(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-13
(45)【発行日】2024-06-21
(54)【発明の名称】ロータリーハンドルステント送出システム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61F 2/966 20130101AFI20240614BHJP
【FI】
A61F2/966
(21)【出願番号】P 2021539332
(86)(22)【出願日】2019-05-29
(86)【国際出願番号】 US2019034376
(87)【国際公開番号】W WO2020060595
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2022-04-06
(32)【優先日】2018-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518346029
【氏名又は名称】ヴェスパー メディカル、 インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】VESPER MEDICAL, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】ロンゴ、マイケル エー.
(72)【発明者】
【氏名】オニール、ティモシー ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】テューレック、クリストファー ジョン
【審査官】川島 徹
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-501442(JP,A)
【文献】特開2015-019937(JP,A)
【文献】特開2008-104657(JP,A)
【文献】特開2017-189457(JP,A)
【文献】特表2017-536208(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102013015896(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/966
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側コア、該内側コアを覆う外側シース、及び、外側支持シャフトを含む3つの同心シャフトを有するカテーテルと、
第1の複数のベルト歯及び
前記第1の複数のベルト歯の反対側の第2の複数のベルト歯を有するタイミングベルトと、
前記第1の複数のベルト歯のうちの少なくとも1つ及び前記第2の複数のベルト歯のうちの少なくとも1つに係合する係合溝を含むタイミングベルトリンクであって、該タイミングベルトリンクの動きが前記外側シースの動きを引き起こすように前記外側シースに連結される、タイミングベルトリンクと、
前記第1の複数のベルト歯及び前記第2の複数のベルト歯のうちの少なくとも一方に対応するバレル歯を有するバレルと、
サムホイールであって、前記外側シースの動きをもたらす前記タイミングベルトの動きを引き起こすために前記バレル歯が前記第1の複数のベルト歯及び前記第2の複数のベルト歯のうちの少なくとも一方と噛み合うように前記サムホイールの回転が前記バレルの動きを引き起こすべく前記バレルに連結される、サムホイールと、
を備える送出デバイス。
【請求項2】
ハウジングを更に備え、前記サムホイールの一部が前記ハウジングの外部にあり、前記バレルが前記ハウジングの内部にあり、前記タイミングベルトが前記ハウジングの内部にある、請求項1に記載の送出デバイス。
【請求項3】
前記第1の複数のベルト歯が前記タイミングベルトから第1の方向に突出し、前記第2の複数のベルト歯が前記タイミングベルトから第2の方向に突出する、請求項1又は2に記載の送出デバイス。
【請求項4】
前記第1の方向が前記第2の方向とは異なる、請求項3に記載の送出デバイス。
【請求項5】
前記第1の方向と前記第2の方向とが平行である、請求項3に記載の送出デバイス。
【請求項6】
少なくとも1つのプーリーを更に備え、前記サムホイールの回転方向が前記外側シースの所望の並進方向を与えるように前記タイミングベルトが前記プーリーの周囲で延びる、請求項1から5のいずれか一項に記載の送出デバイス。
【請求項7】
トーションバネ、テンショナアーム、テンショナプーリーを備えるベルトテンショナを更に備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の送出デバイス。
【請求項8】
前記ベルトテンショナは、テンショナアームアクスル及びテンショナプーリーアクスルを更に備える、請求項7に記載の送出デバイス。
【請求項9】
前記3つの同心シャフトは、
その上に医療用デバイスを受けるように寸法付けられる前記内側コアと、
前記内側コア上に非拡張状態で前記医療用デバイスを受けるとともに前記医療用デバイスを保持するように寸法付けられる前記外側シースであって、前記外側シースが前記内側コア上にわたって同軸的に並進可能である、前記外側シースと、
前記内側コア及び前記外側シース上にわたって少なくとも部分的に延びる前記外側支持シャフトと、
を備える、請求項1から8のいずれかに記載の送出デバイス。
【請求項10】
前記内側コア及び前記外側支持シャフトが、前記送出デバイスの近位端部に対して固定される、請求項1から9のいずれか一項に記載の送出デバイス。
【請求項11】
前記内側コアの外径に金属シャフトを更に備える、請求項1から10のいずれか一項に記載の送出デバイス。
【請求項12】
前記金属シャフトが前記内側コアの外径に結合される、請求項11に記載の送出デバイス。
【請求項13】
前記金属シャフトがステンレス鋼を備える、請求項11又は12に記載の送出デバイス。
【請求項14】
前記サムホイールが順方向に回転されるときに前記外側シースが第1の方向に並進するとともに、前記サムホイールが逆方向に回転されるときに前記外側シースが第2の方向に並進するように、前記サムホイールが順方向及び逆方向に回転可能である、請求項1から13のいずれか一項に記載の送出デバイス。
【請求項15】
前記第1の方向は、前記タイミングベルトの長手方向軸に対してほぼ直交する、請求項
3又は14に記載の送出デバイス。
【請求項16】
前記外側シースの周囲に円筒状機能部を更に備え、前記円筒状機能部は、前記タイミングベルトリンクによって部分的に取り囲まれるように寸法付けられる、請求項1から15のいずれか一項に記載の送出デバイス。
【請求項17】
前記円筒状機能部が前記外側シースに恒久的に固定される、請求項16に記載の送出デバイス。
【請求項18】
前記タイミングベルトリンクは、
第1のタイミングベルトリンク部品であって、
上側本体部と、
前記上側本体部から共通の方向に延びる延在アームと、
前
記係合溝と、
を含む、第1のタイミングベルトリンク部品と、
下側本体部を有する第2のタイミングベルトリンク部品であって、前記下側本体部は、
前記外側シースの外周を受けるように寸法付けられる略円形の中心切り欠きを有する2つのU字形エンドピースと、
一方の前記U字形エンドピースから他方の前記U字形エンドピースへと互いに略平行 に延びる上側サイドレールと、
を含む、第2のタイミングベルトリンク部品と、
を備え、
前記第1のタイミングベルトリンク部品は、前記ベルト歯のうちの少なくとも1つが前記係合溝のうちの少なくとも1つと係合するとともに前記延在アームが前記タイミングベルト上にわたって及び前記外側シースの下部の下方で延びるように、前記タイミングベルトリンク上にわたって延び、
前記第2のタイミングベルトリンク部品は、前記第1のタイミングベルトリンク部品の前記延在アームの一部を覆うとともに、前記外側シースの一部の周囲にスナップ嵌合する、
請求項1から17のいずれか一項に記載の送出デバイス。
【請求項19】
