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特許7504207放熱テープを用いた保護回路モジュール放熱構造を有する電池パック
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-13
(45)【発行日】2024-06-21
(54)【発明の名称】放熱テープを用いた保護回路モジュール放熱構造を有する電池パック
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/242 20210101AFI20240614BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20240614BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20240614BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20240614BHJP
   H01M 50/284 20210101ALI20240614BHJP
   H01M 50/211 20210101ALI20240614BHJP
【FI】
H01M50/242
H01M10/613
H01M10/6556
H01M50/204 401H
H01M50/284
H01M50/211
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022543573
(86)(22)【出願日】2021-10-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-16
(86)【国際出願番号】 KR2021015102
(87)【国際公開番号】W WO2022092765
(87)【国際公開日】2022-05-05
【審査請求日】2022-07-15
(31)【優先権主張番号】10-2020-0142241
(32)【優先日】2020-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】スン・ジン・オ
【審査官】多田 達也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0064502(US,A1)
【文献】国際公開第2019/089797(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/089814(WO,A1)
【文献】中国実用新案第208142271(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2017/0062794(US,A1)
【文献】特開2011-040387(JP,A)
【文献】特開2016-171063(JP,A)
【文献】特開2011-082136(JP,A)
【文献】特開2015-088381(JP,A)
【文献】特開2006-310298(JP,A)
【文献】特表2018-530896(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M50/10-50/198
H01M50/20-50/298
H01M10/52-10/667
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に上向きに延びているセルテラス部を有し、前記セルテラス部を介して一対の電極リードが外向きに突出している板状電池セルと、
前面及び後面のそれぞれに二つの電界効果トランジスター(FET)が配置されており、前記セルテラス部に搭載される保護回路モジュール(PCM)と、
前記板状電池セルの上面及び前記保護回路モジュール(PCM)と前記セルテラス部との間、前記保護回路モジュール(PCM)の前面にそれぞれ接触領域を形成する
【数1】
字状に前記保護回路モジュール(PCM)を包み込んで貼り付けられる放熱テープと、
前記放熱テープにより包み込まれた前記保護回路モジュール(PCM)をカバーする上テープと、
を備えてなる電池パック。
【請求項2】
前記板状電池セルの下部面をカバーする下テープと、
前記板状電池セルの両側面部のそれぞれをカバーする側面テープと、
前記板状電池セルの前面に貼り付けられる前面テープと、
をさらに備えてなる請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
前記放熱テープは、
前記保護回路モジュール(PCM)の前面に触れる第1の接触部と、
前記第1の接触部から折り曲げられて延びた形状で前記保護回路モジュール(PCM)の下面と前記板状電池セルの上端面とに触れる第2の接触部と、
