(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-13
(45)【発行日】2024-06-21
(54)【発明の名称】車両環境を表示するための方法
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20240614BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20240614BHJP
B60R 1/25 20220101ALI20240614BHJP
B60R 1/26 20220101ALI20240614BHJP
【FI】
H04N7/18 J
G08G1/16 D
B60R1/25
B60R1/26
(21)【出願番号】P 2021549670
(86)(22)【出願日】2020-01-22
(86)【国際出願番号】 EP2020051469
(87)【国際公開番号】W WO2020173621
(87)【国際公開日】2020-09-03
【審査請求日】2022-11-02
(32)【優先日】2019-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】プアニョル, クリステル
(72)【発明者】
【氏名】アンシヨン, ギヨーム
【審査官】西島 篤宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-177132(JP,A)
【文献】特表2018-536912(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
G08G 1/16
B60R 1/25
B60R 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(1)の環境を表示するための
表示方法であって、前記車両(1)は、前記車両(1)の運転者に対する側部後方環境をカバーする視野(2)を含む側部後方視カメラ(C2)を備え、前記車両(1)は、前記車両(1)に対する横視野(5)を含むサイドカメラ(C5)、コンピュータ(7)、および表示装置(8)をさらに備え、前記
表示方法は、
前記表示装置(8)の第1の区域(81)にお
いて前記側部後方視カメラ(C2)からの歪んでいない視像(30)を第1の拡大係数で、および、前記表示装置(8)の第2の区域(82)にお
いて前記側部後方視カメラ(C2)からの歪んでいる視像(40)を前記第1の拡大係数と異なる第2の拡大係数で、前記コンピュータ(7)が表示する後方表示ステップ(101)と、
前記車両(1)のユーザからの要求の検出に対応して、前記コンピュータ(7)が表示変更条件を検出する検出ステップ(102)と、
前記表示変更条件の検出に応じて、前記コンピュータ(7)が、前記表示装置(8)の前記第2の区域(82)にお
いて前記サイドカメラ(C5)からの視像(50)
に切り替えて表示する拡張表示ステップ(1
03)と、を含む、
表示方法。
【請求項2】
車両(1)の環境を表示するための表示方法であって、前記車両(1)は、前記車両(1)の運転者に対する側部後方環境をカバーする視野(2)を含む側部後方視カメラ(C2)を備え、前記車両(1)は、前記車両(1)に対する横視野(5)を含むサイドカメラ(C5)、コンピュータ(7)、および表示装置(8)をさらに備え、前記表示方法は、
前記表示装置(8)の第1の区域(81)において前記側部後方視カメラ(C2)からの歪んでいない視像(30)を第1の拡大係数で、および、前記表示装置(8)の第2の区域(82)において前記側部後方視カメラ(C2)からの歪んでいる視像(40)を前記第1の拡大係数と異なる第2の拡大係数で、前記コンピュータ(7)が表示する後方表示ステップ(101)と、
前記車両(1)の場所に対応する所定の地理的位置、または前記車両(1)の場所に関連したユーザの設定に対応する所定の地理的位置の検出に対応して、前記コンピュータ(7)が表示変更条件を検出する検出ステップ(102)と、
前記表示変更条件の検出に応じて、前記コンピュータ(7)が、前記表示装置(8)の前記第2の区域(82)において前記サイドカメラ(C5)からの視像(50)に切り替えて表示する拡張表示ステップ(103)と、を含む、表示方法。
【請求項3】
前記表示変更条件の検出は、前記車両(1)
のセンサまたはマッピングデバイスによる交差点の検出に対応する、請求項
2に記載の表示方法。
【請求項4】
前記交差点の検出は、道路交差点(9)の、
前記センサによる認識もしくは
前記マッピングデバイスによる検出、または、所定の期間内のまたは所定の距離内の、前記サイドカメラ(C5)の前記
横視野(5)に位置する可能性がある対象物(6)の