前記外側シースの周囲に円筒状機能部を更に備え、前記円筒状機能部は、前記延在アーム及び前記U字形エンドピースによって部分的に取り囲まれるように寸法付けられる、請求項18に記載の送出デバイス。
【請求項20】
前記円筒状機能部が前記外側シースに恒久的に固定される、請求項19に記載の送出デバイス。
【請求項21】
前記係合溝は、
前記第1の複数のベルト歯のうちの少なくとも1つと係合するために前記第1のタイミングベルトリンク部品の第1の側にある少なくとも1つの第1の係合溝と、
前記第2の複数のベルト歯のうちの少なくとも1つと係合するために前記第1のタイミングベルトリンク部品の第2の側にある少なくとも1つの第2の係合溝と、
を備える、請求項18から20のいずれか一項に記載の送出デバイス。
【請求項22】
前記バレルは、
複数の歯をその周囲にわたって有する第1のディスクと、
複数の歯をその周囲にわたって有する第2のディスクと、
前記第1のディスクと前記第2のディスクとが共通の軸を共有するように前記第1のディスクを前記第2のディスクから隔てる距離と、
を備える、請求項1から21のいずれか一項に記載の送出デバイス。
【請求項23】
前記第1のディスクと前記第2のディスクとの間の前記距離は、前記第1のディスクと前記第2のディスクとの間の表面によって維持される、請求項22に記載の送出デバイス。
【請求項24】
前記表面は、前記第1のディスクから延在して前記第1のディスクと同心である円筒状リングの円筒状の表面を備える、請求項23に記載の送出デバイス。
【請求項25】
前記第1のディスクと前記円筒状リングとが一体である、請求項24に記載の送出デバイス。
【請求項26】
前記表面は、前記第2のディスクから延在して前記第2のディスクと同心である他の円筒状リングの他の円筒状の表面を更に備え、前記円筒状リング及び前記他の円筒状リングは、それらを互いに嵌め合わせて前記表面を形成することができるように相補的である、請求項24に記載の送出デバイス。
【請求項27】
前記第2のディスクと前記他の円筒状リングとが一体である、請求項26に記載の送出デバイス。
【請求項28】
管腔内ステントを送出するためのシステムであって、
送出デバイスを備え、該送出デバイスは、
3つの同心シャフトを有するカテーテルであって、前記同心シャフトが、
その上に前記管腔内ステントを有する内側コアと、
前記内側コア上の非拡張状態の前記管腔内ステントを覆う外側シースであって、前記外側シースが非拡張状態の前記管腔内ステントを保持し、前記外側シースが前記内側コア及び前記管腔内ステント上にわたって同軸的に並進可能である、外側シースと、
前記内側コア及び前記外側シース上にわたって少なくとも部分的に延びる外側支持シャフトと、
含む、カテーテルと、
第1の複数のベルト歯及び
前記第1の複数のベルト歯の反対側の第2の複数のベルト歯を有するタイミングベルトと、
前記第1の複数のベルト歯のうちの少なくとも1つ及び前記第2の複数のベルト歯のうちの少なくとも1つに係合する係合溝を含むタイミングベルトリンクであって、該タイミングベルトリンクの動きが前記外側シースの動きを引き起こして前記管腔内ステントを露出させるように前記外側シースに連結される、タイミングベルトリンクと、
前記第1の複数のベルト歯及び前記第2の複数のベルト歯のうちの少なくとも一方に対応するバレル歯を有するバレルと、
サムホイールであって、前記外側シースの動きをもたらす前記タイミングベルトの動きを引き起こすために前記バレル歯が前記第1の複数のベルト歯及び前記第2の複数のベルト歯のうちの少なくとも一方と噛み合うように前記サムホイールの回転が前記バレルの動きを引き起こすべく前記バレルに連結される、サムホイールと、
を備える、
システム。
【請求項29】
ハウジングを更に備え、前記サムホイールの一部が前記ハウジングの外部にあり、前記バレルが前記ハウジングの内部にあり、前記タイミングベルトが前記ハウジングの内部にある、請求項28に記載の送出デバイス。
【請求項30】
前記第1の複数のベルト歯が前記タイミングベルトから第1の方向に突出し、前記第2の複数のベルト歯が前記タイミングベルトから第2の方向に突出する、請求項28又は29に記載の送出デバイス。
【請求項31】
少なくとも1つのプーリーを更に備え、前記サムホイールの回転方向が前記外側シースの所望の並進方向を与えるように前記タイミングベルトが前記プーリーの周囲で延びる、請求項28から30のいずれか一項に記載の送出デバイス。
【請求項32】
トーションバネ、テンショナアーム、テンショナプーリーを備えるベルトテンショナを更に備える、請求項28から31のいずれか一項に記載の送出デバイス。
【請求項33】
前記ベルトテンショナは、テンショナアームアクスル及びテンショナプーリーアクスルを更に備える、請求項32に記載の送出デバイス。
【請求項34】
前記内側コアの外径に金属シャフトを更に備える、請求項28から33のいずれか一項に記載の送出デバイス。
【請求項35】
前記金属シャフトが前記内側コアの外径に結合される、請求項34に記載の送出デバイス。
【請求項36】
前記金属シャフトがステンレス鋼を備える、請求項34に記載の送出デバイス。
【請求項37】
前記サムホイールが順方向に回転されるときに前記外側シースが第1の方向に並進するとともに、前記サムホイールが逆方向に回転されるときに前記外側シースが第2の方向に並進するように、前記サムホイールが順方向及び逆方向に回転可能である、請求項34に記載の送出デバイス。
【請求項38】
内側コア、該内側コアを覆う外側シース、及び、外側支持シャフトを含む3つの同心シャフトを有するカテーテルと、
第1の複数のベルト歯及び前記第1の複数のベルト歯の反対側の第2の複数のベルト歯を有するタイミングベルトと、
前記第1の複数のベルト歯のうちの少なくとも1つ及び前記第2の複数のベルト歯のうちの少なくとも1つに係合する係合溝を含むタイミングベルトリンクであって、該タイミングベルトリンクの動きが前記外側シースの動きを引き起こすように前記外側シースに連結される、タイミングベルトリンクと
、
サムホイールアクチュエータであって、
第1のサムホイール部品と第1のバレル部品とを有する第1のホイール部品であって、前記第1のバレル部品がその外周に溝の第1の組を有する、第1のホイール部品と、
第2のサムホイール部品と、その外周に溝の第2の組を有する第2のバレル部品とを有する第2のホイール部品であって、前記第1のホイール部品と前記第2のホイール部品とが互いに嵌合されるように構成される、第2のホイール部品と、
を備えるサムホイールアクチュエータと、
を備え、
前記サムホイールの回転によって引き起こされる前記バレルの動きが、前記外側シースの動きをもたらす前記タイミングベルトの動きを引き起こす
ように、前記溝の第1の組
が前記第1の複数のベルト歯と係合する及び
/又は前記溝の第2の
組が前記第2の複数のベルト歯と係合す
る、
送出デバイス。
【請求項39】
前記第1の複数のベルト歯が前記タイミングベルトから第1の方向に突出し、前記第2の複数のベルト歯が前記タイミングベルトから第2の方向に突出する、請求項38に記載の送出デバイス。
【請求項40】
少なくとも2つの回動アームを備えるサムホイールロックを更に備え、前記回動アームのうちの少なくとも1つは、前記溝の第1の組及び前記溝の第2の組のうちの少なくとも一方に対応する複数の係合歯を含み、前記回動アームは、前記回動アームの隣り合う端部が互いに向かって付勢されるように互いに対してバネ力を有する、請求項38又は39に記載の送出デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ステント送出デバイス、具体的には、片手サムホイール駆動の送出ハンドルに関する。
【背景技術】
【0002】
通路を形成する又は維持するためにステントなどのデバイスが体内に配置される多くの病状及び医療処置がある。拡張可能な冠動脈ステント、血管ステント、及び、胆管ステントから、腎臓と膀胱との間で尿の流れを可能にするために使用されるプラスチックステントまで、異なる目的のために使用される多種多様なステントがある。
