IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三井金属鉱業株式会社の特許一覧 ▶ 国立大学法人九州大学の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-13
(45)【発行日】2024-06-21
(54)【発明の名称】二酸化炭素センサ
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/407 20060101AFI20240614BHJP
   G01N 27/416 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
G01N27/407
G01N27/416 376
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021567370
(86)(22)【出願日】2020-12-17
(86)【国際出願番号】 JP2020047231
(87)【国際公開番号】W WO2021132029
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2023-11-22
(31)【優先権主張番号】P 2019235316
(32)【優先日】2019-12-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006183
【氏名又は名称】三井金属鉱業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504145342
【氏名又は名称】国立大学法人九州大学
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 広平
(72)【発明者】
【氏名】井手 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】島ノ江 憲剛
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 賢
(72)【発明者】
【氏名】末松 昴一
(72)【発明者】
【氏名】馬 楠
【審査官】黒田 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-224637(JP,A)
【文献】特開2005-172630(JP,A)
【文献】特開2004-239832(JP,A)
【文献】特開2008-267845(JP,A)
【文献】特開2009-008575(JP,A)
【文献】国際公開第2019/203219(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/109617(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/407
G01N 27/409
G01N 27/416
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アニオン伝導性を有する固体電解質層と、該固体電解質層の一方の面に配置された基準極と、該固体電解質層の他方の面に配置された検知極とを有し、
前記検知極が、
Au、Ag、Pt、Pd、Rh、Ru、Os及びIrからなる群より選ばれる1種又は2種以上の金属、
カチオン伝導炭酸塩、並びに
Liと、Ce及びSmのうち少なくとも1種とを含む酸化物、の混合体で構成されている二酸化炭素センサ。
【請求項2】
前記混合体において、前記金属、前記カチオン伝導炭酸塩及び前記酸化物の合計の質量に対する、該カチオン伝導炭酸塩の割合が5質量%以上55質量%以下である、請求項1に記載の二酸化炭素センサ。
【請求項3】
前記混合体において、前記金属、前記カチオン伝導炭酸塩及び前記酸化物の合計の質量に対する、該酸化物の割合が10質量%以上60質量%である、請求項1又は2に記載の二酸化炭素センサ。
【請求項4】
前記混合体において、前記金属及び前記酸化物の接触構造が連続的に形成されている、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の二酸化炭素センサ。
【請求項5】
前記基準極及び前記検知極の少なくとも一方と前記固体電解質層との間に、ランタン及び希土類元素(ただしランタン及びセリウムを除く)を含む酸化セリウムからなる中間層を有する、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の二酸化炭素センサ。
【請求項6】
前記固体電解質層が酸化物イオン伝導性を有する、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の二酸化炭素センサ。
【請求項7】
