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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-13
(45)【発行日】2024-06-21
(54)【発明の名称】増加した分散性を有するモイストワイプ
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/02 20060101AFI20240614BHJP
   A61K 8/20 20060101ALI20240614BHJP
   A61K 8/25 20060101ALI20240614BHJP
   A61K 8/26 20060101ALI20240614BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20240614BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20240614BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20240614BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20240614BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20240614BHJP
   D04H 1/425 20120101ALI20240614BHJP
   D04H 1/4258 20120101ALI20240614BHJP
【FI】
A61K8/02
A61K8/20
A61K8/25
A61K8/26
A61K8/34
A61K8/41
A61K8/73
A61K8/86
A61Q19/00
D04H1/425
D04H1/4258
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021513794
(86)(22)【出願日】2019-09-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-04
(86)【国際出願番号】 US2019050826
(87)【国際公開番号】W WO2020056146
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2022-08-17
(31)【優先権主張番号】62/730,054
(32)【優先日】2018-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502418468
【氏名又は名称】ナイス‐パック・プロダクツ,インコーポレイテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】507361284
【氏名又は名称】ハッソー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001656
【氏名又は名称】弁理士法人谷川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハーレー,ジェフリー スコット
(72)【発明者】
【氏名】スアレス,アラン ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】イアロッチ,ジョン マシュー
(72)【発明者】
【氏名】アウリエンマ,ニルグン
(72)【発明者】
【氏名】ラブ,アーサー レイ
(72)【発明者】
【氏名】クルツ,ケリー モウリーン
(72)【発明者】
【氏名】山田 菊夫
【審査官】山田 陸翠
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0150792(US,A1)
【文献】特表2002-509463(JP,A)
【文献】特表平11-508611(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0140529(US,A1)
【文献】特開平02-149237(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
D04H 1/00-18/04
D21H 11/00-11/22
D21H 13/00-13/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.50~99%w/wの1つ以上のセルロース系繊維および1つ以上の水溶性バインダーを含む均質な繊維状材料と、
b.以下のものを含む液体成分と、
i.前記液体成分の74%w/wの水、
ii.前記液体成分の15%w/wのジプロピレングリコール、
iii.前記液体成分の5%w/wのグリセレス26、および
iv.前記液体成分の4%w/wの塩化カルシウム、
を含む、モイストワイプ。
【請求項2】
前記液体成分が、キレート剤、乳化剤、皮膚軟化剤、保湿剤、pH調整剤、および臭気中和剤をさらに含む、請求項1に記載のモイストワイプ。
【請求項3】
前記液体成分が、香料をさらに含む、請求項1に記載のモイストワイプ。
【請求項4】
前記液体成分が、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、キサンタンガム、コーンスターチ、シリカ、およびそれらの任意の組み合わせをさらに含む、請求項1に記載のモイストワイプ。
【請求項5】
前記ワイプが、150g/インチ以上の機械方向の湿潤引張強度および75g/インチ超の交差方向の湿潤引張強度を呈する、請求項1~4のいずれか1項に記載のモイストワイプ。
【請求項6】
前記液体が、第4級アンモニウム化合物をさらに含む、請求項1に記載のモイストワイプ。
【請求項7】
前記1つ以上のセルロース系繊維が、パルプ繊維または再生セルロース系繊維を含み、前記1つ以上の水溶性バインダーが、カルボキシメチルセルロースを含む、請求項1に記載のモイストワイプ。
【請求項8】
前記1つ以上のセルロース繊維が、前記ワイプの総重量の75~99%w/wで存在し、前記カルボキシメチルセルロースが、前記ワイプの総重量の1~25%w/wで存在する、請求項に記載のモイストワイプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モイストトイレットペーパー、クリーニング用、消毒用および殺菌用ワイプ、ならびにパーソナルケアワイプを含む、既存の分散性ワイプと比較して改善された分散性を有するワイプに関する。ワイプは、使用するのに十分な強度があり、既存の製品と比較して改善された分散性を有する。
【背景技術】
【0002】
赤ちゃん用、表面用、および個人用衛生ワイプを含む、水に流すように設計されていない多くのワイプ製品が、水に流されている。特定の種類のワイプは、これらを使用した後に水に流すのに適している。そのような水に流すことが可能なワイプは、比較的素早く分解されて、自治体の公衆衛生システム中で分散されることが望ましい。同時に、分散性ワイプは、その提示されている使用の間に使えなくなるほど急速に分解してはならない。
【0003】
水に流すことが可能であるとして販売されている一部の既知のワイプは、それらの使用後の強度を十分に低下させてこれらを分散させるために、水中で比較的長い時間および/または撹拌および/または熱エネルギーを必要とする。
【0004】
現在販売されている水に流すことが可能なワイプ製品は、セルロース短繊維(パルプ)およびセルロース長繊維からなる不織布成分を含む。他の製品には、短いおよび中程度の長さのセルロース繊維からなる塩トリガーバインダー(salt trigger binder)と、1つ以上の成分からなるバインダー系と、自治体の廃水システム中の塩濃度よりも高い塩濃度に基づいてワイプ強度を維持する液体とが使用され得る。繊維は、化学的および/または機械的プロセスを通じてまとめて結合することができる。これらの製品は、使用後に、配管を通過して撹拌部および多量の水に導入される過程で解れて分散するように設計されているので、水に流すことができる。
【0005】
水に流すことが可能な理想的なワイプは、その意図された目的のために使用するのに十分な快適さおよび強度を有し、水に流されると非常に迅速に分散する。そのようなワイプが迅速に分散するほど、下流での詰まりなどの潜在的な問題が生じる可能性が低くなる。したがって、技術的な課題は、使用のための強度と使用後の迅速な分散性という一見相反する特性を有するワイプを製造することである。
