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特許7504052課金システム、課金方法および課金プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-13
(45)【発行日】2024-06-21
(54)【発明の名称】課金システム、課金方法および課金プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/34 20060101AFI20240614BHJP
   G09B 29/10 20060101ALI20240614BHJP
   G08G 1/0969 20060101ALN20240614BHJP
【FI】
G01C21/34
G09B29/10 A
G08G1/0969
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021062194
(22)【出願日】2021-03-31
(65)【公開番号】P2022157770
(43)【公開日】2022-10-14
【審査請求日】2023-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 大和
【審査官】武内 俊之
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-157265(JP,A)
【文献】特開平04-124693(JP,A)
【文献】特開2016-114383(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/34
G09B 29/10
G08G 1/0969
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上の所定範囲における位置と当該位置の属性との関係を示す地図情報を格納する複数の基本メッシュと、前記基本メッシュより狭い範囲における前記基本メッシュより密度の高い地図情報を格納する複数の拡張メッシュとを記憶する地図記憶部と、
車両の位置を示す位置データを取得する位置取得部と、
前記複数の基本メッシュの中から前記位置データを含む範囲に係る基本メッシュを探索する第1探索部と、
探索された前記基本メッシュに係る範囲と重複する範囲に係る1以上の拡張メッシュを前記複数の拡張メッシュから抽出する抽出部と、
抽出された前記1以上の拡張メッシュから、前記位置データを含む範囲に係る拡張メッシュを探索する第2探索部と
探索された前記基本メッシュまたは前記拡張メッシュに基づいて前記位置データを補正する補正部と、
補正された前記位置データによって示される位置が、課金対象道路上の位置である場合に、前記課金対象道路の利用料金の課金処理を実行する課金処理部と
を備え
前記拡張メッシュは、非課金対象道路と課金対象道路との境界に設定される
課金システム
【請求項2】
前記地図記憶部は、前記拡張メッシュに関連付けて、当該拡張メッシュに係る範囲と重複する前記基本メッシュの識別情報を記憶し、
前記抽出部は、探索された前記基本メッシュの識別情報に関連付けられた1以上の拡張メッシュを前記複数の拡張メッシュから抽出する
請求項1に記載の課金システム
【請求項3】
探索された前記基本メッシュ又は前記拡張メッシュを、前記車両の位置に係るメッシュとして決定する決定部を備え、
前記複数の基本メッシュの少なくとも1つは、前記複数の拡張メッシュのいずれとも重複しない部分を有し、
前記決定部は、前記1以上の拡張メッシュの中に前記位置データを含む範囲に係る前記拡張メッシュが存在する場合に、当該拡張メッシュを前記車両の位置に係るメッシュとして決定し、前記1以上の拡張メッシュの中に前記位置データを含む範囲に係る前記拡張メッシュが存在しない場合に、探索された前記基本メッシュを前記車両の位置に係るメッシュとして決定する
請求項1又は請求項2に記載の課金システム
【請求項4】
前記地図記憶部は、精度レベル別に、前記精度レベルが高いほど前記地図情報の密度が高く、かつ範囲が狭い前記複数の拡張メッシュを記憶し、
前記抽出部は、前記拡張メッシュが探索された場合に、探索された前記拡張メッシュに係る範囲と重複する範囲に係り、かつ探索された前記拡張メッシュより高い精度レベルに係る1以上の拡張メッシュを抽出する
請求項1から請求項3の何れか1項に記載の課金システム
【請求項5】
車両の位置を示す位置データを取得するステップと、
地上の所定範囲における位置と当該位置の属性との関係を示す地図情報を格納する複数の基本メッシュの中から前記位置データを含む範囲に係る基本メッシュを探索するステップと、