【0003】
自己拡張型ステント及びバルーン拡張型ステントも、メイターナー症候群及び深部静脈血栓症を含むがこれらに限定されない、脈管系に伴う様々な問題を扱うために使用され得る。
【0004】
ステントは、通常、圧縮された状態で標的部位に送出され、その後、その場所で拡張された状態に展開されて、血管を支持して血管を開放位置に維持するのに役立つ。送出システムは、該送出システムを使用して病変血管内の標的部位にステントを埋め込む又は標的部位でステントを展開するために使用される。
【0005】
ステントは、一般に、カテーテル送出システムを使用して送出される。自己拡張型ステントを送出するための一般的なタイプの送出システムは、プルバック送出システムと呼ばれる。このタイプの送出システムは、互いに同心円状に配置される2つのカテーテル又はシャフトを利用する。ステントは、内側カテーテル又はシャフトの遠位端部の周囲に軸方向で支持される。ステントは、送出デバイスの遠位端部の送出部位に支持され、外側シャフト又はカテーテルによってその圧縮された送出姿勢に保持される。所望の配置部位にある時点で、外側シャフトが引き戻され、それにより、ステントが解放されて自己拡張される。
【発明の概要】
【0006】
したがって、本発明は、関連技術の制限及び不都合に起因する問題のうちの1つ以上を未然に防ぐロータリーハンドルステント送出システム及び方法に関する。
【0007】
この発明の目的に従って、本明細書中で具現化されて広く記載されるように、この発明は、1つの態様において、内側コア、該内側コアを覆う外側シース、及び、外側支持シャフトを含む3つの同心シャフトを有するカテーテルと、その表面上に複数のベルト歯を有するタイミングベルトと、タイミングベルトリンクであって、該タイミングベルトリンクの動きが外側シースの動きを引き起こすように外側シースに連結される、タイミングベルトリンクと、ベルト歯に対応するバレル歯を有するバレルと、サムホイールであって、外側シースの動きをもたらすタイミングベルトの動きを引き起こすためにバレル歯がベルト歯と噛み合うようにサムホイールの回転がバレルの動きを引き起こすべくバレルに連結される、サムホイールとを含む本明細書中に記載される原理に従った送出デバイスに関する。
【0008】
他の態様において、本明細書中に記載される原理に従った管腔内ステントの送出のためのシステムは送出デバイスを備え、該送出デバイスは、3つの同心シャフトを有するカテーテルであって、同心シャフトが、その上に管腔内ステントを有する内側コアと、内側コア上の非拡張状態の管腔内ステントを覆う外側シースであって、外側シースが非拡張状態のステントを保持し、外側シースが内側コア及び管腔内ステント上にわたって同軸的に並進可能である、外側シースと、内側コア及び外側シース上にわたって少なくとも部分的に延びる外側支持シャフトと含む、カテーテルと、その表面上に複数のベルト歯を有するタイミングベルトと、タイミングベルトリンクであって、該タイミングベルトリンクの動きが外側シースの動きを引き起こして管腔内ステントを露出させるように外側シースに連結される、タイミングベルトリンクと、ベルト歯に対応するバレル歯を有するバレルと、サムホイールであって、外側シースの動きをもたらすタイミングベルトの動きを引き起こすためにバレル歯がベルト歯と噛み合うようにサムホイールの回転がバレルの動きを引き起こすべくバレルに連結される、サムホイールとを有する。
【0009】
更なる他の態様において、本明細書中に記載される原理に従って医療用デバイスを身体へ送出する方法は、内側コア、該内側コアを覆う外側シース、及び、外側支持シャフトを含む3つの同心シャフトを有するカテーテルと、その表面上に複数のベルト歯を有するタイミングベルトと、タイミングベルトリンクであって、該タイミングベルトリンクの動きが外側シースの動きを引き起こすように外側シースに連結される、タイミングベルトリンクと、ベルト歯に対応するバレル歯を有するバレルと、サムホイールであって、外側シースの動きをもたらすタイミングベルトの動きを引き起こすためにバレル歯がベルト歯と噛み合うようにサムホイールの回転がバレルの動きを引き起こすべくバレルに連結される、サムホイールと、内側コアの外径上にわたって位置する医療用デバイスとを有する送出デバイスを使用し、方法は、サムホイールを所定の方向に回転させて、タイミングベルトをサムホイールの所定の回転方向と関連する方向に移動させることにより、タイミングベルトリンクが外側シースを所望の方向に移動させるようにすることと、外側シースが所望の方向に移動するときに医療用デバイスを内側コアの遠位端部から身体へと展開させることとを含む方法。
【0010】
更なる利点は、以下の説明に部分的に記載され、部分的には説明から明らかであるか、又は、本発明の実施によって学習され得る。本発明の利点は、添付の特許請求の範囲で特に指摘された要素及び組み合わせによって実現及び達成される。前述の一般的な説明及び以下の詳細な説明がいずれも、典型的及び説明的なものにすぎず、特許請求の範囲に記載される発明を限定するものではないことが理解されるべきである。
【0011】
ロータリーハンドルステント送出システム及び方法の更なる実施形態、特徴、及び、利点、並びに、ロータリーハンドルステント送出システム及び方法の様々な実施形態の構造及び動作は、添付の図面に関連して以下に詳細に説明される。
【0012】
前述の一般的な説明及び以下の詳細な説明がいずれも、典型的及び説明的なものにすぎず、特許請求の範囲に記載される発明を限定するものではないことが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本明細書中に組み入れられて明細書の一部を形成する添付の図は、ロータリーハンドルステント送出システム及び方法を示す。明細書本文と共に、図は、本明細書中に記載されるロータリーハンドルステント送出システム及び方法の原理を説明するのに更に役立ち、それにより、関連技術の当業者がロータリーハンドルステント送出システム及び方法を形成及び使用できるようにする。
【0014】
【
図1A】本明細書中に記載される原理に従ったステント送出ハンドルの実施形態を示す。
【
図1B】本明細書中に記載される原理に従ったステント送出ハンドルの実施形態を示す。
【
図1C】本明細書中に記載される原理に従ったステント送出ハンドルの実施形態を示す。
【0015】
【
図2】本明細書中に記載される原理に従った典型的なカテーテル形態を示す。
【0016】
【
図3】本明細書中に記載される原理に従った送出ハンドルの特徴部分の分解図を示す。
【0017】
【
図4】本明細書中に記載される原理に従った組み立てられたハンドルの断面図である。
【0018】
【
図5】サムホイール及びタイミングベルトの動きを示す断面図である。
【0019】
【
図6A】本明細書中に記載される原理に従った送出デバイスの断面図であり、サムホイールの動作時のタイミングベルトリンク及び外側シースの動きを示す。
【
図6B】本明細書中に記載される原理に従った送出デバイスの断面図であり、サムホイールの動作時のタイミングベルトリンク及び外側シースの動きを示す。
【
図6C】本明細書中に記載される原理に従った送出デバイスの断面図であり、サムホイールの動作時のタイミングベルトリンク及び外側シースの動きを示す。
【0020】
【
図7】本明細書中に記載される原理に従った送出デバイスの上面図である。
【0021】
【
図8】カテーテルデバイスを含む、本明細書中に記載される原理に従った送出デバイスの斜視図を示す。
【0022】
【
図9】サムホイールアセンブリの典型的な実施形態の詳細を示す断面線画である。
【0023】
【
図10】本明細書中に記載される原理に従ったサムホイールの一部を示す。
【0024】
【0025】
【0026】
【
図13】タイミングベルトを伴うプロトタイプサムホイール/バレルアセンブリを示す。
