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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-13
(45)【発行日】2024-06-21
(54)【発明の名称】センサ装置
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/497 20060101AFI20240614BHJP
   G01S 7/484 20060101ALI20240614BHJP
   G02B 26/10 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
G01S7/497
G01S7/484
G02B26/10 104Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022509336
(86)(22)【出願日】2021-02-01
(86)【国際出願番号】 JP2021003478
(87)【国際公開番号】W WO2021192610
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-09-20
(31)【優先権主張番号】P 2020058896
(32)【優先日】2020-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】520001073
【氏名又は名称】パイオニアスマートセンシングイノベーションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(74)【代理人】
【識別番号】100127236
【弁理士】
【氏名又は名称】天城 聡
(72)【発明者】
【氏名】出田 亮
(72)【発明者】
【氏名】加園 修
【審査官】仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-24316(JP,A)
【文献】特開2016-6403(JP,A)
【文献】特開2013-210316(JP,A)
【文献】国際公開第2019/163526(WO,A1)
【文献】特開2017-125771(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48-7/51
17/00-17/95
G02B 26/10-26/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の走査範囲内に向けてパルス状電磁波を反射する可動反射部と、
前記走査範囲の第1方向の少なくとも一方の端部に設けられた構造体と、
物体によって反射又は散乱された前記パルス状電磁波を受信する受信部と、
前記構造体によって反射又は散乱された前記パルス状電磁波の前記受信部による受信結果に基づいて、前記可動反射部の振動の振幅を制御する制御部と、
を備え、
前記可動反射部は、前記パルス状電磁波の前記走査範囲内の走査軌跡の折り返しの前及び後のそれぞれにおいて、前記構造体に向けて前記パルス状電磁波を反射する、センサ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のセンサ装置において、
前記制御部は、前記パルス状電磁波の前記走査軌跡の前記折り返しの前において前記構造体によって反射又は散乱された前記パルス状電磁波の前記受信部による第1受信値の大きさと、前記パルス状電磁波の前記走査軌跡の前記折り返しの後において前記構造体によって反射又は散乱された前記パルス状電磁波の前記受信部による第2受信値の大きさと、の関係に基づいて、前記可動反射部の前記振動の前記振幅を制御する、センサ装置。
【請求項3】
請求項に記載のセンサ装置において、
前記制御部は、前記パルス状電磁波の前記走査軌跡の前記折り返しの前において前記構造体によって反射又は散乱された前記パルス状電磁波の前記受信部による第1受信値と、前記パルス状電磁波の前記走査軌跡の前記折り返しの後において前記構造体によって反射又は散乱された前記パルス状電磁波の前記受信部による第2受信値と、の関係に基づいて、前記可動反射部の前記振動の前記振幅を制御する、
前記制御部は、前記第1受信値及び前記第2受信値の前記関係と、前記可動反射部が基準状態で動作した場合に前記パルス状電磁波の前記走査軌跡の前記折り返しの前において前記構造体によって反射又は散乱された前記パルス状電磁波の前記受信部による第1基準受信値と、前記可動反射部が前記基準状態で動作した場合に前記パルス状電磁波の前記走査軌跡の前記折り返しの後において前記構造体によって反射又は散乱された前記パルス状電磁波の前記受信部による第2基準受信値と、の関係と、の比較結果に基づいて、前記可動反射部の前記振動の前記振幅を制御する、センサ装置。
【請求項4】
請求項3に記載のセンサ装置において、
前記制御部は、前記第1受信値及び前記第2受信値の双方が前記第1基準受信値又は前記第2基準受信値より大きいか又は小さいかに基づいて、前記可動反射部の前記振動の前記振幅を制御する、センサ装置。
【請求項5】
請求項3に記載のセンサ装置において、
前記構造体は、前記第1基準受信値と前記第2基準受信値とが異なるように設けられており、
前記制御部は、前記第1受信値及び前記第2受信値の比及び差の少なくとも一方と、前記第1基準受信値及び前記第2基準受信値の比及び差の少なくとも一方と、の比較結果に基づいて、前記可動反射部の前記振動の前記振幅を制御する、センサ装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載のセンサ装置において、
