(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-13
(45)【発行日】2024-06-21
(54)【発明の名称】ロボット車両のための内部安全システム
(51)【国際特許分類】
B60R 22/46 20060101AFI20240614BHJP
B60W 30/10 20060101ALI20240614BHJP
B60W 40/04 20060101ALI20240614BHJP
B60W 60/00 20200101ALI20240614BHJP
B60W 30/09 20120101ALI20240614BHJP
G05D 1/43 20240101ALI20240614BHJP
【FI】
B60R22/46
B60W30/10
B60W40/04
B60W60/00
B60W30/09
G05D1/43
(21)【出願番号】P 2022081627
(22)【出願日】2022-05-18
(62)【分割の表示】P 2018544032の分割
【原出願日】2016-11-02
【審査請求日】2022-06-17
(32)【優先日】2015-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518156417
【氏名又は名称】ズークス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー デイビッド ケントリー-クレイ
(72)【発明者】
【氏名】ラシャド ユーセフ ガマラ
(72)【発明者】
【氏名】セイガー ビーヒア
【審査官】飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-135240(JP,A)
【文献】特開2012-014257(JP,A)
【文献】特開2005-165555(JP,A)
【文献】特開2014-089505(JP,A)
【文献】特開2011-238054(JP,A)
【文献】特開2006-321421(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0299610(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0032049(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0068354(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0054133(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0209755(US,A1)
【文献】特開2005-262927(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0191391(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0190972(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第101844540(CN,A)
【文献】特開2010-228564(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104882025(CN,A)
【文献】特開2013-033104(JP,A)
【文献】特開2013-054702(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103258445(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0236414(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 22/00-22/48
G05D 1/43
B60W 30/10
B60W 40/04
B60W 60/00
B60W 30/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両安全システムアクティブ化のための方法であって、
車両に関連付けられたセンサーからセンサーデータを受信することと、
環境内の車両ロケーションを決定することであって、前記車両ロケーションは、前記環境内の前記車両の位置または向きのうちの1つまたは複数を識別する、ことと、
前記車両ロケーションに少なくとも部分的に基づいて、車両軌道を算出することであって、前記車両軌道は、前記環境内の少なくとも第1のロケーションと第2のロケーションとの間において前記車両を進行させることに関連付けられた計画された経路のサブセットを示す、ことと、
前記環境内のオブジェクトを識別することと、
オブジェクトロケーションを決定することであって、前記オブジェクトロケーションは、前記環境内の前記オブジェクトの位置または向きのうちの1つまたは複数を識別する、ことと、
前記オブジェクトロケーションに少なくとも部分的に基づいてオブジェクト軌道を決定することと、
前記オブジェクト軌道および前記車両軌道に基づいて、複数のしきい値ロケーションを決定すること
であって、前記複数のしきい値ロケーションのそれぞれは前記車両に対する距離に関連付けられていることと、
前記オブジェクトが前記複数のしきい値ロケーションのうちのしきい値ロケーションに位置されることに少なくとも部分的に基づいて、安全システムにアクティブ化させることと
を備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記安全システムは、内部安全システム、外部安全システム、または運転システムのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記オブジェクトは、第1のオブジェクトであり、前記方法は、
前記環境内の第2のオブジェクトを識別することと、
前記第1のオブジェクトに関連付けられた第1の優先順位を決定することと、
前記第2のオブジェクトに関連付けられた第2の優先順位を決定することと、
前記第1の優先順位と前記第2の優先順位とに少なくとも部分的に基づいて、前記第1のオブジェクトに対して前記安全システムをアクティブ化することを決定することと
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記オブジェクトロケーションは、第1のオブジェクトロケーションであり、前記オブジェクト軌道は、第1のオブジェクト軌道であり、前記方法は、
第2のオブジェクトロケーションを決定することであって、前記第2のオブジェクトロケーションは、前記環境内の前記第2のオブジェクトの位置または向きのうちの1つまたは複数を識別する、ことと、
前記第2のオブジェクトロケーションに少なくとも部分的に基づいて第2のオブジェクト軌道を決定することと
をさらに備え、
前記第1の優先順位を決定することは、前記第1のオブジェクト軌道に少なくとも部分的に基づき、前記第2の優先順位を決定することは、前記第2のオブジェクト軌道に少なくとも部分的に基づく
ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のオブジェクトに関連付けられたオブジェクトの第1のタイプを決定することと、
前記第2のオブジェクトに関連付けられたオブジェクトの第2のタイプを決定することと
をさらに備え、
前記第1の優先順位を決定することは、オブジェクトの前記第1のタイプに少なくとも部分的に基づき、前記第2の優先順位を決定することは、オブジェクトの前記第2のタイプに少なくとも部分的に基づく
ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記オブジェクトロケーションは、第1のオブジェクトロケーションであり、前記環境内の前記オブジェクトの前記位置または前記向きのうちの前記1つまたは複数は、前記環境内の前記オブジェクトの第1の位置または第1の向きのうちの1つまたは複数であり、前記方法は、
第2のオブジェクトロケーションを決定することであって、前記第2のオブジェクトロケーションは、前記環境内の前記オブジェクトの第2の位置または第2の向きのうちの1つまたは複数を識別する、ことと、
前記第1のオブジェクトロケーションと前記第2のオブジェクトロケーションとに少なくとも部分的に基づいて、前記オブジェクトに関連付けられた行動を決定することと
をさらに備え、
前記安全システムにアクティブ化させることは、前記オブジェクトに関連付けられた前記行動にさらに基づく
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記オブジェクトロケーションは、第1のオブジェクトロケーションであり、前記環境内の前記オブジェクトの前記位置または前記向きのうちの前記1つまたは複数は、前記環境内の前記オブジェクトの第1の位置または第1の向きのうちの1つまたは複数であり、前記オブジェクト軌道は、第1のオブジェクト軌道であり、前記安全システムは、第1の安全システムであり、前記方法は、
第2のオブジェクトロケーションを決定することであって、前記第2のオブジェクトロケーションは、前記環境内の前記オブジェクトの第2の位置または第2の向きのうちの1つまたは複数を識別する、ことと、
前記第2のオブジェクトロケーションに少なくとも部分的に基づいて第2のオブジェクト軌道を決定することと、
前記車両軌道と前記第2のオブジェクト軌道とに少なくとも部分的に基づいて、第2の安全システムにアクティブ化させることと
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
システムであって、
1つまたは複数のプロセッサーと、
前記1つまたは複数のプロセッサーによって実行されると、前記システムに、
車両に関連付けられたセンサーからセンサーデータを受信することと、
環境内の車両ロケーションを決定することであって、前記車両ロケーションは、前記環境内の前記車両の位置または向きのうちの1つまたは複数を識別する、ことと、
前記車両ロケーションに少なくとも部分的に基づいて、車両軌道を算出することであって、前記車両軌道は、前記環境内の少なくとも第1のロケーションと第2のロケーションとの間において前記車両を進行させることに関連付けられた計画された経路の一部を示す、ことと、
前記環境内のオブジェクトを識別することと、
オブジェクトロケーションを決定することであって、前記オブジェクトロケーションは、前記環境内の前記オブジェクトの位置または向きのうちの1つまたは複数を識別する、ことと、
前記オブジェクトロケーションに少なくとも部分的に基づいて、オブジェクト軌道を決定することと、
前記オブジェクト軌道および前記車両軌道に基づいて、複数のしきい値ロケーションを決定すること
であって、前記複数のしきい値ロケーションのそれぞれは前記車両に対する距離に関連付けられていることと、
前記オブジェクトが前記複数のしきい値ロケーションのうちのしきい値ロケーションに位置されることに少なくとも部分的に基づいて、安全システムにアクティブ化させることと
を含む動作を行わせる命令を格納する1つまたは複数のコンピューター読取り可能媒体と
を備えたことを特徴とするシステム。
【請求項9】
前記オブジェクトは、第1のオブジェクトであり、前記動作は、
前記環境内の第2のオブジェクトを識別することと、
前記第1のオブジェクトに関連付けられた第1の優先順位を決定することと、
前記第2のオブジェクトに関連付けられた第2の優先順位を決定することと、
前記第1の優先順位と前記第2の優先順位とに少なくとも部分的に基づいて、前記第1のオブジェクトに対して前記安全システムをアクティブ化することを決定することと
をさらに含むことを特徴とする請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記オブジェクトロケーションは、第1のオブジェクトロケーションであり、前記オブジェクト軌道は、第1のオブジェクト軌道であり、前記動作は、
第2のオブジェクトロケーションを決定することであって、前記第2のオブジェクトロケーションは、前記環境内の前記第2のオブジェクトの位置または向きのうちの1つまたは複数を識別する、ことと、
前記第2のオブジェクトロケーションに少なくとも部分的に基づいて第2のオブジェクト軌道を決定することと
をさらに含み、
前記第1の優先順位を決定することは、前記第1のオブジェクト軌道に少なくとも部分的に基づき、前記第2の優先順位を決定することは、前記第2のオブジェクト軌道に少なくとも部分的に基づく
ことを特徴とする請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記動作は、
前記第1のオブジェクトに関連付けられたオブジェクトの第1のタイプを決定することと、
前記第2のオブジェクトに関連付けられたオブジェクトの第2のタイプを決定することと
をさらに含み、
前記第1の優先順位を決定することは、オブジェクトの前記第1のタイプに少なくとも部分的に基づき、前記第2の優先順位を決定することは、オブジェクトの前記第2のタイプに少なくとも部分的に基づく
ことを特徴とする請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記オブジェクトロケーションは、第1のオブジェクトロケーションであり、前記環境内の前記オブジェクトの前記位置または前記向きのうちの前記1つまたは複数は、前記環境内の前記オブジェクトの第1の位置または第1の向きのうちの1つまたは複数であり、前記動作は、
第2のオブジェクトロケーションを決定することであって、前記第2のオブジェクトロケーションは、前記環境内の前記オブジェクトの第2の位置または第2の向きのうちの1つまたは複数を識別する、ことと、
前記第1のオブジェクトロケーションと前記第2のオブジェクトロケーションとに少なくとも部分的に基づいて、前記オブジェクトに関連付けられた行動を決定することと
をさらに備え、
前記安全システムにアクティブ化させることは、前記オブジェクトに関連付けられた前記行動にさらに基づく
ことを特徴とする請求項8に記載のシステム。
【請求項13】
前記オブジェクトロケーションは、第1のオブジェクトロケーションであり、前記環境内の前記オブジェクトの前記位置または前記向きのうちの前記1つまたは複数は、前記環境内の前記オブジェクトの第1の位置または第1の向きのうちの1つまたは複数であり、前記オブジェクト軌道は、第1のオブジェクト軌道であり、前記安全システムは、第1の安全システムであり、前記動作は、
第2のオブジェクトロケーションを決定することであって、前記第2のオブジェクトロケーションは、前記環境内の前記オブジェクトの第2の位置または第2の向きのうちの1つまたは複数を識別する、ことと、
前記第2のオブジェクトロケーションに少なくとも部分的に基づいて第2のオブジェクト軌道を決定することと、
前記車両軌道と前記第2のオブジェクト軌道とに少なくとも部分的に基づいて、第2の安全システムにアクティブ化させることと
をさらに含むことを特徴とする請求項8に記載のシステム。
【請求項14】
前記動作は、
前記オブジェクトに関連付けられた分類を決定することと、
前記分類に少なくとも部分的に基づいて、前記オブジェクトに関連付けられたサブクラスを決定することと、
前記オブジェクトに関連付けられた前記サブクラスに少なくとも部分的に基づいて前記安全システムを選択することと
をさらに含むことを特徴とする請求項8に記載のシステム。
【請求項15】
1つまたは複数のプロセッサーによって実行されると、システムに、
車両に関連付けられたセンサーからセンサーデータを受信することと、
環境内の車両ロケーションを決定することであって、前記車両ロケーションは、前記環境内の前記車両の位置または向きのうちの1つまたは複数を識別する、ことと、
車両軌道に沿って前記車両を進行させることであって、前記車両軌道は、前記環境内の少なくとも第1のロケーションと第2のロケーションとの間において前記車両を進行させることに関連付けられた計画された経路のサブセットを示す、ことと、
前記環境内のオブジェクトについてのオブジェクトロケーションを決定することと、
前記オブジェクトロケーションに少なくとも部分的に基づいて、オブジェクト軌道を決定することと、
前記オブジェクト軌道および前記車両軌道に基づいて、複数のしきい値ロケーションを決定すること
であって、前記複数のしきい値ロケーションのそれぞれは前記車両に対する距離に関連付けられていることと、
前記オブジェクトが前記複数のしきい値ロケーションのうちのしきい値ロケーションに位置されることに少なくとも部分的に基づいて、安全システムにアクティブ化させることと
を含む動作を行わせる命令を格納する非一時的なコンピューター読取り可能媒体。
【請求項16】
前記オブジェクトは、第1のオブジェクトであり、前記動作は、
前記環境内の第2のオブジェクトを識別することと、
前記第1のオブジェクトに関連付けられた第1の優先順位を決定することと、
前記第2のオブジェクトに関連付けられた第2の優先順位を決定することと、
前記第1の優先順位と前記第2の優先順位とに少なくとも部分的に基づいて、前記第1のオブジェクトに対して前記安全システムをアクティブ化することを決定することと
をさらに含むことを特徴とする請求項15に記載の非一時的なコンピューター読取り可能媒体。
【請求項17】
前記オブジェクトロケーションは、第1のオブジェクトロケーションであり、前記オブジェクト軌道は、第1のオブジェクト軌道であり、前記動作は、
前記環境内の前記第2のオブジェクトについての第2のオブジェクトロケーションを決定することと、
前記第2のオブジェクトロケーションに少なくとも部分的に基づいて、第2のオブジェクト軌道を決定することと
をさらに含み、
前記第1の優先順位を決定することは、前記第1のオブジェクト軌道に少なくとも部分的に基づき、前記第2の優先順位を決定することは、前記第2のオブジェクト軌道に少なくとも部分的に基づく
ことを特徴とする請求項16に記載の非一時的なコンピューター読取り可能媒体。
【請求項18】
前記動作は、
前記第1のオブジェクトに関連付けられたオブジェクトの第1のタイプを決定することと、
前記第2のオブジェクトに関連付けられたオブジェクトの第2のタイプを決定することと
をさらに含み、
前記第1の優先順位を決定することは、オブジェクトの前記第1のタイプに少なくとも部分的に基づき、前記第2の優先順位を決定することは、オブジェクトの前記第2のタイプに少なくとも部分的に基づく
ことを特徴とする請求項16に記載の非一時的なコンピューター読取り可能媒体。
【請求項19】
前記オブジェクトロケーションは、第1のオブジェクトロケーションであり、前記動作は、
前記環境内の第2のオブジェクトロケーションを決定することと、
前記第1のオブジェクトロケーションと前記第2のオブジェクトロケーションとに少なくとも部分的に基づいて、前記オブジェクトに関連付けられた行動を決定することと
をさらに含み、
前記安全システムにアクティブ化させることは、前記オブジェクトに関連付けられた前記行動にさらに基づく
ことを特徴とする請求項15に記載の非一時的なコンピューター読取り可能媒体。
【請求項20】
前記オブジェクトロケーションは、第1のオブジェクトロケーションであり、前記オブジェクト軌道は、第1のオブジェクト軌道であり、前記安全システムは、第1の安全システムであり、前記動作は、
前記環境内の第2のオブジェクトロケーションを決定することと、
前記第2のオブジェクトロケーションに少なくとも部分的に基づいて、第2のオブジェクト軌道を決定することと、
前記車両軌道と前記第2のオブジェクト軌道とに少なくとも部分的に基づいて、第2の安全システムにアクティブ化させることと
をさらに含むことを特徴とする請求項15に記載の非一時的なコンピューター読取り可能媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願の実施形態は、全般的にロボット車両における安全システムのための方法、システム、および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2015年11月4日に出願された米国特許出願第14/932,954号明細書の継続出願であり、これは、2015年11月4日に出願された「Autonomous Vehicle Fleet Service and System」と題されている米国特許出願第14/932,959号明細書、2015年11月4日に出願された「Adaptive Mapping to Navigate Autonomous Vehicles Responsive to Physical Environment Changes」と題されている米国特許出願第14/932,963号明細書、および2015年11月4日に出願された「Robotic Vehicle Active Safety Systems and Methods」と題されている米国特許出願第14/932,962号明細書に関連しており、これらのすべては、すべての目的のためにそれらの全体が参照によって本明細書に組み込まれている。
【0003】
搭乗者を移送するように設計されているタイプなどの自律車両は、たとえば、算出された軌道(たとえば、算出された経路)を自律的に進行するように設計されている場合がある。自律車両の動作上の1つの目的は、自律車両の動作中に遭遇される可能性があるその他の車両、歩行者、またはその他の障害物との衝突を回避することであるはずである。しかしながら、自律車両は、道路をその他の車両、歩行者、およびその他の障害物と共有する場合があり、それらは、それらのアクションによって、自律車両との潜在的な衝突をもたらし得る状況、またはその他の形で自律車両における搭乗者の安全を脅かし得る状況を生み出す可能性がある。一例として、自律車両に乗っている搭乗者は、差し迫っている衝突または車両による予期せぬ操縦に気づかない可能性があり、車両の動作ステータスにおける突然の変化についての何らかの事前通知を提供されない場合には危害を被るかまたは不当に驚かされる可能性がある。
【0004】
したがって、自律車両における内部安全システムを実施するためのシステムおよび方法に対する必要性がある。
【図面の簡単な説明】
【0005】
以降の詳細な説明および添付の図面においては、さまざまな実施形態または例(「例」)が開示されている。
【
図1】自律車両におけるアクティブ安全システムを実施するためのシステムの一例を示す図である。
【
図2A】自律車両におけるアクティブ安全システムを実施するための流れ図の一例を示す図である。
【
図2B】自律車両におけるアクティブ安全システムを実施するための流れ図の別の例を示す図である。
【
図2C】自律車両におけるアクティブ安全システムを実施するための流れ図のさらに別の例を示す図である。
【
図3A】自律車両におけるアクティブ安全システムを実施するためのシステムの一例を示す図である。
【
図3B】自律車両におけるアクティブ安全システムを実施するためのシステムの別の例を示す図である。
【
図4】自律車両における知覚システムを実施するための流れ図の一例を示す図である。
【
図5】自律車両におけるプランナーシステムによるオブジェクト優先順位付けの一例を示す図である。
【
図6】自律車両におけるアクティブ安全システムにおけるしきい値ロケーションおよび関連付けられている段階的に高まるアラートの一例の上部平面図である。
【
図7】自律車両におけるプランナーシステムを実施するための流れ図の一例を示す図である。
【
図8】自律車両におけるシステムのブロック図の一例を示す図である。
【
図9】自律車両の外部安全システムにおける音響ビームステアリングアレイの一例の上面図である。
【
図10A】センサカバレッジの2つの例の上部平面図である。
【
図10B】センサカバレッジの別の2つの例の上部平面図である。
【
図11A】自律車両の外部安全システムにおける音響ビームステアリングアレイの一例を示す図である。
【
図11B】自律車両における音響ビームステアリングを実施するための流れ図の一例を示す図である。
【
図11C】音響アラートに関連付けられている音響エネルギーを自律車両がオブジェクトへ誘導することの一例の上部平面図である。
【
図12A】自律車両の外部安全システムにおける光エミッタの一例を示す図である。
【
図12B】自律車両の外部安全システムにおける光エミッタの例の輪郭図である。
【
図12C】オブジェクトに対する自律車両の配向に基づく光エミッタアクティブ化の一例の上部平面図である。
【
図12D】オブジェクトに対する自律車両の配向に基づく光エミッタアクティブ化の一例の輪郭図である。
【
図12E】自律車両における光エミッタからの視覚的アラートを実施するための流れ図の一例を示す図である。
【
図12F】視覚的アラートを実施するために光を放射する自律車両の光エミッタの一例の上部平面図である。
【
図13A】自律車両の外部安全システムにおけるブラッダシステムの一例を示す図である。
【
図13B】自律車両の外部安全システムにおけるブラッダの例を示す図である。
【
図13C】自律車両におけるブラッダ展開の例を示す図である。
【
図14】自律車両の内部安全システムにおけるシートベルトテンショニングシステムの一例を示す図である。
【
図15】自律車両の内部安全システムにおけるシートアクチュエータシステムの一例を示す図である。
【
図16A】自律車両における運転システムの一例を示す図である。
【
図16B】自律車両における障害物回避操縦の一例を示す図である。
【
図16C】自律車両における障害物回避操縦の別の例を示す図である。
【
図18】自律車両の内部の別の例の上部平面図である。
【
図19】自律車両における座席の例の断面図である。
【
図20】自律車両のシートカプラおよびパッシブシートアクチュエータの例の上部平面図である。
【
図21】自律車両のシートカプラおよびアクティブシートアクチュエータの例の上部平面図である。
【
図22】自律車両の内部安全システムにおけるシートベルトテンショナーの一例を示す図である。
【
図23】自律車両における衝撃ポイントの優先度による操縦の例を示す図である。
【
図24】自律車両における衝撃ポイントの優先度による操縦の別の例を示す図である。
【
図25】自律車両における内部安全システムを実施するための流れ図の一例を示す図である。
【
図26】自律車両における内部安全システムを実施するための流れ図の別の例を示す図である。
【0006】
上述されている図面は、本発明のさまざまな例を示しているが、本発明は、示されている例によって限定されるものではない。図面においては、同様の参照番号は、同様の構造的な要素を指しているということを理解されたい。また、図面は必ずしも縮尺どおりになっていないということが理解される。
【発明を実施するための形態】
【0007】
さまざまな実施形態または例が、システム、プロセス、方法、装置、ユーザインターフェース、ソフトウェア、ファームウェア、ロジック、回路、または、非一時的コンピュータ可読メディアにおいて具体化される一連の実行可能なプログラム命令としてなど、多くの方法で実施されることが可能である。プログラム命令は、コンピュータネットワークのような、光学的な、電子的な、またはワイヤレスの通信リンクを介して送信され、非一時的コンピュータ可読メディア内に格納されるか、またはその他の形で固定される。非一時的コンピュータ可読メディアの例は、たとえば、電子メモリ、RAM、DRAM、SRAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ、ソリッドステートメモリ、ハードディスクドライブ、および不揮発性メモリを含むが、それらには限定されない。1つまたは複数の非一時的コンピュータ可読メディアが、複数のデバイスにわたって分散されることが可能である。一般には、開示されているプロセスのオペレーションは、任意の順序で実行されることが可能である(ただし、特許請求の範囲においてその他の形で提供されている場合は除く)。
【0008】
1つまたは複数の例の詳細な説明が、添付の図とともに以降で提供されている。この詳細な説明は、そのような例に関連して提供されているが、いかなる特定の例にも限定されない。範囲は、特許請求の範囲によってのみ限定され、多くの代替形態、修正形態、および均等形態が包含される。以降の説明においては、徹底的な理解を提供するために多くの具体的な詳細が示されている。これらの詳細は、例の目的で提供されており、記述されている技術は、これらの具体的な詳細のうちのいくつかまたはすべてを伴わずに特許請求の範囲に従って実施されることが可能である。明確にするために、例に関連している技術分野において知られている技術項目は、説明を不必要にわかりにくくすることを回避するために、詳細に記述されていない。
【0009】
図1は、自律車両におけるアクティブ安全システムを実施するためのシステムの一例を示している。
