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特許7504123カテーテルチューブの一部を滅菌するための滅菌装置およびカテーテルチューブの一部を滅菌するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-13
(45)【発行日】2024-06-21
(54)【発明の名称】カテーテルチューブの一部を滅菌するための滅菌装置およびカテーテルチューブの一部を滅菌するための方法
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/10 20060101AFI20240614BHJP
【FI】
A61L2/10
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021560455
(86)(22)【出願日】2020-04-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-01
(86)【国際出願番号】 DK2020050089
(87)【国際公開番号】W WO2020200389
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2023-04-03
(31)【優先権主張番号】PA201970218
(32)【優先日】2019-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(73)【特許権者】
【識別番号】521442073
【氏名又は名称】ビオバク、アンパルトゼルスカブ
【氏名又は名称原語表記】VIOBAC APS
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 卓久
(72)【発明者】
【氏名】カスパ、ストーム、ケッペン
(72)【発明者】
【氏名】マッズ、ウアベク、アンデルセン
(72)【発明者】
【氏名】アンドリム、ハリリ
【審査官】森 健一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/120620(WO,A1)
【文献】国際公開第2010/036617(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第108771778(CN,A)
【文献】国際公開第02/102421(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/10
A61M
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテルチューブの一部を滅菌するための滅菌装置であって、
ケーシングであって、近位端部と、遠位端部と、取付け部分と、滅菌チャンバと、前記取付け部分および前記滅菌チャンバの両方を貫通して延びる貫通孔とを備え、前記貫通孔は、前記ケーシングの前記遠位端部に位置しかつ前記滅菌チャンバ内へ通じた遠位開口を有し、前記取付け部分は、カテーテルチューブの一部を前記貫通孔に保持するように構成されている、ケーシングと
菌光を前記ケーシングの前記滅菌チャンバ内へ放出するように構成された少なくとも1つの光源と、
を備え、
前記貫通孔の前記遠位開口の直径は、前記ケーシングの前記取付け部分における前記貫通孔の直径よりも大きく、
これにより、前記カテーテルチューブが前記ケーシングの前記取付け部分によって前記貫通孔に保持されているとき、前記カテーテルチューブと前記滅菌装置の前記遠位開口との間の空隙を細菌が横切ることを防止するように前記遠位開口における前記滅菌チャンバと、前記カテーテルチューブとの間に前記空隙が形成されている、
滅菌装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの光源は、前記遠位開口に対して所定の距離を置いて位置し、これにより、前記少なくとも1つの光源によって直接放出された光は、前記ケーシングの前記滅菌チャンバまたは、存在する場合には、前記ケーシングの前記貫通孔に位置するカテーテルチューブによって受け取られる、請求項1記載の滅菌装置。
【請求項3】
前記滅菌チャンバは、前記少なくとも1つの光源と前記遠位開口との間に延びる壁面を備え、前記遠位開口は、前記壁面の境界を形成しており、これにより、前記カテーテルチューブが前記貫通孔に位置しているとき、前記壁面と前記カテーテルチューブとの間に管状の空隙が形成されており、前記管状の空隙は、前記遠位開口から前記滅菌チャンバ内へ延びている、請求項1または2記載の滅菌装置。
【請求項4】
前記滅菌チャンバにおいて前記カテーテルチューブをセンタリングするように構成されたセンタリング部材をさらに備える、請求項1から3までのいずれか1項記載の滅菌装置。
【請求項5】
前記遠位開口の直径は、前記取付け部分における前記貫通孔の直径または前記貫通孔に位置することができる前記カテーテルチューブの直径の少なくとも1.1倍である、請求項1から4までのいずれか1項記載の滅菌装置。
【請求項6】
前記ケーシングの前記取付け部分によってカテーテルチューブを前記ケーシングに取り付けることができる開放位置、および/または
前記ケーシングの前記取付け部分に既に存在するカテーテルチューブの一部を保持することができる閉鎖位置
を有する、請求項1から5までのいずれか1項記載の滅菌装置。
【請求項7】
