(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-13
(45)【発行日】2024-06-21
(54)【発明の名称】車両と受信デバイスとの間のV2X通信を管理するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
H04W 48/18 20090101AFI20240614BHJP
H04W 48/16 20090101ALI20240614BHJP
H04W 4/44 20180101ALI20240614BHJP
H04W 4/46 20180101ALI20240614BHJP
H04W 92/18 20090101ALI20240614BHJP
H04W 88/06 20090101ALI20240614BHJP
【FI】
H04W48/18
H04W48/16 130
H04W4/44
H04W4/46
H04W92/18
H04W88/06
(21)【出願番号】P 2021564478
(86)(22)【出願日】2020-04-06
(86)【国際出願番号】 EP2020059758
(87)【国際公開番号】W WO2020221554
(87)【国際公開日】2020-11-05
【審査請求日】2023-03-07
(32)【優先日】2019-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】バグリン, マチュー
(72)【発明者】
【氏名】ボンディエ, セドリック
(72)【発明者】
【氏名】ペロー, エリク
(72)【発明者】
【氏名】セシア, ステファニア
【審査官】松野 吉宏
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0090181(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0270679(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0159935(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0237783(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルラー通信ネットワークに接続されたV2X通信管理デバイス(20)を備えるモバイル車両機器(2)であって、前記通信管理デバイスが、前記モバイル車両機器(2)によって実行されるV2Xアプリケーションに関連するデータパケットを少なくとも1つの受信機デバイス(3)に送信するために使用
するために利用可能な少なくとも1つの無線アクセス技術(RAT)を決定するように構成された無線アクセス技術選択ユニット(200)を備え、前記
無線アクセス技術選択ユニット(200)が、n個のパフォーマンスインジケータを含むターゲットサービス品質情報に応じて、無線アクセス技術のセットから利用可能である少なくとも1つの無線アクセス技術を選択するように構成され、前記n個のパフォーマンスインジケータが、少なくとも1つのパフォーマンスインジケータを含み、前記V2Xアプリケーションに応じて選択されたパフォーマンスインジケータのセットから決定され
、
前記無線アクセス技術選択ユニット(200)が、前記ターゲットサービス品質と将来のタイムウィンドウにわたって予測されるサービス品質との間の比較に基づいてRATの利用可能性のベクトルを計算するように構成された、利用可能性を決定するためのユニット(2000)を備えることを特徴とする、モバイル車両機器(2)。
【請求項2】
パフォーマンスインジケータの前記セットの前記パフォーマンスインジケータが、レイテンシパラメータ、信頼性パラメータ、利用可能性パラメータ、データフローパラメータ、および情報年時パラメータ、を少なくとも含むグループから選択されることを特徴とする、請求項1に記載のモバイル車両機器(2)。
【請求項3】
前記通信管理デバイス(200)が、セルラーネットワーク(1)を介して、前記V2Xアプリケーションに関連する
V2Xサービスを供給するアプリケーションサーバ(6)との初期接続を確立するように構成された接続ユニット(2001)を備え、前記接続ユニット(2001)が、
前記V2Xアプリケーションにサブスクライブする
サブスクリプション要求を
前記アプリケーションサーバ(6)に送るように構成され、前記サブスクリプション要求が、前記V2Xサービスを識別し、前記モバイル車両機器(2)によって必要とされるサービス品質情報を含み、前記サービス品質情報が前記ターゲットサービス品質を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載のモバイル車両機器。
【請求項4】
将来の期間にわたって推定されるサービス品質が、前記サービス品質情報に関する1つまたは複数の条件を満たす場合、前記アプリケーションサーバ(6)と前記モバイル車両機器(2)との間で情報を伝達するためのベアラの開放の通知を受信するように、前記モバイル車両機器が構成されていることを特徴とする、請求項3に記載のモバイル車両機器。
【請求項5】
前記サービス品質情報がサービス品質値の許容できる劣化範囲をさらに含むことを特徴とする、請求項3に記載のモバイル車両機器。
【請求項6】
前記サブスクリプション要求が、前記V2Xアプリケーションに関連する関心領域の記述をさらに備え、前記記述が、前記
モバイル車両機器の位置に対する相対的記述であるか、または絶対基準フレーム中で定義された絶対的記述であることを特徴とする、請求項3から5のいずれか一項に記載のモバイル車両機器。
【請求項7】
前記絶対的記述が、ベクトルおよび/または多角形および/またはタイルに基づいて前記絶対基準フレーム中で表されることを特徴とする、請求項6に記載のモバイル車両機器。
【請求項8】
前記サブスクリプション要求が、情報のタイプと、属性とをさらに備え、各属性が与えられた情報のタイプに関連することを特徴とする、請求項3から7のいずれか一項に記載のモバイル車両機器。
【請求項9】
前記通信管理デバイス(200)が、V2Xサービス利用可能性を推定するためのユニットを備え、サービス利用可能性を推定するための前記ユニットが、前記サービス品質QoSを予測するための情報に基づいて、V2Xサービスの前記利用可能性を推定することが可能であることを特徴とする、請求項3から8のいずれか一項に記載のモバイル車両機器。
【請求項10】
前記利用可能性
の前記ベクトルが、2進値を有する成分のセットを含み、各成分が、前記モバイル車両機器から前記データパケットを送信するために使用され得るRATに関連し、前記2進値が前記RATの前記利用可能性または非利用可能性を示すことを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載のモバイル車両機器。
【請求項11】
前記モバイル車両機器が、送信基準のセットに応じて、RATの利用可能性の前記ベクトルの前記RATの中から少なくとも1つのRATを選択するように構成されたRATセレクタ(2004)を備えることを特徴とする、請求項10に記載のモバイル車両機器。
【請求項12】
前記
送信基準が、冗長パラメータおよび/またはV2Xサービスコストパラメータおよび/またはメッセージ優先度パラメータおよび/またはV2Xサービスパラメータに関する基準を含むことを特徴とする、請求項11に記載のモバイル車両機器。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の少なくとも1つのモバイル車両機器(2)と、セルラー通信ネットワーク(1)と、前記V2Xアプリケーションに関連する
V2Xサービスを供給するアプリケーションサーバ(6)とを備えるV2X通信システムであって、前記
V2X通信システムは、ターゲットサービス品質情報に基づいて前記サービス品質を予測することが可能な予測機能を含むことを特徴とする、V2X通信システム。
【請求項14】
請求項1から12のいずれか一項に記載の少なくとも1つのモバイル車両機器(2)と、少なくとも1つの受信機デバイス(3)との間の通信により、前記V2Xアプリケーションを実行する
前記モバイル車両機器(2)の前記V2Xアプリケーションに関連するデータパケットを
前記少なくとも1つの受信機デバイス(3)に送信するための方法であって、前記モバイル車両機器(2)がセルラー通信ネットワーク(1)に接続され、前記方法は、
前記n個のパフォーマンスインジケータを含むターゲットサービス品質情報に応じて無線アクセス技術のセットに基づいて、前記データパケットを送信するために使用
するために利用可能である少なくとも1つの無線アクセス技術を選択することを伴う選択ステップを含み、前記n個のパフォーマンスインジケータが、少なくとも1つのパフォーマンスインジケータを含み、前記V2Xアプリケーションに応じて選択されたパフォーマンスインジケータのセットから決定されることを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、ワイヤレス通信システムに関し、特に、車両と1つまたは複数の受信機デバイスとの間のV2X通信を管理するためのデバイスおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両間で通信するための技術は、道路交通の安全性と効率性とを改善するために、コネクテッドビークル間に実装されるインテリジェントトランスポートシステム(ITS)の出現によって近年著しい進歩を経験している。ITSシステムは、「車両」(「車両対車両」(V2V)間、「車両とインフラストラクチャ」(V2I)との間、および「車両と歩行者」(V2P)との間で通信するための技術を含むV2X無線アクセス技術を使用して、メッセージをブロードキャストことに基づく。そのようなメッセージは、一般に、たとえば、衝突の危険が検出された場合の警告動作、または危険が検出された場合の緊急停止動作など、リアルタイム状況において実行されるべき動作を決定するために使用され、動作は一般に迅速に実行されなければならない。
