(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-13
(45)【発行日】2024-06-21
(54)【発明の名称】ドアシステム内のドア位置を決定するための方法
(51)【国際特許分類】
E05F 15/74 20150101AFI20240614BHJP
【FI】
E05F15/74
(21)【出願番号】P 2022511339
(86)(22)【出願日】2019-08-27
(86)【国際出願番号】 EP2019072855
(87)【国際公開番号】W WO2021037345
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2022-07-08
(73)【特許権者】
【識別番号】591144383
【氏名又は名称】マランテック アントリープス ウント シュトイエルングステヒニク ゲーエムベーハー ウント コー.カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】へルマン ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ホーンシュー マーク
(72)【発明者】
【氏名】ヘルヴェーク マーク
【審査官】櫻井 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-182128(JP,A)
【文献】特開2012-247410(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02799384(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F15/00-15/79
E06B 9/00-9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動可能なドア要素を案内するためのレールと、ドア要素(50)の移動経路を検出するためのセンサ素子(10)とを有するドアシステムにおけるドア位置を決定する方法であって、
前記ドア要素(50)によって覆われていないか、又は前記ドア要素(50)によって覆われているかのいずれかを検知することができる少なくとも1つの前記センサ素子(10)の状態を検出し、
前記センサ素子(10)が前記ドア要素(50)を検知すると、この検知情報に基づいてドア制御部がドア位置を決定するステップを含み、
前記センサ素子の状態変化は、前記ドア位置の正確な決定のために、また、各状態変化で得られた前記ドア位置の平均値が前記ドア位置の決定のために使用されるときに、対応する前記ドア要素の往復移動によって繰り返し実行され、
前記センサ素子の前記状態変化は、ドア要素の異なる移動速度に対して、対応する往復移動によって繰り返し実行され、その結果、それぞれの状態変化は、全てが同じ速度で引き起こされるわけではなく、
前記ドア要素の異なる移動速度における状態変化は、関連する移動速度と共に格納され、
前記ドアシステムの
遅延時間は、前記ドア要素の実際の移動速度に一致する又は近付いた、データベースからの値を用いて推定される
方法。
【請求項2】
前記センサ素子(10)が覆われていない状態であるとき、前記ドア要素(50)は、前記センサ素子(10)の状態が変わるまで、閉鎖方向に移動され、
又は前記センサ素子(10)が覆われる状態のとき、前記ドア要素(50)は、前記センサ素子(10)の状態が変わるまで、開放方向に移動され、
前記センサ素子(10)
が前記ドア要素(50)
を検知すると、この
検知情報に基づいて前記ドア制御部が前記ドア位置を決定する、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ドアシステムは、第1センサ素子(10)及び第2センサ素子(10)を有し、
前記ドアシステムの通常の閉鎖手順において、前記第2センサ素子(10)は、前記第1センサ素子(10)よりも前に覆われていない状態から覆われた状態に変化し、
前記ドア位置を決定するために、前記第1及び第2センサ素子(10)が覆われていない状態であるとき、前記ドア要素(50)は、前記第2センサ素子(10)の状態が変わるまでずっと閉鎖方向に移動され、
前記第1及び第2センサ素子(10)が覆われると、前記ドア要素(50)は、前記第1センサ素子(10)の状態が変わるまでずっと開放方向に移動し、
前記第1センサ素子(10)が覆われていない状態になり、前記第2センサ素子(10)が覆われると、前記ドア要素(50)は、前記第1センサ素子(10)の状態が変わるまでずっと閉鎖方向に移動し、
又は前記ドア要素(50)は、前記第2センサ素子(10)の状態が変わるまでずっと開放方向に移動する、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも1つの前記センサ素子が
