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特許7504111建物間柱、このような建物間柱を備える壁構造体、及び壁構造体を形成するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-13
(45)【発行日】2024-06-21
(54)【発明の名称】建物間柱、このような建物間柱を備える壁構造体、及び壁構造体を形成するための方法
(51)【国際特許分類】
   E04C 3/292 20060101AFI20240614BHJP
【FI】
E04C3/292
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021548226
(86)(22)【出願日】2020-02-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-04
(86)【国際出願番号】 SE2020050174
(87)【国際公開番号】W WO2020171756
(87)【国際公開日】2020-08-27
【審査請求日】2022-12-27
(31)【優先権主張番号】1930064-9
(32)【優先日】2019-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(31)【優先権主張番号】1930096-1
(32)【優先日】2019-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】521362508
【氏名又は名称】アトリコン・アクチボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100211236
【弁理士】
【氏名又は名称】道下 浩治
(72)【発明者】
【氏名】ヨハンソン,パトリック
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-531987(JP,A)
【文献】米国特許第02154944(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04C 3/00-3/46
E04F 13/08-13/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のフランジ部分(12、12f、12g)及び第2のフランジ部分(14、14f、14g)と、前記フランジ部分(12、12f、12g、14、14f、14g)を相互接続するウェブ部分(16、16a~16g)とを備える、壁パネルを取り付けるための枠組みを形成するための建物間柱(10、10f、10g)であって、各フランジ部分(12、12f、12g、14、14f、14g)が、平面状の細長い木質繊維部材(18、20)を備え、前記ウェブ部分(16、16a~16g)が、第1の直線状の脆弱線(24、24d~24g)及び第2の直線状の脆弱線(26、26d~26g)を含む薄板金属部材(22、22d~22g)を備え、前記脆弱線(24、24d~24g、26、26d~26g)が平行であり、前記薄板金属部材(22、22d~22g)が、前記建物間柱(10、10f、10g)を、引っ込められた保管位置から、拡げられた取付位置に持ってくることができるように、前記脆弱線に沿って折り曲げ可能であることを特徴とする、建物間柱(10、10f、10g)。
【請求項2】
前記薄板金属部材(22、22d~22g)が、前記第1のフランジ部分(12、12f、12g)に当接して取り付けられる第1の取付部分(28、28d~28g)と、前記第2のフランジ部分(14、14f、14g)に当接して取り付けられる第2の取付部分(30、30d~30g)と、前記取付部分(28、28d~28g、30、30d~30g)間に配置されたウェブ部材(32、32d~32g)とを備え、前記第1の直線状の脆弱線(24、24d~24g)が、前記第1の取付部分(28、28d~28g)と前記ウェブ部材(32、32d~32g)との間の境界を形成し、前記第2の直線状の脆弱線(26、26d~26g)が、前記第2の取付部分(30、30d~30g)と前記ウェブ部材(32、32d~32g)との間の境界を形成することを特徴とする、請求項1に記載の建物間柱(10、10f、10g)。
【請求項3】
前記保管位置の前記フランジ部分(12、12f、12g、14、14f、14g)が共通の面に配置され、前記取付位置の前記フランジ部分(12、12f、12g、14、14f、14g)が2つの平行な面に配置されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の建物間柱(10、10f、10g)。