前記固体電解質層が、M、M及びO(Mは、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Yb、Lu、Be、Mg、Ca、Sr、Y及びBaからなる群から選ばれた1種又は2種以上の元素である。Mは、Mg、Al、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Ga、Zr、Ta、Nb、B、Si、Ge、Zn、Sn、W及びMoからなる群から選ばれた1種又は2種以上の元素である。)を含む化合物からなる、請求項1ないし6のいずれか一項に記載の二酸化炭素センサ。
【請求項8】
前記固体電解質層が、式(1):M 9.33+x[T6.00-y ]O26.0+z(式中、Mは、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Yb、Lu、Be、Mg、Ca、Sr、Y及びBaからなる群から選ばれた1種又は2種以上の元素である。Tは、Si若しくはGe又はその両方を含む元素である。Mは、Mg、Al、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Ga、Zr、Ta、Nb、B、Si、Ge、Zn、Sn、W及びMoからなる群から選ばれた1種又は2種以上の元素である。xは-1.33以上1.50以下の数である。yは0.00以上3.00以下の数である。zは-5.00以上5.20以下の数である。Tのモル数に対するMのモル数の比率は1.33以上3.61以下である。)で表される複合酸化物からなる、請求項1ないし7のいずれか一項に記載の二酸化炭素センサ。
【請求項9】
は少なくともLa及びYを含む、請求項7又は8に記載の二酸化炭素センサ。
【請求項10】
前記固体電解質層が、アパタイト型結晶構造を有する化合物からなる、請求項1ないし9のいずれか一項に記載の二酸化炭素センサ。
【請求項11】
前記固体電解質層の厚みが1μm以上1000μm以下である、請求項1ないし10のいずれか一項に記載の二酸化炭素センサ。
【請求項12】
前記検知極の厚みが5μm以上2000μm以下である、請求項1ないし11のいずれか一項に記載の二酸化炭素センサ。
【請求項13】
600℃以下の温度において請求項1ないし12のいずれか一項に記載のセンサを用いる二酸化炭素濃度の測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雰囲気中の二酸化炭素ガスの検知や定量に好適に用いられるセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
酸化物イオン伝導体は、固体電解質形燃料電池、イオン電池、空気電池などの電池の固体電解質や、センサや分離膜など、様々な電気化学素子に利用可能な機能性セラミックスとして注目されている材料である。酸化物イオン伝導体を用いた電気化学素子の一つとして、非特許文献1には、二酸化炭素センサが提案されている。この二酸化炭素センサは、マグネシウム安定化ジルコニアからなる酸化物イオン伝導固体電解質と、炭酸リチウムからなるリチウムイオン伝導炭酸塩補助相とを有し、両者間にLiZrOからなるイオンブリッジを備えたものである。イオンブリッジであるLiZrOは、マグネシウム安定化ジルコニアと炭酸リチウムとの反応によって形成されている。イオンブリッジは、酸化物イオン伝導固体電解質とリチウムイオン伝導炭酸塩補助相とを電気化学的に結合する目的で形成される。
【0003】
特許文献1にも二酸化炭素センサが記載されている。このセンサは、イットリウム安定化ジルコニアからなる固体電解質上に、基準極及び炭酸リチウムからなる検知極を有し、固体電解質と検知極との間に、LiZrO結晶相からなる両イオン伝導層が配置されている。両イオン伝導層は気相法によって形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-267845号公報
【非特許文献】
【0005】
【文献】Sensors and Actuators B24-25(1995)260-265
【発明の概要】
【0006】
特許文献1及び非特許文献1に記載の二酸化炭素センサは、600℃以上の高温で動作するものであることから、動作温度が更に低いものが要求されている。
また、特許文献1に記載の二酸化炭素センサは、両イオン伝導層の厚みによって起電力が変化してしまうので、精密な測定を行うのが容易でない。更に、両イオン伝導層を気相法で形成しているので形成に長時間を要する。
同様に、非特許文献1に記載の二酸化炭素センサでも、イオンブリッジの厚みよって起電力が変化してしまうところ、該イオンブリッジを反応によって形成していることから、厚みを一定にすることが容易でない。
【0007】
したがって本発明の課題は、二酸化炭素センサの改良にあり、更に詳しくは従来よりも低温での動作が可能であり、またセンサ間での起電力にばらつきが生じにくい二酸化炭素センサを提供することにある。
【0008】
本発明は、アニオン伝導性を有する固体電解質層と、該固体電解質層の一方の面に配置された基準極と、該固体電解質層の他方の面に配置された検知極とを有し、