前記センサによる認識を含む、請求項3に記載の表示方法。
【請求項5】
前記表示変更条件の検出は、前記車両(1)の対象物(6)との衝突の確率
が高いという条件
に基づく、請求項
2から4のいずれか一項に記載の表示方法。
【請求項6】
前記車両(1)の対象物(6)との衝突の前記確率は、前記車両(1)によって検出される対象物(6)に対する確信度、前記車両(1)と前記車両(1)によって検出される対象物(6)との衝突までの時間、前記車両(1)の前記環境を含む地理的位置に対する事故率、の中の少なくとも1つを含む、請求項5に記載の表示方法。
【請求項7】
前記コンピュータ(7)は、前記拡張表示ステップ(103)において、前記サイドカメラ(C5)からの歪んでいる視像(50)を表示する、請求項1から6のいずれか一項に記載の表示方法。
【請求項8】
前記拡張表示ステップ(103)の後に、前記コンピュータ(7)が前記車両(1)のユーザに、シグナリング手段によって前記表示装置(8)上の表示の変更を通知するシグナリングステップ(104)をさらに含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の表示方法。
【請求項9】
前記シグナリングステップ(104)は、前記表示装置(8)
が前記ユーザの視野
に含まれない場合に実行される、請求項8に記載の表示方法。
【請求項10】
側部後方視カメラ(C2)を備える車両(1)であって、前記側部後方視カメラ(C2)は前記車両(1)の運転者に対する側部後方環境をカバーする視野(2)を含み、前記車両(1)は、前記車両(1)に対する横視野(5)を含むサイドカメラ(C5)、コンピュータ(7)、および表示装置(8)をさらに備え、前記コンピュータ(7)は、請求項1から9のいずれか一項に記載の表示方法のステップを実行できる、車両(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両ユーザ、とりわけ運転者が、自分の視野にない車両の環境を見ることを可能にする視野デバイスおよび表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術により、遠方の後側方視を反映しかつ環境の地面の方へ向けられた第1のミラー、および、第1のミラーの死角をカバーできる、環境のよりパノラマ的な後側方視を反映する第2のミラーの2つのミラーを含む側部後方視ミラーを備える車両が既知である。
【0003】
車両の環境について、例えば、車両に対する対象物の存在およびこれらの場所についてユーザに通知する中央スクリーンを備える車両も既知である。このようなスクリーンは、実際の環境の視像ではなく、環境の仮想マップ上に配置された絵文字を提供する。
【0004】
側部後方視ミラーをカメラおよび表示装置を備えるシステムと置き換えることも既知の慣例である。該表示装置はさらにまた、後方視ミラーからの視像を、歪んだまたは歪んでいない場合があるカメラからのさまざまな視像で再現する。いくつかの表示装置は、カメラを地面の方へ傾けることによって運転者が駐車する助けとなるように、駐車操作の面での修正された表示を提供する。
【0005】
先行技術により既知の表示装置は、環境に対して、柔軟性がなく、設定不可能であり、適応性がない。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、先行技術の問題を解決可能にする、車両環境を表示するための新たな方法を提案する。
【0007】
本発明は、車両の環境を表示するための方法であって、車両は、車両の運転者に対する側部後方環境をカバーする視野を含む側部後方視カメラを備え、車両は、車両に対する横視野を含むサイドカメラ、コンピュータ、および表示装置をさらに備え、方法は、以下のステップ、
- 表示装置の第1の区域における側部後方視カメラからの歪んでいない視像を第1の拡大係数で、および、表示装置の第2の区域における側部後方視カメラからの歪んでいる視像を、第1の拡大係数と異なる第2の拡大係数で、コンピュータが表示する後方表示ステップと、
- コンピュータが表示変更条件を検出する検出ステップと、
- コンピュータが、表示装置の第2の区域におけるサイドカメラからの視像を表示する拡張表示ステップと、を含む、方法に関する。
【0008】
本発明の1つの態様によると、側部後方視カメラの視野は車両に沿ってさらにカバーする。
【0009】
本発明の1つの態様によると、表示変更条件の検出は、車両のユーザからの要求の検出に対応する。
【0010】
本発明の1つの態様によると、表示変更条件の検出は、車両による交差点の検出に対応する。
【0011】