前記第2の接触部から折り曲げられて延びた形状で前記保護回路モジュール(PCM)の後面と前記セルテラス部の前面とに触れる第3の接触部と、
前記第3の接触部から折り曲げられて延びた形状で前記セルテラス部の上面に触れる第4の接触部と、
前記第4の接触部から折り曲げられて延びた形状で前記セルテラス部の後面に触れる第5の接触部と、
を備えてなることを特徴とする請求項1又は2に記載の電池パック。
【請求項4】
前記放熱テープは、
前記第1の接触部から前記第5の接触部に向かって前記保護回路モジュール(PCM)の前記電界効果トランジスター(FET)から発せられる熱が移動する電界効果トランジスター(FET)発熱伝達経路を形成することを特徴とする請求項3に記載の電池パック。
【請求項5】
前記電界効果トランジスター(FET)発熱伝達経路に沿って移動する熱は、
前記第1の接触部、前記第4の接触部、及び前記第5の接触部のそれぞれを介して分散されて放熱されることを特徴とする請求項4に記載の電池パック。
【請求項6】
前記放熱テープは、熱伝導率の高い物質から形成されることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項7】
前記放熱テープは、
グラファイトテープまたはアルミニウム(Al)を含む合成テープから形成されることを特徴とする請求項6に記載の電池パック。
【請求項8】
保護回路モジュール(PCM)に搭載された電界効果トランジスター(FET)から発せられる熱を放熱する構造を有する電池パックを製造する方法において、
電池セルの上面及び前記保護回路モジュール(PCM)と前記電池セルの上面に上向きに延びたセルテラス部との間、前記保護回路モジュール(PCM)の前面にそれぞれ接触領域を形成する
【数2】
字状を有する放熱テープを用いて、前記セルテラス部に前記保護回路モジュール(PCM)を搭載する保護回路モジュール搭載ステップと、
前記電池セルの両側面部のそれぞれに側面テープを貼り付けて前記電池セルの側面部をカバーする側面部カバーステップと、
前記電池セルの上部及び下部のそれぞれに上テープ及び下テープを貼り付けてカバーする上/下部カバーステップと、
前記電池セルの前面に前面テープを貼り付けてカバーする前面部カバーステップと、
を含んでなる電池パックの製造方法。
【請求項9】
前記保護回路モジュール搭載ステップにおいて、
前記放熱テープは、前記保護回路モジュール(PCM)の前面に触れる第1の接触部と、前記第1の接触部から折り曲げられて延びた形状で前記保護回路モジュールの下面と前記電池セルの上端面とに触れる第2の接触部と、前記第2の接触部から折り曲げられて延びた形状で前記保護回路モジュールの後面と前記セルテラス部の前面とに触れる第3の接触部と、前記第3の接触部から折り曲げられて延びた形状で前記セルテラス部の上面に触れる第4の接触部と、前記第4の接触部から折り曲げられて延びた形状で前記セルテラス部の後面に触れる第5の接触部を形成する構造に貼り付けられることを特徴とする請求項8に記載の電池パックの製造方法。
【請求項10】
前記放熱テープは、
前記第1の接触部から前記第5の接触部に向かって、前記保護回路モジュールの前記電界効果トランジスター(FET)から発せられる熱が移動する電界効果トランジスター(FET)発熱伝達経路を形成することを特徴とする請求項9に記載の電池パックの製造方法。
【請求項11】
前記電界効果トランジスター(FET)発熱伝達経路を介して移動する熱は、
前記第1の接触部と、前記第4の接触部と、前記第5の接触部とのそれぞれを介して分散されて放熱されることを特徴とする請求項10に記載の電池パックの製造方法。
【請求項12】
前記放熱テープは、
熱伝導率の高い物質から形成されることを特徴とする請求項8~11のいずれか一項に記載の電池パックの製造方法。
【請求項13】
前記放熱テープは、
グラファイトテープまたはアルミニウム(Al)を含む合成テープから形成されることを特徴とする請求項12に記載の電池パックの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池パックに係り、さらに詳しくは、放熱テープを用いた放熱構造を有するポーチ状電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
現代社会において、モバイル機器などをはじめとする多種多様なIT機器に関する技術の開発への取り組みが盛んに行われ、しかも、それらへの需要が高まりつつあることには目を見張るものがあり、これに伴い、IT機器のエネルギー源としての役割を果たす二次電池もまた技術の開発が盛んに行われ、しかも、それへの需要が高まりつつある。
【0003】
二次電池は、ケースの形状に応じて、円筒状、角状、ポーチ状などに分けられる。これらの中で、ポーチ状二次電池は、製品の形状に倣った形状の変形を行いやすく、安価な製造コスト、小さな重量などのメリットがある。そこで、近年、小型化/軽量化が進んでいる傾向にあるモバイル機器など多種多様なIT機器に好適に適用可能である。