【0003】
自動車アプリケーションは、それらのV2X(V2V、V2IおよびV2P)メッセージを異なる手段によって送ることができる。V2Xメッセージは、たとえば、802.11p規格、PC5無線技術、またはさらには5Gリンクに基づく「直接」V2V通信によって送られ得る。そのような「直接」V2V通信は短距離またはアドホック技術とも呼ばれる。
【0004】
代替的に、V2Xメッセージは、(LTEおよび5Gネットワークのための、Uuインターフェースとも呼ばれる、エアインターフェースを介して)4Gまたは5G接続性を使用して、「間接」(V2N2V)通信によって送られ得る。間接V2N2V通信の場合、ネットワーク中のオフボードサーバが、データを処理し、データをユーザのために利用可能にするサービスをホストする。必要とされる接続性実行能力は、一般に、たとえば、レイテンシ、信頼性、および/またはフローに関するユーザ状況に応じて異なる。他の状況では、サービスの利用可能性も重要な役割を果たすことができる。しかしながら、ターゲット実行能力に応じて適用されるべき最も好適な無線アクセス技術を動的に決定するためのソリューションは存在しない。
【0005】
特許出願CN106658351において、4G基地局のためのダウンリンクを介して送信するためのストラテジーを決定するためのソリューションが提案されている。特に、このソリューションは、使用されるべきリンクのタイプ(ブロードキャスティング、マルチブロードキャスティング、モノブロードキャスティング)が決定されることと、ターゲットノードeNBが選択されることを可能にし、受信されたV2XデータがV2Xサービスのタイプに従って送信されることを可能にする。しかしながら、このソリューションは、V2Xメッセージのターゲットサービス品質に関して最も好適である無線アクセス技術RATが選択されることを可能にしない。
【0006】
出願WO2001/705531に記載されている別の手法では、V2Xメッセージのいくつかのタイプについて、V2X基地局のためにLTEネットワークまたはロードサイドユニット(Road Side Unit(RSU))を選択することが提案されている。このソリューションは、セルラーネットワークとV2Xネットワークとの間の最適化された負荷分散のためにV2X処理のうちのいくつかをRSUにシフトする。しかしながら、選択は、LTE基地局から実行され、車両に搭載された部品からは実行されない。さらに、このソリューションは、ターゲット実行能力が最良の可能な様式で達成されることを可能にするメッセージごとに適用されるべきRAT技術が決定されることを可能にしない。
【0007】
したがって、ターゲット実行能力に応じてV2Xメッセージを送るために適用されるべき最適な無線アクセス技術を動的に決定するための改善されたシステムおよび方法が必要である。
【発明の概要】
【0008】
本発明の一般的な定義
本発明は状況を改善する。この目的のために、本発明は、セルラー通信ネットワークに接続されたV2X通信管理デバイスを備えるモバイル車両機器(a piece of mobile vehicle equipment)を提案する。有利には、通信管理デバイスは、モバイル車両機器によって実行されるV2Xアプリケーションに関連するデータパケットを少なくとも1つの受信機デバイスに送信するために使用されるために利用可能な少なくとも1つの無線アクセス技術(RAT)を決定するように構成された無線アクセス技術選択ユニットを備える。選択ユニットは、n個(n-tuple)のパフォーマンスインジケータを含むターゲットサービス品質情報に応じて、無線アクセス技術のセットから利用可能である少なくとも1つの無線アクセス技術を選択するように構成され、n個のパフォーマンスインジケータは、少なくとも1つのパフォーマンスインジケータを含み、V2Xアプリケーションに応じて選択されたパフォーマンスインジケータのセットから決定される。
【0009】
一実施形態では、パフォーマンスインジケータのセットのパフォーマンスインジケータは、レイテンシパラメータ、信頼性パラメータ、利用可能性パラメータ、データフローパラメータ、および情報年時パラメータ、を少なくとも含むグループから選択され得る。
【0010】
通信管理デバイスは、セルラーネットワークを介して、V2Xアプリケーションに関連するV2Xサービスを供給するアプリケーションサーバとの初期接続を確立するように構成された接続ユニットを備えることができ、接続ユニットは、V2Xアプリケーションにサブスクライブする要求をアプリケーションサーバに送るように構成され、サブスクリプション要求は、V2Xサービスを識別し、モバイル車両機器によって必要とされるサービス品質情報を含み、サービス品質情報はターゲットサービス品質を含む。
【0011】
特に、モバイル車両機器は、将来の期間にわたって推定されるサービス品質が、サービス品質情報に関する1つまたは複数の条件を満たす場合、アプリケーションサーバとモバイル車両機器との間で情報を伝達するためのベアラの開放の通知を受信するように構成され得る。
【0012】
サービス品質情報はサービスの品質値の許容できる劣化範囲をさらに含むことができる。
【0013】
サブスクリプション要求は、V2Xアプリケーションに関連する関心領域(Region of Interest)の記述をさらに含むことができ、記述は、車両機器の位置に対する相対的記述であるか、または絶対基準フレーム中で定義された絶対的記述である。
【0014】
特に、絶対的記述は、ベクトルおよび/または多角形および/またはタイルに基づいて絶対基準フレーム中で表され得る。
【0015】
サブスクリプション要求は、情報のタイプと、属性とをさらに含むことができ、各属性は情報の所与のタイプに関連する。
【0016】
一実施形態では、通信管理デバイスは、V2Xサービス利用可能性を推定するためのユニットを備えることができ、サービス利用可能性を推定するためのユニットは、サービス品質QoSを予測するための情報に基づいてV2Xサービスの利用可能性を推定することが可能である。
【0017】
モバイル車両機器は、ターゲットサービス品質と将来のタイムウィンドウにわたって予測されるサービス品質との間の比較に基づいてRATの利用可能性のベクトルを計算するように構成された、利用可能性を決定するためのユニットをさらに備えることができ、利用可能性ベクトルは、2進値を有する成分のセットを含み、各成分は、モバイル車両機器からデータパケットを送信するために使用され得るRATに関連し、2進値はRATの利用可能性または非利用可能性を示す。
【0018】
一実施形態では、モバイル車両機器は、送信基準のセットに応じて、RATの利用可能性のベクトルのRATの中から少なくとも1つのRATを選択するように構成されたRATセレクタをさらに備えることができる。
【0019】
特に、送信基準は、冗長パラメータおよび/またはV2Xサービスコストパラメータおよび/またはメッセージ優先度パラメータおよび/またはV2Xサービスパラメータに関する基準を含むことができる。
【0020】
上記の特徴のうちの1つによる少なくとも1つの車両機器と、セルラー通信ネットワークと、V2Xアプリケーションに関連するV2Xサービスを供給するアプリケーションサーバとを備えるV2X通信システムも提案され、本システムは、ターゲットサービス品質情報に基づいてサービス品質を予測することが可能な予測機能を含む。
【0021】
V2Xアプリケーションを実行するモバイル車両機器のV2Xアプリケーションに関連するデータパケットを少なくとも1つの受信機デバイスに送信するための方法も提案され、モバイル車両機器はセルラー通信ネットワークに接続される。有利には、本方法は、n個のパフォーマンスインジケータを含むターゲットサービス品質情報に応じて、無線アクセス技術のセットに基づいて、データパケットを送信するために使用されるために利用可能である少なくとも1つの無線アクセス技術を選択することを伴う選択ステップを含み、前記n個のパフォーマンスインジケータは、少なくとも1つのパフォーマンスインジケータを含み、V2Xアプリケーションに応じて選択されたパフォーマンスインジケータのセットから決定される。
【0022】
本発明の実施形態により、したがって、変化を予想し、オンボード挙動を適応させるように無線アクセス技術の品質を制御し、予測することが可能になる。
【0023】
本発明の実施形態により、サービス品質に基づいて無線アクセス技術の利用可能性を制御し、V2Xメッセージを送信するために適用されるべき最適な無線アクセス技術を選択することも可能になる。
【0024】
本発明のさらなる特徴および利点は、以下の説明から、および添付の図面から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の実施形態による、通信管理システムがその中で実装され得る動作環境の例を示す図である。
【
図2】いくつかの実施形態による、通信管理システムを示す図である。
【
図3】一実施形態による、接続管理ユニットを示す図である。
【
図4】いくつかの実施形態による、自動車と受信機デバイスとの間の通信を管理するための方法を示すフローチャートである。
【
図5】一実施形態による、サブスクリプション方法を示すフローチャートである。
【
図6】一実施形態による、サービス品質制御ユニットを示す図である。
【
図7】一実施形態による、サブスクリプション要求を処理するための方法を示すフローチャートである。
【
図8】一実施形態による、送られるべきデータパケットのカテゴリーを一致させるための方法を示すフローチャートである。
【
図9】一実施形態による、送信のためのRATを選択するための方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
発明を実施するための形態は付録A1によっても補足される。この付録は、明確化のために、および相互参照を促進するために別個に与えられる。本付録は、説明の一体部分をなし、したがって、本発明をより良く理解するためにだけでなく、適切な場合、本発明の定義に寄与するためにも使用され得る。これは図面のあらゆる点に関しても当てはまる。