【0027】
【0028】
【
図15】本明細書中に記載される原理に従ったモジュールサムホイールアセンブリを示す。
【0029】
【
図16】タイミングベルト歯を伴う典型的なタイミングベルトを示す。
【0030】
【
図17】タイミングベルト歯を伴う典型的なタイミングベルトを示す。
【0031】
【
図18A】
図17に示されるポジドライブベルトと共に使用され得るアイドラーを示す。
【
図18B】
図17に示されるポジドライブベルトと共に使用され得るアイドラーを示す。
【0032】
【
図19】タイミングベルトを伴うプロトタイプサムホイール/バレルアセンブリを示す。
【0033】
【
図20】本明細書中に記載される原理に従った送出アセンブリで使用され得る別のタイプのポジドライブベルトを示す。
【0034】
【
図21】本明細書中に記載される原理に従った送出アセンブリで使用され得る別のタイプのポジドライブベルトを示す。
【0035】
【
図22】本明細書中に記載される原理に従ったハンドルを示す。
【0036】
【
図23】本明細書中に記載されるハンドルと共に用いる典型的なサムホイールロックを示す。
【0037】
【
図24】ポジドライブベルトと共に用いる典型的なタイミングベルトリンクを示す。
【0038】
【
図25】
図24のタイミングベルトリンクの第1の部分の例示的な実施形態を示す。
【0039】
【
図26】
図24のタイミングベルトリンクの第2の部分の典型的な実施形態を示す。
【0040】
【
図27】本明細書中に記載される原理に従った送出デバイスで使用され得る、ポジドライブベルトの一例の弦構造を示す写真である。
【
図28】本明細書中に記載される原理に従った送出デバイスで使用され得る、ポジドライブベルトの一例の弦構造を示す写真である。
【
図29】本明細書中に記載される原理に従った送出デバイスで使用され得る、ポジドライブベルトの一例の弦構造を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
ここで、添付の図を参照して、ロータリーハンドルステント送出システム及び方法の実施形態について詳しく言及する。本明細書中に開示される様々な実施形態は、拡張可能なステント又は他の医療用デバイスを送出して、ステント又は他の医療用デバイスを病変血管内の標的部位に埋め込む又は展開するためのデバイス及び関連する方法を示す。
【0042】
図1A~
図1Cは、本明細書中に記載される原理に従ったステント送出ハンドルの実施形態を示す。図示のように、ハンドル10は、ハウジング14及びサムホイール/サムホイールアセンブリ18を含み、そこから三軸カテーテル22が延びている。カテーテルは、ハウジング10から歪み逃がし部26を貫通して延びてもよい。歪み逃がし部26は、ポリオレフィン又は他の同様の可撓性材料から形成されるなど、任意の形態を成すことができる。
【0043】
図2を参照すると、カテーテル22は、3つの同心の又は「同軸」のチューブ/シャフト(三軸形態)、すなわち、内側コア42、外側シース34、及び、外側支持シャフト38を含む。外側シース34は、用途に応じて、
図2に示されるように、先細っていてもよく又は段付きであってもよく、或いは、先細っていなくてもよい。外側支持シャフト38は、PEEK(ポリアリールエーテルエーテルケトン)チューブ押出成形構造又は他の同様の構造であってもよい。外側支持シャフト38は、任意の半硬質材料から製造され得る。PEEKは、より小さい直径の外側シースを支持するために優れた機械的特性を示すとともに、可撓性を有する。PEEKも既製の構成要素である。外側支持シースを形成するためにPEEK以外の材料が使用されてもよく、また、本明細書中に記載される発明は、外側支持シャフト38で用いるPEEKに限定されない。機能的には、外側支持シャフト38及び内側コアは、送出システムの近位端部の所定位置に固定され、また、外側シースは、内側コア上にわたって及び外側支持シャフト38の内側で同軸に並進する。自己拡張型ステント(図示せず)などの医療用デバイスは、展開のために体腔を通じて所定の部位へ挿入及び輸送するために減少された送出形態に保持される。ステント(図示せず)は、内側コア42の周りに軸方向で支持され、外側シース34によってその減少された送出形態に保持される。内側コア42は、デバイスの遠位端部から近位端部まで延びる編組補強チューブであってもよい。幾つかの実施形態において、内側コア42は、非常に遠位側の端部から非常に近位側の端部まで(例えば、端から端までずっと)延びてもよい。内側コア42のチューブの内径は、ガイドワイヤ上にわたって進むように寸法付けられ、また、遠位端部における内側コア42のチューブの外径は、ステント(図示せず)が内側コアバンドマーカー(50)間で圧着される場所である。外側支持シャフト38は、外側シース34が引き戻されてステント(図示せず)を自己拡張させるべく解放するときに内側コア42の円弧が体外で変化しないように、送出デバイスを補強するために使用される。外側支持シャフト38は、デバイスの近位端部でハンドル10に接続され、送出システムを補強するとともに、中間シャフト/外側シース34が後方に引き寄せられる際に内側コア42が前方へ推し進められないように処置挿入部位で摩擦を低減する。
図2に示されるように、カテーテル22は遠位チップ46を含んでもよい。内側コア42は、自己拡張型ステントがカテーテルの遠位端部で圧着されて装填されるとともにステントの軸方向移動を防止するべく自己拡張型ステントが2つの内側コアマーカーバンド50(
図2には1つのみが示される)間の内側コア上にわたって位置されるように、少なくとも1つの内側コアマーカーバンド50を更に含んでもよい。圧着されて装填される自己拡張型ステントは、外側シース34によって周方向で拘束される。また、外側シース34が外側シースマーカーバンド54を含んでもよい。
【0044】
三軸形態は、従来の二軸送出システムと比較して、ステント展開中により最適な送出システムの安定性及び正確な配置を可能にする。システムは、止血弁を伴うイントロデューサシースを介してアクセス位置で体内に導入される。ステント送出システムが体内へのイントロデューサシースに入ると、止血弁で摩擦が生成される。したがって、従来の2軸システムの展開中、外側シースが引き込まれる際、外側シースは、摩擦に起因してイントロデューサシースに対して移動しなければならず、その結果、内側コアが外側シースを引き込むのに対してステントを押し出す。操作者は、これを補償するとともに、ステントを展開しつつ送出カテーテル全体を移動させて展開中に一貫した配置を維持する必要がある。長い高径方向力ステント(静脈ステントなど)に関しては、これが、ステントの展開中に送出システム全体の遠位/近位移動(アコーデオン効果)をもたらし得るとともに、ステントの不正確な展開又は位置異常をもたらし得る。三軸形態は、外側支持シャフト38がイントロデューサシースに挿通され、したがって、外側シース並進とイントロデューサシース止血弁との間の摩擦が排除されるため、この効果を軽減する。
【0045】
図3は、本明細書中に記載される原理に従った送出ハンドルの特徴部分の分解図を示す。
図3に示される典型的な実施形態は2部品ハウジング114a、114bを含み、この場合、それぞれの2つの部品114a、114bが組み立てのために互いにスナップ嵌合され得る。サムホイール18は、2つのホイール118a、118b、アクスル58、及び、ベアリング62を備えてもよい。ホイール118a、118bは、その内側バレル66上に歯を含んでもよい。
図3では、ホイール118bに1つの内側バレルのみが示されるが、ホイール118aも歯を有する内側バレルを含んでもよい。内側バレル66上の歯は、タイミングベルト70上の歯と対応するように寸法付けられる。タイミングベルトリンク74が外側シース34をタイミングベルト70に接続する。ハウジングはブシュ78を含んでもよく、該ブシュは、別個の構成要素であってもよく又はハウジング14と一体であってもよい。ブシュは、PEEK又は他の適した材料から形成されてもよい。