【0006】
したがって、(i)使用の間に十分な強度があり、かつ(ii)公衆衛生システムの問題を回避するように(実世界の条件下で)素早く分散する、改善された分散性ワイプを提供する必要がある。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、特に、モイストトイレットペーパー、クリーニング用、消毒用および殺菌用ワイプ、ならびに/または他のパーソナルケアワイプとして使用される、改善された分散性および十分な強度の両方を有するモイストワイプに関する。本発明は、現在の技術に比べて著しい進歩である。なぜなら、本発明によって、例えば、水流交絡されていない均質な繊維状材料(例えば、不織布)成分と液体成分とからなる、現在販売されている製品よりも素早く分散するモイストワイプが提供されるからである。驚くべきことに、本発明のモイストトイレットペーパーは、従来のトイレットペーパーよりもさらに素早く分散する。
【0008】
本発明は、いくつかの理由から、既存の分散性ワイプ製品と比較して技術的に一線を画しており、かつ進歩している。本発明の均質な繊維状材料(例えば、不織布)成分は、水流交絡によって形成されてはおらず、その分散は、繊維を解すことに依存してはいない。本発明のモイストワイプは、水流交絡された不織布成分を含む既存の製品よりも迅速に分散する。
【0009】
本発明者等は、水流交絡されていない不織布状の均質な繊維状成分と新規の液体成分とを組み合わせることによって、十分な安全性、快適性、および強度を依然として提供する、より迅速に分散可能なワイプを達成するという課題に対処した。
【0010】
さらに、実験によって、本発明者等は、以下のさらなる有益な特徴のうちの1つ以上をもたらす今回特許請求される製品のための特定の液体成分を特定した:i)皮膚に対する改善された感触などの改善された審美的特徴(より少ないべたつきおよび/または粘着性)、ii)改善された沈降特性、iii)改善された臭気抑制、iv)改善された防腐剤品質、v)増加したpH安定性、vi)より低い毒性、およびvii)削減された製造コスト。
【0011】
一態様では、本発明は、
a.1つ以上の水溶性バインダーを含む均質な繊維状材料(例えば、不織布材料)と、
b.以下のもの:
i.約65~約90%w/w(例えば、約65~約75%w/wまたは約70~約75%w/w)の水、
ii.約10~約35%w/w(例えば、約10~約25%w/wまたは約15~約20%w/w)の有機溶媒、および
iii.約1~約10%w/w(例えば、約3~約5%w/w)の多価(例えば、二価)塩を含む液体成分と、を含む、モイストワイプに関する。
【0012】
別の態様では、本発明は、
a.1つ以上の水溶性バインダーを含む均質な繊維状材料(例えば、不織布材料)と、
b.以下のもの:
i.約0~約80%w/w(例えば、約10~約60%w/wまたは約25~約35%w/w)の水、
ii.約20~約100%w/w(例えば、約10~約25%w/wまたは約15~約20%w/w)の有機溶媒、および
iii.任意選択的に、約0~約10%w/w(例えば、約3~約5%w/w)の多価(例えば、二価)塩を含む液体成分と、を含む、モイストワイプに関する。
【0013】
本発明の実施形態では、均質な繊維状材料は、木材パルプおよびカルボキシメチルセルロース(CMC)を含む。
【0014】
多価塩は、無機または有機の多価塩であり得る。一実施形態では、多価塩は二価塩である。多価塩の適切な例としては、アルカリ土類金属および遷移金属の塩が挙げられるが、これらに限定されることはない。適切な二価カチオンとしては、Zn2+、Be2+、Mg2+、およびCa2+、ならびにそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されることはない。適切なアニオンとしては、ハロゲン化物アニオン(フッ化物アニオン、塩化物アニオン、臭化物アニオン、ヨウ化物アニオン)、硫酸アニオン、亜硫酸アニオン、チオ硫酸アニオン、炭酸アニオン、酸化物アニオン、硝酸アニオン、亜硝酸アニオン、リン酸アニオン、リン酸水素アニオンなどが挙げられるが、これらに限定されることはない。例えば、多価塩は、ZnF、ZnCl、ZnBr、ZnI、MgF、MgCl、MgBr、MgI、BeF、BeCl、BeBr、BeI、CaF、CaCl、CaBr、CaI、ZnSO、ZnSO、BeSO、BeSO、MgSO、MgSO、CaSO、CaSO、ZnO、MgO、CaO、BeO、およびそれらの任意の組み合わせであり得るが、これらに限定されることはない。
【0015】
一実施形態では、有機溶媒は、ポリオールなどのアルコール、またはポリオールエーテルであり得る。本発明の一態様では、液体成分は、主に有機溶媒である。特定の実施形態では、アルコールは、エタノール、イソプロピルアルコール、またはそれらの組み合わせである。本明細書で使用される場合、「主に」とは、50パーセント超を意味する。
【0016】
均質な不織布材料からなる本発明の殺菌用ワイプは、主にアルコールからなる液体成分で濡らされている場合、有利な特性を有する。例えば、本発明の均質な不織布材料は、本発明による主にアルコールからなる液体成分で濡らされている場合、水で濡らした不織布材料と比較して、強度の損失がより少ない。
【0017】
水溶性バインダーは、天然繊維、合成繊維、およびそれらの任意の組み合わせを含む様々な材料から作製することができる。
【0018】
液体成分は、イソノナン酸セテアリル、セテアレス-20、セテアリルアルコール、ステアリン酸グリセリル、グリセリン、パルミチン酸セチル、およびセテアレス-12を含むものなどの水中油型エマルションをさらに含み得る。
【0019】
別の実施形態では、本明細書に記載の液体成分のうちのいずれも、保湿剤(例えば、グリセレス-26)をさらに含む。一実施形態では、液体成分は、約1~約15%w/wの保湿剤(例えば、グリセレス-26)を含む。
【0020】
別の態様では、本発明は、
a.1つ以上の水溶性バインダーを含む均質な繊維状材料(例えば、不織布材料)と、
b.水、有機溶媒、多価(例えば、二価)塩、キレート剤、乳化剤、皮膚軟化剤、保湿剤、pH調整剤、および臭気中和剤を含む液体成分と、を含む、モイストワイプに関する。
【0021】
別の態様では、本発明は、
a.1つ以上の水溶性バインダーを含む均質な繊維状材料(例えば、不織布材料)と、
b.以下のもの:
i.約65~約90%w/w(例えば、約65~約75%w/wまたは約70~約75%w/w)の水、
ii.約10~約35%w/w(例えば、約10~約25%w/wまたは約15~約20%w/w)の有機溶媒、および
iii.約1~約10%w/w(例えば、約3~約5%w/w)の多価(例えば、二価)塩、
iv.約0.01~約1%w/wのキレート剤、
v.約0.005~約5%w/wの乳化剤、
vi.約0.005~約5%w/wの皮膚軟化剤、
vii.約1~約15%w/wの保湿剤、
viii.約0.01~約5%w/wのpH調整剤、および
ix.約0.01~約5%w/wの臭気中和剤を含む液体成分と、を含む、モイストトイレットペーパーに関する。
【0022】
さらなる実施形態では、本明細書に記載の液体成分のうちのいずれも、1つ以上の香料をさらに含む。
【0023】
さらなる実施形態では、本明細書に記載の液体成分のうちのいずれも、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、キサンタンガム、コーンスターチ、シリカ、およびそれらの任意の組み合わせをさらに含み得る。
【0024】
別の態様では、本発明は、
a.1つ以上の水溶性バインダーを含む均質な繊維状材料(例えば、不織布材料)と、
b.以下のもの:
i.約65~約90%w/w(例えば、約65~約75%w/wまたは約70~約75%w/w)の水、
ii.約10~約35%w/w(例えば、約10~約25%w/wまたは約15~約20%w/w)の有機溶媒、および
iii.約1~約10%w/w(例えば、約3~約5%w/w)の多価(例えば、二価)塩、
iv.約0.1~約1%w/wの第1の防腐剤、
v.約0.1~約1%w/wの第2の防腐剤、
vi.約0.0001~約0.1%w/wの第1の無痛化剤、
vii.約0.01~約0.2%w/wのpH調整剤、
viii.約0.0001~約0.5%w/wの第2の無痛化剤、
ix.約0.01~約1%w/wのキレート剤、
x.約0.01~約5%w/wのpH調整剤、
xi.約0.005~約5%w/wの乳化剤、
xii.約0.01~約5%w/wの臭気中和剤、
