは反対側に略直角に折れ曲がり、(基部111側の)基端から先端に延在している。宛がい部112は、上下幅方向の上側に位置する矩形状の長尺部位113と、下側に位置する矩形状の短尺部位114とからなる。長尺部位113は、宛がわれる柱材の前面の幅の半分を超える延設長さを有し、短尺部位114は、宛がわれる柱材の前面の幅の半分を超えない延設長さを有する。長尺部位113および短尺部位114は、ともに、ボックス101および支持体130の上下幅の基準位置(中心)に対して上下方向からずれた位置で延在している。長尺部位113および短尺部位114の位置形状の関係により、2つの配設体100を1本の柱材に対して突き合わせて同じ高さに設置した際、ベース体110の宛がい部112同士を干渉させることなく、柱材の同じ面に同時に宛がうことが可能である(
図21参照)。すなわち、宛がい部112は、柱材の前面に2つの配設体100,100の宛がい部112,112を宛がった際、宛がい部112,112同士が相互に重合することなく、2つの配設体100,100の本体部(ボックス101,支持体130)を柱材の高さ方向の同一位置に配置可能に構成されている。
【0037】
また、宛がい部112の長尺部位113には、固定ビス用の下孔として、2種のビス孔113a,113bが設けられている。一方の2つのビス孔113a,113aは、第1の柱幅(例えば、45mm)を有する柱材の幅方向中心に配置されるように形成され、他方のビス孔113bは、より小さい第2の柱幅(例えば、40mm)を有する柱材の幅方向中心に配置されるように形成されている。つまり、ビス孔113a,113aおよびビス孔113bは、2種の柱幅に対応すべく、高さ(上下幅)方向および水平(横幅)方向にずれた位置に形成されている。この配置により、宛がい部112の柱材への安定取着が可能となる。
【0038】
さらに、宛がい部112には、配設体本体(ボックス101または支持腕部132)の基準位置)の設置高さを位置合わせするための機構が備わっている。ベース体110(固定部)の宛がい部112には、取着部位1012dと基準位置1012c(上下幅の中心)とが高さ方向にずれている第2の形態のボックス1012(
図20参照)の上下幅の基準位置1012c(中心)を示す基準位置表示部117が設けられている。
図20に示すように、基準位置表示部117は、宛がい部112(またはベース体110)の下側の端縁によって構成され、ボックス1012の形状寸法に従って定められた。換言すると、宛がい部112を柱材の前面または後面に宛がったとき、基準位置表示部117の高さ位置と、配設されたボックス1012の中心との高さが同じとなる。また、ベース体110(固定部)の宛がい部112には、取着部位(101d)が上下幅の基準位置(中心101c)と同一高さであるボックス101の基準位置(中心101c)を示す第2基準位置表示部118が設けられている。第2基準位置表示部118は、宛がい部112の上下幅方向の略中央で先端縁に設けられた切り欠きである。
図15に示すように、宛がい部112を柱材の前面に宛がったとき、第2基準位置表示部118の高さ位置と、配設されたボックス101および/または支持腕部132の基準位置(中心101c)との高さが同じとなる。なお、第2基準位置表示部118は、ボックス101の取着部位(101d)の高さ位置を表示する取着部位表示部としても機能する。
【0039】
支持体130は、その基端から先端まで延びる平面視L字形状の長板である。支持体130は、その基端に位置し、ベース体110の基部111(被連結部)を介して造営材の側面に固定される連結部131と、当該連結部131からその先端(又は柱材の側方)に向けて長手状に延設された支持腕部132とからなる。換言すると、当該支持体130はL字形状に屈曲しており、短片状の連結部131と長片状の支持腕部132とが略直角に連結されている。支持腕部132は、延設方向に直交する方向に上下幅方向を有する。延設方向は、配設体100の造営材への配設時の水平方向に対応し、上下幅方向は、配設体100の造営材への配設時の垂直(鉛直)方向に対応する。
【0040】
連結部131は、支持腕部132に対して短尺の矩形平板からなる。連結部131には、連結機構の一部として、複数の係止孔133が穿設されている。各係止孔133は、連結部131がベース体110の基部111の一対のレール115,115間に保持されたとき、係止片116を挿通可能である位置に形成された。複数の係止孔133は、前端側に位置する上下2つの第1係止孔1331と、後端側に位置する上下2つの第2係止孔1332とから構成される。第1係止孔1331は、丸孔であり、第2係止孔1332は前後に延びる長孔である。なお、連結部131は、それ単体であっても、これら係止孔133に固定ビスを打ち込むことで造営材の側面に対して固定されることができる。