前記基本メッシュより狭い範囲における前記基本メッシュより密度の高い地図情報を格納する複数の拡張メッシュから、探索された前記基本メッシュに係る範囲と重複する範囲に係る1以上の拡張メッシュを抽出するステップと、
抽出された前記1以上の拡張メッシュから、前記位置データを含む範囲に係る拡張メッシュを探索するステップと
を備え
前記拡張メッシュは、非課金対象道路と課金対象道路との境界に設定される
課金方法。
【請求項6】
コンピュータに、
車両の位置を示す位置データを取得するステップと、
地上の所定範囲における位置と当該位置の属性との関係を示す地図情報を格納する複数の基本メッシュの中から前記位置データを含む範囲に係る基本メッシュを探索するステップと、
前記基本メッシュより狭い範囲における前記基本メッシュより密度の高い地図情報を格納する複数の拡張メッシュから、探索された前記基本メッシュに係る範囲と重複する範囲に係る1以上の拡張メッシュを抽出するステップと、
抽出された前記1以上の拡張メッシュから、前記位置データを含む範囲に係る拡張メッシュを探索するステップと
を実行させ
前記拡張メッシュは、非課金対象道路と課金対象道路との境界に設定される
課金プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、地図探索装置、課金システム、地図探索方法および地図探索プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、縮尺に対応した道路情報の詳細度に応じて階層化された地図データを用いた経路探索技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3923848号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に係る地図データは、複数のメッシュから構成される。しかしながら、縮尺が大きいほど、メッシュが表す領域の範囲は狭くなるため、メッシュの数は多くなる。そのため、大きい縮尺を表す大量のメッシュの中から、所定の位置を含むメッシュを特定するには計算量がかかるという課題がある。
本開示の目的は、少ない計算量で所定の位置を含むメッシュを特定することができる地図探索装置、課金システム、地図探索方法および地図探索プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、地図探索装置は、地上の所定範囲における位置と当該位置の属性との関係を示す地図情報を格納する複数の基本メッシュと、前記基本メッシュより狭い範囲における前記基本メッシュより密度の高い地図情報を格納する複数の拡張メッシュとを記憶する地図記憶部と、目的位置を示す位置データを取得する位置取得部と、前記複数の基本メッシュの中から前記位置データを含む範囲に係る基本メッシュを探索する第1探索部と、探索された前記基本メッシュに係る範囲と重複する範囲に係る1以上の拡張メッシュを前記複数の拡張メッシュから抽出する抽出部と、抽出された前記1以上の拡張メッシュから、前記位置データを含む範囲に係る拡張メッシュを探索する第2探索部とを備える。
【発明の効果】
【0006】
上記態様によれば、少ない計算量で所定の位置を含むメッシュを特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態に係る課金システムの構成を示す概略図である。
図2】第1の実施形態に係る車載器の構成を示す概略ブロック図である。
図3】第1の実施形態に係る地図データの構成を示す図である。
図4】第1の実施形態に係る地図記憶部が記憶するメッシュデータの例を示す図である。
図5】第1の実施形態に係る車載器の動作を示すフローチャートである。
図6】少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
〈第1の実施形態〉
《課金システムの構成》
以下、図面を参照しながら実施形態について詳しく説明する。
図1は、第1の実施形態に係る課金システム1の構成を示す概略図である。
第1の実施形態に係る課金システム1は、課金対象道路を走行する車両Vの所有者に対して課金を行う。第1の実施形態に係る課金システム1は、車載器13と課金サーバ15とを備える。
【0009】
車載器13は、車両Vに搭載される。車載器13は、車両Vの位置データをGNSS(Global Navigation Satellite System)から取得し、地図データに基づいて位置データを補正する。具体的には、車載器13は、地図データが示す道路形状に合わせて位置データを補正するマップマッチング処理を行う。車載器13は、補正後の位置データを課金サーバ15に送信する。地図データは、車載器13の記憶媒体に記録される。
