(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-13
(45)【発行日】2024-06-21
(54)【発明の名称】マイクロ波プラズマ装置内セグメント化ライナーおよび使用方法
(51)【国際特許分類】
H05H 1/30 20060101AFI20240614BHJP
【FI】
H05H1/30
(21)【出願番号】P 2021557230
(86)(22)【出願日】2020-03-25
(86)【国際出願番号】 IB2020052824
(87)【国際公開番号】W WO2020194208
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2023-03-24
(32)【優先日】2019-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515084719
【氏名又は名称】シックスケー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドワンムー,ニン
(72)【発明者】
【氏名】コズラウスキー,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ターチェッティ,スコット
(72)【発明者】
【氏名】ハディディ,カマル
【審査官】中尾 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-222397(JP,A)
【文献】特開平10-284295(JP,A)
【文献】特開平11-135485(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0126331(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下の方のケーシングセグメントの上部と、垂直に隣接したケーシングセグメントの下部との間にジョイントが形成されるように、垂直にスタックされた2つ以上のケーシングセグメントを含むセグメント化ケーシングと、
セグメント化ケーシングが外管の内側に配置されるようにサイズ調整され、位置づけられた外管であって、マイクロ波エネルギーに対して透過的な材料から形成された、外管と、
外管に対して、セグメント化ケーシングの位置を位置づけ、維持するためのアライメント部材
であって、外管上に配置された第1の表面、およびセグメント化ケーシング上に配置された第2の表面を備え、第1の表面が、第2の表面に接続するはめ合わせ要素を含む、アライメント部材と
を備え、
2つ以上のケーシングセグメントのそれぞれが、マイクロ波エネルギーに対して透過的な材料から形成され、各ジョイントが、プラズマ漏出を最小限にするように構成される、プラズマトーチのためのライナーシステム。
【請求項2】
セグメント化セラミックケーシングが、2つ以上のケーシングセグメントを含むセラミックケーシングであり、第1のケーシングセグメントと第2のケーシングセグメントとの間に配置された第1のジョイントを伴う、第1のケーシングセグメントおよび第2のケーシングセグメントを含む、請求項1に記載のライナーシステム。
【請求項3】
2つ以上のケーシングセグメントを含むセグメント化ケーシングが、最下部ケーシングセグメントと中間部ケーシングセグメントとの間に配置された第1のジョイント、および中間部ケーシングセグメントと最上部ケーシングセグメントとの間に配置された第2のジョイントを伴う、最下部ケーシングセグメント、中間部ケーシングセグメント、および最上部ケーシングセグメントを含む、請求項1に記載のライナーシステム。
【請求項4】
アライメント部材が、外管に配置されたリップまたはトレンチを備える、請求項1に記載のライナーシステム。
【請求項5】
アライメント部材が、外管に接続可能な水冷フランジを備える、請求項1に記載のライナーシステム。
【請求項6】
ジョイントが、ラップジョイントを含む、請求項1に記載のライナーシステム。
【請求項7】
ジョイントが、テーパージョイントを含む、請求項1に記載のライナーシステム。
【請求項8】
プラズマトーチ内のプラズマで使用するためのケーシングであって、マイクロ波エネルギーに対して透過的である少なくとも1つの材料から生産され、ケーシングの異なる部分が、プラズマの異なる温度勾配にさらされるように、ケーシングの所望の部分が、プラズマを包み、プラズマトーチ内のプラズマに対して所定の距離に及ぶことを可能にするように設計され、形成され、プラズマトーチ内に据え付けられ、ケーシングの材料、設計、および据付けにより、典型的なプラズマトーチ動作中のケーシングの亀裂を防止することがないにしても減少させること、および、ケーシングを通じたプラズマ漏出を除くことがないにしても最小限にすることを、少なくとも含めて、耐熱衝撃性を強化し、ケーシングの摩耗能力を改善するために、ケーシングの異なる部分が互いに対して拡大および縮小することを可能にする、ケーシング
と、
ケーシングの第1の端部と係合する第1の支持物と、
ケーシングの第2の端部と係合する第2の支持物とを備え、第1の支持物および第2の支持物が、プラズマに対してケーシングを固定するために、プラズマトーチの一部と係合するように構成される、プラズマトーチのためのライナー。
【請求項9】
ケーシングが、セラミック材料から作られる、請求項
8に記載のライナー。
【請求項10】
ケーシングが、ファブリックの形態で作られる、請求項
8に記載のライナー。
【請求項11】
ケーシングが、不織布の形態で作られる、請求項
8に記載のライナー。
【請求項12】
ケーシングが、2つのセグメント間に摩擦ジョイントを伴う少なくとも2つのセグメントから作られる、請求項
8に記載のライナー。
【請求項13】
プラズマトーチ内で使用するためのセグメント化ケーシングであって、マイクロ波エネルギーに対して透過的な材料から形成され、実質的なセルフシーリング摩擦ジョイントがセグメント間に形成されることを可能にするように形成され、整列された少なくとも2つのセグメントを有し、ジョイントが、セグメント間のプラズマ漏出および電弧を最小限にしつつ、セグメントが互いに対して拡大および縮小することを可能にし、セグメント化ケーシングが、プラズマの異なる温度勾配にセグメントの異なる部分をさらし、これにより、プラズマトーチの動作中のセグメントの亀裂を少なくとも減少させるまたは防止することを含めて、耐熱衝撃性を強化し、摩耗能力を改善するために、互いに対して拡大および縮小するようにプラズマに対して位置づけられ
、ジョイントが、ラップジョイントまたはテーパージョイントを備える、セグメント化ケーシング
を備える、プラズマトーチのためのライナー。
【請求項14】
少なくとも2つのセグメントの数、サイズ、または長さが、セグメント化ケーシングに、強化された耐熱衝撃性、または改善された摩耗能力を提供するように調整される、請求項
13に記載のライナー。
【請求項15】
ジョイントが、改善された熱衝撃特性を有する材料で作られるか、コーティングされる、請求項
13に記載のライナー。
【請求項16】
ジョイントが、窒化ホウ素で作られるか、コーティングされる、請求項
13に記載のライナー。
【請求項17】
ジョイントが、熱せられると堅くなるようにサイズ調整され、成形される、請求項
13に記載のライナー。
【請求項18】