前記可動反射部は、前記走査軌跡の前記折り返しの前及び後の少なくとも一方の前記パルス状電磁波のスポットの中心が前記構造体に入射するように、前記パルス状電磁波を反射する、センサ装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載のセンサ装置において、
前記可動反射部は、出射部から出射された前記パルス状電磁波を前記走査範囲内に向けて反射しており、
前記制御部は、前記出射部からの前記パルス状電磁波の出射タイミングの間隔をさらに制御する、センサ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LiDAR(Light Detection And Ranging)等、様々なセンサ装置が開発されている。センサ装置は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラー等の可動反射部を備えている。センサ装置は、赤外線等の電磁波を所定の走査範囲に向けて可動反射部によって反射することで、センサ装置の外部に存在する物体等の対象物を走査する。
【0003】
特許文献1には、可動反射部によって反射されたレーザ光が出力された方向を求めるため、可動反射部の走査範囲の一端側に反射部材を配置することが記載されている。反射部材によって反射されたレーザ光は、受光部によって受光される。受光部の受光結果に基づいて、可動反射部から反射部材までの距離が算出される。可動反射部から反射部材までの距離に基づいて、可動反射部によって反射されたレーザ光が出力された方向が算出される。
【0004】
特許文献2には、可動反射部等、センサ装置を構成する部材を収容する筐体に反射部材を設けて、反射部材によって反射されたレーザ光によって可動反射部の走査位置のずれを検知することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-6403号公報
【文献】特開2020-16481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
センサ装置では、可動反射部によって反射された電磁波の照射によって点群が生成される。しかしながら、様々な要因、例えば、可動反射部の伝達関数のゲインが設計状態のゲインからずれることによって、点群の位置が設計状態の位置からずれることがある。
【0007】
本発明が解決しようとする課題としては、点群の位置の設計状態の位置からのずれを補正することが一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、
所定の走査範囲内に向けて電磁波を反射する可動反射部と、
前記走査範囲内に位置する構造体によって反射又は散乱された前記電磁波を受信する受信部と、
前記構造体によって反射又は散乱された前記電磁波の前記受信部による受信結果に基づいて、前記可動反射部の振動の振幅を制御する制御部と、
を備えるセンサ装置である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係るセンサ装置を示す図である。
図2】構造体と、可動反射部の走査線と、の関係の一例を示す図である。
図3】制御部による制御の第1例を説明するための図である。
図4】制御部による制御の第1例を説明するための図である。
図5】制御部による制御の第2例を説明するための図である。
図6】制御部による制御の第2例を説明するための図である。
図7】構造体と、可動反射部が設計状態で動作した場合における第1スポット及び第2スポットと、の関係の第1例を示す図である。
図8図7に示した第1スポット及び第2スポットによって受信部に発生する信号の一例を示すグラフである。
図9】構造体と、可動反射部の伝達関数の第1方向におけるゲインが図7に示した設計状態のゲインからずれた状態で可動反射部が動作した場合における第1スポット及び第2スポットと、の関係の一例を示す図である。
図10図9に示した第1スポット及び第2スポットによって受信部に発生する信号の一例を示すグラフである。
図11】構造体と、可動反射部の伝達関数の位相が図7に示した設計状態の位相からずれた状態で可動反射部が動作した場合における第1スポット及び第2スポットと、の関係の一例を示す図である。
図12図11に示した第1スポット及び第2スポットによって受信部に発生する信号の一例を示すグラフである。
図13】構造体と、可動反射部が設計状態で動作した場合における第1スポット及び第2スポットと、の関係の第2例を示す図である。
図14図13に示した第1スポット及び第2スポットによって受信部に発生する信号の一例を示すグラフである。
図15】構造体と、可動反射部の伝達関数の第2方向におけるゲインが図13に示した設計状態のゲインからずれた状態で可動反射部が動作した場合における第1スポット及び第2スポットと、の関係の一例を示す図である。
図16図15に示した第1スポット及び第2スポットによって受信部に発生する信号の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0011】
図1は、実施形態に係るセンサ装置10を示す図である。
【0012】
図1において、第1方向X及び第2方向Yは、互いに交差しており、具体的には直交している。図1において、第1方向Xは水平方向である。第1方向Xを示す矢印の方向である第1方向Xの正方向は、後述する可動反射部120から可動反射部120の後述する走査範囲に向けて見て左方向である。第1方向Xを示す矢印の方向の反対方向である第1方向Xの負方向は、可動反射部120が位置する側から可動反射部120の走査範囲に向けて見て右方向である。第2方向Yは垂直方向である。第2方向Yを示す矢印の方向である第2方向Yの正方向は、上方向である。第2方向Yを示す矢印の方向の反対方向である第2方向Yの負方向は、下方向である。
【0013】
本明細書の説明から明らかなように、第1方向Xは水平方向と異なる方向であってもよく、第2方向Yは垂直方向と異なる方向であってもよい。