前記ケーシングは、ヒンジによって相互接続された2つの部分を備え、前記ヒンジは、前記開放位置および前記閉鎖位置に設定可能であり、
前記開放位置において前記貫通孔への半径方向アクセス通路が提供されており、これにより、前記カテーテルチューブの一部を前記貫通孔内へ半径方向で挿入することができ、かつ/または
前記閉鎖位置において前記ケーシングの前記2つの部分は前記貫通孔を包囲しており、これにより、前記ケーシングの前記取付け部分に既に存在する前記カテーテルチューブの一部を少なくとも半径方向で保持することができる、
請求項6記載の滅菌装置。
【請求項8】
前記滅菌装置は、制御装置および検出装置を備え、
前記制御装置は、前記ケーシングが閉鎖位置にあることを前記検出装置が検出したとき、前記少なくとも1つの光源に、滅菌光を放出することを開始させるように構成されており、かつ/または
前記制御装置は、前記ケーシングが開放位置にあることを前記検出装置が検出したとき、前記少なくとも1つの光源に、滅菌光を放出することを停止させるように構成されている、
請求項1から7までのいずれか1項記載の滅菌装置。
【請求項9】
前記ケーシングは、前記滅菌装置の外側に面するように構成された外面を有し、前記外面は、流線形の湾曲した形状を有する、請求項1から8までのいずれか1項記載の滅菌装置。
【請求項10】
前記近位端部から前記遠位端部までの前記滅菌装置の最大軸線方向長さは、前記滅菌装置の最大外径の少なくとも1.1倍である、請求項1から9までのいずれか1項記載の滅菌装置。
【請求項11】
軟で弾性的な材料から成る近位部分をさらに備える、請求項1から10までのいずれか1項記載の滅菌装置。
【請求項12】
抗菌または細菌忌避コーティングをさらに備える、請求項1から11までのいずれか1項記載の滅菌装置。
【請求項13】
前記滅菌チャンバにUV反射ゾーンが設けられている、請求項1から12までのいずれか1項記載の滅菌装置。
【請求項14】
カテーテルチューブの一部を滅菌するための方法であって、
請求項1から13までのいずれか1項記載の滅菌装置と、カテーテルチューブとを提供するステップと、
前記カテーテルチューブの一部を前記滅菌装置の貫通孔に位置させるステップと、
少なくとも1つの光源に、滅菌光を前記カテーテルチューブの一部へ放出させ、これにより、前記カテーテルチューブの前記一部を滅菌するステップと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カテーテルチューブ用の滅菌装置およびカテーテルチューブの一部を滅菌するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な医療行為の間、例えば、流体を供給または除去する、薬物を投与するまたは広範囲の様々なタスクを行うために、ときとして、患者の体内への人工的なアクセス通路が必要とされる。このために、カテーテルチューブは、患者の身体の開口を通じて挿入されてよく、その際、カテーテルチューブの体内チューブ部分は体内、すなわち、患者の体内に位置し、体外チューブ部分は、体外、すなわち、患者の体外に位置する。幾つかの場合、このカテーテルチューブは、長期間にわたって患者に配置されたままであり、これにより、体外チューブ部分の内側および/または外側に沿って細菌が移動し、体内チューブ部分に達し、ひいては、患者の体内に侵入し、これにより、患者の感染のリスクをもたらす。このことを防止するために、滅菌装置をカテーテルチューブに接続し、カテーテルチューブの体外チューブ部分に滅菌強度で紫外光を放出し、これにより、滅菌し、感染を防止することができる。欠点は、滅菌強度の紫外光が患者にとって発がん性の可能性があるということである。紫外光源を包囲する光シールドが使用されることが多く、外部への紫外光の過剰な漏れを防止するが、幾つかの場合、細菌は、光シールドの外側を移動することによって滅菌光を避けてしまい、これにより、装置の滅菌能力を低減させる。付加的に、患者はときに姿勢を変える必要があるので、滅菌装置が患者の下敷きになることがあり、床ずれまたは褥瘡を生じさせる恐れがある。
【0003】
この背景に鑑みて、本開示の目的は、改善された滅菌能力を有しかつ/または紫外光の漏れが安全なレベルに減じられるかまたは排除すらされる滅菌装置を提供することであると見なされてよい。
【0004】
これらの目的のうちの1つ以上は、以下に記載の本開示の態様によって達成されてよい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1の態様は、カテーテルチューブの一部を滅菌するための滅菌装置であって、
ケーシングであって、近位端部と、遠位端部と、取付け部分と、滅菌チャンバと、取付け部分および滅菌チャンバの両方を貫通して延びる貫通孔とを備え、貫通孔は、ケーシングの遠位端部に位置しかつ滅菌チャンバ内へ通じた遠位開口を有し、取付け部分は、カテーテルチューブの一部を貫通孔に保持するように構成されている、ケーシングと、
紫外光などの滅菌光をケーシングの滅菌チャンバ内へ放出するように構成された少なくとも1つの光源と、
を備え、
貫通孔の遠位開口の直径は、ケーシングの取付け部分における貫通孔の直径よりも大きく、これにより、カテーテルチューブがケーシングの取付け部分によって貫通孔に保持されているとき、遠位開口における滅菌チャンバと、カテーテルチューブとの間に空隙が形成されている、
滅菌装置に関する。
【0006】