本発明の1つの態様によると、交差点の検出は、道路交差点の、センサによる認識もしくはマッピングデバイスによる検出、または、0~10秒の所定の期間内のまたは0~10メートルの所定の距離内の、サイドカメラの視野に位置する可能性がある対象物のセンサによる認識を含む。
【0012】
本発明の1つの態様によると、表示変更条件の検出は、車両の対象物との衝突の確率を条件とする。
【0013】
本発明の1つの態様によると、車両の対象物との衝突の確率は、車両によって検出される対象物に対する確信度、車両と車両によって検出される対象物との衝突までの時間、車両の環境を含む地理的位置に対する事故率の中の少なくとも1つを含む。
【0014】
本発明の1つの態様によると、コンピュータは、拡張表示ステップにおいて、サイドカメラからの歪んでいる視像を表示する。
【0015】
本発明の1つの態様によると、表示変更条件の検出は、車両の場所、および上記の車両の場所に関連したユーザによる設定に対応する所定の地理的位置の検出を含む。
【0016】
本発明の1つの態様によると、方法は、コンピュータが車両のユーザに、シグナリング手段によって表示装置上の表示の変更を通知するシグナリングステップをさらに含む。
【0017】
本発明の1つの態様によると、シグナリングステップは、表示装置が除かれたユーザの視野の検出を条件とする。
【0018】
本発明はまた、側部後方視カメラを備える車両であって、該側部後方視カメラは車両の運転者に対する側部後方環境をカバーする視野を含み、車両は、車両に対する横視野を含むサイドカメラ、コンピュータ、および表示装置をさらに備え、該コンピュータは、先行請求項のいずれか一項に記載の表示方法のステップを実行できる、車両に関する。
【0019】
本発明の他の利点および特徴は、説明および図面を読むことで明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1a】側部後方視カメラを備えた車両を示す図である。
【
図1b】サイドカメラを備えた車両を示す図である。
【
図2】本発明による方法のステップを示す図である。
【
図3】側部後方視カメラの後方表示装置および対応する視野を示す図である。
【
図4a】車両、および車両によって検出された対象物を示す図である。
【
図4b】車両、および車両によって検出された道路交差点を示す図である。
【
図5】拡張表示装置、および対応するカメラの視野を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1aおよび
図1bは、側部後方視カメラC2、サイドカメラC5、コンピュータ7、および表示装置8を備える車両1を示す。
【0022】
側部後方視カメラC2は、視野2が、先行技術の側部後方視ミラーのミラーの視界に対応するまたはこれを実質的に含むカメラである。
【0023】
後方視カメラは、視野が、車両運転者の背後で起こっていることに対応する車両環境をカバーするカメラである。
【0024】
側部後方視カメラC2の視野2は、側部後方視カメラC2が配置される車両1の側部で、運転者に対する車両1に沿った車両1の後方環境をカバーする。
【0025】
側部後方視カメラC2の視野2によって、車両1の運転者に対して表示装置8上で側部後方視カメラC2からの視像を表示することが可能であることで、座席から、車両1の常用負荷に関係なく車両1の後方側の道路を監視することが可能になり、この視野は、上記の車両1を追い越す準備ができている対象物を隠しやすいいずれの重要な死角も含まない。
【0026】
対象物は例えば、車両、トラック、自転車、オートバイ、歩行者、馬、またはスクーターである。
【0027】
側部後方視カメラC2は一般的に、実質的には、先行技術の側部後方視ミラーの代わりに、フロントドアに近い車両1の片側に位置する。
【0028】
好ましくは、側部後方視カメラC2は、これ自体の基準系で、45度~75度の水平視野角A2を含む。
【0029】
好ましくは、側部後方視カメラC2は、これ自体の基準系で、40度~80度の垂直視野角を含む。
【0030】
車両1の長手方向D1は、車両1のシャーシの全面において、車両の前軸および後軸の中心を通る直線の投影である。
【0031】
車両1のシャーシの全面は、車両1の4つの車輪が置かれる地面に実質的に平行である。
【0032】
側部後方視カメラC2は、車両1のシャーシの全面における投影D’2が車両1の長手方向D1で20度~45度の後方視野角A21を形成する光軸D2に沿って向けられる。
図1aでは、後方視野角A21は、可視性を高めるために、車両1のシャーシの全面にあり、かつ車両1の長手方向D1に平行である直線D10に対して示される。
【0033】
側部後方視カメラC2の光軸D2は、車両1のシャーシの平面で、-10度~10度の角度を形成する。
【0034】