図1においては、(上部平面図において示されている)自律車両100が、自律車両100の外部の環境190内を軌道105に沿って走行している場合がある。説明の目的のために、環境190は、自律車両100と潜在的に衝突する可能性がある1つもしくは複数のオブジェクト、たとえば静的なおよび/もしくは動的なオブジェクト、または自律車両100内に乗っている搭乗者(図示せず)におよび/もしくは自律車両100にその他の何らかの危険をもたらすオブジェクトを含む場合がある。たとえば、
図1においては、オブジェクト180(たとえば、自動車)が、軌道185を有するものとして示されており、この軌道185は、(たとえば、軌道を変えること、減速することなどによって)変更されない場合には、(たとえば、自律車両100に追突することによる)自律車両100との潜在的な衝突187をもたらす可能性がある。
【0010】
自律車両100は、(たとえば、パッシブセンサおよび/またはアクティブセンサを使用して)環境190を感知するためにセンサシステム(図示せず)を使用してオブジェクト180を検知することができ、自律車両100とのオブジェクト180の潜在的な衝突を緩和または防止するためにアクションを取ることができる。自律車両システム101が、センサシステムからのセンサデータ132を受信することができ、(たとえば、自律車両100のローカライザシステムにおいて実装されている)自律車両ロケーションデータ139を受信することができる。センサデータ132は、センサ信号(たとえば、センサシステムのセンサによって生成される信号)を表すデータを含むことができるが、それらには限定されない。センサ信号を表すデータは、自律車両100の外部の環境190を示すことができる。自律車両ロケーションデータ139は、環境190における自律車両100のロケーションを表すデータを含むことができるが、それらには限定されない。一例として、自律車両100のロケーションを表すデータは、位置および配向データ(たとえば、ローカル位置または局所的位置)、(たとえば、1つまたは複数のマップタイルからの)マップデータ、グローバルポジショニングシステム(GPS)によって生成されるデータ、および慣性測定ユニット(IMU)によって生成されるデータを含むことができる。いくつかの例においては、自律車両100のセンサシステムは、グローバルポジショニングシステム、慣性測定ユニット、または両方を含むことができる。
【0011】
自律車両システム101は、経路カリキュレータ112、(たとえば、自律車両100の知覚システムにおいて実装される)オブジェクトデータカリキュレータ114、衝突プレディクタ116、オブジェクト分類デタミネータ118、およびキネマティクスカリキュレータ115を実装するために、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、ロジック、回路、非一時的コンピュータ可読メディアにおいて具体化されるコンピュータ実行可能命令、または前述のものの任意の組合せを含むことができるが、それらには限定されない。自律車両システム101は、オブジェクトタイプデータストア119を含むがそれには限定されない1つまたは複数のデータストアにアクセスすることができる。オブジェクトタイプデータストア119は、環境190において検知されたオブジェクトに関するオブジェクト分類に関連付けられているオブジェクトタイプを表すデータを含むことができる(たとえば、「座っている」、「立っている」、または「走っている」などのさまざまな歩行者オブジェクトタイプは、歩行者として分類されるオブジェクトに関連付けられることが可能である)。
【0012】
経路カリキュレータ112は、たとえば、環境190における自律車両100のロケーションを表すデータ、およびその他のデータ(たとえば、車両ロケーションデータ139に含まれている局所的位置データ)を使用して、自律車両100の軌道(たとえば、軌道105)を表すデータを生成するように構成されることが可能である。経路カリキュレータ112は、たとえば、自律車両100によって実行されることになる今後の軌道を生成するように構成されることが可能である。いくつかの例においては、経路カリキュレータ112は、自律車両100のプランナーシステム内に、または自律車両100のプランナーシステムの一部として埋め込まれることが可能である。その他の例においては、経路カリキュレータ112および/またはプランナーシステムは、環境におけるオブジェクトの予測される動きに関連付けられるデータを計算することができ、オブジェクトの予測される動きに関連付けられる予測されるオブジェクト経路を決定することができる。いくつかの例においては、オブジェクト経路は、予測されるオブジェクト経路を構成することが可能である。その他の例においては、オブジェクト経路は、予測されるオブジェクト軌道を構成することが可能である。さらに他の例においては、(たとえば、環境における)オブジェクト経路は、予測されるオブジェクト軌道と同じまたは同様である場合がある予測されるオブジェクト軌道を構成することが可能である。
【0013】
オブジェクトデータカリキュレータ114は、環境190に配置されているオブジェクト180のロケーションを表すデータ、オブジェクト180に関連付けられているオブジェクトトラックを表すデータ、およびオブジェクト180に関連付けられているオブジェクト分類を表すデータなどを計算するように構成されることが可能である。オブジェクトデータカリキュレータ114は、たとえば、センサデータ132に含まれているセンサ信号を表すデータを使用して、オブジェクトのロケーションを表すデータ、オブジェクトトラックを表すデータ、およびオブジェクト分類を表すデータを計算することができる。いくつかの例においては、オブジェクトデータカリキュレータ114は、センサ信号(たとえば、センサシステムからのセンサ信号)を表すデータを受信するように構成されて、知覚システムもしくはその一部分において実装されることが可能であり、または知覚システムもしくはその一部分を構成することが可能である。
【0014】
オブジェクト分類デタミネータ118は、オブジェクトタイプ119(たとえば、オブジェクト分類の種類、オブジェクト分類のサブクラス、またはオブジェクト分類のサブセット)を表すデータにアクセスするように構成されることが可能であり、オブジェクトトラックを表すデータおよびオブジェクト分類を表すデータを、オブジェクトタイプ119を表すデータと比較して、オブジェクトタイプ(たとえば、オブジェクト分類の種類またはサブクラス)を表すデータを決定するように構成されることが可能である。一例として、「車」というオブジェクト分類を有する検知されたオブジェクトは、「セダン」、「クーペ」、「トラック」、または「スクールバス」というオブジェクトタイプを有することができる。たとえば、駐車されている「スクールバス」が、「静的な」というさらなるサブクラス(たとえば、そのスクールバスは動いていない)、または「動的な」というさらなるサブクラス(たとえば、そのスクールバスは動いている)を有することができるなど、オブジェクトタイプは、さらなるサブクラスまたはサブセットを含むことができる。
【0015】
衝突プレディクタ116は、オブジェクトタイプを表すデータ、オブジェクトの軌道を表すデータ、および自律車両の軌道を表すデータを使用して、たとえば、自律車両100とオブジェクト180との間における衝突(たとえば、187)を予測するように構成されることが可能である。
【0016】
キネマティクスカリキュレータ115は、たとえば、速度、スピード、加速度、減速度、運動量、局所的位置、および力を含むがそれらには限定されない、環境190におけるオブジェクト180の動きに関連付けられている1つまたは複数のスカラ量および/またはベクトル量を表すデータを算出するように構成されることが可能である。キネマティクスカリキュレータ115からのデータは、たとえば、オブジェクト180と自律車両100との間における衝撃までの推定される時間を表すデータ、およびオブジェクト180と自律車両100との間における距離を表すデータを含むがそれらには限定されないその他のデータを算出するために使用されることが可能である。いくつかの例においては、キネマティクスカリキュレータ115は、環境190におけるその他のオブジェクト(たとえば、車、歩行者、自転車、オートバイなど)が、警戒したもしくはコントロールのきく状態にある可能性、または警戒していない、コントロールのきかない、もしくは酒に酔った状態にある可能性などを予測するように構成されることが可能である。一例として、キネマティクスカリキュレータ115は、その他のエージェント(たとえば、その他の車両の運転手またはライダー)が合理的に行動している確率(たとえば、彼らが運転しているもしくは乗っているオブジェクトの動きに基づく)(これは、自律車両100の行動を決定づける場合がある)、または非合理的に行動している確率(たとえば、彼らが乗っているもしくは運転しているオブジェクトの常軌を逸した動きに基づく)を推定するように構成されることが可能である。合理的なまたは非合理的な行動は、自律車両100の現在のまたは今後の軌道に対するオブジェクトの今後のロケーションを推定または予測するために使用されることが可能である経時的に受信されるセンサデータに基づいて推測されることが可能である。したがって、自律車両100のプランナーシステムは、たとえば、特別に用心深い車両操縦を実施するように、および/または自律車両100の安全システムをアクティブ化するように構成されることが可能である。
【0017】
安全システムアクティベータ120は、衝突プレディクタ116によって衝突が予測される場合に、および/またはその他の安全関連事象(たとえば、急ブレーキ、急加速等など、車両100による緊急時操縦)の発生時に自律車両100の1つまたは複数の安全システムをアクティブ化するように構成されることが可能である。安全システムアクティベータ120は、内部安全システム122、外部安全システム124、運転システム126(たとえば、衝突を回避するために緊急時操縦を運転システム126に実行させる)、または前述のものの任意の組合せをアクティブ化するように構成されることが可能である。たとえば、運転システム126は、車両100の軌道を軌道105から衝突回避軌道105aへ変更することをステアリングシステム(たとえば、ホイールに関するステアリング角またはステアリングベクトルを設定する)および推進システム(たとえば、電気モータへ供給される電力)に行わせるように構成されているデータを受信することができる。
【0018】
図2Aは、自律車両100におけるアクティブ安全システムを実施するための流れ
図200の一例を示している。流れ
図200においては、ステージ202において、自律車両100の外部の環境(たとえば、環境190)における自律車両100の軌道203を表すデータが受信されること(たとえば、自律車両100のプランナーシステムにおいて実装されること)が可能である。
【0019】
ステージ204において、環境(たとえば、環境190)に配置されているオブジェクト(たとえば、自動車180)に関連付けられているオブジェクトデータが計算されることが可能である。オブジェクトデータを計算するためにステージ204においてセンサデータ205がアクセスされることが可能である。オブジェクトデータは、環境におけるオブジェクトロケーション、オブジェクトに関連付けられているオブジェクトトラック(たとえば、動いていないオブジェクトに関しては静的な、および動いているオブジェクトに関しては動的な)、ならびにオブジェクト(たとえば、歩行者、犬、猫、自転車、オートバイ、自動車、トラックなど)に関連付けられているオブジェクト分類(たとえば、ラベル)を表すデータを含むことができるが、それらには限定されない。ステージ204は、環境におけるオブジェクトロケーション207を表すデータ、オブジェクトトラック209を表すデータ、およびオブジェクト分類211を表すデータを含むがそれらには限定されない、オブジェクトに関連付けられている1つまたは複数のタイプのデータを出力することができる。
【0020】
ステージ206において、環境におけるオブジェクトの予測されるオブジェクト経路が計算されることが可能である。一例として、ステージ206は、オブジェクトロケーション207を表すデータを受信することができ、そのデータを処理して、予測されるオブジェクト経路213を表すデータを生成することができる。
【0021】
ステージ208において、オブジェクトタイプ215を表すデータがアクセスされることが可能であり、ステージ210において、オブジェクトトラック209を表すデータ、オブジェクト分類211を表すデータ、およびオブジェクトタイプ215を表すデータに基づいて、オブジェクトタイプ217を表すデータが決定されることが可能である。オブジェクトタイプの例は、ほんのいくつかの例を挙げれば、静的なオブジェクトトラック(たとえば、歩行者が動いていない)を有する歩行者オブジェクトタイプ、動的なオブジェクトトラック(たとえば、自動車が動いている)を有する自動車オブジェクトタイプ、および静的なオブジェクトトラック(たとえば、交通標識、レーンマーカ、消火栓)を有するインフラストラクチャーオブジェクトタイプなどを含むことができるが、それらには限定されない。ステージ210は、オブジェクトタイプ217を表すデータを出力することができる。
【0022】
ステージ212において、決定されたオブジェクトタイプ217、自律車両軌道203、および予測されるオブジェクト経路213に基づいて、自律車両とオブジェクトとの間における衝突が予測されることが可能である。一例として、動的であるオブジェクトトラック(たとえば、オブジェクトが環境において動いている)を有するオブジェクト、自律車両の軌道と潜在的な対立状態にあるオブジェクトの軌道(たとえば、それらの軌道が、互いに交差するかまたはその他の形で干渉する可能性がある)、およびオブジェクトが衝突脅威である可能性が高いということを示す(たとえば、オブジェクトタイプ217を算出する際に使用された)オブジェクト分類211を有するオブジェクト(たとえば、そのオブジェクトが、自動車、スケートボーダー、自転車運転者、オートバイなどとして分類されている)に起因して、決定されたオブジェクトタイプ217に部分的に基づいて衝突が予測されることが可能である。
【0023】
(たとえば、ステージ212において)衝突が予測される場合には、ステージ214において、自律車両の安全システムがアクティブ化されることが可能である。ステージ214は、たとえば、1つもしくは複数の内部安全システム、1つもしくは複数の外部安全システム、1つもしくは複数の運転システム(たとえば、ステアリング、推進、制動など)、または前述のものの組合せなど、自律車両の1つまたは複数の安全システムをアクティブ化することができる。ステージ214は、自律車両100の安全システムのうちの1つまたは複数をアクティブ化することを(たとえば、データおよび/または信号を通信することによって)安全システムアクティベータ220に行わせることができる。
【0024】
図2Bは、自律車両100におけるアクティブ安全システムを実施するための流れ
図250の別の例を示している。流れ
図250においては、ステージ252において、自律車両100の外部の環境(たとえば、環境190)における自律車両100の軌道253を表すデータが(たとえば、自律車両100のプランナーシステムから)受信されることが可能である。
【0025】
ステージ254において、環境におけるオブジェクトのロケーションが決定されることが可能である。環境257におけるオブジェクトロケーションを表すデータを決定するために、(たとえば、知覚システムによって)センサデータ255が処理されることが可能である。環境(たとえば、環境190)におけるオブジェクトに関連付けられているデータ(たとえば、オブジェクト180に関連付けられているオブジェクトデータ)が、ステージ254において決定されることが可能である。ステージ254においてアクセスされたセンサデータ255は、オブジェクトデータを決定するために使用されることが可能である。オブジェクトデータは、環境におけるオブジェクトのロケーション、オブジェクトに関連付けられているオブジェクトトラック(たとえば、動いていないオブジェクトに関しては静的な、および動いているオブジェクトに関しては動的な)、オブジェクト(たとえば、歩行者、犬、猫、自転車、オートバイ、自動車、トラックなど)に関連付けられているオブジェクト分類、ならびにオブジェクトに関連付けられているオブジェクトタイプを表すデータを含むことができるが、それらには限定されない。ステージ254は、環境におけるオブジェクトロケーション257を表すデータ、オブジェクトに関連付けられているオブジェクトトラック261を表すデータ、オブジェクトに関連付けられているオブジェクト分類263を表すデータ、およびオブジェクトに関連付けられているオブジェクトタイプ259を表すデータを含むがそれらには限定されない、オブジェクトに関連付けられている1つまたは複数のタイプのデータを出力することができる。
【0026】
ステージ256において、環境におけるオブジェクトの予測されるオブジェクト経路が計算されることが可能である。一例として、ステージ256は、オブジェクトロケーション257を表すデータを受信することができ、そのデータを処理して、予測されるオブジェクト経路265を表すデータを生成することができる。いくつかの例においては、ステージ256において生成された、予測されるオブジェクト経路265を表すデータは、流れ
図250の別のステージにおける、たとえばステージ258におけるデータ入力として使用されることが可能である。その他の例においては、ステージ256が迂回されることが可能であり、流れ
図250は、ステージ254からステージ258へ遷移することができる。
【0027】
ステージ258において、自律車両軌道253およびオブジェクトロケーション265に基づいて、自律車両とオブジェクトとの間における衝突が予測されることが可能である。オブジェクトロケーション257は、環境におけるオブジェクトの動きに起因して第1のロケーションから次のロケーションへ変わることが可能である。たとえば、別々の時点において、オブジェクトは、動いている場合があり(たとえば、動的な「D」というオブジェクトトラックを有し)、動いていない場合があり(たとえば、静的な「S」というオブジェクトトラックを有し)、または両方である場合がある。しかしながら、知覚システムは、それらの別々の時点の間に(たとえば、センサシステムからのセンサデータを使用して)オブジェクトを継続的に追跡把握して、それらの別々の時点におけるオブジェクトロケーション257を決定することができる。オブジェクトの動きの方向における変化、および/またはオブジェクトの動いている状態と動いていない状態との間における切り替えに起因して、ステージ256において計算される予測されるオブジェクト経路265は、決定することが困難である場合があり、したがって、予測されるオブジェクト経路265は、ステージ258におけるデータ入力として使用される必要はない。
【0028】
ステージ258は、たとえば、オブジェクトタイプ259および予測されるオブジェクト経路265など、
図2Bにおいて示されていないデータを使用して衝突を予測することができる。第1の例として、ステージ258において、自律車両軌道253、オブジェクトロケーション257、およびオブジェクトタイプ259に基づいて、自律車両とオブジェクトとの間における衝突が予測されることが可能である。第2の例として、ステージ258において、自律車両軌道253および予測されるオブジェクト経路265に基づいて、自律車両とオブジェクトとの間における衝突が予測されることが可能である。第3の例として、ステージ258において、自律車両軌道253、予測されるオブジェクト経路265、およびオブジェクトタイプ259に基づいて、自律車両とオブジェクトとの間における衝突が予測されることが可能である。
【0029】
(たとえば、ステージ258において)衝突が予測される場合には、ステージ260において、自律車両の安全システムがアクティブ化されることが可能である。ステージ260は、たとえば、1つもしくは複数の内部安全システム、1つもしくは複数の外部安全システム、1つもしくは複数の運転システム(たとえば、ステアリング、推進、制動など)、または前述のものの組合せなど、自律車両の1つまたは複数の安全システムをアクティブ化することができる。ステージ260は、自律車両の安全システムのうちの1つまたは複数をアクティブ化することを(たとえば、データおよび/または信号を通信することによって)安全システムアクティベータ269に行わせることができる。
【0030】
図2Cは、自律車両におけるアクティブ安全システムを実施するための流れ
図270のさらに別の例を示している。ステージ272において、自律車両100の外部の環境(たとえば、環境190)における自律車両100の軌道273を表すデータが(たとえば、自律車両100のプランナーシステムから)受信されることが可能である。
【0031】
ステージ274において、たとえばセンサデータ275を使用して、(たとえば、知覚システムによって)環境におけるオブジェクトのロケーションが決定されることが可能である。ステージ274は、オブジェクトロケーション279を表すデータを生成することができる。オブジェクトロケーション279を表すデータは、環境におけるオブジェクトのロケーションに対するオブジェクトの動き281の予測される進度を表すデータを含むことができる。たとえば、環境における動きがないことを示す静的なオブジェクトトラックをオブジェクトが有している場合には、動き281の予測進度はゼロであり得る。しかしながら、オブジェクトのオブジェクトトラックが動的であり、オブジェクト分類が自動車である場合には、動き281の予測される進度はゼロではないものであり得る。
【0032】
ステージ276において、動き281の予測される進度に基づいて、環境におけるオブジェクトの予測される次のロケーションが計算されることが可能である。ステージ276は、予測される次のロケーション283を表すデータを生成することができる。
【0033】
ステージ278において、予測される次のロケーション283および自律車両軌道273に基づいて、オブジェクトと自律車両との間における衝撃の確率が予測されることが可能である。ステージ278は、衝撃の確率285を表すデータを生成することができる。
【0034】
ステージ280において、自律車両の安全システムのサブセットのさまざまな段階的に高まる機能をアクティブ化するためのしきい値のサブセット(たとえば、環境におけるロケーションまたは距離)が、衝撃の確率285に基づいて計算されることが可能である。しきい値の少なくとも1つのサブセットは、自律車両の安全システムのさまざまな段階的に高まる機能のアクティブ化に関連付けられている。ステージ280は、1つまたは複数のしきい値サブセット287を表すデータを生成することができる。いくつかの例においては、しきい値のサブセットは、自律車両に対するロケーションを構成することができ、または自律車両に対する距離を構成することができる。たとえば、しきい値は、基準ロケーション(たとえば、自律車両)に対するロケーションまたは一連のロケーションの関数であることが可能である。さらに、しきい値は、オブジェクトおよび自律車両に対する距離、または予測されるオブジェクトロケーション間における距離を含む、任意のオブジェクトもしくはオブジェクトロケーション間における距離の関数であることが可能である。
【0035】
ステージ282において、関連付けられている予測される確率に基づいて、安全システムのさまざまな段階的に高まる機能のうちの1つまたは複数がアクティブ化されることが可能である(たとえば、今にも起こりそうな衝突を示す衝撃の確率の予測されるセットに基づくブラッダのアクティブ化)。ステージ282は、衝突の確率の対応する1つまたは複数のセットに基づいて自律車両の安全システムのうちの1つまたは複数をアクティブ化することを(たとえば、データおよび/または信号を通信することによって)安全システムアクティベータ289に行わせることができる。
【0036】
図3Aは、自律車両におけるアクティブ安全システムを実施するためのシステムの一例300を示している。
図3Aにおいては、自律車両システム301が、センサシステム320を含むことができ、センサシステム320は、(たとえば、リアルタイムで、またはほぼリアルタイムで)環境390を感知してセンサデータ332および334(たとえば、センサ信号を表すデータ)を(たとえば、リアルタイムで)生成するように構成されているセンサ328を含む。
【0037】
自律車両システム301は、知覚システム340を含むことができ、知覚システム340は、環境390におけるオブジェクトを検知し、オブジェクトに関するオブジェクトトラックを決定し、オブジェクトを分類し、環境390におけるオブジェクトのロケーションを追跡把握し、たとえば、交通標識/信号、ロードマーキング、レーンマーキング等など、環境390における特定のタイプのオブジェクトを検知するように構成されている。知覚システム340は、センサシステム320からのセンサデータ334を受信することができる。
【0038】
自律車両システム301は、環境390における自律車両のロケーションを決定するように構成されているローカライザシステム330を含むことができる。ローカライザシステム330は、センサシステム320からのセンサデータ332を受信することができる。いくつかの例においては、ローカライザシステム330によって受信されるセンサデータ332は、知覚システム340によって受信されるセンサデータ334と同じではない場合がある。たとえば、知覚システム330は、ライダ(LIDAR)(たとえば、2D、3D、カラーライダ)、レーダ(RADAR)、およびカメラ(たとえば、イメージ取り込みデバイス)を含むがそれらには限定されないセンサからのデータ334を受信することができ、その一方でローカライザシステム330は、グローバルポジショニングシステム(GPS)データ、慣性測定ユニット(IMU)データ、マップデータ、ルートデータ、ルートネットワーク定義ファイル(RNDF)データ、およびマップタイルデータを含むがそれらには限定されないデータ332を受信することができる。ローカライザシステム330は、データストア、データリポジトリ、メモリ等など、センサシステム320以外のソースからデータを受信することができる。その他の例においては、ローカライザシステム330によって受信されるセンサデータ332は、知覚システム340によって受信されるセンサデータ334と同じである場合がある。さまざまな例においては、ローカライザシステム330および知覚システム340は、同様のもしくは同等のセンサ、または同様のもしくは同等のタイプのセンサを実装することが可能であり、または実装しないことも可能である。さらに、ローカライザシステム330および知覚システム340はそれぞれ、互いに独立して任意のタイプのセンサデータ332を実装することができる。
【0039】
知覚システム340は、センサデータ334を処理して、オブジェクトデータ349を生成することができ、オブジェクトデータ349は、プランナーシステム310によって受信されることが可能である。オブジェクトデータ349は、環境390において検知されるオブジェクトに関連付けられているデータを含むことができ、それらのデータは、たとえば、オブジェクト分類、オブジェクトタイプ、オブジェクトトラック、オブジェクトロケーション、予測されるオブジェクト経路、予測されるオブジェクト軌道、およびオブジェクト速度を表すデータを含むことができるが、それらには限定されない。
【0040】
ローカライザシステム330は、センサデータ334、および任意選択でその他のデータを処理して、位置および配向データ、局所的位置データ339を生成することができ、それらのデータは、プランナーシステム310によって受信されることが可能である。局所的位置データ339は、たとえば、環境390における自律車両のロケーションを表すデータ、GPSデータ、IMUデータ、マップデータ、ルートデータ、ルートネットワーク定義ファイル(RNDF)データ、オドメトリデータ、ホイールエンコーダデータ、およびマップタイルデータを含むことができるが、それらには限定されない。
【0041】
プランナーシステム310は、オブジェクトデータ349および局所的位置データ339を処理して、環境390を通る自律車両のための経路(たとえば、自律車両の軌道)を算出することができる。算出された経路は、たとえば、自律車両に対する障害物を生じさせる可能性がある、および/または自律車両に対する衝突脅威に位置する可能性がある、環境390におけるオブジェクトによって部分的に決定される。
【0042】
プランナーシステム310は、1つまたは複数の車両コントローラ350との間でコントロールおよびデータ317を通信するように構成されることが可能である。コントロールおよびデータ317は、運転システム326を介して自律車両の運転操作(たとえば、ステアリング、制動、推進、シグナリングなど)をコントロールして、自律車両の1つまたは複数の内部安全システム322をアクティブ化し、自律車両の1つまたは複数の外部安全システム324をアクティブ化するように構成されている情報を含むことができる。運転システム326は、たとえば衝突回避操縦など、自律車両の能動的な安全に関連付けられているさらなる機能を実行することができる。