プラズマに対して所定の距離に及び、プラズマの異なる温度勾配にセグメントの異なる部分をさらすように、プラズマトーチのプラズマに対してケーシングを固定するための少なくとも1つのアライメント部材をさらに含む、請求項
13に記載のライナー。
【請求項19】
プラズマトーチのプラズマを実質的に囲むための、プラズマトーチ内で使用するための、使い捨ての、細長い、非剛性のケーシングであって、少なくともマイクロ波エネルギーに対して透過的であり、所望の量を拡大および縮小させることができる柔軟なセラミック材料から形成される、ケーシングと、
ケーシングの第1の端部と係合するように構成された第1の支持物と、
ケーシングの第2の端部と係合するように構成された第2の支持物とを備え、第1の支持物および第2の支持物が、プラズマトーチのプラズマに対してケーシングを固定するように構成される、プラズマトーチのためのライナー。
【請求項20】
柔軟なセラミック材料が、セラミックリボンを含む、請求項
19に記載のライナー。
【請求項21】
ケーシングの異なる部分がプラズマの異なる温度勾配にさらされ、これにより、必要に応じて使い捨てのケーシングを容易に置き替えることによって、稼働ごとにプラズマトーチ内が汚れるのを最小化しつつ、耐熱衝撃性を強化し、摩耗能力を改善し、亀裂を除くために、容易に拡大および縮小することができるように、プラズマに対して所望の位置においてプラズマトーチに第1の支持物および第2の支持物を解除可能なように固定し、ケーシングがプラズマトーチに取り付けられたとき、第1の支持物と第2の支持物との間に広がり、プラズマに対して所定の距離に及ぶことを可能にするための、第1の支持物および第2の支持物のそれぞれの解除式締結デバイスをさらに備える、請求項
19に記載のライナー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、「SEGMENTED LINER AND METHODS OF USE WITHIN A MICROWAVE PLASMA APPARATUS」という名称の2019年3月26日に出願の米国仮特許出願第62/823,698号の優先権を主張し、その内容は、引用によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本技術は、一般に、マイクロ波プラズマ反応炉内で使用するための改善されたセラミックライナーを提供するためのデバイス、システム、および方法に関する。詳細には、本技術は、セグメント化セラミックライナーに関する。セグメント化セラミックライナーは、安価に製造されることができ、さらに、改善された耐熱衝撃性を提供するように調整されることができ、耐熱衝撃性は、ライナーの亀裂または他の故障を最小限にすることができる。
【背景技術】
【0003】
ライナーは、コア環状(core-annular)プラズマトーチと渦状(swirl)プラズマトーチの両方の設計の重要部分である。環状プラズマトーチは、典型的には、同心円状にマウントされた3つのセラミック管:内管、中管、およびセラミックライナーを含むように構築される。渦状プラズマトーチは、典型的には、渦状チャンバおよびセラミックライナーを含む。一般に、セラミックライナーおよび管は、石英または、例えば酸化アルミニウムもしくは窒化ケイ素などの他の高温セラミック材料から作られる。これらの高温セラミックスは、プラズマ環境の高温動作を可能にするように、および、マイクロ波エネルギー透過性を提供するように、選択される。さらに、高温セラミックスは、亀裂または故障を最小限にするのに優れた耐熱衝撃性を有することが望ましい。一般に、ライナーは、プラズマへのサンプル材料(例えば、液滴または粉末などの前駆物質)の輸送および送出を支援する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ライナーの主な故障モードは、正常動作状態での高温勾配による亀裂である。これは、1つには、セラミック材料の不十分な耐熱衝撃性による。典型的には、高純度セラミック材料は、所望より低い耐熱衝撃性を有する。その結果、大きい熱勾配にさらされる場所(例えば、プラズマの下部の外側に位置し得るライナーの最下部、その一方で、ライナーの他の部分は、プラズマの最大限の熱的力を受ける)で亀裂が発生することが知られている。ライナーの故障は、プラズマトーチの損失した動作時間だけでなく、コストのかかるライナー全体の修理および置換という結果になる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
プラズマトーチのための改善されたセラミックライナーを提供するためのデバイスおよび方法が、本明細書で提供される。詳細には、本開示は、従来のセラミックライナーに比べて改善された耐熱衝撃性を有するように調整された、セグメント化ライナーに関する。一般に、改善された耐熱衝撃性は、改善された耐熱衝撃性を提供するように調整された(例えば、設計または適合された、形状、サイズ、および/または材料)セグメント化ライナー(例えば、垂直にスタックされた多数のセラミックセグメント)を提供することによって達成される。例えば、1つの実施形態では、改善されたライナーを形成する垂直にスタックされた隣接したセラミックセグメント間のジョイントは、プラズマ動作状態(例えば、反応炉内のプラズマのサイズおよび場所)の特定のセットに対して温度勾配が最大の位置に位置する。特定の実施形態では、ジョイントは、改善された耐熱衝撃性を有する材料で形成されるか、コーティングされることができる。いくつかの実施形態では、ジョイントは、強化された耐熱衝撃性を提供するように成形されることができる。一般に、ライナーのセグメント化された性質は、材料選定の大きな柔軟性および製造性を可能にする。具体的には、ライナーをセグメント化することによって、ライナーの長さが最小化され、これが、製造性を著しく改善する(例えば、製造がより簡単、より多くの製造オプション、より少ない無駄)。また、ライナーをセグメント化することによって、置換の機会が利用可能になる。すなわち、ライナーの部分またはセグメントが傷つくか、汚れた場合、この部分は、除去され、置き替えられることができ、これにより、セラミックライナーの全般的な寿命を伸ばす。
【0006】
一般に、本明細書で開示されるライナー、およびライナーを使用する方法は、マイクロ波プラズマトーチ(例えば、コア環状プラズマトーチ、渦状プラズマトーチ)内の材料(例えば、液体、粉末、等)の処理に関する。本技術のセグメント化ライナーは、垂直にスタックされた隣接したセグメント間のジョイントを含む。これらのジョイントは、改善された性能を提供するように調整される。実施形態では、ジョイントを形成する2つの隣接したセグメント間の隙間または間隔は、プラズマ漏出および電弧を最小限にするために、高度に制御される(例えば、厳格な公差、非常に接近して間を空けられる)。一般に、セグメント化ライナーは、マイクロ波プラズマプルームの環境内およびその周囲で見出されるものなどの、高密度電場におけるさらなる絶縁抵抗を提供する外管(例えば、外側の石英管)によって支持され、囲まれる。
【0007】