図3の典型的なハンドルは、タイミングベルトに張力を付与してタイミングベルトを案内するための少なくとも1つのアイドラープーリー82を更に含む。
図3には、
図3の実施形態のアイドラープーリー82に対応するアイドラープーリーアクスル86も示される。
図3の典型的な送出ハンドルはテンショナアセンブリ90を更に含み、テンショナアセンブリ90は、トーションバネ94、テンショナアーム98、テンショナプーリー102、テンショナアームアクスル106、及び、テンショナプーリーアクスル112を含む。ここに記載される実施形態において、タイミングベルトは、ベルトの一方側(外径又は外周)に歯を有し、また、内径(内面)は、滑らかである又は実質的に滑らかである又は平坦である。タイミングベルト70の滑らかな表面又は平坦面は、アイドラープーリー82及びテンショナプーリー102と接触する。
【0046】
図3の典型的な実施形態では、外側支持シャフト38がハンドルハウジング14に固定され、また、内側コア42及び外側シース34の両方が外側シャフト38の内径の内側に収容される。内側コア42は、近位端部で、金属(例えば、ステンレス鋼)シャフト30と共に雌ルアー116に結合され、雌ルアー116はハンドル本体14内に連結又はクランプされる。本発明の一態様では、内側コア42がハンドル本体10で支持されない近位端部で支持/剛性を与えるべく金属シャフト30が内側コア42の外径に結合されてもよい。内側コア42上にわたる金属シャフト30の支持は、ステント展開中に近位側の支持されない内側コア42の想定し得る変形/座屈を軽減する。外側シース34がステントを解放/展開するために引き戻されると、内側コア42が圧縮し始め、したがって、内側コアの支持されない近位端部が変形し得る。結合された金属シャフト30は、支持されない近位側の内側コア42に対して支持及び柱強度をもたらす。金属シャフト30は、内側コア42の外径上にわたって及び外側シース34の内径を通ってスライドするように寸法付けられてもよい。金属シャフト30は内側コア42の内径に突き当たらず、そのため、ガイドワイヤ(図示せず)が依然としてアセンブリ全体を通過できる。金属以外の材料が支持シャフトのために使用されてもよく、また、本明細書中に記載される発明は、支持シャフト30に用いるのに金属に限定されない。
【0047】
外側シース34は、サムホイールの動作により外側シース34を引き込むことによってステントを送出するべくタイミングベルトリンク74に連結又は結合され、サムホイールは、内側バレル66及び内側バレル66上の歯を介してタイミングベルト70の歯と噛み合う。内側コア42/雌ルアー116に連結又は結合される金属シャフト30はガイドレールであり、該ガイドレール上にわたって展開中に外側シース34及びタイミングベルトリンク74が近位側に移動する。
【0048】
図4は、本明細書中に記載される原理に従って組み立てられたハンドルの断面図である。
図4に示される典型的な実施形態は、2部品ハウジングのうちの一方の部品114bを示し、この場合、それぞれの2つの部品が組み立てのために互いにスナップ嵌合され得る。溶接、結合、接着、又は、他の方法など、他の組み立て方法を使用して2つの部品を嵌め合わせてもよい。2部品ハウジングのそれぞれの側は対称的且つ相補的であると考えられるが、そのような形態は必須ではない。サムホイールアセンブリ18の部品は、射出成形などの成形によって形成されてもよい。ハウジング14が一体型であってもよい。
【0049】
図4は、2つのホイール118a、118b、アクスル58、及び、ベアリング62を備えてもよいサムホイールアセンブリ18の一方のホイールを示す。ベアリングは、内側及び外側の溝付きベアリングレースを伴うボールベアリングを含んでもよい。ベアリングは、サムホイールとアクスルとの間の回転摩擦を低減するのに役立ち、摩擦力が許容できる場合には排除されてもよい。ベアリング62の代わりに、アセタールブシュ又は他の摩擦低減方法が使用されてもよい。
【0050】
ホイール118a、118bは、その内側バレル66上に歯を含んでもよい。
図4では、ホイール118b上に1つの内側バレルのみが示されるが、ホイール118aも歯を有する内側バレルを含んでもよい。内側バレル66上の歯は、タイミングベルト70と対応するように寸法付けられる。内側バレルは、射出成形などの成形によって形成されてもよく、また、歯は、これらの歯が内側バレル66と一体になるように成形又は他の方法の一部として形成されてもよい。他の態様では、歯が内側バレル66から分離できてもよい。
【0051】
図示のように、タイミングベルトリンク74は、外側シース34をタイミングベルト70に接続する。
図4の典型的なハンドルは、タイミングベルト74に張力を付与してタイミングベルト74を案内するための少なくとも1つのアイドラープーリー82を更に含む。
図4には、
図4の実施形態のアイドラープーリー82に対応するアイドラープーリーアクスル86も示される。
図4の典型的な送出ハンドルはテンショナアセンブリ90を更に含み、テンショナアセンブリ90は、トーションバネ94、テンショナアーム98、テンショナプーリー102、テンショナアームアクスル106、及び、テンショナプーリーアクスル112を含む。
図4の典型的な実施形態では、外側支持シャフト38がハンドルハウジング14に固定され、また、内側コア42及び外側シース34の両方が外側シャフト38の内径の内側に収容される。内側コア42は、近位端部で、金属(例えば、ステンレス鋼)シャフト30と共に雌ルアー116に結合され、雌ルアー116はハンドル本体14内に連結又はクランプされる。
【0052】
図5は、本明細書中に記載される原理に従ったステントの展開のためのサムホイール18、タイミングベルト70、及び、タイミングベルトリンク74の動作を更に示す。
図5に示されるように、外側シース34は、サムホイールを矢印の方向に回転させることによってタイミングベルト70によりガイドチューブ/内側コア42上にわたって近位側に並進される。タイミングベルト70は、デュアルサムホイールアセンブリ18を介して操作者によって駆動され、デュアルサムホイールアセンブリ18は一体成形されたギアの歯を備えてもよく、それらの歯のピッチ及び形状は、タイミングベルトを同期させる/タイミングベルトと噛み合うとともにタイミングベルトの移動を引き起こしてタイミングベルトリンクの動作をもたらすためにタイミングベルト70の歯に対応し、タイミングベルトリンクは、外側シース34に結合されて、外側シースの移動を引き起こし、外側シース内に設けられるステントをシースから露出させる(展開する)。内側バレル66の直径、タイミングベルト70上の歯の数、及び、タイミングベルト70上の歯のピッチ/周波数はそれぞれ、ステント展開中の機械的利点及び並進比率を可変できるようにするべく調整/変更されてもよい。更に、サムホイールアセンブリ18を所望の速度で作動させることによって可変速送出が達成されてもよい。
【0053】
図5に示される実施形態では、ハンドル外部の部分サムホイール18の近位側への(矢印の方向での)回転は、ハンドル内部のサムホイールの部分に隣接するタイミングベルトの部分の上部を遠位側へ(矢印の方向に)移動させる。タイミングベルト70は、タイミングベルトリンク74に隣接するタイミングベルト70の部分がタイミングベルトリンク74と係合しつつ近位側に(矢印の方向に)移動してタイミングベルトリンク74を近位側に移動させるようにアイドラープーリー82の周囲で延び、タイミングベルトリンク74は、それに連結される外側シース34を近位側に移動させ、それにより、ステントを展開のためにシースから露出させる。ステント展開後にカテーテルを再びシースで覆うために、動きが逆にされてもよい。
【0054】
図6(a)~
図6(c)は、本明細書中に記載される原理に従った送出デバイスの断面図であり、