本開示による滅菌装置の利点は、カテーテルチューブと滅菌装置の遠位開口との間の空隙を細菌が横切ることが防止され、これにより、細菌を滅菌チャンバ内へ移動させ、滅菌することにより、細菌が滅菌装置を避けてしまうことが軽減または排除されるということであってよい。
【0007】
チューブ軸線は、ケーシングの近位端部からケーシングの遠位端部まで延びていてよい。貫通孔は、チューブ軸線に対して平行に延びていてよい。
【0008】
ケーシングは、少なくとも1つの光源によって放出された光の少なくとも同じ波長において紫外光を吸収するように構成された、ポリマー材料などの材料を含んでよいかまたはこのような材料から基本的に成ってよい。ケーシングは、チューブ軸線を中心として周方向に延びていてよい。ケーシングの滅菌チャンバおよび/または取付け部分は、チューブ軸線を中心として周方向に延びていてよい。ケーシングの近位端部は、患者に向けられることが意図されており、ケーシングの遠位端部は、患者から離れる方向へ向けられることが意図されている。これによって、患者に向かってカテーテルチューブに沿って移動する細菌が、患者に侵入する前に滅菌されることを保証することができる。
【0009】
取付け部分の貫通孔の直径は、貫通孔に位置するカテーテルチューブの外径に実質的に対応してよい。取付け部分は、貫通孔に位置するカテーテルチューブの一部を保持するように構成された少なくとも1つのリブを備えてよい。取付け部分は、貫通孔に位置されたカテーテルチューブの一部を軸線方向で保持しかつ/または半径方向で保持するように構成されてよい。
【0010】
滅菌チャンバには、カテーテルチューブが貫通孔に位置しているときでさえ空気が満たされていてよい。
【0011】
貫通孔は、実質的に貫通孔の遠位端部から貫通孔の近位端部まで、チューブ軸線に対して垂直な実質的に円形の断面を有してよい。ケーシングのチューブ軸線は、貫通孔の中心線を形成してよい。
【0012】
遠位開口は、貫通孔の一方の端部に位置されてよい。遠位開口は、滅菌チャンバに隣接して位置されてよい。遠位開口は、滅菌チャンバに直接通じていてよい。遠位開口は、典型的には円筒形のカテーテルチューブの周囲に空隙の実質的に均一な半径方向範囲を提供するために、実質的に円形であってよい。遠位開口は、カテーテルチューブと実質的に同じ形状であってよい。
【0013】
遠位開口は、細菌がカテーテルチューブの外面からケーシングまで空隙を横切ることを防止するために、十分に大きな直径を有してよい。
【0014】
特定の位置における一定でない貫通孔直径の場合、前記特定の位置、例えば、取付け部分または遠位開口における貫通孔の直径は、前記位置において最大直径として規定されてよい。
【0015】
少なくとも1つの光源は、滅菌光を放出するように構成された発光ダイオード(LED)であってよい。滅菌装置は、付加的にまたは代替的に、少なくとも2つ、3つ、4つ、5つまたはそれよりもさらに多い光源を備えてよい。
【0016】
少なくとも1つの光源は、滅菌チャンバに位置されたカテーテルチューブの一部の外面および内面を滅菌するために、ケーシングの滅菌チャンバ内へ紫外光を放出するように構成されてよい。
【0017】
滅菌装置は、回路および/または1つ以上のバッテリなどの電源を備えてよい。回路は、少なくとも1つの光源および/または電源に接続されてよい。バッテリなどの電源は、少なくとも1つの光源に電力を供給するように構成されてよい。
【0018】
少なくとも1つの光源によって放出される滅菌光は、10~400nmの範囲または100~400nmの範囲または100~315nmの範囲の波長を有する紫外線B波(UVB)光および/または紫外線C波(UVC)光などの紫外光(UV)、特に305~315nmの範囲の波長を有する紫外線B波(UVB)または260~270nmの範囲の波長を有する紫外線C波(UVC)光であってよい。
【0019】
本開示では、チューブの一部とは、前記チューブの軸線方向部分または長手方向部分であると理解されてよい。
【0020】
本開示では、カテーテルチューブは、生まれつきのまたは人工的な開口を通じて患者の身体に接続されるために適した医療用チューブであると定義されてよく、ドレナージチューブ、薬剤投与チューブまたは医療機器用の管状アクセス通路として機能してよい。
【0021】
付加的にまたは代替的に、少なくとも1つの光源は、遠位開口に対して所定の距離を置いて位置しており、これにより、少なくとも1つの光源によって直接放出された光は、ケーシングの滅菌チャンバまたは、存在する場合には、ケーシングの貫通孔に位置されたカテーテルチューブによって受け取られてよいかまたは場合により実質的に滅菌チャンバもしくはカテーテルチューブによってのみ受け取られてよい。
【0022】
これにより、遠位開口からの紫外光の漏れが安全なレベルに低減されるかまたは排除すらされるという利点を提供することができる。
【0023】
付加的にまたは代替的に、少なくとも1つの光源は、滅菌チャンバの近位端部に位置しており、これにより、少なくとも1つの光源によって直接放出された光は、ケーシングの滅菌チャンバまたは、存在する場合には、ケーシングの貫通孔に位置されたカテーテルチューブによって受け取られてよいかまたは場合により実質的に滅菌チャンバもしくはカテーテルチューブによってのみ受け取られてよい。
【0024】
付加的にまたは代替的に、少なくとも1つの光源は、少なくとも1つの光源から放出された光が遠位開口から漏れることを防止するように位置してよい。
【0025】
付加的にまたは代替的に、少なくとも1つの光源は、放出された光の光線が、遠位開口から直接漏れないように構成されてよい。
【0026】