本技術の1つの態様は、例えばコア環状プラズマトーチまたは渦状プラズマトーチなどの、プラズマトーチのためのライナーシステムを対象とする。ライナーシステムは:下の方のケーシングセグメントの上部と、垂直に隣接したケーシングセグメントの下部との間にジョイントが形成されるように、垂直にスタックされた2つ以上のセグメント(例えば、2、3、4、またはこれより多く)を含むセグメント化ケーシングと;セグメント化ケーシングが外管の内側に配置されるようにサイズ調整され、位置づけられた外管と;外管に対して、セグメント化ケーシングの位置に位置づけ、維持するためのアライメント部材とを含む。外管、および2つ以上のケーシングセグメントのそれぞれは、マイクロ波エネルギーに対して透過的な材料からそれぞれ形成され、セグメント化ケーシング内の各ジョイントは、プラズマ漏出を最小限にするように構成される。いくつかの実施形態では、セグメント化ケーシングは、セグメント化された管、円筒形パイプもしくは導管、または、任意の適切な断面形状を有する導管もしくはチャネルの形態が可能である。
【0008】
本技術のこの態様は、以下の特徴の1つ以上を含むことができる。いくつかの実施形態では、セグメント化ライナーは、セラミックライナーであることが可能である。ツーピースのセグメント化セラミックライナーを有する実施形態では、セグメント化セラミックケーシングは、第1のケーシングセグメントと第2のケーシングセグメントとの間に配置された第1のジョイントを伴う、第1のケーシングセグメントおよび第2のケーシングセグメントを含む。スリーピースのライナーを含む実施形態では、セグメント化セラミックケーシングは、最下部ケーシングセグメントと中間部ケーシングセグメントとの間に配置された第1のジョイント、および中間部ケーシングセグメントと最上部ケーシングセグメントとの間に配置された第2のジョイントを伴う、最下部ケーシングセグメント、中間部ケーシングセグメント、および最上部ケーシングセグメントを含む。特定の実施形態では、セグメント化セラミックケーシングは、4つのケーシングセグメントを含むか、4つのケーシングセグメントから形成される。いくつかの実施形態では、5個以上(例えば、5、または6もしくは7でさえ)のケーシングセグメントが望ましいことがある。いくつかの実施形態では、ライナーシステムのアライメント部材は、外側のケーシングに配置されたリップまたはトレンチを含む。特定の実施形態では、アライメント部材は、外側のケーシング上に配置された第1の表面、およびセグメント化セラミックケーシング上に配置された第2の表面を備える。これらの実施形態では、第1の表面は、第2の表面に接続するはめ合わせ要素を含む。さらに、アライメント部材は、外管に接続可能な水冷フランジを含むことができる。いくつかの実施形態では、水冷フランジは、最上部セラミックケーシングセグメントにも接続可能である。1つ以上の実施形態では、外管は、絶縁抵抗性材料から形成される。いくつかの実施形態では、外管は、石英から形成される。特定の実施形態では、2つ以上のセグメント間に形成されるジョイントは、ラップジョイントである。他の実施形態では、形成されるジョイントは、テーパージョイントである。
【0009】
本技術の別の態様は、プラズマトーチ(例えば、コア環状プラズマトーチ、渦状プラズマトーチ)のためのライナーシステムを対象とする。このシステムは、セグメント化ライナーを形成する3つのセグメントを含む。すなわち、ライナーシステムは:最上部セラミックケーシングセグメントと、中間部セラミックケーシングセグメントと、最下部セラミックケーシングセグメントと、外管と、外管に対して最上部セラミックケーシングセグメントを位置づけるためのアライメント部材とを含む。外管は、最上部セラミックケーシングセグメント、中間部セラミックケーシングセグメント、および最下部セラミックケーシングセグメントが、外管の内部空間内に適合するようにサイズ調整され、位置づけられる。外管は、マイクロ波エネルギーに対して透過的な材料(例えば石英)から形成される。中間部セラミックケーシングセグメントは、第1のジョイントにおいて最下部セラミックケーシングセグメントの上部から垂直に伸びるようにサイズ調整され、位置づけられ;最上部セラミックケーシングセグメントは、第2のジョイントにおいて中間部セラミックケーシングセグメントの上部から垂直に伸びるようにサイズ調整され、位置づけられる。第1のジョイントは、最下部セラミックケーシングセグメントの上部、および中間部セラミックケーシングセグメントの下部を含み、第2のジョイントは、中間部セラミックケーシングセグメントの上部、および最上部セラミックケーシングセグメントの下部を含む。第1のジョイントと第2のジョイントの両方は、プラズマ漏出を最小限にするようにサイズ調整され;最上部セラミックケーシングセグメント、中間部セラミックケーシングセグメント、および最下部セラミックケーシングセグメントのそれぞれは、マイクロ波エネルギーに対して透過的なセラミック材料から形成される。
【0010】
本技術のこの態様は、以下の特徴の1つ以上を含むことができる。特定の実施形態では、第1および/または第2のジョイントは、ラップジョイントを備える。いくつかの実施形態では、第1および/または第2のジョイントは、テーパージョイントを備える。特定の実施形態では、最上部および最下部セラミックケーシングセグメントは、実質的に同じセラミック材料から形成される(例えば、両方とも、酸化アルミニウムから形成される)。いくつかの実施形態では、中間部セラミックケーシングセグメントも、実質的に同じセラミック材料から形成される(例えば、最上部、中間部、および最下部ケーシングセグメントが、酸化アルミニウムから全て形成される)。特定の実施形態では、最上部セラミックケーシングセグメントは、中間部セラミックケーシングセグメントおよび最下部セラミックケーシングセグメントと異なるセラミックから形成される。例えば、最上部セラミックケーシングセグメントは、石英から形成されるか、これを含むことができ、中間部および最下部ケーシングセグメントは、酸化アルミニウムから形成されるか、これを含むことができる。特定の実施形態では、最下部セラミックケーシングセグメントの上部、および中間部セラミックケーシングセグメントの下部は、最下部セラミックケーシングセグメント、および中間部セラミックケーシングセグメントの残りの部分と異なるセラミック材料から形成されるか、これを含むことができる。すなわち、第1のジョイントは、最下部セラミックケーシングセグメントの上部、および中間部セラミックケーシングセグメントの下部を含み、最下部および中間部ケーシングセグメントの残りの部分(第1のジョイントを形成しない部分)と異なる材料から形成される。例えば、最下部セラミックケーシングセグメントの上部、および中間部セラミックケーシングセグメントの下部は、窒化ホウ素のコーティングから形成されるか、これを含み、その一方で、最下部および中間部セラミックケーシングセグメントの残りの部分は、酸化アルミニウムから形成されることができる。特定の実施形態では、アライメント部材は、外管に配置されたリップまたはトレンチを含む。いくつかの実施形態では、アライメント部材は、外管上に配置された第1の表面、および最上部セラミックケーシングセグメント上に配置された第2の表面を含む。第1の表面は、第2の表面に接続するはめ合わせ要素を含む。特定の実施形態では、アライメント部材は、外管(および、場合によっては、最上部セラミックケーシングセグメントにも)に接続可能な水冷フランジを含む。いくつかの実施形態では、水冷フランジは、(i)外管の内表面と、(ii)最下部セラミックケーシングセグメント、中間部セラミックケーシングセグメント、および最上部セラミックケーシングセグメントの垂直のスタッキングから形成された外周面との間に、環状ギャップを作り出すために、外管に対して最上部セラミックケーシングセグメントの位置に位置づけ、実質的に維持する。