xiii.約0.01~約5%w/wの香料、
xiv.約1~約15%w/wの保湿剤、および
xv.約0.005~約5%の皮膚軟化剤を含む液体成分と、を含む、モイストワイプに関する。
【0025】
さらなる実施形態では、本明細書に記載のモイストワイプのうちのいずれも、以下の特性(i)~(vi)のうちの1つ以上を呈する:
(i)さらなる実施形態では、本明細書に記載のモイストワイプのうちのいずれも、以下の特性(i)~(vi)のうちの1つ以上を呈する:
(i)一実施形態では、本明細書に記載のワイプのうちのいずれも、約150g/インチ以上の機械方向の湿潤引張強度および約75g/インチ超の交差方向の湿潤引張強度を呈する。一実施形態では、任意の期間にわたって水に浸された後に、機械交差方向の湿潤引張強度は約50g/インチ以下に減少し、交差方向の湿潤引張強度は約25g/インチ以下に減少する。
(ii)一実施形態では、本明細書に記載のモイストトイレットペーパー、クリーニング用ワイプ、またはパーソナルケアワイプのうちのいずれも、約150g/インチ以上の機械方向の湿潤引張強度および約75g/インチ超の交差方向の湿潤引張強度を呈する。一実施形態では、任意の期間にわたって水に浸された後に、機械方向の湿潤引張強度および交差方向の湿潤引張強度は、もはや測定できなくなるまで減少する。
(iii)一実施形態では、本明細書に記載のモイストワイプのうちのいずれも、約150g/インチ以上の機械方向の湿潤引張強度および約75g/インチ超の交差方向の湿潤引張強度を呈する。
【0026】
一実施形態では、モイストトイレットペーパー、クリーニング用ワイプ、またはパーソナルケアワイプは、Guidelines for Assessing the Flushability of Disposable Nonwoven Productsに記載されているFG502.R1(18)スロッシュボックス崩壊試験に従って測定した場合、約10秒の時間後に、約90%以上の分散率を有する。A Process for Assessing the Compatibility of Disposable Nonwoven Products with Plumbing and Wastewater Infrastructure,4th Edition,(著作権)INDAおよびEDANA,2018は、その全体が参照によって本明細書に援用される。
【0027】
一実施形態では、モイストワイプは、Guidelines for Assessing the Flushability of Disposable Nonwoven Productsに記載されているFG502.R1(18)スロッシュボックス崩壊試験に従って測定した場合、約1分の時間後に、約70%以上の分散率を有する。A Process for Assessing the Compatibility of Disposable Nonwoven Products with Plumbing and Wastewater Infrastructure,4th Edition,(著作権)INDAおよびEDANA,2018年5月は、その全体が参照によって本明細書に援用される。
【0028】
一実施形態では、モイストワイプは、Guidelines for Assessing the Flushability of Disposable Nonwoven Productsに記載されているFG502.R1(18)スロッシュボックス崩壊試験に従って測定した場合、約2分の時間後に、約50%以上の分散率を有する。A Process for Assessing the Compatibility of Disposable Nonwoven Products with Plumbing and Wastewater Infrastructure,4th Edition,(著作権)INDAおよびEDANA,2018年5月は、その全体が参照によって本明細書に援用される。
【0029】
一実施形態では、モイストワイプは、Guidelines for Assessing the Flushability of Disposable Nonwoven Productsに記載されているFG502.R1(18)スロッシュボックス崩壊試験に従って測定した場合、約5分の時間後に、約30%以上の分散率を有する。A Process for Assessing the Compatibility of Disposable Nonwoven Products with Plumbing and Wastewater Infrastructure,4th Edition,(著作権)INDAおよびEDANA,2018年5月は、その全体が参照によって本明細書に援用される。
【0030】
(iv)一の実施形態では、本明細書に記載のモイストワイプのうちのいずれも、トイレで水に流されると、機械方向および交差方向の両方において引張強度をすべて失い、その全体が参照によって本明細書に援用されるINDA’s Fourth Edition Flushability Guideline Document FG503.R1(18)Household Pump Testに記載の家庭用ポンプ試験に従って試験した場合、これがトイレの穴を通過して家庭用ポンプ槽に送られるときに、標準的な家庭用トイレの1回の水洗の乱流によって1/2in未満の小さな断片になり、それによって、家庭用ポンプ内で詰まりが生じなくなるか、またはいずれの完全なワイプもそのまま槽内に残らなくなる。
【0031】
(v)一実施形態では、本明細書に記載のモイストワイプのうちのいずれも、約50g/インチ未満の機械方向の引張強度および約25g/インチ未満の交差方向の引張強度を呈し、水に浸されて自治体のポンプを通過するときに、これは、1/2in以下の断片へとばらばらになり、それによって、その全体が参照によって本明細書に援用されるINDA’s Fourth Edition Flushability Guideline Document FG507.R1(18)Municipal Sewage Pump Testに従って試験した場合、動力増加が2%未満になるか、または動力増加が生じなくなる。
【0032】
(vi)一実施形態では、本明細書に記載のモイストワイプのうちのいずれも、測定可能な強度を呈さず、水に浸されて自治体のポンプを通過するときに、これは、1/2in以下の断片へとばらばらになり、それによって、その全体が参照によって本明細書に援用されるINDA’s Fourth Edition Flushability Guideline Document FG507.R1(18)Municipal Sewage Pump Testに従って試験した場合、動力増加が2%未満になるか、または動力増加が生じなくなる。
【0033】
さらなる実施形態では、本明細書に記載のモイストワイプは、包装されている。
本発明は、
a.1つ以上の水溶性バインダーを含む均質な繊維状材料と、
b.以下のもの:
i.約74%w/wの水、
ii.約15%w/wのジプロピレングリコール、
iii.約5%w/wのグリセレス26、および
iv.約4%w/wの塩化カルシウムを含む液体成分と、を含む、モイストワイプを提供する。
【0034】
液体成分は、キレート剤、乳化剤、皮膚軟化剤、保湿剤、pH調整剤、臭気中和剤、および香料をさらに含み得る。
いくつかの態様では、液体成分は、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、キサンタンガム、コーンスターチ、シリカ、およびそれらの任意の組み合わせをさらに含む。
本発明のモイストワイプは、
a.1つ以上の水溶性バインダーを含む均質な繊維状材料と、
b.以下のもの:
i.約58~約79%w/wの水、
ii.約0~約10%w/wのジプロピレングリコール、
iii.約0~約10%w/wのグリセレス26、
iv.約0~約4%w/wの塩化カルシウム、および
vi.約5~約20%w/wのエタノールを含む液体成分と、を含む。
【0035】
本発明のモイストワイプは、約150g/インチ以上の機械方向の湿潤引張強度および約75g/インチ超の交差方向の湿潤引張強度を呈する。任意の期間にわたって水に浸された後に、本発明によるワイプの機械方向の湿潤引張強度は約50g/インチ以下に減少し、交差方向の湿潤引張強度は約25g/インチ以下に減少する。本発明のモイストワイプ、クリーニング用ワイプ、または個人用ワイプでは、任意の期間にわたって水に浸された後に、機械方向の湿潤引張強度および交差方向の湿潤引張強度は、もはや測定できなくなるまで減少する。