、反射光バリア若しくは通過光バリア、近接スイッチ、又は機械的感触器である、
請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つの前記ドア要素は、ドアの上縁部若しくは下縁部、ドアのガイドローラ、又はドアに取り付けられ
た金属シート若しくはネジである、
請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記センサ素子(10)の状態変化によって決定された前記ドア位置を用いて、前記ドア制御部におけるドア
要素の基準位置を検証又は検知する、
請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
検出されたドア位置は、ドア制御部の初期化手順
に使用される、
請求項
6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアシステム、例えばガレージドア、工業用ドアシステム等のドア位置を決定する方法に関し、ドアのための自由経路を確保するように適合された少なくとも1つのセンサ素子がドアの移動経路を安定させるために使用される。センサ素子として、光バリア、近接スイッチ、又は機械式隙間ゲージを使用することができる。
【背景技術】
【0002】
停電後、又は制御ユニットをリセットした後にドアシステムを最初に作動させた後、ドアがどの位置にあるかが正確に明らかでなくなるという問題があることが、先行技術から知られている。しかしながら、このことは、ドアがどの位置にあるかが正確に明らかでなければドアシステムに損傷を与える可能性があるので、ドアの秩序正しい移動には不可欠である。
【0003】
従来技術によれば、アブソリュートエンコーダが現在提供されており、アブソリュートエンコーダは、追加のトランスミッションを介してドアを移動するモータに接続されている。さらに、軸の回転運動を直接評価できるようにインクリメンタルエンコーダを使用すれば、追加の変速機の費用を節約できることが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この場合でも停電後には、ドア位置がドア制御部にもはや知られていないことも不利である。これらのセンサは、最新の既知の位置に対するドアの移動上のパルスを計数することによって位置を決定するだけであるので、これらのセンサは、安全な方法で、ドアをさらに開くことなく移動させることができる基準点を必要とする。
【0005】
したがって、本発明の目的は、ドア要素の位置決定を簡略化して、ドアが自動化された方法で正確なドア位置を決定する位置に置かれるようにすることである。これは、特に、停電後に必要とされるようなドア制御部の初期化に有利であり得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
これは、請求項1による本発明による方法を用いて行われる。
【0007】
ここでは、ドアシステムにおけるドア位置を決定する方法を説明する。ここでのドアシステムは、移動可能なドア要素を案内するためのレールと、ドア要素の自由移動経路を検出するためのセンサ素子とを有する。本発明の方法は、センサ素子の状態変化に関するドア要素に一致するセンサ素子の配置位置と、この情報に基づいてドア位置を決定するドア制御とを含む、ドア要素がないか又はドア要素によって覆われるかのいずれかを採用することができる少なくとも1つのセンサ素子の状態を検出するステップを含む。
【0008】
したがって、本発明に係る方法によれば、光バリアを用いたセンサ素子を例にして以下に示すように、ドア又は下部ドア縁部の位置決定における基準のためにセンサ素子の位置を使用することが可能である。
【0009】
制御ユニットは、停電後に遮光要素の状態を検出し、検出された状態を参照してドアを移動させる方向を決定する。
【0010】
光バリア素子が、遮断されない光信号を示す状態、すなわち、ドアが光バリアを通過しない状態を出力する場合、ドア要素の位置は、光バリアに進む方向によって決定することができる。光バリアの位置は制御ユニットに記憶されているため、光バリアの状態変化に関する位置判定が可能である。したがって、下部ドア縁部が正確に位置する場所は、制御ユニットに知られるようになる。ドアのさらなる移動は、この情報に基づいてドア位置に依存して行われる。したがって、例えば、機械的歪みを最小限に抑えるために、下側ドア縁部が地面に接触する前に、ドアの駆動を短時間減速することが可能である。これは、最大開放位置に到達する前にドアの駆動を短時間減速させることも有利であるので、ドアの最大開放位置に到達することにも当然当てはまる。
【0011】
アナログの考慮が、センサ素子の異なる設計、例えば、近接スイッチ又は機械式隙間ゲージの様式にも適用されることは、当業者にとって明らかである。
【0012】