【0027】
図1は、本発明の実施形態による、V2X通信インフラストラクチャ100の例を示す。
【0028】
本発明の実施形態は、(以下で「ビークル」または「送信機ビークル」とも呼ぶ)モバイル車両機器2と、少なくとも1つのターゲットパフォーマンスインジケータに応じて、モバイル車両機器2から1つまたは複数の受信機デバイス3にデータを送信するために使用されるために利用可能である1つまたは複数の無線アクセス技術RATを動的に決定することが可能な少なくとも1つの受信機デバイス3との間のV2X通信を管理するためのデバイスおよび方法を提供する。
【0029】
環境100は、コネクテッドビークル2と受信機デバイス3との間のワイヤレスV2X通信を使用して道路交通のセキュリティと効率とを管理するように構成されたインテリジェントトランスポートアーキテクチャ(ITS)を形成する。
【0030】
各ビークル2は、1つまたは複数のV2Xアプリケーションとの相対的通信を可能にするように構成された通信デバイス20を装備され得る。
- ビークル2と、セルラー通信ネットワーク1を介してV2Xサービスを受信機デバイス3に配信するアプリケーションサーバ6との間、または
- 範囲内のエリアがアドホック無線技術の最も短い範囲に対応する、ビークル2と範囲内のエリア中に位置する受信機デバイス3との間の、1つまたは複数のアドホック無線アクセス技術による1つまたは複数のV2Xアプリケーションに関係するデータパケットの交換。
【0031】
より一般的には、V2X通信は、道路効率を最適化するためと、道路交通を管理するためと、犠牲者を減少させるためおよび道路安全性を改善するためと、自律車両のためとのアプリケーションにおいて使用され得る。
【0032】
車両は、セルラーネットワーク1との通信と、近傍に位置する受信機デバイス3とのRATベース通信とに適応させられたワイヤレス通信手段(送信および受信)を装備され得る。受信機デバイス3はまた、1つまたは複数の対応するV2Xアプリケーションと、ビークル2の通信デバイス20と通信することが可能な通信デバイス30とを実装する。
【0033】
ビークル2はまた、環境パラメータを測定するように構成されたセンサーのセット、および/または車両の環境の画像のシーケンスを記録するように構成された少なくとも1つのカメラを装備され得る。センサーからおよび/またはカメラからのデータは通信デバイス20によって使用され得る。
【0034】
V2X通信は、ビークル2が、車両または近傍に配置されたセンサー機器によって、車両、道路インフラストラクチャまたはモバイルデバイスを装備した歩行者によって収集された環境情報を共有することによってインテリジェントサービスを使用することができるように使用され得る。
【0035】
V2X通信は、3GPP対応データ転送を介してV2Xアプリケーションを実装する、ビークル2など、送信機車両機器または受信機車両機器を使用する。受信機デバイス3のタイプに応じて、V2X通信はV2V通信、V2I通信、またはV2N通信であり得る。V2V通信では、通信は、V2Vアプリケーションを使用する2つのビークル2とビークル3との間で行われる。V2I通信では、ビークル2と(ロードサイドユニット(RSU)とも呼ばれる)道路インフラストラクチャ3とがV2Iアプリケーションを使用する。道路インフラストラクチャ3は、V2Iアプリケーションを使用してビークル2にデータを送信および/またはビークル2からデータを受信するように構成されたV2Iサービスをサポートする。道路インフラストラクチャ3は、基地局または静止している車両機器中に実装され得る。V2N通信では、V2N通信はビークル2と(サーバ7など)V2Xアプリケーションサーバとの間である。
【0036】
本発明の実施形態によれば、通信デバイスは、少なくとも1つのパフォーマンスインジケータを含むターゲットパフォーマンスインジケータのセットに応じて、V2Xデータパケットを検出された受信機デバイス3に送信するために使用される可能性がある1つまたは複数の利用可能な無線アクセス技術を動的に決定するように構成された通信管理デバイス200を備える。
【0037】
使用される際、無線アクセス技術(RAT)は、たとえば、非限定的な様式で、
- 第3世代RAT(3G)、
- 第4世代RAT(4G、LTE)、
- 第5世代RAT(5G)、
- n11pタイプアドホック通信、
- PC5タイプアドホック通信など、
無線通信ネットワークのための基本となる物理的接続方法を指す。
【0038】
より一般的には、この場合、RATは任意の現在のまたは将来世代の無線アクセス技術を示す。
【0039】
ビークル2によるV2Xアプリケーションの実行は、少なくとも1つの基地局4と1つのセルラーネットワークコア5とを備えるセルラー通信ネットワーク1を使用することができ、アプリケーションサーバ(AS)6が使用される。通信ネットワークにより、ビークル2は、V2Xアプリケーションに対応するV2Xサービスにアクセスし、(V2Xデータパケットの形態の)V2Xメッセージを受信機デバイス3と通信することが可能になる。受信機デバイス3は、送信機ビークル2によって送信されたV2Xデータパケットを受信するための通信手段を与えられた任意のデバイスを示す。
【0040】
基地局4は、V2X通信をサポートするためのV2X通信機能を装備され得る。
【0041】
アプリケーションサーバ6は、車両によって必要とされる情報を送るように構成されたデータ処理機能を実装する、ネットワーク上の任意のタイプのオフボードサーバ(たとえば、「クラウド」サーバまたは分散型サーバ)であり得る。
【0042】
セルラー通信ネットワークは、たとえば、LTEネットワークであり得、基地局4はLTEネットワークのeNBノードである。
【0043】
受信機デバイス3が車両である実施形態では、受信機デバイス3は、送信機ビークル2から直接、または基地局4とネットワークコア5とによってアプリケーションサーバ6からデータを受信することができる。
【0044】
ビークル2は、近傍のゾーンに位置する、対応するV2Xアプリケーションを実行する受信機デバイス3に道路交通情報または安全情報または道路アプリケーションからの情報を中継、マルチブロードキャストまたはブロードキャストするために、V2Xアプリケーションサーバを使用することができる。たとえば、ビークル2は、V2Vメッセージを近傍に位置するいくつかの他の車両3に同時に(たとえば、同じ時間に)ブロードキャストすることができるか、またはV2Iメッセージを単一の道路インフラストラクチャ3に送信するか、またはV2Pメッセージを近傍に位置するモバイルデバイス3を装備されたすべての歩行者デバイスにブロードキャストすることができる。
【0045】
受信機デバイス3にV2Xデータパケットを送るために、ビークル2は、車両が1つまたは複数の基地局4のカバレージエリア内にあるとき、少なくとも1つの基地局4を通してV2Xサブスクリプション要求をアプリケーションサーバ6に送信することができ、要求は、ロケーションまたはサービス情報の属性など、アプリケーションレイヤ情報を含む。
【0046】
ビークル2をサービスする基地局4はネットワークコア5にサブスクリプション要求を送信する。ネットワークコア5は、この要求を読み取り、V2Xサブスクリプション要求に応答してモバイル車両機器2を登録し、モバイル車両機器2の位置を特定し、モバイル車両機器2を認証し、および/またはサブスクリプションのタイプに応じて、ビークル2とアプリケーションサーバ6との間の接続のサービス品質を管理するように構成され得る。
【0047】
別の実施形態では、ビークル2は、サブスクリプション方法自体とは無関係に、サブスクリプションのタイプに応じたビークル2とアプリケーションサーバ6との間の接続のサービス品質に関して、ネットワークコア5とネゴシエートすることができる。代替実施形態として、アプリケーションサーバ6中でホストされるV2Xサービスは、サブスクリプション方法とは無関係に、サブスクリプションのタイプに応じたビークル2とアプリケーションサーバ6との間の接続のサービス品質に関して、ネットワークコア5とネゴシエートすることができる。別の代替実施形態では、ネットワークコア5は、車両がセルラーネットワークコアに登録されている間に、デフォルトサービス品質との接続性を確立することができ、各サービス品質レベルは、それとの車両のサブスクリプションに応じて、オペレータによって与えられている(割り振られている)。
【0048】
ビークル2は、たとえば、(LTEおよびLTE-Advancedにおける)E-UTRAN、またはUTRANなど、3GPP規格に準拠するアクセス技術、またはWiMAX、またはWLANなど3GPPに準拠しないアクセス技術など、1つまたは複数のアクセス技術を使用することによって、ネットワークコア5に到達することができる。
【0049】
セルラー通信ネットワーク1は、ビークル2と、V2Xサービスを提供する外部アプリケーションサーバ6との間でデータを中継し、提供するために使用される。
【0050】
サブスクリプション要求は、ビークル2によって必要とされるターゲットサービス品質に関する情報を含むことができる。サービス品質は、実行されるV2Xアプリケーションに応じて、n個のパフォーマンスインジケータからなる。
【0051】
一実施形態では、n個の(KPIと示された)パフォーマンスインジケータは、
- 1つまたは複数のレイテンシ関係パラメータ(最大レイテンシまたは平均レイテンシなど)、
- 1つまたは複数の信頼性パラメータ(最大または平均メッセージ損失レートなど)、
利用可能性パラメータ、
データフローパラメータ(最大フローなど)、および/または
情報年時パラメータ
の中から1つまたは複数のインジケータを含むことができる。
【0052】
最大レイテンシは、ビークル2(送信機ビークル)からアプリケーションサーバ6まで、またはアプリケーションサーバ6から受信機デバイス3までのV2Xデータ項目の最大転送時間を示す。