【0010】
課金サーバ15は、車載器13から受信した位置データと地図データとに基づいて、課金対象道路の通行に対する課金処理を行う。具体的には、課金サーバ15は、車載器13から受信した位置データが、地図データが示す課金対象道路上の位置を示すか否かを判定することで、車両Vが課金対象道路を走行しているか否かを判定する。課金サーバ15は、車両Vが課金対象道路を走行している場合に、走行速度、走行区間、走行時間などに基づいて料金を計算する。
具体的には、課金サーバ15は、課金判定部および課金処理部を備える。課金判定部は、車載器から位置データを受信すると、地図データを参照して、その位置データによって示される位置が、地図データが示す課金対象道路上の位置を示すか否かを判定する。課金処理部は、車両Vが課金対象道路に位置するときの位置データから走行速度、走行区間、走行時間などを算出し、走行速度、走行区間、走行時間などから利用料金を算出する。課金処理部は、算出した利用料金に基づいて、利用料金の課金処理を実行する。
【0011】
《車載器13の構成》
図2は、第1の実施形態に係る車載器13の構成を示す概略ブロック図である。
車載器13は、地図記憶部131、位置取得部132、第1探索部133、抽出部134、第2探索部135、決定部136、補正部137、送信部138を備える。車載器13は、地図探索装置の一例である。
【0012】
地図記憶部131は、地図データを記憶する。地図データは、所定の領域(例えば国土)について、異なる精度レベルに係る複数のメッシュによって構成される。具体的には、地図データは、所定の領域について、20km×20kmの部分領域ごとに区切られた第一メッシュM1、1km×1kmの部分領域を表す第二メッシュM2を含む。これらのメッシュデータのうち、第二メッシュM2の情報の密度は、第一メッシュM1の情報の密度より高い。本実施形態では、第一メッシュM1の精度レベルを「1」、第二メッシュM2の精度レベルを「2」とする。第一メッシュM1は、地上の所定範囲における位置と当該位置の属性との関係を示す地図情報を格納する基本メッシュの一例である。第二メッシュM2は、基本メッシュより密度の高い地図情報を格納する拡張メッシュの一例である。
情報の密度は、メッシュにおける情報量を部分領域の面積で除算することで表される。各メッシュに含まれる情報量が同じである場合、メッシュに含まれる部分領域の面積が狭いほど情報の密度が高く、面積が広いほど情報の密度が低い。情報の密度が高いほどメッシュの精度レベルが高く、情報の密度が低いほどメッシュの精度レベルが低い。
【0013】
図3は、地図データの構成を示す図である。第1の実施形態に係る地図データにおいて、第一メッシュM1は、所定の領域の全域を覆うように敷き詰められる。これに対し、第二メッシュM2は、非課金対象道路と課金対象道路の境界や、課金対象道路の交差点の近傍などの一部の領域について設定される。つまり、少なくとも1つの第一メッシュM1に、第二メッシュM2のいずれともと重複しない部分を有するものが存在する。これは、地図データが第1の実施形態のように課金対象道路の課金に用いられるため、課金対象道路を含む領域について高い精度が要求される一方で、課金対象道路を含まない領域については高い精度が要求されないためである。また、地図データが所定の領域の全域に係る第二メッシュM2を含まないことで、データサイズを低減される。以下、同一の部分領域を階層的に表現する第一メッシュM1と第二メッシュM2からなる地図データを階層メッシュとよぶ。
【0014】
図4は、地図記憶部131が記憶するメッシュデータの例を示す図である。
地図記憶部131は、メッシュごとに、当該メッシュが属する階層メッシュのID、精度レベル、同一の階層メッシュ及び精度レベルにおいてユニークな当該メッシュのID、当該メッシュが表す部分領域の範囲(例えば最北の緯度、最南の緯度、最東の経度及び最西の経度)、部分領域に含まれる道路を表すノードN及びリンクLのデータ、並びに課金サーバ15への送信の要否を関連付けて記憶する。なお、階層メッシュのIDと精度レベルとメッシュのIDの組み合わせはユニークキーである。例えば、階層メッシュのIDが「X」、精度レベルが「Y」、メッシュのIDが「Z」であるメッシュは、「X-Y-Z」というユニークキーで特定される。
【0015】