【0043】
車両コントローラ350は、コントロールおよびデータ317を受信し、コントロールおよびデータ317に基づいて、内部データ323、外部データ325、および運転データ327を、たとえばコントロールおよびデータ317によって決定されたとおりに、それぞれ内部安全システム322、外部安全システム324、および運転システム326へ通信するように構成されることが可能である。一例として、プランナーシステム310が、環境390におけるオブジェクトのいくつかのアクションに基づいて、内部安全システム322がアクティブ化されるべきであるということを決定した場合には、コントロールおよびデータ317は、内部安全システム322の1つまたは複数の機能をアクティブ化するための内部データ323を車両コントローラ350に生成させるように構成されている情報を含むことができる。
【0044】
自律車両システム301、ならびにその関連付けられているシステム310、320、330、340、350、322、324、および326は、データストア311(たとえば、データリポジトリ)からのデータ315、および/または外部リソース313(たとえば、クラウド、インターネット、ワイヤレスネットワーク)からのデータ312にアクセスするように構成されることが可能である。自律車両システム301、ならびにその関連付けられているシステム310、320、330、340、350、322、324、および326は、
図3Aにおいて示されているものを含むがそれらには限定されないさまざまなシステムおよび/またはデータソースからのデータにリアルタイムでアクセスするように構成されることが可能である。一例として、ローカライザシステム330および知覚システム340は、センサデータ332およびセンサデータ334にリアルタイムでアクセスするように構成されることが可能である。別の例として、プランナーシステム310は、オブジェクトデータ349、局所的位置データ339、ならびにコントロールおよびデータ317にリアルタイムでアクセスするように構成されることが可能である。その他の例においては、プランナーシステム310は、データストア311および/または外部リソース313にリアルタイムでアクセスするように構成されることが可能である。
【0045】
図3Bは、自律車両におけるアクティブ安全システムを実施するためのシステムの別の例399を示している。例399においては、センサシステム320におけるセンサ328は、たとえば、光検出および測距センサ371(ライダ)、イメージ取り込みセンサ373(たとえば、カメラ)、無線検出および測距センサ375(レーダ)、音取り込みセンサ377(たとえば、マイクロフォン)、グローバルポジショニングシステムセンサ(GPS)、および/または慣性測定ユニットセンサ(IMU)379、ならびに環境センサ372(たとえば、温度、バロメータ圧)のうちの1つまたは複数を含むことができるが、それらには限定されない。ローカライザシステム330および知覚システム340は、センサデータ332および/またはセンサデータ334をそれぞれセンサ328のうちの1つまたは複数から受信することができる。たとえば、知覚システム340は、ライダ371、カメラ373、レーダ375、環境372、およびマイクロフォン377からのセンサデータなど、環境390におけるオブジェクトに関連付けられている情報を決定することに関連しているセンサデータ334を受信することができ、その一方でローカライザシステム330は、GPS/IMU379からなど、環境390における自律車両のロケーションに関連付けられているセンサデータ332を受信することができる。さらに、ローカライザシステム330は、たとえば、マップデータ、マップタイルデータ、ルートデータ、ルートネットワーク定義ファイル(RNDF)データ、データストア、データリポジトリ等など、センサシステム320以外のソースからデータを受信することができる。いくつかの例においては、ローカライザシステム330によって受信されるセンサデータ(332、334)は、知覚システム340によって受信されるセンサデータ(332、334)と同じである場合がある。その他の例においては、ローカライザシステム330によって受信されるセンサデータ(332、334)は、知覚システム340によって受信されるセンサデータ(332、334)と同じではない場合がある。センサデータ332および334はそれぞれ、センサシステム320における1つまたは複数のセンサまたはセンサタイプの任意の組合せからのデータを含むことができる。センサデータ332および334の数量およびタイプは、他方から独立していることが可能であり、同様もしくは同等であることが可能であり、または同様もしくは同等ではないことも可能である。
【0046】
一例として、ローカライザシステム330は、自律車両100の位置における経時的な変化を推定するためのモーションセンサからのオドメトリデータ336、(たとえば、推進システム368による)ホイール回転に基づいて自律車両100の動き、距離、およびその他のメトリックを計算するためのホイールエンコーダ337、マップタイルを表すデータ、ルートデータ、ルートネットワーク定義ファイル(RNDF)データ、および/またはその他のデータからのマップデータ335、ならびに、自律車両100の(たとえば、シミュレーション、取り込まれたデータなどからの)車両動態のモデルに基づいて車両ロケーションデータを計算するために使用されることが可能である自律車両(AV)モデル338を表すデータなど、センサデータ(332、334)以外のソースからのデータに対して受信および/またはアクセスを行うことができる。ローカライザシステム330は、局所的位置データ339を表すデータを生成するために示されているデータリソースのうちの1つまたは複数を使用することができる。
【0047】
別の例として、知覚システム340は、センサデータ(332、334)を解析もしくはその他の形で分析、処理、または操作して、オブジェクト検知341、オブジェクトトラック343(たとえば、どの検知されたオブジェクトが静的であるか(動いていないか)およびどれが動的であるか(動いているか)を決定すること)、オブジェクト分類345(たとえば、車、オートバイ、自転車、歩行者、スケートボーダー、郵便ポスト、建物、街灯など)、オブジェクト追跡把握347(たとえば、環境390におけるオブジェクトのロケーションにおける変化に基づいてオブジェクトを追跡把握すること)、ならびに交通信号/標識検知342(たとえば、停止信号、停止標識、踏切、レーンマーカ、横断歩道など)を実施することができる。
【0048】
さらに別の例として、プランナーシステム310は、局所的位置データ339およびオブジェクトデータ349を受信することができ、データ(局所的位置データ339、オブジェクトデータ349)を解析もしくはその他の形で分析、処理、または操作して、たとえば、軌道計算381、しきい値ロケーション推定386、オーディオ信号選択389、光パターン選択382、キネマティクス計算384、オブジェクトタイプ検知387、衝突予測385、およびオブジェクトデータ計算383を含むがそれらには限定されない機能を実施することができる。プランナーシステム310は、軌道およびコントロールデータ317を車両コントローラ350へ通信することができる。車両コントローラ350は、車両コントロールおよびデータ317を処理して、運転システムデータ327、内部安全システムデータ323、および外部安全システムデータ325を生成することができる。運転システムデータ327は、運転システム326へ通信されることが可能である。運転システム326は、運転システムデータ327を制動システム364、ステアリングシステム366、推進システム368、およびシグナルシステム362(たとえば、ターンシグナル、ブレーキシグナル、ヘッドライト、および走行用ライト)へ通信することができる。たとえば、運転システムデータ327は、ステアリングシステム366のためのステアリング角データ(たとえば、ホイールに関するステアリング角)、ブレーキシステム364のための制動データ(たとえば、ブレーキパッドに加えられることになるブレーキ力)、および推進システム368のための推進データ(たとえば、モータに加えられることになる電圧、電流、または電力)を含むことができる。破線377は、車両軌道処理レイヤと車両物理的実行レイヤとの間における境界を表すことができ、車両軌道処理レイヤにおいて処理されるデータは、運転システム326、内部安全システム322、または外部安全システム324のうちの1つまたは複数によって実装される。一例として、内部安全システム322の1つまたは複数の部分は、衝突および/またはその他の極端な事象(たとえば、自律車両100による衝突回避操縦)の場合に自律車両100における搭乗者の安全を高めるように構成されることが可能である。別の例として、外部安全システム324の1つまたは複数の部分は、上述の衝突および/または極端な事象の衝撃力またはマイナスの影響を低減するように構成されることが可能である。
【0049】
内部安全システム322は、シートアクチュエータシステム363およびシートベルトテンショニングシステム361を含むがそれらには限定されないシステムを有することができる。外部安全システム324は、音響アレイシステム365、光エミッタシステム367、およびブラッダシステム369を含むがそれらには限定されないシステムを有することができる。運転システム326は、制動システム364、シグナルシステム362、ステアリングシステム366、および推進システム368を含むがそれらには限定されないシステムを有することができる。外部安全システム324におけるシステムは、光エミッタシステム367における1つまたは複数の光エミッタ(図示せず)を使用して光を環境390へと放射すること、音響ビームステアリングアレイ365における1つまたは複数の音響ビームステアリングアレイ(図示せず)を使用して音響エネルギー(たとえば、音)の誘導されるビームを環境390へと放射することによって、またはブラッダシステム369における1つまたは複数のブラッダ(図示せず)を、展開されていない位置から、展開された位置へ膨張させることによって、または前述のものの任意の組合せによって環境390とのインターフェースを取るように構成されることが可能である。さらに、音響ビームステアリングアレイ365は、たとえば、トランスデューサ、エアホーン、または共鳴器を使用して、音響エネルギーを環境へと放射することができる。音響エネルギーは、無指向性であることが可能であり、または誘導されるビーム、もしくはその他の形で焦点を絞られた音(たとえば、超音波源の指向性の音響源、フェーズドアレイ、パラメトリックアレイ、大型ラジエータ)を構成することができる。したがって、外部安全システム324におけるシステムは、自律車両100の外部表面に関連付けられているロケーション(たとえば、
図1における100e)など、それらのシステムが環境390とのインターフェースを取ることを可能にするように構成されている自律車両100の1つまたは複数のロケーションに配置されることが可能である。内部安全システム322におけるシステムは、自律車両100の内部に関連付けられている1つまたは複数のロケーション(たとえば、
図1における100i)に配置されることが可能であり、座席、ベンチシート、フロア、レール、ブラケット、支柱、またはその他の構造など、自律車両100の1つまたは複数の構造に接続されることが可能である。シートベルトテンショニングシステム361およびシートアクチュエータシステム363は、たとえば、衝突、車両加速、車両減速、回避操縦、急旋回、急ブレーキなどに起因して生じる可能性がある機械的負荷を支持するように構成されている1つまたは複数の構造と結合されることが可能である。
【0050】
図4は、自律車両における知覚システムを実施するための流れ
図400の一例を示している。
図4においては、知覚システム440によって受信される(たとえば、センサシステム420における1つまたは複数のセンサによって生成された)センサデータ434が、センサデータ434a~434c(たとえば、ライダデータ、カラーライダデータ、3D ライダデータ)として視覚的に示されている。ステージ402において、センサデータ434が、検知されたオブジェクトを表すデータを含んでいるか否かに関して決定が行われることが可能である。NO分岐が取られた場合には、流れ
図400は、ステージ402へ戻って、環境におけるオブジェクトを検知するためにセンサデータ434の分析を続けることができる。YES分岐が取られた場合には、流れ
図400は、ステージ404へ続くことができ、ステージ404では、検知されたオブジェクトを表すデータが、交通標識または信号を表すデータを含んでいるか否かに関して決定が行われることが可能である。YES分岐が取られた場合には、流れ
図400は、ステージ406へ遷移することができ、ステージ406では、検知されたオブジェクトを表すデータが分析されて、たとえば、交通信号(たとえば、赤色、黄色、および緑色)、または停止標識(たとえば、形状、文字、および色に基づいて)など、検知された信号/標識オブジェクトのタイプを分類することが可能である。ステージ406における分析は、交通オブジェクトデータストア424にアクセスすることを含むことができ、交通オブジェクトデータストア424では、交通分類を表すデータの例が、検知されたオブジェクトを表すデータと比較されて、交通分類を表すデータ407を生成することが可能である。ステージ406は次いで、ステージ412など、別のステージへ遷移することができる。いくつかの例においては、ステージ404は、任意選択であることが可能であり、ステージ402は、ステージ408へ遷移することができる。
【0051】
ステージ404からNO分岐が取られた場合には、流れ
図400は、ステージ408へ遷移することができ、ステージ408では、検知されたオブジェクトを表すデータが分析されて、分類されることになるその他のオブジェクトタイプを決定することが可能である。YES分岐が取られた場合には、流れ
図400は、ステージ410へ遷移することができ、ステージ410では、検知されたオブジェクトを表すデータが分析されて、オブジェクトのタイプを分類することが可能である。オブジェクト分類を表すデータの格納されている例を、検知されたオブジェクトを表すデータと比較して、オブジェクト分類を表すデータ411を生成するために、オブジェクトデータストア426がアクセスされることが可能である。ステージ410は次いで、ステージ412など、別のステージへ遷移することができる。ステージ408からNO分岐が取られた場合には、ステージ408は、ステージ402へ戻るなど、別のステージへ遷移することができる。
【0052】
ステージ412において、ステージ406および/または410において分類されたオブジェクトデータが分析されて、検知されたオブジェクトを表すデータに関連付けられている動きをセンサデータ434が示しているかどうかを決定することが可能である。動きが示されていない場合には、ステージ414へのNO分岐が取られることが可能であり、ステージ414では、検知されたオブジェクトに関するオブジェクトトラックを表すデータが静的(S)に設定されることが可能である。ステージ416において、オブジェクト(たとえば、静的なオブジェクト)のロケーションを表すデータが追跡把握されることが可能である。たとえば、時間toにおいて検知された静止しているオブジェクトが、その後の時間t1において動いて、動的なオブジェクトになる場合がある。その上、そのオブジェクトのロケーションを表すデータが、プランナーシステム(たとえば、
図3Bにおけるプランナーシステム310)によって受信されるデータに含まれることが可能である。プランナーシステムは、そのオブジェクトのロケーションを表すデータを使用して、そのオブジェクトの座標(たとえば、自律車両100に関する座標)を決定することができる。
【0053】
その一方で、検知されたオブジェクトにおいて動きが示されている場合には、ステージ418へのYES分岐が取られることが可能であり、ステージ418では、検知されたオブジェクトに関するオブジェクトトラックを表すデータが動的(D)に設定されることが可能である。ステージ419において、オブジェクト(たとえば、動的なオブジェクト)のロケーションを表すデータが追跡把握されることが可能である。プランナーシステムは、オブジェクトトラックを表すデータ、および/またはオブジェクトのロケーションを表すデータを分析して、検知されたオブジェクト(静的なまたは動的な)が潜在的に、自律車両に関して対立する軌道を有する可能性があるかどうか、および/または自律車両の付近に近づきすぎる可能性があるかどうかを決定することができ、それによって(たとえば、光エミッタからの、および/または音響ビームステアリングアレイからの)アラートが使用されて、オブジェクトおよび/またはそのオブジェクトをコントロールしている人の行動を変更することが可能である。
【0054】
ステージ422において、オブジェクト分類を表すデータ、オブジェクトトラックを表すデータ、およびオブジェクトのロケーションを表すデータのうちの1つまたは複数が、オブジェクトデータ449(たとえば、プランナーシステムによって受信されたオブジェクトデータ)とともに含まれることが可能である。一例として、センサデータ434aは、オブジェクト(たとえば、スケートボードに乗っている人)を表すデータを含むことができる。ステージ402は、センサデータ434aにおいてそのオブジェクトを検知することができる。ステージ404において、検知されたオブジェクトが交通標識/信号ではないということが決定されることが可能である。ステージ408は、検知されたオブジェクトが別のクラスのものであるということを決定することができ、ステージ410において、オブジェクトデータストア426からアクセスされたデータに基づいて、オブジェクトを表すデータを分析して、分類が、スケートボードに乗っている人にマッチするということを決定し、オブジェクト分類411を表すデータを出力することができる。ステージ412において、検知されたオブジェクトが動いているという決定が行われることが可能であり、ステージ418において、オブジェクトトラックが動的(D)に設定されることが可能であり、オブジェクトのロケーションが、ステージ419において(たとえば、検知されたオブジェクトのロケーションにおける変化を探してセンサデータ434aを引き続き分析することによって)追跡把握されることが可能である。ステージ422において、センサデータ434に関連付けられているオブジェクトデータは、たとえば、分類(たとえば、スケートボードに乗っている人)、オブジェクトトラック(たとえば、オブジェクトが動いている)、オブジェクトのロケーション(たとえば、自律車両の外部の環境におけるスケートボーダー)、およびオブジェクトトラッキングデータを含むことができる。
【0055】
同様に、センサデータ434bに関しては、流れ
図400は、たとえば、オブジェクト分類が歩行者であり、その歩行者は動いており(たとえば、歩いており)、動的なオブジェクトトラックを有しているということを決定することができ、環境におけるオブジェクト(たとえば、歩行者)のロケーションを追跡把握することができる。最後に、センサデータ434cに関しては、流れ
図400は、オブジェクト分類が消火栓であり、その消火栓は動いておらず、静的なオブジェクトトラックを有しているということを決定することができ、消火栓のロケーションを追跡把握することができる。いくつかの例においては、センサデータ434a、434b、および434cに関連付けられているオブジェクトデータ449は、たとえば、オブジェクトトラック、オブジェクト分類、およびオブジェクトのロケーションを含むがそれらには限定されないファクタに基づいてプランナーシステムによってさらに処理されることが可能であるということに留意されたい。一例として、スケートボーダーおよび歩行者のケースにおいては、オブジェクトデータ449は、プランナーシステムが、そのスケートボーダーおよび/または歩行者のために(たとえば、外部安全システムによる)アラートを実施することを決定する事象において、軌道計算、しきい値ロケーション推定、動き予測、ロケーション比較、およびオブジェクト座標のうちの1つまたは複数のために使用されることが可能である。しかしながら、プランナーシステムは、消火栓に関するオブジェクトデータをその静的なオブジェクトトラックに起因して無視することを決定する可能性がある。なぜなら、たとえば、消火栓は、自律車両と対立することになる動きを有する可能性が低い(たとえば、それは動かない)からであり、ならびに/または消火栓は、生き物ではない(たとえば、自律車両の外部安全システムによって生成された放射される光および/もしくはビーム式に誘導される音などのアラートに応答することまたは気づくことができない)からである。
【0056】
図5は、自律車両におけるプランナーシステムによるオブジェクト優先順位付けの一例500を示している。例500は、自律車両100のセンサシステム(たとえば、
図3Bのセンサシステム320)によって感知される自律車両100の外部の環境590の視覚化を示している。自律車両100の知覚システムからのオブジェクトデータは、自動車581d、自転車ライダー583d、歩いている歩行者585d、および2台の駐車されている自動車5875および5895を含むがそれらには限定されない、環境590におけるいくつかのオブジェクトを検知することができる。この例においては、知覚システムが、(たとえば、
図3Bのセンサデータ334に基づいて)動的な「D」オブジェクトトラックをオブジェクト581d、583d、および585dに割り振っておくことが可能であり、したがってラベル「d」は、それらのオブジェクトに関する参照番号に関連付けられている。知覚システムはまた、(たとえば、
図3Bのセンサデータ334に基づいて)静的な「S」オブジェクトトラックをオブジェクト5875および5895に割り振っておくことが可能であり、したがってラベル「s」は、それらのオブジェクトに関する参照番号に関連付けられている。
【0057】
自律車両のローカライザシステムが、環境590における自律車両100のロケーションに関する局所的位置データ539(たとえば、車両100についてのロケーションに対するX、Y、Z座標、またはその他のメトリックもしくは座標系)を決定することができる。いくつかの例においては、局所的位置データ539は、自律車両100の重心(図示せず)またはその他の基準ポイントに関連付けられることが可能である。さらに自律車両100は、矢印によって示されているように軌道Tavを有することができる。2台の駐車されている自動車5875および5895は静的であり、示されている軌道を有していない。自転車ライダー583dは、軌道Tavの方向とほぼ逆の方向にある軌道Tbを有しており、自動車581dは、軌道Tavとほぼ平行で同じ方向にある軌道Tmvを有している。歩行者585dは、車両100の軌道Tavと交差すると予測される軌道Tpを有している。環境590における歩行者585dまたは環境590におけるその他のオブジェクトの動きおよび/または位置は、たとえば、オブジェクトロケーション、予測されるオブジェクトの動き、オブジェクト座標、オブジェクトのロケーションに対する動きの予測進度、およびオブジェクトの予測される次のロケーションを含むがそれらには限定されない、軌道以外のメトリックを使用して追跡把握されるかまたはその他の形で決定されることが可能である。環境590における歩行者585dまたは環境590におけるその他のオブジェクトの動きおよび/または位置は、少なくとも部分的に確率に起因して決定されることが可能である。確率は、たとえば、オブジェクト分類、オブジェクトトラック、オブジェクトロケーション、およびオブジェクトタイプを表すデータに基づくことが可能である。いくつかの例においては、確率は、類似のロケーションにおける類似のオブジェクトに関する以前に観察されたデータに基づくことが可能である。さらに確率は、時刻もしくは曜日、またはその他の時間単位などによっても影響される場合がある。一例として、プランナーシステムは、平日の午後3:00頃と午後4:00頃との間に所与の交差点における歩行者たちが特定の方向に通りを渡る可能性が85%であるということを知ることができる。
【0058】
プランナーシステムは、静的なオブジェクト5875および5895ならびに動的なオブジェクト583dのロケーションを追跡把握することに対して、より低い優先順位を置くことができる。なぜなら、静的なオブジェクト5875および5895は、軌道Tavから外れて配置されており(たとえば、オブジェクト5875および5895は、駐車されており)、動的なオブジェクト583d(たとえば、自転車運転者として識別されているオブジェクト)は、自律車両100から遠ざかる方向に移動しており、それによって、オブジェクト583dの軌道Tbが自律車両100の軌道Tavと対立するかもしれない可能性を低減または除外するからである。
【0059】
しかしながら、プランナーシステムは、歩行者585dのロケーションを追跡把握することに対して、その潜在的に対立する軌道Tpに起因して、より高い優先順位を置くことができ、自動車581dのロケーションを追跡把握することに対しては、わずかに低い優先順位を置くことができる。なぜなら、その軌道Tmvは、現在は軌道Tavと対立していないが、その後の時間に(たとえば、レーンの変更またはその他の車両操縦に起因して)対立する可能性があるからである。したがって、例500に基づくと、歩行者オブジェクト585dは、自律車両100のアラート(たとえば、誘導される音および/もしくは放射される光を使用する)またはその他の安全システムに関する有力候補であり得る。なぜなら、歩行者オブジェクト585dの(たとえば、そのロケーションおよび/または予測される動きに基づく)経路は、自律車両100との(たとえば、推定されるロケーション560における)潜在的な衝突をもたらすか、または歩行者オブジェクト585dと自律車両100との間における(たとえば、今後のいずれかの時間および/またはロケーションにおける)安全でない距離をもたらす可能性があるからである。オブジェクトのロケーションを追跡把握することに対してプランナーシステムによって置かれる優先順位は、プランナーシステムにおける軌道生成のコスト関数に少なくとも部分的に基づいて決定されることが可能である。(たとえば、衝突またはその他の極端な事象を回避するために)自律車両100の軌道における変更を必要とすると予測される可能性があるオブジェクトは、たとえば、自律車両100の軌道における変更を必要としないと予測されるオブジェクトと比較して、より大きな重要性を伴ってコスト関数に織り込まれることが可能である。
【0060】
プランナーシステムは、オブジェクト585dの予測される動きおよび/またはそのオブジェクトの予測されるロケーションに基づいて、環境590におけるオブジェクト585dの可能性の高いロケーションの1つまたは複数の領域565を予測することができる。プランナーシステムは、可能性の高いロケーションのそれぞれの領域565内の1つまたは複数のしきい値ロケーション(たとえば、しきい値境界)を推定することができる。しきい値ロケーションは、自律車両100の1つまたは複数の安全システムに関連付けられることが可能である。しきい値ロケーションの数、距離、および位置は、自律車両100の別々の安全システムごとに異なることが可能である。自律車両100の安全システムは、オブジェクトと自律車両100との間における衝突が予測されるパラメータ範囲においてアクティブ化されることが可能である。パラメータ範囲は、可能性の高いロケーションの領域内の(たとえば、565内の)ロケーションを有することができる。パラメータ範囲は、時間の範囲および/または距離の範囲などのパラメータに部分的に基づくことが可能である。たとえば、オブジェクト585dと自律車両100との間における予測される衝突が発生する可能性がある時間の範囲および/または距離の範囲である。いくつかの例においては、自律車両100の安全システムによるアラートに関する有力候補であることは、(たとえば、プランナーシステムによって決定されるとおりに)実際のアラートが発行されることを自動的にもたらすわけではない。いくつかの例においては、しきい値が満たされるかまたは超過された場合に、オブジェクトが候補になることが可能である。その他の例においては、自律車両100の安全システムが、自律車両100の外部の環境における1つまたは複数のオブジェクトに複数のアラートを発行することができる。さらに他の例においては、自律車両100は、たとえオブジェクトがアラートに関する有力候補であると決定されたとしてもアラートを発行しない場合がある(たとえば、プランナーシステムは、代わりの軌道、安全停止軌道、または安全停止操縦を算出していた可能性があり、それは、アラートを発行する必要性を除去する)。