【0053】
平均レイテンシは、ビークル2(送信機ビークル)からアプリケーションサーバ6まで、またはアプリケーションサーバ6から受信機デバイス3までのV2Xデータ項目の平均転送時間を示す。
【0054】
最大メッセージ損失レートは、ビークル2(送信機ビークル)とアプリケーションサーバ6との間で、またはアプリケーションサーバ6と受信機デバイス3との間で失われるV2Xパケットの最大割合を示す。
【0055】
最大フローは、ターゲットレイテンシとメッセージ損失レートとについてビークル2(送信機ビークル)とアプリケーションサーバ6との間でネゴシエートされるフローを示す。
【0056】
本発明の実施形態により、ビークル2によって実行されるV2Xアプリケーション(たとえば、V2X緊急制動メッセージ、V2X交通渋滞メッセージ、遠隔操作など)に応じて定義されたターゲット実行能力に関して最適パフォーマンスインジケータKPIを保証する、ビークル2と受信機デバイス3との間のV2X通信において使用されるために利用可能であるRATの動的決定も可能になる。
【0057】
本発明の実施形態により、送信機ビークル2によって実行されるV2Xアプリケーションについて定義されたターゲットパフォーマンスインジケータに関して最適パフォーマンスインジケータを保証する、利用可能である1つまたは複数の無線アクセス技術RATのリアルタイムまたはほぼリアルタイムの動的決定が可能になる。したがって、V2Xアプリケーションに関する情報のルーティング、選択された利用可能な無線アクセス技術を使用して送信機ビークル2によって受信機デバイス3に送られるメッセージのコンテンツは、無線リソースの使用を動的に最適化するように実装される。たとえば、ネットワークの負荷に関連するパフォーマンスインジケータに関連するV2Xアプリケーションについて、V2X通信管理デバイス200は、利用可能なRATを動的に決定し、ネットワークの負荷が低減されることを可能にするRATを選択することができる。
【0058】
図2は、いくつかの実施形態による、ビークル2に搭載された通信管理デバイス200を示す図である。
【0059】
図2に示されているように、V2X通信管理デバイス200は、登録およびサブスクリプション方法に従って、車両とコアネットワーク5とをサービスする1つまたは複数の基地局4を介してアプリケーションサーバ6との接続を確立するように構成された接続管理ユニット2001を備えることができる。接続管理ユニット2001により、ネットワーク上のオフボードアプリケーションサーバ6との通信が確立されることが可能になり、車両機器2が登録されることが可能になり、および/またはV2Xサービスへのサブスクリプションが可能になる。サブスクリプションにより、ビークル2はオフボードアプリケーションサーバ6にビークル2の要件を通知することが可能になる。
【0060】
一実施形態では、接続管理ユニット2001は、V2Xアプリケーションに対応する、V2X通信サービスを登録するための要求をアプリケーションサーバ6に送るように構成される。登録要求は、
- ビークル2によって実行されるV2Xアプリケーションに対応するV2Xサービスを実装するために検出されるべきターゲットゾーンを表す関心領域(ROI)であって、関心領域は、車両を装備する1つまたは複数のセンサーおよび/またはシグナリング手段を使用してV2Xアプリケーションの実行中に車両によって検出され得、関心領域は、関心領域を特徴付けるROIパラメータのセットによって表され得る、関心領域(ROI)と、
- ビークル2によって必要とされる情報のタイプを示すV2Xサービスの属性が示すと、
- 信頼性、レイテンシなど、車両によって実行されるV2Xアプリケーションに関連するn個のパフォーマンスインジケータKPIj
target(nは少なくとも1に等しい整数である)について定義されたn個のターゲット値を含むn個によって定義されたターゲットサービス品質QoStarget=(KPI1
target、…、KPIj
target、…、KPIn
target)と
を含むことができる。
【0061】
V2X通信管理デバイス200は、ビークル2によって実行されるV2Xアプリケーションに関するV2Xメッセージを受信機デバイス3に送信するために使用されるための利用可能なRATのリストを決定するように構成された、利用可能な無線アクセス技術(RAT)を選択するための(「利用可能性ユニット」とも呼ばれる)ユニット2000をさらに備える。
【0062】
V2X通信管理デバイス200は、V2Xアプリケーションの実行中に、P個のRAT技術の各々についてn個のパフォーマンスインジケータの各々の現在値を分析するように構成されたQoS制御モジュール2002をさらに備えることができる。制御モジュール2002は、たとえば、行列P*n(P×n)の形態で、n個のパフォーマンスインジケータの各々の現在値を記憶するための1つまたは複数のストレージ構造(図示せず)を含むことができる。
【0063】
代替実施形態として、n個のパフォーマンスインジケータのための制御モジュール2002は、n個のパフォーマンスインジケータの予測値を記憶することができ、各予測値は、予測値の有効期間に対応する将来のタイムウィンドウに関連する。KPI値の予測は、環境100中に、たとえば、セルラーネットワーク1中に(たとえば、ネットワークコア5中に)またはビークル2中にまたはアプリケーションサーバ6中に実装された予測機能によって実行され得る。説明の残りは、例示的な例として、予測されたPI値に関して与えられる。
【0064】
RATを選択するためのユニットは、たとえば、ビークル2による(検出されたイベントに応じた)V2Xメッセージを送るための条件の検出に応答して、V2Xメッセージが受信機デバイス3に送られる必要があるときに、ビークル2によってアクティブ化され得る。
【0065】
利用可能なRATを決定するためのユニット2000は、次いで、制御モジュール2002によって維持されるn個のパフォーマンスインジケータの各々の予測値と、各パフォーマンスインジケータの現在値に関連する推定された時間τjとに基づいて、n個のRATの中からすべての利用可能なRATを決定することができる。
【0066】
利用可能なRATを決定するためのユニット2000は、各RATについて、制御モジュール2002によって保持されるP個のRATのセットの各RATのn個のパフォーマンスインジケータQoSj=(KPI1、j、…、KPIj、j、…、KPIn、j)の予測値(j≦P)を、アプリケーションQoStarget=(KPI1
target、…、KPIj
target、…、KPIn
target)によって定義されたn個のパフォーマンスインジケータKPIのターゲット値と比較するように構成された比較器を備えることができる。利用可能なRATを決定するためのユニット2000はまた、比較の結果に応じて、考慮されるRATについて、k番目のRATがその間に利用可能または利用不可能であると考えられる時間を表す利用可能性時間τkを推定するように構成された時間推定器を使用して、RATの利用可能性を表す利用可能性ビットを決定するように構成される。一実施形態では、時間推定器は、RATが利用可能であることを比較器が決定した場合、RATの利用可能性時間のみを推定するように構成され得る。比較器および時間推定器は、利用可能なRATを決定するためのユニット2000中に示されているが、当業者は、比較器および時間推定器は、選択ユニット200の外側の、通信管理デバイス20の他の要素中に構成され得ることを容易に理解するであろう。
【0067】
別の実施形態では、選択ユニット200は、メッセージクラス(「分散型イベント」タイプV2XメッセージのためのQoStarget、およびMCMまたは「マヌーバコラボレーションメッセージ(Maneuver Collaboration Message)」タイプV2XメッセージのためのQoStarget)によって、それらをアプリケーションごとにターゲットQoS値と比較する代わりに、ベクトルQoSjをターゲットQoS値(j≦P)と比較するように構成され得る。
【0068】
利用可能なRATを決定するためのユニット2000は、P個の成分を含む利用可能なRATのベクトルVを計算するように構成され得、各成分は、P個のRATの中のRATに関連し、各k番目の成分は、k番目のRATについて決定された利用可能性ビットに対応し、RATの利用可能性を示す第1の値(たとえば、1)またはRATの非利用可能性を示す第2の値(たとえば、0)を有することが可能である。説明の残りは、非限定的な例として、そのような利用可能性ベクトルViの使用に関して与えられる。一実施形態では、ベクトルViは、各アプリケーション「i」に、またはメッセージ「i」の各クラスに固有であり得る。ベクトルViは半静的であり得る。この事例で使用する際、「半静的」ベクトルViは、時間とともに、すなわち、パフォーマンスインジケータの変化が検出または報告されない限り、ほとんど変化しないベクトルを示す。
【0069】
選択ユニット200は、冗長基準、V2Xサービスコスト基準、メッセージ優先度基準および/またはサービス基準のうちの少なくとも1つの基準を含む選択基準に基づいてベクトルViのRATを選択するように構成されたセレクタ2004をさらに備えることができる。セレクタ2004は、したがって、それにより、利用可能性ベクトルVの成分のサブセットを含む利用可能性サブベクトルV’を与え、ベクトルV’の各成分はRATに関連し、利用可能性ベクトルVにおいてRATによって関連付けられる値を有し、利用可能性ベクトルVの他の成分は削除されている。
【0070】
利用可能なRATを決定するためのユニット2000および制御モジュール2002は、V2X通信が確立されることを可能にする制御プランを形成する。
【0071】
