IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニーの特許一覧

特許7504127イメージングフローサイトメトリーのための位相キャリブレーション
<>
  • 特許-イメージングフローサイトメトリーのための位相キャリブレーション 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-13
(45)【発行日】2024-06-21
(54)【発明の名称】イメージングフローサイトメトリーのための位相キャリブレーション
(51)【国際特許分類】
   G01N 15/1429 20240101AFI20240614BHJP
   G01N 15/1434 20240101ALI20240614BHJP
   G01N 21/64 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
G01N15/1429
G01N15/1434
G01N21/64 F
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021564343
(86)(22)【出願日】2020-04-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-15
(86)【国際出願番号】 US2020030428
(87)【国際公開番号】W WO2020231632
(87)【国際公開日】2020-11-19
【審査請求日】2023-04-14
(31)【優先権主張番号】62/847,631
(32)【優先日】2019-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】バール,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ディーボルド,エリック ディ.
(72)【発明者】
【氏名】メヒロポーヤン,マジッド
(72)【発明者】
【氏名】オウズリー,キーガン
【審査官】鴨志田 健太
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-538516(JP,A)
【文献】国際公開第2011/083754(WO,A1)
【文献】特表2008-508506(JP,A)
【文献】特開2013-127393(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 15/14
G01N 21/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出された光に応答して明視野データ信号を生成するように構成された明視野光検出器と、検出された光に応答して蛍光データ信号を生成するように構成された蛍光検出器とを有する光検出システムを用いて、フローストリーム内の粒子を含むサンプルからの光を検出することと、
前記明視野データ信号および前記蛍光データ信号間の相対位相に基づいて、前記蛍光検出器についての位相補正を計算することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記位相補正が、第1の構成にて前記蛍光検出器について計算される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第2の構成にて前記蛍光検出器で前記サンプルからの光を検出することと、
前記第2の構成にて前記明視野データ信号と前記蛍光検出器からの前記蛍光データ信号との間の前記相対位相に基づいて前記蛍光検出器についての位相補正を計算することと
をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
第3の構成にて前記蛍光検出器で前記サンプルからの光を検出することと、
前記第3の構成にて前記明視野データ信号と前記蛍光検出器からの前記蛍光データ信号との間の前記相対位相に基づいて前記蛍光検出器についての位相補正を計算することと
をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記構成が電圧または電子利得設定である、請求項2~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記蛍光検出器についての前記計算された位相補正と前記サンプル中のフルオロフォアの蛍光寿命とに基づいて、前記蛍光検出器についての寿命位相補正を計算すること
をさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記光検出システムが複数の蛍光検出器を有し、各蛍光検出器は、検出された光に応答して独立して蛍光データ信号を生成するように構成されており、
前記明視野データ信号と各蛍光検出器からの前記蛍光データ信号との間の前記相対位相に基づいて各蛍光検出器についての位相補正を計算することを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
各蛍光検出器についての計算された位相補正と前記サンプル中のフルオロフォアの蛍光寿命とに基づいて、前記各蛍光検出器についての寿命位相補正を計算することをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記蛍光検出器で前記サンプル内の粒子から周波数符号化蛍光データを生成することと、
各蛍光検出器についての前記計算された位相補正での前記周波数符号化蛍光データの変換を実行することにより、前記粒子の位相補正空間データを計算することと
をさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記フローストリーム内の前記サンプルが光源で照射され、前記光源が、少なくとも周波数シフト光の第1のビームおよび周波数シフト光の第2のビームを生成するように構成された光ビーム発生器構成要素を有し、前記光ビーム発生器構成要素が音響光学偏向器を有し、前記光源がレーザーを有し、前記レーザーが連続波レーザーである、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
各蛍光検出器についての位相補正が集積回路デバイスによって計算される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記フローストリーム内の粒子の画像を生成することをさらに含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
フローストリーム内の粒子を含むサンプルを照射するように構成された光源と、
検出された光に応答して明視野データ信号を生成するように構成された明視野光検出器および検出された光に応答して蛍光データ信号を生成するように構成された蛍光検出器を有する光検出システムと、
動作可能に結合されたメモリを有するプロセッサと
を備えており、
前記メモリは、そこに格納された命令を含み、前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、前記明視野データ信号および前記蛍光データ信号間の相対位相に基づいて、前記蛍光検出器についての位相補正を計算させる、
システム。
【請求項14】
請求項1~12のいずれか一項に記載の位相補正の方法に係る明視野データ信号および蛍光データ信号間の相対位相に基づいて蛍光検出器についての位相補正を計算するようにプログラムされた、集積回路。
【請求項15】
請求項1~12のいずれか一項に記載の位相補正の方法に係るフローサイトメーターの1つ以上の蛍光検出器の位相キャリブレーションで使用するための成分であって、
複数の粒子と、
蛍光色素成分と
を含み、
前記蛍光色素成分は安定した蛍光寿命を有する、成分。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
生体流体中の分析物の特徴付けは、患者の全体的な健康およびウェルネスの医学的診断および評価の不可欠な部分になっている。ヒトの血液または血液由来産物などの生体流体中の分析物を検出することは、さまざまな病状を有する患者の治療プロトコルを決定する際に役割を果たし得る結果を提供することができる。
【0002】
フローサイトメトリーは、血液サンプルの細胞または別の種類の生物学的または化学的サンプル内の関心がある粒子などの生物学的物質を特徴付けてしばしば分類するために使用される技術である。フローサイトメーターは典型的には、血液サンプルなどの流体サンプルを受け取るためのサンプルリザーバーと、シース流体を収容するシースリザーバーとを有する。フローサイトメーターは、流体サンプル中の(細胞を含む)粒子を細胞ストリームとしてフローセルに輸送する一方、またシース流体をフローセルへと向ける。フローストリームの成分を特徴付けるために、フローストリームは光で照射される。蛍光標識のモルホロジーまたは存在などの、フローストリーム内の材料の変動により、観測光に変動が生じ得、これらの変動により特徴付けおよび分離が可能になる。
【0003】
フローストリーム内の成分を特徴付けるには、光がフローストリームに衝突して収集される必要がある。フローサイトメーター内の光源は、広域スペクトルランプ、発光ダイオード、ならびに単一波長レーザーなど、さまざまとすることができる。光源は、フローストリームと位置合わせされ、照射粒子からの光学応答が収集されて定量化される。
【発明の概要】
【0004】
本開示の態様は、(例えば、フローサイトメーターにおける)光検出システムからの信号を位相補正するための方法を含む。特定の実施形態による方法は、明視野データ信号を生成するように構成された明視野光検出器と蛍光データ信号を生成するように構成された蛍光検出器とを有する光検出システムでフローストリーム内の粒子を有するサンプルから光を検出することと、明視野データ信号および蛍光データ信号間の相対位相に基づいて蛍光検出器についての位相補正を計算することとを含む。そこに格納された命令を有するプロセッサに動作可能に結合されたメモリを備えたプロセッサを有するシステムであって、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、明視野データ信号および蛍光検出器からの蛍光データ信号に基づいて蛍光検出器についての位相補正を計算させるシステムもまた、説明される。主題の方法を実施するためのプログラミングを有する集積回路デバイス(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ)もまた提供される。
【0005】
実施形態では、光は、フローストリームのインタロゲーション領域内に粒子を有するサンプルから検出される。いくつかの実施形態では、粒子はキャリブレーションビーズである。他の実施形態では、粒子は細胞である。実施形態による方法は、明視野データ信号を生成するための明視野光検出器および蛍光データ信号を生成するための蛍光検出器で光を検出することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、前方散乱光検出器または側方散乱光検出器を用いてなど、光散乱を検出することをさらに含む。蛍光検出器についての位相補正は、明視野データ信号と蛍光検出器からの蛍光データ信号との間の相対位相に基づいて決定される。いくつかの実施形態では、主題の光検出システムは、2つ以上の蛍光検出器を含み、位相補正は、明視野データ信号と各蛍光検出器からの蛍光データ信号との間の相対位相に基づいて各蛍光検出器について計算される。
【0006】
いくつかの実施形態では、方法は、明視野データ信号を生成するための明視野光検出器でサンプルからの光を検出することと、第1の電圧で動作して第1の蛍光データ信号を生成する第1の蛍光光検出器および第2の電圧で動作して第2の蛍光データ信号を生成する第2の蛍光光検出器でサンプルからの光を検出することとを含む。位相補正は、明視野データ信号と第1の蛍光データ信号との間の相対位相に基づいて第1の蛍光検出器について計算され、位相補正は、明視野データ信号と第2の蛍光データ信号との間の相対位相に基づいて第2の蛍光検出器について計算される。特定の実施形態による光検出システムをキャリブレーションするために、第1の蛍光検出器および第2の蛍光検出器の動作電圧が変更(例えば、漸進的に増加)され、各動作電圧での蛍光データ信号と明視野データ信号との間の相対位相に基づいて、第1の蛍光および第2の蛍光検出器のそれぞれについて位相補正が計算される。いくつかの実施形態では、光検出システムを位相補正するために、方法は、各蛍光検出器について決定された位相補正およびサンプル中のフルオロフォアの蛍光寿命に基づいて、各動作電圧での各蛍光検出器についての寿命位相補正を計算することを含む。
【0007】
特定の実施形態では、主題の光検出システムは、明視野光検出器および複数の蛍光検出器を含む。これらの実施形態では、方法は、明視野データ信号と蛍光検出器からの蛍光データ信号との間の相対位相に基づいて、動作電圧での各蛍光検出器についての位相補正を計算することを含む。光検出システムを位相補正するために、各蛍光検出器の動作電圧が変更(例えば、増加)され、各蛍光検出器についての位相補正が各動作電圧で計算される。いくつかの場合では、光検出システム内の複数の蛍光検出器のそれぞれについての寿命位相補正は、各蛍光検出器について決定された位相補正およびサンプル中のフルオロフォアの蛍光寿命に基づいて決定される。
【0008】
いくつかの実施形態では、方法は、光検出システムの蛍光検出器でサンプル中の粒子から周波数符号化蛍光データを生成することと、各蛍光検出器についての計算された位相補正で周波数符号化蛍光データの変換を実行することによって粒子の位相補正空間データを計算することとをさらに含む。1つの例では、(水平軸)フローストリームを横切る複数の位置は、局部発振器ビームおよび複数の高周波シフトレーザービームを含むレーザービームによって照射され、それにより、フローストリームを横切る異なる位置は、局部発振器ビームと高周波シフトビームの1つとによって照射される。いくつかの場合には、局部発振器は、レーザーからの光の周波数シフトビームである。この例では、フローストリーム内の粒子を横切る各空間位置は、その位置での局部発振器ビームの周波数と高周波シフトビームの周波数との間の差に対応する異なるビート周波数によって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、粒子からの周波数符号化データは、フローストリーム内の粒子の水平軸を横切る空間符号化ビート周波数を含む。
【0009】
特定の実施形態による主題の方法を実施する際に、周波数符号化蛍光データは、位相補正成分での周波数符号化蛍光データのフーリエ変換によって変換され得る。いくつかの場合には、周波数符号化蛍光データは、位相補正成分での周波数符号化蛍光データの離散フーリエ変換(DFT)によって変換される。他の場合には、位相補正空間データは、位相補正での周波数符号化蛍光データの短時間フーリエ変換(STFT)を実行することによって計算される。さらに他の場合には、位相補正空間データは、周波数符号化蛍光データをヘテロダインおよび逆多重化するために、デジタルロックインアンプで計算される。
【0010】
本開示の態様はまた、フローストリーム内のサンプルの粒子(例えば、生物学的サンプル中の細胞)を特徴付けるための光検出システムを有するシステムを含む。特定の実施形態によるシステムは、フローストリーム内に粒子を有するサンプルを照射するように構成された光源、明視野データ信号を生成するように構成された明視野光検出器および蛍光データ信号を生成するように構成された1つ以上の蛍光検出器を有する光検出システム、および、プロセッサに動作可能に結合されたメモリを備えるプロセッサを有し、メモリはそこに格納された命令を含み、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、明視野データ信号と各蛍光検出器からの蛍光データ信号との間の相対位相に基づいて、各蛍光検出器について位相補正を計算させる。いくつかの実施形態では、光検出システムは、複数の蛍光検出器を有し、位相補正は、明視野データ信号と複数の蛍光検出器のそれぞれからの蛍光データ信号との間の相対位相に基づいて、各蛍光検出器について計算される。
【0011】
いくつかの実施形態では、メモリは、そこに格納された命令を含み、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、第1の電圧での第1の蛍光検出器についての位相補正を計算させ、第2の電圧での第2の蛍光検出器についての位相補正を計算させる。特定の場合には、光検出システムをキャリブレーションするために、システムは、蛍光検出器の動作電圧を変更し(例えば、各検出器の電圧を漸進的に増加させ)、明視野データ信号と各蛍光検出器からの蛍光データ信号との間の相対位相に基づいて各動作電圧での蛍光検出器のそれぞれについて位相補正を計算するように構成される。特定の実施形態では、システムは、そこに格納された命令を有するメモリを含み、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、各蛍光検出器について決定された位相補正およびサンプル中のフルオロフォアの蛍光寿命に基づいて各動作電圧での各蛍光検出器についての寿命位相補正を計算させる。
【0012】
いくつかの実施形態では、システムは、サンプル中の粒子から周波数符号化蛍光データを生成するように構成される。いくつかの実施形態では、光源は、周波数シフト光の少なくとも第1のビームおよび周波数シフト光の第2のビームを生成するように構成された光ビーム発生器構成要素を有する。特定の場合による光ビーム発生器は、レーザー(例えば、連続波レーザー)および(例えばダイレクトデジタルシンセサイザーRFコーム発生器に結合された)音響光学偏向器を有する。いくつかの場合には、主題のシステムは、プロセッサに動作可能に結合されたメモリを備えたプロセッサを有し、それにより、メモリがそこに格納された命令を含み、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、各蛍光検出器についての計算された位相補正での周波数符号化蛍光データの変換を実行することにより、粒子の位相補正空間データを計算させる。実施形態では、空間データは、粒子の水平サイズ寸法、粒子の垂直サイズ寸法、2つの異なる寸法に沿った粒子サイズの比率、粒子成分の比率サイズ(例えば、核の水平寸法と細胞の細胞質の水平寸法との比率)を含み得る。これらの実施形態では、位相補正空間データを計算するために、システムは、計算された位相補正での周波数符号化蛍光データのフーリエ変換を実行して、粒子の位相補正空間データを生成するように構成される。他の実施形態では、システムは、計算された位相補正での周波数符号化蛍光データの離散フーリエ変換(DFT)を実行して、粒子の位相補正空間データを生成するように構成される。さらに他の実施形態では、システムは、計算された位相補正での周波数符号化蛍光データの短時間フーリエ変換(STFT)を実行するように構成される。さらに他の実施形態では、システムは、周波数符号化蛍光データをヘテロダインおよび逆多重化するために、デジタルロックインアンプで位相補正空間データを計算するように構成される。
【0013】
本開示の態様はまた、明視野データ信号と各蛍光検出器からの蛍光データ信号との間の相対位相に基づいて、1つ以上の蛍光検出器についての位相補正を計算するようにプログラムされた集積回路デバイスを含む。いくつかの実施形態では、集積回路デバイスは、光検出システムの複数の蛍光検出器をキャリブレーションするようにプログラムされている。これらの実施形態では、主題の集積回路デバイスは、光検出システム内の各蛍光検出器の動作電圧を変更し(例えば、漸進的に増加させ)、明視野データ信号および蛍光データ信号間の相対位相に基づいて各動作電圧で各蛍光検出器についての位相補正を計算するようにプログラムされる。各動作電圧での各蛍光検出器についての寿命位相補正はまた、計算された位相補正およびサンプル中のフルオロフォアの蛍光寿命に基づいて決定され得る。関心がある集積回路デバイスは、特定の場合において、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、またはコンプレックスプログラマブルロジックデバイス(CPLD)を有し得る。
【0014】
特定の実施形態では、集積回路デバイスは、計算された位相補正で周波数符号化蛍光データの変換を実行することによって、サンプル中の粒子の位相補正空間データを計算するようにプログラムされる。いくつかの場合には、集積回路デバイスは、計算された位相補正で周波数符号化蛍光データのフーリエ変換を実行して、粒子の位相補正空間データを生成するようにプログラムされる。他の場合では、集積回路デバイスは、計算された位相補正で周波数符号化蛍光データの離散フーリエ変換を実行して、粒子の位相補正空間データを生成するようにプログラムされる。さらに他の場合では、集積回路デバイスは、計算された位相補正で周波数符号化蛍光データの短時間フーリエ変換を実行して、粒子の位相補正空間データを生成するようにプログラムされる。さらに他の場合では、集積回路デバイスは、周波数符号化蛍光データをヘテロダインおよび逆多重化するために、デジタルロックインアンプで位相補正空間データを計算するようにプログラムされる。
【0015】
本開示の態様はまた、本明細書に記載されるような光検出システムの1つ以上の蛍光検出器についての位相補正を計算するための成分を含む。実施形態では、成分は、複数の粒子と、安定した蛍光寿命を有する蛍光色素成分とを含む。いくつかの場合には、粒子は、ポリマービーズ(例えば、多孔性または非多孔性ポリマービーズ)などのビーズである。いくつかの実施形態において、蛍光色素成分は、単一の色素を含む。他の実施形態では、蛍光色素成分は、2つ以上の色素を含む。例えば、蛍光色素成分は、ナイルレッド色素またはフィコエリトリンシアニン色素(例えば、PE-Cy7)を含み得る。特定の実施形態では、蛍光色素成分は、1つ以上のポリマー色素を含む。例えば、ポリマー色素は水溶性共役ポリマーであり得る。実施形態では、粒子は、蛍光色素成分と安定して会合している。いくつかの場合には、蛍光色素成分は、粒子に共有結合している。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】特定の実施形態による光検出システムの1つ以上の検出器についての位相補正を計算するためのフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示の態様は、(例えば、フローサイトメーターにおける)光検出システムからの信号を位相補正するための方法を含む。特定の実施形態による方法は、明視野データ信号を生成するように構成された明視野光検出器と蛍光データ信号を生成するように構成された蛍光検出器とを有する光検出システムでフローストリーム内の粒子を有するサンプルから光を検出することと、明視野データ信号および蛍光データ信号間の相対位相に基づいて蛍光検出器についての位相補正を計算することとを含む。そこに格納された命令を含むプロセッサに動作可能に結合されたメモリを備えたプロセッサを有するシステムであって、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、明視野データ信号および蛍光検出器からの蛍光データ信号に基づいて蛍光検出器についての位相補正を計算させるシステムも、説明される。主題の方法を実施するためのプログラミングを有する集積回路デバイス(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ)も提供される。
【0018】