【0004】
一般に、ポーチ状電池パックは、板状電池セルのセルテラス部の上に保護回路モジュール(PCM)が搭載される構造である。このとき、保護回路モジュール(PCM)は、その外面が単に「コ」字状にポロンテープ(Poron tape)に、かつ、その上部が上テープ(Top tape)に包み覆われる。ここで、ポロンテープとは、電池パックに外部からの衝撃が加えられる場合、保護回路モジュール(PCM)に伝えられる衝撃を緩和させるためのテープのことをいう。
【0005】
一方、保護回路モジュール(PCM)は、主として回路基板の上に実装されている電界効果トランジスター(FET)が最も大きな発熱因子である。ところが、上記のようにポロンテープ及び上テープにより保護回路モジュールが包み込まれている構造の場合、電界効果トランジスター(FET)により保護回路モジュール(PCM)に生じる熱が放熱できないままでその状態が続き、時間が経つにつれて持ち続けられる熱により温度がさらに高くなるといった状況に陥ってしまう。特に、大きな充電電流を有する電池パックに適用される保護回路モジュールの場合、複数の電界効果トランジスター(FET)が配置される構造を有するが、この場合、上述した保護回路モジュール(PCM)の発熱の問題がさらに悪化してしまうという状況に陥ってしまう。
【0006】
これに伴う保護回路モジュール(PCM)の持続的な発熱は、部品の損傷、性能の低下だけではなく、ひいては、電池パックの爆発といったリスクを招く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】KR 10-2018-0103625
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述した問題を解決するために案出されたものであり、その目的は、放熱テープを用いた保護回路モジュール(PCM)の発熱の改善構造を有するポーチ状電池パックを提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る電池パックは、一方の側面に上向きに延びているセルテラス部を有し、前記セルテラス部を介して一対の電極リードが外向きに突出している板状電池セルと、上面及び下面のそれぞれに二つの電界効果トランジスター(FET)が配置されており、前記セルテラス部の上部に搭載される保護回路モジュール(PCM)と、前記板状電池セルの側面及び前記保護回路モジュール(PCM)と前記セルテラス部との間、前記保護回路モジュール(PCM)の上部にそれぞれ接触領域を形成する
【数1】
字状に前記保護回路モジュール(PCM)を包み込んで貼り付けられる放熱テープと、前記放熱テープにより包み込まれた板状保護回路モジュール(PCM)の上部をカバーする上テープと、を備えてなる。
【0010】
一方、前記電池パックは、前記板状電池セルの下部面をカバーする下テープと、前記板状電池セルの両側面部のそれぞれをカバーする側面テープと、前記板状電池セルの前面に貼り付けられる前面テープと、をさらに備えてなる。
【0011】
一方、前記放熱テープは、前記保護回路モジュール(PCM)の上面に触れる第1の接触部と、前記第1の接触部から折り曲げられて延びた形状で前記保護回路モジュール(PCM)の側面と前記板状電池セルの上端面との間に触れる第2の接触部と、前記第2の接触部から折り曲げられて延びた形状で前記保護回路モジュール(PCM)の下面とセルテラス部の上部面とに触れる第3の接触部と、前記第3の接触部から折り曲げられて延びた形状で前記セルテラス部の側部に触れる第4の接触部と、前記第4の接触部から折り曲げられて延びた形状で前記セルテラス部の下部面に触れる第5の接触部と、を備えてなることを特徴とする。
【0012】
これにより、前記放熱テープは、前記第1の接触部から前記第5の接触部に向かって前記保護回路モジュール(PCM)の前記電界効果トランジスター(FET)から発せられる熱が移動する電界効果トランジスター(FET)発熱伝達経路を形成することを特徴とする。
【0013】
このとき、前記電界効果トランジスター(FET)発熱伝達経路に沿って移動する熱は、前記第1の接触部、前記第4の接触部、及び前記第5の接触部のそれぞれを介して分散されて放熱されることを特徴とする。
【0014】
一方、前記放熱テープは、熱伝導率の高い物質から形成されることを特徴とする。
【0015】
具体的に、前記放熱テープは、グラファイトテープまたはアルミニウム(Al)を含む合成テープから形成されることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る保護回路モジュール(PCM)に搭載された電界効果トランジスター(FET)から発せられる熱を放熱する構造を有する電池パックを製造する方法は、電池セルの側面及び前記保護回路モジュール(PCM)と前記電池セルの一方の側面に上向きに延びたセルテラス部との間、前記保護回路モジュール(PCM)の上部にそれぞれ接触領域を形成する