【0041】
支持腕部132は、長尺の矩形平板からなり、連結部131から離間する方向に延設されてボックス101を前側面に支持するように構成されている。支持腕部132の上下幅中心には、ボックス101を固定するための複数の長孔状の取着孔135が穿設されている。また、当該取着孔135の上下には、幅方向に延びる長孔および延設方向に延びる長孔がそれぞれ形成されている。これら長孔は、ボックス101を固定するためには使用されないが、例えば、クリップ状の配設体などの他形態の配設体本体に変更した際に使用され得る。
【0042】
すなわち、本実施形態の支持装置102において、ベース体110は、壁材が固定される造営材の壁固定面(柱材の前面)に宛がわれる宛がい部112を有し、当該宛がい部112を宛がうことで、壁固定面と交差する面の側に被連結部としての基部111が配置され、造営材の当該交差する面の側から支持腕部132が離間するように支持体130がベース体110に組み付けられる。
【0043】
なお、本実施形態の支持装置102を構成するベース体110および支持体130は、SUS材を屈曲および穿設加工することにより得られたが、本発明は、一実施形態の製法および材質に限定されるものではない。例えば、SUS材などの金属材料の替わりに、硬質樹脂等を成形加工して支持装置を形成することも可能である。
【0044】
次に、
図7および
図12を参照して、ベース体110および支持体130を連結する連結機構について説明する。連結機構は、ベース体110(基部111)のレール115および係止片116、ならびに、支持体130(連結部131)の係止孔133によって構成される機構である。
【0045】
図7(a)に示すように、ベース体110の一対のレール115,115間に支持体130の連結部131が差し込まれることにより、ベース体110および支持体130が連結される。基部111およびレール115の先端部位が、連結部131を表裏から挟み込むことにより、連結部131が基部111(被連結部)により落下しないように保持されている。レール115は、連結部131が基部111(被連結部)に連結された状態で、連結部131を間に挟んで支持体130の前後方向のスライドをガイドする。同様に、係止片116および係止孔133(特に長孔状の第2係止孔1332)が、支持体130の前後方向の直線スライドをガイドし得る。
【0046】
また、
図7(b)に示すように、1つの係止片116の先端部分が、係止孔133内に配置されている。係止片116が前側に自由端を有するように傾斜していることにより、連結部131の前側への移動を係止することがない。つまり、連結機構は、支持体130の前面側へのベース体110に対する相対移動を許容する。支持体130は、支持腕部132の表面がレール115の後端面に当接するまで、ベース体110に対して前進することが可能である。他方、支持体130がベース体110に対して後側に移動すると、係止片116が係止孔133内で前方に相対移動し、係止片116の爪部116bが係止孔133の前側の端面に当接して係止する。つまり、係止孔133の端面が、支持体130がベース体110に対して後側に相対移動することを規制する規制部として機能する。ここで、1つの係止片116および1つの係止孔133の一対一の係合関係により、相対移動が規制される。これにより、支持体130が後方に必要以上に移動してベース体110から離脱することが防止される。すなわち、連結機構により、支持体130をベース体110に対して前方にスライド移動させることにより容易に組み付け可能である。また、組み付け後、支持体130をベース体110に対して取付方向の反対方向にスライドさせた場合、ベース体110および支持体130が互いに分離することが規制される。
【0047】
図12は、ベース体110および支持体130の連結機構による係合パターンを例示する。ここでは、4段階の係合パターン(係止片116と係止孔133との一対一の組み合わせ)を例示する。
図12(a)は、第1係止片1161が上側の第1係止孔1331の端面に係合した第1係合位置にある連結機構を示している。支持体130の第1係止孔1331が第1係合位置より前側にスライドした後、支持体130が第1係合位置より後退することが規制される。
図12(a)で示す第1係合位置は、支持体130を最も前側(壁材に対して近接方向に最も移動した状態)で係止する係合パターンである。
図12(b)は、第2係止片1162が下側の第1係止孔1331の端面に係合した第2係合位置にある連結機構を示している。支持体130の第1係止孔1331が第2係合位置より前側にスライドした後、支持体130が第2係合位置より後退することが規制される。