本発明をより詳細に説明する前に、この発明は、説明された特定の実施形態に限定されず、したがって、もちろん様々であり得ることを理解されたい。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるので、限定することを意図していないことも理解されたい。
【0019】
値の範囲が提供される場合、文脈が明確に別段の指示をしない限り、下限の単位の10分の1までの、その範囲の上限と下限との間における各介在値、および、その記載範囲における任意の別様記載のまたは介在する値は、本発明に含まれる。これらのより小さな範囲の上限および下限は、独立してより小さな範囲に含まれ得、また、記載範囲において特に除外された任意の限界を条件として、本発明に含まれる。記載範囲が一方または両方の限界を含む場合、それらの含まれる限界のいずれかまたは両方を除外する範囲も、本発明に含まれる。
【0020】
本明細書では、特定の範囲が提示され、数値の前に「約」という用語が付いている。「約」という用語は、本明細書では、それが先行する正確な数、ならびにその用語が先行する数に近いかまたはほぼその数である数に対する文字通りのサポートを提供するために使用される。数が、具体的に記載された数に近いかまたはほぼ等しいか否かを決定する際に、近いかまたは近似する不記載の数は、それが提示される文脈において、具体的に記載された数についての実質的均等をもたらす数であり得る。
【0021】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、この発明が属する技術の当業者によって共通して理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されているものと類似または均等の任意の方法および材料もまた、本発明の実施または試験に使用することができるが、代表的な例示的方法および材料がここに記載されている。
【0022】
この明細書で引用されるすべての刊行物および特許は、各個々の刊行物または特許が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されているかのように参照により本明細書に組み込まれ、刊行物が関連して引用されている方法および/または材料を記述および説明するために参照により本明細書に組み込まれる。任意の刊行物の引用は、出願日より前のその開示についてであり、本発明が先行発明のためにそのような刊行物に先行する権利がないことを認めるものと解釈されるべきではない。さらに、提供される発行日は、個別に確認する必要があり得る実際の発行日とは異なり得る。
【0023】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明確に別段の指示をしない限り、複数の指示対象を含むことに留意されたい。特許請求の範囲は、任意の任意選択的要素を除外するために起草され得ることにさらに留意されたい。したがって、この記載は、特許請求の範囲の要素の列挙に関連して「単独」、「のみ」などの排他的な用語を使用する、または「否定的な」制限を使用するための先行する基礎として機能することを目的としている。
【0024】
この開示を読むと当業者には明らかであるように、本明細書に記載および図示された個々の実施形態のそれぞれは、本発明の範囲または精神から逸脱することなく他のいくつかの実施形態のいずれかの特徴から容易に分離またはそれに組み合わせされ得る別個の構成要素および特徴を有する。任意の列挙された方法は、列挙されたイベントの順序で、または論理的に可能な任意の他の順序で実行することができる。
【0025】
装置および方法は、機能的な説明を伴って文法的流動性のために説明されているか、または説明されるが、35U.S.C.§112の下で明示的に定式化されていない限り、特許請求の範囲は、「手段」または「ステップ」の制限の構築によっていかなる場合であっても必ずしも制限されると解釈されるべきではなく、均等法論の下で特許請求の範囲によって提供される定義の意味および均等物の全範囲を与えられるべきであり、特許請求の範囲が35U.S.C.§112に基づいて明示的に定式化されている場合には、35U.S.C.§112に基づく完全な法定均等物が付与されると明示的に理解されるべきである。
【0026】
上記で要約したように、本開示は、フローストリーム内のサンプルの粒子を特徴付ける(例えば、画像化する)ためのシステムおよび方法を提供する。本開示の実施形態をさらに説明する際に、光検出システムからの信号を位相補正するための、およびフローストリーム内の粒子の位相補正空間データを計算するための方法が、最初により詳細に説明される。次に、リアルタイムで位相補正信号を使用してフローストリーム内のサンプルの粒子を特徴付けするためのシステムについて説明する。光検出システムからの信号を位相補正するための、および粒子の位相補正空間データを計算するためのプログラミングを有するフィールドプログラマブルゲートアレイなどの集積回路デバイスも提供される。
【0027】
光検出システムからの信号を位相補正するための方法
本開示の態様は、光検出システムからの信号を位相補正するための方法を含む。特定の実施形態による方法を実施する場合、フローストリーム内に粒子を有するサンプルからの光は、検出された光に応答して明視野データ信号を生成するように構成された明視野光検出器と、検出された光に応答して蛍光データ信号を生成するように構成された1つ以上の蛍光検出器とを有する光検出システムで検出され、明視野データ信号と光検出システムの各蛍光検出器からの各蛍光データ信号との間の相対位相に基づいて、各蛍光検出器について位相補正が計算される。
【0028】
主題の方法を実施する際に、フローストリーム内に粒子(例えば、以下でより詳細に説明されるようなキャリブレーション成分のビーズ)を有するサンプルが、光源からの光で照射される。いくつかの実施形態では、光源は広帯域光源であり、例えば、50nm以上にわたる、例えば100nm以上、例えば150nm以上、例えば200nm以上、例えば250nm以上、例えば300nm以上、例えば350nm以上、例えば400nm以上、および500nm以上にわたるなどの広範囲の波長を有する光を放出する。例えば、1つの適切な広帯域光源は、200nm~1500nmの波長を有する光を放出する。適切な広帯域光源の別の例には、400nm~1000nmの波長を有する光を放出する光源が含まれる。方法が広帯域光源での照射を含む場合、関心がある広帯域光源プロトコルには、その他の広帯域光源のうち、ハロゲンランプ、重水素アークランプ、キセノンアークランプ、安定化ファイバー結合広帯域光源、連続スペクトルを備えた広帯域LED、スーパールミネセント発光ダイオード、半導体発光ダイオード、広域スペクトルLED白色光源、マルチLED一体型白色光源、またはそれらの任意の組み合わせが含まれ得るが、これらに限定されない。
【0029】
他の実施形態では、方法は、特定の波長または狭い範囲の波長を放出する狭帯域光源、例えば、50nm以下、例えば40nm以下、例えば30nm以下、例えば25nm以下、例えば20nm以下、例えば15nm以下、例えば10nm以下、例えば5nm以下、例えば2nm以下の範囲のような狭い範囲の波長の光を放出する、特定波長の光(すなわち、単色光)を放出する光源などの光源で照射することを含む。方法が狭帯域光源での照射を含む場合、関心がある狭帯域光源プロトコルは、これらに限定されないが、1つ以上の光学バンドパスフィルタ、回折格子、モノクロメーター、またはそれらの任意の組み合わせに結合された、狭波長LED、レーザーダイオードまたは広帯域光源を含み得る。
【0030】
特定の実施形態では、方法は、フローストリームを1つ以上のレーザーで照射することを含む。レーザーのタイプおよび数は、サンプルならびに収集される所望の光によってさまざまであり、パルスレーザーまたは連続波レーザーであり得る。例えば、レーザーは、ヘリウムネオンレーザー、アルゴンレーザー、クリプトンレーザー、キセノンレーザー、窒素レーザー、COレーザー、COレーザー、アルゴン-フッ素(ArF)エキシマレーザー、クリプトン-フッ素(KrF)エキシマレーザー、キセノン塩素(XeCl)エキシマレーザーまたはキセノン-フッ素(XeF)エキシマレーザーまたはそれらの組み合わせなどのガスレーザー、スチルベン、クマリン、またはローダミンレーザーなどの色素レーザー、ヘリウム-カドミウム(HeCd)レーザー、ヘリウム-水銀(HeHg)レーザー、ヘリウム-セレン(HeSe)レーザー、ヘリウム-銀(HeAg)レーザー、ストロンチウムレーザー、ネオン-銅(NeCu)、銅レーザーまたは金レーザーおよびそれらの組み合わせなどの金属蒸気レーザー、ルビーレーザー、Nd:YAGレーザー、NdCrYAGレーザー、Er:YAGレーザー、Nd:YLFレーザー、Nd:YVOレーザー、Nd:YCaO(BOレーザー、Nd:YCOBレーザー、チタンサファイアレーザー、ツリウム(thulim)YAGレーザー、イッテルビウムYAGレーザー、Ybレーザーまたはセリウムドープレーザー、およびそれらの組み合わせなどの固体レーザー、半導体ダイオードレーザー、光ポンピング半導体レーザー(OPSL)、または上記のレーザーのいずれかの周波数2倍または周波数3倍の実装であり得る。
【0031】
フローストリーム内のサンプルは、上記の光源のうちの1つ以上、例えば2つ以上の光源、例えば3つ以上の光源、例えば4つ以上の光源、例えば5つ以上の光源および10個以上の光源で照射され得る。光源は、光源のタイプの任意の組み合わせを含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、方法は、フローストリーム内のサンプルを、1つ以上のガスレーザー、1つ以上の色素レーザーおよび1つ以上の固体レーザーを有するアレイなどのレーザーのアレイで照射することを含む。
【0032】
サンプルは、200nm~1500nmの範囲、例えば250nm~1250nm、例えば300nm~1000nm、例えば350nm~900nm、および400nm~800nmの波長で照射され得る。例えば、光源が広帯域光源である場合、サンプルは、200nm~900nmの波長で照射され得る。他の場合では、光源が複数の狭帯域光源を含む場合、サンプルは、200nm~900nmの範囲の特定の波長で照射され得る。例えば、光源は、それぞれが200nm~900nmの間の波長範囲を有する光をそれぞれ独立して放出する複数の狭帯域LED(1nm~25nm)であり得る。他の実施形態では、狭帯域光源には1つ以上のレーザー(レーザーアレイなど)が含まれ、サンプルには、上記のガスレーザー、エキシマレーザー、色素レーザー、金属蒸気レーザーおよび固体レーザーを有するレーザーアレイなど、200nm~700nmの範囲の特定波長で照射される。
【0033】
1つ超の光源が採用される場合、サンプルは、同時にまたは連続して、あるいはそれらの組み合わせにより複数光源で照射され得る。例えば、サンプルは、各光源で同時に照射され得る。他の実施形態では、フローストリームは、各光源で順次、照射される。1つ超の光源を採用してサンプルを順次、照射する場合、各光源がサンプルを照射する時間は、独立して、0.001マイクロ秒以上、例えば0.01マイクロ秒以上、例えば0.1マイクロ秒以上、例えば1マイクロ秒以上、例えば5マイクロ秒以上、例えば10マイクロ秒以上、例えば30マイクロ秒以上、および60マイクロ秒以上であり得る。例えば、方法は、0.001マイクロ秒~100マイクロ秒、例えば0.01マイクロ秒~75マイクロ秒、例えば0.1マイクロ秒~50マイクロ秒、例えば1マイクロ秒~25マイクロ秒、および5マイクロ秒~10マイクロ秒の範囲の持続時間の間、光源(例えば、レーザー)でサンプルを照射することを含み得る。サンプルが2つ以上の光源で順次、照射される実施形態では、サンプルが各光源によって照射される持続時間は、同じであっても異なっていてもよい。
【0034】
各光源による照射間の時間もまた、所望に応じてさまざまであり得、0.001マイクロ秒以上、例えば0.01マイクロ秒以上、例えば0.1マイクロ秒以上、例えば1マイクロ秒以上、例えば5マイクロ秒以上、例えば10マイクロ秒以上、例えば15マイクロ秒以上、例えば30マイクロ秒以上、および60マイクロ秒以上の遅延によって独立して分離され得る。例えば、各光源による照射間の時間は、0.001マイクロ秒~60マイクロ秒、例えば0.01マイクロ秒~50マイクロ秒、例えば0.1マイクロ秒~35マイクロ秒、例えば1マイクロ秒~25マイクロ秒、および5マイクロ秒~10マイクロ秒の範囲であり得る。特定の実施形態では、各光源による照射間の時間は10マイクロ秒である。サンプルが2つ超(すなわち、3つ以上)の光源によって順次、照射される実施形態では、各光源による照射間の遅延は、同じであっても異なっていてもよい。
【0035】
サンプルは、連続的にまたは離散的な間隔で照射され得る。いくつかの場合では、方法は、サンプル中のサンプルを光源で連続的に照射することを含む。他の場合では、サンプルは、0.001ミリ秒ごと、0.01ミリ秒ごと、0.1ミリ秒ごと、1ミリ秒ごと、10ミリ秒ごと、100ミリ秒ごと、および1000ミリ秒ごと、またはなんらかの他の間隔など、離散的な間隔にて光源で照射される。
【0036】
光源によっては、サンプルは、例えば0.01mm以上、例えば0.05mm以上、例えば0.1mm以上、例えば0.5mm以上、例えば1mm以上、例えば2.5mm以上、例えば5mm以上、例えば10mm以上、例えば15mm以上、例えば25mm以上、および50mm以上など、さまざまな距離から照射され得る。また、照射角度も10°~90°、例えば15°~85°、例えば20°~80°、例えば25°~75°および30°~60°の範囲でさまざまであり得、例えば90°の角度である。
【0037】
主題の方法を実施する際に、照射されたサンプルからの光は、ある範囲の波長(例えば、200nm~1000nm)にわたってサンプルから光を収集することによってなどで測定される。実施形態では、方法は、サンプルによる光吸収の測定(例えば、明視野光データ)、光散乱の測定(例えば、前方または側方散乱光データ)、およびサンプルによる発光の測定(例えば、蛍光の光データ)のうちの1つ以上を含み得る。
【0038】
上記のように、レーザーおよびレーザー光を周波数シフトするための音響光学デバイスを有する光ビーム発生器構成要素を採用し得る。これらの実施形態では、方法は、音響光学デバイスをレーザーで照射することを含む。出力レーザービームで生成される光の所望波長に応じて(例えば、フローストリーム内のサンプルを照射する際に使用するために)、レーザーは、200nm~1500nm、例えば250nm~1250nm、例えば300nm~1000nm、例えば350nm~900nm、および400nm~800nmなど、さまざまな特定の波長を有し得る。音響光学デバイスは、1つ以上のレーザー、例えば2つ以上のレーザー、例えば3つ以上のレーザー、例えば4つ以上のレーザー、例えば5つ以上のレーザーおよび10個以上のレーザーで照射され得る。レーザーは、レーザーのタイプの任意の組み合わせを含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、本方法は、1つ以上のガスレーザー、1つ以上の色素レーザー、および1つ以上の固体レーザーを有するアレイなどの、レーザーのアレイで音響光学デバイスを照射することを含む。
【0039】
1つ超のレーザーが採用される場合、音響光学デバイスは、レーザーで同時にまたは連続して、あるいはそれらの組み合わせで照射され得る。例えば、音響光学デバイスは、各レーザーで同時に照射され得る。他の実施形態では、音響光学デバイスは、各レーザーで順次、照射される。音響光学デバイスを順次、照射するために1つ超のレーザーが採用される場合、各レーザーが音響光学デバイスを照射する時間は、独立して、0.001マイクロ秒以上、例えば0.01マイクロ秒以上、例えば0.1マイクロ秒以上、例えば1マイクロ秒以上、例えば5マイクロ秒以上、例えば10マイクロ秒以上、例えば30マイクロ秒以上、および60マイクロ秒以上であり得る。例えば、方法は、0.001マイクロ秒~100マイクロ秒、例えば0.01マイクロ秒~75マイクロ秒、例えば0.1マイクロ秒~50マイクロ秒、例えば1マイクロ秒~25マイクロ秒、および5マイクロ秒~10マイクロ秒の範囲の持続時間の間、音響光学デバイスをレーザーで照射することを含み得る。音響光学デバイスが2つ以上のレーザーで連続的に照射される実施形態では、音響光学デバイスが各レーザーによって照射される持続時間は、同じであっても異なっていてもよい。
【0040】
各レーザーによる照射間の時間もまた、所望に応じてさまざまであり得、0.001マイクロ秒以上、例えば0.01マイクロ秒以上、例えば0.1マイクロ秒以上、例えば1マイクロ秒以上、例えば5マイクロ秒以上、例えば10マイクロ秒以上、例えば15マイクロ秒以上、例えば30マイクロ秒以上、および60マイクロ秒以上の遅延によって独立して分離され得る。例えば、各光源による照射間の時間は、0.001マイクロ秒~60マイクロ秒、例えば0.01マイクロ秒~50マイクロ秒、例えば0.1マイクロ秒~35マイクロ秒、例えば1マイクロ秒~25マイクロ秒、および5マイクロ秒~10マイクロ秒の範囲であり得る。特定の実施形態では、各レーザーによる照射間の時間は10マイクロ秒である。音響光学デバイスが2つ超(すなわち、3つ以上)のレーザーによって順次、照射される実施形態では、各レーザーによる照射間の遅延は、同じであっても異なっていてもよい。
【0041】
音響光学デバイスは、連続的にまたは離散的な間隔で照射され得る。いくつかの場合では、方法は、音響光学デバイスをレーザーで連続的に照射することを含む。他の場合では、音響光学デバイスは、0.001ミリ秒ごと、0.01ミリ秒ごと、0.1ミリ秒ごと、1ミリ秒ごと、10ミリ秒ごと、100ミリ秒ごと、および1000ミリ秒ごと、またはなんらかの他の間隔での照射など、離散的な間隔にてレーザーで照射される。
【0042】
レーザーに応じて、音響光学デバイスは、例えば0.01mm以上、例えば0.05mm以上、例えば0.1mm以上、例えば0.5mm以上、例えば1mm以上、例えば2.5mm以上、例えば5mm以上、例えば10mm以上、例えば15mm以上、例えば25mm以上、および50mm以上など、さまざまな距離から照射され得る。また、照射角度も、10°~90°、例えば15°~85°、例えば20°~80°、例えば25°~75°および30°~60°を含む範囲でさまざまであり得、例えば90°の角度である。
【0043】
実施形態では、方法は、高周波駆動信号を音響光学デバイスに印加して、角度偏向レーザービームを生成することを含む。2つ以上の高周波駆動信号を音響光学デバイスに印加して、例えば3つ以上の高周波駆動信号、例えば4つ以上の高周波駆動信号、例えば5つ以上の高周波駆動信号、例えば6つ以上の高周波駆動信号、例えば7つ以上の高周波駆動信号、例えば8つ以上の高周波駆動信号、例えば9つ以上の高周波駆動信号、例えば10個以上の高周波駆動信号、例えば15個以上の高周波駆動信号、例えば25個以上の高周波駆動信号、例えば50個以上の高周波駆動信号、および100個以上の高周波駆動信号など、所望数の角度偏向レーザービームを有する出力レーザービームを生成し得る。
【0044】
高周波駆動信号によって生成される角度偏向レーザービームはそれぞれ、印加された高周波駆動信号の振幅に基づく強度を有する。いくつかの実施形態では、方法は、所望の強度を有する角度偏向レーザービームを生成するために十分な振幅を有する高周波駆動信号を印加することを含む。いくつかの例では、印加された各高周波駆動信号は、独立して、約0.001V~約500V、例えば約0.005V~約400V、例えば約0.01V~約300V、例えば約0.05V~約200V、例えば約0.1V~約100V、例えば約0.5V~約75V、例えば約1V~50V、例えば約2V~40V、例えば3V~約30V、および約5V~約25Vの振幅を有する。印加される各高周波駆動信号は、いくつかの実施形態では、約0.001MHz~約500MHz、例えば約0.005MHz~約400MHz、例えば約0.01MHz~約300MHz、例えば約0.05MHz~約200MHz、例えば約0.1MHz~約100MHz、例えば約0.5MHz~約90MHz、例えば約1MHz~約75MHz、例えば約2MHz~約70MHz、例えば約3MHz~約65MHz、例えば約4MHz~約60MHz、および約5MHz~約50MHzの周波数を有する。
【0045】
いくつかの実施形態では、フローストリーム内のサンプルは、印加された高周波駆動信号の振幅に基づく強度をそれぞれが有する角度偏向レーザービームを含む音響光学デバイスからの出力レーザービームで照射される。例えば、フローストリーム内の粒子を照射するために使用される出力レーザービームは、2つ以上の角度偏向レーザービーム、例えば3つ以上、例えば4つ以上、例えば5つ以上、例えば6つ以上、例えば7つ以上、例えば8つ以上、例えば9つ以上、例えば10個以上、および25個以上の角度偏向レーザービームを含み得る。実施形態では、角度偏向レーザービームのそれぞれは、所定高周波によって入力レーザービームの周波数からシフトされる異なる周波数を有する。
【0046】
各角度偏向レーザービームはまた、互いに空間的にシフトされる。印加される高周波駆動信号および出力レーザービームの所望の照射プロファイルに応じて、角度偏向レーザービームは、0.001μm以上、例えば0.005μm以上、例えば0.01μm以上、例えば0.05μm以上、例えば0.1μm以上、例えば0.5μm以上、例えば1μm以上、例えば5μm以上、例えば10μm以上、例えば100μm、例えば500μm以上、例えば1000μm以上、および5000μm以上、分離され得る。いくつかの実施形態では、角度偏向レーザービームは、例えば、出力レーザービームの水平軸に沿った隣接する角度偏向レーザービームと重なる。隣接する角度偏向レーザービーム間の重なり(ビームスポットの重なりなど)は、0.001μm以上の重なり、例えば0.005μm以上の重なり、例えば0.01μm以上の重なり、例えば0.05μm以上の重なり、例えば0.1μm以上の重なり、例えば0.5μm以上の重なり、例えば1μm以上の重なり、例えば5μm以上の重なり、例えば10μm以上の重なり、および100μm以上の重なりであり得る。
【0047】
粒子が2つのビームレットの重ね合わせによって形成された励起ビームの一部を通過するとき、それはそれらの電界の重ね合わせにさらされる。粒子によって放出される蛍光は、入射ビームレットの光周波数間の差に対応するビート周波数で周波数符号化される。例として、第1のビームレットおよび第2のビームレットの重ね合わせを介して形成される、励起ビームの左水平エッジを通過する粒子によって放出される周波数符号化蛍光は、第2のビームレットおよび第1のビームレットの周波数間の差に対応するビート周波数、すなわちffirst beamlet-fsecond beamletのビート周波数を示す。このようにして、励起ビームを通過する粒子の位置は、それらの粒子によって放出される放射に関連するRFビート周波数を介して符号化することができる。いくつかの実施形態では、粒子の位置のそのような符号化を使用して、例えばその水平方向にわたって、ビーム強度の変動に対して、それらの粒子によって放出される検出された放射の強度を正規化することができる。
【0048】
いくつかの実施形態では、粒子によって放出される周波数符号化蛍光は、局部発振器ビームの周波数(fLO)と高周波シフトビームレットの周波数との間の差に対応するビート周波数である。例えば、周波数符号化蛍光データには、fLO-fRF shifted beamletのビート周波数が含まれる。フローストリームの照射にフローストリームの幅(例えば、水平軸全体)にまたがる局部発振器が含まれる場合、周波数符号化蛍光データには、局部発振器ビーム(fLO)の周波数と各高周波シフトビームレットの周波数(f、f、f、f、f、fなど)との間の差に対応するビート周波数が含まれる。これらの実施形態では、周波数符号化蛍光データは、それぞれがフローストリームの水平軸を横切る位置に対応する複数のビート周波数を含み得る。