【請求項4】
前記保管位置の前記ウェブ部分(16、16a~16g)が平面状であり、前記フランジ部分(12、12f、12g、14、14f、14g)に平行に、その上に配置されることを特徴とする、請求項3に記載の建物間柱(10、10f、10g)。
【請求項5】
前記木質繊維部材(18、20)がそれぞれ矩形断面を有することを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の建物間柱(10)。
【請求項6】
前記保管位置の前記薄板金属部材(22、22d~22g)が矩形であり、前記取付位置の前記薄板金属部材(22、22d~22g)がU字形断面を有することを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の建物間柱(10、10f、10g)。
【請求項7】
前記薄板金属部材(22、22d、22e)が細長いことを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の建物間柱(10)。
【請求項8】
前記ウェブ部分(16f、16g)が、前記第1の直線状の脆弱線(24f、24g)が共通の第1の直線状の線(46f、46g)に沿って位置合わせされ、前記第2の直線状の脆弱線(26f、26g)が共通の第2の直線状の線(48f、48g)に沿って位置合わせされるように配置される複数の薄板金属部材(22f、22g)を備え、前記第2の直線状の線(48f、48g)が前記第1の直線状の線(46f、46g)に平行であることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の建物間柱(10f、10g)。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の建物間柱(10、10f、10g)を備えることを特徴とする壁構造体(11)。
【請求項10】
第1のフランジ部分(12、12f、12g)及び第2のフランジ部分(14、14f、14g)と、前記フランジ部分(12、12f、12g、14、14f、14g)を相互接続するウェブ部分(16、16a~16g)とをそれぞれが備える複数の細長い建物間柱(10、10f、10g)を備える壁構造体(11)を提供する方法であって、各フランジ部分(12、12f、12g、14、14f、14g)が平面状の細長い木質繊維部材(18、20)を備え、前記ウェブ部分(16、16a~16g)が、第1の直線状の脆弱線(24、24d~24g)及び第2の直線状の脆弱線(26、26d~26g)を含む薄板金属部材(22、22d~22g)を備え、前記脆弱線(24、24d~24g、26、26d~26g)が平行であり、
前記方法が、
前記脆弱線(24、24d~24g、26、26d~26g)に沿って前記薄板金属部材(22、22d~22g)を折り曲げることによって、各建物間柱(10、10f、10g)を、前記フランジ部分(12、12f、12g、14、14f、14g)が共通の面に配置された引っ込められた保管位置から、前記フランジ部分(12、12f、12g、14、14f、14g)が2つの平行な面に配置された拡げられた取付位置に持ってくるステップを含む、方法。
【請求項11】
前記建物間柱(10、10f、10g)が、前記保管位置から前記取付位置に持ってこられたとき、それぞれ第1のフランジ部分(12、12f、12g)が共通の面に配置された状態で前記建物間柱(10、10f、10g)を枠組みに配置し固定するステップと、
1つ又は複数の壁パネルを前記第1のフランジ部分(12、12f、12g)に直接的に又は間接的に取り付けるステップと
を含む、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁パネルを取り付けるための枠組みを形成するための建物間柱、このような建物間柱を備える壁構造体、及び壁構造体を形成するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
壁を作るとき、間柱を有する枠組みが作られる。水平方向では、天板は天井に取り付けられ、床には底板が取り付けられる。次いで、これらの間に、鉛直の間柱が、通常、450~600mm、相互に離して配置される。枠組みが取り付けられるとき、壁パネルは、くぎ又はねじで枠組みに取り付けられる。したがって、間柱間の距離は、間柱に固定される壁パネルの幅によって決められる。壁パネルの一般的な材料は、石膏、MDF(中密度繊維版:Medium Density Fibre)、OSB(配向性ストランドボード:Orientated Strand Board)、かんな屑、及び木材チップである。酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、繊維セメント、及び繊維石膏ボード、並びに様々なタイプの複合ボードも存在する。