付加的にまたは代替的に、少なくとも1つの光源と滅菌チャンバとの間に光井戸が位置してよく、これにより、光井戸から滅菌チャンバ内へ出射する光源からの光が実質的に円筒形となる。
【0027】
付加的にまたは代替的に、少なくとも1つの光源は、複数の光線を円錐にて滅菌チャンバ内へ放出してよく、前記円錐の周面は、遠位開口と直接交差せず、これにより、光が遠位開口から直接漏れることはない。
【0028】
本開示では、放出された光線に関する「直接」とは、光源から、放出された光線の衝突点までの直線として定義されてよく、これにより、反射または屈折された光線を意味するものではない。
【0029】
付加的にまたは代替的に、滅菌チャンバは、少なくとも1つの光源と遠位開口との間に延びる壁面を備え、遠位開口は、壁面の境界を形成しており、これにより、カテーテルチューブが貫通孔に位置しているとき、壁面とカテーテルチューブとの間に管状の空隙が形成されており、管状の空隙は、遠位開口から滅菌チャンバ内へ延びていてよい。
【0030】
これにより、空隙が滅菌チャンバ内へ延びており、ひいては、細菌が滅菌チャンバ内へ移動させられ、滅菌されるので、滅菌装置の滅菌特性が改善されるという利点を提供することができる。
【0031】
壁面は、貫通孔の、周方向および軸線方向に延びる内面を形成してよい。
【0032】
付加的にまたは代替的に、滅菌装置は、滅菌チャンバにおいてカテーテルチューブをセンタリングするように構成された1つ以上のセンタリング部材を備えてよい。
【0033】
これにより、滅菌装置の滅菌特性を改善することができる。なぜならば、センタリング部材により、空隙がカテーテルチューブの全周に延びている、すなわち、カテーテルチューブが滅菌チャンバの遠位開口または壁面と接触しないことが保証されるからである。これにより、細菌が滅菌チャンバを避けてしまうことが防止される。
【0034】
センタリング部材は、滅菌チャンバに位置されたカテーテルチューブの一部に、場合により弾性変形によってかつ/またはカテーテルチューブの一部に嵌まることによって取り付けられるようにさらに構成されたチューブホルダとして提供されてよい。センタリング部材は、場合により片持ち梁としてケーシングの取付け部分に固定され、この取付け部分から延びていてよい。センタリング部材は、UV半透過性または好ましくはUV透過性の材料から基本的に成ってよい。
【0035】
付加的にまたは代替的に、遠位開口の直径は、取付け部分における貫通孔の直径または貫通孔に位置することができるカテーテルチューブの直径の少なくとも1.1倍であってよい。
【0036】
遠位開口は、貫通孔に位置することができるカテーテルチューブの直径の少なくとも1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍または2.0倍であってよい。
【0037】
これによって、カテーテルチューブが滅菌チャンバの壁面の遠位開口と接触するリスクが、より大きな直径の遠位開口により低減されるので、装置の滅菌能力を改善することができる。
【0038】
付加的にまたは代替的に、滅菌装置は、
ケーシングの取付け部分によってカテーテルチューブをケーシングに取り付けることができる開放位置、および/または
ケーシングの取付け部分に既に存在するカテーテルチューブの一部を保持することができる閉鎖位置
を有してよい。
【0039】
これにより、滅菌装置を、患者の体内に既に位置された部分と共に、カテーテルチューブの体外部分に取り付けることができ、これにより、装置の有用性を高めることができる。
【0040】
付加的にまたは代替的に、ケーシングは、一体ヒンジ、ピンアンドナックルまたはフローティングヒンジなどのヒンジによって相互接続された2つの部分を備えるかまたは2つの部分から成り、ヒンジは、開放位置および閉鎖位置に設定可能であり、
開放位置において貫通孔への半径方向アクセス通路が提供されており、これにより、カテーテルチューブの一部を貫通孔内へ半径方向に挿入することができ、かつ/または
閉鎖位置においてケーシングの2つの部分は貫通孔を包囲しており、これにより、ケーシングの取付け部分に既に存在するカテーテルチューブの一部を少なくとも半径方向で保持することができる。
【0041】
これにより、特に機械的に単純な配置形態という利点を提供することができる。
【0042】
2つの部分は、開放位置において互いに所定の距離を置いて位置してよい。
【0043】
ヒンジは、一体ヒンジであってよく、一体ヒンジは、ヒンジを清掃することがより簡単であるので、この目的に特に適することができる。ヒンジは、代替的に、ピンアンドナックルヒンジまたはフローティングヒンジであってもよい。
【0044】
開放位置では、半径方向アクセス通路が貫通孔に提供されてよく、これにより、カテーテルチューブを貫通孔に半径方向で挿入することができる。
【0045】
付加的にまたは代替的に、ケーシングの2つの部分は、ケーシングの半体の形態であり、ヒンジのヒンジ軸線を中心として可動であってよく、ヒンジ軸線は貫通孔のチューブ軸線に対して平行である。
【0046】
付加的にまたは代替的に、滅菌装置は、制御装置および検出装置を備え、
制御装置は、ケーシングが閉鎖位置にあることを検出装置が検出したとき、少なくとも1つの光源に、滅菌光を放出することを開始させるように構成されており、かつ/または
制御装置は、ケーシングが開放位置にあることを検出装置が検出したとき、少なくとも1つの光源に、滅菌光を放出することを停止させるように構成されていてよい。
【0047】