【0049】
以下でより詳細に論じられるように、1つの動作モードにおいて、フローストリーム内の粒子は、例えば、レーザービームの中心周波数をシフトすることによって、それぞれが取得できる複数の励起周波数と同時に照射されることができる。より具体的には、複数のサンプル位置は、参照レーザービーム(例えば、局部発振器)を複数の高周波シフトレーザービームと混合することによって生成されるレーザービームによって同時に照射されることができ、それにより、各サンプル位置は、参照ビームと高周波シフトビームの1つとで照射されて、存在する場合はその場所で関心があるフルオロフォアを励起する。いくつかの実施形態では、参照局部発振器は、光ビームの高周波シフトを介して生成することができる(例えば、連続波レーザーなどのレーザーから)。これらの実施形態では、光で照射されるフローストリーム内の粒子の各空間位置は、参照ビームの周波数と高周波シフトビームの1つの周波数との差に対応する異なるビート周波数で「タグ付け」される。これらの例では、フルオロフォアによって放出される蛍光放射は、ビート周波数を空間符号化する。
【0050】
特定の例では、フローストリームは、周波数シフト光の複数のビームで照射され、フローストリーム内の細胞は、高周波タグ付き発光(FIRE)を使用する蛍光イメージングによって画像化されて、それらの開示が参照により本明細書に組み込まれる、Dieboldら、Nature Photonics Vol.7(10);806-810(2013)ならびに米国特許番号9,423,353、9,784,661および10,006,852ならびに米国特許公開番号2017/0133857および2017/0350803に記載のものなどの周波数符号化画像を生成する。
【0051】
主題の方法を実施する際に、サンプルからの光は、光検出システムで検出される。以下でより詳細に説明するように、光検出システムは、明視野光検出器および1つ以上の蛍光検出器を有する。特定の例では、光検出システムは、前方散乱光検出器または側方散乱光検出器、あるいはそれらの組み合わせなどの光散乱検出器をさらに有する。収集された光は、連続的にまたは離散的間隔で検出され得る。いくつかの場合には、方法は、光を継続的に検出することを含む。他の場合では、光は、0.001ミリ秒ごと、0.01ミリ秒ごと、0.1ミリ秒ごと、1ミリ秒ごと、10ミリ秒ごと、100ミリ秒ごと、および1000ミリ秒ごと、またはその他の間隔での光の測定など、離散的間隔で測定される。
【0052】
検出された光の測定は、主題の方法の間に、1回以上、例えば2回以上、例えば3回以上、例えば5回以上、および10回以上、行われ得る。特定の実施形態では、サンプルからの光は2回以上、測定され、特定の例ではデータが平均化される。
【0053】
いくつかの実施形態では、方法は、光を検出する前に、サンプルからの光をさらに調整することを含む。例えば、サンプル供給源からの光は、1つ以上のレンズ、ミラー、ピンホール、スリット、格子、光屈折器、およびそれらの任意の組み合わせを通過し得る。いくつかの場合には、収集された光は、光のプロファイルを低減するためなど、1つ以上の集束レンズを通過する。他の場合では、サンプルから放出された光は、光ビームの発散を減らすために1つ以上のコリメータを通過する。
【0054】
実施形態では、方法は、明視野データ信号を生成するための明視野光検出器で光を検出することを含む。サンプルからの光は、1つ以上の波長、例えば5つ以上の異なる波長、例えば10個以上の異なる波長、例えば25個以上の異なる波長、例えば50個以上の異なる波長、例えば100個以上の異なる波長、例えば200個以上の異なる波長、例えば300個以上の異なる波長で、および400個以上の異なる波長での光の検出で、明視野光検出器により検出され得る。光は、200nm~1200nmの1つ以上の波長範囲にわたって明視野光検出器で検出され得る。いくつかの場合には、方法は、200nm~1200nm、例えば300nm~1100nm、例えば400nm~1000nm、例えば500nm~900nm、および600nm~800nmなどの波長範囲にわたって明視野光検出器でサンプルからの光を検出することを含む。
【0055】
明視野光検出器は、検出された光に応答して1つ以上の明視野データ信号を、例えば検出された光に応答して2つ以上、例えば3つ以上、例えば4つ以上、例えば5つ以上、および10個以上の明視野データ信号を生成するように構成される。明視野光検出器が、複数の波長の光(例えば、400nm~800nm)にわたる光を検出するように構成されている場合、いくつかの場合において方法は、検出された光の各波長に応答して1つ以上の明視野データ信号を生成することを含み得る。他の場合では、単一の明視野データ信号が、波長の全範囲にわたって明視野光検出器によって検出された光に応答して生成される。
【0056】
本発明の方法はまた、1つ以上の蛍光検出器でサンプルからの蛍光を検出することを含み得る。以下でより詳細に説明するように、光検出システムは、1つ以上の蛍光検出器、例えば2つ以上、例えば3つ以上、例えば4つ以上、例えば5つ以上、例えば6つ以上、例えば7つ以上、例えば8つ以上、例えば9つ以上、例えば10個以上、例えば15個以上、および25個以上の蛍光検出器を有し得る。実施形態では、蛍光検出器のそれぞれは、蛍光データ信号を生成するように構成される。サンプルからの蛍光は、200nm~1200nmの波長範囲の1つ以上にわたって、各蛍光検出器によって独立して検出され得る。いくつかの場合には、方法は、例えば200nm~1200nm、例えば300nm~1100nm、例えば400nm~1000nm、例えば500nm~900nm、および600nm~800nmの波長範囲にわたってサンプルからの蛍光を検出することを含む。他の場合では、方法は、1つ以上の特定波長で各蛍光検出器によって蛍光を検出することを含む。例えば、蛍光は、主題の光検出システム内の異なる蛍光検出器の数に応じて、450nm、518nm、519nm、561nm、578nm、605nm、607nm、625nm、650nm、660nm、667nm、670nm、668nm、695nm、710nm、723nm、780nm、785nm、647nm、617nm、およびそれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上で検出され得る。特定の実施形態では、方法は、サンプル中に存在する特定のフルオロフォアの蛍光ピーク波長に対応する光の波長を検出することを含む。
【0057】
主題の方法を実施する際に、位相補正は、明視野データ信号と各蛍光検出器からの蛍光データ信号との間の相対位相に基づいて、光検出システム内の1つ以上の蛍光検出器について計算される。1つの例では、方法は、検出された光に応答して明視野データ信号を生成するように構成された明視野光検出器で光を検出すること、検出された光に応答して第1の蛍光データ信号を生成するように構成された第1の蛍光検出器で光を検出すること、および、検出された光に応答して第2の蛍光データ信号を生成するように構成された第2の蛍光検出器で光を検出すること、明視野データ信号と第1の蛍光データ信号との間の相対位相に基づいて第1の蛍光検出器についての位相補正を計算すること、ならびに、明視野データ信号と第2の蛍光データ信号との間の相対位相に基づいて第2の蛍光検出器についての位相補正を計算することを含む。別の例では、方法は、検出された光に応答して明視野データ信号を生成するように構成された明視野光検出器で光を検出すること、複数の蛍光検出器で光を検出すること、および、明視野データ信号と複数の蛍光検出器からの各蛍光データ信号との間の相対位相に基づいて各蛍光検出器についての位相補正を計算することを含む。
【0058】
特定の実施形態では、位相補正は、以下に従って、明視野データ信号と蛍光データ信号との間の相対位相に基づいて蛍光検出器のそれぞれについて計算される。ここで、%はモジュロ関数を示し、すべての位相はラジアンで表される。
【0059】
【数1】
【0060】
他の実施形態では、位相補正は、以下に従って、明視野データ信号と蛍光データ信号との間の相対位相に基づいて蛍光検出器のそれぞれについて計算される。ここで、すべての位相は複素位相単位ベクトルとして表される。
【0061】
【数2】
【0062】
実施形態では、光は、所定の電圧で動作する各蛍光検出器によって検出される。いくつかの実施形態では、方法は、複数の異なる動作電圧での各蛍光検出器についての位相補正を計算することを含む。これらの実施形態では、方法は、蛍光データ信号の第1のセットを生成するために動作電圧の第1のセットにて各蛍光検出器で光を検出すること、1つ以上の蛍光検出器の動作電圧を動作電圧の第2のセットに変更すること、および、蛍光データ信号の第2のセットを生成するために動作電圧の第2のセットにて各蛍光検出器で光を検出することを含む。動作電圧は、例えば0.01V以上、例えば0.05V以上、例えば0.1V以上、例えば0.5V以上、例えば1V以上、例えば2V以上、例えば3V以上、例えば5V以上、例えば10V以上、例えば25V以上、例えば50V以上、例えば100V以上、例えば250V以上、例えば500V以上、および1000V以上など、任意の増分で変更(すなわち、増加または減少)され得る。
【0063】
1つの例では、各蛍光検出器は、0.01V以上、例えば0.05V以上、例えば0.1V以上、例えば0.5V以上、例えば1V以上、例えば2V以上、例えば3V以上、例えば5V以上、例えば10V以上、例えば25V以上、例えば50V以上、例えば100V以上、例えば250V以上、例えば500V以上、増加され、1000V以上の各蛍光検出器の動作電圧の増加が含まれる。別の例では、各蛍光検出器は、0.01V以上、例えば0.05V以上、例えば0.1V以上、例えば0.5V以上、例えば1V以上、例えば2V以上、例えば3V以上、例えば5V以上、例えば10V以上、例えば25V以上、例えば50V以上、例えば100V以上、例えば250V以上、例えば500V以上、減少され、1000V以上の各蛍光検出器の動作電圧の減少が含まれる。
【0064】
蛍光データ信号は、光検出システムを位相補正するために必要に応じて、任意の数の動作電圧で各蛍光検出器から収集され得、例えば、蛍光データ信号は、2つ以上の異なる動作電圧、例えば3つ以上の異なる動作電圧、例えば5つ以上の異なる動作電圧、例えば10個以上の異なる動作電圧、例えば25個以上の異なる動作電圧で各蛍光検出器から収集され、50個以上の異なる動作電圧での各蛍光検出器からの蛍光データ信号の収集が含まれる。
【0065】
動作電圧は、各蛍光検出器について同じ量または異なる量で変更され得る。いくつかの場合には、光検出システム内の各蛍光検出器の動作電圧は、同じ量だけ変更される。他の場合では、光検出システム内の各蛍光検出器の動作電圧は、異なる量だけ変更される。さらに他の場合では、光検出システム内の2つ以上の蛍光検出器の動作電圧は、同じ量だけ変更され得、光検出システム内の2つ以上の蛍光検出器の動作電圧は、異なる量だけ変更され得る。各動作電圧で、各蛍光検出器についての位相補正は、明視野データ信号および蛍光データ信号間の相対位相に基づいて計算される。
【0066】
以下でより詳細に説明するように、特定の実施形態による関心があるシステムは、可変利得アンプを含む。いくつかの場合には、可変利得アンプは、-100dB~100dB、例えば-75dB~75dB、例えば-50dB~50dB、例えば-25dB~25dB、および0dB~50dBの範囲で動作するように構成され得る。いくつかの実施形態では、方法は、電子利得設定(例えば、アンプの利得)を変更すること、および、各蛍光検出器についての位相補正を計算することを含む。いくつかの場合には、方法は、アンプの利得を、例えば0.01dB以上、例えば0.05dB以上、例えば0.1dB以上、例えば0.5dB以上、例えば1dB以上、例えば2dB以上、例えば3dB以上、例えば5dB以上、例えば10dB以上、および25dB以上、変更することを含む。1つの例では、方法は、アンプの利得を漸進的に増加させること、および、位相補正を計算することを含み、例えば、アンプの利得を0.01dB以上、例えば0.05dB以上、例えば0.1dB以上、例えば0.5dB以上、例えば1dB以上、例えば2dB以上、例えば3dB以上、例えば5dB以上、例えば10dB以上、および25dB以上、漸進的に増加させる。別の例では、方法は、アンプの利得を漸進的に減少させること、および、位相補正を計算することを含み、例えば、アンプの利得を0.01dB以上、例えば0.05dB以上、例えば0.1dB以上、例えば0.5dB以上、例えば1dB以上、例えば2dB以上、例えば3dB以上、例えば5dB以上、例えば10dB以上、および25dB以上、漸進的に減少させる。
【0067】
いくつかの実施形態では、光検出システムの各蛍光検出器についての位相補正を計算することは、寿命位相補正成分を計算することを含む。寿命位相補正は、上記のように、蛍光検出器の各動作電圧での計算された位相補正、および、サンプル中のフルオロフォアの蛍光寿命に基づいて計算される。特定のタイプのフルオロフォア、および存在するフルオロフォアの数に応じて、1つ以上の蛍光寿命を使用して、寿命位相補正成分が計算され得、例えば2つ以上、例えば3つ以上、例えば4つ以上、および5つ以上の異なる蛍光寿命を使用して、寿命位相補正成分が計算され得る。いくつかの実施形態では、各蛍光寿命は、フルオロフォアのピーク発光波長で計算される。これらの実施形態では、各フルオロフォアの寿命は、異なる検出器チャネルからの信号を使用して検出および計算され得る。
【0068】
特定の実施形態では、寿命位相補正は、以下に従って、サンプル中のフルオロフォアの蛍光寿命に基づいて、蛍光検出器のそれぞれについて計算される。ここで、τ=蛍光寿命、f=周波数である。
【0069】
【数3】
【0070】
図1は、特定の実施形態による、光検出システムの1つ以上の蛍光検出器についての位相補正を計算するためのフローチャートを示す。ステップ101で、フローストリーム内の粒子からの光が、明視野光検出器および1つ以上の蛍光検出器で検出される。ステップ102で、明視野データ信号および蛍光検出器からのデータ信号が生成される。ステップ103において、各蛍光検出器についての位相補正は、明視野データ信号と各蛍光検出器からの蛍光データ信号との間の相対位相に基づいて計算される。ステップ104において、寿命位相補正は、ステップ103で計算された位相補正成分、およびフローストリーム内のサンプルにおけるフルオロフォアの寿命を使用して計算される。各蛍光検出器の動作電圧を変更した後、ステップ101~104を繰り返すことができる(ステップ106)。ステップ105で、計算された位相補正が各蛍光検出器に適用される。周波数符号化データはステップ107で生成され、位相補正空間データは、離散フーリエ変換を用いてなど、周波数符号化蛍光データの変換を実行することによってステップ108で計算される。空間データは、ステップ109で画像を生成するために使用することができる。
【0071】
特定の実施形態では、方法はまた、上記のように各蛍光検出器について計算された位相補正を使用して、周波数符号化蛍光データから粒子の位相補正空間データを計算することを含む。これらの実施形態では、方法は、光検出システム内の1つ以上の蛍光検出器でサンプル内の粒子から周波数符号化蛍光データを生成すること、および、各蛍光検出器について計算された位相補正で周波数符号化蛍光データの変換を実行することによって、粒子の位相補正空間データを計算することを含む。1つの例では、位相補正空間データは、計算された位相補正で周波数符号化蛍光データのフーリエ変換(FT)を実行することによって計算される。別の例では、位相補正空間データは、計算された位相補正で周波数符号化蛍光データの離散フーリエ変換(DFT)を実行することによって計算される。さらに別の例では、位相補正空間データは、計算された位相補正で周波数符号化蛍光データの短時間フーリエ変換(STFT)を実行することによって計算される。さらに別の例では、位相補正空間データは、周波数符号化蛍光データをヘテロダインおよび逆多重化するために、デジタルロックインアンプを使用して計算される。周波数符号化データの空間データへの変換を実行する前に位相補正を考慮することにより、変換の出力は、生の周波数データの空間データへの変換を実行する場合(つまり、位相についての最初の考慮なし)と比較して、計算が複雑になりにくい。いくつかの実施形態では、方法は、周波数符号化蛍光データから空間データを生成するために、数学的な虚数計算を実行せずに(すなわち、変換の数学的な実数計算のための計算を実行するだけで)、周波数符号化蛍光データの変換を実行することを含む。
【0072】
いくつかの実施形態では、空間データは、粒子の水平サイズ寸法、粒子の垂直サイズ寸法、2つの異なる寸法に沿った粒子サイズの比率、粒子成分の比率サイズ(例えば、核の水平寸法と細胞の細胞質の水平寸法との比率)を含む。
【0073】
特定の実施形態では、方法は、周波数符号化蛍光からフローストリーム内の粒子の画像を生成することを含む。いくつかの実施形態では、粒子の画像は、検出された光吸収、検出された光散乱、またはそれらの組み合わせと組み合わせて、周波数符号化蛍光から生成され得る。特定の場合では、粒子の画像は、周波数符号化蛍光のみから生成される。他の場合では、物体の画像は、明視野光検出器からなど、サンプルから検出された周波数符号化蛍光および光吸収から生成される。さらに他の場合では、粒子の画像は、側方散乱検出器、前方散乱検出器、または側方散乱検出器および前方散乱検出器の組み合わせからなど、サンプルから検出された光散乱で周波数符号化蛍光から生成される。さらに他の場合では、粒子の画像は、周波数符号化蛍光と、検出された光吸収、検出された光散乱、および検出された発光の組み合わせとから生成される。
【0074】
粒子の1つ以上の画像は、周波数符号化蛍光データから生成され得る。いくつかの実施形態では、粒子の単一の画像が、周波数符号化蛍光データから生成される。他の実施形態では、粒子の2つ以上の画像、例えば3つ以上、例えば4つ以上、例えば5つ以上、および10個以上の画像またはそれらの組み合わせが、周波数符号化蛍光データから生成される。
【0075】
光検出システムからの信号を位相補正するためのシステム
上記に要約したように、本開示の態様はまた、フローストリーム内のサンプルの粒子(例えば、生物学的サンプル中の細胞)を特徴付けるための光検出システムを有するシステムを含む。特定の実施形態によるシステムは、フローストリーム内に粒子を有するサンプルを照射するように構成された光源、明視野データ信号を生成するように構成された明視野光検出器および蛍光データ信号を生成するように構成された1つ以上の蛍光検出器を有する光検出システム、ならびに、プロセッサに動作可能に結合されたメモリを備えるプロセッサを有し、メモリは、そこに格納された命令を含み、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに明視野データ信号と各蛍光検出器からの蛍光データ信号との間の相対位相に基づいて各蛍光検出器についての位相補正を計算させる。
【0076】
関心があるシステムには、フローストリーム内のサンプルを照射するように構成された光源が含まれる。実施形態では、光源は、任意の適切な広帯域または狭帯域の光源であり得る。サンプル中の成分(例えば、細胞、ビーズ、非細胞粒子など)に応じて、光源は、200nm~1500nm、例えば250nm~1250nm、例えば300nm~1000nm、例えば350nm~900nm、および400nm~800nmの範囲でさまざまである光の波長を放出するように構成され得る。例えば、光源は、200nm~900nmの波長を有する光を放出する広帯域光源を含み得る。他の場合では、光源は、200nm~900nmの範囲の波長を放出する狭帯域光源を含む。例えば、光源は、200nm~900nmの範囲の波長を有する光を放出する狭帯域LED(1nm~25nm)であり得る。
【0077】
いくつかの実施形態では、光源はレーザーである。関心があるレーザーには、パルスレーザーまたは連続波レーザーが含まれ得る。例えば、レーザーは、ヘリウム-ネオンレーザー、アルゴンレーザー、クリプトンレーザー、キセノンレーザー、窒素レーザー、COレーザー、COレーザー、アルゴン-フッ素(ArF)エキシマレーザー、クリプトン-フッ素(KrF)エキシマレーザー、キセノン塩素(XeCl)エキシマレーザーまたはキセノン-フッ素(XeF)エキシマレーザーまたはそれらの組み合わせなどのガスレーザー、スチルベン、クマリンまたはローダミンレーザーなどの色素レーザー、ヘリウム-カドミウム(HeCd)レーザー、ヘリウム-水銀(HeHg)レーザー、ヘリウム-セレン(HeSe)レーザー、ヘリウム-銀(HeAg)レーザー、ストロンチウムレーザー、ネオン-銅(NeCu)レーザー、銅レーザーまたは金レーザーおよびそれらの組み合わせなどの金属蒸気レーザー、ルビーレーザー、Nd:YAGレーザー、NdCrYAGレーザー、Er:YAGレーザー、Nd:YLFレーザー、Nd:YVOレーザー、Nd:YCaO(BOレーザー、Nd:YCOBレーザー、チタンサファイアレーザー、ツリウム(thulim)YAGレーザー、イッテルビウムYAGレーザー、Ybレーザーまたはセリウムドープレーザー、およびそれらの組み合わせなどの固体レーザー、半導体ダイオードレーザー、光ポンピング半導体レーザー(OPSL)、または上記のレーザーのいずれかの周波数2倍または周波数3倍の実装であり得る。
【0078】
他の実施形態では、光源は、限定されないがハロゲンランプ、重水素アークランプ、キセノンアークランプなどのランプ、連続スペクトルを有する広帯域LED、スーパールミネッセント発光ダイオード、半導体発光ダイオード、ワイドスペクトルLED白色光源、マルチLED一体型などの発光ダイオード等の非レーザー光源である。いくつかの場合では、非レーザー光源は、他の光源の中でも、安定化ファイバー結合広帯域光源、白色光源、またはそれらの任意の組み合わせである。
【0079】
特定の実施形態では、光源は、周波数シフト光の2つ以上のビームを生成するように構成された光ビーム発生器である。いくつかの例では、光ビーム発生器は、レーザー、高周波駆動信号を音響光学デバイスに印加して2つ以上の角度偏向レーザービームを生成するように構成された高周波発生器を有する。これらの実施形態では、レーザーは、パルスレーザーまたは連続波レーザーであり得る。例えば、関心がある光ビーム発生器のレーザーは、ヘリウム-ネオンレーザー、アルゴンレーザー、クリプトンレーザー、キセノンレーザー、窒素レーザー、COレーザー、COレーザー、アルゴン-フッ素(ArF)エキシマレーザー、クリプトン-フッ素(KrF)エキシマレーザー、キセノン塩素(XeCl)エキシマレーザーまたはキセノン-フッ素(XeF)エキシマレーザーまたはそれらの組み合わせなどのガスレーザー、スチルベン、クマリンまたはローダミンレーザーなどの色素レーザー、ヘリウム-カドミウム(HeCd)レーザー、ヘリウム-水銀(HeHg)レーザー、ヘリウム-セレン(HeSe)レーザー、ヘリウム-銀(HeAg)レーザー、ストロンチウムレーザー、ネオン-銅(NeCu)レーザー、銅レーザーまたは金レーザーおよびそれらの組み合わせなどの金属蒸気レーザー、ルビーレーザー、Nd:YAGレーザー、NdCrYAGレーザー、Er:YAGレーザー、Nd:YLFレーザー、Nd:YVOレーザー、Nd:YCa(BOレーザー、Nd:YCOBレーザー、チタンサファイアレーザー、ツリウム(thulim)YAGレーザー、イッテルビウムYAGレーザー、Ybレーザーまたはセリウムドープレーザー、およびそれらの組み合わせなどの固体レーザーであり得る。