環状ギャップを含む特定の実施形態では、冷却ガスを供給するためのシステムは、冷却ガスが環状ギャップに供給されるか、これに導入され得るように提供される。いくつかの実施形態では、ライナーシステムの外管は、石英から形成されるか、これを含む。外管は、コア環状プラズマトーチで使用するために、サイズ調整されることができる。他の実施形態では、外管は、渦状プラズマトーチで使用するためにサイズ調整される。実施形態のいずれかは、最上部、中間部、および最下部セラミックセグメントの長さの調整されたサイジングを含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、最上部セラミックケーシングセグメントおよび中間部セラミックケーシングセグメントは、プラズマトーチによって生成されたプラズマによって生じた極端な熱勾配の場所に、第2のジョイントが位置づけられるようにサイズ調整される。特定の実施形態では、最下部セラミックケーシングセグメントおよび中間部セラミックケーシングセグメントは、プラズマトーチによって生成されたプラズマによって生じた極端な熱勾配に対応するさらなる場所に、第1のジョイントが位置づけられるようにサイズ調整される。
【0011】
本技術の別の態様は、プラズマトーチ(例えば、コア環状プラズマトーチ、渦状プラズマトーチ)のためのライナーシステムを組み立てる方法を対象とする。方法は:少なくとも2つのセラミックセグメントを垂直にスタックすることによってセグメント化ライナーを形成することであって、少なくとも2つのセラミックセグメントのそれぞれが、垂直にスタックされた2つの隣接したセラミックセグメント間のジョイントを形成するための少なくとも1つの接続端を含む、形成することと;セグメント化ライナーを囲むように外管を位置づけることと;セグメント化ライナーをアライメント部材で外管に固定し、整列することとを含む。少なくとも2つのセラミックセグメントのそれぞれは、セラミックマイクロ波エネルギーに対して透過的な材料から形成される。いくつかの実施形態は、固定され、整列されたセグメント化ライナーと外管との間に冷却ガスを流すことをさらに含むことができる。
【0012】
本技術のさらなる態様は、プラズマトーチのためのライナーシステムを組み立てる方法を対象とする。方法は:最下部セラミックケーシングセグメント、中間部セラミックケーシングセグメント、および最上部セラミックケーシングセグメントを垂直にスタックすることによってセグメント化ライナーを形成し、これにより、最上部セラミックケーシングセグメントと中間部セラミックケーシングセグメントとの間の最上部ジョイント、および中間部ケーシングセグメントと最下部ケーシングセグメントとの間の最下部ジョイントを作り出すことと;セグメント化ライナーを囲むように外管を位置づけることであって、外管が、マイクロ波エネルギーに対して透過的である(例えば、石英外管)、位置づけることと;セグメント化ライナーをアライメント部材で外管に固定し、整列することであって、最上部、中間部、および最下部セラミックケーシングセグメントのそれぞれが、マイクロ波エネルギーに対して透過的なセラミック材料から形成される、整列することとを含む。
【0013】
本技術の別の態様は、プラズマトーチのためのライナーシステムを維持する方法を対象とする。方法は:垂直にスタックされたセグメント化セラミックライナー内の亀裂または摩耗したセグメントを検出することと;垂直にスタックされたセグメント化セラミックライナーから外側のマイクロ波透過性の管を切り離すことと;垂直にスタックされた新しいセグメント化セラミックライナーを形成するために、摩耗したセグメントを新しいセラミックセグメントで置き替えることと;垂直にスタックされた新しいセグメント化セラミックライナーを囲むように外側のマイクロ波透過性の管を位置づけることと;垂直にスタックされた新しいセグメント化セラミックライナーを外側のマイクロ波透過性の管にアライメント部材で固定し、整列することであって、垂直にスタックされた新しいセグメント化セラミックライナーが、マイクロ波エネルギーに対して透過的なセラミック材料から形成される、固定し、整列することとを含む。
【0014】
本技術の別の態様は、プラズマトーチ内のプラズマで使用するためのケーシングを含むプラズマトーチのためのライナーを対象とする。ケーシングは、マイクロ波エネルギーに対して透過的な少なくとも1つの材料から生産され、ケーシングの異なる部分が、プラズマの異なる温度勾配にさらされるように、ケーシングの所望の部分が、プラズマを包み、プラズマトーチ内のプラズマに対して所定の距離に及ぶことを可能にするように設計され、形成され、プラズマトーチ内に据え付けられる。ケーシングの材料、設計、および据付けは、耐熱衝撃性を強化し、ケーシングの摩耗能力を改善するために、ケーシングの異なる部分が互いに対して拡大および縮小することを可能にする。改善された摩耗能力は、典型的なプラズマトーチ動作中のケーシングの亀裂を防止することがないにしても減少させること、および、ケーシングを通じたプラズマ漏出を除くことがないにしても最小限にすることを、少なくとも含むことができる。本技術のこの態様は、以下の特徴の1つ以上を含むことができる。いくつかの実施形態では、ケーシングは、セラミック材料から作られる。いくつかの実施形態では、ケーシングは、ファブリックの形態で作られる。いくつかの実施形態では、ケーシングは、不織布の形態で作られる。いくつかの実施形態では、ライナーは、ケーシングの第1の端部と係合する第1の支持物、およびケーシングの第2の端部と係合する第2の支持物をも含み、第1の支持物および第2の支持物は、プラズマに対してケーシングを固定するために、プラズマトーチの一部と係合するように構成される。いくつかの実施形態では、ケーシングは、2つのセグメント間に摩擦ジョイントを伴う少なくとも2つのセグメントから作られる。
【0015】
本技術の別の態様は、プラズマトーチ内で使用するためのセグメント化ケーシングを含むプラズマトーチのためのライナーを対象とする。セグメント化ケーシングは、マイクロ波エネルギーに対して透過的な材料から形成され、実質的なセルフシーリング摩擦ジョイントがセグメント間に形成されることを可能にするように形成され、整列された少なくとも2つのセグメントを含む。ジョイントは、セグメント間のプラズマ漏出および電弧を最小限にしつつ、セグメントが互いに対して拡大および縮小することを可能にする。セグメント化ケーシングは、プラズマの異なる温度勾配にセグメントの異なる部分をさらし、これにより、プラズマトーチの動作中のセグメントの亀裂を少なくとも減少させるまたは防止することを含めて、耐熱衝撃性を強化し、摩耗能力を改善するために、互いに対して拡大および縮小するようにプラズマに対して位置づけられる。本技術のこの態様は、以下の特徴の1つ以上を含むことができる。いくつかの実施形態では、セグメントの数、サイズ、または長さが、セグメント化ケーシングに、強化された耐熱衝撃性、または改善された摩耗能力を提供するように調整される。いくつかの実施形態では、ジョイントは、改善された熱衝撃特性を有する材料で作られるか、コーティングされる。いくつかの実施形態では、ジョイントは、窒化ホウ素で作られるか、コーティングされる。いくつかの実施形態では、ジョイントは、熱せられると堅くなるようにサイズ調整され、成形される。いくつかの実施形態では、ライナーは、プラズマに対して所定の距離に及び、プラズマの異なる温度勾配にセグメントの異なる部分をさらすように、プラズマトーチのプラズマに対してケーシングを固定するための少なくとも1つのアライメント部材をも含む。