【0014】
センサ装置10は、出射部110、可動反射部120、受信部130、ビームスプリッタ140、及び制御部150を備えている。図1において、出射部110、可動反射部120、受信部130、ビームスプリッタ140及び走査線Lにかけて延びる点線は、出射部110、可動反射部120、受信部130、ビームスプリッタ140及び走査線Lに亘って伝搬する電磁波を示している。図1では、可動反射部120から走査線Lに向けて反射された電磁波は、走査線Lが形成される領域のおおよそ中央部に向けて照射されている。
【0015】
出射部110は、一定のタイミングの間隔でパルス状の赤外線等の電磁波を出射する。出射部110は、例えばレーザダイオード(LD)等、電流等の電気を光等の電磁波に変換可能な素子である。出射部110から出射された電磁波は、ビームスプリッタ140を透過して可動反射部120に入射する。
【0016】
可動反射部120は、出射部110から出射された電磁波を所定の走査範囲内に向けて反射する。可動反射部120の走査範囲は、可動反射部120によって反射された電磁波によって照射可能な範囲である。可動反射部120は、例えば、2軸MEMSミラーである。可動反射部120は、第1方向Xに共振駆動されており、第2方向Yに線型駆動されている。可動反射部120の共振駆動には、例えば、正弦波又は余弦波が用いられている。可動反射部120の線形駆動には、例えば、鋸波又は三角波が用いられている。
【0017】
出射部110から出射されて可動反射部120によって反射された一部の電磁波は、センサ装置10の外部に存在する物体等の対象物によって反射又は散乱される。この電磁波は、可動反射部120に戻り、可動反射部120による反射と、ビームスプリッタ140による反射と、を順に経て、受信部130に入射して受信部130によって受信される。受信部130は、例えばアバランシェフォトダイオード(APD)等、光等の電磁波を電流等の電気に変換可能な素子である。
【0018】
出射部110から出射された可動反射部120によって反射された他の一部の電磁波は、上記対象物よりも可動反射部120の近くに位置する構造体200によって反射又は散乱される。この電磁波は、可動反射部120に向けて戻り、可動反射部120による反射と、ビームスプリッタ140の透過と、を順に経て、受信部130に入射して受信部130によって受信される。構造体200としては、例えば、メッキ等経時安定性の高い表面処理を施した金属等が用いられる。
【0019】
可動反射部120から構造体200までの距離は、可動反射部120から上記対象物までの距離より短くなっている。したがって、出射部110からの電磁波の出射から、構造体200による電磁波の反射を経て、受信部130による電磁波の受信までの時間は、出射部110からの電磁波の出射から、上記対象物による電磁波の反射を経て、受信部130による電磁波の受信までの時間より短くなる。このため、受信部130において発生する信号の時間差に基づいて、センサ装置10は、受信部130において発生した信号が、構造体200に起因する信号であるか、又は上記対象物に起因する信号であるかを区別することができる。
【0020】
センサ装置10は、構造体200を備えていてもよい。或いは、構造体200は、センサ装置10の外部に設けられていてもよい。センサ装置10が構造体200を備えている場合、構造体200は、例えば、出射部110、可動反射部120、受信部130、ビームスプリッタ140等センサ装置10を構成する部材を収容する筐体の窓部、すなわち、筐体の内部と外部との間で電磁波が透過する部分に設けることができる。しかしながら、構造体200が設けられる場所は、窓部に限定されない。
【0021】
本実施形態において、制御部150は、ハードウエア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。制御部150は、任意のコンピュータのCPU、メモリ、メモリにロードされたプログラム、そのプログラムを格納するハードディスクなどの記憶メディア、ネットワーク接続用インタフェースを中心にハードウエアとソフトウエアの任意の組合せによって実現される。そして、その実現方法、装置には様々な変形例がある。
【0022】
制御部150は、構造体200によって反射又は散乱された電磁波の受信部130による受信結果に基づいて、可動反射部120の振動の振幅を制御する。また、制御部150は、構造体200によって反射又は散乱された電磁波の受信部130による受信結果に基づいて、出射部110からの電磁波の出射タイミングの間隔を制御する。さらに、制御部150は、構造体200によって反射又は散乱された電磁波の受信部130による受信結果に基づいて、出射部110からの電磁波の出射タイミングを遷移させている。制御部150は、構造体200によって反射又は散乱された電磁波の受信部130による受信結果に応じて、出射部110及び可動反射部120についてのこれらの制御のうちの少なくとも一つを実施する。制御部150の制御によって、可動反射部120によって生成される点群の位置の設計状態の位置からのずれを補正することができる。
【0023】
図2は、構造体200と、可動反射部120の走査線Lと、の関係の一例を示す図である。
【0024】
走査線Lは、第1方向X、すなわち可動反射部120の共振駆動の方向に折り返しながら第2方向Y、すなわち可動反射部120の線型駆動の方向の正方向から負方向に向けて伸びている。図2では、走査線Lの第1周期T1の一部分と、第2周期T2と、第3周期T3と、が示されている。
【0025】
走査線Lの第1周期T1は、走査線Lの上端を第1周期T1の始点から約1/4周期ずれた位置とし、走査線Lの右側における上から1段目の折り返しを経て、走査線Lの左側における上から1段目の折り返しを終点とする区間である。