閉鎖位置において光の放出を開始させる利点は、カテーテルチューブに嵌合されると装置をオンに切り換える必要がないので、装置の滅菌能力を改善することを含むことができる。
【0048】
開放位置において光の放出を停止させる利点は、発がん性の影響を与える恐れがある紫外光の漏れを防止しかつエネルギを節約することを含むことができる。
【0049】
付加的または代替的に、滅菌装置は、制御装置および検出装置を備え、
制御装置は、ケーシングがカテーテルチューブに取り付けられかつ/または閉鎖位置にあることを検出装置が検出したとき、少なくとも1つの光源に、滅菌光を放出することを開始させるように構成されており、かつ/または
制御装置は、ケーシングがカテーテルチューブから取り外されかつ/または開放位置にあることを検出装置が検出したとき、少なくとも1つの光源に、滅菌光を放出することを停止させるように構成されている。
【0050】
付加的にまたは代替的に、滅菌装置は、制御装置および検出装置を備え、
制御装置は、ケーシングがカテーテルチューブに取り付けられたことを検出装置が検出したとき、少なくとも1つの光源に、滅菌光を放出することを開始させるように構成されており、かつ/または
制御装置は、ケーシングがカテーテルチューブから取り外されたことを検出装置が検出したとき、少なくとも1つの光源に、滅菌光を放出することを停止させるように構成されている。
【0051】
付加的にまたは代替的に、検出装置は、ピンを備えてよく、制御装置は、スイッチを備えてよく、
ピンは、ケーシングが閉鎖位置にあるとき、スイッチと接触し、少なくとも1つの光源に、滅菌光を放出することを開始させ、
ピンは、ケーシングが開放位置にあるとき、スイッチに対して所定の距離を置いて位置し、少なくとも1つの光源に、滅菌光を放出することを停止させる。
【0052】
検出装置は、ピンがスイッチと接触しているとき、閉鎖位置を示す第1の信号を生成してよい。検出装置は、ピンがスイッチと接触していないとき、開放位置を示す第2の信号を生成してよい。検出装置は、第1および/または第2の信号を制御装置に提供してよく、少なくとも1つの光源からの光の放出を制御する。
【0053】
ピンは、ケーシングの一部に位置してよく、スイッチは、ケーシングの別の部分に位置してよい。
【0054】
付加的にまたは代替的に、ケーシングは、滅菌装置の外側に面するように構成された外面を有し、外面は、流線形の湾曲した形状を有してよい。
【0055】
これにより、患者が装置の上に寝たり座ったりすることによって患者に褥瘡が生じてしまうリスクを最小限にするという利点を提供することができる。
【0056】
付加的にまたは代替的に、ケーシングの外面は、エッジなどの不連続部を備えることはない。
【0057】
付加的にまたは代替的に、ケーシングの外面は、場合により近位端部から遠位端部までケーシングの軸線方向範囲に沿ってかつ/またはケーシングの周方向範囲に沿って流線形および/または湾曲形状を有してよい。
【0058】
付加的にまたは代替的に、ケーシングの外面は、ケーシングの内部よりも柔軟であってよい材料、場合によりその材料の外側層を備えてよい。材料は、ゴムなどのエラストマーであってよい。
【0059】
付加的にまたは代替的に、場合によりチューブ軸線に沿った近位端部から遠位端部までの滅菌装置の最大軸線方向長さは、滅菌装置の最大外径の少なくとも1.1倍、1.2倍、1.3倍または1.4倍である。
【0060】
付加的にまたは代替的に、滅菌装置は、チューブ軸線を中心とする最大外径と、中心軸線に沿って延びる長さとを有してよく、長さは、最大外径の少なくとも1.1倍、1.2倍、1.3倍または1.4倍である。
【0061】
滅菌装置は、発泡材またはシリコーンなどの柔軟で弾性的な材料から成る近位部分を備えてよい。これにより、カテーテルを身体に進入させるときに通る患者の身体の開口の近くでカテーテルに滅菌装置を取り付けることができる。材料の柔軟性および弾性は、滅菌装置との接触による刺激および褥瘡のリスクを減じ、これにより、このような近位部分を備えない滅菌装置の場合よりも滅菌装置を身体のより近くに位置することができることを意味する。したがって、滅菌装置から身体まで延びるカテーテルチューブの部分ひいては細菌が滅菌装置を迂回してしまうカテーテル上の領域を最小限にすることができる。
【0062】
付加的に、柔軟で弾性的な材料から形成された近位部分の提供により、患者が動くときなどに装置およびカテーテルチューブがずれることを低減することができる。言い換えると、カテーテルチューブが意図せずに患者の身体における開口を通ってさらに内部へ移動するリスクまたは開口から出るリスクが低減され、これにより、やはり感染のリスクを低減することができる。
【0063】
柔軟で弾性的な材料は、例えば、ポリウレタンなどの発泡ポリマーまたはシリコーンであってよい。
【0064】
感染のリスクをさらに低減するために、近位部分または滅菌装置全体は、抗菌または細菌忌避コーティングで被覆されてよい。
【0065】
近位部分は、滅菌装置がカテーテルチューブに取り付けられたとき、糊、接着剤またはテープによって互いに接続することができる2つの半体から成ってよい。このことは、滅菌装置の残存部分も2つの半体を備える場合に特に有利である。糊、接着剤またはテープをこれらが使用されるまで保護するためのカバーシートが提供されてよい。しかしながら、滅菌装置の近位部分および/または本体は、1つの部分でまたは3つ以上の相互接続された構成部材から形成されてもよい。
【0066】