【0080】
音響光学デバイスは、印加された音響波を使用してレーザー光を周波数シフトするように構成された任意の都合が良い音響光学プロトコルであり得る。特定の実施形態では、音響光学デバイスは、音響光学偏向器である。主題のシステム内の音響光学デバイスは、レーザーからの光および印加された高周波駆動信号から角度偏向レーザービームを生成するように構成される。高周波駆動信号は、ダイレクトデジタルシンセサイザー(DDS)、任意波形発生器(AWG)、または電気パルス発生器などの任意の適切な高周波駆動信号源を用いて音響光学デバイスに印加され得る。
【0081】
実施形態では、コントローラは、高周波駆動信号を音響光学デバイスに印加して、出力レーザービーム内に所望の数の角度偏向レーザービームを生成するように構成され、例えば、3つ以上の高周波駆動信号、例えば4つ以上の高周波駆動信号、例えば5つ以上の高周波駆動信号、例えば6つ以上の高周波駆動信号、例えば7つ以上の高周波駆動信号、例えば8つ以上の高周波駆動信号、例えば9つ以上の高周波駆動信号、例えば10個以上の高周波駆動信号、例えば15個以上の高周波駆動信号、例えば25個以上の高周波駆動信号、例えば50個以上の高周波駆動信号を印加するように構成され、および100個以上の高周波駆動信号を印加するように構成される。
【0082】
いくつかの例では、出力レーザービーム内の角度偏向レーザービームの強度プロファイルを生成するために、コントローラは、例えば約0.001V~約500V、例えば約0.005V~約400V、例えば約0.01V~約300V、例えば約0.05V~約200V、例えば約0.1V~約100V、例えば約0.5V~約75V、例えば約1V~50V、例えば約2V~40V、例えば3V~約30V、および約5V~約25Vのようにさまざまな振幅を有する高周波駆動信号を印加するように構成される。各印加高周波駆動信号は、いくつかの実施形態では、約0.001MHz~約500MHz、例えば約0.005MHz~約400MHz、例えば約0.01MHz~約300MHz、例えば約0.05MHz~約200MHz、例えば約0.1MHz~約100MHz、例えば約0.5MHz~約90MHz、例えば約1MHz~約75MHz、例えば約2MHz~約70MHz、例えば約3MHz~約65MHz、例えば約4MHz~約60MHz、および約5MHz~約50MHzの周波数を有する。
【0083】
特定の実施形態では、コントローラは、メモリがそこに格納された命令を含むようにプロセッサに動作可能に結合されたメモリを備えるプロセッサを有し、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、所望の強度プロファイルを有する角度偏向レーザービームを有する出力レーザービームを生成させる。例えば、メモリは、2つ以上、例えば3つ以上、例えば4つ以上、例えば5つ以上、例えば10個以上、例えば25個以上、および50個以上の同じ強度を有する角度偏向レーザービームを生成するための命令を含み得、メモリは、100個以上の同じ強度を有する角度偏向レーザービームを生成するための命令を含み得る。他の実施形態では、2つ以上、例えば3つ以上、例えば4つ以上、例えば5つ以上、例えば10個以上、例えば25個以上、および50個以上の異なる強度を有する角度偏向レーザービームを生成するための命令を含み得、メモリは、100個以上の異なる強度を有する角度偏向レーザービームを生成するための命令を含み得る。
【0084】
特定の実施形態では、コントローラは、メモリがそこに格納された命令を含むようにプロセッサに動作可能に結合されたメモリを備えるプロセッサを有し、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、水平軸に沿った出力レーザービームのエッジから中心に向かって増加する強度を有する出力レーザービームを生成させる。これらの場合では、出力ビームの中心での角度偏向レーザービームの強度は、水平軸に沿った出力レーザービームのエッジでの角度偏向レーザービームの強度の0.1%~約99%、例えば約0.5%~約95%、例えば1%~約90%、例えば約2%~約85%、例えば約3%~約80%、例えば約4%~約75%、例えば約5%~約70%、例えば約6%~約65%、例えば約7%~約60%、例えば約8%~約55%、および水平軸に沿った出力レーザービームのエッジでの角度偏向レーザービームの強度の約10%~約50%の範囲であり得る。他の実施形態では、コントローラは、メモリがそこに格納された命令を含むようにプロセッサに動作可能に結合されたメモリを備えるプロセッサを有し、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、水平軸に沿った出力レーザービームのエッジから中心に向かって増加する強度を有する出力レーザービームを生成させる。これらの場合では、出力ビームのエッジでの角度偏向レーザービームの強度は、水平軸に沿った出力レーザービームの中心での角度偏向レーザービームの強度の0.1%~約99%、例えば0.5%~約95%、例えば1%~約90%、例えば約2%~約85%、例えば約3%~約80%、例えば約4%~約75%、例えば約5%~約70%、例えば約6%~約65%、例えば約7%~約60%、例えば約8%~約55%、および水平軸に沿った出力レーザービームの中心での角度偏向レーザービームの強度の約10%~約50%の範囲であり得る。さらに他の実施形態では、コントローラは、メモリがそこに格納された命令を含むようにプロセッサに動作可能に結合されたメモリを備えるプロセッサを有し、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、水平軸に沿ってガウス分布を持つ強度プロファイルを有する出力レーザービームを生成させる。さらに他の実施形態では、コントローラは、メモリがそこに記憶された命令を含むようにプロセッサに動作可能に結合されたメモリを備えるプロセッサを有し、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、水平軸に沿ってシルクハット強度プロファイルを有する出力レーザービームを生成させる。
【0085】
実施形態では、関心がある光ビーム発生器は、空間的に分離された出力レーザービームにおいて角度偏向レーザービームを生成するように構成され得る。印加される高周波駆動信号および出力レーザービームの所望の照射プロファイルに応じて、角度偏向レーザービームは、0.001μm以上、例えば0.005μm以上、例えば0.01μm以上、例えば0.05μm以上、例えば0.1μm以上、例えば0.5μm以上、例えば1μm以上、例えば5μm以上、例えば10μm以上、例えば100μm、例えば500μm以上、例えば1000μm以上、および5000μm以上、分離され得る。いくつかの実施形態では、システムは、出力レーザービームの水平軸に沿って隣接する角度偏向レーザービームなどと重なる出力レーザービーム内に、角度偏向レーザービームを生成するように構成される。隣接する角度偏向レーザービーム間の重なり(ビームスポットの重なりなど)は、0.001μm以上の重なり、例えば0.005μm以上の重なり、例えば0.01μm以上の重なり、例えば0.05μm以上の重なり、例えば0.1μm以上の重なり、例えば0.5μm以上の重なり、例えば1μm以上の重なり、例えば5μm以上の重なり、例えば10μm以上の重なり、および100μm以上の重なりであり得る。
【0086】
特定の場合において、周波数シフト光の2つ以上のビームを生成するように構成された光ビーム発生器は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許番号9,423,353、9,784,661および10,006,852ならびに米国特許公開番号2017/0133857および2017/0350803に記載されているようなレーザー励起モジュールを含む。
【0087】
実施形態では、システムは、サンプルからの光を検出および測定するための明視野光検出器および1つ以上の蛍光検出器を有する光検出システムを有する。関心がある主題の明視野および蛍光検出器には、他の光検出器の中でも、アクティブピクセルセンサー(APS)、アバランシェフォトダイオード、イメージセンサー、電荷結合デバイス(CCD)、強化電荷結合デバイス(ICCD)、発光ダイオード、フォトンカウンター、ボロメーター、熱電検出器、フォトレジスター、光起電力セル、フォトダイオード、光電子増倍管、フォトトランジスター、量子ドット光伝導体またはフォトダイオード、およびそれらの組み合わせなどの光学センサーが含まれ得るが、これらに限定されない。特定の実施形態では、サンプルからの光は、電荷結合デバイス(CDD)、半導体電荷結合デバイス(CCD)、アクティブピクセルセンサー(APS)、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)イメージセンサーまたはN型金属酸化膜半導体(NMOS)イメージセンサーで測定される。特定の実施形態では、明視野光検出器はアバランシェフォトダイオード(APD)を含む。特定の場合では、1つ以上の蛍光検出器はアバランシェフォトダイオードである。
【0088】
いくつかの実施形態では、関心がある光検出システムは、複数の蛍光検出器を有する。いくつかの場合では、光検出システムは、フォトダイオードなどの複数の固体検出器を有する。特定の場合では、光検出システムは、フォトダイオードのアレイなどの蛍光検出器アレイを有する。これらの実施形態では、光検出器アレイは、4つ以上の光検出器、例えば10個以上の光検出器、例えば25個以上の光検出器、例えば50個以上の光検出器、例えば100個以上の光検出器、例えば250個以上の光検出器、例えば500個以上の光検出器、例えば750個以上の光検出器および1000個以上の光検出器を有し得る。例えば、検出器は、4つ以上のフォトダイオード、例えば10個以上のフォトダイオード、例えば25個以上のフォトダイオード、例えば50個以上のフォトダイオード、例えば100個以上のフォトダイオード、例えば250個以上のフォトダイオード、例えば500個以上のフォトダイオード、例えば750個以上のフォトダイオード、および1000個以上のフォトダイオードを有するフォトダイオードアレイであり得る。
【0089】
光検出器は、所望により任意の幾何学的構成で配置され得、関心がある配置には、正方形構成、長方形構成、台形構成、三角形構成、六角形構成、七角形構成、八角形構成、九角形構成、十角形構成、十二角形構成、円形構成、楕円形構成、および不規則パターン化構成が含まれるが、これらに限定されない。光検出器アレイ内の光検出器は、(X-Z平面で参照されるように)他に対して、10°~180°、例えば15°~170°、例えば20°~160°、例えば25°~150°、例えば30°~120°、および45°~90°の範囲の角度で配向され得る。光検出器アレイは、任意の適切な形状であり得、直線形状、例えば、正方形、長方形、台形、三角形、六角形など、曲線形状、例えば、円、楕円、ならびに不規則形状、例えば、平面状上部部分に結合された放物線状底部部分であり得る。特定の実施形態では、光検出器アレイは、長方形の活性表面を有する。
【0090】
アレイ内の各光検出器(例えば、フォトダイオード)は、活性表面を有し得、その幅は5μm~250μm、例えば10μm~225μm、例えば15μm~200μm、例えば20μm~175μm、例えば25μm~150μm、例えば30μm~125μm、および50μm~100μmの範囲であり、その長さは5μm~250μm、例えば10μm~225μm、例えば15μm~200μm、例えば20μm~175μm、例えば25μm~150μm、例えば30μm~125μm、および50μm~100μmの範囲であり、ここで、アレイ内のそれぞれの光検出器(例えば、フォトダイオード)の表面積は、25μm~10000μm、例えば50μm~9000μm、例えば75μm~8000μm、例えば100μm~7000μm、例えば150μm~6000μm、および200μm~5000μmの範囲である。
【0091】
光検出器アレイのサイズは、光の量および強度、光検出器の数、および所望の感度に応じてさまざまであり得、0.01mm~100mm、例えば0.05mm~90mm、例えば0.1mm~80mm、例えば0.5mm~70mm、例えば1mm~60mm、例えば2mm~50mm、例えば3mm~40mm、例えば4mm~30mmおよび5mm~25mmの範囲の長さを有し得る。光検出器アレイの幅もまたさまざまであり得、0.01mm~100mm、例えば0.05mm~90mm、例えば0.1mm~80mm、例えば0.5mm~70mm、例えば1mm~60mm、例えば2mm~50mm、例えば3mm~40mm、例えば4mm~30mm、および5mm~25mmの範囲である。したがって、光検出器アレイの活性表面は、0.1mm~10000mm、例えば0.5mm~5000mm、例えば1mm~1000mm、例えば5mm~500mm、および10mm~100mmの範囲であり得る。
【0092】
関心がある光検出器は、1つ以上の波長、例えば2つ以上の波長、例えば5つ以上の異なる波長、例えば10以上の異なる波長、例えば25以上の異なる波長、例えば50以上の異なる波長、例えば100以上の異なる波長、例えば200以上の異なる波長、例えば300以上の異なる波長で収集された光を測定するように、および400以上の異なる波長でフローストリーム内のサンプルによって放出された光を測定するように構成される。
【0093】
実施形態では、光検出システムは、明視野データ信号を生成するように構成された明視野光検出器を含む。明視野光検出器は、サンプルからの光を、1つ以上の波長、例えば5つ以上の異なる波長、例えば10個以上の異なる波長、例えば25個以上の異なる波長、例えば50個以上の異なる波長、例えば100個以上の異なる波長、例えば200個以上の異なる波長、例えば300個以上の異なる波長で検出し、400個以上の異なる波長で光を検出するよう構成され得る。明視野光検出器は、光を200nm~1200nmの1つ以上の波長範囲にわたって検出するよう構成され得る。いくつかの場合には、方法は、例えば200nm~1200nm、例えば300nm~1100nm、例えば400nm~1000nm、例えば500nm~900nm、および600nm~800nmの波長範囲にわたって明視野光検出器でサンプルからの光を検出することを含む。
【0094】
関心がある光検出システムにおける明視野光検出器は、特定の実施形態において、検出された光に応答して1つ以上の明視野データ信号を、検出された光に応答して例えば2つ以上、例えば3つ以上、例えば4つ以上、例えば5つ以上、および10以上の明視野データ信号を生成するように構成される。明視野光検出器が、複数の波長の光(例えば、400nm~800nm)にわたる光を検出するように構成されている場合、いくつかの場合において方法は、検出された光の各波長に応答して1つ以上の明視野データ信号を生成することを含み得る。他の場合では、単一の明視野データ信号が、波長の全範囲にわたって明視野光検出器によって検出された光に応答して生成される。
【0095】
光検出システムは、1つ以上の蛍光検出器、例えば2つ以上、例えば3つ以上、例えば4つ以上、例えば5つ以上、例えば6つ以上、例えば7つ以上、例えば8つ以上、例えば9つ以上、例えば10個以上、例えば15個以上、および25個以上の蛍光検出器を有する。実施形態では、各蛍光検出器は、蛍光データ信号を生成するように構成される。サンプルからの蛍光は、200nm~1200nmの波長範囲の1つ以上にわたって、各蛍光検出器によって独立して検出され得る。いくつかの場合には、1つ以上の蛍光検出器は、例えば200nm~1200nm、例えば300nm~1100nm、例えば400nm~1000nm、例えば500nm~900nm、および600nm~800nmの波長範囲にわたってサンプルからの光を検出するように構成される。他の場合では、1つ以上の蛍光検出器は、1つ以上の特定の波長の光を検出するように構成される。例えば、蛍光は、主題の光検出システム内の異なる蛍光検出器の数に応じて、450nm、518nm、519nm、561nm、578nm、605nm、607nm、625nm、650nm、660nm、667nm、670nm、668nm、695nm、710nm、723nm、780nm、785nm、647nm、617nm、およびそれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上で検出され得る。特定の実施形態では、1つ以上の蛍光検出器は、サンプル中の特定のフルオロフォアの蛍光ピーク波長に対応する光の波長を検出するように構成される。
【0096】
光検出システムは、光を連続的にまたは離散的な間隔で測定するように構成される。いくつかの場合では、光検出システムの検出器は、収集された光を連続的に測定するように構成される。他の場合では、光検出システムは、0.001ミリ秒ごと、0.01ミリ秒ごと、0.1ミリ秒ごと、1ミリ秒ごと、10ミリ秒ごと、100ミリ秒ごと、および1000ミリ秒ごとまたはなんらかの他の間隔で光を測定するなど、離散的な間隔で測定を行うように構成される。
【0097】
いくつかの実施形態では、システムは、フローストリーム内に粒子を有するサンプルを照射することによって周波数符号化蛍光データを生成するように構成される。いくつかの実施形態では、光源は、(例えば、音響光学デバイスに結合されたダイレクトデジタルシンセサイザーからの)印加された高周波駆動信号の振幅に基づく強度をそれぞれが有する複数の角度偏向レーザービームを生成する光発生器構成要素を有する。例えば、主題のシステムは、2つ以上の角度偏向レーザービーム、例えば3つ以上、例えば4つ以上、例えば5つ以上、例えば6つ以上、例えば7つ以上、例えば8つ以上、例えば9つ以上、例えば10以上、および25以上の角度偏向レーザービームを生成する光発生器構成要素を有し得る。実施形態では、角度偏向レーザービームのそれぞれは、入力レーザービームの周波数から所定高周波だけシフトされた異なる周波数を有する。
【0098】
主題のシステムは、特定の実施形態によれば、互いに空間シフトされた角度偏向レーザービームを生成するように構成される。印加される高周波駆動信号および出力レーザービームの所望照射プロファイルに応じて、主題のシステムは、0.001μm以上、例えば0.005μm以上、例えば0.01μm以上、例えば0.05μm以上、例えば0.1μm以上、例えば0.5μm以上、例えば1μm以上、例えば5μm以上、例えば10μm以上、例えば100μm以上、例えば500μm以上、例えば1000μm以上、および5000μm以上、離れている角度偏向レーザービームを生成するように構成され得る。いくつかの実施形態では、角度偏向レーザービームは、例えば、出力レーザービームの水平軸に沿った隣接する角度偏向レーザービームと重なる。隣接する角度偏向レーザービーム間の重なり(ビームスポットの重なりなど)は、0.001μm以上の重なり、例えば0.005μm以上の重なり、例えば0.01μm以上の重なり、例えば0.05μm以上の重なり、例えば0.1μm以上の重なり、例えば0.5μm以上の重なり、例えば1μm以上の重なり、例えば5μm以上の重なり、例えば10μm以上の重なり、および100μm以上の重なりであり得る。
【0099】
いくつかの実施形態では、システムは、プロセッサに動作可能に結合されたメモリを備えるプロセッサを有し、メモリは、そこに格納された命令を含み、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、フローストリーム上の入射する重なり合う光のビームレットの光周波数間の差を計算することによって周波数符号化蛍光データを生成させる。1つの例では、システムは、プロセッサに動作可能に結合されたメモリを備えるプロセッサを有し、メモリは、そこに格納された命令を含み、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、フローストリームの水平軸を横切る各位置でビート周波数を計算させる。これらの実施形態では、粒子によって放出される周波数符号化蛍光は、局部発振器ビームの周波数(fLO)と高周波シフトビームレットの周波数との間の差に対応するビート周波数である。例えば、周波数符号化蛍光データには、fLO-fRF shifted beamletのビート周波数が含まれる。フローストリームの照射にフローストリームの幅(例えば、水平軸全体)にまたがる局部発振器が含まれる場合、周波数符号化蛍光データには、局部発振器ビーム(fLO)の周波数と各高周波シフトビームレットの周波数(f、f、f、f、f、fなど)との間の差に対応するビート周波数が含まれる。これらの実施形態では、周波数符号化蛍光データは、それぞれがフローストリームの水平軸を横切る位置に対応する複数のビート周波数を含み得る。
【0100】
実施形態では、システムは、プロセッサに動作可能に結合されたメモリを備えるプロセッサを有し、メモリは、そこに格納された命令を含み、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、明視野データ信号と各蛍光検出器からの蛍光データ信号との間の相対位相に基づいて各蛍光検出器についての位相補正を計算させる。1つの例では、システムは、明視野データ信号を生成するための明視野光検出器で光を検出し、第1の蛍光データ信号を生成するように構成された第1の蛍光検出器で検出光を伴う光を検出し、第2の蛍光データ信号を生成するように構成された第2の蛍光検出器で光を検出し、明視野データ信号と第1の蛍光データ信号との間の相対位相に基づいて、第1の蛍光検出器についての位相補正を計算し、明視野データ信号と第2の蛍光データ信号との間の相対位相に基づいて、第2の蛍光検出器についての位相補正を計算するよう構成される。別の例では、システムは、明視野データ信号を生成するように構成された明視野光検出器で光を検出し、複数の蛍光検出器で光を検出し、明視野データ信号と複数の蛍光検出器からの各蛍光データ信号との間の相対位相に基づいて、各蛍光検出器についての位相補正を計算するように構成される。
【0101】
特定の実施形態では、システムは、プロセッサに動作可能に結合されたメモリを備えるプロセッサを有し、メモリは、そこに格納された命令を含み、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、以下に従って、明視野データ信号および蛍光データ信号間の相対位相に基づいて各蛍光検出器についての位相補正を計算させる。ここで、%はモジュロ関数を示し、すべての位相はラジアンで表される。
【0102】
【数4】
【0103】
他の実施形態では、システムは、以下に従って、明視野データ信号および蛍光データ信号間の相対位相に基づいて、各蛍光検出器についての位相補正を計算するように構成される。ここで、すべての位相は複素位相単位ベクトルとして表される。
【0104】
【数5】
【0105】
光検出システムは、所定の電圧で各検出器を動作させるように構成される。いくつかの実施形態では、主題のシステムは、複数の異なる動作電圧で各蛍光検出器についての位相補正を計算するように構成される。これらの実施形態では、主題のシステムは、動作電圧の第1のセットにて各蛍光検出器で光を検出して蛍光データ信号の第1のセットを生成することによって、光検出システムを位相補正し、明視野データ信号と各蛍光検出器からの蛍光データ信号との間の相対位相に基づいて、動作電圧の第1のセットでの各蛍光検出器についての位相補正を計算し、1つ以上の蛍光検出器の動作電圧を動作電圧の第2のセットに変更し、動作電圧の第2のセットにて各蛍光検出器で光を検出して、蛍光データ信号の第2のセットを生成し、明視野データ信号と各蛍光検出器からの蛍光データ信号との間の相対位相に基づいて、動作電圧の第2のセットでの各蛍光検出器についての位相補正を計算するように構成される。