【0016】
本技術の別の態様は、プラズマトーチのプラズマを実質的に囲むための、プラズマトーチ内で使用するための、使い捨ての、細長い、非剛性のケーシングを含む、プラズマトーチのためのライナーを含むプラズマトーチのためのライナーを対象とする。ケーシングは、少なくともマイクロ波エネルギーに対して透過的であり、所望の量を拡大および縮小させることができる柔軟なセラミック材料から形成される。ライナーは、ケーシングの第1の端部と係合するように構成された第1の支持物と;ケーシングの第2の端部と係合するように構成された第2の支持物とをも含み、第1の支持物および第2の支持物は、プラズマトーチのプラズマに対してケーシングを固定するように構成される。本技術のこの態様は、以下の特徴の1つ以上を含むことができる。いくつかの実施形態では、柔軟なセラミック材料は、セラミックリボンを含む。いくつかの実施形態では、ライナーは、ケーシングの異なる部分がプラズマの異なる温度勾配にさらされ、これにより、必要に応じて使い捨てのケーシングを容易に置き替えることによって、稼働ごとにプラズマトーチ内が汚れるのを最小化しつつ、耐熱衝撃性を強化し、摩耗能力を改善し、亀裂を除くために、容易に拡大および縮小することができるように、プラズマに対して所望の位置においてプラズマトーチに第1の支持物および第2の支持物を解除可能なように固定し、ケーシングがプラズマトーチに取り付けられたとき、第1の支持物と第2の支持物との間に広がり、プラズマに対して所定の距離に及ぶことを可能にするための、第1の支持物および第2の支持物のそれぞれの解除式締結デバイスをも含む。
【0017】
本技術には非常に多くの長所がある。例えば、いくつかの実施形態では、本技術のセグメント化ライナーは、改善された耐熱衝撃性能力を提供することができる。すなわち、特定の実施形態では、ライナーのセグメント化された性質、および、ライナーの長さに沿ってライナーの材料/機械的特性を調整する能力により、本技術のライナーは、改善された耐熱衝撃性を達成する。その結果、本技術のセグメント化ライナーは、従来のライナーより亀裂または故障する可能性が低い。本技術の特定の実施形態がもつ別の長所は、改善された製造性である。セグメント化ライナーを提供することによって、製造負荷および無駄が減少される。すなわち、製造、出荷、および据付け中に壊れやすい、より長い一体型ライナーより短い、スタック可能なセラミックセグメントを作り出すことがより簡単になり、より低コストになる。本技術の別の長所は、ライナーの摩耗したまたは汚れた部分を置き替える能力である。従来のシステムでは、亀裂または不要なコーティングが、ライナーのいずれかの部分に堆積された場合、ライナー全体が置き替えられる必要がある。本技術は、亀裂したまたは傷ついたセグメントだけの置換えによって、ライナーの傷のないセグメントの再使用を可能にする。
【0018】
本発明は、添付の図面と共に行われる以下の詳細な説明から、より完全に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本技術の実施形態による、セグメント化セラミックライナーを含むコア環状プラズマトーチの断面図である。
【
図2】本技術による、セグメント化セラミックライナーの別の実施形態の断面図である。
【
図3】本技術の実施形態による、プラズマトーチのためのライナーシステムを組み立てる方法の流れ図である。
【
図4】本技術の実施形態による、プラズマトーチのためのライナーシステムを組み立てる方法の流れ図である。
【
図5】本技術の実施形態による、プラズマトーチのためのライナーシステムを維持する方法の流れ図である。
【
図6】本技術の実施形態による、軸方向のセグメント化によるセグメント化セラミックライナーの図である。
【
図7】本技術の実施形態による、円周方向のセグメント化によるセグメント化セラミックライナーの図である。
【
図8】本技術の実施形態による、斜め方向のセグメント化によるセグメント化セラミックライナーの図である。
【
図9】本技術の実施形態による、多軸セグメント化によるセグメント化セラミックライナーの図である。
【
図10】本技術の実施形態による、セラミック材料から形成された使い捨てまたは置替え可能なセラミックライナーの図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書で開示されるデバイスおよび方法の構造、機能、製造、および使用の原理の全般的な理解を提供するために、特定の例示的実施形態がここで説明される。これらの実施形態の1つ以上の例が、添付の図面に示される。具体的に本明細書で説明され、添付の図面に示されるデバイスおよび方法が、例示的実施形態を限定しないこと、ならびに、本発明の範囲が、特許請求の範囲によってのみ定義されることを当業者は理解するであろう。1つの例示的実施形態に関連して示されるか、説明される特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わされ得る。このような修正および変更は、本技術の範囲に含まれることを意図する。
【0021】
一般に、本技術の態様は、プラズマトーチ(例えば、コア環状プラズマトーチ、渦状プラズマトーチ)の用途のためのセラミックライナーに関するデバイス、システム、および方法を対象とする。セラミックライナーは、トーチの重要部であり、プラズマへの材料の輸送および送出に使用される。すなわち、セラミックライナーの少なくともいくつかの部分が、プラズマの熱状態、および周囲の環境にさらされる。セラミックライナーは、処理されることになる材料の輸送を支援するので、セラミックライナーを形成する材料は、プラズマを囲む極端な温度および温度勾配に耐えることが要求される。さらに、ライナーを形成する材料は、典型的には、サンプルを汚染すること、または、材料の高温に耐える能力を減少させることがないように、高純度材料から作られる。残念ながら、高純度セラミック材料は、所望よりも低い耐熱衝撃性(例えば、プラズマの境界に隣接して、または境界上で受けるものなどの、温度の大きな変化に耐える能力)を有する傾向がある。本開示は、改善された耐熱衝撃性を有する改善されたセラミックライナーを提供するデバイス、システム、および方法を対象とする。本開示は、プラズマトーチのためのセグメント化セラミックライナーを提供する。実施形態では、セグメント化セラミックライナー、ならびに、セグメント化ライナーを使用、組立て、および維持する方法は、従来の一体型セラミックライナーより多くの長所を提供する。例えば、セグメント化ライナーは、強化された耐熱衝撃性および/または改善された摩耗能力を提供するように調整されることができる(例えば、セグメントの材料、セグメントの長さ、セグメントのジョイント、およびセグメントの位置づけのうちの1つ以上)。
【0022】