通信管理モジュール200は、メッセージがソフトウェアレイヤによって選択されたRATにルーティングされることを可能にするために、対応するRATの利用可能性を示し、たとえば、データパケットのヘッダ(送信データプラン)として、またはメタデータ中で、受信機デバイス3に送信されるべきデータパケットのペイロードのために選択された利用可能なRATに関する情報を追加する、第1の2進値(たとえば「1」)をもつ利用可能性ビットに関連するサブベクトルVi’のRATを選択するように構成された送信マネージャ2005をさらに備えることができる。
【0072】
通信管理デバイス200は、受信機デバイス3に送られるべきデータパケットを、無線状態を考慮に入れることによって選択された利用可能なRATと適合させることによって、V2Xデータの動的ルーティングのために使用され得る。
【0073】
アプリケーションの別の例では、通信管理デバイス200は、ビークル2から受信機デバイス3に送られるべきデータパケットを、優先度情報およびコンテンツなどの情報を考慮に入れることによってメッセージのトラフィッククラスに応じて選択された利用可能なRATと適合させることによって、半静的データをルーティングするために使用され得る。
【0074】
本明細書で使用する際、(「パケットのクラス」とも呼ばれる)「トラフィッククラス」は、類似基準またはターゲットKPIに応じてグループ化されるメッセージのカテゴリーを指す。トラフィッククラスは、ネットワーク中のサービス品質要件を表すネットワーク分類に対応する。
【0075】
本発明の実施形態により、送られるべきメッセージに応じた長距離通信リンクUuの選択および選択解除が可能になる。
【0076】
インターフェースUuは、車両機器2と基地局4との間のインターフェース(遠距離接続性のためのエアインターフェース)を表す。説明はLTEネットワークのインターフェースUuに関するが、本発明はLTE接続性に限定されず、5G接続性または将来の集中型通信リンクなど、他のタイプの接続性に適用可能であることに留意されたい。
【0077】
そのような用途に限定されないが、本発明は自律車両アプリケーションの分野において特定の利点を有する。自律車両は、実際に、異なるシステム(たとえば、ADAS、GPSなど)中に実装される自律車両アプリケーションを実行するために通信アーキテクチャを使用する。本発明による通信管理デバイスにより、自律車両の様々なシステム要件に応じてネットワークとの通信を動的に適応させることが可能になる。
【0078】
一実施形態では、通信管理デバイス200は、アプリケーションサーバ6とネゴシエートされる予測されたサービス品質情報またはサービス品質値に基づいてV2Xサービスの利用可能性を推定するように構成された、V2Xサービスの利用可能性を推定するためのユニット2006をさらに備えることができ、サービス品質(QoS)は品質インジケータのサブセットとして定義される。ビークル2は、その場合、車両のサービス利用可能性情報に応じて、ビークル2に搭載されたV2Xアプリケーションに対応するV2Xサービスをアクティブ化または非アクティブ化することができる。
【0079】
本発明の実施形態により、送信機ビークル2は、RATの利用可能性を推定するために、サービス品質と、(たとえば、次の数分または数秒中など)将来のタイムウィンドウ中の、使用可能なRATの将来の利用可能性との推定値(予測)を取得することが可能になる。一実施形態では、通信管理デバイスは、受信された推定値に応じてV2Xサービスに優先度を割り当てることができる。有利には、サービス品質は、ネットワーク中でオフボードであるアプリケーションサーバ6中ではなく、ビークル2に搭載された制御モジュール2002によって制御される。セルラーRATの利用可能性を推定するためのKPIは、車両がオフボードサービスに接続したときの、作成された接続のQoS通知を使用するか、またはサービスの品質と、(たとえば、次の数分または数秒中など、将来のタイムウィンドウ中の)セルラーRATの将来の利用可能性との過大推定値(予測)を使用することができる。
【0080】
図3は、一実施形態による、通信管理デバイス20の実装の例を示す。
【0081】
図3に示されているように、接続管理ユニット2001は、
- アプリケーションサーバ6のロケーションとは無関係に、ビークル2とアプリケーションサーバ6との間の接続を確立するように構成された登録およびサブスクリプションモジュール21と、
- アプリケーションサーバ6によってホストされ得る、地理的構成要素のウェブベースのサービスを表す、ジオサービス(geoservice)を発見するためのモジュール22と
を備えることができる。
【0082】
ジオサービス発見モジュール22は、たとえば、ジオサービスに関連する(アプリケーションサーバ6中に一体化され得る)ジオサーバ(geoserver)によってサポートされるサービスのリストを取得するために、httpメッセージを使用することによって、認証情報(識別子)をそのジオサーバと交換するように構成され得る。
【0083】
一実施形態では、ジオサーバによってサポートされるサービスのリストは、ネットワーク中に含まれるサービス管理機能によって交換され得る。
【0084】
図4は、いくつかの実施形態による、通信管理方法を示すフローチャートである。
【0085】
ステップ400において、V2Xサブスクリプション要求が基地局4とネットワークコア5とを介してビークル2によってアプリケーションサーバ6に送られる。
【0086】
ステップ404において、サブスクリプションが成功した場合(ステップ402)、ビークル2とアプリケーションサーバ6との間の接続が確立される。
【0087】
ステップ406において、n個のターゲットパフォーマンスインジケータKPIがビークル2によって受信される。
【0088】
ステップ408において、n個のパフォーマンスインジケータの値が、事前定義されたRATのセットの中からの各RATについて制御される。
【0089】
ステップ412において、V2Xメッセージの送信をトリガするための条件が検出された(410)場合、ステップ408において制御されたRATのうちの利用可能なRATがn個のパフォーマンスインジケータの現在値から選択される。選択された利用可能なRATは利用可能性ベクトルの形態で戻され得る。選択された利用可能なRATは、V2Xアプリケーションについて定義されたターゲット実行能力に関する最適パフォーマンスインジケータKPIに関連するRATである。
【0090】
ステップ414において、冗長、V2Xサービスのコスト、V2Xメッセージ優先度など、1つまたは複数の選択基準(またはメトリクス)に応じて、利用可能性ベクトルの利用可能なRATの中から少なくとも1つのRATが選択される。
【0091】
ステップ416において、ステップ414において選択されたRATはメッセージ送信ポートと適合させられる。
【0092】
ステップ418において、V2Xメッセージは、ビークル2によって送信されたV2Xメッセージを受信することが可能な受信機デバイス3に送られる。
【0093】
図5は、一実施形態による、登録およびサブスクリプション方法(
図4のステップ400)を表すフローチャートである。登録およびサブスクリプション方法は接続ユニット2001のブロック21によって実装され得る。
【0094】
ステップ500において、登録属性を含むことができるV2Xアプリケーションに対応するV2X通信サービスに登録要求が送られる。
【0095】
登録要求中に含まれる登録属性は、たとえば、
- 通信管理デバイス20によってサポートされるメッセージのタイプのリスト、および/または
- 通信管理デバイス20によってサポートされるV2X通信プロトコルのバージョン、および/または
- V2Xサービス(たとえば、http、MQTTなど)へのサブスクリプションと、データプラン(たとえば、UDP/IP、TCP/IP、MQTTなど)とのための、通信管理デバイス200によってサポートされる通信プロトコル
を含むことができる。
【0096】
ステップ502において、登録応答が通信管理デバイス200に中継されて戻され、その応答は、識別子と、使用可能なRATのリストとを含むことができる。
【0097】
ステップ504において、登録応答がビークル2の登録を確認した場合、通信デバイス20は、専用APN(「アクセスポイント名」)を介してまたは専用ネットワークスライスを介してオフボードサービスに随意に接続することができる。
【0098】
ステップ506において、サブスクリプションは、(専用APNまたは専用ネットワークスライスの場合)新しい作成された接続性上で完了される。このステップは、ネットワークコア5がデフォルトV2Xライン(「ベアラ」)にデフォルトQoSレベルを割り当てることを伴う。その場合、アプリケーションサーバ6がサブスクリプションを完了するように、サブスクリプションメッセージがセルラーネットワークを介してアプリケーションサーバ6に送られ得る。
【0099】
サブスクリプション要求は、以下のサブスクリプション情報、すなわち、
- ビークル2によって実行されるV2Xアプリケーションに対応するV2Xサービスを実装するための検出されるべきターゲットゾーンを表す関心領域情報(ROI)であって、関心領域ディスクリプタを含むことができる関心領域情報(ROI)、および/または
- 車両によって必要とされる情報のタイプ(たとえば、オブジェクト、イベント、マップなど)、および/または
- 1つまたは複数の属性がビークル2によって必要とされる情報のタイプに関連する、属性(情報の「オブジェクト」タイプについての属性の例は「トラック」または「車」であり得、情報の「イベント」タイプについての属性の例は「天候」または「事故」であり得る、情報の「マップ」タイプについての属性の例が「地区」であり得る)、および/または
- V2Xアプリケーションによって必要とされ、通信管理デバイス20によって使用されるターゲットサービス品質QoStargetを含む、必要とされるサービス品質レベルに関する情報であって、ターゲットサービス品質QoStargetが、n個のパフォーマンスインジケータKPIj
targetについて定義されるn個のターゲット値を含むn個によって定義され得る、必要とされるサービス品質レベルに関する情報
QoStarget=(KPI1