前記検知極が、
Au、Ag、Pt、Pd、Rh、Ru、Os及びIrからなる群より選ばれる1種又は2種以上の金属、
カチオン伝導炭酸塩、並びに
Liと、Ce及びSmのうち少なくとも1種とを含む酸化物、の混合体で構成されている二酸化炭素センサを提供することによって前記の課題を解決したものである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき説明する。本発明の二酸化炭素センサは、雰囲気中の二酸化炭素ガスの検知や定量に好適に用いられるものである。本発明の二酸化炭素センサは、固体電解質層を備えている。固体電解質層はアニオン伝導性を有している。アニオンとしては、固体電解質層を構成する材料に応じ、例えば酸化物イオンやフッ化物イオンが挙げられる。固体電解質層の形状に特に制限はなく、種々の形状を採用し得る。二酸化炭素センサの測定精度を高める観点から、固体電解質層は板状であることが好ましい。
【0010】
固体電解質層の一方の面には基準極が配置され、該固体電解質層の他方の面には検知極が配置される。つまり、基準極が配置された面と反対側の面に検知極が配置される。基準極は、二酸化炭素の濃度が既知である雰囲気に接する電極である。一方、検知極は、測定対象となる雰囲気に接する電極である。
【0011】
固体電解質層と基準極と検知極との位置関係に特に制限はない。例えば、平面視において固体電解質層と同じ大きさの基準極及び検知極を配置してもよい。あるいは、平面視において固体電解質層よりも小さい基準極及び検知極を配置してもよい。この場合、基準極と検知極とは、平面視において全体又は一部が重なるような位置関係で配置されていてもよいし、平面視において両者が全く重ならないような位置関係で配置されていてもよい。
【0012】
検知極は、特定の複数の材料からなる混合体から構成されていることが好ましい。この混合体は、以下の(a)ないし(c)の3種類を含んでいる。
(a)Au、Ag、Pt、Pd、Rh、Ru、Os及びIrからなる群より選ばれる1種又は2種以上の金属。
(b)カチオン伝導炭酸塩。
(c)Liと、Ce及びSmのうち少なくとも1種とを含む酸化物(以下「リチウム含有酸化物」ともいう。)。
以下、これらについてそれぞれ説明する。
【0013】
(a)の金属は、検知極に電子伝導性を付与することを主な目的として用いられる。また(a)の金属は、電気化学反応を進めるための触媒作用を検知極に付与するために用いてもよい。この観点から、(a)の金属は、Au、Ag、Pt、Pd、Rh、Ru、Os及びIrからなる群より選ばれる1種又は2種以上であり、Au、Ag及びPtからなる群より選ばれる1種又は2種以上であることが好ましい。また、電子伝導性を示す酸化亜鉛、酸化インジウムなどの金属酸化物を用いることもできる。
【0014】
(a)の金属又は金属酸化物は、一般に粒子の形状で用いられる。この場合、粒径は、レーザー回折散乱式粒度分布測定法による累積体積50容量%における体積累積粒径D50で表して、0.01μm以上10μm以下であることが好ましく、0.05μm以上5μm以下であることが更に好ましく、0.1μm以上3μm以下であることが一層好ましい。粒子の形状に特に制限はないが、一般には球状、板状、針状などの形状が、入手性の良好さなどの点から好適に用いられる。
【0015】
(a)の金属又は金属酸化物の使用量は、(a)、(b)及び(c)の合計の質量に対して、20質量%以上70質量%以下であることが、検知極の電子伝導性を確保すること、及び対象ガスの高い検知性能を得る点から好ましい。この利点を一層顕著なものとする観点から、(a)の金属の使用量は、(a)、(b)及び(c)の合計の質量に対して、30質量%以上60質量%以下であることが更に好ましく、40質量%以上55質量%以下であることが一層好ましい。
【0016】
(b)のカチオン伝導炭酸塩は、検知極にカチオン伝導性を付与するために用いられる。カチオンとしては、例えばリチウムイオン及びナトリウムイオン等のアルカリ金属のイオンが挙げられる。この観点から、カチオン伝導炭酸塩は炭酸のアルカリ金属塩であることが好ましい。例えばカチオン伝導炭酸塩は炭酸リチウム(LiCO)であることが好ましい。
【0017】
(b)のカチオン伝導炭酸塩の使用量は、(a)、(b)及び(c)の合計の質量に対して、5質量%以上55質量%以下であることが、検知極内に三相界面を効率よく形成でき、対象となる雰囲気中の炭酸ガスを正確に検知できる点から好ましい。この利点を一層顕著なものとする観点から、(b)のカチオン伝導炭酸塩の使用量は、(a)、(b)及び(c)の合計の質量に対して、7質量%以上50質量%以下であることが更に好ましく、10質量%以上40質量%以下であることが一層好ましい。
【0018】