図12(c)は、第3係止片1163が上側の第2係止孔1332の端面に係合した第3係合位置にある連結機構を示している。支持体130の第2係止孔1332の前端部が第3係合位置より前側にスライドした後、支持体130が第3係合位置より後退することが規制される。
図12(d)は、第4係止片1164が下側の第1係止孔1331の端面に係合した第4係合位置にある連結機構を示している。支持体130の第1係止孔1331が第4係合位置より前側にスライドした後、支持体130が第4係合位置より後退することが規制される。
図12(d)で示す第4係合位置は、支持体130を最も後側で係止する係合パターンである。すなわち、本実施形態では、連結機構の規制部は、ベース体110に対して後退する支持体130を段階的に係止することを可能とする。これにより、支持体130がベース体110から後方に離脱することがより確実に防止される。なお、第4係止片1164および第1係止孔1331の組み合わせが、最終的に、支持体130がベース体110から離脱することを阻止する阻止手段として機能する。
【0048】
次いで、
図13乃至
図15を参照して、配設体100(ボックス101および支持装置102)を造営材である柱材17に対して配置した支持構造11の一形態について説明する。
図13は、支持構造11の前面からの概略斜視図である。
図14は、支持構造11の平面図である。
図15は、支持構造11の正面図である。
【0049】
支持構造11は、柱材17に対して配設体100が支持された構造である。支持構造11は、壁裏に配置された柱材17、壁材(前壁18)の裏面側で柱材17に固定された支持装置102、および、壁材の裏面側の空間で支持装置102に支持されたボックス101を備える。この支持構造11は、柱材17の前および/または後の壁材を含まない構造部分であり、
図14の仮想線は、当該支持構造11における壁材(前壁18)が構築される位置を示している。本実施形態では、前壁18は、柱材17の前面から離隔した位置に構築される予定である。
【0050】
本実施形態の支持構造11において、ベース体110の基部111が柱材17の(ボックス101側を向く)側面に固定されているとともに、宛がい部112が柱材17の前面に固定されている。
図14に示すように、固定ビスが固定孔111aを貫通することで基部111が柱材17側面に固定されている。また、ベース体110に対して支持体130が連結機構を介して組み付けられている。そして、支持腕部132は、柱材17から側方に離間するように柱材17の延伸方向に対して水平に延在している。なお、ここでは、固定孔111aを利用して固定ビスでベース体110の基部111を柱材17の側面に固定したが、かわりに、宛がい部112のビス孔113aを利用して固定ビスでベース体110の宛がい部112を柱材17の前面に固定してもよい。あるいは、固定孔111aおよびビス孔113aの両方を利用して、基部111を柱材17側面に固定するとともに宛がい部112を柱材17前面に固定してもよい。
【0051】
また、支持腕部132の長手方向の所定位置にボックス101がビスで取着されている。具体的には、被取着部としての取着孔135に対して、ボックス101の取着部位としての取着孔101dが高さ方向および水平方向に位置合わせされて、ビスによって取着されている。
図15に示すように、本実施形態の支持構造11では、ボックス101の上下幅方向の中心101c(基準位置)は、支持腕部132の取着孔135(被取着部)、および、ボックス101の取着孔101d(取着部位)と高さ方向の同じ位置にある。そして、宛がい部112に形成された第2基準位置表示部118が、ボックス101の中心101cの高さを表示している。
【0052】
当該支持構造11では、配設体100のボックス101は前後方向において固定されておらず、支持装置102によって可動式に支持されている。
図14に示すように、ボックス101(配設体本体)の前面と(立設予定の)前壁18の裏面位置との間には隙間が形成され、支持体130は、壁材の裏面位置に対する近接方向への移動が許容された状態でベース体110に連結されている。すなわち、支持構造11において、ボックス101および支持体130が前壁18の裏面位置から後方に離間して位置することにより、前壁18を立設する際、ボックス101および支持体130が前壁18に干渉することがない。また、前壁18が立設された後、ボックス101および支持体130を近接方向に移動するように操作することにより、ボックス101の前面を前壁18の裏面に確実に当接させることができる。
【0053】