target、…、KPIj
target、…、KPIn
target)
を含むことができる。
【0100】
一実施形態では、サブスクリプション要求は、以下の属性、すなわち、
- メッセージ情報のタイプ、および/または
- (メッセージの送信をトリガするための条件を表す)原因のセットであって、各原因が副原因(sub-cause)のセットを含み、各原因が原因識別子に関連し、各副原因が副原因識別子と原因属性のセットとに関連し、ビークル2に関連がある情報を示す、原因のセット
を含むことができる。
【0101】
たとえば、原因のセットは、
原因1
Sub_cause1.a、属性{1.a.1、1.a.2、1.a.3…}
Sub_cause1.b、属性{1.b.1、1.b.2、1.b.3…}
原因2
Sub_cause2.a、属性{2.a.1、2.a.2、2.a.3…}
Sub_cause2.b、属性{2.b.2、2.b.2、2.b.3…}
を含むことができる。
【0102】
サブスクリプション要求において指定されるメッセージのタイプの例は、たとえば「DENM」であり得る。
【0103】
原因の例は、ETSI302.637規格において定義されているように、DangerousLocation-ObstacleOnTheRoad,SlowVehicle,BrokenDownVehicle,PostAccident,HumanProblem,StationaryVehicle,CollisionRisk,DangerousSituationであり得る。
【0104】
原因属性の例は、非限定的な例として、
- 最小イベント信頼性レベル、
- (ジオサービスからビークル2への)報告モード、
- イベントの位置に関する最小信頼性レベル、
- イベントの検出の時間に関して定義される最大イベント年時
を含むことができる。
【0105】
実施形態では、ネットワーク6上のオフボードアプリケーションサーバは、将来の期間にわたるサービス品質を予測する(すなわち推定する)ように構成され得、サブスクリプション要求において指定されるサービス品質情報は公称サービス品質QoSnominalおよび/またはサービス品質条件をも含むことができる。サービス品質条件は、ある期間にわたる劣化モードについてのQoS値の許容できる範囲を表すターゲットサービス品質値の範囲(たとえば、劣化モードについてのより低い許容できるQoS値を表す、許容できるターゲットQoS間隔またはより低いサービス品質しきい値QoSmin)の形態で構築され得る。
【0106】
ターゲットサービス品質QoStargetは、たとえば、サービス品質ディスクリプタの形態でM個のパフォーマンスインジケータによって表され得る。M個のパフォーマンスインジケータは、ターゲットレイテンシおよび/またはターゲットパケットエラーのレートなど、1つまたは複数のパフォーマンスインジケータ(KPI)を含むことができる。
【0107】
サブスクリプション要求中で指定されたQoS情報(ビークル2によって必要とされるQoS)は、QoSディスクリプタによって表され得、これらのQoSディスクリプタは、
- ターゲットQoSが保証されなければならないか、または保証されてはならないかどうかを示す情報、および/または
- ターゲットQoSが保証されなければならない場合、アップリンク上および/またはダウンリンク上の最大フロー、および/または
- 通知モードなど、
他のQoSに関する情報を含むことができる。
【0108】
サブスクリプション要求中に示される関心領域ROI情報は、いくつかの方法でサブスクリプション情報中に説明され得る。
【0109】
一実施形態では、関心領域ROIは(定量化された)ビークル2の位置に対して相対的に説明され得る。関心領域の相対的記述は、その場合、ビークル2がその中に位置する正方形の周りに構成されたタイルのセットの形態であり得る。
【0110】
したがって、正方形のサイズに応じて、情報の更新レートが制限され得、更新は、それの正方形の変化、または、たとえば、環境の変化(たとえば、都市環境から高速道路環境への移行)による新しい関連がある正方形による変化のみを含むことができる。しかしながら、正方形のサイズおよびフォーマットに応じて、関心領域は、ビークル2の関連がある領域に厳密に対応しないことがある。
【0111】
代替実施形態として、関心領域の記述は、たとえば、(それの大きい軸とそれの小さい軸とによって定義された)楕円、(それの中心とそれの半径とによって定義された)円、(それの長さとそれの幅とによって定義された)矩形など、重心(barycenter)に対して規格化された形態に基づき得る。重心の情報は、ジオサーバに通知するために定期的に更新され得る。そのような関心領域の記述は、有利には、ビークル2の近傍のゾーンに適応され、近傍のゾーンは、速度、道路特性など、パラメータのセットに応じて車両アプリケーションによって決定される。しかしながら、重心の更新レートが必要とされ得、更新レートは、交換されるべき限られた情報を用いて拡張されることが可能である。
【0112】
別の代替実施形態では、関心領域の絶対的記述が使用され得る。絶対的記述は絶対基準フレーム中で定義される。絶対的記述は、ベクトルおよび/または多角形および/またはタイルから表され得、それにより、ビークル2の近傍のゾーンに適応された記述を得ることが可能になる。
【0113】
一実施形態では、サブスクリプションは、通知方法を使用して完了され得る。この通知方法によれば、オフボードアプリケーションサーバ6は、必要とされるサブスクリプション条件に対応する情報を周期的に送ることができるか、または、最後の通知以降に必要とされるサブスクリプション条件に対応する情報の変化を検出するように構成され得る。
【0114】
一実施形態では、接続ユニット2001は、(
図5のステップ510の後に)V2X登録サービスのポートのリストを出力として与えることができ、ポートは、単一のV2Xサービスまたは複数のV2Xサービスに適合される(マッピングされる)ことが可能である。同じサービス品質QoSレベルが、サブスクリプション中に作成された様々なリンクに適用され得る。
【0115】
図6に示されているように、QoS制御モジュール2002は、利用可能なRATを決定するためにすべての通信リンクのQoSを制御することを担当する。サービス品質制御モジュール2002は、
- インターフェースUu(セルラーネットワーク1)上のセルラー接続性のため、およびアプリケーションサーバ6によって与えられるV2XサービスのためのQoSを制御するように構成された第1の制御構成要素222と、
- 他の短距離RATのQoSを制御するための第2の制御構成要素224と
を備えることができる。
【0116】
一実施形態では、第1の制御構成要素222は、セルラーネットワーク1(たとえば、4Gまたは5G)上で利用可能であり得る機能に基づいて、インターフェースUuとの接続性のためのQoSを制御することができる。第1の制御構成要素222は、セルラーネットワーク1によって実装されるベアラ割振り機能と通知機能とQoS予測機能とによって決定されるデータを使用することができる。本発明の一実施形態では、これらの機能のうちの少なくともいくつかはオフボードアプリケーションサーバ6中で実装され得る。代替的に、これらの機能のうちのいくつかは少なくとも通信管理デバイス2によって制御され得る。
【0117】
いくつかの実施形態では、アプリケーションサーバ6はベアラ割振り機能とサービス品質制御機能とを実装することができるが、ネットワークコア5(たとえば、LTE/5Gコア)はサービス品質予測機能を実装する。そのような実施形態では、指定されたV2Xサービスのために指定された関心領域において可能であるサービス品質レベルに関する予測情報を取得するために、アプリケーションサーバ6は、(たとえば、ネットワークコア5によって実装される)予測機能によって完了されるサービス品質予測を使用することができる。
【0118】
図7は、いくつかの実施形態による、QoS予測およびQoS割振り方法を示す。一実施形態では、QoS予測およびQoS割振り方法は1つまたは複数のセルラーネットワーク要素によって実装され得る。
【0119】
ターゲットサービス品質QoStargetを指定するサブスクリプション要求の受信(ステップ700)に応答して、ステップ702において、サブスクリプション要求中で指定されたサービス品質情報項目(たとえば、ターゲットQoS、公称QoSなど)のうちの少なくとも1つのために、アプリオリに予測された(または将来の期間にわたって推定される)サービス品質レベルのリストが決定される。予測ステップは、たとえばネットワークコア5によって実行され得る。一実施形態では、予測ステップはターゲットサービス品質のための予測を最初に決定することができる。
【0120】
ステップ708において、デフォルト接続がターゲットQoSを満たさない(予測されたQoSがターゲットQoSに等しい)場合、サブスクリプション要求中で指定されたターゲットQoSのために(たとえば、アプリケーションサーバ6によって、またはジオサービスによって)専用接続(「ベアラ」)が要求される。本明細書で使用する際、「ベアラ」という用語は、V2Xサービスに関連する情報を伝達するために使用される媒体または「ライン」を指す(ステップ704においてテストされた条件)。ベアラは、(たとえば、LTEセルラーネットワーク中の)新しい専用無線ベアラまたは(5Gセルラーネットワーク中の)トラフィックフローであり得る。たとえば、ベアラは、(API(「アプリケーションプログラミングインターフェース」) MEC(「モバイルエッジコンピューティング」)など、APIプログラミングインターフェースを使用して開放され得る。
【0121】
ステップ708において、通信管理デバイス20はベアラの作成を通知され、通知はQoSクラス識別子(QCI)に関する情報を含む。通知は、たとえば、コアネットワーク5とモバイル車両機器2との間の、NAS(「非アクセス層」)メッセージおよびATコマンド(ATは「注意(ATention)」の略)など、セキュアな通知メッセージを使用することによって完了され得る。