【0036】
本発明のモイストワイプ、クリーニング用ワイプ、または個人用ワイプでは、ワイプは、INDA’s Fourth Edition Flushability Guideline Document FG502.R1(18)のスロッシュボックス崩壊試験に従って測定した場合、約10秒の時間後に、約90%以上の分散率を有する。
【0037】
本発明のモイストワイプ、クリーニング用ワイプ、または個人用ワイプでは、ワイプは、INDA’s Fourth Edition Flushability Guideline Document FG502.R1(18)のスロッシュボックス崩壊試験に従って測定した場合、約1分の時間後に、約70%以上の分散率を有する。
【0038】
本発明のモイストワイプ、クリーニング用ワイプ、または個人用ワイプでは、ワイプは、例えばINDA’s Fourth Edition Flushability Guideline Document FG502.R1(18)のスロッシュボックス崩壊試験に従って測定した場合、約2分の時間後に、約50%以上の分散率を有する。
【0039】
本発明のモイストワイプ、クリーニング用ワイプ、または個人用ワイプでは、ワイプは、INDA’s Fourth Edition Flushability Guideline Document FG502.R1(18)のスロッシュボックス崩壊試験に従って測定した場合、約5分の時間後に、約30%以上の分散率を有する。
【0040】
本発明のモイストワイプ、クリーニング用ワイプ、または個人用ワイプでは、ワイプは、トイレで水に流されると、機械方向および交差方向の両方において引張強度をすべて失い、INDA’s Fourth Edition Flushability Guideline Document FG503.R1(18)Household Pump Testに記載の家庭用ポンプ試験に従って試験した場合、これがトイレの穴を通過して家庭用ポンプ槽に送られるときに、標準的な家庭用トイレの1回の水洗の乱流によって1/2in2未満の小さな断片になり、それによって、家庭用ポンプ内で詰まりが生じなくなるか、またはいずれの完全なワイプもそのまま槽内に残らなくなる。
【0041】
本発明のモイストワイプ、クリーニング用ワイプ、または個人用ワイプでは、ワイプは、約50g/インチ未満の機械方向の引張強度および約25g/インチ未満の交差方向の引張強度を呈し、水に浸されて自治体のポンプを通過するときに、これは、1/2in2以下の断片へとばらばらになり、それによって、INDA’s Fourth Edition Flushability Guideline Document FG507.R1(18)Municipal Sewage Pump Testに従って試験した場合、動力増加が2%未満になるか、または動力増加が生じなくなる。
【0042】
本発明のモイストワイプ、クリーニング用ワイプ、または個人用ワイプでは、ワイプは、測定可能な強度を呈さず、水に浸されて自治体のポンプを通過するときに、これは、1/2in2以下の断片へとばらばらになり、それによって、INDA’s Fourth Edition Flushability Guideline Document FG507.R1(18)Municipal Sewage Pump Testに従って試験した場合、動力増加が2%未満になるか、または動力増加が生じなくなる。
【0043】
本発明によると、モイストワイプ、クリーニング用ワイプ、または個人用ワイプは、包装されている。
【0044】
一態様では、均質な繊維状材料は、100%植物ベースの材料からなる。
【0045】
さらなる態様では、液体は、第4級アンモニウム化合物をさらに含む。
【0046】
本発明による均質な繊維状材料は、約50~約99%w/wの1つ以上のセルロース系繊維および1つ以上の水溶性バインダーを含む。
【0047】
本発明の態様では、1つ以上のセルロース系繊維は、パルプ繊維または再生セルロース繊維を含み、1つ以上の水溶性バインダーは、カルボキシメチルセルロースを含む。
【0048】
本発明の態様によると、1つ以上のセルロース繊維は、ワイプの総重量の約75~99%w/wで存在し、カルボキシメチルセルロースは、ワイプの総重量の約1~約25%w/wで存在する。
【0049】
本発明の実施形態によると、再生セルロース繊維は、ビスコース、リヨセル、またはそれらの組み合わせであり得る。さらなる態様では、再生セルロース繊維は、ワイプの総重量の約10~約50%w/wで存在する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1】均質な繊維状成分の断面の走査型電子顕微鏡写真である。
図2】均質な繊維状成分の断面の走査型電子顕微鏡写真である。
図3】均質ではない繊維状成分の走査型電子顕微鏡写真である。不織布モイストシートを風乾し、ヨウ素蒸気着色剤で72時間にわたって着色し、バインダーの分布を強調した。
図4】均質ではない繊維状成分の断面の走査型電子顕微鏡写真である。不織布モイストシートを風乾し、ヨウ素蒸気着色剤で72時間にわたって着色し、バインダーの分布を強調した。
【発明を実施するための形態】
【0051】
分散性モイストワイプの率および全体的な分散性は、例えばGuidelines for Assessing the Flushability of Disposable Nonwoven Productsに記載のように、当業者によって決定することができる。A Process for Assessing the Compatibility of Disposable Nonwoven Products with Plumbing and Wastewater Infrastructure,4th Edition,(著作権)INDAおよびEDANA,2018年5月(“the Guidelines”)(www.edana.orgおよびwww,inda,orgを参照)は、その全体が参照によって本明細書に援用される。
【0052】
このガイドラインによると、水に流すことが可能と考えられる製品の場合、以下のことを示す証拠がなくてはならない:この製品が、(1)サプライヤーが推奨する使用説明書に正しく従った場合に、トイレおよび適切にメンテナンスされた排水管システムを空にすること、(2)廃水輸送システムを通過し、かつシステムの妨害、詰まり、または他の運用上の問題を引き起こすことなく、廃水処理、再利用、および処理システムと互換性があること、ならびに(3)その場および自治体の処理システムから出てくる廃水中に、および土壌に適用される廃水処理プラントからの消化汚泥中に認識できないこと。製品がこの評価における要件を満たしている場合、この製品は、水に流すことが可能であると考えられ、INDA/EDANAの実施規則に従うようにラベル付けすることができる。
【0053】
均質な繊維状成分
一実施形態では、本明細書に記載の均質な繊維状材料は、不織布材料を含む。
【0054】
本明細書で使用される場合、「不織布成分」の「不織布剤(nonwoven agent)」または「不織布材料」または「不織布基材」という用語は、テキスタイルの織りまたは編みプロセスを用いることなく形成される材料および材料ウェブを指す。
【0055】
本明細書で使用される場合、「均質な繊維状材料」、「均質な繊維状成分」、および「均質な不織布材料」とは、繊維状材料または繊維状成分の異なる構成要素が統合されており、分離されていないことを意味する。「均質な繊維状材料」、「均質な繊維状成分」、「均質な不織布材料」の図は、図1~3に示す。
【0056】
本発明によるモイストトイレットペーパーは、通常、約0.025~約0.2g/ccの繊維密度を有し得る。本発明によるモイストトイレットペーパーは、通常、約20~約150gsm、例えば、約30~約90gsmまたは約50~約60gsmの坪量を有し得る。
【0057】