図16は、第1の柱材17-1および第2の柱材17-2を少なくとも含む複数の柱材が間隔をあけて千鳥配列で立設され、第1の柱材17-1および第2の柱材17-2の前後に前壁18および後壁19が形成された構造に対して、2つの配設体100,100’が配設された配設体設置構造10を示している。すなわち、配設体設置構造10は、前側に壁表面を有する前壁18、該前壁18に離間して対向し、後側に壁表面を有する後壁19、前壁18および後壁19の間の壁裏空間において前壁18の裏面に当接するとともに後壁19と離れて立設する第1の柱材17-1、壁裏空間において後壁19の裏面に当接するとともに前壁18と離れて立設する第2の柱材17-2、および、壁裏空間の所定位置に配設され、前壁18側を向く前面を有する第1および第2の配設体100,100’を備えてなる。ここで、第1の配設体100は、上述した配設体100と同様の構造を有するが、第2の配設体100’は、上述した配設体100と連結機構において部分的に相違する構造を有する。なお、前壁18と第1の柱材17-1との間、および/または後壁19と第2の柱材17-2との間に胴縁が介在してもよい。この場合、胴縁が壁材または柱材の一部として解釈されることから、前壁18および第1の柱材17-1(後壁19および第2の柱材17-2)が胴縁を介して当接しているといえる。
【0054】
配設体設置構造10の第1の配設体100に関して、第1の配設体100の前面が前壁18の裏面位置よりも後方へ控えた位置に位置合わせされた状態で、第1の配設体100が第2の柱材17-2に固定されている。このとき、配設体100は、位置合わせ部として宛がい部112が第2の柱材17-2の前面に宛がわれることにより、前後方向の位置決めがなされている。すなわち、第1の配設体100は、第2の柱材17-2の前面を基準として、その配設位置が決定されたものである。この配設体100では、支持体130の前壁18への近接移動が許容されている。
【0055】
他方、配設体設置構造10の第2の配設体100’に関して、第2の配設体100’の前面が前壁18の裏面位置よりも後方へ控えた位置に位置合わせされた状態で、第2の配設体100’が第1の柱材17-1に固定されている。このとき、配設体100’は、位置合わせ部として宛がい部112が第1の柱材17-1の後面に宛がわれることにより、前後方向の位置決めがなされている。すなわち、第2の配設体100’は、第1の柱材17-1の後面を基準として、その配設位置が決定されたものである。この配設体100’では、支持体130の前壁18への近接移動が許容されている。なお、第2の配設体100’の連結機構は、
図8および
図9のベース体110に対して、係合片の自由端の向きが前後反対向きになるように構成されている。
【0056】
図17は、
図16の配設体設置構造10に対して器具Iが取着された状態の第1の配設体100の正面視を示す。すなわち、
図17の配設体設置構造10では、器具Iが配設体100に取着されている。ここで、器具Iは、コンセントカバーやスイッチなどの配線器具であるが、図面では模式的に描写されている。本実施形態の配設体設置構造10では、前壁18の所定位置には2つの壁孔18aが穿設され、
図17に示すように、各壁孔18aの中心にボックス101の中心101c(基準位置)が位置合わせされている。そして、ボックス101が壁孔18aを介して壁表に臨んでいる。このとき、ボックス101のフランジ101a前面が前壁18裏面に周方向全体に亘って隙間無く当接している。さらに、ボックス101の器具取付部101bおよび取付用ビス(ネジ)を介して器具Iがボックス101に取り付けられている。この取付用ビスの締結力によって、前壁18の壁孔18aの周縁が器具Iおよびフランジ101aによって挟持されている。すなわち、配設体設置構造10では、ボックス101の前面が前壁18の裏面に対して確実に当接し、遮音性や防火性につながる遮蔽効果が発揮される。なお、図示しないが、器具Iが設置された第2の配設体100’も第1の配設体100と同様である。
【0057】
続いて、
図18を参照して、第1の配設体100を第2の柱材17-2に対して設置して配設体設置構造10を構築し、器具Iを設置する方法について説明する。
【0058】
まず、ボックス101前面の配置位置を(立設予定の)前壁18の裏面位置から前後方向に後退した位置に定めるべく、ボックス101(または配設体100)の前後幅等を考慮して、ベース体110の位置合わせ部(宛がい部112)を宛がう柱材の基準面を定める。本方法では、第2の柱材17-2の前面が基準面として選択された。次いで、器具I(中心位置)の設置高さに基づいて、第2の柱材17-2の外側面(好ましくは前面)に罫書き線を形成する。そして、位置合わせ部(宛がい部112)を第2の柱材17-2の基準面に当接させて、配設体100の前面を前壁18の裏面位置よりも後方へ控えた位置に位置合わせする。
【0059】
次に、