【0003】
一般の壁及び特に内壁を建設するとき、今日では、鋼又は木材から作られた間柱が主に使用される。木製の間柱は通常、均質で正方形であり、壁パネルをねじ又はくぎで取り付けるのに適している。しかしながら、木製の間柱は比較的重く、保管中にねじれやすい。
【0004】
鋼製間柱は通常、いわゆる軽量フレーム構造技法を使用して作られる壁構造体に使用される。典型的には、このような壁構造体は、シート状の建築ボードで覆われる支柱又はフレームを形成する金属プロファイル間柱の枠組みを備える。この枠組みは、天板及び底板を形成する水平方向の間柱を含み、これらの間柱は通常、U字形断面を有する。直立間柱は、所定の相互間隔で天板及び底板に取り付けられ、次いで、それらの板及び間柱に建築ボードが取り付けられる。
【0005】
鋼製間柱は通常、所望のプロファイルを得るように切断されて曲げられた鋼板から作られる。典型的には、鋼製間柱は2つの平行なフランジ部材を備え、これらのフランジ部材は、フランジ部材に実質的に垂直に延在する横ウェブ部材によって接合される。したがって、鋼製間柱は実質的にC字形断面を得ることができる。鋼製間柱はしばしば、比較的薄い鋼板から作られる。例えば、鋼製間柱は、0.4~0.6mmの範囲の厚さを有する鋼板から作られるのが一般的である。材料厚さが薄いことは、コストの観点からは重要であるが、壁の音の透過性に対しても非常に重要である。薄いウェブ部分は、厚いウェブ部分よりもフランジ部分間の音の透過が少ないので、薄い鋼は、壁を通して伝播する音をよりよく減衰する。鋼製間柱に関する別の利点は、輸送及び保管中、「箱」にすることができる、すなわち互いの中に配置することができるという点である。このようにして、鋼製間柱が占める体積を減らすことができ、これは保管の観点から、並びにコスト的及び環境的に有害な輸送を考えると重要である。これはまた、保管スペースが不足することが多い作業場所においては非常に重要である。
【0006】
枠組みに壁パネルを取り付けるとき、くぎ又はねじの一般的な取付間隔は、壁パネルの縁部分においては中心間距離約200mm、パネルの中央においては中心間距離約300mmである。木枠の主な取付方法はねじ留めであるが、これは、くぎ打ちよりも時間がかかり、取付作業者により大きな負担がかかる。これを行う理由は、木製の棒にくぎ打ちするとき、空気の湿度が変化したときに木材に生じる形状変化によってくぎが「抜ける(worked out)」危険性があるためである。次いで、このようにして抜け出てくるくぎは、仕上げ壁の表面に目に見える欠陥を生じさせ、また、塗料又は壁紙を通って現れることがある。
【0007】
鋼製間柱から構成される枠組みでは、くぎを意図されるように取り付けるには鋼は薄すぎるので、くぎ打ちは不可能である。薄板の間柱が使用されるとき、硬い壁パネルをねじ留めによって枠組みに取り付けることもまた問題となることがある。硬いプラスターボード、例えば、合板及びOSBの場合、ねじの頭を壁パネルに機械的に沈めようとするときに生じる抵抗は非常に大きくなることがあり、ねじと鋼製間柱との間の相互作用は、ねじを間柱に押し込めるのではなく鋼製間柱を変形させる。次いで、ねじのねじ山が鋼製間柱内で摩擦を失う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、この問題を少なくとも部分的に解決するのを助けることができる新しいタイプの建物間柱及び関連する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、壁パネルを取り付けるための枠組みを形成するための建物間柱に関し、本建物間柱は、第1及び第2のフランジ部分と、フランジ部分を相互接続するウェブ部分とを備える。各フランジ部分は、実質的に矩形の断面を有することがある平面状の細長い木質繊維部材を備え、ウェブ部分は、第1及び第2の直線状の脆弱線を含む薄板金属部材を備え、脆弱線は平行であり、薄板金属部材は、建物間柱を、引っ込められた保管位置から、拡げられた取付位置に持ってくることができるように、脆弱線に沿って折り曲げ可能である。
【0010】
例えば、それぞれの木質繊維部材は、均質な木材又はチップボード又は木質繊維積層体のパネル又はボードであってもよい。薄板金属部材は、0.3~1.5mmの範囲内の厚さを有する鋼板であってもよい。言い換えれば、本発明による間柱は木質繊維と金属との混成物である。