一般に、本明細書で開示されるセグメント化セラミックライナーは、垂直に隣接した2つのセグメントを一緒に接続するジョイントを有する2つ以上のセグメント(例えば、2、3、4、5、6、またはこれより多いセグメント)から形成されることができる。ジョイントは、プラズマ漏出および電弧を最小限にするようにサイズ調整される。ほとんどの実施形態では、セグメント化された構造は、高密度電場(例えば、マイクロ波プラズマを含むおよび/または囲む環境)におけるさらなる抵抗を提供する外管によって支持され、囲まれる。一般に、外管とセグメント化ライナーの両方は、マイクロ波プラズマ環境に関連付けられた温度に耐えることができるセラミック材料から形成される。さらに、外管とセグメント化ライナーの両方は、マイクロ波エネルギーに対して透過的な材料から形成される。いくつかの例示的な材料は、石英、酸化アルミニウム、コランダムなどの酸化アルミニウムベースの材料、窒化ホウ素、窒化ケイ素、および窒化アルミニウムなどの窒化物(純粋であるか、例えば、二酸化ケイ素添加物を含む窒化ホウ素といった添加物を伴う)を含むがこれらに限定されない。セグメント化ライナーの1つ以上のジョイントは、改善された熱衝撃能力をライナーに提供するように調整されることができる。例えば、1つ以上のジョイントを形成する材料は、改善された熱衝撃特性を有する材料で作られるか、コーティングされることができる。さらに、または代替として、1つ以上のジョイントは、熱衝撃に対するより優れた耐性を提供するようにサイズ調整/構成されてもよい。例えば、大きな熱勾配の場所にジョイントを置くことによって、セグメント化ライナーは、一体型ライナーより良く、熱衝撃ベースの亀裂を防ぐことができると考えられている。セグメント化ライナーは、ライナーを形成するセグメントのそれぞれに適した材料を選択することによって、さらに調整されることができる。すなわち、セグメントの全てが同じ材料から作られる必要があるわけではない。例えば、3つのセグメント(すなわち、最上部、中間部、および最下部)を含む実施形態では、最上部セグメントは、単独で冷却されることができ、石英から作られることができ、その一方で、中間部および最下部セグメントは、酸化アルミニウムから作られることができる。追加の耐熱衝撃性を提供するために、第1および第2のジョイントは、窒化ホウ素から形成されるか、窒化ホウ素のコーティングを含むことができる。本明細書で説明される様々な構成要素のサイズ、形状、および材料は、様々な要因に応じて変更できることを当業者は認識するであろう。例えば、セグメント化ケーシング内のセグメントの数またはサイズは、異なる実施形態において変更することができる。いくつかの実施形態では、ケーシングは、ウーブンセラミック(woven ceramic)または非ウーブンセラミック材料などの単一構造を含むことができる。セラミック材料に加えてまたはその代わりに、マイクロ波放射線に対して透過的なさらなる材料がさらに使用されることができる。
【0023】
図1は、本技術による、セグメント化セラミックライナー100を含むコア環状プラズマトーチ10の概略断面図を示す。具体的には、
図1のセグメント化ライナー100は、2つのジョイントを伴う3つの個別のセグメントを含む。
図1のセグメント化セラミックライナーは、最上部セグメント105、中間部セグメント110、および最下部セグメント115を含み、これらは、セグメント化セラミックライナーを形成するように垂直にスタックされる(すなわち、最上部セグメント105の上部102から最下部セグメント115の下部104に伸びるケーシング)。垂直にスタックされた隣接したセグメントの間にはジョイントがある。第1のジョイント(または最下部ジョイント)120は、最下部セグメント115の上部122、および中間部セグメント110の下部124を含む場所に位置づけられる。第2のジョイント(または最上部ジョイント)125は、中間部セグメント110の上部126、および上部105の下部128に位置する。
【0024】
図1は、トーチ10の本体内部のセグメント化ライナー100の場所を示す。コア環状トーチは、同心円状にマウントされた3つのセラミック管:cと示された内径を有する内管11、bと示された内径を有する中管12、および、aと示された内径を有するセグメント化セラミックライナー100を含む。セグメント化セラミックライナー100を囲んでいるのは、外管または外殻114である。外管114は、アライメント部材116によって、セグメント化ライナー100から間を空けられ、アライメント部材116は、
図1では、外管114と、セグメント化ライナー100の最上部セグメント105の両方を収容するフランジを含む。
図1に示された実施形態などの特定の実施形態では、アライメント部材116は、場所7に示されるように水冷されることができる。トーチ10内のマイクロ波エネルギーを方向づけ、焦点を合わせるための、エネルギーアプリケータまたは導波路13が、
図1にまた示されている。
【0025】
トーチ10の動作中、コアガス、ベクトル環状ガス、および冷却保護ガスが、ポート2、6、および6においてそれぞれトーチ10に送出される。サンプルおよび/または前駆物質は、デバイス(図示せず)の最上部を通って入り、内管11、中管12、および、ライナーのセグメント化ライナー10の内部を、点線20に沿って通過する。サンプル/前駆物質は、導波路13の場所において、または点線20に沿った場所25において、典型的に生成されたプラズマによって処理される。
【0026】
図1に示された実施形態では、第1および第2のジョイント120、125は、ラップジョイントである。すなわち、セグメント105、110、および115の上部および/または下部は、ジョイントを形成するために、しっかりと支えられるように、はめ合ったまたは重なった形状で形成される。特に、中間部セグメント110は、最下部セグメント115の上部122と一緒に適合するように成形された下部124を有する。同様に、中間部セグメント110の上部126は、最上部セグメント105の下部128と一緒に適合するように成形される。
図1では、ジョイントの形状は、ラップ型または重複型構造であるが、他のジョイントタイプまたは構造が可能である。例えば、
図2は、垂直にスタックされた隣接した2つのセグメント間のテーパージョイントを示す実施形態を示す。ジョイントは、任意のタイプのはめ合わせ構造、重なった構造、または先細りの構造を有することができる。ジョイントを形成する部分の間のいずれかのギャップまたは間隔は、電弧およびプラズマ漏出を減少させるために最小限にされることが望ましい。その結果、重なった構造、はめ合わせ構造、または先細りの構造は、プラズマ漏出の最小化を支援するために、厳格な公差を含むほうがよい。
【0027】
外管または外殻114は、セグメント化ライナー100の構造を支持し、さらなる絶縁抵抗を提供することができる。一般に、外管114は、石英または他のマイクロ波透過性の材料から形成される。冷却ガスは、ライナー100と外管114との間のギャップに供給されることができる。
【0028】
最上部、中間部、および最下部セグメントを形成する材料は、要望通りに選択されることができる。一般に、最上部、中間部、および最下部セグメントのそれぞれは、マイクロ波放射線に対して透過的なセラミックから形成される。それでも、各セグメントは、同じ材料から、または、セグメントの隣の隣接したセグメントと異なる材料から形成されることができる。さらに、ジョイントを形成するセグメントの部分は、セグメントの残りの部分とは異なる材料で作られることができるか、コーティングされることができる。例えば、中間部セグメント110について、上部および下部126および124は、中間部セグメント110の残りまたは本体と異なる材料を含むことができる。具体的には、中間部セグメントは、酸化アルミニウムから形成されることができ、その一方で、上部および下部126および124は、窒化ホウ素または窒化ケイ素を含むことができる。