【0026】
走査線Lの第2周期T2は、走査線Lの第1周期T1の終点を始点として、走査線Lの右側における上から2段目の折り返しを経て、走査線Lの左側における上から2段目の折り返しを終点とする区間である。
【0027】
走査線Lの第3周期T3は、走査線Lの第2周期T2の終点を始点として、走査線Lの右側における上から3段目の折り返しを経て、走査線Lの左側における上から3段目の折り返しを終点とする区間である。
【0028】
構造体200は、可動反射部120の走査線Lの折り返しの少なくとも一部分と交差している。図2に示す例では、構造体200は、走査線Lの第1周期T1の右側の折り返しの少なくとも一部分と、走査線Lの第2周期T2の右側の折り返しの少なくとも一部分と、走査線Lの第3周期T3の右側の折り返しの少なくとも一部分と、交差している。仮に、構造体200が、走査線Lが生成される領域の第1方向Xにおけるおおよそ中央又はその周辺に配置される場合、センサ装置10は、構造体200が配置されている領域における対象物を検出することができなくなり、又は検出することが難しくなる可能性がある。これに対して、本実施形態においては、センサ装置10が対象物を検出することができなくなり、又は検出することが難しくなる領域を可動反射部120の走査範囲の端部に限定することができる。
【0029】
構造体200が配置される領域は図2に示す例に限定されない。例えば、構造体200は、走査線Lが生成される領域の第1方向Xにおけるおおよそ中央又はその周辺に配置されていてもよい。例えば、構造体200は、第2方向Yに沿って線状に延伸するワイヤ等の部材であってもよい。この場合であっても、構造体200の第1方向Xにおける幅が比較的狭く、例えば、可動反射部120によって生成されるスポットの第1方向Xの幅より狭い場合、構造体200によって減衰される電磁波を抑制することができる。
【0030】
走査線Lの第1周期T1において、可動反射部120は、設計状態で動作している。走査線Lの第1周期T1における右側折り返しには、出射部110から出射され、かつ可動反射部120によって反射された電磁波によって生成される3つのスポットが黒丸として示されている。
【0031】
走査線Lの第2周期T2において、可動反射部120は、可動反射部120の伝達関数のゲインが設計状態のゲインからずれた状態で動作している。走査線Lの第2周期T2における右側折り返しには、出射部110から出射され、かつ可動反射部120によって反射された電磁波によって生成される3つのスポットが黒丸として示されている。ゲインのずれによって、第2周期T2における走査線Lの第1方向Xにおける振幅が設計状態の振幅より小さくなっている。これによって、走査線Lの第2周期T2における3つのスポットは、走査線Lの第1周期T1における3つのスポットに対して、左側にずれている。
【0032】
走査線Lの第3周期T3において、可動反射部120は、可動反射部120の伝達関数の位相が設計状態の位相からずれた状態で動作している。走査線Lの第3周期T3における右側折り返し及びその近傍には、出射部110から出射され、かつ可動反射部120によって反射された電磁波によって生成される3つのスポットが黒丸として示されている。位相のずれによって、走査線Lの第3周期T3における3つのスポットの位相は、設計状態の位相から遅れている。これによって、走査線Lの第3周期T3における3つのスポットは、走査線Lの第1周期T1における3つのスポットに対してずれている。
【0033】
図3及び図4は、制御部150による制御の第1例を説明するための図である。
【0034】
図3及び図4では、可動反射部120のFOV(Field of View)等の視野Fが破線で示されている。図1及び図2に示した構造体200は、例えば、視野Fの外側に配置される。或いは、構造体200は、視野Fの内側に配置されていてもよい。
【0035】
図3及び図4では、出射部110によって出射され、かつ可動反射部120によって反射される電磁波によって生成される点群、すなわちスポットが、走査線Lと重なる複数の黒丸として示されている。
【0036】
図3では、第1周期T1における可動反射部120は、設計状態で動作している。これに対して、第2周期T2における可動反射部120の伝達関数のゲインは、設計状態のゲインからずれている。このため、走査線Lの第2周期T2の第1方向Xにおける振幅が設計状態の振幅より大きくなっている。したがって、視野F内において、第1周期T1の点群と、第2周期T2の点群と、が第1方向Xに互いにずれて配置されている。具体的には、視野F内において、第2周期T2の点群の第1方向Xにおける間隔が第1周期T1の点群の第1方向Xにおける間隔より広くなっている。
【0037】
図4では、制御部150は、構造体200によって反射又は散乱された電磁波の受信部130による受信結果に基づいて、可動反射部120の振幅と、出射部110からの電磁波の出射タイミングの間隔と、の少なくとも一方を制御している。可動反射部120の振幅は、例えば、可動反射部120に入力される駆動信号の振幅によって制御することができる。具体的には、制御部150は、視野F内において、第1周期T1の点群と、第2周期T2の点群と、を第1方向Xに実質的に揃わせている。
【0038】
なお、図3及び図4に示す例では、視野F内において、第1周期T1の点群と、第2周期T2の点群と、を第1方向Xに揃わせることについて説明している。つまり、図3及び図4に示す例では、視野F内における各周期の点群が図4に示すように第1方向Xに揃っている状態が、視野F内の点群の配置についての設計状態等の基準状態となっている。しかしながら、視野F内の点群の配置の基準状態は、視野F内における各周期の点群が第1方向Xに揃っている状態に限定されない。例えば、視野F内の点群の配置の基準状態は、視野F内における各周期の点群が第1方向Xに沿って所定の距離だけずれていてもよい。この例においても、視野F内の点群の配置が基準状態の配置からずれても、図3及び図4を用いて説明した例と同様にして、視野F内における点群の配置を基準状態の配置に戻すことができる。後述する図5及び図6についても同様である。