図18(a)に示すように、第2の柱材17-2の罫書き線に従った所定の高さ位置において、ベース体110を第2の柱材17-2に固定する。この工程において、ユーザーは、第2の柱材17-2の前面にベース体110の宛がい部112を宛がって、壁表から宛がい部112を第2の柱材17-2に手で押し付けることにより、ベース体110を容易にその場に保持することができる。特に、宛がい部112の長尺部位113が柱材17-2の前面の幅の半分を超える延設長さを有することから、宛がい部112を柱材17-2前面に宛がう作業が容易である。また、第2基準位置表示部118を罫書き線に合わせることにより、ボックス101の中心101c(基準位置)を所望の高さ位置(器具Iまたは壁孔18aの中心位置)に位置合わせすることができる。そして、固定ビスを基部111の固定孔111aに打ち込むことにより、固定部としてのベース体110を第2の柱材17-2に固定する。ベース体110が第2の柱材17-2に固定された状態で、支持体130の連結部131を基部111の一対のレール115の間に、後方から前方に差し込むことにより、支持体130をベース体110に組み付ける。このとき、ボックス101の前後幅に応じて、ボックス101の前面位置が立設予定の前壁18の裏面位置の少なくとも後方となるように差し込み量を調整する。支持腕部132の位置を出来るだけ前方に定めることにより、壁裏空間での移動量をより少なくすることができる。すなわち、本実施形態の配設体100によれば、固定部としてのベース体110を第2の柱材17-2に固定した段階で、配設体100の基準位置(ボックス101の中心101c)の高さ位置、および、配設体100の前面(ボックス101の前面)の前後位置を所望の位置に合わせることができる。
【0060】
次の工程では、支持腕部132の延設方向の所定位置にボックス101をビスで固定する。このとき、支持腕部132の上下幅中心の取着孔135(被取着部)およびボックス101の取着孔101d(取着部位)が合わさって、ビスで固定される。これにより、ボックス101の基準位置が、罫書き線と同じ高さ位置に配置され、配設体100の支持構造11が構築される。
【0061】
次の工程において、
図18(b)に示すように、第1の柱材17-1前面に前壁18裏面が当接するように前壁18が構築され、第2の柱材17-2後面に後壁19裏面が当接するように後壁19が構築される。前壁18に、罫書き線と同じ高さに中心を有する壁孔18aを穿設する。該壁孔18aを介してボックス101前面の器具取付部101bを壁表に露出させる。次に、
図18(b)に示すように、取付用ビスを壁表から器具Iの取付孔に貫通させてボックス101の器具取付部101bにねじ込む。
【0062】
続いて、
図18(b)の状態から、ボックス101とともに支持体130を前壁18に対して近接移動させるように取付用ビスを螺進させる。そして、
図18(c)に示すように、ボックス101のフランジ101aおよび器具Iで前壁18を挟持するように取付用ビスを締め付ける。これにより、ボックス101のフランジ101aが前壁18裏面に密接し、壁孔18aを封止した配設体設置構造10を構築することができる。なお、本実施形態の方法では、配設体100を第2の柱材17-2に対して設置した後に、前壁18および後壁19を構築したが、少なくとも前壁18を構築した後であっても、前壁18と、第2の柱材17-2前面との間の空間(隙間)を利用して、配設体100を第2の柱材17-2に対して配設することができる。
【0063】
図19(a)~(c)は、第2の配設体100’を第1の柱材17-1に対して設置して配設体設置構造10を構築し、器具Iを設置する方法の各工程を示す。本方法では、ボックス101前面の配置位置を(立設予定の)前壁18の裏面位置から前後方向に後退した位置に定めるべく、ボックス101(または第2の配設体100’)の前後幅等を考慮して、ベース体110’の位置合わせ部(宛がい部112’)を宛がう柱材の基準面を定める。本方法では、第1の柱材17-1の後面が基準面として選択された。次いで、器具I(中心位置)の設置高さに基づいて、第1の柱材17-1の外側面(好ましくは後面)に罫書き線を形成する。そして、位置合わせ部(宛がい部112’)を第1の柱材17-1の基準面に当接させて、配設体100’の前面を前壁18の裏面位置よりも後方へ控えた位置に位置合わせする。以降の工程は、第1の配設体100の方法と同様である。なお、本実施形態の方法では、配設体100を第1の柱材17-1に対して設置した後に、前壁18および後壁19を構築したが、少なくとも前壁18を構築した後であっても、第1の柱材17-1後面側の空間(隙間)を利用して、配設体100を第1の柱材17-1に対して配設することができる。
【0064】