【0061】
図6は、自律車両におけるアクティブ安全システムにおけるしきい値ロケーションおよび関連付けられている段階的に高まるアラートの一例600の上部平面図を示している。
図6においては、
図5の例500が、さらに上部平面図において示されており、この上部平面図では、軌道TavおよびTpが、560として示されている推定されるロケーションにおいて(たとえば、車両100および歩行者オブジェクト585dに関するロケーションデータに基づいて)交差すると推定される。歩行者オブジェクト585dは、
図6においては、歩行者オブジェクト585dがその予測される動きに基づいて(たとえば、視覚的なおよび/または音響による)アラートに関する有力候補であることに基づいて示されている。歩行者オブジェクト585dは、プランナーシステムによって推定された可能性の高いロケーションの領域565内にあるロケーションを有するものとして示されている。自律車両100は、矢印680によって示されているように双方向に走行するように構成されることが可能であり、すなわち、自律車両100は、従来の自動車におけるような前部(たとえば、ボンネット)または後部(たとえば、トランク)を有さないことが可能である。
図6およびその他の図は、双方向の車両に適用されるものとして実施態様を記述しているかもしれないが、機能および/または構造は、そのように限定するものである必要はなく、一方向の車両を含む任意の車両に適用されることが可能であるということに留意されたい。したがって、センサシステムのセンサおよび安全システムは、車両100の走行の複数の方向におけるセンサおよびアラートカバレッジを提供するように、ならびに/または車両100にその側部1005から近づくオブジェクトに関するセンサおよびアラートカバレッジを提供するように車両100上に配置されることが可能である(たとえば、
図3Bにおけるセンサシステム330における1つまたは複数のセンサ328は、センサカバレッジの重なり合う領域を含むことができる)。プランナーシステムは、たとえば、オブジェクトとの衝突を回避するために、双方向680の走行能力を使用して、安全停止操縦または安全停止軌道を実施することができる。一例として、自律車両100は、第1の方向に走行していて、停止し、第1の方向とは逆である第2の方向での走行を開始することが可能であり、衝突またはその他の極端な事象を回避するために安全停止ロケーションへ操縦することができる。
【0062】
プランナーシステムは、601、603、および605として示されている、環境590における1つまたは複数のしきい値ロケーション(たとえば、しきい値境界、これは、距離などの関数であることが可能である)を推定することができ、そのしきい値ロケーションにおいて、オブジェクト(たとえば、歩行者オブジェクト585d)のロケーションが、一致のポイント602、604、および606によって示されているように、しきい値ロケーションと一致した場合に、アラートを発行する。3つのしきい値ロケーションが示されているが、示されているよりも多いまたは少ないしきい値ロケーションが存在することが可能である。第1の例として、軌道Tpが、602として示されているポイントにおいて第1のしきい値ロケーション601と交差する際に、プランナーシステムは、(たとえば、相対的なまたは絶対的な基準フレームの座標X1、Y1を有している)ポイント602における歩行者オブジェクト585dのロケーション、および(たとえば、局所的位置データから)自律車両100のロケーションの座標を決定することができる。自律車両100およびオブジェクト(たとえば、オブジェクト585d)に関するロケーションデータは、音響ビームステアリングアレイ(たとえば、指向性の音響源、フェーズドアレイ、パラメトリックアレイ、大型ラジエータ、超音波源などのうちの1つもしくは複数)によって放射された誘導される音響エネルギー(たとえば、オーディオアラート)のビームの伝搬の方向(たとえば、メインローブもしくはビームの焦点の方向)に関するロケーション(たとえば、座標、角度、極座標)を計算するために使用されることが可能であり、視覚的アラートのためにどの光エミッタをアクティブ化するかを決定するために使用されることが可能であり、オブジェクトとの予測される衝突の前にどのブラッダをアクティブ化するかを決定するために使用されることが可能であり、ならびに自律車両100のその他の安全システムおよび/もしくは運転システムをアクティブ化するために使用されることが可能であり、または前述の内容の任意の組合せである。自律車両100が軌道Tavに沿って方向625にロケーションL1からロケーションL2へ走行し続けるにつれて、歩行者オブジェクト585dおよび自律車両100の相対的なロケーションが変わる場合があり、それによってロケーションL2において、オブジェクト585dは、第2のしきい値ロケーション603のポイント604において座標(X2,Y2)を有する。同様に、軌道Tavに沿って方向625にロケーションL2からロケーションL3へ引き続き走行すると、歩行者オブジェクト585dおよび自律車両100の相対的なロケーションが変わる場合があり、それによってロケーションL3において、オブジェクト585dは、第3のしきい値ロケーション605のポイント606において座標(X3,Y3)を有する。
【0063】
自律車両100と歩行者オブジェクト585dとの間における距離が減少するにつれて、安全システムのために選択されるアラートを表すデータは、増大する緊迫感(たとえば、段階的に高まる脅威レベル)を歩行者オブジェクト585dへ伝達して、その軌道Tpを変更もしくは停止するか、またはその他の形で彼/彼女の行動を修正して、車両100との潜在的な衝突または近接通過を回避するために、異なるものになることが可能である。一例として、車両100が歩行者オブジェクト585dから比較的安全な距離にあり得る場合には、しきい値ロケーション601に関して選択されるアラートを表すデータは、脅かさない様式で歩行者オブジェクト585dの注目を引くように構成されているあまり驚かさない脅かさないアラートa1であることが可能である。第2の例として、車両100が歩行者オブジェクト585dから警戒を要する距離にあり得る場合には、しきい値ロケーション603に関して選択されるアラートを表すデータは、より緊急な様式で歩行者オブジェクト585dの注目を得るように構成されているさらに積極的な緊急なアラートa2であることが可能である。第3の例として、車両100が歩行者オブジェクト585dから潜在的に安全でない距離にあり得る場合には、しきい値ロケーション605に関して選択されるアラートを表すデータは、きわめて緊急な様式で歩行者オブジェクト585dの注目を得るように構成されている非常に積極的なきわめて緊急なアラートa3であることが可能である。自律車両100と歩行者オブジェクト585dとの間における距離が減少するにつれて、アラートを表すデータは、緊急性の段階的な高まりの増大を歩行者オブジェクト585dに伝達するように構成されることが可能である(たとえば、歩行者オブジェクト585dの注目を得るための段階的に高まる音響アラートおよび/または視覚的アラート)。環境590におけるしきい値ロケーションの位置の推定は、歩行者オブジェクト585dとの予測される衝撃ポイント560(たとえば、軌道TavおよびTpが互いに交差すると推定される環境590におけるポイント560)に車両100が到達する前に、自律車両の速度に基づいて、適切な時間(たとえば、約5秒以上)を提供するようにプランナーシステムによって決定されることが可能である。ポイント560は、オブジェクト585d、車両100、または両方のスピードおよび/またはロケーションが変わるにつれて変わり得る。いくつかの例においては、自律車両100のプランナーシステムは、アクティブアラート(たとえば、音響アラートおよび/または視覚的アラート)を実施することと共同して、(たとえば、コンテキストに基づいて可能な場合には)安全な軌道を(たとえば、継続的に)計算することによって(たとえば、代わりの衝突回避軌道を計算して、それらの軌道のうちの1つまたは複数を実行することによって)、その一方で同時に、環境におけるオブジェクトに対して、それらのオブジェクトが衝突するかまたはその他の形で自律車両100における搭乗者の安全にとって、オブジェクトにとって、または両方にとって危険をもたらすかもしれない有意な確率がある場合には必要に応じてアラートを発行することによって潜在的な衝突を回避することを能動的に試みるように構成されることが可能である。
【0064】
図6においては、歩行者オブジェクト585dの軌道Tpは、示されているような直線である必要はなく、その軌道(たとえば、実際の軌道)は、例650において示されているように弓形の軌道であることが可能であり、または例670において示されているように非直線状の軌道であることが可能である。例650におけるポイント652、654、および656、ならびに例670におけるポイント672、674、および676は、軌道Tpが、しきい値ロケーション651、653、および655、ならびにしきい値ロケーション671、673、および675とそれぞれ交差するポイントを示している。プランナーシステムは、知覚システムからのオブジェクトデータおよびローカライザシステムからの局所的位置データを処理して、しきい値ロケーションを計算することができる。しきい値ロケーションのロケーション、形状(たとえば、直線状、弓形、非直線状)、(たとえば、自律車両および/またはオブジェクトに対する)配向、ならびにその他の特徴は、用途に依存することが可能であり、本明細書において示されている例には限定されない。たとえば、
図6においては、例600におけるしきい値ロケーション(601、603、および605)は、歩行者オブジェクト585dの軌道Tpに対してほぼ垂直に位置合わせされているが、その他の構成および配向がプランナーシステムによって計算されて実施されることが可能である(たとえば、例650および670を参照されたい)。別の例として、しきい値ロケーションが自律車両100の軌道Tavに対してほぼ垂直に(またはその他の配向で)位置合わせされることが可能である。さらに、オブジェクトの軌道がプランナーシステムによって分析されて、しきい値ロケーションの構成を決定することが可能である。一例として、自律車両100の軌道に対して平行である軌道上にオブジェクトがある場合には、しきい値ロケーションは、弓形の外形を有することができ、オブジェクトの軌道と位置合わせされることが可能である。
【0065】
図7は、自律車両におけるプランナーシステムを実施するための流れ
図700の一例を示している。
図7においては、プランナーシステム710は、それがオブジェクトデータ749を受信する元である知覚システム740、およびそれが局所的位置データ739を受信する元であるローカライザシステム730と通信状態にあることが可能である。オブジェクトデータ749は、1つまたは複数の検知されたオブジェクトに関連付けられているデータを含むことができる。たとえば、典型的なシナリオにおいては、オブジェクトデータ749は、自律車両100の外部の環境における多数の検知されたオブジェクトに関連付けられているデータを含むことができる。しかしながら、いくつかの検知されたオブジェクトは、追跡把握される必要はなく、またはオブジェクトのタイプに基づいて、より低い優先順位を割り振られることが可能である。たとえば、
図4における消火栓オブジェクト434cは、(たとえば、地面に固定されている)静的なオブジェクトであると言うことができ、その他の安全システムのアラートまたはアクティブ化のための処理を必要としない場合があり、その一方でスケートボーダーオブジェクト434aは、それが動的なオブジェクトであること、およびその他のファクタ、たとえば、スケートボードライダーの予測される人間行動、ロケーション(たとえば、予測されるロケーション)が自律車両100の軌道と対立し得るということを示す可能性がある、環境におけるスケートボーダーオブジェクト434aのロケーションなどに起因して、(たとえば、放射される光、誘導される音、または両方を使用する)アラートのための処理を必要とする場合がある。
【0066】
図7に付け加えて、3つの検知されたオブジェクトの例が、734a~734cとして示されている。734によって示されているように、より多くのまたはより少ない検知されたオブジェクトに関するオブジェクトデータ749が存在することが可能である。それぞれの検知されたオブジェクトに関するオブジェクトデータは、オブジェクトロケーション721、オブジェクト分類723、およびオブジェクトトラック725を表すデータを含むことができるが、それらには限定されない。プランナーシステム710は、オブジェクトタイプ決定731を実施するように構成されることが可能である。オブジェクトタイプ決定731は、オブジェクト分類723を表すデータ、オブジェクトトラック725を表すデータ、およびオブジェクトタイプデータストア724からアクセスされることが可能であるオブジェクトタイプを表すデータを受信するように構成されることが可能である。オブジェクトタイプ決定731は、オブジェクト分類723を表すデータおよびオブジェクトトラック725を表すデータを、(たとえば、データストア724からアクセスされる)オブジェクトタイプを表すデータと比較して、オブジェクトタイプ733を表すデータを決定するために構成されることが可能である。オブジェクトタイプ733を表すデータの例は、静的な接地されているオブジェクトタイプ(たとえば、
図4の消火栓434c)および動的な歩行者オブジェクト(たとえば、
図5の歩行者オブジェクト585d)を含むことができるが、それらには限定されない。
【0067】
オブジェクト動態決定735が、オブジェクトタイプ733を表すデータおよびオブジェクトロケーション721を表すデータを受信するように構成されることが可能である。オブジェクト動態決定735はさらに、オブジェクト動態データストア726にアクセスするように構成されることが可能である。オブジェクト動態データストア726は、オブジェクト動態を表すデータを含むことができる。オブジェクト動態決定735は、オブジェクト動態を表すデータを、オブジェクトタイプ733を表すデータおよびオブジェクトロケーション721を表すデータと比較して、オブジェクトの予測される動き737を表すデータを決定するように構成されることが可能である。
【0068】
オブジェクトロケーションプレディクタ741が、オブジェクトの予測される動き737を表すデータ、(たとえば、局所的位置データ739からの)自律車両のロケーション743を表すデータ、オブジェクトロケーション721を表すデータ、およびオブジェクトトラック725を表すデータを受信するように構成されることが可能である。オブジェクトロケーションプレディクタ741は、受信されたデータを処理して、環境における予測されるオブジェクトロケーション745を表すデータを生成するように構成されることが可能である。オブジェクトロケーションプレディクタ741は、複数の予測されるオブジェクトロケーション745を表すデータを生成するように構成されることが可能である。プランナーシステム710は、オブジェクトの可能性の高いロケーションの領域(たとえば、
図5および
図6における565)を表すデータを生成することができる。
【0069】
しきい値ロケーションエスティメータ747が、(たとえば、局所的位置データ739からの)自律車両のロケーション743を表すデータ、および予測されるオブジェクトロケーション745を表すデータを受信し、たとえば、トリガーされることになるアラート(たとえば、視覚的アラートおよび/または音響アラート)に関連付けられている、または車両100の1つもしくは複数の安全システムのアクティブ化に関連付けられている、環境における1つまたは複数のしきい値ロケーション750を表すデータを生成するように構成されることが可能である。1つまたは複数のしきい値ロケーション750は、可能性の高いロケーションの領域(たとえば、
図6における565内の601、603、および605)とともに配置されることが可能である。
【0070】
図8は、自律車両におけるシステムのブロック図の一例800を示している。
図8においては、自律車両100は、自律車両100上の1つまたは複数のロケーションに配置されているセンサのスイート820を含むことができる。それぞれのスイート820は、ライダ821(たとえば、カラーライダ、3次元カラーライダ、2次元ライダなど)、イメージ取り込みデバイス823(たとえば、デジタルカメラ)、レーダ825、(たとえば、周囲の音を取り込むための)マイクロフォン827、および(たとえば、AV100の搭乗者に対して挨拶/通信を行うための)ラウドスピーカー829を含むがそれらには限定されないセンサを有することができる。マイクロフォン827は、たとえば、推進システムおよび/または制動システムなどの運転システムコンポーネントからの音を取り込むように構成されることが可能であり、運転システムコンポーネントの近くの適切なロケーションに配置されて、たとえば、それらのコンポーネントによって生成される音を検知することが可能である。センサのそれぞれのスイート820は、たとえば、2つのイメージ取り込みデバイス823、またはそれぞれのホイール852の近くに配置されているマイクロフォン871など、複数の同じタイプのセンサを含むことができる。マイクロフォン871は、自律車両100の運転操作を示すオーディオ信号を取り込むように構成されることが可能である。マイクロフォン827は、自律車両100の外部の環境における周囲の音を示すオーディオ信号を取り込むように構成されることが可能である。複数のマイクロフォン827は、たとえば、環境890において生じている音の音源ロケーションを推定するために処理されることが可能である信号を生成するためにペアにされることまたはその他の形でグループ化されることが可能である。自律車両100は、自律車両100のロケーションを表すデータを生成するためのセンサを含むことができ、それらのセンサは、グローバルポジショニングシステム(GPS)839aおよび/または慣性測定ユニット(IMU)839bを含むことができるが、それらには限定されない。自律車両100は、自律車両100の外部の環境における環境条件、たとえば、気温、気圧、湿度、バロメータ圧などを感知するための1つまたは複数のセンサENV877を含むことができる。センサENV877によって生成されるデータは、たとえば波面伝搬時間など、アレイ102(
図9において示されているアレイ102を参照されたい)によって使用されるデータの処理において音のスピードを計算するために使用されることが可能である。自律車両100は、車両100の動き(たとえば、衝突からの衝撃に起因する動き、緊急時/回避操縦に起因する動きなど)を検知するように構成されている1つまたは複数のセンサMOT888を含むことができる。一例として、センサMOT888は、加速度計、多軸加速度計、およびジャイロスコープを含むことができるが、それらには限定されない。自律車両100は、ホイール852に関連付けられていてホイール852の回転853を検知するように構成されている1つまたは複数の回転センサ(図示せず)(たとえば、ホイールエンコーダ)を含むことができる。たとえば、それぞれのホイール852は、ホイール852の回転を検知するように構成されている関連付けられているホイールエンコーダ(たとえば、ホイール852のアクスル、および/またはホイール852の推進コンポーネント、たとえば電気モータなど)を有することができる。回転センサによって生成される回転信号を表すデータは、たとえば、プランナーシステム、ローカライザシステム、知覚システム、運転システム、および、安全システムのうちの1つまたは複数など、自律車両100の1つまたは複数のシステムによって受信されることが可能である。
【0071】
通信ネットワーク815は、自律車両100のセンサ、1つまたは複数の安全システム875(たとえば、ブラッダ、シートアクチュエータ、シートベルトテンショナー)、およびその他のコンポーネント、たとえば、1つまたは複数のプロセッサ810、および1つまたは複数のルータ830などへ/から信号および/またはデータを回送することができる。ルータ830は、センサスイート820のうちのセンサ、1つまたは複数の音響ビームステアリングアレイ102(たとえば、超音波源の指向性の音響源、フェーズドアレイ、パラメトリックアレイ、大型ラジエータのうちの1つまたは複数)、1つまたは複数の光エミッタ、その他のルータ830間、プロセッサ810間、運転操作システム、たとえば、推進(たとえば、電気モータ851)、ステアリング、制動、1つまたは複数の安全システム875など、ならびに通信システム880(たとえば、外部システムおよび/またはリソースとのワイヤレス通信のための)から信号および/またはデータを回送することができる。
【0072】
図8においては、1つまたは複数のマイクロフォン827は、自律車両100の外部の環境890における周囲の音を取り込むように構成されることが可能である。マイクロフォン827からの信号および/またはデータは、音響ビームステアリングアレイ(図示せず)のうちの1つまたは複数に配置されている1つまたは複数のスピーカーに関するゲイン値を調整するために使用されることが可能である。一例として、建設現場から発するような周囲の騒々しいノイズは、音響ビームステアリングアレイによって放射されている誘導される音響エネルギーのビーム104の可聴性をマスクするかまたはその他の形で損なう可能性がある。したがってゲインは、周囲の音に基づいて(たとえば、dBまたは周波数成分などのその他のメトリックで)増大または減少されることが可能である。
【0073】
マイクロフォン871は、電気モータ851、ホイール852、またはブレーキ(図示せず)などの運転システムコンポーネントの近くに配置されて、それらのシステムによって生成される音、たとえば、回転853からのノイズ、回生制動ノイズ、タイヤノイズ、および電気モータノイズなどを取り込むことが可能である。マイクロフォン871によって生成される信号および/またはデータは、たとえば、オーディオアラートに関連付けられているオーディオ信号を表すデータとして使用されることが可能である。その他の例においては、マイクロフォン871によって生成される信号および/またはデータは、オーディオ信号を表すデータを変調するために使用されることが可能である。一例として、オーディオ信号を表すデータは、オーディオレコーディング(たとえば、デジタルオーディオファイル)を構成することができ、マイクロフォン871によって生成される信号および/またはデータは、オーディオ信号を表すデータを変調するために使用されることが可能である。この例に付け加えて、マイクロフォン871によって生成される信号および/またはデータは、車両100の速度を示すことができ、車両100が減速して横断歩道で停止するのにつれて、オーディオ信号を表すデータは、車両100の速度が変化するのに伴うマイクロフォン871によって生成される信号および/またはデータにおける変化によって変調されることが可能である。別の例においては、車両100の速度を示す、マイクロフォン871によって生成される信号および/またはデータは、オーディオ信号を表すデータとして使用されることが可能であり、車両100の速度が変化するにつれて、音響ビームステアリングアレイ102によって放射されている音は、車両100の速度における変化を示すことができる。したがって、音(または音響エネルギーの大きさ)は、速度の変化に基づいて(たとえば、ボリューム、周波数などにおいて)変更されることが可能である。上記の例は、歩行者に対して、自律車両100が横断歩道における彼らの存在を検知して減速して停止しつつあるということを聴覚的に通知するように実施されることが可能である。
【0074】
1つまたは複数のプロセッサ810は、たとえば、車両100のプランナーシステム、ローカライザシステム、知覚システム、1つまたは複数の安全システム、およびその他のシステムのうちの1つまたは複数を実施するために使用されることが可能である。1つまたは複数のプロセッサ810は、たとえば、車両100のプランナーシステム、ローカライザシステム、知覚システム、1つもしくは複数の安全システム、またはその他のシステムのうちの1つまたは複数を実施するために、非一時的コンピュータ可読メディアにおいて具体化されるアルゴリズムを実行するように構成されることが可能である。1つまたは複数のプロセッサ810は、回路、ロジック、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルロジック、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、グラフィックスプロセッシングユニット(GPU)、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、ビッグファットコンピュータ(BFC)もしくはその他、またはそれらのクラスタを含むことができるが、それらには限定されない。
【0075】
図9は、自律車両の外部安全システムにおける音響ビームステアリングアレイの一例900の上面図を示している。
図9においては、センサスイート(たとえば、
図8における820)が、自律車両100の角部分(たとえば、支柱セクション)に配置されることが可能であり、音響ビームステアリングアレイ102のための筐体が、自律車両100の上側表面100u上に(たとえば、車両上のルーフまたはその他のロケーション上に)配置されることが可能であり、それらの誘導される音響エネルギーのそれぞれのビーム104(たとえば、
図11を参照されたい)を外側に環境へと、音響アラートを受信する対象とされるオブジェクトのロケーションの方へ向けるように配置されることが可能である。音響ビームステアリングアレイ102(たとえば、超音波源の指向性の音響源、フェーズドアレイ、パラメトリックアレイ、大型ラジエータ)は、誘導される音響エネルギーのカバレッジを、自律車両100の外部の環境に配置されている1つまたは複数のオブジェクトにおいて提供するように構成されることが可能であり、そのカバレッジは、たとえば、自律車両100を中心とした約360°の円弧内にあることが可能である。音響ビームステアリングアレイ102は、同じサイズ、形状である必要はなく、または同じ数のスピーカーを有する必要はない。音響ビームステアリングアレイ102は、
図9において示されているように直線状である必要はない。
図9に付け加えて、CおよびDとして示されている音響ビームステアリングアレイ102は、AおよびBとして示されている音響ビームステアリングアレイ102とは異なる寸法を有している。センサスイート820は、自律車両100の外部の環境のセンサカバレッジを1つの音響ビームステアリングアレイ102または複数の音響ビームステアリングアレイ102に提供するように配置されることが可能である。複数の音響ビームステアリングアレイ102のケースにおいては、センサスイート820は、センサカバレッジの重なり合う領域を提供することができる。自律車両100の知覚システムは、複数のセンサまたはセンサのスイートからセンサデータを受信して、データをプランニングシステムに提供して、たとえば、音響アラートを生成するためにアレイ102のうちの1つもしくは複数のアクティブ化を実施すること、および/または車両100の1つもしくは複数のその他の安全システムをアクティブ化することが可能である。自律車両100は、前部(たとえば、ボンネット)または後部(たとえば、トランク)を有さないことが可能であり、したがって、矢印980によって示されているように少なくとも2つの異なる方向における運転操作用に構成されることが可能である。したがって、音響ビームステアリングアレイ102は、前部または後部という呼称を有さないことが可能であり、どちらの方向に自律車両100が運転されているかに応じて、アレイ102(A)が、走行の方向に向いているアレイであることが可能であり、またはアレイ102(B)が、走行の方向に向いているアレイであることが可能である。
【0076】
自律車両100のその他の安全システムは、自律車両100上の内部100i(破線で示されている)および外部100eロケーションに配置されることが可能であり、プランナーシステムによってセンサスイートからのセンサデータを使用してアラートまたはその他の安全機能を生成するためにアクティブ化されることが可能である。センサカバレッジの重なり合う領域は、自律車両100の周囲のロケーションに配置される可能性がある環境における複数のオブジェクトに応答して1つまたは複数の安全システムをアクティブ化するためにプランナーシステムによって使用されることが可能である。
【0077】
図10A~
図10Bは、センサカバレッジの例の上部平面図を示している。
