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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-13
(45)【発行日】2024-06-21
(54)【発明の名称】組織特性を視覚化する装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/08 20060101AFI20240614BHJP
   A61B 5/33 20210101ALI20240614BHJP
   A61B 5/367 20210101ALI20240614BHJP
【FI】
A61B8/08
A61B5/33 210
A61B5/367
【請求項の数】 8
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022097974
(22)【出願日】2022-06-17
(62)【分割の表示】P 2017525388の分割
【原出願日】2015-11-11
(65)【公開番号】P2022125071
(43)【公開日】2022-08-26
【審査請求日】2022-07-08
(31)【優先権主張番号】14193734.2
(32)【優先日】2014-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】シャン カイフェン
(72)【発明者】
【氏名】ハークス ゴデフリドゥス アントニウス
(72)【発明者】
【氏名】ベルト ハーム ヤン ウィレム
【審査官】冨永 昌彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-544551(JP,A)
【文献】特表2013-507198(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0296743(US,A1)
【文献】国際公開第2007/046272(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/060870(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 - 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織の特性を変えるよう組織にエネルギーを印加するエネルギー印加装置に接続されたエネルギー源と、
超音波測定器と、
信号プロセッサを有する測定装置と、
を有するシステムであって、前記信号プロセッサは、前記超音波測定器によって超音波測定信号を提供され、前記超音波測定信号から導出されるひずみレート値の時間平均並びに時間変化の最小及び最大によって規定される範囲の変化を検出し、前記システムは、前記検出される変化に応じて、前記エネルギー源から前記エネルギー印加装置へのエネルギーの送信を中断するように構成される、システム。
【請求項2】
前記測定装置は、生物の心臓の運動を視覚化するように動作可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
心臓の電気活動を測定する測定ユニットを更に有する、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記測定装置は、前記ひずみレート値の表現を、心臓のエレクトログラム又は心電図と同期させる、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記測定装置は、前記心臓の前記エレクトログラム及び/又は表面心電図の1次元表現と共に、ひずみレート値の1次元表現を、組み合わされた画像にレンダリングする、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記エネルギー印加装置は、超音波、高周波電流、高周波、マイクロ波、又はレーザ放射から選択されるモダリティのうちの1つによってエネルギーを組織に印加する、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記エネルギー印加装置へのエネルギー送信の中断は、10乃至30パーセントのレンジの前記検出される変化に応じる、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
組織にエネルギーを印加するシステムの作動方法であって、前記システムが、超音波測定器、信号プロセッサを有する測定装置、エネルギー源及びエネルギー印可装置を有し、前記方法が、
前記超音波測定器が、前記信号プロセッサに前記組織の超音波測定信号を提供するステップと、
前記エネルギー源が、前記エネルギー印可装置に前記組織にエネルギーを送信するステップと、
前記信号プロセッサが、前記超音波測定信号から導出されるひずみレート値の時間平均並びに時間変化の最小及び最大によって規定される範囲の変化を検出し、前記システムが、前記検出される変化に応じて、前記エネルギー源から前記エネルギー印可装置へのエネルギーの送信を中断するステップと、