【0029】
セグメント105、110、および115の上部および下部と、それらのそれぞれの残りの部分との間の材料変更に加えて、セグメント間に材料の相違があることが可能である。例えば、最上部セグメント105は、石英から形成されてもよく、その一方で、中間部セグメント110および最下部セグメント115は、酸化アルミニウムから形成されることができる。特定の実施形態では、中間部セグメント110は、酸化アルミニウムから形成され、その一方で、最下部セグメント115は、窒化ホウ素から完全に形成される。
【0030】
ジョイント120および125の場所は、特定のトーチ10で使用されるとき、セグメント化ライナー100の強化された熱衝撃特性を提供するように設計されることができる。例えば、
図1に示されるように、ジョイント120および125は、導波路13の外側に位置づけられる。所望の場所にジョイントを位置づけるために、セグメントのそれぞれの長さは、ジョイントの配置を考慮して設定される。セグメント105、110、および115は、正確に拡大縮小するように示されていないが、最上部セグメント105の長さは、中間部セグメント110または最下部セグメント115に等しくなく、その結果、ジョイント120および125の場所に対する制御が提供されることに留意されたい。
【0031】
アライメント部材116は、外管114に対して、セグメント化ライナー100(例えば、セグメント化セラミックケーシング)の位置を位置づけ、維持することができる任意の構造から作られることができる。
図1に示された実施形態では、アライメント部材116は、外管114の周囲に伸びるフランジである。実施形態では、アライメント部材116は、外管114に組み込まれことができる。例えば、アライメント部材116は、外管114の近くのフランジまたは筐体内のリップもしくはリッジであることが可能である。セグメント化ライナー100の部分は、外管114とのセグメント化ライナー100の整列を固定するために、リップ内に適合するか、リッジに接続する。他の構造も、アライメント部材として使用されることができる。これらの構造は、外管114のうちの1つ、または、セグメント化ライナー100を形成するセグメント(例えば105、110、115)のうちの1つに統合されることができる。いくつかの実施形態では、アライメント部材は、セグメント化ライナー10と外管114の位置づけを接続し、維持する別個の構造である。アライメント部材または支持構造の異なるタイプが、異なる実施形態で使用されることができる。例えば、アライメント部材または支持構造は、プラズマトーチに対してライナーを固定するために、セグメント化ライナーの反対側の端部に位置づけされるか、これらと係合することができる。
【0032】
図2は、本技術によるセラミックライナーの別の実施形態を示す。本実施形態では、セグメント化ライナー200は、最上部セグメント205および最下部セグメント210という、ただ2つのセグメントから形成される。ジョイント220は、テーパージョイントとして示される。このタイプのジョイントは、組立て中に、隣接したセグメントがセルフセンタリングする(self-center)ことを可能にする。さらに、この構成は、プラズマの動作中に発生し得る垂直の熱成長を軽減する。理論に束縛されたくないが、セグメント210が低くなるほど熱くなるので、それは半径方向に成長すると考えられている。セグメント210が半径方向に成長すると、下の方のセグメント210は、今半径方向に伸びているが、上の方のセグメント205が、テーパージョイント220に沈みこむことを可能にし、垂直の軸方向の成長のいくらかを軽減し、さらにジョイント内のギャップを堅くする(すなわち、電弧およびプラズマ漏出を減少させる)と考えられている。
【0033】
図示の実施形態は、3つのセグメントまたは2つのセグメントを含んできたが、実践可能なまたは望ましい任意の数のセグメントは、本技術の範囲内である。さらに、
図1は、コア環状プラズマトーチ内のセグメント化ライナーを示すが、本技術のセグメント化ライナーは、任意のタイプのマイクロ波プラズマトーチで使用されることができる。例えば、セグメント化ライナーは、渦状プラズマトーチ内でも有用であることが予想される。さらに、1つ以上のジョイントの場所は、固有のトーチおよび/または動作状態のために調整されることができる。例えば、最上部セグメントをプラズマの外側に保つことが望まれる場合、最下部およびいずれかの中間部セグメントの垂直の長さは、セグメント化ライナーをトーチ内に正しく位置づけるように調整されることができ、最上部セグメントは、プラズマの外側にある。3つのセグメントを含む1つの実施形態では、中間部セグメントの高さは、導波路の高さに実質的に等しい。例えば、12.3825センチメートル(4.875インチ)の高さを有する導波路を備える実施形態では、中間部セグメントの高さも、およそ12.3825センチメートル(4.875インチ)(例えば、11.938センチメートル(4.7インチ)から12.573センチメートル(4.95インチ)まで)が可能である。導波路の高さが約6.35センチメートル(2.5インチ)の別の実施形態では、中間部セグメントの高さも、約6.35センチメートル(2.5インチ)(例えば、5.969センチメートル(2.35インチ)から6.731(2.65インチ)まで)である。
【0034】
図3および
図4を参照すると、セグメント化ライナーシステムを組み立てるための方法の2つの実施形態が示されている。
図3は、少なくとも2つのセラミックセグメントのスタッキングを伴う方法を示し、その一方で、
図4は、最上部、中間部、および最下部セラミックケーシングセグメントのスタッキングに関する。
図3の方法300は、3つのステップを含む。ステップ305において、セグメント化ライナーは、少なくとも2つのセラミックセグメントを垂直にスタックすることによって形成され、少なくとも2つのセラミックセグメントのそれぞれが、垂直にスタックされた2つの隣接したセラミックセグメント間のジョイントを形成するための少なくとも1つの接続端を含む。ステップ307において、セグメント化ライナーを囲むように外管が位置づけられる。最後に、ステップ309において、セグメント化ライナーは、セグメント化ライナーシステムを形成するように、アライメント部材で外管に固定され、整列される。任意選択として、いくつかの実施形態は、固定され、整列されたセグメント化ライナーと外管との間に冷却ガスを提供し、流す追加のステップを備える。この任意選択のステップは、典型的には、ステップ309に続くが、いくつかの実施形態では、ステップ307に続いてもよい。
【0035】
図4に示す方法400は、最上部、中間部、および最下部セラミックケーシングセグメントを含むセグメント化ライナーシステムの組立ての方法を示す。ステップ405は:最下部セラミックケーシングセグメント、中間部セラミックケーシングセグメント、および最上部セラミックケーシングセグメントを垂直にスタックすることによってセグメント化ライナーを形成し、これにより、最上部セラミックケーシングセグメントと中間部セラミックケーシングセグメントとの間の最上部ジョイント、および中間部ケーシングセグメントと最下部ケーシングセグメントとの間の最下部ジョイントを作り出すことを含む。ステップ407は:セグメント化ライナーを囲むように外管を位置づけることを含み、外管は、マイクロ波エネルギーに対して透過的である(例えば、石英外管)。また、ステップ409は:セグメント化ライナーをアライメント部材で外管に固定し、整列させることを含み、最上部、中間部、および最下部セラミックケーシングセグメントのそれぞれが、セラミックマイクロ波エネルギーに対して透過的な材料から形成される。