(c)のリチウム含有酸化物は、Liと、Ce及びSmのうち少なくとも1種とを含む酸化物であり、固体電解質層中を伝導するアニオンと、カチオン伝導炭酸塩中を伝導するカチオンの伝導を補助する役割を担う。(c)のリチウム含有酸化物は、両イオン伝導体であってもよく、例えば固体電解質層が酸化物イオンの伝導性を有し、カチオン伝導炭酸塩がリチウムイオンの伝導性を有する場合、酸化物イオン伝導性及びリチウムイオン伝導性の双方を有していてもよい。
【0019】
(c)の材料としては、例えばLiLnO(Lnは少なくとも1種の希土類元素を表す)、LiZrO、LiZrなどが用いられる。LiLnOとしては、例えばLiCeO、LiCeSm(x及びyは正数を表し、x+y=1である。)などが挙げられる。また、リチウム酸化物と、Zr、Ce、Smのうち少なくとも1種を含む酸化物との混合物であってもよい。これらの材料は好適には粒子の形態で用いられる。
【0020】
(c)のリチウム含有酸化物の使用量は、(a)、(b)及び(c)の合計の質量に対して、10質量%以上60質量%以下であることが、検知極内に三相界面を効率よく形成でき、対象となる雰囲気中の炭酸ガスを正確に検知できる点から好ましい。この利点を一層顕著なものとする観点から、(c)のリチウム含有酸化物の使用量は、(a)、(b)及び(c)の合計の質量に対して、20質量%以上50質量%以下であることが更に好ましく、30質量%以上40質量%以下であることが一層好ましい。
【0021】
前記の(a)、(b)及び(c)を含んで構成される前記混合体においては、(a)、(b)及び(c)は均一混合されていることが好ましい。混合体がこのような状態になっていることで、(a)、(b)及び(c)の互いの接触面積が高くなり、界面抵抗が低下する。その結果、本発明の二酸化炭素センサは、更に低温で動作しやすくなる。しかも、(a)、(b)及び(c)が互いに混合状態にあるので、起電力が検知極の厚みに依存しづらくなるので、センサ間での起電力にばらつきが生じにくいという利点もある。
また、同様の観点から、前記混合体において(a)及び(c)は、連続的に形成されていることが好ましい。(a)及び(c)の接触構造が連続的に形成されているとは、(a)の粒子と(c)の粒子どうしが接触し、電子及び両イオンが伝導する経路が連続的に形成されている状態を指す。(a)及び(c)の接触構造が連続的に形成されているか否かは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、例えば100~10000倍で、前記混合体の表面及び/又は断面の観察を行い、必要に応じてエネルギー分散型X線分光法(EDS)による元素マッピングを行うことで確認できる。
これとは対照的に、従来の二酸化炭素センサ、例えば特許文献1や非特許文献1に記載の二酸化炭素センサにおいては、(a)、(b)及び(c)がそれぞれ独立した層の形態になっており、面どうしが接触しているに過ぎないので、接触面積を高めることに限界があり、その結果、動作温度を低くすることが容易でなかった。
【0022】
検知極は、前記の(a)、(b)及び(c)を所定の混合比で混合するとともに、有機溶媒を添加してペーストとなし、該ペーストを固体電解質層の表面、又は後述する中間層の表面に塗布して塗膜を形成し、該塗膜を焼成することで好適に形成される。焼成温度は好ましくは400℃以上1400℃以下に設定することができ、更に好ましくは500℃以上1200℃以下であり、一層好ましくは600℃以上1000℃以下である。焼成時間は、0.1時間以上20時間以下に設定することが好ましく、更に好ましくは0.5時間以上15時間以下であり、一層好ましくは1時間以上10時間以下である。
【0023】
前記のペーストを調製する場合、前記の(a)、(b)及び(c)の合計量に対して、(a)の割合は20質量%以上70質量%以下であることが好ましく、更に好ましくは30質量%以上60質量%以下であり、一層好ましくは40質量%以上55質量%以下である。
(b)の割合は5質量%以上55質量%以下であることが好ましく、更に好ましくは7質量%以上40質量%以下であり、一層好ましくは10質量%以上30質量%以下である。
(c)の割合は10質量%以上60質量%以下であることが好ましく、更に好ましくは15質量%以上50質量%以下であり、一層好ましくは20質量%以上40質量%以下である。
【0024】
本発明の二酸化炭素センサは、基準極及び検知極の少なくとも一方と固体電解質層との間に中間層を有していてもよい。中間層は、固体電解質層と基準極及び/又は検知極との間のアニオン伝導性、例えば酸化物イオン伝導性を向上させる目的で用いられる。二酸化炭素センサにおける電気抵抗を低減させるためには、固体電解質層のアニオン伝導性を高めることが重要であるが、アニオン伝導性の高い材料を用いて固体電解質層を構成した場合であっても、該固体電解質層と基準極及び/又は検知極との間のアニオン伝導性が低い場合には、二酸化炭素センサ全体としてのアニオン伝導性を高めることに限界がある。本発明者が検討した結果、固体電解質層と基準極及び/又は検知極との間に特定の材料からなる中間層を配置することで、二酸化炭素センサ全体としてのアニオン伝導性が高まることを知見した。具体的には、中間層は、ランタン及び希土類元素(ただしランタン及びセリウムを除く。)を含む酸化セリウム(以下「La-LnDC」ともいう。)から構成されていると、アニオン伝導性、特に酸化物イオン伝導性が高まることが判明した。