【0106】
特定の実施形態による、主題のシステムは、プロセッサに動作可能に結合されたメモリを備えるプロセッサを有し、メモリは、そこに格納された命令を含み、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、各蛍光検出器の動作電圧を変更させ、各動作電圧での各蛍光検出器についての位相補正を計算させる。これらの実施形態では、システムは、各蛍光検出器の動作電圧を、例えば0.01V以上、例えば0.05V以上、例えば0.1V以上、例えば0.5V以上、例えば1V以上、例えば2V以上、例えば3V以上、例えば5V以上、例えば10V以上、例えば25V以上、例えば50V以上、例えば100V以上、例えば250V以上、例えば500V以上および1000V以上、変更するよう構成され得る。1つの例では、システムは、各蛍光検出器の動作電圧を漸進的に増加させ、例えば、動作電圧を0.01V以上、例えば0.05V以上、例えば0.1V以上、例えば0.5V以上、例えば1V以上、例えば2V以上、例えば3V以上、例えば5V以上、例えば10V以上、例えば25V以上、例えば50V以上、例えば100V以上、例えば250V以上、例えば500V以上、および1000V以上、漸進的に増加させ、各動作電圧での位相補正を計算するように構成される。別の例では、システムは、各蛍光検出器の動作電圧を漸進的に減少させ、例えば、動作電圧を0.01V以上、例えば0.05V以上、例えば0.1V以上、例えば0.5V以上、例えば1V以上、例えば2V以上、例えば3V以上、例えば5V以上、例えば10V以上、例えば25V以上、例えば50V以上、例えば100V以上、例えば250V以上、例えば500V以上、および1000V以上、漸進的に減少させ、各動作電圧での位相補正を計算するように構成される。
【0107】
関心があるシステムは、光検出システムを位相補正するために、任意の数の動作電圧で各蛍光検出器から蛍光データ信号を収集するように構成され得、蛍光データ信号は各蛍光検出器から、2つ以上の異なる動作電圧、例えば3つ以上の異なる動作電圧、例えば5つ以上の異なる動作電圧、例えば10個以上の異なる動作電圧、例えば25個以上の異なる動作電圧で収集され、50個以上の異なる動作電圧での各蛍光検出器からの蛍光データ信号の収集も含まれる。特定の実施形態では、システムは、サンプル(例えば生物学的サンプル)から光信号を収集するために使用される各動作電圧での各蛍光検出器についての位相補正を計算するように構成される。
【0108】
実施形態では、主題のシステムは、各蛍光検出器の動作電圧を同じ量または異なる量だけ変更するように構成され得る。いくつかの場合には、システムは、光検出システム内の各蛍光検出器の動作電圧を同じ量だけ変更するように構成される。他の場合では、システムは、光検出システム内の各蛍光検出器の動作電圧を異なる量だけ変更するように構成される。さらに他の場合では、システムは、光検出システム内の2つ以上の蛍光検出器の動作電圧を同じ量だけ変化させ、光検出システム内の2つ以上の蛍光検出器の動作電圧を異なる量だけ変化させるように構成される。各動作電圧において、システムは、明視野データ信号および蛍光データ信号間の相対位相に基づいて、各蛍光検出器についての位相補正を計算するように構成される。
【0109】
いくつかの実施形態では、関心があるシステムは、可変利得アンプを有する。いくつかの場合には、可変利得アンプは、-100dB~100dB、例えば-75dB~75dB、例えば-50dB~50dB、例えば-25dB~25dB、および0dB~50dBの範囲で動作するように構成され得る。いくつかの実施形態では、システムは、プロセッサに動作可能に結合されたメモリを備えるプロセッサを有し、メモリは、そこに格納された命令を含み、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、電子利得設定(例えば、アンプの利得)を変更させ、各蛍光検出器についての位相補正を計算させる。いくつかの実施形態では、システムは、アンプの利得を、例えば0.01dB以上、例えば0.05dB以上、例えば0.1dB以上、例えば0.5dB以上、例えば1dB以上、例えば2dB以上、例えば3dB以上、例えば5dB以上、例えば10dB以上、および25dB以上、変更するよう構成され得る。1つの例では、システムは、アンプの利得を漸進的に増加させ、位相補正を計算するよう構成され、例えば、アンプの利得を0.01dB以上、例えば0.05dB以上、例えば0.1dB以上、例えば0.5dB以上、例えば1dB以上、例えば2dB以上、例えば3dB以上、例えば5dB以上、例えば10dB以上、および25dB以上、漸進的に増加させる。別の例では、システムは、アンプの利得を漸進的に減少させ、位相補正を計算するよう構成され、例えば、アンプの利得を0.01dB以上、例えば0.05dB以上、例えば0.1dB以上、例えば0.5dB以上、例えば1dB以上、例えば2dB以上、例えば3dB以上、例えば5dB以上、例えば10dB以上、および25dB以上、漸進的に減少させる。
【0110】
いくつかの実施形態では、システムは、プロセッサに動作可能に結合されたメモリを備えるプロセッサを有し、メモリは、そこに格納された命令を含み、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに寿命位相補正成分を計算させる。寿命位相補正は、上記のように、蛍光検出器の各動作電圧での計算された位相補正、および、サンプル中のフルオロフォアの蛍光寿命に基づいて計算される。特定のタイプのフルオロフォア、および存在するフルオロフォアの数に応じて、1つ以上の蛍光寿命を使用して、寿命位相補正成分が計算され得、例えば2つ以上、例えば3つ以上、例えば4つ以上、および5つ以上の異なる蛍光寿命を使用して、寿命位相補正成分が計算され得る。いくつかの実施形態では、システムは、各蛍光寿命をフルオロフォアのピーク発光波長で計算するよう構成される。これらの実施形態では、各フルオロフォアの寿命は、光検出システムで検出され、異なる検出器チャネルからの信号を使用して計算され得る。
【0111】
特定の実施形態では、システムは、プロセッサに動作可能に結合されたメモリを備えるプロセッサを有し、メモリは、そこに格納された命令を含み、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、以下に従って、サンプル中のフルオロフォアの蛍光寿命に基づいて各蛍光検出器についての寿命位相補正を計算させる。ここで、τ=蛍光寿命、f=周波数である。
【0112】
【数6】
【0113】
いくつかの実施形態では、システムはまた、各蛍光検出器についての本明細書に記載の計算された位相補正を使用して、周波数符号化蛍光データから粒子の位相補正空間データを計算するように構成される。いくつかの場合には、システムは、プロセッサに動作可能に結合されたメモリを備えるプロセッサを有し、メモリは、そこに格納された命令を含み、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、計算された位相補正での周波数符号化蛍光データのフーリエ変換(FT)を実行することによって位相補正空間データを計算させる。本開示の実施形態による空間データは、本明細書に記載の計算された位相補正での周波数符号化蛍光データの変換を実行することによってシステムによって位相補正される。いくつかの実施形態では、空間データは、粒子の水平サイズ寸法、粒子の垂直サイズ寸法、2つの異なる寸法に沿った粒子サイズの比率、粒子成分の比率サイズ(例えば、核の水平寸法と細胞の細胞質の水平寸法との比率)を含む。
【0114】
いくつかの実施形態では、主題のシステムは、メモリがそこに格納された命令を含むようにプロセッサに動作可能に結合されたメモリを備えるプロセッサを有し、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、光検出システム内の各蛍光検出器についての計算された位相補正での周波数符号化蛍光データのフーリエ変換を実行することによって粒子の位相補正空間データを計算させる。他の実施形態では、システムは、計算された位相補正での周波数符号化蛍光データの離散フーリエ変換(DFT)を実行して、粒子の位相補正空間データを生成するように構成される。さらに他の実施形態では、システムは、計算された位相補正での周波数符号化蛍光データの短時間フーリエ変換(STFT)を実行するように構成される。さらに他の実施形態では、システムは、周波数符号化蛍光データをヘテロダインおよび逆多重化するために、デジタルロックインアンプを用いて位相補正空間データを計算するように構成される。
【0115】
いくつかの実施形態では、システムは、周波数符号化データの位相補正空間データへの変換を実行する前に計算された位相補正を考慮するように構成され、それにより、変換の出力は、生の周波数データの空間データへの変換を実行する場合(つまり、位相についての最初の考慮なし)と比較して、計算が複雑になりにくい。いくつかの実施形態では、システムは、周波数符号化蛍光データから空間データを生成するために、数学的な虚数計算を実行せずに(すなわち、変換の数学的な実数計算のための計算を実行するだけで)、周波数符号化蛍光データの変換を実行するよう構成される。
【0116】
主題のシステムは、周波数符号化蛍光からフローストリーム内の粒子の1つ以上の画像を生成するように構成され得る。いくつかの実施形態では、粒子の画像は、検出された光吸収、検出された光散乱、またはそれらの組み合わせと組み合わせて、周波数符号化蛍光から生成され得る。特定の場合では、粒子の画像は、位相補正された周波数符号化蛍光のみから生成される。他の場合では、物体の画像は、位相補正された周波数符号化蛍光、および明視野光検出器からなど、サンプルから検出された光吸収から生成される。さらに他の場合では、粒子の画像は、側方散乱検出器、前方散乱検出器、または側方散乱検出器と前方散乱検出器との組み合わせからなど、サンプルから検出された光散乱での位相補正された周波数符号化蛍光から生成される。さらに他の場合では、粒子の画像は、位相補正された周波数符号化蛍光と、検出された光吸収、検出された光散乱、および検出された発光の組み合わせとから生成される。
【0117】
いくつかの実施形態によるシステムは、ディスプレイおよびオペレータ入力デバイスを有し得る。オペレータ入力デバイスは、例えば、キーボード、マウスなどであり得る。処理モジュールは、主題の方法のステップを実行するためにそこに格納された命令を含むメモリにアクセスできるプロセッサを有する。処理モジュールは、オペレーティングシステム、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)コントローラ、システムメモリ、メモリストレージデバイス、および入出力コントローラ、キャッシュメモリ、データバックアップユニット、および他の多くのデバイスを有し得る。プロセッサは、市販のプロセッサであり得、または、それは、利用可能であるか、または利用可能になる予定の他のプロセッサの1つであり得る。プロセッサは、オペレーティングシステムを実行し、オペレーティングシステムは、周知の方法でファームウェアおよびハードウェアとインターフェースし、当技術分野で知られているJava、Perl、C++、その他の高水準言語または低水準言語、およびそれらの組み合わせなど、さまざまなプログラミング言語で記述され得るさまざまなコンピュータプログラムの機能を、プロセッサが調整および実行することを容易にする。オペレーティングシステムは、通常はプロセッサと連携して、コンピュータの他の構成要素の機能を調整および実行する。オペレーティングシステムは、スケジューリング、入出力制御、ファイルおよびデータ管理、メモリ管理、および通信制御、ならびに関連サービスも、すべて既知の手法に従って提供する。プロセッサは、任意の適切なアナログまたはデジタルシステムであり得る。いくつかの実施形態では、プロセッサは、例えばネガティブフィードバック制御などのフィードバック制御を提供するアナログ電子機器を有する。
【0118】
システムメモリは、さまざまな既知または将来のメモリストレージデバイスのいずれかであり得る。例としては、一般的に利用可能なランダムアクセスメモリ(RAM)、常駐ハードディスクまたはテープなどの磁気媒体、読み取りおよび書き込みコンパクトディスクなどの光学媒体、フラッシュメモリデバイス、またはその他のメモリストレージデバイスが含まれる。メモリストレージデバイスは、コンパクトディスクドライブ、テープドライブ、リムーバブルハードディスクドライブ、またはディスケットドライブを含む、さまざまな既知または将来のデバイスのいずれかであり得る。そのようなタイプのメモリストレージデバイスは、通常、それぞれ、コンパクトディスク、磁気テープ、リムーバブルハードディスク、またはフロッピーディスケットなどのプログラム記憶媒体(図示せず)から読み取りおよび/またはそこに書き込みする。これらのプログラム記憶媒体のいずれか、または現在使用されている、または後で開発され得る他の媒体は、コンピュータプログラム製品と見なされ得る。理解されるように、これらのプログラム記憶媒体は、通常、コンピュータソフトウェアプログラムおよび/またはデータを記憶する。コンピュータ制御ロジックとも呼ばれるコンピュータソフトウェアプログラムは、通常、システムメモリおよび/またはメモリストレージデバイスと組み合わせて使用されるプログラムストレージデバイスに格納される。
【0119】
いくつかの実施形態では、制御ロジック(プログラムコードを含むコンピュータソフトウェアプログラム)がそこに格納されたコンピュータ使用可能媒体を含むコンピュータプログラム製品が説明されている。制御ロジックは、プロセッサ、コンピュータによって実行されると、プロセッサに本明細書に記載の機能を実行させる。他の実施形態では、いくつかの機能は、例えば、ハードウェアステートマシンを使用して、ハードウェアで主に実装される。本明細書に記載の機能を実行するためのハードウェアステートマシンの実装は、関連技術分野の当業者には明らかである。
【0120】
メモリは、磁気、光、またはソリッドステートストレージデバイス(磁気もしくは光ディスク、またはテープ、またはRAM、または固定もしくはポータブルのその他の適切なデバイスを含む)など、プロセッサがデータを保存および取得できる任意の適切なデバイスであり得る。プロセッサは、必要なプログラムコードを担うコンピュータ可読媒体から適切にプログラムされた汎用デジタルマイクロプロセッサを含み得る。プログラミングは、通信チャネルを介してプロセッサにリモートで提供するか、メモリに関連するそれらのデバイスのいずれかを使用して、メモリまたはなんらかの他のポータブルもしくは固定のコンピュータ可読記憶媒体などのコンピュータプログラム製品に事前に保存することができる。例えば、磁気または光ディスクがプログラミングを担い得、ディスクライター/リーダーで読み取ることができる。本発明のシステムはまた、上記の方法を実施する際に使用するためのアルゴリズムの、例えばコンピュータプログラム製品の形態でのプログラミングを含む。本発明によるプログラミングは、コンピュータ可読媒体、例えば、コンピュータによって直接、読み取ってアクセスすることができる任意の媒体に記録することができる。このような媒体には、フロッピーディスク、ハードディスク記憶媒体、および磁気テープなどの磁気記憶媒体、CD-ROMなどの光記憶媒体、RAMおよびROMなどの電気記憶媒体、ポータブルフラッシュドライブ、ならびに、磁気/光学ストレージメディアなどの、これらのカテゴリのハイブリッドが含まれるが、これらに限定されない。
【0121】
プロセッサは、通信チャネルへのアクセスを有し、リモートロケーションにいるユーザと通信し得る。リモートロケーションとは、ユーザがシステムに直接、接触しておらず、携帯電話(すなわち、スマートフォン)を含む、ワイドエリアネットワーク(「WAN」)、電話網、衛星ネットワークまたは任意の他の適切な通信チャネルに接続されたコンピュータなどの外部デバイスから入力マネージャに入力情報を中継することを意味する。
【0122】
いくつかの実施形態では、本開示によるシステムは、通信インターフェースを含むように構成され得る。いくつかの実施形態では、通信インターフェースは、ネットワークおよび/または別のデバイスと通信するための受信機および/または送信機を含む。通信インターフェースは、高周波(RF)通信(例えば、高周波識別(RFID)、Zigbee通信プロトコル、WiFi、赤外線、無線ユニバーサルシリアルバス(USB)、Ultra-Wide Band(UWB)、Bluetooth(登録商標)通信プロトコル、および符号分割マルチアクセス(CDMA)またはグローバルシステムフォーモバイルコミュニケーション(GSM)などのセルラー通信を含むがこれらに限定されない有線または無線通信用に構成することができる。
【0123】
1つの実施形態では、通信インターフェースは、主題のシステムと、同様の補完的なデータ通信用に構成された(例えば、診療所または病院環境での)コンピュータ端末などの他の外部デバイスとの間のデータ通信を可能にする、1つ以上の通信ポート、例えば、USBポート、RS-232ポートまたは任意の他の適切な電気接続ポートなどの物理ポートまたはインターフェースを含むように構成される。
【0124】
1つの実施形態では、通信インターフェースは、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)通信、または任意の他の適切な無線通信プロトコル用に構成され、主題のシステムがコンピュータ端末および/またはネットワーク、通信対応携帯電話、携帯情報端末、またはユーザが一緒に使用し得る任意の他の通信デバイスなどの他のデバイスと通信できるようにする。
【0125】
1つの実施形態では、通信インターフェースは、携帯電話ネットワーク、ショートメッセージサービス(SMS)、インターネットに接続されているローカルエリアネットワーク(LAN)上のパーソナルコンピュータ(PC)への無線接続、またはWiFiホットスポットでのインターネットへのWiFi接続を介したインターネットプロトコル(IP)を利用するデータ転送のための接続を提供するように構成される。
【0126】
1つの実施形態では、主題のシステムは、例えば、802.11またはBluetooth(登録商標)RFプロトコル、またはIrDA赤外線プロトコルなどの一般的な標準を使用して、通信インターフェースを介してサーバーデバイスと無線通信するよう構成される。サーバーデバイスは、スマートフォン、携帯情報端末(PDA)、もしくはノートブックコンピュータなどの別のポータブルデバイス、または、デスクトップコンピュータ、アプライアンスなどのより大きなデバイスであり得る。いくつかの実施形態では、サーバーデバイスは、液晶ディスプレイ(LDC)などのディスプレイ、ならびにボタン、キーボード、マウスまたはタッチスクリーンなどの入力デバイスを有する。
【0127】
いくつかの実施形態では、通信インターフェースは、上記の通信プロトコルおよび/またはメカニズムの1つ以上を使用して、主題のシステム、例えば、オプションのデータストレージユニットに格納されたデータをネットワークまたはサーバーデバイスと自動的または半自動的に通信するよう構成される。
【0128】
出力コントローラは、ローカルであろうとリモートであろうと、人間であろうと機械であろうと、ユーザに情報を提示するためのさまざまな既知のディスプレイデバイスのいずれかのためのコントローラを含み得る。ディスプレイデバイスの1つが視覚情報を提供する場合、この情報は、通常、画像要素のアレイとして論理的および/または物理的に編成され得る。グラフィカルユーザインターフェース(GUI)コントローラは、システムとユーザとの間にグラフィカル入力および出力インターフェースを提供し、ユーザ入力を処理するための、さまざまな既知または将来のソフトウェアプログラムのいずれかを含み得る。コンピュータの機能要素は、システムバスを介して互いに通信し得る。これらの通信のいくつかは、ネットワークまたは他のタイプのリモート通信を使用して、代替の実施形態で達成され得る。出力マネージャはまた、既知の技術に従って、例えばインターネット、電話または衛星ネットワークを介して、リモートロケーションにいるユーザに処理モジュールによって生成された情報を提供し得る。出力マネージャによるデータの提示は、さまざまな既知の技術に従って実施され得る。いくつかの例として、データには、SQL、HTMLまたはXMLドキュメント、電子メールもしくはその他のファイル、またはその他の形式のデータが含まれ得る。ユーザがリモートソースから追加のSQL、HTML、XML、またはその他のドキュメントもしくはデータを取得し得るように、データにはインターネットURLアドレスが含まれ得る。主題のシステムに存在する1つ以上のプラットフォームは、任意のタイプの既知のコンピュータプラットフォームまたは将来開発されるタイプであり得るが、それらは通常、サーバーと一般に呼ばれるコンピュータのクラスになる。しかし、それらは、メインフレームコンピュータ、ワークステーション、またはその他のコンピュータタイプであり得る。それらは、ネットワーク化されているか否かにかかわらず、既知または将来のタイプのケーブル付きまたはワイヤレスシステムを含む他の通信システムを介して接続され得る。それらは同じ場所に配置されている場合もあれば、物理的に離れている場合もある。選択したコンピュータプラットフォームのタイプおよび/または作りにおそらくは応じて、さまざまなオペレーティングシステムを任意のコンピュータプラットフォームで採用し得る。適切なオペレーティングシステムには、Windows 10、Windows NT(登録商標)、Windows XP、Windows 7、Windows 8、iOS、Sun Solaris、Linux(登録商標)、OS/400、Compaq Tru64 Unix、SGI IRIX、Siemens Reliant Unix、Ubuntu、Zorin OSおよび他のものが含まれる。
【0129】
特定の実施形態では、主題のシステムは、(例えば、レーザーから)サンプルに照射された光またはサンプルから収集された光(例えば、蛍光)などの光を調整するための1つ以上の光学的調整構成要素を有する。例えば、光学的調整は、光の寸法、光の焦点を増加させること、または光をコリメートすることであり得る。いくつかの場合には、光学的調整は、光の寸法(例えば、ビームスポット)を増加させるための拡大プロトコルであり、例えば、寸法を5%以上、例えば10%以上、例えば25%以上、例えば50%以上、増加させ、および、寸法を75%以上、増加させることである。他の実施形態では、光学的調整は、光の寸法を5%以上、例えば10%以上、例えば25%以上、例えば50%以上、減少させ、ビームスポットの寸法を75%以上、減少させるように光を集束させることを含む。特定の実施形態では、光学的調整は、光のコリメートを含む。「コリメート」という用語は、その従来の意味で使用され、光伝搬の共線性を光学的に調整すること、または共通伝搬軸からの光による発散を低減することを指す。いくつかの場合には、コリメートには、光ビームの空間断面積を狭めること(例えば、レーザーのビームプロファイルを減少させること)が含まれる。
【0130】
いくつかの実施形態では、光学調整構成要素は、0.1~0.95の倍率、例えば0.2~0.9の倍率、例えば0.3~0.85の倍率、0.35~0.8の倍率、例えば0.5~0.75の倍率、および0.55~0.7の倍率、例えば0.6の倍率を有する集束レンズである。例えば、集束レンズは、特定の場合には、約0.6の倍率を有する二重アクロマティック縮小レンズである。集束レンズの焦点距離は、さまざまであり得、5mm~20mm、例えば6mm~19mm、例えば7mm~18mm、例えば8mm~17mm、例えば9mm~16mmの範囲であり、焦点距離は、10mm~15mmの範囲である。特定の実施形態では、集束レンズは、約13mmの焦点距離を有する。