【0036】
本技術のセグメント化ライナーシステムの組立ては、メンテナンスを通じたセラミックライナーの伸びた寿命、および/または、互いに交換可能な部品を通じてセグメント化セラミックライナーの部分を調整もしくは変更する能力という長所を含む多くの長所を提供する。
図5は、これらの一般的な原理による、ライナーシステムを維持する方法を示す。
図5に示す流れ図では、方法500は、5つのステップを含む。ステップ505において、垂直にスタックされたセグメント化セラミックライナー内の亀裂または摩耗したセグメントが検出または識別される。次に、ステップ510において、垂直にスタックされたセグメント化セラミックライナーから外側のマイクロ波透過性の管が切り離される。ステップ515において、摩耗したセグメント(または亀裂したセグメント)は、垂直にスタックされた新しいセグメント化セラミックライナーを形成するために、新しいセラミックセグメントで置き替えられる。ステップ520において、外側のマイクロ波透過性の管は、垂直にスタックされた新しいセグメント化セラミックライナーを囲むように位置づけられる。また最後に、ステップ525において、垂直にスタックされた新しいセグメント化セラミックライナーは、外側のマイクロ波透過性の管にアライメント部材で固定され、整列される。
【0037】
方法500は、維持する方法として説明されてきたが、この方法は、また、トーチ動作状態の特定のセットのためにセラミックライナーを調整する方法として、当業者によって使用または適合され得ることに留意されたい。具体的には、亀裂または摩耗したセグメントを検出する代わりに、ジョイントの新しい配置(例えば、トーチ本体内部の新しいジョイントの場所)、またはセグメントの少なくとも一部のための新しい材料の選定が、所望の動作状態に基づいて識別される。次に、摩耗したセグメントを置き替える代わりに、識別ステップによる、置き替えられたセグメント内の新しいジョイントの場所および/または新しい材料を提供するために、セグメントが置き替えられる。いくつかの実施形態では、ケーシングが使い捨てまたは置替え可能なケーシングの場合、ライナーシステムを維持することは、置替え可能なケーシングの亀裂または摩耗した部分を識別すること、および、プラズマトーチに対してケーシングを固定する1つ以上の支持構造からケーシングを除去することを含むことができる。傷ついたまたは摩耗したケーシングが除去されると、新しいケーシングが支持構造に取り付けられ、プラズマトーチに対して固定されることができる。いくつかの実施形態では、置替え可能なケーシングは、例えば稼働ごとに汚れるのを最小限にするために、摩耗していなくても、置き替えられることができる。
【0038】
図6は、本技術の実施形態による、軸方向のセグメント化によるセグメント化セラミックライナー600を示す。本実施形態では、セグメント化セラミックライナー600は、軸方向にセグメント化されたいくつかのライナーセグメント601を含み、ジョイント603は、軸方向の熱膨張による応力を軽減するために、ライナーセグメント601のそれぞれの間に位置する。
【0039】
図7は、本技術の実施形態による、円周方向のセグメント化によるセグメント化セラミックライナー700を示す。本実施形態では、セグメント化ライナー700は、図示のジョイント703にわたってセグメント化されたいくつかのライナーセグメント701を含む。このような配置構成は、円筒形のライナー700の円周に沿った熱膨張によるフープ応力を緩和させることができる。1つの実施形態では、4つのジョイント703は、円筒形ライナー700を分割して、4つの等しくサイズ調整されたライナーセグメント701にする。
【0040】
図8は、本技術の実施形態による、斜め方向のセグメント化によるセグメント化セラミックライナー800を示す。本実施形態では、セグメント化ライナー800は、斜めのジョイント803にわたってセグメント化されたいくつかのライナーセグメント801を含む。このような配置構成は、
図6を参照して上記で論じられた軸方向以外の軸もしくは方向に沿った、または、
図7を参照して論じられたような円周に沿った応力を緩和させることができる。
【0041】
1つ代替実施形態では、セラミックライナー800は、セラミックライナーの周りにらせんを描く単一のジョイント803を伴う、らせん状形状に巻き付けられたコイル状のセラミックリボン、またはセラミックリボンなどの、柔軟なセラミック材料を含むことができる。このような実施形態では、セラミックライナー800を所定の位置に固定するために、セラミックライナー800を囲むか、またはセラミックライナー800の反対端にある、1つ以上のアライメント部材が使用されることができる。
【0042】
図9は、本技術の実施形態による、多軸セグメント化によるセグメント化セラミックライナー900を示す。本実施形態では、セグメント化ライナー900は、多数の軸にわたる熱膨張による応力を同時に最小限にするために、斜めのジョイント903、および縦方向のジョイント905で分離された、いくつかのセグメント901を含むことができる。
【0043】
図10は、本技術の実施形態による、セラミック材料から形成された使い捨てまたは置替え可能なセラミックライナー1000を示す。熱膨張による応力を最小限にするため、ならびに稼働ごとに汚れるのを最小限にするために、使い捨てまたは置替え可能なライナーが、織布または不織布などのセラミック材料1001から作り出されることができる。いくつかの実施形態では、セラミック材料は、柔軟なセラミック材料が可能である。本実施形態では、セラミック材料1001は、第1の支持物1003および第2の支持物1005を使用して広げられるか、サポートされることができる。1つの実施形態では、第1の支持物1003は、セラミック材料1001の第1の端部と係合することができ、一方で、第2の支持物1005は、セラミック材料1001の第2の端部と係合することができる。第1の支持物1003および第2の支持物1005は、支持ブラケットを含めることができ、セラミックライナー100の端部は、セラミックライナー100を置き替えるために、ブラケットに取り付けられること、またはブラケットから離されることができる。いくつかの実施形態では、プラズマトーチに支持物を解除可能なように固定するために、および、プラズマに対して所望の位置にセラミックライナー100を位置づけるために、解除式締結デバイスが支持物に含められることができる。いくつかの実施形態では、支持物は、固有の締結デバイスがなくてもプラズマトーチの一部の上に置かれるか、これと係合するように設計されることができる。
【0044】
当業者は、上述の実施形態に基づき、本発明のさらなる特徴、長所、および構成を理解するであろう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲によって示されるものを除いて、特に示され、説明されてきたもので限定されるべきではない。本明細書で引用された全ての公報および引用は、引用によりその全体が本明細書に明確に組み込まれる。