図10Aの例1010においては、4つのセンサスイート820(下線で示されている)のうちの1つが、たとえば、自律車両100の知覚システム、ローカライザシステム、プランナーシステム、および安全システムなどの1つまたは複数のシステムにセンサデータを提供するように構成されることが可能であるカバレッジ領域における環境1090の、そのそれぞれのセンサのうちの1つまたは複数を使用した、センサカバレッジ1011を提供することができる。
図10Aの上部平面図においては、矢印A、B、C、およびDが、自律車両100を取り囲む4つの象限1~4の境界を定めている。例1010においては、単一のスイート820によるセンサカバレッジ1011は、部分的なセンサカバレッジであり得る。なぜなら、象限1、3、および4においては単一のスイート820によってカバーされない部分的なセンサ盲点が、ならびに象限2においては完全なセンサカバレッジがあり得るからである。
【0078】
例1020においては、4つのセンサスイート820のうちの第2のセンサスイート820が、センサカバレッジ1011と重なり合うセンサカバレッジ1021を提供することができ、それによって、象限1および4においては部分的なセンサカバレッジが、ならびに象限2および3においては完全なセンサカバレッジがあり得る。
図10Bにおいては、例1030において、4つのセンサスイート820のうちの第3のセンサスイート820が、センサカバレッジ1011および1021と重なり合うセンサカバレッジ1031を提供することができ、それによって、象限2、3、および4は、完全なセンサカバレッジを有しており、象限1は、部分的なカバレッジを有している。最後に、例1040においては、4つのセンサスイート820のうちの第4のセンサスイート820(たとえば、4つすべてのセンサスイートがオンラインである)が、センサカバレッジ1011、1021、および1031と重なり合うセンサカバレッジ1041を提供することができ、それによって象限1~4は、完全なカバレッジを有している。カバレッジの重なり合うセンサ領域は、1つもしくは複数のセンサスイート820および/またはそれらのそれぞれのセンサ(たとえば、ライダ、カメラ、レーダなど)のうちの1つもしくは複数がダメージを与えられるか、機能不良、またはその他の形で動作不能にされた場合のセンサカバレッジにおける冗長性を可能にすることができる。センサカバレッジパターン1011、1021、1031、および1041のうちの1つまたは複数は、プランナーシステムが1つまたは複数の安全システムのアクティブ化を自律車両100上のそれらの安全システムの位置に基づいて実施することを可能にすることができる。一例として、自律車両100の側部(たとえば、矢印Cを伴う車両100の側部)上に配置されているブラッダ安全システムのブラッダがアクティブ化されて、その側部から車両100に近づくオブジェクトからの衝突に対抗することが可能である。
【0079】
図11Aは、自律車両の外部安全システムにおける音響ビームステアリングアレイの一例を示している。
図11Aにおいては、プランナーシステム310からのコントロールデータ317が車両コントローラ350へ通信されることが可能であり、車両コントローラ350は次いで、音響ビームステアリングアレイ102による音響アラートを実施するように構成されている外部データ325を通信することができる。1つのアレイ102が示されているが、自律車両100は、1103によって示されているように複数のアレイ102を含むことができる(たとえば、
図9におけるアレイ102を参照されたい)。アレイ102によって受信される外部データ325は、オブジェクトロケーションデータ1148(たとえば、環境1190におけるオブジェクト1134の座標)、オーディオ信号データ1162、トリガー信号データ1171、および任意選択で変調信号データ1169を含むことができるが、それらには限定されない。
【0080】
音響ビームステアリングアレイ102は、外部データ325を受信してそれらの外部データ325を処理して、(たとえば、トリガー信号1171を表すデータを受信したことに応答して)環境1190への(たとえば、AV100の軌道Tavに対して角度βでの)誘導される音響エネルギーのビーム104を生成するプロセッサ1105(たとえば、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、中央処理装置(CPU)、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、GPUおよび/もしくはそれらのクラスタ、またはその他の組み込まれている処理システム)を含むことができる。音響ビームステアリングアレイ102は、いくつかのスピーカーSを含むことができ、アレイ102におけるそれぞれのスピーカーSは、増幅器Aの出力と結合されている。それぞれの増幅器Aは、ゲイン入力および信号入力を含むことができる。プロセッサ1105は、それぞれの増幅器Aのゲイン入力に関する信号ゲインGを表すデータを計算することができ、それぞれの増幅器Aの信号入力に関する信号遅延Dを表すデータを計算することができる。プロセッサ1105は、(たとえば、内部および/または外部データソースからの)スピーカーS上の情報を表すデータに対してアクセスおよび/または受信を行うことができ、それらの情報は、ほんのいくつかの例を挙げれば、アレイ幅(たとえば、アレイ102における最初のスピーカーと最後のスピーカーとの間における距離)、アレイにおけるスピーカーSの間隔(たとえば、アレイ102における隣り合ったスピーカーS間における距離)、アレイにおける隣り合ったスピーカーS間における波面距離、アレイにおけるスピーカーSの数、スピーカーの特徴(たとえば、周波数応答、電力のワットでの出力レベル、放射面積など)を含むことができるが、それらには限定されない。アレイ102におけるそれぞれのスピーカーSおよびその関連付けられている増幅器Aは、モノラルチャネルを構成することができ、アレイ102は、n個のモノラルチャネルを含むことができ、モノラルチャネルの数nは、アレイ102のスピーカーサイズおよび筐体サイズに応じて、さまざまであり得る。たとえば、nは30であることが可能であり、または320であることも可能である。たとえば、アレイ102の超音波パラメトリックアレイ実施態様においては、nは約80から約300ほどであることが可能である。いくつかの例においては、アレイ102におけるスピーカー間における間隔は、アレイ102におけるスピーカーのうちのいくつかまたはすべてに関して直線状ではないことが可能である。
【0081】
図11Aの例1100においては、音響エネルギーの誘導されるビーム104が、自律車両100の軌道Tavと対立する可能性がある環境1190における予測されるロケーションLoを有しているオブジェクト1134(たとえば、スケートボーダー)に向けて誘導されている。オブジェクト1134のロケーションは、オブジェクトロケーションデータ1148として外部データ325に含まれることが可能である。オブジェクトロケーションデータ1148は、オブジェクト1134の座標(たとえば、角度、デカルト座標、極座標など)を表すデータであることが可能である。アレイ102は、オブジェクトロケーションデータ1148を処理して、ビーム104をオブジェクト1134に向けるための角度βを計算することができる。角度βは、軌道Tavに対して、または車両100のフレーム上のいずれかのポイント(たとえば、
図11Cにおける100rを参照されたい)に対して測定されることが可能である。予測されるロケーションLoが、オブジェクト1134の動きに起因して変わる場合には、自律車両システム101のその他のシステムは、自律車両100およびオブジェクト1134に関連付けられているデータを引き続き追跡把握および更新して、更新されたオブジェクトロケーションデータ1134を算出することができる。したがって角度βは、オブジェクト1134および/または車両100のロケーションが変わるにつれて変化する可能性がある(たとえば、プロセッサ1105によって再算出される)。いくつかの例においては、角度βは、オブジェクトに対する現在予測される方向(たとえば、座標)だけでなく、今後の時間tにおけるオブジェクトに対する予測される方向も考慮に入れるように(たとえば、プランナーシステムによって)算出されることが可能であり、アレイ102を発射する際の時間遅延の大きさは、車両100の処理システムのデータ処理待ち時間(たとえば、プランナーシステム、知覚システム、またはローカライザシステムのうちの1つまたは複数における処理待ち時間)の関数であることが可能である。したがってプランナーシステムは、オブジェクトが、アレイ102が発射される時間から数分の1秒にあると予測される場合には、たとえば、オブジェクトが車両100からどれぐらい遠く離れているかに応じて、処理待ち時間、および/または(たとえば、環境条件に基づく)音そのもののスピードを考慮するように音を放射することをアレイ102に行わせることができる。
【0082】
図11Bは、自律車両における音響ビームステアリングを実施するための流れ
図1150の一例を示している。ステージ1152において、環境における自律車両100の軌道を表すデータが、自律車両100のロケーションを表すデータ(たとえば、局所的位置データ)に基づいて計算されることが可能である。ステージ1154において、環境に配置されているオブジェクトのロケーション(たとえば、座標)を表すデータが(たとえば、センサデータから得られたオブジェクトトラックデータから)決定されることが可能である。オブジェクトタイプを表すデータが、オブジェクトのロケーションを表すデータに関連付けられることが可能である。ステージ1156において、環境におけるオブジェクトの予測されるロケーションを表すデータが、オブジェクトタイプを表すデータ、および環境におけるオブジェクトのロケーションを表すデータに基づいて予測されることが可能である。ステージ1158において、(たとえば、アレイ102からの)オーディオアラートに関連付けられている環境におけるしきい値ロケーションを表すデータが、オブジェクトの予測されるロケーションを表すデータ、および自律車両の軌道を表すデータに基づいて推定されることが可能である。ステージ1160において、オーディオアラートに関連付けられているオーディオ信号を表すデータが選択されることが可能である。ステージ1162において、オブジェクトのロケーションがしきい値ロケーションと一致していることが検知されることが可能である。一例として、オブジェクトの予測されるロケーションがしきい値ロケーションと交差することが、一致の1つの表示であり得る。ステージ1164において、音響ビームステアリングアレイ102のスピーカーチャネルに関連付けられている信号ゲイン「G」を表すデータが計算されることが可能である。n個のスピーカーチャネルを有しているアレイ102は、n個のスピーカーチャネルのうちのそれぞれのスピーカーチャネルに関して計算されたn個の異なるゲイン「G」を有することができる。信号ゲイン「G」を表すデータは、(たとえば、
図11Aのアレイ102において示されているように)チャネルにおけるスピーカーSと結合されている増幅器Aのゲイン入力に印加されることが可能である。ステージ1166において、信号遅延「D」を表すデータが、アレイ102のn個のスピーカーチャネルのそれぞれに関して計算されることが可能である。信号遅延「D」を表すデータは、(たとえば、
図11Aのアレイ102において示されているように)チャネルにおけるスピーカーSと結合されている増幅器Aの信号入力に印加されることが可能である。ステージ1168において、車両コントローラ(たとえば、
図11Aの350)は、誘導される音響エネルギーのビーム(たとえば、ビーム104)を、オブジェクトのロケーション(たとえば、環境におけるオブジェクトの座標)によって決定される伝搬の方向(たとえば、伝搬の方向106)において放射することをアレイ102に行わせること(たとえば、アレイ102に対してトリガー、アクティブ化、または命令を行うこと)によって音響アラートを実施することができ、誘導される音響エネルギーのビームは、オーディオ信号を示している。
【0083】
流れ
図1150のステージは、アレイ102のうちの1つまたは複数に関して実施されることが可能であり、流れ
図1150の1つまたは複数のステージは、繰り返されることが可能である。たとえば、予測されるオブジェクト経路、オブジェクトロケーション(たとえば、オブジェクト座標)、予測されるオブジェクトロケーション、しきい値ロケーション、車両軌道、オーディオ信号選択、一致検知、およびその他のステージは、自律車両100が環境を通って走行している間に、および/またはオブジェクトが環境においてロケーションを変えるにつれて、必要に応じてデータを更新および/または処理するために繰り返されることが可能である。
【0084】
図11Cは、音響アラートに関連付けられている音響エネルギーを自律車両がオブジェクトへ誘導することの一例1170の上部平面図を示している。
図11Cにおいては、自律車両100は、破線1177によって示されているレーンマーカ間における車道に沿って軌道Tavを有することができる。自律車両100の外部の環境における検知されたオブジェクト1171が、自律車両100の軌道Tavと対立すると推定される環境における予測されるロケーションLcを有している自動車オブジェクトタイプとして分類されている。プランナーシステムは、(たとえば、弓形の外形1121、1122、および1123を有している)3つのしきい値ロケーションt-1、t-2、およびt-3をそれぞれ生成することができる。3つのしきい値ロケーションt-1、t-2、およびt-3は、たとえば、しきい値ロケーションt-1(たとえば、車両100から比較的安全な距離だけ離れている)における低い脅威レベル、しきい値ロケーションt-2(たとえば、車両100に対して警戒を要する近さにある距離)における中程度の脅威レベル、およびしきい値ロケーションt-3(たとえば、車両100に対して危険なほどの近さにある距離)における高い脅威レベルからランク付けされる段階的に高まる脅威レベルを表すことが可能である。3つのしきい値ロケーションt-1、t-2、およびt-3のそれぞれにおいて生成されることになるオーディオアラートに関する別々のオーディオ信号は、オブジェクト1171の予測されるロケーションLcがオブジェクト1171を自律車両100のロケーションのより近くに(たとえば、自律車両100との潜在的な衝突にとって十分な近さに)もたらすにつれて脅威の段階的に高まるレベルを聴覚的に伝達するように選択されることが可能である。誘導される音響エネルギーのビーム104は、選択されたオーディオ信号(たとえば、オーディオ信号104a、104b、および104c)に含まれている情報を示すことができる。
【0085】
オブジェクトタイプ1171が、しきい値ロケーションt-1と交差するかまたはその他の形でそのロケーションがしきい値ロケーションt-1と一致する場合には、プランナーシステムは、オブジェクト1171の座標に基づいて伝搬の方向106aに沿って(たとえば、脅かさない音響アラートを伝達するために)オーディオ信号104aを使用して音響アラートを生成するために配置されている音響アレイ102をアクティブ化するためのトリガー信号を生成することができる。たとえば、その座標は、軌道Tavと伝搬の方向106aとの間において測定された角度βaであることが可能である。座標(たとえば、角度βa、βb、およびβc)に関する基準ポイントは、たとえば、アレイ102上のポイント102r、またはポイント100rなど、自律車両102上のその他のいずれかのロケーションであることが可能である。オブジェクト1171が、その予測されるロケーションLcに沿って進み続けて、しきい値ロケーションt-2と交差した場合には、プランナーシステムによって、座標βb、(たとえば、緊急な音響アラートを伝達するための)オーディオ信号104b、および伝搬の方向106bを使用して、別の音響アラートがトリガーされることが可能である。しきい値ロケーションt-3と交差するオブジェクト1171によるさらなる走行が、座標βc、(たとえば、きわめて緊急な音響アラートを伝達するための)オーディオ信号104c、および伝搬の方向106cを使用したプランナーシステムによるさらに別の音響アラートをトリガーすることができる。この例においては、段階的な高まりの増大するレベルをオブジェクト1171に伝達するために(たとえば、車両の運転手に音響的にアラートするために)オーディオ信号104a、104b、および104cに関して別々のオーディオ信号(たとえば、事前に録音されているか、または動的に生成されるかを問わず、別々の音響パターン、別々の大きさの音響パワーおよび/またはボリュームなどを有するデジタルオーディオファイル)が選択されることが可能である。
【0086】
プランナーシステムによってトリガーされる音響アラートのうちのそれぞれに関して、オブジェクト1171の予測されるロケーションLcは、(たとえば、車両100のロケーションに対して)変わる場合があり、プランナーシステムは、更新されたオブジェクトデータ(たとえば、知覚システムからのオブジェクトトラッキングデータ)を受信して、オブジェクト1171のロケーションにおける変化を(たとえば、リアルタイムで)計算すること(たとえば、βa、βb、およびβcを計算または再計算すること)が可能である。それぞれのしきい値ロケーションt-1、t-2、およびt-3に関してプランナーシステムによって選択されるオーディオ信号は、別々のものであることが可能であり、たとえば、しきい値ロケーションt-1からt-2へ、およびt-2からt-3へに関する緊急性の増えゆく度合いを伝達するように意図されている可聴情報を含むように構成されることが可能である。プランナーシステムによって選択されるオーディオ信号は、オブジェクト1171に関するオブジェクトタイプデータに基づいて、自動車の運転手の注目を引くために、自動車ガラス、ドアパネル等など、自動車の構造(1173、1179)を音響的に突き抜けるように構成されることが可能である。いくつかの例においては、オブジェクト(たとえば、自動車の運転手)が、その行動を変えている(たとえば、その予測されるロケーション、その予測されるオブジェクト経路を変えている、またはその他の形で車両100および/もしくはその搭乗者にとってもはや脅威ではない)ものとして(たとえば、プランナーシステムによって)検知された場合には、プランナーシステムは、アラートの緊急性のレベルを低減することによって(たとえば、低減されたレベルの緊急性を示すオーディオ信号を選択することによって)音響アラートを段階的に緩和することをアレイ102に行わせることができる。一例として、選択されるオーディオ信号は、オブジェクト1171上の構造(1173、1179)を音響的に突き抜けるために約220Hzから約450Hzまでの範囲の周波数を生成するように構成されることが可能である。別の例として、アレイ102は、約220Hzから約4.5kHzまでの範囲、またはその他の任意の周波数範囲の周波数の音を生成するように構成されることが可能である。さらに、アレイ102によって生成される音は、自律車両100における速度変化に基づいて(たとえば、ボリューム、周波数などが)変更されることが可能である。アレイ102によって放射される音の周波数は、前述の例に限定されず、アレイ102は、人間の聴覚範囲内である、人間の聴覚範囲を上回っている(たとえば、超音波周波数)、人間の聴覚範囲を下回っている(たとえば、超低周波数)、またはそれらの何らかの組合せである周波数の音を生成するように構成されることが可能である。
【0087】
自律車両100は、2つのアレイ102が上側表面100u(たとえば、車両100のルーフ)上に配置されているものとして示されているが、車両100は、示されているよりも多くのまたは少ないアレイ102を有することができ、アレイ102の配置は、
図11Cにおいて示されているのとは異なることが可能である。音響ビームステアリングアレイ102は、いくつかのスピーカーおよびそれらの関連付けられている増幅器および駆動エレクトロニクス(たとえば、プロセッサ、DSPなど)を含むことができる。説明の目的のために、それぞれの増幅器/スピーカーのペアは、チャネルとして示されることになるが、それによってアレイ102は、チャネル1に関するC1からn番目のチャネルに関するCnに至るまでとして示されるn個のチャネルを含むことになる。音響ビームステアリングアレイ102の拡大図においては、それぞれのスピーカーSは、隣り合ったスピーカーから距離dだけ隔てられることが可能である。距離d(たとえば、隣り合ったスピーカー(S)間における間隔)は、アレイ102におけるすべてのスピーカーSに関して同じであることが可能であり、それによって、スピーカーSのうちのすべてが互いに距離dだけ隔てられている。いくつかの例においては、距離dは、アレイ102におけるスピーカーS間においてさまざまであることが可能である(たとえば、距離dは、アレイ102における隣り合ったスピーカー間において同じである必要はない)。距離dは、それぞれのスピーカーSの中心点など、それぞれのスピーカーS上の基準ポイントから測定されることが可能である。
【0088】
アレイ102の幅Wは、アレイ102における最初のスピーカー(たとえば、チャネルC1)と、アレイ102における最後のスピーカー(たとえば、チャネルCn)との間における距離として測定されることが可能であり、幅Wは、たとえば、C1におけるスピーカーの中心からCnにおけるスピーカーの中心までで測定されることが可能である。アレイ102によって生成される音波104の伝搬の方向106において、アレイ102における隣り合った各スピーカーSによって発射される各波面は、波面伝搬時間tdだけ時間において遅延される場合がある。波面伝搬時間tdは、隣り合った波面間における距離に音のスピードcをかけた値(たとえば、td=r
*c)として計算されることが可能である。スピーカーS間における距離dがアレイ102におけるすべてのスピーカーSに関して同じである例においては、それぞれのスピーカーSに関して計算される遅延Dは、tdの増大する整数倍であることが可能である。したがって、たとえば、チャネルC1に関しては(t
d1=(r
*c)
*1)、チャネルC2に関しては(t
d2=(r
*c)
*2)、チャネルCnに関しては(t
dn=(r
*c)
*n)である。いくつかの例においては、たとえば、高度、気圧、気温、湿度、およびバロメータ圧などの環境条件に基づいて、音のスピードcを表す値をより正確に決定するために、環境センサ(たとえば、
図8のセンサ877)からのデータを使用して音のスピードcが計算されることが可能である。
【0089】
図12Aは、自律車両の外部に配置されている光エミッタの一例1200を示している。
図12Aにおいては、プランナーシステム310からのコントロールデータ317が車両コントローラ350へ通信されることが可能であり、車両コントローラ350は次いで、光エミッタ1202を使用して視覚的アラートを実施するように構成されている外部データ325を通信することができる。1つの光エミッタ1202が示されているが、自律車両100は、1203によって示されているように複数の光エミッタ1202を含むことができる。光エミッタ1202によって受信される外部データ325は、たとえば、光パターン1212を表すデータ、1つまたは複数の光エミッタ1202をアクティブ化するように構成されているトリガー信号1214を表すデータ、(たとえば、視覚的アラートの対象とされているオブジェクトに対する車両100の配向に基づいて)車両100のどの光エミッタ1202をアクティブ化するかを選択するように構成されているアレイ選択1216を表すデータ、および任意選択で、車両100がそのシグナリングライト(たとえば、ターンシグナル、ブレーキシグナルなど)を使用している場合には光エミッタオペレーションを非アクティブ化するように構成されている運転シグナリング1218を表すデータを含むことができるが、それらには限定されない。その他の例においては、1つまたは複数の光エミッタ1202は、信号灯、ヘッドライト、または両方の役割を果たすことができる。オブジェクトに対する自律車両100の配向は、たとえば、(たとえば、ローカライザシステムからの)自律車両100のロケーションおよび(たとえば、知覚システムからの)オブジェクトのロケーション、(たとえば、プランナーシステムからの)自律車両100の軌道およびオブジェクトのロケーション、または両方に基づいて決定されることが可能である。
【0090】
光エミッタ1202は、外部データ325に基づいて視覚的アラートを実施するように構成されているプロセッサ1205を含むことができる。プロセッサ1205の選択機能は、アレイ選択1216を表すデータを受信し、選択された光エミッタ1202のアクティブ化を可能にすることができる。選択された光エミッタ1202は、トリガー信号1214を表すデータが、選択された光エミッタ1202によって受信されるまで、光Lを放射しないように構成されることが可能である。光パターン1212を表すデータは、デコード機能によってデコードされることが可能であり、サブ機能が、デコードされた光パターンデータ上で動作して、たとえば、光エミッタ1202によって放射されることになる光の色を決定するように構成されている色機能、光エミッタ1202によって放射されることになる光の強度を決定するように構成されている強度機能、および光エミッタ1202からの光放射の持続時間を決定するように構成されている持続時間機能を実施することができる。データストア(Data)は、それぞれの光エミッタ1202の構成を表すデータ(たとえば、発光素子Eの数、発光素子Eの電気的特徴、車両100上での光エミッタ1202の位置など)を含むことができる。さまざまな機能(たとえば、デコーダ、選択、色、強度、および持続時間)からの出力は、光エミッタ1202の発光素子E1~Enに信号を印加するように構成されているドライバ1207と結合されることが可能である。それぞれの発光素子Eは、光パターン1212を表すデータに基づいて個々にアドレス可能であり得る。それぞれの光エミッタ1202は、いくつかの発光素子Eを含むことができ、それによってnは、光エミッタ1202における発光素子Eの数を表すことができる。一例として、nは50を超えることが可能である。光エミッタ1202は、サイズ、形状、発光素子Eの数、発光素子Eのタイプ、および、車両100の外部に配置されている光エミッタ1202のロケーション(たとえば、車両100のルーフ100uまたはその他の構造など、光エミッタが光Lを環境へと放射することを可能にするように動作する車両100の構造と結合されている光エミッタ1202)においてさまざまであることが可能である。
【0091】
一例として、発光素子E1~Enは、ソリッドステート発光デバイス、たとえば、発光ダイオードまたは有機発光ダイオードなどであることが可能である。発光素子E1~Enは、単一の波長の光または複数の波長の光を放射することができる。発光素子E1~Enは、光パターン1212を表すデータに基づいて、たとえば、赤色、緑色、青色、およびそれらの色の1つまたは複数の組合せなど、複数の色の光を放射するように構成されることが可能である。発光素子E1~Enは、
図12Aにおいて示されているようにRGB発光ダイオード(RGB LED)であることが可能である。ドライバ1207は、光パターン1212を表すデータに基づく色、強度、およびデューティーサイクルを有する光Lを放射するように、発光素子E1~Enの赤色-R、緑色-G、または青色-B入力のうちの1つまたは複数など、発光素子E1~Enの1つまたは複数の入力へ電流をシンクまたはソースするように構成されることが可能である。発光素子E1~Enは、
図12Aの例1200に限定されず、光エミッタ1202を実装するために、その他のタイプの光エミッタ素子が使用されることが可能である。
【0092】
図12Aに付け加えて、自律車両100の軌道Tavと対立状態にあると決定されている予測されるロケーションLoを有しているオブジェクト1234が、(たとえば、環境1290における1つまたは複数のしきい値ロケーションに基づいて)視覚的アラートの対象である。光エミッタ1202のうちの1つまたは複数がトリガーされて、視覚的アラートとして光Lを放射することを光エミッタに行わせることが可能である。オブジェクト1234が応答していない(たとえば、オブジェクト1234が、衝突を回避するためにそのロケーションを変えていない)とプランナーシステム310が決定した場合には、プランナーシステム310は、(たとえば、別々の関連付けられている光パターンを有する別々のしきい値ロケーションに基づいて)視覚的アラートの緊急性を段階的に高めるように構成されている別の光パターンを選択することができる。その一方で、オブジェクト1234が、視覚的アラートに応答している(たとえば、オブジェクト1234が、衝突を回避するためにそのロケーションを変えている)として(たとえば、プランナーシステムによって)検知された場合には、視覚的アラートの緊急性を段階的に緩和するように構成されている光パターンが選択されることが可能である。たとえば、光の色、光の強度、光パターン、または前述のものの何らかの組合せのうちの1つまたは複数が変更されて、視覚的アラートの段階的な緩和を示すことが可能である。