【0131】
他の実施形態では、光学調整構成要素はコリメータである。コリメータは、1つ以上のミラーまたは湾曲レンズまたはそれらの組み合わせなどの任意の都合が良いコリメートプロトコルであり得る。例えば、コリメータは、特定の場合では単一のコリメートレンズである。他の場合では、コリメータはコリメートミラーである。さらに他の場合では、コリメータは2つのレンズを含む。さらに他の場合では、コリメータはミラーおよびレンズを含む。コリメータが1つ以上のレンズを含む場合、コリメートレンズの焦点距離はさまざまであり得、5mm~40mm、例えば6mm~37.5mm、例えば7mm~35mm、例えば8mm~32.5mm、例えば9mm~30mm、例えば10mm~27.5mm、例えば12.5mm~25mmの範囲であり、焦点距離は15mm~20mmの範囲である。
【0132】
いくつかの実施形態では、主題のシステムは、フローセルノズルを通してフローストリームを流すように構成されたノズルオリフィスを備えるフローセルノズルを有する。主題のフローセルノズルは、流体サンプルをサンプルインタロゲーション領域に伝播するオリフィスを有し、いくつかの実施形態では、フローセルノズルは、長手方向軸を規定する近位円筒形部分と、長手方向軸を横切るノズルオリフィスを有する平坦面で終端する遠位円錐台形部分とを有する。(長手方向軸に沿って測定される)近位円筒部分の長さはさまざまであり得、1mm~15mm、例えば1.5mm~12.5mm、例えば2mm~10mm、例えば3mm~9mm、および4mm~8mmの範囲である。(長手方向軸に沿って測定される)遠位円錐台形部分の長さもさまざまであり得、1mm~10mm、例えば2mm~9mm、例えば3mm~8mm、および4mm~7mmの範囲である。フローセルノズルチャンバーの直径はさまざまであり得、いくつかの実施形態では、1mm~10mm、例えば2mm~9mm、例えば3mm~8mm、および4mm~7mmの範囲である。
【0133】
特定の例では、ノズルチャンバーは円筒形部分を含まず、フローセルノズルチャンバー全体が円錐台形状である。これらの実施形態では、(ノズルオリフィスを横切る長手方向軸に沿って測定される)円錐台形ノズルチャンバーの長さは、1mm~15mm、例えば1.5mm~12.5mm、例えば2mm~10mm、例えば3mm~9mm、および4mm~8mmの範囲であり得る。円錐台形ノズルチャンバーの近位部分の直径は、1mm~10mm、例えば2mm~9mm、例えば3mm~8mm、および4mm~7mmの範囲であり得る。
【0134】
実施形態では、サンプルフローストリームは、フローセルノズルの遠位端にあるオリフィスから放出される。フローストリームの所望の特徴に応じて、フローセルノズルオリフィスの関心がある断面形状は、直線断面形状、例えば、正方形、長方形、台形、三角形、六角形など、曲線状断面形状、例えば、円、楕円形、ならびに不規則形状、例えば、平面状上部に結合された放物線状下部を含むが、これらに限定されない任意の適切な形状であり得る。特定の実施形態では、関心があるフローセルノズルは、円形のオリフィスを有する。ノズルオリフィスのサイズは、さまざまであり得、いくつかの実施形態では、1μm~20000μm、例えば2μm~17500μm、例えば5μm~15000μm、例えば10μm~12500μm、例えば15μm~10000μm、例えば25μm~7500μm、例えば50μm~5000μm、例えば75μm~1000μm、例えば100μm~750μm、および150μm~500μmの範囲である。特定の実施形態では、ノズルオリフィスは100μmである。
【0135】
いくつかの実施形態では、フローセルノズルは、フローセルノズルにサンプルを提供するように構成されたサンプル注入ポートを含む。実施形態では、サンプル注入システムは、フローセルノズルチャンバーにサンプルの適切なフローを提供するように構成される。フローストリームの所望の特徴に応じて、サンプル注入ポートによってフローセルノズルチャンバーに運ばれるサンプルの速度は、1μL/秒以上、例えば2μL/秒以上、例えば3μL/秒以上、例えば5μL/秒以上、例えば10μL/秒以上、例えば15μL/秒以上、例えば25μL/秒以上、例えば50μL/秒以上、例えば100μL/秒以上、例えば150μL/秒以上、例えば200μL/秒以上、例えば250μL/秒以上、例えば300μL/秒以上、例えば350μL/秒以上、例えば400μL/秒以上、例えば450μL/秒以上、および500μL/秒以上であり得る。例えば、サンプル流量は、1μL/秒~約500μL/秒、例えば2μL/秒~約450μL/秒、例えば3μL/秒~約400μL/秒、例えば4μL/秒~約350μL/秒、例えば5μL/秒~約300μL/秒、例えば6μL/秒~約250μL/秒、例えば7μL/秒~約200μL/秒、例えば8μL/秒~約150μL/秒、例えば9μL/秒~約125μL/秒および10μL/秒~約100μL/秒の範囲であり得る。
【0136】
サンプル注入ポートは、ノズルチャンバーの壁に配置されたオリフィスであり得るか、またはノズルチャンバーの近位端に配置された導管であり得る。サンプル注入ポートがノズルチャンバーの壁に配置されたオリフィスである場合、サンプル注入ポートのオリフィスの関心がある断面形状は、直線断面形状、例えば、正方形、長方形、台形、三角形、六角形など、曲線断面形状、例えば、円、楕円など、ならびに不規則形状、例えば、平面状上部に結合された放物線状下部を含むが、これらに限定されない任意の適切な形状であり得る。特定の実施形態では、サンプル注入ポートは円形のオリフィスを有する。サンプル注入ポートオリフィスのサイズは、形状に応じてさまざまであり得、特定の場合では、0.1mm~5.0mm、例えば0.2~3.0mm、例えば0.5mm~2.5mm、例えば0.75mm~2.25mm、例えば1mm~2mm、および1.25mm~1.75mmの範囲、例えば1.5mmの開口部を有する。
【0137】
特定の場合では、サンプル注入ポートは、フローセルノズルチャンバーの近位端に配置された導管である。例えば、サンプル注入ポートは、サンプル注入ポートのオリフィスがフローセルノズルオリフィスと一直線になるように配置された導管であり得る。サンプル注入ポートがフローセルノズルオリフィスと一直線になるように配置された導管である場合、サンプル注入チューブの関心がある断面形状は、直線断面形状、例えば、正方形、長方形、台形、三角形、六角形など、曲線断面形状、例えば、円、楕円、ならびに不規則形状、例えば、平面状上部に結合された放物線状下部を含むが、これらに限定されない任意の適切な形状であり得る。導管のオリフィスは、形状によってさまざまであり得、特定の場合において、0.1mm~5.0mm、例えば0.2~3.0mm、例えば0.5mm~2.5mm、例えば0.75mm~2.25mm、例えば1mm~2mm、および1.25mm~1.75mmの範囲、例えば1.5mmの開口部を有する。サンプル注入ポートの先端の形状は、サンプル注入チューブの断面形状と同じであっても異なっていてもよい。例えば、サンプル注入ポートのオリフィスは、1°~10°、例えば2°~9°、例えば3°~8°、例えば4°~7°の範囲の斜角、および5°の斜角を有する斜角先端を含み得る。
【0138】
いくつかの実施形態では、フローセルノズルはまた、フローセルノズルにシース流体を提供するように構成されたシース流体注入ポートを有する。実施形態では、シース流体注入システムは、例えばサンプルと合わせてフローセルノズルチャンバーにシース流体のフローを提供して、サンプルフローストリームを取り囲むシース流体の積層フローストリームを生成するように構成される。フローストリームの所望の特徴に応じて、フローセルノズルチャンバーに運ばれるシース流体の速度は、25μL/秒以上、例えば50μL/秒以上、例えば75μL/秒以上、例えば100μL/秒以上、例えば250μL/秒以上、例えば500μL/秒以上、例えば750μL/秒以上、例えば1000μL/秒以上、および2500μL/秒以上であり得る。例えば、シース流体の流量は、1μL/秒~約500μL/秒、例えば2μL/秒~約450μL/秒、例えば3μL/秒~約400μL/秒、例えば4μL/秒~約350μL/秒、例えば5μL/秒~約300μL/秒、例えば6μL/秒~約250μL/秒、例えば7μL/秒~約200μL/秒、例えば8μL/秒~約150μL/秒、例えば9μL/秒~約125μL/秒、および10μL/秒~約100μL/秒の範囲であり得る。
【0139】
いくつかの実施形態では、シース流体注入ポートは、ノズルチャンバーの壁に配置されたオリフィスである。シース流体注入ポートオリフィスの関心がある断面形状は、直線断面形状、例えば、正方形、長方形、台形、三角形、六角形など、曲線断面形状、例えば、円、楕円、ならびに不規則形状、例えば、平面状上部に結合された放物線状下部を含むが、これらに限定されない任意の適切な形状であり得る。サンプル注入ポートオリフィスのサイズは、形状に応じてさまざまであり得、特定の場合では、0.1mm~5.0mm、例えば0.2~3.0mm、例えば0.5mm~2.5mm、例えば0.75mm~2.25mm、例えば1mm~2mm、および1.25mm~1.75mmの範囲、例えば1.5mmの開口部を有する。
【0140】
主題のシステムは、特定の場合では、フローセルノズルオリフィスと流体連通するサンプルインタロゲーション領域を有する。これらの場合では、サンプルフローストリームは、フローセルノズルの遠位端にあるオリフィスから放出され、フローストリーム内の粒子は、サンプルインタロゲーション領域にて光源で照射され得る。インタロゲーション領域のサイズは、ノズルオリフィスのサイズおよびサンプル注入ポートのサイズなど、フローノズルの特性によってさまざまであり得る。実施形態では、インタロゲーション領域は、0.01mm以上、例えば0.05mm以上、例えば0.1mm以上、例えば0.5mm以上、例えば1mm以上、例えば2mm以上、例えば3mm以上、例えば5mm以上、および10mm以上の幅を有し得る。インタロゲーション領域の長さもさまざまであり得、いくつかの場合では、0.01mm以上、例えば0.1mm以上、例えば0.5mm以上、例えば1mm以上、例えば1.5mm以上、例えば2mm以上、例えば3mm以上、例えば5mm以上、例えば10mm以上、例えば15mm以上、例えば20mm以上、例えば25mm以上、および50mm以上に沿った範囲である。
【0141】
インタロゲーション領域は、放出フローストリームの平面断面の照射を容易にするように構成され得るか、または所定の長さの拡散場の(例えば、拡散レーザーまたはランプによる)照射を容易にするように構成され得る。いくつかの実施形態では、インタロゲーション領域は、例えば1mm以上、例えば2mm以上、例えば3mm以上、例えば4mm以上、例えば5mm以上、および10mm以上などの所定の長さの放出フローストリームの照射を容易にする透明な窓を含む。放出フローストリームを照射するために使用される光源に応じて(以下に説明するように)、インタロゲーション領域は、100nm~1500nm、例えば150nm~1400nm、例えば200nm~1300nm、例えば250nm~1200nm、例えば300nm~1100nm、例えば350nm~1000nm、例えば400nm~900nm、および500nm~800nmの範囲の光を通過させるように構成され得る。したがって、インタロゲーション領域は、光学ガラス、ホウケイ酸塩ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、紫外線石英、赤外線石英、サファイア、ならびに、プラスチック、例えばポリカーボネート、ポリビニルクロリド(PVC)、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリアミド、ポリイミド、またはこれらの熱可塑性プラスチックのコポリマー、例えば、他の高分子プラスチック材料の中でも、PETG(グリコール変性ポリエチレンテレフタレート)、ポリエステルなどを含むがこれらに限定されない、所望の波長範囲を通過させる任意の透明材料から形成され得、関心があるポリエステルには、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ボトルグレードPET(モノエチレングリコール、テレフタル酸、およびイソフタル酸、シクロヘキセンジメタノールなどの他のコモノマーに基づいて作られたコポリマー)、ポリ(ブチレンテレフタレート)(PBT)、およびポリ(ヘキサメチレンテレフタレート)などのポリ(アルキレンテレフタレート)、ポリ(エチレンアジペート)、ポリ(1,4-ブチレンアジペート)、およびポリ(ヘキサメチレンアジペート)などのポリ(アルキレンアジペート)、ポリ(エチレンスベレート)などのポリ(アルキレンスベレート)、ポリ(エチレンセバケート)などのポリ(アルキレンセバケート)、ポリ(ε-カプロラクトン)およびポリ(β-プロピオラクトン)、ポリ(エチレンイソフタレート)などのポリ(アルキレンイソフタレート)、ポリ(エチレン2,6-ナフタレン-ジカルボキシレート)などのポリ(アルキレン2,6-ナフタレン-ジカルボキシレート)、ポリ(エチレンスルホニル-4,4’-ジベンゾエート)などのポリ(アルキレンスルホニル-4,4’-ジベンゾエート)、ポリ(p-フェニレンエチレンジカルボン酸塩)などのポリ(p-フェニレンアルキレンジカルボン酸塩)、ポリ(トランス-1,4-シクロヘキサンジイルエチレンジカルボキシレート)などのポリ(トランス-1,4-シクロヘキサンジイルアルキレンジカルボキシレート)、ポリ(1,4-シクロヘキサン-ジメチレンエチレンジカルボキシレート)などのポリ(1,4-シクロヘキサン-ジメチレンアルキレンジカルボキシレート)、ポリ([2.2.2]-ビシクロオクタン-1,4-ジメチレンエチレンジカルボキシレート)などのポリ([2.2.2]-ビシクロオクタン-1,4-ジメチレンアルキレンジカルボキシレート)、(S)-ポリラクチド、(R,S)-ポリラクチド、ポリ(テトラメチルグリコリド)、およびポリ(ラクチド-コ-グリコリド)などの乳酸ポリマーおよびコポリマー、ならびに、ビスフェノールA、3,3’-ジメチルビスフェノールA、3,3’,5,5’-テトラクロロビスフェノールA、3,3’,5,5’-テトラメチルビスフェノールAのポリカーボネート、ポリ(p-フェニレンテレフタルアミド)などのポリアミド、ポリエステル、例えば、ポリエチレンテレフタレート、例えば、Mylar(商標)ポリエチレンテレフタレートなどが含まれ得るがこれらに限定されない。いくつかの実施形態では、主題のシステムは、サンプルインタロゲーション領域に配置されたキュベットを含む。実施形態では、キュベットは、100nm~1500nm、例えば150nm~1400nm、例えば200nm~1300nm、例えば250nm~1200nm、例えば300nm~1100nm、例えば350nm~1000nm、例えば400nm~900nm、および500nm~800nmの範囲の光を通過させ得る。
【0142】
いくつかの実施形態では、主題のシステムは、サンプルの粒子(例えば、細胞)をソーティングするための粒子ソーティング構成要素を有する。特定の場合において、粒子ソーティング構成要素は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2017年3月28日に出願された米国特許公開番号2017/0299493および2018年10月30日に出願された米国仮特許出願番号62/752,793に記載されているものなどの粒子ソーティングモジュールである。特定の実施形態では、粒子ソーティング構成要素は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2017年6月14日に出願された米国特許公開番号2018/0095022号に記載されているものなどの1つ以上の液滴偏向器を有する。
【0143】
いくつかの実施形態では、主題のシステムはフローサイトメトリックシステムである。適切なフローサイトメトリーシステムには、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、Ormerod(編)、Flow Cytometry:A Practical Approach、Oxford Univ.Press(1997);Jaroszeskiら(編)、Flow Cytometry Protocols,Methods in Molecular Biology No.91、Humana Press(1997);Practical Flow Cytometry、3rd ed.,Wiley-Liss(1995);Virgoら(2012)Ann Clin Biochem.Jan;49(pt 1):17-28;Lindenら、Semin Throm Hemost.2004 Oct;30(5):502-11;Alisonら、J Pathol,2010 Dec;222(4):335-344;およびHerbigら、(2007)Crit Rev Ther Drug Carrier Syst.24(3):203-255に記載のものが含まれ得るが、これらに限定されない。特定の場合において、関心があるフローサイトメトリーシステムには、BD Biosciences FACSCanto(商標)IIフローサイトメーター、BD Accuri(商標)フローサイトメーター、BD Biosciences FACSCelesta(商標)フローサイトメーター、BD Biosciences FACSLyric(商標)フローサイトメーター、BD Biosciences FACSVerse(商標)フローサイトメーター、BD Biosciences FACSymphony(商標)フローサイトメーター、BD Biosciences LSRFortessa(商標)フローサイトメーター、BD Biosciences LSRFortess(商標)X-20フローサイトメーターおよびBD Biosciences FACSCalibur(商標)セルソーター、BD Biosciences FACSCount(商標)セルソーター、BD Biosciences FACSLyric(商標)セルソーターおよびBD Biosciences Via(商標)セルソーター、BD Biosciences Influx(商標)セルソーター、BD Biosciences Jazz(商標)セルソーター、BD Biosciences Aria(商標)セルソーターおよびBD Biosciences FACSMelody(商標)セルソーターなどが含まれる。
【0144】
いくつかの実施形態では、主題の粒子ソーティングシステムは、その開示が参照によりその全体において本明細書に組み込まれる、米国特許番号10,06,852、9,952,076、9,933,341、9,784,661、9,726,527、9,453,789、9,200,334、9,097,640、9,095,494、9,092,034、8,975,595、8,753,573、8,233,146、8,140,300、7,544,326、7,201,875、7,129,505、6,821,740、6,813,017、6,809,804、6,372,506、5,700,692、5,643,796、5,627,040、5,620,842、5,602,039に記載されているようなフローサイトメトリックシステムである。
【0145】
特定の場合において、主題のシステムは、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、Dieboldら、Nature Photonics Vol.7(10);806-810(2013)、ならびに、米国特許番号9,423,353、9,784,661および10,006,852、ならびに、米国特許公開番号2017/0133857および2017/0350803に記載されているような、高周波タグ付き発光(FIRE)を使用する蛍光イメージングによってフローストリーム内の粒子を特徴付けて画像化するように構成されたフローサイトメトリーシステムである。
【0146】
集積回路デバイス
本開示の態様はまた、明視野光検出器および1つ以上の蛍光検出器を有する光検出システムを位相補正するようにプログラムされた集積回路デバイスを含む。実施形態では、主題の集積回路デバイスは、明視野光検出器からの明視野データ信号および1つ以上の蛍光検出器からのデータ信号を受信し、明視野データ信号と各蛍光検出器からの蛍光データ信号との間の相対位相に基づいて、各蛍光光検出器についての位相補正を計算するようにプログラムされる。実施形態では、集積回路デバイスは、1つ以上の蛍光光検出器(例えば、1つ以上の検出チャネル)、例えば2つ以上、例えば3つ以上、例えば4つ以上、例えば5つ以上、例えば6つ以上、および8つ以上の蛍光光検出器(例えば、8つ以上の検出チャネル)からデータ信号を受信するようにプログラムされる。関心がある集積回路デバイスには、特定の場合では、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、またはコンプレックスプログラマブルロジックデバイス(CPLD)が含まれ得る。
【0147】
1つの例では、集積回路デバイスは、明視野光検出器から明視野データ信号を受信し、第1の蛍光検出器から第1の蛍光データ信号を受信し、第2の蛍光検出器から第2の蛍光データ信号を受信し、明視野データ信号と第1の蛍光データ信号との間の相対位相に基づいて、第1の蛍光検出器についての位相補正を計算し、明視野データ信号と第2の蛍光データ信号との間の相対位相に基づいて、第2の蛍光検出器についての位相補正を計算するようにプログラムされる。別の例では、集積回路デバイスは、明視野光検出器から明視野データ信号を受信し、複数の蛍光検出器からデータ信号を受信し、明視野データ信号と複数の蛍光検出器からの各蛍光データ信号との間の相対位相に基づいて各蛍光検出器についての位相補正を計算するようにプログラムされる。
【0148】
いくつかの実施形態では、集積回路デバイスは、複数の異なる動作電圧で各蛍光検出器についての位相補正を計算するようにプログラムされる。これらの実施形態では、集積回路デバイスは、動作電圧の第1のセットで各蛍光検出器から蛍光データ信号を受信すること、明視野データ信号と各蛍光検出器からの蛍光データ信号との間の相対位相に基づいて、動作電圧の第1のセットでの各蛍光検出器についての位相補正を計算すること、1つ以上の蛍光検出器の動作電圧を動作電圧の第2のセットに変更すること、動作電圧の第2のセットで各蛍光検出器から蛍光データ信号を受信して、蛍光データ信号の第2のセットを生成すること、および、明視野データ信号と各蛍光検出器からの蛍光データ信号との間の相対位相に基づいて、動作電圧の第2のセットでの各蛍光検出器についての位相補正を計算することによって、光検出システムを位相補正するようにプログラムされる。
【0149】
主題の集積回路デバイスは、各蛍光検出器の動作電圧を変更し、各動作電圧での各蛍光検出器についての位相補正を計算するようにプログラムされ得る。これらの実施形態では、集積回路デバイスは、各蛍光検出器の動作電圧を、例えば、0.01V以上、例えば、0.05V以上、例えば0.1V以上、例えば0.5V以上、例えば1V以上、例えば2V以上、例えば3V以上、例えば5V以上、例えば10V以上、例えば25V以上、例えば50V以上、例えば100V以上、例えば250V以上、例えば500V以上、および1000V以上、変更するようプログラムされ得る。1つの例では、集積回路デバイスは、各蛍光検出器の動作電圧を漸進的に増加させ、例えば、動作電圧を0.01V以上、例えば0.05V以上、例えば0.1V以上、例えば0.5V以上、例えば1V以上、例えば2V以上、例えば3V以上、例えば5V以上、例えば10V以上、例えば25V以上、例えば50V以上、例えば100V以上、例えば250V以上、例えば500V以上、および1000V以上、漸進的に増加させ、各動作電圧での位相補正を計算するようにプログラムされる。別の例では、集積回路デバイスは、各蛍光検出器の動作電圧を漸進的に減少させ、例えば、動作電圧を0.01V以上、例えば0.05V以上、例えば0.1V以上、例えば0.5V以上、例えば1V以上、例えば2V以上、例えば3V以上、例えば5V以上、例えば10V以上、例えば25V以上、例えば50V以上、例えば100V以上、例えば250V以上、例えば500V以上、および1000V以上、漸進的に減少させ、各動作電圧での位相補正を計算するようにプログラムされ得る。