図6(a)~
図6(c)との関連でサムホイール18の反時計回りの移動時のタイミングベルトリンク74及び外側シース34の動きを示す。本明細書中に記載されるサムホイール回転の方向が与えられた断面との関連で記載されるが、ハンドル14の外部のサムホイールの部分が後方に(近位方向に)回転されることが考えられることが理解されるべきである。外側シース34の近位側への移動(引き込み)に対応するサムホイールの回転方向を変更するためにタイミングベルト70の形態を調整できる(例えば、サムホイールにループ状に掛け渡す)ことも考えられる。
【0055】
図6(a)に示されるように、導入位置では、タイミングベルトリンクがハンドルハウジングの遠位端部にある。サムホイール18が所定の方向に、例えば、図示の断面との関連で反時計回りに作動されるにつれて、タイミングベルトリンク/シャトル74が近位側に移動する。タイミングベルトリンク/シャトル74が外側シース34に連結されるため、外側シースは、タイミングベルトリンク/シャトルと共に近位側に移動して、内側コア42(図示せず)上に装着されるステント又は他の医療用デバイスを露出させる。
図6(b)は、部分的に展開された位置(例えば、ステントが部分的に展開される(図示せず))におけるタイミングベルトリンク/シャトルの位置取りを示す。
図6(c)に示されるように、サムホイール18が更に回転されるにつれて、タイミングベルトリンク/シャトル74は、内側コア42からのステント又は医療用デバイスの完全な展開を可能にするべく基端側に更に並進する。ここに記載される実施形態において、サムホイール18は、タイミングベルトリンク/シャトル74を近位側で通過させるべくサムホイールの上側(外部部分)が近位側に回転されるように作動される。タイミングベルト70の形態/経路は、サムホイール18の上側(外部部分)の遠位側の回転によってタイミングベルトリンク/シャトル74が近位側で通過することにより外側シース34が内側コア42から引き込んで医療用デバイス(図示せず)の展開を可能にするように構成されてもよいことが理解される。
【0056】
図に示されないが、サムホイールは、タイミングベルトの歯に対応する適切な歯を伴う単一のサムホイールであってもよい。
図7の上面図に示されるように、2つのホイールを備えるサムホイールは、カテーテルがハンドルの遠位端部の中央部分でハンドルから抜け出ることができるバランスのとれた形態を可能にする。
図7は、組み立てられたハンドル10及びハウジング14、並びに、内側バレル66によって分離される第1のサムホイール118a及び第2のサムホイール118bを有するサムホイールアセンブリ18を示す。この形態は、ハンドルを左側又は右側のいずれかから保持することによって送出デバイスの操作を容易にし、それより、操作者が左利きであるか又は右利きであるかに関係なく、同等の操作を可能にする。
【0057】
図8は、カテーテルデバイスを含む、本明細書中に記載される原理に従った送出デバイスの斜視図を示す。
図8に示されるように、タイミングベルト70は、アイドラープーリー82及びテンショナ90のテンショナプーリー102の周囲で延びる。テンショナプーリー102は、テンショナアーム98を介してトーションバネ94に連結される。張力は、テンショナアームアクスル106上のトーションバネ94によってタイミングベルト上で維持され、トーションバネ94は、テンショナプーリー102を、テンショナアーム98を介してタイミングベルト70と接触する状態へと付勢する。アイドラープーリー82の一例が
図18(a)及び
図18(b)に示される。
【0058】
図9は、サムホイールアセンブリ18及びタイミングベルトリンク74の典型的な実施形態の詳細を示す断面線画である。
図9に示されるように、2部品サムホイール18の一方の部品118bは、使い易さのためにテクスチャード加工されてもよい外面122を有する。また、サムホイール部品118bは、内面又はリム126を含んでもよい。内側バレル66は、サムホイール部品118bから延びるとともに、バルレ上に複数のバレル歯130を有する。内側バレル66上のバレル歯130は、タイミングベルト(図示せず)と対応するように寸法付けられる。図示しないが、バレル歯130は、標準的な周期性(ピッチ)を有してもよく又は可変の周期性(ピッチ)を有してもよく、それにより、サムホイールアセンブリの作動は、タイミングベルト(図示せず)の移動を引き起こしてもよく、したがって、第1の周期性のバレル歯がタイミングベルト(図示せず)と噛み合うときには第1の速度で、及び、第2の周期性のバレル歯がタイミングベルト(図示せず)と噛み合うときには第2の速度で、外側シース34の並進を引き起こしてもよい。そのような可変速度は、内側バレル66上に異なる間隔/周期性/ピッチのバレル歯130を有する代わりに又は有することに加えて、タイミングベルト上に異なる間隔/周期性/ピッチの歯を有することによって与えられてもよい。
図9は、サムホイールベアリング62及びサムホイールアクスル58を更に示す。
【0059】
運搬中及び保管中のハンドルの不用意な作動を軽減するように安全ロック機能部(図示せず)がハンドル形態に組み込まれてもよい。安全ロック機能部は、内側バレル上の歯と噛み合って内側バレルを所定位置にロックして回転を防止する取り外し/廃棄又はトグル機能部であってもよい。安全ロック機能部は、タイミングベルトリンクと係合してその並進を防ぐ機能部であってもよい。
【0060】
図10は、本明細書中に記載される原理に従ったサムホイールの一部を示す。サムホイールは、少なくとも
図3に示されるように、2つのホイール部品120a、120bを備えてもよい。
図10に示されるように、ホイール部品のうちの一方120aは、サムホイールの一部分218a(例えば、ユーザがサムホイールを回転させてデバイスを作動させることができるようにその一部がハウジングを通じて延びる外周)とバレルの一部分266a(例えば、その一部がタイミングベルト(図示せず)と噛み合ってタイミングベルトを移動させる)とを含む本体222であってもよい。ホイール部品120aは、ハウジングを通じて延びるサムホイール部分218a及びバレル部分266aが一体となり得る(例えば、それらが単一の成形プロセスで形成され得る)ように一体型であってもよい。また、他のホイール(図示せず)は、2つの「ホイール」がサムホイール及びバレルアセンブリを形成するために互いに嵌合され得るように作動用のサムホイールの一部及びバレルの一部の両方を含んでもよい。言い換えると、他のホイールは、前述したホイールの鏡像であってもよい。幾つかの形態では、2つの「ホイール」が同じであってもよく、それにより、1つの金型のみが使用されてもよい。サムホイールアセンブリがバレル部分及びサムホイール部分の両方を含むように単一のユニットとして形成されることも想定し得る。
【0061】
図10の典型的な実施形態に示されるように、典型的なホイール部品のバレル部分266aは、対応するタイミングベルト(図示せず)のピッチと噛み合うように実質的に等しく/均等に離間される溝232を含む。タイミングベルトは、対応するバレル266上の溝232と噛み合うためにベルトの面に沿って実質的に等しく又は均等に離間される複数の歯を含む。
図11は、典型的なベルト歯を示す。
図11に示されるベルトは、それが2つの歯しか示さないため、単なる典型例にすぎないが、ベルトは、ステントを十分に展開させるべく十分なベルトに沿って歯を有するように設計される。
【0062】
典型的なベルト歯が
図12に示される。
図12に示されるように、典型的なベルト歯471は、バレル歯230又は溝232との噛み合い可能にするために、平らな上端を伴う先細り形状、例えば台形の断面を有してもよい。台形の断面が示されるが、歯は、そのように限定されず、バレル回転によってベルトの動きを行なわせることができるようにするのに十分にバレル歯と噛み合うことができる任意の断面を成してもよい。制限を伴わない他の想定し得る形状としては、制限なく、円形、円筒形、ひし形、正方形、三角形、又は、それらの任意の変形が挙げられる。