本方法のさらなる発展によれば、センサ素子が覆われていない状態であるとき、ドア要素は、センサ素子の状態が変わるまでずっと閉鎖方向に移動され、又はセンサ素子が覆われる状態のとき、ドア要素は、センサ素子の状態が変わるまでずっと開放方向に移動され、状態変化時に、センサ素子の配置位置はドア要素と一致し、ドア制御部は、この情報に基づいてドア位置を決定する。
【0013】
したがって、ドアリーフが光バリアを覆っていない状態にする場合などに、ドアリーフによって覆われた光バリアによって側面信号を生成することができる。また、例えば、ドアリーフがフリー光バリア内に移動されたときに、側面信号を発生させることも可能である。次いで、この点は、ドア制御部がドア要素、特に下部ドア縁部の位置を決定できるように、基準点として使用することができる。説明されたシステムは、当然のことながら、あらゆる種類のセンサ素子に同様に適用可能であり、したがって、本発明の利用可能性に対する制約は、ここでは生じない。
【0014】
ドアシステムが、第1センサ素子及び第2センサ素子を有し、ドア要素の通常の閉鎖手続において、第2センサ素子が、第1センサ素子よりも前に覆われていない状態から覆われた状態に変化し、ドア位置を決定するために、第1及び第2センサ素子が覆われていない状態であるとき、ドア要素は、第2センサ素子の状態が変化するまで閉鎖方向に移動され、並びに/又は、第1及び第2センサ素子が覆われるとき、ドア要素は、第1センサ素子の状態が変化するまで開放方向に移動され、並びに/又は、第1センサ素子の状態が変化するまで閉鎖方向に移動され、並びに/又は、ドア要素は、第2センサ素子の状態が変化するまで開放方向に移動されるまで閉鎖方向に移動される。
【0015】
少なくとも1つのセンサ素子は、光バリア素子、特に反射光バリア又は通過光バリア、近接スイッチ、又は機械的隙間ゲージであることが好ましい。
【0016】
本発明は、ここでは、センサ素子のタイプによって制限されず、むしろ、本発明のアイデアを実行するために使用することができてドア要素の接近を検出することができる全てのセンサ素子を備え得る。
【0017】
さらに、本発明によれば、少なくとも1つのドア要素は、ドアの上縁部若しくは下縁部、ドアのガイドローラ、又はドアに取り付けられた要素、特に金属シート若しくはネジである。
【0018】
ドアの位置は、ここでは、複数のドア要素を使用して定義することができる。ガイドローラ又はドアに永久的に固定されている別の要素がドアの定義された位置を示すので、ドアの下端に焦点を合わせることは絶対に必要というわけではない。
【0019】
センサ素子の状態変化によって決定されたドア位置が、ドア制御部におけるドアの基準位置を検証又は検知するために使用されるということを、本発明の任意のさらなる変形例に従って提供することができる。
【0020】
この方法は、したがって、本発明による単なる位置検出のために使用することはできず、むしろ、基準位置のドア位置を確認するために使用することができる。したがって、制御部は、それによって計算されたドアの所望の状態が、有効な実際の状態に一致することを保証することができる。そうでない場合には、一致する対策を開始して、所望の状態から実際の状態への逸脱を排除することができる。ドア制御部の精度を時々又は定期的にチェックすることは、より良いドア制御とエラー除去に決定的に寄与する。
【0021】
さらに、本発明によれば、検出されたドア位置が、特にドア制御部の停電後に、ドア制御部の初期化手順のために使用されるという有利な方法で提供することができる。
【0022】
基準位置の決定は、ドア制御部の初期化が必要な場合に特に必要である。ドア制御部は、通常、現在のドア位置を認識しており、停電後又は最初の運転開始時に、この情報はもはや認識していないか、分からなくなっている。
【0023】
したがって、本発明の方法は、ドア制御部の再起動(又は初期化)のために訓練された人員を必要としないので、ここでは特に有利である。ドア制御部は、実際のドア位置の情報を獲得し、基準位置でのドア位置の自動検知により、それに応じて制御を設定することができる。
【0024】
さらに、本発明によれば、センサ素子の状態変化は、ドア位置の特に厳密な決定のために、対応する往復移動によって、及び、ドア位置の決定のために、各状態変化で得られた複数のドア位置が使用されることによって、例えば、得られた複数のドア位置の平均値を生成することによって繰り返し行われるという規定を設けることができる。しかしながら、基礎となるドア位置を形成する平均値ではなく、より厳密なドア位置が得られ、その結果、より高い信頼性でドアを全体的に制御することができることも考えられる。
【0025】
付加的に、センサ素子の状態変化は、対応する往復移動によって繰り返し行われ、実際には、ドアの異なる移動速度に対して行われ、その結果、それぞれの状態変化が全て同じ速度で生じたわけではないというようにすることもできる。
【0026】
これはまた、特定の移動速度によってのみ決定されるのではなく、むしろ複数の移動速度が使用されているので、ドア位置のより良好な決定をもたらす。