【0150】
関心がある集積回路デバイスは、光検出システムを位相補正するために、任意の数の動作電圧で各蛍光検出器から蛍光データ信号を収集するようにプログラムされ得、蛍光データ信号は各蛍光検出器から、2つ以上の異なる動作電圧、例えば3つ以上の異なる動作電圧、例えば5つ以上の異なる動作電圧、例えば10個以上の異なる動作電圧、例えば25個以上の異なる動作電圧で集積回路デバイスによって収集され、50個以上の異なる動作電圧での各蛍光検出器からの蛍光データ信号の収集も含まれる。特定の実施形態では、集積回路デバイスは、サンプル(例えば生物学的サンプル)から光信号を収集するために使用される各動作電圧での各蛍光検出器についての位相補正を計算するようにプログラムされる。
【0151】
実施形態では、集積回路デバイスは、各蛍光検出器の動作電圧を同じ量または異なる量だけ変更するようにプログラムされ得る。いくつかの場合には、集積回路デバイスは、光検出システム内の各蛍光検出器の動作電圧を同じ量だけ変更するようにプログラムされる。他の場合では、集積回路デバイスは、光検出システム内の各蛍光検出器の動作電圧を異なる量だけ変更するようにプログラムされる。さらに他の場合では、集積回路デバイスは、光検出システム内の2つ以上の蛍光検出器の動作電圧を同じ量だけ変化させ、光検出システム内の2つ以上の蛍光検出器の動作電圧を異なる量だけ変化させるようにプログラムされる。各動作電圧において、集積回路デバイスは、明視野データ信号および蛍光データ信号間の相対位相に基づいて、各蛍光検出器についての位相補正を計算するようにプログラムされる。
【0152】
いくつかの実施形態では、集積回路デバイスは、寿命位相補正成分を計算するようにプログラムされる。寿命位相補正は、上記のように、蛍光検出器の各動作電圧での計算された位相補正、および、サンプル中のフルオロフォアの蛍光寿命に基づいて計算される。特定のタイプのフルオロフォア、および存在するフルオロフォアの数に応じて、1つ以上の蛍光寿命を使用して、寿命位相補正成分が計算され得、例えば2つ以上、例えば3つ以上、例えば4つ以上、および5つ以上の異なる蛍光寿命を使用して、寿命位相補正成分が計算され得る。いくつかの実施形態では、集積回路デバイスは、フルオロフォアのピーク発光波長で各蛍光寿命を計算するようにプログラムされる。これらの実施形態では、各フルオロフォアの寿命は、光検出システムで検出され、異なる検出器チャネルからの信号を使用して計算され得る。
【0153】
いくつかの実施形態では、集積回路デバイスは、蛍光検出器でサンプル内の粒子から周波数符号化蛍光データを生成し、各蛍光検出器について計算された位相補正で周波数符号化蛍光データの変換を実行することによって、粒子の位相補正空間データを計算するようにプログラムされる。いくつかの場合には、周波数符号化蛍光データには、検出された光吸収または検出された光散乱など、他の検出器からの光から取得された(または導出された)データ成分が含まれる。いくつかの場合には、システムは、明視野光検出器からなど、サンプルから検出された光吸収から、周波数符号化蛍光データの1つ以上のデータ成分を生成するように構成される。いくつかの場合には、周波数符号化蛍光データの1つ以上のデータ成分は、側方散乱検出器、前方散乱検出器、または側方散乱検出器および前方散乱検出器の組み合わせからなど、サンプルから検出された光散乱から生成される。
【0154】
実施形態では、主題の集積回路デバイスは、周波数符号化蛍光データから位相補正空間データを計算するようにプログラムされる。本開示の実施形態による空間データは、本明細書に記載の計算された位相補正での周波数符号化蛍光データの変換を実行することによって位相補正される。いくつかの実施形態では、空間データは、粒子の水平サイズ寸法、粒子の垂直サイズ寸法、2つの異なる寸法に沿った粒子サイズの比率、粒子成分の比率サイズ(例えば、核の水平寸法と細胞の細胞質の水平寸法との比率)を含む。
【0155】
実施形態では、主題の集積回路デバイスは、光検出システム内の各蛍光検出器について計算された位相補正での周波数符号化蛍光データの変換を実行することによって、粒子の位相補正空間データを計算するようにプログラムされる。いくつかの実施形態では、位相補正空間データを計算するために、集積回路デバイスは、計算された位相補正での周波数符号化蛍光データのフーリエ変換を実行して、粒子の位相補正空間データを生成するようにプログラムされる。他の実施形態では、集積回路デバイスは、計算された位相補正で周波数符号化蛍光データの離散フーリエ変換(DFT)を実行して、粒子の位相補正空間データを生成するようにプログラムされる。さらに他の実施形態では、集積回路デバイスは、計算された位相補正で周波数符号化蛍光データの短時間フーリエ変換(STFT)を実行するようにプログラムされる。さらに他の実施形態では、集積回路デバイスは、周波数符号化蛍光データをヘテロダインおよび逆多重化するために、デジタルロックインアンプを用いて位相補正空間データを計算するようにプログラムされる。
【0156】
光検出システムを位相補正するための成分
本開示の態様は、フローストリーム内に主題の成分を流し、本明細書に記載の方法に従って光検出システムの1つ以上の蛍光検出器についての位相補正を計算することによってなど、光検出システムの位相補正に使用するための成分を含む。実施形態による成分は、蛍光色素成分が安定した蛍光寿命を有するように、複数の粒子および蛍光色素成分を含む。「安定した蛍光寿命」という用語は、本明細書では、その従来の意味で、異なる実験条件(例えば、温度、レーザー照射、ガス組成など)に応答してなど、ほとんどまたはまったく変化を示さない蛍光寿命を有するフルオロフォアを指すために使用される。いくつかの場合には、関心がある蛍光色素成分の蛍光寿命は、1ns以下、例えば0.5ns以下、例えば0.1ns以下、例えば0.05ns以下、例えば0.01ns以下、例えば0.005ns以下、例えば0.001ns以下、および0.0001ns以下の蛍光寿命の変化を示す。これらの場合では、蛍光色素成分は、5%以下、例えば3%以下、例えば2%以下、例えば1%以下、例えば0.5%以下、例えば0.1%以下、例えば0.05%以下、例えば0.01%以下、例えば0.005%以下の蛍光寿命の変化、および0.001%以下の蛍光寿命の変化を示す。
【0157】
実施形態では、成分は、蛍光色素成分を含む。特定の場合において、蛍光色素成分は、例えば、蛍光発光の最大値、蛍光偏光、蛍光寿命、またはそれらの組み合わせに基づいて検出可能である検出可能部分またはマーカーを含む。特定の実施形態において、検出可能標識は、フルオロフォア(すなわち、蛍光標識、蛍光色素など)である。関心があるフルオロフォアには、分析用途(例えば、フローサイトメトリー、画像化など)での使用に適した色素が含まれ得るが、これらに限定されない。例えば、蛍光色素成分は、ローダミン、クマリン、シアニン、キサンテン、ポリメチン、ピレン、ジピロメテンホウ素二フッ化物、ナフタルイミド、フィコビリタンパク質、ペリジニウムクロロフィルタンパク質、それらのコンジュゲート、およびそれらの組み合わせなどの化合物を含み得る。特定の実施形態において、蛍光色素成分は、ナイルレッド色素を含む。他の実施形態では、蛍光色素成分は、4-アセトアミド-4’-イソチオシアナトスチルベン-2,2’ジスルホン酸、アクリジン、およびアクリジン、アクリジンオレンジ、アクリンジンイエロー、アクリジンレッド、およびアクリジンイソチオシアネートなどの誘導体、5-(2’-アミノエチル)アミノナフタレン-1-スルホン酸(EDANS)、4-アミノ-N-[3-ビニルスルホニル)フェニル]ナフタルイミド-3,5ジスルホネート(ルシファーイエローVS)、N-(4-アニリノ-1-ナフチル)マレイミド、アントラニルアミド、ブリリアントイエロー、クマリン、およびクマリン、7-アミノ-4-メチルクマリン(AMC、クマリン120)、7-アミノ-4-トリフルオロメチルクマリン(クマリン151)などの誘導体、シアニン、およびシアノシン、Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5、Cy7などの誘導体、4’,6-ジアミニジノ-2-フェニルインドール(DAPI)、5’,5”-ジブロモピロガロール-スルホンフタレイン(ブロモピロガロールレッド)、7-ジエチルアミノ-3-(4’-イソチオシアナトフェニル)-4-メチルクマリン、ジエチルアミノクマリン、ジエチレントリアミンペンタアセテート、4,4’-ジイソチオシアナトジヒドロ-スチルベン-2,2’-ジスルホン酸、4,4’-ジイソチオシアナトスチルベン-2,2’-ジスルホン酸、5-[ジメチルアミノ]ナフタレン-1-スルホニルクロリド(DNS、ダンシルクロリド)、4-(4’-ジメチルアミノフェニルアゾ)安息香酸(DABCYL)、4-ジメチルアミノフェニルアゾフェニル-4’-イソチオシアネート(DABITC)、エオシン、ならびにエオシンおよびエオシンイソチオシアネートなどの誘導体、エリスロシン、ならびにエリスロシンBおよびエリスロシンイソチオシアネートなどの誘導体、エチジウム、フルオレセインおよび5-カルボキシフルオレセイン(FAM)、5-(4,6-ジクロロトリアジン-2-イル)アミノフルオレセイン(DTAF)、2’7’-ジメトキシ-4’5’-ジクロロ-6-カルボキシフルオレセイン(JOE)、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、フルオレセインクロロトリアジニル、ナフトフルオレセイン、およびQFITC(XRITC)などの誘導体、フルオレサミン、IR144、IR1446、緑色蛍光タンパク質(GFP)、リーフコーラル蛍光タンパク質(RCFP)、リサミン(商標)、リサミンローダミン、ルシファーイエロー、マラカイトグリーンイソチオシアネート、4-メチルウンベリフェロン、オルトクレソルフタレイン、ニトロチロシン、パラロサニリン、ナイルレッド、オレゴングリーン、フェノールレッド、B-フィコエリスリン(PE)、o-フタルジアルデヒド、ピレン、およびピレン、酪酸ピレンおよびスクシンイミジル1-酪酸ピレンなどの誘導体、リアクティブレッド4(シバクロン(商標)ブリリアントレッド3B-A)、ローダミンおよび6-カルボキシ-X-ローダミン(ROX)、6-カルボキシローダミン(R6G)、4,7-ジクロロローダミンリサミン、ローダミンBスルホニルクロリド、ローダミン(Rhod)、ローダミンB、ローダミン123、ローダミンXイソチオシアネート、スルホローダミンB、スルホローダミン101、スルホローダミン101の塩化スルホニル誘導体(テキサスレッド)、N,N,N’,N’-テトラメチル-6-カルボキシローダミン(TAMRA)、テトラメチルローダミン、およびテトラメチルローダミンイソチオシアネート(TRITC)などの誘導体、リボフラビン、ロソル酸およびテルビウムキレート誘導体、キサンテン、ペリジニン-クロロフィルタンパク質(PerCP)などのカロテノイド-タンパク質複合体、アロフィコシアニン(APC)、またはそれらの組み合わせから選択される色素を含む。
【0158】
いくつかの場合には、蛍光色素成分は、ポリマー色素(例えば、蛍光ポリマー色素)を含む。いくつかの場合には、ポリマー色素は共役ポリマーを含む。共役ポリマー(CP)は、不飽和結合(例えば、二重結合および/または三重結合)と飽和(例えば、単結合)結合とが交互するバックボーンを含む非局在化電子構造によって特徴付けられ、π電子が1つの結合から他方へと動くことができる。このように、共役バックボーンは、ポリマーの繰り返し単位間の結合角が制限された状態で、ポリマー色素に拡張された線形構造を与え得る。例えば、タンパク質および核酸は高分子でもあるが、いくつかの場合には拡張ロッド構造を形成せず、むしろ高次の3次元形状に折りたたまれる。加えて、CPは、「リジッドロッド」ポリマーバックボーンを形成して、ポリマーバックボーン鎖に沿ったモノマー繰り返し単位間で制限されたねじれ(例えばトーション)角を経験し得る。いくつかの場合には、ポリマー色素は、リジッドロッド構造を有するCPを含む。高分子色素の構造特徴は、分子の蛍光特性に影響を与える可能性がある。
【0159】
特定の実施形態において、関心があるポリマー色素には、その開示が参照によりその全体において本明細書に組み込まれるGaylordらの米国公開番号20040142344、20080293164、20080064042、20100136702、20110256549、20110257374、20120028828、20120252986、20130190193、および、その開示が参照によりその全体において本明細書に組み込まれるGaylordら、J.Am.Chem.Soc.、2001、123(26)、pp6417-6418、Fengら、Chem.Soc.Rev.、2010、39、2411-2419、およびTrainaら、J.Am.Chem.Soc.、2011、133(32)、pp12600-12607に記載された色素が含まれるが、これらに限定されない。
【0160】
関心がある成分はまた、複数の粒子を含む。いくつかの実施形態では、蛍光色素成分は、粒子と安定して会合している。安定して会合するとは、液体媒体、例えば水性媒体と接触しているときなどに、蛍光色素成分が粒子から容易に解離しないことを意味する。したがって、フローストリームに存在する場合(例えば、本明細書に記載の1つ以上の蛍光検出器についての位相補正を計算するために使用される場合)、蛍光色素成分はその粒子と会合したままである。特定の場合では、蛍光色素成分は粒子に共有結合している。
【0161】
いくつかの実施形態では、主題の成分中の粒子は、ナノメートルからマイクロメートルの範囲の直径、例えば、直径0.01~1,000μm、例えば直径0.1~100μmおよび直径1~100μm、およびフローサイトメトリーで使用する場合は直径約1~10μmを有する構造などのビーズである。そのような粒子は任意の形状とすることができ、いくつかの場合にはほぼ球形である。そのような粒子は、ポリスチレンなどのポリマー、ジビニルベンゼンなどの他のコポリマーを含むポリスチレン、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリビニルトルエン(PVT)、スチレン/ブタジエン、スチレン/ビニルトルエンなどの共重合体、ラテックス、ガラス、またはシリカ(例、SiO)などの他の材料を含むがこれらに限定されない、任意の適切な材料(またはそれらの組み合わせ)で作ることができる。いくつかの実施形態において関心があるものは、自家蛍光が低いかまたは全くない粒子、例えばガラスビーズなどのビーズである。
【0162】
いくつかの実施形態では、ビーズは、金属有機ポリマーマトリックス、例えば、アルミニウム、バリウム、アンチモン、カルシウム、クロム、銅、エルビウム、ゲルマニウム、鉄、鉛、リチウム、リン、カリウム、シリコン、タンタル、スズ、チタン、バナジウム、亜鉛、またはジルコニウムなどの金属を含むバックボーン構造を有する有機ポリマーマトリックスである。いくつかの実施形態では、多孔質金属有機マトリックスは、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリル)エタン、ビス(トリエトキシシリル)ブタン、ビス(トリエトキシシリル)ペンタン、ビス(トリエトキシシリル)ヘキサン、ビス(トリエトキシシリル)ヘプタン、ビス(トリエトキシシリル)オクタン、およびそれらの組み合わせのポリマーを含むがこれらに限定されないオルガノシロキサンポリマーである。
【0163】
関心がある成分中の粒子は、多孔性または非多孔性であり得る。いくつかの実施形態では、粒子は非多孔性である。他の実施形態では、粒子は多孔性であり、例えば、粒子は、0.01nm~1000nm、例えば0.05nm~750nm、例えば0.1nm~500nm、例えば0.5nm~250nm、例えば1nm~100nm、例えば5nm~75nmの範囲の直径を伴う細孔を有し、粒子は10nm~50nmの範囲の直径を伴う細孔を有する。
【0164】
特定の実施形態において、関心がある蛍光標識ビーズには、蛍光標識ポリスチレンビーズ、フルオレセインビーズ、ローダミンビーズ、および蛍光色素でタグ付けされた他のビーズが含まれるが、これらに限定されない。蛍光標識ビーズの追加の例は、その各開示が参照によりその全体において本明細書に組み込まれる米国特許番号6,350,619、7,738,094、および8,248,597に記載されている。
【0165】
キット
本開示の態様は、キットをさらに含み、キットは、本明細書に記載されるような、上記の構成要素の1つ以上、例えば、集積回路デバイス、位相キャリブレーション成分などを含む。いくつかの実施形態では、キットは、コンピュータ可読媒体(例えば、フラッシュドライブ、USBストレージ、コンパクトディスク、DVD、Blu-ray(登録商標)ディスクなど)またはインターネットウェブプロトコルまたはクラウドサーバーからプログラミングをダウンロードするための命令の形態でなど、主題のシステムのためのプログラミングをさらに含み得る。キットはまた、光検出システムを位相補正するための1つ以上の成分を含み得る。キットには、主題の方法を実施するための説明書がさらに含まれ得る。これらの説明書は、さまざまな形態で主題のキットに存在し得、そのうちの1つ以上がキットに存在し得る。これらの説明書が存在し得る1つの形式は、適切な媒体または基板上に印刷された情報、例えば、情報が印刷された一枚または複数枚の紙、キットの包装、添付文書などとしてである。これらの説明書のさらに別の形態は、情報が記録されているコンピュータ可読媒体、例えば、ディスケット、コンパクトディスク(CD)、ポータブルフラッシュドライブなどである。存在し得るこれらの説明書のさらに別の形態は、移動されたサイトで情報にアクセスするためにインターネットを介して使用され得るウェブサイトアドレスである。
【0166】
実用性
主題のシステム、方法、およびコンピュータシステムは、生物学的サンプルなどの流体媒体におけるサンプル中の粒子成分を分析およびソーティングすることが望ましいさまざまな用途で使用が見出される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるシステムおよび方法は、蛍光タグで標識された生物学的サンプルのフローサイトメトリー特徴付けにおいて使用が見出される。他の実施形態では、システムおよび方法は、放出された光の分光法での使用が見出される。さらに、主題のシステムおよび方法は、(例えば、フローストリーム内の)サンプルから収集された光から得られる信号を増加させることに使用が見出される。本開示の実施形態は、改善された細胞選別精度、増強された粒子収集、粒子充填効率、細胞選別中のより正確な粒子充填および増強された粒子偏向を備えたフローサイトメーターを提供することが望ましい場合に、使用が見出される。
【0167】
本開示の実施形態はまた、生物学的サンプルから調製された細胞が、研究、実験室試験、または治療での使用のために望まれ得る用途での使用が見出される。いくつかの実施形態では、主題の方法およびデバイスは、標的の流体または組織の生物学的サンプルから調製された個々の細胞の取得を容易にし得る。例えば、主題の方法およびシステムは、癌などの疾患の研究または診断標本として使用される流体または組織サンプルからの細胞の取得を容易にする。同様に、主題の方法およびシステムは、治療に使用される流体または組織サンプルからの細胞の取得を容易にし得る。本開示の方法およびデバイスは、従来のフローサイトメトリーシステムと比較して高効率および低コストで、生物学的サンプル(例えば、器官、組織、組織断片、流体)から細胞を分離および収集することを可能にする。
【0168】
添付の特許請求の範囲にもかかわらず、本開示は以下の付記によっても定義される。
1.検出された光に応答して明視野データ信号を生成するように構成された明視野光検出器と、検出された光に応答して蛍光データ信号を生成するように構成された蛍光検出器とを有する光検出システムを用いて、フローストリーム内の粒子を含むサンプルからの光を検出することと、
明視野データ信号および蛍光データ信号間の相対位相に基づいて、蛍光検出器についての位相補正を計算することと
を含む、方法。
2.位相補正が、第1の構成にて蛍光検出器について計算される、付記1に記載の方法。
3.第2の構成にて蛍光検出器でサンプルからの光を検出することと、
第2の構成にて明視野データ信号と蛍光検出器からの蛍光データ信号との間の相対位相に基づいて蛍光検出器についての位相補正を計算することと
をさらに含む、付記1または2に記載の方法。
4.第3の構成にて蛍光検出器でサンプルからの光を検出することと、
第3の構成にて明視野データ信号と蛍光検出器からの蛍光データ信号との間の相対位相に基づいて蛍光検出器についての位相補正を計算することと
をさらに含む、付記3に記載の方法。
5.構成が電圧である、付記2~4のいずれか一つに記載の方法。
【0169】
6.第1の電圧にて蛍光検出器でサンプルからの光を検出することと、
第1の電圧にて明視野データ信号と蛍光検出器からの蛍光データ信号との間の相対位相に基づいて蛍光検出器についての位相補正を計算することと、
第2の電圧にて蛍光検出器でサンプルからの光を検出することと、
第2の電圧にて明視野データ信号と蛍光検出器からの蛍光データ信号との間の相対位相に基づいて蛍光検出器についての位相補正を計算することと
を含む、付記5に記載の方法。
7.構成が電子利得設定である、付記2~4のいずれか一つに記載の方法。
8.第1の電子利得設定にて蛍光検出器でサンプルからの光を検出することと、
第1の電子利得設定にて明視野データ信号と蛍光検出器からの蛍光データ信号との間の相対位相に基づいて蛍光検出器についての位相補正を計算することと、
第2の電子利得設定にて蛍光検出器でサンプルからの光を検出することと、
第2の電子利得設定にて明視野データ信号と蛍光検出器からの蛍光データ信号との間の相対位相に基づいて蛍光検出器についての位相補正を計算することと
を含む、付記7に記載の方法。
9.蛍光検出器についての計算された位相補正とサンプル中のフルオロフォアの蛍光寿命とに基づいて、蛍光検出器についての寿命位相補正を計算することをさらに含む、付記1~8のいずれか一つに記載の方法
10.光検出システムが複数の蛍光検出器を有し、各蛍光検出器が、検出された光に応答して独立して蛍光データ信号を生成するように構成される、付記1~9のいずれか一つに記載の方法。
【0170】
11.明視野データ信号と各蛍光検出器からの蛍光データ信号との間の相対位相に基づいて各蛍光検出器についての位相補正を計算することを含む、付記10に記載の方法。
12.位相補正が、所定の構成を含む各蛍光検出器について計算される、付記11に記載の方法。
13.所定の構成が、電圧である、付記12に記載の方法。
14.第1の電圧にて各蛍光検出器でサンプルからの光を検出することと、
第1の電圧にて明視野データ信号と各蛍光検出器からの蛍光データ信号との間の相対位相に基づいて各蛍光検出器についての位相補正を計算することと、
第2の電圧にて各蛍光検出器でサンプルからの光を検出することと、