不織布材料は、天然繊維、合成繊維、およびそれらの任意の組み合わせから作製された1つ以上の水溶性バインダーを含み得る。繊維の選択は、例えば、完成品の意図される最終用途および繊維のコストに依存する。例えば、適切な繊維状基材としては、綿、亜麻、ジュート、麻、ウール、木材パルプなどの天然繊維が挙げられ得るが、これらに限定されることはない。同様に、ビスコースレーヨンおよびキュプラモニウムレーヨンなどの再生セルロース系繊維、酢酸セルロースなどの変性セルロース系繊維、またはポリプロピレン、ポリエチレン、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリルなどに由来するものなどの合成繊維を、単独で、または互いに組み合わせて、同様に使用することができる。必要に応じて、上記の繊維のうちの1つ以上からのブレンドを使用することもできる。木材パルプ繊維の中でも、軟材および硬材繊維を含む、任意の既知の製紙繊維を使用することができる。例えば、繊維は、化学的にパルプ化または機械的にパルプ化されたもの、漂白されたまたは無漂白のもの、未使用のまたはリサイクルされたもの、高収量または低収量などであり得る。マーセル加工された、化学的に硬化された、または架橋された繊維も使用することができる。
【0058】
合成セルロース繊維の種類としては、すべての種類のレーヨン、ならびにリヨセルなどの再生セルロースおよび溶媒紡糸セルロースを含む粘性または化学修飾セルロースに由来する他の繊維が挙げられる。マーセル加工されたパルプ、化学的に硬化されたもしくは架橋された繊維、またはスルホン化繊維などの化学的に処理された天然セルロース系繊維が使用されてもよい。リサイクル繊維のみならず、未使用の繊維も使用することができる。微生物によって生成されたセルロースおよび他のセルロース系誘導体が使用されてもよい。本明細書で使用される場合、「セルロース系」という用語は、例えば少なくとも50重量パーセントのセルロースまたはセルロース誘導体を含む、主構成要素としてセルロースを有する任意の材料を含むことを意味する。したがって、この用語は、綿、一般的な木材パルプ、非木材セルロース系繊維、カルボキシメチルセルロース、酢酸セルロース、三酢酸セルロース、レーヨン、熱機械木材パルプ、化学木材パルプ、剥離化学木材パルプ、ミルクウィード、またはバクテリアセルロースを含むが、これらに限定されることはない。ポリ乳酸(PLA)、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、およびナイロンも使用することができる。
【0059】
不織布成分は、界面活性剤をさらに含み得る。適切な界面活性剤の非限定的な例としては、ラウリル硫酸ナトリウム、1-ウンデカノール、1-オクチル-2-ピロリドン(Surfadone LP-100)、ウンデシルアルコール+5EOポリエトキシレート(ポリエチレングリコール(5)ウンデシルエーテル)、1-ドデシル-2-ピロリドン(Surfacone LP-300)、およびそれらの組み合わせが挙げられる。界面活性剤の組み合わせの例は、ラウリル硫酸ナトリウム、1-ウンデカノール、1-オクチル-2-ピロリドン、およびウンデシルアルコール+5EOポリエトキシレート(ポリエチレングリコール(5)ウンデシルエーテル)である。界面活性剤は、カルボキシメチルセルロース(CMC)および水の溶液に添加されて、繊維状材料に噴霧され得る。界面活性剤の量は、CMCおよび水の噴霧溶液の0.001~2%であり得る。
【0060】
液体成分
本明細書に記載の液体成分は、塩化ベンザルコニウムを実質的に含んでいなくてもよい(例えば、約0.04重量%未満、約0.03重量%未満、約0.02重量%未満、約0.01重量%未満、または約0.005重量%未満含有する)か、または塩化ベンザルコニウムを含まない。
【0061】
本明細書に記載の液体成分は、ヨードプロピニルブチルカルバメートを実質的に含んでいなくてもよい(例えば、約0.08重量%未満、約0.05重量%未満、約0.04重量%未満、約0.02重量%未満、約0.01重量%未満、または約0.005重量%未満含有する)か、またはヨードプロピニルブチルカルバメートを含まない。
【0062】
任意選択的に、本明細書に記載の液体成分は、塩化ベンザルコニウム、ヨードプロピニルブチルカルバメート、ラウレス-9、ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサンクロスポリマー、および前述のものの組み合わせを実質的に含んでいなくてもよい(例えば、約0.03重量%未満、約0.02重量%未満、約0.01重量%未満、約0.005重量%未満、または約0.001重量%未満含有する)。
【0063】
本明細書に記載の実施形態による液体成分は、担体媒体(複数可)、界面活性剤(例えば、カチオン性、アニオン性、非イオン性、両性)、pH調整剤/pH制御剤、香料、香料可溶化剤、乳白剤、防腐剤、皮膚無痛化剤/無痛化剤、スキンケア添加剤、臭気抑制添加剤/臭気中和剤、キレート剤、脱粘着剤、湿潤剤、清浄剤、皮膚コンディショニング剤、防腐剤、抗菌剤、皮膚軟化剤、保湿剤、感覚(表面感触)改質剤などの1つ以上のさらなる化合物をさらに含み得るが、これらに限定されることはない。
【0064】
キレート剤の非限定的な例としては、EDTA二ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、フィチン酸、フィチン酸ナトリウム、EDTA三ナトリウム、EDTA四ナトリウム、グルタミン酸二酢酸四ナトリウム、エチドロン酸、グルコン酸、三リン酸五ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、およびリン酸三ナトリウムが挙げられる。
【0065】
スキンケア添加剤
本明細書で使用される場合、「スキンケア添加剤」という用語は、糞便酵素によって引き起こされるおむつかぶれおよび/または他の皮膚損傷を被る可能性の低減などの1つ以上の利点をユーザにもたらす添加剤を表す。適切なスキンケア添加剤としては、以下に記載される酵素阻害剤および金属イオン封鎖剤が挙げられるが、これらに限定されることはない。
【0066】
様々なスキンケア添加剤を、本発明の液体成分およびモイストトイレットペーパーに添加するか、またはその中に含めることができる。一実施形態では、粒子の形態のスキンケア添加剤が、糞便酵素阻害剤として機能するように添加され、糞便酵素によって引き起こされるおむつかぶれおよび皮膚損傷の低減において、潜在的な利益をもたらす。米国特許第6,051,749号には、糞便酵素を阻害するのに有用であると言われている、織布ウェブまたは不織布ウェブ中の親有機性粘土が開示されている。長鎖有機第4級アンモニウム化合物と以下の粘土のうちの1つ以上との反応生成物を含む材料が使用され得る:モンモリロナイト、ベントナイト、バイデライト、ヘクトライト、サポナイト、およびステベンサイト。
【0067】
トリプシンおよび他の消化酵素または糞便酵素を阻害するもの、ならびにウレアーゼ用の阻害剤を含む、他の既知の酵素阻害剤および金属イオン封鎖剤を、本発明の液体成分中のスキンケア添加剤として使用することができる。例えば、酵素阻害剤および抗菌剤を使用して、体液中の臭気の形成を防止することができる。例えば、臭気吸収にも影響を与えると言われているウレアーゼ阻害剤が、国際出願番号WO98/26808に開示されている。そのような阻害剤は、本発明の液体成分およびモイストトイレットペーパーに組み込むことが可能であり、遷移金属イオンおよびそれらの可溶性塩、例えば、銀、銅、亜鉛、第2鉄、およびアルミニウムの塩を含む。ホウ酸アニオン、フィチン酸アニオンなどのアニオンはまた、ウレアーゼ阻害をもたらすことができる。価値のあり得る化合物としては、塩素酸銀、硝酸銀、酢酸水銀、塩化水銀、硝酸水銀、メタホウ酸銅、臭素酸銅、臭化銅、塩化銅、二クロム酸銅、硝酸銅、サリチル酸銅、硫酸銅、酢酸亜鉛、ホウ酸亜鉛、フィチン酸亜鉛、臭素酸亜鉛、臭化亜鉛、塩素酸亜鉛、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸カドミウム、ホウ酸カドミウム、臭化カドミウム、塩素酸カドミウム、塩化カドミウム、ギ酸カドミウム、ヨウ素酸カドミウム、ヨウ化カドミウム、過マンガン酸カドミウム、硝酸カドミウム、硫酸カドミウム、および塩化金が挙げられるが、これらに限定されることはない。
【0068】