【数2】
字状を有する放熱テープを用いて、前記セルテラス部の上部に前記保護回路モジュール(PCM)を搭載する保護回路モジュール搭載ステップと、前記電池セルの両側面部のそれぞれに側面テープを貼り付けて前記電池セルの側面部をカバーする側面部カバーステップと、前記電池セルの上部及び下部のそれぞれに上テープ及び下テープを貼り付けてカバーする上/下部カバーステップと、電池セルの前面に前面テープを貼り付けてカバーする前面部カバーステップと、を含んでなる。
【0017】
具体的に、前記保護回路モジュール搭載ステップにおいて、前記放熱テープは、前記保護回路モジュール(PCM)の上面に触れる第1の接触部と、前記第1の接触部から折り曲げられて延びた形状で前記保護回路モジュールの側面と電池セルの上端面とに触れる第2の接触部と、前記第2の接触部から折り曲げられて延びた形状で前記保護回路モジュールの下面と前記セルテラス部の上部面とに触れる第3の接触部と、前記第3の接触部から折り曲げられて延びた形状で前記セルテラス部の側部に触れる第4の接触部と、前記第4の接触部から折り曲げられて延びた形状で前記セルテラス部の下部面に触れる第5の接触部を形成する構造に貼り付けられることを特徴とする。
【0018】
このとき、前記放熱テープは、前記第1の接触部から前記第5の接触部に向かって、前記保護回路モジュールの前記電界効果トランジスター(FET)から発せられる熱が移動する電界効果トランジスター(FET)発熱伝達経路を形成することを特徴とする。
【0019】
ここで、前記電界効果トランジスター(FET)発熱伝達経路を介して移動する熱は、前記第1の接触部と、前記第4の接触部と、前記第5の接触部とのそれぞれを介して分散されて放熱されることを特徴とする。
【0020】
一方、前記放熱テープは、熱伝導率の高い物質から形成されることを特徴とする。
【0021】
具体的に、前記放熱テープは、グラファイトテープまたはアルミニウム(Al)を含む合成テープから形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明の電池パックは、全体的に既存の電池パックとほぼ同じ形状を保つが、既存の電池パックに適用されるポロンテープ(Poron tape)を熱伝導率の高いテープに切り替え、これを用いて、複数の領域を介して電界効果トランジスター(FET)から発せられる熱を分散させて放熱する電界効果トランジスター(FET)放熱構造を有する。
【0023】
従って、パックの工程性は既存と同じレベルを保ちつつも、保護回路モジュール(PCM)の電界効果トランジスター(FET)から発せられる熱を効果的に分散させて放熱して保護回路モジュール(PCM)の持続的な発熱による部品の損傷、性能の低下、ひいては、電池パックの爆発などといったリスクを防ぐことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明に係る電池パックを分解した状態を示す図である。
図2】本発明の電池パックを示す図である。
図3】本発明の電池パックに適用される保護回路モジュール(PCM)の構造を示す図である。
図4】本発明の電池パックの一部を側面の方向から眺めた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下では、添付図面に基づいて、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施できるように本発明の実施形態について詳しく説明する。しかしながら、本発明は、種々の異なる形態に具体化可能であり、ここで説明する実施の形態に何ら限定されるものではない。なお、図中、本発明を明確に説明するために、説明とは無関係な部分は省略し、明細書の全般に亘って、類似の部分には類似の図面符号を付している。
【0026】
以下、添付図面に基づいて本発明について詳しく説明する。
【0027】
1.本発明に係る電池パック
図1は、本発明に係る電池パックを分解した状態を示す図であり、図2は、図1の各構成要素を組み合わせた状態を示す図である。図1及び図2を参照すると、本発明の電池パック100は、大きく、板状電池セル110と、保護回路モジュール(PCM;Protection Circuit Module)120と、放熱テープ130及び第1乃至第4のテープ140~170と、を備えてなる。
【0028】
1.1.板状電池セル110
板状電池セル110は、正極板、負極板、セパレーターを有する電極組立体がポーチに密封されている構造となっており、前記ポーチは、電極組立体を包み込む多層のシート構造に形成されてもよい。
【0029】