サイドカメラC5は、視野5が車両1に対して直角であり、サイドカメラC5は、例えば、車両1の長手方向D1に対して略垂直に向けられている。
【0035】
サイドカメラC5は、これ自体の基準系で、120度超の、好ましくは180度に略等しい水平視野角A5を含む。
【0036】
サイドカメラC5は、これ自体の基準系で、145度超の、好ましくは150度に略等しい垂直視野角を含む。
【0037】
サイドカメラC5は、車両1のシャーシの全面における投影D’5が、車両1の長手方向D1で、80度~95度のサイド角A51を形成する光軸に沿って向けられる。
図1aでは、後方視野角A21は、可視性を高めるために、車両1のシャーシの全面にあり、かつ車両1の長手方向D1に平行である直線D10に対して示される。
【0038】
サイドカメラC5は、一般的に、側部後方視カメラC2に近いフロントドア近くの車両1の片側に位置する。
【0039】
側部後方視カメラC2の光軸D5は、車両1のシャーシの平面の方へ案内される。側部後方視カメラC2の光軸D5は、車両1のシャーシの平面で35度~55度の角度を形成する。
【0040】
好ましくは、側部後方視カメラC2およびサイドカメラC5の視野2、5は、車両1の環境のある領域が2つの視野2、5の間でカバーされないことを防止するために部分的に重なり合う。
【0041】
表示装置8は、1つまたは2つの側部後方視カメラC2およびサイドカメラC5からの1つまたは複数の視像の表示を可能にする。
【0042】
有利には、表示装置8は2つの表示区域を含む。
【0043】
表示装置8は、一般的に、関連付けられる側部後方視カメラC2およびサイドカメラC8と同じ車両1の側部における車両1の車室に位置する。
【0044】
コンピュータ7は、1つまたは2つの側部後方視カメラC2およびサイドカメラC5からの視像の表示を管理する。
【0045】
図2は、環境を表示するための方法のステップを示す。
【0046】
後方表示ステップ101では、コンピュータ7は、表示装置の第1の区域における側部後方視カメラC2からの歪んでいない視像を第1の拡大係数で、および、表示装置の第2の区域における側部後方視カメラC2からの歪んでいる視像を、第1の拡大係数と異なる第2の拡大係数で表示する。
【0047】
検出ステップ102では、コンピュータ7は表示変更条件を検出する。
【0048】
表示変更条件の検出は、例えば、車両のユーザからの要求の検出に対応する。
【0049】
ユーザは、音声、機械、またはタッチコマンドによって、コンピュータ7に表示を変更するように求める。
【0050】
例えば、私有地のガレージを出る時、運転者はコンピュータ7に、横環境の視野性をより良くするために表示を変更するように求めてよい。
【0051】
別の例によると、表示変更条件の検出は、車両1の場所に対応する所定の地理的位置、および上記の車両1の場所に関連したユーザによる設定の検出に対応する。車両のユーザは、所定の地理的位置での表示変更を設定することができる。車両が所定の地理的位置にあるまたはこの近くにある度に、コンピュータ7は表示変更条件を検出する。
【0052】
表示変更条件の検出は例えば、車両1による交差点の検出に対応する。
【0053】
交差点の検出は、
- 道路交差点の、センサによる認識またはマッピングデバイスによる検出、
- 所定の距離または所定の期間内の、サイドカメラC5の視野に位置する可能性がある対象物のセンサによる認識の中の少なくとも1つを含む。
【0054】
好ましくは、所定の距離は0メートル~10メートルである。所定の期間は0秒~10秒である。
【0055】
有利には、道路交差点の認識または検出の場合、表示変更条件の検出は、車両1に対する道路交差点の近接、および車両1が上記の交差点を渡る確率を条件とする。
【0056】
車両1が車両1に対する道路交差点を渡る確率は、プログラミングされたまたは可能性がある経路に従って、車両1が上記の道路交差点を渡ることになる予測に対応する。
【0057】
車両1に対する道路交差点の近接は、0メートル~10メートルの距離内でまたは0秒~10秒の期間内で、車両1が上記の道路交差点を渡ることに対応する。
【0058】
道路交差点の検出は、カメラ、レーダー、ライダーによる道路交差点の認識によって、またはマッピングデバイスからのデータに基づいて行われる。
【0059】
道路交差点は、
- 道路の分岐点、
- 少なくとも2つの道路の交差点、
- 円形交差点、
- 道路と、ガレージ出口、駐車場、倉庫、または私有地もしくは公有地との交差点、である。
【0060】
一般に、道路交差点は、対象物、とりわけ、車両が、少なくとも部分的に渡りやすい道路部分であるため、車両1と上記の対象物との衝突の危険がある。
【0061】