を有する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波に曝露された組織から生じる超音波測定信号を処理する装置と、プロセッサに結合され、処理された超音波測定信号から導き出される表現をレンダリングするレンダリング装置と、に関する。本発明は更に、超音波測定中に組織にエネルギーを供給するシステムと、超音波測定信号を処理する装置と、に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許出願公開第2009/0105588A1号公報は、放射線治療をモニタし制御する方法及びシステムを開示する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
放射性ソースは、組織にエネルギーを放出し、エネルギーは、組織を加熱するために、ターゲット部位において吸収される。超音波トランスデューサは、組織に超音波信号を送信し、反射された超音波信号を受け取る。信号プロセッサは、受け取られた超音波信号を処理し、組織組成スキャン又は組織温度を計算する。超音波画像、組織温度スキャン及びひずみ画像が、組織温度スキャン又は組織組成スキャンに基づいて治療放射線量を決定し及び/又は変更するために、レンダリングされる。超音波画像の輝度は、イメージングされた構造からの散乱信号及び反射信号の振幅を表現する。温度変化及びひずみ差のレンジを示すカラーバーが、表示される画像の解釈を支援する。
【0004】
米国特許出願公開第2013/0204134A1号公報は、光学センサ及び超音波センサによって取得された光学検知データ及び超音波検知データに基づいて対象の特性を決定する特性決定装置を開示する。光及び超音波は、対象内において異なる透過深さ及び散乱を呈する。エネルギーが生体組織に印加されると、血液による組織の灌流が変化し、その結果、異なる深さ及び異なる時間に対応するサンプルウィンドウについて特性決定ユニットによって決定される散乱値の変化をもたらす。対象の特性の決定のために開示される他の光学技法は、光学スペクトル及びレーザドップラ流量測定法であり、超音波ベースの特性決定については、相互相関及び超音波信号反射が示される。
【0005】
本発明の目的は、組織へのエネルギー印加の改善された効率を有するシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、この目的は、組織の特性を変えるために組織にエネルギーを印加するエネルギー印加装置に接続されたエネルギー源、超音波測定器、及び装置を有するシステムによって実現され、システムは、超音波測定から導出されるひずみレート値の平均及びバリエーションの検出される変化に応答して、エネルギー源からエネルギー印加装置へのエネルギーの送信を中断するように構成される。
【0007】
物理的な量の検出された変化に基づくエネルギー印加の中断は、過度の持続時間の間のエネルギーの印加を回避することによって組織に対するエネルギー印加の効率の改善を表す。
【0008】
システムの一実施形態において、エネルギー印加装置へのエネルギー送信の中断は、10乃至30パーセントのレンジの検出される変化に応答する。10乃至30パーセントのレンジの、ひずみレート値の平均及びバリエーションの検出される変化は、組織収縮性、弾性及び灌流の大きな変化を表す。
【0009】
システムの別の実施形態において、装置は、超音波に曝露された組織から生じる動きモード超音波測定信号を処理する信号プロセッサと、プロセッサに結合され、時間軸に沿って1次元表現をレンダリングするレンダリング装置と、を有し、前記表現における値は、選択可能な観測ウィンドウ内の測定値に基づいて導出される組織内のひずみレートを示し、観測ウィンドウは、組織内の空間方向における距離レンジ及び時間方向における時間間隔によって規定され、観測ウィンドウの選択は、動きモード超音波画像、組織速度画像、又はひずみレート画像に基づき、装置は、時間軸に沿って観測ウィンドウをシフトするように構成される。
【0010】
動きモード(M-mode)超音波測定は、超音波ビームの伝播方向に沿って、超音波の散乱及び反射の時間バリエーションを示す。Mモード超音波画像の輝度は、超音波測定器によって受け取られるイメージングされた構造からの散乱信号及び反射信号の振幅を表す。Mモード超音波画像上で、又は代替として、組織速度画像又はひずみレート画像上で観測ウィンドウを選択することによって、本発明に従って測定信号を処理する焦点が、空間方向における距離レンジ及び時間方向における時間間隔によって規定される。装置は、時間軸に沿って観測ウィンドウをシフトするように動作可能であり、これは、1次元表現において時間軸に沿って表現される時間に対する複数の値を導出することを可能にする。時間軸に沿って観測ウィンドウをシフトすることにより、1次元表現は、以前に導出された値に加えられるリアルタイムの最近の値を示す。人間の眼は、或る時間スパンにわたる複数の2次元画像の輝度差を検出することと比べて、同じ時間スパンに沿った1次元の値をより容易に比較することができるので、組織の特性の改善された表現が、人間によって容易に理解できる。
【0011】
一実施形態において、装置は、生物の心臓の動きを視覚化するように動作可能である。生物の心臓は、心臓組織の収縮及び弛緩をトリガする固有の電気活動を示す。Mモード超音波測定信号は、この機械的活動を取得しており、導出される値の1次元表現は、心臓の心電図の表現に似ている。システムの更に他の実施形態において、時間方向において観測ウィンドウを規定する時間間隔は、生物の心臓の2つの連続する心拍の間の時間間隔より短い。心臓の機械的活動の1次元表現の洗練は、その進歩が心臓の電気活動に従うように、改善する。