【0093】
プランナーシステム310は、オブジェクト1234のロケーションに対する自律車両100の配向に基づいて光エミッタ1202を選択することができる。たとえば、オブジェクト1234が自律車両100に正面から近づいている場合には、オブジェクトの接近の方向にほぼ向いている車両100の外部に配置されている1つまたは複数の光エミッタ1202がアクティブ化されて、視覚的アラートのための光Lを放射することが可能である。車両100とオブジェクト1234との間における相対的な配向が変わるにつれて、プランナーシステム310は、車両100上のその他の外部ロケーションに配置されているその他のエミッタ1202をアクティブ化して、視覚的アラートのための光Lを放射することができる。オブジェクト1234にとって見えない可能性がある光エミッタ1202は、視覚的アラートが向けられていないその他の運転手、歩行者などにおける潜在的な集中妨害または混乱を防止するために、アクティブ化されないことが可能である。
【0094】
図12Bは、自律車両100の外部上に位置している光エミッタ1202の例の輪郭図を示している。例1230においては、車両100の第1の端部の部分的な輪郭図(たとえば、矢印1236の方向に沿ったビュー)が、車両100の外部の別々の位置に配置されているいくつかの光エミッタ1202を示している。車両100の第1の端部は、ブレーキライト、ターンシグナル、ハザードライト、ヘッドライト、走行用ライト等など、自動車シグナリング機能用に構成されることが可能であるライト1232を含むことができる。いくつかの例においては、光エミッタ1202は、ライト1232によって放射される光とは(たとえば、光の色、光のパターン、光の強度などにおいて)異なる光Lを放射するように構成されることが可能であり、それによって、光エミッタ1202の機能(たとえば、視覚的アラート)は、ライト1232によって実施される自動車シグナリング機能と混同されない。いくつかの例においては、ライト1232は、自動車シグナリング機能および視覚的アラート機能を実施するように構成されることが可能である。光エミッタ1202は、たとえば、支柱セクション、ルーフ100u、ドア、バンパー、およびフェンダーを含むがそれらには限定されないさまざまなロケーションに配置されることが可能である。いくつかの例においては、光エミッタ1202のうちの1つまたは複数は、たとえば、ウィンドウ、レンズ、またはカバリングなどの後ろになど、車両100の光学的に透過的なまたは部分的に透過的な表面または構造の後ろに配置されることが可能である。光エミッタ1202によって放射される光Lは、光学的に透過的な表面または構造を通り抜けて環境へと至ることが可能である。
【0095】
例1235においては、車両100の第2の端部(たとえば、矢印1236の逆の方向に沿ったビュー)が、従来の自動車シグナリング機能および/または視覚的アラート機能用に構成されることが可能であるライト1231を含むことができる。例1235において示されている光エミッタ1202は、たとえば、支柱セクション、ルーフ100u、ドア、バンパー、およびフェンダーを含むがそれらには限定されないさまざまなロケーションに配置されることも可能である。
【0096】
いくつかの例によれば、ライト1231および1232は、任意選択であることが可能であり、ブレーキライト、ターンシグナル、ハザードライト、ヘッドライト、走行用ライト等など、自動車シグナリング機能の機能性は、1つまたは複数の光エミッタ1202のうちの任意の1つによって実行されることが可能であるということに留意されたい。
【0097】
図12Cは、オブジェクトに対する自律車両の配向に基づく光エミッタ1202アクティブ化の一例1240の上部平面図を示している。
図12Cにおいては、オブジェクト1234は、自律車両100のロケーションに対する予測されるロケーションLoを有している。オブジェクト1234との自律車両100の相対的な配向は、象限2および3を感知するために配置されているセンサスイート820を使用したオブジェクト1234の完全なセンサカバレッジと、象限1における部分的なセンサカバレッジとを提供することができる。車両100およびオブジェクト1234の相対的な配向に基づいて、(たとえば、車両100の側部および端部上の)1202aとして示されている光エミッタのサブセットが、オブジェクト1234によって視覚的に知覚可能である場合があり、アクティブ化されて光Lを環境1290へと放射することが可能である。
【0098】
図12Dは、オブジェクトに対する自律車両の配向に基づく光エミッタアクティブ化の一例1245の輪郭図を示している。
図12Dにおいては、オブジェクト1234は、自律車両100のロケーションに対する予測されるロケーションLoを有している。車両100およびオブジェクト1234の相対的な配向に基づいて、(たとえば、車両100の側部上の)1202aとして示されている光エミッタのサブセットが、オブジェクト1234によって視覚的に知覚可能である場合があり、アクティブ化されて光Lを環境1290へと放射することが可能である。
図12Dの例においては、オブジェクト1234との車両100の相対的な配向は、
図12Cにおいて示されているのとは異なる。なぜなら、オブジェクト1234の接近は、象限1のセンサカバレッジ内にないからである。したがって、車両100の端部に配置されている光エミッタ1202は、オブジェクト1234にとって視覚的に知覚可能ではない場合があり、視覚的アラートのためにアクティブ化されないことが可能である。
【0099】
図12Eは、自律車両における光エミッタからの視覚的アラートを実施するための流れ
図1250の一例を示している。ステージ1252において、自律車両の外部の環境における自律車両の軌道を表すデータが、環境における自律車両のロケーションを表すデータに基づいて計算されることが可能である。ステージ1254において、環境におけるオブジェクトのロケーションを表すデータが決定されることが可能である。そのオブジェクトは、オブジェクトタイプを含むことができる。ステージ1256において、環境におけるオブジェクトの予測されるロケーションが、オブジェクトタイプおよびオブジェクトロケーションに基づいて予測されることが可能である。ステージ1258において、視覚的アラートに関連付けられている環境におけるしきい値ロケーションを表すデータが、自律車両の軌道およびオブジェクトの予測されるロケーションに基づいて推定されることが可能である。ステージ1260において、しきい値ロケーションに関連付けられている光パターンを表すデータが選択されることが可能である。ステージ1262において、オブジェクトのロケーションがしきい値ロケーションと一致していることを検知されることが可能である。ステージ1264において、オブジェクトのロケーションに対する自律車両の配向を表すデータが決定されることが可能である。ステージ1266において、オブジェクトのロケーションに対する自律車両の配向に基づいて自律車両の1つまたは複数の光エミッタが選択されることが可能である。ステージ1268において、選択された光エミッタは、光パターンを示す光を環境へと放射して視覚的アラートを実施することを行わされること(たとえば、アクティブ化されること、トリガーされること)が可能である。
【0100】
図12Fは、1つまたは複数のアレイ102からの任意選択の音響アラートと共同して視覚的アラートを実施するために光Lを放射する自律車両100の光エミッタ1202の一例1270の上部平面図を示している。
図12Fにおいては、自律車両100は、破線1277によって示されているレーンマーカ間における車道に沿って軌道Tavを有しており、検知されたオブジェクト1272は、軌道Tavに対して逆の方向でほぼ平行である予測されるロケーションLoを有している。自律車両100のプランナーシステムが、視覚的アラートを実施するための3つのしきい値ロケーションT-1、T-2、およびT-3を推定することができる。走行の方向1279にある、車両100の端部に配置されている光エミッタ1202(たとえば光エミッタ1202は、オブジェクト1272に面している)が、視覚的アラートのために選択される。対照的に、走行の方向1279に面していない、車両100のその他の端部に配置されているアレイ1202は、視覚的アラートのために選択されないことが可能である。なぜなら、それらは、オブジェクト1272によって視覚的に知覚可能ではない場合があり、たとえば、その他の運転手または歩行者を混乱させる可能性があるからである。光パターン1204a、1204b、および1204cが、それぞれ、しきい値ロケーションT-1、T-2、およびT-3に関連付けられることが可能であり、オブジェクト1272の予測されるロケーションLoが車両100のロケーションに近づくにつれて、段階的に高まる視覚的アラートを実施する(たとえば、増大する緊急性を伝達する)ように構成されることが可能である。
【0101】
図12Fに付け加えて、
図11A~
図11Cを参照して上述されているように音響アラートのために車両100のプランナーシステムによって別の検知されたオブジェクト1271が選択されることが可能である。オブジェクト1271に関する推定されるしきい値ロケーションt-1~t-3は、オブジェクト1272に関する推定されるしきい値ロケーション(たとえば、T-1、T-2、およびT-3)とは異なる場合がある。たとえば、音響アラートは、視覚的アラートの視覚的な知覚に比べて、車両100からさらに遠い距離において聴覚的に知覚可能である場合がある。オブジェクト1271の速度またはスピードは、オブジェクト1272の速度またはスピードよりも速い(たとえば、自動車対自転車)場合があり、それによって、しきい値ロケーションt-1~t-3は、オブジェクト1271のさらに速い速度に起因してさらに遠くに配置されて、オブジェクト1271がそのロケーションを変えて衝突を回避するための、ならびに/または車両100が回避操縦を行うための、および/もしくはその安全システムのうちの1つもしくは複数をアクティブ化するための十分な時間を提供する。
図12Fは、オブジェクト1272に関連付けられている視覚的アラート、およびオブジェクト1271に関連付けられている音響アラートの例を示しているが、環境におけるオブジェクトの行動に対処するためにアクティブ化される安全システム(たとえば、内部システム、外部システム、または運転システム)の数およびタイプは、示されている例に限定されず、1つまたは複数の安全システムがアクティブ化されることが可能である。一例として、音響アラート、視覚的アラート、または両方が、オブジェクト1271、オブジェクト1272、または両方へ通信されることが可能である。別の例として、オブジェクト1271、オブジェクト1272、または両方が車両100と衝突しそうになるか、または車両100から安全でない距離内に入った(たとえば、予測される衝撃時間まで約2秒以下である)場合には、1つまたは複数のブラッダが展開されることが可能であり、1つまたは複数のシートベルトが締め付けられることが可能である。
【0102】
プランナーシステムは、環境におけるオブジェクトの可能性の高いロケーションの1つまたは複数の領域(たとえば、
図5および
図6における565)を、それぞれのオブジェクトの予測される動き、および/またはそれぞれのオブジェクトの予測されるロケーションに基づいて予測することができる。可能性の高いロケーションの領域、ならびに可能性の高いロケーションの領域内のしきい値ロケーションのサイズ、数、間隔、および形状は、たとえば、オブジェクトの特徴(たとえば、スピード、タイプ、ロケーションなど)、選択される安全システムのタイプ、車両100の速度、および車両100の軌道を含むがそれらには限定されない多くのファクタに基づいて、さまざまであることが可能である。
【0103】
図13Aは、自律車両の外部安全システムにおけるブラッダシステムの一例1300を示している。ブラッダシステム369によって受信される外部データ325は、ブラッダ選択1312を表すデータ、ブラッダ展開1314を表すデータ、および(たとえば、展開された状態から、展開されていない状態への)ブラッダ収縮1316を表すデータを含むことができる。プロセッサ1305は、外部データ325を処理して、1つまたは複数のブラッダエンジン1311と結合されているブラッダセレクタをコントロールすることができる。それぞれのブラッダエンジン1311は、ブラッダ1からブラッダnによって示されているブラッダ1310と結合されることが可能である。それぞれのブラッダ1310は、そのそれぞれのブラッダエンジン1311によって、展開されていない状態から、展開された状態へアクティブ化されることが可能である。それぞれのブラッダ1310は、そのそれぞれのブラッダエンジン1311によって、展開された状態から、展開されていない状態へアクティブ化されることが可能である。展開された状態においては、ブラッダ1310は、自律車両100の外側へ(たとえば、車両100の車体パネルまたはその他の構造の外側へ)広がることができる。ブラッダエンジン1311は、流体(たとえば、加圧ガス)を加圧下でブラッダ1310内に詰め込んで、ブラッダ1310を、展開されていない位置から、展開された位置へ膨張させることによって、そのそれぞれのブラッダ1310の体積における変化をもたらすように構成されることが可能である。ブラッダセレクタ1317は、(たとえば、ブラッダ1からブラッダnのうちで)どのブラッダ1310をアクティブ化するか(たとえば、展開するか)、およびどのブラッダ1310を非アクティブ化するか(たとえば、展開されていない状態へ戻すか)を選択するように構成されることが可能である。選択されたブラッダ1310は、選択されたブラッダ1310に関するブラッダ展開1314を表すデータをプロセッサが受信すると、展開されることが可能である。選択されたブラッダ1310は、選択されたブラッダ1310に関するブラッダ収縮1316を表すデータをプロセッサが受信すると、展開されていない状態へ戻されることが可能である。プロセッサ1305は、データをブラッダセレクタ1317へ通信して、選択されたブラッダ1310を(たとえば、そのブラッダエンジン1311を介して)展開すること、または展開されたブラッダ1310を(たとえば、そのブラッダエンジン1311を介して)展開されていない状態へ戻すことをブラッダセレクタ1317に行わせるように構成されることが可能である。
【0104】
ブラッダ1310は、たとえば、柔軟な材料、弾力性のある材料、膨張可能な材料、たとえばゴムもしくは合成材料、またはその他の任意の適切な材料から作製されることが可能である。いくつかの例においては、ブラッダ1310のための材料は、(たとえば、ブラッダ1310に対する予測される衝撃が発生しない場合、または衝突が発生してもブラッダ1310にダメージを与えない場合には)再利用可能である材料に基づいて選択されることが可能である。一例として、ブラッダ1310は、セミトラクタートレーラートラックにおいて実装されるエアスプリングのために使用される材料から作製されることが可能である。ブラッダエンジン1311は、ブラッダ1310を、展開された位置へ膨張させるためにブラッダ1310へと導入されることが可能である加圧流体を生成すること、またはブラッダ1310を、加圧流体の源、加圧ガスのそのようなタンク、またはガス発生器と結合することが可能である。ブラッダエンジン1311は、ブラッダ1310から加圧流体を(たとえば、バルブを介して)解放して、ブラッダ1310を、展開された位置から元の展開されていない位置へ縮小する(たとえば、ブラッダ1310を、展開されていない位置へしぼませる)ように構成されることが可能である。一例として、ブラッダエンジン1311は、そのそれぞれのブラッダ1310内の加圧流体を外気へ放出することができる。展開された位置においては、ブラッダ1310は、自律車両100とのオブジェクトの衝撃によって与えられる力を吸収し、それによって、自律車両および/またはその搭乗者に対するダメージを低減または防止するように構成されることが可能である。たとえば、ブラッダ1310は、自律車両100と衝突する歩行者または自転車運転者によって与えられる衝撃力を吸収するように構成されることが可能である。
【0105】
ブラッダデータ1319は、ブラッダの特徴、たとえば、ブラッダのサイズ、ブラッダ展開時間、ブラッダ収縮時間(たとえば、ブラッダ1310を、展開された位置から元の展開されていない位置へ収縮させるための時間)、ブラッダの数、車両100の外部に配置されているブラッダのロケーションなどを決定するために、プロセッサ1305、ブラッダセレクタ1317、またはブラッダエンジン1311のうちの1つまたは複数によってアクセスされることが可能である。ブラッダ1310は、サイズおよび自律車両100上のロケーションにおいてさまざまであることが可能であり、したがって、別々の展開時間(たとえば、膨らませる時間)を有することが可能であり、別々の収縮時間(たとえば、しぼませる時間)を有することが可能である。展開時間は、たとえば、プランナーシステム310によって追跡把握されているオブジェクトの衝撃の予測される時間に基づいて、ブラッダ1310または複数のブラッダ1310を展開するための十分な時間があるかどうかを決定する際に使用されることが可能である。ブラッダエンジン1311は、展開された場合および展開されていない場合のブラッダ1310内の圧力を決定するために、ならびに衝撃がブラッダ1310を破裂させたかまたはその他の形でダメージを与えたかどうか(たとえば、破裂がブラッダ1310における漏れをもたらしているかどうか)を決定するために、圧力センサなどのセンサを含むことができる。ブラッダエンジン1311および/またはセンサシステム320は、自律車両100に対する衝撃から動きを検知するためのモーションセンサ(たとえば、加速度計、
図8におけるMOT888)を含むことができる。衝撃によってダメージを与えられていないブラッダ1310および/またはそのそれぞれのブラッダエンジン1311は、再利用されることが可能である。予測される衝撃が発生しない(たとえば、車両100とオブジェクトとの間における衝突がない)場合には、ブラッダ1310は、(たとえば、ブラッダエンジン1311を介して)展開されていない状態へ戻されることが可能であり、ブラッダ1310は、今後の時間において後で再利用されることが可能である。
【0106】
図13Aに付け加えて、予測されるロケーションLoを有しているオブジェクト1334が、自律車両100にその両側部のうちの一方から近づいていると言うことができ、それによって自律車両100の軌道Tavは、オブジェクト1334の予測されるオブジェクト経路に対してほぼ垂直である。オブジェクト1334は、自律車両100の側部に衝撃を与えると予測されることが可能であり、外部データ325は、予測される衝撃の前に展開するための、自律車両100の側部(たとえば、衝撃が発生すると予測される側部)上に配置されている1つまたは複数のブラッダ1310を選択することをブラッダセレクタ1311に行わせるように構成されているデータを含むことができる。
【0107】
図13Bは、自律車両の外部安全システムにおけるブラッダの例1330および1335を示している。例1330においては、車両100は、車両100の外部表面および/または構造に関連付けられている位置を有しているいくつかのブラッダ1310を含むことができる。ブラッダ1310は、別々のサイズおよび形状を有することができる。ブラッダ1310は、車両のその他の構造の後ろに隠されることが可能であり、または装飾などに見せかけられることが可能である。たとえば、車両100のドアパネルまたはフェンダーは、膜構造を含むことができ、ブラッダ1310は、その膜構造の後ろに配置されることが可能である。ブラッダ1310の展開によって生成される力は、膜構造を破裂させ、ブラッダが車両100の外部の方向へ外側に膨張すること(たとえば、環境へと外側に展開すること)を可能にすることができる。同様に、例1335においては、車両100は、いくつかのブラッダ1310を含むことができる。例1330において示されているブラッダと、例1335において示されているブラッダとは、車両100上のロケーションおよび/またはサイズにおいて対称であることが可能である。
【0108】
図13Cは、自律車両におけるブラッダ展開の例1340および1345を示している。例1340においては、オブジェクト1371(たとえば、車)が、車両100との予測される衝突コース上にあり、Loという予測されるロケーションを有している。自律車両100は、軌道Tavを有している。オブジェクト1371との車両100の相対的な配向に基づいて、車両100上の予測される衝撃ロケーションが、象限2および3にある(たとえば、車両100の側部に対する衝撃)と推定される。車両100の内部100iに位置している2人の搭乗者Pは、車両100の側部から内部100iにおける搭乗者Pの着席位置まで測定されたクランプルゾーン距離z1に起因して危険にさらされている可能性がある。プランナーシステム310は、自律車両100を操縦して衝突を回避するかまたは搭乗者Pに対する潜在的な負傷を低減するための十分な時間があるかどうかを決定するために、(たとえば、キネマティクスカリキュレータ384を使用して)オブジェクト1371に関する衝撃までの推定される時間Timpactを算出することができる。車両100を操縦するための時間が衝撃の時間未満である(たとえば、Tmanuever<Timpact)とプランナーシステム310が決定した場合には、プランナーシステムは、回避操縦1341を実行して矢印(たとえば、回避操縦1341を表す矢印)の時計周りの方向に車両100を回転させて車両100の端部をオブジェクト1371の経路内に位置させるよう運転システム326に命令することができる。プランナーシステムは、たとえば、シートベルトテンショニングシステム、ブラッダシステム、音響ビームステアリングアレイ102、および光エミッタ1202など、その他の内部安全システムおよび外部安全システムのアクティブ化が回避操縦1341と同時に生じるよう命令することもできる。
【0109】
例1345においては、車両100は、回避操縦1341を完了しており、オブジェクト1371は、車両100の側部ではなく、車両100の端部から近づいている。車両100とオブジェクト1371との間における新しい相対的な配向に基づいて、プランナーシステム310は、車両100の端部におけるバンパー上に配置されているブラッダ1310’の選択および展開を命令することができる。実際の衝撃が発生した場合には、クランプルゾーン距離がz1からz2へ(たとえば、z2>z1)増大して、車両100の内部100iにおけるさらに大きなクランプルゾーンを搭乗者Pに提供する。回避操縦1341の前に、搭乗者Pによって着用されているシートベルトが、シートベルトテンショニングシステムによって事前に締め付けられて、操縦1341中に、およびオブジェクト1371の潜在的な衝撃に備えて搭乗者Pを保護することが可能である。
【0110】
例1345においては、ブラッダ1310’の展開時間、Tdeployが、オブジェクト1371の予測される衝撃時間、Timpact未満であると(たとえば、プランナーシステム310によって)決定されている。したがって、オブジェクト1371の潜在的な衝撃の前にブラッダ1310’を展開するための十分な時間がある。その他の安全システム、たとえば、シートベルトテンショニングシステム、シートアクチュエータシステム、音響アレイ、および光エミッタなどに関して、アクティブ化時間と衝撃時間との比較が実行されることが可能である。
【0111】
運転システム(たとえば、
図3Bにおける326)は、(たとえば、ステアリングシステムを介して)車両のホイールを回転させて、(たとえば、推進システムを介して)車両100を、例1345において示されている構成へ向けるよう(たとえば、プランナーシステム310を介して)命令されることが可能である。運転システムは、車両100が環境におけるその他のオブジェクトと衝突することを防止するために(たとえば、車両100が衝撃からの力の結果としてその他のオブジェクトへと押し出されることを防止するために)(たとえば、制動システムを介して)ブレーキをかけるよう(たとえば、プランナーシステム310を介して)命令されることが可能である。
【0112】
図14は、自律車両100の内部安全システム322におけるシートベルトテンショニングシステムの一例1400を示している。
図14においては、内部データ323が、シートベルトテンショニングシステム361によって受信されることが可能である。内部データ323は、ベルトテンショナー選択信号1412、シートベルト締め付けトリガー信号1414、およびシートベルト締め付け解除信号1416を表すデータを含むことができるが、それらには限定されない。ベルトテンショナー選択信号1412は、1つまたは複数のベルトテンショナー1411を、それぞれのベルトテンショナー1411がシートベルト1413(B-1、B-2からB-nとしても示されている)を含んでいる状態で選択することができる。それぞれのベルト1413は、ベルトテンショナー1411におけるテンショニングメカニズム(図示せず)と機械的に結合されることが可能である。テンショニングメカニズムは、リール含むことができ、そのリールは、ベルト1413が巻き付けられているそのリール上にベルトの一部分を巻き取ってベルト1413のたるみを取るように構成されている。ベルトテンショナー選択信号1412によって選択されたベルトテンショナー1411は、シートベルト締め付けトリガー信号1414を受信すると、そのそれぞれのベルト1413に張力を加えることができる。たとえば、ベルト1413(B-2)を有しているベルトテンショナー1411は、ベルトB-2を作動させて、(たとえば、ベルトB-2を着用している搭乗者に緊密に結合されていない)たるみ状態から、(破線によって示されている)締め付け状態にすることができる。締め付け状態においては、ベルトB-2は、搭乗者に圧力を加えることができ、その圧力は、たとえば、回避操縦中に、および/またはオブジェクトとの予測される衝突を予想して、搭乗者を座席に緊密に結合することができる。
【0113】
ベルトB-2は、シートベルト締め付けトリガー信号1414を解除することによって、またはシートベルト締め付けトリガー信号1414を解除することに続いてシートベルト締め付け解除信号1416を受信することによって、締め付け状態から、たるみ状態へ、および元のたるみ状態へ戻されることが可能である。センサ(たとえば、圧力センサまたは力センサ)(図示せず)が、自律車両における座席が搭乗者によって占有されているかどうかを検知することができ、座席が占有されていることをセンサが示している場合には、ベルトテンショナー選択信号1412および/またはシートベルト締め付けトリガー信号1414のアクティブ化を可能にすることができる。座席センサが座席の占有を検知していない場合には、ベルトテンショナー選択信号1412および/またはシートベルト締め付けトリガー信号1414が非アクティブ化されることが可能である。ベルトデータ1419は、たとえば、シートベルトシステム361におけるシートベルト1413に関するベルト締め付け時間、ベルト解除時間、およびメンテナンスログを含むがそれらには限定されないベルトの特徴を表すデータを含むことができる。シートベルトシステム361は、自律車両100における個別のシステムとして動作することができ、または車両100のその他の安全システム、たとえば、光エミッタ、音響アレイ、ブラッダシステム、シートアクチュエータ、および運転システムなどと共同して動作することができる。
【0114】
図15は、自律車両100の内部安全システム322におけるシートアクチュエータシステム363の一例1500を示している。一例においては、シートアクチュエータシステム363は、車両100とオブジェクト(たとえば、別の車両)との間における衝突に起因して環境1590におけるオブジェクト(図示せず)から車両100に与えられる衝撃力1517からのエネルギーを使用して、座席1518(たとえば、座席-1から座席-n)を作動させて自律車両100の内部における第1の位置から自律車両100の内部における第2の位置にするように構成されることが可能である。衝撃力1517から座席(たとえば、座席-n)へ機械的に伝達される力1513が、たとえば、第1の位置(たとえば、車両100の端部の付近)から第2の位置へ(たとえば、車両100の内部100iの中心の方へ)座席を移動させることができる。反作用力c-フォース1515が座席(たとえば、座席-n)に加えられて、力1513によってもたらされる加速力をコントロールすることが可能である(図示されてはいないが、