滅菌チャンバにUV反射ゾーンが設けられてよい。紫外光を反射させることによって、UV曝露が増大させられ、これにより、滅菌効率が潜在的に増大させられる。
【0067】
滅菌装置は、カテーテルチューブをさらに備えてよい部品のキットの一部を形成してよく、滅菌装置は、カテーテルチューブの一部の周囲に位置し、遠位開口の直径は、カテーテルチューブの外径よりも大きい。
【0068】
周囲に滅菌装置が位置するカテーテルチューブの部分は、カテーテルチューブの体外部分であってよい。
【0069】
このような部品のキットによって、カテーテルチューブに沿って移動する細菌が滅菌装置を避けてしまうことを防止するという利点を提供することができる。なぜならば、細菌がカテーテルチューブと滅菌装置の遠位開口との間の空隙を横切ることが防止され、これにより、細菌を滅菌チャンバ内へ移動させ、細菌が滅菌されるからである。
【0070】
本開示の第2の態様は、カテーテルチューブの一部を滅菌するための方法であって、
第1の態様による滅菌装置と、カテーテルチューブとを提供するステップと、
カテーテルチューブの一部を滅菌装置の貫通孔に位置させるステップと、
少なくとも1つの光源に、滅菌光をカテーテルチューブの一部へ放出させ、これにより、カテーテルチューブの前記一部を滅菌するステップと
を含む、方法に関する。
【0071】
このような方法の利点は、細菌が滅菌装置を避けてしまうことを軽減または排除することができることである。なぜならば、細菌がカテーテルチューブと滅菌装置の遠位開口との間の空隙を横切ることが防止され、これにより、細菌が滅菌チャンバ内へ移動させられ、細菌が滅菌されるからである。
【0072】
カテーテルチューブの一部を滅菌装置の貫通孔に位置させるステップは、滅菌装置を開放位置に設定する潜在的に事前のステップおよび/または滅菌装置を閉鎖位置に設定する潜在的に事後のステップを含んでよい。
【0073】
本開示の第3の態様は、カテーテルチューブの一部を滅菌するための第1の態様による滅菌装置の使用に関する。
【0074】
本発明による滅菌装置は、可能性として、人間または動物の身体における開口を通じて進入するあらゆるカテーテルチューブに使用されてよい。本発明による滅菌装置は、現時点では、尿道、血管、腹腔、骨盤腔、胸腔、頭蓋腔、脊椎腔、気管腔または皮下に進入するカテーテルチューブへの使用にとって特に有利であると考えられている。
【0075】
当業者であれば、本開示の上記の態様およびその実施形態のうちのいずれか1つ以上が、本開示のその他の態様およびその実施形態のうちのいずれか1つ以上と組み合わされてよいことを理解するはずである。
【0076】
以下に、非限定的な例示的な実施形態を説明し、図面を参照して本開示の態様を詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0077】
図1】カテーテルチューブの一部に取り付けられた滅菌装置の斜視図である。
図2a図1の滅菌装置およびカテーテルチューブの側面図である。
図2b図2aのB-B断面線に沿った滅菌装置およびカテーテルチューブの側方断面図である。
図2c図2aのA-A断面線に沿った滅菌装置およびカテーテルチューブの軸線方向断面図である。
図3】カテーテルチューブを備えない開放位置における滅菌装置の斜視図である。
図4a図3の滅菌装置の側面図である。
図4b図4aのC-C断面線に沿った滅菌装置の断面図である。
図4c図4aのD-D断面線に沿った滅菌装置の断面図である。
図5図1に対応するが、本発明の異なる実施形態を示す図である。
図6図3に対応するが、図5の実施形態を示す図である。
図7】膀胱カテーテルにおいて使用した場合の図5および図6の滅菌装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0078】
まず図1および図2aを参照すると、滅菌装置1が示されており、カテーテルチューブ9が滅菌装置1を貫通している。滅菌装置1は、近位端部2a、遠位端部2bおよび外面28を備えるケーシング2を備える。ケーシング2の近位端部2aは、患者に向けられることが意図されており、ケーシング2の遠位端部2bは、患者から離れる方向に向けられることが意図されている。ケーシング2の外面28は、滅菌装置1の外側に面しており、滅菌装置1が患者の下敷きになったとき褥瘡を生じることを防止するために、鋭いエッジまたは角なしに近位端部2aから遠位端部2bまで流線形の湾曲した形状を有する。近位端部2aから遠位端部2bまでの滅菌装置1の最大軸線方向長さは、滅菌装置1の最大外径の約1.5倍である。
【0079】
ケーシング2は、ケーシング2の近位端部2aに配置された円形の近位開口24aと、ケーシング2の遠位端部2bに配置された円形の遠位開口24bとを備える貫通孔24を備える。貫通孔24の遠位開口24bの直径は、カテーテルチューブ9の外径よりも大きいので、図1に見られるように遠位開口24bとカテーテルチューブ9との間に空隙3が形成されている。
【0080】
図2bに転じると、チューブ軸線26が、ケーシング2の近位端部2aからケーシング2の遠位端部2bまで延びている。ケーシング2のチューブ軸線26は、貫通孔24の中心線を形成している。貫通孔24は、ケーシング2の遠位端部2bにおける遠位開口24bから貫通孔24の近位端部2aにおける近位開口24aまでチューブ軸線26に対して垂直な円形の断面を有する。
【0081】