【0027】
さらに、本発明によれば、ドアの異なる移動速度における複数の状態変化が、距離測定システムの停止時間を推定することを可能にし、将来の状態変化をより正確に検出することを可能にするデータベースを生成するために、関連する移動速度と共に記憶されることが提供され得る。
【0028】
距離測定システムの休止時間は、実際の移動速度に一致する又は近付いた、データベースからの一致する値を使用して推定することができ、ドア位置を決定する際に考慮に入れることができる。データベースは、複数の速度に対して記憶されたシステムの停止時間に関するデータを含むので、これは、同様に、ドア位置のより正確な決定をもたらす。
【0029】
本発明のさらなる特徴、詳細、及び利点及び詳細は、以下の図面の説明を参照して説明される。以下に示される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】レールとその中に案内されるドア要素とを有するドアシステムの部分図である。
【
図2】閉鎖状態にあるドアシステムの部分図である。
【
図4】本発明の第2実施形態の変形例に係る断面図である。
【
図6】第3実施形態によるセンサ素子の信号パターンである。
【
図8】ドア縁部の下に存在する物体を有する信号パターンを示す図である。
【
図9】下部ドア縁部の上に見えない信号パターンを持つ信号パターンを示す図である。
【
図10】関連する公差間隔を有するセンサ素子の信号シーケンスを示す図である。
【
図11】信号の最小幅に対する関連する許容間隔を有するセンサ素子の信号シーケンスを示す図である。
【
図12】ドア縁部が予期しない障害物と衝突した場合の信号パターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、本発明によるドアシステムの部分図である。ここでのドアシステムは、
図1に示すように、その左側にドア部分50(同じくドア要素)を案内するレール39を有する。ドア部分50の案内は、ここでは、レール39の一部分に受け入れられたローラ51を介してレール39内で行われ得る。ドア部分50に対向するレール39の側に光ビーム55,57を放射する複数の個々の光バリア素子10が、ドア部分50から離れたレール39の側に配置される。複数の光バリア要素10は、ここではケーブル15によって互いに接続され、各光バリア素子10にエネルギーを供給し、必要に応じて制御ユニットにデータラインを供給する。
【0032】
図1において、移動可能なドア部分50の下部ドア縁部52が遮光要素によって放射される光ビーム57を遮断することが、さらに認識できる。
【0033】
ここで、下部ドア縁部52、ひいては移動可能なドア要素の位置を決定する必要がある場合には、本発明に従った方法により、光バリア素子の状態変化が行われるように下部ドア縁部を移動させるための設備を設けることができる。この状態変化は、その状態が変化した光バリア素子に対する現在位置を参照する。
【0034】
そして、この情報に基づいて、下部ドア縁部52の位置を決定し、実際のドア位置に応じてドアの移動を行うことができる。
【0035】
図2にドアシステムのさらなる図を示す。この図では、ドアは閉鎖した状態にある。個々のドア部分50は、複数の光バリア素子10によって放射される光信号(図示せず)を遮断する。この点において、ドア部分は、取付部51によって関連するレール39内に受け入れられる。さらに、光バリア素子を互いに接続するケーブル15を認識することができる。
【0036】
このような位置において、停電等の後にドア位置を決定することも同様に可能である。制御ユニットは、全ての光バリア素子10が遮断された光信号を送信したことを認識しているので、ドアは開放方向に移動する。この点において、最下部の光バリアの状態は、下部ドア縁部の位置を決定するように、しばらくすると変化するであろう。
【0037】
制御ユニットは、1つの単一光バリア素子又はいくつかの少数の光バリア素子の位置を認識するだけで、その位置が制御ユニットに既知である、このような光バリア素子がその状態を変化させるまでずっとドアを移動させなければならないようにすることも、当然可能である。
【0038】
図3は、本発明に従って作動する構造物10内のドア12の断面図を示す。制御部は、ドア12がセンサ20,21の領域内にあるか否かの情報を、このセンサ20,21を介して受信する。ドアリーフがセンサ20,21の領域を離れるか、又はセンサ20,21の前を移動する場合、センサ信号はそれに応じてその状態を変化させる。この側面自体は、センサ20,21のための基準点を表す。
【0039】