図15において示されているc-フォース1515の方向および力1513の方向は、衝撃力1517の実質的に共通の方向にあることが可能であるということに留意されたい)。反作用力c-フォース1515は、力1513に対抗するために縮むように構成されている、または力1513に対抗するために伸びるように構成されているスプリングであることが可能である。その他の例においては、反作用力c-フォース1515は、たとえば、ダンパー(たとえば、ショックアブソーバ)によって、またはエアスプリングによって生成されることが可能である。反作用力c-フォース1515を提供するメカニズムが、シートカプラ1511へ、および座席(たとえば、座席-n)へ結合されることが可能である。シートカプラ1511は、反作用力c-フォース1515を車両100のシャーシまたはその他の構造に提供するメカニズムを固定するように構成されることが可能である。衝撃力1517が、車両100の構造の機械的変形をもたらす(たとえば、クランプルゾーンをつぶす)場合には、座席へ結合されているラムまたはその他の機械的構造が、車両の変形している構造によって前方へ(たとえば、第1の位置から第2の位置へ)促されて、力1513を座席に与えることが可能であり、その一方で反作用力c-フォース1515は、第1の位置から第2の位置への座席の移動に抵抗する。
【0115】
その他の例においては、シートカプラ1511は、トリガー信号1516を表すデータに応答して座席1518(たとえば、座席-n)を電気的に、機械的に、または電気機械的に作動させて第1の位置から第2の位置にするためのアクチュエータを含むことができる。シートカプラ1511は、反作用力c-フォース1515を提供するメカニズム(たとえば、スプリング、ダンパー、エアスプリング、変形可能な構造など)を含むことができる。座席選択1512を表すデータおよびアーミング信号1514を表すデータが、プロセッサ1505によって受信されることが可能である。座席セレクタ1519が、座席選択1512を表すデータに基づいてシートカプラ1511のうちの1つまたは複数を選択することができる。座席セレクタ1519は、アーミング信号1514を表すデータが受信されるまで、選択された座席を作動させないことが可能である。アーミング信号1514を表すデータは、高い発生確率を有している車両100との予測される衝突(たとえば、オブジェクトが、その動きおよびロケーションに基づいて、車両と間もなく衝突すると予測されるということ)を示すことができる。アーミング信号1514を表すデータは、シートベルトテンショニングシステムをアクティブ化するための信号として使用されることが可能である。座席1518(たとえば、座席-1から座席-n)は、たとえば、単一の搭乗者を着席させられる座席(たとえば、バケットシート)、または複数の搭乗者を着席させられる座席(たとえば、ベンチシート)であることが可能である。シートアクチュエータシステム363は、車両100のその他の内部安全システムおよび外部安全システムと共同して作動することができる。
【0116】
図16Aは、自律車両100における運転システム326の一例1600を示している。
図16Aにおいては、運転システム326へ通信される運転データ327は、ステアリングコントロール1612、制動コントロール1614、推進コントロール1618、およびシグナルコントロール1620を表すデータを含むことができるが、それらには限定されない。運転データ327は、自律車両100の通常の運転操作(たとえば、搭乗者を乗せること、搭乗者を移送することなど)のために使用されることが可能であるが、環境1690におけるオブジェクトに関連した衝突およびその他の潜在的に危険な事象を緩和または回避するために使用されることも可能である。
【0117】
プロセッサ1605は、ステアリングコントロールデータをステアリングシステム361へ、制動コントロールデータを制動システム364へ、推進コントロールデータを推進システム368へ、およびシグナリングコントロールデータをシグナリングシステム362へなど、運転データ327を特定の運転システムへ通信することができる。ステアリングシステム361は、ステアリングデータを処理してホイールアクチュエータWA-1からWA-nを作動させるように構成されることが可能である。車両100は、マルチホイール独立ステアリング(たとえば、フォーホイールステアリング)用に構成されることが可能である。それぞれのホイールアクチュエータWA-1からWA-nは、そのホイールアクチュエータと結合されているホイールのステアリング角をコントロールするように構成されることが可能である。制動システム364は、制動データを処理してブレーキアクチュエータBA-1からBA-nを作動させるように構成されることが可能である。制動システム364は、たとえば、差動制動およびアンチロック制動を実施するように構成されることが可能である。推進システム368は、推進データを処理して駆動モータDM-1からDM-n(たとえば、電気モータ)を作動させるように構成されることが可能である。シグナリングシステム362は、シグナリングデータを処理して、シグナル要素S-1からS-n(たとえば、ブレーキライト、ターンシグナル、ヘッドライト、走行用ライトなど)をアクティブ化することができる。いくつかの例においては、シグナリングシステム362は、1つまたは複数の光エミッタ1202を使用してシグナリング機能を実施するように構成されることが可能である。たとえば、シグナリングシステム362は、1つまたは複数の光エミッタ1202のうちのすべてまたは一部にアクセスしてシグナリング機能(たとえば、ブレーキライト、ターンシグナル、ヘッドライト、走行用ライトなど)を実施するように構成されることが可能である。
【0118】
図16Bは、自律車両100における障害物回避操縦の一例1640を示している。
図16Bにおいては、オブジェクト1641(たとえば、自動車)が、自律車両100の軌道Tavと対立状態にある予測されるロケーションLoを有している。プランナーシステムは、運転システムを使用して車両100を前方へ加速させて、軌道Tavに沿って位置している領域1642へ至るための十分な時間はないということを計算することができる。なぜなら、オブジェクト1641が車両100と衝突する可能性があるからである。したがって領域1642は、安全に操縦して入られることが不可能であり、領域1642は、ブロックされた領域1643として(たとえば、プランナーシステムによって)指定されることが可能である。しかしながらプランナーシステムは、(たとえば、知覚システムによって受信されたセンサデータ、およびローカライザシステムからのマップデータを介して)車両100の周囲の環境における利用可能な空いている領域を検知することができる。たとえば領域1644が、安全に操縦して入られることが可能である(たとえば、領域1644は、車両100の軌道と干渉するオブジェクトを、それが移動しているかまたは静的であるかを問わず、有していない)。領域1644は、空いている領域1645として(たとえば、プランナーシステムによって)指定されることが可能である。プランナーシステムは、車両100の軌道をその元の軌道Tavから回避操縦軌道Tmへ変更して、自律車両100を空いている領域1645へと自律的に進行させるよう(たとえば、ステアリングデータ、推進データ、および制動データを介して)運転システムに命令することができる。
【0119】
障害物回避操縦と共同して、プランナーシステムは、オブジェクト1641が速度を変えた場合には、または障害物回避操縦が成功しなかった場合には、車両100の1つまたは複数のその他の内部安全システムおよび/または外部安全システムをアクティブ化して、車両のうちでオブジェクト1641によって衝撃を与えられる可能性がある部分においてブラッダを展開することをブラッダシステムに行わせることができる。
【0120】
回避操縦に備えて、およびオブジェクト1641との潜在的な衝突に備えるために、シートベルトテンショニングシステムがアクティブ化されて、シートベルトを締め付けることが可能である。
図16Bにおいては示されていないが、1つまたは複数の音響アレイ102および1つまたは複数の光エミッタ1202など、その他の安全システムがアクティブ化されて、音響アラートおよび視覚的アラートをオブジェクト1641へ伝達することが可能である。ベルトデータおよびブラッダデータは、シートベルトに関する締め付け時間、およびブラッダに関するブラッダ展開時間を算出するために使用されることが可能であり、それらの算出された時間が、推定される衝撃時間と比較されて、衝撃の前にベルトを締め付けるための、および/またはブラッダを展開するための十分な時間がある(たとえば、Tdeploy<Timpactおよび/またはTtension<Timpact)かどうかを決定することが可能である。同様に、空いている領域1645への操縦を運転システムが実施するために必要な時間が、推定される衝撃時間と比較されて、回避操縦を実行するための十分な時間がある(たとえば、Tmaneuver<Timpact)かどうかを決定することが可能である。
【0121】
図16Cは、自律車両100における障害物回避操縦の別の例1660を示している。
図16Cにおいては、オブジェクト1661が、自律車両100の衝突(たとえば、追突)を引き起こす可能性がある予測されるロケーションLoを有している。プランナーシステムは、予測される衝撃ゾーン(たとえば、オブジェクト動態に基づいて衝突が発生する可能性がある領域または確率)を決定することができる。予測される衝突が発生する前に、プランナーシステムは、(たとえば、センサシステムにおけるセンサの重なり合うセンサフィールドを使用して)車両100の周囲の環境を分析して、車両100が操縦して入れられることが可能である空いている領域があるかどうかを決定することができる。予測される衝撃ゾーンは、車両100の後ろであり、車両100のロケーションへ向かう速度を有している予測されるロケーションLoによって事実上ブロックされている(たとえば、車両は、潜在的な衝突を回避するために方向を安全に反転させることができない)。予測される衝撃ゾーンは、ブロックされた領域1681として(たとえば、プランナーシステムによって)指定されることが可能である。車両100の左の走行レーンは、利用可能な空いている領域がなく、3つのオブジェクト1663、1665、および1673(たとえば、その隣り合った走行レーンに位置している2台の車、および歩道上の1人の歩行者)の存在に起因してブロックされている。したがって、この領域は、ブロックされた領域1687として指定されることが可能である。車両100の前方の(たとえば、軌道Tavの方向における)領域は、車両1667(たとえば、大型トラック)の接近に起因してブロックされている。車両100の右のロケーションは、そのロケーションにおける歩道上の歩行者1671に起因してブロックされている。したがって、それらの領域は、ブロックされた領域1683および1689としてそれぞれ指定されることが可能である。しかしながら、オブジェクトのない領域が、領域1691において(たとえば、プランナーシステムおよび知覚システムを介して)検知されることが可能である。領域1691は、空いている領域1693として指定されることが可能であり、プランナーシステムは、軌道を軌道Tavから回避操縦軌道Tmへ変更するよう運転システムに命令することができる。結果として生じる命令は、オブジェクト1661による潜在的な追突を回避するために角を曲がって空いている領域1693へ入ることを車両100に行わせることができる。
【0122】
空いている領域1693内への回避操縦と共同して、たとえば、車両100の端部におけるブラッダ1310、シートベルトテンショナー1411、音響アレイ102、シートアクチュエータ1511、および光エミッタ1202など、その他の安全システムがアクティブ化されることが可能である。一例として、車両1661が、予測されるロケーションLo上の車両100に近づき続けた場合には、1つまたは複数のブラッダ1301が(たとえば、展開された位置へのブラッダの膨張を十分に可能にするための、予測される衝撃時間よりも前の時間において)展開されることが可能であり、音響アラートが(たとえば、1つまたは複数の音響ビームステアリングアレイ102によって)伝達されることが可能であり、視覚的アラートが(たとえば、1つまたは複数の光エミッタ1202によって)伝達されることが可能である。
【0123】
プランナーシステムは、オブジェクトタイプを表すデータ(たとえば、車両100に追突すると予測されるオブジェクト1661などの車両上のデータ)にアクセスし、オブジェクトを表すデータを、オブジェクトタイプを表すデータと比較して、オブジェクトタイプを表すデータを決定すること(たとえば、オブジェクト1661に関するオブジェクトタイプを決定すること)が可能である。プランナーシステムは、オブジェクトのロケーションを表すデータに基づいてオブジェクトの速度またはスピードを計算すること(たとえば、キネマティクスカリキュレータ384を使用して、ロケーションにおける経時的な変化を追跡把握して、速度またはスピードを計算すること)が可能である。プランナーシステムは、データストア、ルックアップテーブル、データリポジトリ、またはその他のデータソースにアクセスして、オブジェクト制動能力(たとえば、車両1661の制動能力)を表すデータにアクセスすることができる。オブジェクトタイプを表すデータは、オブジェクト制動能力を表すデータと比較されて、推定されるオブジェクト質量を表すデータ、および推定されるオブジェクト制動能力を表すデータを決定することが可能である。推定されるオブジェクト質量を表すデータ、および推定されるオブジェクト制動能力を表すデータは、オブジェクトの特定のクラス(たとえば、自動車、トラック、オートバイなどのさまざまなクラスなど)に関する推定されるデータに基づくことが可能である。たとえば、オブジェクト1661が、中型の4ドアセダンに関連付けられているオブジェクトタイプを有している場合には、車両のそのクラスに関する平均であり得る推定される車両総質量または重量が、オブジェクト1661に関する推定されるオブジェクト質量に相当することが可能である。推定される制動能力も、車両のクラスに関する平均値であることが可能である。
【0124】
プランナーシステムは、推定されるオブジェクト制動能力を表すデータ、および推定されるオブジェクト質量を表すデータに基づいて、オブジェクトの推定される運動量を表すデータを計算することができる。プランナーシステムは、推定される運動量を表すデータに基づいて、オブジェクト(たとえば、オブジェクト1661)の制動能力がその推定される運動量によって超過されているということを決定することができる。プランナーシステムは、運動量が制動能力を超過していることに基づいて、車両100を、予測される衝撃ゾーンから遠ざけて、空いている領域1693へと移動させるための
図16Cの回避操縦を算出して実行することを決定することができる。
【0125】
図17は、自律車両100の内部の例1700の上部平面図を示している。
図17においては、車両100の内部100iが、1つまたは複数のベンチシート1518(
図15における座席1518を参照されたい)を含むことができる。それぞれのベンチシート1518は、スレッド1703に取り付けられることが可能であり、バックレスト1731およびヘッドレスト1729を含むことができる。それぞれの座席1518は、(破線で示されている)占有センサOを含むこともでき、占有センサOは、たとえば、座席1518の下に配置されること、または座席1518のクッション内に配置されることが可能である。占有センサOは、搭乗者が座席1518上に着席していることを示す信号(たとえば、ベンチシート1518の左の着席位置または右の着席位置)を生成するように構成されることが可能である。生成される信号は、搭乗者の体質量の予想される範囲(たとえば、約2キログラム以上)に基づくことが可能である。たとえば、占有センサOは、圧力スイッチまたはその他の適切なセンサであることが可能である。
【0126】
それぞれのベンチシート1518は、シートベルト1413(
図14におけるシートベルト1413を参照されたい)を含むことができ、それぞれのシートベルト1413は、シートベルトテンショニングシステム(
図14における361を参照されたい)からの信号に基づいてベルト1413に張力Tを加えるように構成されているシートベルトテンショナー1411と結合されている。シートベルトテンショナー1411は、張力Tを解除することもでき、それによってベルト1413は、(たとえば、衝突を予想して、ならびに/または車両100の緊急事態および/もしくは回避操縦中に)ベルトを締め付けることを必要としない通常の状況(たとえば、通常の運転操作)のもとで搭乗者によって着用されている場合には、たるみ状態Sにあることが可能である。それぞれのベルト1413は、アンカー1721と結合されることが可能であり、アンカー1721は、スレッド1703または車両100のその他の構造、および、留め金など(図示せず)へと挿入するためのバックル1723と結合されることが可能である。
【0127】
シートベルトテンショナー1411は、(たとえば、電気モータおよび歯車装置を使用して)ベルト1413が部分的に巻き取られているリール上にベルト1413の一部分を巻き取ることなど、ベルト1413に張力Tを加えるように、ならびにリールからベルト1413の一部分をほどいて張力Tを解除するように(たとえば、たるみSをベルト1413に与えるように)構成されている電気機械的構造を含むことができるが、それらには限定されない。
【0128】
スレッド1703は、(たとえば、衝突に起因する)車両100とのオブジェクト1750の衝撃1787に起因して変形される可能性がある車両100の構造(たとえば、クランプルゾーンにおける構造)と機械的に結合するように構成されることが可能である。衝撃力1517は、スレッド1703およびその座席1518を内部100iにおける第1の位置から内部における第2の位置へ(たとえば、車両100の内部スペースの中心または中央の方へ)移動させるように動作することができる。たとえば、衝撃1787から変形されるまたは押しのけられる可能性がある車両100の構造は、スレッド1703に係合し(たとえば、押し付けられ)、スレッド1703を前方に第1の位置から第2の位置へ付勢する可能性がある。衝撃1787によって生成された力1513は、座席1518上の搭乗者に危害を与える可能性がある進度でスレッド1703を加速させる可能性があるので、車両100は、対向力1515(
図15における1513および1515を参照されたい)を加えることによって力1513に対抗する(たとえば、逆らう)ための構造および/またはメカニズムを含むことができる。スレッド1703を第1の位置から第2の位置へ移動させることは、座席1518上に着席している搭乗者と、衝撃1787が発生した車両100の端部との間におけるスペースを増大させることができる。一例として、車両100の第1の端部におけるオブジェクト1750の衝撃1787は、第1の端部と、スレッド1703が第1の位置にある場合のそのスレッドとの間におけるクランプルゾーン距離Z1を有している第1のクランプルゾーンの近くで発生する可能性がある。スレッド1703が車両100において静止している(たとえば、移動可能に取り付けられていない)場合には、クランプルゾーン距離z1は、大幅に変わることはない場合がある。しかしながらスレッド1703は、内部100iにおいて移動可能に取り付けられており、衝撃1787は、スレッド1703を前方に第1の位置から第2の位置へ駆動する可能性があり、それによってクランプルゾーン距離は、Z1からZ2へ増大して、車両100の内部100iにおけるクランプルゾーンスペースACZにおける明確な増大をもたらす可能性がある。車両100に対するダメージが現れたときには、座席1518上に着席している搭乗者は、車両100の第1の端部における衝撃ゾーンから離れた所へ移動されている。
【0129】
同様に、オブジェクト1751による車両100の第2の端部における衝撃1787は、上述のようにスレッド1703を第1の位置から第2の位置へ移動させるように動作することができる。それぞれのスレッド1703は、他方のスレッド1703から独立して作動することができ、それによって、車両100の両方の端部における衝撃は、両方のスレッド1703を内側へそれらのそれぞれの第1の位置からそれらのそれぞれの第2の位置へ移動させるように動作することができる。オブジェクト1750および/または1751の衝撃1787の前に、車両100のプランナーシステムは(たとえば、車両100の知覚システムからのオブジェクトデータに基づいて)、テンショナー1411を使用したシートベルト1413の締め付けを命令することができる。着席位置が空いていることを示す占有センサ0を有している着席位置は、たとえば、それらのシートベルト1413をそのそれぞれのテンショナー1411によって締め付けられないことが可能である。
【0130】
自律車両100は、矢印1790によって示されているように複数の方向における運転操作用に構成されることが可能であり、それによって車両100は、(たとえば、ボンネットを伴う)前端部または(たとえば、トランクを伴う)後端部を有さないことが可能である。したがって車両100は、示されているように第1の端部および第2の端部を有することができ、どちらの端部が車両100の走行の方向に向いている状態でも運転操作を実行することができる。さらに座席1518は、たとえば、指定された前部または後部を車両100が有していないことに起因して、前部または後部という呼称を有さないことが可能である。
【0131】
図18は、自律車両100の内部の別の例1800の上部平面図を示している。例1800においては、それぞれのスレッド1703は、個別の座席1518(たとえば、バケットシート)のペアを含む。それぞれの座席1518は、たとえば、ヘッドレスト1829、バックレスト1831、シートベルト1413、テンショナー1411、アンカー1721、およびバックル1723を含むことができる。座席1518の数、座席1518の構成(たとえば、バケットまたはベンチ)、座席1518の互いに対するまたは車両100に対する配向は、
図17および/または
図18における例に限定されない。
【0132】
図19は、自律車両100における座席の例1900の断面図を示している。例1900においては、座席1518が、スレッド1703に取り付けられることが可能であり、スレッド1703は、レール1902に移動可能に取り付けられることが可能である。レール1902は、基板1901(たとえば、車両100のフロア)に取り付けられることが可能である。ラム1922は、スレッド1703と結合されることが可能であり、車両100の構造1920(たとえば、車両100のバルクヘッドおよび/または外部パネル)と接触した状態で配置されることが可能である。構造1920は、たとえば、車両100の内部100iに面している1つの表面および外部100eに面している別の表面を有することができる。一例として、構造1920は、車両100の第1の端部または第2の端部に配置されている車体パネルであることが可能である。オブジェクトによる衝撃1787(たとえば、
図17の1750または1751)は、構造を変形させ(たとえば、車両100の内部100iの方へ内側に曲げるかまたは押しつぶし)、ラム1922を内部100iの方へ内側に移動させ、スレッド1703をレール1902上で前方に(たとえば、力1513)第1の位置から第2の位置へスライドさせる可能性がある。衝撃1787の前に、シートベルト1413は、たとえば、シートベルトテンショナー1411によって既に事前に締め付けられておくことTが可能である。ラム1922は、車両100のクランプルゾーンのコンポーネントであることが可能である。ラム1922は、衝撃1787からの力の一部分を吸収するように構成されている様式で変形する、つぶれる、歪む、またはその他の形で形状を変える一方で、スレッド1703を前方に第1の位置から第2の位置へ付勢するように構成されることが可能である。
【0133】
図20は、自律車両100のシートカプラおよびパッシブシートアクチュエータの例2000の上部平面図を示している。例2000においては、シートカプラ1511が、基板1901に取り付けられることが可能であり、対向力デバイス2001(たとえば、スプリング、ダンプナー、ショックアブソーバ、エアスプリングなど)を含むことができ、対向力デバイス2001は、シートカプラ1511と結合されており、またロッド2005を介してスレッド1703と結合されている2007。ラム1922によって与えられた力1513は、対向力デバイス2001によって対抗され、それによって対向力1515を生み出すことが可能であり、対向力1515は、スレッド1703およびその座席1518を低速にして(たとえば、座席の動きを、それが動かされているときに減速させて)、(たとえば、衝撃1787によってもたらされた座席の動きに起因する高いG力からの)座席1518に着席している搭乗者に対する加速外傷を防止するように動作することができる。たとえば、対向力デバイス2001は、スプリング、ダンプナー、磁性流体ダンプナー、ショックアブソーバ、磁性流体ショックアブソーバ、エアスプリングなどであることが可能である。いくつかの例においては、対向力デバイス2001は、圧縮状態で(たとえば、
図20において示されているように)動作するように構成されることが可能であり、または膨張状態で(たとえば、スプリングを伸ばす際のように)動作するように構成されることが可能である。その他の例においては、衝突に起因して座席1518に与えられた衝撃(たとえば、運動量の変化)は、対向力デバイス2001によってレール1902に適用されるブレーキ(たとえば、ブレーキパッドの摩擦材料)によって対抗されることが可能である。いくつかの例においては、衝突が発生したことを示す(たとえば、
図8におけるモーションセンサMOT888からの)動き信号が、(たとえば、
図15のプロセッサ1505によって)処理されて、対向力デバイス2001の(たとえば、磁性流体を含むショックアブソーバまたはダンプナーにおける)磁性流体の流体動態特性を変えるように構成される流体コントロール信号を生成することが可能である。流体コントロール信号は、たとえば、スレッド1703に加えられている対向力(たとえば、大きさ、または時間の関数としての大きさ)を変調するかまたはその他の形でコントロールするために使用されることが可能である。
【0134】
図21は、自律車両100のシートカプラおよびアクティブシートアクチュエータの例2100の上部平面図を示している。例2100においては、スレッド1703は、ロッド2105を介してアクティブシートアクチュエータ2101と結合されている2103。アクティブシートアクチュエータ2101は、(たとえば、スクイブを介して)ロッド2105と結合されているピストンを膨張させるガスを生成するように構成されることが可能である。アクティブシートアクチュエータ2101は、座席選択信号1512、アーミング信号1514、およびトリガー信号1516などの信号を受信するように構成されることが可能である。アクティブシートアクチュエータ2101は、スクイブを起爆するように構成されることが可能であり、スクイブは、ロッド2105を前方へ駆動して、スレッド1703(たとえば、および座席1518)を前方へ、たとえば第1の位置から第2の位置へ(たとえば、力1513で)移動させる。
【0135】
流れ
図2150が、シートアクチュエータを作動させるためのプロセスの一例を示している。ステージ2152において、(たとえば、
図15の内部データ323に基づいてシートアクチュエータシステム363における座席セレクタ1519によって)第1の位置から第2の位置への作動用に座席(たとえば、座席1518)が選択されている(たとえば、
図15の1512)か否かに関して決定が行われることが可能である。座席が選択されていない場合には、NO分岐が取られることが可能であり、フロー2150は終わること(たとえば、終了)が可能である。座席が選択されている場合には、YES分岐が取られてステージ2154へ進むことが可能であり、ステージ2154では、アーミング信号(たとえば、
図15の1514)が受信されているか否かに関して決定が行われることが可能である。アーミング信号が受信されていない場合には、NO分岐が取られることが可能であり、フロー2150は、たとえばステージ2152へ戻るなど、別のステージへ遷移することができる。その一方で、アーミング信号が受信されている場合には、YES分岐が取られてステージ2156へ進むことが可能であり、ステージ2156では、トリガー信号が受信されている(たとえば、