【0011】
薄板金属部材は、第1のフランジ部分に隣接して取り付けられる第1の取付部分と、第2のフランジ部分に隣接して取り付けられる第2の取付部分と、取付部分間に配置されたウェブ部分とを備えてもよく、上記第1の脆弱線は、上記第1の取付部分と上記ウェブ部分との間の境界を形成し、第2の脆弱線は、第2の取付部分とウェブ部分との間の境界を形成する。取付部分とそれぞれのウェブ部分との間の接合はくぎ接合、ねじ接合、接着剤接合、又はこれらの組合せであってもよい。これに代えて、又はこれの補足として、それぞれのフランジ部分に溝を削ってもよく、その溝の中に、取付部分の自由縁を取り付けてもよい。
【0012】
取付部分とフランジ部分との間の相互作用は、フランジ部分の木質繊維部材の形状変化(例えば、湿度の変化によって引き起こされる)を少なくするのを助ける。言い換えれば、取付部分は、木質繊維部材が固定されたときに生じることがある問題を除く、又は少なくとも減らす助けとなる。
【0013】
保管位置では、フランジ部分は共通の面に配置されてもよく、取付位置では、フランジ部分は2つの平行な面に配置されてもよい。
【0014】
保管位置では、薄板金属部材は矩形であってもよく、取付位置ではU字形断面を有してもよい。
【0015】
脆弱線は、エンボス加工によって、すなわち、薄板金属要素を脆弱線に沿って連続的又は不連続的に変形させることによって形成されてもよい。これに代えて、又はこれの補足として、脆弱線は、脆弱線に沿って凹部を機械加工することによって形成されてもよい。脆弱線はまた、これに代えて、又はこれの補足として、脆弱線に沿って連続的又は不連続的に薄板金属部材製品を部分的に貫通切断することによって形成されてもよい。
【0016】
各木質繊維部材は実質的に矩形の断面を有してもよく、その断面の寸法は所望の性能を達成するようにカスタマイズされてもよい。例えば、合板及び石膏の壁パネルを取り付けるとき、木質繊維部材のそれぞれの断面寸法は幅40mmで厚さ15mmであってもよい。この幅は、同じ間柱に2つのパネルの縁を接合するためには十分なスペースを提供するが、同時に、壁パネルをしっかりとねじ留め又はくぎ打ちするための良好な状態を提供する。さらに、この構造は、湿気による木質材料内の動き及びくぎの位置への影響(これは、くぎの先端に木材がないので、均質な木材間柱では通常生じる)の問題を解決する。木質材料の動きは、その取付部からくぎを押し出すことはできないが、その本体の「締付け」を変えるだけである。もちろん、これは、くぎの長さが、取り付けられた壁パネルと木質繊維部材との合計の厚さより長いと仮定している。
【0017】
ウェブ部分は、1つ又は複数の上記薄板金属部材を備えてもよい。この又はこれらの薄板金属部材は細長くてもよい。
【0018】
本発明による建物間柱では、フランジ部分を接続するウェブ部分のウェブ部材を薄い鋼を使用して形成することができるので、良好な音の減衰が得られる。均質な木製間柱は密で音の良好な伝達経路を与えるので、騒音の減衰は非常に悪い。さらに、ウェブ部材の材料は、既知の鋼間柱において音の減衰を今日ではすでに改善する技術的解決策を用いて設計することができる。この例としては、鋼をより撓みやすくするように、しばしば切れ目線と組み合わされた様々な形態の溝又は凹部があり、これらは音の減衰性能に効果的である。
【0019】
本発明の別の態様は、上記のような建物間柱を備える壁構造体に関する。
【0020】
本発明のさらに別の態様は、第1及び第2のフランジ部分と、フランジ部分を相互接続するウェブ部分とをそれぞれが備える複数の細長い建物間柱を備える壁構造体を形成する方法であって、各フランジ部分が平坦な細長い木質繊維部材を備え、フランジ部分が、第1及び第2の直線状の脆弱線を備え、脆弱線が平行である、方法に関する。本方法は、
- 上記脆弱線に沿って薄板金属部材を折り曲げることによって、各建物間柱を、フランジ部分が共通の面に配置された引っ込められた保管位置から、フランジ部分が2つの平行な面に配置された拡げられた取付位置に持ってくるステップと、
- 建物間柱が、保管位置から取付位置に持ってこられたとき、それぞれ第1のフランジ部分が共通の面に配置された状態で建物間柱を枠組みに配置し固定するステップと、
- 1つ又は複数の壁パネルを第1のフランジ部分に直接的に又は間接的に取り付けるステップとを含む。
【0021】
スペースが必要となる形態の問題は、引っ込められた保管位置で間柱を保管及び輸送することができることで解決される。保管位置において、フランジ部分を共通の面に配置することができ、保管位置では平面にすることができるウェブ部分をフランジ部分の上に置いて配置することができる。