ノードNとは、道路の特徴点(交差点や曲がり角など)の位置を表す情報である。リンクLとは、2つのノードNを結ぶ線分を表す情報である。地図データ及びメッシュデータでは、道路はノードNとリンクLによって表現される。メッシュデータにおいてノードNは、ノードNを識別するIDによって表されてよい。この場合、地図記憶部131は、ノードNのIDに関連付けて、ノードNの緯度及び経度及び属性データを記憶する。メッシュデータにおいてリンクLは、リンクLを識別するIDによって表されてよい。この場合、地図記憶部131は、リンクLのIDに関連付けて、起点のノードNのID、終点のノードNのID、及び属性データを記憶する。属性データは、例えば、交差点名、道路名、課金対象道路であるか否かの区分、渋滞発生頻度、事故危険度などを表す。
【0016】
位置取得部132は、GNSS(Global Navigation Satellite System)や自律航法に基づいて車両Vの位置を示す位置データを取得する。
【0017】
第1探索部133は、地図記憶部131が記憶するすべての第一メッシュM1の中から位置取得部132が取得した車両Vの位置を含む部分領域を表すものを探索する。第1探索部133は、地図記憶部131が記憶する第一メッシュM1(精度レベルが1のメッシュ)を抽出し、これらに関連付けられた部分領域の代表点に基づいて、車両Vの位置を含む部分領域を表す第一メッシュM1を探索する。
【0018】
抽出部134は、地図記憶部131から、第1探索部133が探索した第一メッシュM1と同じ階層メッシュIDに関連付けられた第二メッシュM2を抽出する。なお、第1探索部133が探索した第一メッシュM1と同じ階層メッシュIDに関連付けられた第二メッシュM2は、地図記憶部131に存在しないことがある。
【0019】
第2探索部135は、抽出部134によって抽出された第二メッシュM2の中から位置取得部132が取得した車両Vの位置を含む部分領域を表すものを探索する。なお、抽出部134によって抽出された第二メッシュM2の中に、位置取得部132が取得した車両Vの位置を含む部分領域を表すものが存在しないことがある。
【0020】
決定部136は、地図記憶部131が記憶するメッシュの中から車両Vの位置を含む最も精度レベルの高いメッシュを決定する。具体的には、決定部136は、第2探索部135によって該当する第二メッシュM2が発見された場合は、当該第二メッシュM2を車両Vの位置を含む最も精度レベルの高いメッシュとして決定する。他方、決定部136は、第2探索部135によって該当する第二メッシュM2が発見されない場合は、第1探索部133が探索した第一メッシュM1を車両Vの位置を含む最も精度レベルの高いメッシュとして決定する。
【0021】
補正部137は、決定部136が決定したメッシュに基づいて、位置取得部132が取得した位置データを補正する。すなわち補正部137は、決定部136が決定したメッシュに基づいてマップマッチング処理を行う。
【0022】
送信部138は、決定部136が決定したメッシュに含まれる属性データに含まれる課金サーバ15への送信の要否を表すフラグが送信が必要であることを示す場合に、補正部137が補正した位置データと決定したメッシュのユニークキーとを課金サーバ15に送信する。
【0023】
《車載器13の動作》
図5は、第1の実施形態に係る車載器13の動作を示すフローチャートである。
車載器13が起動されると、車載器13は以下の処理を一定時間ごとに実行する。まず、位置取得部132は、車両Vの位置を測位し、位置データを生成する(ステップS1)。第1探索部133は、地図記憶部131が記憶するメッシュのうち、精度レベルが「1」のもの、すなわち第一メッシュM1を抽出する(ステップS2)。第1探索部133は、ステップS2で抽出した第一メッシュM1のうち、ステップS1で生成された位置データが示す位置を含む範囲に係るものがあるか否かを判定する(ステップS3)。
【0024】
位置データが示す位置を含む範囲に係る第一メッシュM1がない場合(ステップS3:NO)、第1探索部133は、車両Vが地図データが表す領域の外に存在すると判断し、処理を終了する。
他方、位置データが示す位置を含む範囲に係る第一メッシュM1が存在する場合(ステップS3:YES)、第1探索部133は、該当する第一メッシュM1を特定する(ステップS4)。
【0025】
抽出部134は、地図記憶部131が記憶するメッシュのうち、ステップS4で特定された第一メッシュM1と同じ階層メッシュIDに関連付けられ、かつ精度レベルが「2」であるメッシュがあるか否かを判定する(ステップS5)。すなわち、抽出部134は、探索された第一メッシュM1と同じ階層メッシュを構成する第二メッシュM2が存在するか否かを判定する。
【0026】
該当する第二メッシュM2が存在する場合(ステップS5:YES)、抽出部134は、地図記憶部131から該当する第二メッシュM2を抽出する(ステップS6)。