制御部は、ドアリーフがセンサ20,21の前にあるか否かの情報から、センサ信号の状態変化を達成するためにドア12が移動されなければならない方向13を認識する。制御部は、縁部14がセンサ20,21の上方にあるか下方にあるかを認識しているので、基準移動のために、上部又は下部の最大許容ドア位置を越えて移動することによって、ドア12に機械的損傷が生じる危険はない。したがって、この基準点は、ドアが、訓練された人員による監視なしに独立して移動することができるようにする。個人保護の理由からドア位置が必要な場合には、ここでは、デッドマンの移動も行うことができ、ドア12は、安全でない方向(移動可能経路15に沿ってドアの閉鎖位置16の方向に下向き)に移動することを防止することができる。
【0040】
記載されたアプリケーションは、使用されるセンサ技術とは独立して実装することができる。例えば、ドアリーフ又はドアによって覆われた光バリア又はライトグリッドの補助的な使用であってもよい。あるいは、ドアリーフ又はドアを検出できる他の全てのセンサ種類が考えられる。
【0041】
図4は、前述の図の変形例を示しており、センサ22は、対応するセンサの作動面23を備えて取り付けられており、ドア12の機械的に正当化された上側の終端位置に到達する前に作動され、少なくとも機械的な終端位置に到達するまで作動されたままである。
【0042】
通常動作では、クリープ方法は、一方ではセンサの作動面23を有するセンサ22の起動時に遅くとも開始され、他方では、参照及び任意選択位置比較も、そこで行われ、他方では、ドアの上昇時に行われ得る。
【0043】
図5は、光グリッドとの使用に関連するさらなる構成を開示する。ここでは、ドアの移動経路に光グリッドを導入する。このプロセスにおいて、ドア12に取り付けられたローラ31~36は、ドアの閉鎖時に光バリア素子41~48を遮断する。この点において、個々の光バリア素子41~48がローラによって遮断されるように配置を選択することができるが、ローラホルダによって、又はドア部分30自体によって遮断されることも考えられる。
【0044】
ここでは、
図6による信号パターンが生成される。水平線51~58は、光バリア素子51の信号シーケンスを反映する水平グラフ51、光バリア素子42のグラフ52等、光バリア素子48の信号シーケンスを反映するグラフ58まで、時間的に同期する光バリア素子51~58の出力を示す。信号シーケンスは、時間又は距離(測定プロセスに応じて)に同期して表示される。これにより、一定の時間t0 又は一定の距離s0 で信号を垂直方向に比較できる。
【0045】
第1信号61は、ローラ31による光バリア素子58の遮断によって生成され、次いで、このローラ31は、次の光バリア素子47を遮断し、信号トラック57上にパルス62を生成する。直後、第2ローラ32は第1光バリア素子48を遮断し、信号トラック57上にパルス67を発生させる。
【0046】
上記パルスの各々の発生は、期間又は距離の裁量範囲で正確に記録される。
【0047】
ここで、この記録の扶助を借りて、参照を非常に正確に実行することができる。この目的のために、未知の位置にあるドアはゆっくりと安全な上昇位置に移動する。
図7に示されているようなハッチングされた領域の信号パターンがここで生成され、実際には右から左に(上に進む)生成される。下側ドア縁部の決定は、ここでの参照に役立つ。これは、トラック51~58が時間的裁量範囲で互いに比較され、信号シーケンス上の最低パルス69がここで認識されることによって実現される。次に、ローラはパルス68を発生し、これは信号シーケンス56上で、ある時間後、又はある距離をカバーした後に発生する。パルスの移動後に、ドアの正確な位置は、記憶された信号シーケンスとの比較によって計算でき、ドアは再び高速で移動することができる。
【0048】
さらなる態様では、パルス69とパルス68との間で認識されたパルス71(第6センサでの第2ローラ)、パルス63、及びパルス72(第7センサでの第2ローラ)を、妥当性確認のために同様に使用することができる。
【0049】
さらなる態様では、パルスの正確な増加及び正確な低下は、同様に、各パルスの状態に加えて、位置の確認のために使用することができる。
【0050】
この例では、この拡張によって、ドア位置の多重安全検証が達成される。
【0051】
上述のプロセスを用いて下部ドア縁部を複数回有効に計算することができるので、閉鎖ドアを用いても、補足物73を通って計算された下部ドア縁部14まで存在する許容範囲74内で動くならば、閉鎖経路内の物体75を許容することができる。この例を
図8に示す。したがって、ドアの下に位置する物体が、下部ドア縁部から十分に離れている場合、これは、ドアの下向きの移動速度に必ずしも影響を及ぼさない。
【0052】
さらなる態様では、物体75からの距離に依存して、ドアの速度を低下させることができる。これは、例えば、小さな速度レベルに下げることによって、又は物体75に下部ドア縁部14が衝突する直前までの比例速度低減によって行うことができる。特定の用途の場合、例えば、ドアは、物体75の手前100cmまでフルスピードで下がり、下部ドア縁部が、例えば、物体の手前10cmに静止するまで、その速度が比例的にますます遅くなってもよい。与えられた距離値は、用途のタイプ及びドアのデザインに依存して設定されるべきであり、すなわち、それらは、本発明を限定するものとして解釈されるべきではないことは、当業者には明らかである。