ケーシング2は、取付け部分21と、滅菌チャンバ22と、取付け部分21および滅菌チャンバ22の両方を貫通した貫通孔24とを備える。貫通孔24は、滅菌チャンバ22に隣接しかつ滅菌チャンバ22に直接通じた、ケーシング2の遠位端部2bに位置する遠位開口24bを備える。カテーテルチューブ9の一部は、取付け部分およびセンタリング部材27によって貫通孔24に保持される。
【0082】
滅菌チャンバ22は、光源6と遠位開口24bとの間に延びる壁面23を備える。壁面23は、貫通孔24の内部の周方向および軸線方向に延びる面を形成している。遠位開口24bは、壁面23の境界を形成している。空隙3は、管状の形状で、壁面23とカテーテルチューブ9の外面92との間に、遠位開口24bから滅菌チャンバ22内へ光源6に向かって延びている。
【0083】
図2cに転じると、空隙3は、円筒形のカテーテルチューブ9の周囲に均一な半径方向範囲を有する。遠位開口24bの直径は、カテーテルチューブ9の外径の約2倍であり、これにより、細菌がカテーテルチューブ9の外面92からケーシング2の外面28へ空隙3を横切ることを防止するために、空隙3が十分に大きいことが保証されている。
【0084】
ここで開放位置における滅菌装置1を示す図3を参照する。ケーシング2は、ケーシングの第1の半体41および第2の半体42を相互接続するフローティングヒンジ5を備える。ケーシング2の半体41,42は、チューブ軸線26に対して平行なヒンジ5のヒンジ軸線51を中心として可動である。ヒンジ5により、滅菌装置1は、図3および図4a~図4cに示した開放位置と、図1および図2a~図2cに示した閉鎖位置とに設定することができる。開放位置は、貫通孔24への半径方向アクセス通路を提供し、これにより、カテーテルチューブ9の一部を貫通孔24に半径方向で挿入し、ケーシング2の取付け部分21によってケーシング2に取り付けることができる。閉鎖位置では、2つの半体41,42は、カテーテルチューブ9を貫通孔24において半径方向で包囲し、カテーテルチューブ9を貫通孔24において半径方向で保持する。
【0085】
滅菌装置1は、図3に示したチューブホルダの形態のセンタリング部材27をさらに備える。センタリング部材27は、弾性変形してカテーテルチューブ9の外面92にスナップ結合することによってカテーテルチューブ9に取り付けられる。センタリング部材27は、滅菌チャンバ22の近位端部22aにおいてケーシング2に固定され、滅菌チャンバ22内へ延びており、これにより、片持ち梁を形成している。センタリング部材27は、図2bに最も良く示したように、カテーテルチューブ9を滅菌チャンバ22の中心線、すなわち、チューブ軸線26に向かって付勢する。センタリング部材27は、紫外線半透過性または紫外線透過性の材料から基本的に成る。
【0086】
取付け部分21は、貫通孔24に位置するカテーテルチューブ9の一部を保持するように構成された3つのリブ210を備える。貫通孔24の遠位開口24bの直径は、ケーシング2の取付け部分21のリブ210における貫通孔24の直径よりも大きいので、カテーテルチューブ9がケーシング2の取付け部分21によって貫通孔24に保持されると、センタリング部材27と滅菌チャンバ22の壁面23との間に見られるように、遠位開口24bにおける滅菌チャンバ22とカテーテルチューブ9との間に空隙3が形成される。
【0087】
光源6は、100~280nmの範囲の波長を有する滅菌紫外光C波(UVC)光をケーシング2の滅菌チャンバ22内へ放出するように構成された発光ダイオードの形態である。光源6は、滅菌チャンバ22の近位端部22aに位置しており、カテーテルチューブ9の十分な滅菌を依然として保証しながら遠位開口24bから離れて位置している。滅菌チャンバ22の壁面23は、紫外C光を少なくとも部分的に吸収するように構成されたポリマー材料から基本的に成る。光源6は、図3および図4cに最も良く示したように、光井戸63に位置しており、これにより、光源6から放出された光が、光源6の光軸62を中心に実質的に光の円柱62で光井戸63から出射することが保証される。光源6の光軸62は、図4cに示したようにチューブ軸線に対して実質的に垂直であり、これにより、光源6によって直接放出された光線は、滅菌チャンバ22の壁面25の向かい側、センタリング部材27またはカテーテルチューブ9の外面92によって受け取られかつ少なくとも部分的に吸収される。このことは、紫外光の強度が貫通孔24の遠位開口24bにおいて安全なレベルに低減されるという利点を有する。
【0088】
図4a~図4cに最も良く示したように、滅菌装置1は、ピンの形態の検出装置81と、スイッチの形態の制御装置82と、回路(図示せず)と、バッテリの形態の電源7とをさらに備える。回路は、制御装置82と、光源6と、電源7とを相互接続する。電源は、回路ひいては光源6に電力を供給するように構成されている。検出装置81は、ケーシング2の第2の半体42に位置しており、制御装置82は、ケーシング2の第1の半体41に位置している。
【0089】
図3に示された開放位置では、検出装置81は、制御装置82に対して所定の距離を置いて位置しており、制御装置82は、電源7を光源6から切断し、光源に、滅菌光を放出することを停止させる。
【0090】
図1および図2a~図2cに示された閉鎖位置では、検出装置81は制御装置82と接触しており、制御装置82は、電源7を光源6に接続し、光源6に、滅菌光を放出することを開始させる。
【0091】