【0012】
1次元表現の値は、好適には、ひずみレートを表現する。ひずみレート値の変化は、組織収縮、弾性及び灌流の変化を生じさせる内部又は外部ファクタ(例えば心筋梗塞、組織へのエネルギー印加)に基づく、心筋特性の変化を反映する。一実施形態において、システムは、心臓の電気活動を測定する測定ユニットを更に有する。装置は、1次元表現における値の表現を、心臓のエレクトログラム又は心電図と同期させるように構成される。このような実施形態は、超音波測定を実施している人が、心臓の電気活動に対応する心臓の機械的活動に関する情報を容易に理解することを可能にする。エレクトログラムは、心臓の近傍で局所的に測定されるエレクトログラム又は生物の身体の表面上で測定される表面心電図でありうる。心臓の近傍で局所的に測定されるエレクトログラムは、電気活動を検知するためのセンサを具備する装置によって実施されることができ、かかる装置は、心臓組織の内部の又は外部の表面にアクセスする能力を有する。
【0013】
本発明によるシステムの一実施形態において、動きモード超音波測定の空間方向は、複数の観測ウィンドウを含み、プロセッサに結合されるレンダリング装置は、複数の観測ウィンドウの各々について、時間軸に沿って1次元表現をレンダリングするように構成される。空間方向を複数の観測ウィンドウに分割することは、結果的に、1次元表現の値の洗練をもたらす。更に、心筋のような組織は、内部の又は外部の刺激に対して異なって反応するいくつかの層を呈することができる。複数の観測ウィンドウから生じる複数の1次元表現は、さまざまな刺激に対する組織の特定の層の非定型反応の視覚化を改善する。
【0014】
本発明による他の実施形態において、プロセッサに結合される装置のレンダリング装置は、時間軸に沿って複数の1次元表現を含む合成画像をレンダリングするように動作可能であり、合成画像内の各1次元表現の位置は、ひずみレート画像、動きモード超音波画像又は組織速度画像における観測ウィンドウの連続する位置に従い、1次元表現は、観測ウィンドウから生成される。複数の1次元表現を含む合成画像は、内部の又は外部の刺激に対する組織特性変化の提示を改善し、それにより、空間寸法に沿った特性変化の伝播が、連続する複数の1次元表現における値の変化の伝播に反映される。空間寸法に沿った組織の特性変化の伝播の例は、高周波電流による組織のアブレーションであり、この場合、組織の加熱は、組織収縮、弾性及び灌流の変化をもたらす。
【0015】
システムの一実施形態において、超音波測定器の超音波トランスデューサは、エネルギー印加装置の遠位先端部に組み込まれる。このようなシステムの主な利点は、1又は複数の超音波トランスデューサを有する超音波プローブがエネルギー印加装置に埋め込まれることができることである。これは、組織に対するエネルギー印加が行われる部位における、ローカライズされた正確な超音波測定を可能にする。エネルギー印加装置に超音波トランスデューサを組み込むことにより、超音波測定のエネルギー印加装置によってもたらされるシャドウィングを回避するために超音波プローブ及びエネルギー印加装置をアライメントする必要がない。更に、心臓の電気活動を測定するための測定ユニットを有するシステムが、Mモード超音波測定信号とエレクトログラムの内部同期を可能にする。電気信号測定電極が、エネルギー印加装置の遠位先端部に組み込まれることができ、従って、システムは、組織に対するエネルギー印加が行われる同じロケーションから生じる心臓組織の機械的活動の1次元表現と同期されたエレクトログラムを提供することができる。
【0016】
エネルギー印加装置は、超音波、高周波電流、高周波、マイクロ波又はレーザ放射から選択されるモダリティのうちの1つによって、エネルギーを組織に印加するように構成される。エネルギー源は、エネルギー印加装置に、電流又は電磁放射の形でエネルギーを送信する。エネルギー印加装置において、電流は、超音波に、又は高周波、マイクロ波又は光の形の電磁波に変えられることができる。
【0017】
本発明のこれらの及び他の見地は、以下に記述される実施形態から明らかになり、それらを参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明による装置の一実施形態を概略的及び例示的に示す図。
図2】観測ウィンドウの規定に関する一実施形態を概略的及び例示的に示す図。
図3】観測ウィンドウの規定に関する代替の実施形態を概略的及び例示的に示す図。
図4a】本発明による装置の一実施形態によってレンダリングされる画像のシーケンスを示す図。
図4b】本発明による装置の一実施形態によってレンダリングされる画像のシーケンスを示す図。
図4c】本発明による装置の一実施形態によってレンダリングされる画像のシーケンスを示す図。
図5】超音波測定器及び本発明による装置を有する測定システムを概略的及び例示的に示す図。
図6】エネルギー印加装置に接続されるエネルギー源、電気活動を測定する測定ユニット、超音波測定器、及び本発明による装置、を有するシステムを概略的及び例示的に示す図。
図7】エネルギー印加による組織の特性変化に特徴的なひずみレート値の1次元表現の差を概略的及び例示的に示す図。
図8】ひずみレート値及び同期されたエレクトログラムの組み合わされた1次元表現の画像を概略的及び例示的に示す図。