第2探索部135は、ステップS6で抽出された第二メッシュM2の中からステップS1で生成された位置データが示す位置を含む範囲に係るものがあるか否かを判定する(ステップS7)。
【0027】
位置データが示す位置を含む範囲に係る第二メッシュM2が存在する場合(ステップS7:YES)、決定部136は、該当する第二メッシュM2を位置データの位置を含む最も精度レベルの高いメッシュに決定する(ステップS8)。
他方、ステップS5又はステップS7において該当する第二メッシュM2が存在しない場合(ステップS5又はS7:NO)、決定部136は、ステップS4で特定した第一メッシュM1を位置データの位置を含む最も精度レベルの高いメッシュに決定する(ステップS9)。
【0028】
補正部137は、ステップS8又はS9で決定したメッシュに基づくマップマッチング処理により、ステップS1で生成した位置データを補正する(ステップS10)。送信部138は、ステップS8又はS9で決定したメッシュに関連付けられた送信要否フラグが「YES」を示すか否かを判定する(ステップS11)。
【0029】
ステップS8又はS9で決定したメッシュに関連付けられた送信要否フラグが「YES」を示す場合(ステップS11:YES)、送信部138は、ステップS10で補正した位置データと、ステップS8又はS9で決定したメッシュのユニークキーとを、課金サーバ15に送信する(ステップS12)。なお、第1の実施形態のように課金対象道路の課金に用いられる地図データでは、課金対象道路の近傍の領域に係るメッシュに「YES」を示す送信要否フラグが付される。これにより、車載器13は、車両Vが課金対象道路の近傍に存在するときに位置データを課金サーバ15に送信することができる。
他方、ステップS8又はS9で決定したメッシュに関連付けられた送信要否フラグが「NO」を示す場合(ステップS11:NO)、送信部138は、位置データ及びユニークキーを、課金サーバ15に送信しない。これにより、車載器13は、車両Vが課金対象道路から離れた場所に存在するときに不要な通信が発生することを防ぐことができる。
【0030】
課金サーバ15は、車載器13から受信する位置データ及びメッシュのユニークキーに基づいて、車両Vが課金対象道路を走行しているか否かを判定し、その判定結果に基づいて課金処理を行う。なお、課金サーバ15は、車載器13から送信されるユニークキーによってメッシュを一意に特定できるため、車載器13のようにメッシュの探索処理を行わなくてもよい。
【0031】
《作用・効果》
このように、第1の実施形態に係る車載器13は、位置データに基づいて複数の第一メッシュM1の中から位置データを含む範囲に係る第一メッシュM1を探索し、探索された第一メッシュM1に係る範囲と重複する範囲に係る第二メッシュM2の中から、位置データを含む範囲に係る第二メッシュM2を探索する。これにより、車載器13は、地図データを構成するすべてのメッシュに対する全探索を行うことなく、目的のメッシュを得ることができる。つまり、第1の実施形態に係る車載器13は、少ない計算量で所定の位置を含むメッシュを特定することができる。
【0032】
また、地図記憶部131は、第二メッシュM2に関連付けて当該第二メッシュM2と重複する第一メッシュM1を特定可能な識別情報として階層メッシュIDを記憶し、抽出部134は、階層メッシュIDに基づいて第二メッシュM2を抽出する。これにより、車載器13は、第一メッシュM1に係る範囲と重複する範囲に係る第二メッシュM2を容易に抽出することができる。
【0033】
また、車載器13は、抽出した第二メッシュM2の中に位置データを含む範囲に係るものが存在する場合に、当該第二メッシュM2を目的位置に係るメッシュとして決定し、抽出した第二メッシュM2の中に位置データを含む範囲に係るものが存在しない場合に、探索された第一メッシュM1を目的位置に係るメッシュとして決定する。これにより、車載器13は、地図記憶部131が記憶するメッシュの中から車両Vの位置を含む最も精度レベルの高いメッシュを決定することができる。
【0034】
〈他の実施形態〉
以上、図面を参照して一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、様々な設計変更等をすることが可能である。すなわち、他の実施形態においては、上述の処理の順序が適宜変更されてもよい。また、一部の処理が並列に実行されてもよい。
【0035】