【0022】
取付前に建物間柱を任意の長さに調節することを、建物間柱が保管位置にあるときに行うことができるのは有利になることがある。
【0023】
したがって、間柱は、取付時に、取付作業者によって容易に拡げることができる。拡げられた位置の間柱の形状は、薄板金属部材が木質繊維部材のどこに取り付けられているか、また、脆弱線がどこに配置されているかによって決められる。拡げられた位置の間柱のプロファイルは、所望により、また、使用場所に応じて、H字形、U字形、又はZ字形にすることができる。
【0024】
上記薄板金属部材は細長くてもよい。
【0025】
ウェブ部分は、間柱に沿って延在する薄板金属部材を1つだけ備えてもよい。
【0026】
ウェブ部分は、第1の脆弱線が共通の第1の直線状の線に沿って位置合わせされ、第2の脆弱線が共通の第2の直線状の線に沿って位置合わせされ、第2の直線状の線が第1の直線状の線に平行であるように配置された複数の薄板金属部材を備えてもよい。
【0027】
以下に、本発明の実施形態を、添付図を参照してより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】保管位置にある、本発明による建物間柱の実施形態の図である。
図2】取付位置にある、図1の建物間柱の図である。
図3】プロファイル板に取り付けられた図2に建物間柱の図である。
図4】本発明による建物間柱の一形態の図である。
図5】本発明による建物間柱の別の形態の図である。
図6】本発明による建物間柱のさらに別の形態の図である。
図7】本発明による建物間柱に含むことができる薄板金属部材の一実施形態の図である。
図8】本発明による建物間柱に含むことができる薄板金属部材の別の実施形態の図である。
図9】保管位置にある、本発明による建物間柱の実施形態の図である。
図10】保管位置にある、本発明による建物間柱のさらなる実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、本発明による建物間柱10の実施形態を示す。間柱10は、第1のフランジ部分12と、第2のフランジ部分14と、フランジ部分12、14を相互接続するウェブ部分16とを備える。各フランジ部分12、14は、平面状の細長い木質繊維部材18を備え、この木質繊維部材18は、図示の実施形態では、断面寸法が15mm×40mmの矩形断面を有する。図示の実施形態では、それぞれのフランジ部分12、14は、均質な木材の同形のボードから形成されるが、フランジ部分12、14は同形でなくてもよく、他のタイプの木質繊維部材、例えば、チップボード又は木質繊維積層体から作られた木質繊維部材を含んでもよい、又はそれらから作られてもよい。
【0030】
ウェブ部分16は、矩形で、木質繊維部材18、20の長さに相当する長さを有する細長い薄板金属部材22を備える。図示の実施形態では、薄板金属部材22の幅は、木質繊維部材16、18を組み合わせた幅よりもわずかに短い。図示の実施形態では、薄板金属部材22は、厚さ0.5mmの鋼板から形成される。
【0031】
薄板金属部材22は第1の脆弱線24と第2の脆弱線26とを有し、これらの脆弱線は直線状で平行であり、薄板金属部材22はこれらの脆弱線に沿って折り曲げ可能である。薄板金属部材22は、脆弱線24、26に沿う薄板金属部材22の折り曲げを可能にするように、脆弱線24、26に沿って塑性変形可能である。図示の実施形態では、脆弱線24、26は、脆弱線24、26に沿って薄板金属部材22に形成された不連続な折り目線によって構成される。しかしながら、脆弱線24、26は、脆弱線24、26に沿って切られた貫通する凹部又は切れ目など、他の方法で形成されてもよい。また、これに代えて、又はこれの補足として、脆弱線24、26は、脆弱線に沿って薄板金属部材22の材料を、脆弱線24、26に沿って連続的又は不連続的に部分的に切ることによって形成されてもよい。
【0032】
薄板金属部材22は、第1のフランジ部分12に当接し取り付けられる第1の取付部分28と、第2のフランジ部分14に当接し取り付けられる第2の取付部分30と、取付部分28と取付部分30との間に配置されるウェブ部材32とを備える。第1の脆弱線24は、第1の取付部分28とウェブ部材32との間の境界を形成し、第2の脆弱線26は、第2の取付部分30とウェブ部材32との間の境界を形成する。
【0033】