【0025】
中間層を構成するLa-LnDCにおいて、酸化セリウムにドープされる希土類元素としては、例えばサマリウム、ガドリニウム、イットリウム、エルビウム、イッテルビウム、ジスプロシウムなどが挙げられる。これらの希土類元素は1種を単独で用いてもよく、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。特に中間層は、ランタンと、サマリウム又はガドリニウムと、を含む酸化セリウムを含んで構成されることが、二酸化炭素センサ全体のアニオン伝導性、特に酸化物イオン伝導性を一層高め得る点から好ましい。なお、基準極と固体電解質層との間に配置される中間層(以下「基準極側中間層」ともいう。)を構成する材料は、検知極と固体電解質層との間に配置される中間層(以下「検知極側中間層」ともいう。)を構成する材料と同じであってもよく、あるいは異なっていてもよい。また、基準極側中間層及び検知極側中間層のうちの一方が、La-LnDCを含んで構成されており、他方が他の物質から構成されていてもよい。
【0026】
中間層において、酸化セリウムにドープされるランタン以外の希土類元素の割合は、セリウムに対する希土類元素(Ln)の原子数比であるLn/Ceで表して、0.05以上0.8以下であることが好ましく、0.1以上0.7以下であることが更に好ましく、0.2以上0.6以下であることが一層好ましい。希土類元素のドープの程度をこの範囲内に設定することによって、固体電解質層と基準極及び/又は検知極との間のアニオン伝導性、特に酸化物イオン伝導性の向上が図られる。
【0027】
前記のLn/Ceの値は、エネルギー分散型X線分光法(以下「EDS」ともいう。)や電子プローブマイクロアナライザー(以下「EPMA」ともいう。)などによって測定される。
【0028】
中間層を構成するLa-LnDCにおいて、ランタンは、二酸化炭素センサ全体のアニオン伝導性、特に酸化物イオン伝導性を向上させる目的で含有される。この目的のために、中間層においては、セリウムに対するランタンの原子数比であるLa/Ceの値を0.08以上とすることが好ましい。また、ランタンが多過ぎる場合にはアニオン伝導性は却って低下するため1.2以下とすることが好ましい。このLa/Ceの値は0.2以上1.2以下とすることが更に好ましく、0.3以上1.2以下とすることが一層好ましい。La/Ceの値は、EDSやEPMAなどによって測定される。
【0029】
中間層の厚みは、一定以上の厚みがあれば、固体電解質層と基準極及び/又は検知極との間のアニオン伝導性、特に酸化物イオン伝導性を効果的に向上させ得る。詳細には、中間層の厚みは、基準極側中間層及び検知極側中間層それぞれ独立に、0.1μm以上1.0μm以下であることが好ましく、0.3μm以上0.8μm以下であることが更に好ましい。中間層の厚みは、触針式段差計や電子顕微鏡を用いた断面観察によって測定することができる。基準極側中間層の厚みと検知極側中間層の厚みとは同じでもよく、あるいは異なっていてもよい。
【0030】
本発明の二酸化炭素センサにおける固体電解質層は、先に述べたとおりアニオン伝導性を有するものである。固体電解質層が例えば酸化物イオン伝導性を有する場合、該固体電解質層は、ランタンの酸化物を含んで構成されることが好ましい。ランタンの酸化物を含む酸化物イオン伝導性材料としては、例えばランタン及びガリウムを含む複合酸化物や、該複合酸化物にストロンチウム、マグネシウム又はコバルトなどを添加した複合酸化物、ランタン及びモリブデンを含む複合酸化物などが挙げられる。特に、酸化物イオン伝導性が高いことから、ランタン及びケイ素の複合酸化物を用いることが好ましい。
【0031】
ランタン及びケイ素の複合酸化物としては、例えばランタン及びケイ素を含むアパタイト型結晶構造を有する複合酸化物が挙げられる。アパタイト型結晶構造を有する複合酸化物としては、三価元素であるランタンと、四価元素であるケイ素と、Oとを含有し、その組成がLaSi1.5x+12(Xは8以上10以下の数を表す。)で表されるものが、酸化物イオン伝導性が高い点から好ましい。アパタイト型結晶構造を複合酸化物の最も好ましい組成は、La9.33Si26である。アパタイト型結晶構造を複合酸化物は、この複合酸化物は、例えば特開2013-51101号公報に記載の方法に従い製造することができる。
【0032】