ウレアーゼ阻害特性を有する他の塩としては、第2鉄およびアルミニウムの塩、特に硝酸塩、およびビスマス塩が挙げられる。ヒドロキサム酸およびその誘導体;チオ尿素;ヒドロキシルアミン;フィチン酸の塩;様々なタンニン、例えばカロブタンニン、およびクロロゲン酸誘導体などのそれらの誘導体を含む、様々な種の植物エキス;アスコルビン酸、クエン酸などの天然に存在する酸およびそれらの塩;ホスホロジアミド酸フェニル/ジアミノリン酸フェニルエステル;置換ホスホロジアミデート化合物を含む金属アリールホスホロアミデート錯体;窒素における置換のないホスホロアミデート;特に、ホウ砂、および/または有機ホウ素酸化合物を含むホウ酸および/またはその塩;欧州特許出願第0,408,199号に開示されている化合物;ジチオカルバミン酸ナトリウム、銅、マンガン、および/または亜鉛;キノン;フェノール;チウラム;置換ローダニン酢酸;アルキル化ベンゾキノン;二硫化ホルムアミジン;1,3-ジケトン無水マレイン酸;スクシンアミド;無水フタル酸;ベヘン酸;N,N-ジハロ-2-イミダゾリジノン;N-ハロ-2-オキサゾリジノン;チオ-および/またはアシル-ホスホリルアミドおよび/またはその置換誘導体、チオピリジン-N-オキシド、チオピリジン、およびチオピリミジン;ジアミノホスフィニル化合物の酸化硫黄誘導体;シクロトリホスファザトリエン誘導体;オキシムのオルト-ジアミノホスフィニル誘導体;ブロモ-ニトロ化合物;S-アリールおよび/またはアルキルジアミドホスホロチオレート;ジアミノホスフィニル誘導体;モノおよび/またはポリホスホロジアミド;5-置換ベンゾオキサチオール-2-オン;N(ジアミノホスフィニル)アリールカルボキサミド、アルコキシ-1,2-ベンゾタイジン化合物などを含む他のウレアーゼ阻害剤が、WO98/26808に開示されている。
【0069】
日光遮断剤および紫外線吸収剤、にきび治療剤、薬剤、重曹(それらのカプセル形態を含む)、ビタミンAまたはEなどのビタミンおよびその誘導体、アロエバルバデニス葉エキス、酢酸トコフェリル、マンサクおよびアロエベラなどの植物成分、アラントイン、皮膚軟化剤、消毒剤、しわ抑制または老化防止効果のためのヒドロキシ酸、日焼け止め剤、日焼け促進剤、美白剤、消臭剤および制汗剤、皮膚の利益および他の用途のためのセラミド、収斂剤、保湿剤、除光液、昆虫忌避剤、酸化防止剤、防腐剤、抗炎症剤などを含む、これらに限定されることのない多くの他のスキンケア添加剤を、本発明の液体成分およびモイストトイレットペーパーに組み込むことができるが、ただし、これらの添加剤は、これらと関連するイオン感応性バインダー組成物、特に本発明のイオン感応性バインダー組成物と適合可能である(すなわち、これらは、水中での分散性を可能にしつつ、水中で希釈される前に、モイストトイレットペーパーの湿潤状態における強度の大幅な損失をもたらさない)。
【0070】
スキンケアおよび他の利点にとって有用な材料は、McCutcheon’s 1999,Vol.2:Functional Materials,ニュージャージー州グレンロックのMC Publishing Companyに一覧にされている。スキンケアにとって有用な多くの植物成分は、テキサス州ルイスヴィルのActive Organicsから供給される。
【0071】
臭気抑制添加剤
本発明の液体成分およびモイストトイレットペーパーに使用するのに適した臭気抑制添加剤としては、亜鉛塩;タルク粉末;重炭酸ナトリウム、カプセル化された芳香成分(マイクロカプセルと、マクロカプセルと、リポソーム、小胞またはマイクロエマルション中にカプセル化された芳香成分とを含む);エチレンジアミン四酢酸などのキレート剤;ゼオライト;活性シリカ、活性炭顆粒、または繊維;活性シリカ微粒子;クエン酸などのポリカルボン酸;シクロデキストリンおよびシクロデキストリン誘導体;キトサンまたはキチンおよびその誘導体;酸化剤;銀を充填したゼオライトを含む抗菌剤(例えば、マサチューセッツ州ビバリーのHEALTHSHIELD(商標)という商標で販売されているBF Technologiesのもの);トリクロサン;珪藻土;ならびにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されることはない。身体または身体排泄物からの臭気を抑制することに加えて、臭気抑制策を利用し、処理された基材のあらゆる臭気を隠すことまたは抑制することもできる。
【0072】
一実施形態では、液体成分および/またはモイストワイプは、溶液中に入ったヒドロキシプロピルベータシクロデキストリンなどの誘導シクロデキストリンを含み、これらは、拭き取り後に皮膚に残り、臭気吸収層を形成する。他の実施形態では、臭気源は、臭気抑制添加剤を塗布することによって除去または中和され、これは、一般に臭気を生成する多くのプロテアーゼおよび他の酵素の機能に必要な金属基を結合するキレート剤の作用を例示している。金属基をキレート化すると、酵素の作用が阻害され、製品の悪臭のリスクが低下する。
【0073】
キトサンまたはキチン誘導体を不織布ウェブおよびセルロース系繊維に塗布する際の原理は、S.Lee等,Textile Research Journal,69(2);104-112,1999に記載されている。
【0074】
脱粘着剤
必要に応じて、粘着性を低減するために、脱粘着剤を液体成分に使用することができる。適切な脱粘着剤としては、タルク粉末、炭酸カルシウム、雲母などの粉末;コーンスターチなどのデンプン;リコポジウム粉末;二酸化チタンなどの鉱物充填材;シリカ粉末;アルミナ;一般的な金属酸化物;ベーキングパウダー;珪藻土;などが挙げられるが、これらに限定されることはない。幅広い種類のフッ素化ポリマー、シリコーン添加剤、ポリオレフィン(例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))および熱可塑性物質、ワックス、16個以上の炭素を有するアルキル側鎖などのアルキル側鎖を有する化合物を含む製紙業界で知られている剥離剤などを含む、表面エネルギーの低いポリマーおよび他の添加剤を使用してもよい。金型およびろうそく製造用の離型剤として使用される化合物、ならびに乾燥潤滑剤およびフッ素化離型剤も考えられ得る。
【0075】
防腐剤および抗菌剤
液体成分はまた、防腐剤および/または抗菌剤も含み得る。Mackstat H 66(イリノイ州シカゴのMcIntyre Groupから入手可能)などのいくつかの防腐剤および/または抗菌剤は、細菌およびカビの成長を防止するのに優れた結果をもたらすことが見出されている。他の適切な防腐剤および抗菌剤としては、DMDMヒダントイン(例えば、Glydant Plus(商標)、ニュージャージー州フェアローンのLonza,Inc.)、ヨードプロピニルブチルカルバメート、Kathon(ペンシルバニア州フィラデルフィアのRohm and Hass)、メチルパラベン、フェノキシエタノール、安息香酸ナトリウム、プロピルパラベン、2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオール、安息香酸などが挙げられるが、これらに限定されることはない。
【0076】
キレート剤
本明細書に記載の液体成分に有用なキレート剤の1つは、グルタミン酸二酢酸四ナトリウム(Dissolvine GL 47S)である。
【0077】
乳化剤
本明細書に記載の液体成分に有用な乳化剤と界面活性剤とのブレンドの1つは、ココグルコシド/オレイン酸グリセロール(Lamesoft PO65)である。
【0078】
湿潤剤および清浄剤
様々な湿潤剤および/または清浄剤を液体成分に使用することができる。適切な湿潤剤および/または清浄剤としては、洗浄剤、ならびに非イオン性、両性およびアニオン性界面活性剤、特にアミノ酸ベースの界面活性剤が挙げられるが、これらに限定されることはない。アミノ酸L-グルタミン酸および他の天然脂肪酸に由来するものなどの、アミノ酸ベースの界面活性剤系は、ヒトの皮膚に対するpH適合性および良好な清浄力をもたらすと同時に、他のアニオン性界面活性剤と比較して、比較的安全であり、かつ改善された触覚特性および保湿特性をもたらす。
【0079】
アミノ酸ベースの界面活性剤の市販例の1つは、日本の東京のAjinomoto Corp.によってAmisoftという名称で販売されているアシルグルタミン酸塩である。アミノ酸ベースの界面活性剤は、液体成分に有用であり得るが、本発明では、幅広い種類の界面活性剤を使用することができる。適切な非イオン性界面活性剤としては、エチレンオキシドと、プロピレンオキシドとプロピレングリコールとの縮合によって形成された疎水性(親油性)ポリオキシアルキレンベースとの縮合生成物が挙げられるが、これに限定されることはない。これらの化合物の疎水性部分は、望ましくは、それを水不溶性にするのに十分に高い分子量を有する。ポリオキシエチレン部分をこの疎水性部分に付加することによって、分子全体の水溶性が上昇し、製品の液体特性は、ポリオキシエチレン含有量が縮合生成物の総重量の約50%になる点まで維持される。この種類の化合物の例としては、ポリオキシプロピレンエーテルが約1500~3000の分子量を有し、かつポリオキシエチレン含有量が約35~55重量%である、市販のPluronic界面活性剤(BASF Wyandotte Corp.)、すなわちPluronic L-62が挙げられる。