図示の実施形態では、取付部分28、30はくぎ34によってそれぞれのフランジ部分12、14に接続されてくぎ接合を形成する。取付部分28、30とフランジ部分12、14との間の接続は、これに代えて、ねじ接合、接着接合、或いはくぎ、ねじ、又は接着剤接合の組合せであってもよい。これに代えて、又はこれの補足として、それぞれのフランジ部分に溝(図示せず)を削ってもよく、その溝の中に、取付部分の自由縁を取り付けることができる。しかしながら、このような実施形態では、自由縁を溝に挿入するために90度曲げなければならない。
【0034】
図1は、保管位置の建物間柱10を示す。この位置では、フランジ部分12、14は共通の面に並んで配置され、この位置では平面状のウェブ部分16は、フランジ部分12、14に平行に、フランジ部分12、14の上に配置される。これは、いくつかの間柱を空間効率よく他の間柱の上に積み重ねることができるので、建物間柱を輸送及び保管するのを容易にする。
【0035】
取付作業者が建物間柱10を壁構造体に取り付けようとするとき、取付作業者は、建物間柱10を、図1に示された引っ込められた保管位置から、図2に示された拡げられた取付位置にする。これは、取付作業者が、フランジ部分12、14が2つの平行な面に配置されるように、フランジ部分12、14を互いに対して脆弱線24、26の周りに手で回転することによってなされる。この動きにおいて、薄板金属部材22は、脆弱線に沿って局所的に塑性変形させられ、図2に示すように、取付部分28、30をウェブ部材32に対して直角になるようにすることができる。しかしながら、ウェブ部材32及び取付部分28、30はそれぞれの平面形状を保ち、したがって、フランジ部分16はU字形断面になる。
【0036】
建物間柱10が取付位置に持ってこられると、取付作業者は、図3に示されるように、建物間柱を壁構造体11に配置することができる。ここでは、建物間柱10は、さらなる取付けのためにレール状下枠36に配置されている。取付前に建物間柱10を任意の長さに調節することを、建物間柱が保管位置にあるときに行うことができることは有利になることがある。
【0037】
図4図6は、ウェブ部分のフランジ部分への取付けの代替の実施形態及び脆弱線の代替の位置を概略的に示す。これらの図は、間柱を断面で示し、脆弱線の位置は矢印で示される。それぞれの図では、左に保管位置、右に取付位置の間柱が示される。
【0038】
図4に示された実施形態では、ウェブ部分16aは、図1.3に示された実施形態と同じように、フランジ部分12a、14aに取り付けられる、すなわち、脆弱線は、フランジ部分12a、14aの中央部に配置される。したがって、取付位置では、間柱10aは実質的にI字形又はH字形のプロファイルを得る。
【0039】
図5に示された実施形態では、脆弱線は、フランジ部分12b、14bの縁近くにずらされ、その結果、取付位置では、間柱10bは実質的にU字形プロファイルを得るが、ウェブ部材32bは非対称に配置される。
【0040】
図6では、保管位置において、ウェブ部分16cは、第2のフランジ部分14cの上に二重に折り曲げられ、脆弱線は、ウェブ部材32cが取付位置においてウェブ部材12c、14c間を斜めに延在するように配置される。これによって、取付位置では、間柱10cはZ字形断面を有する。
【0041】
図7は、図1及び図2を参照して上で説明した本発明の実施形態による建物間柱の一部分となるように意図されたウェブ部分16dを示す。ウェブ部分16dは、矩形であり、2つの平行な長手方向縁38を有する細長い薄板金属部材22dを備える。図示の実施形態では、薄板金属部材22dは約120mmの幅を有する。しかしながら、薄板金属部材22dの幅は、(フランジ部分の厚さを考慮して)取付位置での建物間柱の所望の厚さに調節することができることは理解されよう。薄板金属部材22dの長さは、保管位置での建物間柱の所望の長さに調節される。
【0042】
図示の実施形態では、薄板金属部材22dは約0.5mmの厚さである。しかしながら、薄板金属部材22dの厚さは、取付位置での建物間柱の所望の強さに調節することができることは理解されよう。典型的には、薄板金属部材22dの厚さは、0.3~1.5mmの範囲内にすることができる。
【0043】
薄板金属部材22dは、直線状で平行な第1の脆弱線24dと第2の脆弱線26dとを有し、上記のように、建物間柱を保管位置から取付位置に持ってくることができるように、薄板金属部材22dはこれらの脆弱線に沿って折り曲げ可能である。図示の実施形態では、脆弱線24d、26dは、各脆弱線24d、26dに沿って延在する直線状の凹部又は切れ目40を備える。切れ目40は約20mmの長さで、約5mm間隔を置いて配置される。厚さ0.5mmの薄板金属部材に対して、この形態は、建物間柱の取付性と強さとのよい組合せを提供することが分かった。すなわち、この形態は、取付作業者が建物間柱を保管位置から取付位置に比較的容易に持ってくることができるが、同時に、取付位置での建物間柱の必要な強さを提供する。