固体電解質層の別の好ましい例として、M、M及びOを含む化合物が挙げられる。このような化合物を用いることで、固体電解質層の酸化物イオン伝導性を一層高めることが可能となる。Mは、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Yb、Lu、Be、Mg、Ca、Sr、Y及びBaからなる群から選ばれた1種又は2種以上の元素である。一方、Mは、Mg、Al、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Ga、Zr、Ta、Nb、B、Si、Ge、Zn、Sn、W及びMoからなる群から選ばれた1種又は2種以上の元素である。前記の化合物はアパタイト型結晶構造を有することが好ましい。
【0033】
特に、固体電解質層は、式(1)M 9.33+x[T6.00-y ]O26.0+zで表される複合酸化物であることが、固体電解質層の酸化物イオン伝導性を一層高める点から好ましい。式中、Mは、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Yb、Lu、Be、Mg、Ca、Sr、Y及びBaからなる群から選ばれた1種又は2種以上の元素である。Tは、Si若しくはGe又はその両方を含む元素である。Mは、Mg、Al、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Ga、Zr、Ta、Nb、B、Si、Ge、Zn、Sn、W及びMoからなる群から選ばれた1種又は2種以上の元素である。xは-1.33以上1.50以下の数である。yは0.00以上3.00以下の数である。zは-5.00以上5.20以下の数である。Tのモル数に対するMのモル数の比率は1.33以上3.61以下である。前記の複合酸化物はアパタイト型結晶構造を有することが好ましい。
【0034】
式(1)において、Mとして挙げられた、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Be、Mg、Ca、Sr、Y及びBaは、正の電荷を有するイオンとなり、アパタイト型六方晶構造を構成し得るランタノイド又は第2族金属であるという共通点を有する元素である。これらの中でも、酸化物イオン伝導性をより高めることができる観点から、MはLa、Nd、Ba、Sr、Ca、Y及びCeからなる群のうちの1種又は2種以上の元素との組み合わせであるのが好ましく、中でも、Mは少なくともLa及びYを含むことが好ましい。また、式(1)におけるTは、Si若しくはGe又はその両方を含む元素であるのがよい。
【0035】
式(1)におけるM元素としては、例えばB、Zn、W、Sn及びMoからなる群から選ばれた1種又は2種以上の元素を好ましく挙げることができる。中でも、高配向度や高生産性の点で、B、Zn及びWが特に好ましい。
【0036】
式(1)において、xは、配向度及び酸化物イオン伝導性を高めることができる観点から、-1.33以上1.50以下の数であることが好ましく、-1.00以上1.00以下であることが好ましく、中でも0.00以上あるいは0.70以下、その中でも0.45以上あるいは0.65以下であることが好ましい。式(1)中のyは、アパタイト型結晶格子におけるT元素位置を埋めるという観点、及び酸化物イオン伝導性を高める観点から、0.00以上3.00以下の数であることが好ましく、0.40以上1.00未満であることが更に好ましく、中でも0.40以上0.90以下であることが好ましく、その中でも0.80以下、特に0.70以下、とりわけ0.50以上0.70以下であることが好ましい。式(1)中のzは、アパタイト型結晶格子内での電気的中性を保つという観点から、-5.00以上5.20以下の数であることが好ましく、-3.00以上2.00以下であることが好ましく、中でも-2.00以上あるいは1.50以下、その中でも-1.00以上あるいは1.00以下であることが好ましい。
【0037】
式(1)中、Tのモル数に対するMのモル数の比率、言い換えれば式(1)における(9.33+x)/(6.00-y)は、アパタイト型結晶格子における空間的な占有率を保つ観点から、1.33以上3.61以下であることが好ましく、1.40以上3.00以下であることが更に好ましく、1.50以上2.50以下であることが一層好ましい。
【0038】
式(1)で表される複合酸化物は、例えば国際公開WO2016/111110に記載の方法に従い製造することができる。
【0039】
固体電解質層の厚みは、二酸化炭素センサの強度を維持する観点、及び基準極と検知極との間での電気抵抗を効果的に低下させる観点から、1μm以上1000μm以下であることが好ましく、10μm以上500μm以下であることが更に好ましく、100μm以上500μm以下であることが一層好ましい。固体電解質層の厚みは、触針式段差計や電子顕微鏡を用いた断面観察によって測定することができる。
【0040】
本発明の二酸化炭素センサにおける基準極は、例えば金属材料から構成することができる。金属材料としては、酸素の脱離吸着反応が起こる触媒活性が必要であることから、白金族の元素を含んで構成されることが好ましい。白金族の元素としては、白金、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム及びイリジウムが挙げられる。これらの元素は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、基準極として、白金族の元素を含んだサーメットを用いることもできる。