【0122】
ステップ704において、予測されたまたは割り振られたQoSがターゲットサービス品質QoStargetとは異なる場合、予測されたQoSレベルが、値の許容できる劣化したQoS範囲内であるかどうかを、そのようなQoS範囲がサブスクリプション要求中で指定された場合に(たとえば、ジオサービスによって)検証することも可能である(範囲はQoS値の間隔またはQoSしきい値によって定義され得る)。QoS値範囲条件が満たされた(すなわち予測されたQoSがQoS値の指定された範囲内である)場合、劣化した予測されたQoSのためのステップ706および708に従って、専用ベアラの開放を要求するために、要求が(たとえば、アプリケーションサーバ6によって)ネットワークコア5に送られ得る(本明細書で使用する際、「劣化した」という用語は、ターゲットQoSを満たさないが、サブスクリプション要求中で指定されたQoS値の許容できる範囲内である、予測されたQoSを指す)。
【0123】
さもなければ、ステップ710において、予測されたQoSが事前定義されたQoSしきい値を下回る場合、サービスの非利用可能性を通知するために、通知がオフボード構成要素(アプリケーションサーバ6)のうちの1つによってオンボード通信管理デバイス200に送られ得る。
【0124】
他の実施形態では、予測機能は、実装または使用されないか、あるいは、たとえば、ジオサービスをホストするアプリケーションサーバ6が予測機能をサポートしない場合、または、ネットワークコアが所与のゾーン中の特定のV2Xサービスのサービス品質を予測することができない場合、システムによって使用されることが可能であることがある。同様に、V2Xサービスは、いくつかのイベント(たとえば、セキュリティ攻撃)の検出に応答して、または所与の地理ゾーン上で、または所与の期間にわたって、利用不可能にされ得る。そのような状況では、アプリケーションサーバ6は、ネットワークコア5に専用接続の作成を要求することができ、サブスクリプション要求中で指定されたQoS条件(ターゲットQoSおよび随意にQoS値の範囲)を満たすQoSが見つけられるまで、QoSパラメータをネゴシエートすることができる。アプリケーションサーバ6は、その場合、セルラーネットワークがQoSの変化を示すまで、ネゴシエートされたQoSが有効であるとみなす。
【0125】
一実施形態では、サービス品質の割振りおよび制御は、通信管理デバイス200によって(少なくとも部分的にQoS制御モジュール2002によって)ビークル2(オンボード側)において直接実装され得る。通信管理デバイス200は、その場合、たとえば、1つまたは複数の通知の形態で、予測機能から受信されたQoS予測情報に基づいて、検討されたV2XサービスのためのセルラーRATの利用可能性または非利用可能性を決定するように構成され得る。
【0126】
そのような実施形態では、通信管理デバイス200は、デフォルト接続が、サブスクリプション要求中で指定されたQoS条件を満たさない場合、QoS識別子(たとえば、4GのためのQCIまたは5QI)によって識別されたサービス品質との専用接続の開放を要求するように構成され得る(たとえば、QoSディスクリプタの形態で、サブスクリプション要求中で指定されたQoS条件はローカルデータベースに記憶され得る)。
【0127】
さらに、通信管理デバイス200は、たとえば、ビークル2によって予定されたルートに応じて、所与の地理ゾーン中で(たとえば、通知の形態の)QoS予測情報を要求することができる。一実施形態では、通信管理デバイス200は、たとえば、NASタイプのシグナリングメッセージを使用して予測機能と通信することができる。オンボード通信管理デバイス200は、その場合、セルラーネットワーク1中でホストされるQoS予測機能と通信することができ、異なる様式でQoS予測情報を要求することができる。
【0128】
第1の実施形態では、通信管理デバイス200は、たとえば、関心領域のディスクリプタの形態で関心領域に関する情報を与えることによって、および応答して、予測されたQoS予測機能を受信することによって、所与の瞬間にQoS予測情報を要求することができる。
【0129】
第1の実施形態の代替実施形態では、通信管理デバイス200は、予測されたQoSを周期的に、またはイベントの検出に応答して受信することができる。この目的のために、通信管理デバイス200は、
- しきい値のセットに関する情報を与えること、
- 周期的に更新され、サービス品質がその中でアプリオリに予測されなければならないゾーンを表す、関心領域についての情報を与えること、
- しきい値のセットのしきい値のうちの1つよりも低い予測されたQoSの検出に応答して通知を受信することができる。反対に、予測されたQoSがすべてのしきい値よりも大きいかまたはそれに等しいとき、通知は送られない。
【0130】
第2の実施形態では、オンボード通信管理デバイス200は、ユーザプランを介してシグナリングメッセージを使用することができる。この実施形態では、QoS情報は、ジオサーバがその中に登録されたアプリケーションサーバ6中に位置するサービスから通信管理デバイス200によって要求され得る。ジオサーバは、第1の実施形態において説明したように、その後、QoS予測情報を取得するために、セルラーネットワーク中に(たとえば、ネットワークコア5中に)位置する予測機能との通信を確立することができる。
【0131】
テストされたQoS条件(ターゲットQoSと予測されたQoSとの比較)に応じて、通信管理デバイス200は、利用可能性インジケータを所与のV2XサービスのためのインターフェースUuの接続性と関連付けることができ、そのインジケータは、接続性が所与のV2Xサービスのために利用可能である場合に第1の値を取ること、または、予測されたQoSが、ビークル2によって指定されたQoS条件を満たさない場合に、(たとえば、サブスクリプション要求中のQoSディスクリプタによって)検討されたV2XサービスのためのインターフェースUuの接続性の非利用可能性を示すための第2の値を取ることが可能である。
【0132】
セルラーネットワーク1が関心領域において特定のV2XサービスためのQoSを予測することができない場合、通信管理デバイス200は、セルラーネットワークが、V2Xサービスに関する情報を伝達するための専用接続を作成することを要求することができ、サブスクリプション要求中で指定されたターゲットQoS条件を満たす参照QoSパラメータをネゴシエートすることができる。ビークル2の通信管理デバイス200は、その場合、セルラーネットワークによって変化がそれに通知されるまで、参照QoSを有効であるとみなす。
【0133】
QoSが予測機能によって予測され得る様々な実施形態において、予測QoSは、予測がその間に行われた期間を表す推定期間(予測されるQoSの妥当性のタイムウィンドウ)に関連する。
【0134】
通信管理デバイス200は、V2Xサービスのためのセルラー接続の利用可能性/非利用可能性(V2Xサービスのための利用可能な/利用不可能な接続性Uu)を通知するために、通信管理デバイス200の1つまたは複数の構成要素に情報を送るように構成された通知ユニットをさらに備えることができる。QoS予測情報があらかじめ与えられると、このことにより、通信管理デバイス200(またはより一般的にはビークル2)は、V2Xサービスの非利用可能性の場合に適応することが可能になる。
【0135】
一実施形態では、(
図2に示された)RATセレクタ2004は、検討されたV2Xサービスのための長期送信ストラテジーに従ってパケット送信基準を考慮に入れるように構成され得る。送信基準は、以下の基準、すなわち、
- サービス利用可能性推定ユニットから受信され得るV2XサービスのためのインターフェースUuの利用可能性情報、ならびにこの利用可能性情報に対応するタイムウィンドウ(接続性リンクがその間に必要に応じて利用可能または利用不可能である持続時間)、
- 重複情報を必要とするであろう追加のリンクが必要とされるかどうかを示す情報など、データプロバイダからまたはデータ消費者から受信される情報
のうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0136】
対応表はRATセレクタ2004によって使用され得、対応表は、所与のタイプのサービスを、V2Xサービスに関するパラメータのセットと関連付ける。所与のタイプのV2Xサービスに関するパラメータは、以下のパラメータ、すなわち、サービスを要求するシステムと、サービスを提供するシステムと、メッセージのタイプと、パケットカテゴリー(または「トラフィッククラス」)と、サービスのために使用され得るRATのセットと、各使用可能なRATについて、1つまたは複数の関連付けられた送信ポートを含むポート情報のうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0137】
【0138】
送信マネージャ2005は対応表に依拠することができる。送信マネージャ2005は、そのようなデータがどのRATを通らなければならないかを決定するために、送信されるべきメッセージのコンテンツ、または前記データを与えるシステムを分析するように構成され得る。
【0139】
図8は、送信マネージャ2005によって実装される方法を表すフローチャートである。
【0140】
ステップ800において、パケットカテゴリーに適合させるための情報が受信され、適合情報は、以下の情報、すなわち、
- RATをパケットのカテゴリーと関連付ける半静的対応表であって、この表が、長期送信ストラテジーに応じて利用可能性ベクトルVのRATをフィルタ処理するためにRATセレクタ2004によって使用されることが可能である、半静的対応表、
- セルラーネットワーク1と接続するために利用可能な送信ポート(たとえば、LTEネットワークのためのUu接続)のリスト、またはネットワークスライス(5Gセルラーネットワークのためのネットワークの仮想部分上の接続)、ならびに接続およびそれらのポート特徴(たとえば、GBR、QCI/5QI、またはTFT)に関する情報