図15の1516)か否かに関して決定が行われることが可能である。トリガー信号が受信されていない場合には、NO分岐が取られることが可能であり、フロー2150は、たとえばステージ2152へ戻るなど、別のステージへ遷移することができる。トリガー信号が(たとえば、アクティブシートアクチュエータ2101において)受信されている場合には、YES分岐が取られてステージ2158へ進むことが可能であり、ステージ2158では、座席(たとえば、1518)が、車両100の内部における第1の位置から車両100の内部における第2の位置(たとえば、内部100iにおけるさらなる内側)へ作動されることが可能である。たとえば、ステージ2158において、アクティブシートアクチュエータ2101における火工デバイスが電子的に起爆されて、ガスを生成することが可能であり、そのガスは、ロッド2105を外側へ駆動して、座席1518を前方へ移動させる。
【0136】
図22は、自律車両100の内部安全システムにおけるシートベルトテンショナーの一例2200を示している。例2200において、シートベルトテンショナー1411は、ベルトリール2201のギア2203とかみ合うように構成されているギア2204を有している駆動ユニット2202(たとえば、電気モータ、リニアモータ、ガス駆動モータなど)を含むことができる。駆動ユニット2202の回転2206は、シートベルト1413をベルトリール2201の周りに巻き取ってベルト1413に張力Tを加えることをベルトリール2201に行わせるように構成されている方向にベルトリール2201を回転させる2207ように構成されることが可能である。2206を表す矢印に対して逆の方向における駆動ユニット2202の回転は、ベルトリール2201を、やはり矢印2207の逆の方向に回転させるように構成されることが可能であり、それによって、ベルト1413をほどいて張力Tを解除することをベルトリール2201に行わせ、それによって、たとえばたるみSがベルト1413に加えられる。シートベルトテンショナー1411のハウジング2210は、隙間を含むことができ、その隙間を通じて、シートベルト1413はハウジングを出入りすることができる。
【0137】
シートベルトテンショナー1411は、(たとえば、
図14のプロセッサ1405と結合されている)ベルトセレクタ1417を介してベルト1413に張力TまたはたるみSを加えるように構成されることが可能である。ベルトテンショナー選択信号1412、トリガー信号1414、および解除信号1416が、ベルトセレクタ1417によって受信されて、シートベルトテンショナー1411のオペレーション(たとえば、張力またはたるみを加えること)をコントロールすることが可能である。
【0138】
流れ
図2250が、シートベルトテンショナーの機能性の一例を示している。ステージ2252において、座席(たとえば、シートベルトテンショナー1411が関連付けられている座席)が選択されているか否かに関して決定が行われることが可能である。座席が選択されていない場合には、NO分岐が取られることが可能であり、フロー2250は終わることが可能である。その他の例においては、フロー2250は、ステージ2252へ回帰することができる。座席が選択されている場合には、YES分岐が取られてステージ2254へ進むことが可能である。ステージ2254において、トリガー(たとえば、シートベルトテンショナー1411をアクティブ化するための信号/データ)が検知されているか否かに関して決定が行われることが可能である。トリガーが検知されていない場合には、NO分岐が取られることが可能であり、フロー2250は、たとえば、元のステージ2252へ遷移することができる。トリガーが検知されている場合には、YES分岐が取られてステージ2256へ進むことが可能である。ステージ2256において、張力Tがシートベルト(たとえば、1413)に加えられることが可能である。ステージ2256は、ステージ2258へ遷移することができ、ステージ2258では、解除信号(たとえば、張力Tを解除するための信号/データ)が受信されているか否かに関して決定が行われることが可能である。解除信号が受信されていない場合には、NO分岐が取られることが可能であり、フロー2250は、ステージ2256へ回帰することができ、ステージ2256では、張力Tが引き続きシートベルトに加えられることになる。解除信号が受信されている場合には、YES分岐が取られてステージ2260へ進むことが可能であり、ステージ2260では、たるみSがベルトに加えられて張力Tを解除することが可能である。ステージ2260は、たとえばステージ2252へ戻るなど、フロー2250における別のステージへ遷移することができる。
【0139】
図23は、自律車両100における衝撃ポイントの優先度による操縦の例2300を示している。自律車両100は、矢印2390によって示されているように複数の方向における運転操作用に構成されることが可能である。例2300においては、車両100は、たとえば、車両100の第1の端部(第1端部)に配置されている第1のクランプルゾーン2321と、車両100の第2の端部(第2端部)に配置されている第2のクランプルゾーン2322とを含むように(たとえば、車両100内に設計されている機械的構造を通じて)構成されることが可能である。第1および第2のクランプルゾーン2321および2322は、
図23において示されているように、第1のオフセット(第1オフセット)、第2のオフセット(第2オフセット)、第3のオフセット(第3オフセット)、および第4のオフセット(第4オフセット)と重なり合うように構成されることも可能である。プランナーシステムは、第1および第2のクランプルゾーン2321および2322の構造(たとえば、クランプルゾーン2321および2322の衝撃力吸収特性および/または機械的衝撃変形特性)に基づいて、クランプルゾーン衝撃ポイントの優先度を、最も高いものが第1端部または第2端部であり、次に高いものが第1オフセット、第2オフセット、第3オフセット、または第4オフセットであり、最も低いものが第1側部または第2側部であるとして、最も高いものから最も低いものまでランク付けするように構成されることが可能である。クランプルゾーン2321および2322は、パッシブシートアクチュエータ(
図19および
図20を参照されたい)および/またはアクティブシートアクチュエータ(
図21を参照されたい)を使用して、車両100の内部100iに配置されている座席1518を第1の位置から第2の位置へ移動する(
図15におけるシートアクチュエータシステム363を参照されたい)ように構成されている構造(たとえば、スレッド1703およびラム1922)を含むことができる。
【0140】
プランナーシステムは、(たとえば、クランプルゾーン位置、クランプルゾーン距離、ブラッダ位置、座席位置などに基づいて)プランナーシステムによって選択された好ましい衝撃ポイントにおいてオブジェクト2350が車両100に衝撃を与えることができるように車両100をオブジェクト2350に対して向けるべく車両100を操縦することを運転システム326に行わせることができる。プランナーシステムは、車両100とのオブジェクトの衝撃の前に展開されることになる好ましい衝撃ポイントの近くに配置されているブラッダ(
図13Aにおける1317および1310を参照されたい)を選択することをブラッダセレクタに行わせることができる。シートベルト1413は、たとえばブラッダ展開の前に、事前に締め付けられることが可能である。いくつかの例においては、プランナーシステムは、
図17を参照して記述されているブラッダ位置およびクランプルゾーン距離、
図23を参照して記述されているクランプルゾーン(2321、2322)ロケーション、または両方に基づいて、衝撃ポイントの優先度をランク付けすることができる。ブラッダデータ(
図13Aにおける1319を参照されたい)は、車両100上のブラッダ位置を表すデータ、および、たとえば展開時間、サイズ、ロケーションなどを含むがそれらには限定されない、それぞれのブラッダに関連付けられているその他のデータを含むことができる。
【0141】
例2300に付け加えて、自律車両100のシステムは、象限4における第1の側部(第1側部)に沿った予測される衝撃ポイント2301における(たとえば、オブジェクト2350の予測されるロケーションLoに基づく)車両100との衝撃に関する衝突コース上にオブジェクト2350があるということを検知しておくことができ、また決定しておくことができる。たとえば、予測される衝撃ポイント2301は、オブジェクト2350に対する車両100の予測されるロケーションLoおよび配向に基づくことが可能である。プランナーシステムは、知覚システム、ローカライザシステム、およびセンサシステムとともに、予測される衝撃ポイント2301においてオブジェクト2350が車両100に衝撃を与える予測される衝撃時間(Timpact)を算出することができる。プランナーシステムは、自律車両100の1つまたは複数の内部安全システム(たとえば、シートベルトテンショナー1411)および/または外部安全システムをアクティブ化するための推定される時間および/またはロケーションを、知覚システムおよびローカライザシステムからのデータに基づいて計算することができる。たとえば、プランナーシステムは、予測される衝撃時間(Timpact)を、オブジェクト2350のロケーションLにおける変化およびオブジェクト2350の速度Vにおける経時的な変化の関数(たとえば、Timpact≒ΔL/ΔV)として推定することができる。
【0142】
プランナーシステムは、予測される衝撃時間に基づいて、自律車両100の1つまたは複数の内部安全システムおよび/または外部安全システムをアクティブ化するための十分な時間が衝撃の前にあるかどうかを決定するように構成されることが可能である。一例として、1つまたは複数の推定されるしきい値ロケーション2320(たとえば、T1~T3)に関して音響アラートがアクティブ化されることが可能である。オブジェクト2350と車両100との間における距離が減少するにつれて、1つまたは複数の推定されるしきい値ロケーション2330(たとえば、t1~t3)に関して視覚的アラートがアクティブ化されることが可能である。
【0143】
音響および/または視覚的アラートが、オブジェクト2350に、予測される衝突を回避するためにその軌道を変更させるかまたはその他の形でアクションを取らせることに成功しなかった場合には、プランナーシステムは、車両100のその他の安全システムをアクティブ化することができる。その他の安全システム(たとえば、内部安全システムおよび/または外部安全システム)をアクティブ化する前に、プランナーシステムは、選択された安全システムを成功裏にアクティブ化するための十分な時間が、予測される衝撃時間の前にあるかどうかを決定することができる。たとえば、プランナーシステムは、シートアクチュエータ2101(たとえば、Tactuate2316)および/またはシートベルトテンショナー1411(たとえば、Ttension2312)を成功裏にアクティブ化するための十分な時間が、予測される衝撃時間の前にあるかどうかを決定することができる。別の例として、プランナーシステムは、シートアクチュエータ2101およびシートベルトテンショナー1411をアクティブ化するための十分な時間があるということを決定することができ、シートアクチュエータ2101のアクティブ化に搭乗者を備えさせるために最初にシートベルトテンショナー1411をアクティブ化するよう内部安全システム322に命令することができる。
【0144】
一例として、プランナーシステムは、車両100を操縦するための時間(Tmanuever)を、好ましい衝撃ポイントの優先度と一致するように衝撃ポイントを再配置するための配向に比較することができる。例2300においては、好ましい衝撃ポイントの優先度は、最も高い優先度として第2の端部(第2端部)において、次に高い優先度として第4のオフセット(第4オフセット)または第3のオフセット(第3オフセット)において、および最も低い優先度として第1の側部(第1側部)において衝撃を受けるように車両100を操縦することであり得る。プランナーシステムは、TmanueverがTimpact未満である(たとえば、操縦を実行するための十分な時間がある)ということを決定することができ、操縦を実行するよう運転システムに命令することができる。ライン2314は、オブジェクト2350との衝撃の前に車両100が方向転換および/または操縦されることが可能である(たとえば、Tmanuever<Timpactである)Timpact未満である1つまたは複数の時点を示している。たとえば、第1の側部(第1側部)における元の予測される衝撃ポイント2301とは反対側の第2の端部(第2端部)において衝撃を受けるように車両100を操縦することは、クランプルゾーン距離が第2の端部(第2端部)におけるクランプルゾーン距離未満であり得る潜在的な側部衝撃衝突から車両100の搭乗者を保護すること、ならびに(たとえば、ラム1922および/またはスレッド1703を含む)クランプルゾーン構造2322を搭乗者とオブジェクト2350との間に配置することが可能である。
【0145】
運転システムによる操縦とともに、プランナーシステムは、その操縦を、および/またはオブジェクト2350の衝撃を予想して、シートベルトテンショニングシステム361をアクティブ化してシートベルト1413をきつくすることができる。ライン2312は、たとえば、シートベルトテンショニングシステム361がアクティブ化されて1つまたは複数のシートベルト1413を締め付けることTが可能である(たとえば、Ttension<Timpactである)Timpact未満である1つまたは複数の時点を示している。ライン2316は、たとえば、シートアクチュエータ2101がスレッド1703(たとえば、およびそれと接続されている座席1518)を第1の位置から車両100の内部100iにおける第2の位置へ移動させることができる(たとえば、Tactuate<Timpactである)Timpact未満である1つまたは複数の時点を示している。
【0146】
プランナーシステムは、たとえば、車両100の操縦に基づいて衝撃を受けるように向けられることが可能である(たとえば、ブラッダ衝撃ポイントの優先度に基づく)1つまたは複数の選択されたブラッダ1310をアクティブ化することができる。ライン2310は、ブラッダシステム369がアクティブ化されて1つまたは複数の選択されたブラッダ1310を展開することが可能である(たとえば、Tdeploy<Timpactである)Timpact未満である1つまたは複数の時点を示している。ライン2310、2312、2314、および2316は、Timpactに対する(たとえば、それらの弓形の形状に基づく)可能性の高い時間を表すことができる。なぜなら、オブジェクト2350の予測されるロケーションLoは、オブジェクト2350が車両100のさらに近くへ移動するにつれて変わる可能性があるからである。予測される衝撃ポイント2301は、たとえば、オブジェクト2350の予測されるロケーションLo、オブジェクト2350の予測される次のロケーション、車両100の配向、車両100のロケーションなどに伴って変わる可能性もある。プランナーシステム、ローカライザシステム、および知覚システムは、たとえば、オブジェクト2350および車両100を表すデータをリアルタイムで再計算して、オブジェクト2350の予測されるロケーションLoおよび予測される衝撃ポイント2301における変化を更新することができる。
【0147】
図24は、自律車両100における衝撃ポイントの優先度による操縦の別の例2400を示している。例2400においては、オブジェクト2350(
図23を参照されたい)が、自律車両100のさらに近くへ移動しており、車両100との実際の衝撃に非常に近いものとして示されている。衝撃の前に、プランナーシステムは、オブジェクト2350からの衝撃を受けるために車両100の第2の端部(第2端部)を向けるべく車両100を操縦するよう運転システムに命令することができる。たとえば、運転システムは、ホイール852が(たとえば、ステアリングシステムを介して)最初の位置852iから新たな位置852mへ誘導されるようにすることができ、オブジェクト2350からの衝撃を受けるために車両100の第2の端部(第2端部)を向けるべく車両100を回転させる2410ように構成されている方向にホイール852を回転させることを推進システムに行わせることができる。
【0148】
車両100の方向転換は、たとえば、クランプルゾーン2322を、オブジェクト2350の衝撃を吸収する位置に配置するように、第2の端部(第2端部)に配置されているブラッダ1310を、オブジェクト2350の衝撃を吸収するように配置するように、スレッド1703を、(たとえば、パッシブ作動もしくはアクティブ作動を使用して)第1の位置から第2の位置へ移動させる位置に配置するように、または前述のことの何らかの組合せであるように構成されることが可能である。例2400においては、ブラッダ1310は、展開されていない状態で示されているが、オブジェクトの衝撃の前に十分な時間(たとえば、Tdeploy<Timpact)で、展開された状態へ後でアクティブ化されることが可能である。ブラッダ1310の展開の前に、シートベルトテンショナー1411(図示せず)がアクティブ化されることが可能である。
【0149】
例2400においては、第2の端部(第2端部)において衝撃を受けるように車両100を操縦するには不十分な時間しかないが、第4のオフセット(第4オフセット)において衝撃を受けるように車両100を操縦するには十分な時間がある場合には、プランナーシステムは、第4のオフセット(第4オフセット)において衝撃を受けるように車両100を向けることを運転システムに行わせるように構成されることが可能である(たとえば、第4オフセットへ回転2410するための時間は、第2端部へ回転2410するための時間未満である)。
【0150】
例2400に付け加えて、衝突が発生した後に、車両100は、オブジェクト2350によって与えられた衝撃力に起因して動かされること(たとえば、移動されることまたは押されること)が可能である。衝撃後に、プランナーシステムは、環境におけるその他のオブジェクト(たとえば、オブジェクト2490)、たとえば、歩行者、その他の車両、道路インフラストラクチャー等などへと車両100が押された場合には、まだ展開されていないブラッダ1310のうちのいくつかまたはすべての展開を命令することができる。センサシステムにおける、および/またはブラッダエンジン1311におけるモーションセンサは、車両100とのオブジェクト2350の衝撃に起因する動き2470を検知することができ、モーションセンサからの信号を表すデータは、衝撃後に、展開されていないブラッダ1310のうちのどれを展開するかを決定するためにプロセッサによって使用されることが可能である。プランナーシステムは、ブラッダデータ1319および/またはクランプルゾーンの特徴(たとえば、クランプルゾーンの力吸収能力、クランプルゾーンの長さ、クランプルゾーンの強度、クランプルゾーンのロケーション、クランプルゾーンの優先度ランクなど)を表すデータにアクセスして、車両における予測される衝撃ポイントがブラッダ衝撃ポイントの優先度および/またはクランプルゾーン衝撃ポイントの優先度と一致するかどうかを決定することができ、たとえば、Timpact、Tdeploy、Tmanuever、Ttension、Tactuate、内部100iに配置されている座席1518における占有されている搭乗者位置(たとえば、座席占有センサOからの)などを含むがそれらには限定されない1つまたは複数のファクタに基づいて車両100の外部の最も高いランキングの優先度のロケーションにおいて衝撃を受けるために車両100を方向転換するように車両100を操縦するよう運転システムに命令することができる。
【0151】
オブジェクト2490との車両100の衝撃後の衝突は、たとえば、車両100の第1の端部(第1端部)の近くに配置されているスレッド1703を第1の位置から第2の位置へ移動させることなど、その他の内部安全システムをアクティブ化することも可能である。スレッド1703上の座席1518(図示せず)が占有されている場合には、シートベルトテンショナー1411がアクティブ化されて、たとえば、占有されている座席位置におけるシートベルト1413を締め付けることTが可能である。
【0152】
図25は、自律車両100における内部安全システムを実施するための流れ
図2500の一例を示している。ステージ2502において、自律車両の外部の環境における自律車両の軌道が、その環境における自律車両のロケーションを表すデータに基づいて計算されることが可能である。たとえば、ステージ2502は、体勢データ2571および/または環境における自律車両のロケーションを表すその他のデータに対するアクセスまたはその他の形での受信を行うことができる。ステージ2502は、自律車両の軌道2573を表すデータを生成することができる。
【0153】
ステージ2504において、たとえばセンサデータ2575を使用して、(たとえば、知覚システムによって)環境におけるオブジェクトのロケーションが決定されることが可能である。ステージ2504は、オブジェクトのロケーション2579を表すデータを生成することができる。オブジェクトのロケーション2579を表すデータは、環境におけるオブジェクトのロケーションに対するオブジェクトの動き2581の予測される進度を表すデータを含むことができる。たとえば、環境における動きがないことを示す静的なオブジェクトトラックをオブジェクトが有している場合には、動き2581の予測進度はゼロであり得る。しかしながら、オブジェクトのオブジェクトトラックが動的であり、オブジェクト分類が自動車である場合には、動き2581の予測される進度はゼロではないものであり得る。
【0154】
ステージ2506において、動き2581の予測される進度に基づいて、環境におけるオブジェクトの予測される次のロケーションが計算されることが可能である。ステージ2506は、予測される次のロケーション2583を表すデータを生成することができる。
【0155】
ステージ2508において、予測される次のロケーション2583および自律車両の軌道2573に基づいて、オブジェクトと自律車両との間における衝撃の確率が予測されることが可能である。ステージ2508は、衝撃の確率2585を表すデータを生成することができる。
【0156】
ステージ2510において、衝撃の確率2585に基づいて、自律車両とのオブジェクトの予測される衝撃ポイントが計算されることが可能である。ステージ2510は、予測される衝撃ポイント2587(たとえば、オブジェクトが衝撃を与えると予測される自律車両におけるロケーション)を表すデータを生成することができる。予測される衝撃ポイント2587は、自律車両の安全システム(たとえば、ブラッダシステム、クランブルゾーン、光エミッタ、音響アレイ、シートベルトテンショニングシステム、座席作動システム、および運転システムなど)に関連付けられている衝撃ポイントランク2589に関連付けられることが可能である。
【0157】
ステージ2512において、自律車両は、衝撃ポイントランク2589に基づいて、オブジェクトとの好ましい衝撃ポイントへ操縦されることが可能である。好ましい衝撃ポイントは、衝撃ポイントランク2589とは異なる別の衝撃ポイントランク2591を含むことができる(たとえば、別の衝撃ポイントランク2591は、衝撃ポイントランク2589よりも高い好ましいランキングを有することができる)。ステージ2512は、好ましい衝撃ポイントに関連付けられている自律車両の安全システムのうちの1つまたは複数をアクティブ化することを(たとえば、データおよび/または信号を通信することによって)自律車両の安全システムアクティベータ2593に行わせることができる。たとえば、安全システムアクティベータ2593は、シートアクチュエータを含むがそれらには限定されない1つまたは複数の内部安全システムをアクティブ化することができ、シートベルトテンショナーは、(たとえば、好ましい順序で)アクティブ化されることが可能である。1つまたは複数の内部安全システムのアクティブ化とともに、安全システムアクティベータ2593は、1つまたは複数の外部アクティブ安全システム(たとえば、ブラッダ、光エミッタ、音響ビームステアリングアレイなど)をアクティブ化することができる。いくつかの例においては、フロー2500は、ステージ2512を迂回すること(たとえば、任意選択でステージ2512をスキップすること)が可能であり、車両100を操縦する必要なく1つまたは複数の内部安全システムおよび/または外部安全システムをアクティブ化することを安全システムアクティベータ2593に行わせることができる。
【0158】
図26は、自律車両100における内部安全システムを実施するための流れ
図2600の別の例を示している。ステージ2602において、1人または複数の搭乗者が自律車両100によって受け入れられることが可能である(たとえば、それらの搭乗者は車両100に乗り込むことができる)。ステージ2604において、搭乗者が着席しているか否かに関して決定が行われることが可能である(たとえば、
図17および
図18における座席1518の座席占有センサOによって搭乗者の質量が感知されることが可能である)。1人または複数の搭乗者が着席していない場合には、NO分岐が取られてステージ2605へ進むことが可能であり、ステージ2605では、搭乗者は、席に着くよう(たとえば、着席してバックルを締め上げてくださいと)(たとえば、自律車両システム101によってオーディオレコーディングを使用して)自律的に指示されることが可能である。ステージ2605は、すべての搭乗者が着席するまでステージ2604へ回帰することができ、ステージ2604からYES分岐が取られてステージ2608へ進むことが可能である。
【0159】
ステージ2608において、(たとえば、シートベルト1413のバックル1723におけるシートベルトセンサによって検知されるものとして)搭乗者のシートベルトが締められているか否かに関して決定が行われることが可能である。シートベルトセンサは、たとえば、シートベルトが締められている(たとえば、バックルが締められているまたは締め上げられている)ことを示す信号を生成することができる。シートベルトセンサは、シートベルトのバックルを締めることによって作動されるスイッチであることが可能である。1人または複数の搭乗者が各自のシートベルトを締めていない場合には、NO分岐が取られてステージ2609へ進むことが可能である。ステージ2609において、搭乗者は、自律車両100がその目的地に出発することができるように各自のシートベルトを締めるよう(たとえば、自律車両システム101によってオーディオレコーディングを使用することによって)自律的に指示されることが可能である。ステージ2609は、すべての搭乗者が各自のシートベルトを締めることに従うまで、ステージ2608へ回帰することができる。
【0160】
ステージ2610において、張力Tが搭乗者のシートベルトに加えられて、自律車両100がその目的地に向けて出発するところであることを搭乗者に通知することが可能である(たとえば、きつくすることは、オーディオレコーディングによって伴われることが可能である)。ステージ2612において、自律車両100が出発した後に、張力Tは解除されることが可能である(たとえば、たるみSがシートベルトに加えられることが可能である)。
【0161】
ステージ2614において、自律車両100は、目的地へ自律的に進行することができる。ステージ2616において、自律車両100がその意図されている目的地に到着したか否かに関して(たとえば、ローカライザシステムおよび/または知覚システムからのデータを介して)決定が行われることが可能である。NO分岐が取られた場合には、フロー2600は、ステージ2614へ回帰することができる。YES分岐が取られた場合には、フロー2600は、ステージ2618へ続くことができる。
【0162】
ステージ2618において、張力Tが搭乗者のシートベルトに加えられて、自律車両100がその意図されている目的地に到着したという通知を(たとえば、自律車両システム101によってオーディオレコーディングを使用して)提供することが可能である。ステージ2620において、搭乗者が自律車両100から降りることに備えて、シートベルトから張力Tが解除されることが可能である(たとえば、シートベルトは、それらにたるみSが加えられる)。ステージ2622において、搭乗者は、自律車両100から降りるよう(たとえば、自律車両システム101によってオーディオレコーディングを使用して)指示されることが可能である。
【0163】
たとえばステージ2616~2622など、フロー2600の1つまたは複数のステージは、実行(たとえば、車両100のプロセッサ上で実行)されないことが可能である。フロー2600の各ステージは、
図26において示されているのとは異なる順序で発生することが可能である。
【0164】
前述の例は、理解の明確さの目的でいくらか詳細に記述されているが、上述のコンセプトの技術は、提供されている詳細には限定されない。上述のコンセプトの技術を実施する多くの代替方法がある。開示されている例は、例示的であり、限定的ではない。
【符号の説明】
【0165】
100 自律車両
100i 内部
100e 外部
105 軌道
105a 衝突回避軌道
180 オブジェクト
185 軌道
187 衝突
190 環境