【0039】
制御部150による可動反射部120の振幅の制御の一例は以下のようになる。
【0040】
例えば、図3に示したように視野F内において第2周期T2の点群の第1方向Xにおける間隔が第1周期T1の点群の第1方向Xにおける間隔より広い場合、制御部150は、可動反射部120の第2周期T2における第1方向Xの振動の振幅を小さくすることで、視野F内における第2周期T2の点群の第1方向Xにおける間隔を狭くすることができ、これによって、視野F内における第1周期T1の点群の第1方向Xにおける位置と第2周期T2の点群の第1方向Xにおける位置とを揃えることができる。また、視野F内において第2周期T2の点群の第1方向Xにおける間隔が第1周期T1の点群の第1方向Xにおける間隔より狭い場合、制御部150は、可動反射部120の第2周期T2における第1方向Xの振動の振幅を大きくすることで、視野F内における第2周期T2の点群の第1方向Xにおける間隔を広くすることができ、これによって、視野F内における第1周期T1の点群の第1方向Xにおける位置と第2周期T2の点群の第1方向Xにおける位置とを揃えることができる。
【0041】
制御部150による出射部110の電磁波の出射タイミングの間隔の制御の一例は以下のようになる。
【0042】
例えば、図3に示したように視野F内において第2周期T2の点群の第1方向Xにおける間隔が第1周期T1の点群の第1方向Xにおける間隔より広い場合、制御部150は、出射部110からの視野F内における電磁波の出射タイミングの間隔を短くすることで、視野F内における第2周期T2の点群の第1方向Xにおける間隔を狭くすることができる。また、視野F内において第2周期T2の点群の第1方向Xにおける間隔が第1周期T1の点群の第1方向Xにおける間隔より狭い場合、制御部150は、出射部110からの視野F内における電磁波の出射タイミングの間隔を長くすることで、視野F内における第2周期T2の点群の第1方向Xにおける間隔を広くすることができる。
【0043】
図5及び図6は、制御部150による制御の第2例を説明するための図である。図5及び図6に示す例は、以下の点を除いて、図3及び図4に示した例と同様である。
【0044】
図5では、第1周期T1における可動反射部120は、設計状態で動作している。一方、第2周期T2における可動反射部120の伝達関数の位相は、設計状態の位相からずれている。このため、第2周期T2の点群の各位相が設計状態の位相から進んでいる。したがって、視野F内において、第1周期T1の点群と、第2周期T2の点群と、が第1方向Xに互いにずれて配置されている。
【0045】
図6では、制御部150は、構造体200によって反射又は散乱された電磁波の受信部130による受信結果に基づいて、出射部110からの電磁波の出射タイミングを遷移させている。具体的には、制御部150は、視野F内において、第1周期T1の点群と、第2周期T2の点群と、を第1方向Xに実質的に揃わせている。
【0046】
制御部150による出射部110からの電磁波の出射タイミングの遷移の一例は以下のようになる。
【0047】
例えば、図5に示したように第2周期T2の点群の各位相が設計状態の位相より進んでいる場合、制御部150は、第2周期T2における出射部110からの視野F内における電磁波の出射タイミングを早めることで、視野F内における第1周期T1の点群の第1方向Xにおける位置と第2周期T2の点群の第1方向Xにおける位置とを揃えることができる。また、第2周期T2の点群の各位相が設計状態の位相より遅れている場合、制御部150は、第2周期T2における出射部110からの視野F内における電磁波の出射のタイミングを遅らせることで、視野F内における第1周期T1の点群の第1方向Xにおける位置と第2周期T2の点群の第1方向Xにおける位置とを揃えることができる。
【0048】
図7は、構造体200と、可動反射部120が設計状態で動作した場合における第1スポットS1及び第2スポットS2と、の関係の第1例を示す図である。図8は、図7に示した第1スポットS1及び第2スポットS2によって受信部130に発生する信号の一例を示すグラフである。
【0049】
図7では、可動反射部120によって生成される走査線Lの1周期の一部分、具体的には走査線Lのうちの右側折り返し及びその周辺が示されている。走査線Lは、図内の左上から右側に向けて延びて、図内の右側で折り返して、図内の右側から左下に向けて延びている。
【0050】
図8において、グラフの横軸は時刻tを示しており、グラフの縦軸は受信部130によって発生した信号の強度を示している。図8では、時刻t1において第1スポットS1によって強度r0の信号が発生しており、時刻t2において第2スポットS2によって強度r0の信号が発生している。
【0051】
図7及び図8では、可動反射部120が設計状態で動作した場合に第1スポットS1によって時刻t1に受信部130に発生する信号の強度r0と、可動反射部120が設計状態で動作した場合に第2スポットS2によって時刻t2に受信部130に発生する信号の強度r0と、が実質的に等しくなるように、構造体200が設けられている。具体的には、構造体200のうち走査線Lの右側折り返しと交差する縁は、第2方向Yに対して平行になっている。また、構造体200の反射率は、構造体200内のいずれの領域においても一様となっている。しかしながら、可動反射部120が設計状態で動作した場合に第1スポットS1によって時刻t1に受信部130に発生する信号の強度と、可動反射部120が設計状態で動作した場合に第2スポットS2によって時刻t2に受信部130に発生する信号の強度とは、実質的に等しくなくてもよく、互いに異なっていてもよい。