滅菌装置1’の異なる実施形態が、図5図7に示されている。これらの図面およびそれらに関連する説明において、同じ参照符号が、図1図4のように、必ずしも同一ではないとしても同じ機能を有する特徴のために使用されている。過度の繰り返しを回避するために、この実施形態と、図1図4に関連して説明されたものとの相違のみを詳細に説明する。
【0092】
図5は、カテーテルチューブ9に取り付けられた滅菌装置1’を示しており、図6には、滅菌装置が開放位置において示されている。示したように、この滅菌装置1’は、図1図4の滅菌装置1よりも丸みの少ない外形を有する。
【0093】
滅菌装置1’を患者の身体100における開口101のできるだけ近くでカテーテルチューブに取り付け、ひいては、細菌が装置を迂回してしまうカテーテルチューブ上の領域を最小限にすることができるようにするために、近位部分29の形態の柔軟で弾性的な発泡材/シリコーン材料が装置の近位端部に追加されている。患者の身体100の近くにかつ身体における開口101を通じて挿入されたカテーテルに位置する近位部分が、図7に示されている。図7において、カテーテルチューブ9は、男性患者の尿道に挿入された尿道カテーテルであるが、女性患者または腹部カテーテルなどの異なるタイプのカテーテルのために使用されてもよい。
【0094】
近位部分29の提供は、滅菌装置1’が患者の身体に圧力を加えるリスクを低減する。この圧力は、図7に示された性器において使用される場合には特に不快である場合があり、皮膚損傷ひいては感染のリスク増大をも生じさせる場合がある。
【0095】
柔軟で弾性的な近位部分29の別の利点は、患者が動いたときにカテーテルチューブ9が引っ張られるまたは押し込まれるリスクが低減されるということである。図7の例では、カテーテルチューブ9は、膀胱内へ延びるカテーテルチューブの部分に配置されたバルーン93によって患者の膀胱102の所定の位置に保持されている。バルーンは、カテーテルチューブ9が引き出されることは防止するものの、さらに押し込まれることは防止しない。近位部分29の提供により、滅菌装置1’を患者の身体における開口の極めて近く、この場合には開口から約1mm離して位置することができ、このこと自体が、カテーテルチューブが内方へ押されるリスクを低減する。加えて、近位部分29の材料の弾性とは、弾性が動きの一部を打ち消すことができることを意味する。
【0096】
図3を参照して上記で説明したように、図5図7の滅菌装置1’も、図6に示したように、ヒンジ5において相互接続された2つの半体41,42から成る。近位部分29も、装置のそれぞれの半体41,42にそれぞれ関連した2つの半体29a,29bから成る。
【0097】
滅菌装置1’がカテーテルチューブ9の周囲できつく閉鎖することを保証するために、雄型ロック部分43が第1の半体41に設けられており、雌型ロック部分44が第2の半体42に設けられている。滅菌装置を図6の開放位置から図5の閉鎖位置へ移動させると、これらの2つのロック部分は互いにスナップロックする。加えて、近位部分29の一方の半体29bには、カバーシート292によって覆われた接着剤(図示せず)が設けられている。滅菌装置1’をカテーテルチューブ9の周囲で閉鎖する前に、カバーシートが除去され、これにより、近位部分29の2つの半体29a,29bが閉鎖位置において互いに付着する。
【0098】
2つの半体41,42を互いにロックしかつ/または近位部分の2つの半体29a,29bを接続するためのその他の手段も可能であり、これは、ベルクロなどのテープおよび面ファスナの使用を含む。
【0099】
図6に示したように、滅菌装置1’のこの実施形態は、遠位端部において内壁面23から突出した一連のセンタリング部材27を備える。これらのセンタリング部材27のそれぞれが、カテーテルチューブ9に接触し、カテーテルチューブが滅菌装置に対してセンタリングされたまま維持されることに寄与する。これらのセンタリング部材を使用する利点は、カテーテルチューブとの接触面積が小さいということである。
【0100】
図5図7の実施形態は、内壁面23におけるUV反射ゾーン25を備え、前記ゾーンは、取付け部分21の、210’で示されたリブから、センタリング部材27まで延びている。UV反射ゾーンの表面は、UV放射を反射する材料から形成されている。光源6によって放出されたUV光の反射により、滅菌チャンバ22を貫通して延びるカテーテルチューブ9が、UV反射ゾーンを備えない対応する滅菌装置を使用する場合と比較して、より多くのUVに曝されることになる。
【0101】
以下は、本明細書を通じて使用された参照符号のリストである。何らかの疑いがある場合、以下のリストの参照符号が適用される。
【符号の説明】
【0102】
1 滅菌装置
2 ケーシング
2a 近位端部
2b 遠位端部
21 取付け部分
210 リブ
22 滅菌チャンバ
22a 近位端部
23 壁面
24 貫通孔
24a 近位開口
24b 遠位開口
25 反射ゾーン
26 チューブ軸線
27 センタリング部材
28 外面
29 近位部分
29a 近位部分の第1の半体
29b 近位部分の第2の半体
291 近位部分の接触面
292 近位部分におけるカバーシート
3 空隙
41 第1の半体
42 第2の半体
43 第1の半体におけるロック部分
44 第2の半体におけるロック部分
5 ヒンジ
51 ヒンジ軸線
6 光源
61 光の円柱
62 光軸
63 光井戸
7 電源
81 検出装置
82 制御装置
9 カテーテルチューブ
91 内面
92 外面
93 バルーン
100 患者の身体
101 患者における開口
102 膀胱
図1
図2a
図2b
図2c
図3
図4a
図4b
図4c
図5
図6
図7