【0041】
本発明の二酸化炭素センサは、これを、二酸化炭素を含有する気相(例えば大気や内燃機関の排気ガス等)中に置くと、二酸化炭素の濃度に応じて、気相と電極とが接する三相界面で反応(以下の式(A)参照)して、平衡状態となる。L一方、基準極側では、式(A)の反応に応じ、以下の式(B)の反応が進行する。つまり、検知極及び基準極は気相と接する面積が多い方が有利なので多孔質であることが望ましい。更に、検知極においては、深さ方向で連続的に電子を伝導する金属、及びリチウム含有酸化物が接触する構造が連続的に形成されて、電子及び両イオンが伝導する経路が形成されていることがより望ましい。
以上の機序によって検知極と基準極との間に起電力が生じる。この起電力は、気相中の二酸化炭素濃度に応じて変化するので、この起電力により、二酸化炭素を検知したり、その濃度を測定したりすることができる。
【0042】
本発明の二酸化炭素センサは、上述のとおり、検知極に(a)、(b)及び(c)の混合体が含まれていることによって、従来の二酸化炭素センサに比べて検知性能を向上させることができる。特に(c)を混合させることによって、リチウムイオンと酸化物イオンとの両方のイオン伝導経路を形成でき、以下の式(A)の反応が進行しやすくなると考えられる。ところで、本発明の二酸化炭素センサの検知極における電気化学反応は以下の式(A)に示すとおりなので、二酸化炭素センサが正常に動作していれば反応電子数は2となる。したがって、二酸化炭素センサを動作させているときの検知極における反応電子数を測定し、それが2又は2に近い数となっていれば、該二酸化炭素センサは正常に動作していると判断できる。本発明の二酸化炭素センサは、例えば500℃で動作させているときに反応電子数が2.0±1.0であることが好ましく、400℃で動作させているときに反応電子数が2.0±0.2であることが好ましい。なお反応電子数が2から大きく外れていることは、二酸化炭素の濃度に依存しない何らかの予期し得ない以下の式(A)又は(B)以外の反応が生じていることを意味する。
【0043】
【化1】
【0044】
検知極の厚みは、検知性能を向上させる観点から、5μm以上2000μm以下であることが好ましく、10μm以上1000μm以下であることが更に好ましく、20μm以上500μm以下であることが一層好ましい。検知極の厚みは、触針式段差計や電子顕微鏡を用いた断面観察によって測定することができる。
【実施例
【0045】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。特に断らない限り、「%」は「質量%」を意味する。
【0046】
〔実施例1〕
以下の(1)ないし(4)の工程によって二酸化炭素センサを製造した。
【0047】
(1)固体電解質層の製造
Laの粉体とSiOの粉体とをモル比で1:1となるように配合し、エタノールを加えてボールミルで混合した。この混合物を乾燥させ、乳鉢で粉砕し、白金るつぼを使用して大気雰囲気下に1650℃で3時間にわたり焼成した。この焼成物にエタノールを加え、遊星ボールミルで粉砕して焼成粉を得た。この焼成粉を、20mmφの成形器に入れて一方向から加圧して一軸成形した。更に600MPaで1分間冷間等方圧加圧(CIP)を行ってペレットを成形した。このペレット状成形体を、大気中、1600℃で3時間にわたり加熱してペレット状焼結体を得た。この焼結体を粉末X線回折測定及び化学分析に付したところ、LaSiOの構造であることが確認された。
【0048】
得られたペレット800mgと、B粉末140mgとを、蓋付き匣鉢内に入れて、電気炉を用い、大気中にて1550℃(炉内雰囲気温度)で50時間にわたり加熱した。この加熱によって、匣鉢内にB蒸気を発生させるとともにB蒸気とペレットとを反応させ、目的とする固体電解質層を得た。この固体電解質層は、アパタイト型結晶構造を有するものであり、La9.33+x[Si6.00-y]O26.0+zにおいて、x=0.50、y=1.17、z=0.16であり、Siに対するLaのモル比は2.04であった(以下、この化合物を「LSBO」と略称する。)。500℃における酸化物イオン伝導率は3.0×10-2S/cmであった。固体電解質層の厚みは350μmであった。
【0049】
(2)中間層の形成