【0052】
図9は、構造体200と、可動反射部120の伝達関数の第1方向Xにおけるゲインが図7に示した設計状態のゲインからずれた状態で可動反射部120が動作した場合における第1スポットS1及び第2スポットS2と、の関係の一例を示す図である。図10は、図9に示した第1スポットS1及び第2スポットS2によって受信部130に発生する信号の一例を示すグラフである。
【0053】
図9では、可動反射部120の伝達関数の第1方向X、すなわち共振駆動の方向におけるゲインが設計状態のゲインからずれている。これによって、可動反射部120の振動の第1方向Xにおける振幅が設計状態の振幅より大きくなっている。
【0054】
図9における第1スポットS1のうち構造体200への照射面積は、図7における第1スポットS1のうち構造体200への照射面積より大きくなっている。したがって、図10において時刻t1に受信部130によって受信される電磁波の量は、図8において時刻t1に受信部130によって受信される電磁波の量より多くなっている。このため、図10において時刻t1に発生している信号の強度r1は、図8において時刻t1に発生している信号の強度r0より高くなっている。
【0055】
図9における第2スポットS2のうち構造体200への照射面積は、図7における第2スポットS2のうち構造体200への照射面積より大きくなっている。したがって、図10において時刻t2に受信部130によって受信される電磁波の量は、図8において時刻t2に受信部130によって受信される電磁波の量より多くなっている。このため、図10において時刻t2に発生している信号の強度r1は、図8において時刻t2に発生している信号の強度r0より高くなっている。
【0056】
図1に示した制御部150は、構造体200の第1部分によって反射又は散乱された電磁波の受信部130による第1受信値と、構造体200の第2部分によって反射又は散乱された電磁波の受信部130による第2受信値と、の関係と、可動反射部120が基準状態、例えば設計状態で動作した場合における構造体200の第1部分によって反射又は散乱された電磁波の受信部130による第1基準受信値と、可動反射部120が基準状態で動作した場合における構造体200の第2部分によって反射又は散乱された電磁波の受信部130による第2基準受信値と、の関係と、の比較結果に基づいて、可動反射部120の伝達関数の第1方向Xにおけるゲインの設計状態のゲインからのずれを判断することができる。制御部150は、この判断結果に基づいて、各種制御、例えば、可動反射部120の第1方向Xにおける振動の振幅の制御又は出射部110からの電磁波の出射タイミングの間隔の制御を行うことができる。構造体200の第1部分は、例えば、構造体200のうち第1スポットS1が生成される部分又はその近傍である。構造体200の第2部分は、例えば、構造体200のうち第2スポットS2が生成される部分又はその近傍である。また、構造体200の第1部分及び第2部分は、例えば、可動反射部120の走査線Lの折り返しを挟んで互いに反対側に位置している。
【0057】
例えば、制御部150は、第1受信値及び第2受信値の双方が第1基準受信値又は第2基準受信値より大きいか又は小さいかに基づいて、可動反射部120の伝達関数の第1方向Xにおけるゲインの設計状態のゲインからのずれを判断することができる。例えば、図10において時刻t1に発生した信号の強度r1及び時刻t2に発生した信号の強度r1の双方が、図8において時刻t1に発生した信号の強度r0又は時刻t2に発生した信号の強度r0より大きい場合、制御部150は、可動反射部120の伝達関数の第1方向Xにおけるゲインが設計状態のゲインより大きくなっていると判断することができる。また、図10において時刻t1に発生した信号の強度r1及び時刻t2に発生した信号の強度r1の双方が、図8において時刻t1に発生した信号の強度r0又は時刻t2に発生した信号の強度r0より小さい場合、制御部150は、可動反射部120の伝達関数の第1方向Xにおけるゲインが設計状態のゲインより小さくなっていると判断することができる。
【0058】
図11は、構造体200と、可動反射部120の伝達関数の位相が図7に示した設計状態の位相からずれた状態で可動反射部120が動作した場合における第1スポットS1及び第2スポットS2と、の関係の一例を示す図である。図12は、図11に示した第1スポットS1及び第2スポットS2によって受信部130に発生する信号の一例を示すグラフである。
【0059】
図11では、可動反射部120の伝達関数の位相が設計状態の位相から進んでいる。
【0060】
図11における第1スポットS1のうち構造体200への照射面積は、図7における第1スポットS1のうち構造体200への照射面積より大きくなっている。したがって、図12において時刻t1に受信部130によって受信される電磁波の量は、図8において時刻t1に受信部130によって受信される電磁波の量より多くなっている。このため、図12において時刻t1に発生している信号の強度r2は、図8において時刻t1に発生している信号の強度r0より高くなっている。
【0061】
図11における第2スポットS2のうち構造体200への照射面積は、図7における第2スポットS2のうち構造体200への照射面積より小さくなっている。したがって、図12において時刻t2に受信部130によって受信される電磁波の量は、図8において時刻t2に受信部130によって受信される電磁波の量より少なくなっている。このため、図12において時刻t2に発生している信号の強度r3は、図8において時刻t2に発生している信号の強度r0より低くなっている。
【0062】