サイドカメラC5の視野に位置する可能性がある対象物の認識は、カメラ、レーダー、ライダーなどのセンサによって、または複数のこれらのセンサの組み合わせによって行われてよい。
【0062】
好ましくは、表示変更条件は、対象物と車両1との衝突の確率を条件とする。
【0063】
対象物と車両1との衝突の確率は、
- 検出される対象物に対する確信度、
- 車両と検出される対象物との衝突までの時間、
- 車両1の環境を含む地理的位置に対する事故率、からの少なくとも1つを含む。
【0064】
確信度は、車両1による対象物のタイプの検出および/または認識における信頼度を反映する、対象物に対して与えられるスコアである。確信度は、対象物を検出したセンサのタイプ、複数のセンサによるまたは経時的な上記の対象物の検出における冗長度、可視性の条件、環境、天気などに関連し得る。
【0065】
車両1と検出された対象物との衝突までの時間は、上記の車両1の既知の速度、上記の対象物の推定される速度、上記の車両1の既知のもしくは推定される軌道、および上記の対象物の推定される軌道の関数として車両1のコンピュータによって算出される。
【0066】
地理的位置に対する事故率は、例えば、外部サーバによって提供される、道路安全組織によって更新される、警察、消防、ロードサービスなどによる、データである。外部サーバは、事故率が高い道路交差点または地理的位置のリストを含む。
【0067】
拡張表示ステップ103では、コンピュータ7は、表示装置の第2の区域におけるサイドカメラC5からの視像を表示する。
【0068】
サイドカメラC5からの視像の表示は、第2の拡大係数による側部後方視カメラC2からの歪んでいる視像と置き換えられる。
【0069】
有利には、表示装置の第2の区域で表示されるサイドカメラC5からの視像は、例えば、パノラマ表現のための歪んでいる視像である。
【0070】
オプションのシグナリングステップ104では、コンピュータ7は、車両のユーザ、とりわけ、運転者に、シグナリング手段によって表示装置8上の表示の変更を通知する。
【0071】
シグナリング手段は、例えば、ハンドルまたは運転者の座席の振動を含む、触覚であってよい。
【0072】
シグナリング手段は、例えば、インストルメントパネル、フロントガラス、センターコンソール、またはヘッドアップディスプレイ上の表示灯が見えることを含む、視覚であってよい。
【0073】
シグナリング手段は、例えば、車両のスピーカからの可聴音または音声メッセージを発することを含む、可聴式であってよい。
【0074】
シグナリング手段は、運転者に、表示装置8上の表示の変更が、生じたばかりであること、進行中であること、または、所定の時間内に、例えば、1秒未満で発生することになることに注意させること、および、そのため、そうでない場合には、道理にかなったやり方で、視線を表示装置8に移すことができることを可能にする。
【0075】
好ましくは、シグナリングステップ104は、表示装置8が除かれたユーザの視野の検出を条件とする。
【0076】
具体的には、ユーザが自分の視野で既に上記の表示装置8を有する場合、ユーザに表示装置8上の表示の変更を通知しても意味がない。システム化されたシグナリング手段はユーザにとって煩わしいものなり得る。
【0077】
よって、有利には、車両のセンサ、例えば、カメラは、運転者の眼の向きを検出し、それによって、運転者の視野を推測する。表示装置8が運転者の視野に含まれる場合、シグナリングステップ104は実行されない。表示装置8が運転者の視野から除かれる場合、シグナリングステップ104は実行される。
【0078】
有利には、ユーザは、「ユーザ嗜好」タイプの設定によってシグナリングステップ104の実行を阻止する場合がある。
【0079】
シグナリングステップ104は、車両1のユーザに差し迫った表示の変更を知らせるためにコンピュータ7によって拡張表示ステップ103の直前に実行されてよい、またはユーザに最近の実際の表示の変更を知らせるために拡張表示ステップ103の後に実行されてよい。
【0080】
拡張表示ステップ103における拡張表示の継続時間は、予め定められてよい、または、交通状態、車両1の運転者がこれに気付くこと、または検出された対象物6の動きなどのパラメータに依存してよい。一般に、標準運転条件下で、拡張表示の継続時間は2秒~15秒である。拡張表示の継続時間の終了後、後方表示ステップ101は再び実行される。
【0081】
図3は、車両1、および別個に示される車両1の表示装置8を示し、コンピュータ7は後方表示ステップ101における表示装置8上の後方表示を表示している。
【0082】
表示装置8は第1の区域81および第2の区域82を含む。
【0083】
表示装置8の第1の区域81において、第1の拡大係数による側部後方視カメラC2からの歪みのない視像30が表示される。