Sm0.2Ce1.8の粉体を、50mmφの成形器に入れて一方向から加圧して一軸成形し、引き続きホットプレス焼結を行った。焼結の条件は、窒素ガス雰囲気、圧力30MPa、温度1200℃、3時間とした。このようにしてスパッタリング用のターゲットを得た。このターゲットを用いて高周波スパッタリング法によって、固体電解質層の各面にスパッタリングを行い、サマリウムがドープされた酸化セリウム(以下「SDC」ともいう。)のスパッタリング層を形成した。スパッタリングの条件は、RF出力が30W、アルゴンガスの圧力が0.8Paであった。スパッタリング後、大気中、1500℃にて1時間のアニーリングを行い、固体電解質層中に含まれるランタンをスパッタリング層に熱拡散させてSDCにランタンを含有させた。このようにしてランタンを含むSDC(以下「La-SDC」ともいう。)からなる基準極側中間層及び検知極側中間層をそれぞれ形成した。EDSにより測定した基準極側中間層及び検知極側中間層のLa/Ceの値は0.98であった。
【0050】
(3)基準極の形成
白金粉を含むペーストを、基準極側中間層の表面に塗布して塗膜を形成した。この塗膜を大気中、700℃で1時間焼成して、多孔質体からなる基準極を形成した。
【0051】
(4)検知極の形成
(a)の金属、(b)のカチオン伝導炭酸塩、及び(c)のリチウム含有酸化物として、以下の表1に示すものを用いた。(a)の金属のD50は1.0μmであった。これらを、同表に示す割合で混合し、エタノールを添加してペーストを調製した。このペーストを、検知極側中間層の表面に塗布して塗膜を形成した。この塗膜を二酸化炭素ガス中、700℃で10時間焼成して検知極を形成した。得られた検知極の断面について、2000倍でSEM観察、及びEDSによる元素マッピングを行い、(a)及び(c)が連続的に形成されていることを確認した。また、検知極の厚みは20μmであった。
【0052】
〔実施例2ないし4〕
(a)の金属、(b)のカチオン伝導炭酸塩、及び(c)のリチウム含有酸化物として、以下の表1に示すものを、同表に示す割合で用いた。それ以外は実施例1と同様にして二酸化炭素センサを製造した。得られたセンサにおける検知極を実施例1と同様に観察したところ、(a)及び(c)が連続的に形成されていることを確認した。また、検知極の厚みは20μmであった。
【0053】
〔実施例5ないし8〕
実施例1の固体電解質製造工程において、Yの粉体とLaの粉体とSiOの粉体とをモル比で0.2:0.8:1.0となるように配合し、且つ(a)の金属、(b)のカチオン伝導炭酸塩、及び(c)のリチウム含有酸化物として、以下の表1に示すものを、同表に示す割合で用いた。これ以外は実施例1と同様にして二酸化炭素センサを製造した。この固体電解質層は、アパタイト型結晶構造を有するものであり、組成式はLa8.01.7Si5.30.726.7であることから、M 9.33+x[T6.00-y ]O26.0+zにおいて、x=0.37、y=0.70、z=0.70であり、Siに対するLa及びYの合計のモル比は1.83であった(以下、この化合物を「Y-LSBO」と略称する)。500℃における酸化物イオン伝導率は0.9×10-3S/cmであった。固体電解質層の厚みは350μmであった。
【0054】
〔比較例1〕
本比較例では検知極の製造に、(c)のリチウム含有酸化物を用いなかった。詳細には、(a)の金属、及び(b)のカチオン伝導炭酸塩として、以下の表1に示すものを、同表に示す割合で用いた。それ以外は実施例1と同様にして二酸化炭素センサを製造した。
【0055】
〔比較例2〕
実施例5において、(a)の金属及び(b)のカチオン伝導炭酸塩として、以下の表1に示すものを、同表に示す割合で用いた。また、(c)のリチウム含有酸化物を用いなかった。これら以外は実施例5と同様にして二酸化炭素センサを製造した。
【0056】
〔評価〕
実施例及び比較例で得られた二酸化炭素センサを、大気中、400℃及び500℃で動作させ、そのときの検知極における反応電子数を測定した。測定は以下の方法で行った。二酸化炭素センサが正常に動作していれば反応電子数nは理論上2となる。
【0057】
〔反応電子数の測定〕
反応電子数は、式(C)のネルンスト式から算出できる。Rは気体定数、Tは絶対温度、Fはファラデー定数でP(CO)はCOの分圧である。
E = E + (RT/nF)lnP(CO) (C)
【0058】
【表1】
【0059】
表1に示す結果から明らかなとおり、各実施例の二酸化炭素センサは、動作温度500℃において反応電子数が2に近い値を示し、動作温度400℃においては反応電子数がより一層、2に近い値を示した。これに対して比較例1の二酸化炭素センサは、反応電子数が2から遠い値となり、二酸化炭素の濃度に依存しない何らかの予期し得ない反応が生じていることが示唆された。また、表1中「-」と記載した箇所については、400℃での測定を実施していないため、数値を記載していない。
これにより、各実施例の二酸化炭素センサは、600℃以下の温度において二酸化炭素の濃度を測定するのに好適であることが示唆された。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明によれば、従来よりも低温での動作が可能であり、またセンサ間での起電力にばらつきが生じにくい二酸化炭素センサが提供される。また600℃以下の温度において好適な二酸化炭素濃度の測定方法が提供される。