のうちの少なくともいくつかを含むことができる。
【0141】
ステップ802において、ビークル2から近傍に位置する受信機デバイス3に送られるべきパケットに対応するデータプロバイダからデータが受信され得る。プロバイダデータは、データパケットの送信に適応されたフォーマット(たとえば、標準化されたフォーマット)で受信され得る。
【0142】
ステップ804において、データパケット中に含まれるセマンティック情報が分析され得る。
【0143】
ステップ806において、データパケットのコンテンツは、V2XサービスのためのターゲットQoSを定義するパケットの1つまたは複数のカテゴリー(トラフィッククラス)と適合させられ(マッピングされ)得、保持されたカテゴリーは「i」によってインデックス付けされる。
【0144】
ステップ808において、RATのサブセットと、保持されたカテゴリーとについての利用可能性情報を記憶するフィルタ処理された利用可能性ベクトルViに基づいて、ベクトルVi中で利用可能であると識別されたRATが、データパケットを送信するために選択される。
【0145】
ステップ810において、選択されたRATに関する情報が、たとえば、パケットのヘッダ中で受信機デバイス3に送信されるべきデータパケットに追加される。
【0146】
一実施形態では、パケットに追加される情報は、
- 各メッセージについて選択され得る利用可能なRATのリストを示すバイナリベクトル(ビットマップ)など、利用可能なRATのバイナリデータ構造を含むことができ、バイナリデータ構造は、少なくとも、利用可能なRATの数(すなわち、たとえば、値1がRATの利用可能性を表す場合、ベクトルVi中の値1に関連するRATの数)に等しい数の構成要素を含むことができる。利用可能なRATのデータ構造は、たとえば、4つの構成要素[n0、n1、n2、n3]を含むことができ、ここで、n0はRAT LTE(Uu)に対応し、n1はRAT5G(gU)に対応し、n2はRAT802.11pに対応し、n3はRAT C-V2X(PC5)に対応する。
【0147】
一実施形態では、利用可能なRATのデータ構造は、情報がそれを通してルーティングされなければならない送信ポートを示す、ポート情報をも含むことができる。
【0148】
図9は、いくつかの実施形態による、RATを選択するための方法を表すフローチャートである。RATを選択するための方法は、送信されるべき各パケットについてルーティングルールを使用して、RAT利用可能性データ構造中で識別されたRATの選択を動的に適用するために、送信マネージャ2005によって実装され得る。
【0149】
一実施形態では、RAT選択方法は施設レイヤ上に実装され得る。そのような実施形態では、施設レイヤは、使用されるRATから独立し得、RATに依存する別個のプロトコルスタックレイヤが使用され得る。
【0150】
代替実施形態として、RATを選択するための方法はジオネットワーク(geonetwork)レイヤの下に実装され得る。
【0151】
RATを選択するための方法は予備ステップを含むことができ、予備ステップでは、1つまたは複数のRATによって送信されるべきデータパケットが事前定義された送信ルールを満たすかどうかに関する検証が行われる。
【0152】
ステップ902において、(セットが複数のRATを含む場合)利用可能性データ構造中で利用可能であると示されたRATのセットの各RAT(ブロック901)について、輻輳制御またはフロー制御機構によってデータパケットを削除または傍受する確率がその後決定される。本明細書で使用する際、「データパケット傍受」の概念は、データパケットを分離することを伴う方法を指す。削除または傍受のそのような確率は、パケットが送信されない危険の評価が行われることを可能にする。
【0153】
このパケットの削除または傍受の確率が高いと決定された場合(ステップ903)、テストされたRATは、ステップ904において、RAT利用可能性データ構造中で識別された、利用可能な候補RATから削除され得る。
【0154】
たとえば、ステップ902において、データパケットを送信するために利用可能であるとして示されているRAT Uuについて、(選択方法によって受信された選択情報を使用して)そのデータパケットがGBRベアラと適合されたかどうかを検証することが可能である。RAT LTEについてそのような条件が検証される場合、GBRベアラのビットレートが計算され得る。GBRベアラのビットレートが、最大のネゴシエートされたビットレートよりも大きい場合、4Gまたは5Gネットワーク中でパケットが削除される危険がある。RAT Uuは、その場合、ステップ904において、RAT利用可能性データ構造中で識別された利用可能な候補RATから削除され得る。
【0155】
すべてのRATがステップ902において処理されたとき(ブロック906)、データパケットは、その後、ステップ908において、(ステップ904において削除されない)残っている利用可能なRAT上でルーティングされ得る。
【0156】
有利には、RATを選択するための方法は、効果的な接続性実行能力が、(サブスクリプション要求中でビークル2によって指定されたターゲットQoSによって表された)必要とされる実行能力を満たすように、送信されるべき各V2Xメッセージ(データパケット)について最適なRATを選択することを可能にする。
【0157】
ビークル2は、したがって、ビークル2がそれの位置を通信することなしに、データパケットのV2X情報が送信されるように、ジオサービスを構成することができる。したがって、ビークル2のユーザのプライベートデータの機密性が保たれ得る。
【0158】
本発明は、車両の環境とは無関係の、ビークル2から、近傍のゾーン中に配置された少なくとも1つの受信機デバイス3(別の車両、RSU、スマートフォンなど)へのデータパケットの送信を伴う、任意のV2Xアプリケーションのために使用され得る。
【0159】
当業者は、本発明の実施形態によるシステムまたはサブシステムは、ハードウェア、ソフトウェア、またはハードウェアとソフトウェアとの組合せによって様々な様式で、特に、様々な形態のプログラム製品の形態で配布され得るプログラムコードの形態で実装され得ることを理解するであろう。特に、プログラムコードは、コンピュータ可読記憶媒体と通信媒体とを含むことができる、コンピュータ可読媒体を使用して配布され得る。本明細書で説明した方法は、特に、コンピュータ情報デバイス中の1つまたは複数のプロセッサによって実行され得るコンピュータプログラム命令の形態で実装され得る。これらのコンピュータプログラム命令はまた、コンピュータ可読媒体中に記憶され得る。
【0160】
その上、本発明は、非限定的な例として上記で説明した実施形態に限定されない。本発明は、当業者によって企図され得るすべての代替実施形態を包含する。特に、当業者は、本発明は、上記説明で述べられたパフォーマンスインジケータに限定されず、他のタイプのパフォーマンスインジケータを含むことができることを理解するであろう。
付録A1
【0161】
説明で使用する頭字語のリストの定義を以下で与える。
- V2X:「車両対あらゆるもの」の略語。
- V2V:「車両対車両」の略語。
- V2I:「車両対インフラストラクチャ」の略語。
- V2N:「車両対ネットワーク」の略語。
- V2N2V:ネットワークを介した、間接V2V通信を示すための略語。
- V2P:「車両対歩行者」の略語。
- ETSI:「欧州電気通信標準化機構」の頭字語。
- ITS-G5:「インテリジェントトランスポートシステム-G5」の頭字語。
- CAM:「協調認識メッセージ」の頭字語。
- DENM:「分散型環境通知メッセージ」の頭字語。
- CPM:「集合的認識メッセージ」の頭字語。
- MCM:「マヌーバコーディネーションメッセージ」の頭字語。
- 3GPP:第3世代パートナーシッププロジェクト。
- LTE:「ロングタームエボリューション」の頭字語。
- 5G:第5世代。
- 702.11p:Wi-Fiベースの技術。
- 5GAA:「5G自動車協会(5G Automotive Association)」の頭字語。
- Uu:ユーザとユーザをサービスする基地局との間で通信するためにLTEまたは5Gにおいて使用される無線アクセスインターフェース。
- MNO:「モバイルネットワークオペレータ」の頭字語。
- MEC:「モバイルエッジコンピューティング」の頭字語。
- eNB/gNB:それぞれLTEおよび5Gのための基地局。
- C-ACC:協調型車間距離制御装置(Cooperative-Adaptive Cruise Control)。
- RAT:無線アクセス技術。
- PC5:2人のユーザが(V2Vのための)セルラーネットワークインフラストラクチャを使用せずに直接通信するときに使用される無線アクセスインターフェース。
- KPI:キーパフォーマンスインジケータ。
- QoS:サービス品質。
- UDP/TCP/IP:LTE/5Gのための標準ネットワークおよびトランスポートプロトコル。
- MQTT:「メッセージキューイングテレメトリトランスポート(Message Queuing Telemetry Transport)」の頭字語。
- APN:「アクセスポイント名」の頭字語。
- VPN:「仮想プライベートネットワーク」の頭字語。
- ADASIS:「先進運転支援システムインターフェース仕様」の頭字語。
- API:「アプリケーションプログラミングインターフェース」の頭字語。
- QCI:「QoSクラス識別子」の頭字語。
- 5QI:「5GQoSクラス識別子」の頭字語。
- NAS:「非アクセス層」の頭字語。
- ATコマンド:(ATは注意(ATention)に由来する)特定のコマンドを送るために使用される信号のタイプ。
- QPF:サービス品質予測機能。
- PPPP:優先度レベル。
- CAN:「コントローラエリアネットワーク」の頭字語。
- TFT:「トラフィックフローテンプレート」の頭字語。
- GBR:「保証ビットレート」の頭字語。