【0084】
表示装置の第2の区域82において、第2の拡大係数による側部後方視カメラC2からの歪んでいる視像40が表示される。
【0085】
好ましくは、第1の拡大係数は0.8~1.1であり、第2の拡大係数は0.5~0.7である。
【0086】
【0087】
側部後方視カメラC2の視像30は、側部後方視カメラC2の視野2の副視野3に対応する。
【0088】
図3では、側部後方視カメラC2の副視野3は、車両1のリヤフェンダ、および車両1の車線に隣接する車線を含む環境を含む。
【0089】
側部後方視カメラC2からの視像40は、側部後方視カメラC2の視野2の副視野4に対応する。
【0090】
図3では、側部後方視カメラC2の副視野4は、主に、車両1の車線に隣接する車線に隣接する車線を含む環境を含む。
【0091】
より一般的には、側部後方視カメラC2の視野2の2つの副視野3、4に対応する、側部後方視カメラC2からの2つの視像30、40は、車両1からの変動する距離の2つの異なる視野角からの車両環境を運転者に気付かせるためのものである。
【0092】
側部後方視カメラC2からの歪んでいる視像40は、例えば、車両1の運転者に対して、車両の環境の側部後方視のパノラマ表示を可能にする。
【0093】
側部後方視カメラC2からの歪んでいる視像40は、例えば、車両1の運転者に対するより直観的な表示、とりわけ、回避されるべき対象物を強調表示することを可能にする。
【0094】
図4aは、0メートル~10メートルの距離内に、または0秒~10秒の期間内に、サイドカメラC5の視野5に位置する可能性がある対象物6のセンサによる認識の一例を示す。
【0095】
対象物6は、例えば、ライダーまたはレーダーによって検出される。
【0096】
対象物6の軌道D6および速度の推定によると、対象物6は、例えば1秒の期間内に位置16にいることになる。
【0097】
1秒のこの同じ期間内に、この長手方向D1における軌道をたどる車両1は、位置11にいることになる。
【0098】
1秒の期間内に、対象物6は、サイドカメラC5の視野5に位置することになる。
【0099】
コンピュータ7は、対象物6の検出、および上記の対象物がサイドカメラC5の視野5にいることになることを考慮に入れて、検出ステップ102において表示変更条件を検出する。
【0100】
図4bは、道路交差点9のマッピングデバイスによる検出の一例を示す。
【0101】
例えば、車両1に搭載のマッピングデバイスは、道路交差点9の場所データを含む。コンピュータ7は、メモリに、外部サーバから先にダウンロードされている、事故率が高い道路交差点9のリストを有する。
【0102】
コンピュータ7は、車両1の経路を知っているため、車両1が道路交差点9を渡ることになることを知っている。
【0103】
車両1が、所定の期間、例えば1秒以内に事故率が高い道路交差点9を渡ることになることを知っているコンピュータ7は、検出ステップ102において表示変更条件を検出する。
【0104】
図5は、車両1、および別個に示される車両1の表示装置8を示し、コンピュータ7は表示装置8上の拡張表示ステップ103における拡張表示を表示している。
【0105】
表示装置8の第1の区域81において、第1の拡大係数による側部後方視カメラC2からの歪みのない視像30は、表示されたままであり変更されない。
【0106】
表示装置8の第2の区域82において、サイドカメラC5からの視像50が表示される。
【0107】
サイドカメラC5からの視野5および側部後方視カメラC2の視野2は、
図5に示されている。
【0108】
サイドカメラC5からの視像50は、サイドカメラC5の視野5または視野5の副視野に対応し、これらは、運転者が解釈するのが容易である視像50にするために画像処理が施されてよく、回避されるべき対象物を強調表示する、または1つまたは複数の車線に焦点を合わせる。
【0109】
好ましくは、サイドカメラC5からの視像50は、車両1の運転者が直観的に理解する側景を提供するように歪ませ、回避されるべき対象物を強調表示する。
【0110】
車両1は有利には、後方視カメラC2およびサイド後方視カメラC5の2つのセットを含み、後方カメラC2およびサイドカメラC5のそれぞれのセットは、車両の両側に、運転者のドア近くに、および助手席ドア近くに、位置する。
【0111】
車両1は2つの表示装置を備え、それぞれの表示装置8は後方カメラC2およびサイドカメラC5のセットと関連付けられる。
【0112】
コンピュータ7は、環境状況に応じて、例えば、検出された対象物6の場所または道路交差点9の構成に応じて、1つもしくは両方の表示装置上で、またはさらに多くの表示装置上で、本発明の方法を実行する。