上述した実施形態に係る車載器13は、単独のコンピュータによって構成されるものであってもよいし、車載器13の構成を複数のコンピュータに分けて配置し、複数のコンピュータが互いに協働することで車載器13として機能するものであってもよい。このとき、車載器13を構成する一部のコンピュータが車両Vの内部に搭載され、他のコンピュータが車両Vの外部に設けられてもよい。例えば、図5に示すフローチャートのステップS1からステップS4までを車載器13が実行し、ステップS5からステップS12までを課金サーバ15が実行してもよい。
【0036】
上述した実施形態に係る課金システム1は、車載器13が、メッシュの探索を行うがこれに限られない。例えば、他の実施形態に係る車載器13はメッシュの探索を行わずに位置データを課金サーバ15に送信してもよい。この場合、課金サーバ15は、車載器13から取得した位置データに基づいて、地図データからメッシュの探索を行い、位置データの補正を行う。つまり、他の実施形態においては課金サーバ15が地図探索装置として機能してもよい。また他の実施形態に係る課金システム1は、車載器13と課金サーバ15の両方において地図データの探索を行ってもよい。
【0037】
また上述した実施形態に係る地図データは、少なくとも1つの第一メッシュM1に、第二メッシュM2のいずれともと重複しない部分を有するものが存在するが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る第二メッシュM2は、第一メッシュM1と同様に所定の領域の全域を覆うように敷き詰められていてもよい。
【0038】
また上述した実施形態に係る地図データは、第一メッシュM1と第二メッシュM2の2層で表されるが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る地図データは3層以上のメッシュで表されるものであってもよい。このようなメッシュにおいては、精度レベルが高いほどメッシュが表す部分領域は狭くなる。この場合、抽出部134及び第2探索部135は、精度レベルの低い層から順に、精度レベルが1つ高くかつ探索されたメッシュに係る範囲と重複する範囲に係るメッシュを抽出し、抽出されたメッシュから位置データの位置を含むものを探索する。
【0039】
また上述した実施形態に係る車載器13は、課金対象道路における課金を目的として地図データの探索を行うが、これに限られない。例えば、他の実施形態においては、カーナビゲーションシステムなど、地図探索装置が課金と異なる目的で地図データの探索を行ってもよい。
【0040】
また、上述した実施形態に係る車載器13は、送信部138が位置データとメッシュのユニークキーを課金サーバ15に送信するが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る車載器13は、送信部138が位置データ及びメッシュのユニークキーの何れか一方のみを課金サーバ15に送信するものであってもよい。また他の実施形態に係る車載器13は、送信要否フラグに関わらず課金サーバ15に位置データ及びメッシュのユニークキーを送信するものであってもよい。
【0041】
〈コンピュータ構成〉
図6は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータ50の構成を示す概略ブロック図である。
コンピュータ50は、プロセッサ51、メインメモリ53、ストレージ55、インタフェース57を備える。
上述の車載器13などの地図探索装置は、コンピュータ50に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でストレージ55に記憶されている。プロセッサ51は、プログラムをストレージ55から読み出してメインメモリ53に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、プロセッサ51は、プログラムに従って、上述した各記憶部に対応する記憶領域をメインメモリ53に確保する。プロセッサ51の例としては、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphic Processing Unit)、マイクロプロセッサなどが挙げられる。
【0042】