【0044】
薄板金属部材22dは、上記のように、建物間柱の第1のフランジ部分に当接して取り付けるように意図された第1の取付部分28d、及び建物間柱の第2のフランジ部分に当接して取り付けるように意図された第2の取付部分30dを備える。これらの間で、取付部分28d、30dはウェブ部材32dを画定し、取付位置で建物間柱のフランジを形成するように意図される。したがって、第1の脆弱線24dは、第1の取付部分28dとウェブ部材32dとの間の境界を形成し、第2の脆弱線26dは、第2の取付部分30dとウェブ部材32dとの間の境界を形成する。
【0045】
図示の実施形態では、脆弱線24d、26dは、それぞれの長手方向縁38から約20mmに配置される。しかしながら、取付部分28d、30dの領域は、脆弱線24d、26dを長手方向縁38からさらに離して、又はさらに近づけて配置することによって調節することができることは理解されよう。例えば、上記領域は、取付部分28d、30dとフランジ部分との間に使用される接合のタイプに適合させることができる。
【0046】
薄板金属部材22dは、管又はケーブルの貫通部用の凹部42を備えてもよい。薄板金属部材22dは、これに代えて、又はこれの補足として、管又はケーブルの貫通部を形成するための弱体化線44を備えてもよい。
【0047】
図8は、本発明のさらなる実施形態による建物間柱に含めることを意図されたウェブ部分16eを示す。この実施形態では、ウェブ部分16eはジグザグ状の薄板金属部材22eを備えるが、それ以外は、上記の脆弱線と同じ機能を有する脆弱線24e、26eを有する。すなわち、これらの脆弱線は、薄板金属部材22eを取付部分28e、30eと中間ウェブ部分32eとに分け、取付部分28e、30eは、建物間柱を形成するようにフランジ部分に当接して取り付けるように意図され、脆弱線24e、26eは、上記と同様に、建物間柱を、引っ込められた保管位置から、拡げられた取付位置に持ってくることができるように、薄板金属部材を脆弱線24e、26eに沿って折り曲げることができる線を形成する。
【0048】
フランジとウェブ部材の寸法を変更して、脆弱線を異なる位置に配置することによって、様々な間柱の形態を得ることができることは理解されよう。
【0049】
上記の実施形態では、それぞれのウェブ部分は、間柱に沿って延在する薄板金属部材を備える。しかしながら、代替の実施形態では、ウェブ部分は、例えば、図9に示されるように、間柱に沿って間隔を置いて配置された複数の薄板金属部材を備えてもよい。
【0050】
図9は、本発明による建物間柱10fの実施形態を示す。間柱10fは、第1のフランジ部分12fと、第2のフランジ部分14fと、フランジ部分12f、14fを接続するウェブ部分16fとを備える。ウェブ部分16fは、上記の脆弱線と同じ機能を有する脆弱線24f、26fを有する複数の薄板金属部材22fを備える。すなわち、これらの脆弱線は、それぞれの薄板金属部材22fを取付部分28f、30fと中間ウェブ部分32fとに分け、取付部分28f、30fは、建物間柱を形成するようにフランジ部分に当接して取り付けるように意図され、脆弱線24f、26fは、脆弱線に沿って薄板金属部材を折り曲げて、建物間柱10fを、図に示された引っ込められた保管位置から、上記と同等な拡げられた取付位置に持ってくることができる線を形成する。したがって、薄板金属部材22fは、脆弱線24fが共通の第1の直線状の線46fに沿って位置合わせされるように配置される。同様に、脆弱線26fは、第1の直線状の線46fに平行な共通の第2の直線状の線48fに沿って位置合わせされる。
【0051】
図9に示された実施形態では、薄板金属部材22fは同形であり、保管位置では建物間柱10fに対称に配置される。しかしながら、建物間柱を引っ込められた保管位置から拡げられた取付位置に持ってくることを可能にするウェブ部分の第1及び第2の脆弱線を形成するように、脆弱線が一直線になるように位置合わせされている限り、薄板金属部材は、同形ではなくてもよく、且つ/又は、対称に配置されなくてもよいことは理解されよう。代替的に形成され配置された薄板金属部材22gを有するウェブ部分16gを備える建物間柱10gの例が図10に示される。この薄板金属部材22gは、平行な直線状の線46g、48gに沿って配置された脆弱線24g、26gを含む。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10