【0063】
場合によっては、タイミングベルトは、タイミングベルトとバレルとをより完全に噛み合わせるためにサムホイールのバレル上にわたってループ状に掛け渡されてもよい。この実施形態では、ベルトとバレルとの間で約360度の噛み合いが達成され得るように、より長いタイミングベルトが使用される。
図13は、タイミングベルト570を伴うプロトタイプサムホイール/バレルアセンブリ522を示し、この場合、バレル幅は、図示されるタイミングベルト570をバレル566の周囲に少なくとも1回転ループ状に掛け渡すことができるようにするべく寸法付けられる。例えば、歯を伴うバレル566の円筒面は、バレル566上にわたってループ状に2回掛け渡されるタイミングベルト570を受け入れるべくタイミングベルト570の幅の2倍になるように寸法付けられ得る。したがって、幅が広げられたバレル566は、タイミングベルトがバレル566の外周の一部でのみバレル566と噛み合う場合よりも、サムホイールの2つの部品518a、518bを更に離間させるようにしてもよい。1つの態様では、サムホイールの外側の円筒状の縁部を変更して、サムホイールの各部分の外側縁部上の一部をバレル上へと「張り出させ」、より多くの表面積にユーザが係合できるようにすることも可能である。
【0064】
他の態様において、バレルは、円筒の端部が一組の歯及び/又は溝を有し且つ円筒の他端部が一組の歯及び/又は溝を有するように、略円筒状であってもよい。バレルは、歯及び/又は溝を有するコア領域を端部間に更に備えてもよい。そのような歯を伴うバレルは、一体部品であってもよく、或いは、互いに嵌合される2つの部品であってもよい。略円筒状のバレルの端部は、ベルトの中央部を間に受けるのに十分な間隔で離間される。このようにして記載されるバレルと共に使用するためのタイミングベルトは、例えばベルトのピッチ軸に対して垂直に延びるベルトの両側に複数の突起を有する。突起は、バレル上の対応する歯及び/又は溝と係合して、トルクをバレルからベルトに伝達するように設計され、ベルトは、前述したように外側シースに連結されて、ステントの展開を引き起こす。バレルは、ベルトの一部を受けるための溝を更に備えてもよく、それにより、バレル自体は略円筒形でなくてもよい。
【0065】
バレルアセンブリは、その周方向縁部に適切に離間された歯を伴う2つのディスクを各ディスクの歯がタイミングベルトの歯と噛み合うことができるようにするのに十分な距離を隔てて配置することによって形成されてもよい。円筒状のコアが各ディスク間で延びてもよい。円筒状のコア及び「ディスク」は、実際には、略円筒状である一体型部品であってもよく、それにより、円筒の端部は、歯及び/又は溝の組を有し、円筒の他端部は、その間にコア領域を伴う歯及び/又は溝の組を有する。2つの端部の歯及び/又は溝が実質的に位置合わせされてもよい。
【0066】
図14は、その間に溝を伴う2組の歯681を有する典型的なバレル666を示す。円形断面の外周にわたって配置される2組の歯681の間には、歯681の組同士を互いに離間させる表面668がある。図示のように、表面は滑らかであるが、そのように限定されない。また、表面が示されるが、表面は必要ない。歯は、おそらく両方のディスクが共通のアクスル(図示せず)に取り付けられる状態で、外周上に歯及び/又は溝を伴う2つのディスクを適切な距離で単に隔てることによって離間されてもよい。先に詳細に論じたように、バレルアセンブリ666は、一体型であってもよく、或いは、サムホイールと一体であってもよい(
図14には示されない)。
図15に示されるように、バレル666を伴うサムホイールアセンブリは、バレルの第1の横方向部分666aとサムホイールの第1の横方向部分618aとが一体であって、バレルの第2の横方向部分666bとサムホイールの第2の横方向部分618bとを備える他の一体部品と一緒に嵌合できるようにモジュール式であってもよい。また、横方向部品サムホイールアセンブリは、互いに嵌合されるときに歯の組同士を互いに離間させることができるようにする表面を形成する表面668a、668bを含んでもよい。
【0067】
タイミングベルト歯を伴う典型的なタイミングベルトが
図16に示される。このようにして記載されるバレルと共に使用するためのタイミングベルトは、例えばベルトのピッチ軸に対して垂直に延びるベルトの両側に複数の突起を有する。
図16に示されるベルトは、それが3組の歯しか示さないため、単なる典型例にすぎないが、ベルトは、ステントを十分に展開させるべく十分なベルトに沿って歯を有するように設計される。
【0068】
典型的なベルト歯が
図17に示される。
図17に示されるように、典型的なベルト歯は、バレル歯との噛み合い可能にするために、平らな上端を伴う円筒形状、例えば台形の断面を有してもよい。台形の断面が示されるが、歯は、そのように限定されず、バレル回転によってベルトの動きを行なわせることができるようにするのに十分にバレル歯と噛み合うことができる任意の断面を成してもよい。制限を伴わない他の想定し得る形状としては、制限なく、円形、台形、円筒形、ひし形、正方形、三角形、又は、それらの任意の変形が挙げられる。
【0069】
図18(a)は、
図17に示されるポジドライブベルトと共に使用され得るアイドラー1182を示す。
図18(b)は、ポジドライブベルトを伴う
図18(a)のアイドラープーリーの一例の断面を示す。
【0070】
図19は、シングルコアポジドライブベルトなどのタイミングベルト970の2つの縁部にタイミングベルト970が突起971を有する、円筒状コア968とサムホイール部分918とを有するプロトタイプサムホイール/バレルアセンブリ922を示す。円筒状コア968は、歯/溝981の2つの組同士の間に見ることができる。
【0071】
図20及び
図21は、本明細書中に記載される原理に従った送出アセンブリで使用され得る別のタイプのポジドライブベルト1171を示す。図示のポジドライブベルト1170は、ベルトの各「クロスバー」又は歯1171の間に凹部又は開口1177が存在するような「ツインコア」である。本明細書中に記載されるサムホイールアセンブリ及びプーリーは、ベルトの歯の間の開口と係合して、送出デバイスの全体的な機能に影響を与えることなく本明細書中に記載される動きを実行するようになっていてもよい。
【0072】
図22は、典型的なサムホイールロック1011及び典型的なタイミングベルトリンク1074と組み合わせた、本明細書中に記載される原理に従った典型的なハンドル1010の断面図である。
図23は、本明細書中に記載されるハンドル1010と共に使用するための典型的なサムホイールロック1011を示す。図示のように、典型的なサムホイールロック1011は、ロック1011の一部をバレル歯1081から外すために締め付けられ得るレバー式ロックである。より具体的には、サムホイールロック1011は、バレル歯又はサムホイールの表面上の歯(図示せず)に対応する複数の歯1015(サムホイールロックと一体であってもよく、又は、サムホイールロックと一体成形されてもよく、或いはさもなければ、サムホイールロック1011に固定されてもよい)を含む。典型的なサムホイールロック1011は、回動バー1016によって接続される2つの「レバー」アーム1013を含む。回動バー1016は、それぞれのレバーアーム1013ごとに回動又は支点をもたらす。各レバーアーム1013の一端部は、ハンドル1010のサムホイールアセンブリ1018上の対応する構造と係合するための歯1015を含む。回動/レバーアーム1013は、サムホイールアセンブリ1018上にクランプするのに十分なバネ力を有し、サムホイールロック1011の歯1015とサムホイールアセンブリ歯1081との噛み合いによって所定位置に保持される。レバーアーム1013のそれぞれの他端部は、それらを把持して一緒に締め付けることによりサムホイールロック1013の歯1015をサムホイールアセンブリ1018上の対応する構造から遠ざけ(例えば、サムホイールアセンブリバレルの歯1081から離脱させる)、したがって、ハンドル1010から取り外して、サムホイールアセンブリ1018を作動又は回転させることができるようにするのに十分な長さ及び幅を有する。