プログラムは、コンピュータ50に発揮させる機能の一部を実現するためのものであってもよい。例えば、プログラムは、ストレージに既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせ、または他の装置に実装された他のプログラムとの組み合わせによって機能を発揮させるものであってもよい。なお、他の実施形態においては、コンピュータ50は、上記構成に加えて、または上記構成に代えてPLD(Programmable Logic Device)などのカスタムLSI(Large Scale Integrated Circuit)を備えてもよい。PLDの例としては、PAL(Programmable Array Logic)、GAL(Generic Array Logic)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)が挙げられる。この場合、プロセッサ51によって実現される機能の一部または全部が当該集積回路によって実現されてよい。このような集積回路も、プロセッサの一例に含まれる。
【0043】
ストレージ55の例としては、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ55は、コンピュータ50のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インタフェース57または通信回線を介してコンピュータ50に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ50に配信される場合、配信を受けたコンピュータ50が当該プログラムをメインメモリ53に展開し、上記処理を実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において、ストレージ55は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0044】
また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、当該プログラムは、前述した機能をストレージ55に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0045】
〈付記〉
各実施形態に記載の地図探索装置、地図探索方法および地図探索プログラムは、例えば以下のように把握され得る。
【0046】
(1)第1の態様によれば、地図探索装置(13)は、地上の所定範囲における位置と当該位置の属性との関係を示す地図情報を格納する複数の基本メッシュ(M1)と、前記基本メッシュ(M2)より狭い範囲における前記基本メッシュ(M1)より密度の高い地図情報を格納する複数の拡張メッシュ(M2)とを記憶する地図記憶部(131)と、目的位置を示す位置データを取得する位置取得部(132)と、前記複数の基本メッシュの中から前記位置データを含む範囲に係る基本メッシュ(M1)を探索する第1探索部(133)と、探索された前記基本メッシュ(M1)に係る範囲と重複する範囲に係る1以上の拡張メッシュ(M2)を前記複数の拡張メッシュ(M2)から抽出する抽出部(134)と、抽出された前記1以上の拡張メッシュ(M2)から、前記位置データを含む範囲に係る拡張メッシュ(M2)を探索する第2探索部(135)とを備える。
【0047】
「取得する」とは、新たに値を得ることである。例えば、「取得する」は、値を受信すること、値の入力を受け付けること、記憶媒体から値を読み出すこと、ある値から他の値を算出することなどを含む。
第1の態様によれば、地図探索装置(13)は、地図データを構成するすべてのメッシュに対する全探索を行うことなく、目的のメッシュを得ることができる。つまり、第1の実施形態に係る地図探索装置(13)は、少ない計算量で所定の位置を含むメッシュを特定することができる。
【0048】
(2)第2の態様によれば、第1の態様に係る地図探索装置(13)において、前記地図記憶部(131)は、前記拡張メッシュ(M2)に関連付けて、当該拡張メッシュ(M2)に係る範囲と重複する前記基本メッシュ(M1)の識別情報を記憶し、前記抽出部(134)は、探索された前記基本メッシュ(M1)の識別情報に関連付けられた1以上の拡張メッシュ(M2)を前記複数の拡張メッシュ(M2)から抽出するものであってよい。
【0049】
第2の態様によれば、地図探索装置(13)は、基本メッシュ(M1)に係る範囲と重複する範囲に係る拡張メッシュ(M2)を容易に抽出することができる。
【0050】
(3)第3の態様によれば、第1又は第2の態様に係る地図探索装置(13)が、探索された前記基本メッシュ(M1)又は前記拡張メッシュ(M2)を、前記目的位置に係るメッシュとして決定する決定部(136)を備え、前記複数の基本メッシュ(M1)の少なくとも1つは、前記複数の拡張メッシュ(M2)のいずれとも重複しない部分を有し、前記決定部(136)は、前記1以上の拡張メッシュ(M2)の中に前記位置データを含む範囲に係る前記拡張メッシュ(M2)が存在する場合に、当該拡張メッシュ(M2)を前記目的位置に係るメッシュとして決定し、前記1以上の拡張メッシュ(M2)の中に前記位置データを含む範囲に係る前記拡張メッシュ(M2)が存在しない場合に、探索された前記基本メッシュ(M1)を前記目的位置に係るメッシュとして決定する。