【0080】
他の有用な非イオン性界面活性剤としては、C~C22アルキルアルコールと、アルコール1モルあたり2~50モルのエチレンオキシドとの縮合生成物が挙げられるが、これに限定されることはない。この種類の化合物の例としては、C11~C15第2級アルコールと、アルコール1モルあたり3~50個のエチレンオキシドとの縮合生成物が挙げられ、これは、Olin ChemicalsからのPoly-Tergent SLFシリーズまたはUnion CarbideからのTERGITOL(商標)として、すなわち、約7モルのエチレンオキシドとC12~C15アルカノールとを縮合させることによって形成されたTERGITOL(商標)25-L-7として市販されている。
【0081】
本発明の液体成分に用いることができる他の非イオン性界面活性剤としては、(ノニルフェノキシ)ポリオキシエチレンエーテルなどのC~C12アルキルフェノールのエチレンオキシドエステルが挙げられる。約8~12モルのエチレンオキシドとノニルフェノールとを縮合させることによって調製されたエステル、すなわちIGEPAL(商標)COシリーズ(GAF Corp.)が特に有用である。
【0082】
さらなる非イオン性界面活性剤としては、デキストロース(D-グルコース)と直鎖または分枝鎖アルコールとの縮合生成物として誘導されたアルキルポリグリコシド(APG)が挙げられるが、これに限定されることはない。界面活性剤のグリコシド部分によって、高いヒドロキシル密度を有する親水性部分が生じ、それによって水溶性が上昇する。さらに、グリコシドのアセタール結合の固有の安定性によって、アルカリ系で化学的安定性がもたらされる。さらに、一部の非イオン性界面活性剤とは異なり、アルキルポリグリコシドは、曇点を有しないので、ハイドロトロープなしで配合することができ、非常に穏やかであるほか、易生分解性の非イオン性界面活性剤である。この分類の界面活性剤は、Horizon ChemicalからAPG-300、APG-350、APG-500、およびAPG-500の商標名で入手可能である。
【0083】
シリコーンは、純粋な形態で、またはマイクロエマルション、マクロエマルションなどとして入手可能な別の分類の湿潤剤である。例示的な非イオン性界面活性剤群の1つは、シリコーン-グリコールコポリマーである。これらの界面活性剤は、ポリ(低級)アルキレンオキシ鎖をジメチルポリシロキサノールの遊離ヒドロキシル基に付加することによって調製され、Dow Corning 190および193界面活性剤(CTFA名:ジメチコンコポリオール)として入手可能である。
【0084】
アニオン界面活性剤はまた、本明細書に記載の液体成分に使用することもできる。アニオン性界面活性剤は、その高い洗浄力を理由に有用であり、水溶性高級脂肪酸アルカリ金属石鹸、例えばミリスチン酸ナトリウムおよびパルミチン酸ナトリウムなどの、8~22個の炭素原子のアルキル置換基を有するアニオン性洗浄剤塩を含む。アニオン性界面活性剤の分類の1つには、アルキル基中に約1~16個の炭素原子を有する高級アルキル単核または多核アリールスルホン酸塩の塩などの疎水性高級アルキル部分(通常、約8~22個の炭素原子を含む)を含む水溶性の硫酸化およびスルホン化されたアニオン性アルカリ金属およびアルカリ土類金属洗浄剤塩が包含されており、例えば、Bio-Softシリーズ、すなわちBio-Soft D-40(Stepan Chemical Co.)として入手可能である。
【0085】
アニオン性界面活性剤の他の有用な分類としては、アルキルナフタレンスルホン酸のアルカリ金属塩(メチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、Petro AA、Petrochemical Corporation);ココア油脂肪酸の硫酸化モノグリセリドのナトリウム塩および獣脂脂肪酸の硫酸化モノグリセリドのカリウム塩などの硫酸化高級脂肪酸モノグリセリド;約10~18個の炭素原子を含む硫酸化脂肪アルコールのアルカリ金属塩(例えば、ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリル硫酸ナトリウム);Bio-Tergeシリーズ(Stepan Chemical Co.)などのC14~C16アルファオレフィンスルホン酸ナトリウム;硫酸化エチレンオキシ脂肪アルコールのアルカリ金属塩(約3モルのエチレンオキシドとC12~C15n-アルカノールとの縮合生成物の硫酸ナトリウムまたは硫酸アンモニウム、すなわち、Neodolエトキシスルフェート、Shell Chemical Co.);低分子量アルキロールスルホン酸の高級脂肪エステルのアルカリ金属塩、例えば、イソチオン酸のナトリウム塩の脂肪酸エステル、脂肪エタノールアミド硫酸塩;アミノアルキルスルホン酸の脂肪酸アミド、例えばタウリンのラウリン酸アミド;ならびにキシレンスルホン酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸ナトリウム、トルエンスルホン酸ナトリウム、およびそれらの混合物などの他の多くの他のアニオン性有機界面活性剤が挙げられるが、これらに限定されることはない。
【0086】
アニオン性界面活性剤のさらなる分類としては、8-(4-n-アルキル-2-シクロヘキセニル)-オクタン酸が挙げられ、ここで、シクロヘキセニル環は、さらなるカルボン酸基で置換されている。これらの化合物またはそれらのカリウム塩は、Westvaco CorporationからDiacid 1550またはH-240として市販されている。一般に、これらのアニオン界面活性剤は、それらのアルカリ金属塩、アンモニウム、またはアルカリ土類金属塩の形態で使用することができる。
【0087】
皮膚軟化剤
液体成分はまた、1つ以上の皮膚軟化剤も含み得る。適切な皮膚軟化剤としては、PEG75ラノリン、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、安息香酸メチルグルセス20、安息香酸C12~C15アルキル、エトキシル化セチルステアリルアルコールのほか、Lambent wax WS-L、Lambent WD-F、Cetiol HE(Henkel Corp.)、Glucam P20(Amerchol)、Polyox WSR N-10(Union Carbide)、Polyox WSR N-3000(Union Carbide)、Luviquat(BASF)、Finsolv SLB 101(Finetex Corp.)、ミンク油、アラントイン、ステアリルアルコール、Estol 1517(Unichema)、およびFinsolv SLB 201(Finetex Corp.)として販売されている製品、オレイン酸グリセリル(Monomuls 90~O 18、BASF)、ならびにそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されることはない。
【0088】
皮膚軟化剤は、皮膚軟化剤ブレンドの形態にあってもよい。例えば、皮膚軟化剤ブレンドは、1つ以上の液体炭化水素(例えば、ワセリン)、鉱油など、植物性および動物性脂肪(例えば、ラノリン、リン脂質、およびそれらの誘導体)と、1つ以上のアルキル置換ポリシロキサンポリマーなどのシリコーン材料との組み合わせを含む。皮膚軟化剤ブレンドは、液体炭化水素(例えば、ワセリン)と、ジメチコンとの、またはジメチコンおよび他のアルキル置換ポリシロキサンポリマーとの組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、液体炭化水素皮膚軟化剤および/またはアルキル置換ポリシロキサンポリマーのブレンドを、脂肪酸または脂肪アルコールに由来する1つ以上の脂肪酸エステル皮膚軟化剤とブレンドすることができる。Standamul HE(ニュージャージー州ホーボーケンのHenkel Corp.)として入手可能なヤシ脂肪酸PEG-7グリセリル。
【0089】
液体成分に使用することができる水溶性の自己乳化皮膚軟化剤油は、米国特許第4,690,821号に開示されているように、ポリオキシアルコキシル化ラノリンおよびポリオキシアルコキシル化脂肪アルコールを含む。ポリオキシアルコキシ鎖は、混合されたプロピレンオキシおよびエチレンオキシ単位を含み得る。ラノリン誘導体がそのような低級アルコキシ単位を約20~70個含み得る一方で、C12~C20脂肪アルコールは、約8~15個の低級アルキル単位で誘導体化されることになる。そのようなラノリン誘導体の1つは、Lanexol AWS(PPG-12-PEG-50、ニューヨーク州ニューヨークのCroda,Inc.)である。有用なポリ(15~20)C~Cアルコキシレートは、Procetyl AWS(Croda,Inc.)として知られているPPG-5-セテス-20である。