図1に示した制御部150は、構造体200の第1部分によって反射又は散乱された電磁波の受信部130による第1受信値と、構造体200の第2部分によって反射又は散乱された電磁波の受信部130による第2受信値と、の関係と、可動反射部120が基準状態、例えば設計状態で動作した場合における構造体200の第1部分によって反射又は散乱された電磁波の受信部130による第1基準受信値と、可動反射部120が基準状態で動作した場合における構造体200の第2部分によって反射又は散乱された電磁波の受信部130による第2基準受信値と、の関係と、の比較結果に基づいて、可動反射部120の伝達関数の位相の設計状態の位相からのずれを判断することができる。制御部150は、この判断結果に基づいて、各種制御、例えば、出射部110からの電磁波の出射タイミングの遷移を行うことができる。構造体200の第1部分は、例えば、構造体200のうち第1スポットS1が生成される部分又はその近傍である。構造体200の第2部分は、例えば、構造体200のうち第2スポットS2が生成される部分又はその近傍である。また、構造体200の第1部分及び第2部分は、例えば、可動反射部120の走査線Lの折り返しを挟んで互いに反対側に位置している。
【0063】
例えば、制御部150は、第1受信値及び第2受信値の一方が第1基準受信値又は第2基準受信値より大きく、かつ第1受信値及び第2受信値の他方が第1基準受信値又は第2基準受信値より小さいかに基づいて、可動反射部120の伝達関数の位相の設計状態の位相からのずれを判断することができる。例えば、図12において時刻t1に発生した信号の強度r2が、図8において時刻t1に発生した信号の強度r0より大きく、かつ図12において時刻t2に発生した信号の強度r3が、図8において時刻t1に発生した信号の強度r0より小さい場合、制御部150は、可動反射部120の伝達関数の位相が設計状態の位相より進んでいると判断することができる。また、図12において時刻t1に発生した信号の強度r2が、図8において時刻t1に発生した信号の強度r0より小さく、かつ図12において時刻t2に発生した信号の強度r3が、図8において時刻t1に発生した信号の強度r0より大きい場合、制御部150は、可動反射部120の伝達関数の位相が設計状態の位相より遅れていると判断することができる。
【0064】
図13は、構造体200Aと、可動反射部120が設計状態で動作した場合における第1スポットS1及び第2スポットS2と、の関係の第2例を示す図である。図14は、図13に示した第1スポットS1及び第2スポットS2によって受信部130に発生する信号の一例を示すグラフである。
【0065】
図13及び図14では、可動反射部120が設計状態で動作した場合に第1スポットS1によって時刻t1に受信部130に発生する信号の強度r0と、可動反射部120が設計状態で動作した場合に第2スポットS2によって時刻t2に受信部130に発生する信号の強度r0´と、が異なるように、構造体200Aが配置されている。具体的には、構造体200Aのうち走査線Lの右側折り返しと交差する縁は、第2方向Yに対して斜めになっている。より具体的には、構造体200Aの当該縁は、構造体200Aの上方から下方に向かうにつれて構造体200Aの左側から右側に向けて斜めに傾いている。また、構造体200Aの反射率は、構造体200A内のいずれの領域においても一様となっている。
【0066】
図15は、構造体200Aと、可動反射部120の伝達関数の第2方向Yにおけるゲインが図13に示した設計状態のゲインからずれた状態で可動反射部120が動作した場合における第1スポットS1及び第2スポットS2と、の関係の一例を示す図である。図16は、図15に示した第1スポットS1及び第2スポットS2によって受信部130に発生する信号の一例を示すグラフである。
【0067】
図15では、可動反射部120の伝達関数の第2方向Y、すなわち線型駆動の方向におけるゲインが設計状態のゲインからずれている。これによって、第1スポットS1及び第2スポットS2の間の第2方向Yにおける間隔が設計状態の間隔より広くなっている。
【0068】
図15における第1スポットS1のうち構造体200Aへの照射面積に対する第2スポットS2のうち構造体200Aへの照射面積の比は、図13における第1スポットS1のうち構造体200Aへの照射面積に対する第2スポットS2のうち構造体200Aへの照射面積の比より小さくなっている。したがって、図16において時刻t1に発生している信号の強度r1に対する時刻t2に発生している信号の強度r1´の比βは、図14において時刻t1に発生している信号の強度r0に対する時刻t2に発生している信号の強度r0´の比αより小さくなっている(α=r0´/r0、β=r1´/r1)。
【0069】
例えば、制御部150は、第1受信値及び第2受信値の比及び差の少なくとも一方と、第1基準受信値又は第2基準受信値の比及び差の少なくとも一方と、の比較結果に基づいて、可動反射部120の伝達関数の第2方向Yにおけるゲインの設計状態のゲインからのずれを判断することができる。例えば、比βが比αより小さい場合、制御部150は、可動反射部120の伝達関数の第2方向Yにおけるゲインが設計状態のゲインより大きくなっていると判断することができる。また、比βが比αより大きい場合、制御部150は、可動反射部120の伝達関数の第2方向Yにおけるゲインが設計状態のゲインより小さくなっていると判断することができる。制御部150は、この判断結果に基づいて、各種制御、例えば、可動反射部120の第2方向Yにおける振動の振幅の制御を行うことができる。
【0070】
なお、図7及び図9に示した構造体200と、図13及び図15に示した構造体200Aと、は、走査線Lが形成される領域において第1方向Xにおいて互いに反対側に配置されていてもよい。この場合、制御部150は、図7及び図9に示した構造体200によって、可動反射部120の伝達関数の第1方向Xにおけるゲインの設計状態のゲインからのずれを判断することができ、図13及び図15に示した構造体200Aによって、可動反射部120の伝達関数の第2方向Yにおけるゲインの設計状態のゲインからのずれを判断することができる。