【0051】
第3の態様によれば、地図探索装置(13)は、地図記憶部(131)が記憶するメッシュの中から目的位置を含む最も精度レベルの高いメッシュを決定することができる。
【0052】
(4)第4の態様によれば、第1から第3の何れかの態様に係る地図探索装置(13)において、前記地図記憶部(131)は、精度レベル別に、前記精度レベルが高いほど前記地図情報の密度が高く、かつ範囲が狭い前記複数の拡張メッシュ(M2)を記憶し、前記抽出部(134)は、前記拡張メッシュ(M2)が探索された場合に、探索された前記拡張メッシュ(M2)に係る範囲と重複する範囲に係り、かつ探索された前記拡張メッシュ(M2)より高い精度レベルに係る1以上の拡張メッシュ(M2)を抽出するものであってよい。
【0053】
第4の態様によれば、地図探索装置(13)は、3以上の階層で表される地図データについて、目的位置を含む最も精度レベルの高いメッシュを探索することができる。
【0054】
(5)第5の態様によれば、課金システム(1)は、地上の所定範囲における位置と当該位置の属性との関係を示す地図情報を格納する複数の基本メッシュ(M1)と、前記基本メッシュ(M2)より狭い範囲における前記基本メッシュ(M1)より密度の高い地図情報を格納する複数の拡張メッシュ(M2)とを記憶する地図記憶部(131)と、車両の位置を示す位置データを取得する位置取得部(132)と、前記複数の基本メッシュの中から前記位置データを含む範囲に係る基本メッシュ(M1)を探索する第1探索部(133)と、探索された前記基本メッシュ(M1)に係る範囲と重複する範囲に係る1以上の拡張メッシュ(M2)を前記複数の拡張メッシュ(M2)から抽出する抽出部(134)と、抽出された前記1以上の拡張メッシュ(M2)から、前記位置データを含む範囲に係る拡張メッシュ(M2)を探索する第2探索部(135)と、探索された前記基本メッシュまたは前記拡張メッシュに基づいて前記位置データを補正する補正部(137)と、補正された前記位置データによって示される位置が、課金対象道路上の位置である場合に、前記課金対象道路の利用料金の課金処理を実行する課金処理部(15)とを備える。
【0055】
第5の態様によれば、課金システム(1)は、地図データを構成するメッシュを用いて位置データを補正することで、課金対象道路上に車両が存在するか否かをより精度よく判定することができる。これにより、課金システムは、精度よく課金対象道路の利用料金の課金処理を行うことができる。
【0056】
(6)第6の態様によれば、地図探索方法は、目的位置を示す位置データを取得するステップと、地上の所定範囲における位置と当該位置の属性との関係を示す地図情報を格納する複数の基本メッシュの中から前記位置データを含む範囲に係る基本メッシュを探索するステップと、前記基本メッシュより狭い範囲における前記基本メッシュより密度の高い地図情報を格納する複数の拡張メッシュから、探索された前記基本メッシュに係る範囲と重複する範囲に係る1以上の拡張メッシュを抽出するステップと、抽出された前記1以上の拡張メッシュから、前記位置データを含む範囲に係る拡張メッシュを探索するステップとを備える。
【0057】
(7)第7の態様によれば、地図探索プログラムは、コンピュータに、目的位置を示す位置データを取得するステップと、地上の所定範囲における位置と当該位置の属性との関係を示す地図情報を格納する複数の基本メッシュの中から前記位置データを含む範囲に係る基本メッシュを探索するステップと、前記基本メッシュより狭い範囲における前記基本メッシュより密度の高い地図情報を格納する複数の拡張メッシュから、探索された前記基本メッシュに係る範囲と重複する範囲に係る1以上の拡張メッシュを抽出するステップと、抽出された前記1以上の拡張メッシュから、前記位置データを含む範囲に係る拡張メッシュを探索するステップとを実行させる。
【符号の説明】
【0058】
1…課金システム 13…車載器 131…地図記憶部 132…位置取得部 133…第1探索部 134…抽出部 135…第2探索部 136…決定部 137…補正部 138…送信部 15…課金サーバ 50…コンピュータ 51…プロセッサ 53…メインメモリ 55…ストレージ 57…インタフェース M1…第一メッシュ M2…第二メッシュ V…車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6