【0073】
図24は、ポジドライブベルト1070と共に使用するための典型的なタイミングベルトリンク1074を示す。図示のように、典型的なタイミングベルトリンク1074は、互いにスナップ係合され得る2つの部品1074a、1074bを備える。各部品は、射出成形されてもよく又は任意の適切なプロセスによって形成されてもよい。第1の部品1074aは、タイミングベルト1070のタイミングベルト歯1071上にわたって嵌合して外側シース1034の周囲にスナップ係合し、それにより、外側シース1034に取り付けられる又は外側シース1034と一体の円筒状機能部1035を捕捉する。円筒状機能部1035は、外側シース1034が円筒状機能部1035の動きに伴って動くことができるように、外側シース1034と一体であってもよく、或いはさもなければ、外側シース1034に取り付けられる。第2の部品1074bは、外側シース1034に下方からスナップ係合して、剛性を与えるべく第1の部品1074aの周囲に支持システムを形成する。第2の部品1074bは、展開力に耐えるのに必要な強度を与える。この形態の目的は、ベルト1070に対して外側シース1034を回転できるようにすることである。本形態の一態様によれば、タイミングベルトリンク1074からの大きな干渉を伴うことなく外側シース1034が自由に回転できるようにするとともに、タイミングベルトリンク1074の直線移動がステント(図示せず)の展開のための外側シース1034の移動を引き起こすことができるようにするべく、タイミングベルトリンク部品1074a、1074bと、外側シース1034及び円筒形特徴1035との間にクリアランスがある。そのような移動は、タイミングベルトリンク1074による円筒状機能部1035の「取り込み」によって引き起こされる。したがって、カテーテルの遠位端部が固定されて近位端部(ハンドル)がカテーテル(図示せず)の軸を中心に360°完全に回転される場合にシステムが機能し続けることができる。
【0074】
図25は、
図24のタイミングベルトリンク1074aの第1の部品1074aの典型的な実施形態を示す。第1の部品1074aは、上側本体部1076と、上側本体部1076から共通の方向に延びる延在アーム1084と、タイミングベルト1070の歯1071に対して相補的な係合溝1096とを含む。図示のように、各延在アーム1084は、上側本体部1076の角部1077から延在するが、この形態はそのように限定されない。延在アーム1084の遠位端部1085は、例えば大まかな干渉又はスナップ嵌合をもたらすべく、円筒状の外側シース1034の周囲に係合するように湾曲されてもよい。図示の実施形態では、4つの延在アーム1084があり、それぞれの延在アームは上側本体部1076の角部1077から延びる。上側本体部1076は長寸法1087及び短寸法1088を有し、この場合、長寸法1087は、外側シース1034と係合されたときに外側シース1034の軸方向と平行であり、短寸法1088は、外側シース1034と係合されたときに外側シース1034の軸方向に対して略垂直である。図示の典型的な実施形態において、係合溝1096は、上側本体部1076の長寸法1087のうちの1つにおける延在アーム1085間に少なくとも2つの溝1096が存在するように、長寸法1087に沿って形成される。図示の溝1096はU字形であり、それにより、そのような溝1096が2つある場合、2つの溝1096を形成する上側本体部1076の長寸法1087に沿う上側本体部1076の角部1077間の位置に上側本体部1076からの突起1089がある。2つの溝1096が示されるが、2つ以上の直線的に隣り合うベルト歯を噛み合わせることができるように、上側本体部からのより多くの突起によってより多くの溝を形成することができる。また、ポジドライブベルトの両側の溝が係合され得るように、上側本体部の両方の長縁/寸法から延びる突起が存在してもよい。ここに図示される実施形態において、上側本体部1076の長手方向断面は、外側シース1034上にわたって嵌合するようにU字形であってもよい。
【0075】
図示されないが、延在アーム位置は、上側本体部の角部にあることに限定されない。言い換えると、延在アームがタイミングベルトと係合するために外側シース及び溝の周りに嵌合するのに十分である限り、延在アームが外側本体から延びる位置は変化し得る。例えば、延在アームは、上側本体部の長寸法の中点から延びてもよく、一方、突起は、上側本体部の角部1077又は端部領域から延びてもよい。更なるタイミングベルト歯を上側本体部と係合させることができるようにするべく更なる突起が上側本体部から延びてもよい。タイミングベルトリンク1074は、第1の部品のみを含んでもよいが、例えば、展開力に耐えるために、アセンブリに対して更なる強度を与えるべく第2の部品を更に含んでもよい。
【0076】
図26に示されるように、典型的な第2の部品1074bは、外側シース1034の外周を受けるように寸法付けられる略円形の中心切り欠き1080を有する2つのU字形のエンドピース1079を有する下側本体部1075を含んでもよい。それぞれの「U」の端部1083は、外側シース134を「U」字形端部1079の略円形の中心切り欠き1080に押し込むことができるように、外側シース134の外径よりも小さい距離だけ離間される。U字形端部1079は、2つのエンドピース1079を接続するために「U」1079のそれぞれの上部間で延びる2つの上側サイドレール1089によって接続される。
【0077】
したがって、外側シース1034は、延在アーム端部1085が外側シース1034の下部の下側で延在する状態で外側シース1034の上部を覆うように延在するタイミングリンク1074の第1の部品1074aによってドライブベルト1070に連結され得る。タイミングベルトリンク1074の第2の部品1074bは、第1の部品の延在アーム1084上にわたって位置されるとともに、外側シース1034を第2の部品1074bのU字形端部1079の略円形の中心切り欠き1080に挿入することによって外側シース1034の周囲にスナップ嵌合する。外側シース1034は、上側本体部1076が外側シース1034上にあるときに上側本体部1076の延在アーム1085間にあるように寸法付けられる円筒状本体1035を更に含んでもよい。例えば、円筒状本体1035は、外側シース1034に恒久的に固定されてもよく、したがって、タイミングベルトリンク1074を外側シース1034に対して適切な位置に保持するためにタイミングベルトリンク1074によって係合されてもよい。
【0078】
図27、
図28、
図29は、本明細書中に記載される原理に従った送出デバイスで使用され得る、ポジドライブベルトの一例の弦構造を示す写真である。
【0079】
当業者に明らかなように、本発明の技術思想又は範囲から逸脱することなく、本発明において様々な修正及び変更を行なうことができる。したがって、本発明は、この発明の修正及び変更をそれらが添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物の範囲内にあるという条件で網羅することが意図される。
【0080】
以上、本発明の様々な実施形態について説明してきたが、それらの実施形態は限定ではなく単なる一例として与えられていることが理解されるべきである。当業者であれば明らかなように、本発明の思想及び範囲から逸脱することなく、形態及び細部において様々な変更を成すことができる。したがって、本発明の広さ及び範囲は、前述の典型的な実施形態のいずれかよって限定されるべきではなく、以下の特許請求の範囲及びそれらの均等物に従ってのみ規定されるべきである。