すなわち、本発明の方法は、上記実施形態に基づいて以下のように表現され得る。
【0065】
(1)前側に壁表面を有する前壁、前記前壁に離間して対向し、後側に壁表面を有する後壁、前記前壁および前記後壁の間の壁裏空間において前記前壁の裏面に当接するとともに前記後壁と離れて立設する第1の柱材、および、前記壁裏空間において前記後壁の裏面に当接するとともに前記前壁と離れて立設する第2の柱材を備える構造において、少なくとも一方の壁が設置される前に、前記壁裏空間の所定位置に、前面が前壁側を向くように配設体を設置する方法であって、
前記配設体は、前記第1の柱材の後面を位置合わせの基準面として前記配設体の配設位置を決定する位置合わせ部を備え、または、前記第2の柱材の前面を位置合わせの基準面として前記配設体の配設位置を決定する位置合わせ部を備え、
前記位置合わせ部を前記基準面に対して、当該基準面とした柱材に宛がって、前記配設体の前面を前記前壁の裏面位置よりも後方へ控えた位置に位置合わせする工程と、
前記配設体を前記基準面とした柱材に固定する工程と、を含むことを特徴とする。
【0066】
(2)前側に壁表面を有する前壁の壁裏空間に配置され、前記前壁の裏面に当接する柱材の側方側に、前面が前壁側を向くように配設体を設置する方法であって、
前記配設体は、配設体本体と、前記配設体本体を支持するとともに前記柱材に固定される支持装置とを備え、前記支持装置は、前記柱材の後面を基準面として前記柱材に対する前記配設体本体の前後方向の配設位置を決定する位置合わせ部を備え、
前記位置合わせ部を前記基準面に対して宛がって、前記配設体本体の前面を前記前壁の裏面位置よりも後方へ控えた位置に位置合わせする工程と、
前記配設体を前記柱材に固定する工程と、
前記配設体の前面に立設された前記前壁に透孔(壁孔)を形成して前記配設体本体の前面の一部を壁表に臨ませ、前記透孔を介して前記配設体本体が前記前壁の裏面位置に到達するまで、前記配設体本体を前側にスライドさせる工程と、を含むことを特徴とする。
【0067】
以下、本発明に係る一実施形態の配設体設置構造10(または配設体100)の作用効果について説明する。
【0068】
本実施形態の配設体設置構造10によれば、第1の配設体100において、位置合わせ部(宛がい部112)によって、第2の柱材17-2の前面を基準として配設体100の配設位置を決定し、配設体100の前面を前壁18の裏面位置よりも後方へ控えた位置に位置合わせすることができる。すなわち、本実施形態の配設体設置構造10は、前壁18が当接する第1の柱材17-1の前面を基準に配設体100の位置合わせしたものではなく、配設体100の前面が向いていない側の後壁19が当接する第2の柱材17-2を基準として配設体100の位置合わせをしたものであることから、前壁18が立設した状態であっても、空隙を利用して配設体100の前後の位置決めを容易に行うことを可能とした。
【0069】
また、第2の配設体100’において、位置合わせ部(宛がい部112)によって、第1の柱材17-1の後面を基準として配設体100の配設位置を決定し、配設体100の前面を前壁18の裏面位置よりも後方へ控えた位置に位置合わせすることができる。すなわち、本実施形態の配設体設置構造10は、前壁18が形成される第1の柱材17-1の前面を基準に配設体100の位置合わせしたものではなく、第1の柱材17-1の後面を基準として配設体100の位置合わせをしたものであることから、前壁18が立設した状態であっても、空隙を利用して配設体100の前後の位置決めを容易に行うことを可能とした。
【0070】
本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の技術的範囲の下で、種々の実施形態や変形例を取り得る。別実施形態において、下二桁の符番が共通する構成要素は、特定のない限り、同一又は類似の特徴を有し、その説明を一部省略する。
【0071】
(1)本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の形態を取り得る。上記実施形態の支持装置102による支持構造は、
図20および
図21に示す支持構造21,31のように種々の形態を取り得る。つまり、本発明の支持装置は、種々の状況に対応して使用され得る。
図20および
図21に示す支持構造21,31では、固定ビスが固定孔111aの代わりにビス孔113aを貫通することで宛がい部112が柱材17前面に固定されることにより、支持装置102が柱材17に固定されている。
【0072】
(2)本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の形態を取り得る。