【0053】
図9に示すように、下部ドア縁部の下方領域も、同様に、このプロセスを使用して監視することができる。これは、従来技術によれば、非常な困難を伴ってでなければ可能ではないが、提案された方法では実行することができる。この目的のために、(上述したように)下部ドア縁部の手前で、また下部ドア縁部14の向こうで、個々の信号形状51~58の信号パターンが妥当であるかどうかをチェックする。例えば、図に示すように、予期しない信号76が信号形状56上に発生した場合、ドアは直ちに停止される。
【0054】
図10は、センサ素子の信号シーケンスを示す。モニタリングの堅牢性を高めるために、許容領域83が、パルスが発生しなければならないパルス80の周囲に予め計算されたものの周囲に配置される。この領域は、大きすぎない(さもなければ、障害物は認識できない)が、小さすぎない(さもなければ、測定の不正確さのためにしばしば混乱が生じる)こともある。無効なパルス(つまり障害物)76が発見された後、ドア駆動装置は、パルス85間の監視領域で直ちに停止される。予期しない信号75は、ドア74の前の領域で許容される。
【0055】
図11に示されるさらなる態様では、パルスはまた、ある最小幅を有する必要があるので、パルスの領域も監視することができる。そうでない場合は、センサのエラーも同様に緊急停止になると想定する必要がある。このために、ドア83及び84は、信号形状が一方の状態から他方の状態に到達しなければならないように形成される。
【0056】
図12に示す実施形態では、少なくとも1つの監視領域は、障害物によってトリガーされる予期しないパルス76がドア駆動装置の緊急停止をもたらすドア縁部86の後に規定される。
【0057】
これにより、一方では、堅牢な動作を実施することができ、他方では、危険な捕捉位置での監視を行うことができ、他の位置からは危険が生じない。
【0058】
本発明全体は、時間及び距離の両方の裁量範囲で実施することができる。十分に正確な距離測定器(例えば、インクリメンタルエンコーダ又はパルス発生器)が、距離の自由裁量を伴う実施に必要とされる。費用に敏感な用途では、この作業は、正確さを犠牲にしてタイマーによって実施することもできる。
【0059】
第1参照テーブルは、動作開始時に決定され、制御部のメモリに不揮発的に記憶される。光バリアの出力は、実施例のように暗くなった部分で必ずしも「高」である必要はない。信号の形も反転できる。
【符号の説明】
【0060】
(10) 構造物
(12) ドア全体
(13) ドアの進行方向
(14) 下部ドア縁部
(15) ドアの移動可能経路
(16) 構造物の床
(20) 上部センサ
(21) 下部センサ
(22) センサの作動面
(23) センサ22の作動面
(30) 下部ドア部分
(31) 第1ローラ
(32) 第2ローラ
(33) 第3ローラ
(34) 第4ローラ
(35) 第5ローラ
(36) 第6ローラ
(41) 第1センサ
(42) 第2センサ
(43) 第3センサ
(44) 第4センサ
(45) 第5センサ
(46) 第6センサ
(47) 第7センサ
(48) 第8センサ
(51) 第1センサの信号シーケンス
(52) 第2センサの信号シーケンス
(53) 第3センサの信号シーケンス
(54) 第4センサの信号シーケンス
(55) 第5センサの信号シーケンス
(56) 第6センサの信号シーケンス
(57) 第7センサの信号シーケンス
(58) 第8センサの信号シーケンス
(61) 第8センサの信号シーケンス58上の第1ローラの信号
(62) 第8センサの信号シーケンス58上の第2ローラの信号
(63) 第8センサの信号シーケンス58上の第3ローラの信号
(64) 第8センサの信号シーケンス58上の第4ローラの信号
(65) 第8センサの信号シーケンス58上の第5ローラの信号
(66) 第8センサの信号シーケンス58上の第6ローラの信号
(67) 第7センサの信号シーケンス57上の第1ローラの信号
(68) 第6センサの信号シーケンス56上の第2ローラの信号
(69) 第5センサの信号シーケンス55上の第3ローラの信号
(70) 第4センサの信号シーケンス54上の第4ローラの信号
(71) 第6センサの信号シーケンス56上の第2ローラの信号
(72) 第7センサの信号シーケンス57上の第2ローラの信号
(73) 下部ドア縁部前の阻止領域
(74) 下部ドア縁部前の受入領域
(75) 移動領域の障害物
(76) 下部ドア縁部よりも上にある障害物
(80) 予め計算した第1パルス
(81) 第1パルスの許容範囲、立ち上がり側面
(82) 第1パルスの下降側面
(83) 第1パルスの許容範囲
(84) 第1パルスの許容範囲、立ち上がり側面
(85) 監視領域
(86) ドア縁部後の監視領域