一方、ポーチは、その一方の側から延びて形成されたセルテラス部1142を有する。このようなセルテラス部1142は、所定の領域を形成し、これにより、電池セルの一対の電極リードが外向きに突出する。なお、後述する保護回路モジュール120が前記セルテラス部1142の上部に載置されてもよい。
【0030】
1.2.保護回路モジュール(PCM)120
保護回路モジュール120は、電池パックの過充電保護機能、過放電保護機能、過電流保護機能、短絡保護機能などを提供する構成要素であり、このような保護回路モジュール(PCM)は、上述したように、前記セルテラス部1142の上部に搭載される。
【0031】
より具体的に、保護回路モジュールは、電池セル110に対して過充電保護機能、過放電保護機能、過電流保護機能及び短絡保護機能を提供できる各種の電子部品及びプリント回路パターンが集積された形状のプリント回路基板(PCB:Printed Circuit Board)122及び前記プリント回路基板122と電気的に接続されており、その端部には外部デバイスと接続可能なコネクター1242が形成されている外部入出力端子124を有する通常の構造となっている。
【0032】
一方、図3の(a)及び(b)は、保護回路モジュール(PCM)の上/下面のそれぞれを示す図である。本発明の保護回路モジュールは、充電電流2.0C以上の電池パックに適用される保護回路モジュールである。このような保護回路モジュールは、図3に示すように、その上/下面のそれぞれに二つの電界効果トランジスター(FET)1221、1222、1223、1224が搭載された構造を有する。
【0033】
1.3.放熱テープ130
放熱テープ130は、前記保護回路モジュール(PCM)120を所定の放熱構造を形成するように包み込む形状に貼り付けられて、保護回路モジュール120をセルテラス部1142の上に安定的に固定するとともに、保護回路モジュール120から発せられる熱を放熱する役割を果たす。
【0034】
図4を参照すると、所定の放熱構造は、電池セル110の側面及び保護回路モジュール120と前記セルテラス部1142との間、前記保護回路モジュール(PCM)120の上部にそれぞれ接触領域が形成されるようにする構造であってもよい。
【0035】
具体的に、放熱テープは、保護回路モジュール120の上面に触れる第1の接触部130aと、前記第1の接触部130aから折り曲げられて延びた形状で保護回路モジュール120の側面と電池セル110の上端面とに触れる第2の接触部130bと、前記第2の接触部130bから折り曲げられて延びた形状で保護回路モジュール120の下面とセルテラス部1142の上部面とに触れる第3の接触部130cと、前記第3の接触部130cから折り曲げられて延びた形状でセルテラス部1142の側部に触れる第4の接触部130d、及び前記第4の接触部130dから折り曲げられて延びた形状でセルテラス部1142の下部面に触れる第5の接触部130eを形成するように保護回路モジュール120を包み込む形状に貼り付けられてもよい。すなわち、
【数3】
字状に保護回路モジュール120を包み込むのである。
【0036】
このような形状に貼り付けられる放熱テープは、熱伝導性の高い物質から形成されてもよい。例えば、グラファイトテープまたはアルミニウム(Al)を含む合成テープであってもよい。
【0037】
これにより、放熱テープ130は、図4に示す矢印のように、第1の接触部130a→第2の接触部130b→第3の接触部130c→第4の接触部130d→第5の接触部130eの向きの発熱伝達経路を形成することができる。したがって、電界効果トランジスター(FET)1221、1222、1223、1224から発せられる熱が前記熱伝導経路の向きに移動しながらその熱が外部に晒された第1の接触部130a、第4の接触部130d、及び第5の接触部130eを介して分散されて放熱されることが可能になる。
【0038】
このような原理により、本発明の放熱テープは、保護回路モジュール120から発せられる熱を放熱して電池パック100の発熱能を効果的に改善する結果をもたらすことができる。
【0039】
1.4.上テープ140
上テープ140は、前述したように、放熱テープ130により包み込まれた保護回路モジュール(PCM)120の上部を包み込むように形成されて、前記保護回路モジュール(PCM)120をセルテラス部1142に安定的に固定し、かつ、外部から保護する役割を果たす。
【0040】
1.5.下テープ150
下テープ150は、電池セル110の下部面を包み込む形状に貼り付けられて前記電池セル110の下部面をカバーする。
【0041】
1.6.側面テープ160
側面テープ160は、電池セル110の両側面をそれぞれ包み込む形状に貼り付けられて前記電池セル110の両側面をカバーする。
【0042】
1.7.前面テープ170