図22は、本発明の別実施形態の配設体(支持装置402)を示す。支持装置402は、長手状の平板として構成され、基端側の短尺の固定部410および該固定部410(基部411)に隣接して延びる長尺の支持腕部432を備える。ここで、本実施形態の配設体では、固定部410が位置合わせ部として定められる。
図23は、当該配設体(支持装置402)を柱材17に対して設置した配設体設置構造40を示している。配設体設置構造40では、柱材17の後面が基準面として定められ、該柱材17後面に、位置合わせ部としての固定部410が宛がわれ、配設体前面(ボックス401前面)が壁材18の後方に控えるように位置合わせがなされている。
【0073】
(3)本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の形態を取り得る。上記実施形態では、柱材の前面または裏面に位置合わせ部としての宛がい部が宛がわれることにより、位置合わせが行われたが、本発明はこれに限定されない。例えば、
図10で示した支持体130のみが配設に用いられてもよい。第2の柱材の前面を基準面とする場合、支持体130の連結部131が第2の柱材の側面に宛がわれた状態で、連結部131の前縁部または前端面が位置合わせ部として第2の柱材の前面位置(側面の前縁)に合わせられる。また、第1の柱材の後面を基準面とする場合、支持体130の連結部131が第1の柱材の側面に宛がわれた状態で、支持体130の連結部131の後縁部または支持腕部132の裏面が位置合わせ部として第1の柱材の後面位置(側面の後縁)に合わせられる。
【0074】
(4)本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の形態を取り得る。上記実施形態では、支持装置は、固定部を介して片持ち状態で造営材に固定されるように構成されたが、本発明はこれに限定されない。例えば、
図24に示すように、支持装置202には、支持腕部232の両端に固定部(ベース体210,連結部231)が設けられ、支持装置202が2本の柱状の造営材の間に両持ち状態で固定されるように構成されてもよい。
【0075】
(5)本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の形態を取り得る。上記実施形態では、連結機構の係止片がベース体に設けられ、係止孔が支持体に設けられたが、両者が反対となるように設けられてもよい。
【0076】
(6)本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の形態を取り得る。上記実施形態では、連結機構の係止片が係止孔の端面に当接することにより、支持体のベース体に対する後方へも戻り止めとして働くが、当該戻り止めを省略し、連結機構は、支持体をベース体に対して壁材への接離方向の両方にスライド可能に支持してもよい。
【0077】
(7)本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の形態を取り得る。上記実施形態では、連結機構の1つの係止片および1つの係止孔の一対一の係合関係により、相対移動が規制されるが、複数の係止片および複数の係止孔が同時に作用するように設計されてもよい。
【0078】
(8)本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の形態を取り得る。上記実施形態では、1つの支持体または支持腕部に1つの配設体本体(ボックス)が配置されたが、1つの支持体または支持腕部に対して、複数の同形状または異なる形状の配設体本体(例えば、ボックス101,1012)が取着されてもよい。
【0079】
本発明は上述した実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限りにおいて種々の態様で実施しうるものである。
【符号の説明】
【0080】
10 配設体設置構造
11 支持構造
17 柱材
18 前壁(壁材)
18a 壁孔
19 後壁(壁材)
100 配設体
101 ボックス
101a フランジ
101b 器具取付部
101c 中心(基準位置)
101d 取着孔(取着部位)
101e ボックス本体
101f 遮音カバー
102 支持装置
110 ベース体(固定部)
111 基部(固定部、被連結部)
111a 固定孔
111b 目盛
111c 切り欠き
112 宛がい部(位置合わせ部、位置合わせ手段)
113 長尺部位
113a ビス孔
113b ビス孔
114 短尺部位
115 レール(連結機構)
116 係止片(連結機構)
116a 基端部
116b 爪部
117 基準位置表示部
118 第2基準位置表示部
130 支持体
131 連結部
132 支持腕部
133 係止孔(連結機構)
135 取着孔(被取着部)
I 器具