図9】心臓の電気活動と、心臓組織及びエネルギー印加装置の間の機械的相互作用と、の間の関係を概略的及び例示的に示す図。
図10】エネルギー印加の前後の、エレクトログラムと同期されたひずみレート値の1次元表現を概略的及び例示的に示す図。
図11】複数の観測ウィンドウから生成されるひずみレート値の複数の1次元表現を含む合成画像を示す図。
図12】システムによる組織に対するエネルギー印加の中断を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、組織からの動きモード超音波測定信号3を処理する信号プロセッサ2と、信号プロセッサ2に結合され、時間軸に沿って1次元表現をレンダリングするレンダリング装置4と、を有する装置1の一実施形態を概略的及び例示的に示す。
【0020】
超音波測定信号3は、好適には、組織上のリアルタイムMモードパルス/エコー測定から生成される。代替として、Mモード超音波情報は、信号プロセッサ2によって、輝度モード(Bモード)又は外部の超音波測定器によって提供される3次元(3D)超音波測定から、抽出されることができる。
【0021】
レンダリング装置4は、レンダリングプロセッサと、メモリユニットと、表示ユニットと、を有する。レンダリングプロセッサは、表示ユニット上に1次元表現としてレンダリングされるように、プロセッサ2から受け取られたデータを準備するように構成される。
【0022】
1次元表現の値は、組織内の特性を表す。それらの値は、組織の2次元Mモード表現内の観測ウィンドウに位置するMモード超音波測定信号値に基づいて、導出される。
【0023】
図2は、生物の心臓組織のMモード超音波画像10における観測ウィンドウ12の規定を示す画像を概略的及び例示的に示す。観測ウィンドウ12は、空間方向13における距離y及び時間方向11における時間間隔xによって規定される。空間方向13は、解剖学的構造の深さを表現し、ゆえに、解剖学的構造を超音波に曝露する際に超音波反射及び散乱超音波が生成される組織の深さを表現する。代替として、空間方向は、超音波の飛行時間(time of flight)で表現されることができ、この飛行時間は、超音波が組織を通って或る距離を進むのにかかる時間である。
【0024】
プログラム制御されるプロセッサ及び当該プロセッサ用のコンピュータプログラムは、ポインティングデバイスによりMモード超音波画像上で観測ウィンドウを選択することによって、すなわち、観測ウィンドウのサイズ、座標位置及び形状を示すことによって、Mモード超音波画像に基づいて観測ウィンドウを選択することを可能にする。観測ウィンドウを選択するように構成されるプロセッサは、組織からの動きモード超音波測定信号3を処理する信号プロセッサ2と同じプロセッサであってもよい。
【0025】
Mモード超音波画像上に規定される観測ウィンドウ12は、図3に例示的に示すように、代替として、組織速度画像20又はひずみレート画像30上に規定されることもできる。生物の心臓が超音波測定の被検体である場合、超音波測定信号は、例えば心筋、血液、心外膜脂肪、心膜液、肺、食道のような複数の解剖学的エンティティに関する情報を含むことができる。Mモード超音波信号から導出される組織速度画像及びひずみレート画像は、異なる解剖学的エンティティの間のインタフェースにおいて、Mモード超音波画像より鮮明な境界を示す。血液と心筋の間の、肺と心筋の間の、又は個々の2層の遅延される電気活動によってトリガされる異なる運動をもつ2つの組織の層の間の、顕著な差は、組織速度画像又はひずみレート画像からの観測ウィンドウの選択が有利である例である。
【0027】
る組織の最も重要な特性は、組織収縮、組織弾性及び血液灌流である。このような特性を反映することができる物理量は、組織速度及びひずみレートである。組織の特性又は外部刺激による特性変更を標示するために、組織速度又はひずみレート値の振幅としての1次元表現は、2次元Mモード画像に対する大きな改善であり、これらの値の振幅は、ピクセルのカラー強度として表現され、振幅が大きいほど、ピクセルは明るくなる。人間の眼は、画像の領域の輝度を定量的に評価する難しさのため、2次元Mモード画像における輝度差を検出するようにはあまり良好に適応されず、隣の領域の輝度によって容易に誤り導かれる。更に、2次元画像上に、超音波測定信号又は導出された組織速度及びひずみレート値を表現するためには、付加の処理ステップ(例えばフィルタリング、ダウンスケール)が必要になり、これは結果的に、潜在的に重要な情報の損失をもたらす。2次元表現のためのカラーマップにおいて使用されるカラーは、個人間の知覚の差を増やし、かかる知覚の差は、1次元表現によって除去される。
【0028】
図3には、Mモード超音波画像10、組織速度画像20、及びひずみレート画像30が図示され、これらの画像は、同じMモード超音波測定信号から生成される。ライン19に対応する画像内の心臓組織の外側の壁は、Mモード超音波画像と比べて、ひずみレート画像上でより強い境界特徴を示す。心筋は、例示的な図示において関心のある解剖学的エンティティであり、その境界は、Mモード超音波画像10又は組織速度画像20と比べて、ひずみレート画像30上でより顕著であるので、ひずみレート画像30が、本発明の更なる説明において使用される。
【0029】