前面テープ170は、電池セル110の前面に貼り付けられる。一方、図面には別途に示してはいないが、第4のテープの上面には電池パック100の通し番号などをはじめとするパック情報を表記するパッドプリント(Pad Print)(図示せず)が取り付けられてもよい。
【0043】
上述した第1乃至第4のテープ140~170は、ポーチ状電池パック100に適用される通常の構成要素である。
【0044】
2.本発明に係る電池パックの製造方法
本発明に係るポーチ状電池パックを製造する方法は、下記のようなステップを含んでいてもよい。
【0045】
2.1.保護回路モジュール搭載ステップ
放熱テープ130を所定の放熱構造を形成するように保護回路モジュール120を包み込む形状に貼り付けて、板状電池セル110の一方の側に延設されているセルテラス部1124の上部に保護回路モジュール120を搭載してもよい。
【0046】
ここで、所定の放熱構造は、電池セル110の側面及び保護回路モジュール120と前記セルテラス部1124との間、前記保護回路モジュール120の上部にそれぞれ接触領域が形成されるようにする構造であってもよい。
【0047】
具体的に、前述したように、保護回路モジュール120の上面に触れる第1の接触部130aと、前記第1の接触部130aから折り曲げられて延びた形状で保護回路モジュール120の側面と電池セル110の上端面とに触れる第2の接触部130bと、前記第2の接触部130bから折り曲げられて延びた形状で保護回路モジュール120の下面とセルテラス部1142の上部面とに触れる第3の接触部130cと、前記第3の接触部130cから折り曲げられて延びた形状でセルテラス部1142の側部に触れる第4の接触部130d、及び前記第4の接触部130dから折り曲げられて延びた形状でセルテラス部1142の下部面に触れる第5の接触部130eを形成するように保護回路モジュール120を包み込む形状に貼り付けてもよい。
【0048】
一方、放熱テープ130は、グラファイトテープまたはアルミニウム(Al)を含む合成テープから形成されている。
【0049】
これにより、前記第1の接触部130a→第2の接触部130b→第3の接触部130c→第4の接触部130d→第5の接触部130eの向きへの発熱伝達経路が形成され、その発熱伝達経路に沿って移動する熱は、外部と当接されている第1の接触部130a、第4の接触部130d及び第5の接触部130eを介して分散されて放熱されることが可能になる。したがって、保護回路モジュール120から発せられる熱を効果的に放熱することができる。
【0050】
ここで、前記保護回路モジュール120は、上述したように、充電電流2.0C以上の電池パックに適用される構造を有するものであって、図3に示すように、その上面及び下面のそれぞれに二つの電界効果トランジスター(FET)1221、1222、1223、1224が搭載された構造となっている。このような構造の保護回路モジュール120の場合、主発熱因子である電界効果トランジスター(FET)による発熱レベルが高いものの、本発明は、上述した放熱テープ130の放熱構造を用いて発熱レベルを効果的に下げることができる。
【0051】
2.2.側面部カバーステップ
側面部カバーステップは、電池セル110の両側面部のそれぞれに側面テープ130を貼り付けて電池セル110の側面部をカバーする。
【0052】
2.3.上/下部カバーステップ
上/下部カバーステップは、保護回路モジュール120が搭載された電池セル110の上部を包み込む形状に上テープ130を貼り付け、電池セル110の下部を包み込む形状に下テープ140を貼り付けて、電池セル110の上部及び下部のそれぞれをカバーする。
【0053】
2.4.前面部カバーステップ
前面部カバーステップにおいては、電池セル110の前面に前面テープを貼り付ける。一方、図面には別途に示してはいないが、前面テープの貼り付け後にその上面には電池パック100の通し番号などをはじめとするパック情報を表記するパッドプリント(Pad Print)(図示せず)が取り付けられてもよい。
【0054】
一方、本発明の技術的思想は、前記実施形態に基づいて具体的に記述されたが、前記実施形態はその説明のためのものであり、その制限のためのものではないということに留意すべきである。なお、本発明の技術分野における当業者であれば、本発明の技術思想の範囲内において種々の実施形態が実施可能であるということが理解できる筈である。
【符号の説明】
【0055】
100:電池パック
110:電池セル
112:電極組立体
114:ポーチ
1142:セルテラス部
120:保護回路モジュール(PCM)
122:プリント回路基板(PCB)
124:外部入出力端子
130:放熱テープ
130a~130e:第1の接触部乃至第5の接触部
140:上テープ
150:下テープ
160:側面テープ
170:前面テープ
図1
図2
図3(a)】
図3(b)】
図4