【0071】
以上、図面を参照して実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0072】
例えば、実施形態では、センサ装置10は、コアキシャル型LiDARとなっている。しかしながら、センサ装置10は、バイアキシャル型LiDARであってもよい。
【0073】
本明細書によれば、以下の態様が提供される。
(態様1-1)
所定の走査範囲内に向けて電磁波を反射する可動反射部と、
前記走査範囲内に位置する構造体によって反射又は散乱された前記電磁波を受信する受信部と、
前記構造体によって反射又は散乱された前記電磁波の前記受信部による受信結果に基づいて、前記可動反射部の振動の振幅を制御する制御部と、
を備えるセンサ装置。
(態様1-2)
態様1-1に記載のセンサ装置において、
前記可動反射部は、出射部から出射された前記電磁波を前記走査範囲内に向けて反射しており、
前記制御部は、前記出射部からの前記電磁波の出射タイミングの間隔をさらに制御する、センサ装置。
(態様1-3)
態様1-1又は1-2に記載のセンサ装置において、
前記制御部は、前記構造体の第1部分によって反射又は散乱された前記電磁波の前記受信部による第1受信値と、前記構造体の第2部分によって反射又は散乱された前記電磁波の前記受信部による第2受信値と、の関係と、前記可動反射部が基準状態で動作した場合における前記構造体の前記第1部分によって反射又は散乱された前記電磁波の前記受信部による第1基準受信値と、前記可動反射部が前記基準状態で動作した場合における前記構造体の前記第2部分によって反射又は散乱された前記電磁波の前記受信部による第2基準受信値と、の関係と、の比較結果に基づいて、前記可動反射部の前記振動の前記振幅を制御する、センサ装置。
(態様1-4)
態様1-3に記載のセンサ装置において、
前記制御部は、前記第1受信値及び前記第2受信値の双方が前記第1基準受信値又は前記第2基準受信値より大きいか又は小さいかに基づいて、前記可動反射部の前記振動の前記振幅を制御する、センサ装置。
(態様1-5)
態様1-3に記載のセンサ装置において、
前記構造体は、前記第1基準受信値と前記第2基準受信値とが異なるように設けられており、
前記制御部は、前記第1受信値及び前記第2受信値の比及び差の少なくとも一方と、前記第1基準受信値及び前記第2基準受信値の比及び差の少なくとも一方と、の比較結果に基づいて、前記可動反射部の前記振動の前記振幅を制御する、センサ装置。
(態様1-6)
態様1-3~1-5のいずれか一に記載のセンサ装置において、
前記構造体の前記第1部分及び前記第2部分は、前記可動反射部の走査線の折り返しを挟んで互いに反対側に位置している、センサ装置。
(態様1-7)
態様1-1~1-6までのいずれか一に記載のセンサ装置において、
前記構造体は、前記可動反射部の走査線の折り返しの少なくとも一部分と交差している、センサ装置。
(態様2-1)
電磁波を出射する出射部と、
所定の走査範囲内に向けて前記電磁波を反射する可動反射部と、
前記走査範囲内に位置する構造体によって反射又は散乱された前記電磁波を受信する受信部と、
前記構造体によって反射された前記電磁波の前記受信部による受信結果に基づいて、前記出射部からの前記電磁波の出射タイミングを遷移させる制御部と、
を備えるセンサ装置。
(態様2-2)
態様2-1に記載のセンサ装置において、
前記制御部は、前記構造体の第1部分によって反射又は散乱された前記電磁波の前記受信部による第1受信値と、前記構造体の第2部分によって反射又は散乱された前記電磁波の前記受信部による第2受信値と、の関係と、前記可動反射部が基準状態で動作した場合における前記構造体の前記第1部分によって反射又は散乱された前記電磁波の前記受信部による第1基準受信値と、前記可動反射部が前記基準状態で動作した場合における前記構造体の前記第2部分によって反射又は散乱された前記電磁波の前記受信部による第2基準受信値と、の関係と、の比較結果に基づいて、前記出射部からの前記電磁波の前記出射タイミングを遷移させる、センサ装置。
(態様2-3)
態様2-2に記載のセンサ装置において、
前記制御部は、前記第1受信値及び前記第2受信値の一方が前記第1基準受信値又は前記第2基準受信値より大きく、かつ前記第1受信値及び前記第2受信値の他方が前記第1基準受信値又は前記第2基準受信値より小さいかに基づいて、前記出射部からの前記電磁波の前記出射タイミングを遷移させる、センサ装置。
(態様2-4)
態様2-2又は2-3に記載のセンサ装置において、
前記構造体の前記第1部分及び前記第2部分は、前記可動反射部の走査線の折り返しを挟んで互いに反対側に位置している、センサ装置。
(態様2-5)
態様2-1~2-4までのいずれか一に記載のセンサ装置において、
前記構造体は、前記可動反射部の走査線の折り返しの少なくとも一部分と交差している、センサ装置。
【0074】
この出願は、2020年3月27日に出願された日本出願特願2020-058896号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0075】
10 センサ装置
110 出射部
120 可動反射部
130 受信部
140 ビームスプリッタ
150 制御部
200 構造体
200A 構造体
F 視野
L 走査線
S1 第1スポット
S2 第2スポット
T1 第1周期
T2 第2周期
T3 第3周期
X 第1方向
Y 第2方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16