図4aは、時点t1における組織のひずみレート画像30を示し、かかる画像は、時間軸41に沿った1次元表現40に変えられる。組織特性を視覚化する装置1は、プログラム制御されるプロセッサと、ひずみレート画像30上において観測ウィンドウ32を選択することを可能にするためのプロセッサ用コンピュータプログラムと、を有する。装置1は更に、1次元表現40における値42の計算を可能にするために、時間軸31に沿って、ひずみレート画像30において観測ウィンドウ32をシフトするように動作可能である。シフトの性質は、連続的又は離散的でありうる。連続するシフトは、観測ウィンドウが時間軸に沿って単一ラインを移動する時間シフトである。これは、超音波信号のリアルタイム処理のために適切であり、観測ウィンドウは、それらがMモード超音波画像のすでに存在する部分にリアルタイムに加えられるので高周波超音波信号ラインを直接的にたどることができる。離散的なシフトは、一度に複数ラインをもつ観測ウィンドウの段階的な時間シフトである。好適な実施形態の離散ステップのサイズは、時間軸31に沿った観測ウィンドウ32の寸法より小さく、これは実際に、観測ウィンドウが、時間の連続的な計算ステップについて時間軸に沿って重複することを意味する。例示的な実施形態において、プロセッサは、1次元表現40のために或る値42を任意の時間ステップに計算するように構成され、値42は、観測ウィンドウ32内の絶対ひずみレート値の平均として規定される。
【0030】
Mモード超音波測定信号は、図1に概略的に示すように、接続3を通じて外部の超音波測定ユニットによってプロセッサ2に提供されることができる。代替として、超音波測定信号は、図5に例示的に示す測定システム100によって提供されることができ、測定システム100は、超音波測定器101及び組織特性を視覚化する装置1を有する。超音波測定器101は、超音波プローブに接続される超音波パルサ/受信器ユニットを有する。超音波パルサ/受信器ユニットは、超音波プローブ内の超音波トランスデューサに電気パルスを反復的に送信するように構成され、超音波トランスデューサは、電気パルスを超音波に変え、組織に超音波を送信する。超音波は、組織から散乱され反射されて、超音波トランスデューサへ戻り、超音波トランスデューサは、超音波信号を電気信号に変え、それらをパルサ/受信器ユニットに送信する。パルサ/受信器ユニットは、接続3を通じて、装置1の信号プロセッサ2に超音波測定信号を提供する。
【0031】
図6に概略的に示す更に別の実施形態において、超音波測定器101は、超音波測定中にエネルギーを組織に供給するシステムに組み込まれることができる。システムは、エネルギーを心臓114組織に印加するエネルギー印加装置112に接続されるエネルギー源111と、超音波測定器101と、心臓の電気活動を測定する測定ユニット117と、組織の特性を視覚化する装置1と、を有する。このようなシステムの主な利点は、装置1が、組織の特性だけでなく、エネルギー印加装置による組織に対するエネルギー印加の際の組織の特性変化をも視覚化することができることである。超音波測定器の超音波トランスデューサは、エネルギー印加装置112の遠位先端部113に組み込まれることができ、それにより、組織に対するエネルギー印加の部位においてローカライズされる超音波測定を可能にする。エネルギー印加装置に超音波トランスデューサを組み込むことによって、エネルギー印加装置に対する超音波プローブのアライメントの難しさが取り除かれ、超音波測定におけるシャドウィング又はリンギングアーチファクトが回避される。エネルギー印加装置112の遠位先端部113に組み込まれる超音波トランスデューサは、単一ピストン圧電トランスデューサ、フェイズドアレイ圧電トランスデューサ、又は容量性マイクロマシントランスデューサ(CMUT)でありうる。複数の超音波トランスデューサが、同時に又は逐次的に複数方向の心臓組織の超音波測定を提供するために、エネルギー印加装置の遠位先端部に組み込まれることができる。
【0032】
図4aのひずみレート画像30が導出される超音波測定は、エネルギー印加装置112の遠位先端部113に組み込まれる超音波トランスデューサによって実施され、この場合、遠位先端部113は、ベッド116上に配された生物115の心臓114組織の内壁と接触する。
【0033】
生物の心臓は、固有の収縮のため特徴的な運動を示し、かかる特徴的な運動は、エネルギー印加装置が心臓の内壁と接触するとき、エネルギー印加装置と心臓組織との相互作用をもたらす。固有の収縮は、心臓の電気活動によってトリガされる。心臓の電気活動を測定する測定ユニット117を有するシステム110は、遠位先端部113に組み込まれたセンサ電極を有するエネルギー印加装置112の遠位先端部113の近傍における、心臓の電気活動のローカライズされた測定を提供することができる。心臓の電気活動が測定されるので、心拍の周期性が分かる。好適な実施形態において、時間方向31において観測ウィンドウ32を規定する時間間隔は、生物の心臓の2つの連続的な心拍の間の時間間隔より短い。
【0034】
相互作用の反復的な性質は、心臓の収縮及び弛緩フェーズに相関する反復的なパターンを示すので、エネルギー印加装置と心臓組織の間の相互作用の周期的なバリエーションは、組織速度及びひずみレートに関連する統計パラメータを処理するために有利である。固有の運動を示さない他の組織タイプの場合、外部の周期的な運動が、静止組織に対してエネルギー印加装置に適用されることが好ましい。
【0035】