第2の電圧にて明視野データ信号と各蛍光検出器からの蛍光データ信号との間の相対位相に基づいて各蛍光検出器についての位相補正を計算することと
を含む、付記13に記載の方法。
15.所定の電圧が、光検出システム内のすべての蛍光検出器について同じである、付記14に記載の方法。
【0171】
16.所定の電圧が、各蛍光検出器において異なる、付記14に記載の方法。
17.所定の構成が、電子利得設定である、付記12に記載の方法。
18.第1の電子利得設定にて各蛍光検出器でサンプルからの光を検出することと、
第1の電子利得設定にて明視野データ信号と各蛍光検出器からの蛍光データ信号との間の相対位相に基づいて各蛍光検出器についての位相補正を計算することと、
第2の電子利得設定にて各蛍光検出器でサンプルからの光を検出することと、
第2の電子利得設定にて明視野データ信号と各蛍光検出器からの蛍光データ信号との間の相対位相に基づいて各蛍光検出器についての位相補正を計算することと
を含む、付記17に記載の方法。
19.所定の電子利得設定が、光検出システム内のすべての蛍光検出器について同じである、付記18に記載の方法。
20.所定の電子利得設定が、各蛍光検出器において異なる、付記18に記載の方法。
【0172】
21.各蛍光検出器についての計算された位相補正とサンプル中のフルオロフォアの蛍光寿命とに基づいて、各蛍光検出器についての寿命位相補正を計算することをさらに含む、付記10~20のいずれか一つに記載の方法。
22.蛍光検出器でサンプル内の粒子から周波数符号化蛍光データを生成することと、
各蛍光検出器についての計算された位相補正での周波数符号化蛍光データの変換を実行することにより、粒子の位相補正空間データを計算することと
をさらに含む、付記1~21のいずれか一つに記載の方法。
23.空間データが、位相補正成分での周波数符号化蛍光データのフーリエ変換を実行することによって計算される、付記22に記載の方法。
24.空間データが、位相補正成分での周波数符号化蛍光データの離散フーリエ変換を実行することによって計算される、付記23に記載の方法。
25.空間データが、位相補正成分での周波数符号化蛍光データの短時間フーリエ変換(STFT)を実行することによって計算される、付記23に記載の方法。
【0173】
26.空間データが、周波数符号化蛍光データをヘテロダインおよび逆多重化するためにデジタルロックインアンプを用いて計算される、付記22に記載の方法。
27.フローストリーム内のサンプルが光源で照射される、付記1~26のいずれか一つに記載の方法。
28.光源が、少なくとも周波数シフト光の第1のビームおよび周波数シフト光の第2のビームを生成するように構成された光ビーム発生器構成要素を有する、付記27に記載の方法。
29.光ビーム発生器が、音響光学偏向器を有する、付記28に記載の方法。
30.光ビーム発生器が、ダイレクトデジタルシンセサイザー(DDS)RFコーム発生器を有する、付記28または29に記載の方法。
【0174】
31.光ビーム発生器構成要素が、周波数シフト局部発振器ビームを生成するように構成される、付記28~30のいずれか一つに記載の方法。
32.光源が、レーザーを有する、付記27~31のいずれか一つに記載の方法。
33.レーザーが、連続波レーザーである、付記32に記載の方法。
34.各蛍光検出器についての位相補正が集積回路デバイスによって計算される、付記1~33のいずれか一つに記載の方法。
【0175】
35.集積回路デバイスが、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)である、付記34に記載の方法。
36.集積回路デバイスが、特定用途向け集積回路(ASIC)である、付記34に記載の方法。
37.集積回路デバイスが、コンプレックスプログラマブルロジックデバイス(CPLD)である、付記34に記載の方法。
38.フローストリーム内の粒子の画像を生成することをさらに含む、付記1~37のいずれか一つに記載の方法。
【0176】
39.フローストリーム内の粒子を含むサンプルを照射するように構成された光源と、
検出された光に応答して明視野データ信号を生成するように構成された明視野光検出器および検出された光に応答して蛍光データ信号を生成するように構成された蛍光検出器を有する光検出システムと、
動作可能に結合されたメモリを有するプロセッサと
を備えており、
メモリは、そこに格納された命令を含み、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、明視野データ信号および蛍光データ信号間の相対位相に基づいて、蛍光検出器についての位相補正を計算させる、
システム。
40.メモリは、そこに格納された命令を含み、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、第1の構成で蛍光検出器についての位相補正を計算させる、付記39に記載のシステム。
【0177】
41.メモリは、そこに格納された命令を含み、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、
第2の構成にて蛍光検出器でサンプルからの光を検出させ、
第2の構成にて明視野データ信号と蛍光検出器からの蛍光データ信号との間の相対位相に基づいて、蛍光検出器についての位相補正を計算させる、
付記39に記載のシステム。
42.メモリは、そこに格納された命令を含み、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、
第3の構成にて蛍光検出器でサンプルからの光を検出させ、
第3の構成にて明視野データ信号と蛍光検出器からの蛍光データ信号との間の相対位相に基づいて、蛍光検出器についての位相補正を計算させる、
付記41に記載のシステム。
43.構成が電圧である、付記40~42のいずれか一つに記載のシステム。
44.メモリは、そこに格納された命令を含み、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、
第1の電圧にて蛍光検出器でサンプルからの光を検出させ、
第1の電圧にて明視野データ信号と蛍光検出器からの蛍光データ信号との間の相対位相に基づいて、蛍光検出器についての位相補正を計算させ、
第2の電圧にて蛍光検出器でサンプルからの光を検出させ、
第2の電圧にて明視野データ信号と蛍光検出器からの蛍光データ信号との間の相対位相に基づいて、蛍光検出器についての位相補正を計算させる、
付記43に記載のシステム。
45.構成が電子利得設定である、付記40~42のいずれか一つに記載のシステム。
【0178】
46.メモリは、そこに格納された命令を含み、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、
第1の電子利得設定にて蛍光検出器でサンプルからの光を検出させ、
第1の電子利得設定にて明視野データ信号と蛍光検出器からの蛍光データ信号との間の相対位相に基づいて、蛍光検出器についての位相補正を計算させ、
第2の電子利得設定にて蛍光検出器でサンプルからの光を検出させ、
第2の電子利得設定にて明視野データ信号と蛍光検出器からの蛍光データ信号との間の相対位相に基づいて、蛍光検出器についての位相補正を計算させる、
付記45に記載のシステム。
47.メモリは、そこに格納された命令を含み、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、蛍光検出器についての計算された位相補正とサンプル内のフルオロフォアの蛍光寿命とに基づいて、蛍光検出器についての寿命位相補正を計算させる、付記39に記載のシステム。
48.光検出システムが複数の蛍光検出器を有し、各蛍光検出器が、検出された光に応答して蛍光データ信号を独立して生成するように構成される、付記39~47のいずれか一つに記載のシステム。
49.メモリは、そこに格納された命令を含み、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、明視野データ信号と各蛍光検出器からの蛍光データ信号との間の相対位相に基づいて各蛍光検出器についての位相補正を計算させる、付記48に記載のシステム。
50.メモリは、そこに格納された命令を含み、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、所定の構成を含む各蛍光検出器についての位相補正を計算させる、付記49に記載のシステム。
【0179】
51.所定の構成が電圧である、付記50に記載のシステム。
52.メモリは、そこに格納された命令を含み、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、
第1の電圧にて各蛍光検出器でサンプルからの光を検出させ、
第1の電圧にて明視野データ信号と各蛍光検出器からの蛍光データ信号との間の相対位相に基づいて、各蛍光検出器についての位相補正を計算させ、
第2の電圧にて各蛍光検出器でサンプルからの光を検出させ、
第2の電圧にて明視野データ信号と各蛍光検出器からの蛍光データ信号との間の相対位相に基づいて、各蛍光検出器についての位相補正を計算させる、
付記51に記載のシステム。
53.所定の電圧が、光検出システム内のすべての蛍光検出器について同じである、付記52に記載のシステム。
54.所定の電圧が、各蛍光検出器において異なる、付記52に記載のシステム。
55.所定の構成が、電子利得設定である、付記50に記載のシステム。
【0180】
56.メモリは、そこに格納された命令を含み、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、
第1の電子利得設定にて各蛍光検出器でサンプルからの光を検出させ
第1の電子利得設定にて明視野データ信号と各蛍光検出器からの蛍光データ信号との間の相対位相に基づいて、各蛍光検出器についての位相補正を計算させ、
第2の電子利得設定にて各蛍光検出器でサンプルからの光を検出させ、
第2の電子利得設定にて明視野データ信号と各蛍光検出器からの蛍光データ信号との間の相対位相に基づいて、各蛍光検出器についての位相補正を計算させる、
付記55に記載のシステム。
57.所定の電子利得設定が、光検出システム内のすべての蛍光検出器について同じである、付記56に記載のシステム。
58.所定の電子利得設定が、各蛍光検出器において異なる、付記56に記載のシステム。
59.メモリは、そこに格納された命令を含み、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、各蛍光検出器についての計算された位相補正とサンプル中のフルオロフォアの蛍光寿命とに基づいて各蛍光検出器についての寿命位相補正を計算させる、付記48~58のいずれか一つに記載のシステム。
60.メモリは、そこに格納された命令を含み、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、
蛍光検出器でサンプル内の粒子から周波数符号化蛍光データを生成させ、
各蛍光検出器についての計算された位相補正での周波数符号化蛍光データの変換を実行することにより、粒子の位相補正空間データを計算させる、
付記39~59のいずれか一つに記載のシステム。
【0181】
61.メモリは、そこに格納された命令を含み、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、位相補正成分での周波数符号化蛍光データのフーリエ変換を実行させて、粒子の位相補正空間データを生成させる、付記60に記載のシステム。
62.メモリは、そこに格納された命令を含み、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、位相補正成分での周波数符号化蛍光データの離散フーリエ変換を実行させて、粒子の位相補正空間データを生成させる、付記61に記載のシステム。
63.メモリは、そこに格納された命令を含み、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、位相補正成分での周波数符号化蛍光データの短時間フーリエ変換(STFT)を実行させる、付記61に記載のシステム。
64.メモリは、そこに格納された命令を含み、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、周波数符号化蛍光データをヘテロダインおよび逆多重化するためにデジタルロックインアンプを用いて位相補正空間データを計算させる、付記60に記載のシステム。
【0182】
65.光源が、少なくとも周波数シフト光の第1のビームおよび周波数シフト光の第2のビームを生成するように構成された光ビーム発生器構成要素を有する、付記39~64のいずれか一つに記載のシステム。
66.光ビーム発生器が音響光学偏向器を有する、付記65に記載のシステム。
67.光ビーム発生器がダイレクトデジタルシンセサイザー(DDS)RFコーム発生器を有する、付記65または66に記載のシステム。
68.光ビーム発生器構成要素が、周波数シフト局部発振器ビームを生成するように構成される、付記65~67のいずれか一つに記載のシステム。
69.光源がレーザーを有する、付記39~68のいずれか一つに記載のシステム。
70.レーザーが連続波レーザーである、付記69に記載のシステム。
【0183】
71.明視野データ信号および蛍光データ信号間の相対位相に基づいて、蛍光検出器についての位相補正を計算するためにプログラムされた集積回路構成要素を有する、付記39~70のいずれか一つに記載のシステム。
72.集積回路デバイスがフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)である、付記71に記載のシステム。
73.集積回路デバイスが特定用途向け集積回路(ASIC)である、付記71に記載のシステム。
74.集積回路デバイスがコンプレックスプログラマブルロジックデバイス(CPLD)である、付記71に記載のシステム。
【0184】
75.システムがフローサイトメーターである、付記39~74のいずれか一つに記載のシステム。
76.メモリは、そこに格納された命令を含み、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、サンプル中の粒子の画像を生成させる、付記39~75のいずれか一つに記載のシステム。
【0185】
77.明視野データ信号および蛍光データ信号間の相対位相に基づいて蛍光検出器についての位相補正を計算するようにプログラムされた、集積回路。
78.検出された光に応答して明視野データ信号を生成するように構成された明視野光検出器と、検出された光に応答して蛍光データ信号を生成するように構成された蛍光検出器とを有する光検出システムからデータ信号を受信するために電気通信する、付記77に記載の集積回路。
79.第1の構成にて蛍光検出器についての位相補正を計算するようにプログラムされる、付記77に記載の集積回路。
80.第2の構成にて明視野データ信号と蛍光検出器からの蛍光データ信号との間の相対位相に基づいて蛍光検出器についての位相補正を計算するようにプログラムされる、付記79に記載の集積回路。
81.第3の構成にて明視野データ信号と蛍光検出器からの蛍光データ信号との間の相対位相に基づいて蛍光検出器についての位相補正を計算するようにプログラムされる、付記80に記載の集積回路。
【0186】
82.構成が電圧である、付記79~81のいずれか一つに記載の集積回路。
83.第1の電圧にて明視野データ信号と蛍光検出器からの蛍光データ信号との間の相対位相に基づいて、蛍光検出器についての位相補正を計算し、
第2の電圧にて明視野データ信号と蛍光検出器からの蛍光データ信号との間の相対位相に基づいて、蛍光検出器についての位相補正を計算する
ようにプログラムされる、付記82に記載の集積回路。
84.構成が電子利得設定である、付記79~81のいずれか一つに記載の集積回路。
85.第1の電子利得設定にて明視野データ信号と蛍光検出器からの蛍光データ信号との間の相対位相に基づいて、蛍光検出器についての位相補正を計算し、
第2の電子利得設定にて明視野データ信号と蛍光検出器からの蛍光データ信号との間の相対位相に基づいて、蛍光検出器についての位相補正を計算する
ようにプログラムされる、付記84に記載の集積回路。
【0187】
86.蛍光検出器についての計算された位相補正とサンプル内のフルオロフォアの蛍光寿命とに基づいて、蛍光検出器についての寿命位相補正を計算するようにプログラムされる、付記77に記載の集積回路。
87.光検出システムが複数の蛍光検出器を有し、各蛍光検出器が、検出された光に応答して蛍光データ信号を独立して生成するように構成される、付記78に記載の集積回路。
88.明視野データ信号と各蛍光検出器からの蛍光データ信号との間の相対位相に基づいて、各蛍光検出器についての位相補正を計算するようにプログラムされる、付記87に記載の集積回路。
89.所定の構成を含む各蛍光検出器についての位相補正を計算するようにプログラムされる、付記88に記載の集積回路。
90.所定の構成が電圧である、付記89に記載の集積回路。
【0188】
91.第1の電圧にて明視野データ信号と各蛍光検出器からの蛍光データ信号との間の相対位相に基づいて、各蛍光検出器についての位相補正を計算し、
第2の電圧にて明視野データ信号と各蛍光検出器からの蛍光データ信号との間の相対位相に基づいて、各蛍光検出器についての位相補正を計算する
ようにプログラムされる、付記90に記載の集積回路。
92.所定の電圧が、光検出システム内のすべての蛍光検出器について同じである、付記91に記載の集積回路。
93.所定の電圧が、各蛍光検出器において異なる、付記91に記載の集積回路。
94.所定の構成が、電子利得設定である、付記89に記載の集積回路。
95.第1の電子利得設定にて明視野データ信号と各蛍光検出器からの蛍光データ信号との間の相対位相に基づいて、各蛍光検出器についての位相補正を計算し、
第2の電子利得設定にて明視野データ信号と各蛍光検出器からの蛍光データ信号との間の相対位相に基づいて、各蛍光検出器についての位相補正を計算する
ようにプログラムされる、付記94に記載の集積回路。
【0189】
96.所定の電子利得設定が、光検出システム内のすべての蛍光検出器について同じである、付記95に記載の集積回路。
97.所定の電子利得設定が、各蛍光検出器において異なる、付記95に記載の集積回路。
98.各蛍光検出器についての計算された位相補正とサンプル中のフルオロフォアの蛍光寿命とに基づいて、各蛍光検出器についての寿命位相補正を計算するようにプログラムされる、付記87~97のいずれか一つに記載の集積回路。
99.蛍光検出器でサンプル内の粒子から周波数符号化蛍光データを生成し、
各蛍光検出器についての計算された位相補正での周波数符号化蛍光データの変換を実行することにより、粒子の位相補正空間データを計算する
ようにプログラムされる、付記77~98のいずれか一つに記載の集積回路。
100.位相補正成分での周波数符号化蛍光データのフーリエ変換を実行して粒子の位相補正空間データを生成するようにプログラムされる、付記99に記載の集積回路。
【0190】
101.位相補正成分での周波数符号化蛍光データの離散フーリエ変換を実行して粒子の位相補正空間データを生成するようにプログラムされる、付記100に記載の集積回路。
102.位相補正成分での周波数符号化蛍光データの短時間フーリエ変換を実行して粒子の位相補正空間データを生成するようにプログラムされる、付記101に記載の集積回路。
103.周波数符号化蛍光データをヘテロダインおよび逆多重化するために、デジタルロックインアンプで位相補正空間データを計算するようにプログラムされる、付記99に記載の集積回路。
【0191】
104.集積回路がフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)である、付記77~103のいずれか一つに記載の集積回路。
105.集積回路デバイスが特定用途向け集積回路(ASIC)である、付記77~103のいずれか一つに記載の集積回路。
106.集積回路デバイスがコンプレックスプログラマブルロジックデバイス(CPLD)である、付記77~103のいずれか一つに記載の集積回路。
107.位相補正空間データから粒子の画像を生成するようにプログラムされる、付記77~106のいずれか一つに記載の集積回路。
【0192】
108.フローサイトメーターの1つ以上の蛍光検出器の位相キャリブレーションで使用するための成分であって、
複数の粒子と、蛍光色素成分とを含み、
蛍光色素成分は安定した蛍光寿命を有する、成分。
109.蛍光色素成分が単一の色素を含む、付記108に記載の成分。
110.蛍光色素成分が2つ以上の色素を含む、付記108に記載の成分。
111.蛍光色素成分がナイルレッド色素を含む、付記108~110のいずれか一つに記載の成分。
112.蛍光色素成分がフィコエリトリンシアニン色素を含む、付記108~111のいずれか一つに記載の成分。
113.蛍光色素成分がPE-Cy7を含む、付記112に記載の成分。
【0193】
114.蛍光色素成分が1つ以上のポリマー色素を含む、付記108~113のいずれか一つに記載の成分。
115.ポリマー色素が水溶性共役ポリマーである、付記114に記載の成分。
116.蛍光色素成分が粒子と安定して会合している、付記108~115のいずれか一つに記載の成分。
117.蛍光色素成分が粒子に共有結合している、付記116に記載の成分。
118.粒子が多孔性である、付記108~117のいずれか一つに記載の成分。
【0194】
前述した発明は、理解を明確にするために例示および例としていくらか詳細に説明されてきたが、この発明の教示に照らして当業者には、添付の特許請求の範囲の精神または範囲から逸脱することなく、特定の変更および修正をそれに行い得ることが容易に明らかである。
【0195】
したがって、上記は単に本発明の原理を説明するものである。当業者は、本明細書に明示的に記載または示されていないが、本発明の原理を具体化し、その精神および範囲内に含まれるさまざまな構成を考案することができることが理解される。さらに、本明細書に記載されたすべての例および条件付き言語は、主に、本発明の原理および本発明者が技術を促進するために寄与する概念を読者が理解することを支援することを意図しており、そのような具体的に列挙された例および条件に限定されるものではないと解釈されるべきである。さらに、本発明の原理、態様、および実施形態を本明細書にて記載するすべての記載、ならびにそれらの具体例は、それらの構造的および機能的均等物の両方を包含することを意図している。さらに、そのような均等物には、現在知られている均等物および将来開発される均等物、すなわち、構造に関係なく、同じ機能を実行する任意の開発要素が含まれることが意図される。さらに、本明細書に開示されているものはすべて、そのような開示が特許請求の範囲に明示的に記載されているか否かにかかわらず、公衆に献上することは意図されていない。
【0196】
したがって、本発明の範囲は、本明細書に示され、説明される例示的な実施形態に限定されることを意図するものではない。むしろ、本発明の範囲および精神は、添付の特許請求の範囲によって具体化される。特許請求の範囲では、35U.S.C.§112(f)または35U.S.C.§112(6)は、請求項にて「ための手段」という正確な句または「ためのステップ」という正確な句がそのような制限の冒頭に記載されている場合にのみ、請求項の制限について適用されると明示的に定義されており、そのような正確な句が請求項における制限で使用されていない場合、35U.S.C.§112(f)または35U.S.C.§112(6)は適用されない。
【0197】
関連出願への相互参照
この出願は、2019年5月14日に出願された米国仮特許出願シリアル番号62/847,631に関連しており、その出願の開示は参照により本明細書に組み込まれる。
図1