【0090】
表面感触改質剤
製品を使用する間の皮膚の触感覚(例えば、潤滑性)を改善するために、表面感触改質剤を使用することができる。適切な表面感触改質剤としては、市販の剥離剤や、脂肪酸側基を有する第4級アンモニウム化合物、シリコーン、ワックスなどを含む軟化剤が挙げられるが、これらに限定されることはない。軟化剤として有用な例示的な第4級アンモニウム化合物は、米国特許第3,554,862号、同第4,144,122号、同第5,573,637号、および同第4,476,323号に開示されている。
【0091】
香料および香料可溶化剤
様々な香料および香料可溶化剤を液体成分に使用することができる。適切な香料可溶化剤としては、ポリソルベート20、プロピレングリコール、エタノール、イソプロパノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコール、フタル酸ジエチル、クエン酸トリエチル、Ameroxol OE-2(Amerchol Corp.)、Brij 78およびBrij 98(ICI Surfactants)、Arlasolve 200(ICI Surfactants)、Calfax 16L-35(Pilot Chemical Co.)、Capmul POE-S(Abitec Corp.)、Finsolv SUBSTANTIAL(Finetex)などが挙げられるが、これらに限定されることはない。
【0092】
乳白剤
適切な乳白剤としては、二酸化チタンまたは他の鉱物または顔料や、REACTOPAQUE(商標)粒子(サウスカロライナ州チェスターのSequa Chemicals,Inc.から入手可能)などの合成乳白剤が挙げられるが、これらに限定されることはない。
【0093】
pH制御剤
液体成分に使用するのに適したpH制御剤としては、リンゴ酸、クエン酸、塩酸、酢酸、水酸化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられるが、これらに限定されることはない。pH範囲を適切にすることによって、皮膚における液体成分に起因する皮膚刺激の程度が最小限に抑えられる。
【0094】
一実施形態では、液体成分のpHは、約1~約14、例えば、約2~約10、約4.5~約6.5、約4.7~約6.3、または約4.7~約5.2である。一実施形態では、pHは、約4.7である。別の実施形態では、pHは、約6.3である。
【0095】
本発明による液体成分配合物の適切な例を以下の表1に示す。限定されるものではないが、範囲1~3のうちのいずれか1つについて記載されている任意の開示内容およびそれらの任意の組み合わせを、単一の例示的な配合物へと組み合わせることができる。例えば、液体配合物は、部分的に、68~75w/w%の水および10~25w/w%の有機溶媒を含み得る。
【表1】
【0096】
モイストワイプを製造する方法
液体成分を、当技術分野で知られている手段によって均質な不織布材料に塗布することができる。液体成分を塗布するための適切な手段としては、穿孔管、印刷、噴霧、静電噴霧、計量プレスロール、および含浸が挙げられるが、これらに限定されることはない。液体成分の量は、計量されて均質な繊維状材料上に均一に分配され得るか、または均質な繊維状材料上に不均一に分配され得る。
【0097】
液体成分と不織布繊維との比は、約1.5~約7.5、例えば、約2.0~約3.5または約2.0~約3.0であり得る。
【0098】
モイストワイプを製造するために、当業者に容易に分かる多くの技術を使用することができる。一実施形態では、これらの技術は、以下のステップを含み得る:
1.均質な不織布材料を用意すること
2.本明細書の任意の実施形態に記載の液体成分を均質な不織布材料上に塗布して、モイストトイレットペーパーを作製すること(これは、シートを1枚ずつ濡らすことによって、またはドライスタックまたはロールに液体成分を噴霧する/浴びせることによって実施され得る)、および
3.モイストトイレットペーパーをロール型またはスタック状に置き、製品を包装すること。
【0099】
本発明の本実施形態の説明を例示の目的で提示してきたが、これは、網羅的なものであること、または本発明を開示されている形態に限定することを意図するものではない。多くの修正例および変形例が、当業者に明らかであろう。したがって、本発明をその実施形態の関連で開示してきたが、他の実施形態が本発明の趣旨および範囲内にあり得ると理解されたい。本明細書で引用した特許および刊行物は、それらの全体が参照によって援用される。
【実施例
【0100】
Dissolvine GL 47S(グルタミン酸二酢酸四ナトリウム)は、生分解性キレートであり、例えばAkzo Nobel Personal Careなどから入手可能である。
【0101】
Lamesoft PO65は、ココグルコシドとオレイン酸グリセロールとの複合材料であり、例えばドイツのCare Chemicalsから入手可能である。
【0102】
グリセレス-26は、グリセリンの26モルのエトキシレートであり、例えばニュージャージー州パターソンのLipo Chemicals,Inc.から入手可能である。
【0103】
例示的なスロッシュチューブ法
サンプルを、展開液(developmental liquid)中で少なくとも1週間にわたってエージングした後に、2Lの水道水中で、26rpmで、室温で15分にわたってかき回す。
【0104】
それぞれ4インチのチューブ(長さ約20インチ)に1Lの水道水、1つのワイプを入れ、両端に蓋をする。試験は、スロッシュボックス装置に一度に9本のチューブを配置することによって実施する。スロッシュボックスは、所定の時間(例えば、15分、30分、45分、60分)にわたって稼働させた。ボックスを指定した時間にわたって稼働させたら、チューブの蓋を外す。それぞれのチューブの残留物を収集するために、通常のスロッシュボックス試験の間に使用したのと同じふるいによってチューブを空にする。サンプルは濯がない。ふるいを通過しなかった残留物をすべて、ふるいの表面から注意深く取り除き、計量用の船型容器に集める。すべてのチューブを同じ手法で空にし、残留物を秤量した。かき回した後の材料の乾燥重量を、かき回す前のワイプの乾燥重量と比較して、分散率を決定する。
例1-例示的な液体成分配合物
【表2】
例2-エタノールまたはイソプロピルアルコールを主な液体として有する製品
【表3】
【0105】
例3-引張強度
以下の表3に要約されるように、引張強度を、本発明の液体成分を含むモイストワイプ(1)および一般的なモイストトイレットペーパー(MTT)(最後の列)について評価した。本発明の配合物(1)は、不織布成分と一緒に使用されると、必要とされる機能的な引張強度をもたらす。一般的なMTT配合物および不織布成分は、弱すぎて機能的でないので、不合格であった。残りの試験配合物はそれぞれ、少なくとも1つの主要成分が取り除かれている。これらの主要成分は、塩化カルシウム、ジプロピレングリコール、およびグリセレス-26(平均エトキシル化値26のグリセリンのポリエチレングリコールエーテル)である。これらの成分のうちの1つ以上が取り除かれると、不織布の強度が低下し、製品は容認できるものではなくなった。
【0106】
ワイプ1およびA~Eで使用される均質な繊維状材料は、セルロース系繊維およびカルボキシメチルセルロースバインダーを含有する。一般的な配合物に使用される均質な繊維状材料は、完全にセルロース系繊維である。
【表4】
【0107】
以下の表5は、エタノールを添加して水の一部を置き換えることによって、引張強度が維持または増加することを示す。さらに、エタノールはジプロピレングリコールの低減を可能にし、ワイプの審美性を高める。
【表5-1】
【表5-2】
【表5-3】
【0108】
当業者には、本発明のこれらの利点および他の利点が前述の明細書から明らかであろう。したがって、本発明の広範な発明概念から逸脱することなく、上記の実施形態に変更または修正を加えることができると、当業者によって認識されるべきである。本発明は、本明細書に記載の特定の実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲および趣旨内にあるすべての変更および修正を含むことを意図していると理解されるべきである。
図1
図2
図3
図4