図4bは、組織に対するエネルギー印加の開始34に続く、時点t2における組織のひずみレート画像30を示す。エネルギー印加装置に接続されるエネルギー源111は、エネルギー印加装置112の遠位先端部113に高周波電流を提供する。生物の身体上に配置され、エネルギー源111に接続される中性電極(図示せず)は、電気回路が生物の身体の中で閉じていることを確実にする。500kHzの高周波電流は、エネルギー印加装置の遠位先端部113と心臓組織の接触部分において、局所的に組織を加熱し、それにより、1次元表現40における値42の変化をもたらす。同様の実施形態において、エネルギー源111は、エネルギー印加装置112に、電流又は電磁放射の形でエネルギーを提供することができる。エネルギー印加装置において、電流は、超音波、高周波、マイクロ波又は光に変えられることができる。レーザ放射により組織に対しエネルギーを印加する場合、エネルギー源は、エネルギー印加装置に、光学ファイバを通じて直接に電磁放射でエネルギーを提供することができ、又は、エネルギー源は、エネルギー印加装置112の遠位先端部113に組み込まれるレーザ放出ダイオードによって電磁放射に変えられる電流を提供することができる。
【0036】
図4cは、組織に対するエネルギー印加の終了35のあとの、時点t3における組織のひずみレート画像30を示す。組織に対するエネルギー印加の持続時間36の間、1次元表現40の値42は、エネルギー印加の開始34の前の時間間隔と比較して変化し、値は、エネルギー印加の特定の持続時間後は狭いバンド内で安定する。
【0037】
1次元表現40の特性は、図7に更に示される。値42の周期的なバリエーションは、生物の心臓運動及び呼吸の間、エネルギー印加装置の遠位先端部113と心臓114組織との周期的な相互作用によって引き起こされる。組織に対するエネルギー印加の開始34の前、表現40における値42は、平均143及びバリエーション44によって特徴付けられる。値の最小145及び最大144が、バリエーション44を規定する。組織に対するエネルギー印加36の間、1次元表現における値42は、それらが値の最小245及び最大244によって規定され、平均243を与える狭い一貫したバンド45内に安定するまで、変化する。狭いバンド内における値42の安定化は、観測ウィンドウ32を規定する空間寸法yの全体にわたって組織の特性変化が終了していることを示す。オフセット43は、組織に対するエネルギー印加の前の平均143と、組織に対するエネルギー印加のあとの平均243との間の差を特徴付ける。
【0038】
平均間のオフセット及び値のバリエーションは、エネルギー印加装置と組織の相互作用の条件に依存する。相互作用は、心臓組織の機械的な制約によって、エネルギー印加装置の遠位先端部によって、心臓の解剖学的ロケーションをもつ組織収縮性のバリエーションによって、及び付加的に、生物の呼吸中の肺のような隣接する器官の動きによって、影響を及ぼされる。超音波、放射線、電磁気又は磁気共鳴に基づく追跡技術は、心臓のエネルギー印加装置の位置に関する情報、及びエネルギー印加装置と心臓組織との間の相互作用の環境に関する情報を提供することが可能である。
【0039】
生物の心房において、平均43間のオフセット及び値のバリエーション45が特定の時間間隔の間一定である場合、10乃至30パーセントのレンジでの平均143の変化及び値のバリエーション44の変化は、組織に対するエネルギー印加の際の組織特性の変化が、観測ウィンドウ32を規定する空間寸法yの全体にわたって完了されていることを示す。
【0040】
観測ウィンドウの選択のために使用されるひずみレート画像30は、好適には、1次元表現40の上に位置付けられるが、2つの表現は、並んで位置付けられることもできる。
【0041】
図8は、4つの1次元表現51、52、53、54を有する画像50を概略的及び例示的に示す。上側の2つの1次元表現51及び52は、組織ひずみレート画像30の観測ウィンドウ32において計算される絶対ひずみレート値の平均及びひずみレート値の平均をそれぞれ表す。下側の2つの1次元表現53及び54は、心臓の電気活動の2つの信号を表し、それぞれ遠位エレクトログラム及び表面心電図を表す。システム110は、エレクトログラム及び/又は心電図を測定する測定ユニット117を有する。エレクトログラムは、エネルギー印加装置112の遠位先端部113に組み込まれるセンサ電極(例えば、プラチナ-イリジウム合金)を有する心臓114組織の近傍において局所的に測定される電気信号である。心電図は、生物115の身体の表面上に位置付けられ固定される電極により測定される電気信号である。エレクトログラム及び心電図は両方とも、超音波測定信号と同期する。
【0042】
図9は、1次元表現51、52と、心臓の電気活動の同期された1次元表現53、54と、の間の関係を概略的及び例示的に示す。1次元表現51は、拡大された時間スケールを有する図4aからの1次元表現40と考えられることができる。生物の1つの心拍サイクルの間の心電図を表す図式的な信号が64によって示されており、これは、個々の時間間隔において観測ウィンドウ32内の心電図54の1次元表現に対応する。心電図64は、心房の電気活性化信号71及び心室の電気活性化信号72を含む。心房の電気活性化信号71は、心房の図式的な機械的挙動ダイアグラム62に従って心房収縮73を引き起こし、心室の電気活性化信号72は、心室の図式的な機械挙動ダイアグラム61に従って心室の収縮74を引き起こす。例示的な説明において、エネルギー印加装置112の遠位先端部113は、パルス/エコー測定のための超音波トランスデューサと、心臓の電気活性化信号の測定のためのセンサ電極と、を有し、心臓の内壁と接触しながら、心臓の心房に位置付けられる。従って、エネルギー印加装置112の遠位先端部113に組み込まれるセンサ電極により測定されるエレクトログラム53は、主として1次元表現53の上昇するピークに対応する心房の活性化71を検知し、小さい電気外乱のみが、心室の電気活性化の間、遠距離場信号と同じセンサ電極によって検知される。
【0043】
電気活性化信号71及び72によってそれぞれトリガされる心房及び心室の収縮73及び74は、接触により、心臓組織とエネルギー印加装置の遠位先端部との機械的相互作用を生じさせる。心房及び心室の収縮73及び74は、表現51及び52において顕著なピークとして認識可能である。エネルギー印加装置の遠位先端部は、心房の内壁のみと接触するが、強い心室収縮が、心房組織とエネルギー印加装置の遠位先端部との間に大きな機械的相互作用を生じさせる。例示的な記述において、エネルギー印加装置の遠位先端部の機械的相互作用は、心房収縮の間よりも、心室収縮の間により大きいひずみレート値をもたらす。これは、表現51において観察されることができるが、表現52からは、ひずみレート値の符号が、心房及び心室の収縮に起因する相互作用の間に反転することが結論付けられる。
【0044】
超音波測定が心臓の電気活性化信号の測定と同期され、電気活動によってトリガされる心臓の機械的挙動が、心臓組織とエネルギー印加装置との相互作用を生成するが、1次元表現51及び52における機械的相互作用の表現は、心臓のエレクトログラムと類似の機械曲線と考えられる。
【0045】
図10には、心臓組織に対するエネルギー印加の開始34前のインスタンス(時点)における及び組織に対するエネルギー印加の中断35後のインスタンスにおける組み合わされた4つの表現51、52、53、54の画像50が、示されている。組み合わされた表現81、82、83、84の画像80は、画像50と同じ意味であり、同じエンティティを表すが、ただ異なるインスタンスのものである。観測ウィンドウ85は、32と同じ観測ウィンドウであるが、組織に対するエネルギー印加の終了35をすぎて更に、時間軸に沿ってシフト37されたものである。生物の身体の表面上で測定される心電図は、両方のケース54及び84において同一のままである。これは、エネルギー印加装置の遠位先端部による心臓組織に対する非常に局所的なエネルギー印加のため、全体として、心臓の電気活動は変化していないことを示す。しかしながら、遠位先端部に組み込まれるセンサ電極により局所的に測定される心房の電気活性化信号は、強く低減されており、これは、遠位先端部が組織と接触する場合、エネルギー印加が局所的に心臓組織の内壁の電気特性を変えることを示す。それぞれ2つの異なるインスタンスでの上側の2つの1次元表現51、52及び81、82は、組織に対するエネルギー印加の終了35の後のひずみレート値の強い低減を示し、これは、心臓組織とエネルギー印加装置の遠位先端部との間の機械的相互作用の変化を示す。
【0046】
1次元表現51、52、53、54の組み合わされた画像50を使用する主な利点は、心臓の電気活動に対するエネルギー印加の一時的な効果(例えば組織スタニング)と永続的な効果とを区別する可能性である。一時的な効果は、エレクトログラム上の変化にかかわらず、心臓組織とエネルギー印加装置の遠位先端部との間の機械的な相互作用に対する大きな影響に変えられず、永続的な効果は、結果的に、1次元表現81、82に示されるように、エネルギー印加装置の遠位先端部と心臓組織との間の機械的相互作用の大きな減少をもたらす。更に、51、52からの機械的相互作用は、心臓のさまざまな解剖学的構造の特定の電気活動シーケンス53、54に関連付けられることができる。
【0047】
組み合わされた画像50は、代替として、組織速度に関連する他の1次元表現を含むことができる。組み合わされた画像50の好適な実施形態は、ひずみレート値51、エネルギー印加装置の遠位先端部に組み込まれたセンサ電極により測定されるエレクトログラム53、及び生物の身体の表面上で測定される心電図54、の1次元表現である。
【0048】
図11は、一実施形態を概略的及び例示的に示す。プロセッサに結合されるレンダリング装置は、時間軸に沿って複数の1次元表現を含む合成画像90をレンダリングするように動作可能であり、合成画像90内の各々の1次元表現の位置は、ひずみレート画像30、動きモード超音波画像又は組織速度画像内の観測ウィンドウ32の連続する位置に従っており、1次元表現はそれら観測ウィンドウから生成される。ひずみレート画像30において、空間方向は、複数の隣接する観測ウィンドウ32に分割される。空間方向及び時間方向における観測ウィンドウのサイズは、プロセッサ用のコンピュータプログラム及びプログラム制御されるプロセッサにより規定される。時間軸に沿った1次元表現40は、時間軸に沿って観測ウィンドウ32をシフト37することによって超音波測定信号をひずみレート値へと処理することにより、各観測ウィンドウごとにレンダリングされる。複数の1次元表現40が、ひずみレート画像30内の観測ウィンドウ32の連続する位置に従って、合成画像90の空間方向に位置付けられており、1次元表現はそれら観測ウィンドウから生成される。合成画像90は、ひずみレート画像30と隣同士に表示されることができ、又は、代替としてひずみレート画像の下に表示される。ひずみレート画像の代わりに、超音波Mモード画像又は組織速度画像が、観測ウィンドウのサイズの規定のために使用されることができる。空間方向における複数の観測ウィンドウは、合成画像の改善された洗練のためにオーバラップされることができる。観測ウィンドウの間の好適なオーバラップは、50パーセントである。合成画像90は、図8と同様の1次元ひずみレート表現の時間スケールの倍率を可能にすることができる。その場合、結果として得られる合成画像は、エレクトログラム53及び/又は心電図54の形で、心臓の電気活動の1次元表現によって強化される。
【0049】
複数の1次元表現を含む合成画像90は、エネルギーの印加による組織特性変化の提示を改善し、それにより、連続する1次元表現の値の変化の伝播が、空間寸法に沿った特性変化の伝播を反映する。
【0050】
図12は、システム110の機能的な使用の図200を概略的及び例示的に示す。超音波測定は、ステップ201において始まり、ステップ201では、最初に、心臓114の組織に対してエネルギー印加装置112の遠位先端部113を位置付け、その後、組織上で超音波測定を行う。システムは、エネルギー印加装置の遠位先端部に組み込まれるセンサ電極に接続される測定ユニット117により、及び生物の身体の表面に位置付けられ固定される電極を通じて、心臓の電気活動を測定し記録することを始める。
【0051】
ステップ202において、信号プロセッサ2は、超音波測定器101から接続3を通じて伝送される超音波測定信号を処理するように構成される。プログラム制御されるプロセッサ及び当該プロセッサ用のコンピュータプログラムは、ポインティングデバイスを使用することによって、すなわち観測ウィンドウのサイズ、座標位置及び形状を示すことによって、Mモード超音波画像に基づく、又は、代替として、組織速度画像又はひずみレート画像に基づく、観測ウィンドウ32の選択を可能にする。
【0052】
ステップ203において、組織速度又はひずみレートの統計パラメータの値を表現する1次元表現40が、プロセッサに結合されるレンダリング装置4によって、レンダリングされる。代替として、1次元表現40の時間スケールの倍率が選択されると、心臓の電気活動の1次元表現53、54が、心臓組織とエネルギー印加装置との機械的相互作用の1次元表現と共に、レンダリングされ、それにより、組み合わされた画像50を形成する。
【0053】
ステップ204において、組織に対するエネルギー印加が開始する。エネルギーは、システム110のエネルギー源111に接続されるエネルギー印加装置112の遠位先端部113を通じて組織に供給される。組織に対するエネルギー36の印加の間、平均43のオフセット及び値42のバリエーション44が、徐々に変化し、これは、観測ウィンドウ32内の組織の特性が次第に変化することを意味する。
【0054】
ステップ205において、プロセッサは、平均43のオフセット及び値のバリエーション45が特定の時間間隔の間一定になることを検出する。これが検出されるとき、平均143の変化及び値のバリエーション44の変化が予め決められた閾値を越える場合、エネルギー印加による組織特性の変化が、観測ウィンドウ32を規定する空間寸法yの全体にわたって完了し、エネルギー印加が終了されることができる、生物の心房において、閾値は、10乃至30パーセントのレンジである。
【0055】
代替として、閾値は、組織に対するエネルギー印加の終了のためのエンドポイントと考えられることができ、それは、プログラム制御されたプロセッサ及びプロセッサ用のコンピュータプログラムによって規定されることができる。
【0056】
ステップ205の条件が満たされる場合、プロセッサは、エネルギー源111に信号を送信するように構成され、ステップ206において、エネルギー源は、信号を受信すると、エネルギー印加装置へのエネルギーの送信を中断する。
【0057】
開示された実施形態に対する他の変更例は、図面、開示及び添付の請求項の検討から、請求項に記載の本発明を実施する際に当業者によって理解され達成されることができる。
【0058】
請求項において、「含む、有する(comprising)」という語は、他の構成要素を除外せず、不定冠詞「a」又は「an」は、複数性を除外しない。
【0059】
単一のユニット又は装置は、請求項に列挙されるいくつかのアイテムの機能を果たすことができる。特定の手段が相互に異なる従属請求項に列挙されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを示さない。
【0060】
コンピュータプログラムは、他のハードウェアと共に又はその一部として供給される、光学記憶媒体又はソリッドステート媒体のような適切な媒体に記憶され/配布されることができるが、他の形態で、例えばインターネット又は他のワイヤード又はワイヤレス通信システムを通じて、配布されることもできる。
【0061】
請求項における任意の参照符号は、請求項の範囲を制限するものとして解釈されるべきでない。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図4c
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12